説明

髄膜炎菌種の細菌に特異的なDNAおよび蛋白質またはペプチド、それらの取得方法およびそれらの生物学的応用

【課題】NmのDNAおよびそれらを取得する手段をそれらNm特異性DNAからもっぱらなるバンク(ライブラリ−)を構築することによって、提供する。
【解決手段】本発明のDNAは、髄膜炎菌に存在するが淋菌にもナイセリア・ラクタミカにも存在しないところの、読み取り相をもつ遺伝子(ただし、多糖性莢膜、frpA、frpC、opc、porA、ロ−タマ−ゼ、配列IS1106、IgAプロテア−ゼ、ピリン、PilC、トランスフェリンに結合する蛋白質、および混濁蛋白質の生合成に関わる遺伝子を除く)の全部または一部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)(以下Nmと略す)種の細菌に特異的なDNAおよび蛋白質またはペプチド、それらの取得法およびそれらの生物学的応用、とくに髄膜炎菌感染および髄膜炎の予防および検出のための応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Nmが髄膜炎の主たる病因であることは既知である。
【0003】
合衆国で進められた研究は、人口の5〜10%が種々のNm株の無症状保菌者であることを示している。Nmの伝達因子はあまり知られていない。感染者の一部では、Nmが血流中に入り込み、そこで髄膜炎菌血を惹起する可能性および/または髄液流中へ進み、髄膜炎を惹起する可能性がある。迅速な抗生物質療法がなければ、その感染症は速やかに進展して、致命的となる可能性がある。
【0004】
他の病原体と比較して、Nmは、血液脳関門を通過することができて、髄膜にすみつくという特性を示す。それゆえ、Nmの病原性の研究は、髄膜炎という範囲内においてのみならず、脳に関するすべての疾患という範囲においても、重要である。
【0005】
それゆえ、この細菌種に特異的なツ−ルを上記意図の用途に利用することに興味がもたれる。
【0006】
Nmは、遺伝学上、淋菌(Neisseria gonorrhoeae )(以下Ngと略す)種およびナイセリア・ラクタミカ(Neisseria lactamica )(以下Nlと略す)種にきわめて近い。しかし、それらの病原性はきわめて異なっている。 Nmは、鼻咽腔にすみつき、つぎに咽頭上皮を通り抜けて粘膜下隙に侵入し、そこで敗血症および髄膜炎の原因となる。
【0007】
Ngは、とりわけ泌尿生殖器の局所感染の原因となる。それは、性器粘膜にすみつき、つぎに上皮を通る抜け、その後に上皮下に侵入し、そこで増殖し、強度の炎症反応の原因となる。播種性淋菌感染が起こりうるが、稀であり、若干の株の場合であるにすぎない。Nlに関しては、それは非病原性であり、限局性侵襲の原因にも全身性侵襲の原因にもならないと言われている。
【0008】
このように、まず考えられるのは、NmおよびNgが、きわめて近似した細菌であるのに、異なる病原性を示すことを考慮に入れることである。
【0009】
これらの細菌のゲノムは強度に相同性であるから、NmとNgのゲノムの限られた部分のみが、それらの病原性の原因となる特異的毒力因子をコ−ドしているにちがいない。
【0010】
Nmが、(Ngと比較して)それに特異的で、その特異的病原性の発現レベルに影響するにちがいないDNA配列を示すことは明らかである。
【0011】
Nm種は、莢膜(きょうまく)多糖類の特徴に基づく血清グル−プによって副分類される。
【0012】
少なくとも13の血清グル−プが明らかにされており、それらのうちでも、血清グル−プA、BおよびCが髄膜炎症例の約90%の原因である。グル−プAおよびCは流行性の形態の疾患で観察される。グル−プBは、欧州および合衆国でもっとも普通に単離される血清グル−プである。
【0013】
Nmでは存在し、Ngでは存在しない莢膜が、髄膜炎菌由来抗髄膜炎ワクチン作成のための基礎となった。
【0014】
Nmの莢膜多糖類が、血清グル−プA、C、W135およびYの髄膜炎菌により惹起される成人での髄膜炎を予防するのに有効なことが示されたワクチンの作成に利用された。
【0015】
しかし、グル−プBのNmの多糖類はヒトで非免疫原性であり、ヒト神経細胞中に存在する接着糖蛋白質とエピト−プを共にするが、グル−プCのNmの多糖類は、10歳未満の小児において軽度に免疫原性であることが明らかにされている。
【0016】
それゆえ、全血清グル−プの髄膜炎菌により惹起される感染を予防でき、一般の細菌性病原体、とくにNmに固有の抗原性の可変性に対応できる万能ワクチンは存在しない。
【0017】
Nmのグル−プB多糖類のヒト抗原との交差反応性、血清グル−プの多様性およびNmの抗原としての多様性のために、今日までに提案された戦略は、すべての場面で有効なワクチンに導くことができていない。
【0018】
それゆえ、研究は、髄膜炎菌病原の特異性の原因をなす特徴的要素の検討に集中された。
【0019】
両細菌NmおよびNgのいずれかで検討された遺伝子の多くは、もう一方の細菌中にそれらの相同配列をもっている。
【0020】
同様に、現在までにNm中で同定された病毒因子の多くが、Ng中に対応物、すわわちピリン、PilC蛋白質、混濁蛋白質ならびにラクトフェリンおよびトランスフェリンの受容体をもっている。
【0021】
先行技術において特性描写されている髄膜炎菌の特異的属性は、莢膜、RTX毒素に類似の蛋白質Frp、外部構成因子蛋白質Opc、グルタチオンペルオキシダ−ゼ、ポ−リンPorAおよびロ−タマ−ゼ遺伝子である。
【0022】
これらのうち、莢膜は、常に、Nmの病毒株中に存在する。一方、多くの細胞外病原体が莢膜をもつが、血液脳関門を通過するわけではない。
【0023】
それゆえ、いまだ同定されていない属性が、髄膜炎菌病原の特異性の原因となっているにちがいない。これらの属性は、おそらく、髄膜炎菌の間では存在するが、淋菌では存在しないDNAによってコ−ドされているであろう。
【0024】
本発明者らは、Nmに特異的な遺伝子の差引き(サブトラクション)単離に基づく新しいアプロ−チ法を開発した。これらの遺伝子はNm特異性病原に、より詳しくは血液脳関門の通過に、関連しているにちがいない。
【0025】
先行技術で開発された差引き法は、Nmのいくつかの単離株について疫学的マーカーの産生に成功している。これらのマーカーは有用性が限られている:それらはNm種の血清グループの全体をカバーしない。
【0026】
これらの研究に対して、本発明者らの研究は、Nmをランダム(無作為的)に切断したNgの染色体の全体と比較・照合することによりNmには存在するがNgには存在しないDNAの全体をクロ−ンする手段の開発に導き、かくして、Nmに対して高度の特異性をもつツ−ルを提供し、かくしてこの菌種の遺伝的可変性に初めて対応することを可能にした。
【0027】
本明細書および特許請求の範囲においてある株のDNAまたはそれらの発現産物に関連して使用した「存在する」および「存在しない」なる語は、同じプロ−ブ、同じプロ−ブ標識強度、同じ染色体DNA量および同じ比較要素(相同株の染色体DNA)を用いることによる同一のハイブリデ−ション条件(0.5M NaPO4 、pH7.2;0.001M EDTA−Na、1%、1%ウシ血清アルブミンおよび7%ドデシル硫酸ナトリウムを用い、65℃で16時間)に関連して把握されるものである。たとえば、プロ−ブによって得られたシグナルが参考株を用いて得られたものと実質的に同じであれば、当該DNAが存在すると考える。
【0028】
一方、そのシグナルがきわめて弱いときには、当該DNAは存在しないと考える。
【0029】
NmおよびNgの病原性に関して第二に考えられるのは、それらが粘膜にすみつき、これを透過し、つぎにそれの上皮下隙を占拠することのできる能力を考慮に入れることである。このプロセスが両病原体に共通の病毒因子に関わっていることはきわめてありうることである。これに関して、NmおよびNgにおいて、pili、PilC蛋白質、混濁蛋白質、IgAプロテア−ゼ、トランスフェリンおよびラクトフェリンに結合する蛋白質、およびリポオリゴ糖などのいくつかの病毒因子がすでに同定されていることは既知である。
【0030】
それゆえ、本発明者らのアプロ−チは、NmおよびNgに特異性であるが非病原性菌種Nlには存在しないNmの領域の探索、ならびに、本発明に従って開発された手段による与えられた菌種に特異的な染色体DNA領域およびそれらの発現産物の一般的研究方法の探索へと拡がった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0116】
以下の実施例において、以下の材料および方法を用いた:
細菌株 − 差引きバンク構築のためには、NmのZ2491株(Achtmanら、1991年、J.Infect.Dis.164,375−382)、MS11株(Swansonら、1974年、Infect.Immun.10,633−644)およびNlの8064株および9764株を用いたが、検討した種の他のいかなる株も使用可能なことはもちろんである。
【0117】
これらバンクの特異性を確認するために、6株のNm、4株のNg、1株のNl(ナイセリア・ラクタミカ)および1株のNc(ナイセリア・シネレア)を用いた。
【0118】
6株のNmは次のものである:、血清グル−プAのNm Z2491、血清グル−プCのNm 8013(XNコレクション)、血清グル−プに分類できないNm 1121(XNコレクション)、血清グル−プAのNm 1912(XNコレクション)、血清グル−プAのNm 7972(XNコレクション)および血清グル−プBのNm 8216(XNコレクション)。
【0119】
4株のNgは次のものである:Ng MS11(パスツ−ル研究所、パリ)、Ng403(パスツ−ル研究所、パリ)、Ng 6934(パスツ−ル研究所、パリ)、Ng WI(播種性淋菌感染例から単離)、Ng 4C1、Ng 6493およびNg FA1090。
【0120】
Nl株はNl 8064およびNl 9764(XNコレクション)であり、Nc株はNc 32165(XNコレクション)である。
【0121】
分子遺伝学的手法
とくに断らない限り、使用した手法および試薬は、サンブルックら(Sambrookら、1989年、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル。コ−ルド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス)により推奨されているものに相応する。この検討において使用したオリゴデオキシヌクレオチドは次のものである:
【0122】
【化1】

