説明

高められた還流流を用いた炭化水素の回収法

【課題】炭化水素供給ガス流からエタン及びより重質成分を回収するための方法及び装置の提供。
【解決手段】供給ガス流が冷却され(14、56)、かつ第一の蒸気流(24)及び第一の液体流(36’)に分離される。蒸気流が、第一(26)及び第二(28’)のガス流に分割される。第一のガス流が、膨張され(70)、かつ分留塔(50)に送られる(30)。第二のガス流が、吸収塔(32)に供給される。第一の液体流の少なくとも一部が、冷却され(38)、かつ吸収塔に送られる(48)。吸収塔カラムが、希薄な蒸気流(34)及び第二の液体流(42)を製造する。希薄な蒸気流が、冷却され(38)、かつ分留塔に送られる。第二の液体流が過冷却され(38)、かつ分留塔に供給される。この流及びカラムの温度及び圧力が維持されて、ボトム製品(54)としてエタン及びより重質の炭化水素成分の大部分を回収し、かつ分留塔頂留出流で残留ガス流(52)を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素ガス流からエタン及びより重質成分の回収に関する。より具体的には、本発明は、高められた還流流(reflux stream)を用いて、炭化水素インレットガス流からエタン及びより重質成分の回収に関する。
【背景技術】
【0002】
エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、及びより重質な炭化水素成分などの貴重な炭化水素成分が、天然ガス流、製油所オフガス流、炭層ガス流などの種々のガス流に存在する。また、これらの成分は、石炭、タールサンド、及び原油などの他の炭化水素源に存在できる。貴重な炭化水素量は、供給源で変動する。一般的に、50%超のエタン、二酸化炭素、メタン、並びに窒素、一酸化炭素、水素などのより軽質の成分を含むガス流から炭化水素及び天然ガス液(NGL)を回収することが望ましい。一般的に、プロパン、プロピレン、及び重質な炭化水素成分は、少量のインレットガス供給流を構成する。
【0003】
幾つかの従来技術法、2〜3の例を挙げると、油吸収、冷凍油吸収、及び低温法などの方法が、炭化水素ガス流からNGLを回収するために存在する。低温法が、一般的により経済的に操業され、かつより環境にやさしいために、一般的に、近年の技術は、油吸収法及び冷凍油吸収法よりも低温ガス法の使用が好まれる。具体的には、図1に示すように、Campbellの米国特許第4,278,457号に記載されているように、低温ガス処理にターボ膨張器(turboexpander)の使用が好ましい。
【0004】
また、残留リサイクル流を利用するターボ膨張器は、高エタン回収率を達成することができ(95%超で)、一方C3+成分は本質的に100%回収できる。このような方法は、高回収率を達成する点では際立っているが、これらの圧縮条件が原因となり、比較的大量のエネルギーを消費する。高回収率を維持しながら、エネルギー消費を減少するために、追加の還流源が必要である。このような還流流にとって、エタン及びより重質成分などの所望する成分が希薄であることは好都合であり、高圧力で利用できるであろう。
【0005】
多くの低温回収法においては、かなりの量のC2+成分を含む還流流をもたらす分留塔頂留出流の質のために効率が失われる。還流流が、かなりの量のC2+成分を含むので、還流流の制御弁後のフラッシュが、若干の蒸気を生成するであろう。得られた蒸気は、分留段階から流出して、塔頂流で失われ、実質的に残留ガス流で失われる若干量のC2+成分を含むであろう。加えて、多くのエタンを塔頂留出流と共に流出させる分留塔の上部段で平行に到達する。
【0006】
Leeらの米国特許第6,244,070号に見られるように、希薄な還流流を生成するために吸収塔の使用が教示されている。Leeに記載されるように、インレット分離器を出る蒸気は3方向に分割される。第一の蒸気流が、冷却され、かつ吸収塔カラムのボトムに導かれる。第二の蒸気流が、凝縮かつ過冷却され、その後、吸収塔の上部に導かれる。吸収塔が、主分留塔のための希薄な還流流として用いられる塔頂流出流を製造する。第三の蒸気流が、圧力低減及び仕事取り出し(work extraction)のために膨張器に送られる。Leeにより提案された代替の実施形態は、吸収器への上部供給流として高圧力残留ガスの一部を使用することを含んでいる。この場合、低温の分離器を出る蒸気が、二方向に分割され、一方の流が冷却され、吸収塔のボトムに送られ、他方の流が膨張器に送られる。希薄残留ガスの一部が圧力下で凝縮され、かつ上部供給流として吸収塔カラムに送られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来法に比較して低エネルギー消費であり、少なくとも96%の回収効率を達成することができるエタンの回収法に対するニーズが存在し、この方法は、多くの従来法と比較して操業する場合に低費用になるであろう。また、残留ガス流に失われるC2+成分の量を低減するために、工程内の温度プロフィールを利用できる方法に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の観点から、本発明は、高められた還流流を利用して炭化水素流からエタン及びより重質の成分を回収するための方法及び装置を好都合に提供する。高められた還流流が、C2+成分などの望ましい製品を実質的に含まないので、高められた還流流の使用は、約96%超のエタン回収率、及び約99.5%超のプロパン回収率を実現できる。
【0009】
本発明の実施形態に従う方法では、炭化水素供給流が、インレットガス交換器及び任意選択で、サイドリボイラー(side reboiler)交換器で冷却され、炭化水素供給流を部分的に凝縮して冷却された供給流を製造する。冷却された供給流が、相分離のために分離器に送られ、それにより第一の蒸気流及び第一の液体流を製造する。好ましくは、第一の蒸気流が、第一のガス流及び第二のガス流に分割される。第一のガス流は、第一の蒸気流の大部分を含み、これが膨張器に送られ、そこでその圧力が低減される。この等エントロピー過程に基づいて、膨張器の排気流の温度、又は実質的に冷却され膨張された流の温度は、実質的に低下する。実質的に冷却され膨張された流は、塔下部供給流として、分留塔又は蒸留塔に送られる。分留塔は、脱メタン塔であってもよい。好ましくは、分留塔は、ボトムで規格内のエタン及びより重質の製品を製造し、かつ上部で揮発性C2+成分流を製造するリボイル塔である。好ましくは、分留塔は、サイドリボイラーを設けて、工程の効率を改善する。
【0010】
