説明

高分子量ケトン

0.05〜0.12kNsm−2の溶融粘度(MV)を有し、(a)フェニル部分、(b)カルボニル部分、および(c)エーテル部分を有する種類のものである高分子材料を含むパックを提供する。高分子材料は、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリエーテルケトンから選択することが好ましい。そのような低MV材料は、射出成形または押出により薄肉部品を作製したり、または高充填組成物の成分として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料に関し、具体的には、ポリアリールエーテルケトン、特にポリエーテルエーテルケトンに関するが、これらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンは、20年以上も前から知られている。例えば特許文献1〔インペリアル・ケミカル・インダストリーズ(Imperial Chemical Industries)社〕は、その製法および利用法を記載しており、ポリアリールエーテルケトンは、有用であるためには、例えば特許文献1に記載の方法で測定して、少なくとも0.7dlg−1〔少なくとも0.8dlg−1の還元粘度(RV)に相当〕のインヘレント粘度(IV)を有していなければならないと述べている。IVが0.7dlg−1未満であると、製造されるポリマーは強靭ではなく脆弱であると述べられている。
【0003】
したがって、IVが0.7dlg−1未満のポリマーが製造されているが、いずれも一般には市販されておらず、例えば、射出成形または押出などによる部品の製造にも用いられていない。
【0004】
長年にわたって、インペリアル・ケミカル・インダストリーズ社およびその権利相続人であるビクトレックス・ピーエルシー(Vctrex Plc)社は、ポリエーテルエーテルケトンの唯一の製造業者であった。上記の会社は有用なポリマーが少なくとも0.7ldg−1のIVを有する必要があることを認めて、同社から市販されていた最低粘度ポリエーテルエーテルケトンは、(0.755ldg−1のIVに相当する)0.15kNsm−2のMV〔Victrex PEEK(商標)150〕を有していた。同社はさらに、2種の高粘度材料、すなわち、中粘度グレード(0.38kNsm−2のMVを有するVictrex PEEK 380)および標準粘度グレード(0.45kNsm−2のMVを有するVictrex PEEK 450)も販売している。
【0005】
特許文献1の失効以来、他の会社がポリエーテルエーテルケトンを製造している。例えば特許文献2〔ガーダ・ケミカルズ(Gharda Chemicals)社〕は、溶融加工可能なポリエーテルエーテルケトンポリマーの製法を記載している。この文献は、種々のIVを有する一連のポリマーの製法を記載しているが、0.7未満のIVを有するポリマーが有利な特性または商業用途を有し得ることは示唆していない。ガーダ・ケミカルズ社は、ポリエーテルエーテルケトンを製造・販売しており、その最低粘度グレードは、30〜40cc/10分のメルトフローレートを有すると言われているグレード5600と呼ばれている。このグレードは、上述のVictrex PEEK 150と実質的に同じIV/MVを有する。同社はさらに、それぞれVictrex PEEK グレード
380および450と実質的に同じIV/MVを有するグレード5400および5300も販売している。
【0006】
ポリアリールエーテルケトン、特に(はるかに有力な市販ポリアリールエーテルケトンである)ポリエーテルエーテルケトンに関する分野では、長年にわたって、0.7dlg−1未満のIVを有するポリマーは商業用途がないものと思われてきたようである。しかしながら、本発明は、そのようなポリマーが有用な特性を有し、且つ長い間一般に認められていた特許文献1の記述が不正確であるという驚くべき知見に基づいている。特に、特許文献1に記載されている靭性試験はポリアリールエーテルケトンポリマーの特性および/または有用性の正確な判断材料ではないと考えられる。
【特許文献1】欧州特許第0001879B号明細書
【特許文献2】米国特許第6566484B2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、有利かつ有用な特性を有するポリアリールエーテルケトンポリマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様によれば、0.05〜0.12kNsm−2の溶融粘度(MV)を有する高分子材料を含むパックが提供され、この高分子材料は、
(a)フェニル部分、
(b)カルボニル部分、および
(c)エーテル部分
を有する種類のものである。
【0009】
MVは、0.5×3.175mmのタングステンカーバイドダイを用い、400℃、1000s−1の剪断速度で稼動するキャピラリーレオメトリーを用いて測定することが適当である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明はMVに関して記載するが、これは、以下の図1に記載のIV(欧州特許第0001879B号に記載のように測定)にほぼ等しいと見なし得る。
驚くべきことには、本発明の高分子材料は、粘度が市販の最低粘度ポリアリールエーテルケトンの粘度より有意に低いのにもかかわらず、市販のVctrex PEEK 150と同様な機械的性質を有することが分った。上記高分子材料は、低粘度であるために、種々の用途、例えば、高粘度(例えば、PEEK 150)材料を使用できない高充填複合材料用および/または比較的薄い壁を有する部品の射出成形もしくは押出に使用し得るという利点を有する。
【0011】
上記高分子材料は、0.06kNsm−2、好ましくは、少なくとも0.07kNsm−2、より好ましくは、少なくとも0.08kNsm−2のMVを有することが適当である。
【0012】
上記高分子材料は、0.11kNsm−2未満、好ましくは0.10kNsm−2未満のMVを有し得る。
上記高分子材料は、0.07〜0.12kNsm−2、好ましくは0.08〜0.11kNsm−2、より好ましくは0.08〜0.10kNsm−2のMVを有し得る。
【0013】
上記高分子材料は、好ましくは、0.07〜0.10kNsm−2、より好ましくは0.08〜0.10kNsm−2のMVを有する。
上記高分子材料は、ASTM(米国試験材料協会) D790に従って測定して、少なくとも80MPaの引張強度を有し得る。前記引張強度は、好ましくは80〜110MPa、より好ましくは80〜100MPaである。
【0014】
上記高分子材料は、ASTM D790に従って測定して、少なくとも145MPaの曲げ強度を有し得る。前記曲げ強度は、好ましくは145〜180MPa、より好ましくは145〜165MPaである。
【0015】
上記高分子材料は、ASTM D790に従って測定して、少なくとも3.5GPaの
曲げ弾性率を有し得る。曲げ弾性率は、好ましくは3.5〜4.5GPa、より好ましくは3.5〜4.1GPaである。
【0016】
上記パックは、少なくとも一部が上記高分子材料からなる材料を、少なくとも1kg、適当には、少なくとも5kg、好ましくは、少なくとも10kg、より好ましくは、少なくとも14kg含み得る。上記パックは、1000kg以下、好ましくは500kg以下の上記材料を含み得る。好ましいパックは10〜500kgの上記材料を含む。
【0017】
上記パックは、上記高分子材料を含む以下に説明するような複合材料を含み得る。
上記パックは、少なくとも1kg、適当には、少なくとも5kg、好ましくは、少なくとも10kg、より好ましくは、少なくとも14kgの上記高分子材料を含み得る。上記パックは、1000kg以下、好ましくは500kg以下の上記高分子材料を含み得る。好ましいパックは、10〜500kgの上記高分子材料を含む。
【0018】
上記パック内の材料(例えば、複合材料または上記高分子材料自体)は粉末状または粒状の形態を有し得る。
上記パックは、(廃棄または再使用を目的とする)包装材料と所望材料(例えば、複合材料および/または上記高分子材料)とを含み得る。上記包装材料は、上記所望材料をほぼ完全に封入することが好ましい。上記包装材料は、第1容器、例えば、その中に上記所望材料が配置されるプラスチックバッグなどの可撓性容器を含み得る。第1容器は、第2容器、例えば段ボール箱などの箱内に収容され得る。
【0019】
上記パック内の上記所望材料は、少なくとも90重量%の上記高分子材料を含み、好ましくは、実質的に上記高分子材料からなることが好ましい。
上記高分子材料は、式Iの部分、
【0020】
【化1】

