高分泌性蛋白質のスクリーニングおよび組換え蛋白質の生産のための融合パートナーとしてのその用途
本発明は、組換え蛋白質の高分泌生産に適した分泌融合パートナー(SFP)を確認するための技術に関する。SFPは、セクレトーム分析から得ることができる。組換え蛋白質は、分泌融合パートナー(SFP)との融合形態で生成され、インビボプロテアーゼ処理によってSFPから分離され得る。本発明のSFPは、バイオ製薬およびバイオ産業で価値のある目的蛋白質およびペプチドの分泌レベルを有意に向上させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換え蛋白質発現の技術分野に関する。特に、本発明は、分泌融合パートナー(secretion fusion partner:SFP)および適切なSFPをスクリーニングするための技術に関する。目的ポリペプチドの過量分泌生産を達成するために最適化されたSFPが記載されている。本発明のSFPは、組換え蛋白質の高分泌生産を誘導することができる。
【背景技術】
【0002】
関心のある蛋白質の組換え発現は、研究目的または、治療用および他の商業的用途のために、大量の蛋白質生産のために広く用いられる方法である。バクテリア、酵母、および哺乳動物宿主細胞系を含む様々な組換え発現系が当業者に知られており、多数の異なる蛋白質はこれらの発現系で成功的に生産される。しかし、このような発現系を用いても容易に生産されない多数の蛋白質が存在し、場合によっては全く発現及び分泌されない場合がたくさんある。組換え発現する蛋白質の分泌生産を増進させるための方法、例えば、分子シャペロンおよびフォールダーゼ(foldase)の過剰発現(Hackel et al.,Pharm Res 23:790(2006);Poewer and Robinson,Biotechnol Prog 23:364(2007);Shusta et al.,Nat Biotechnol 16:773(1998))、分泌経路に関連した遺伝子の過剰発現(Carla Fama et al.,Biochim Biophys Acta 1773:232(2007);Wentz and Shusta et al.,Appl Environ Microbiol 73:1189(1998))、リーダー配列の操作(Clements et al.,Gene 106:267(1991);Kjaerulff and Jensen,Biochem Biophys Res Commun 336:974(2005);Sagiya et al.,Microbiol.Biotechnol 42:358(1994);Li et al.,Bitechnol Prog 18:831(2002))などが報告されているが、この場合、いくつかの特定の蛋白質のみで効果的であることが確認された。
【0003】
また蛋白質生産を増加させる他の方式としては、目的蛋白質を融合パートナーに連結して生産することが挙げられる。ヒト血清アルブミン(Kang et al.,Protein Expr Purif 53:331(2007);Huang et al.,J.Pept.Sci 14:588(2008))、α−ラクトアルブミン(WO1995027782A1)、ルブレドキシン(WO2000039310A1)、ヒトグルカゴン(WO2000053777A1)、メクラウナギから由来したカテリシジン関連ペプチド(WO2005019242A2)、ホスホリブロキナーゼ(US6500647B1)、蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ[Kajino et al.,Appl Environ Microbiol 66:638(2000)]、ブドウ状球菌蛋白質A[Moreno et al.,Protein Expr Purif 18:242(2000)]、Hsp150蛋白質[Sievi et al.,Biotechnol.Prog.19:1368(2003)]、セルロース結合ドメイン[Ahn et al.,Appl Microbiol Biotechnol.64:833(2004)]および金結合ペプチド(US20050106625A1)などのような融合パートナーを使用して、いくつかの分泌蛋白質の生産を増加させた。
【0004】
分泌蛋白質および新規な分泌シグナル配列を確保するために努力して、様々な分泌シグナル配列トラップシステムが開発された。米国特許第6,228,590号には、レポーター蛋白質欠乏酵母をレポーター蛋白質に融合した哺乳動物コード配列を含む核酸に形質転換させ、レポーター蛋白質を分泌する細胞を検出することによって哺乳動物分泌シグナル配列をスクリーニングするための技術が記載されている。インベルターゼ(invertase)欠乏酵母およびインベルターゼレポーター蛋白質を用いた類似のシステムがEP0907727に開示されている。酵母に基づいた分泌シグナル配列トラップは、ヒトDNA(Klein et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.米国 93:7108(1996);Jacobs et al.,Gene 198:289(1997))、マウスDNA(Gallicioti et al.,J.Membrane Biol.183:175(2001))、ゼブラフィッシュDNA(Crosier et al.,Dev.Dynamics 222:637(2001))、アラビドプシス(Arabidopsis)DNA(Goo et al.,Plant Mol.Biol.41:415(1999))、ジャガイモDNA(Surpili et al.,Anais de Academia Brasileira de Ciencias 74:599(2002))、およびカンジダアルビカンス(Candida albicans)DNA(Monteoliva et al.,Eukaryotic Cell 1:514(2002))から分泌される蛋白質を確認するために使用された。哺乳動物宿主細胞(Gallicioti et al.,J。 Membrane Biol。 183:175(2001))およびバクテリア宿主細胞(Ferguson et al.,Cancer Res.65:8209(2000))を用いた類似のトラップシステムが開発された。分泌シグナル配列トラップで使用されたレポーター蛋白質には、インベルターゼ(Klein et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.米国 93:7108(1996))、αアミラーゼ(米国特許第6,228,590号)、酸性ホスファターゼ(PHO5)(Surpili et al.,Anais de Academia Brasileira de Ciencias 74:599(2002))、およびβ−ラクタマーゼ(Ferguson et al.,Cancer Res.65:8209(2000))が含まれる。
【0005】
目的蛋白質の分泌に有用な翻訳融合パートナー(translational fusion partner:TFP)を確認するための方法は、WO2005/068658に開示されている。前記方法は、(i)核酸断片のライブラリおよびレポーター蛋白質をコードするヌクレオチド配列と共に融合した目的蛋白質をコードするヌクレオチド配列を含む様々なベクターで形質転換された、レポーター蛋白質が欠乏された多数の宿主細胞を収得する工程、および(ii)前記宿主細胞から、目的蛋白質の分泌を個別的に誘導する核酸断片を含むTFPライブラリを確認する工程を含む。
【0006】
酵母でめったに分泌されない蛋白質の分泌生産のための翻訳融合パートナー(TFP)技術は、WO2007/015178に記載されている。酵母ゲノムからのTFPスクリーニング過程で、YGR106C(Voa1p)遺伝子を発見した。Voa1p蛋白質の細胞における位置は、ER膜であることが最近確認された(Ryan et al.,Mol.Biol.Cell,Epub ahead of print,Sep 17,2008)。Voa1pは、液胞ATPaseに対する5個の組立因子のうちの1つとして提示された。
【0007】
当業界において、目的蛋白質の発現を増進させるさらなる配列、およびそのような配列を確認するための方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はセクレトーム(secretome)分析によって得られる分泌融合パートナー(SFP)を用いた、様々な組換え蛋白質の高分泌生産および効率的精製に関する。組換え蛋白質は、分泌融合パートナーと共に融合形態で細胞外に生産され、インビトロのプロテアーゼ処理によってSFPから分離され得る。本発明に記載されたSFPは、バイオ製薬およびバイオ産業において価値のある目的蛋白質およびポリペプチドの分泌レベルを有意に向上させる。SFPの選択/スクリーニングのための方法も記載されている。たとえ特定の蛋白質が分泌されるかどうかを決定したり、あるいはこれを予想できたとしても、分泌される蛋白質がSFPとして作用するかどうかを予想することは不可能である。本発明の選択/スクリーニング方法は、SFPとして作用する蛋白質、およびそのような蛋白質の断片および誘導体の選択を可能にする。本発明のスクリーニング/選択方法によって選択されたSFPは、バイオ−製薬およびバイオ−産業において有用な蛋白質の組換え生産を増進させる。また、本発明は、確認されたSFPおよびその断片および誘導体を含む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の目的は、下記工程(i)〜(v)を含む、分泌融合パートナー(SFP)を確認する方法を提供することである:
(i)分泌ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された異種プロモーターで、第1の宿主細胞を形質転換させる工程;
(ii)前記分泌ポリペプチドの天然のプロモーターが前記分泌ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドに連結された場合に、分析された前記ポリペプチドの分泌レベルと比較して、前記第1の宿主細胞から分泌されたポリペプチドが過分泌されるかどうかを決定する工程;
(iii)目的ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドおよび工程(ii)で過分泌されたものとして決定されたポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドを含むコンストラクトで第2の宿主細胞を形質転換させる工程であって、ここで、前記第1および第2のポリヌクレオチドは、互いに任意の順序であり、同じフレーム内にあるものであることを特徴とする、工程;
(iv)前記コンストラクトが前記目的ポリペプチドおよび前記過分泌されたポリペプチドの融合ポリペプチドを発現させる条件下で、前記第2の宿主細胞を培養する工程;そして
(v)前記融合ポリペプチドが培養培地に分泌されるかどうかを決定することによって、前記過分泌されたポリペプチドのSFPを確認する工程。
【0010】
また本発明の他の目的は、(i)前述したSFPまたはその断片または誘導体;および(ii)目的ポリペプチドを含む、単離された融合ポリペプチドを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、(i)配列番号1のアミノ酸176−213を含む親水性(HL)ドメイン、またはその断片または誘導体を含む、膜貫通ドメイン(TM)が欠如されたSFP;および(ii)目的ポリペプチドを含む、単離された融合ポリペプチドを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、(i)プロモーター;(ii)前述したSFPまたはその断片または誘導体をコードする第1のポリヌクレオチド;および(iii)目的ポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドを含む、コンストラクトを提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、前述したコンストラクトを含む宿主細胞を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、(i)SFPをコードするポリヌクレオチドおよび目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドで宿主細胞を形質転換させる工程;(ii)前記目的ポリペプチドに融合した前記SPFを含む融合ポリペプチドが宿主細胞から生成され、分泌される条件下で、前記宿主細胞を培養する工程;そして(iii)前記融合ポリペプチドを単離する工程を含む、目的ポリペプチドを組換え的に生成する方法を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、前述した方法によって組換え的に生産された目的ポリペプチドを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の前記および他の目的、特性および利点は、添付の図面と共に提示された下記の詳細な説明からより明確に理解されるだろう。
【図1】図1の(A)は、SFP1蛋白質の予測されたアミノ配列およびドメインを、(B)は、順次的に欠失されたSFP1遺伝子を発現させるベクターの模式図を、(C)は、相対的SFP1蛋白質の発現レベルのSDS−PAGE分析を示す。アセトン0.4mlで濃縮させたそれぞれの培養ブロス0.6mlの10%トリス−トリジンSDS−PAGE分析。レーン1:YGaT91ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン2:YGaT92ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン3:YGaT93ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン4:YGaT94ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン5:YGaT95ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン6:YGaT96ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン7:YGaT97ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン(Invitrogen))。
【図2】図2の(A)は、SFP1−IL2融合蛋白質を発現するベクターの模式図を、(B)は、SFP1−IL2融合蛋白質の発現レベルのSDS−PAGE分析を示す。アセトン0.4mlで濃縮させたそれぞれの培養ブロス0.6mlの10%トリス−トリジンSDS−PAGE分析。レーン1:YGaT92−IL2ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン2:YGaT93−IL2ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン3:YGaT94−IL2ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン)。
【図3】図3は、YGaT92−EXD4を含有する組換え酵母菌株の流加式(fed−batch)発酵に対するプロファイルおよび発酵時間に応じた培地に分泌された蛋白質分析のためのSDS−PAGEの結果を示す。
【図4】図4は、異なる濃度のエンテロキナーゼ(インビトロジェン、米国)で消化した精製SFP1−EXD4融合蛋白質のSDS−PAGE分析を示す。レーン1:精製SFP1−EXD4融合蛋白質;レーン2:エンテロキナーゼ0.1μlで1時間、37℃で消化した精製SFP1−EXD4融合蛋白質;レーン3:エンテロキナーゼ0.2μlで1時間、37℃で消化した精製SFP1−EXD4融合蛋白質;レーン4:エンテロキナーゼ0.3μlで1時間、37℃で消化した精製SFP1−EXD4融合蛋白質;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン)。
【図5】図5の(A)は、エンテロキナーゼ消化したSFP1−EXD4融合蛋白質のHPLC分析を、(B)は、HPLC分画のSDS−PAGE分析を示す。ゲル上の数は、HPLC分画数を示す。
【図6】図6は、精製EXD4蛋白質のMALDI−TOF分析である。
【図7】図7の(A)は、SFP1変異体−EXD4融合蛋白質を発現するベクターの模式図を、(B)は、SFP1変異体−EXD4融合蛋白質の発現レベルのSDS−PAGE分析を示す。アセトン0.4mlで濃縮されたそれぞれの培養ブロス0.6mlの10%トリス−トリジンSDS−PAGE分析。レーン1:YGaT92−EXD4ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン2:YGaT921−EXD4ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン3:YGaT922−EXD4ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン4:YGaT923−EXD4ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン)。
【図8】図8は、YGaMKH−EXD4を含有する組換え酵母菌株の流加発酵の、提示された発酵時間におけるSDS−PAGE分析を示す。
【図9】図9は、YGaST6−EXD4−HLを含有する組換え酵母菌株の流加発酵に対するプロファイル、および培地に分泌された蛋白質分析に対する、発酵時間に応じたSDS−PAGEの結果を示す。
【図10】図10は、YGaMKH−EGFを含有する組換え酵母菌株の流加発酵に対するプロファイル、および培地に分泌された蛋白質分析に対する、発酵時間に応じたSDS−PAGEの結果を示す。
【図11】図11の(A)は、HL−EGF融合蛋白質のNi−NTA親和性クロマトグラフィーの結果を示す。添付された小さい図面は、提示された分画のSDS−PAGE分析である。(B)は、エンテロキナーゼで消化した後の、HL−EGF融合蛋白質のNi−NTA親和性クロマトグラフィーの結果を示す。添付された小さい図面は、提示された分画のSDS−PAGE分析である。
【図12】図12は、YGaMKH−PTHを含有する組換え酵母菌株の流加発酵に対するプロファイル、および培地に分泌された蛋白質分析に対する、発酵時間に応じたSDS−PAGEの結果を示す。
【図13】図13は、エンテロキナーゼ(インビトロジェン、米国)および組換え体Kex2p(JH Sohn,KRIBB)の分泌形態で消化した精製HL−PTH融合蛋白質のSDS−PAGE分析を示す。レーン1:精製HL−PTH融合蛋白質;レーン2:Kex2pで1時間、37℃で切断させた精製HL−PTH融合蛋白質;レーン3:エンテロキナーゼで1時間、37℃で切断させた精製HL−PTH融合蛋白質;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン)。