【0123】
膜への転移(サザンブロット)
膜への転移は、正荷電ナイロン膜(ベーリンガー・マンハイム)へのキャピラリー転移により実施した。ハイブリダイゼ−ションは、0.5M NaPi、pH7.2/1mM EDTA/7%SDS/1%BSAを含有する溶液中、65℃で実施した。膜の洗浄は、40mM NaPi、pH7.2/1mM EDTA/1%SDSを含有する溶液中で実施した。最終洗浄は、65℃で5分間実施した。
【0124】
frpAの配列に基づいたオリゴヌクレオチドを用いて得られたプローブfrpは、Z2491株遺伝子5’末端の2.4kbに相応するものである。完全遺伝子に相応するプロ−ブopcおよびロータマーゼは、発表されている配列に基づいて作成したオリゴヌクレオチドを用いてZ2491株から作成した。プローブpilC1およびppk(ポリ燐酸キナーゼ)は、それぞれプラスミドpJL1およびpBluePPK6001の挿入片に相応したものである。
【0125】
実施例1:Nmに存在するがNgには存在しないDNAバンクの構築
a.「MboI」バンク
構築 − Nm Z2491のDNAをエンドヌクレアーゼMboIにより切断し、以下CDA(包括的差分析、Comprehensive Difference Analysis)と呼ぶ方法に付し、これを2回反復した。この方法は、Ng MS11のDNAを切断したものの過剰の存在下での差引きハイブリダイゼ−ションならびにNg MS11のDNAとは有意の相同性を欠いているかまたはそれを示さないために再アニーリング(re-anneler)しうる髄膜炎菌配列をもつもののPCRによる増幅を包含する。
【0126】
Ng MS11株の染色体DNAを、皮下注射器を反復通過させてランダムに切断し、サイズが3〜10kbの範囲内になるようにする。これらのDNA断片をフェノ−ル抽出により精製する。
【0127】
Nm Z2491の染色体DNAは、制限酵素MboIにより切断する。これらのDNA断片(20μg)を、10ナノモルのアニーリングさせたオリゴヌクレオチドRBam12およびRBam24に連結する。過剰のプライマーを2%低融点アガロ−スゲル電気泳動により除去する。サイズが200bpを越える増幅断片を含有するゲル部分を切り出し、β−アガラーゼで消化する。これらの断片をフェノ−ル抽出により精製する。
【0128】
差引きハイブリダイゼーション(第一回)の実施のために、オリゴヌクレオチドRBamに連結したNm DNAの0.2μgを、全量8mlのEE3X緩衝液(EE1X緩衝液は、10mM N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(プロパン−3−スルホン酸)および1mM EDTAからなる。そのpHは8.0である。)中で40μgのNg DNAと混合する。この溶液を鉱油で覆い、100℃で2分間加熱してDNAを変性させる。2μlの5M NaClを加え、混合物を55℃で48時間ハイブリダイズさせる。反応混合物を、NaClおよびEE緩衝液からなる前もって加温した溶液で1/10に希釈し、直ちに氷上に置く。
【0129】
この希釈液の10μlを、PCR用反応混合物(10mMトリス−HCl,pH9.0;50mM KCl;1.5mM MgCl2 ;0.1%トライトンX100;各々0.25mMの4種のデオキシヌクレオチド三燐酸;50単位/mlのTaqポリメラ−ゼ)400μlに加える。混合物を70℃で3分間インキュベートして、髄膜炎菌DNAの再アニーリングした断片の末端を補って完全化する。
【0130】
94℃で5分間の変性および100μl当たり0.1ナノモルの割合でのオリゴヌクレオチドRBam24の添加ののち、ハイブリダイゼーション産物をPCR(94℃で1分間、70℃で1分間および72℃で3分間を30サイクル、続いて94℃で1分間および72℃で10分間;パーキン・エルマーGeneAmp 9600)により増幅する。
【0131】
増幅された髄膜炎菌断片を、プライマ−および高分子量淋菌DNAのゲルで分離する。それらをMboIにより消化し、再度オリゴヌクレオチドJBam12およびJBam24に連結する。これらの連結されたDNAを再度ゲルおよびフェノ−ル抽出により精製する。
【0132】
ランダムに切断したNg DNA 40μgおよび第一回の差引きハイブリダイゼーションから得られたJBamオリゴヌクレオチド連結DNA 25ngについて二回目の差引きハイブリダイゼーションを実施する。この第二回反復の時には、自己アニーリングしたNm DNAの増幅を、オリゴヌクレオチドJbam24を用いて実施する。
【0133】
特異性 − それらのNm特異性を確認するために、第二回CDA法反復後の増幅された配列を標識し、6株の髄膜炎菌、4株の淋菌、1株のナイセリア・ラクタミカおよび1株のナイセリア・シネレアからなるパネルに由来するClaI消化DNAに対するプローブとして用いる。
【0134】
実施したサザンブロットにより、第二回CDA法反復後の増幅された配列が髄膜炎菌に相応する多くのバンドと強い反応性を示すが、Ng、Nl、Ncの諸株に相応するバンドとの反応性は示さないことが証明される。
【0135】
それゆえ、「MboI」バンクはNm特異的であると思われる。
【0136】
網羅性 − バンクの網羅性を検定するために、第一回および第二回のCDA法の反復で生じた生成物の全体ならびにNm Z2481およびNg MS11の初期染色体材料をアガロースゲル電気泳動に付し、膜に移し、髄膜炎菌特異的であることが既知の遺伝子、すなわちfrp、opc、ロータマーゼを含むプローブと接触させる(サザンブロット)。
【0137】
これらのハイブリダイゼーションから、Nm特異的遺伝子frpがMboIバンクにおいて600bpの断片により表されるが、ロータマーゼおよびopc遺伝子についてはいかなる活性も認められないという結果が得られる。それゆえ、MboIバンクは、Nm特異的であるにも拘らず、網羅的であると考えることはできない。
【0138】
しかしながら、高い特異性が得られたので、MboIバンクのためのCDA法の第二回反復で生じた断片を、プラスミドpBluescriptのBamHI部位にクロ−ニングすることができる。
【0139】
Nm特異的遺伝子のいずれかに対応する配列は、それが適当なサイズの制限断片により担持されている場合にのみ、当該差引きバンク中に含まれうる。この条件は、2つの因子によって左右される。第一に、より大きい断片が完全にNm特異的である確率は低い。第二に、そのような断片が存在していたとしても、断片のサイズの増大とともに増幅効率が低下するというPCR手法の限界のために、それら断片がバンク中に不十分にしか出現しない。約600bpを越えるサイズの断片はバンク中に含まれない。Nm Z2491の染色体中に適当なサイズのMbo断片が存在しないために、ロータマーゼおよびopc遺伝子はバンク中に含まれえない。いかなる酵素も、それ単独では、何らかのNm特異的遺伝子に対応する小さい断片を製出することができない。それゆえ、特異性の異なる別の制限酵素Tsp509を用いて、第二のバンクを構築した。
