説明

高分子ファイバの合糸方法と装置

【課題】電子紡糸系にて作り出される高分子ファイバから太さ差やむらのない優れた糸条が生産性よく簡単かつ低コストに得られるようにする。
【解決手段】紡糸系4から電子紡糸される高分子ファイバ2群を、この高分子ファイバ2群との間に電位差を有して周回する環状収集面3aの全周に電荷誘導を伴い同時収集して堆積させながら、環状収集面3aに堆積した高分子ファイバ2をその近傍所定箇所にて引き出し糸条8に合糸することにより、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電荷誘導紡糸による高分子ファイバの合糸方法と装置に係り、電荷誘導紡糸法(エレクトロスピニング法)によって高分子ファイバを生成し、合糸する高分子ファイバの合糸方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一列に並ぶ下向きのノズルを通じて高分子の紡糸を行ってナノ繊維を得、このナノ繊維が落下した地点から1cm以上離れた地点から一定の線速度で回転する回転ローラによって引き上げながら、圧搾、延伸、乾燥および巻き取りを行い、ナノ繊維からなる連続したフィラメント(糸)を製造する技術は既に知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−507428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載の技術は、一列に並んだ各ノズルから真下に向けナノ繊維を紡糸しているために、各ノズルの下に落下して、その付近に集中するのをノズル配列方向の一方から前記落下したナノ繊維を回転ローラによって強制的に引き出すようにしているので、回転ローラに近いノズルから落下したナノ繊維と遠いノズルから落下したナノ繊維とにより、ナノ繊維を連続に引き出し製造した連続フィラメントに太さ等に差やバラツキが生じるという問題がある。また、大量に製造するのにも限界があった。
【0004】
本発明の目的は、電子紡糸系にて作り出される高分子ファイバから太さ差やむらのない優れた糸条が生産性よく簡単かつ低コストに得られる高分子ファイバの合糸方法と装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような目的を達成するために、本発明の第1の態様によれば、紡糸系から電子紡糸される高分子ファイバ群を、この高分子ファイバ群との間に電位差を有して周回する環状収集面の全周に電荷誘導を伴い同時収集して堆積させながら、環状収集面に堆積した高分子ファイバをその近傍の所定箇所にて引き出し糸条に合糸することを特徴としている。
【0006】
このような特徴の合糸方法によれば、電子紡糸系から紡糸される高分子ファイバ群の電位差を利用した電荷誘導を伴う収集が、周回する環状収集面の全周に同時になされるので収集面が環状でも単位時間当たりの収集効率が増大する上、環状収集面の周回によってその各部における高分子フィバの堆積量が平均化し、この堆積量が平均化した環状収集面上の高分子フィバをその近傍の所定箇所にて、周回する環状収集面に対する引き出し位置を相対変位させながら、均等に連続した束状に引き出して糸条に合糸することができる。
【0007】
このような合糸方法は、本発明の第2の態様によれば、高分子ファイバ群を電子紡糸する紡糸系と、この紡糸系から紡糸される高分子ファイバ群との間に電位差を持ち、かつ、前記紡糸系側に周回軸がほぼ向いて周回駆動される環状収集面を持ち、この環状収集面の全周に前記紡糸される高分子ファイバ群を、前記電位差による電荷誘導を伴い同時収集する収集体と、この収集体の環状周回面に収集し堆積した高分子ファイバをその近傍の所定の引き出し箇所から引き出し糸条に合糸する合糸手段と、を備えたことを特徴とする高分子ファイバの合糸装置によって実現し、自動的に安定した合糸ができる。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様において、さらに、合糸は、撚糸処理を含むことを特徴としている。
【0009】
このような第2の態様の特徴によれば、第1の態様に加えて、さらに、撚糸処理により、繊維が平行なフィラメント糸に対し、撚糸度に応じて集束度と引っ張り強さを高められる。
【0010】
このような方法は、第17の態様によれば、第10の態様において、さらに、合糸手段は、引き出した高分子ファイバを集束させ撚りを掛けて撚糸し先へ搬送するか巻き取る(第9の態様の方法による場合同様に)撚糸手段を備えていることを特徴とする合糸装置により実現し、先へ搬送すると、搬送先に応じた束ねなどの処理や、使用ができ、巻き取るとかさ低く取り扱える所定量ずつの荷姿に仕上げられる。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、第1、2の態様のいずれかにおいて、さらに、環状収集面は、環状部の外周面または内周面を用いることを特徴としている。