【図14】図14の(A)は、2805菌株の成長曲線を示し、矢印は、サンフリングポイントを示し、(B)は、蛍光染料ヘキスト(hochest)で染色した後、サンフリングした細胞の共焦点レーザースキャニング顕微鏡写真を示す。
【図15】図15は、M2サンプルの2Dゲル電気泳動の結果を示す。
【図16】図16は、1−DE/MudPIT(Multidimensional Protein Identification Technology)に対するSDS−PAGE分析を示す。
【図17】図17の(A)は、セクレトーム分析から選択された19個の遺伝子を発現するY2805形質転換体の培養上澄液のSDS−PAGE分析を示す。アセトン0.4mlで濃縮させたそれぞれの培養ブロス0.6mlの10%トリス−グリシン SDS−PAGE分析。レーン1:BGL2遺伝子を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン2:CIS3を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン3:CRH1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン4:CWP1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン5:DSE4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン7:EGT2を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン8:EXG1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン9:GAS1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン10:GAS3を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン11:GAS5を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン12:PST1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン13:SCW4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン15:SIM1を発現する2805菌株の培養ブロス;レーン16:TOS1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン17:UTH1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン18:YGP1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン19:YPS1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン20:ZPS1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン)。(B)は、エンド−H処理後の培養上澄液のSDS−PAGE分析を示す。
【図18】図18は、EXD4遺伝子と融合した11個の遺伝子を発現するY2805形質転換体の培養上澄液のそれぞれのSDS−PAGE分析を示す。アセトン0.4mlで濃縮させたそれぞれの培養ブロス0.6mlの10%トリス−トリジンSDS−PAGE分析。レーン1:BGL2−EXD4遺伝子を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン2:GAS3−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン3:GAS5−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン4:PST1−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン5:SCW4−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン6:SCW10−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン7:SIM1−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン8:UTH1−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン9:YGP1−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン10:YPS1−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン11:ZPS1−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン)。
【図19】図19の(A)は、SCW4およびEXD4融合の欠失断片に対するカイト−ドゥーリットル疏水性(Kyte−Doolittle hydropathy)分析および模式図を、(B)は、徐々に欠失されたSCW4−EXD4融合断片を含有するそれぞれの形質転換体の培養上澄液のSDS−PAGE分析を示す。
【図20】図20は、YGa−SCW4−1−EXD4およびYGa−SCW4−3−EXD4をそれぞれ含有する組換え2805酵母菌株の流加発酵の間に培地に分泌された蛋白質を分析するためのSDS−PAGEの結果を示す。
【図21】図21は、エンテロキナーゼの処理前および後の分泌された融合蛋白質、SCW4−1−EXD4およびSCW4−3−EXD4を分析するためのSDS−PAGEの結果を示す。
【図22】図22は、(A)それぞれのベクターを含有する細胞の培養ブロス10マイクロリットルの、(B)エンテロキナーゼの処理前および後のサンプルの培地に分泌された、SCW4−hGHのSDS−PAGE結果を示す。
【図23】図23は、YGa−SCW4−2−hGHを含有する組換え酵母菌株の流加発酵の間に培地に分泌された蛋白質を分析するための、発酵時間に応じたSDS−PAGEの結果を示す。
【図24】図24は、IL−2発現ベクターpYGaT92−IL2の地図を示す。
【図25】図25は、エキセンディン(exendin)−4発現ベクターpYGaT923−EXD4の地図を示す。
【図26】図26は、エキセンディン−4発現ベクターpYGaMKH−EXD4の地図を示す。
【図27】図27は、エキセンディン−4発現ベクターpYGaST6−EXD−HLの地図を示す。
【図28】図28は、EGF発現ベクターpYGaMKH−EGFの地図を示す。
【図29】図29は、PTH発現ベクターpYGaMKH−PTHの地図を示す。
【図30】図30は、エキセンディン−4発現ベクターpYGaSCW4−1−EXD4の地図を示す。
【図31】図31は、エキセンディン−4発現ベクターpYGaSCW4−3−EXD4の地図を示す。
【図32】図32は、hGH発現ベクターpYGaSCW4−2−hGHの地図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明では、目的ポリペプチドの高いレベルの分泌や、目的ポリペプチドの高いレベルの分泌を達成するのに使用できるSFP確認のための、迅速且つ効率的なスクリーニング技術のために必要なことに対して苦心した。本発明は、任意の蛋白質の組換え発現を最適化するのに有用な一方、公知の発現系でその低いレベルの発現により大規模および/または低コストで生産され得ない蛋白質の生産を可能にするのに特に有用である。目的ポリペプチドを高レベルで分泌するための、最適化されたSFPが記載されている。
【0018】
定義
用語「1つの(a)」または「1つの(an)」独立体は、1つ以上のその独立体を表するものであって、例えば、「1つのベクター」は、1つ以上のベクターを示すものとして理解されなければならない。このように、用語「1つの」(または「1つ」)、「1つ以上の、」および「少なくとも1つの」は、本願において相互に交換可能に使用され得る。
【0019】
本明細書で使用されるとき、用語「ポリペプチド」は、単数の「ポリペプチド」だけでなく、多数の「ポリペプチド」を含もうとするものであり、アミド結合(ペプチド結合とも公知される)によって線型に連結されたモノマー(アミノ酸)などからなる分子を示す。用語「ポリペプチド」は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖または鎖などを示し、生産物の具体的な長さを示すのではない。従って、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「蛋白質」、「アミノ酸鎖」,または、2つ以上のアミノ酸の鎖または鎖などを示すために使用された任意の他の用語は、「ポリペプチド」の定義内に含まれ、用語「ポリペプチド」は、任意のこれらの用語の代りに、または、相互に交換可能に使用され得る。また、用語「ポリペプチド」は、これに制限されないが、公知の保護/ブロッキング基によるグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、誘導体化、蛋白質分解性の消化、または自然的に発生しないアミノ酸による変形を含むポリペプチドの発現後変形の生産物を示すとするものである。ポリペプチドは、天然の生物学的供給源に由来するかまたは組換え技術によって製造され得るが、指定された核酸配列から翻訳される必要性はない。これは、化学合成を含む任意の方式で生産され得る。
【0020】
「単離されたポリペプチド」またはその断片、変異体もしくは誘導体は、その自然環境に存在しないポリペプチドを意図する。特定レベルの精製が要求されない。例えば、単離されたポリペプチドは、その天然状態または自然環境から除去され得る。組換え的に製造されたポリペプチドおよび宿主細胞内で発現した蛋白質は、本発明の目的のために単離されたものとして考慮されるが、これは、天然状態または任意の適合な技術によって分離、分画、または部分的にまたはかなり精製された組換えポリペプチドである。
【0021】
また、本発明のポリペプチドに含まれるのは、前記ポリペプチドの断片、誘導体、類似体、または変異体、およびこれらの任意の組合わせである。本発明のポリペプチドを指して呼ぶ場合、用語「断片」、「変異体」、「誘導体」および「類似体」は、対応する天然のポリペプチドの生物学的、抗原的、または免疫的特性の少なくとも幾つかを保有するポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドの断片は、蛋白質分解された断片だけでなく、欠失断片、また、本願で議論された他の特異的断片を含む。本発明のポリペプチドの変異体は、前記に記載された断片、およびアミノ酸置換、欠失、または挿入によって変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドも含む。変異体は、自然的に発生することもあるし、あるいは自然的に発生しないことがある。自然的に発生しない変異体は、当業者に知られている突然変異誘発技術を用いて製造され得る。変異体ポリペプチドは、保存的または非保存的アミノ酸置換、欠失または付加を含むことができる。本発明のポリペプチドの誘導体は、天然ポリペプチド上で発見されないさらなる特徴を示すようにするために変更されたポリペプチドを含む。また本明細書において変異体ポリペプチドは、「ポリペプチド類似体」と呼ぶことができる。本明細書中で使用されるとき、ポリペプチドの「誘導体」は、機能性側基の反応によって化学的に誘導された1つ以上の残基を有する対象ポリペプチドを示す。また「誘導体」として含まれるのは、20個の標準アミノ酸のうち、1つ以上の自然的に発生するアミノ酸誘導体を含有するペプチドである。例えば、4−ヒドロキシプロリンは、プロリンに置換でき、5−ヒドロキシリジンは、リジンに置換されることができ、3−メチルヒスチジンは、ヒスチジンに置換でき、ホモセリンは、セリンに置換でき、オルニチンは、リジンに置換され得る。
【0022】
「参照アミノ酸配列」は、任意のアミノ酸置換を導入することなく、特定された配列を意味する。当業者に通用されるように、置換がない場合、本発明の「単離されたポリペプチド」は、参照アミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0023】
本願に記載されたポリペプチドは、様々な変更、例えば、置換、挿入または欠失を有することができる。ポリペプチドで置換され得る例示的アミノ酸は、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐型側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。
【0024】
本願に記載されたポリペプチドおよび参考ポリペプチドと、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチドの対応する断片もまた考慮される。
【0025】
配列同一性は、比較対象になる部位が最適に整列された2つの配列を比較し、2つの配列のいずれにも現れる同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドの位置の数を決定してマッチする位置の数を得、マッチする位置の数を比較対象部位の総位置の数で分り(すなわち、ウィンドウサイズ)、結果を100で乗じて、配列同一性の百分率を求めることによって計算することができる。1つの態様として、整列を極大化するために100個のアミノ酸またはヌクレオチドの長さから4個のギャップが導入され得る場合、同一性%は、比較する配列で同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドを整列した2つの配列より小さい配列でのアミノ酸残基またはヌクレオチドの百分率で計算される(Dayhoff,in Atlas of Protein Sequence and Structure,Vol.5,p.124,National Biochemical Research Foundation,Washington,D.C.(1972),本明細書中に参考として含まれる)。同一性の決定は、当業者に知られているコンピュータ相同性のプログラムによって典型的に行われる。例示的なプログラムは、スミス(Smith)およびウォーターマン(Waterman)のアルゴリズム(Adv.Appl.Math.,1981,2:482−489,その全文が本明細書中に参考として含まれる)を用いる、デフォルトセッティングを用いたギャッププログラムである(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for UNIX,Genetics Computer Group,University Research Park,Madison,WI)。
【0026】
好ましくは、任意の置換は、保存的アミノ酸置換である。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似する側鎖を有するアミノ酸残基に代替されたものである。類似する側鎖を有するアミノ酸残基の群は、当業界で定義されている。これらの群には、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分岐型側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および方向性側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。
【0027】
一実施態様において、本発明は、(i)分泌ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された異種プロモーターで、第1の宿主細胞を形質転換させる工程;(ii)前記ポリペプチドの天然のプロモーターが前記分泌ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドに連結された場合に、前記ポリペプチドの分泌レベルと比較して、前記第1の宿主細胞から前記分泌ポリペプチドが過分泌されるかどうかを決定する工程;(iii)目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび工程(ii)で過分泌されたものとして決定されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドコンストラクトで第2の宿主細胞を形質転換させる工程であって、ここで、前記目的ポリペプチドおよび前記過分泌されたポリペプチドが任意の順序で融合することを特徴とする、工程;(iv)前記ポリヌクレオチドコンストラクトが融合ポリペプチドを発現する条件下で、前記第2の宿主細胞を培養する工程;および(v)前記融合ポリペプチドが細胞外培養培地へ分泌されるかどうかを決定し;これで前記過分泌されたポリペプチドが分泌融合パートナーであるかを確認する工程を含む、分泌融合パートナー(SFP)を確認する方法に関する。
【0028】
本発明の方法において、SFPは、「セクレトーム」または「総分泌されたポリペプチド」から確認され得る。セクレトームは、細胞外の培養培地へ分泌され、それから収集したポリペプチドを含む。セクレトームは、バクテリア、菌類(例えば、酵母)、植物、および動物(例えば、哺乳動物)を含む任意の真核または、原核生物のDNAによってコードされる。適したバクテリアには、これに制限されないが、エシェリキア(Escherichia)およびバチルス(Bacillus)種が含まれる。適した酵母としては、カンジダ(Candida)、テバリオミセス(Debaryomyces)、ハンゼヌラ(Hansenula),クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia),シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シュワンニオマイセス(Schwanniomyces)、およびアルクスラ(Arxula)種が挙げられるが、これらに制限されない。
【0029】
