説明

骨粗鬆症のための診断法および治療法

対象におけるIL−1ハプロタイプおよび遺伝子型パターンの同定に基づく、骨粗鬆症の診断法および治療法が記載される。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明分野)
一般的には、本発明は骨粗鬆症または骨粗鬆症に関連する状態もしくは疾患を発症する遺伝的素因を有する対象を同定する方法に関する。
【0002】
(従来技術)
1993年に骨粗鬆症は、Bernadine Healy(MD、後のdirector of the National Institutes of Health)により「女性に多い疾患の一つ」として同定された。骨粗鬆症による骨折後の合併症は、心疾患、癌および脳卒中に続いて65歳以上の女性の死因の第4位である。それは合衆国における身体障害の主要な原因であり、さらに股関節骨折の最も一般的な原因である。
【0003】
2500万人のアメリカ人が骨粗鬆症を患っており、その85%が女性である。I型骨粗鬆症はエストロゲンの減少に起因する閉経後の骨粗鬆症であり、65歳以上の全女性の半数以上に影響を与え、そして75歳以上の女性の90%において認められている。II型または老人性骨粗鬆症は年齢に強く関連しており、通常70歳以上の男性および女性の両方に影響を与える。III型は男女共に影響する最新の分類であり、薬剤誘発性である(例えば、骨減少を加速することが知られている長期間のステロイド療法による)。長期間のステロイド療法を受けている患者群は喘息患者(合衆国中、18歳以上、700万人)ならびに関節リウマチまたは他の自己免疫疾患を患っている患者を含む。IV型は関節リウマチなどの根底にある疾患によって惹起される(集団中、1−2%の羅患率)。
【0004】
骨粗鬆症は、身体障害に至る毎年150万件の骨折の大部分の原因であり、医療的、社会的および養護施設における支出として100億ドルの費用がかかっている。最善の看護の下でも、65歳以上の患者の40%は股関節骨折から2年以内に死亡するだろう。
【0005】
1991年にはアメリカ人女性の3人に1人が50歳以上だった。1996年にはベビーブーム世代がこの年齢層に入り始めるだろう。現在の傾向では平均的な女性は閉経後から約30年間生きるので、骨粗鬆症は現代において健康上の最大の脅威の1つである恐れがある。
【0006】
生活習慣は骨粗鬆症の発症における一因子であり得、特に、骨粗鬆症を予防するための健康な骨量の形成および維持における重要な因子であり得る。現在では65歳未満の人はその両親よりも座ることの多い生活習慣、悪い食習慣、アルコールおよびカフェイン摂取の増大、ならびに骨減少に関連するより多くの薬歴を有する可能性が高い。骨粗鬆症の発症に対して遺伝的素因があることも明かである(骨粗鬆症における遺伝的因子の記載に関してはWO 94/03633を参照のこと。該文献は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0007】
故に、個人が適切な生活習慣に改めるよう、または他の治療的介入を開始するよう助言され得るように、骨粗鬆症を発症する危険性が最も高い個人を早期に同定し得ることは有用であろう。例えば、カルシウムサプリメントおよび運動はある一定の若い時期に用いられるならば有用な予防因子であることが示されている。ホルモン補充療法(HRT)もまた閉経後に生じる骨粗鬆症に対して有効に用いられる。重大な骨減少が生じる前の疾患過程において早期に用いられるならば、HRTには最大の利益をもたらすかもしれない。HRTは潜在的に重大な副作用を有するので、HRTを用いるか骨粗鬆症の発症危険性の軽減を目的とする他の介入を用いるかを決定する際に、女性が自身の骨粗鬆症の危険性レベルを知ることは有用である。
【0008】
以下の公開特許出願は骨粗鬆症を診断、モニターおよび/または処置するための様々な方法を記載している:WO 94/20615、WO 95/01995、WO 94/14844、EP 93113604、WO/8809457、W093/11149およびWO/9403633。以下の参考文献は骨粗鬆症と様々なIL−1遺伝子多型の関連性を記載している:米国特許第5,698,399号;Eastell,Rら(1998)Bone 23(5S):S375;Eastell,RらおよびKeen,RWら(1998)Bone23:367−371。
【0009】
IL−1遺伝子クラスターの遺伝的特徴
IL−1遺伝子クラスターは2番染色体の長腕上(2ql3)にあり、430Kbの領域内に少なくともIL−lα(IL−lA)、IL−1β(IL−1B)およびIL−1受容体アンタゴニスト(IL−1RN)に関する遺伝子を含む(Nicklinら(1994)Genomics,19:382−4)。アゴニスト分子、IL−lαおよびIL−1βは強い炎症誘発性活性を有し、また多数の炎症カスケードの先頭にある。多くの場合他のサイトカイン(例えば、IL−6およびIL−8)の誘発を介するこれらの作用は、白血球の活性化および損傷組織への補充、血管作用剤の局所的な産生、脳および肝臓の急性相応答における発熱応答に至る。3つのIL−1分子は全て、I型およびII型のIL−1受容体に結合するが、I型受容体のみが細胞内部へシグナルを伝達する。対照的に、II型受容体は細胞膜から流出し、おとりの受容体(decoy receptor)として作用する。故に、該受容体アンタゴニストおよびII型受容体は共に抗炎症作用を有する。
【0010】
IL−1の不適切な産生は、関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬などを含む多数の自己免疫および炎症性疾患の病状において中心的役割を果たす。加えて、IL−1の産生率には変動しがたい個人差があり、そしてこのバリエーションの幾つかはIL−1遺伝子座における遺伝子の差異に起因するのかもしれない。故に、IL−1遺伝子は炎症性疾患(その大部分は多遺伝子性要素に起因する多因子性の病因を有する)に遺伝的感受性のある部分を決定するための妥当な候補である。
【0011】
IL−1遺伝子クラスター由来の特定の対立遺伝子は、特定の疾患状態に関連することが知られている。例えば、IL−1RN(VNTR)対立遺伝子2(米国特許第5,698,399号)およびIL−1RN(VNTR)対立遺伝子1(KeenRWら(1998)Bone23:367−371)は骨粗鬆症との関連が報告されている。さらに、IL−1RN(VNTR)対立遺伝子2は真性糖尿病(Blakemoreら(1996)Hum.Genet.97(3):369−74)、円形脱毛症(Corkら(1995)J.Invest.Dermatol.104(5Supp.):15S−16S;Corkら(1996)Dermatol Clin 14:671−8)、グレーブス病(Blakemoreら(1995)J.Clin.Endocrinol.80(1):111−5)、全身性エリテマトーデス(Blakemoreら(1994)Arthritis Rheum.37:1380−85)、硬化性苔癬(Clayら(1994)Hum.Genet.94:407−10)および潰瘍性大腸炎(Mansfieldら(1994)Gastoenterol.106(3):637−42))における腎障害との関連が報告されている。
【0012】
加えて、マーカー−889由来のIL−1A対立遺伝子2およびマーカー+3954由来のIL−1B(TaqI)対立遺伝子2は、歯周病との関連が見出されている(米国特許第5,686,246号;KornmanおよびdiGiovine(1998)Ann Periodont 3:327−38;HartおよびKornman(1997)Periodontol 2000 14:202−15;Newman(1997)Compend Contin Educ Dent 18:881−4;Kornmanら(1997)J.Clin Periodontol 24:72−77)。マーカー−889由来のIL−1A対立遺伝子2は、若年性慢性関節炎、特に、慢性虹彩毛様体炎との関連も見出されている(McDowellら(1995)Arthritis Rheum.38:221−28)。IL−1Bのマーカー+3954由来のIL−1B(TaqI)対立遺伝子2は、DR3/4患者において乾癬およびインシュリン依存糖尿病との関連も見出されている(di Giovineら(1995)Cytokine 7:606;Pociotら(1992)Eur J.Clin.Invest.22:396−402)。さらに、IL−1RN(VNTR)にある対立遺伝子1は、糖尿病性網膜症との関連が見出されている(USSN 09/037472およびPCT/GB97/02790を参照のこと)。さらにIL−1RN(VNTR)にある対立遺伝子2は、北アメリカおよびヨーロッパ由来の白人集団において潰瘍性大腸炎との関連が見出されている(Mansfield,Jら(1994)Gastroenterology 106:637−42)。
興味深いことに、この関連性は中〜東欧のユダヤ人と民族的に関係する集団に特に強い(PCT W097/25445)。
【0013】
遺伝子型スクリーニング
遺伝性疾患をスクリーニングするための伝統的な方法は、異常な遺伝子産物(例えば鎌状赤血球性貧血)または異常な表現型(例えば知能障害)の同定に依存している。これらの方法は、後期に発症し、かつ容易に同定できない表現型を有する遺伝性疾患(例えば血管性疾患)に関しては限られた有用性しかない。簡単かつ安価な遺伝子スクリーニング法の進歩に伴い、現在では疾患が多遺伝子に起因する場合でさえ、疾患発症の傾向を示す多型を同定することが可能である。分子生物学的手法によりスクリーニングされ得る疾患の数は、多因子性疾患の遺伝学的原理が理解されるにつれ増え続けている。
【0014】
遺伝子スクリーング(遺伝子型同定または分子スクリーニングとも言われる)は、患者が、疾患状態を惹起するかまたは疾患状態を惹起する突然変異に「連鎖」している突然変異(対立遺伝子または多型)を有するかどうかを決定するための試験として広く定義され得る。連鎖は、ゲノム上近接するDNA配列が一緒に遺伝する傾向を有する事象を言う。2つの配列は、一緒に遺伝することが選択的に優位であるために連鎖されていてもよい。しかしながらより典型的には、2つの多型配列は2つの多型の間の領域内で生じる減数分裂期組換え事象の頻度が相対的にまれであるために一緒に遺伝する。一緒に遺伝する多型対立遺伝子は互いに連鎖不平衡にあると言われ、というのも、特定のヒト集団において、それらは一緒に存在するか、或いはそうでなければその集団の任意の特定メンバーにおいて全く存在しない傾向にあるからである。実際に、特定の染色体領域における複数の多型が互いに連鎖不平衡にあることが見出される場合には、それらは準安定な遺伝子「ハプロタイプ」となっている。一方、2つの多型遺伝子座の間で生じる組換え事象により、それらは別々の相同染色体へ分離される。物理的に連鎖している2つの多型間の減数分裂期組換えが十分な頻度で生じる場合には、2つの多型は独立して分離されるようであり、そして連鎖平衡にあると言われる。
【0015】
2つのマーカー間の減数分裂期組換えの頻度は、一般的に染色体上におけるそれらの物理的距離に比例するが、「ホットスポット」ならびに染色体組換えが抑制された領域の存在により、2つのマーカーの間の物理的距離と組換え距離の間に相違が生じ得る。故に、特定の染色体領域において、広い染色体ドメインに及ぶ複数の多型遺伝子座は互いに連鎖不平衡にあってもよく、そしてそれにより、広範囲に及ぶ遺伝子ハプロタイプとなる。さらに疾患を惹起する突然変異がこのハプロタイプ内にあるかまたはそれと連鎖している場合には、該ハプロタイプの1またはそれ以上の多型対立遺伝子が疾患発症の可能性に対する診断または予測指標として用いられ得る。さもなくば、疾患突然変異がごく最近に起きたならば、良性の多型および疾患を惹起する多型の間にこの関連性が存在する結果として、組換え事象を介して達成される平衡に至る十分な時間が経過していないことになる。故に、疾患を惹起する突然変異に及ぶかまたはそれと連鎖しているヒトハプロタイプの同定は、該疾患を惹起する突然変異が遺伝されたという個人の可能性を予測する指標として役立つ。重要なことに、かかる予後的または診断的処置は、疾患を惹起する病変そのものを同定および単離する必要なく利用され得る。このことは意義深く、というのも、疾患過程に関与する分子欠陥を正確に決定することは、特に炎症性疾患などの多因性疾患の場合に困難および難儀であり得るからである。
【0016】
実際、炎症性疾患とIL−1多型の間の統計的相関は、多型が疾患を直接惹起することを必ずしも示さない。むしろ相関のある多型は、最近のヒト進化において生じた疾患を惹起する突然変異に連鎖している(すなわち連鎖不平衡にある)良性の対立遺伝子変異体であり得、その結果、介在する染色体分裂における組換え事象を介して達せられる平衡に至十分な時間が経過していないことになる。故に、特定の疾患に関する診断的および予後的アッセイのために、多型が疾患の病因に直接関与するかどうか考慮することなく、疾患に関連する多型対立遺伝子の検出が利用され得る。さらに、特定の良性の多型遺伝子座が、明らかに疾患を惹起する多型遺伝子座と連鎖不平衡にある場合には、さらに、良性の多型遺伝子座と連鎖不平衡にある他の多型遺伝子座も、疾患を惹起する多型遺伝子座と連鎖不平衡にある可能性が高い。故に、これらの他の多型遺伝子座も、該疾患を惹起する多型遺伝子座が遺伝されたという可能性を予後または診断するだろう。実際、広範囲のヒトハプロタイプ(一連の連鎖した多型マーカーの対立遺伝子が一緒に遺伝する、典型的なパターンを描く)は、特定の疾患または状態と対応するヒトハプロタイプとの間の関連性が見出された時点で、診断目的のための標的となり得る。故に、特定の疾患または状態を発症する個人の可能性の決定は、原因となる遺伝的変異を決定または特徴付けることなく、疾患に関連する1以上の多型対立遺伝子(またはさらには、疾患に関連する1以上のハプロタイプ)を特徴付けることによりなされ得る。
【0017】
(発明の概要)
本発明は、骨粗鬆症または骨粗鬆症に関連する状態もしくは疾患を発症する危険性の高い対象を同定する遺伝的素因の試験を提供する。特に、本発明は、閉経期に骨粗鬆症に関連する脊椎骨折を発症する危険性の高い女性を同定する遺伝的素因の試験を提供する。
【0018】
一の態様において、対象における骨粗鬆症の発症、非発症または発症の素因は、対象において骨粗鬆症に関連する遺伝子型を検出することにより決定される。該遺伝子型の存在は、対象が骨粗鬆症を発症しているか、またはその素因を有することを示す。対照的に、該遺伝子型の不在は、対象が骨粗鬆症を発症していないか、またはその素因を有さないことを示す。骨粗鬆症に関連する遺伝子型の存在を検出し、そして骨粗鬆症を補う治療剤を対象へ投与することにより、骨粗鬆症の徴候が緩和されるか、または骨粗鬆症の発症が対象において提示される。骨粗鬆症の徴候は、例えば脊椎の脆弱化に起因する身長低下、夜間の足の痙攣、骨痛および圧痛、頸部痛、傷害または外傷以外に起因する頸部不快感、背下部の脊椎または筋肉の持続痛、腹痛、歯牙喪失、肋骨痛、骨折、猫背のごとき顕著な脊椎変形、背部の脊椎崩壊に起因する脊椎上部の外弯、疲労、歯周病または指の爪の脆弱化を包含する。骨粗鬆症は、骨密度などの当業者に知られている方法により決定される。例えば、特定の患者における骨密度(BMD)は25歳の女性のものと比較される。25歳の女性の平均より低いBMD値(統計的には平均より2.5標準偏差低い)は「骨粗鬆症」と診断される。患者が、正常な25歳の女性ものより低いがその平均より2.5標準偏差を下回らないBMD値を有する場合には、その骨は「骨減少症(osteopenic)」(骨減少症は骨密度の減少を意味するが、骨粗鬆症ほど深刻ではない)と言われる。
【0019】
骨粗鬆症に関連する遺伝子型は、例えば(a)IL−1A(+4845)にある遺伝子型2.2、IL−1B(−511)にある遺伝子型1.1およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型1.1;(b)IL−1B(−511)にある遺伝子型2.2およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型2.2;または(c)IL−1B(−511)にある遺伝子型2.2およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型1.2である。
【0020】
別の態様において、対象における骨粗鬆症の発症もしくは非発症または骨粗鬆症を発症する素因は、対象において骨粗鬆症に関連する対立遺伝子を検出することにより決定される。該対立遺伝子の存在は、対象が骨粗鬆症を発症しているか、またはその素因を有することを示す。一方、該対立遺伝子の不在は、対象が骨粗鬆症を発症していないか、またはその素因を有さないことを示す。骨粗鬆症に関連する対立遺伝子は、例えばIL−1RN(+2018)対立遺伝子、IL−1A(+4845)対立遺伝子およびIL−1B(−511)である。1、2、3個またはそれ以上の対立遺伝子が検出される。例えば、IL−1B(−511)およびIL−1RN(+2018)が検出される。或いは、IL−1A(+4845)対立遺伝子およびIL−1RN(+2018)が検出される。対象は該対立遺伝子に関してホモ接合体である。或いは、対象は該対立遺伝子に関してヘテロ接合体である。対象は女性である。対象は60歳以上である。例えば、対象は65ないし90歳である。対象はホルモン補充療法を利用していない。
【0021】
骨粗鬆症に関連する遺伝子型または対立遺伝子は、当業者に知られている方法により検出される。例えば該遺伝子型または対立遺伝子は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、サイズ分析、シークエンス、ハイブリダイゼーション、5’ヌクレアーゼ消化、一本鎖高次構造多型、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、プライマー特異的伸長またはオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイにより検出される。状況に応じて、検出の前または検出と共に核酸試料を増幅工程に付す。
【0022】
本発明には、骨粗鬆症の発症、非発症または発症感受性を決定するためのキットも含まれる。該キットは、IL−1A(+4845)対立遺伝子、IL−1B(−511)対立遺伝子またはIL−1RN(+2018)対立遺伝子の5’または3’にハイブリダイズする第一のプライマーオリゴヌクレオチドを含む。該オリゴヌクレオチドは1000、500、250、150、100、50、25、15、10またはそれ未満の長さのヌクレオチドである。状況に応じて、該キットは対立遺伝子が増幅され得るように、対立遺伝子の3’または5’にそれぞれハイブリダイズする第二のプライマーオリゴヌクレオチドを含む。様々な態様において、該キットは検出手段、増幅手段または対照を含む。
【0023】
特記しない限り、本明細書で用いる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中記載するものと同様または均等な方法および材料が本発明の実施または試験において用いられ得るが、適当な方法および材料を以下に記載する。特許、特許出願を含め、すべての文献は出典明示によりその全てを本明細書の一部とする。コンフリクトの場合には、定義を含む、本明細書が支配的であろう。加えて、材料、方法および実施例は説明のためであって、それらに限定されない。
【0024】
本発明の他の特徴および利点は以下の詳細な記載および請求の範囲から明かであろう。
【0025】
(発明の詳細な記載)
本発明は、骨粗鬆症または脊椎骨折などの骨粗鬆症に関連する状態もしくは疾患を発症する危険性の増大に関連する遺伝子型に関する知見に基づく。故に本発明は、閉経後に骨粗鬆症に関連する脊椎骨折を発症する危険性の高い女性を同定する遺伝的素因の試験を提供する。
【0026】
ここで、遺伝子解析は、特にインターロイキン−lα(IL−lA)、インターロイキン−lB(IL−1B)およびインターロイキン−lRN(IL−1RN)遺伝子にある特定の対立遺伝子、ならびにビタミンD受容体(VDR)、コラーゲンlAl(COL1A1)、エストロゲン受容体(ER)および甲状腺ホルモン受容体(PTHR)遺伝子にある対立遺伝子を含む遺伝子多型の存在と相関する脊椎変形の増大との関連性に関して行う。閉経後の女性の遺伝子多型を調べることによる、骨折の発症および骨密度の減少率への遺伝的影響の研究は、予防的療法の標的とするために高い危険性にある個人を同定するための、遺伝子診断の使用の臨床的有用性を評価する際に、有用である。
【0027】
本研究の一の目的は、様々な遺伝子における特定のバリエーションが、閉経後に脊椎骨折を経験する女性の危険性を予測するために用いられ得るかを決定することである。研究した一の特定の遺伝子ファミリーは、IL−1遺伝子ファミリーである。骨代謝および閉経後の骨折危険性へのIL−1遺伝子の関与についての論拠は以下のとおりである。閉経後の骨粗鬆症は閉経後に開始する骨組織の漸進的な減少に特徴付けられ、そして閉経開始から15−20年以内に骨折に至る可能性がある(2−4)。骨格の発達「最大骨量」、加齢に関連する骨減少および骨質などの他の要因も、その後の骨折に対する危険性の重要な決定因子であるが、閉経後の初めの5ないし10年における、ホルモンに依存する骨吸収の増大および骨量減少の加速が、最も重要な病原因子であるようだ(2−4)。
【0028】
エストロゲンが、骨髄および骨細胞による炎症誘発性サイトカインの産生を遮断することにより骨減少を防ぐことを示す証拠がある(3)。多数の報告は、自然または手術による閉経が血液、骨髄および単球のIL−1およびTNFレベルを増大させることを示す(2,3)。インビトロ研究も、これらのサイトカインの産生を抑制するエストロゲンの能力を示す。骨の微小環境におけるサイトカインの産生増大による主な結果は、破骨細胞形成の増大および破骨細胞の寿命延長に起因する破骨細胞プールの拡大である(3)。加えて、サイトカイン産生の増強により成熟破骨細胞の活性が増大する。IL−1およびTNFαもよく知られている骨形成阻害剤である(2)。さらに、IL−1およびTNFαは、IL−6、M−CSFおよびGM−CSFなどの他のサイトカインの強力な誘導物質であり、破骨前駆細胞から成熟破骨細胞への分化を調節する(3)。故に、破骨細胞形成について、IL−1およびTNFαは、造血系破骨前駆細胞を刺激する「下流因子」分泌の誘発のために必須である「上流」のサイトカインと見なされるべきである。このカスケードの機序は、IL−1およびTNFαのレベルにおける小さな変化が破骨細胞産生において大きな変化を生じることを確実にする。
【0029】
IL−1受容体アンタゴニスト(IL−Ira)として知られているIL−1の特異的内因性競合的阻害剤は、IL−1βと26%のアミノ酸配列相同性を有し、IL−lβとほぼ同じ親和性でIL−1受容体を発現する細胞に結合するが、IL−1アゴニスト活性は全くない(5)。
【0030】
破骨細胞形成および破骨細胞活性の、IL−1による誘発に対する特定の生物学的証拠の例は、I型IL−1受容体の発現がないためにIL−1に非感受性であるマウスの報告からもたらされる(6)。これらのマウスは卵巣切除により誘発される骨減少から保護されており、故にIL−1受容体を介するIL−1の作用は、骨におけるエストロゲン不足の影響に対する不可欠なメディエーターであることが明示される(6)。本研究の重大な知見は、IL−1受容体がない場合には偽手術マウスの骨量が変化しないことであり、故に、IL−1はエストロゲン量が十分なマウスにおいて正常な骨リモデリングを維持するために必須ではないことが明示される(6)。関連の研究においてKimbellらは、IL−1およびIL−1βの機能活性を遮断するIL−lraの注入は、エストロゲンと同じ骨の節約効果を有することを報告した(7)。
【0031】
骨代謝におけるIL−1、IL−1βおよびIL−lraの関与についての多数の生物学的証拠は、これらの遺伝子の発現を変化させる1以上の一塩基多型(SNPs)がIL−1遺伝子クラスター内にあるという仮説を支持する。IL−lAおよびIL−1B遺伝子の転写もしくは翻訳の増大、またはIL−1RN遺伝子の転写もしくは翻訳の減少、またはさらには遺伝子のコード領域内のSNPによる単一アミノ酸置換に起因して若干変更されたサイトカイン(IL−1、IL−1βもしくはIL−Ira)は、正常な骨のターンオーバーに必要なサイトカインの微妙なバランスを損ない得るだろう。IL−1および/またはIL−1βの過剰な産生またはIL−Iraの産生不足は、これらの代わりとなる対立遺伝子をもつ特定の個人の骨吸収系を活性化し得るだろう。IL−1遺伝子のこれらの対立遺伝子の負の効果は、IL−1遺伝子発現へのエストロゲンの抑制効果がなくなるために、特に閉経後に明らかであろう。
【0032】
定義
便宜上、本明細書、実施例および添付の請求の範囲にて用いる特定の用語および語句の意味は以下のとおりである。
用語「対立遺伝子」は、異なる多型領域にて見出される異なる配列の変異体を言う。例えば、IL−1RN(VNTR)は少なくとも5つの異なる対立遺伝子を有する。配列変異体は、挿入、欠失もしくは置換を含むが、これらに限定されない、単一もしくは複数の塩基変化であってよく、または長さが様々な反復配列であってもよい。
【0033】