【0012】
このような第3の態様の特徴によれば、第1、2の態様のいずれかに加え、さらに、紡糸系から紡糸される高分子フィバの電荷誘導による飛翔挙動が、環状収集面に対し外側からの回り込みに適する場合は環状部の外周面として収集をスムーズに遂行させられるし、内側からの回り込みに適する場合は環状部の内周面として収集をスムーズに遂行させられる。
【0013】
このような方法は、第11の態様によれば、第10の態様において、さらに、収集体は、環状の外周面または内周面が、環状収集面をなしている回転体であることを特徴とする合糸装置によって実現する。
【0014】
本発明の第4、12の態様の特徴によれば、第1〜3、10、11の態様のいずれかにおいて、さらに、高分子ファイバ群は、紡糸系の高分子紡糸液を収容した紡糸容器に設けられた複数の小孔を通じ紡糸することを特徴としている。
【0015】
このような第4の態様の特徴によれば、第1〜3の態様のいずれかに加え、さらに、小孔を通じた紡糸がそれらの配列数、配列域に応じた量および広がりを持ってできる。
【0016】
本発明の第5、13の態様によれば、第4、12の態様のいずれかにおいて、さらに、高分子ファイバ群は、紡糸容器の環状収集面と対向する面に設けられた複数の小孔またはノズルを通じ紡糸することを特徴としている。
【0017】
このような第5、13の態様の特徴によれば、第4、12の態様のいずれかに加え、さらに、紡糸容器の環状収集面と対向する面からの紡糸により、紡糸された高分子ファイバを環状収集面に電荷誘導しやすくなる。
【0018】
本発明の第6、14の態様によれば、第4、12の態様のいずれかにおいて、さらに、高分子ファイバ群は、紡糸容器の環状収集面の周回軸まわりの側周面に設けられた複数の小孔またはノズルから高分子紡糸液を吐出して紡糸することを特徴としている。
【0019】
このような第6、14の態様の特徴によれば、第4、12の態様のいずれかに加え、さらに、紡糸容器の周回軸まわりの側周面から外向きに紡糸するので紡糸域を広げやすく、対向する環状収集面の側への折れ曲がりを伴い電荷誘導して収集し、堆積させられ、環状収集面の周長を大きくするのに対応しやすい。
【0020】
本発明の第7、15の態様によれば、第1〜6、10〜14の態様のいずれかにおいて、さらに、高分子ファイバ群は、紡糸容器と環状収集面との周回軸まわりの相対移動を伴い紡糸することを特徴としている。
【0021】
このような第7、15の態様の特徴によれば、第4〜6、12〜14の態様のいずれかに加え、さらに、紡糸容器から紡糸される高分子ファイバは、環状収集面の紡糸容器との相対移動度に応じて環状収集面の周回方向下流側への捻りを受けて、環状収集面上へ周回方向上流側から下流側へ下向きに傾斜した姿勢から吸着されていくので、高分子ファイバが、環状収集面上に周回方向に向きを揃えて収集、堆積させられる。
【0022】
本発明の第8の態様によれば、第1〜7の態様のいずれかにおいて、さらに、環状収集面からの高分子ファイバの引き出しは、環状収集面に予め担持させたリード材の引き出しに追随させて行うことを特徴としている。
【0023】
このような第8の態様の特徴によれば、第1〜7の態様のいずれかに加え、さらに、高分子ファイバの環状収集面上への収集、堆積が、環状収集面に予め担持されたリード材の上になされるので、このリード材を環状収集面から引き出すことによりその上に収集、堆積されている高分子ファイバを追随させて引き出しやすく、かつ、リード材のまわりに集束させて束状としやすい。
【0024】
このような方法は、本発明の第16の態様によれば、第10〜15の態様のいずれかにおいて、さらに、収集体は、その環状収集面から引き出すことにより環状収集面に収集し堆積させた高分子ファイバを追随させて束状に引き出すリード材を予め担持できるリード材担持部を有していることを特徴とする装置によって実現する。
【0025】
本発明の第18の態様によれば、合糸手段は、所定の引き出し箇所の紡糸系側に、この紡糸系からの高分子ファイバに対する環状収集面側からの電荷誘導を遮断しかつ高分子ファイバを受け止める絶縁性のガードを備えていることを特徴としている。
【0026】
このような第18の態様の特徴によれば、第10〜15の態様のいずれかに加え、さらに、環状収集面上からそこに収集され堆積している高分子ファイバを引き出す所定の箇所からの電荷誘導が紡糸系からの高分子ファイバに及ぶのを防止するのに併せ、紡糸により飛翔してくることのある高分子ファイバを受け止めるので、環状収集面から高分子ファイバを引き出す箇所に紡糸される高分子ファイバが及んで高分子ファイバの均一で連続した引出を阻害するのを回避することができる。