具体的な種の例としては、カンジダ・ユチリス(Candida utilis)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・スチピチス(Pichia stipitis)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、シュワンニオマイセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis),およびアルクスラ・アデニニボランス(Arxula adeninivorans)が挙げられる。DNA供給源として提供され得るその他の菌類としては、アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penicillium)、リゾプス(Rhizopus)、およびトリコデルマ(Trichoderma)種が挙げられるが、これらに制限されない。DNA供給源として提供され得る植物としては、アラビドプシス、トウモロコシ、タバコ、およびジャガイモが挙げられるが、これらに制限されない。適した動物としては、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、犬、猫、および猿が挙げられるが、これらに制限されない。一実施態様において、セクレトームは、酵母、バクテリア、植物または動物に由来しうる。
【0030】
高分泌されたポリペプチドを選択するためのセクレトーム分析は、当業界で入手可能な技術を用いて達成され得る。例えば、培養上澄液を濃縮することによって単離された全てのポリペプチドは、2−Dゲル電気泳動および/または多次元蛋白質同定技術(Multidimensional Protein Identification Technology:1−DE/MudPIT)を用いて分析され得る。セクレトームからのポリペプチドは、任意の種類の蛋白質精製カラム、例えば、イオン交換カラム、疎水性相互作用カラム、ゲルろ過カラム、親和性カラム、および逆相カラムによって分析され得る。
【0031】
一実施態様において、正常酵母細胞成長の間に生産された酵母総分泌されたポリペプチド(酵母セクレトーム)を分析した。正常細胞成長は、最小培地(例えば、アミノ酸無しの0.67%酵母窒素ベース、0.5%カザミノ酸(casamino acid)、2%グルコースおよび0.002%ウラシル)で培養される細胞を意味する。グルコースの代わりに異なる炭素源、例えば、ガラクトース、キシロース、フルクトース、マンノース、スクロース、ラフィノース、およびセロビオースを含めうる、変更された条件が利用され得る。変更された条件はまた、培地の任意の成分、例えば、窒素またはリン酸塩のレベルを制限することを含む。
【0032】
用語「高分泌された」は、セクレトームから分泌されたポリペプチドのレベルが上位40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%以上であるポリペプチドを示す。高分泌されたポリペプチドは、分泌された蛋白質の数に比例できる蛋白質数度指数(protein abundance index:PAI)により決定され得る(文献[Rappsilber et al.,Genome Res.12:1231−45(2002)])。高分泌された蛋白質の例は、表1に示されている。
【0033】
用語「過分泌された」は、ポリペプチドの天然プロモーターから発現される場合、ポリペプチドの分泌レベルより少なくとも5X、6X、7X、8X、9Xまたは、10Xのレベルで宿主細胞からポリペプチドが分泌されることとして定義される。高分泌はまた、野生型の蛋白質分泌レベルと比較して、高分泌されるポリペプチドの分泌レベルを比較することによって分析することができる。例えば、野生型の酵母で分泌された蛋白質は、正常細胞成長の間に分泌レベルが約20mg/Lを超過しないが、強力な異種プロモーターと連結された場合、これらの蛋白質のうち一部は高分泌され、分泌レベルが20mg/Lを超過する。
【0034】
一実施態様において、本発明の方法は、融合ポリペプチドの分泌のためのSFPの最適なサイズを決定することをさらに含む。SFPの最適なサイズは、前記SFPの欠失分析によって決定されることができ、ここでSFPの異なる欠失コンストラクトをそれぞれ含有する融合ポリペプチドの分泌レベルを比較する。幾つかのSFPは、初期に同定されたSFPで得た発現より、融合ポリペプチドのはるかに高い発現を可能にする最適なサイズを持ちうる。SFPの最適なサイズは、次善のSFPに融合した場合の目的ポリペプチドの分泌レベルに比べて目的ポリペプチドの増加された分泌レベルを可能にすることができる。SFPの最適なサイズは、目的ポリペプチドとの間で多様であり、SFPが先ず確認されると、本願に開示された方法または当業者に知られている方法を用いて決定され得る。
【0035】
一実施態様において、親水性配列で終わるSFP欠失断片が選択される。蛋白質の親水性ドメインは、一般的に蛋白質の表面近傍に位置する。従って、SFPおよび目的ポリペプチドの接合部は、2つのポリペプチドの間で容易に露出されることができ、これは、プロテアーゼが前記接合部を消化することをより容易にして目的ポリペプチドをインビトロへ放出するようにする。
【0036】
SFPに適用されるとき、用語「その断片」は、SFPのアミノ酸配列の任意の部分を含むポリペプチドを示し、ここで断片は、融合した目的ポリペプチドの分泌を誘導できる能力を実質的に保有する。
【0037】
本明細書中で使用されるとき、用語「融合した目的ポリペプチドの分泌を誘導できる能力を実質的に保有する」ということは、融合した目的ポリペプチドの分泌を誘導する親SFPの能力の少なくとも50%を保有するSFPの断片または誘導体のことをいう。特定の実施態様において、融合した目的ポリペプチドの分泌を誘導する能力が60、65、70、75、80、85、90、または95%以上保有される。目的ポリペプチドの分泌を誘導する能力は、当業者によく知られているルーチン技術および前記に記載された技術によって決定され得る。
【0038】
SFPに適用されるとき、用語「その誘導体」は、SFPのアミノ酸配列と70%以上同一のアミノ酸配列からなるポリペプチドを示し、ここで、ポリペプチドは、融合した目的ポリペプチドの分泌を誘導する能力を実質的に保有する。特定の実施態様において、誘導体は、SFPのアミノ酸配列と75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上同一のアミノ酸配列を含む。誘導体は、SFPのアミノ酸配列に付加、欠失、置換、またはその組合わせを含むことができる。誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11−15、16−20、21−25、26−30個の付加、置換、または欠失を有する突然変異ポリペプチドを含むことができる。付加または置換はまた、自然的に発生しないアミノ酸の使用を含む。
【0039】
SFPの誘導体の例としてはこれに制限されないが、SFP内で確認された、欠失突然変異(例えば、単一方向性欠失)、機能性配列の付加(例えば、グリコシル化部位、制限酵素部位)、およびプロ−配列またはプレ−配列の欠失または付加(例えば、スワッピング)が含まれる。当業者は、ルーチンの突然変異誘発技術、例えば前述した参照文献に記載された技術を用いて、SFPの誘導体またはSFPをコードする核酸を用意し、融合した目的ポリペプチドの分泌を誘導する能力を実質的に保有する誘導体を確認することができる。
【0040】
一実施態様において、SFPまたはその誘導体または断片は、本発明の方法によって確認される。他の実施態様において、SFPをコードするヌクレオチド配列は、BGL2(配列番号62)、GAS3(配列番号63)、GAS5(配列番号64)、PST1(配列番号65)、SCW4(配列番号66)、SCW10(配列番号67)、SIM1(配列番号68)、UTH1(配列番号69)、YGP1(配列番号70)、YPS1(配列番号71)、およびZPS1(配列番号72)から選択される。また他の実施態様において、SFPは、BGL2(配列番号80)、GAS3(配列番号81)、GAS5(配列番号82)、PST1(配列番号83)、SCW4(配列番号84)、SCW10(配列番号85)、SIM1(配列番号86)、UTH1(配列番号87)、YGP1(配列番号88)、YPS1(配列番号89)、およびZPS1(配列番号90)から選択される。
【0041】
本発明の方法は、高いレベルの組換え発現に対する要求が存在する「目的ポリペプチド」またはその誘導体をもって利用され得る。目的ポリペプチドに適用されるとき、用語「その誘導体」は、目的ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列であるポリペプチドのことをいい、ここでポリペプチドは、その生物学的活性を実質的に保有する。特定の実施態様において、誘導体は、目的ポリペプチドのアミノ酸配列と75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上同一のアミノ酸配列を含む。誘導体は、目的ポリペプチドのアミノ酸配列に付加、欠失、置換、またはその組合わせを含むことができる。誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11−15、16−20、21−25、26−30個の付加、置換、または欠失を有する変異体ポリペプチドを含むことができる。付加または置換は、また、自然的に発生しないアミノ酸の使用を含む。
【0042】
目的蛋白質またはポリペプチドの誘導体の例としては、これに制限されないが、目的ポリペプチド内で確認された、欠失突然変異(例えば、単一方向性欠失)、機能性配列の付加(例えば、グリコシル化部位、制限酵素部位)、およびプロ−配列またはプレ−配列の欠失または付加(例えば、スワッピング)が含まれる。当業者は、ルーチンの突然変異誘発技術、例えば、前述した参照文献に記載された技術を用いて目的ポリペプチドの誘導体または目的ポリペプチドをコードする核酸を用意することができ、目的ポリペプチドの生物学的活性を実質的に保有する誘導体を確認することができる。
【0043】
目的ポリペプチドがSFPに融合する場合、目的ポリペプチドおよびSFPは、同様の自然発生する蛋白質のポリペプチドではない。目的ポリペプチドは、学術目的のために研究されるものであるとか、または商業的な目的、例えば、治療または産業的用途のために製造されるものであり得る。目的ポリペプチドは任意の植物、動物または微生物から得ることができ、自然発生したり、核酸によってコードできる限り変形され得る。一実施態様において、目的ポリペプチドは、ヒト蛋白質である。また他の実施態様において、目的ポリペプチドは、サイトカイン、血清蛋白質、コロニー刺激因子、成長因子、ホルモン、または酵素である。
【0044】
例えば、目的ポリペプチドは、インターロイキン、凝集因子、インターフェロン−α、インターフェロン−βまたはインターフェロン−γ、顆粒球−コロニー刺激因子、顆粒球大食細胞−コロニー刺激因子、組織成長因子、上皮成長因子、TGFα、TGFβ、表皮成長因子、血小板−由来成長因子、線維芽細胞成長因子、濾胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、抗利尿ホルモン、色素分泌ホルモン、副甲状腺ホルモン、黄体形成ホルモン−放出ホルモン、炭水化物−特異的酵素、蛋白質分解性酵素、リパーゼ、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、リアーゼ、異性化酵素、リガーゼ、免疫グロブリン、サイトカイン受容体、ラクトフェリン、ホスホリパーゼA2−活性化蛋白質、インスリン、腫瘍壊死因子、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチト、エンケファリン、ソマトメジン、エリスロポエチン、視床下部放出因子、プロラクチン、絨毛膜性生殖腺刺激ホルモン、組織プラスミノゲン活性因子、成長ホルモン放出ペプチド、胸腺体液性因子、抗癌ペプチド、または抗生剤ペプチドから選択され得る。具体的な例としては、ヒトインターロイキン2(hIL−2)、エキセンディン−3、エキセンディン−4(EXD4)、グルカゴン−類似−ペプチド−1(GLP−1)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒトインターロイキン−1β、ヒトインターロイキン−6、ヒトインターロイキン−32α、ヒトインターロイキン−32βまたはヒトインターロイキン−32γ、因子VII、因子VIII、因子IX、ヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン−α、ヒトインターフェロン−βまたはヒトインターフェロン−γ、ヒト顆粒球−コロニー刺激因子、ヒト顆粒球大食細胞−コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト血小板−由来成長因子、ヒト塩基性線維芽細胞成長因子、ヒト表皮成長因子(EGF)、ヒトインスリン−類似成長因子、ヒト神経成長因子、ヒト形質転換成長因子β−1、ヒト濾胞刺激ホルモン、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、グルクロニダーゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、過酸化物ジスムターゼ、エンドトキシナーゼ、カタラーゼ、キモトリプシン、ウリカーゼ、アデノシンジホスファターゼ、チロシナーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ウシガラクトース−1−ポスフェートウリジリルトランスフェラーゼ、クラゲ緑色蛍光蛋白質、カンジダアンタクチカ(Candida antarctica)リパーゼB、カンジダルゴサ(Candida rugosa)リパーゼ、菌類クロロペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、レゾルバーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、トレハロースシンターゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、ヒトラクトフェリン、ヒトエリスロポエチン、ヒトパラオキソナーゼ、ヒト成長分化因子15、ヒトガレクチン3結合蛋白質、ヒトセリンプロテアーゼ抑制剤、クニッツ類型(Kunitz type)2、ヒトヤヌス(Janus)キナーゼ2、ヒトfms−類似チロシンキナーゼ3リガンド、ヒトYM1&2、ヒトCEMI、ヒトジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、ヒトレプチン、ヒトmL259、ヒトプロテイナーゼ3、ヒトリゾチーム、ヒトデッドボックス(DEAD box)蛋白質41、ヒトエトポシド導入蛋白質24(human etoposide induced protein 24)、マウスカスパーゼ1、ウシアンギオジェニン、およびミミズルンブロキナーゼが挙げられが、これらに制限されない。
【0045】
一実施態様において、目的ポリペプチドは、ルーチンの組換え生産方法を用いて製造し難いポリペプチド、すなわち、全く生産されなかったり、または低いレベルでしか生産されないポリペプチドである。また他の実施態様において、目的ポリペプチドは、公知の発現系を用いて容易に生産されるが、より高いレベルの発現を達成しようとする望みがあるポリペプチドである。
【0046】
一実施態様において、本発明の融合ポリペプチドは、任意の順序で目的ポリペプチドに融合した分泌ポリペプチドを含む、ポリペプチドを示す。また他の実施態様において、本発明は、目的ポリペプチドに融合した本発明のSFPを含む単離された融合ポリペプチドに関する。
【0047】
本明細書で使用されるとき、用語「融合した」は、組換え的に製造された融合ポリペプチドを示す。一実施態様において、融合ポリペプチドは、目的ポリペプチドに融合した分泌ポリペプチドを含み、ここで、分泌ポリペプチドおよび目的ポリペプチドは、任意の順序で融合する。また他の実施態様において、SFPは、目的ポリペプチドのN−末端またはC−末端で融合する。SFPおよび目的ポリペプチドは、介入するアミノ酸、例えば、リンカーDNAによってコードされたアミノ酸と共に、あるいはそれ無しで、融合することができる。特定の実施態様において、SFPと目的ポリペプチドとの間の距離は、0〜10;0〜20;0〜30;0〜40;またはそれ以上のアミノ酸であり得る。特定の実施態様において、融合ポリペプチドは、プロテアーゼ認識配列および/または親和性タグを含む。
【0048】
一実施態様において、単離された融合ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸の176−213を含む親水性(HL)ドメインを含むSFPまたはその誘導体、および目的ポリペプチドを含む。一実施態様において、変形されたHLドメインは、配列番号45によってコードされる。
【0049】
本発明は、さらに本発明のSFPを使用して目的ポリペプチドを組換え的に生産する方法に関する。一実施態様において、前記方法は、SFPまたはその誘導体または断片をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された目的ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むコンストラクトを用意する工程、宿主細胞を前記コンストラクトで形質転換させる工程、融合ポリペプチドが生産され、宿主細胞から分泌される条件下で宿主細胞を培養する工程、そして前記目的ポリペプチドから前記SFPを分離する工程を含む。
【0050】
目的ポリペプチドは、当業者に知られている任意の発現系を用いて組換え的に生産され得る。好ましくは、目的ポリペプチドは、例えば、バクテリア、酵母、または哺乳動物細胞培養物で組換え的に発現される。組換え発現は、目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを用意する工程、ベクターを宿主細胞へ輸送する工程、目的ポリペプチドが発現される条件下で宿主細胞を培養する工程、目的ポリペプチドを分離する工程、を含むことができる。組換えベクターを用意し、これを使用して宿主細胞を形質転換させ、宿主細胞でベクターを複製し、生物学的に活性である外部ポリペプチドおよび蛋白質を発現させるための方法および物質は、本明細書中で議論されており、そして文献[Sambrook et al.,Molecular Cloning,3rd edition,Cold Spring Harbor Laboratory,2001]および[Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York 3rd edition,(2000)]に記載されており、これらは、それぞれ参考として本明細書中に組み込まれる。
【0051】