分離器からのより少量の蒸気流、又は第二のガス流は、吸収塔ボトム供給流として吸収塔カラムに送られる。第一の液体流は、還流熱交換器内で過冷却され、吸収塔上部供給流として吸収塔に送られる。好ましくは、吸収塔は、塔内に少なくとも一つの充填層、又はその他の物質移動段又は帯域を含む。物質移動段又は帯域は、分子を、物質移動帯域を含む容器内を流下する液体から、容器内を上昇するガスに、並びに容器内を上昇するガスから容器内を流下する液体に、移動することができる任意の型の装置を含むことができる。種々の棚板型、充填、分離段又は帯域及びその他の同等の段又は帯域が包含される。当業者には、その他の型の物質移動段又は帯域が知られており、これらは本発明の範囲であると理解される。
【0011】
第一の液体流からの過冷却液体は、吸収塔を上昇する蒸気からC2+成分を吸収する冷却リーンオイル(lean oil)として作用する。ある種の精留が吸収塔内で起こり、吸収塔頂留出流及び吸収塔ボトム流を製造する。吸収塔頂留出流は、第一の蒸気流よりC2+成分が実質的により希薄である。吸収塔頂留出流は、凝縮され、その後に、好ましくは塔上部供給位置に、第一の塔供給流として分留塔に送られる。吸収塔ボトム流は、過冷却され、第二の塔供給流として分留塔に送られる。好ましくは、第二の塔供給流は、第一の塔供給流の供給位置より下方に位置する供給位置で分留塔に送られる。吸収塔ボトム流は、冷却されたリーンオイル流として作用して、分留塔におけるC2+成分及びより重質成分の回収率を高める。
【0012】
第一及び第二の塔供給流は、本明細書で論じた下部供給流と共に、分留塔で分離されて、塔頂留出流及び塔ボトム流を製造する。好ましくは、塔頂留出流は、幾つかの交換器で加温され、その後、圧縮器で必要な圧力に圧縮されて残留ガス流を製造する。
【0013】
別の実施形態として、本発明は、この前に記載した実施形態から、塔上部供給流の上方に位置する供給位置で分留塔に供給される追加の塔供給流を利用するエタン回収法を好都合に提供する。この実施形態は、99+%のC2+成分の回収率を提供できる。追加の供給流は、残留ガス流の側流を捕捉し、かつ側流を凝縮し、過冷却した後、この流を上部供給流として分留塔に送ることにより製造される。好ましくは、残留ガスの側流は、C2+成分を本質的に含まず、塔頂留出流に流出する恐れのある全てのC2+成分を、追加の供給流に回収することを可能にする。
【0014】
本発明の別の実施形態が、好都合に提供される。この実施形態では、インレット供給ガス流の一部が、ボトム供給流として吸収塔に送られた後、インレット供給ガス流は冷却される。
【0015】
また、方法の実施形態に加えて、本発明の装置の実施形態が、好都合に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】エタン及びより重質な成分の回収法の従来技術を説明する系統線図である。
【図2】本発明のエタン及びより重質な成分の回収法を説明する系統線図である。
【図3】本発明のエタン及びより重質な化合物の回収法を説明する系統線図である。
【図4】本発明のエタン及びより重質な化合物の回収法を説明する系統線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の特徴及び利点、並びに明らかなる事柄が、一層詳細に理解できるように、先に概略の解説を行った本発明を、その実施形態を参照して一層具体的に説明する。この説明は、本明細書の一部を形成する付属の図面を用いて行う。しかし、この図面は、本発明の好ましい実施形態を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならないことに留意すべきである。この実施形態は、別の同等に効果のある実施形態を容認するものである。
【0018】
図1は、米国特許第4,278,457号により教示された、従来技術に従った、典型的なエタン及びより重質な成分の回収法を簡略化して示した系統線図である。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に従って、塔頂留出流中のC2+成分の量を減少させるために高められた還流流を利用する、エタン及びより重質な成分の回収法を簡略化して示した系統線図である。
【0020】
図3は、本発明の実施形態に従って、塔頂留出流中のC2+成分の量を減少させるために、高められた還流流と共に残留リサイクル流を利用する、エタン及びより重質な化合物の回収法を簡略化して示した系統線図である。
【0021】
図4は、本発明の実施形態に従って、分留塔のための高められた還流流を製造するために、吸収塔下部供給流として供給ガス流の一部を利用する、エタン及びより重質な化合物の回収法を簡略化して示した系統線図である。
【0022】
それぞれの図面で、流又は装置に関連して、図面を簡略化するために、アラビア数字は、機能が同一であれば、種々の流及び装置に対して同一の数字を用いている。類似の数字は、全体を通して類似の要素を表し、かつ100のシリーズ及び200のシリーズの表現は、個別の実施形態において一般的に類似の要素を示している。
【0023】
本明細書では、用語「インレットガス」は、炭化水素ガスを意味し、このようなガスは、典型的には高圧ガスラインから受け入れられ、実質的には、メタンと、残部にC2成分、C3成分及びより重質な成分、並びに二酸化炭素、窒素及びその他の微量ガスからなる。用語「C2成分」は、少なくとも2個の炭素原子を有するすべての有機成分を意味し、アルカン、オレフィン、及びアルキン、特にエタン、エチレン、アセチレンなどの脂肪族種を含む。用語「C2+成分」は、すべてのC成分及びより重質な成分を意味する。
【0024】
表Iは、炭化水素ガス供給流の組成を説明するものであり、本発明のすべての実施形態に従って炭化水素を回収するためによく適するであろう。
【表1】

【0025】
図1は、ターボ膨張器低温処理を用いた典型的なガス処理スキームを説明するものであり、Campbellらの米国特許第4,278,457号に記載された方法の実施形態の一つである。この従来技術の実施形態では、原料供給インレットガス流は、低温処理に有害なある種の材料を含むことがある。これらの不純物は、水、CO、HSなどを含む。若し、CO、HSが大量に存在する場合には、これらを除去するために原料供給ガスを処理することは当然である。次に、ガスは乾燥され、ろ過した後に、NGLを回収するために低温部に送られる。典型的には約54.4℃(130°F)、かつ7.137MPa(1,035psia)で供給される、清浄な、乾燥された炭化水素供給ガス流12は、典型的には第一の供給流13及び第二の供給流18に分割され、第一の供給流13は約61%の供給流12を含有し、かつ第二の供給流は、供給流12の残部を含有する。第一の供給流13は、一つ以上のインレット交換器14で低温工程流にぶつかって約−33.9℃(−29°F)に冷却され、一方、第二の供給流派18は、リボイラー/サイドリボイラー56で、分留塔50からの工程流にぶつかって約−32.2℃(−26°F)に冷却される。供給ガス流12の濃度、供給温度及び圧力に応じて、追加冷却のために外部冷凍が必要になるかもしれない。
