説明

高プロトン伝導性を持つ組成物

プロトンを含む、イオン化し得る基(A)を持つポリマー;及びプロトンを含む、イオン化し得る基(B)で官能化されたカーボンナノ構造を少なくとも含む、高いプロトン伝導性を示す組成物が開示され、ここでA及びBは同一又は異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高いプロトン伝導性を示す、適切に官能化されたカーボンナノ構造及びプロトン伝導性ポリマーを含む組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリマー電解質膜(PEM)のプロトン伝導性は、ポリマー電解質膜燃料電池(PEMFCs)の性能を制限する主要なファクタの一つである。今日、PEMFCsにおいて一般的に使用されている、パーフルオロスルホン酸を主成分とする膜における、プロトン伝導性の大幅な増進は、緊急の要求となっているばかりでなく、この分野に対して著しく有益な寄与を果たす。
従来技術において、ポリマー電解質膜のプロトン伝導性を改善するための幾つかの試みがなされており、例えばZhai等は、その論文:Journal of Membrane Science, 2006, 280: 148-155において、プロトン伝導性が、水を保持することにより高められることを示しており、またPereira等は、その論文:Chem. Mater., 2008, 20: 1710-1718において、ナフィオン(Nafion)マトリックス中にメソ多孔質シリカを配合することにより、膜の性能を高め得ることを示した。しかし、これまで、このような膜のプロトン伝導性を高めるための、官能化されたカーボンナノ構造の使用に関する報告はない。
【0003】
更に、従来技術において、ポリマー電解質及びカーボンナノ構造を用いた幾つかの報告があり、例えば米国特許第7,361,430号には、カーボンナノチューブ(SWNT)-ポリマー複合体アクチュエータ及びこのようなアクチュエータの製法を記載しており、また「カーボンナノチューブ-ナフィオン複合体を主成分とするフォトアクチュエータ(Photo Actuators Based on Carbon Nanotube-Nafion Composites)」と題するWO/2006/016907は、有機複合体で構成されるフォトメカニカル(photo-mechanical)作動物質及びこのような構造の製法を開示している。
ナフィオン-カーボンナノチューブ複合体は、Liu等により、その論文:Electrochemical Solid-State Letters, 2006, 9: A356において、燃料電池電解質用途に関して報告されている。しかし、これらの複合体は、プロトン伝導性における有意な改善を何ら示さなかった。
Thomassin等は、その論文:Journal of Membrane Science, 2007, 303: 252-257において、カルボキシル基を含む多数の壁を持つカーボンナノチューブによって変成したナフィオン膜が、メタノールの透過性を著しく低下するが、イオン電導性をほんの僅かに減じるものと結論付けた。
しかし、これら従来技術の文献の何れも、プロトン伝導性を大幅に高めることを可能とする、適切に官能化されたカーボンナノ構造を持つポリマー電解質の組成物について報告していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、プロトンの輸送性を高める、カーボンナノ構造を持つプロトン伝導性ポリマーの新規な組成物を提供することにある。公知技術の吟味は、明らかに、スルホン酸膜及びカーボンナノ構造、これらの組合せ、該膜の製法及びその様々な用途が公知であることを示している。ナノ材料を様々な官能基により官能化する方法は、WO 2006/099392に記載されている。ポリマー電解質燃料電池の電極における、カーボンナノ構造を持つスルホン酸膜の使用は、文献において公知である。その上、該材料の電子輸送の増強性も、文献において論じられている。しかし、本発明者等が、スルホン酸で官能化されたカーボンナノ構造を持つスルホン酸膜の組成物を調製した際に、驚いたことに、プロトン輸送の少なくとも1対数単位(one log)の増強が見られることを見出した。
従って、本発明においては、驚くほどに増強されたプロトン伝導性を示す、適切に官能化されたカーボンナノ構造を持つ、プロトン伝導性ポリマーの新規な組成物を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明は、高いプロトン伝導性を持つ組成物を提供するものであり、該組成物は、以下の成分を含む:
a. プロトンを含む、イオン化し得る基(A)を持つポリマー;及び