目的ポリペプチドは、宿主細胞が成長した培地から、当業者に知られている精製方法、例えば、培地からの沈殿法、またはイムノアフィニティークロマトグラフィー、レセプターアフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、レクチンアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除ろ過、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、逆相HPLCなどを含む従来型のクロマトグラフィー方法によって単離され得る。また他の精製方法は、所望のポリペプチドが発現され、特異的結合パートナーまたは作用剤によって認識される特異的親和性ペプチド、タグ、ラベル、またはキレート残基を有する融合ポリペプチドとして精製される方法を含む。精製されたポリペプチドは切断されて、所望のポリペプチドを得ることができるし、または無傷の融合ポリペプチドとして残ることもできる。親和性タグ成分の切断は、切断過程の結果としてさらなるアミノ酸残基を有する所望のポリペプチドの形態を生成することができる。一実施態様において、親和性タグは、GST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、S−タグ、またはその任意の組合わせである。
【0052】
本発明の目的ポリペプチドは、分泌融合パートナーとの融合形態で細胞外生産されることができ、インビトロプロテアーゼ処理によってSFPから分離され得る。単離手法が行われた後に単離された目的ポリペプチドが生物学的に活性でない場合には、「リフォールディング(refolding)」またはポリペプチドのその3次構造への転換およびジスルフィド結合の生成のための様々な方法が生物学的活性を回復させるために使用され得る。当業者に知られている方法は、可溶化されたポリペプチドのpHを通常pH7より上に調整したり、特定濃度のカオトロープ(chaotrope)の存在下に置くことを含む。カオトロープの選択は、封入体(inclusion body)可溶化のために利用された選択肢と非常に類似するが、一般的により低い濃度で行われ、必須的に可溶化のために使用されたような同一のカオトロープである必要はない。蛋白質のシステインブリッジ(など)を形成させるジスルフィドシャッフリングを起こす特定酸化還元電位を生成するために、還元剤または還元剤に特定の割合でその酸化された形態を加えたものを使用することが要求され得る。いくつかのルーチンに使用される酸化還元カップルとしては、システイン/シスタミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGSH、塩化第二銅、ジチオスレイトール(DTT)/ジチアンDTT、2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−b(ME)が挙げられる。リフォールディングの効率を増加させるために、グリセロール、様々な分子量のポリエチレングリコール、およびアルギニンのような共溶媒を使用することが必要になることがある。
【0053】
用語「ポリヌクレオチド」は、単一の核酸だけでなく、複数の核酸も含むものを意図し、単離された核酸分子またはコンストラクト、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、ウイルス由来RNA、またはプラスミドDNA(pDNA)のことをいう。ポリヌクレオチドは、従来型のリン酸ジエステル結合または従来型でない結合(例えば、アミド結合、例えば、ペプチド核酸(PNA)で発見される)を含むことができる。用語「核酸」は、ポリヌクレオチドに存在する任意の1つ以上の核酸切片、例えば、DNAまたはRNA断片を示す。「単離された」核酸またはポリヌクレオチドは、その自然環境状態から除去された核酸分子、DNAまたはRNAを意図する。例えば、ベクターに含有された治療的ポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドは、本発明の目的のために単離されることが考慮される。単離されたポリヌクレオチドのさらなる例としては、異種宿主細胞に残っている組換えポリヌクレオチドまたは溶液中の(部分的にまたは相当に)精製されたポリヌクレオチドが挙げられる。単離されたRNA分子は、本発明のインビボまたはインビトロRNA転写体だけでなく、本願に開示されたペスチウイルスベクターの陽性および陰性鎖形態、および二重鎖形態を含む。
【0054】
本発明による単離されたポリヌクレオチドまたは核酸は、合成的に生成されたこのような分子をさらに含む。また、ポリヌクレオチドまたは核酸は、調節要素、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、または転写ターミネーターであることもあったり、またはこれらを含むことができる。
【0055】
本明細書中で使用されるような「コード領域」は、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸の一部である。たとえ「停止コドン」(TAG、TGA、またはTAA)がアミノ酸に翻訳されなくても、それはコード領域の一部で考慮されるかもしれないが、存在する場合、任意の側面配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、5’および3’非−翻訳領域などは、コード領域の一部ではない。本発明の2つ以上のコード領域は、単一ポリヌクレオチドコンストラクトに、例えば、単一ベクター上に、または分離ポリヌクレオチドコンストラクトに、例えば、分離(異なる)ベクター上に存在することができる。また、任意のベクターは、単一コード領域を含有することができたり、または、2つ以上のコード領域を含むことができ、例えば、本発明のベクターは、蛋白質分解性の切断を介して最終ポリペプチドに翻訳後、または翻訳と同時に分離される1つ以上のポリペプチドをコードすることができる。さらに、本発明のベクター、ポリヌクレオチド、または核酸は、本発明のポリペプチドをコードする第1または第2の核酸、またはその変異体または誘導体に融合したりまたは融合しなかった異種コード領域をコードすることができる。異種コード領域は、制限なく、細分化された要素またはモチーフ、例えば、分泌シグナルペプチドまたは異種機能性ドメインを含む。
【0056】
特定の実施態様において、ポリヌクレオチドまたは核酸は、DNAである。DNAの場合、正常的にポリペプチドをコードする核酸を含むポリヌクレオチドは、通常1つ以上のコード領域と作動可能に連結されたプロモーターおよび/または、他の転写または翻訳制御要素を含むことができる。作動可能な連結とは、遺伝子生成物、例えば、ポリペプチドに対するコード領域が1つ以上の調節配列に連結され、そのような方式で調節配列(など)の影響または制御下で遺伝子生成物の発現が起こるようにする場合のことである。2つのDNA断片(例えば、ポリペプチドコード領域およびそれに連結されたプロモーター)は、プロモーター機能の導入が所望の遺伝子生成物をコードするmRNAの転写を招く場合、そして2つのDNA断片間の連結特性が遺伝子生成物の発現を指示するための発現調節配列の能力に干渉しない、または転写されたDNA鋳型の能力に干渉しない場合に、「作動可能に連結」されたものである。従って、プロモーターがその核酸の転写に作用できる場合、プロモーター領域は、ポリペプチドをコードする核酸と作動可能に連結されたものである。プロモーターは、予め決定された細胞のみでDNAの実質的な転写を指示する細胞−特異的プロモーターであり得る。プロモーターの他に他の転写制御要素、例えば、エンハンサー、オペレーター、リプレッサー、および転写終結シグナルがポリヌクレオチドと作動可能に連結されて細胞−特異的転写を指示することができる。適切なプロモーターおよび他の転写制御領域は、本明細書中に開示されている。
【0057】
様々な転写制御領域が当業者に公知である。これらとしては、脊椎動物細胞で作用する転写制御領域、例えば、これに制限されないが、サイトメガロウイルス(例えば、即時初期(immediate early)プロモーター、イントロン−Aと共に)、類人猿ウイルス40(例えば、初期プロモーター)、およびレトロウイルス(例えば、ラウス肉腫ウイルス)からのプロモーターおよびエンハンサー切片が挙げられるが、これらに制限されない。他の転写制御領域としては、脊椎動物遺伝子から由来したもの、例えば、アクチン、熱衝撃蛋白質、ウシ成長ホルモンおよびウサギβ−グロビンだけでなく、真核細胞で遺伝子発現を制御できる他の配列が挙げられる。さらなる適切な転写制御領域としては、組織−特異的プロモーターおよびエンハンサーだけでなく、リンフォカイン−誘導性プロモーター(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンにより誘導可能なプロモーター)が挙げられる。
【0058】
同様に、様々な翻訳制御要素が当業者に公知である。これらとしては、リボソーム結合部位、翻訳開始および終結コドン、およびウイルス系から由来した要素(特に内部リボソームエントリー部位、またはIRES、CITE配列にも称する)が挙げられるが、これらに制限されない。
【0059】
本発明のポリヌクレオチドは、RNA、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)の形態を含むことができる。本発明のRNAは、単鎖または二重鎖であり得る。
【0060】
本発明のポリヌクレオチドおよび核酸コード領域は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの分泌を指示する、分泌またはシグナルペプチドをコードするさらなるコード領域と連結され得る。シグナル仮説によれば、成長する蛋白質鎖が粗面小胞体を経て出現しはじめたとたんに、哺乳動物細胞によって分泌された蛋白質は、成熟蛋白質から切断されたシグナルペプチドまたは分泌リーダー配列を持つ。当業者は、脊椎動物細胞によって分泌されたポリペプチドがポリペプチドのN−末端に融合したシグナルペプチドを一般的に持っており、これは、ポリペプチドの分泌または「成熟」型を生産するために、完全なまたは「全長」ポリペプチドから切断されるということを認知するだろう。特定の実施態様において、天然シグナルペプチド、例えば、免疫グロブリン重鎖または軽鎖シグナルペプチド、またはそれに作動可能に連結されたポリペプチドの分泌を指示する能力を保有するその配列の機能性誘導体が使用される。別の法としては、異種哺乳動物シグナルペプチド、またはその機能性誘導体が使用され得る。例えば、野生型リーダー配列は、ヒト組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)またはマウスβ−グルクロニダーゼのリーダー配列で置換され得る。
【0061】
用語「コンストラクト」は、自然的に発生しない核酸分子を示す。コンストラクトは、融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。一実施態様において、コンストラクトは、SFPまたは候補SFPおよび目的ポリペプチドを含む融合ポリペプチドをコードする。コンストラクトは、円型または線型のベクターをさらに含むことができ、例えば、相同組換えによって他のポリヌクレオチドと組合わせることができる。
【0062】
本明細書中で使用されるとき、用語「ベクター」は、それが連結されたまた他の核酸を輸送できる核酸分子を示す。ベクターの1つの類型は、「プラスミド」であり、これは、さらなるDNA切片がライゲーションされ得る円型の二重鎖DNAループを示す。他の類型のベクターは、ウイルスベクターであり、ここで、さらなるDNA切片は、ウイルスゲノムでライゲーションされ得る。特定ベクターは、これらが導入された宿主細胞で自律的複製が可能である(例えば、バクテリア複製起点を持つバクテリアベクターおよびエピゾーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非−エピゾーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞へ導入されて宿主細胞のゲノムに統合されることによって、宿主ゲノムと共に複製される。本発明のベクターは、作動的に連結された目的ポリペプチドをコードする遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書中「発現ベクター」と称する。一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。本願において、「プラスミド」および「ベクター」は、相互交換的に使用されるが、プラスミドは、ベクターの最も通常的に使用される形態であるためである。しかし、本発明は、同等の機能をするそのような他の形態の発現ベクター、例えば、ウイルス(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ−関連ウイルス)ベクターを含む。
【0063】
ベクターDNAは、従来の形質転換または形質感染技術を介して原核または真核細胞に導入され得る。本明細書で使用されるとき、用語「形質転換」および「形質感染」は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿法、DEAE−デキストラン−媒介性形質感染、リポフェクション、または電気穿孔法を含む外部核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための、様々な当業者に認知された技術を示す。宿主細胞を形質転換させたりまたは形質感染させるための適切な方法は、文献[Sambrook,et al.MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989]、および他の実験マニュアルで探してみることができる。
【0064】
利用された発現ベクターおよび形質感染技術に応じて変わるが、哺乳動物細胞の安定した形質感染のために、細胞の小さい分画だけが外部DNAをそのゲノムに統合させ得るということが公知されている。これらの統合体を確認および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生剤耐性)をコードする遺伝子が関心のある遺伝子と共に宿主細胞へ一般的に導入される。様々な選択可能なマーカーは、薬物に耐性を付与するものなど、例えば、G418、ハイグロマイシン およびメトトレキサートを含む。選択可能なマーカーをコードする核酸は、目的ポリペプチドをコードするものと同一のベクター上で宿主細胞に導入されることができたり、または分離ベクター上で導入され得る。導入された核酸で安定に形質感染された細胞は、薬物選択、栄養要求性マーカー選択、培地組成、炭素源選択、または当業者に知られている他の方法(例えば、他の細胞は死ぬ一方、選択可能なマーカー遺伝子を統合した細胞は生存すること)により確認され得る。
【0065】
一実施態様において、本発明の方法で使用されたポリペプチドまたはその断片または誘導体をコードするヌクレオチド配列は、5’末端および3’末端で本発明の線型ベクターにてインビボ相同組換えのために使用されるDNAをさらに含むことができる。5’末端および3’末端DNAは、十分な相同的配列を提供し、これらが宿主細胞に共形質転換される場合、ポリペプチドまたはその断片または誘導体をコードするヌクレオチド配列および線型ベクターの間にインビボ組換えができるようにする。一実施態様において、5’末端および3’末端DNAのそれぞれは、線型ベクターの配列と重なる20個以上の塩基対、例えば、30または40個以上の塩基対を含む。5’および3’DNAの付加は、通常的組換えDNA技術、例えば、PCRおよび/または制限酵素切断およびライゲーションを用いて行うことができる。
【0066】
本発明のポリヌクレオチドは、親和性タグ、例えば、GST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、またはS−タグをさらにコードすることができる。親和性タグは、リンカーDNAによってコードされ得るとか、または本発明のポリヌクレオチドのまた他の部分、例えば、融合蛋白質をコードする領域の5’または3’部分によってコードされ得る。
【0067】
本発明のポリヌクレオチドは、リンカーDNAをさらに含むことができる。一実施態様において、リンカーDNAは、リンカーペプチドをコードする。
【0068】
本発明のリンカーDNAは、十分な長さであることもあり、線型ベクターのヌクレオチド配列の一部に対して十分な配列同一性を持ち、これらが宿主細胞に共形質転換される場合、ポリペプチド−コードヌクレオチド配列および線型ベクターの間にインビボ組換えを可能にする。一実施態様において、リンカーDNAは、20個以上の塩基対の長さ、例えば、30または40個以上の塩基対の長さである。さらなる実施態様において、リンカーDNAは、線型ベクター上で対応する配列と80%以上、例えば、85%、90%、95%、または99%以上同一である。
【0069】
一実施態様において、リンカーDNAは、プロテアーゼ認識配列をコードすることによって、SFPおよび目的ポリペプチドの接合部で切断されるようにする。例えば、リンカーDNAは、酵母kex2p−またはKex2−類似プロテアーゼ認識配列(例えば、Lys−Arg、Arg−Arg、またはLeu−Asp−Lys−Argを含むアミノ酸配列(配列番号74))、哺乳動物フリン−認識配列(例えば、Arg−X−X−Argを含むアミノ酸配列)、因子Xa−認識配列(例えば、Ile−Glu−Gly−Argを含むアミノ酸配列(配列番号75))、エンテロキナーゼ認識配列(例えば、Asp−Asp−Lysを含むアミノ酸配列)、サブチリシン認識配列(例えば、Ala−Ala−His−Tyrを含むアミノ酸配列(配列番号76))、タバコエッチウイルスプロテアーゼ−認識配列(例えば、Glu−Asn−Leu−Tyr−Phe−Gln−Glyを含むアミノ酸配列(配列番号77))、ユビキチン加水分解酵素−認識配列(例えば、Arg−Gly−Glyを含むアミノ酸配列)またはトロンビン−認識配列(例えば、Arg−GlyPro−Argを含むアミノ酸配列(配列番号78))をコードすることができる。
【0070】
リンカーのプロテアーゼ部位内における、あるいは分泌ポリペプチドまたは目的ポリペプチド内における、内在的宿主プロテアーゼによる融合ポリペプチドの望まれない切断を避けることが好ましい。これと同様に、目的ポリペプチドまたは分泌ポリペプチド、あるいはSFPまたはその断片もしくはその誘導体内で目的ポリペプチドから分泌されたポリペプチドを切断するために使用される、プロテアーゼによる切断を避けることが好ましい。従って、プロテアーゼ認識配列をコードするリンカーDNAが融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの部分として宿主細胞に形質転換される場合、宿主細胞は、好ましくは、リンカーでプロテアーゼ配列を認知するプロテアーゼを発現しない。宿主細胞は、プロテアーゼを自然的に発現しないこともあるとか、または宿主細胞は、プロテアーゼを発現しないように変形され得る(例えば、kex2突然変異宿主細胞、kex2−類似プロテアーゼ突然変異宿主細胞、およびフリン突然変異宿主細胞)。融合ポリペプチドが分泌ポリペプチドおよび目的ポリペプチドを含む場合、分泌ポリペプチド、SFPまたはその断片もしくは誘導体ならびに/あるいは目的ポリペプチドは、宿主プロテアーゼ認識配列を自然的に含めないこともあり得、あるいは分泌ポリペプチド、SFP、その断片もしくは誘導体および/または目的ポリペプチドは、宿主プロテアーゼによって認識される配列を含有しないように変形され得る。融合ポリペプチドが分泌ポリペプチド、SFPまたはその断片もしくは誘導体、目的ポリペプチド、およびプロテアーゼ認識配列を含むペプチドリンカーを含む場合、分泌ポリペプチド、SFPまたはその断片もしくは誘導体ならびに/あるいは目的ポリペプチドは、プロテアーゼ認識配列を自然的に含めないこともあり得、あるいは分泌ポリペプチド、SFPまたはその断片もしくは誘導体ならびに/あるいは目的ポリペプチドは、ペプチドリンカーのプロテアーゼ認識配列を認識するプロテアーゼによって認識される配列を含有しないように変形され得る。