用語「対立遺伝子パターン」は、1またはそれ以上の多型領域にある1または複数の対立遺伝子の独自性を言う。例えば、対立遺伝子パターンは、IL−1RN(VNTR)の対立遺伝子1(IL−1RN遺伝子座のVNTRにあるIL−1RNの対立遺伝子を少なくとも1コピー有する対立遺伝子パターン)についてのように、多型部位において単一の対立遺伝子から成ってもよい。或いは、対立遺伝子パターンは、単一の多型部位においてホモ接合またはヘテロ接合の状態から成ってもよい。例えば、IL1−RN(VNTR)対立遺伝子2,2は、ホモ接合のIL−RN(VNTR)対立遺伝子2の状態に対応する、IL−1RNのVNTRマーカーにおいて第2の対立遺伝子が2コピーある対立遺伝子パターンである。或いは、対立遺伝子パターンは、1以上の多型部位にある対立遺伝子の独自性から成ってもよい。
【0034】
本明細書中、用語「抗体」は、完全抗体またはその結合性フラグメントを包含する、IL−1ポリペプチドに特に反応性のある結合剤を言う。抗体は慣用法を用いて断片化され得、そしてそのフラグメントは完全抗体に関して前記したものと同じ様式で実用のためにスクリーニングされ得る。例えば、F(ab)フラグメントは抗体をペプシン処理することにより産出され得る。得られたF(ab)フラグメントは処理され、ジスルフィド結合が還元され、Fabフラグメントを生じ得る。さらに本発明の抗体は、二重特異性、一本鎖、ならびにキメラおよびヒト化分子を包含することが意図され、これらの分子は抗体の少なくとも1つのCDR領域により与えられるIL−1Bポリペプチドに対する親和性を有する。
【0035】
同義的に用いられる「生物学的活性」または「生物活性」または「活性」または「生物学的機能」は、本明細書中の目的からすると、IL−1ポリペプチド(未変性または変性したコンフォメーションにある)またはその任意の後続物により直接的または間接的に行われる、エフェクターまたは抗原性機能を意味する。生物学的活性は、例えばIL−1受容体などの標的ペプチドへの結合を含む。IL−1生物活性は、IL−1ポリペプチドに直接的に作用することにより調節され得る。或いはIL−1生物活性は、IL−1遺伝子発現の調節によるなどの、IL−1ポリペプチドのレベルの調節により調節され得る。
【0036】
本明細書中用いるように、用語「IL−1ポリペプチドの生物活性フラグメント」は、全長IL−1ポリペプチドのフラグメントを言い、ここで、このフラグメントは、野生型IL−1ポリペプチドの活性を特に模倣するかまたはそれに拮抗する。好ましくは、生物活性フラグメントはインターロイキン受容体と相互作用し得るフラグメントである。
【0037】
IL−1などのポリペプチドの活性に適用されるように、用語「異常な活性」は、野生型もしくは未変性のポリペプチドの活性と異なる活性、または健康な対象におけるポリペプチドの活性と異なる活性を言う。あるポリペプチドの活性は、その未変性体の活性よりも強力であるために、異常であり得る。或いは、その未変性体の活性と比較して活性が弱いかまたは活性がないために、活性は異常であり得る。異常な活性は活性における変化でもあり得る。例えば、異常なポリペプチドは異なる標的ペプチドと相互作用し得る。細胞は、IL−1遺伝子座のポリペプチドをコードするIL−1遺伝子座の遺伝子の過剰発現または発現不足に起因して、異常なIL−1活性を有し得る。
【0038】
「細胞」、「宿主細胞」または「組換え宿主細胞」は本明細書中において同意義的に用いられ、特定の対象細胞だけでなく、かかる細胞の後代または潜在的な後代も言う。特定の修飾が突然変異または環境の影響に起因して続く世代に生じてもよいので、かかる後代は実際に親細胞と一致していなくともよいが、なお本明細書において用いる用語の範囲内に含まれる。
【0039】
「キメラ」、「モザイク」、「キメラ哺乳類」などは、ゲノムを含む細胞の少なくとも幾つかにおいてノックアウトまたはノックインコンストラクトを有するトランスジェニック哺乳類を言う。
【0040】
用語「対照」または「対照試料」は、用いる検出技法に適切な任意の試料を言う。対照試料は、用いる対立遺伝子検出技法の製品または試験されるべき材料を含んでいてもよい。さらに、対照は正または負対照であってもよい。一例として、対立遺伝子検出技法がPCR増幅(後にサイズ分画が続く)である場合には、対照試料は適切なサイズのDNAフラグメントを含んでもよい。同様に、対立遺伝子検出技法が変異蛋白質の検出を含む場合には、対照試料は変異蛋白質の試料を含んでもよい。しかしながら、対照試料は試験されるべき材料を含むことが好ましい。例えば対照はゲノムDNAの試料であるか、またはIL−1遺伝子クラスターのクローン化された部分であってもよい。しかしながら試験されるべき試料がゲノムDNAの場合には、好ましくは、対照試料は高度に精製されたゲノムDNA試料である。
【0041】
語句「遺伝子の破壊」および「標的破壊」または任意の同様な語句は、野生型の遺伝子コピーと比べて細胞中でその遺伝子の発現を阻止するための、天然DNA配列の部位特異的な妨害を言う。この妨害は遺伝子の欠失、挿入または修飾、或いはその任意の組み合わせにより惹起されてもよい。
【0042】
本明細書中、用語「ハプロタイプ」は、統計的に有意なレベル(pcorr<0.05)で群として一緒に遺伝する(連鎖不平衡にある)一連の対立遺伝子を言う。本明細書中用いるように、語句「IL−1ハプロタイプ」は、IL−1遺伝子座におけるハプロタイプを言う。炎症性または炎症誘発性のIL−1ハプロタイプは、アゴニスト活性の増大および/またはアンタゴニスト活性の減少を示すハプロタイプを言う。
【0043】
本明細書中、用語「IL−1遺伝子クラスター」および「IL−1遺伝子座」は、少なくともIL−1A、IL−1BおよびIL−1RN遺伝子ならびに任意の他の連鎖配列を含む、2番染色体の2ql3領域またはその近接領域における全核酸を包含する(Nicklinら,Genomics 19:382−84,1994)。本明細書中、用語「IL−1A」、「IL−1B」および「IL−1RN」は、それぞれIL−1、IL−1およびIL−1受容体アンタゴニストをコードする遺伝子を言う。IL−1A、IL−1BおよびIL−1RNのための遺伝子のアクセション番号はそれぞれX03833、X04500およびX64532である。
【0044】
「IL−1機能突然変異」は、表現型を改変させる(すなわち、IL−1遺伝子または蛋白質機能に作用する)IL−1遺伝子クラスター内の突然変異を言う。例は:IL−1A(+4845)対立遺伝子2、IL−1B(+3954)対立遺伝子2、IL−1B(+6912)対立遺伝子2およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子2を含む。
【0045】
「IL−1X(Z)対立遺伝子Y」は、遺伝子X[ここで、XはIL−1A、BまたはRNである]中のIL−1遺伝子座の多型部位に存在し、かつヌクレオチドZ[ここで、ヌクレオチドZは、特定のIL−1遺伝子Xの主な転写開始部位(ヌクレオチド+1)に対して番号付けられる]またはその近くに位置する、特定の対立遺伝子の形態(Yで示される)を言う。さらに本明細書中用いられるように、用語「IL−1X対立遺伝子(Z)」は、ヌクレオチドZまたはその近くに位置する遺伝子X中のIL−1多型部位の全対立遺伝子を言う。例えば、用語「IL−1RN(+2018)対立遺伝子」は、+2018位にあるIL−1RN遺伝子の別の形態を言う。「IL−1RN(+2018)対立遺伝子1」は、センス鎖の位置+2018にある、シトシン(C)を含むIL−1RN遺伝子の形態を言う。ClayらのHum.Genet.97:723−26,1996を参照のこと。「IL−1RN(+2018)対立遺伝子2」は、プラス鎖の位置+2018にある、チミン(T)を含むIL−1RN遺伝子の形態を言う。対象が2つの同一のIL−1RN対立遺伝子を有する場合には、対象はホモ接合体であるか、またはホモ接合の状態を有すると言われる。対象が2つの異なるIL−1RN対立遺伝子を有するならば、対象はヘテロ接合体であるか、またはヘテロ接合の状態を有すると言われる。用語「IL−1RN(+2018)対立遺伝子2,2」は、IL−1RN(+2018)対立遺伝子2のホモ接合状態を言う。一方、用語「IL−1RN(+2018)対立遺伝子1,1」は、IL−1RN(+2018)対立遺伝子1のホモ接合状態を言う。用語「IL−1RN(+2018)対立遺伝子1,2」は、対立遺伝子1および2のヘテロ接合状態を言う。
【0046】
本明細書中、「IL−1に関連する」は、ヒト2番染色体(2q 12−14)上のヒトIL−1遺伝子座にある遺伝子に関連する全ての遺伝子を包含することが意図される。これらは2番染色体(2q 13−14)に位置するヒトIL−1遺伝子クラスターにあるIL−1遺伝子を含み、これは:インターロイキン−1αをコードするIL−1A遺伝子、インターロイキン−1βをコードするIL−1B遺伝子およびインターロイキン−1受容体アンタゴニストをコードするIL−1RN(またはIL−Ira)遺伝子を含む。さらに、これらのIL−1に関連する遺伝子は、ヒト2番染色体(2ql2)に位置するI型およびII型ヒトIL−1受容体遺伝子、ならびにマウス1番染色体の位置19.5cMに位置するそれらのマウスホモログを含む。インターロイキン−1α、インターロイキン−1βおよびインターロイキン−lRNは、これらが全てIL−1のI型受容体へ結合するという点で関連しているが、インターロイキン−1αおよびインターロイキン−1βはIL−1のI型受容体を活性化させるアゴニストリガンドであり、一方、インターロイキン−lRNは自然に発生するアンタゴニストリガンドである。用語「IL−1」が遺伝子産物またはポリペプチドに関して用いられる場合には、それは、ヒト2番染色体(2q 12−14)上のインターロイキン−1遺伝子座によりコードされた全ての遺伝子産物、および他の種に由来する対応するホモログまたはその機能変異体を意味する。故に、用語IL−1は、IL−1αおよびIL−1βなどの炎症性応答を促進する分泌ポリペプチド、ならびにIL−1受容体アンタゴニストおよびIL−1のII型(おとりの)受容体などの、炎症性応答に拮抗する分泌ポリペプチドを包含する。
【0047】
「IL−1受容体」または「IL−1R」は、IL−1遺伝子座がコードするリガンドに結合し、および/またはそのシグナルを伝達し得る、様々な細胞膜結合蛋白受容体を言う。この用語は、インターロイキン−1(IL−1)分子に結合でき、そして哺乳類の原形質膜蛋白質のごとき天然の立体配座において、IL−1より与えられるシグナルを細胞へ伝達する際に関与すると推定される、任意の蛋白質に適用される。本明細書中用いるように、この用語は、IL−1への結合またはシグナル伝達活性を有する未変性蛋白質のアナログを含む。例は、米国特許第4,968,607号記載の、ヒトおよびマウスIL−1受容体を含む。用語「IL−1核酸」は、IL−1蛋白質をコードする核酸を言う。
【0048】
「IL−1ポリペプチド」および「IL−1蛋白質」は、図1、2および3に示すIL−1のゲノムDNA配列によりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、そのフラグメントおよびそのホモログを包含し、ならびにポリペプチドアゴニストおよびアンタゴニストを包含することが意図される。
【0049】
「危険性の増大」は、特定の多型対立遺伝子を持たない集団のメンバーにおいて疾患または状態が生じる頻度と比べて、特定の多型対立遺伝子を持つ個人においてその疾患または状態が生じる頻度が統計的に高いことを言う。
【0050】
本明細書中、用語「相互作用する」は、天然の蛋白−蛋白、蛋白−核酸、核酸−核酸および蛋白−小分子または核酸−小分子間の相互作用のごとき、分子間の検出可能な関係または関連性(例えば生物学的相互作用)を包含することが意図される。
【0051】
本明細書中、DNAまたはRNAなどの核酸に関して用いられる、用語「単離された」は、当該高分子の天然ソース中に存在する他のDNAまたはRNAからそれぞれ分離された分子を言う。例えば、好ましくは、対象のIL−1ポリペプチドの1つをコードする単離された核酸は、ゲノムDNA上のIL−1遺伝子に天然状態において近接するわずか10キロベース(kb)の核酸配列、より好ましくは、わずか5kbの自然に発生する近接配列、そして最も好ましくは、1.5kb未満の自然に発生する近接配列を含む。本明細書中、用語「単離された」は、組換えDNA技法により産出される場合には細胞物質、ウィルス物質または培地を、或いは化学合成した場合には前駆化学物質または他の化学物質を、実質的に含んでいない核酸またはペプチドも言う。さらに「単離された核酸」は、フラグメントとして天然に存在せず、そして自然状態にて見出されないだろう核酸フラグメントを含むことが意図される。本明細書中、用語「単離された」は、他の細胞の蛋白質から単離したポリペプチドも言い、さらに精製および組換えポリペプチドの両方を包含することが意図される。
【0052】
「ノックイン」トランスジェニック動物は、改変遺伝子をゲノムに導入され、そしてその改変遺伝子が内因性または外因性由来であり得る動物を言う。
【0053】
「ノックアウト」トランスジェニック動物は、内因性遺伝子の発現を部分的または完全に抑制された動物(例えば、遺伝子の少なくとも一部分の欠失、遺伝子の少なくとも一部分を第2の配列で置換、ストップコドンの導入、重要なアミノ酸をコードする塩基の突然変異またはイントロンジャンクションの除去など)を言う。
【0054】
「ノックアウトコンストラクト」は、細胞中の内因性DNA配列によりコードされる蛋白質の発現を減少または抑制するために用いられ得る核酸配列を言う。簡単な例において、ノックアウトコンストラクトは、活性のある蛋白質が発現できないように、遺伝子の重要な部分を欠失させた遺伝子、例えばIL−1RN遺伝子から成る。或いは、多数の終止コドンが天然の遺伝子へ加えられ得、蛋白質の早期の終止を惹起するか、またはイントロンジャンクションが不活性化され得る。典型的なノックアウトコンストラクトにおいて、遺伝子の特定部分は、遺伝子が以下のように表され得るように選択可能なマーカー(例えばneo遺伝子)で置換される:IL−1RN5’/neo/IL−1RN3’[ここで、IL−1RN5’およびIL−1RN3’は、IL−1RN遺伝子部分に対してそれぞれ上流および下流にあるゲノムまたはcDNA配列を言い、またneoとはネオマイシン耐性遺伝子を言う]。別のノックアウトコンストラクトにおいて、遺伝子が以下のように表され得るように第2の選択可能なマーカーが隣接位置に付加される:IL−lRN/neo/IL−lRN/TK[ここで、TKはチミジンキナーゼ遺伝子であり、これは、前記コンストラクトのIL−1RN5’またはIL−1RN3’配列のどちらかに付加され得、そしてさらに適切な培地中で選択され得る(すなわち負の選択が可能なマーカー)]。この2つのマーカーの構築により、非相同組換え事象(典型的にはTK配列を保持する)から、相同組換え事象(隣接するTKマーカーを除去する)を選択することが可能になる。遺伝子の欠失および/または置換は、エクソン、イントロン、特にイントロンジャンクションおよび/またはプロモーターなどの調節領域由来であり得る。
【0055】
「連鎖不平衡」は、特定の対照集団において各対立遺伝子が別々に存在する頻度から予想されるよりも高い頻度で、2つの対立遺伝子が一緒に遺伝することを言う。独立して遺伝する2つの対立遺伝子の予想される存在頻度は、(第1の対立遺伝子の頻度)×(第2の対立遺伝子の頻度)である。予想される頻度で一緒に存在する対立遺伝子は「連鎖不平衡」にあると言われる。連鎖不平衡の原因は多くの場合不明である。それは特定の対立遺伝子の組み合わせに関する選択に起因するか、または遺伝的に不均一な集団がごく最近混合したことに起因し得る。加えて、疾患の遺伝子に非常に強く連鎖しているマーカーの場合には、疾患の突然変異がごく最近生じたものならば、対立遺伝子(または連鎖した対立遺伝子の群)と疾患の遺伝子との関連性が予期され、その結果、特定の染色体領域における組換え事象を介して達せられる平衡に至る十分な時間が経過していないこととなる。1以上の対立遺伝子から成る対立遺伝子パターンに関しては、第1の対立遺伝子パターンを含んでなる全ての対立遺伝子が第2の対立遺伝子パターンの少なくとも1つの対立遺伝子と連鎖不平衡にあるならば、第1の対立遺伝子パターンは第2の対立遺伝子パターンと連鎖不平衡にある。連鎖不平衡の一例は、IL−1RN(+2018)およびIL−1RN(VNTR)多型部位にある対立遺伝子の間に生じるものである。IL−1RN(+2018)にある2つの対立遺伝子は、IL−1RN(VNTR)にある最も頻度の高い2つの対立遺伝子(対立遺伝子1および対立遺伝子2)と100%の連鎖不平衡にある。
【0056】
用語「マーカー」は、個人差があることが知られているゲノム上の配列を言う。例えばIL−1RN遺伝子は、様々な数のタンデムリピート(VNTR)から成るマーカーを有する。
【0057】
「突然変異遺伝子」または「突然変異」または「機能突然変異」は、突然変異遺伝子を有さない対象と比較して突然変異遺伝子を有する対象の表現型を改変し得る、遺伝子の対立遺伝子形態を言う。突然変異により惹起される改変された表現型は、特定の作用物質により修正または補正され得る。改変された表現型を有するために、対象がこの突然変異についてホモ接合体である必要があるならば、この突然変異は劣性と言われる。対象の表現型を改変するために、1コピーの突然変異遺伝子で十分ならば、この突然変異は優性と言われる。対象が1コピーの突然変異遺伝子を有し、かつその遺伝子についてのホモおよびヘテロ対象の中間の表現型を有するならば、この突然変異は共優性と言われる。
【0058】
本発明中、「ヒトでない動物」は、齧歯類、ヒトでない霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギなどの哺乳類、例えばゼノパス属に属する両生類およびトランスジェニックの鳥類(例えばニワトリ、トリなど)を包含する。本明細書中、用語「キメラ動物」は、組換え遺伝子が見出される、または組換え遺伝子が動物の全てではない幾つかの細胞で発現している動物を言う。用語「組織特異的なキメラ動物」は、組換えIL−1遺伝子の1つが、特定の組織において存在および/または発現している、或いは破壊されていることを示す。用語「ヒトでない哺乳類」は、ヒトを除く、哺乳類綱の任意のメンバーを言う。
【0059】
本明細書中、用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)および適切な場合にはリボ核酸(RNA)などの、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを言う。該用語は、ヌクレオチドアナログ(例えばペプチド核酸)由来のRNAまたはDNAおよび記載した実施態様に適用し得るような一本鎖(センスまたはアンチセンス)および二本鎖ポリヌクレオチドを均等物として含むことが理解されるはずである。
【0060】
用語「骨粗鬆症」は、「骨量低下および骨組織のマクロ構造の劣化に特徴付けられ、結果として骨脆弱性および骨折への感受性を増大させる、全身性骨疾患」と、世界保健機関により定義されている(WHO Consensus Development Conference 1993)。骨粗鬆症の臨床的定義は、骨密度(BMD)または骨塩濃度(BMC)が健康な若年女性の平均より約2.5標準偏差以上低い状態を言う。深刻な骨粗鬆症は、健康な若年女性の平均より約2.5SD以上低いBMDまたはBMCを有し、かつ1またはそれ以上の脆弱性骨折があるものとして定義される。骨減少は厳密には特定部位に限定されないので、骨粗鬆症は、歯槽、大腿部、橈骨、脊椎もしくは手関節の骨減少または骨折事象、閉経後の骨減少、骨量の激しい減少、骨折事象または骨減少率を含む様々な様式でその存在を明示し得る。
【0061】
用語「多型」は、1以上の形態の遺伝子またはその部分(例えば対立遺伝子変異体)の共存を言う。少なくとも2つの異なる形態(すなわち、2つの異なるヌクレオチド配列)の遺伝子部分は「遺伝子の多型領域」と言われる。遺伝子の多型領域における特定の遺伝子配列は一の対立遺伝子である。多型領域は単一のヌクレオチドであり得、その独自性は対立遺伝子ごとに異なる。多型領域は数個のヌクレオチド長でもあり得る。
【0062】
用語「疾患への傾向」および疾患の「素因」もしくは「感受性」または任意の同様の語句は、特定の対立遺伝子が、特定の疾患(例えば血管疾患)を発症する対象の羅患率に関連しているかまたはその予測となることが、本明細書により見出されることを意味する。故に、この対立遺伝子は、健康な個人と比較して疾患を患う個人においてより高い頻度で示される。故に、これらの対立遺伝子は、徴候を示す前または疾患に罹る前の個人においてでさえ疾患を予測するために用いられ得る。
【0063】
本明細書中、「小分子」は、約5kD未満、そして最も好ましくは、約4kD未満の分子量を有する組成物を言う。小分子は、核酸、ペプチド、ペプチド擬態物、炭水化物、脂質または他の有機もしくは無機分子であり得る。
【0064】
本明細書中、用語「特異的にハイブリダイズする」または「特異的に検出する」は、試料核酸の少なくとも約6個の連続したヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子の能力を言う。
【0065】
「転写調節配列」は、本明細書中、作動可能に連結された配列をコードする蛋白質の転写を誘発または制御する、開始シグナル、エンハンサーおよびプロモーターなどのDNA配列を示す総称である。
【0066】
本明細書中、用語「トランスジーン」は、細胞に導入された核酸配列(例えばIL−1ポリペプチドの1つをコードする、またはそのアンチセンス転写産物)を言う。トランスジーンは、それが導入されるトランスジェニック動物または細胞に対して部分的または完全に異種、すなわち、外来性であるか、またはそれが導入されるトランスジェニック動物または細胞の相同ないし内因性遺伝子であり得るが、それは、挿入される細胞のゲノムを改変する様式で動物のゲノムへ挿入されるように設計されているかまたは挿入される(例えばそれは天然の遺伝子のものとは異なる位置で挿入されるかまたはその挿入がノックアウトを生じる)。トランスジーンはエピソームの形態でも細胞に存在し得る。トランスジーンは、選択した核酸の最適な発現に必須であってよい1またはそれ以上の転写調節配列および任意の他の核酸、例えばイントロンを包含し得る。
【0067】
「トランスジェニック動物」は、任意の動物、好ましくは、ヒトでない哺乳類、鳥類または両生類を言い、ここで、該動物の1またはそれ以上の細胞は、当該分野でよく知られたトランスジェニック技法のような人為的介入により導入される異種核酸を含む。該核酸は、マイクロインジェクションまたは組換えウィルス感染のような意図的な遺伝子操作により、前駆細胞への導入によって直接的または間接的に細胞へ導入される。用語「遺伝子操作」は伝統的な交雑またはインビトロ受精を含まず、むしろ組換えDNA分子の導入を言う。この分子は染色体内に組み込まれてもよく、または染色体外で複製するDNAであってよい。本明細書に記載する典型的なトランスジェニック動物において、トランスジーンは一のIL−1ポリペプチドの一の組換え形態、例えば、アゴニストまたはアンタゴニストの形態を発現するように細胞を惹起する。しかしながら、例えば、以下に記載するFLPまたはCREリコンビナーゼ依存のコンストラクトのように、組換え遺伝子がサイレントなトランスジェニック動物も熟慮される。さらに「トランスジェニック動物」は、1またはそれ以上の遺伝子の遺伝子破壊が、組換えおよびアンチセンス技法を両方含む人為的介入により惹起される、組換え動物も包含する。該用語は全ての後代世代を含むことが意図される。故に、初代動物およびFl、F2、F3などのその全ての後代が含まれる。
【0068】
本明細書中、用語「処置」は、状態または疾患の少なくとも一の徴候の治療および改善を包含することが意図される。
【0069】
用語「ベクター」は、連結された別の核酸を運び得る核酸分子を言う。好ましいベクターの一の類型は、エピソーム、すなわち染色体外での複製能力を有する核酸である。好ましいベクターは、自己複製能力および/または連結された核酸を発現する能力を有するものである。本明細書中、作動可能に連結された遺伝子の発現をもたらし得るベクターを「発現ベクター」と言う。一般に、組換えDNA技法において有用な発現ベクターは、多くの場合「プラスミド」の形態であり、該用語は、一般的には、ベクター形態では染色体に結合されない環状2本鎖DNAを言う。本明細書中、プラスミドに関して同義的に用いられる「プラスミド」および「ベクター」は、最も一般的に用いられるベクター形態である。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たしかつ当該分野において今後知られることとなる前記した発現ベクターの他の形態を包含することが意図される。
【0070】
用語「野生型対立遺伝子」は、対象中に2コピーある場合に野生型の表現型を生じる、一の遺伝子の対立遺伝子を言う。特定の遺伝子には幾つかの異なる野生型対立遺伝子が存在し得、というのも、ある遺伝子における特定のヌクレオチド変化が、ヌクレオチド変化した遺伝子を2コピー有する対象の表現型に作用するとは限らないからである。
【0071】
予測医学
IL−2対立遺伝子およびハプロタイプの同定
本発明は、少なくとも一つには、骨減少、骨折危険性または骨粗鬆症の他の指標に(統計的に有意な程度に)関連があると決定されている特定の対立遺伝子の同定に基づく。故に、この対立遺伝子の検出は、対象が骨粗鬆症を発症しているかまたはその素因を有することを示し得る。しかしながら、これらの対立遺伝子は他の対立遺伝子と連鎖不平衡にあるので、連鎖した他の対立遺伝子の検出も、対象が特定の疾患または状態を発症しているかまたはその素因を有することを示し得る。例えば、44112332ハプロタイプは以下の遺伝子型:
【表1】