b. プロトンを含む、イオン化し得る基(B)で官能化されたカーボンナノ構造。
本発明の一態様において、該ポリマーは、スルホン化されたポリマーであり得る。
本発明のもう一つの態様において、該官能化されたカーボンナノ構造は、sp2炭素を含むものである。
本発明の別の態様において、該官能化されたカーボンナノ構造は、単独又は組合せとしての、チューブ、ロッド又は粒子形状にある。
本発明の更に別の態様において、該官能化されたカーボンナノ構造は、0.01〜10質量%なる範囲内にある。
本発明の更に他の態様において、前記イオン化し得る基(A)及び(B)は、スルホネート基、カルボキシル基、ホスホネート基及びアミノ基からなる群から選択される。
本発明の更なる態様において、該イオン化し得る基(A)及び前記イオン化し得る基(B)は、同一である。
本発明の一態様において、該イオン化し得る基(A)及び該イオン化し得る基(B)は、異なっている。
【0006】
本発明の別の態様において、前記ポリマーは、イミダゾールをドープしたスルホン化ポリ(エーテルケトン)メチルベンゼン、スルホン化ポリベンズイミダゾール、メチルベンゼンスルホン化ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)、ナフタレン系ポリイミド、パーフルオロカルボン酸、パーフルオロスルホン酸、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド、アミノ化されたオルト-スルホン、ポリスルホン、スルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)、スルホン化ポリ(4-フェノキシベンゾイル-1,4-フェニレン)、及びスルホン化ポリスルホンからなる群から選択される。
本発明の更に別の態様において、該ポリマーは、好ましくはパーフルオロスルホン化ポリマーである。
本発明の他の態様において、前記カーボンナノ構造上の官能基は、スルホネート基である。
本発明の一態様において、前記組成物は、ポリマー電解質燃料電池、水素センサ及び電極において使用される。
本発明においては、少なくとも、プロトンを含む、イオン化し得る基(A)を持つポリマー及びプロトンを含む、イオン化し得る基(B)で官能化されたカーボンナノ構造を含み、該イオン化し得る基(A)及び(B)が同一又は異なっている、高いプロトン伝導性を示す組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】パーフルオロスルホン酸膜(ナフィオン(Nafion) 1135)及び官能化された単一の壁を持つカーボンナノチューブを持つパーフルオロスルホン酸膜の、空気中での、10℃/分なる昇温速度での、熱重量分析の結果を示す図である。
【図2】パーフルオロスルホン酸膜(ナフィオン(Nafion) 1135)及び官能化された単一の壁を持つカーボンナノチューブを持つパーフルオロスルホン酸膜の、100%相対湿度における、また1MHz〜0.1Hzなる範囲に設定された手製の2-プローブインピーダンスによる、プロトン伝導性の温度依存性を示す図である。本図から、プロトン伝導性において、パーフルオロスルホン酸膜(ナフィオン1135膜)に比して、次数1なる大きさの増大が、本発明の複合膜について見られる。
【図3】60℃において、湿潤されたH2及びO2を用いて、官能化された単一の壁を持つカーボンナノチューブを持つパーフルオロスルホン酸膜及びパーフルオロスルホン酸膜(ナフィオン1135)について観測された、分極曲線を示す図である。流量は0.4slpmであった。これらの電池は、測定前に、開回路において30分間及び0.2Vにおいて15分間状態調製された。本発明の組成物を含む該複合膜の増強された性能が、ここに示されている。活性化損失及びオーミック損失は、パーフルオロスルホン酸膜(ナフィオン1135)を用いた電池と比較して、本発明の複合膜を用いた電池については低い。
【図4】60℃における、パーフルオロスルホン酸を含む、スルホン酸で官能化されたカーボンナノ構造化材料の様々な組成を持つ複合膜の伝導性を示す図である。略号: S-SWCNT:官能化された単一の壁を持つカーボンナノチューブ; MEA:膜電極アセンブリー。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明によれば、本明細書において、適切に官能化されたカーボンナノ構造を持つ、プロトン伝導性ポリマーを含む組成物を開示する。本発明の組成物は、高いプロトン伝導性を示す。高いプロトン伝導性を示す本発明の組成物は、少なくとも、プロトンを含むイオン化し得る基(A)を持つポリマー及びプロトンを含むイオン化し得る基(B)で官能化されたカーボンナノ構造を含む。