【0071】
また他の実施態様において、リンカーDNAは、親和性タグ、例えば、GST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、またはS−タグをコードする。
【0072】
さらなる実施態様において、リンカーDNAは、制限酵素認識部位およびプロテアーゼ認識配列(例えば、kex2p−類似プロテアーゼまたはkex−2p−認識配列)をコードする。
【0073】
原核生物におけるポリペプチドの発現は、目的ポリペプチド−レポーターポリペプチド融合の発現を指示する構成的または誘導性プロモーターを含有するベクターで行うことができる。適したエシェリキア・コリ発現ベクターの例には、pTrc(Amrann et al.,Gene 69:301−315(1988))およびpET(Studier et al.,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)60−89)が含まれる。
【0074】
酵母細胞における発現のために適切な酵母発現ベクターとしては、pYepSec1((Baldari et al.,EMBO J.6:229−234(1987))、pMFa((Kurjan et al.,Cell 30:933−943(1982))、pJRY88(Schultz et al.,Gene 54:113−123(1987))、pYES2(インビトロジェン:Invitrogen Corporation,San Diego,Calif.)、およびpicZ(インビトロジェン)が挙げられるが、これらに制限されない。
【0075】
昆虫細胞における発現のために、バキュロウイルス発現ベクターが使用され得る。培養された昆虫細胞(例えば、SF9細胞)におけるポリペプチドの発現に利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smith et al.,Mol.Cell.Biol.3:2156−2165(1983))およびpVLシリーズ(Lucklow et al.,Virology 170:31−39(1989))が挙げられる。
【0076】
また他の実施態様において、宿主細胞は哺乳動物細胞であり、ベクターは哺乳動物発現ベクターである。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(文献[Seed,Nature 329:840(1987)])およびpMT2PC(文献[Kaufman et al.,EMBO J.6:187−195(1987)])が含まれる。哺乳動物細胞で使用される場合、発現ベクターの制御機能は、ウイルス調節要素によってしばしば提供される。例えば、よく使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよび類人猿ウイルス40に由来する。原核細胞および真核細胞の両方に適切な他の発現系としては、例えば、文献[Chapters 16 and 17 of Sambrook et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989]を参照すること。
【0077】
好ましいベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、エピソーム、ウイルス粒子またはウイルス、および統合可能なDNA断片(すなわち、相同的組換えによって宿主ゲノムに統合可能な断片)が挙げられるが、これらに制限されない。
好ましいウイルス粒子としては、アデノウイルス、バキュロウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ関連ウイルス、セムリキ森林(Semliki Forest)ウイルス、ワクシニアウイルス、およびレトロウイルスが挙げられるが、これらに制限されない。好ましい発現ベクターとしては、pcDNA3(インビトロジェン)およびpSVL(Pharmacia Biotech)が挙げられるが、これらに制限されない。他の発現ベクターとしては、pSPORTTMベクター、pGEMTMベクター(プロメガ社)、pPROEXベクターTM(LTI,Bethesda,MD)、ブルースクリプト(Bluescript)TMベクター(ストラタジーン社)、pQETMベクター(キアゲン社)、pSE420TM(インビトロジェン)、およびpYES2TM(インビトロジェン)が挙げられるが、これらに制限されない。
【0078】
一実施態様において、発現ベクターは、目的ポリペプチドをコードするDNA配列が作動可能にリンクされたり、あるいは適した宿主で目的ポリペプチドの発現に影響を与えうる適切な制御配列に連結された、複製可能なDNAコンストラクトである。DNA領域は、それらが互いに機能的に関連された場合、作動可能にリンクされたり、または連結されている。例えばプロモーターは、配列の転写を制御する場合にコード配列に作動可能にリンクされたり、または連結されている。ベクターの増幅には、発現制御ドメインを要求しないが、複製起点によって通常付与された宿主での複製能力、および形質転換体の認識を促進するための遺伝子選択能力だけが要求される。発現ベクターにおける制御配列に対する要件は、選択された宿主および選択された形質転換方法に応じて異なるだろう。一般的に、制御配列としては、転写プロモーター、エンハンサー、転写を制御するための選択的オペレーター配列、ポリアデニル化シグナル、適切なmRNAリボソーム結合をコードする配列、および転写および翻訳の終結を制御する配列が挙げられるが、これらに制限されない。このような調節配列は、例えば、文献[Goeddel;GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)]に記載されている。調節配列は、多くの類型の宿主細胞におけるヌクレオチド配列の構成的発現を指示する配列、および特定宿主細胞のみでヌクレオチド配列の発現を指示する配列(例えば、組織−特異的調節配列)を含む。当業者は、発現ベクターの考案が形質転換される宿主細胞の選択、所望のポリペプチドの発現レベルなどの因子に応じて変わる可能性があることを認知するだろう。
【0079】
本発明の発現ベクターは、宿主細胞へ導入されることによって、本明細書中に記載された核酸によってコードされる融合蛋白質またはペプチドを含む、蛋白質またはペプチドを生成することができる。好ましいベクターは、宿主有機体によって認識されるプロモーターを含有する。
【0080】
一実施態様において、本発明のプロモーターは、外部ポリペプチドの組換え生成のために使用される強力な異種プロモーターである。異種プロモーターは、誘導性であり得るし、あるいは構成的であり得る。好ましい異種プロモーターは、蛋白質の商業的生成のために使用されるものなど、例えば、下記に記載されたものなどである。本発明の異種プロモーターは、天然または野生型SFPプロモーターから区別可能である。
【0081】
本発明のプロモーター配列は、原核生物、真核生物またはウイルス由来であり得る。適切な原核生物配列の例としては、バクテリオファージラムダのPRおよびPLプロモーター(The bacteriophage Lambda,Hershey,A.D.,Ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(1973)、その全文が本明細書中に参考として組み込まれる;Lambda II,Hendrix,R.W.,Ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(1980)、その全文が本明細書中に参考として組み込まれる);エシェリキア・コリのtrp、recA、熱衝撃、およびlacZプロモーターおよびSV40初期プロモーター(Benoist et al.,Nature,290:304−310(1981)、その全文が本明細書中に参考として組み込まれる)が挙げられる。酵母に対しては、適切なプロモーターの例としては、GAPDH、PGK、ADH、PHO5、TEF、GAL1、およびGAL10が挙げられるが、これらに制限されない。さらなるプロモーターとしては、マウス乳腺腫瘍ウイルス、ヒト免疫欠乏ウイルスの長い末端反復、マロニーウイルス、サイトメガロウイルス即時初期プロモーター、エプスタイン・バー(Epstein Barr)ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、およびヒトメタロチオネインが挙げられるが、これらに制限されない。
【0082】
またさらなる調節配列を、好ましいベクターに含めることができる。適切な調節配列の例は、ファージMS−2のレプルリカーゼ遺伝子およびバクテリオファージラムダの遺伝子cIIのシャイン−ダルガーノ(Shine−Dalgarno)配列によって表される。
【0083】
また、適切な発現ベクターは、形質転換された宿主細胞のスクリーニングを可能にする適したマーカーを含みうる。選択された宿主の形質転換は、当業者に十分公知された様々な技術のうち、任意の1つを用いて行われ、サムブルックなど(Sambrook et al.)の前記文献に記載されている。
【0084】
複製起点は、また、ベクターの作製によって外因性起点を含むように提供され得るか、あるいは、宿主細胞染色体複製メカニズムによって提供され得る。ベクターが宿主細胞染色体に統合される場合、後者が十分であることもできる。これとは異なって、ウイルス複製起点を含有するベクターを使用するよりも、当業者は、選択可能なマーカーおよび目的ポリペプチドDNAで共形質転換の方法によって哺乳動物細胞を形質転換させ得る。適切なマーカーの例は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)またはチミジンキナーゼ(米国特許第4,399,216号参照)である。
【0085】
目的ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、ライゲーションのためのブラント−エンド(blunt−ended)またはスタガード−エンド(staggered−ended)末端、適切な末端を提供するための制限酵素による消化、粘着性末端(cohesive end)を適切な位置に埋めること、好ましくない連結を避けるためのアルカリ性ホスファターゼ処理、および適したリガーゼでライゲーションさせることを含む従来技術によって、ベクターDNAに組換えされ得る。このような操作に対する技術は、サムブルックなど(Sambrook et al.)の前記文献に開示されており、当業界に良く公知されている。哺乳動物発現ベクターの作製方法は、例えば、文献[Okayama et al.,Mol.Cell.Biol.3:280(1983)]、[Cosman et al.,Mol.Immunol.23:935(1986)]、[Cosman et al.,Nature 312:768(1984)]、EP−A−0367566、およびWO91/18982に記載されており、これらのそれぞれは、その全文が本明細書中に参考として組み込まれる。
【0086】
本発明で使用した宿主細胞は、当業者に公知の任意の宿主細胞であり得る。適した宿主細胞としては、バクテリア、菌類(例えば、酵母)、植物、または動物(例えば、哺乳動物または昆虫)細胞が挙げられる。適した酵母細胞としては、カンジダ、デバリオミセス、ハンゼヌラ、クルイベロミセス、ピキア、シゾサッカロミセス、ヤロウィア、サッカロミセス、シュワンニオミセス、およびアルクスラ種が挙げられる。具体的な例としては、カンジダ・ユチリス、カンジダ・ボイジニイ、カンジダ・アルビカンス、クルイベロミセスラクティス、ピキアパストリス、ピキアスチピチス、シゾサッカロミセスポンベ、サッカロマイセス・セレビシエ、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ヤロウィア・リポリティカ、シュワンニオミセス・オクシデンタリス、およびアルクスラ・アデニニボランスが挙げられる。他の適切な菌類としては、アスペルギルス、ペニシリウム、リゾプス、およびトリコデルマ種が挙げられる。宿主細胞として使用され得るバクテリアとしては、エシェリキア、シュードモナス、およびバチルス種が挙げられる。適切な植物宿主細胞としては、アラビドプシス、トウモロコシ、タバコ、およびジャガイモが挙げられる。動物細胞としては、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、犬、猫、猿、および昆虫から由来した細胞が挙げられる。例としては、CHO、COS1、COS7、BSC1、BSC40、BMT10、およびSf9細胞が挙げられる。特定の実施態様において、宿主細胞は、酵母細胞である。
【0087】
本発明のポリヌクレオチドは、単離されたポリペプチドコード領域またはウイルスベクターを含む原形プラスミドの一部として、または線型DNAとして宿主細胞に導入され得る。当業者によく知られ従来より用いられるDNAの宿主細胞への導入方法としては、形質転換法、形質感染法、電気穿孔法、核注入法、または運搬体、例えば、リポソーム、ミセル、皮細胞、およびプロトプラストとの融合法が挙げられる。
【0088】
迅速且つ効率的に検出可能なレポーター蛋白質が本発明で使用され得る。一実施態様において、レポーター蛋白質は、スクリーニング過程を自動化するために陽性的に選択され得る活性を有する。さらなる実施態様において、レポーター蛋白質は、細胞外空間に分泌された蛋白質、例えば、インベルターゼ、スクラーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、マルターゼ、アミラーゼ、クルコアミラーゼ、ガラクトシダーゼ(例えば、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、メリビアーゼ)、ホスファターゼ(例えば、PHO5)、β−ラクタマーゼ、リパーゼまたはプロテアーゼである。特定の実施態様において、分泌された蛋白質は、細胞が特定基質上で成長するようにする。哺乳動物細胞におけるレポーターシステムの例として、マウス胚芽幹細胞で分泌経路遺伝子を探すために、抗生剤G418を含有する培地でCD2/ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(Ceo)遺伝子が、分泌レポーターとして使用され得る(De−Zolt et al.,Nucleic Acid Res.34:e25(2006))。
【0089】
一実施態様において、宿主細胞は、酵母であり、レポーター蛋白質は、インベルターゼであり、形質転換された酵母細胞は、スクロスまたはラフィノース上で成長できるその能力について選択される。また他の実施態様において、宿主細胞は、酵母であり、レポーター蛋白質は、メリビアーゼであり、形質転換された酵母細胞は、メリビオース上で成長できるその能力について選択される。さらなる実施態様において、宿主細胞は、酵母であり、レポーター蛋白質は、アミラーゼ(例えば、エンドアミラーゼ、エキソアミラーゼ、β−アミラーゼ、またはグルコアミラーゼ)であり、酵母細胞は、非−澱粉分解性であり、形質転換された細胞は、澱粉を分解できるその能力についてスクリーニングされる。
さらなる実施態様において、レポーター蛋白質の活性を示す細胞を確認する工程は、成長抑制剤、例えば、抗生剤に耐性を提供するレポーター蛋白質を使用することによってなされる。また他の実施態様において、レポーター蛋白質は、視覚的に検出され得る蛋白質、例えば、緑色蛍光蛋白質またはルシフェラーゼである。一実施態様において、レポーター蛋白質の活性を示す細胞を確認する工程は、2つ以上のレポーター蛋白質、例えば、リパーゼおよびインベルターゼを使用することによってなされる。
【0090】
本発明の宿主細胞は、レポーター蛋白質活性を示さない。一実施態様において、宿主細胞はレポーター蛋白質を自然的に発現させない。他の実施態様において、レポーター蛋白質をコードする遺伝子(など)は、全体または一部が欠失されたり、レポーター蛋白質が発現しなかったりまたは非活性形態で発現するように突然変異される。細胞に特定の蛋白質が欠乏されるようにする方法は、当業者によく知られており、任意のそのような方法が本発明の宿主細胞を用意するために利用され得る(Sambrook et al.,前記文献)。酵母において、レポーター遺伝子欠乏は、良く公知された遺伝子代替技術を用いて導入され得る(文献[Rothstein,Meth.Enzymol.194:281(1991)])。
【0091】
目的ポリペプチドをコードする核酸は、ゲノムまたはcDNAライブラリからの単離、PCRによる増幅、または化学的合成を含む当業者によく知られた従来の技術を用いて任意の供給源から得ることができる。
【0092】
核酸またはその断片のライブラリは、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、および組換えDNAを含む任意の類型のDNAから得ることができる。RNAおよび自然的に発生しない核酸を含むDNA以外の核酸もまた使用され得る。
予め選択された核酸断片のライブラリは、以前に確認された核酸断片を多様化することによって、例えば、単一方向性欠失、突然変異、機能性配列(例えば、グリコシル化部位)の付加または、核酸断片の間でのプレおよびプロ−シグナル配列のスワッピングによって得ることができる。一実施態様において、核酸断片は、1000塩基対未満、例えば、700、500、または、300塩基対未満のサイズを持つ。核酸断片のライブラリは、DNAの酵素的切断、cDNA合成、または組換えDNA技術(例えば、単一方向性欠失、突然変異誘発)によって作製され得る。
【0093】
核酸断片は、有機体の全体ゲノム、例えば、全体ゲノムまたはcDNAライブラリに由来しうる。断片は、また、全体ゲノムの任意の部分、例えば、サブトラクションライブラリまたはサイズ分類したライブラリ由来することができる。
【0094】
下記の実施例は、本発明の方法および組成物を例示するが、これらに制限されない。当業者に明らかであり、臨床治療において一般的に含まれる様々な条件およびパラメータの他の適切な変形および適用は、本発明の精神および範囲内にある。
【実施例】
【0095】
実施例1
細胞外分泌のためのYGR106C遺伝子の最適サイズの決定