【0026】
第一及び第二供給流は、組み合わされて約−33.3℃(−28°F)の温度を有する冷却された供給ガス流16を生成する。冷却された供給ガス流16は、通常は部分的に凝縮されて、蒸気−液体分離又は相分離のためにインレット分離器22に送られる。供給ガス流の組成に応じて、一つ以上の冷却ステップが必要になることがあり、冷却ステップ又は冷却ステップ間で蒸気と液体の分離が行われる。冷却された供給ガス流16は、第一の液体流36及び第一の蒸気流24に分離される。第一の液体流36は、インレット供給ガス流12に比較して、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン及びより重質の炭化水素成分などのC2+成分に富んでいる。第一の液体流36は、分留塔50に送られて、貴重なC2+成分が回収される。分留塔50に送られるに先立って、第一の液体流36は、約−96.1℃(−141°F)に冷却され、制御弁を通過して本質的に分留塔圧力に膨張させることができる。この液体の膨張が原因で、ある種の液体が蒸発して、そのために温度が下がり、流36の全体を冷却し、分留塔50に送られる二相の流を生成する。
【0027】
第一の蒸気流24は、二つの流、即ち約76%の第一の蒸気流24を含有する第一のガス流26、及び残りの第一の蒸気流24を含有する第二のガス流28に分割される。第一のガス流26は、ターボ膨張器などの仕事膨張(work expansion)機械70を通って送られ、そこで第一のガス流26の圧力は約2.289MPa(332psia)に低減される。第一のガス流26が等エントロピー膨張をするので、第一のガス流26の圧力及び温度は低下する。この圧力の低下及び仕事の取り出しのために、第一のガス流26の温度は、約−78.9℃(−110°F)に低下し、液体を生成する。この二相の流30は、中間供給流として分留塔に送られる。ターボ膨張器70により発生した仕事は、希薄な塔頂留出流52を押し上げるために用いられ、残留ガス流86を製造する。第二のガス流28は、実質的に冷却され、全てではないにしても、第二のガス流28の大部分が凝縮される。この冷却された流29は、本質的に分留塔圧力に膨張させられる。圧力が低減するために、ある種の蒸気が発生して流29の全体を更に冷却するであろう。次に、冷却された二相の流29は、還流として分留塔50に送られる。この還流流29からの蒸気は、分留塔50を上昇する蒸気と組み合わされて塔頂留出流52を形成する。
【0028】
第二のガス流28は、還流交換器38に送られ、そこで凝縮されて、約−100.6℃(−149°F)に過冷却されて、第一の塔供給流29を生成する。次に、第一の塔供給流29は、制御弁などの膨張装置を通ってフラッシュされて本質的に分留塔圧力になる。第一の塔供給流29の圧力低下は、蒸気の形成及び約−107.8℃(−162°F)に温度低下をもたらす。この二相の流29は上部供給流として分留塔50に送られる。
【0029】
好ましくは、分留塔50は、インレット供給ガス流12中のC2+成分又はNGLの大部分を含有する塔ボトム流54、及び残留するエタン、メタン及びより軽質の成分を含有する塔頂留出流52を製造するリボイルされた吸収塔である。好ましくは、分留塔50は、リボイラー56を含み、塔ボトム流54中でNGLと共に残るメタン量を制御する。この方法の効率を更に高めるために、インレット供給ガス流12を冷却し、かつ高圧供給ガス流12の凝集を狙いとする、一つ以上のサイドリボイラーを設けることができる。供給濃度及び分配条件により、分留塔50に対して、ある種の外部化熱が必要になることがある。
【0030】
典型的に、約2.289MPa(332psia)の圧力、及び約−98.9℃(−146°F)の温度を有する塔頂留出流52は、還流交換器38で約−48.9℃(−56°F)に、次にインレット交換器14で48.3℃(119°F)に加温され、加温された塔頂留出流76を生成する。加温された塔頂留出流76は、ブースター圧縮器74に送られ、その圧力は、膨張器70により発生した仕事を利用して約2.765MPa(401psia)に上昇されて、圧縮された塔頂留出ガス流78を製造する。次に、圧縮された塔頂留出ガス流78は、空気冷却器79で約54.4℃(130°F)に冷却され、更なる圧縮のために再圧縮器80に送られて約7.378MPa(1,070psia)に圧縮され、加温された残留ガス流82を製造する。次に、加温された残留ガス流82は、空気冷却器84で約54.4℃(130°F)に冷却され、その後に残留ガス流86として更なる処理のために送られる。
【0031】
本明細書に記載した従来技術の方法を用いてシミュレーションを行ない、図1で説明した。幾つかの工程流のモル組成が、比較のために表IIに与えられる。
【表2】

【0032】
(実施例1)
本発明は、図2に示したように、メタン及びより軽質の成分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素を含むインレット供給ガス流を、実質的にメタン及びより軽質の成分のすべてを含む揮発性の大きいガス留分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素の大部分を含む揮発性の小さい炭化水素留分に分離する方法を好都合に提供する。
【0033】
より具体的には、このエタン回収工程10に送られる前に、ろ過、乾燥された供給ガス流12が供給される。供給ガス流12は、水、一酸化炭素、硫化水素などのある種の不純物を含むことができるが、エタン回収工程10に送る前に不純物を除去しなければならない。好ましくは、供給ガス流12は、約54.4℃(130°F)の温度及び約7.137MPa(1,035psia)の圧力をもつ。ひとたび、工程10に供給されると、供給ガス流12は、約62%の供給ガス流12を含有する第一の供給流13、及び供給ガス流12の残部を含有する第二の供給流18に分割することができる。好都合には、第一の供給流13は、インレット交換器14中で、少なくとも一つの塔頂留出流52と熱交換接触により約−33.9℃(−29°F)の温度に冷却され、かつ部分的に凝縮されて、冷却された第一の供給流16を製造する。好ましくは、第二の供給流18は、リボイラー56中で、少なくとも一つの第一の塔サイドドロー流58、第二の塔サイドドロー流62、第三の塔サイドドロー流66、及びそれらの組み合わせと熱交換接触により約−41.7℃(−43°F)の温度に冷却されて、冷却された第二の供給流20を製造する。第二の冷却された供給流20は、冷却された第一の供給流16と組み合わされて、約−36.7℃(−34°F)の温度を有する組み合わされた供給流17を形成する。
【0034】