該ポリマーは、スルホン化されたポリマーであり、またイミダゾールをドープしたスルホン化ポリ(エーテルケトン)メチルベンゼン、スルホン化ポリベンズイミダゾール、メチルベンゼンスルホン化ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)、ナフタレン系ポリイミド、パーフルオロカルボン酸、パーフルオロスルホン酸、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド、アミノ化されたオルト-スルホン、ポリスルホン、スルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)、スルホン化ポリ(4-フェノキシベンゾイル-1,4-フェニレン)、及びスルホン化ポリスルホンからなる群から選択され、好ましくはパーフルオロスルホン化ポリマーである。該ポリマー中の該イオン性の基(A)は、スルホネート基、カルボキシル基、ホスホネート基及びアミノ基等からなる群から選択される。該イオン性の基(A)及び(B)は、場合により同一でも異なっていてもよい。該基(A)及び(B)は、好ましくはスルホネート基である。本発明の該官能化されたカーボンナノ構造は、sp2炭素を含む。
【0009】
本発明によれば、該組成物は、sp2炭素を含む、官能化され、カーボンナノ構造化された物質の溶液とスルホン化ポリマーとを混合することにより調製される。該カーボンナノ構造化物質は、単独又は組合せとしてのチューブ、ロッド又は粒子の形状にある。
本発明の一態様において、該スルホン酸で官能化されたカーボンナノ構造化物質、及びパーフルオロスルホン酸は、溶媒中で混合され、かつ攪拌される。該溶媒は、N,N-ジメチルアセタミド、N,N-ジメチルホルムアミド、水又は低級脂肪族アルコールから選択される。スルホン化ポリマーを含む、該官能化された単一壁を持つカーボンナノ構造において、該官能化されたカーボンナノ構造は、0.01〜10%なる範囲にある。
該組成物は、文献において公知の方法によって製造される。
【0010】
プロトン輸送における増強を検討するために、本発明の組成物を膜として例示する。本発明の組成物の伝導性を検討したところ、図2に示した如く、非-官能化カーボンナノチューブを含む膜と比較して、1対数単位だけ、該伝導性が高められることを見出し、ここに例示した。更に、図4は、スルホン酸で官能化したカーボンナノ構造を持つ物質を、様々な組成において含む、本発明の組成物を含有する膜のプロトン伝導性を示す。
本発明の組成物は、改善された出力密度値の達成を支援し、また燃料電池用途における燃料/kWなるコストを減じる上で役立つ。該組成物における該カーボンナノチューブは、生成する電極-電解質界面を改善し、また得られる膜の機械的な安定性を高める。
本発明の組成物は、ポリマー電解質燃料電池、水の電解装置、水素センサ、及び該膜を横切る高いプロトン輸送が、より良好な効率及び改善された性能をもたらす点で有利であり得る、同様なデバイスにおいて使用できる。
【実施例】
【0011】
以下の実施例を、本発明を更に例証する目的で提示する。これらの実施例は、本発明を何ら限定するものと解釈すべきではない。
本発明の組成物を、プロトン輸送における増強を検討するために、膜として例示する。
実施例1:
10mgの炭素物質を、反応チャンバー内で、20mLの70%硝酸水性溶液と97%硫酸水性溶液との1:1混合物に添加した。マイクロ波出力を全出力600Wの70%に設定した。次いで、該反応容器を、5分間マイクロ波輻射処理に掛けた。このようにして製造したスルホン酸で官能化した炭素物質を濾過し、70℃にて10時間、真空オーブン内で乾燥した。この炭素物質を、ジメチルアセタミドに溶解し、適当量のN,N-ジメチルアセタミドに溶解したナフィオン(Nafion)の溶液と共に60℃にて混合し、1時間攪拌した後、流込み成形して薄い均一な膜とした。燃料電池-MEAの製造において使用する前に、この膜をH2O2及びH2SO4で処理して、プロトン化された状態とした。電極用のガス拡散層を、テフロン(登録商標)(Teflon)処理した炭素布上に、ブルカン(Vulcan) XC-72炭素、PTFEのシクロヘキサン中に分散されたスラリーを、刷毛塗りし、次いで350℃にて30分間アニール処理することによって調製した。触媒層は、20%Pt/C、ナフィオン及びイソプロピルアルコール混合物を、該ガス拡散層上に刷毛塗りすることにより調製した。この触媒層の上部に、ナフィオンの薄い被膜を設け、次いでこれらの電極をホットエアブロアーで乾燥させた。これらの電極を、1トンなる圧縮圧の下で、120℃なる温度にて、該複合膜と共に一軸方向に加圧した。水素及び酸素を、夫々燃料及び酸化剤として使用して、電源に接続することにより、このようにして製造したMEAsを、燃料電池の分極研究のためにテストした。スルホン化ポリマーと共に、0.05%の官能化された単一壁を持つカーボンナノ構造を用いて製造した該膜は、上記方法により製造され、またテストされた。該膜は、図2及び4において見られるように、ナフィオン単独の膜に比して、1対数単位のプロトン伝導性における増強を示した。
