説明

高分子固体電解質

本発明は、優れたイオン導電性と形状安定性を兼備した高分子固体電解質を提供することを目的とする。
イオン導電性部位を有する重合体、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレイド結合、イミド結合及びアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の化学結合を分子内に有する添加剤、並びに電解質塩を含むことを特徴とする高分子固体電解質を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、イオン導電性部位を有する重合体、添加剤並びに電解質塩を含む高分子固体電解質に関する。
従来技術:
ポリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテルとピラジン等の含窒素複素環化合物とを水素結合を利用することで、従来の共有結合では得られない柔軟性を有する高分子固体電解質に関するものが開示されている。しかし、イオン伝導率が低くなるために実用化には至っていない。(特開2000−100244号公報を参照)
また、ポリマー主鎖中の繰り返し単位中に、水素結合性官能基を有するイオン導電性ポリマー又は水素結合性官能基を有するイオン導電性環状化合物に、水素結合部位を有する低分子化合物と水素結合を形成した化合物を含有させると、ポリマーの連鎖構造の制御とイオン伝導度が向上することが開示されている。そして、そこでは、低分子化合物として、水酸基、カルボキシ基、アミノ基を有する化合物が開示されている。(WO02/40594号公報を参照)
しかしながら、この文献に記載された高分子固体電解質は、イオン導電性と形状安定性の両方ともが実用的に満足する特性を有するものではなかった。
したがって、優れたイオン導電性と形状安定性を兼備した、新しい高分子固体電解質の開発が求められていた。
【発明の開示】
本発明はかかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、優れたイオン導電性と形状安定性を兼備した高分子固体電解質を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、イオン導電性部位を有する重合体と電解質塩とを含む高分子固体電解質に、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレイド結合、イミド結合及びアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の化学結合を分子内に有する添加剤を添加することで、イオン導電性部位を有する重合体が本来有する形状安定性に、優れたイオン導電性が付与された高分子固体電解質を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の(1)〜(22)の高分子固体電解質を提供する。
(1)イオン導電性部位を有する重合体、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレイド結合、イミド結合及びアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の化学結合を分子内に有する添加剤、並びに電解質塩を含むことを特徴とする高分子固体電解質に関し、
(2)前記イオン導電性部位が、酸素原子を介して電解質塩と相互作用できる構造を有することを特徴とする(1)の高分子固体電解質、
(3)前記イオン導電性部位が、式(I)

(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする(1)又は(2)の高分子固体電解質、
(4)前記イオン導電性部位が、式(II)

(式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又はC1〜C10炭化水素基を表し、RとRは結合して環を形成してもよく、Zは、単結合又は二価以上の連結基を表し、R11、及びR12は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R13は、水素原子、炭化水素基、アシル基又はシリル基を表し、mは2〜100の整数を表し、R11同士、R12同士は、同一であっても相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの高分子固体電解質、
(5)前記イオン導電性部位が、前記式(II)中、Zがエステル結合である繰り返し単位を有することを特徴とする(4)の高分子固体電解質、
(6)前記式(II)で表される繰り返し単位の重合度が5以上であることを特徴とする(4)又は(5)の高分子固体電解質、
(7)前記イオン導電性部位が、前記式(II)中、mが5〜100の整数である繰り返し単位を有することを特徴とする(4)〜(6)のいずれかの高分子固体電解質、
(8)前記イオン導電性部位を有する重合体が、式(III)

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子又はC1〜C10炭化水素基を表し、Rは、アリール基を表す。)で表される繰り返し単位をもつブロック鎖(B)を有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかの高分子固体電解質、
(9)前記イオン導電性部位が、前記ブロック鎖(B)と前記式(II)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖(A)とを含み、ブロック鎖(A)とブロック鎖(B)とが、(B)、(A)、(B)の順に配列していることを特徴とする(8)の高分子固体電解質、
(10)前記式(II)で表される繰り返し単位と前記式(III)で表される繰り返し単位とのモル比〔(式(II)で表される繰り返し単位)/(式(III)で表される繰り返し単位)〕が、1/30〜30/1の範囲であることを特徴とする(8)又は(9)の高分子固体電解質、
(11)前記イオン導電性部位を有する重合体が、架橋構造を有することを特徴とする(1)〜(10)のいずれかの高分子固体電解質、
(12)前記架橋構造が、ウレタン結合、ウレア結合又はエーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の化学結合を含む構造であることを特徴とする(11)の高分子固体電解質、
(13)前記架橋構造が、架橋部位と反応してウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を生成し得る架橋剤とを反応させて得られた構造であることを特徴とする(11)又は(12)の高分子固体電解質、
(14)前記イオン導電性部位を有する重合体の数平均分子量が、5,000〜1,000,000の範囲であることを特徴とする(1)〜(13)のいずれかの高分子固体電解質、
(15)前記添加剤の含有量が、イオン導電性部位を有する重合体に対して、重量比で0.001〜0.15の範囲であることを特徴とする(1)〜(14)のいずれかの高分子固体電解質、
(16)前記電解質塩が、アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、遷移金属塩及びプロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(15)のいずれかの高分子固体電解質、