および式IIの部分の少なくともいずれかを有することが好ましく、
【0021】
【化2】

上記式中、m、r、sおよびwは、独立して、ゼロまたは正の整数を表し、EおよびE’は、独立して酸素原子または直接結合を表し、Gは、酸素原子、直接結合または−O−Ph−O−部分を表し、ここで、Phはフェニル基を表す。Arは、1つ以上のそのフェニル部分を介して隣接する部分に結合する以下の部分(i)〜(vi)のうちの1つから選択される。
【0022】
【化3】

本明細書に別段の記載がない限り、フェニル部分は、結合する部分との1,4−結合を有する。
【0023】
(i)において、中間のフェニルは、1,4−または1,3−置換され得る。
上記高分子材料は、2種以上の異なる種類の式Iの反復単位と、2種以上の異なる種類の式IIの反復単位とを含み得る。しかしながら、一種類のみの式Iまたは式IIの反復単位を含むことが好ましい。
【0024】
上記部分IおよびIIは反復単位であることが適当である。高分子材料において、単位Iおよび単位IIは互いに結合している、すなわち、単位Iと単位IIとの間に他の原子または基が結合していないことが適当である。
【0025】
wがゼロより大きい場合、各フェニレン部分は、独立して、式II反復単位の他の部分との1,4−結合または1,3−結合を有し得る。上記フェニレン部分は1,4−結合を有することが好ましい。
【0026】
「a」は、上記高分子材料中の式I単位のモル%を表すことが適当であり、各単位Iは同一であることが適当である。「b」は、上記高分子材料の式II単位のモル%を表すことが適当であり、各単位IIは同一であることが適当である。aは、好ましくは45〜100、より好ましくは45〜55、特には48〜52である。bは、好ましくは0〜55、より好ましくは45〜55、特には48〜52である。bに対するaの比率は、好ましくは0.9〜1.1、より好ましくは約1である。aとbの和は、少なくとも90、好ましくは、少なくとも95、より好ましくは、少なくとも99、特には、約100である。上記高分子材料は実質的に部分IとIIとからなることが好ましい。
【0027】
上記高分子材料は、下記一般式の反復単位を有するホモポリマー、
【0028】
【化4】

または少なくとも2種の異なるIV単位を有するランダムもしくはブロックコポリマーであり得、前記式中、AおよびBは、独立して、0または1であり、E、E’、G、Ar、m、r、sおよびwは本明細書に記載の通りである。
【0029】
上記IV単位を含む高分子材料に代わるものとして、上記高分子材料は、下記一般式の反復単位を有するホモポリマー、
【0030】
【化5】