【0140】
b.「Tsp509I」バンク
構築 − 酵素Tsp5091には、酵素MboIよりも小さいサイズ(約1kb未満)の断片を製出することができるという利点がある。
【0141】
Tsp509Iは配列AATTを認識し、EcoRIに適合する4塩基配列を5’突出端に残す。使用するオリゴヌクレオチドはReco、JecoおよびNEcoである。
【0142】
従った方法は、上記「MboI」バンクの構築のために従った方法と一致している。ただし、Tsp509Iにより製出されたより低分子量断片の数がより多いのを相殺するために、差引きハイブリダイゼーションの第一反復のために、より多量の髄膜炎菌DNAを用いた。第一反復のためには、400ngのNm DNA断片を、第二反復のためには、25ngのNm断片を、40μgのランダム切断Ng DNA断片とともに、差引きハイブリダイゼ−ションに付す。
【0143】
この「Tsp509I」バンクの構築のため、切断Ng DNA 40μgおよびTsp509I消化と第二反復から得られた断片のアダプターNEcoへの再連結とによって得られたNm断片0.2ngを用いて、対照として、差引きハイブリダイゼーションの第三反復を実施する。
【0144】
特異性 − 先のバンクについて記載した通りにして、CDA法の第二反復で生じた生成物を標識し、ナイセリア諸株からなるパネルに対するプロ−ブとして利用する。
【0145】
図1Aは、CDA法の第二反復の生成物の、つぎのもののClaI消化DNAとのサザンブロットハイブリダイゼ−ションを示している:Nm(レ−ンa)、Ng MS11(レ−ンb)、Nm 8013(レ−ンc)、Ng 403(レ−ンd)、Nm 1121(レ−ンe)、Ng 6934(レ−ンf)、Nm 1912(レ−ンg)、Ng WI(DGI株)(レ−ンh)、Nm 7972(レ−ンi)、Nl 8064(レ−ンj)、Nc 32165(レ−ンk)、Nm 8216(レ−ンl)。
【0146】
すべてのNm株について観察された強い反応性とは反対に、Ng、NlおよびNcの諸株については弱い反応性が認められるかまたはいかなる反応性も認められない。
【0147】
該バンクの特異性を、まず、CDA法の3回の反復の各々から生じた生成物の膜への転移(サザンブロット)をpilC1およびppkに相応するプロ−ブと反応させて調べた。これら2つの遺伝子はNmとNgとに共通している。
【0148】
図1Bは、Tsp509で消化したNm Z2491およびNg MS11の染色体ならびにCDA法の反復の各々から生じた生成物の電気泳動後のアガロ−スゲルを示している。
【0149】
レーンaには、Nmの染色体1μgを、レーンbにはNgの染色体1μgを、レーンcにはCDAの第一反復で生じた生成物0.15μgを、レーンdには第二反復で生じた生成物0.1μgを、レーンeには第三反復で生じた生成物0.05μgを、それぞれ置いた。MWは分子サイズマーカーを表している。
【0150】
図1Cおよび1Dは、膜への転移(サザンブロット)およびpilC1(図1C)およびppk(図1D)とのハイブリダイゼ−ションののちの図1Bについて記載したのと同様にして得られたゲルを表している。
【0151】
CDA法の第二反復ののち、遺伝子pilC1およびppkに相応する配列はバンクから完全に排除されている。
【0152】
網羅性− 該バンクの網羅性を、差引きハイブリダイゼーションで生じた生成物をNm特異性の3遺伝子(frp、ロータマーゼおよびopc)に相応するプロ−ブと反応させることにより調べた。
【0153】
これらのNm特異性プロ−ブは、差引きハイブリダイゼ−ションの第一および第二反復で生じた増幅産物と反応する。
【0154】
図1E、1Fおよび1Gは、膜への転移(サザンブロット)およびfrpA(図1E)、ロータマーゼ(図1F)およびopc(図1G)とのハイブリダイゼーションののちの図1Bについて記載したのと同様にして得られたゲルを表している。
【0155】
しかし、差引きハイブリダイゼーションの第三反復は、Nm特異性配列の喪失をもたらす。なぜなら、ロータマーゼ遺伝子およびopc遺伝子と反応する断片がこの第三反復には欠けるからである。
【0156】
これらのデータの全体を考慮するとき、CDA法の第二反復で生じた産物はNm特異性であり、Nm特異性配列の網羅的バンクを構成してもいるということになる。
【0157】
この第二反復で生じた産物を、改めて、プラスミドpBluescriptのEcoRI部位にクローニングする。
【0158】
Tsp509Iにより製出されたバンクは、酵素によるより小さい制限断片の産生に基づく理論的考察から推測されるように、MboIにより産生されたバンクよりも網羅的である。
【0159】
この見地からは、Tsp509IバンクはMboIバンクよりも冗長さがより少ないこと、すなわちそれが包含するクロ−ンの重複がより少ないことにも注目すべきである。Tsp509Iバンクの86%が異なる配列に相応するが、MboIバンクではクロ−ンの43%が異なる配列に対応するだけである(データは示さない)。
【0160】
それゆえ、Tsp509Iにより製出されたバンクは、Nm特異的クロ−ンの源を構成する。
【0161】
実施例2:差引きバンクのクローンの分析
Nm特異的DNAのクローニングおよび配列決定
差引きバンクのDNAを、プラスミドpBluescriptのBamHI(MboIバンク)またはEcoRI(Tsp509Iバンク)のレベルでクローニングしたのち、大腸菌DH5αを形質転換する。挿入片を、プライマーM13−50およびM13−40を用いて形質転換コロニーについてPCRを実施して増幅する。後者のプライマーはその5’末端がビオチニル化されている。
【0162】
配列決定は、各PCR産物につき、ビオチニル化された鎖とビオチニル化されていない鎖を分離後、ストレプトアビジンを用いるダイナビーズM−280システム(ダイナール社、オスロ)を用いて実施した。それらの配列を、コンピュータープログラムBlastnおよびBlastx(NCBI、USAおよびファスタ)を用い、先に発表されている配列とのそれらの相同性に従って選別する。
【0163】
上記の通りプライマーM13−40およびM13−50を使用した後の形質転換細菌コロニーからのPCR産物を、ランダムプライミングによるα−32P−dCTPの組み込みにより標識し、上記の通りに、Nm Z2491およびNg MS11株のClaIにより消化した染色体DNAの膜への転移のためのプローブとして使用して、それらの特異性を確認しようとした。
【0164】
Nm Z2491株染色体上のクローンの地図の作成
「MboI」バンク(文字Bで表わす)の17クローンおよび「Tsp5091」バンク(文字Eで表わす)の16クローンを用いて実施した検討の結果を報告する。これらのクローンの各々は、非反復配列を有しており、Ngには対応するものがない。
【0165】