(17)前記電解質塩が、リチウム塩であることを特徴とする(1)〜(16)のいずれかの高分子固体電解質、
(18)式(II)

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子又はC1〜C10炭化水素基を表し、RとRは結合して環を形成してもよく、Zは単結合又は二価以上の連結基を表し、R11及びR12は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R13は、水素原子、炭化水素基、アシル基又はシリル基を表し、mは2〜100の整数を表し、R11同士、R12同士は、同一であっても相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位をイオン導電性部位として含む重合体、イオン導電性部位と相互作用できる構造を有する添加剤、並びに電解質塩を含むことを特徴とする高分子固体電解質、
(19)前記式(II)中、Zがエステル結合であることを特徴とする(18)の高分子固体電解質、
(20)前記式(II)で表される繰り返し単位の重合度が、5以上であることを特徴とする(18)又は(19)の高分子固体電解質、
(21)前記式(II)で表される繰り返し単位が、式(II)中、mが、5〜100の整数である繰り返し単位であることを特徴とする(18)〜(20)のいずれかの高分子固体電解質、
(22)前記添加剤が、分子量2,000以下の化合物であることを特徴とする(1)〜(21)のいずれかの高分子固体電解質が提供される。
以下、本発明の高分子固体電解質を詳細に説明する。
本発明の高分子固体電解質は、イオン導電性部位を有する重合体、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレイド結合、イミド結合及びアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の化学結合を分子内に有する添加剤、並びに電解質塩を含むことを特徴とする。
(1)イオン導電性部位を有する重合体
本発明に用いるイオン導電性部位を有する重合体は、分子内に、電解質塩由来のイオンを導電する機能を有する部位(イオン導電性部位)を有するものであれば特に制約されないが、前記イオン導電性部位が、酸素原子を介して電解質塩と相互作用できる構造を有するものであるのが好ましい。
なかでも、より優れたイオン導電性が得られることから、前記イオン導電性部位は、前記式(I)で表される繰り返し単位を有するものであるのがより好ましく、前記式(II)で表される繰り返し単位を有するものであるのがさらに好ましい。
前記式(I)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。
前記式(II)中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭化水素基を表す。
〜Rの炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;等が挙げられる。炭化水素基の炭素数は特に制限されないが、入手容易性の観点から、炭素数は1〜10が好ましい。
また、RとRは結合して環を形成してもよい。
Zは、単結合又は二価以上の連結基を表す。
二価以上の連結基としては、結合手を2以上有する官能基であれば特に限定されないが、具体的には、エステル基;メチレン基、エチレン基等のアルキレン基;カルボニル基;スルホニル基;−O−;−NH−;−S−;等が挙げられる。これらの中でも、単結合、又はエステル基、カルボニル基、スルホニル基等の電子吸引基が好ましく、エステル基が特に好ましい。
11及びR12は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R11同士、R12同士は、それぞれ同一であっても相異なっていてもよい。
13は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基等の炭化水素基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等のシリル基;等を表す。
〜R、R13において、炭化水素基は適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ニトリル基;ニトロ基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基等の炭化水素チオ基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等の炭化水素スルフィニル基;メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基等の炭化水素スルホニル基;アミノ基;ジメチルアミノ基;アニリノ基;等が挙げられる。
mは2〜100の整数を表し、5〜100の整数が好ましい。
各繰り返し単位におけるmの値は、同一であっても相異なっていてもよい。また、式(II)で表される繰り返し単位の重合度は5以上が好ましく、10以上がより好ましい。
前記式(II)で表される繰り返し単位として、具体的には以下の単量体の一種又は二種以上から得られるものを例示することができる。
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(エチレングリコールの単位数は2〜100)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの単位数は2〜100)(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、「ブレンマーPMEシリーズ」〔式(II)においてR=R=R11=R12=水素原子、R=R13=メチル基、Z:−C(=O)O−基であり、m=2〜90に相当する単量体〕(日本油脂(株)製)、アセチルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンゾイルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチルシリルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−ブチルジメチチルシリルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールシクロヘキセン−1−カルボキシレート、メトキシポリエチレングリコール−シンナメート。
本発明においては、前記イオン導電性部位を有する重合体が、前記式(III)で表される繰り返し単位をもつブロック鎖(B)を有するものであるのがより好ましい。
〜Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭化水素基を表す。炭化水素基としては、前記式(II)のR〜Rで例示した化合物と同一のものを例示することができる。R〜Rの炭化水素基の炭素数は特に制限されないが、炭素数は1〜10であるのが好ましい。また、RとRは、一緒になって結合して環を形成してもよい。
はアリール基を表し、ヘテロアリール基であってもよい。そのような置換基として、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基;2−ピリジル基、4−ピリジル基等のヘテロアリール基;等が挙げられる。