この実施例は、細胞外分泌のために必要なYGR106の最適領域を立証する。図1Aに示されたように、YGR106C(以下、分泌融合パートナー1、SFP1)蛋白質(配列番号1)は、シグナルペプチド、3つのグリコシル化部位、1つの親水性ドメイン(HL)および1つの膜貫通ドメイン(TM)を含有する265個のアミノ酸残基からなる。
【0096】
GAL10プロモーターの制御下で無傷のYGR106C遺伝子の過剰発現は、培養培地でYGR106C蛋白質を生成しなかった。しかし、末端切断型(truncated)SFP1(配列番号1のアミノ酸1−213)は、YGR106CのC−末端切断型形態を用いて酵母GAL10プロモーターの制御下で培養培地に高いレベルで分泌した。
【0097】
SFP1遺伝子の最適ドメインのさらなる同定は、分泌に対して決定した。SFP1蛋白質には、いくつかの機能性ドメインが存在するが、例えば、シグナル分泌シグナル(配列番号1のアミノ酸1−19)、親水性ドメイン(HL)(配列番号1のアミノ酸176−213)および膜貫通ドメイン(TM)(配列番号1のアミノ酸220−247)をカイト−ドゥーリトル疏水性分析によって決定した(図1A)。
【0098】
SFP1遺伝子が順次に欠失された異なるベクターを含有する組換え酵母サッカロマイセス・セレビシエ2805(Mat a ura3 INV2 pep4::HIS3 can1)菌株を作製し、それぞれのベクターからSFP1関連蛋白質の分泌を比較した(図1B)。最初に、無傷のSFP1蛋白質を発現させるために、SFP1のオープンリーディングフレーム(ORF)をサッカロマイセス・セレビシエ2805ゲノムDNAからPCRプライマー、BamHI部位を含有するセンスプライマーT9F(配列番号2)およびSalI部位を含有するアンチセンスプライマーH159(配列番号3)で増幅させた。PCRをPfuポリメラーゼ(ストラタジーン社製、米国)またはEx−TaqDNAポリメラーゼ(宝酒造株式会社:TaKaRa Korea Biomedical Inc.,Seoul,Korea)で実施した。PCR条件は、94℃で5分間1回の変成工程、および94℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で1分間の25回増幅サイクル、続いて72℃で7分間の最終延長を含んだ。増幅されたSFP1ORFをBamHI−SalIで消化し、YEGα−HIR525のBamHI−SalI部位でサブクローニングし(文献[Sohn et al.,Process Biochem.30:653(1995)])、これで生成されたプラスミドをYGaT91と命名した。
【0099】
C−末端からTMドメインまで欠失した末端切断型SFP1蛋白質を発現させるために、部分SFP1遺伝子を、YGaT91ベクターからセンスプライマーT9F(配列番号2)およびアンチセンスプライマーH160(配列番号4)で増幅させた。増幅した部分SFP1遺伝子を、YGaT91の作製と同様の方法を用いてYEGα−HIR525にクローニングし、これで生成されたプラスミドをYGaT92と命名した。
【0100】
また、C−末端からHLドメインの半分まで欠失した異なる末端切断型SFP1蛋白質を発現させるために、部分SFP1遺伝子を、YGaT91ベクターからセンスプライマーT9F(配列番号2)およびアンチセンスプライマーH161(配列番号5)で増幅させた。増幅した部分SFP1遺伝子を、YGaT91の作製と同様の方法を用いてYEGα−HIR525にクローニングし、これで生成されたプラスミドをYGaT93と命名した。
【0101】
また、C−末端からHLドメインまで欠失した異なる末端切断型SFP1蛋白質を発現させるために、部分SFP1遺伝子を、YGaT91ベクターからセンスプライマーT9F(配列番号2)およびアンチセンスプライマーH162(配列番号6)で増幅させた。増幅した部分SFP1遺伝子を、YGaT91の作製と同様の方法を用いてYEGα−HIR525にクローニングし、これで生成されたプラスミドをYGaT94と命名した。
【0102】
また、C−末端から第3のグリコシル化部位まで欠失した異なる末端切断型SFP1蛋白質を発現させるために、部分SFP1遺伝子を、YGaT91ベクターからセンスプライマーT9F(配列番号2)およびアンチセンスプライマーH205(配列番号7)で増幅させた。増幅した部分SFP1遺伝子を、YGaT91の作製と同様の方法を用いてYEGα−HIR525にクローニングし、これで生成されたプラスミドをYGaT95と命名した。
【0103】
また、C−末端から第2のグリコシル化部位までが欠失した異なる末端切断型SFP1蛋白質を発現させるために、部分SFP1遺伝子を、YGaT91ベクターからセンスプライマーT9F(配列番号2)およびアンチセンスプライマーH204(配列番号8)で増幅させた。増幅した部分SFP1遺伝子を、YGaT91の作製と同様の方法を用いてYEGα−HIR525にクローニングし、これで生成されたプラスミドをYGaT96と命名した。
【0104】
また、C−末端から第1のグリコシル化部位までが欠失された異なる末端切断型SFP1遺伝子を発現させるために、部分SFP1遺伝子を、YGaT91ベクターからセンスプライマーT9F(配列番号2)およびアンチセンスプライマーH203(配列番号9)で増幅させた。増幅した部分SFP1遺伝子を、YGaT91の作製と同様の方法を用いてYEGα−HIR525にクローニングし、これで生成されたプラスミドをYGaT97と命名した。
【0105】
酵母サッカロマイセス・セレビシエ2805菌株(Mat a ura3 INV2 pep4::HIS3 can1)を、作製したベクター(YGaT91、YGaT92、YGaT93、YGaT94、YGaT95、YGaT96、およびYGaT97)で形質転換させた。異なる形質転換のUDプレート(アミノ酸無し0.67%酵母窒素ベース、0.77g/lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%アガー)から選択される単一コロニーを、YPDGブロス培地(1%酵母抽出物、2%バクト−ペプトン、1%グルコース、1%ガラクトース)で40時間30℃で培養した。それぞれの培養ブロス0.6mlのうち、分泌された蛋白質をアセトン0.4mlで濃縮させ、SDS−PAGEによって分離した。図1Cに示されたように、SFP1関連蛋白質は、YGaT92、YGaT93およびYGaT94を保有する細胞(それぞれレーン2、3、および4)のみで確認した。1つのグリコシル化された形態および他の非−グリコシル化された2つのバンドを3つの陽性菌株の全てで検出した。しかし、他の細胞、YGaT91、YGaT95、YGaT96、およびYGaT97では、そのようなバンドを示さなかった(それぞれレーン1、5、6、および7)。これらの結果は、TMドメインの除去および3つのグリコシル化部位全てを含有するドメインを保有することによって、SFP1の細胞外分泌が可能になるということを示している。
【0106】
実施例2
目的蛋白質の分泌のための融合パートナーとしての、SFP1遺伝子の最適サイズの決定
この実施例は、SPF1誘導体の融合パートナーとしての用途を立証する。例示的な目的蛋白質である、ヒトインターロイキン−2(hIL−2)の分泌のための融合パートナーとしてのSFP1誘導体を試験するために、YGaT92、YGaT93およびYGaT94の3つのSFP1誘導体(SFP1−92(配列番号39)、SFP1−93(配列番号40)、およびSFP1−94(配列番号41))との融合蛋白質として、それぞれhIL−2を発現させるための3つのベクターを作製した(図2A)。YGaT91とのhIL−2融合もまた生成し、SFP1−91(配列番号38)のデータは示さなかった。hIL2遺伝子をYGaT92のSFP1−92と融合させるために、部分SFP1遺伝子をYGaT92ベクターからGAL10プロモーターを認識するセンスプライマーGAL100(配列番号10)およびアンチセンスプライマーH121(配列番号11)で増幅させた。hIL2遺伝子との融合を促進し、hIL2融合蛋白質の酵母ジペプチジルプロテアーゼKex2pによるインビボ切断を誘導するために(Mizuno K et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.156:246(1988))、H121プライマー(配列番号11)をKex2p切断配列およびN−末端hIL2配列を含有するように考案した。ヒトIL−2遺伝子をH121プライマー(配列番号11)に相補的なSFP1配列の一部を含有するセンスプライマーIL2F(配列番号12)およびアンチセンスプライマーIL2R(配列番号13)で増幅させた。IL2Rプライマーは、GAL7ターミネーター配列の一部を含有する。SFP1−92およびhIL−2遺伝子を含有する増幅されたPCR断片を重複−延長(overlap−extension)PCRによってGAL100およびGT50R(配列番号14)プライマーで融合させた。GT50Rプライマーは、GAL7ターミネーターを認識するアンチセンスプライマーである。これで生成されたPCR生産物を、100bpのGAL10プロモーター配列および50bpのGAL7ターミネーター配列でフランキングさせた。発現宿主としてサッカロマイセス・セレビシエの長所のうちの1つは、効率的且つ正確な相同的組換えストラテジーを利用することが可能であるということである。断片末端の一側面上にDNA配列重複を共有する線型化されたベクターおよびDNA断片は、プラスミドの円型トポロジーを復旧する組換えを行うことができるということが当業界で公知されている(文献[Kunes et al.,Genetics.115:73(1987)])。サッカロマイセス・セレビシエのこの特性を発現宿主系の作製のために利用した。
【0107】
インビボ組換え骨格としてYGaT92ベクターを使用するために、YGaT92ベクターをBamHI/SalIで切断させた。線型化されたベクター断片をアガロースゲルからゲル抽出キット(バイオニア、韓国)を用いて単離した。GAL100/GT50Rプライマーセットで増幅されたPCR生成物は、線型化されたベクターと50個以上のヌクレオチドを共有した。インビボ組換えのための最小要件は、約30個のヌクレオチド重複である[Oldenberg et al.,Nucleic Acids Res.25:451(1997)]。50個のヌクレオチド重複は、サッカロマイセス・セレビシエでプラスミドを再作製するのに十分である。組換えサッカロマイセス・セレビシエ2805菌株を前記記載のPCR生成物およびベクター断片で共形質転換させることによって、直接作製した。組換えによって作製、生成されたプラスミドをYGaT92−IL2と命名した(図24)。YGaT93−IL2ベクターで形質転換されたサッカロマイセス・セレビシエ2805菌株の作製のために、本発明者らは、H120プライマー(配列番号15)をH121プライマー(配列番号11)の代わりに使用したことを除いては、YGaT92−IL2プラスミド作製で使用したものと同様の手法を用いた。H120プライマーは、YGaT93ベクターのSFP1遺伝子の3’末端を認識し、Kex2p切断配列およびN−末端hIL2配列を含有するアンチセンスプライマーである。サッカロマイセス・セレビシエ2805菌株をYGaT94−IL2ベクターで形質転換させるために、H119プライマー(配列番号16)をH121プライマー(配列番号11)の代わりに使用し、その他には、YGaT92−IL2プラスミド作製に対して記載したものと同様の手法を用いた。H119プライマーは、YGaT94ベクターのSFP1遺伝子の3’末端を認識するアンチセンスプライマーであり、Kex2p切断配列およびN−末端hIL2配列を含有する。
【0108】
UDプレート(アミノ酸無し0.67%酵母窒素ベース、0.77g/lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%アガー)から選択される単一コロニーを、YPDGブロス培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、1%グルコース、1%ガラクトース)で40時間30℃で培養した。それぞれの培養ブロス0.6mlのうち分泌された蛋白質をアセトン0.4mlで濃縮し、SDS−PAGEによって分離した。図2Bに示されたように、SFP1誘導体蛋白質およびhIL2は、YGaT92−IL2(配列番号58)およびYGaT93−IL2(それぞれレーン1および2)を保有するサッカロマイセス・セレビシエ細胞から分泌されたが、YGaT94−IL2細胞(レーン3)は、分泌しなかった。この結果は、融合形態で発現される場合、HLドメインがSPF1誘導体蛋白質の分泌に重要であることを示唆する。
【0109】
実施例3
SFP1誘導体と融合した目的蛋白質の発現
YGaT92から実施例2で作製されたSFP1−92(配列番号39)を、エキセンディン−4(EXD4)、グルカゴン−類似ペプチド−1(GLP1)の39個のアミノ酸ペプチド類似体の分泌生成のために使用した。無傷のEXD4蛋白質の単純且つ効率的な精製のために、6−ヒスチジンタグおよびエンテロキナーゼ切断部位(DDDDK(配列番号79)、D:アスパラギン酸、K:リジン)をSFP1のC−末端に付加した。従って、融合蛋白質のN−末端からC−末端では、SFP1断片、6−ヒスチジンタグ、エンテロキナーゼ切断部位およびEXD4配列を含んでいた。SFP1−92 EXD4融合蛋白質を発現するYGaT92−EXD4ベクターを作製するために、SFP1−92遺伝子をYGaT92ベクターからHL配列を認識し、6個のヒスチジンコドンを含有するアンチセンスプライマーHDK−R(配列番号17)およびGAL100プライマー(配列番号10)で増幅させた。EXD4遺伝子をDDDDKコドンおよびHDK−Rプライマーに相補的な18個のヌクレオチドを含有するセンスプライマーHDK−F(配列番号18)およびGT50R(配列番号14)プライマー配列の18個のヌクレオチドを含有するアンチセンスプライマーEXD−R(配列番号19)で増幅させた。増幅されたSFP1−92およびEXD4遺伝子を重複−延長PCRによってGAL100/GT50Rプライマーセットで融合させた。YGaT92−EXD4ベクターを保有する組換えサッカロマイセス・セレビシエ2805菌株を、実施例2に記載したように融合した断片およびBamHI/SalI消化したYGaT92ベクター断片の共形質転換を介してインビボ組換えによって直接作製した。
【0110】
YGaT92−EXD4で形質転換された組換え酵母菌株を5−L発酵槽(jar fermentor)で流加培養によって培養して、SFP1−92−EXD4融合蛋白質の分泌生成を誘導するその能力について評価した。発酵槽で接種させる種菌培養物をフラスコで種菌培養培地(アミノ酸無し6.7%酵母窒素ベース、0.5%カザミノ酸および2%グルコース)を使用して培養した。初期発酵培地として発酵培養培地(4%酵母抽出物、1%ペプトン、2%グルコース)を使用して培養する場合、OD600が約15に達し、流加培地(15%酵母抽出物、30%グルコース、30%ガラクトース)を細胞成長速度に応じて様々な量で供給した。約48時間の培養後、培養物は、OD600が約160に達した。培地10μlを提示された時点で収集し、分泌された蛋白質をSDS−PAGEによって評価した(図3A−B)。標準蛋白質バンドと比較して、分泌されたSFP1−EXD4は、約500mg/Lと測定された。上澄液を遠心分離によって回収して酵母細胞を除去し、限外ろ過(クイックスタンド、アマシャム:Quickstand,Amersham)により濃縮させて脱塩させた。
【0111】
融合蛋白質、SFP1−92−EXD4をNi−NTA親和性カラム(キアゲン、米国)で精製した(図4、レーン1)。SFP1−92融合蛋白質からEXD−4を回収するために、精製された融合蛋白質を異なる濃度のエンテロキナーゼ(インビトロジェン、米国)で切断させた。サンプルをエンテロキナーゼ緩衝液[20mMトリス−HCl(pH8.0)、50mM NaCl、2mM CaCl2]に溶解させた。同量の蛋白質サンプルを0.1、0.2および0.3μlのエンテロキナーゼで1時間、37℃で切断させた。これで生成された蛋白質をSDS−PAGEによって分析した(図4、それぞれレーン2、3および4)。
【0112】
2つのバンドでないいくつかの小さい蛋白質バンドが生成された。これらの小さい断片は、エンテロキナーゼによるSFP1の非特異的消化の結果として見える。SFP1蛋白質は、DDK(137番目アミノ酸)およびEDK(168番目アミノ酸)残基を含有し、これはエンテロキナーゼの基質として使用可能である。
【0113】
SFP1−92−EXD4から回収したEXD−4のさらなる分析のために、エンテロキナーゼを処理したサンプル(図4、レーン3)をHPLCによって分画化した(図5A)。HPLCクロマトグラムでピークとして検出された蛋白質をSDS−PAGEによって分析した(図5B)。HPLC分画数41は、EXD−4と予想される単一バンドを示した。蛋白質をさらに分析してマトリックス支援レーザー脱離質量時間(MALDI−TOF;韓国基礎科学支援研究院、大田、韓国)によりその分子量(MW)を決定した(図6)。SFP1−92融合から生成されたEXD−4のMWは、4187.8Daであり、そのアミノ酸配列によって計算されたMWと一致した。
【0114】
エンテロキナーゼに耐性のある強力なSFP1−92融合パートナーを作製するために、DDKおよびEDK残基をDGKおよびEGK残基にそれぞれ交替した(図7A)。DDK残基をDGK残基に交替するために、5’SFP1−92断片をYGaT92−EXD4からGAL100プライマー(配列番号8)およびDDK残基のアスパラギン酸コドンの代りにグリシンコドンを含有するアンチセンス突然変異誘発性プライマーH307(配列番号20)で増幅させた。3’SFP1−92−EXD4断片もまた、H307(配列番号20)に相補的なセンスプライマーH306(配列番号21)およびGT50Rプライマー(配列番号14)でYGaT92−EXD4ベクターから増幅させた。これらの断片を重複延長PCRによってGAL100/GT50Rプライマーセットで融合させた。BamHI/SalIで切断させた後、融合した断片をYGaT92−EXD4ベクターのBamHI/SalI部位にクローニングした。これで生成されたプラスミドのヌクレオチド配列を確認し、SFP1−921(配列番号42)を含有するYGaT921−EXD4と命名した。
【0115】
EDK残基をEGK残基に交替するために、5’SFP1断片をYGaT92−EXD4からGAL100プライマー(配列番号10)およびEDK残基のアスパラギン酸コドンの代りにグリシンコドンを含有するアンチセンス突然変異誘発性プライマーH309(配列番号22)で増幅させた。3’SFP1−92−EXD4断片をまた、H309(配列番号22)に相補的なセンスプライマーH308(配列番号23)およびGT50Rプライマー(配列番号14)でYGaT92−EXD4ベクターから増幅させた。これらの断片をGAL100/GT50Rプライマーセットで重複延長PCRによって融合させた。BamHI/SalIで切断させた後、融合した断片をYGaT92−EXD4ベクターのBamHI/SalI部位にクローニングした。これで生成されたプラスミドのヌクレオチド配列を確認し、SFP1−922(配列番号43)を含有するYGaT922−EXD4と命名した。