組み合わされた供給流17は、分離器22で第一の蒸気流24及び第一の液体流36’に分離される。第一の蒸気流24は、約75%の第一の蒸気流24を含有する第一のガス流26、及び残りの第一の蒸気流24を含有する第二のガス流28’に分割される。第一のガス流26は、膨張器70に送られ、約2.151MPa(312psia)の低い圧力に膨張させられて塔下部供給流30を生成する。第一のガス流26の圧力の低下、及び仕事の取り出しのために、第一のガス流26の温度は、約−83.9℃(−119°F)に低下する。温度の低下は、液体を生成させ、これが塔供給流30を二相にさせる。好ましくは、塔供給流30は、塔下部供給流として分留塔50に送られる。
【0035】
塔下部供給流30は、第一の塔供給流40及び第二の塔供給流44と共に、分留塔50に送られ、ここで、これらの流は塔ボトム流54及び塔頂留出流52に分離される。塔頂留出流52は、加温され、かつ圧縮されて、残留ガス流76を製造する。
【0036】
本発明の改善として、第二のガス流28’は、吸収塔下部供給流として、吸収塔32に送られる。好ましくは、吸収塔32は、一つ以上の物質移動A又は帯域を含む。次に、第一の液体流36’は、冷却され、かつ吸収塔上部供給流48として吸収塔32に供給される。吸収塔32の上部に上昇する暖かい蒸気は、吸収塔32を流下する低温の、重質の液体と密に接触する。低温の、重質の液体は、暖かい蒸気から重質の成分を吸収する。好ましくは、吸収塔32は、吸収塔頂留出流34及び吸収塔ボトム流42を製造する。
【0037】
好ましくは、吸収塔頂留出流34は、約−57.8℃(−72°F)の温度を有し、かつ従来技術法の図1の還流流29よりきわめて希薄である。次に、吸収塔頂留出流34は、約−103.9℃(−155°F)に冷却され、それにより、下記の流:吸収塔ボトム流42、塔頂留出流52、第一の液体流36’、及びそれらの組み合わせの少なくとも一つと熱交換接触することにより、還流交換器38で実質的に凝縮される。このような凝縮は、第一の塔供給流40を生成し、これは、分留塔50に対する高められた還流流になると考えられる。同様に、吸収塔ボトム流42は、下記の流:吸収塔頂留出流34、塔頂留出流52、第一の液体流36’、及びそれらの組み合わせの少なくとも一つと熱交換接触することにより、還流交換器38で冷却することができる。吸収塔ボトム流42の冷却は、第二の塔供給流44を製造するために、約−103.9℃(−155°F)の温度の第二の塔供給流44を製造する。
【0038】
塔頂留出流52の塔頂留出流温度が維持され、かつC2成分、C3成分及びより重質な炭化水素の大部分が塔ボトム流54に回収されるように、第一及び第二の塔供給流40及び44の量及び温度が維持される。
【0039】
本明細書で説明した従来技術法と同様に、分留塔50又は脱メチル器が、インレット供給ガス流12中のC2+成分又はNGLの大部分を含有する塔ボトム流54、及び残りのエタン、メタン及びより軽質な成分を含有する塔頂留出流52を製造するリボイル吸収器であることが好ましい。好ましくは、分留塔50は、リボイラー56を含み、NGLと共に塔ボトム流54に残るメタンの量を制御する。この方法の効率を更に高めるために、インレット供給ガス流12を冷却し、かつこの方法の効率を高めると共に高圧供給ガス流12を凝縮することを狙いとする一つ以上のサイドリボイラーが設けられてもよい。供給濃度及び分配条件に応じて、分留塔50のためのある種の外部加熱が必要になることがある。
【0040】
塔頂留出流52を加温する、第一の液体流36’を冷却する、吸収塔頂留出流34を冷却しかつそれにより実質的に凝縮する、及び吸収塔ボトム流42を冷却する本方法のステップは、塔頂留出流52、第一の液体流36’、吸収塔頂留出流34、吸収塔ボトム流42、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれた工程流と熱交換接触することにより行うことができる。当業者が理解するように、別の適切な流が、本明細書に説明したそれぞれの流を加温及び/又は冷却するために用いることができ、本発明の範囲であると理解される。
【0041】
本発明の全ての実施形態において、複数のサイドドロー流が、分留塔50の下部から除去され、第二の供給流18と熱交換接触させることによりリボイラー56で加熱され、かつそれが段から除去された以上に、本質的に分留塔50の同一段に戻される。
【0042】
典型的には約2.082MPa(302psia)の圧力及び約−106.7℃(−160°F)の温度を有する塔頂留出流52は、還流交換器38で約−50.6℃(−59°F)に、次にインレット交換器14で50℃(200°F)に加温されて、加温された塔頂留出流76を製造する。加温された塔頂留出流76は、ブースター圧縮器74に送られ、そこで、この圧力が、膨張器70により発生した仕事を用いて約2.579MPa(374psia)に上昇させられ、圧縮された塔頂ガス流78を製造する。次に、圧縮された塔頂ガス流78は、空気冷却器79で約54.4℃(130°F)に冷却されて、かつ再圧縮機80に送られて約7.378MPa(1,070psia)に更に圧縮して、暖かい残留ガス流82を製造する。次に、暖かい残留ガス流82は、空気冷却器84で約54.4℃(130°F)に冷却され、かつその後、残留ガス流86として更なる処理のために送られる。
【0043】
本明細書で説明したように、図1に示す従来法は、分留塔150の上部の平衡条件に応じて、最大エタン回収率に制約がある。この制約を克服するために、本発明は、分留塔150に戻す還流流中のC2+成分の量を減少させる。これにより、塔頂留出流152中にC2+成分がほとんど存在しないため、高回収率が可能になる。
【0044】
本発明の第一の実施形態に従った方法を用いて、シミュレーションを行った。幾つかの工程流のモル組成が、表IIに示された従来技術法に関する結果と比較する目的で、表IIIに提供される。
【表3】

【0045】
表II及び表IIIを比較することにより、図2に説明した新規な方法が、より多くの希薄な還流流を発生させ、それが、C2+成分のより高い回収率に導くことが明らかである。特に、表IIに対比して表IIIで、C3+回収率が実質的に改善されている。C3+回収率の増加は、図1に示した従来技術法に比較して、分留塔50の上部に送られる還流流40中のC3+の量がより少なくなるためである。
【0046】
表IVは、図1及び2に示した本方法のスキーム間の経済的比較を説明する。製品及び天然ガスの最近の推定価格に基づいて、本発明の実施形態に従った図2に示す本方法のスキームは、高い量の所望される成分を回収する。燃料ガスの減少、及び追加の燃料消費を考慮した後、この新規方法のための資本回収は、6ヵ月未満であると推定される。
【表4】

【0047】