式(III)で表される繰り返し単位としては、以下に示す単量体の一種又は二種以上から誘導されるものを例示することができる。
スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、1−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、桂皮酸メチル等。
本発明においては、前記イオン導電性部位が、前記ブロック鎖(B)と前記式(II)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖(A)とを含み、ブロック鎖(A)とブロック鎖(B)とが、(B)、(A)、(B)の順に配列していることが、製造容易性及び優れたイオン導電性の観点から特に好ましい。
前記式(II)で表される繰り返し単位と前記式(III)で表される繰り返し単位とのモル比〔(式(II)で表される繰り返し単位)/(式(III)で表される繰り返し単位)〕は、特に制限されないが、1/30〜30/1の範囲であるのが好ましい。
また、イオン導電性部位を有する重合体は、前記ブロック鎖(A)、(B)に、不飽和単量体から誘導される繰り返し単位を有する他のブロック鎖を含んでいてもよい。
このような不飽和単量体から誘導される繰り返し単位として、具体的には、以下に示す不飽和単量体の一種又は二種以上から誘導されるものが挙げられる。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸1−メチレンアダマンチル、(メタ)アクリル酸1−エチレンアダマンチル、(メタ)アクリル酸3,7−ジメチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ノルボルナン、(メタ)アクリル酸メンチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3−オキソシクロヘキシル、t−ブチルジメチチルシリルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールシクロヘキセン−1−カルボキシレート、メトキシポリエチレングリコール−シンナメート。
本発明においては、前記イオン導電性部位を有する重合体が架橋構造を有するのが好ましく、該架橋構造が、ウレタン結合、ウレア結合又はエーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を含む構造であるのがより好ましく、架橋部位と反応してウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を生成し得る架橋剤と反応させて得られた構造であるのがさらに好ましい。ここで用いる架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物やエポキシ化合物等が挙げられる。架橋剤の使用量は、前記架橋部位1モルに対して、好ましくは0.01〜1.0モルである。
前記イオン導電性部位を有する重合体の数平均分子量は特に制限されないが、5,000〜1,000,000であるのが好ましい。このような範囲の数平均分子量をもつイオン導電性部位を有する重合体を用いることで、優れた形状安定性とイオン導電性とを兼ね備えた高分子固体電解質を得ることができる。
(2)添加剤
本発明の高分子固体電解質は、上述したイオン導電性部位を有する重合体に、後述する電解質塩に加えて、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレイド結合、イミド結合及びアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の化学結合を分子内に有する添加剤を含有することを特徴とする。添加剤を添加することで、優れたイオン導電性と形状安定性を兼備した高分子固体電解質を得ることができる。
用いる添加剤としては、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレイド結合、イミド結合、及びアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の化学結合を分子内に有する化合物であれば特に制限されない。本発明においては、前記イオン導電性部位を有する重合体のイオン導電性部位と相互作用する化合物が好ましい。
このような化合物としては、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレイド結合、イミド結合、及びアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の化学結合を分子内に有するウレタン化合物、チオウレタン化合物、ウレア化合物、イミド化合物、アミド化合物等が挙げられる。
ウレタン化合物としては、イソシアネート類のイソシアネート基の全部又は一部を、アルコール、ポリオール、フェノール化合物やオキシム類等公知のブロック化剤を用いてブロックしたブロックイソシアネート類等が挙げられる。チオウレタン化合物としては、例えば、イソチオシアネート類のイソチオシアネート基の全部又は一部を、アルコール、ポリオール、フェノール化合物やオキシム類等公知のブロック化剤を用いてブロックしたブロックイソチオシアネート類等が挙げられる。
用いるイソシアネート類としては特に制限されないが、具体的には、イソシアン酸フェニル、o−トリレンモノイソシアネート、m−トリレンモノイソシアネート、p−トリレンモノイソシアネート等のモノイソシアネート;トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(H−MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(クルードMDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性MDI)、水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(m−TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のポリイソシアネート;あるいはこれらポリイソシアネートの三量体化合物、これらポリイソシアネートとポリオールの反応生成物等を例示することができる。
また、ポリイソシアネート化合物を用いる場合には、必要に応じて、硬化促進剤として、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類、ナフテン酸コバルト、テトラ−n−ブチルチン、ジブチルチンジラウレート等の重金属化合物類等を用いることができる。
また、用いるブロック剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等の脂肪族飽和アルコール;アリルアルコール等の脂肪族不飽和アルコール;シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の脂環式アルコール;ベンジルアルコール等の芳香族アルコール;フルフリルアルコール等の複素環式アルコール;等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオール類;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3,5−キシレノール、チモール、α−ナフトール、β−ナフトール、カテコール、レゾルシン、ピロガロール、フェノールエーテル誘導体、フェノールエステル誘導体、フェノール塩等のフェノール化合物;アルドキシム、ケトキシム等のオキシム類;等の公知のブロック化剤が挙げられる。