【0027】
本発明の第19の態様によれば、第10〜18の態様のいずれかにおいて、さらに、合糸手段は、所定の引き出し箇所に、環状収集面から高分子ファイバを引き出すガイドを有していることを特徴としている。
【0028】
このような第19の態様の特徴によれば、第10〜18の態様のいずれかに加え、さらに、高分子ファイバの引き出しが所定箇所でのガイドによる案内を受けて、位置振れなどなく安定に行える。
【0029】
本発明の第20の態様によれば、第10〜18の態様のいずれかにおいて、さらに、合糸手段は、所定の引き出し箇所に、環状収集面に離型剤を塗布する離型剤塗布手段を備えていることを特徴としている。
【0030】
このような第20の態様の特徴によれば、第10〜18の態様のいずれかに加え、さらに、所定箇所に離型剤塗布手段を合糸手段などと併設しておき、高分子ファイバの収集前またはガードを持っていれば高分子ファイバの収集初期に、高分子ファイバの収集前の環状収集面上に離型剤を塗布することができ、高分子ファイバを引き出す際の環状収集面からの剥離性を高められる。
【0031】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の具体的な説明および図面の記載によって明らかになる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、紡糸される高分子ファイバ群の電荷誘導を伴う収集が、周回する環状収集面の全周に同時になして単位時間当たりの収集、堆積効率を高められ、これを引き出し合糸する生産性が向上する。また、環状収集面の周回により各部への収集、堆積量が平均化した高分子フィバをその近傍の所定箇所にて、周回する環状収集面に対する引き出し位置を相対変位させながら、均等に連続した束状に引き出して糸条に合糸でき、太さの差やむらが解消し、高品質な高分子糸が簡単かつ低コストにて得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態に係る高分子ファイバの合糸方法と装置につき図1〜図12を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0034】
本実施の形態の高分子ウエブの合糸方法の基本的な特徴は、その幾つかの原理を採用した図1、図2の例、図3、図4の各例、図5の例、図6の例に示す高分子ウエブの合糸装置を参照して説明すると、高分子ファイバ生成源である紡糸系4における高分子紡糸液1の複数の小孔9からの流出ないしは吐出によって、小孔9側からの帯電や紡糸域に作った電界による静電環境下での静電爆発、静電延伸を伴い、サブミクロンはもとより、ナノ単位といった微小径の高分子ファイバ2をある長さないしは長さ範囲で生成して、高分子ファイバ2と電位差を有した収集体3上に電荷誘導して収集し堆積させながら、この収集され堆積された高分子ファイバ2を合糸手段7によって所定箇所にて引き出し糸条8に合糸する。
【0035】
本実施の形態では、特に、紡糸系4から電子紡糸される高分子ファイバ2群を、この高分子ファイバ2群との間に電位差を有して周回する環状収集面3aの全周に電荷誘導を伴い同時収集して堆積させながら、環状収集面3aに堆積した高分子ファイバ2をその近傍の所定箇所にて引き出し糸条8に合糸する。これにより、紡糸系4から紡糸される高分子ファイバ2群の電位差を利用した電荷誘導を伴う収集が、周回する環状収集面3aの全周に同時になされるので環状収集面3aが環状な帯状域でも単位時間当たりの収集効率が増大する上、環状収集面3aの周回によってその各部における高分子フィバ2の堆積量が平均化し、この堆積量が平均化した環状収集面3a上の高分子フィバ2をその近傍の所定箇所にて、周回する環状収集面3aに対する引き出し位置を相対変位させながら、均等に連続した束状に引き出して糸条8に合糸することができる。
【0036】
この結果、紡糸される高分子ファイバ2群の電荷誘導を伴う収集が、周回する環状収集面3aの全周に同時になして単位時間当たりの収集、堆積効率を高められ、これを引き出し合糸する生産性が向上する。また、環状収集面3aの周回により各部への収集、堆積量が平均化した高分子フィバ2をその近傍の所定箇所にて、周回する環状収集面3aに対する引き出し位置を相対変位させながら、均等に連続した束状に引き出して糸条に合糸でき、太さの差やむらが解消し、高品質な高分子糸が簡単かつ低コストで得られる。
【0037】