を含んでなる。
【0072】
IL−1RNにある別のエクソン(遺伝子産物の細胞内形態を生じるエクソンlic)における3つの他の多型もIL−1RN(VNTR)にある対立遺伝子2と連鎖不平衡にある(Clayら(1996)Hum Genet 97:723−26)。これらは:IL−1RNにあるエクソンlic(1812)(GenBank:X77090、1812年);IL−1RNにあるエクソンlic(1868)の多型(GenBank:X77090、1868年);およびIL−1RNのエクソンlic(1887)の多型(GenBank:X77090、1887年)を含む。さらに、選択的にスプライシングされた、遺伝子の細胞内形態のプロモーターにおける別の多型である、Pic多型(1731)(GenBank:X77090、1731年)もIL−1RN(VNTR)多型遺伝子座にある対立遺伝子2と連鎖不平衡にある。これらの多型遺伝子座の各々に関して、対立遺伝子2の配列変異体はIL−1RN(VNTR)遺伝子座にある対立遺伝子2と連鎖不平衡にあることが決定されている(Clayら(1996)Hum Genet 97:723−26)。
【0073】
33221461ハプロタイプは以下の遺伝子型:
【表2】


を含む。
【0074】
典型的に、44112332ハプロタイプを有する個人は刺激によりIL−lαおよびIL−lβ蛋白質の両方を過剰産生する。一方、33221461ハプロタイプを有する個人は典型的にIL−lraの産生不足である。各ハプロタイプは正味の炎症誘発性応答をもたらす。ハプロタイプ内にある各対立遺伝子は一の効果ならびに複合の遺伝子型効果を有してもよい。加えて、特定疾患は両ハプロタイプパターンに関連していてもよい。
【0075】
上記した対立遺伝子パターンに加えて、本明細書の記載に従って当業者は骨粗鬆症に関連する対立遺伝子と連鎖不平衡にある他の対立遺伝子(多型および突然変異を含む)を容易に同定し得る。例えば、骨粗鬆症でない対象(第1群)に由来する核酸試料ならびに該疾患の対象(第2群)に由来するDNAを採取し得る。ついで核酸試料は比較され得、第1群と比べて第2群において過剰に示される対立遺伝子が同定され得、ここで、かかる対立遺伝子は恐らく骨粗鬆症に関連している。或いは、骨粗鬆症に関連する一の対立遺伝子と連鎖不平衡にある対立遺伝子が、例えば大集団の遺伝子型同定および統計解析を行うことにより同定され得、どの対立遺伝子が予想よりも高頻度で一緒に出現するかが決定される。好ましくは、群は遺伝的に関係のある個人から成り立つように選択される。遺伝的に関係のある個人は同じ人種、同じ民族またはさらには同じ家系に由来する個人を包含する。対照群および試験群の間の遺伝的関連性の度合いが増大する程、疾患を惹起する対立遺伝子とより離れて連鎖している多型対立遺伝子の予測値も増大する。
【0076】
これは、初代集団において染色体と連鎖している多型が遺伝子交差事象を介して再分配し得る程には進化時間が経過していないためである。故に、人種特異的、民族特異的およびさらには家系特異的な診断的遺伝子型同定アッセイは、例えば主たるヒト種への分岐後、ヒト集団から別々の民族集団への分岐後およびさらには特定家系の最近の家族歴においてごく最近になってヒト進化において生じた、疾患対立遺伝子の検出を可能にするために開発され得る。
【0077】
2つの多型マーカーの間または1つの多型マーカーと疾患を惹起する突然変異の間の連鎖不平衡は準安定状態である。選択圧または内在する突然変異事象の散発性に関連する再発がないので、該多型は染色体の組換え事象と最終的には関係がなくなり、それ故にヒト進化を通して連鎖平衡に達するだろう。故に、一の疾患または状態と連鎖不平衡にある多型対立遺伝子を見出す可能性は、少なくとも2つの因子における変化、すなわち多型マーカーと疾患を惹起する突然変異の間の物理的距離の減少、および連鎖した対を分離し得る減数分裂期世代数の減少と共に増大してもよい。
【0078】
後者の因子の考察により、2個人がより密接に関連する程、これらは共通の親染色体または連鎖した多型を含む染色体領域を共有しやすくなり、そしてこの連鎖した対は各世代で生じる減数分裂期交差事象を通して離れにくくなるだろうことが示唆される。結果として、2個人がより密接に関連する程遠く離れた多型が一緒に遺伝されやすくなるだろう。故に、共通の種、民族的または家系的に関連する個人について、さらにより遠く離れた多型遺伝子座への信頼性は、連鎖した、疾患を惹起する突然変異の遺伝の指標として信用できるものである。
【0079】
適切なプローブは、IL−1A、IL−IBもしくはIL−1RNなどのIL−1遺伝子座の特定遺伝子または関連する遺伝子へハイブリダイズするように設計されてもよい。これらのゲノムDNA配列がそれぞれ図3、4および5に示され、さらに、それぞれ配列番号1、2および3に相当する。或いは、これらのプローブは、遺伝子間配列を含む適切なゲノム遺伝子座の他の領域を含んでもよい。実際、ヒト2番染色体のIL−1領域は約400、000塩基対に及び、平均で1,000塩基対に1個の一塩基多型があると仮定すると、その遺伝子座だけで約400SNPを含むこととなる。しかし、本発明に使用可能な他の多型は様々な供給元から得られ得る。例えばヒトゲノムデータベースは配列により検索可能な遺伝子間SNPを収集しており、現在約2,700の登録を有する(http://hgbase.interactiva.de)。Massachusetts Institute of Technologyにより維持管理されているヒト多型データベースも利用できる(MIT SNP database(http://www.genome.wi.mit.edu/SNP/human/index.html))。かかる供給元からSNPならびに他のヒト多型が見出されてもよい。
【0080】
例えば、これらのデータベースの任意の1つにおけるヒトゲノムのIL−1領域を調べることにより、IL−1遺伝子座にある遺伝子はセントロメア側の多型マーカー(127.4cMにある選定されたマイクロサテライトマーカーAFM220ze3)(centiMorgans)(GenBankアクセッション番号Z17008を参照のこと)および遠位側の多型マーカー(127.9cMにある選定されたマイクロサテライトアンカーマーカーAFM087xal)(GenBankアクセッション番号Z16545を参照のこと)と隣接することが明らかになる。これらのヒト多型遺伝子座はいずれもCAジヌクレオチド反復マイクロサテライト多型であり、そしてそれ自体がヒト集団において高いヘテロ接合性を示す。例えばAFM220ze3の一の対立遺伝子は配列
【表3】