また、本発明の方法の実施形態は、第二のガス流58、及び実質的に冷却された第一の液体流36の少なくとも一部を、供給ガス圧力とより低い圧力の間の中間圧力に膨張させることを含むことができる。吸収塔32は、この中間圧力で操作できる。
【0048】
また、本発明の方法の実施形態は、第二のガス流58を冷却し、かつ供給ガス圧力とより低い圧力の間の中間圧力に膨張させることを含むことができる。実質的に冷却された第一の液体流36の少なくとも一部分は、中間圧力で実質的に冷却され、かつ膨張させることができる。吸収塔32は、この中間圧力で操作できる。
【0049】
(実施例2)
本発明の別の実施形態として、図3に示すように、メタン及びより軽質の成分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素成分を含むインレットガス流112を、メタン及びより軽質の成分を含む揮発性の大きい留分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素110の大部分を含む揮発性の小さい留分に分離する方法が、好都合に提供される。この実施形態は、より高いエタン回収率、即ち98%から99%が必要な時に、用いることができる。
【0050】
この実施形態では、このエタン回収工程110に送られる前に、ろ過、乾燥された供給ガス流112が供給される。供給ガス流112は、水、一酸化炭素、硫化水素などのある種の不純物を含むことができるが、エタン回収工程110に送る前に不純物を除去しなければならない。好ましくは、供給ガス流112は、約54.4℃(130°F)の温度及び約7.137MPa(1,035psia)の圧力をもつ。ひとたび、工程110に供給されると、供給ガス流112は、約60%の供給ガス流112を含有する第一の供給流113、及び供給ガス流112の残部を含有する第二の供給流118に分割することができる。好都合には、第一の供給流113は、インレット交換器114中で、少なくとも一つの塔頂留出流152、残留リサイクル流188、及びそれらの組み合わせと熱交換接触により約−31.7℃(−25°F)の温度に冷却され、かつ部分的に凝縮されて、冷却された第一の供給流116を製造する。好ましくは、第二の供給流118は、リボイラー156中で、少なくとも一つの第一の塔サイドドロー流158、第二の塔サイドドロー流162、第三の塔サイドドロー流166、及びそれらの組み合わせと熱交換接触により約−38.3℃(−37°F)の温度に冷却されて、冷却された第二の供給流120を製造する。第二の冷却された供給流120は、冷却された第一の供給流116と組み合わされて、約−34.4℃(−30°F)の温度を有する組み合わされた供給流117を形成する。
【0051】
組み合わされた供給流117は、分離器122で、第一の蒸気流124及び第一の液体流136に分離される。第一の蒸気流124は、約76%の第一の蒸気流124を含有する第一のガス流126、及び残りの第一の蒸気流124を含有する第二のガス流128に分割される。第一のガス流126は、膨張器170に送られ、約2.248MPa(326psia)の低い圧力に膨張させられて、塔下部供給流130を生成する。第一のガス流126の圧力の低下、及び仕事の取り出しのために、第一のガス流126の温度は、約−80℃(−112°F)に低下する。温度の低下は、液体を生成させ、これが塔供給流130を二相にさせる。好ましくは、塔供給流130は、塔下部供給流として分留塔150に送られる。
【0052】
塔下部供給流130は、第一の塔供給流140及び第二の塔供給流144と共に、分留塔150に送られ、ここで、これらの流は塔ボトム流154及び塔頂留出流152に分離される。塔頂留出流152は、加温され、かつ圧縮されて、残留ガス流186を製造する。
【0053】
本発明の改善として、第二のガス流128は、吸収塔下部供給流として、吸収塔132に送られる。本発明の別の実施形態として、好ましくは、吸収塔132は、一つ以上の物質移動段を含む。次に、第一の液体流136は、冷却され、かつ吸収塔上部供給流148として吸収塔132に供給される。吸収塔132の上部に上昇する暖かい蒸気は、吸収塔132を流下する低温の、重質の液体と密に接触する。低温の、重質の液体は、暖かい蒸気から重質の成分を吸収する。好ましくは、吸収塔132は、吸収塔頂留出流134及び吸収塔ボトム流142を製造する。
【0054】
好ましくは、吸収塔頂留出流134は、約−52.2℃(−62°F)の温度を有し、かつ従来技術法の図1の還流流29よりきわめて希薄であるが、図2の還流流40ほど希薄ではない。次に、吸収塔頂留出流134は、約−103.9℃(−155°F)に冷却され、それにより、下記の流:吸収塔ボトム流142、塔頂留出流152、第一の液体流136、残留リサイクル流188、及びそれらの組み合わせの少なくとも一つと熱交換接触することにより、還流交換器138で実質的に凝縮される。これらの流間の熱交換接触は第一の塔供給流140を生成する。同様に、吸収塔ボトム流142の少なくとも一部は、下記の流:吸収塔頂留出流134、塔頂留出流152、第一の液体流136、残留リサイクル流188、及びそれらの組み合わせの少なくとも一つと熱交換接触することにより、還流交換器138で冷却することができる。吸収塔ボトム流142の冷却は、第二の塔供給流144を製造するために、約−103.9℃(−155°F)の温度の第二の塔供給流144を製造する。
【0055】
典型的には、約2.179MPa(316psia)の圧力及び約−107.2℃(−161°F)の温度を有する塔頂留出流152が、還流交換器138で約−45.6℃(−50°F)に、次にインレット交換器14で49.4℃(121°F)に加温されて、加温された塔頂留出流176を製造する。加温された塔頂留出流176は、ブースター圧縮器174に送られ、そこで、この圧力が、膨張器170により発生した仕事を用いて約2.669MPa(387psia)に上昇させられ、圧縮された塔頂ガス流178を製造する。次に、圧縮された塔頂ガス流178は、空気冷却器179で約54.4℃(130°F)に冷却されて、かつ再圧縮機80に送られて約7.378MPa(1,070psia)に更に圧縮して、暖かい残留ガス流182を製造する。次に、暖かい残留ガス流182は、空気冷却器84で約54.4℃(130°F)に冷却され、かつその後、残留ガス流186として更なる処理のために送られる。
【0056】
残留ガス流186の一部分が除去されて、残留リサイクル流188を生成する。残留リサイクル流188は、約−31.7℃(−25°F)に冷却され、それにより、実質的に凝縮されて、上部供給位置の分留塔に戻される。残留リサイクル流188は、C2+成分を本質的に含有しないので、残留リサイクル流188は分留塔150のための良好な上部還流源である。塔頂留出流152の塔頂留出温度が維持され、かつC2成分、C3成分及びより重質な成分の大部分が塔ボトム流154に回収されるように、第一及び第二の塔供給流140及び144の量及び温度が維持される。