なお、高分子紡糸液1に用いる高分子物質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ナイロン、アラミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等を例示でき、これらより選ばれる少なくとも一種が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0038】
上記高分子物質を高分子ファイバ原料液1とするのに使用できる溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、水等を例示でき、これらより選ばれる少なくとも一種が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0039】
以上のような合糸方法を実現するのに、図1、図2の例、図3、図4の例、図5の例、図6の例、図7の例に示す高分子ウエブの合糸装置は、既述のように高分子ファイバ2群を電子紡糸する紡糸系4と、この紡糸系4から紡糸される高分子ファイバ2群との間に電位差を持ち、かつ、紡糸系4側に周回軸がほぼ向いて周回駆動される環状収集面3aを持ち、この環状収集面3aの全周に前記紡糸される高分子ファイバ2群を、前記電位差による電荷誘導を伴い同時収集する収集体3と、この収集体3の環状周回面3aに収集し堆積した高分子ファイバ2をその近傍の所定の引き出し箇所から引き出し糸条8に合糸する合糸手段7と、を備え、自動的に安定した合糸ができる。
【0040】
高分子ファイバ2と環状収集面3aとの電位差は、例えば、直流で1KV〜100KV程度あればよく、図1、図2に示す例では環状収集面3aの側に−1KV〜−100KV程度の電圧−V1を印加するだけで、紡糸系4の各1つの小孔9から静電爆発、静電延伸を伴うナノ単位の高分子ファイバを多条に生成し、それを環状収集面3a上に電荷誘導し収集、堆積させられるようにしている。それには、紡糸系4を図に示すようにアース14に接続し環状収集面3aとの間の電位差による静電環境を安定させるのが好適である。しかし、これに限られることはなく、印加する電圧の極性は問わないし、紡糸系4の側に電圧を印加してもよい。また、紡糸系4および環状収集面3a双方の側に電圧を印加する場合は互いを逆極性とするのが好適であるが、前記電位差を満足すれば逆極性に限られることはない。小孔9は、直径が0.01〜2mm程度で数mmピッチで設けるのが生産性、環状収集面3aへの均一かつ十分な密度での収集、堆積状態の面で好適であり、図1〜図8に示すように紡糸容器5に単に穿設した小孔9のほか、図11、図12に示すようにノズル80のノズル孔9とすることもできる。ノズル孔9の場合は特に、加圧して高分子紡糸液1を吐出し1つのノズル80からより広域により多くの高分子ファイバ2を紡糸できる利点がある。このため、その配列ピッチを小孔9の場合に比し大きくして同程度の密度での収集、堆積が実現し、収集、堆積の密度および量を高めるのに有効である。
【0041】
また、収集体3は環状収集面3aを金属製とし、他の露出部分は絶縁性として高分子ファイバ2の電荷誘導を招かないようにするのが、高分子ファイバの不用意な付着を防止し、かつ、高分子ファイバの環状収集面3aへの収集、堆積の確立、効率を高められる。
【0042】
図1、図2に示す例では、合成樹脂などの絶縁材料で回転軸3bと一体形成した円盤型の収集体3外周に金属製で導電性を有した収集部3cをインサート成形などによって設け、その表面を導電性の環状収集面3aとして前記電圧−V1の印加によって帯電されるようにしている。また、電圧−V1の環状収集面3aへの印加は、図に示すように印加電源11を回転軸3bの軸受12の固定外輪に接続し、軸受12の回転軸3bと一体回転する内輪部を回転軸3b、収集体3の表面を経て導電性収集部3cに接続することによって、軸受12を介し行われるようにしている。しかし、これに限定されることはなく種々な電圧印加方式を採用することができる。環状収集面3aの周回は、収集体3の回転軸3bに設けた受動プーリ13に図示しないモータの回転をベルト伝動して収集体3を回転駆動することにより行うようにしてあるが、これも種々な駆動方式を採用することができる。
【0043】