で示される5’プライマーおよび配列
【表4】

で示される3’プライマーを用いて211bpのPCR増幅産物を生じる。
【0081】
さらにAFM087xalの一の対立遺伝子は配列
【表5】

で示される5’プライマーおよび配列
【表6】

で示される3’プライマーを用いて177bpのPCR増幅産物を生じる。これらのヒト2番染色体のCAジヌクレオチド反復多型に対して5’および3’末端を生じる特有配列に対応する均等なプライマーは当業者に明らかであろう。適切な均等なプライマーは、選定されたプライマーの約1kb以内にハイブリダイズし、そしてさらに約17bpないし約27bpの任意の長さのものを含む。特有のヒト染色体ゲノム配列を増幅するためのプライマー設計のための一般的なガイドラインは少なくとも約50℃の融解温度を有することであり、ここで、おおよその融解温度は、式
融解=[2×(AまたはTの数)+4×(GまたはCの数)]
を用いて見積もられ得る。
【0082】
多数の他のヒト多型遺伝子座はこれら2つのCAジヌクレオチド反復多型の間に存在し、そして一の家系または他の遺伝的に関係する群において予測的な対立遺伝子を決定するためのさらなる標的を提供する。例えば、the National Center for Biotechnology Informationのウェブサイト(www.ncbi.nlm.nih.gov/genemap/)は、IL−1遺伝子座の領域における多数の多型マーカーを載せており、そしてこれらのマーカーの増幅および分析のための適切なプライマーを設計する際のガイドラインを提供している。
【0083】
従って本発明のヌクレオチドセグメントは、ヒト染色体(2q 12−13)またはその領域由来のcDNAの相補的な伸長により二本鎖分子を選択的に形成する能力、またはこの領域由来のDNAまたはcDNAの増幅のためのプライマーとなる能力が利用されてもよい。この目的のための適切なプローブの設計は多数の因子の検討を要する。例えば10、15または18ヌクレオチドないし約20または約30ヌクレオチドの長さのフラグメントは特に有用であろう。より長い配列、例えば40、50、80、90、100ないしさらには全長は特定の実施態様についてさらにより好ましい。少なくとも約18ないし20ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドは、分子プローブとして有用であるような十分に特異的なハイブリダイゼーションを可能とするのに十分であると、当業者に十分に容認されている。さらに、想定した用途に依存して、標的配列へのプローブの選択性を様々な程度に変化させるために、様々なハイブリダイゼーション条件が所望により用いられるだろう。高い選択性を要する用途のために、典型的には、ハイブリッド形成のために比較的ストリンジェントな条件が所望により用いられるだろう。例えば、比較的低塩および/または高温条件、例えば、約50℃ないし約70℃の温度、0.02M−0.15M NaClにより提供される。かかる特異的な条件は、プローブおよび鋳型または標的鎖の間に何らかのミスマッチがある場合に、それをほとんど許さないかもしれない。
【0084】
他の対立遺伝子または疾患の他の指標、例えば、血管壁の厚さ(例えば、超音波により測定されるような)または対象が喫煙するか、飲酒するか、肥満か、ストレスを受けているか、運動しているかどうかの特定は、上記した対立遺伝子の検出と合わせて、対象において検出またはモニターされ得る。
【0085】
対立遺伝子の検出
多数の方法がヒト多型遺伝子座における特定の対立遺伝子を検出するために利用できる。特定の多型対立遺伝子を検出するための好ましい方法は、一部には、多型の分子的性質に依存するだろう。例えば、多型遺伝子座の様々な対立遺伝子形態は、DNAの一塩基対が異なってもよい。かかる一塩基多型(またはSNPs)は、全ての知られている多型の約80%を含んでなる遺伝子バリエーションに主に寄与しており、またヒトゲノムにおけるその密度は平均で1,000塩基対あたり1塩基対と見積もられる。SNPsは、わずか2つの異なる形態にある2つの対立遺伝子を最も頻繁に生じる(理論上は、DNAで生じる4つの異なるヌクレオチド塩基に対応して最大4つの異なる形態にあるSNPが可能であるが)。それにも関わらずSNPsは他の多型より変異的により安定であり、マーカーおよび未知の変異体の間の連鎖不平衡が疾患を惹起する突然変異をマッピングするために用いられる関連研究に適合したものである。加えて、SNPsは典型的にわずか2つの対立遺伝子しか有さないので、それらは長さ測定よりもむしろ簡単なプラス/マイナスアッセイにより遺伝子型を同定され得、より自動化に適合される。
【0086】
様々な方法が、個人における特定の一塩基多型対立遺伝子の存在を検出するために利用できる。この分野の発達により、正確、簡便かつ安価な大規模SNP遺伝子型同定が提供されている。例えばごく最近ではダイナミック対立遺伝子−特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、マイクロプレートアレイ対角線ゲル電気泳動(MADGE)、パイロシークエンス、オリゴヌクレオチド−特異的ライゲーション、TaqManシステムおよびAffymetrix SNPチップなどの様々なDNA「チップ」技法を含む、幾つかの新規技法が記載されている。これらの方法は標的遺伝子領域の増幅(典型的にはPCRによる)を必要とする。さらに、侵入的開裂(invasive cleavage)、続く質量分析またはpadlockプローブの固定およびローリングサークル増幅(RCA)による小さなシグナル分子産生に基づく他の新しく開発された方法により、最終的にPCRの必要がなくなるかもしれない。特定の一塩基多型の検出のために当該分野で知られている幾つかの方法を以下にまとめる。本発明の方法は利用できる全ての方法を包含することが理解される。
【0087】
幾つかの方法が一塩基多型の解析を促進するために開発されてきた。一の実施態様において、一塩基多型は例えばMundy,C.R.(米国特許第4,656,127号)にて開示されているように、特殊な、エキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドにより検出され得る。該方法に従い、多型部位の3’に近接する対立遺伝子配列に相補的なプライマーは、特定の動物またはヒトより得られた標的分子とハイブリダイズしてもよい。標的分子上の多型部位が、存在する、特定のエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド誘導体に相補的な一のヌクレオチドを含むならば、その誘導体はハイブリダイズしたプライマーの末端へ組み込まれるだろう。かかる組み込みはプライマーにエキソヌクレアーゼ耐性を与え、それにより検出が可能となる。試料中のエキソヌクレアーゼ耐性誘導体の同定は知られているので、プライマーがエキソヌクレアーゼ耐性を有したという知見により、標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドが反応で用いられるヌクレオチド誘導体と相補的であることが明かになる。この方法は,大量の、関係のない配列データを判定する必要がないという利点を有する。
【0088】
本発明の別の実施態様において、溶液に基づく方法が多型部位のヌクレオチドの同一性を決定するために用いられる。Cohen,Dら(仏特許第2,650,840号;PCT出願番号WO 91/02087)を参照のこと。Mundyの方法(米国特許第4,656,127号)においてのように、多型部位の3’に近接する対立遺伝子配列に相補的な一のプライマーが用いられる。この方法は、標識されたジデオキシヌクレオチド誘導体(もし多型部位のヌクレオチドに相補的ならば、プライマー末端に組み込まれるだろう)を用いて該部位のヌクレオチドの同一性を決定する。
【0089】
Genetic Bit AnalysisまたはGBA(登録商標)として知られている別法が、Goelet,Pら(PCT出願番号92/15712)により記載されている。Goelet,Pらの方法は、標識ターミネーターおよび多型部位の3’配列に相補的なプライマーの混合物を用いる。故に、組み込まれる標識ターミネーターは、評価される標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドにより決定され、そして、それと相補的である。Cohenらの方法(仏特許第2,650,840号;PCT出願番号WO 91/02087)と対照的に、Goelet,Pらの方法は、好ましくは、プライマーまたは標的分子が固相に固定されている不均一系アッセイ(heterogeneous phase assay)である。
【0090】
最近では、DNAの多型部位をアッセイするための、プライマーに誘導されるヌクレオチド組み込み操作が幾つか記載されている(Komher,J.Sら,Nucl.Acids.Res.17:7779−7784(1989);Sokolov,B.P.,Nucl.Acids Res.18:3671(1990);Syvanen,A.−Cら,Genomics 8:684−692(1990);Kuppuswamy,M.Nら,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)88:1143−1147(1991);Prezant,T.Rら,Hum.Mutat.1:159−164(1992);Ugozzoli,Lら,GATA 9:107−112(1992);Nyren,Pら,Anal.Biochem.208:171−175(1993))。これらの方法は、多型部位における塩基を区別するために標識デオキシヌクレオチドの組み込みに全面的に依存しているという点で、GBA(登録商標)と異なる。かかる形式ではシグナルは組み込まれたデオキシヌクレオチドの数に比例するので、同一のヌクレオチドの並びに生じる多型はその長さに比例するシグナルを生じ得る(Syvanen,A.−Cら,Amer.J.Hum.Genet.52:46−59(1993))。
【0091】
蛋白翻訳の未成熟な終結をもたらす突然変異のために、蛋白質切断試験(PTT)は有効な診断アプローチを提供する(Roestら(1993)Hum.Mol.Genet.2:1719−21;van der Luijtら(1994)Genomics20:1−4)。PTTでは、まずRNAが利用可能な組織から単離され、そして逆転写され、さらに目的のセグメントをPCRにより増幅する。ついで逆転写PCR産物を、RNAポリメラーゼプロモーターおよび真核生物翻訳開始配列を含むプライマーと共に、ネストPCR増幅の鋳型として用いる。目的領域の増幅後、プライマーに組み込まれた特有のモチーフにより、続くインビトロでのPCR産物の転写および翻訳が可能になる。翻訳産物のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動における、切断されたポリペプチドの出現は、翻訳の未成熟な終結を惹起する突然変異の存在を知らしめる。この技法の変形において、目的の標的領域が単一のエクソンに由来する場合には、DNA(RNAに対して)がPCR用鋳型として用いられる。
【0092】
任意の細胞型または組織が、本明細書に記載する診断用途のための核酸試料を得るために利用されてもよい。好ましい実施態様において、DNA試料は、例えば、知られている技法(例えば静脈穿刺)により得られる血液または唾液などの体液から得られる。或いは、核酸の試験は乾燥試料(例えば髪または皮膚)にて実施され得る。RNAまたは蛋白質が用いられる場合には、利用されてもよい細胞または組織はIL−1遺伝子を発現している必要がある。
【0093】
核酸精製が必要でなくなるように、生検または切除により得られた患者組織の組織断片(固定および/または凍結)についてin situで診断的な操作を直接行ってもよい。核酸試薬はかかるin situにおける操作のためのプローブおよび/またはプライマーとして用いられてもよい(例えば、Nuovo,G.J.,1992,PCR in situ hybridization:protocols and applications,Raven Press,NYを参照のこと)。
【0094】
一の核酸配列の検出を主に目的とする方法に加えて、かかる検出法において、プロファイルも評価されてよい。フィンガープリントのプロファイルは、例えばディファレンシャルディスプレイ操作、ノーザン分析および/またはRT−PCRを利用することによりもたらされてよい。
【0095】
好ましい検出方法は対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションであり、これは、IL−1の炎症誘発性ハプロタイプの少なくとも1つの対立遺伝子と重複し、かつ突然変異または多型領域周辺において約5、10、20、25または30ヌクレオチドを有するプローブを用いる。本発明の好ましい実施態様において、骨粗鬆症に関与する他の対立遺伝子変異体に特異的にハイブリダイズし得る幾つかのプローブは、例えば「チップ」などの固体相支持体(約250,000オリゴヌクレオチドまで保持し得る)へ付着される。オリゴヌクレオチドは、リソグラフィーを含む様々な方法により固体支持体へ結合され得る。オリゴヌクレオチドを含むこれらのチップを用いる突然変異検出分析は「DNAプローブアレイ」とも言われ、例えばCroninら(1996)Human Mutation 7:244に記載されている。一の実施態様において、チップは、遺伝子の少なくとも1つの多型領域における全ての対立遺伝子変異体を含む。ついで、固体相支持体は試験用核酸に接触され、そして特異的なプローブへのハイブリダイゼーションが検出される。従って、1またはそれ以上の遺伝子の様々な対立遺伝子変異体の同一性が、簡単なハイブリダイゼーション試験で決定され得る。
【0096】
これらの技法は分析前に核酸を増幅する工程も含んでもよい。増幅技法は当業者に知られており、クローニング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、対立遺伝子特異的ポリメラーゼ連鎖反応(ASA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ネストポリメラーゼ連鎖反応、自己保持配列複製(Guatelli,J.Cら,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878)、転写増幅システム(Kwoh,D.Yら,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177)およびQ−ベータ レプリカーゼ(Lizardi,P.Mら,1988,Bio/Technology 6:1197)を包含するが、これらに限定されない。
【0097】
増幅産物は様々な方法にてアッセイされてもよく、該方法はサイズ分析、サイズ分析前の制限酵素切断、反応産物中の特異的な標識オリゴヌクレオチドプライマーの検出、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的5’エキソヌクレアーゼ検出、シークエンス、ハイブリダイゼーションなどを含む。
【0098】
PCRに基づく検出手段は、同時の、複数のマーカーのマルチプレックス増幅を包含しうる。例えばサイズが重複せず、かつ同時に分析され得るPCR産物を生じるPCRプライマーの選択は当業者に十分に知られている。或いは特異的に標識され、それ故に各々が特異的に検出され得るプライマーを用いて異なるマーカーを増幅することが可能である。もちろん、ハイブリダイゼーションに基づく検出手段により、試料中の複数のPCR産物が特異的に検出され得る。複数のマーカーのマルチプレックス分析を可能にするための他の技法は当業者に知られている。
【0099】
単なる説明的な実施態様において、この方法は(i)患者から細胞試料を採取し、(ii)試料細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたはその両方)を単離し、(iii)核酸試料を1またはそれ以上のプライマーに接触させ、ここに該プライマーは、対立遺伝子のハイブリダイゼーションおよび増幅が生じる条件下にて、IL−1の炎症誘発性ハプロタイプの少なくとも1つの対立遺伝子の5’および3’へ特異的にハイブリダイズし、および(iv)増幅産物を検出する工程を含む。これらの検出法は、分子が非常に少量である場合の核酸分子の検出に特に有用である。
【0100】
本アッセイの好ましい実施態様において、IL−1の炎症誘発性ハプロタイプの対立遺伝子は制限酵素切断パターンの変化により同定される。例えば、試料および対照のDNAは単離され、増幅され(所望により)、1またはそれ以上の制限エンドヌクレアーゼで消化され、そしてフラグメントサイズがゲル電気泳動により決定される。
【0101】
さらなる別の実施態様において、任意の、当該分野にて知られている様々なシークエンス反応は、対立遺伝子を直接シークエンスするために用いられ得る。典型的なシークエンス反応は、MaximおよびGilbert((1977)Proc.Natl Acad Sci USA 74:560)またはSanger(Sangerら(1977)Proc.Nat.Acad.Sci USA 74:5463)により開発された技法に基づくものを含む。任意の、様々な自動化シークエンス操作は、質量分析によるシークエンス(例えば、PCT公報 WO 94/16101;Cohenら(1996)Adv Chromatogr 36:127−162;およびGriffinら(1993)Appl Biochem Biotechnol 38:147−159)を参照のこと)を含む、本アッセイを行う場合に利用されてもよいことも熟慮される(例えばBiotechniques(1995)19:448を参照のこと)。特定の実施態様について、1、2または3個の核酸塩基のみがシークエンス反応において決定される必要があることは、当業者に明かであろう。例えば、わずか一の核酸が検出される場合などに、A−トラックまたはそれと同様のものが実施され得る。
【0102】
さらなる実施態様において、分解剤(例えば、ヌクレアーゼ、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムなど、かつピペリジンと併用)からの保護が、RNA/RNAまたはRNA/DNAまたはDNA/DNAヘテロ二本鎖におけるミスマッチ塩基を検出するために用いられ得る(Myersら(1985)Science 230:1242)。一般に、「ミスマッチ分解」の技法は、試料と一緒に野生型対立遺伝子を含む(標識された)RNAまたはDNAをハイブリダイズすることにより形成されるヘテロ二本鎖を提供することにより開始する。二本鎖は、例えば、対照および試料の鎖の間の塩基対ミスマッチに起因して存在するなどの、二本鎖の一本鎖領域を分解する剤で処理される。例えば、酵素的にミスマッチ領域を消化するために、RNA/DNA二本鎖はRNaseで処理され得、およびDNA/DNAハイブリッドはS1ヌクレアーゼで処理され得る。他の実施態様において、DNA/DNAまたはRNA/DNA二本鎖は、ミスマッチ領域を消化するために、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムおよびピペリジンで処理され得る。ミスマッチ領域の消化後、得られた物質は変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズ分離され、突然変異部位を決定する。例えば、Cottonら(1988)Proc.Natl Acad Sci USA 85:4397;およびSaleebaら(1992)Methods Enzymol.217:286−295を参照のこと。好ましい実施態様において、対照DNAまたはRNAは検出のために標識され得る。
【0103】
さらなる別の実施態様において、ミスマッチ分解反応は、二本鎖DNAにおけるミスマッチ塩基対を認識する1またはそれ以上の蛋白質(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を用いる。例えば、大腸菌(E.Coli)の酵素mutYはG/AミスマッチにおいてAを分解し、およびHeLa細胞由来のチミジンDNAグリコシラーゼはG/TミスマッチにおいてTを分解する(Hsuら(1994)Carcinogenesis 15:1657−1662)。典型的な実施態様によると、IL−1遺伝子座のハプロタイプの対立遺伝子に基づくプローブは、試験細胞由来のcDNAまたは他のDNA産物にハイブリダイズする。二本鎖はDNAミスマッチ修復酵素で処理され、また必要に応じて、この分解産物は電気泳動法またはそれと同様のものから検出され得る。例えば、米国特許第5,459,039号を参照のこと。
【0104】
他の実施態様において、電気泳動移動度における変化が、IL−1遺伝子座の対立遺伝子を同定するために用いられるだろう。例えば一本鎖高次構造多型(SSCP)が、突然変異と野生型核酸の間の電気泳動移動度における差を検出するために用いられてもよい(Oritaら(1989)Proc Natl.Acad.Sci USA 86:2766、Cotton(1993)Mutat Res 285:125−144;およびHayashi(1992)Genet Anal Tech Appl 9:73−79を参照のこと)。試料および対照のIL−1遺伝子座の対立遺伝子の一本鎖DANフラグメントは変性され、そして復元され得る。一本鎖核酸の二次構造は配列に従い多様であり、得られた電気泳動移動度における変化により、一塩基の変化までも検出可能となる。DNAフラグメントは標識プローブで標識または検出されてもよい。アッセイ感度はDNAよりもむしろRNA(その二次構造は配列における変化に対してより敏感である)を用いることにより高められてもよい。好ましい実施態様において、本方法はヘテロ二本鎖分析を利用し、電気泳動移動度における変化に基づいてヘテロ二本鎖分子を分離する(Keenら(1991)Trends Genet 7:5)。
【0105】
さらなる別の実施態様において、濃度勾配のついた変性剤含有のポリアクリルアミドゲルにおける対立遺伝子の移動が、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)を用いてアッセイされる(Myersら(1985)Nature 313:495を参照のこと)。DGGEが分析方法として用いられる場合には、例えば、高融点のGCリッチなDNAのGCクランプ(約40bp)を、PCRにより付加することにより、DNAは完全な変性を防ぐために修飾されるだろう。さらなる実施態様において、温度勾配が変性剤濃度勾配の代わりに用いられ、対照および試料DNAの移動度における差を同定する(RosenbaumおよびReissner(1987)Biophys Chem 265:12753)。
【0106】
対立遺伝子を検出するための他の技法の例は、特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、特異的増幅または特異的プライマー伸長を包含するが、これらに限定されない。例えばオリゴヌクレオチドプライマーが調製されてもよく、ここで、既知の突然変異またはヌクレオチド差異(例えば対立遺伝子変異体)が中心にセットされ、ついで、完全なマッチが見出される場合に限りハイブリダイゼーションが許容される条件下で、標的DNAにハイブリダイズされる(Saikiら(1986)Nature 324:163);Saikiら(1989)Proc.Natl Acad.Sci USA 86:6230)。かかる対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション技法は、オリゴヌクレオチドがPCR増幅された標的DNAへハイブリダイズする場合には、一反応当たり一の突然変異または多型領域を、或いはオリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーションメンブレンへ結合させられ、標識標的DNAへハイブリダイズされる場合には、多数の異なる突然変異または多型領域を、試験するために用いられてもよい。