【0116】
DDKおよびEDK残基の両方をDGKおよびEGKでそれぞれ交換するために、5’SFP1断片をGAL100プライマー(配列番号10)およびEDK残基のアスパラギン酸コドンの代わりにグリシンコドンを含有するアンチセンス突然変異誘発性プライマーH309(配列番号22)でYGaT921−EXD4から増幅させた。3’SFP1−EXD4断片をまた、H309(配列番号22)に相補的なセンスプライマーH308(配列番号23)およびGT50Rプライマー(配列番号14)でYGaT92−EXD4ベクターから増幅させた。これらの断片をGAL100/GT50Rプライマーセットで重複延長PCRによって融合させた。BamHI/SalIで切断させた後、融合した断片をYGaT92−EXD4ベクターのBamHI/SalI部位にクローニングした。これで生成されたプラスミドのヌクレオチド配列を確認し、SFP1−923(配列番号44)を含有するYGaT923−EXD4と命名した(図25)。
【0117】
サッカロマイセス・セレビシエ2805菌株を、ベクター:YGaT92−EXD4、YGaT921−EXD4、YGaT922−EXD4、およびYGaT923−EXD4で形質転換させた。UDプレート(アミノ酸無し0.67%酵母窒素ベース、0.77g/lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%アガー)から選択される単一コロニーをYPDGブロス培地(1%酵母抽出物、2%バクト−ペプトン、1%グルコース、1%ガラクトース)で40時間30℃で培養した。培養上澄液0.6ml中に含まれた蛋白質をアセトン0.4mlで沈殿させ、エンテロキナーゼ緩衝液[20mMトリス−HCl(pH8.0)、50mM NaCl、2mM CaCl2]に溶解させた。同量の蛋白質サンプルをエンテロキナーゼ0.1μlで1時間、37℃で切断させ、SDS−PAGEによって分離した。
【0118】
図7Bに示されたように、YGaT92−EXD4形質転換体から生成されたSFP1を約15kDa断片(図7B、レーン1)で切断させたが、YGaT921−EXD4およびYGaT922−EXD4形質転換体から生成されたSFP1(図7B、それぞれレーン2および3)は、YGaT92−EXD4からのSFP1より内部SFP1エンテロキナーゼ切断に対してより耐性があった。最終的に、YGaT923−EXD4(配列番号59)形質転換体から生成されたSFP1断片の大部分は無傷であった(図7B、レーン4)。従って、結果は、YGaT923−EXD4からのSFP1変異体は、目的蛋白質の発現および精製に成功的に適用されたことを示唆する。
【0119】
実施例4
SFP1のHLドメインと融合した目的蛋白質の分泌
実施例2に示されたように、HLドメインは、目的蛋白質の分泌において重要な役割を果たす。目的蛋白質の分泌において、HLの機能は、HLドメイン内の酸性荷電されたアミノ酸によったことによるが、蛋白質の可溶性は蛋白質の純電荷(net charge)と密接に関連していることによる。HLドメインの融合パートナーとしての機能を調査するために、本発明者らはEXD4の分泌のためにHLドメインを使用した。
【0120】
HLドメインを目的蛋白質のN−末端に融合させた。HL−EXD4遺伝子をYGaT923−EXD4ベクターからH221(配列番号24)/GT50R(配列番号14)プライマーセットで増幅させ、メイティング因子α(MFα)のプレ−プロリーダーペプチドをGAL100/LNK−R(配列番号25)プライマーセットで増幅させた。H221およびLNK−Rプライマー(配列番号25)が相補的なリンカー配列を含有するので、これらの2つの断片をGAL100(配列番号8)/GT50R(配列番号14)プライマーセットで重複−延長PCRによって融合させた。YGaMKH−EXD4(図26)形質転換体を実施例2に記載されたように融合した断片およびBamHI/SalI消化したYGaT92ベクター断片で共同形質転換させることによって直接作製した。YGaMKH−EXD4プラスミドは、Kex2pによるインビボプロセシングのためにMFαのプレ−プロリーダーペプチドとHLペプチドとの間にリンカーペプチド(AASASAGLALDKR)を含有する。YGaMKH−EXD4で形質転換された組換え酵母菌株を5−L発酵槽で流加培養によって培養して、HL−EXD4の分泌生成を誘導するその能力について評価した。発酵槽に接種する種菌培養物を、種菌培養培地(6.7%アミノ酸無し酵母窒素ベース、0.5%カザミノ酸および2%グルコース)を使用してフラスコで培養した。初期発酵培地として発酵培養培地(4%酵母抽出物、1%ペプトン、2%グルコース)を使用して培養する場合、OD600が約15に達した時、流加培地(15%酵母抽出物、30%グルコース、30%ガラクトース)を細胞成長速度に応じて様々な量で供給した。約48時間培養後、培養物はOD600が約150に達した。培地10μlを提示された時点で収集し、分泌された蛋白質についてSDS−PAGEによって分析した(図8)。標準蛋白質バンドと比較する場合、分泌されたHL−EXD4は、約200mg/Lと測定された。
【0121】
HLペプチドの目的蛋白質へのC−末端融合の効果を試験するために、プラスミド、YGaST6−EXD−HL(図27)を作製した。EXD4遺伝子をYGaMKH−EXD4からのセンスプライマーH412(配列番号26)およびアンチセンスプライマーH413(配列番号27)で増幅させ、HLペプチドをYGaMKH−EXD4からのHL−F(配列番号28)およびHL−GT50R(配列番号29)で増幅させた。H413プライマー(配列番号27)は、HL−Fプライマーに相補的な配列を含有するので、これらの2つの断片をH412(配列番号26)/GT50Rプライマーセットで重複−延長PCRによって融合させた。H412プライマー(配列番号26)は、リンカー配列を含有し、GAL100(配列番号10)/LNK−R(配列番号25)プライマーセットで増幅されたMFαのプレ−プロリーダーと融合させ得る。それぞれの増幅された断片をMFαのプレ−プロリーダー、EXD4およびHLドメイン遺伝子の順序でGAL100/GT50Rプライマーセットで重複−延長PCRによって融合させた。YGaST6−EXD−HL形質転換体を、実施例2に記載されたように、融合した断片およびBamHI/SalI消化したYGaT92ベクター断片で共形質転換することによって直接作製した。YGaST6−EXD4−HLで形質転換された組換え酵母菌株を5−L発酵槽で流加培養によって培養して、EXD4−HLの分泌生成を誘導するその能力について評価した。約48時間培養後、培養物はOD600が約160に達した。培地10μlを提示された時点で収集し、分泌された蛋白質についてSDS−PAGEによって分析した(図9AおよびB)。標準蛋白質バンドと比較して、分泌されたEXD4−HLは、約500mg/Lと測定された。HLがEXD4で融合する場合、C−末端融合は、N−末端融合よりはるかに高いEXD4の分泌レベルを示した。従って結果は、HLドメインが目的蛋白質のN−末端およびC−末端の両方で融合形態で蛋白質の分泌に有用であることを示唆する。しかし、C−末端融合が目的蛋白質の増加した分泌を示した。
【0122】
HLドメインの融合パートナーとしてのさらなる試験のために、HLドメインをヒト表皮成長因子(hEGF)の発現のために使用した。YGaMKH−EGFプラスミド(図28)を作製した。YGaMKH−EGFで、HLドメインをhEGFのN−末端に融合させ、MFαプレ−プロペプチドHL融合ペプチド遺伝子をGAL100(配列番号10)/DDK−R(配列番号30)プライマーセットでYGaMKH−EXD4ベクターから増幅させ、hEGF遺伝子をDDK−Rプライマーに相補的な配列を含有するセンスプライマーH410(配列番号31)およびGT50R(配列番号14)と同じ配列を含有するアンチセンスプライマーH411(配列番号32)で増幅させた。それぞれの増幅された断片をGAL100/GT50Rプライマーセットで重複−延長PCRによって融合させた。YGaMKH−EGF形質転換体を、実施例2に記載されたように、融合した断片およびBamHI/SalI消化したYGaT92ベクター断片で共形質転換させた。
【0123】
YGaMKH−EGFで形質転換された組換え酵母菌株を5−L発酵槽で流加培養によって培養して、HL−EGFの分泌生成を誘導するその能力について評価した。約48時間培養後、培養物は、OD600が約155に達した。培地10μlを提示された時点で収集し、SDS−PAGEによって分泌された蛋白質について分析した(図10AおよびB)。標準蛋白質バンドと比較して、分泌されたHL−EGFは、約400mg/Lと測定された。
【0124】
HL−hEGF融合蛋白質をNi−NTA親和性クロマトグラフィーによって直接精製した(図11A)。hEGFおよびHLペプチドを分離するために、精製された融合蛋白質をエンテロキナーゼで切断させ、これで生成された断片をNi−NTA親和性クロマトグラフィーによって再分画化した。図11Bに示されたように、無傷且つ純粋なhEGF(6kD)を効率的に精製した。
【0125】
HLドメインをまた、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の分泌生成に対して適用した。HLドメインをhPTHのN−末端に融合させることによってYGaMKH−PTH(図29)ベクターを作製した。hPTH遺伝子をDDK−Rプライマー(配列番号30)に相補的な配列を含有するセンスプライマーH310(配列番号33)およびGT50R(配列番号14)と同じ配列を含有するアンチセンスプライマーH311(配列番号34)で増幅させた。この断片をGAL100(配列番号10)/GT50R(配列番号14)プライマーセットを用いた重複−延長PCRによってMFαプレ−プロペプチドHL融合ペプチド遺伝子と融合させた。YGaMKH−PTH形質転換体を、実施例2に記載されたように、融合した断片およびBamHI/SalI消化したYGaT92ベクター断片で共形質転換することによって直接作製した。YGaMKH−PTHで形質転換された組換え酵母菌株を5−L発酵槽で流加培養によって培養して、HL−PTHの分泌生成を誘導するその能力について評価した。約48時間培養後、培養物は、OD600が約120に達した。培地10μlを提示された時点で収集し、SDS−PAGEによって分泌された蛋白質について分析した(図12AおよびB)。HL−PTHと関連した2つの主要バンドが検出された。大多数のhPTHがKex2pによる不完全インビボ切断によってMFαpro−HL−PTHの融合形態で60kDで検出された。HL−PTHのKex2p切断を示すバンドも検出された。PTHと関連した総分泌された蛋白質は、500mg/L以上と測定された。発酵上澄液中のHisタグされた蛋白質をNi−NTA親和性クロマトグラフィーによって直接精製した。精製された蛋白質を予想した通りにSDS−PAGEで2種類のバンドに分離した(図13、レーン1)。より大きいバンド(Pro−HL−PTH)がKex2pを用いたインビトロプロセシング後に消えた(図13、レーン2)。融合蛋白質(HL−PTH)をエンテロキナーゼ切断によってHLペプチドおよびhPTHペプチドに正確に分離した(レーン3)。
【0126】
実施例1〜4は、YGR106C遺伝子の最適領域の同定および変形によって、組換え蛋白質の分泌生成および単離のための、SFP1に由来した効率的なマルチ機能性の融合パートナーを構築することを示している。
【0127】
実施例5
酵母セクレトームからの分泌融合パートナーの選択
この実施例は、融合パートナーとして有用な、高分泌された蛋白質を確認するための技術を立証した。
【0128】
まず、正常酵母細胞成長中に生成された酵母の総分泌された蛋白質(酵母セクレトーム)を分析した。酵母セクレトームの単離のために、酵母サッカロマイセス・セレビシエ2805菌株を最小培地(アミノ酸無し0.67%酵母窒素ベース、0.5%カザミノ酸、2%グルコースおよび0.002%ウラシル)で20時間(M1)および40時間(M2)培養した。培養上澄液500mlを膜ろ過を用いて濃縮させ、総分泌された蛋白質を回収した。酵母細胞を蛍光染料ヘキストで染色した後、共焦点レーザースキャニング顕微鏡を用いて無傷であることを確認した(図14AおよびB)。
【0129】
M2セクレトームサンプルを2−Dゲル電気泳動によって分析した(図15)。総蛋白質サンプルでリボ核酸汚染を除去するために付加したRNaseを除いて、大部分のセクレトーム蛋白質を酸性領域で確認した。図15に示されたように、2−Dゲル電気泳動は、サンプルM2に存在するすべての分泌された蛋白質を確認するのに十分ではなかった。従って、1−DE/MudPIT(Multidimensional Protein Identification Technology)方法をまた、酵母セクレトームのより完璧な確認のために適用した(図16)。結果として、57および83個の蛋白質をM1およびM2からそれぞれ確認した。これと共に、98個のユニークな蛋白質を確認した。これらのうち、42個の蛋白質がM1およびM2サンプルで共通的に検出された。分泌された蛋白質と最も類似の蛋白質を確認するために、蛋白質位置設定予測およびシグナル予測のための2つのプログラムWoLF PSORTおよびpTARGETを用いた。42個の蛋白質のうち、35個(80%を示す)の蛋白質を分泌蛋白質として予測した(表1)。
【0130】
【表1】
【0131】
多数の分泌蛋白質を細胞壁蛋白質およびGPI(グリコシルホスファチジルイノシトール)アンカーを有する蛋白質として確認した。高分泌された蛋白質を、分泌された蛋白質の数に比例できるPAI(蛋白質数度指数)により決定した(Rappsilber et al.,Genome Res.12:1231−45(2002))。この分析を基に、20個の高分泌された蛋白質を選択した。
【0132】
19個の高分泌された蛋白質の遺伝子を19個の異なるセンスプライマー(配列番号35)およびアンチセンスプライマー(配列番号36)を用いてゲノムDNAから増幅させた。増幅されたDNA断片の5’および3’末端は、前記に記載されたように、EcoRI−SalI消化したYEGα−HIR525とインビボ組換えのためにGAL10プロモーターおよびGAL7ターミネーターのそれぞれの一部と共に、相同的な配列の延長を含有していた。酵母形質転換体を、インビボによる組換えを介して線型化されたベクターおよびPCR断片の両方の形質転換によって容易に得た。19個の異なるPCR断片から得た20個の異なる形質転換体をYPDG(1%酵母抽出物、2%ペプトン、1%グルコース、および1%ガラクトース)培地で培養した。それぞれの培養上澄液300μlをアセトンで濃縮させた。それぞれのアセトン−濃縮した培養上澄液を、図17Aに示されたように、SDS−PAGEで分析した。
【0133】
高効率のSFPを選別するために、強いプロモーターを使用して高発現を誘導し、結果的に高分泌された蛋白質の分泌レベルを、形質転換しなかった野生型酵母の蛋白質分泌レベルと比較して決定した。図17AのレーンWTに示された野生型蛋白質分泌レベルと比較して、強いGAL10プロモーターを用いて発現された、試験された蛋白質の部分集合(11個)は、明らかに強いバンドを示したが、これは培養上澄液に高分泌されたことを示唆する。それぞれのサンプルのグリコシダーゼ、エンド−H処理は、それぞれの蛋白質のアミノ酸配列から予想される正確な蛋白質サイズで示され(図17B)、これは大部分の高分泌された蛋白質がグリコシル化されたことを立証する。19個の選択された高分泌された蛋白質中の11個であるBGL2(配列番号80)、GAS3(配列番号81)、GAS5(配列番号82)、PST1(配列番号83)、SCW4(配列番号84)、SCW10(配列番号85)、SIM1(配列番号86)、UTH1(配列番号87)、YGP1(配列番号88)、YPS1(配列番号89)、およびZPS1(配列番号90)を異種蛋白質の分泌に対する候補SFPとして試験した。11個の蛋白質は、下記のポリヌクレオチド:BGL2(配列番号62)、GAS3(配列番号63)、GAS5(配列番号64)、PST1(配列番号65)、SCW4(配列番号66)、SCW10(配列番号67)、SIM1(配列番号68)、UTH1(配列番号69)、YGP1(配列番号70)、YPS1(配列番号71)およびZPS1(配列番号72)によってコードされる。
【0134】
EXD4にそれぞれ融合した11個の高分泌された蛋白質をコードするポリヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(OFR)を使用して、融合蛋白質の発現のためのベクターを作製した。11個の融合蛋白質を培養上澄液へのこれらの分泌レベルについて試験した。YGa−ORFベクターを図17のようにそれぞれの蛋白質を生成するそれぞれの形質転換体から回収した。それぞれの融合蛋白質発現ベクターの作製のために、11個のPCR断片を異なるORFを含有する11個のYGa−ORFベクターからプライマーGAL100(配列番号10)および11個の異なるアンチセンスプライマー(配列番号37)を使用して増幅させた。増幅されたDNA断片の5’および3’末端は、GAL10プロモーターおよびエキセンディン−4のそれぞれと共に、相同的な配列の延長を含有していた。YGaT92−EXD4からプライマーEXD−F(配列番号46)およびGT50R(配列番号14)で増幅された11個のPCR断片およびエキセンディン−4を、プライマーGAL100(配列番号10)およびGT50R(配列番号14)のそれぞれを使用する11回の異なる重複延長PCRに対する鋳型として使用した。それぞれの延長されたPCR断片を前記に記載されたように、EcoRI−SalI消化したYEGα−HIR525で形質転換させた。それぞれの形質転換からの2つの形質転換体をYPDG(1%酵母抽出物、2%ペプトン、1%グルコースおよび1%ガラクトース)で40時間培養した。上澄液からのサンプル0.6mlをアセトン0.4mlを使用して濃縮させ、SDS−PAGEによって図18に示されたように分析した。6個の融合蛋白質(GAS3−EXD4、GAS5−EXD4、PST1−EXD4、SCW4−EXD4、YGP1−EXD4、およびYPS1−EXD4)は、細胞外培地に効率的に分泌されることが明らかになった。
【0135】
実施例5は、酵母セクレトームから選択された、高分泌された蛋白質が組換え蛋白質の分泌生成に対する分泌融合パートナーとして作用することを示した。実施例5では、酵母から分泌された蛋白質を使用したが、任意の生物が分泌したポリペプチド、例えば、明細書の全体に記載されたものなどを使用することができる。この実施例に示されたように、本発明のスクリーニング方法は、可能な候補SFPを35個の分泌された蛋白質から11個に狭め、この中で6個が効果的なSFPとして明らかにしたように、SFPを確認するための効率的な方法である。