または少なくとも2種の異なるIV単位を有するランダムもしくはブロックコポリマーであり得、前記式中、AおよびBは、独立して、0または1を表し、E、E’、G、Ar、m、r、sおよびwは本明細書に記載の通りである。
【0031】
mは、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2、特には0〜1である。rは、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2、特には0〜1である。sは、0または1であることが好ましい。wは0または1であることが好ましい。
【0032】
上記高分子材料は一般式IVの反復単位を有するホモポリマーであることが好ましい。
Arは下記の部分(vii)〜(xiii)から選択することが好ましい。
【0033】
【化6】

(vii)において、中間のフェニルは、1,4−または1,3−置換され得る。
【0034】
(xi)は、1,2−、1,3−、または1,5−部分から選択され、(xii)は、1,6−、2,3−、2,6−、または2,7−部分から選択されることが好ましい。
適当なAr部分は、部分(i)、(ii)、(iii)および(iv)であり、これらのうち、部分(i)、(ii)および(iv)が好ましい。他の好ましい部分Arは、部分(vii)、(viii)、(ix)および(x)であり、これらのうち、部分(vii)、(viii)および(x)が特に好ましい。
【0035】
特に好ましい種類の高分子材料は、実質的にケトンおよび/またはエーテル部分と結合したフェニル部分からなるポリマー(またはコポリマー)である。すなわち、好ましい種類の高分子材料は、−S−、−SO−またはフェニル以外の芳香族基を有する反復単位を含まない。記載した種類の好ましい高分子材料としては以下のものが挙げられる。
【0036】
(a)実質的に、式IVの単位からなるポリマーであって、式中、Arは部分(iv)を表し、EおよびE’は酸素原子を表し、mは0を表し、wは1を表し、Gは直接結合を表し、sは0を表し、AおよびBは1を表すポリマー(すなわち、ポリエーテルエーテルケトン)
(b)実質的に、式IVの単位からなるポリマーであって、式中、Eは酸素原子を表し
、E’は直接結合を表し、Arは構造(i)の部分を表し、mは0を表し、Aは1を表し、Bは0を表すポリマー(すなわち、ポリエーテルケトン)
(c)実質的に、式IVの単位からなるポリマーであって、式中、Eは酸素原子を表し、Arは部分(i)を表し、mは0を表し、E’は直接結合を表し、Aは1を表し、Bは0を表すポリマー(すなわち、ポリエーテルケトンケトン)
(d)実質的に、式IVの単位からなるポリマーであって、式中、Arは部分(i)を表し、EおよびE’は酸素原子を表し、Gは直接結合を表し、mは0を表し、wは1を表し、rは0を表し、sは1を表し、AおよびBは1を表すポリマー(すなわち、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン)
(e)実質的に、式IVの単位からなるポリマーであって、式中、Arは部分(iv)を表し、EおよびE’は酸素原子を表し、Gは直接結合を表し、mは0を表し、wは0、s、rを表し、AおよびBは1を表すポリマー(すなわち、ポリエーテルエーテルケトンケトン)
(f)式IVの単位からなるポリマーであって、式中、Arは部分(iv)を表し、EおよびE’は酸素原子を表し、mは1を表し、wは1を表し、Aは1を表し、Bは1を表し、rおよびsは0を表し、Gは直接結合を表すポリマー(すなわち、ポリエーテル−ジフェニル−エーテル−フェニル−ケトン−フェニル)。
【0037】
上記高分子材料は半結晶質であることが好ましい。ポリマーの結晶化度のレベルおよび程度は、例えば、ブランデルおよびオズボーン(Blundell and Osborn)(Polymer 第24巻、p.953、1983年)によって説明されているように、(広角X線散乱すなわちWAXSとも称される)広角X線回折により測定することが好ましい。あるいは、結晶化度は示差走査熱量計(DSC)により評価してもよい。
【0038】
上記高分子材料の結晶化度レベルは、少なくとも1%、適当には、少なくとも3%、好ましくは、少なくとも5%、より好ましくは、少なくとも10%であり得る。特に好ましい実施形態において、結晶化度は、30%以上、より好ましくは40%以上、特には45%以上であり得る。
【0039】
上記高分子材料のガラス転移温度(T)は、少なくとも140℃、適当には、少なくとも144℃であり得る。場合により、ガラス転移温度は、154℃以上、154℃、160℃、164℃、170℃、190℃または250℃以上、さらに400℃にもなり得る。1つの好ましい実施形態において、ガラス転移温度は140〜145℃である。
【0040】
上記高分子材料(結晶質の場合)の融解吸熱(Tm)の主ピークは少なくとも300℃であり得る。
上記高分子材料は、実質的に、上記定義の単位(a)〜(f)のうちの1つからなり得る。あるいは、上記高分子材料は、上記定義の(a)〜(f)から選択される少なくとも2つの単位を有するコポリマーを含み得る。好ましいコポリマーは単位(a)を有する。例えば、コポリマーは、単位(a)と(f)とを含んでもよいし、単位(a)と(e)とを含んでもよい。
【0041】
好ましい実施形態において、上記高分子材料は、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリエーテルケトンから選択される。特に好ましい一実施形態において、上記高分子材料はポリエーテルエーテルケトンである。
【0042】
1つの好ましい実施形態において、上記パックは、0.07〜0.12kNsm−2、好ましくは0.08〜0.11kNsm−2、特には0.08〜0.10kNsm−2のMVを有するポリエーテルエーテルケトンを含む。