【0107】
或いは、特異的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技法が、本発明と一緒に用いられてもよい。特定の増幅のためのプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドは、その分子の中心(増幅がディファレンシャルハイブリダイゼーションに依存するように)(Gibbsら(1989)Nucleic Acids Res.17:2437−2448)または一のプライマーの3’末端(適切な条件の下では、ミスマッチがポリメラーゼ伸長を防止または減じる)において目的の突然変異または多型領域を持っていてもよい(Prossner(1993)Tibtech 11:238)。加えて、所望により、突然変異領域に新しい制限部位を導入し、分解に基づく検出を行ってもよい(Gaspariniら(1992)Mol.Cell Probes 6:1)。特定の実施態様において、増幅は増幅用Taqリガーゼを用いて行われてもよいことが期待される(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci USA 88:189)。かかる場合において、配列の5’と3’末端が完全にマッチする場合に限りライゲーションが生じ、増幅の存在または不在を探すことにより特定部位における既知の突然変異の存在を検出し得るだろう。
【0108】
別の実施態様において、対立遺伝子変異体の同定はオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)を用いて行われ、例えば、米国特許第4,998,617号およびLandegren,Uら((1988)Science 241:1077−1080)に記載されている。OLA法は、標的の一本鎖隣接配列へハイブリダイズし得るように設計された2つのオリゴヌクレオチドを用いる。オリゴヌクレオチドの一方は、分離マーカー(例えば、ビオチン標識された)に連結され、他方は検出可能に標識されている。正確な相補配列が標的分子中に見出されるならば、オリゴヌクレオチドは末端が隣接するようにハイブリダイズし、そしてライゲーションの基質を生じるだろう。ついで、ライゲーションにより、標識オリゴヌクレオチドがアビジンまたは別のビオチンリガンドを用いて回収され得る。Nickerson,D.Aらは、PCRおよびOLAの特性を組み合わせた核酸検出アッセイを記載している(Nickerson,D.A.ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:8923−27)。この方法において、PCRは標的DNAの指数関数的な増幅を達成するために用いられ、ついでOLAを用いて検出される。
【0109】
このOLA法に基づく幾つかの技法が開発されており、そしてIL−1遺伝子座ハプロタイプの対立遺伝子を検出するために用いられ得る。例えば、米国特許第5,593,826号は、ホスホロアミダート結合を有するコンジュゲートを形成するために、3’にアミノ基を有するオリゴヌクレオチドおよび5’がリン酸化されたオリゴヌクレオチドを用いるOLAを開示している。Tobeらが記載((1996)Nucleic Acids Res 24:3728)した、OLAの別のバリエーションにおいて、PCRと組み合わせたOLAは単一のマイクロタイターウェル中の2つの対立遺伝子を分類し得る。対立遺伝子−特異的プライマーのそれぞれを特有のハプテン、すなわち、ジゴキシゲニンおよびフルオレセインで標識することにより、各OLA反応は、異なるレポーター酵素、アルカリホスファターゼまたは西洋わさびペルオキシダーゼで標識されたハプテン特異的抗体を用いることにより検出され得る。このシステムにより、2つの異なる色を生じるハイスループット形式を用いて2つの対立遺伝子の検出が可能となる。
【0110】
本発明の別の実施態様は、骨粗鬆症の発症の素因を検出するためのキットに関する。このキットは、IL−1遺伝子座ハプロタイプの少なくとも1つの対立遺伝子の5’および3’へハイブリダイズする5’および3’オリゴヌクレオチドを含む、1またはそれ以上のオリゴヌクレオチドを含んでもよい。PCR増幅用オリゴヌクレオチドは、続く分析に都合のよいサイズのPCR産物を生じるために、25ないし2500塩基対離れて、好ましくは、約100ないし約500塩基離れてハイブリダイズすべきである。
【0111】
本発明の診断方法において用いるための特に好ましいプライマーは、配列番号1−7を包含する。
【0112】
本発明の方法による、IL−1多型対立遺伝子の増幅および検出において用いるためのさらなるオリゴヌクレオチドの設計は、ヒトIL−1遺伝子座を含むヒト染色体2ql3由来の最新の配列情報およびこの遺伝子座に有用である最新のヒト多型情報の両方が利用できることにより促進される。例えば、IL−1A、IL−1BおよびIL−1RNのDNA配列はそれぞれ、GenBankアクセッション番号X03833 2、GenBankアクセッション番号X0450およびGenBankアクセッション番号X64532に含まれる。これらの遺伝子におけるヒト多型の検出のために適当なプライマーは配列情報およびプライマー配列の設計および最適化のために当業者に知られている標準的な技法を用いることにより容易に設計され得る。かかるプライマー配列の最適な設計は市販のプライマー選択プログラム、例えば、Primer 2.1、Primer 3またはGeneFisherを用いることにより最適化され得る(Nicklin M.H.J.,Weith A.Duff G.W.,“A Physical Map of the Region Encompassing the Human Interleukin−lα,interleukin−lβ,and Interleukin−1 Receptor Antagonist Genes”Genomics 19:382(1995);Nothwang H.G.ら“Molecular Cloning of the Interleukin−1 gene Cluster:Construction of an Integrated YAC/PAC Contig and a partial transcriptional Map in the Region of Chromosome 2ql3”Genomics 41:370(1997);Clarkら(1986)Nucl.Acids.Res.,14:7897−7914[published erratum appears in Nucleic Acids Res.,15:868(1987)and the Genome Database(GDB)project(URL http://www.gdb.org)もまた参照のこと)。
【0113】
キットにおける使用のために、オリゴヌクレオチドは、合成オリゴヌクレオチド、制限酵素断片、cDNAs、合成ペプチド核酸(PNAs)などの、任意の、様々な天然および/または合成組成物であってもよい。このアッセイキットおよび方法はアッセイにおける同定を容易にするために標識オリゴヌクレオチドを用いてもよい。用いられてもよい標識の例は放射標識、酵素、蛍光化合物、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、磁性部分、金属結合部分、抗原または抗体部分などを包含する。
【0114】
所望により、該キットはDNAサンプリング手段も含んでよい。DNAサンプリング手段は当業者によく知られており、そして、濾紙、AmpliCard(登録商標)(University of Sheffield,Sheffield,England S10 2JF;Tarlow,JWら,J.of Invest.Dermatol.103:387−389(1994))などの支持体;Nucleon(登録商標)キット、溶解バッファー、プロテイナーゼ溶液などのDNA精製用試薬;反応バッファー(lO×)、耐熱性ポリメラーゼ、dNTPsなどのPCR試薬;およびHinfI制限酵素、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド、乾燥した血液由来のネストPCR用変性オリゴヌクレオチドプライマーなどの対立遺伝子検出手段を包含し得るが、これらに限定されない。
【0115】
薬理ゲノミクス
単独、または同じ状態に寄与する他の遺伝子欠失情報と併せての、骨粗鬆症の発症感受性に関連する特定の対立遺伝子に対する知見により、個人の遺伝特性に従うオーダーメイドの予防または処置が可能になり、これが「薬理ゲノミクス」の目標である。故に、個人のIL−1特性を骨粗鬆症に関する集団特性と比較することにより、安全かつ特定の患者または患者集団(すなわち、同一の遺伝的変異を有する患者群)に有効であると期待される薬剤または他の治療計画が選択または設計され得る。
【0116】
加えて、遺伝子特性に基づいて、最高の臨床メリットを示すことが期待される集団を対象とできる能力により:1)市販薬のリ・ポジショニング;2)患者サブグループに特異的な、安全性または有効性の限界のために、臨床開発が中断されている薬剤候補の救済;および3)治療剤候補およびより最適な薬剤標識の開発の促進および低コスト化が可能になり得る(例えば、原因となる突然変異への様々な用量の薬剤の効果を測定することは、有効量を最適化するために有用であるので)。
【0117】
特定の治療剤での個人の処置は、蛋白質(例えば、IL−lα、IL−1βまたはIL−IRa)、mRNAおよび/または転写レベルを決定することによりモニターされ得る。検出されるレベルに依存して、この治療計画が維持または調整され得る(用量の増大または減少)。好ましい実施態様において、ある剤での対象の処置の効率化は:(i)剤の投与前に対象から投与前試料を得る;(ii)投与前試料における蛋白質、mRNAまたはゲノムDNAのレベルまたは量を検出する;(iii)対象から1またはそれ以上の投与後試料を得る;(iv)投与後試料における蛋白質、mRNAまたはゲノムDNAの発現または活性レベルを検出する;(v)投与前試料における蛋白質、mRNAまたはゲノムDNAの発現または活性レベルを、投与後試料における蛋白質、mRNAまたはゲノムDNAとそれぞれ比較する;および(vi)適宜、対象への剤の投与を変更する、という工程を含んでなる。
【0118】
対象の細胞を、治療剤の投与前または後に得て、IL−1遺伝子以外の遺伝子の発現レベルを検出し、治療剤が心身に有害である可能性のある遺伝子の発現を増大または減少させないことを立証してもよい。これは、例えば転写プロファイル法を用いてなされ得る。故に、インビボにおいて治療剤に曝された細胞由来のmRNAおよび治療剤に曝されていない同じタイプの細胞由来のmRNAが逆転写され、そして多数の遺伝子由来のDNAを含むチップへハイブリダイズされ得、それにより治療剤で処置されたおよび処置されていない細胞の遺伝子発現を比較する。
【0119】
骨粗鬆症治療剤
骨粗鬆症治療剤は、対象において骨粗鬆症の発症を予防もしくは遅延するかまたはその徴候を緩和する任意の剤または治療計画(医薬、栄養補助食品および手術手段を含む)を言う。該薬剤はポリペプチド、ペプチド擬態物、核酸または他の無機もしくは有機分子、好ましくは、「小分子」(ビタミン、ミネラルおよび他の栄養素を含む)であり得る。好ましくは、該治療剤は自然に発生するポリペプチドの効果を強化(アゴニスト)または阻害(アンタゴニスト)することにより、IL−1ポリペプチドの少なくとも一の活性(例えば、受容体との相互作用)を調節し得る。アゴニストは、少なくとも一の野生型の生物活性(例えば、受容体結合活性)を有する野生型蛋白質またはその誘導体であり得る。アゴニストは一の遺伝子の発現をアップレギュレートするか、または蛋白質の少なくとも一の生物活性を増大する化合物でもあり得る。アゴニストはポリペプチドと別の分子(例えば受容体)との相互作用を増大する化合物でもあり得る。アンタゴニストは、蛋白質と別の分子(例えば受容体)との相互作用を阻害または減少する化合物か、またはシグナル伝達または翻訳後プロセシングを遮断する剤(例えば、IL−1変換酵素(ICE)阻害剤)であり得る。従って、好ましいアンタゴニストは、受容体への結合を阻害または減少し、その後の受容体の活性化を遮断する化合物である。アンタゴニストは一の遺伝子の発現をダウンレギュレートするか、存在する蛋白質量を減じる化合物でもあり得る。アンタゴニストは受容体などの標的ペプチドと相互作用し得るが、その受容体の活性化を促進しないポリペプチドの一形態のごとき、ポリペプチドのドミナントネガティブ型であり得る。アンタゴニストは、ポリペプチドのドミナントネガティブ型をコードする核酸、アンチセンス核酸または特にRNAと相互作用し得るリボザイムでもあり得る。しかしながら、他のアンタゴニストは、ポリペプチドと結合し、そしてその作用を阻害する分子である。かかる分子は、生物活性を有さず、そして受容体への結合を阻害する標的ペプチドの形態のごときペプチドを包含する。故に、かかるペプチドは蛋白質の活性部位に結合し、標的ペプチドとの相互作用を阻止する。しかしながら、他のアンタゴニストは、分子のエピトープと特に相互作用し、その結果、結合がポリペプチドの生物学的機能を妨げるものである抗体を包含する。さらなる別の好ましい実施態様において、アンタゴニストは、ポリペプチドと標的受容体との間の相互作用を阻害し得る分子のごとき、小分子である。或いは、小分子は受容体結合部位以外の部位と相互作用することにより、アンタゴニストとして機能し得る。
【0120】
IL−1(例えばIL−lα、IL−1βもしくはIL−1受容体アンタゴニスト)またはIL−1遺伝子と連鎖不平衡にある遺伝子にコードされている蛋白質修飾因子は、蛋白質、ペプチド、ペプチド擬態物、小分子または核酸を含む、任意の型の化合物を包含し得る。好ましいアゴニストは、核酸(例えば、IL−1蛋白質をコードしているか、またはIL−1蛋白質によりアップ−またはダウン−レギュレートされている遺伝子)、蛋白質(例えば、IL−1蛋白質か、またはそれによりアップ−またはダウン−レギュレートされている蛋白質)または小分子(例えば、IL−1蛋白質の発現または結合を調節する)を包含する。好ましいアンタゴニストは、例えば本明細書に記載のアッセイを用いることにより同定され得、核酸(例えば、一本鎖(アンチセンス)または二本鎖(三本鎖)DNAまたはPNAおよびリボザイム)、蛋白質(例えば、抗体)およびIL−1の転写および/または蛋白質活性を抑制または阻害するように作用する小分子を包含する。
【0121】
有効量
かかる化合物の毒性および治療的効果は、例えばLD50(集団の50%を致死させる用量)およびEd50(集団の50%に治療的に有効である用量)を決定するなどの、細胞培養または実験動物における標準的な医薬的手法により決定され得る。毒性および治療的効果の用量比は治療指数であり、比LD50/ED50で示され得る。高い治療指数を示す化合物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物が用いられてもよいが、非感染細胞への潜在的な損傷を最小限にし、それにより副作用を軽減するために、かかる化合物を罹病組織部位へ到達させるデリバリーシステムを設計する際には配慮すべきである。
【0122】
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトに用いるための用量範囲を決定するために用いられ得る。好ましくは、かかる化合物の用量は、毒性をほとんどまたは全く有さないED50を含む、循環濃度の範囲内にある。この用量は、用いられる投与形態および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変化してもよい。本発明の方法において用いられる任意の化合物に関して、治療的な有効量は初め細胞培養アッセイから推定される。細胞培養において決定されるように、用量は、IC50(すなわち、徴候を半分阻害する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度の範囲に達するように、動物モデルにて処方されてもよい。かかる情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために利用され得る。血漿レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定されてもよい。
【0123】
処方および使用
本発明に従い用いるための組成物は、1またはそれ以上の生理学的に許容される担体または賦形剤を用いて、慣用的な様式にて処方されてもよい。故に、化合物およびその生理学的に許容される塩および溶媒和物は、例えば注射、注入もしくは吸入(経口もしくは経鼻)または経口、頬側、非経口または直腸投与による投与のために処方されてもよい。
【0124】
かかる治療のために、本発明の化合物は、全身および局所または局部投与を含む、様々な投与経路のために処方され得る。一般的に、技法および処方は、Remmington’s Pharmaceutical Sciences,Meade Publishing Co.,Easton,PA.にて見出されてもよい。全身投与については、筋肉内、静脈内、腹腔内および皮下を含む注射が好ましい。注射のために、本発明の化合物は、液体溶液、好ましくは、Hank’s溶液またはRinger’s溶液などの生理学的に適合するバッファー中に処方され得る。加えて、化合物は固体形態にて処方され、使用直前に溶解または懸濁されてもよい。凍結乾燥形態も含まれる。
【0125】
経口投与のために、組成物は、結合剤(例えば、予めゼラチン化されたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微細結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬上許容される賦形剤と一緒に、慣用的な手段により調製される、錠剤またはカプセル剤のごとき形態であってもよい。錠剤は当業者によく知られている方法によりコーティングされてもよい。経口投与のための液体調製物は、例えば溶液、シロップまたは懸濁液などの形態であってよく、或いは、使用前に水または他の適当なビヒクルで構成するための乾燥製品として提供されてもよい。かかる液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素添加された食用脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、ationd oil)、油性エステル、エチルアルコールまたは分別植物油);および防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)のごとき医薬上許容される添加剤と一緒に、慣用的な手段により調製されてもよい。必要に応じて、該調製物はバッファー塩、香料、着色剤および甘味剤を含有してもよい。
【0126】
経口投与のための調製物は、有効化合物の放出を制御するように適切に処方されてもよい。頬側投与のために、該組成物は、慣用的な様式にて処方される錠剤またはトローチ剤の形態であってもよい。吸入投与のために、本発明に従い用いられるための化合物は、適当な高圧ガス(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当な気体)を用いることにより、加圧容器またはネブライザーからエアロゾルスプレー形態にて、適切に送達される。加圧されたエアロゾルの場合には、一定量を送達するためのバルブを備えることにより用量単位が決定されてもよい。吸入または粉末吸入に用いるために、該化合物のパウダーミックスおよびラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末基剤を含有するカプセル剤およびカートリッジ(例えばゼラチン)が処方されてもよい。
【0127】
注射、例えば、ボ−ラス注射または連続注入による非経口投与のための化合物が処方されてもよい。注射用処方は、防腐剤が添加された単位投与形態、例えば、アンプルまたは複数回使用のための容器中にて提供されてもよい。該組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンのごとき形態を採用してもよく、さらに懸濁剤、安定化剤および/または分散剤のごとき処方用の剤を含有してもよい。或いは、有効成分は使用前に適当なビヒクル、例えば、パイロジェン不含滅菌水と共に構成するための散剤形態であってもよい。
【0128】
化合物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの慣用的な坐剤の基剤を含む、坐剤または停留浣腸剤などの直腸用組成物に処方されてもよい。
【0129】
前記した処方に加えて、該化合物は徐放性調製物として処方されてもよい。この長時間作用型の処方は、インプラント(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射により投与されてもよい。故に、例えば、該化合物は、適当な重合性または疎水性物質(例えば、許容される油脂中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂と一緒に、或いは難溶性の誘導体(例えば、難溶性塩)として処方されてもよい。他の適切なデリバリーシステムは、薬剤を長時間、非侵襲的に局所送達し得るミクロスフェアを包含する。この技法は、炎症または虚血を惹起することなく任意の選択された部位(例えば、心臓または他の器官)へ冠状動脈カテーテルを介して注射され得る、前毛細血管サイズのミクロスフェアを利用する。投与された治療剤は、このミクロスフェアから徐々に放出され、そして周囲の組織細胞(例えば、内皮細胞)により取り込まれる。
【0130】
全身投与は経粘膜または経皮手段によってもなされ得る。経粘膜または経皮投与のために、バリアへの浸透に適した浸透剤が処方に用いられる。一般的に、かかる浸透剤は当業者に知られており、例えば経粘膜投与のためには、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を包含する。加えて、界面活性剤が浸透促進のために用いられてもよい。経粘膜投与は、経鼻スプレーまたは坐剤によるものであってもよい。局所投与のために、本発明のオリゴマーは軟膏、ゲルまたはクリームに処方され、これは一般的に当業者に知られている。損傷または炎症を処置し、回復を促進するために、洗浄溶液も局所的に用いられ得る。
【0131】
所望により、該組成物は、有効成分を含有する1またはそれ以上の単位投与形態を含んでもよい一のパックまたはディスペンサー装置中にて提供されてもよい。このパックは例えば金属またはプラスチック箔を含んでもよい(例えば、ブリスターパック)。このパックまたはディスペンサー装置には投与についての使用説明書が添付されていてもよい。
【0132】
治療剤同定のためのアッセイ
骨粗鬆症の発症を惹起するまたはそれに寄与する突然変異の同定に基づいて、本発明は、治療剤同定のための、細胞に基づくまたは細胞不含のアッセイをさらに特徴とする。一の実施態様において、細胞膜外表面上で、IL−1受容体またはIL−1遺伝子と連鎖不平衡にある遺伝子によりコードされている蛋白質の受容体を発現する細胞が、試験化合物のみ、または試験化合物および別の蛋白質の存在下でインキュベートされ、ついで試験化合物と受容体または蛋白質(好ましくは、標識蛋白質)と受容体の間の相互作用が、例えばマイクロフィジオメーター(McConnellら(1992)Science 257:1906)を用いることにより検出される。受容体および試験化合物または蛋白質の間の相互作用は、培地酸性化における変化として、マイクロフィジオメーターにより検出される。故に、このアッセイ系は、分子アンタゴニスト(例えば、蛋白−受容体相互作用を妨害する)ならびに分子アゴニスト(例えば、受容体を活性化する)の同定手段を提供する。
【0133】