【0057】
本明細書に記載した従来技術法を用いて、シミュレーションを行った。幾つかの工程流のモル組成が、比較のために表Vに提供される。これにより判るように、この実施形態は、C2+成分の高回収率をもたらす。
【表5】

【0058】
(実施例3)
本発明の別の実施形態として、図4に示すように、メタン及びより軽質の成分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素成分を含む供給ガス流を、メタン及びより軽質の成分を含む揮発性の大きい留分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素210の大部分を含む揮発性の小さい留分に分離する方法が、好都合に提供される。この方法210の実施形態において、供給ガス流212は、第一の供給ガス流213、第二の供給ガス流218、及び第三の供給ガス流228に分割される。
【0059】
第一の供給ガス流213は、冷却され、部分的に凝縮されて、冷却された供給流216を生成する。次に、この冷却された供給流は、第一の蒸気流226及び第一の液体流236に分離される。第一の蒸気流226は、低い圧力に膨張されて、塔下部供給流230を生成する。
【0060】
好都合には、第一の供給流213は、インレット交換器214中で、少なくとも一つの塔頂留出流252と熱交換接触により約−31.7℃(−25°F)の温度に冷却され、かつ部分的に凝縮されて、冷却された第一の供給流216を製造する。好ましくは、第二の供給流218は、リボイラー256中で、少なくとも一つの第一の塔サイドドロー流258、第二の塔サイドドロー流262、第三の塔サイドドロー流266、及びそれらの組み合わせと熱交換接触により約−38.3℃(−37°F)の温度に冷却されて、冷却された第二の供給流220を製造する。第二の冷却された供給流220は、冷却された第一の供給流216と組み合わされて、約−34.4℃(−30°F)の温度を有する組み合わされた供給流217を形成する。
【0061】
組み合わされた供給流217は、分離器222で、第一のガス流226及び第一の液体流236に分離される。第一のガス流226は、膨張器270に送られ、約2.248MPa(326psia)のより低い圧力に膨張されて、塔下部供給流230を生成する。第一のガス流226の圧力の低下、及び仕事の取り出しのために、第一のガス流226の温度は、約−80℃(−112°F)に低下する。温度の低下は、液体を生成させ、これが塔供給流230を二相にさせる。好ましくは、塔供給流230は、塔下部供給流として分留塔250に送られる。
【0062】
塔下部供給流230は、第一の塔供給流240及び第二の塔供給流244と共に、分留塔250に送られ、ここで、これらの流は塔ボトム流254及び塔頂留出流252に分離される。次に、塔頂留出流252は、加温され、かつ引き続いて圧縮されて、残留ガス流286を製造する。
【0063】
本方法の実施形態の改善として、第三の供給ガス流228は、吸収塔下部供給流として、一つ以上の物質移動段を含む吸収塔232に供給される。第一の液体流236は、冷却され、次に、吸収塔上部供給流248として吸収塔232に供給される。好都合には、吸収塔232は、吸収塔頂留出流234及び吸収塔ボトム流242を製造する。
【0064】
吸収塔頂留出流234の少なくとも一部分が、実質的に凝縮され、第一の塔供給流240を生成するように、吸収塔頂留出流234が冷却された。また、吸収塔ボトム流242の少なくとも一部分が、実質的に凝縮されて、第二の塔供給流244を生成するように、吸収塔ボトム流242を冷却することができる。塔頂留出流252の塔頂留出温度が維持され、かつC2成分、C3成分及びより重質な炭化水素の大部分が、塔ボトム流254に回収されるように、第一及び第二の塔供給流240及び244の量及び温度が維持される。
【0065】
図4で説明する本発明の実施形態は、図2で説明された実施形態ほど効果的ではない。吸収塔232では、液体が吸収にあまり役立たず、図2の還流流40のようにC2+が希薄でない、還流流240を生成する。図4のスキームにおける最高の回収率は、図2のスキームより低い。このスキームに関係する資本費用は、インレットガス交換器214で冷却される供給ガスが少ないので、小規模のインレットガス交換器214が使用できる故に、図2のスキームに比較するとより低費用である。
【0066】
(実施例4)
また、本明細書に記載した本方法の実施形態に加えて、本発明は、本方法の実施形態を実施するために必要な装置を好都合に提供する。より具体的には、本発明は、分留塔50、吸収塔32、インレット分離器22、膨張器70、複数の圧縮器74及び80、複数の交換器14、56、38及び84、及び本明細書に記載され、かつ図2〜4に説明された残りの装置を含むことが好都合である。
【0067】
本発明の実施形態として、メタン及びより軽質の成分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素を含むインレット供給ガス流を、実質的にメタン及びより軽質の成分のすべてを含む揮発性の大きいガス留分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素の大部分を含む揮発性の小さい炭化水素留分に分離する装置が好都合に提供される。この実施形態において、本装置は、第一の冷却器14、第一の分離器22、第一の膨張器、分留塔50、第一の加熱器38、吸収塔32、第二の冷却器38、第三の冷却器38、及び第四の冷却器38を含む。
【0068】
第一の冷却器又はインレットガス14は、供給ガス圧力をもつ供給ガス流を冷却し、かつ部分的に凝縮して、冷却した供給流12を製造するために用いることが好ましい。第一の分離器又はインレット分離器22は、冷却された供給流12を、第一の蒸気流24及び第一の液体流36’に分離するために用いることが好ましい。既に示唆したように、第一の蒸気流24は、第一のガス流26及び第二のガス流28’に分割することができる。第一の膨張器70は、第一のガス流26が塔下部供給流30を生成するように低い圧力に第一のガス流26に膨張するために用いることができる。好ましくは、分留塔50は、塔下部供給流30、第一の塔供給流40、及び第二の塔供給流44を受容するために、及び塔下部供給流30、第一の塔供給流40、及び第二の塔供給流44を、塔ボトム流54及び塔頂留出流52に分離するために用いられる。第一の加熱器38は、塔頂留出流52を加温して残留ガス流86を製造するために用いられる。好ましくは、吸収塔32は、吸収塔下部供給流28’として第二のガス流28’を受容するために少なくとも一つ以上の物質移動段を含む。第二の冷却器38は、第一の液体流36’を冷却し、吸収塔上部供給流48として吸収塔32に供給するために用いられる。好ましくは、吸収塔32は、吸収塔頂留出流34及び吸収塔ボトム流42を製造する。好ましくは、第三の冷却器38は、吸収塔頂留出流34を冷却し、それにより実質的に凝縮して第一の塔供給流40を製造するために用いられる。好ましくは、第四の冷却器38は、吸収塔ボトム流42を冷却して第二の塔供給流44を製造するために用いられる。第一の加熱器、第二の冷却器、第三の冷却器及び第四の冷却器は、加温器又は冷却器のそれぞれの任務を遂行する、単一の熱交換器、又は直列の熱交換器であってもよい。例えば、図1に示された還流交換器38は、これらの機能のそれぞれを遂行するために使用できる。本明細書に記載した還流交換器38及び全ての交換器は、単一のマルチパス交換器、複数の個々の熱交換器又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0069】