【0043】
本発明の第2態様によれば、上記第1態様に従って説明した上記高分子材料を少なくとも1kg(好ましくは、少なくとも5kg、より好ましくは、少なくとも50kg)含む容器が提供される。
【0044】
上記高分子材料は、比較的低粘度であるために高充填複合材料の製造を可能にし得る。したがって、本発明の第3態様によれば、0.05〜0.12kNsm−2(好ましくは、0.07〜0.10kNsm−2、より好ましくは0.08〜0.10kNsm−2)のMVを有する高分子材料と、充填材手段とを含む複合材料が提供され、上記高分子材料は、
(a)フェニル部分、
(b)カルボニル部分、および
(c)エーテル部分
を有する種類のものである。
【0045】
上記高分子材料は、上記第1態様に従って説明した高分子材料のすべての特徴を有し得る。上記高分子材料はポリエーテルエーテルケトンであることが好ましい。
上記充填材手段は、繊維充填材または非繊維充填材を含み得る。上記充填材手段は繊維充填材と非繊維充填材を共に含み得る。
【0046】
上記繊維充填材は、無機繊維材料、高融点有機繊維材料および炭素繊維から選択され得る。
上記繊維充填材は、ガラス繊維、炭素繊維、アスベストス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、フルオロカーボン樹脂繊維およびチタン酸カリウム繊維から選択され得る。好ましい繊維充填材はガラス繊維および炭素繊維である。
【0047】
上記非繊維充填材は、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、粘土、ガラス粉末、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、フルオロカーボン樹脂および硫酸バリウムから選択され得る。非繊維充填材は、粉末状またはフレーク状粒子の形態で導入され得る。
【0048】
上記充填材手段は、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンブラックおよびフルオロカーボン樹脂のうちから選択される1種以上の充填材を含むことが好ましい。
上記複合材料は、上述のようなMVを有する前述した種類の高分子材料を1種以上含み得る。上記複合材料は、単一種の高分子材料のみを含むことが好ましい。上記単一種はポリエーテルエーテルケトンであることが好ましい。
【0049】
上記複合材料は、30〜80重量%の上述種の高分子材料(好ましくは単一種高分子材料、特にポリエーテルエーテルケトン)と、20〜70重量%の充填材手段とを含むことが適当である。上記複合材料は、30〜70重量%の高分子材料と、30〜70重量%の充填材手段とを含むことが好ましい。上記複合材料は、40〜65重量%の高分子材料と35〜60重量%の充填材手段とを含むのがなお好ましい。1つの特に好ましい実施形態において、上記複合材料は、40〜60重量%の高分子材料と40〜60重量%の充填材手段とを含む。
【0050】
高分子材料の充填材手段に対する重量%比は、0.6〜1.6、好ましくは0.65〜1.5であり得る。
充填材手段の高分子材料に対する重量%比は、好ましくは、少なくとも0.65、より好ましくは、少なくとも0.8、特には、少なくとも1である。
【0051】
上記複合材料は粒状であり得る。
本発明の第4態様によれば、複合材料の製造法が提供される。この方法は、
(i)0.05〜0.12kNsm−2(好ましくは、0.07〜0.10kNsm−2、より好ましくは0.08〜0.10kNsm−2)のMVを有し、かつ
(a)フェニル部分、
(b)カルボニル部分、および
(c)エーテル部分
を含む高分子材料を選択する工程と、
(ii)上記高分子材料を充填材手段と接触させて、複合材料を製造する工程とを含む。
【0052】
選択された上記高分子材料は、本明細書に記載の上記高分子材料のすべての特徴を有し得る。上記高分子材料はポリエーテルエーテルケトンであることが好ましい。
上記充填材手段と製造された複合材料とは、独立して、本明細書に記載の充填材手段と複合材料のすべての特徴を有し得る。
【0053】
上記複合材料は、国際出願番号第PCT/GB2003/001872号に記載のように製造することが可能であり、上記文献はそのまま本明細書に文献援用される。
上記複合材料は、溶融高分子材料と上記充填材手段とを接触させて製造し得る。
【0054】
上述のように、高分子材料は、部品を製造するための射出成形または押出に用いると有利であり得る。したがって、本発明の第5態様により、部品の製造法が提供され、この方法は、0.05〜0.12kNsm−2(好ましくは、0.07〜0.10kNsm−2、より好ましくは0.08〜0.10kNsm−2)のMVを有し、かつ
(a)フェニル部分、
(b)カルボニル部分、および
(c)エーテル部分
を有する種類のものである高分子材料を押出または射出成形する工程を含む。
【0055】
上記高分子材料は、上記態様のいずれかに従って説明した上記高分子材料のすべての特徴を有し得る。上記高分子材料はポリエーテルエーテルケトンであることが好ましい。
上記方法は、上記高分子材料を含む部品製造用前駆材料を選択する工程と、押出または射出成形装置中で前駆材料をその溶融温度を超える温度に暴露する工程とを含むことが好ましい。上記前駆材料は、300℃以上、好ましくは340°以上の温度に加熱することが適当である。前駆材料は450℃以下の温度に加熱することが適当である。
【0056】
上記前駆材料は、実質的に、本明細書に記載の上記高分子材料または本明細書に記載の上記複合材料からなり得る。
この方法において、部品を製造するためには、少なくとも0.5g、好ましくは、少なくとも1g、より好ましくは、少なくとも5g、特には、少なくとも10gを選択することが適当である。
【0057】