細胞または細胞不含アッセイは、IL−1遺伝子またはこれと連鎖不平衡にある遺伝子の発現を調節するか、mRNAの翻訳を調節するか、またはmRNAまたは蛋白質の安定性を調節する化合物を同定するためにも用いられ得る。
故に、一の実施態様において、IL−1または他の蛋白質を産生し得る細胞が試験化合物と一緒にインキュベートされ、ついで細胞培地にて産生された蛋白質量が測定され、そして試験化合物と接触されていない細胞から産生されたものと比較される。蛋白質に対する化合物の特異性は、様々な対照分析、例えば、1またはそれ以上の対照の遺伝子発現を測定することにより確認され得る。特にこのアッセイは、アンチセンス、リボザイムおよび三本鎖化合物の効力を決定するために用いられ得る。
【0134】
細胞不含アッセイも、蛋白質と相互作用し得る化合物を同定し、それにより蛋白質の活性を調節するために用いられ得る。例えば、かかる化合物は蛋白質構造を修飾し得、それにより受容体結合能力に作用する。好ましい一の実施態様において、かかる化合物を同定するための細胞不含アッセイは本質的に、結合パートナーの存在または不在下にて、蛋白質および試験化合物または試験化合物のライブラリーを含有する反応混合物中において行われる。試験化合物は例えば、結合パートナーの誘導体、生物学的に不活性である標的ペプチドまたは小分子であり得る。
【0135】
従って、本発明の一の典型的なスクリーニングアッセイは、蛋白質またはその機能フラグメントを試験化合物または試験化合物のライブラリーと接触させ、ついで複合体形成を検出する工程を含む。検出目的のために分子は特定のマーカーで標識され得、そして試験化合物または試験化合物のライブラリーは異なるマーカーで標識され得る。ついで、試験化合物と蛋白質またはそのフラグメントとの相互作用が、インキュベーション工程および洗浄工程後に2つの標識のレベルを検出することにより検出され得る。洗浄工程後の2つの標識の存在は相互作用の指標である。
【0136】
分子間の相互作用も、表面プラズモン共鳴(SPR)、光学的事象を検出するリアルタイムBIA(Biomolecular Interaction Analysis、PharmaciaBiosensor AB)を用いることにより同定され得る。検出は生体分子特異的な界面におけるマクロ分子の質量濃度に依存し、反応体の標識を必要としない。一の実施態様において、試験化合物のライブラリーはセンサー表面(例えば、マイクロフローセルの一壁面)に固定され得る。ついで、蛋白質またはその機能フラグメントを含有する溶液はセンサー表面へ連続的に流される。シグナルレコーディング上に示されるような共鳴角度の変化は、相互作用の存在を示す。この技法は、例えばBIAtechnology Handbook(Pharmacia)にさらに記載されている。
【0137】
本発明の別の典型的なスクリーニングアッセイは、(a)(i)IL−1または他の蛋白質(ii)適切な受容体および(iii)試験化合物を含有する反応混合物を形成し:そしてb)蛋白質と受容体の相互作用を検出する工程を含む。試験化合物不在下での相互作用と比較して、試験化合物存在下での蛋白質と受容体の相互作用における統計的に有意な変化(強化または阻害)は、強力なアンタゴニスト(阻害剤)である。このアッセイの化合物は同時に接触され得る。或いは、初めに蛋白は試験化合物と適当な時間の間、接触され得、その後、受容体が反応混合物へ加えられる。化合物の効力は、様々な濃度の試験化合物を用いて得られたデータから用量応答曲線を作成することによりアッセイされ得る。さらに、対照アッセイも比較のためのベースラインを得るために行われ得る。
【0138】
蛋白質と受容体との複合体形成は、様々な技法により検出されてもよい。複合体形成の調節は、検出可能に標識された蛋白質、例えば、放射標識、蛍光標識または酵素標識された蛋白質もしくは受容体を用いて、イムノアッセイまたはクロマトグラフィー検出により定量化され得る。
【0139】
典型的には、蛋白質または受容体のどちらかを固定し、一方または両方の蛋白質からなる非複合形態から複合体の分離を促進し、ならびにアッセイの自動化に適合させることが望ましいだろう。蛋白質および受容体の結合は、反応物を含むのに適している任意の容器において達成され得る。例は、マイクロタイタープレート、試験管および微量遠心管を含む。一の実施態様において、融合蛋白質が提供され得、これは蛋白質をマトリックスへ結合させ得るドメインを付加したものである。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合蛋白質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical,St.Louis,MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレートへ吸着され得、それはついで35S−標識された受容体などの受容体および試験化合物と一緒にされ、さらに混合物は複合体形成をもたらす条件下、例えば、若干よりストリンジェントな条件が所望されてもよい塩およびpHについての生理的条件下でインキュベートされる。インキュベーション後、ビーズは洗浄され、任意の、結合していない標識は除去され、ついでマトリックスは固定され、複合体が分離した後に、放射レベルが直接的(例えば、シンチラント中に置かれたビーズ)または上清中において測定される。
【0140】
或いは、複合体はマトリックスから分離され、SDS−PAGEにより分離され、ついでビーズフラクション中の蛋白質または受容体レベルが、本実施例に記載のごとき標準的な電気泳動技法を用いてゲルから定量化され得る。蛋白質をマトリックス上に固定するための他の技法も、本アッセイにて使用され得る。例えば蛋白質または受容体は、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合を利用して固定され得る。トランスジェニック動物も、アゴニストおよびアンタゴニストを同定するためか、または治療剤候補の安全性および効力を確認するために作成され得る。本発明のトランスジェニック動物は、適切な内因性プロモーター制御下または異種プロモーター制御下にある、再狭窄の原因となる突然変異を有するヒト以外の動物を包含し得る。
【0141】
トランスジェニック動物は、適切なプロモーターまたはそのフラグメントの制御下にあるレポーター遺伝子などのトランスジーンを有する動物でもあり得る。これらの動物は例えば遺伝子発現の調節などにより、IL−1蛋白質の産生を調節する薬剤を同定するために有用である。ヒト以外のトランスジェニック動物を得るための方法は当業者によく知られている。好ましい実施態様において、原因となる突然変異の発現は、所望のパターンにて発現を制御するシス作用性配列などを利用する、細胞、組織または発生段階の特定のサブセットに限定される。本発明において、蛋白質のかかるモザイク発現は系譜解析の多数の形態において必須であり得、またさらに、他の正常な胚内にある組織の小画分における発達を著しく改変する可能性のある発現レベルなどの効果を評価するための手段を提供し得る。この目的のために、組織特異的な制御配列および条件付の制御配列が用いられ得、特定の空間的なパターンにおける突然変異の発現が制御される。さらに、発現の時間的なパターンは、条件付の組換え系または原核生物の転写制御配列などにより提供され得る。突然変異の発現を可能とさせる遺伝学的技法は、インビボにおける部位特異的遺伝子操作により制御され得、当業者に知られている。
【0142】
本発明のトランスジェニック動物は全て、本発明の、原因となる突然変異のトランスジーンをその複数の細胞内に含み、そのトランスジーンは「宿主細胞」の表現型を改変する。例証的な一の実施態様において、バクテリオファージPlのcre/loxP リコンビナーゼ系(Laksoら(1992)PNAS 89:6232−6236; Orbanら(1992)PNAS 89:6861−6865)または酵母(Saccharomyces cerevisiae)のFLPリコンビナーゼ系(O’Gormanら(1991)Science 251:1351−1355;PCT公報 WO 92/15694)は、インビボにおける部位特異的遺伝子組み換え系を作るために用いられ得る。Creリコンビナーゼは、loxP配列の間に位置する介在標的配列の部位特異的組換えを触媒する。loxP配列は、Creリコンビナーゼが結合し、Creリコンビナーゼが介する遺伝子組み換えに必要とされる、34塩基対のヌクレオチド反復配列である。loxP配列の方向は、Creリコンビナーゼが存在する場合に、介在標的配列が切除または反転されているかを決定する(Abremskiら(1984)J.Biol.Chem.259:1509−1514);loxP配列が直列反復方向の場合には、標的配列の切除を触媒し、loxP配列が逆位反復方向の場合には、標的配列の反転を触媒する。
【0143】
従って、標的配列の遺伝子組み換えはCreリコンビナーゼの発現に依存する。リコンビナーゼの発現は、調節制御下にある、例えば、組織特異的、発生段階特異的、外部から加えられた剤により誘発可能または抑制可能である、プロモーターエレメントにより制御され得る。この調節制御は、リコンビナーゼ発現がプロモーターエレメントにより介されている細胞においてのみ、標的配列の遺伝子組み換えを生じるだろう。故に、原因となる突然変異のトランスジーンの発現活性化は、リコンビナーゼ発現の制御により調節され得る。
【0144】
原因となる突然変異のトランスジーンを調節するcrelloxPリコンビナーゼ系の使用は、Creリコンビナーゼおよび目的蛋白質の両方をコードするトランスジーンをもつトランスジェニック動物の作製を必要とする。Creリコンビナーゼおよび再狭窄の原因となる突然変異のトランスジーンの両方をもつ動物は、「ダブル」トランスジェニック動物を作製することにより得られ得る。かかる動物を得るための有用な方法は、それぞれ一つのトランスジーンをもつ二匹のトランスジェニック動物を交配することである。
【0145】
同様の条件付のトランスジーンは、原核生物のプロモーター配列を用いて提供され得、該配列は、トランスジーンの発現を促進するために、原核生物の蛋白質が同時に発現されることを必要とする。例証的なプロモーターおよび対応するトランス作用性の原核生物の蛋白質は米国特許第4,833,080に記載されている。
【0146】
さらに、条件付のトランスジーンの発現は、遺伝子治療のごとき方法により誘発され得、ここで、トランス活性化の蛋白質、例えば、リコンビナーゼまたは原核生物の蛋白質をコードする遺伝子は、細胞へ伝えられ、細胞型に特異的な様式などで発現を惹起される。この方法により、トランスジーンは、トランス活性化因子の導入により「オン」されるまで、サイレントのまま成体になるだろう。
【0147】
例証的な一の実施態様において、本発明の「ヒトでないトランスジェニック動物」は、ヒトでない動物の生殖系列へトランスジーンを導入することにより作成される。様々な発達段階における胚性標的細胞がトランスジーンを導入するために用いられ得る。異なる方法が、胚性標的細胞の発達段階に依存して用いられる。本発明を実施するために用いられる任意の動物の特定の系は、一般的に良好な健康であること、胚の産生が良好であること、胚の前核が良好に見えること、および生殖への適応度が良好であること、について選択される。加えて、ハプロタイプは有意な因子である。例えば、トランスジェニックマウスが作製される場合には、C57BL/6またはFVB系などの系統が多くの場合用いられる(Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)。好ましい系統は、C57BL/6またはDBA/lなどの、H−2b、H−2dまたはH−2qハプロタイプを有するものである。本発明の実施に用いられる系は、それ自体がトランスジェニックおよび/またはノックアウト(すなわち、部分的または完全に抑制された1またはそれ以上の遺伝子をもつ動物から得られる)であってもよい。
【0148】
一の実施態様において、トランスジーンコンストラクトは、1個の段階の胚へ導入される。接合体はマイクロインジェクションのための最良の標的である。マウスにおいて、雄性前核は直径約20マイクロメーターのサイズに達し、1−2plのDNA溶液の再現性のある注入が可能となる。遺伝子転移の標的としての接合体の使用は、大部分の場合において、注入されたDNAが初めの分裂前に宿主遺伝子へ導入されるだろうという点で大きな利点を有する(Brinsterら(1985)PNAS 82:4438−4442)。一の結果として、トランスジェニック動物の全ての細胞は取り込まれたトランスジーンをもつだろう。このことは、一般に、初代から後代へのトランスジーンの効果的な伝達にも反映され、というのも、胚細胞の50%がトランスジーンをもつからである。
【0149】
通常、受精胚は前核が形成されるまで適切な培地中にてインキュベートされる。およそこの時期に、トランスジーンを含むヌクレオチド配列が、以下に記載のように、雌性または雄性前核へ導入される。マウスなどの幾つかの種では、雄性前核が好ましい。外因性の遺伝物質が、卵細胞の核または接合体の雌性前核による処理の前に、接合体(雄)の相補的なDNAへ加えられることが、もっとも好ましい。卵細胞の核または雌性前核は、恐らく雄のDNAのプロタミンをヒストンで置換することにより、雄の相補的なDNAへ作用する分子を放出し、それにより、雌および雄の相補的なDNAの結合を促進し、二倍体の接合体を形成する、と考えられる。故に、外因性の遺伝物質は、雌性前核による作用の前に、雄の相補的なDNAまたは任意の他の相補的なDNAへ加えられることが好ましい。例えば、外因性の遺伝物質は、雄性前核の形成後早急に(この時、雄性および雌性前核は十分に離れており、かつ両方とも細胞膜近くに位置している)初期の雄性前核へ加えられる。或いは、外因性の遺伝物質は、脱凝縮を誘発した後に、精子の核へ加えられ得るだろう。ついで、外因性の遺伝物質を含む精子は卵へ加えられ得、または脱凝縮した精子はトランスジーンコンストラクト(その後早急に加えられる)と一緒に卵へ加えられ得るだろう。
【0150】
胚へのトランスジーンヌクレオチド配列の導入は、当業者に知られている任意の手段、例えば、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションまたはリポフェクションにより達成されてもよい。胚へトランスジーンヌクレオチド配列を導入した後、胚は様々な時間の間、インビボでインキュベーションされるか、または代理親へ再移植されるか、またはその両方であってもよい。成熟に至るまでのインビトロにおけるインキュベーションは本発明の範囲内である。一般的な方法の一つは、胚を、種に依存して約1−7日間インビトロにおいてインキュベートし、そして代理親へ再移植する。
【0151】
本発明の目的のために、接合体は本質的に、完全な有機体へ発達し得る二倍体細胞の形態である。一般的に、接合体は、一または複数の配偶子に由来する2つの一倍体の核の融合により、天然または人工的に形成された一の核を含む卵から成るだろう。故に、配偶子の核は本質的に適合するもの、すなわち、機能有機体への分化および発達を可能とする生存可能な接合体を生じるものである必要がある。一般的に、正倍数体の接合体が好ましい。異数体の接合体が得られる場合には、染色体の数は、配偶子が由来する有機体の正倍数体の数に対して2以上異なるべきでない。
【0152】
同様の生物学的事項に加えて、物理的なものも、接合体の核または接合体の核部分を形成する遺伝物質に加えられ得る外因性の遺伝物質の量(例えば容量)に影響する。いずれの遺伝物質も除去されない場合には、加えられ得る外因性の遺伝物質の量は、物理的に破壊されることなく吸収されるだろう量により限定される。一般的に、挿入される外因性の遺伝物質の容量は約10ピコリットルを超えないだろう。添加の物理的な効果は、接合体の生存能を物理的に破壊するほど大きくてはいけない。DNA配列の数および多様性の生物学的限界は、特定の接合体および外因性の遺伝物質の機能に依存して異なるだろうし、また当業者には容易に明かであろう、というのも、得られた接合体の遺伝物質(外因性の遺伝物質を含む)は、接合体から機能有機体への分化および発達を生物学的に開始および維持しうるに違いないからである。
【0153】
接合体へ加えられるトランスジーンコンストラクトのコピー数は、加えられる外因性の遺伝物質の全量に依存し、そして遺伝子形質転換を可能にする量であろう。理論的には、わずか1コピーのみが必要とされる;しかしながら、一般的には、1コピーで機能することを保証するために、多数のトランスジーンコンストラクトのコピー、例えば1,000−20,000コピーが利用される。本発明に関しては、外因性DNA配列の表現型発現を高めるために、挿入された外因性DNA配列それぞれの機能性コピーを1以上有することが多くの場合にて有利であるだろう。
【0154】
核の遺伝物質へ外因性の遺伝物質を移入し得る任意の技法は、細胞、核膜または存在する他の細胞または遺伝子構造を破壊しない限りにおいて、利用され得る。好ましくは、外因性の遺伝物質はマイクロインジェクションにより核の遺伝物質へ挿入される。細胞または細胞構造のマイクロインジェクションは当業者に知られており、そして利用されている。
【0155】
再移植は標準的な方法を用いて達成される。通常、代理親は麻酔をかけられ、そして胚が卵管へ挿入される。特定の宿主へ移植される胚の数は種により異なるだろうが、通常、その種が自然に生ずる子どもの数に匹敵するだろう。
【0156】
代理親によるトランスジェニックの子どもは、任意の適当な方法により、トランスジーンの存在および/または発現に関してスクリーニングされてもよい。スクリーニングは多くの場合、そのトランスジーンの少なくとも一部分と相補的なプローブを用いて、サザンブロットまたはノーザンブロット解析により達成される。トランスジーンによりコードされた蛋白質に対する抗体を用いるウェスタンブロット解析は、トランスジーン産物の存在をスクリーニングするための代替または追加の方法として用いられてもよい。典型的に、DNAは尾部組織から調製され、トランスジーンについてサザン解析またはPCRにより分析される。或いは、任意の組織または細胞型が本分析に用いられてもよいが、高レベルでトランスジーンを発現していると考えられる組織または細胞が、サザン解析またはPCRを用いて、トランスジーンの存在および発現について試験される。
【0157】
トランスジーンの存在を評価するための代替または追加の方法は、酵素的および/または免疫学的アッセイなどの適当な生化学的アッセイ、特定のマーカーまたは酵素活性による組織染色、フローサイトメトリー分析などを包含するが、これらに限定されない。血液の分析も、血液中のトランスジーン産物の存在を検出し、ならびに、様々な型の血液細胞および他の血液成分のレベルへのトランスジーンの作用を評価するために有用であってもよい。
【0158】
トランスジェニック動物の後代は、トランスジェニック動物を適当なパートナーと交配するか、またはインビトロにてトランスジェニック動物から得られた卵および/または精子を受精することにより得られてもよい。パートナーとの交配が行われる場合には、パートナーはトランスジェニックおよび/またはノックアウトであってもなくてもよく;トランスジェニックである場合には、同一または一の異なるトランスジーン、またはその両方を有してもよい。或いは、パートナーは親系統であってもよい。インビトロにおける受精が用いられる場合には、受精胚は代理親へ移植されるか、またはインビトロでインキュベートされるか、またはその両方であってもよい。前記した方法または他の適切な方法のいずれかを用いて、後代はトランスジーンの存在について評価されてもよい。
【0159】
本発明に従い作製されたトランスジェニック動物は外因性の遺伝物質をもつだろう。さらに、かかる実施態様において、その配列は、好ましくは、特定の細胞型にてトランスジーン産物を発現させ得る転写制御エレメント(例えば、プロモーター)に結合されるだろう。
【0160】
レトロウィルス感染も、ヒト以外の動物へトランスジーンを導入するために用いられ得る。発達中のヒト以外の胚は、インビトロにおいて胚盤胞段階へ培養され得る。この間に、割球はレトロウィルス感染の標的となり得る(Jaenich,R.(1976)PNAS 73:1260−1264)。割球の効果的な感染は、透明帯を除去するための酵素処理により得られる(Manipulating the Mouse Embryo,Hogan eds.(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,1986)。典型的に、トランスジーンを導入するために用いられるウィルスベクター系は、トランスジーンを有する複製欠損型のレトロウィルス(Jahnerら(1985)PNAS 82:6927−6931;Van der Puttenら(1985)PNAS82:6148−6152)である。トランスフェクションは、ウィルス産生細胞の単層上の割球を培養することにより、容易におよび効果的に得られる(Van der Putten,supra;Stewartら(1987)EMBO J.6:383−388)。或いは、感染は後期段階にて行われ得る。ウィルスまたはウィルス産生細胞は胞胚腔に注入され得る(Jahnerら(1982)Nature 298:623−628)。取り込みは、ヒト以外のトランスジェニック動物を形成する細胞のサブセットにおいてのみ生じるので、初代の大部分はトランスジーンに関してモザイクであろう。さらに、初代は、ゲノムの異なる位置においてトランスジーンの様々なレトロウィルス挿入(一般的に後代において分離するだろう)を有していてもよい。加えて、妊娠中期の胚の子宮内レトロウィルス感染により生殖系列へトランスジーンを導入することも可能である(Jahnerら(1982)supra)。
【0161】
トランスジーン導入のための標的細胞の第3の型は、胚性幹細胞(ES)である。ES細胞は予め移植された胚から得られ、インビボで培養され、そして胚と融合される(Evansら(1981)Nature 292:154−156;Bradleyら(1984)Nature 309:255−258;Gosslerら(1986)PNAS 83:9065−9069;およびRobertsonら(1986)Nature 322:445−448)。トランスジーンは、DNAトランスフェクションまたはレトロウィルスが介する形質導入により効果的にES細胞に導入され得る。かかる形質転換したES細胞は、その後、ヒト以外の動物に由来する胚盤胞と結合され得る。その後、このES細胞は胚にコロニーをつくり、得られたキメラ動物生殖系列へ寄与する。Jaenisch,R.(1988)Science240:1468−1474を参照のこと。
【0162】
本発明は、以下の実施例によりさらに説明されるが、決して限定されない。本発明の実施は、特記しない限り、当該技術分野の慣用的な技法を利用するだろう。かかる技法は文献において十分に説明されている。例えばMolecular Cloning A Laboratory Manual,(2nd ed.,Sambrook,Fritsch and Maniatis,eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press:1989);DNA Cloning,Volumes I and II(D.N.Glover ed.,1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait ed.,1984);米国特許第4,683,195号;米国特許第4,683,202号;およびNucleic Acid Hybridization(B.D.Hames&S.J.Higgins eds.,1984)を参照のこと。
【0163】
参考文献
1.Black,D.(1999)Defining incident vertebral deformity:a prospective comparison of several approaches.J.Bone Mineral Res.14,90−101.