また、この装置は、吸収塔に導入前の第二のガス流28’を冷却するための第五の冷却器(図示しない)を含むことができる。また、この装置は、第二のガス流及び実質的に冷却された第一の液体流の少なくとも一部を膨張するための第二の膨張器(図示しない)を含むことができる。
【0070】
本明細書で議論したように、本発明の全ての実施形態において、好ましくは等エントロピー膨張による、膨張工程は、ターボ膨張器、Joules−Thompson膨張弁、液体膨張器、ガス又は蒸気式膨張器などにより効果的に実施できる。また、この膨張器は、相当する階段式圧縮装置に連結されて、実質的に等エントロピーガス膨張により圧縮仕事を行うことができる。また、この装置は、残留ガス流86を製造する前に、塔頂留出流76を圧縮するための第一の圧縮器74を含むことができる。
【0071】
本発明の利点として、本発明は、C2+回収率を最大にし、一方で、本明細書に記載した方法を実施するための装置の建設、及び装置の操作に関連する投資コスト及び操作コストを最小にする。本発明は、典型的なターボ膨張器工程で必要とされる最小の物理変化でより大きいC2+回収率を可能にする。例えば、本発明は、現存する装置に大規模な物理変化を行うことなく、図1に示したような現存する装置に追加することができる。しかも、この装置は、本発明の改善を実施するならば、操業コストの実質的節減を実現するであろう。
【0072】
本発明を幾つかの形態で示しかつ説明したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、しかも本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは当業者には明白である。
【0073】
例えば、好ましくは等エントロピー膨張による、膨張工程は、ターボ膨張器、Joules−Thompson膨張弁、液体膨張器、ガス又は蒸気式膨張器などにより効果的に実施できる。別の例としては、吸収器の物質移動段は、本明細書に説明した物質移動機能を実行できる装置であれば如何なる装置でもよい。ある種の流を異なって繋げること、操作パラメーターを調節して供給をベストフィットさせること、又は分配条件を調節することなどの、その他の変更は、本発明の範囲内であると考えるべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタン及びより軽質の成分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素を含むインレットガス流を、メタン及びより軽質の成分を含む揮発性の大きいガス留分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素の大部分を含む揮発性の小さい炭化水素留分に分離する方法であって、
供給ガス圧力をもつ供給ガス流を冷却し、かつ部分的に凝縮して冷却された供給流を提供するステップ、
冷却された供給流を、第一の蒸気流及び第一の液体流に分離するステップ、
第一の蒸気流を、第一のガス流及び第二のガス流に分割するステップ、
第一のガス流を低い圧力に膨張させ、それにより第一のガス流が分留塔下部供給流を形成するステップ、
分留塔に、分留塔下部供給流、第一の塔供給流、及び第二の塔供給流を供給し、分留塔が、分留塔下部供給流、第一の塔供給流、及び第二の塔供給流を、塔ボトム流及び塔頂留出流に分離するステップ、
塔頂留出流を加温して残留ガス流を製造するステップを含む方法であり、その際、改善が
一つ以上の物質移動段を含む吸収塔に、吸収塔下部供給流として第二のガス流を供給するステップ、
第一の液体流を冷却し、吸収塔上部供給流として吸収塔に供給して、吸収塔が、吸収塔頂留出流及び吸収塔ボトム流を製造するステップ、
吸収塔頂留出流を冷却し、かつそれにより凝縮して、第一の塔供給流を製造するステップ、
吸収塔ボトム流を冷却して第二の塔供給流を製造するステップ、及び
第一及び第二の塔供給流の量及び温度を維持して、それにより塔頂留出流の塔頂留出物温度が維持され、かつC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素の大部分が塔ボトム流に回収されるステップを含む方法。
【請求項2】
第二のガス流を冷却した後、吸収塔に第二のガス流を供給するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
改善が、96%超のエタンの回収、及び99.5%超のプロパンの回収を与えることを更に含む請求項1から2の任意の一項に記載の方法。
【請求項4】
第二のガス流及び冷却された第一の液体流の少なくとも一部を、供給ガス圧力と低い圧力の間の中間圧力に膨張させるステップ、及び
吸収塔を中間圧力で操作するステップを更に含む請求項1から3の任意の一項に記載の方法。
【請求項5】
分留塔下部供給流を低い圧力に膨張させて、膨張した分留塔下部供給流を製造し、かつ膨張した分留塔下部供給流を、第一の塔供給流より下方の供給位置で蒸留塔に導くステップを更に含む請求項1から4の任意の一項に記載の方法。
【請求項6】
塔頂留出流を加温し、第一の液体流を冷却し、吸収塔頂留出流を冷却しそれにより凝縮させ、かつ吸収塔ボトム流を冷却するステップが、塔頂留出流、第一の液体流、吸収塔頂留出流、吸収塔ボトム流、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれた工程流と熱交換接触させることにより行われる請求項1から5の任意の一項に記載の方法。
【請求項7】
改善が、
残留ガス流を残留リサイクル流及び揮発性残留ガス流に分割するステップ、及び
残留リサイクル流を冷却しそれにより凝縮した後、残留リサイクル流を分留塔に戻すステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