また、合糸手段7による合糸は、撚糸処理を含むものとすることができ、このような撚糸処理により、撚りがなく繊維が平行なままのフィラメント糸に対し、撚糸度に応じて集束度と引っ張り強さを高められる。これを実現するのに、図1、図2に示す例の合糸手段7は、環状収集面3aから引き出した高分子ファイバ2を集束させ撚りを掛けて撚糸し先へ搬送するか巻き取り手段15に巻き取らせる撚糸手段16を備えている。これにより、合糸手段7による合糸過程で、引き出した高分子ファイバ2の束に撚りを掛けて集束度を高めることが自動的に連続して行える。図に示す撚糸手段16は、回転駆動する筒状の撚糸体16a内に引き出した高分子ファイバ2を通して、その内面の回転を与えながら通過させることで撚糸を行うようにしている。それには、図に示すように、撚糸体16aの出口コーナの周方向一部を高分子ファイバが屈曲して擦れながら通過する経路を設定するのが好適である。入口コーナにおいても同様な作用は得られるし、入口、出口の双方で行ってもよいが、扱き抵抗が大きく糸条8を傷めやすい。受け入れた高分子ファイバ2を長い内面で案内して出ていくときに軽く扱って回転を与えるのがもっとも扱き抵抗が少なく高分子ファイバ2を傷めにくい。さらに、先への搬送によると、搬送先に応じた束ねなどの処理や、使用ができ、巻き取るとかさ低く取り扱える所定量ずつの荷姿に仕上げられる。
【0044】
さらに、合糸手段7は、図1、図2に示す例のように、所定の引き出し箇所の紡糸系4側に、この紡糸系4からの高分子ファイバ2に対する環状収集面3a側からの電荷誘導を遮断しかつ紡糸系4から及ぶことのある高分子ファイバ2を受け止める絶縁性のガード21を備えている。これにより、環状収集面3a上からそこに収集され堆積している高分子ファイバ2を引き出す所定の箇所からの電荷誘導が紡糸系4からの高分子ファイバ2に及ぶのを防止するのに併せ、紡糸により飛翔してくることのある高分子ファイバ2を受け止めるので、環状収集環面3aから高分子ファイバ2を引き出す箇所に紡糸される高分子ファイバ2が及んで高分子ファイバ2の均一で連続した引出を阻害するのを回避することができる。
【0045】
また、合糸手段7は、所定の引き出し箇所に、環状収集面3aから高分子ファイバ2を引き出すガイド22を有している。ガイド22は回転するローラとして、引き出される高分子ファイバ2を案内するのに摩擦抵抗を低減できるようにしているが、これに限られることはない。このようなガイド22を用いると、高分子ファイバ2の引き出しが所定箇所でのガイド22による案内を受けて、位置振れなどなく安定に行える。
【0046】
また、合糸手段7は、図1、図2の例で示すように、所定の引き出し箇所に、環状収集面3aにスプレーや離接などにより離型剤を適時に塗布する離型剤塗布手段23を備えたものとすることができる。このように、所定箇所に離型剤塗布手段23を補助手段として、または合糸手段7の一部などとして併設しておき、高分子ファイバ2の収集前またはガード21を持っていれば高分子ファイバ2の収集初期に、高分子ファイバ2の収集前の環状収集面3a上に離型剤を塗布することができ、高分子ファイバ2を引き出す際の環状収集面3aからの剥離性を高められる。
【0047】
また、環状収集面3aは、収集体3における図1、図2に示す環状部である収集部3cの外周面を用いることができるし、内周面を用いることもでき、紡糸系4から紡糸される高分子フィバ2の電荷誘導による飛翔挙動が、環状収集面3aに対し図1、図2に示すように外側からの回り込みに適する場合は環状部の外周面として収集をスムーズに遂行させられる。一方、内側からの回り込みに適する場合は環状部の内周面として収集をスムーズに遂行させられる。
【0048】
また、高分子紡糸液1を流出または吐出させる小孔9は、高分子防止液1を収容する紡糸容器5の環状収集面3aと対向する対向面5aに複数、具体的には多数配列してあり、収容しあるいは外部から連続供給される高分子防止液1を多数の小孔9から流出させ、あるいは供給圧などを利用して吐出させ、環状収集面3aに向け紡糸するようにしている。これにより、紡糸容器5の環状収集面3aと対向する面からの紡糸により、紡糸された高分子ファイバ2を環状収集面3aに電荷誘導しやすくなる。しかも、紡糸容器5の対向面5aの外回りの環状域に小孔9を配列することにより、収集体3の外周面をなす環状収集面3aに外側から回り込ませやすくなる。
【0049】
図3、図4の例は、円盤型の収集体3の外周片面に環状に側方へ突出した環状部の内周にインサート成形などした導電性の収集部3cを設けて、その内周面を環状収集面3aとした点で、図1、図2の例と異なっている。この場合、高分子ファイバ2の紡糸域は図に示すように環状収集面3aの中央寄りに設定し、紡糸域まわりの環状収集面3aに電荷誘導して収集、堆積させればよいので、紡糸容器5の対向面5aと共に、小孔9の配列域を小さくできる。
【0050】