Nm特異性クローン産物に対応するDNAの配列の位置を、パルスフィールド電気泳動(PFGE)に付したアガロースゲルの膜への転移(サザンブロット)を用い、発表されているNm Z2491の染色体地図(Dempseyら、1995年、J.Bacteriol.177,6390−6400)と比較し、決定した。
【0166】
それらNm特異的クロ−ンを、稀な切断部位を示す酵素、すなわちPacI、PmeI、SgfI、BglII、SpeI、NheIおよびSgfIで消化したNm Z2491のDNAの膜上でのハイブリダイゼーション(サザンブロット)のためのプロ−ブとして利用する。
【0167】
ゲル(20×20cm)は、TBE 0.5X緩衝液中の1%アガロースゲルで、5秒と35秒との間で直線状に変動するパルスタイムに従い、6V/cmで36時間電気泳動に付した。
【0168】
膜上でのハイブリダイゼーション(サザンブロット)は、先に記載した通りに実施した。
【0169】
得られた結果を図2に示す:発表されている地図上の対応するサイズの断片の位置と比較して、反応性が局在化されていた。Dempseyら(先に引用)により地図に記入された遺伝標識形質(マーカー)の全体の位置は、線状染色体地図上に点によって表示してある。先行開示されているNmに特異的な遺伝子は星印によって示されている。「frp」と呼ばれる2つの座は、frpAおよびfrpC遺伝子に相応する。「pilC」座(複数)はpilC1およびpilC2遺伝子に相応し、これら遺伝子は相同性遺伝子対であるが、地図上では区別されていない。本発明のNmに特異的なクロ−ンの位置の正確さは、反応性制限断片の一部が重なり合うことによる。平均して、その位置は+/−20kbである。
【0170】
この地図作成は、Nmに特異的な配列のランダムではない分布を明らかにしている。Nmに特異的な配列の大部分は、異なる3群に属している。これらの群の1つ(領域1)は、先に記述した莢膜に関係する遺伝子の位置に相応している。 下記が識別される:
− E109、E138、B230およびB323を領域1であるとして、
− B322、B220、B108、B132、B233、B328、E139、E145およびB101を領域2であるとして、そして、
− B306、E114、E115、E124、E146、E120、E107、E137およびE142を領域3であるとして。
【0171】
髄膜炎菌に特異的であると確認された配列の63%が、これら3つの異なる領域の内部に局在している。
【0172】
この結集は、先行開示されているNmに特異的な遺伝子(frpA、frpC、porA、opcおよび莢膜に関係する領域)の分布と対照をなしている。
【0173】
この先行技術は、実際、Nmに特異的な遺伝子が、機能的に莢膜に関係する遺伝子を除いて、染色体に沿って分散していることを示唆していた。
【0174】
染色体上のNmに特異的な配列の地図作成は、先行技術と比較して予想できない結果へと導いている。
【0175】
検討した髄膜炎菌株と淋菌株との間の遺伝的差の大部分は、異なる3つの群に結集されている。
【0176】
領域1は、髄膜炎菌の莢膜に関連する遺伝子を結集している。
【0177】
他の領域の遺伝子の機能は未知であるが、発表されている配列との相同性(表1)は、領域3のいくつかの遺伝子とバクテリオファージのトランスポザーゼ蛋白質および調節蛋白質との間の類似性を示唆している。いかなる髄膜炎菌ウイルスも確認されておらず、これらの配列がファージ起源のものであろうと想像するのは魅力的なことである。興味あることに、インフルエンザ菌のゲノムも、ファージMuの調節蛋白質Nerの配列と相同性の配列を含んでいるが、機能的遺伝子であるかどうかは未知である。
【0178】
クローンB208は、TonB依存性のフェリックシデロフォアに結合する蛋白質のクラス中に保存されている領域のクローン(ドメインIII)と高い相同性(33アミノ酸について48%同一、91%相同)を示す。
【0179】
このクロ−ンがNmに特異的な遺伝子porAならびにfer frp(鉄)により調節される遺伝子に近接していること、およびとくにそれが外膜表面に露出したNmに特異的な受容体蛋白質である可能性は、それをさらに詳しく研究するためのよき候補ならしめる。
【0180】
クローンB339は、Nmに特異的な挿入配列IS1106に相応する。
【0181】
クローンB134とアエロモナス(Aeromonas) の挿入配列との間のわずかな相同性ならびにNmの種々の株の間でのクローンB134の重複コピ−の存在は、それが新しいタイプのNm特異性挿入配列を表わしている可能性を示唆する。
【0182】
Nmに特異的なクローンを含む領域が大腸菌およびペスト菌について先に記述した通りの病原性区画に相応する可能性は、とくに興味あるものである。
【0183】
この発明において単離されたクローンは、より大きい染色体断片のクローニングおよび配列決定を可能ならしめることにより、そして直接的に、遺伝子座変異のためのそれらの利用により、Nm特異的領域の直接関連性をよりよく理解することを可能ならしめる。
【0184】
最後に、微生物の病原性に関与している可能性のある髄膜炎菌特異性遺伝子を検出することにより、抗髄膜炎菌ワクチンの利用できる適切な抗原に照準を当てることが可能になる。
【0185】
本発明方法の有効性および迅速性のため、似通った2つの病原体に固有の表現型の原因となっている遺伝的差を探究する多くの場面で該方法を使用することが可能となる。
【0186】
ナイセリア諸株からなるパネルに対する領域1、2および3のクローンの反応性の検討
クローンの各々の挿入断片に対応するPCR産物を集め、Nm、Ng、NlおよびNcの諸株からなるパネルに対する膜上ハイブリダイゼーション(サザンブロット)のプローブとして使用した。
【0187】
領域1および2は、髄膜炎菌の各々について限られた数のバンドを生じさせる。このことは、これらの領域が、Nmに特異的であると同時に、髄膜炎菌のすべてに共通していることを示唆している。
【0188】
図3は、ナイセリア諸株からなるパネルに対する領域1、2および3のクローンの反応性を示している。領域1(図3A)、領域2(図3B)および領域3(図3C)のクローンを同時に、髄膜炎菌、淋菌からなるパネルならびにNlおよびNcの各1株に対するプローブとして用いた。
【0189】
レーンはつぎの通りである:レーンaがNm Z2491の、レーンbがNgMS11の、レーンcがNm 8013の、レーンdがNg 403の、レーンeがNm 1121の、レーンfがNg 6934の、レーンgがNm 1912の、レーンhがNg WI(DGI株)の、レーンiがNm 7972の、レーンjがNl 8064の、レーンkがNc 32165の、レーンlがNm 8216の各DNA。
【0190】
見事なことに、領域3は血清グループAの髄膜炎菌のみと反応性を示す。この領域3は、それゆえ、Nmのサブグループに特異的である。
【0191】
クローン化された領域の可能性ある機能を評価するために、データバンクで既知の配列との比較を実施した。
【0192】
つぎの表1は、染色体地図上の特異的クロ−ンの位置および既知配列との相同性を示している。
【0193】
【表1A】