この方法は、比較的薄い壁を有する部品の製造に用い得る。したがって、本発明は、第6態様において、厚さが3mm以下の領域を含む壁を有する部品の製造法に関する。この方法は、
(A)0.05〜0.12kNsm−2(好ましくは、0.07〜0.10kNsm−2、より好ましくは0.08〜0.10kNsm−2)のMVを有し、かつ
(a)フェニル部分、
(b)カルボニル部分、および
(c)エーテル部分
を有する種類のものである高分子材料を含む前駆材料を選択する工程と、
(B)前駆材料を処理して、上記部品を形成する工程とを含む。
【0058】
前記部品は、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下の厚さを有する領域を備える。
工程(B)に記載の上記処理は、上記前駆材料の溶融加工を含むことが好ましい。溶融加工は、押出または射出成形により実施することが好ましい。
【0059】
上記部品は、上記のような厚さを有する、少なくとも0.5cm、好ましくは、少なくとも1cm、より好ましくは、少なくとも5cmの面積を有する領域を備えることが適当である。したがって、一実施形態において、上記部品は、3mm、好ましくは2mm以下の厚さを有する少なくとも0.5cmの領域を備え得る。
【0060】
本明細書に記載のような上記高分子材料は、任意の適当な方法で製造され得る。米国特許第6566484B2号に記載のような求電子プロセスを用いてもよいし、欧州特許第EP0001879B号またはPCT/GB99/02833号に記載のような求核プロセスを用いてもよい。求核プロセスが好ましい。
【0061】
MVは欧州特許第EP0001879B号に記載のように制御され得る。
本明細書に記載されている発明の態様または実施形態の特徴はいずれも、必要な変更を加えて、本明細書に記載されている他の発明の態様または実施形態の任意の特徴と組み合せ得る。
【0062】
MVとIVの関係を示すプロットである添付図面を参照しながら、本発明の特定の実施形態を実施例として以下で説明する。
Victrex PEEK 150P(商標)、Victrex PEEK 150GL30(商標)およびVictrex PEEK 150CA130は、英国のビクトレックス・ピーエルシー社から入手し得る。
【0063】
別段の記載がない限り、本明細書に引用されているすべての化学物質は、英国ドーセット(Dorset)州所在のシグマ・アルドリッチ・ケミカル社(Sigma−Aldrich Chemical Company)から入手したままの状態で使用した。
【0064】
実施例1 ポリエーテルエーテルケトンの調製
クイックフィットすりガラス栓と、攪拌機/攪拌機ガイド、窒素の注入口と排出口とを備えた250mlフランジ付きフラスコに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(22.48g、0.103モル)、ヒドロキノン(11.01g、0.1モル)、およびジフェニルスルホン(49g)を充填し、窒素で1時間パージした。次いで、内容物を窒素ブランケット下で140〜150℃に加熱して、ほぼ無色の溶液を形成した。窒素ブランケットを維持しながら、乾燥炭酸ナトリウム(10.61g、0.1モル)および炭酸カリウム(0.278g、0.002モル)を加えた。温度を200℃に上げて1時間保持し、250℃に上げて1時間保持し、次いで315℃に上げて2時間保持した。
【0065】
反応混合物を放冷して粉砕し、アセトンおよび水で洗浄した。得られたポリマーを空気乾燥器中120℃で乾燥させて、粉末を得た。このポリマーは、400℃、100sec−1で、0.089kNsm−2の溶融粘度を有していた。
【0066】
このポリマーを、プレス(20トン、5分)中、400℃で圧縮成形して、厚さ約0.2mmの薄膜を形成し、30分で400℃から120℃に冷却して完全結晶化させ、次いで、室温に冷ました。
【0067】
その後、前記薄膜を折り曲げて180°にわたって蝶番運動させ、次いで360°にわたって蝶番運動させた。このプロセスを5回繰り返したが、薄膜は破断しなかったので、強靭であると見なした。
【0068】
実施例2a〜d − 種々の溶融粘度を有するポリエーテルエーテルケトン試料の調製
実施例1に記載の手順を繰り返したが、但し、重合時間を変えて、種々の溶融粘度を有するポリエーテルエーテルケトンを調製した。その詳細を以下の表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
実施例3 − ポリエーテルエーテルケトンの大規模調製
実施例1に記載の手順をより大きな規模で繰り返して、機械的試験およびメルトフロー試験の実施に十分な材料を調製した。400℃および1000s−1で測定して、それぞれ、0.144、0.110、0.089、0.076および0.059kNsm−2の溶融粘度を有する5種のバッチ、すなわち実施例3a〜eを調製した。
【0071】
実施例4a〜d − ポリエーテルエーテルケトンのメルトフローインデックス
実施例3c、3eからのポリエーテルエーテルケトン試料、Victrex PEEK
150Pの試料、重量比が77:23の実施例3dと実施例3aとのブレンド、重量比が64:36の実施例3eと実施例3aとのブレンドのメルトフローインデックスをCEAST Melt Flow Tester 6941.000で測定した。ポリマーをMelt Flow Tester装置のバレルに入れ、400℃に加熱した。次いで、バレルに加重されたピストン(2.16kg)を挿入し、タングステンカーバイドダイ、2.095mm口径×8.000mmから押し出して、定剪断応力下でポリマーを押し出した。MFI〔メルトフローインデックス(Melt Flow Index)〕は、10分間に押し出されたポリマーの平均質量(g)である。結果を以下の表2に詳述する。
【0072】
【表2】