2.Pacifici,R.(1998)Cytokines,estrogen,and postmenopausal osteoporosis−the second decade.Endocrinology.139,2659−2661.

3.Teitelbaum,S.(2000)Bone Resorption by osteoclasts.Science 289,1504−1507.

4.M.Econs,(2000)The genetics of osteoporosis and metabolic bone disease.Humana Press,Totowa,New Jersey.

5.Dinarello,CA(1996)Biologic basis for Interleukin−1 in disease.Blood.87,2095−2147.

6.Lorenzo,J(1998)Mice lacking the type I Interleukin receptor do not lose bone mass after ovareictomy.Endocrinology 139,3022−3025.

7.Kimbel,R.,Matayoshi,A.,Vannice,J.,Kung,V.,Williams,C.,Pacifici,R.(1995)Simultaneous blockof Interleukin−1 and tumor necrosis factor is required to completely prevent bone loss in the early post−ovariectomy period. Endocrinology 136,3054−3061.

8.KornmanKS,Crane A,Wang HY,di Giovine FS,Newman MG,Pirk FW,Wilson TG,Higginbottom FL,Duff GW(1997)The Interleukin−1 genotype as a severity factor in adult periodontal disease.Journal of Clinical Periodontology 24:72−77.

9.Cox A,Camp NJ,Nicklin MJH,di Giovine FS,Duff GW(1998)An analysis of linkage disequilibrium in the Interleukin−1 gene cluster,using a novel grouping method formultiallelic markers.American Journal of Human Genetics 62:1180−1188.
【0164】
実施例
実施例1 骨粗鬆症関連研究
UCSF研究
当業者に知られている技法を用いて、骨粗鬆症による骨折に関する研究(the University of California at San Francisco Association)に参加した対象集団(1,071人)の遺伝子型を、IL−1遺伝子クラスターにある遺伝子型マーカーにより同定した。
遺伝子型同定の結果を表1Aに示す。表1Bは、以下にさらに記載するハワイ人の骨粗鬆症研究の結果を示す。
【0165】
表1.IL−1遺伝子クラスターの遺伝子型マーカーの頻度数
A.骨粗鬆症による骨折研究(UCSF)(n=1,071、白人、女性)
【表7】

【0166】
B.骨粗鬆症研究(ハワイ)(n=208、日系アメリカ人、女性)
【表8】


対照集団のランダムな試料(626人)において、185の非脊椎骨折が存在した。これらの対象を「非脊椎骨折」の分析に用いた。
【0167】
表2.症例、対照および集団試料における遺伝子型頻度(UCSF SOF研究)
【表9】


*185の非脊椎骨折対象を含む
【0168】
表2に示すように、IL−1A(+4845)にある対立遺伝子2は、非脊椎骨折の危険性増大に関連する。加えて、IL−1B(+3954)にある対立遺伝子2は、非脊椎骨折の危険性における統計的に有意な増大に関連する。一方、IL−1RN(+2018)にある対立遺伝子2は、非脊椎骨折の危険性における有意な減少に関連する。IL−1A(+4845)にある対立遺伝子2は、統計的に有意ではないが(RR=1.8、95% CI=1.0−3.5)、手関節骨折の増大に関連する。全集団において、対立遺伝子2は手関節骨折の危険性増大に関連する。HRT利用者を除いた場合には、この効果はなくなる。
【0169】
骨折の危険性増大は、IL−lA(+4845)およびIL−1B(+3954)にある対立遺伝子2について遺伝子用量効果を示す。特に、対立遺伝子2のコピー数が増す程、この効果が増大する。骨折の危険性減少も、IL−1RN(+2018)にある対立遺伝子2について遺伝子用量効果を示す。特に、対立遺伝子2のコピー数が増す程、この効果が増大する。表3Aに示すように、これらの相関はHRT利用者を除いた集団に関しても当てはまる。表3Bに示すように、HRT利用者を含む全集団を検討した場合にも、強力ではないが、この相関が維持される。一方、股関節骨折および脊椎骨折はいずれのIL−1遺伝子マーカーにも関連しないようである。
【0170】
表3A:IL−1遺伝子型および骨折(HRT利用者を除く)
【表10】


*年齢、修正BMI、閉経後年数、喫煙および飲酒習慣、ERTの利用、サイアザイド利尿剤の利用、自己報告の健康状態および糖尿病について補正。
#1,1型に対してp<0.05
【0171】
表3B:IL−1遺伝子型および骨折(HRT利用者を含む全集団)
【表11】


*年齢、修正BMI、閉経後年数、喫煙および飲酒習慣、ERTの利用、サイアザイド利尿剤の利用、自己報告の健康状態および糖尿病に関して補正。
#1,1型に対してp<0.05
【0172】
骨密度(BMD)を、踵骨、橈骨遠位部、全股関節、大腿部頸部および脊椎において測定した。この分析を、年齢、骨密度指数(bone mineral index)(BMI)、閉経の状態および生活習慣の因子に関して補正した。表4Aおよび4Bに示すように、HRT利用者が含まれてもまたは除かれても、IL−1B(+3954)にある対立遺伝子2は、踵骨における有意に高いBMDに関連する(傾向についてp<0.05;遺伝子型[1.1]に対する遺伝子型[2.2]についてp<0.05)。
【0173】
IL−1B(−511)にある対立遺伝子2は、HRT利用者を含む全集団において、踵骨における低いBMDに有意に関連する(傾向についてp<0.05;遺伝子型[1.1]に対する遺伝子型[2.2]についてp<0.05)。HRT利用者が除かれる場合には、IL−1B(−511)にある対立遺伝子2は、踵骨における低いBMDへの傾向に関連する。他の部位において、IL−1遺伝子型とBMDの相関に一貫性のあるパターンは見られなかった。
【0174】
表4A:IL−1遺伝子型および骨密度
(n=1,070)
【表12】

【0175】
表4B:IL−1遺伝子型および骨密度(HRT利用者を除く)
【表13】


*年齢、修正BMI、閉経後年数、喫煙および飲酒習慣、ERTの利用、サイアザイド利尿剤の利用、自己報告の健康状態および糖尿病に関して補正。
+p(傾向)<.05
#1,1型に対してp<.05
【0176】
骨減少率を全股関節、大腿部頸部および踵骨において測定した。表4Aおよび4Bに示すように、IL−1B(−511)にある対立遺伝子2は、全集団およびHRT利用者を除く集団について、全股関節における高い骨減少率に関連する(傾向についてp<0.05)。IL−1B(−511)にある遺伝子型[2.2]は、踵骨における高い骨減少率への傾向に関連する。IL−1B(−511)にある対立遺伝子2は、大腿部頸部における高い骨減少率への傾向に関連する。IL−1B(−511)にある対立遺伝子2と股関節における骨減少率には遺伝子用量効果が存在する。有意ではないが、同様の相関が、大腿部頸部における骨減少率についても見られた。これらの結果は、分析にHRT利用者が含まれても(表4A)または除かれても(表4B)同様である。
【0177】
ハワイ人の骨粗鬆症研究
骨粗鬆症研究(ハワイ)に参加した、骨折を有する参加者(100人)および骨折を有さない参加者(100人)の遺伝子型を、IL−1遺伝子クラスターにある遺伝子型マーカーにより同定した。結果を表1Bに示す。本研究への参加者は全員、80代前半ないし半ばの日系アメリカ人の女性である。以下の臨床データを分析した:脊椎および非脊椎骨折(卵巣摘出を含むおよび除く)、橈骨遠位部および近位部ならびに踵骨における骨塩量(BMC)(卵巣摘出を受けた対象を含むおよび除く)。この分析を年齢、BMI、エストロゲン使用期間に関して補正した。
【0178】
結果
卵巣摘出を受けたまたは受けていない対象が含まれるかどうかに関わらず、IL−lA(+4845)にある対立遺伝子2は、脊椎および非脊椎骨折の数の増大に強く関連する(p<0.018)。