また、図3、図4の例では、環状収集面3aからの高分子ファイバ2の引き出しは、環状収集面3aに予め担持させた糸などのライン状、テープ状などの細長いリード材31の引き出しに追随させて行うようにしている点でも、図1、図2の例と相違している。これにより、高分子ファイバ2の環状収集面3a上への収集、堆積が、環状収集面3aに予め担持されたリード材31の上になされるので、このリード材31を環状収集面3aから引き出すことによりその上に収集、堆積されている高分子ファイバ2を追随させて引き出しやすく、かつ、リード材31のまわりに集束させて束状としやすい。このために、図3、図4の例では、収集体3は、その環状収集面3aから引き出すことにより環状収集面3aに収集し堆積させた高分子ファイバ2を追随させて束状に引き出すリード材31を予め担持できるリード材担持部32を有したものとしている。このようなリード材担持部32は基本的にはどのような構成とすることもできる。しかし、リード材31を引き出した後の環状収集面3aへの高分子ファイバ2の収集、堆積を乱さないのが好適である。これを満足するのに図示例でのリード材担持部31は、環状収集面3aの幅方向一部にリード材31の出し入れ口32aを有した周方向の溝とし、リード材31を収容し担持できるようにしてあり、環状収集面3aの周回による遠心力はリード材31を溝内に担持する作用を営むので好適である。さらに本例では、溝の形態を出し入れ口32aの幅が小さく、その奥が出し入れ口32aの幅よりも広くなるようにしてあり、リード材31をその初期引き出しのために一端を外部に残した状態にしておいても脱落を防止できる。もっとも、リード材31の外部に残した一端部は、収集体3の環状収集面3a外に軽く止めておいたり、引っ掛かりやクランプによる自動的なあるいは手作業での引き出しが行える形態や止着態様を採用すると便利であり、引き出しが容易かつ確実に行える。また、リード材31はやや腰の強いものを採用すると、撚糸体16aやその後の搬送系、巻き取り系への口付けが容易かつ確実に行えるようになる。他の構成は図1、図2の例と共通している。
【0051】
なお、図1、図2に示す例、図3、図4に示す例は共に、紡糸容器5および環状収集面3aを横向きに対向させてあるが、紡糸容器5を上にして縦向きに対向させることもできる。このようにすれば、紡糸容器5の対向面5aから紡糸する高分子ファイバ2を環状収集面3aの側に自重で達するようにでき、小孔9からの流出紡糸に特に、好適となる。しかし、加圧による吐出紡糸を採用する方が単位時間当たりの紡糸量を増大させやすい。
【0052】
図5に示す例は、高分子ファイバ2群は、紡糸容器5の環状収集面3あの周回軸まわりの側周面5bに設けられた複数の小孔9を通じ紡糸し、図1、図2の例や図3、図4に示す例などの収集体3に設けた環状収集面3aに向け電荷誘導して収集、堆積されるようにしてある。これにより、紡糸容器5の周回軸まわりの側周面5bから外向きに紡糸するので紡糸域を広げやすく、対向する環状収集面3aの側への折れ曲がりを伴い電荷誘導して収集し、堆積させられ、環状収集面3aの周長を大きくするのに対応しやすい。特に、紡糸容器5はその回転軸5c上の受動プーリ41に図示しないモータの回転を伝達して回転駆動するようにしてあり、小孔9からの高分子紡糸液1の流出を遠心力にて促進できるので、加圧なしに高分子紡糸域を側周面5bまわりに大きく拡張できる。従って、高分子紡糸液1は開放型の紡糸容器5に単に流し込むだけでよく、図示例では、貯液槽42内の高分子紡糸液1をポンプ43によって回転軸5c内を、遊びを持って縦通する管路44を通じ単に流し込んでいる。紡糸容器5の接地は、図に示すように回転軸5cの軸受45を介して行っている。
【0053】
ここで、1つの実施例を示すと、紡糸容器5の直径L1は30mm〜600mm程度が好適であり、環状周回面3aの径L2との関係がL1<L2となる場合を例示している。L2については30mmから2000mm程度までが実用上適当と考えられる。しかし、L1>L2の関係でも本発明は適用できる。この場合、生産性は上げにくいが、合糸装置を複数併設して、それらから図9に示すように撚糸手段16の撚糸体16aを通じ、あるいは通じないで合糸された糸条8を、図10に示すように撚糸手段161の撚糸体161aを通じ撚り合せて太くより強い1本の撚り合せ糸81とするような場合に合糸装置同士が干渉しにくくなり好適である。
【0054】
また、紡糸容器3を回転させながら紡糸するのに、紡糸した高分子ファイバ2を収集、堆積させる図1、図2の例や図3、図4の例などの収集体3との間で、環状収集面3aの周回軸まわりの相対移動を伴い紡糸する。これにより、図1、図2の例や図3、図4の例における停止した紡糸容器5と回転する収集体3との間で、環状収集面3aの周回軸まわりの相対移動を伴い紡糸する場合、また、これとは逆に、回転する紡糸容器5と回転すしない集体3との間で、環状収集面3aの周回軸まわりの相対移動を伴い紡糸する場合、を含め、紡糸容器5から紡糸される高分子ファイバ2は、環状収集面3aの紡糸容器5との相対移動度に応じて環状収集面3aの周回方向下流側への捻りを受けて、環状収集面3a上へ周回方向上流側から下流側へ下向きに傾斜した姿勢から吸着されていくので、高分子ファイバ2が、環状収集面3a上に周回方向に向きを揃えて収集、堆積させられる。このため、繊維の揃った高分子ファイバ2を引き出せるので、高品質なフィラメントまたは撚糸の糸条の合糸できる。撚り合せる複数の糸条8は、1つの環状収集面3aの複数個所から引き出した高分子ファイバ2を合糸したものとすることもできる。この場合、環状収集面3aの径L2は大きくするにのが好適である。