【0073】
実施例5 − 低粘度ポリエーテルエーテルケトンのスパイラルフロー
スパイラルフロー金型上、溶融温度370および390℃、成形深さ1および2mm、成形温度185、射出圧力約14MPa(140バール)でスパイラルフロー測定を実施し、スパイラルフロー長を測定した。結果を以下の表3に詳述する。
【0074】
【表3】

【0075】
実施例6a〜e − 低粘度ポリエーテルエーテルケトンの機械的性質
実施例3c、3d、3eからのポリエーテルエーテルケトン、Victrex PEEK 150P、実施例3dと3bの60:40重量%ブレンド、実施例3bと実施例3cと実施例3dと実施例3eとの30:30:30:10重量%ブレンド、実施例3dと実施例3aとの77:23重量%ブレンド、および実施例3eと実施例3aとの64:36重量%ブレンドの試料を、バレル温度350〜360℃、ノズル温度365℃、成形温度145〜155℃、保持圧力約3MPa(30バール)、射出圧力約14MPa(140バール)、スクリュー速度45rpmで射出成形して、機械的性質評価用の標準試験片を作製した。結果を以下の表4に詳述する。
【0076】
【表4】

【0077】
実施例7a〜d − 充填材入り低粘度ポリエーテルエーテルケトンのメルトフローインデックスおよび機械的性質
実施例3eと実施例3aとの64:36重量%ブレンドによるポリエーテルエーテルケトンを、別々に、30重量%のガラス繊維(オーウェンス コーニング(Owens Corning) OCP CS D165−11C)および30重量%の炭素繊維(SGL Sigrafil C25 S006 APS)と、ZSK 25 WLE Twin Screw Extruderで混合した(それぞれ実施例7aおよび7c)。400℃および2.16kgでそれら2種の化合物のメルトフローインデックスを測定し、それぞれ、30重量%のガラス繊維と炭素繊維を含有するコマーシャルグレードのポリエーテルエーテルケトンであるVictrex PEEK 150GL30および150CA30と比較した。結果を以下の表5に詳述する。
【0078】
バレル温度370〜380℃、ノズル温度380℃、成形温度180〜200℃、保持圧力約3MPa(30バール)、射出圧力約14MPa(140バール)、スクリュー速度45rpmで、実施例7aおよび7dの化合物を射出成形して、標準試験片を作製し、それらの機械的性質を測定して、Victrex PEEK 150GL30および150CA30と比較した。結果を以下の表5に詳述する。
【0079】
【表5】

【0080】
実施例8a〜g − 高充填低粘度ポリエーテルエーテルケトンのメルトフローインデックスおよび機械的性質
実施例3eと実施例3aとの64:36重量%ブレンドからのポリエーテルエーテルケトンを、別々に、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%のガラス繊維(オーウェンス コーニンング OCF D165A−11C)および40重量%、50重量%、60重量%の炭素繊維(SGL Sigrafil C25 S006 APS)と、ZSK 25WLE Twin Screw Extruderで混合した(それぞれ、実施例8a〜8g)。400℃および2.16kgで化合物のメルトフローインデックスを測定し、それぞれ、30重量%のガラス繊維および炭素繊維を含有するコマーシャルグレードのポリエーテルケトンであるVictrex PEEKTM 150GL30および150CA30と比較した。結果を以下の表6aおよび6bに詳述する。
【0081】
バレル温度370〜380℃、ノズル温度380℃、成形温度180〜200℃、保持圧力約3MPa(30バール)、スクリュー速度45rpmで、実施例8a〜8gの化合物を射出成形して、標準試験片を作製し、それらの機械的性質を測定して、Victrex PEEK 150GL30および150CA30の機械的性質と比較した。結果を以下の表6aおよび6bに詳述する。
【0082】
【表6】

【0083】
【表7】

【0084】
実施例9a〜b − マイカ充填低粘度ポリエーテルエーテルケトンのメルトフローインデックスおよび機械的性質
実施例3eと実施例3aとの64:36重量%ブレンドからのポリエーテルエーテルケトンおよびVictrex 150Pと、30重量%のマイカ(CMMP、微粒マイカ 325メッシュ)とを、ZSK 25 WLE Twin Screw Extruderで混合した(それぞれ、実施例9a〜9b)。400℃および2.16kgで化合物の
メルトフローインデックスを測定した。結果を以下の表7に詳述する。
【0085】
バレル温度370〜380℃、ノズル温度380℃、成形温度180〜200℃、保持圧力約3MPa(30バール)、スクリュー速度45rpmで、実施例9a〜9bの化合物を射出成形して標準試験片を作製し、それらの機械的性質を測定した。結果を表7に詳述する。
【0086】
【表8】

【0087】
実施例10a〜10b − 高充填低粘度ポリエーテルエーテルケトンのメルトフローインデックスおよび機械的性質
実施例3eと実施例3aとの64:36重量%ブレンドからのポリエーテルエーテルケトンおよびVictrex 150Pと、15重量%の炭素繊維(SGL Sigrafil C25 S006)、15重量%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(Asahi Glass Fluoropolymers Fluon FL 1650)および21重量%のポリエーテルスルホン(PES)(BASF Ultrason E3010)とを、ZSK 25WLE Twin Screw Extruderで混合した(それぞれ、実施例10a〜10b)。400℃および10kgで化合物のメルトフローインデックスを測定した。結果を以下の表8aに詳述する。
【0088】
【表9】