【0194】
【表1B】

【0195】
【表1C】

【0196】
括弧内は、プログラムBlastxにより与えられたままの見出された相同性の有意性である。
【0197】
*)指数「1」、「2」または「3」の付されたクローンはそれぞれ髄膜炎菌Z2491の染色体の領域「1」、「2」または「3」のものである。
【0198】
+)E109とE138とは隣接クロ−ンである。§)B306とE115とは一部が重なり合っている。#)B236はargF領域で弱い反応性を示しもする。q)クローンE103はTsp509I部位を含み、従って、2つの挿入断片を含みうるが、それは髄膜炎菌Z2491の染色体のClaI(Oks)断片としか反応せず、地図上で1つの位置しか占めないので、ここにはこのクローンが含められている。
【0199】
まず最初に、領域1のクローンがすべて莢膜の生合成に関与する遺伝子に相応していることがわかる。これらの遺伝子は、先に、血清グループBのNmのあいだで研究されている(Froschら、1989年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,1669−1673およびFroschら、1993年、Mol.Microbiol.,483−493)。
【0200】
セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens )の溶血素活性化物質との弱い相同性を除けば、領域2のクローンは、DNAレベルでも蛋白質レベルでも、発表されている配列とはいかなる有意の相同性も示さない。
【0201】
領域3のクローンの2つは、DNAに結合する蛋白質、とくにバクテリオファージの調節蛋白質およびトランスポザーゼ蛋白質との興味ある相同性を示す。
【0202】
クローンB208は、あるクラスの受容体(TonB依存性フェリックシデロフォア)中に保存された領域の1つと強い相同性を示す。
【0203】
クローンB134およびB339は、染色体の多く(それぞれ少なくとも5つおよび少なくとも8つ)の領域とハイブリダイズする。
【0204】
配列に関するデータは、クローンB339がNmに特異的な挿入配列S1106に相応することを示している。
【0205】
クローンB143の翻訳産物は、アエロモナス(Aeromonas) の1つの挿入配列(SAS2)のトランスポザ−ゼ(Gustafsonら、1994年、J.Mol.Biol.237,452−463)と限られた相同性を示す。我々は、膜への転移(サザンブロット)により、このクローンが、試験したパネルの各髄膜炎菌の染色体中の重複コピーとして存在するNmに特異的な存在であることを証明できた。
【0206】
他のクローンは、発表されているナイセリアの配列と有意の相同性を示さず、しかも、発表されているいかなる配列とも相同性を示さない。それゆえ、これらのクローンは、単離された他のクローンの大部分とともに、全く新規なNm特異的遺伝子座のバンクを構成する。
【0207】
実施例3Nm染色体の領域2の研究
領域2の配列決定および特性描写
血清グループA、サブグループIV−1のZ2491株の染色体DNAを用いてのPCRによる増幅を、領域2のクローンの配列の各々から作成したオリゴヌクレオチドプローブを用い、多くの異なる組合せに従って、実施する。チェインターミネーター手法ならびに自動配列決定(ABI373または377)を利用し、2本鎖から出発して、重なり合うPCR産物の配列を決定する。
【0208】
すぐに使用できるクローンの限界を越えて配列を延長するために、Z2491株の15kbのSauIIIA部分断片をラムダDASH−II(ストラタジーン)中にクローン化する。
【0209】
領域2に重なる挿入断片を含むファージを、この領域のクローンをプローブとしたハイブリダイゼーションにより確認する。挿入DNAを、挿入断片の両末端から配列決定し、これらの配列を、ファージDNAを増幅しないで直接染色体DNAを増幅するのに役立つ新規なプライマーを作成するのに利用する。
【0210】
これら新規プライマーおよび以前から利用可能な配列のプライマーを用いることにより、染色体DNAの増幅が達成される。
【0211】
これらのPCR産物も、2本鎖から出発して配列を決定する。これにより、15620bpの完全配列に至る(配列番号36)。この配列の、ATGまたはGTGで始まり、高いコドン使用率により特徴付けられる読み取り枠を分析する。この分析により、15620bpの配列の大部分を満たす7つのORF(open reading frame)が明らかになる。これらのORFはつぎのものである:
【0212】
【化2】

【0213】
ORF−4は、コドンGTGで始まり、同じ読み枠(10127−12118、フレ−ム2)中のそれよりもわずかに小さくてコドンATGに始まるORF(配列番号41)に重なる。
【0214】
ORF−4は、細菌毒素(ピオシン、コリシン)または細菌の真核細胞蛋白質への接着に関与する表面蛋白質であるピオシン(緑膿菌)、コリシンおよびインチミン(大腸菌)を包含するポリペプチドファミリーと構造上の相同性を示す蛋白質をコ−ドする。ORF−7は、配列中に潜在的膜貫通領域を含み、細菌のペリプラズム蛋白質または外膜中にはさみ込まれる蛋白質と構造上の相同性を示す蛋白質をコードする。ORF−4およびORF−7の構造上の相同性は、プログラムPropSearchを用いて確認した。
【0215】
プログラムBLASTを用いてのGenBank中の他のORFと相同性の配列の検索により、ORF−2のN末端領域と百日咳菌の繊維状ヘマグルチニンBとの間の相同性(352アミノ酸について類似43%、同一36%)およびORF−1と百日咳菌のfhaCde蛋白質との間の相同性(401アミノ酸について類似35%、同一27%)が明らかにされた。ORF−1とORF−2とは、Z2491株中での隣接遺伝子であり、百日咳菌の繊維状ヘマグルチニンBとfhaCとは百日咳菌中での隣接遺伝子であり、このことは、これらの相同性が機能上の相同性を反映している可能性を強めるものである。
【0216】
Nmに対する領域2の特異性の確認
領域2の諸クローンの配列から出発して作成したオリゴヌクレオチドプライマーを用いて領域2のいろいろな部分のPCRによる増幅によって得られたDNAプローブを用いて、サザンブロットを実施した。
【0217】
図4に、これらオリゴヌクレオチドのおおよその位置を示した。
【0218】
ORF−1の半分には、R2001(配列番号46)およびR2002(配列番号47)と呼ぶオリゴヌクレオチドが、ORF−1の半分+ORF−2の大部分には、オリゴヌクレオチドB332a(配列番号48)、e139a(配列番号49)、b132a(配列番号50)およびb233b(配列番号51)が、ORF−4の1/3+ORF−5〜7には、オリゴヌクレオチドe145a(配列番号52)およびb101a(配列番号53)がある。
【0219】
つぎのハイブリダイゼ−ション条件のもとで3回のサザンブロットを実施する:
65℃で16時間、
NaPO4 0.5M、pH7.2
EDTA−Na 0.001M
ドデシル硫酸ナトリウム1%。
【0220】
洗浄のためには、65℃で10分間加熱し、0.5M NaPO、pH7.2;0.001M EDTA−Na、1%ドデシル硫酸ナトリウムを用いる。
【0221】
図5、6および7は、それぞれ、上に述べたORF部分の各々を用いて得られたサザンブロットを示している。
【0222】
サザンブロットの各々において、14のレ−ンはそれぞれ下記に対応している:
1:MS11(Ng)
2:403(Ng)
3:FA1090(Ng)
4:W1(Ng)
5:6493(Ng)
6:マーカー(ラムダHindIII)
7:Z2491(Nm,グループA)
8:7972(Nm グループA)
9:8013(Nm,グループC)
10:1121(グループ分けできないNm)
11:1912(Nm,グループB)
13:32165(Nc)
14:8064(Nl)
これらの実験ではナイセリア諸株からなるパネルを用い、各々のウエルには類似した量の消化DNAを加えているから、これら3回のサザンブロットは、領域2に相応する配列が試験した髄膜炎菌のすべてにあること、および試験した諸株のNgのゲノム中には有意の相同性配列がないことをはっきりと示している。
【0223】
実施例4Nmのゲノムの、Nlにはなく、Ngとは共通の領域の同定
実施例1に記載した手法に従い、ただし1株のNm(Z2491)および2株のNl(XNコレクション)用い、同量のDNAを混合して、操作する。
【0224】
RおよびJのプライマー系列を用いて2回の差引きを実施する。このようにして、3つの異なるバンクを構築する。
【0225】
BamおよびEcoと呼ぶ2つのバンクは、それぞれ、Nm Z2491の染色体DNAをMboIおよびTsp5091により消化することによって得る;Nmの染色体DNAのMspI消化に由来するClaと呼ぶ第三のバンクは、プライマーRMsp10、RMsp24、JMsp10およびJMsp24のセットを用いて得る。使用プライマーの集合を、つぎの表2に示す。
【0226】
【表2】