【0055】
図6に示す例は、リング状の絶縁体の収集体3の内面に環状の導電性の収集部3cをインサート成形するなどして設け、内周面を環状収集面3aとし、収集体3は回転軸3b上のボス3dに複数のフォーク3eで支持し、モータ61から従動プーリ13へベルト伝動して回転駆動し、環状収集面3aを周回させるようにした点で図5の例と相違する。また、図5の例とは、モータ62から従動プーリ41へのベルト伝動によって回転駆動される紡糸容器5をアースへの接続に代えて、電圧−V1とは逆極性の電圧+V2を印加電源64から印加して相互間の電位差を高めやすくした上で、+V2の電圧印加による高分子ファイバ2の帯電電荷とは逆極性の電圧−V3を印加電源65から印加した反射板63を回転軸5c上に設けて、紡糸容器5の側周面3bから遠心力にて放射方向に紡糸される高分子ファイバ2との静電反発によって環状収集面3aからの電荷誘導だけの場合よりも環状収集面3aの側により積極的に飛翔させられる。
【0056】
図7に示す例は、環状収集面3aからの電荷誘導に加え、送風ファン71からの送風によって紡糸容器5から紡糸される高分子ファイバ2を環状収集面3aの側に飛翔させやすくしている。
【0057】
図8に示す例は、環状収集面3aに収集、堆積した高分子ファイバ2を合糸するのに、撚糸手段16による撚糸処理の前に、ガイド22と等速回転する第1ローラ対72とこれより回転数が高い第2ローラ対73との間で、ドラフトを掛け太さむらの低減や太さ調整を行う場合を示している。また、環状収集面3aに離接して適時に離型剤を塗布するローラタイプの離型剤塗布手段23を設けてある。
【産業上の利用可能性】
【0058】
電子紡糸系にて作り出される高分子ファイバからの合糸に実用して、太さむらのない優れた糸条を生産性よく得られる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る実施の形態の高分子ファイバの合糸方法と装置の1つの例を示す摸式図である。
【図2】同斜視図である。
【図3】本発明に係る実施の形態の高分子ファイバの合糸方法と装置の別の例を示す摸式図である。
【図4】同斜視図である。
【図5】本発明に係る実施の形態の高分子ファイバの合糸方法と装置の他の例を示す摸式図である。
【図6】本発明に係る実施の形態の高分子ファイバの合糸方法と装置の今1つの例を示す摸式斜視図である。
【図7】本発明に係る実施の形態の高分子ファイバの合糸方法と装置の今1つの例を示す摸式斜視図である。
【図8】本発明に係る実施の形態の高分子ファイバの合糸方法と装置のさらに別の例を示す摸式図である。
【図9】引き出した高分子ファイバの束に撚糸手段により撚りを掛ける状態を示す斜視図である。
【図10】複数の糸条を撚糸手段により撚り合せて1本の撚り合せ糸にする状態を示す斜視図である。
【図11】小孔をノズルとした1つの紡糸容器例を示す斜視図である。
【図12】小孔をノズルとした別の紡糸容器例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 高分子ファイバ
1 高分子紡糸液
2 高分子ファイバ
3 収集体
3a 収集面
3b 回転軸
3c 導電性の収集部
4 紡糸系
5 紡糸容器
5a 対向面
5b 側周面
7 合糸手段
8 糸条
9 小孔
11、64、65 印加電源
14 アース
15 巻き取り手段
16 撚糸手段
16a 撚糸体
21 ガード
22 ガイド
23 離型剤塗布手段
31 リード材
32 リード材担持部
63 反射板
71 送風ファン
80 ノズル
81 撚り合せ糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡糸系から電子紡糸される高分子ファイバ群を、この高分子ファイバ群との間に電位差を有して周回する環状収集面の全周に電荷誘導を伴い同時収集して堆積させながら、環状収集面に堆積した高分子ファイバをその近傍所定箇所にて引き出し糸条に合糸することを特徴とする高分子ファイバの合糸方法。
【請求項2】
合糸は、撚糸処理を含む請求項1に記載の高分子ファイバの合糸方法。
【請求項3】