吸収塔ボトム流の少なくとも一部が、凝縮されて第二の塔供給流を製造する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第二のガス流を冷却し、供給ガス圧力と低い圧力の間の中間圧力に膨張させるステップ、
冷却された第一の液体流の少なくとも一部を、冷却し、かつ中間圧力に膨張させるステップ、及び
吸収塔を中間圧力で操作するステップを更に含む請求項1から8の任意の一項に記載の方法。
【請求項10】
メタン及びより軽質の成分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素成分を含む供給ガス流を、メタン及びより軽質成分を含む揮発性の大きい留分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素の大部分を含む揮発性の小さい留分に分離する方法であって、
供給ガス流を、第一の供給ガス流及び第二の供給ガス流に分割するステップ、
第一の供給ガス流を冷却し、かつ部分的に凝縮して、冷却された供給流を製造するステップ、
冷却された供給流を、第一の蒸気流及び第一の液体流に分離するステップ、
第一の蒸気流を低い圧力に膨張させて、分留塔下部供給流を製造するステップ、
分留塔に、分留塔下部供給流、第一の塔供給流、及び第二の塔供給流を供給し、分留塔が、分留塔下部供給流、第一の塔供給流、及び第二の塔供給流を、塔ボトム流及び塔頂留出流に分離するステップ、
塔頂留出流を加温して残留ガス流を製造するステップを含む方法であり、その際、改善が
(i)一つ以上の物質移動段を含む吸収塔に、吸収塔下部供給流として第二の供給ガス流を供給するステップ、
(ii)第一の液体流を冷却して冷却された第一の流を作成し、かつ吸収塔に、吸収塔上部供給流として、冷却された第一の液体流を供給して、吸収塔が、吸収塔頂留出流及び吸収塔ボトム流を製造するステップ、
(iii)吸収塔頂留出流を冷却し、それにより吸収塔頂留出流の少なくとも一部が凝縮されて第一の塔供給流を製造するステップ、
(iv)吸収塔ボトム流を冷却し、それにより吸収塔ボトム流の少なくとも一部が凝縮されて第二の塔供給流を製造するステップ、及び
(v)第一及び第二の塔供給流の量及び温度を維持して、それにより塔頂留出流の塔頂留出物温度が維持され、かつC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素の大部分が塔ボトム流に回収されるステップを含む方法。
【請求項11】
第二の供給ガス流を冷却した後、吸収塔に導くステップを更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
改善が、96%超のエタンの回収、及び99.5%超のプロパンの回収を与えることを更に含む請求項10から11の任意の一項に記載の方法。
【請求項13】
第二の供給ガス流を冷却し、かつ供給ガス圧力と低い圧力の間の中間圧力に膨張させるステップ、
冷却された第一の液体流の少なくとも一部を、冷却し、かつ中間圧力に膨張させるステップ、及び
吸収塔を中間圧力で操作するステップを更に含む請求項10から12の任意の一項に記載の方法。
【請求項14】
分留塔下部供給流を低い圧力に膨張させ、かつ膨張した分留塔下部供給流を、第一の塔供給流の下方の供給位置で蒸留塔に導くステップを更に含む請求項10から13の任意の一項に記載の方法。
【請求項15】
塔頂留出流を加温し、第一の液体流を冷却し、吸収塔頂留出流の少なくとも一部を冷却しそれにより凝縮させ、かつ吸収塔ボトム流を冷却するステップが、塔頂留出流、第一の液体流、吸収塔頂留出流、吸収塔ボトム流、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれた工程流と熱交換接触させることにより行われる請求項10から14の任意の一項に記載の方法。
【請求項16】
メタン及びより軽質の成分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素を含むインレットガス流を、メタン及びより軽質成分を含む揮発性の大きいガス留分、並びにC2成分、C3成分、及びより重質の炭化水素の大部分を含む揮発性の小さい炭化水素留分に分離する装置であって、
供給ガス圧力をもつ供給ガス流を冷却し、かつ部分的に凝縮して、冷却された供給流を提供するための第一の冷却器、
冷却された供給流を、第一の蒸気流及び第一の液体流に分離するための第一の分離器、
第一の蒸気流を低い圧力に膨張させ、それにより第一の蒸気流が分留塔下部供給流を形成するための第一の膨張器、
分留塔下部供給流、第一の塔供給流、及び第二の塔供給流を受容し、かつ分留塔下部供給流、第一の塔供給流、及び第二の塔供給流を、塔ボトム流及び塔頂留出流に分離するための分留塔、
塔頂留出流を加温して残留ガス流を製造するための第一の加熱器、
一つ以上の物質移動段を含み、第一の蒸気流から作成される第二のガス流を吸収塔下部供給流として受容し、吸収塔頂留出流及び吸収塔ボトム流を製造するための吸収塔、
第一の液体流を冷却して、吸収塔上部供給流として吸収塔に供給するための第二の冷却器、
吸収塔頂留出流を冷却し、かつそれにより凝縮させて、第一の塔供給流を製造するための第三の冷却器、
吸収塔ボトム流を冷却して第二の塔供給流を製造するための第四の冷却器、
を含む装置。
【請求項17】
第二のガス流を冷却した後、吸収塔に導くための第五の冷却器を更に含む請求項16に記載の装置。
【請求項18】
第二のガス流、及び冷却された第一の液体流の少なくとも一部を膨張させた後、吸収塔に導くための第二の膨張器を更に含む請求項17に記載の装置。
【請求項19】
塔頂留出流を圧縮した後、残留ガス流を製造するための第一の圧縮器を更に含む請求項16から18の任意の一項に記載の装置。
【請求項20】
第一の加熱器、第二の冷却器、第三の冷却器、及び第四の冷却器が、それぞれの交換器により別々に実施可能なそれぞれの能力を実行できる単一の熱交換器を含む請求項16から19の任意の一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−195809(P2010−195809A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93090(P2010−93090)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【分割の表示】特願2007−504127(P2007−504127)の分割
【原出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(503314554)ラマス テクノロジー、インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】