【0227】
2回の差引きののち、各増幅産物全体を標識し、プローブとして利用する。
【0228】
それらの差引きバンクのチェックを、12株のナイセリア(ClaI切断染色体DNA)からなるパネルについてサザンブロットにより実施する。ハイブリダイゼーション条件は、実施例1で示したものと同一である。
【0229】
これらのサザンブロットを図8A〜8Cに示す。それらの図はそれぞれ、MboI/BamHIバンク、MspI/ClaIバンクおよびTsp5091/EcoRIバンクに対応している。
【0230】
12のレ−ンはそれぞれ下記に対応している:
【0231】
【化3】

【0232】
サザンブロット試験は、各バンクに含まれている配列がNmに特異的であり、Nlにはないことを示している。さらに、Ngの諸株を用いて観察された反応性は、これら配列のいくつかがNgに存在することを示唆している。
【0233】
これらのバンクの各々をつぎに、Bamの場合にはpBluescriptのBamHI部位に、Ecoの場合にはEcoRI部位に、Claの場合にはClaI部位にクローン化した。それらクローンのNmゲノムに対する特異性を確認するために、個々のクローンの制限およびそれらの放射性標識を実施した。NmおよびNgに対して同時に反応性を示すクローンを、のちの研究のために保存した。これらのクローンを図9、10および11に示す。それらの図は、Nm、NlおよびNgに対するBamバンクの5クローン(図9)、Ecoバンクの16クローン(図10)およびClaバンクの13クローン(図11)のプロフィールを示している。
【0234】
普遍プライマーおよび逆方向プライマーを用いて、これらのクローンの配列を決定した。以下の通りである:
− Bamクローン
140bpの不完全B11(配列番号66)、425bpと推定される不完全B13(配列番号67)、181bpのB26(配列番号68)、307bpのB33(配列番号69)、243bpのB40(配列番号70)、
− Claクロ−ン
280bpのC16(配列番号72)、365bpと推定される不完全C20(配列番号73)、645bpと推定される不完全C24(配列番号74)、245bpと推定される不完全C29(配列番号75)、381bpのC34(配列番号76)、269bpのC40(配列番号77)、203bpのC42(配列番号78)、229bpのp C43(配列番号79)、206bpのC45(配列番号80)、224bpのC47(配列番号81)、212bpのC62(配列番号82)および900bpと推定されるC130(5’...)(配列番号83)ならびに
− Ecoクロ−ン
308bpのE2(配列番号84)、170bpと推定される不完全E5(配列番号85)、300bpと推定される不完全E22(配列番号86)、273bpのE23(配列番号87)、271bpのE24(配列番号88)、268bpのE29(配列番号89)、275bpと推定される不完全E33(配列番号90)、365bpと推定される不完全E34(配列番号91)、260bpのE45(配列番号92)、380bpを越えると推定されるE59(配列番号93)、308bpのE78(配列番号94)、286bpのE85(配列番号95)、238bpのE87(配列番号96)、320bpを越える不完全E94(配列番号97)、320bpを越える不完全E103(配列番号98)および217bpのE110(配列番号99)。
【0235】
各々のクローンの地図作成を、Nm Z2491の染色体上で、実施例2で記載した通りにして実施した。得られた結果を、図2の右側部分に示す。これらのクローンが4および5と呼ぶ領域に対応することが確認される。それゆえ、これらの領域は、NmおよびNgに同時に存在するがNlにはない配列から構成されている。従って、それらは、初期のすみつきと粘膜貫通の原因となる病毒因子をコ−ドする配列であると考えられる。領域4は、Nm 2491の染色体上のargFとregFとの間に、領域5はラムダマ−カ−375とpenAとの間に位置している。この領域は、おそらく、変異体Opaおよびトランスフェリン結合蛋白質をコ−ドする配列を含んでいると思われる。
【0236】
データバンクの既知の配列との比較から、50%の確率で、領域4中ではクローンC130のみが相同性を、すなわちMspIメチラーゼと相同性を示す。領域5では、クローンC8、E2、B40、C45、E23およびE103について、いかなる既知配列との相同性も見出されなかった。他のクロ−ンについての相同性はつぎの通りである:
B11 アルギニンデカルボキシラ−ゼSpeA;C29 アルギニンデカルボキシラ−ゼSpeA;C62 オキソグルタル酸/リンゴ酸トランスポーター;反復DNAエレメント;E34 DNAの反復エレメント;E94 マウスエンドペプチダーゼMepA;C47 クエン酸シンターゼPrpC;E78 クエン酸シンターゼPrpC
実施例5:生体試料中に1つ以上の髄膜炎菌株が存在することの証明
脳脊髄液、尿、血液、唾液タイプの生体試料を採取する。
【0237】
濾過および抽出ののち、この試料中に存在するDNAをゲル電気泳動に付し、サザンブロッティングにより膜へ移行させる。
【0238】
配列番号5の32P標識により構成されたヌクレオチドプローブをこの転移膜とともにインキュベートする。
【0239】
オートラジオグラフィーののち、反応性バンド(単数または複数)の存在により、試料中の髄膜炎菌の存在を診断できる。
【0240】
実施例6:抗髄膜炎菌を目的とした予防をそのスペクトル中に含み、あらゆる形態の髄膜炎菌感染を防止するためのワクチン組成物
配列番号10を含む配列によりコードされたペプチドは毒素に結合される。
【0241】
そこで、この結合ペプチドを、抗ヘモフィルスおよび抗肺炎双球菌ワクチンまたは他の任意の小児用ワクチンを含有する組成物に加える。
【0242】
生じた組成物は、滅菌後、非経口的に、皮下にまたは筋肉内に注射できる。
【0243】
この同じ組成物を、噴霧によって粘膜に適用することもできる。
【0244】
(配列表)
【0245】
【化4】