【0089】
バレル温度370〜380℃、ノズル温度380℃、成形温度180〜200℃、保持圧力約3MPa(30バール)、スクリュー速度45rpmで、実施例10a〜10bの化合物を射出成形して標準試験片を作製し、それらの機械的性質を測定した。結果を表8bに詳述する。
【0090】
【表10】

【0091】
実施例11 − ポリエーテルケトンの調製
クイックフィットすりガラス栓、攪拌機/攪拌機ガイド、窒素の注入口および排出口を備えた250mlフランジ付きフラスコに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(33.49g、0.153モル)と、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(32.13g、0.150モル)と、ジフェニルスルホン(124.5g)を充填し、窒素で1時間パージした。次いで、内容物を窒素ブランケット下で160℃に加熱して、ほぼ無色の溶液
を形成した。窒素ブランケットを維持しながら、乾燥炭酸ナトリウム(16.59g、0.156モル)を加えた。温度を1℃/分で340℃に上げて2時間保持した。
【0092】
反応混合物を冷まして粉砕し、アセトンと水で洗浄した。得られたポリマーを空気乾燥器中120℃で乾燥させて、粉末を得た。このポリマーは、400℃、100sec−1で、0.12kNsm−2の溶融粘度を有していた。
【0093】
実施例12a〜12d − ポリエーテルケトンの大規模調製
実施例11に記載の手順をより大規模に繰り返して機械的試験およびメルトフロー試験の実施に十分な材料を調製した。400℃および1000s−1で測定して、それぞれ、0.12、0.10、0.09および0.08kNsm−2の溶融粘度を有する4種のバッチ、すなわち実施例12a〜12dを調製した。
【0094】
実施例13a〜13b − ポリエーテルケトンのメルトフローインデックス
実施例12からのポリエーテルケトン試料と、Victrex PEK P22の試料の400℃および2.16kgでのメルトフローインデックスを測定した。結果を以下の表9に詳述する。
【0095】
【表11】

【0096】
実施例14a〜14e − 低粘度ポリエーテルケトンの機械的性質
バレル温度380〜390℃、ノズル温度385℃、成形温度155〜165℃、保持圧力約3MPa(30バール)、射出圧力約14MPa(140バール)、スクリュー速度45rpmで、実施例12a、12b、12c、および12dからのポリエーテルケトン、並びにVictrex PEK 22Pの試料を射出成形して、機械的性質評価用の標準試験片を作製した。結果を以下の表10に示す。
【0097】
【表12】

【0098】
実施例15a〜15b − 充填材入り低粘度ポリエーテルケトンのメルトフローインデックスおよび機械的性質
実施例12cからのポリエーテルケトンおよびVictrex PEK P22と、30重量%のガラス繊維(オーウェンス コーニンング OCF CS D165A−11C)とを、ZSK 25 WLE Twin Screw Extruderで混合した(それぞれ、実施例15aおよび15b)。400℃および2.16kgで化合物のメルトフローインデックスを測定した。結果を以下の表11に詳述する。
【0099】
バレル温度375〜410℃、ノズル温度390℃、成形温度180〜200℃、保持圧力約3MPa(30バール)、スクリュー速度45rpmで、実施例15a〜15bの化合物を射出成形して標準試験片を作製し、それらの機械的性質を測定した。結果を以下の表11に詳述する。
【0100】
【表13】

【0101】
実施例16a〜16i − 高充填低粘度ポリエーテルエーテルケトンの粘度および機械的性質
実施例3eと実施例3aとの64:36重量%ブレンドからのポリエーテルエーテルケトンと、液晶ポリマー(LCP)ポリマー(Ticona T130、融点370℃、ガラス繊維分30%)および合計ガラス繊維分を60%にするための追加ガラス繊維(オーウェンス コーニンング D165−11C)とをZSK 25 WLE Twin Screw Extruderで混合した(それぞれ、実施例16a〜16e)。LCPポリマーは、混合する前に、150℃で16時間予備乾燥した。
【0102】
LCP T130を追加すると、押出成形機のトルクが低下し、繊維の浸潤が改良されることが観察された。
0、5、10および15%のLCP T130および合計ガラス繊維分を30%にするための追加ガラス繊維と混合したVictrex 150P ポリケトンを用いて比較試験を実施した(それぞれ、実施例16f〜16i)。
【0103】
化合物の溶融粘度は380℃および1000s−1で、またメルトフローインデックスは380℃および2.16kgで測定した。
バレル温度350〜360℃、ノズル温度365℃、成形温度145〜155℃、保持圧力約3MPa(30バール)、スクリュー速度45rpmで、実施例16a〜16iの化合物を射出成形して標準試験片を作製し、それらの機械的性質を測定した。結果を以下の表12aおよび表12bに詳述する。
【0104】
【表14】