【0012】
実施例2:
炭素材料(〜0.50g)を、333Kにて3時間に渡り、50mLの硝酸(1モル濃度)で酸化し、次いで濯ぎ、393Kにて12時間乾燥して、酸性化されたカーボンナノチューブを得た。この炭素材料を、97%硫酸と混合し、N2気流下で、523Kにて18時間に渡り攪拌した。室温まで冷却した後、得られた生成物を蒸留水で繰返し洗浄し、オーブン内で393Kにて12時間に渡り乾燥して、スルホン化されたカーボンナノチューブを得た。このようにして調製した、スルホン酸で官能化した炭素材料を濾過し、真空オーブン内で70℃にて10時間に渡り乾燥させた。この炭素材料を、N,N-ジメチルアセタミドに溶解し、60℃にて、適当な量の、ジメチルアセタミドに溶解させたナフィオンの溶液と混合し、4時間攪拌した後、流込み成形して薄い均一な膜電解質とし、実施例1において示したようにテストした。スルホン化されたポリマーと共に、0.01%の官能化された単一壁を持つカーボンナノ構造を用いて調製した該膜は、上記方法により製造され、かつテストされた。該膜は、図4に示したように、0.003S/cmなるプロトン伝導率を示した。
【0013】
実施例3:
500mgの炭素材料を、250mLの無水トルエンに溶解し、この溶液に200mgのヨウ素及び2.5gのNaIを添加した。攪拌しつつ、過剰量のメタンジスルホン酸クロリド(1.6g)を添加した。アルゴンガス雰囲気下で、該混合物を、室温にて24〜96時間に渡り攪拌した。次に、未反応の不純物を、多量のトルエン、ジエチルエーテル及びヘキサンで濯ぎ、スルホン酸型炭素誘導体のプリカーサを得た。このプリカーサを、加水分解のために、室温にて1〜30時間に渡り、100mLの1M NaOH溶液中で攪拌した。このようにして得た該溶液を、プロトンイオン交換に付して、スルホン酸カーボンナノチューブ誘導体を得た。この炭素材料を、ジメチルアセタミドに溶解し、60℃にて、適切な量の、ナフィオンのジメチルアセタミド溶液と混合し、4時間攪拌した後、この混合物を流込み成形して、薄い均一な膜とした。スルホン化されたポリマーと共に、0.1%及び0.5%の官能化された単一壁を持つカーボンナノ構造を用いて調製した該膜は、上記方法により製造され、かつテストされた。これらの膜は、図4に示したように、夫々0.0032S/cm及び0.003S/cmなるプロトン伝導率を示した。
【0014】
実施例4:
500mgの炭素材料を、250mLの無水トルエンに溶解し、この溶液に200mgのヨウ素及び2.5gのNaIを添加した。攪拌しつつ、過剰量のメタンジスルホン酸ジエチルエステル(1.85g)を添加した。アルゴンガス雰囲気下で、該混合物を、室温にて24〜96時間に渡って攪拌した。次に、未反応の不純物を、多量のトルエン、ジエチルエーテル及びヘキサンで濯いで、スルホン酸型炭素誘導体のプリカーサを得た。このプリカーサを、加水分解のために、室温にて1〜30時間に渡って、100mLの1M NaOH溶液中で攪拌した。このようにして得た該溶液を、プロトンイオン交換に付して、スルホン酸カーボンナノチューブ誘導体を得た。この炭素材料を、ジメチルアセタミドに溶解し、60℃にて、適切な量の、ナフィオンのジメチルアセタミド溶液と混合し、4時間攪拌した後、この混合物を流込み成形して、薄い均一な膜とした。燃料電池MEAの製造において使用する前に、この膜をH2O2及びH2SO4で処理して、プロトン化された状態にある膜を得た。電極用のガス拡散層を、テフロン(登録商標)(Teflon)処理した炭素布上に、ブルカン(Vulcan) XC-72炭素、PTFEのシクロヘキサン中に分散されたスラリーを刷毛塗りし、次いで350℃にて30分間アニール処理することによって調製した。触媒層は、20%Pt/C、ナフィオン及びイソプロピルアルコール混合物を、該ガス拡散層上に刷毛塗りすることにより調製した。この触媒層の上部に、ナフィオンの薄い被膜を設け、次いでこれらの電極をホットエアブロアーで乾燥させた。これらの電極を、1トンなる圧縮圧の下で、120℃なる温度にて、該複合膜と共に一軸方向に加圧した。このようにして製造したMEAsを、燃料電池の分極研究のためにテストした。スルホン化ポリマーと共に、1%の官能化された単一壁を持つカーボンナノ構造を用いて製造した該膜は、上記方法により製造され、またテストされた。該膜は、図4に見られるように、0.0028S/cmなるプロトン伝導率を示した。