環状収集面は、環状部の外周面または内周面を用いる請求項1、2のいずれか1項に記載の高分子ファイバの合糸方法。
【請求項4】
高分子ファイバ群は、紡糸系の高分子紡糸液を収容した紡糸容器に設けられた複数の小孔を通じ紡糸する請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子ファイバの合糸方法。
【請求項5】
高分子ファイバ群は、紡糸容器の環状収集面と対向する面に設けられた複数の小孔を通じ紡糸する請求項4に記載の高分子ファイバの合糸方法。
【請求項6】
高分子ファイバ群は、紡糸容器の環状収集面の周回軸まわりの側周面に設けられた複数の小孔を通じ紡糸する請求項4に記載の高分子ファイバの合糸方法。
【請求項7】
高分子ファイバ群は、紡糸容器と環状収集面との周回軸まわりの相対移動を伴い紡糸する請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子ファイバの合糸方法。
【請求項8】
環状収集面からの高分子ファイバの引き出しは、環状収集面に予め担持させたリード材の引き出しに追随させて行う請求項1〜7のいずれか1項に記載の高分子ファイバの合糸方法。
【請求項9】
糸条は巻取る請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子ファイバの合糸方法。
【請求項10】
高分子ファイバ群を電子紡糸する紡糸系と、この紡糸系から紡糸される高分子ファイバ群との間に電位差を持ち、かつ、前記紡糸系側に周回軸がほぼ向いて周回駆動される環状収集面を持ち、この環状収集面の全周に前記紡糸される高分子ファイバ群を、前記電位差による電荷誘導を伴い同時収集する収集体と、この収集体の環状周回面に収集し堆積した高分子ファイバをその近傍の所定の引き出し箇所から引き出し糸条に合糸する合糸手段と、を備えたことを特徴とする高分子ファイバの合糸装置。
【請求項11】
収集体は、環状の外周面または内周面が、環状収集面をなしている回転体である請求項10に記載の高分子ファイバの合糸装置。
【請求項12】
紡糸系は、高分子紡糸液を収容した紡糸容器に設けた複数の小孔ないしはノズルを通じ紡糸する請求項10、11のいずれか1項に記載の高分子ファイバの合糸装置。
【請求項13】
紡糸系は、高分子紡糸液を収容した紡糸容器の環状収集面と対向する面に設けた複数の小孔またはノズルを通じ紡糸する請求項12に記載の高分子ファイバの合糸装置。
【請求項14】
紡糸系は、紡糸容器の環状収集面の周回軸まわりの側周面に設けた複数の小孔またはノズルを通じ紡糸する請求項12に記載の高分子ファイバの合糸装置。
【請求項15】
紡糸系は、紡糸容器と環状収集面との周回軸まわりの相対移動を伴い紡糸する請求項10〜14のいずれか1項に記載の高分子ファイバの合糸装置。
【請求項16】
収集体は、その環状収集面から引き出すことにより環状収集面に収集し堆積させた高分子ファイバを追随させて束状に引き出すリード材を予め担持できるリード材担持部を有している請求項10〜15のいずれか1項に記載の高分子ファイバの合糸装置。
【請求項17】
合糸手段は、引き出した高分子ファイバを集束させ撚りを掛けて撚糸し先へ搬送するか巻き取る撚糸手段を備えている請求項10〜16のいずれか1項に記載の高分子ファイバの合糸装置。
【請求項18】
合糸手段は、所定の引き出し箇所の紡糸系側に、この紡糸系からの高分子ファイバに対する環状収集面側からの電荷誘導を遮断し、かつ紡糸系から及ぶ高分子ファイバを受け止める絶縁性のガードを備えている請求項10〜17のいずれか1項に記載の高分子ファイバの合糸装置。
【請求項19】
合糸手段は、所定の引き出し箇所に、環状収集面から高分子ファイバを引き出すガイドを有している請求項10〜18のいずれか1項に記載の高分子フィバの合糸装置。
【請求項20】
合糸手段は、所定の引き出し箇所に、環状収集面に離型剤を塗布する離型剤塗布手段を備えている請求項10〜18のいずれか1項に記載の高分子ファイバの合糸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−84757(P2009−84757A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258280(P2007−258280)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「革新的部材産業創出プログラム/新産業創造高度部材基盤技術開発/先端機能発現型新構造繊維部材基盤技術の開発」にかかる委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】