これらの中でも、アルコール類をブロック化剤としたウレタン化合物の使用が特に好ましい。また、ポリウレタンをウレタン化合物として添加してもよい。
ウレア化合物としては、モノアシル尿素、ジアシル尿素等のアシル尿素、ジカルボン酸、β−アルデヒト酸、β−ケト酸、α−オキシ酸から誘導されたパラバン酸、バルビツル酸、ジアルル酸、ウラシル、ヒダントイン、5−メチルヒダントイン等の環状ウレイド、オキサルル酸、マロヌル酸等のウレイド酸、尿酸等のジウレイド等を用いることができる。また、ポリウレアも用いることができる。
アミド化合物としては、アセトアミド、第一、第二、第三アミドの酸アミド類、イミド化合物として、第二アミドのジアセトアミド、スクシンイミド、グルタルイミド、フタルイミド等の環状イミド等を用いることができる。また、環状第一アミドのラクタム類、ポリアミド類も用いることができる。
これらの添加剤は1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いる添加剤の分子量は特に制限されないが、2,000以下であるのが好ましい。分子量が2,000より大きいと、高粘度溶液となるので扱い難く、重合体との相互作用が低下して添加効果が期待できなくなるおそれがある。
添加剤の添加量は特に制限されないが、イオン導電性部位を有する重合体に対して、重量比で通常0.001〜0.15.好ましくは0.01〜0.1の範囲である。添加剤の添加量が多すぎる場合には高分子固体電解質としての相溶性が劣り、重合体と相互作用できる構造をとり難く、添加効果が得られない。逆に添加剤の添加量が0.001以下では、十分な効果が得られない。
(3)イオン導電性部位を有する重合体の製造方法
本発明に用いるイオン導電性部位を有する重合体の製造方法は特に制限されず、(a)ラジカル重合法、(b)遷移金属錯体を触媒とし、ハロゲン原子を1又は複数含む有機ハロゲン化合物を重合開始剤とするリビングラジカル重合法、(c)安定ラジカルによるリビングラジカル重合法、(d)リビングアニオン重合法等の公知の方法を用いて製造することができる。これらの中でも、(b)の遷移金属錯体を触媒とし、ハロゲン原子を1又は複数含む有機ハロゲン化合物を重合開始剤とするリビングラジカル重合法が好ましい。
本発明においては、前記共重合体を架橋剤と反応させることで、本発明の架橋部位を有する、前記イオン導電性部位を有する重合体に、ウレタン結合、ウレア結合、又はポリエーテル結合を生成し得る架橋剤と反応させて得られた構造が付与された重合体を得ることができる。このようにして得られる重合体は、本発明の高分子固体電解質の製造原料として好適である。
用いる架橋剤としては、架橋部位を有する、前記イオン導電性部位を有する重合体の架橋点と反応し得る官能基を有するものであって、特に制限されない。中でも分子内に、ウレタン結合、ウレア結合、又はポリエーテル結合を有する架橋剤、また架橋点と反応してウレタン結合、ウレア結合、又はポリエーテル結合を生成し得る重合体であるのが好ましい。
架橋剤の好ましい具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(H−MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(クルードMDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性−MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、水添キシレンジイソシアネート(H−XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のポリイソシアネート、あるいはこれらのポリイソシアネートの多量体化合物、これらのポリイソシアネートとポリオールの反応生成物、イソシアネート基の一部又は全部を、フェノール化合物やオキシム化合物等の公知のブロック化剤を用いてブロックしたブロックイソシアネート類等のポリイソシアネート化合物;
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の2以上のエポキシ基を含むエポキシ化合物;
トリエチレンジアミン、トリエチレンテトラアミン等の脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリ−p−ヒドロキシスチレン等のポリフェノール類、ジシアンアミド、ポリアミド樹脂等のエポキシ樹脂用硬化剤として用いられている化合物;
三フッ化ホウ素アミンコンプレックス、各種オニウム塩等の硬化剤;等が挙げられる。
また、その他として、酸無水物類、ポリフェノール類を架橋剤として用いることができる。
これらの架橋剤は1種単独で、あるいは2種以上併用して用いることができる。
これらのなかでも、架橋剤としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、又はエポキシ化合物の使用が好ましい。尚、エポキシ硬化剤は、イオン導電性部位を有する重合体中にエポキシ基を有する場合に架橋剤として働く。
ポリイソシアネート化合物を用いる場合には、必要に応じて、硬化促進剤として、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類、ナフテン酸コバルト、テトラ−n−ブチルスズ、ジブチルスズジラウレート等の重金属化合物類等を用いることができる。また、エポキシ化合物を用いる場合には、必要に応じて、硬化促進剤として、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類を用いることができる。
架橋剤の使用量は特に制限されないが、架橋部位を有する重合体の架橋部位1モルに対して0.01〜1.0モルの範囲が好ましい。0.01モル未満では、十分な熱的特性、物理的特性が得られず、1.0モルより大きい場合には、十分なイオン導電率が得られなくなるおそれがある。
本発明の高分子固体電解質は、イオン導電性部位を有する繰り返し単位を含む重合体、イオン導電性部位と相互作用できるウレタン結合、チオウレタン結合、ウレイド結合、イミド結合、及びアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の化学結合を分子内に有する添加剤、並びに電解質塩を添加混合して調製される高分子固体電解質用樹脂組成物から形成される。
(4)高分子固体電解質及びその製造方法
用いる電解質塩としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、遷移金属塩、プロトン酸等が挙げられる。
電解質塩としては、電荷でキャリアーとしたいイオンを含んだ電解質を用いればよいが、硬化して得られる高分子固体電解質中での解離定数が大きいことが望ましく、アルカリ金属塩、(CHNBF等の4級アンモニウム塩、(CHPBF等の4級ホスホニウム塩、AgClO等の遷移金属塩あるいは塩酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸等のプロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩又は遷移金属塩の使用が好ましく、アルカリ金属塩がさらに好ましく、リチウム塩が特に好ましい。