【0246】
【化5】

【0247】
【化6】

【0248】
【化7】

【0249】
【化8】

【0250】
【化9】

【0251】
【化10】

【0252】
【化11】

【0253】
【化12】

【0254】
【化13】

【0255】
【化14】

【0256】
【化15】

【0257】
【化16】

【0258】
【化17】

【0259】
【化18】

【0260】
【化19】

【0261】
【化20】

【0262】
【化21】

【0263】
【化22】

【0264】
【化23】

【0265】
【化24】

【0266】
【化25】

【0267】
【化26】

【0268】
【化27】

【0269】
【化28】

【0270】
【化29】

【0271】
【化30】

【0272】
【化31】

【0273】
【化32】

【0274】
【化33】

【0275】
【化34】

【0276】
【化35】

【0277】
【化36】

【0278】
【化37】

【0279】
【化38】

【0280】
【化39】

【0281】
【化40】

【0282】
【化41】

【0283】
【化42】

【0284】
【化43】

【0285】
【化44】

【0286】
【化45】

【0287】
【化46】

【0288】
【化47】

【0289】
【化48】

【0290】
【化49】

【0291】
【化50】

【0292】
【化51】

【0293】
【化52】

【0294】
【化53】

【0295】
【化54】

【0296】
【化55】

【0297】
【化56】

【0298】
【化57】

【0299】
【化58】

【0300】
【化59】

【0301】
【化60】

【0302】
【化61】

【0303】
【化62】

【0304】
【化63】

【0305】
【化64】

【0306】
【化65】

【0307】
【化66】

【0308】
【化67】

【0309】
【化68】

【0310】
【化69】

【0311】
【化70】

【0312】
【化71】

【0313】
【化72】

【0314】
【化73】

【0315】
【化74】

【0316】
【化75】

【0317】
【化76】

【0318】
【化77】

【0319】
【化78】

【0320】
【化79】

【0321】
【化80】

【0322】
【化81】

【0323】
【化82】

【0324】
【化83】

【0325】
【化84】

【0326】
【化85】

【0327】
【化86】

【0328】
【化87】

【0329】
【化88】

【0330】
【化89】

【0331】
【化90】

【0332】
【化91】

【0333】
【化92】

【0334】
【化93】

【0335】
【化94】

【0336】
【化95】

【0337】
【化96】

【0338】
【化97】

【0339】
【化98】

【0340】
【化99】

【0341】
【化100】

【図面の簡単な説明】
【0342】
【図1】図1A、1B、1C、1D、1E、1Fおよび1Gは、差引きバンクTsp5091の分析結果を示す。
【図2】図2は、Ngと比較してのZ2491株の染色体上のNm特異的配列の分布(左部分)およびNlと比較してのNm特異的配列の分布(右部分)を示す。
【図3】図3A〜3Cは、本発明に従った染色体の3領域のクロ−ンのナイセリア属株標本パネルに対する反応性を示す。
【図4】図4は、プロ−ブとして用いたオリゴヌクレオチドのNmの染色体の領域2における位置を示す。
【図5】Nmの領域2の部分をプロ−ブとして用いたときの、ナイセリア属標本パネルのサザンブロットを示す。
【図6】Nmの領域2の部分をプロ−ブとして用いたときの、ナイセリア属標本パネルのサザンブロットを示す。
【図7】Nmの領域2の部分をプロ−ブとして用いたときの、ナイセリア属標本パネルのサザンブロットを示す。
【図8】図8A〜8Cは、12株からなるナイセリア標本パネルについての、3つの差引きバンクを用いたサザンブロットを示す。
【図9】Nm、NlおよびNgに対する3つの差引きバンクのクロ−ンの反応性を示す。
【図10】Nm、NlおよびNgに対する3つの差引きバンクのクロ−ンの反応性を示す。
【図11】Nm、NlおよびNgに対する3つの差引きバンクのクロ−ンの反応性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
髄膜炎菌(以下Nmと表示)に存在するが淋菌(以下Ngと表示)にもナイセリア・ラクタミカ(以下Nlと表示)にも存在しないところの、読み取り相をもつ遺伝子(ただし、多糖性莢膜、frpA、frpC、opc、porA、ロ−タマ−ゼ、配列IS1106、IgAプロテア−ゼ、ピリン、PilC、トランスフェリンに結合する蛋白質、および混濁蛋白質の生合成に関わる遺伝子を除く)の全部または一部であることを特徴とするDNA。
【請求項2】
Nmには存在するが、Ngには存在しないことを特徴とする請求項1記載のDNA。
【請求項3】
Nm Z2491の染色体上のtufAとpilTとの間、すなわち該染色体の領域1に存在する1つ以上の配列および/または該配列とハイブリダイズしうる1つ以上のヌクレオチド配列を含有することを特徴とする請求項2記載のDNA。
【請求項4】
NgはMS11株であり、NlはNl8064株である、請求項1記載のDNA。
【請求項5】
Nm Z2491の染色体上のpilQとλ740との間、すなわち該染色体の領域2に存在する1つ以上の配列および/または該配列とハイブリダイズしうるヌクレオチド配列を含有することを特徴とする請求項2記載のDNA。
【請求項6】
Nm Z2491の染色体上のargFとopaBとの間、すなわち該染色体の領域3に存在する1つ以上の配列および/または該配列とハイブリダイズしうるヌクレオチド配列を含有することを特徴とする請求項2記載のDNA。
【請求項7】
それの配列の全部または一部が、配列番号9、13、22または30に相当し、および/または、配列全体として、あるNm株の染色体上のこの配列番号の前後20kb以内に位置し、および/または、これらの配列のいずれかの少なくとも1つの断片とハイブリダイズしうることを特徴とする請求項3記載のDNA。
【請求項8】
それの配列の全部または一部が、配列番号1、2、4、6、7、10、15、31または34に相当し、および/または、配列全体として、あるNm株の染色体上のこれら配列番号の前後20kb以内に位置し、および/または、これらの配列のいずれかの少なくとも1つの断片とハイブリダイズしうることを特徴とする請求項5記載のDNA。
【請求項9】
配列番号36のDNA配列の全部または一部あるいは配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45の読み取り枠(オ−プンリ−ディングフレ−ム)に相当する、および/または配列全体として、あるNm株の染色体上のこれら配列番号の前後20kb以内に位置する、および/または、これらの配列のいずれかの少なくとも1つの断片とハイブリダイズしうる配列の全部または一部であることを特徴とする請求項5記載のDNA。
【請求項10】
それの配列の全部または一部が、配列番号8、21、23、25、26、28、29、32または35に相当し、および/または、配列全体として、あるNm株の染色体上のこれら配列番号の前後20kb以内に位置し、および/または、これらの配列のいずれかの少なくとも1つの断片とハイブリダイズしうることを特徴とする請求項6記載のDNA。
【請求項11】
それの配列の全部または一部が、配列番号3、5、11、12、14、16、18、19、20、24、27または33に相当し、および/または、配列全体として、あるNm株の染色体上のこの配列番号の前後20kb以内に位置し、および/または、これらの配列のいずれかの少なくとも1つの断片とハイブリダイズしうることを特徴とする請求項2記載のDNA。
【請求項12】
Ngのそれらとは共通であるが、Nlには存在しないことを特徴とする請求項1記載のDNA。
【請求項13】