IL−1B(−511)にある対立遺伝子2は、橈骨遠位部におけるBMCの減少に関連する(p<0.024)。IL−1RN(+2018)にある対立遺伝子2は、踵骨におけるBMCの減少に関連する(p<0.022)。
【0179】
結果考察
民族性の役割
IL−1遺伝子クラスターにおける遺伝子型の分布は、白人系アメリカ人および日系アメリカ人で非常に異なる(本研究への参加者の多くは移民第一世代である)。非常に異なる分布パターンが他の民族集団について見られ、特に:
中国人(IL−1RN(+2018)およびIL−1B(+3954)にある対立遺伝子2の頻度が非常に低い);
アフリカ系アメリカ人(日本人集団と同様のパターン);および
ヒスパニック(ヨーロッパ系白人と同様の分布パターン。これはヨーロッパ系ヒスパニックに特に当てはまる。しかしながら、このパターンはヨーロッパ系メキシコ系ヒスパニックとあまり差がない)。
【0180】
故に、IL−1RN(+2018)の遺伝子型は、生物学的パターンおよび応答を正確には反映しなくてもよい。IL−1B(−511)は、その特定のハプロタイプおよび遺伝子型パターンに関するより正確な指標となってもよい。同様に、IL−1B(+3954)は、ハプロタイプパターンに関する正確なマーカーでなくともよい。IL−1A(+4954)は、その特定のハプロタイプおよび遺伝子型パターンに関するより正確な指標となってもよい。
【0181】
骨折危険性
IL−1A(+4845)にある対立遺伝子2およびIL−1B(+3954)にある対立遺伝子2は、骨折の危険性増大に関連する。これはハプロタイプパターン1との関連性を示す(図3を参照のこと)。踵骨のBMDは、IL−1B(+3954)にある対立遺伝子2に関連する(ハプロタイプパターン1)。
ハプロタイプパターン1は、IL−laおよびIL−lbレベルならびに生物活性を増大させるが、正常なIL−1受容体アンタゴニストレベルをもたらす。
【0182】
骨減少率
骨減少率は、IL−1B(−511)にある対立遺伝子2に関連する(ハプロタイプパターン2)。ハプロタイプパターン2は正常レベルのIL−1をもたらすが、IL−1受容体アンタゴニストのレベルを減少させる。正味の結果は、IL−1生物学的活性および応答における増大である。
【0183】
骨密度
BMD(またはBMC)は、踵骨および橈骨遠位部におけるIL−1B(−511)またはIL−1RN(+2018)にある対立遺伝子2のいずれかに関連する(ハプロタイプパターン2)。
踵骨におけるBMDの増大はハプロタイプパターン2に関連する。他の部位におけるBMDは本研究のIL−1マーカーに有意には関連しておらず、このことは、統計的分析において検出力不足に終わる本研究集団の特性に起因するのかもしれない。the University of California,San Franciscoにおける研究集団に影響を及ばしてもよい他の問題は:良好な健康、高学歴、本研究への参加および社会経済的地位の高さである。
【0184】
骨のリモデリング過程は:骨代謝、骨減少率、最大骨量、生活習慣因子、遺伝、処方薬の使用および体重を含む、多数の因子により調節される。骨粗鬆症による骨折は、骨リモデリング、骨減少および加齢が複合した過程におけるエンドポイントある。骨リモデリング、そしてそれ故に骨粗鬆症および骨粗鬆症による骨折の発症可能性は、生活環の異なる段階における異なる生物学的過程により調節される。閉経開始後の初めの5−10年では、エストロゲンレベルの減少およびIL−1レベルおよび活性の増大に起因して、最も急激な骨減少を経験する。この段階では、破骨細胞の形成および活性化の増大(IL−1レベルの増大に起因する)が、骨のリモデリング過程を駆動する。閉経後初めの5−10年におけるIL−1レベルの増大は、IL−1受容体アンタゴニストレベルより重要であってもよい。閉経後約10年で、骨リモデリングのバイオロジーにおける変化に起因して、骨減少率は減速する。この段階では、骨芽細胞形成の減少により、骨リモデリングを駆動する力が形成される。IL−1受容体アンタゴニストレベルの減少により、閉経期後期において骨減少量を調節する際により重要な因子が形成されてもよい。
【0185】
ハプロタイプパターン1は、IL−lαおよびIL−lbレベルおよび生物活性の増大に関連するが、IL−1受容体アンタゴニストレベルは正常である。ハプロタイプパターン1を有する女性はハプロタイプパターン2を有する女性よりも多量の骨減少を閉経期初期に経験しやすい。故に、ハプロタイプパターン1を有する女性は、予防的手段または処置が開始されない場合には、人生の任意の段階でより骨折を経験しやすい。
【0186】
ハプロタイプパターン2を有する女性は、人生晩期においてより多量の骨減少を経験しやすいだろうし、また人生晩期において骨折、特に加齢に関係する骨粗鬆症に関連する骨折を経験しやすくなってもよい。故に、ハプロタイプパターン2を有する対象は、ハプロタイプパターン1を有する対象よりも構成的により少量のIL−lraしか産生せず、その人生の閉経期後期においてより大量の骨減少および骨形成の減少を経験するだろう。
【0187】
上で示した仮説に基づいて、Keenら(1998)(“Allelic variation in the interleukin−1 receptor antagonist gene is associated with early postmenopausal bone loss at the spine“(Bone 23(4),367−371):an association between allele[1]of the VNTR in IL−1RN and early postmenopausal bone loss)により報告されたデータは、VNTRにある対立遺伝子[1]を有する対象は、実際にハプロタイプパターン1を有することを示すことになる。本研究の対象は全て、閉経開始から5年以内であるので、その骨減少はIL−1のレベルおよび活性の増大により調節されており、そしてIL−lraレベルの増大または減少により調節されていない。IL−1RNのVNTRのみが調べられたので、IL−1RNのVNTRにある対立遺伝子1は骨密度変化において重要であり、そして骨減少および骨粗鬆症による骨折の危険性のための主要な予測因子であるという誤った結果に到達した。
【0188】
実施例2:骨粗鬆症の指標としての脊椎骨折
the Unibersity of California at San Francisco Associationの骨粗鬆症による骨折の研究に参加した2529人の対象集団(症例1,240人および対照1,289人)を用いた第二の研究として、当業者に知られている技法を用いて、IL−1遺伝子クラスターにおける遺伝子型マーカーにより遺伝子型を同定した。症例の対象を、ベースラインの試験において脊椎骨折蔓延についてラジオグラフィーによる証拠があること、または本研究の期間中に初めて骨折発症についてラジオグラフィーによる証拠が得られたことに基づいて、研究集団から選択した。
【0189】
さらに、本研究集団から年齢を合わせた対照試料を取り出す。対照の対象を、脊椎骨折についてラジオグラフィーによる証拠がない、および本研究の期間中に任意の骨折記録(四肢および肋骨を含む)がないことに基づいて選択した。
【0190】
脊椎骨折を骨粗鬆症に対する遺伝的素因研究のエンドポイントとして用いることは、前記した研究にて特定の利点を有する。一般的に、股関節および手関節骨折は、骨粗鬆症の発症および転倒などの外傷性事象の両方を要する。骨粗鬆症に起因して骨が脆弱化するために、脊椎への持続的な体重加重が個々の椎骨の崩壊を惹起するので、脊椎骨折は任意の外傷性事象を必要とすることなく骨粗鬆症の結果として生じる。脊椎骨折は、自身の身長低下に気づくか、猫背がひどくなるか、または脊椎の崩壊が神経に作用し疼痛を惹起するまで、個人には明かではない。この理由のために、脊椎骨折の研究は、骨粗鬆症による骨折の研究にて用いられたモニタリングプロトコルのごとき、個人の問題認識に依存しない一定の時間経過にて撮られた脊椎のラジオグラフの正確な評価を含む必要がある。
【0191】
包含基準:
・年齢65−90歳
・症例について、脊椎骨折に関するラジオグラフィーの証拠
・対照について、脊椎骨折がないことおよび肋骨または四肢骨折の記録がないことに関するラジオグラフィーの証拠。
・分析のために採取したDNAまた全血液
除外基準:
・既知の代謝性骨疾患を患っている患者
・3.7年間の追跡試験の間に死亡した、ベースラインにおいて骨折を有さない患者
【0192】
DNAを1988−1989年に実施した研究の対象から収集した全血から得た。5mlの血液を3×3インチの濾紙にブロットし、乾燥しておき、−20℃で貯蔵した。
Kornmanら(1997)(8)およびCoxら(1998)(9)の記載に従い、遺伝子型同定を行った。IL−1A、IL−1B、IL−1RN、VDR、COL1A1、ERおよびPTHR遺伝子におけるSNPsの遺伝子型を同定した。
【0193】
データ解析:検出力計算
症例(900)、対照(900)、アルファレベル(.01)および1.5または2.0いずれかの正確なオッズ比と仮定して、検出力計算を行った。正確なORが2.0であるかまたは正確なORが1.5であり、また対照におけるマイナー対立遺伝子頻度が少なくとも5%である場合に、統計的有意性は容易に到達される。より低い対照頻度では、1.5のORは症例頻度においてわずかな増大を必要とする(例えば、5%の対照頻度および7.3%の症例頻度)。
統計的有意性の評価に加えて、本研究の重要な目的は、任意の遺伝的影響の臨床的有意性を特徴づけることである。この目的のために、「臨床的有意性」は、危険性を50%まで減少することを意味し、また「高度な臨床的有意性」は、タイプ1エラー率を1%と仮定して、この結論を引き出し得ることを意味する。
【0194】
臨床的有意性は、試験規模を保つために検出力が減じられる場合に、対照の対立遺伝子頻度が低いことを除いて、正確なORが1.5についての時間の50%に到達される。正確なORが少なくとも2.0であり、そしてさらにはマイナー対立遺伝子頻度が小さくはない場合には、高度に臨床的有意性のある結果が生じやすい。さらに高い正確なORについては、検出力はより大きいだろう。例えば、2.5のORでは、高度に臨床的有意性のある結果は、15%以上のマイナー対立遺伝子頻度について少なくとも96%の検出力で、およびちょうど5%のマイナー対立遺伝子頻度について57%の検出力で生じるだろう。
【0195】
臨床データを、以下の基準を有する個人を除去するおよび除去しない統計分析について用いた:甲状腺ホルモン、サイアザイドの使用歴がある、データが利用可能なHRTの利用歴がある、データが利用可能な蛋白同化ステロイド、ビスホスホネート、SERMsまたはカルシトニンの使用歴がある、および骨粗鬆症を処置/予防するための治療を現在利用している。
【0196】
遺伝子多型および骨粗鬆症との関連性を、任意の遺伝子SNPsにおける対立遺伝子頻度が症例および対照において異なるかどうかを評価することにより試験した。複合的試験を把握するために、各試験規模を.01(Bonferroni補正)にセットする。故に、99%の信頼区間が帰無仮説を含まないならば、マーカーは「統計的に有意」であると考えられる。各マーカーについて、オッズ比(OR)の最尤推定値も得られ、そして予め決定した臨床的に有意である値、1.5と比較される。ORの点推定値が少なくとも1.5ならば、マーカーは「臨床的に有意」、そしてORの信頼区間の下限が同じ閾値を超えるならば、「高度に臨床的に有意」と考えられる。前者の場合には、統計的有意性も必要とされる(後者は定義により統計的有意性に達している)。
【0197】
遺伝子多型および骨粗鬆症との間の関連性を、多型の組み合わせを試験することによりさらに評価した。分析すべき、幾つかの特有の組み合わせは、遺伝子SNPs、IL−1A−889、IL−lA+4845、IL−1B−3737、IL−1B−511、IL1B−31、IL−1RN+2018、IL−1RNVNTRならびに他のIL遺伝子およびVDR遺伝子、COL1A1遺伝子、ER遺伝子およびPTHR遺伝子にある対立遺伝子を含む。対立遺伝子のさらなる組み合わせも評価した。かかるさらなる評価はイントラマーカー(遺伝子型分析)およびインナーマーカー(複合遺伝子型またはハプロタイプ分析)の比較を包含する。
【0198】
以下の共変量に関して補正することにより分析精度をさらに高める:年齢、喫煙歴、BMI、閉経開始年齢、血清エストロゲンレベル、オステオカルシンレベル、脊椎骨折データおよびBMD変化。
【0199】
既知および新規の多型の両方に関する遺伝子多型の任意の組み合わせに対処するために、同じ分析戦略を用いる。相互作用期間をロジスティック回帰モデルに加えることにより、遺伝子間の相乗効果を評価した。
【0200】
結果
脊椎骨折に対して潜在的に高い危険性を有する群を同定するために、IL−1を、3つの条件のうち1つを満たす個人から成ると定義した:1)IL−1A(+4845)にある遺伝子型2.2、IL−1B(−511)にある遺伝子型1.1およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型1.1、2)IL−1B(−511)にある遺伝子型2.2およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型2.2、または3)IL−1B(−511)にある遺伝子型2.2およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型1.2。研究集団の30%がIL−1として記録され、そしてIL−1として分類された集団は脊椎骨折の比率が高かった(p−値<.05)。エストロゲン補充療法を一度も利用していない女性において、IL−1の頻度は、脊椎骨折を有さない集団では11%、脊椎骨折を有する集団では18%であった(p−値=.0001)。
【0201】
年齢および頸部にて評価した骨密度(BMD)に関して補正した後、エストロゲン利用歴がない者(すなわち非エストロゲンの利用者)の間のIL−1についての脊椎骨折のオッズ比(OR)は、1.9(p−値=6×10−5)であった。統計的モデルにBMDが含まれていることを考えると、IL−1遺伝子型の効果は、骨密度のものを超える情報を提供する、脊椎骨折についての独立した危険性因子であることが結論づけられた。
【0202】
IL−1遺伝子型を含む3つの要素のそれぞれも、エストロゲン補充療法を一度も利用していない女性における脊椎骨折の統計的に有意な危険性を与える。年齢およびBMDについて補正後、IL−1A(+4845)にある遺伝子型2.2、IL−1B(−511)にある遺伝子型1.1およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型1.1を有する者はOR=2.0(p−値=.004)を有し、IL−1B(−511)にある遺伝子型2.2およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型2.2を有する者はOR=2.2(p−値=.01)を有し、およびIL−1B(−511)にある遺伝子型2.2およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型1.2を有する者はOR=1.7(p−値=.01)を有する。
【0203】
均等物
前記した、本発明の特定の実施態様の詳細な説明から、特有の方法が記載されていることは明らかなはずである。特定の実施態様が本明細書中にて詳細に開示されているが、これは例示を目的としてのみなされており、そして添付の請求の範囲の適用範囲を限定する意図はない。特に、請求の範囲により定義したごとき本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な置換、変更および修飾が本発明になされてもよいことが発明者により熟慮される。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】図1は、2つの異なる遺伝子ハプロタイプパターンを示す図解である。
【図2】図2は、骨粗鬆症による非脊椎骨折の危険性を示すグラフである。
【図3】図3は、骨粗鬆症による股関節骨折の危険性を示すグラフである。
【図4】図4は、骨粗鬆症による手関節骨折の危険性を示すグラフである。
【図5】図5は、非脊椎骨折の危険性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において骨粗鬆症の発症、非発症または発症の素因を決定する方法であって、対象において
a)IL−lA(+4845)にある遺伝子型2.2、IL−1B(−511)にある遺伝子型1.1およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型1.1;
b)IL−1B(−511)にある遺伝子型2.2およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型2.2;ならびに
c)IL−1B(−511)にある遺伝子型2.2およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型1.2
:から成る群より選択される骨粗鬆症に関連する遺伝子型を検出することを含んでなり、
該遺伝子型の存在は対象が骨粗鬆症を発症しているか、またはその素因があることを示し、また該遺伝子型の不在は対象が骨粗鬆症を発症していないか、またはその素因がないことを示すものである、方法。
【請求項2】
対象において骨粗鬆症の発症、非発症または発症の素因を決定する方法であって、対象において、IL−1A(+4845)対立遺伝子、IL−1B(−511)およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子から成る群より選択される1またはそれ以上の対立遺伝子を検出することを含んでなり、該対立遺伝子の存在は対象が骨粗鬆症を発症しているか、またはその素因があることを示し、また該対立遺伝子の不在は対象が骨粗鬆症を発症していないか、またはその素因がないことを示すものである、方法。
【請求項3】
IL−1A(+4845)対立遺伝子およびIL−1B(−511)が検出される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
IL−1B(−511)およびIL−1RN(+2018)が検出される、請求項2記載の方法。
【請求項5】
IL−1A(+4845)対立遺伝子およびIL−1RN(+2018)が検出される、請求項2記載の方法。
【請求項6】
対象が該対立遺伝子に関してホモ接合体である、請求項2記載の方法。
【請求項7】
対象が該対立遺伝子に関してヘテロ接合体である、請求項2記載の方法。
【請求項8】
対象が女性である、請求項2記載の方法。
【請求項9】
対象が約60歳以上である、請求項2記載の方法。
【請求項10】
対象が約65歳ないし約90歳である、請求項2記載の方法。
【請求項11】
骨粗鬆症が脊椎骨折を含む、請求項2記載の方法。
【請求項12】
対象がホルモン補充療法を利用していない、請求項2記載の方法。
【請求項13】
検出工程が:
a)対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション;
b)サイズ分析;
c)シークエンス;
d)ハイブリダイゼーション;
e)5’ヌクレアーゼ消化;
f)一本鎖高次構造多型;
g)対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション;
h)プライマー特異的伸長;および
i)オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ
から成る群より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項14】
検出の前または検出と共に核酸試料を増幅工程に付す、請求項2記載の方法。
【請求項15】
骨粗鬆症の発症または発症感受性を決定するためのキットであって、IL−1A(+4845)、IL−1B(−511)およびIL−1RN(+2018)から成る群より選択される対立遺伝子の5’または3’へハイブリダイズする第一のプライマーオリゴヌクレオチドを含むキット。
【請求項16】
対立遺伝子が増幅され得るように、対立遺伝子の3’または5’にそれぞれハイブリダイズする第二のプライマーオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項15記載のキット。
【請求項17】
第一のプライマーおよび第二のプライマーが約50および約1000塩基対の間の領域にハイブリダイズする、請求項16記載のキット。
【請求項18】
検出手段をさらに含む、請求項15記載のキット。
【請求項19】
増幅手段をさらに含む、請求項15記載のキット。
【請求項20】
対照をさらに含む、請求項15記載のキット。
【請求項21】
対象において骨粗鬆症の徴候を緩和するかまたはその発症を予防するための方法であって、
a)対象において骨粗鬆症に関連する遺伝子型の存在を検出すること、ここに該遺伝子型は:
i)IL−1A(+4845)にある遺伝子型2.2、IL−1B(−511)にある遺伝子型1.1、IL−1RN(+2018)にある遺伝子型1.1;
ii)IL−1B(−511)にある遺伝子型2.2およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型2.2;ならびに
iii)IL−1B(−511)にある遺伝子型2.2およびIL−1RN(+2018)にある遺伝子型1.2
から成る群より選択される;
b)対象へ骨粗鬆症を補う治療剤を投与すること
を含んでなる方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−501627(P2007−501627A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523302(P2006−523302)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/025858
【国際公開番号】WO2005/013809
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(501387219)インタールーキン ジェネティックス インク (1)
【氏名又は名称原語表記】INTERLEUKIN GENETICS, INC.
【住所又は居所原語表記】135 Beaver Street Waltham, Massachusetts 02452 United States of America
【Fターム(参考)】