アルカリ金属塩の具体例としては、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC(CH)(CFSO、LiCH(CFSO、LiCH(CFSO)、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)、LiB(CFSO、LiPF、、LiSbF、LiClO、LiI、LiBF、LiSCN、LiAsF、NaCFSO、NaPF、NaClO、NaI、NaBF、NaAsF、KCFSO、KPF、KI、LiCFCO、NaClO、NaSCN、KBF、KPF、Mg(ClO、Mg(BF等が挙げられ、これら電解質塩は、単独又は2種以上混合して使用してもよく、中でもリチウム塩が特に好ましい。
電解質塩の添加量は、高分子固体電解質の基材高分子であるイオン導電性部位を有する繰り返し単位を含む重合体中のアルキレンオキサイドユニットに対して、0.005〜80モル%の範囲が好ましく、さらに0.01〜50モル%の範囲が好ましい。
本発明の高分子固体電解質は、先に述べたイオン導電性部位を有する重合体に、添加剤並びに電解質塩を添加混合する(複合化)ことにより製造することができる。添加混合する方法には特に制限なく、重合体と電解質塩とをテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、エタノール、ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒に溶解させる方法、重合体と電解質塩とを常温又は加熱下に機械的に混合する方法等が挙げられる。
本発明において、溶液に用いる溶媒として極性溶媒が好ましい。極性溶媒は、極性を有する溶媒であれば特に限定されないが、具体的には、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、クロロホルム、N−メチルピロリドン、メタノール等を例示することができる。
用いる溶液の固形分濃度は特に限定はされないが、具体的には、0.5〜30重量%の範囲を好ましく例示することができる。0.5重量%未満では、濃度が希薄すぎて少ない工程で成形体を得ることができず、30重量%より多い場合には、膜厚を制御することができなくなる。
キャスト又は塗布後、溶媒を常圧又は減圧留去、加熱乾燥等の方法で除去するが、少なくとも溶媒を含んだ状態で加熱処理する工程を含むことが好ましい。該工程以外の前処理又は後処理工程として、減圧留去、加熱乾燥等の工程がさらに含まれていてもよい。
ここで、溶媒を含んだ状態とは、溶媒が完全に除去される前の状態であり、キャスト、又は塗布した溶液中に占める固形分に対して、10〜50重量%、さらに15〜30重量%の範囲で溶媒が残存しているのが好ましい。加熱する温度は特に制限されないが、ガラス転移点温度付近又はそれ以上が好ましい。
本発明においては、本発明の高分子固体電解質を製造する具体的な他の態様として、
(ア)重合体と所望により架橋剤を熱等を用いて部分的に架橋させた後、添加剤並びに電解質塩を添加して、完全に架橋させて、固化させる方法、
(イ)架橋条件の異なる2種以上の重合体及び1種以上の架橋剤を、一方の重合体のみが架橋する条件下で架橋させた後、添加剤並びに電解質塩を添加して、他方の重合体が架橋する条件下で架橋、固化させる方法、
(ウ)架橋条件の異なる2種以上の重合体、1種以上の架橋剤、添加剤並びに電解質塩を添加して、一方の重合体のみが架橋する条件下で架橋させた後、他方の重合体が架橋する条件下で架橋、固化させる方法、等を採用することもできる。
特に、高分子固体電解質をシート状、膜状、フイルム状等の形状に成形するのが好ましく、固体電解質シートを製造する場合には、高分子固体電解質用組成物をシート状、膜状、フイルム状等の形状に成形した後、架橋させてシート状架橋重合体(高分子固体電解質シート)とするのが好ましく、この場合、加工面の自由度が広がり、応用上の大きな利点となる。
前記高分子固体電解質シートは、キャリアー上に高分子固体電解質用組成物の塗膜を形成し、この塗膜を加熱等にて硬化して製造することができる。
用いるキャリアーとしては、高分子固体電解質シートを担持できるものであれば、材質、大きさ、形状等は特に制約されない。なかでも、ポリテトラフルオロエチレン製等の耐薬品性、耐熱性及び剥離性に優れるものが望ましい。
高分子固体電解質用組成物の溶液をキャリアー上に塗布する方法は、特に制限されず、公知の塗布方法が採用できる。例えば、高分子固体電解質の溶液をキャリアー上に注ぐ方法、ロールコーター法、スクリーンコーティング法、ドクターブレード法、バーコーティング法、カーテンコーター法、スピンコート法、ディップ法、キャスト法等の各種コーティング手段が挙げられる。
得られる高分子固体電解質シートは、正極、負極及び固体電解質層を有する固体電解質電池の固体電解質層として好適に用いることができる。すなわち正極と負極との間に、高分子固体電解質シートを挟むことで、高分子固体電解質電池を得ることができる。
高分子固体電解質電池は、例えば、高分子固体電解質を予めフィルム等の成形体として使用し電極間に組み込む方法に加えて、電極上に先に述べた共重合体等のポリマーと電解質塩を含む組成物を、前記の各種コーティング手段により支持体上に前記高分子固体電解質を成膜し、さらに、もう一方の電極を配置する方法等で、製造することができる。
前記高分子固体電解質シートを用いる固体電解質電池は、例えば、ノートパソコン、携帯電話、コードレスフォン機、電子手帳、電卓、液晶テレビ、電気シェーバー、電動工具、電子翻訳機、音声入力器、メモリーカード、バックアップ電源、ラジオ、ヘッドホンステレオ、ナビゲーションシステム等の機器用の電源や、冷蔵庫、エアコン、テレビ、温水器、オーブン電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、ゲーム機器、照明機器、玩具、医療機器、自動車、電動カート、電力貯蔵システム等の電力供給源として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
【実施例】
(合成例1)イオン導電性部位を有する重合体の合成−1
<ポリ(St−b−PME−1000−b−St)の合成>
アルゴン雰囲気下において、予めアルゴン脱気処理を行ったトルエン96gに、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム2.90g(3mmol)、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPME−1000、以下、「PME−1000」と略す)604.5g(543mmol)を加えて均一に混合後、ジ−n−ブチルアミン1.70g(13mmol)、2,2−ジクロロアセトフェノン1.21g(6.4mmol)を加え、攪拌下、80℃に加温して重合反応を開始させた。重合時間を開始して20時間経過後、反応系の温度を0℃に冷却して重合反応を停止させた。
反応液のGPC分析の結果、PME−1000の重合転化率は52%であった。次に、反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した後、減圧下に揮発分を除去してポリPME−1000を得た。得られたポリPME−1000のGPC分析を行ったところ、Mn=80,000の単分散ポリマーであった。