【0015】
実施例5:インピーダンス法によるプロトン伝導率の測定
膜サンプルを、作り付けのヒータを備えた、手作りの2-プローブ電池の、2枚のステンレススチール製プレート間に設置した。該電池チャンバー内の湿度は飽和(100%RH)であり、また実験は、1MHz〜0.1Hzなる周波数範囲内で行った。X-軸上の高周波数切片は、該膜サンプルの抵抗率に関する情報を与えた。これらの測定は、25℃(室温)〜120℃なる温度範囲内にて行った。本発明の膜は、図2に見られるように、プロトン輸送における1対数単位の増強を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) プロトンを含む、イオン化し得る基(A)を持つポリマー;及び
b) プロトンを含む、イオン化し得る基(B)で官能化されたカーボンナノ構造
を含むことを特徴とする、高いプロトン伝導性を持つ組成物。
【請求項2】
前記イオン化し得る基(A)及び(B)が、スルホネート基、カルボキシル基、ホスホネート基及びアミノ基からなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記官能化されたカーボンナノ構造が、sp2炭素を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記官能化されたカーボンナノ構造が、単独又は組合せとしての、チューブ、ロッド又は粒子形状にある、請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記官能化されたカーボンナノ構造が、0.01〜10質量%なる範囲内にある、請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記イオン化し得る基(A)及び前記イオン化し得る基(B)が、同一である、請求項1〜5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記イオン化し得る基(A)及び前記イオン化し得る基(B)が、異なっている、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリマーが、スルホン化されたポリマーである、請求項1〜7の何れか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリマーが、イミダゾールをドープしたスルホン化ポリ(エーテルケトン)メチルベンゼン、スルホン化ポリベンズイミダゾール、メチルベンゼンスルホン化ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)、ナフタレン系ポリイミド、パーフルオロカルボン酸、パーフルオロスルホン酸、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド、アミノ化されたオルト-スルホン、ポリスルホン、スルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)、スルホン化ポリ(4-フェノキシベンゾイル-1,4-フェニレン)、及びスルホン化ポリスルホンからなる群から選択される、請求項1〜8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリマーが、好ましくはパーフルオロスルホン化ポリマーである、請求項1〜9の何れか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記カーボンナノ構造上の官能基が、スルホネート基である、請求項1〜10の何れか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、ポリマー燃料電解質電池、水素センサ及び電極において使用される、請求項1〜10の何れか1項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−514915(P2011−514915A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546445(P2010−546445)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000100
【国際公開番号】WO2009/101635
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(508176500)カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ (27)
【Fターム(参考)】