【0105】
【表15】

【0106】
本願に関連して本明細書と同時にまたは本明細書より以前に提出され、本明細書と共に公開されるすべての書類および文献に注意が向けられ、そのような文書および文献はそのまま本明細書に文献援用される。
【0107】
(添付特許請求の範囲、要約および図面を含む)本明細書に開示されているすべての特徴、および/またはそのようにして開示された方法またはプロセスのすべての工程は、そのような特徴および/または工程の少なくともいくつかが互いに相互排他的である組み合せを除いて、任意の組み合せで組み合わされ得る。
【0108】
(添付特許請求の範囲、要約および図面を含めた)本明細書に開示されている各特徴は、明確な別段の記載がない限り、同一、均等または類似の目的を果たす代替特徴に置き換え得る。したがって、明確な別段の記載がない限り、開示されている各特徴は、一連の包括的均等または類似特徴の一例に過ぎない。
【0109】
本発明は上述の実施形態の細目には限定されない。本発明は、(添付特許請求の範囲、要約および図面を含め)本明細書に開示されている特徴のどの新規特徴もしくは新規組み合せ、またはそのようにして開示された方法もしくはプロセスの工程のどの新規工程もしくは新規組み合せをも包含する。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】PEEKの溶融粘度とインヘレント粘度との関係を示すプロット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.05〜0.12kNsm−2の溶融粘度(MV)を有し、且つ
(a)フェニル部分、
(b)カルボニル部分、および
(c)エーテル部分
を有する種類のものである高分子材料を含むパック。
【請求項2】
前記高分子材料は、1000s−1の剪断速度で測定して、0.07〜0.12kNsm−2の溶融粘度を有する、請求項1に記載のパック。
【請求項3】
前記高分子材料は、1000s−1の剪断速度で測定して、0.08〜0.11kNsm−2の溶融粘度を有する、請求項1または2に記載のパック。
【請求項4】
前記高分子材料は、1000s−1の剪断速度で測定して、0.08〜0.10kNsm−2の溶融粘度を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のパック。
【請求項5】
前記高分子材料は、ASTM D790に従って測定して、少なくとも80MPaの引張強度を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のパック。
【請求項6】
前記高分子材料は、ASTM D790に従って測定して、少なくとも145MPaの曲げ強度を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載のパック。
【請求項7】
前記高分子材料は、ASTM D790に従って測定して、少なくとも3.5GPaの曲げ弾性率を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載のパック。
【請求項8】
少なくとも一部が前記高分子材料からなる材料を少なくとも1kgを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のパック。
【請求項9】
前記高分子材料は、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテル−ジフェニル−エーテル−フェニル−ケトン−フェニルのうちから選択される、請求項1から8のいずれか1項に記載のパック。
【請求項10】
前記高分子材料が半結晶質である、請求項1から9のいずれか1項に記載のパック。
【請求項11】
前記高分子材料のガラス転移温度(T)が少なくとも140℃である、請求項1から10のいずれか1項に記載のパック。
【請求項12】
前記高分子材料は、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリエーテルケトンから選択される、請求項1から11のいずれか1項に記載のパック。
【請求項13】
前記高分子材料がポリエーテルエーテルケトンである、請求項1から12のいずれか1項に記載のパック。
【請求項14】
0.07〜0.12kNsm−2の溶融粘度を有するポリエーテルエーテルケトンを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載のパック。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の前記高分子材料を少なくとも1kg含む容器。
【請求項16】
0.05〜0.12kNsm−2の溶融粘度を有する請求項1から14のいずれか1項に記載の高分子材料と、充填材手段とを含む複合材料。
【請求項17】
前記充填材手段は、繊維充填材および非繊維充填材のいずれかを含む、請求項16に記載の複合材料。
【請求項18】
前記充填材手段は、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンブラックおよびフルオロカーボン樹脂から選択される1種以上の充填材を含む、請求項16または17に記載の複合材料。
【請求項19】
40〜65重量%の高分子材料と、35〜60重量%の充填材手段とを含む、請求項16から18のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項20】
40〜60重量%の高分子材料と、40〜60重量%の充填材手段とを含む、請求項16から19のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項21】
該材料が粒状の形態を有する、請求項16から20のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項22】
複合材料の製造法であって、
(i)0.05〜0.12kNsm−2の溶融粘度を有し、且つ
(a)フェニル部分、
(b)カルボニル部分、および
(c)エーテル部分
を有する種類のものである高分子材料を選択する工程と、
(ii)前記高分子材料を充填材手段と接触させて、前記複合材料を調製する工程とを含む方法。
【請求項23】
部品の製造方法であって、
0.05〜0.12kNsm−2の溶融粘度を有し、且つ
(a)フェニル部分、
(b)カルボニル部分、および
(c)エーテル部分
を有する種類のものである高分子材料を押出または射出成形する工程を含む方法。
【請求項24】
前記高分子材料を含む部品製造用前駆材料を選択する工程と、押出または射出成形装置中で前駆材料をその溶融温度を超える温度に暴露する工程とを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
厚さ3mm以下の領域を含む壁を有する部品の製造法であって、
(A)0.05〜0.12kNsm−2の溶融粘度を有し、且つ
(a)フェニル部分、
(b)カルボニル部分、および
(c)エーテル部分
を有する種類のものである高分子材料を含む前駆材料を選択する工程と、
(B)前記前駆材料を処理して、前記部品を形成する工程とを含む方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−506833(P2007−506833A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527479(P2006−527479)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004087
【国際公開番号】WO2005/030836
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(501097318)ビクトレックス マニュファクチャリング リミテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】VICTREX MANUFACTURING LIMITED
【Fターム(参考)】