次いで、アルゴン雰囲気下において、予め脱気処理を行ったトルエン386gに、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.25g(0.31mmol)、ポリPME−1000 100g(1.25mmol)、スチレン25g(240mmol)、ジ−n−ブチルアミン0.45g(3.5mmol)を加えて均一に混合後、攪拌下、100℃に加温して共重合反応を開始させた。共重合反応を開始してから20時間後に反応系の温度を0℃に冷却して共重合反応を停止させた。
GC分析の結果、スチレンの重合転化率は43%であった。この反応液を前記同様カラム精製、及び減圧精製を行い、得られたポリ(St−b−PME−1000−b−St)についてGPC分析を行ったところ、Mn=89,000の単分散ポリマーであった。組成比(wt%)は、PME−1000:St=90:10であった。得られた重合体を重合体Aとする。
(合成例2)イオン導電性部位を有する重合体の合成−2
<ポリ(St−b−PME−550−b−St)の合成>
アルゴン雰囲気下において、予めアルゴン脱気処理を行ったトルエン300gに、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.48g(0.5mmol)、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPME−550、以下、「PME−550」と略す)125g(186mmol)を加えて均一に混合後、ジ−n−ブチルアミン0.26g(2mmol)、2,2−ジクロロアセトフェノン0.19g(1mmol)を加え、攪拌下、80℃に加温して重合反応を開始させた。重合時間を開始して29時間経過後、反応系の温度を0℃に冷却して重合反応を停止させた。PME−550の重合収率は73%であった。
次に、反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した後、減圧下に揮発分を除去して60℃で5時間減圧乾燥してポリPME−550を得た。得られたポリPME−550のGPC分析を行ったところ、Mn=100,000の単分散ポリマーであった。
次いで、アルゴン雰囲気下において、予め脱気処理を行ったトルエン54.4gに、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.041g(0.05mmol)、ポリPME−550 10g(0.1mmol)、スチレン13.3g(128mmol)、ジ−n−ブチルアミン0.035g(0.27mmol)を加えて均一に混合後、攪拌下、100℃に加温して共重合反応を開始させた。共重合反応を開始してから36時間後に反応系の温度を0℃に冷却して共重合反応を停止させた。スチレンの重合収率は45%であった。この反応液を前記同様カラム精製、及び減圧精製を行い、60℃で5時間減圧乾燥して、ポリ(St−b−PME−550−b−St)を得た。得られた重合体についてGPC分析を行ったところ、Mn=159,000の単分散ポリマーであった。組成比(wt%)は、PME−550:St=63:37であった。この重合体を重合体Bとする。
(合成例3)イオン導電性部位を有する重合体の合成−3
<ポリ(HEA−b−St−b−PME−1000−b−St−b−HEA)>
アルゴン雰囲気下において、予めアルゴン脱気処理を行ったトルエン1400gに、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム2.90g(3mmol)、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPME−1000)604.5g(543mmol)を加えて均一に混合後、ジ−n−ブチルアミン1.70g(13mmol)、2,2−ジクロロアセトフェノン1.21g(6.4mmol)を加え、攪拌下、80℃に加温して重合反応を開始させた。重合時間を開始して41時間経過後、反応系の温度を0℃に冷却して重合反応を停止させた。PME−1000の重合収率は52%であった。
次に、反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した後、減圧下に揮発分を除去して60℃で5時間減圧乾燥してポリPME−1000を得た。得られたポリPME−1000のGPC分析を行ったところ、Mn=80,000の単分散ポリマーであった。
次いで、アルゴン雰囲気下において、予め脱気処理を行ったトルエン500gに、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.43g(0.55mmol)、ポリPME−1000 150g(1.9mmol)、スチレン16.7g(160mmol)、ジ−n−ブチルアミン0.48g(3.8mmol)を加えて均一に混合後、攪拌下、100℃に加温して共重合反応を開始させた。共重合反応を開始してから112時間後に反応系の温度を0℃に冷却して共重合反応を停止させた。スチレンの重合収率は52%であった。この反応液を前記同様カラム精製、及び減圧精製を行い、60℃で5時間減圧乾燥してポリ(St−b−PME−1000−b−St)を得た。得られた重合体についてGPC分析を行ったところ、Mn=84,000の単分散ポリマーであった。
続いで、アルゴン雰囲気下、予めアルゴン脱気処理を行ったトルエン191.3gに、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.21g(0.27mmol)、ポリ(St−b−PME−1000−b−St)56g(0.67mmol)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)6.2g(53mmol)、ジ−n−ブチルアミン0.17g(1.3mmol)を加えて均一に混合後、80℃に加温して共重合反応を開始させた。共重合反応を開始してから23時間後に反応系の温度を0℃に冷却して共重合反応を停止させた。GC分析の結果、HEAの重合転化率は55%であった。この反応液を前記同様カラム精製、及び減圧精製を行い、50℃で5時間減圧乾燥して共重合体を得た。得られた共重合体についてGPC分析を行ったところ、Mn=89,000の単分散ポリマーであり、13CNMRを測定したところ、共重合体中の繰り返し単位総モル数に対するPME−1000繰り返し単位モル数の比率が89%、HEA繰り返し単位モル数の比率が6%であるポリ(HEA−b−St−b−PME−1000−b−St−b−HEA)の構造を有する共重合体であった。組成比(wt%)は、PME−1000:St:HEA=89:5:6であった。この重合体を重合体Cとする。
(合成例4)ウレタン結合を有する添加剤の合成−1
窒素置換した200mlのナス型フラスコにトリレンジイソシアネート(TDI)10g(57.5mmol)とエタノール60g(1.3mol)を入れて、2時間還流した。次に、過剰のエタノールをエバポレーターにて減圧除去した。さらに100℃の温度で3時間乾燥して、目的の添加剤(エタノールマスクドトリレンジイソシアネート)を得た。得られた添加剤を添加剤Aとする。
(合成例5)ウレタン結合を有する添加剤の合成−2
トリレンジイソシアネート(TDI)に代えて、o−トリレンモノイソシアネートを用いる以外は、合成例4と同様にして、添加剤(エタノールマスクド−o−トリレンモノイソシアネート)を得た。得られた添加剤を添加剤Bとする。
(合成例6)ウレタン結合を有する添加剤の合成−3