Nm Z2491の染色体上のargJとregFとの間、すなわち該染色体の領域4に存在する1つ以上の配列および/または該配列とハイブリダイズしうるフクレオチド配列を含有することを特徴とする請求項12記載のDNA。
【請求項14】
Nm Z2491の染色体上のラムダ375とpenAとの間、すなわち該染色体の領域5に存在する1つ以上の配列および/または該配列とハイブリダイズしうるフクレオチド配列を含有することを特徴とする請求項12記載のDNA。
【請求項15】
細胞膜を越えて運び出される蛋白質をコ−ドしていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載のDNA。
【請求項16】
それの配列の全部または一部がNm種中に保存されている領域に相当することを特徴とする請求項1〜15のいずれか記載のDNA。
【請求項17】
コスミド、プラスミド、バクテリオファ−ジなどの伝達ベクタ−または発現ベクタ−中に挿入されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか記載のDNA。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか記載の少なくとも1つのDNAの挿入によって形質転換されている宿主細胞、とくに細菌細胞またはNm細胞。
【請求項19】
染色体から請求項1〜16のいずれか記載の少なくとも1つのDNA、とくに病原性の原因であるDNAが欠失しているところのNmに特異的な遺伝子またはそれらの断片を含む細胞、とくに細菌細胞またはNm細胞。
【請求項20】
それの配列の全部または一部が請求項1〜16のいずれか記載の少なくとも1つのDNA配列またはその断片の転写物に相当することを特徴とするRNA。
【請求項21】
それの配列が、請求項1〜16または20のいずれか記載の少なくとも1つのヌクレオチド配列またはかかる配列の断片のアンチセンスに相当し、それらが場合によりメチル基および/またはグリコシル基などの少なくとも1つの化学的置換基を有することを特徴とするアンチセンス核酸。
【請求項22】
請求項1〜16または20のいずれかに定義した核酸によりコ−ドされているかまたはそれら核酸の配列から演繹しうる配列の全部または一部に相当するアミノ酸鎖を示し、場合により、天然ポリペプチドで認められる生化学的性質を変えない限りにおいて、コ−ドされているまたは演繹される配列に比して修飾されていてもよいポリペプチド。
【請求項23】
細胞膜を越えて運び出されるペプチド、とくに請求項15記載のDNAによりコ−ドされているものに全部または一部が相当するペプチドであることを特徴とする請求項22記載のペプチド。
【請求項24】
請求項21または22記載のペプチドの少なくとも1つのエピト−プに対するポリクロ−ナルまたはモノクロ−ナル抗体もしくはこれらの抗体の断片、とくにFv、Fab、Fab’2断片、あるいは抗原−抗体型反応に従って該抗体またはそれらの断片を認識しうる抗抗体であることを特徴とする抗体。
【請求項25】
− 2つのDNA集団の混合、
− 差引き(サブトラクティヴ)ハイブリダイゼ−ション−増幅の少なくとも1回の反復および
− 所望のDNA(単数または複数)の回収およびそれに続く場合によってのそれらの精製および余分な配列の除去
を包含する髄膜炎菌に特異的なDNAバンク(ライブラリ−)の取得方法。
【請求項26】
Ngに比してNmに特異的なバンクを得るために、
− それのために特異的バンクを構築すべき1つの髄膜炎菌株、すなわち基準株および1つの淋菌株、すなわち差引き株にそれぞれ由来する2つのDNA集団を混合すること、それらの株のDNA配列は、
・該差引き株の染色体DNAの、とりわけ注射器を反復通過させることによる、ランダム切断および
・基準株の染色体DNAの、好ましくは約1kb未満の大きさの断片を生じる制限酵素による、切断により得られたものであること、およびNmとNgとには共通であるが、Nlに比しては特異的なDNAバンクを得るために、3つの異なるバンクを、2つはNmの染色体DNAのMboIおよびTsp5091による消化によって、第三のものはNmの染色体DNAのMspIによる消化によって、構築し、2系列の差引きを実施し、求める特異性を示すDNAを回収すること
を特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
請求項25または26記載の方法を実施して得られたDNAクロ−ンバンク。
【請求項28】
遺伝的に近い他の種または他の変異体が存在し、異なる病原性を発現するときに、所与の細胞または同種細胞の所与の変異体の特異的なDNAバンク、とくにクリプトコックス、ヘモフィルス、肺炎双球菌または大腸菌に特異的なDNAバンクを取得するために、請求項25記載の方法を適用すること。
【請求項29】
生体試料中の髄膜炎菌の存在を証明することによって髄膜炎菌感染、とくに髄膜炎菌性髄膜炎を診断する方法であって、
− 請求項1〜16または20に定義した少なくとも1種の核酸から出発して作成した、場合によりヌクレオチドプローブまたはプライマーの形の、試薬、もしくは変形として、請求項24に定義した抗体または抗体断片から出発して作成した試薬に、分析すべき生体試料を、それぞれハイブリダイゼーションまたは抗原−抗体型反応を可能ならしめる条件下で、接触させる段階および
− 場合により形成された反応生成物を確認する段階
を包含することを特徴とする該診断方法。
【請求項30】
− 分析すべき生体試料を、場合により標識されていてもよい請求項22または23のいずれか記載の少なくとも1つのポリペプチドまたは請求項24記載の抗体もしくはこれらの断片と、抗原−抗体型反応を可能ならしめる条件下で接触させる段階および
− 場合により形成された反応生成物を確認する段階
を包含することを特徴とする髄膜炎菌感染に特異的な免疫反応を診断する方法。
【請求項31】
− 請求項29または30に定義した、すなわち核酸、抗体またはペプチドタイプの少なくとも1種の試薬、
− 目的とするヌクレオチドのハイブリダイゼーションまたは免疫反応の実施を可能ならしめる製品、とりわけマーカーまたは緩衝液ならびに使用説明書
を包含することを特徴とする請求項29または30のいずれか記載の方法を実施するためのキット。
【請求項32】
生理学的に許容しうる担体(単数または複数)と組合せて、有効量の
− 請求項22または23記載のペプチドまたは
− 請求項24記載の抗体、または抗抗体断片
を含有し、場合により、その免疫原性増強のために、ポリオウイルス蛋白質、テタヌストキシン、ピリンの超可変領域由来の蛋白質などの担体分子と組合せられていてもよいことを特徴とする、そのスペクトル中に、とくに小児用の少なくとも1種のワクチンとの組合せにおいて、抗髄膜炎菌目的の予防を含み、あらゆる形の髄膜炎菌感染を防止するためのワクチン組成物。
【請求項33】
生理学的に許容しうる担体(単数または複数)と組合せて、有効量の
− 請求項1〜16または20記載の核酸または
− 請求項18または19記載の細胞
を含有することを特徴とする、そのスペクトル中に、とくに小児用の少なくとも1種のワクチンとの組合せにおいて、抗髄膜炎菌目的の予防を含み、あらゆる形の髄膜炎菌感染を防止するためのワクチン組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−291218(P2009−291218A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219509(P2009−219509)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【分割の表示】特願2008−238499(P2008−238499)の分割
【原出願日】平成9年7月11日(1997.7.11)
【出願人】(506171071)アンスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サーント エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル (3)
【Fターム(参考)】