トリレンジイソシアネート(TDI)に代えて、p−トリレンモノイソシアネートを用いる以外は、合成例4と同様にして、添加剤(エタノールマスクド−p−トリレンモノイソシアネート)を得た。得られた添加剤を添加剤Cとする。
(合成例7)ウレタン結合を有する添加剤の合成−4
トリレンジイソシアネート(TDI)に代えて、イソシアン酸フェニルを用いる以外は、合成例4と同様にして、添加剤(エタノールマスクドイソシアン酸フェニル)を得た。得られた添加剤を添加剤Dとする。
[実施例1]高分子固体電解質の作製
アルゴン雰囲気下において、上記合成例で得た重合体Aと、第1表に示す量の添加剤Aをアセトンに溶解させ20wt%溶液を調製した。得られた溶液に電解質塩としてLiClO([Li]/[EO]=5mol%)を加えて均一に溶解させた後、テフロン(登録商標)板上に流延した。室温で24時間放置した後、60℃で24時間減圧乾燥して均一な固体電解質膜を得た(膜厚140μm)。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
[実施例2]高分子固体電解質の作製
添加剤Aの使用量を第1表に示す量とした以外は実施例1と同様にして固体電解質膜を得た(膜厚140μm)。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
[実施例3]高分子固体電解質の作製
重合体Aに代えて重合体Bを用いる以外は、実施例1,2と同様にして固体電解質膜を得た(膜厚140μm)。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
[実施例4]高分子固体電解質の作製
重合体Aに代えて重合体Bを用いる以外は、実施例1,2と同様にして固体電解質膜を得た(膜厚140μm)。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
[実施例5]高分子固体電解質の作製
上記の重合体Cと添加剤の所定量に、架橋剤としてトリレン−2,4−ジイソシアネート(TDI)をHEAに対して1/2相当量を加えた溶液を調製する以外は実施例1,2と同様にして、室温で24時間放置後、60℃で5時間、更に100℃で10時間減圧乾燥して均一な固体電解質膜を得た(膜厚60μm)。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
[実施例6]高分子固体電解質の作製
上記の重合体Cと添加剤の所定量に、架橋剤としてトリレン−2,4−ジイソシアネート(TDI)をHEAに対して1/2相当量を加えた溶液を調製する以外は実施例1,2と同様にして、室温で24時間放置後、60℃で5時間、更に100℃で10時間減圧乾燥して均一な固体電解質膜を得た(膜厚60μm)。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
[実施例7]高分子固体電解質の作製
電解質塩の使用量を第1表に示す量とした以外は実施例1と同様にして固体電解質膜を得た。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
[実施例8]高分子固体電解質の作製
電解質塩の使用量を第1表に示す量とした以外は実施例3と同様にして固体電解質膜を得た。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
[実施例9]高分子固体電解質の作製
電解質塩の使用量を第1表に示す量とした以外は実施例6と同様にして固体電解質膜を得た。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
[実施例10]高分子固体電解質の作製
アルゴン雰囲気下において、上記合成例1で得た重合体A 3gをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、20wt%溶液Aを調製した。
また、LiClO([Li]/[EO]=5mol%)と、合成例5にて調製した添加剤B 0.03gをアセトンに溶解し、20wt%溶液を調製した。
この溶液と、前記調製した溶液Aのそれぞれ1/10量を混合して高分子固体電解質溶液を得た。この溶液をテフロン(登録商標)板上に流延した。窒素気流下、室温で24時間放置した後、60℃で1時間、80℃で1時間乾燥し、さらに80℃で1時間、120℃で4時間減圧乾燥して均一な固体電解質膜を得た(膜厚140μm)。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
[実施例11]高分子固体電解質の作製
実施例10において、添加剤Bの代わりに合成例6にて調製した添加剤Cを用いる他は、実施例10と同様の操作を行い、高分子固体電解質膜を得た。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
[実施例12]高分子固体電解質の作製
実施例10において、添加剤Bの代わりに合成例7にて調製した添加剤Dを用いる他は、実施例10と同様の操作を行い、高分子固体電解質膜を得た。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
(比較例1)
高分子固体電解質の作製において、添加剤を用いない以外は実施例1と同様にして、比較例1の高分子固体電解質膜を形成した。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
(比較例2)
高分子固体電解質の作製において、添加剤を用いない以外は実施例3と同様にして、比較例1の高分子固体電解質膜を形成した。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
(比較例3)
高分子固体電解質の作製において、添加剤を用いない以外は実施例5と同様にして、比較例1の高分子固体電解質膜を形成した。得られた高分子固体電解質膜についてイオン導電率を測定した。
(比較例4)
比較例1と同様に、添加剤を用いない高分子固体電解質膜を再度作製し、イオン導電率を再度測定した。
(高分子固体電解質膜のイオン導電率の測定)
次に、アルゴン雰囲気下において、この膜を白金板に挟み、周波数5H〜10MHzのインピーダンスアナライザー(Solartron−1260型)を用いて複素インピーダンス解析により、実施例1〜9、および比較例1〜3で作成した高分子固体電解質のイオン導電率を測定した。
実施例1〜9、および比較例1〜3で作成した高分子固体電解質の組成とイオン導電率の測定結果を第1表にまとめて示す。第1表中、[Li]/[EO]は、モル比である。

実施例10〜12、及び比較例4で作成した高分子固体電解質の組成とイオン導電率の測定結果を第2表にまとめて示す。

第1表より、添加剤Aを添加した高分子固体電解質(実施例1〜9)は、添加剤Aを添加しない高分子固体電解質(比較例1〜3)に比して、イオン導電率(第1表中、導電率)が高くなっており、添加剤Aを添加することで、イオン導電率が高められた高分子固体電解質が得られることがわかった。
また、第2表より、添加剤B、C、Dを添加した高分子固体電解質(実施例10〜12)は、添加剤なしの比較例4に比して60℃におけるイオン導電率に優れることがわかった。
【産業上の利用可能性】
本発明の高分子固体電解質は、添加剤を用いて好適なイオン導電性を発現するものであり、電池等の電気化学用デバイスの材料として有用であり、産業上の利用価値は高いといえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン導電性部位を有する重合体、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレイド結合、イミド結合およびアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の化学結合を分子内に有する添加剤、並びに電解質塩を含むことを特徴とする高分子固体電解質。
【請求項2】
前記イオン導電性部位が、酸素原子を介して電解質塩と相互作用できる構造を有することを特徴とする請求項1に記載の高分子固体電解質。
【請求項3】
前記イオン導電性部位が、式(I)

(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする(1)又は(2)の高分子固体電解質。
【請求項4】
前記イオン導電性部位が、式(II)

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子またはC1〜C10炭化水素基を表し、RとRは結合して環を形成してもよく、Zは、単結合または二価以上の連結基を表し、R11およびR12は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R13は、水素原子、炭化水素基、アシル基またはシリル基を表す。mは2〜100の整数を表し、R11同士、R12同士は、同一であっても相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子固体電解質。
【請求項5】
前記イオン導電性部位が、前記式(II)中、Zがエステル結合である繰り返し単位を有することを特徴とする請求項4に記載の高分子固体電解質。
【請求項6】
前記式(II)で表される繰り返し単位の重合度が5以上であることを特徴とする請求項4または5に記載の高分子固体電解質。
【請求項7】
前記イオン導電性部位が、前記式(II)中、mが5〜100の整数である繰り返し単位を有することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の高分子固体電解質。
【請求項8】
前記イオン導電性部位を有する重合体が、式(III)

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子またはC1〜C10炭化水素基を表し、Rはアリール基を表す。)で表される繰り返し単位をもつブロック鎖(B)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高分子固体電解質。
【請求項9】
前記イオン導電性部位が、前記ブロック鎖(B)と前記式(II)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖(A)とを含み、ブロック鎖(A)とブロック鎖(B)とが、(B)、(A)、(B)の順に配列していることを特徴とする請求項8に記載の高分子固体電解質。
【請求項10】
前記式(II)で表される繰り返し単位と前記式(III)で表される繰り返し単位とのモル比〔(式(II)で表される繰り返し単位)/(式(III)で表される繰り返し単位)〕が、1/30〜30/1の範囲であることを特徴とする請求項8または9に記載の高分子固体電解質。
【請求項11】
前記イオン導電性部位を有する重合体が、架橋構造を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の高分子固体電解質。
【請求項12】
前記架橋構造が、ウレタン結合、ウレア結合およびエーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の化学結合を含む構造であることを特徴とする請求項11に記載の高分子固体電解質。
【請求項13】
前記架橋構造が、架橋部位と反応して、ウレタン結合、ウレア結合またはポリエーテル結合を生成し得る架橋剤と反応させて得られた構造であることを特徴とする請求項11または12に記載の高分子固体電解質。
【請求項14】
前記イオン導電性部位を有する重合体の数平均分子量が、5,000〜1,000,000の範囲であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の高分子固体電解質。
【請求項15】
前記添加剤の含有量が、イオン導電性部位を有する重合体に対して、重量比で0.001〜0.15の範囲であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の高分子固体電解質。
【請求項16】
前記電解質塩が、アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、遷移金属塩、およびプロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の高分子固体電解質。
【請求項17】
前記電解質塩が、リチウム塩であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の高分子固体電解質。
【請求項18】
式(II)

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子またはC1〜C10炭化水素基を表し、RとRは結合して環を形成してもよく、Zは単結合または二価以上の連結基を表し、R11およびR12は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R13は、水素原子、炭化水素基、アシル基またはシリル基を表し、mは2〜100の整数を表し、R11同士、R12同士は、同一であっても相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位をイオン導電性部位として含む重合体、イオン導電性部位と相互作用できる構造を有する添加剤、並びに電解質塩を含むことを特徴とする高分子固体電解質。
【請求項19】
前記式(II)中、Zがエステル結合であることを特徴とする請求項18に記載の高分子固体電解質。
【請求項20】
前記式(II)で表される繰り返し単位の重合度が、5以上であることを特徴とする請求項18または19に記載の高分子固体電解質。
【請求項21】
前記式(II)で表される繰り返し単位が、式(II)中、mが5〜100の整数である繰り返し単位であることを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の高分子固体電解質。
【請求項22】
前記添加剤が、分子量2,000以下の化合物であることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の高分子固体電解質。

【国際公開番号】WO2005/064620
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【発行日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516716(P2005−516716)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019710
【国際出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】