【0136】
実施例6
融合パートナーとしての、SCW4遺伝子の最適サイズの決定
この実施例は、目的蛋白質、例えば、エキセンディン−4の分泌用融合パートナーとしての、SCW4の最適サイズの決定を立証する。8個のSCW4欠失クローンをカイト−ドゥーリトル疏水性分析に基づいて作製した(図19A)。8個のSCW4断片を、GAL100(配列番号10)および6個のヒスチジン配列をそれぞれ含有する8個の異なるアンチセンスプライマーH453−H460(配列番号47〜54)で増幅させた。増幅された断片をYGaT92−EXD4からセンスプライマー(配列番号55)およびGT50R(配列番号14)で増幅されたEXD4遺伝子と重複延長PCRによって、プライマー、GAL100(配列番号10)およびGT50R(配列番号14)をそれぞれ使用して、融合させた。それぞれの延長されたPCR断片を、以前の実施例に記載されたように、EcoRI−SalI消化したYEGα−HIR525で形質転換させた。8個の異なる形質転換体の3つのコロニーをYPDG(1%酵母抽出物、2%ペプトン、1%グルコース、および1%ガラクトース)培地で培養した。それぞれのサンプルに対する培養ブロス10μlをSDS−PAGE(濃縮無し)で直接分析した。図19Bに示されたように、SCW4の異なるC−末端断片を含有するSCW4−1、SCW4−2、SCW4−3およびSCW4−4は、EXD4の分泌に対する融合パートナーとして強い活性を示した。EXD4に対する融合パートナーとしてSCW4の最適なサイズは、SCW4蛋白質全体(380個のアミノ酸)のうち、169個未満のアミノ酸で示された。
【0137】
YGaSCW4−1−EXD4(図30)およびYGaSCW4−3−EXD4(図31)で形質転換された組換え酵母菌株を、5−L発酵槽で流加培養によって培養して、融合蛋白質の分泌生成を誘導する能力について評価した。約48時間培養後、培養物はOD600が約130に達した。培地10μlを提示された時点で収集し、分泌された蛋白質についてSDS−PAGEによって分析した(図20)。標準蛋白質バンドと比較して、分泌されたSCW4−1−EXD4(配列番号60)およびSCW4−3−EXD4(配列番号61)は、リットル当り3グラム以上と測定された。
【0138】
エンテロキナーゼに対するSCW4蛋白質のロバスト性を試験するために、発酵ブロスをエンテロキナーゼで1時間、37℃で、精製することなく消化した。図21に示されたように、融合蛋白質は、SCW4蛋白質およびエキセンディン−4ペプチドに正確に分かれた。従ってこれらの結果は、変形されたSCW4融合パートナーがエキセンディン−4蛋白質の収率を有意に増加させ、精製過程を単純化させるということを示す。
【0139】
他の蛋白質に対する一般的な融合パートナーとしてのSCW4の効果を試験した。SCW4−1、SCW4−2、SCW4−3およびSCW4−4をヒト成長ホルモン(hGH)の分泌生成に対して適用した。hGH遺伝子をセンスプライマー(配列番号56)およびアンチセンスプライマー(配列番号57)で増幅させた。この断片を6個のヒスチジンの延長およびGAL7ターミネーター配列でフランキングさせた。PCR増幅されたSCW4−1、−2、−3および−4断片をプライマー、GAL100(配列番号10)およびGT50R(配列番号14)をそれぞれ使用して重複延長PCRによってhGH遺伝子と融合させた。それぞれの延長されたPCR断片を、前記に記載されたようにEcoRI−SalI消化したYEGα−HIR525で形質転換させた。4個の異なる形質転換体の2つのコロニーをYPDG(1%酵母抽出物、2%ペプトン、1%グルコース、および1%ガラクトース)培地で培養した。それぞれのサンプルの培養ブロス10μlをSDS−PAGE(濃縮無し)で直接分析した。図22Aに示されたように、異なるサイズのSCW4−hGH融合蛋白質のバンドをそれぞれのサンプルに対して検出した。融合蛋白質を確認するために、培養上澄液をエンテロキナーゼと共に1時間、37℃でインキュベーションして融合蛋白質を消化した。正確なサイズのhGHをSCW4−1−hGH、SCW4−2−hGHおよびSCW4−4−hGHから回収した(図22B)。従って、SCW4のN−末端断片は、hGHだけでなく、EXD4の分泌に対する融合パートナーとして強い活性を示した。
【0140】
YGaSCW4−2−hGHで形質転換された組換え酵母菌株(図32)を5−L発酵槽で流加培養によって培養して融合蛋白質の分泌生成を誘導するその能力について評価した。約48時間培養後、培地10μlを提示された時点で収集し、分泌された蛋白質についてSDS−PAGEによって分析した(図23)。標準蛋白質のバンドと比較して、分泌されたSCW4−2−hGH(配列番号73)は、リットル当り3グラム超過と測定された。
【0141】
従って、実施例6の結果は、SCW4およびその断片が目的蛋白質の組換え発現に対する融合パートナーとして作用し、大量の目的蛋白質を生成するのに使用され得ることを示唆する。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、セクレトーム分析によって得られる分泌融合パートナー(SFP)を用いた様々な組換え蛋白質の超分泌生成および効率的な精製を提供する。組換え蛋白質は、分泌融合パートナーとの融合形態で細胞外に生成され、SFPからインビトロプロテアーゼ処理によって分離され得る。本発明に記載されたSFPは、バイオ製薬およびバイオ産業で価値のある目的蛋白質およびポリペプチドの分泌レベルを顕著に向上させる。本発明の選択/スクリーニング方法は、SFPとして作用する蛋白質、およびそのような蛋白質の断片および誘導体の選択を可能にする。本発明のスクリーニング/選択方法によって選択されたSFPは、バイオ−製薬およびバイオ−産業に有用な蛋白質の組換え生成を増進させる。また本発明は、確認されたSFPおよびその断片および誘導体を含む。
【0143】
これまで本発明を十分に説明してきたところ、本発明の範囲または任意の実施態様に影響を及ぼすことなく、広範かつ等価な範囲の条件、処方および他のパラメータ内で、本発明を実施することができることを、当業者は理解するだろう。本明細書で言及されたすべての特許、特許出願および公開文献は、その全文が参考として本明細書中に組み込まれる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換え蛋白質発現の技術分野に関する。特に、本発明は、分泌融合パートナー(secretion fusion partner:SFP)および適切なSFPをスクリーニングするための技術に関する。目的ポリペプチドの過量分泌生産を達成するために最適化されたSFPが記載されている。本発明のSFPは、組換え蛋白質の高分泌生産を誘導することができる。
【背景技術】
【0002】
関心のある蛋白質の組換え発現は、研究目的または、治療用および他の商業的用途のために、大量の蛋白質生産のために広く用いられる方法である。バクテリア、酵母、および哺乳動物宿主細胞系を含む様々な組換え発現系が当業者に知られており、多数の異なる蛋白質はこれらの発現系で成功的に生産される。しかし、このような発現系を用いても容易に生産されない多数の蛋白質が存在し、場合によっては全く発現及び分泌されない場合がたくさんある。組換え発現する蛋白質の分泌生産を増進させるための方法、例えば、分子シャペロンおよびフォールダーゼ(foldase)の過剰発現(Hackel et al.,Pharm Res 23:790(2006);Poewer and Robinson,Biotechnol Prog 23:364(2007);Shusta et al.,Nat Biotechnol 16:773(1998))、分泌経路に関連した遺伝子の過剰発現(Carla Fama et al.,Biochim Biophys Acta 1773:232(2007);Wentz and Shusta et al.,Appl Environ Microbiol 73:1189(1998))、リーダー配列の操作(Clements et al.,Gene 106:267(1991);Kjaerulff and Jensen,Biochem Biophys Res Commun 336:974(2005);Sagiya et al.,Microbiol.Biotechnol 42:358(1994);Li et al.,Bitechnol Prog 18:831(2002))などが報告されているが、この場合、いくつかの特定の蛋白質のみで効果的であることが確認された。
【0003】
また蛋白質生産を増加させる他の方式としては、目的蛋白質を融合パートナーに連結して生産することが挙げられる。ヒト血清アルブミン(Kang et al.,Protein Expr Purif 53:331(2007);Huang et al.,J.Pept.Sci 14:588(2008))、α−ラクトアルブミン(WO1995027782A1)、ルブレドキシン(WO2000039310A1)、ヒトグルカゴン(WO2000053777A1)、メクラウナギから由来したカテリシジン関連ペプチド(WO2005019242A2)、ホスホリブロキナーゼ(US6500647B1)、蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ[Kajino et al.,Appl Environ Microbiol 66:638(2000)]、ブドウ状球菌蛋白質A[Moreno et al.,Protein Expr Purif 18:242(2000)]、Hsp150蛋白質[Sievi et al.,Biotechnol.Prog.19:1368(2003)]、セルロース結合ドメイン[Ahn et al.,Appl Microbiol Biotechnol.64:833(2004)]および金結合ペプチド(US20050106625A1)などのような融合パートナーを使用して、いくつかの分泌蛋白質の生産を増加させた。
【0004】
分泌蛋白質および新規な分泌シグナル配列を確保するために努力して、様々な分泌シグナル配列トラップシステムが開発された。米国特許第6,228,590号には、レポーター蛋白質欠乏酵母をレポーター蛋白質に融合した哺乳動物コード配列を含む核酸に形質転換させ、レポーター蛋白質を分泌する細胞を検出することによって哺乳動物分泌シグナル配列をスクリーニングするための技術が記載されている。インベルターゼ(invertase)欠乏酵母およびインベルターゼレポーター蛋白質を用いた類似のシステムがEP0907727に開示されている。酵母に基づいた分泌シグナル配列トラップは、ヒトDNA(Klein et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.米国 93:7108(1996);Jacobs et al.,Gene 198:289(1997))、マウスDNA(Gallicioti et al.,J.Membrane Biol.183:175(2001))、ゼブラフィッシュDNA(Crosier et al.,Dev.Dynamics 222:637(2001))、アラビドプシス(Arabidopsis)DNA(Goo et al.,Plant Mol.Biol.41:415(1999))、ジャガイモDNA(Surpili et al.,Anais de Academia Brasileira de Ciencias 74:599(2002))、およびカンジダアルビカンス(Candida albicans)DNA(Monteoliva et al.,Eukaryotic Cell 1:514(2002))から分泌される蛋白質を確認するために使用された。哺乳動物宿主細胞(Gallicioti et al.,J。 Membrane Biol。 183:175(2001))およびバクテリア宿主細胞(Ferguson et al.,Cancer Res.65:8209(2000))を用いた類似のトラップシステムが開発された。分泌シグナル配列トラップで使用されたレポーター蛋白質には、インベルターゼ(Klein et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.米国 93:7108(1996))、αアミラーゼ(米国特許第6,228,590号)、酸性ホスファターゼ(PHO5)(Surpili et al.,Anais de Academia Brasileira de Ciencias 74:599(2002))、およびβ−ラクタマーゼ(Ferguson et al.,Cancer Res.65:8209(2000))が含まれる。
【0005】
目的蛋白質の分泌に有用な翻訳融合パートナー(translational fusion partner:TFP)を確認するための方法は、WO2005/068658に開示されている。前記方法は、(i)核酸断片のライブラリおよびレポーター蛋白質をコードするヌクレオチド配列と共に融合した目的蛋白質をコードするヌクレオチド配列を含む様々なベクターで形質転換された、レポーター蛋白質が欠乏された多数の宿主細胞を収得する工程、および(ii)前記宿主細胞から、目的蛋白質の分泌を個別的に誘導する核酸断片を含むTFPライブラリを確認する工程を含む。
【0006】
酵母でめったに分泌されない蛋白質の分泌生産のための翻訳融合パートナー(TFP)技術は、WO2007/015178に記載されている。酵母ゲノムからのTFPスクリーニング過程で、YGR106C(Voa1p)遺伝子を発見した。Voa1p蛋白質の細胞における位置は、ER膜であることが最近確認された(Ryan et al.,Mol.Biol.Cell,Epub ahead of print,Sep 17,2008)。Voa1pは、液胞ATPaseに対する5個の組立因子のうちの1つとして提示された。
【0007】
当業界において、目的蛋白質の発現を増進させるさらなる配列、およびそのような配列を確認するための方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はセクレトーム(secretome)分析によって得られる分泌融合パートナー(SFP)を用いた、様々な組換え蛋白質の高分泌生産および効率的精製に関する。組換え蛋白質は、分泌融合パートナーと共に融合形態で細胞外に生産され、インビトロのプロテアーゼ処理によってSFPから分離され得る。本発明に記載されたSFPは、バイオ製薬およびバイオ産業において価値のある目的蛋白質およびポリペプチドの分泌レベルを有意に向上させる。SFPの選択/スクリーニングのための方法も記載されている。たとえ特定の蛋白質が分泌されるかどうかを決定したり、あるいはこれを予想できたとしても、分泌される蛋白質がSFPとして作用するかどうかを予想することは不可能である。本発明の選択/スクリーニング方法は、SFPとして作用する蛋白質、およびそのような蛋白質の断片および誘導体の選択を可能にする。本発明のスクリーニング/選択方法によって選択されたSFPは、バイオ−製薬およびバイオ−産業において有用な蛋白質の組換え生産を増進させる。また、本発明は、確認されたSFPおよびその断片および誘導体を含む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の目的は、下記工程(i)〜(v)を含む、分泌融合パートナー(SFP)を確認する方法を提供することである:
(i)分泌ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された異種プロモーターで、第1の宿主細胞を形質転換させる工程;
(ii)前記分泌ポリペプチドの天然のプロモーターが前記分泌ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドに連結された場合に、分析された前記ポリペプチドの分泌レベルと比較して、前記第1の宿主細胞から分泌されたポリペプチドが過分泌されるかどうかを決定する工程;
(iii)目的ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドおよび工程(ii)で過分泌されたものとして決定されたポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドを含むコンストラクトで第2の宿主細胞を形質転換させる工程であって、ここで、前記第1および第2のポリヌクレオチドは、互いに任意の順序であり、同じフレーム内にあるものであることを特徴とする、工程;
(iv)前記コンストラクトが前記目的ポリペプチドおよび前記過分泌されたポリペプチドの融合ポリペプチドを発現させる条件下で、前記第2の宿主細胞を培養する工程;そして
(v)前記融合ポリペプチドが培養培地に分泌されるかどうかを決定することによって、前記過分泌されたポリペプチドのSFPを確認する工程。
【0010】
また本発明の他の目的は、(i)前述したSFPまたはその断片または誘導体;および(ii)目的ポリペプチドを含む、単離された融合ポリペプチドを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、(i)配列番号1のアミノ酸176−213を含む親水性(HL)ドメイン、またはその断片または誘導体を含む、膜貫通ドメイン(TM)が欠如されたSFP;および(ii)目的ポリペプチドを含む、単離された融合ポリペプチドを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、(i)プロモーター;(ii)前述したSFPまたはその断片または誘導体をコードする第1のポリヌクレオチド;および(iii)目的ポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドを含む、コンストラクトを提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、前述したコンストラクトを含む宿主細胞を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、(i)SFPをコードするポリヌクレオチドおよび目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドで宿主細胞を形質転換させる工程;(ii)前記目的ポリペプチドに融合した前記SPFを含む融合ポリペプチドが宿主細胞から生成され、分泌される条件下で、前記宿主細胞を培養する工程;そして(iii)前記融合ポリペプチドを単離する工程を含む、目的ポリペプチドを組換え的に生成する方法を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、前述した方法によって組換え的に生産された目的ポリペプチドを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の前記および他の目的、特性および利点は、添付の図面と共に提示された下記の詳細な説明からより明確に理解されるだろう。
【図1】図1の(A)は、SFP1蛋白質の予測されたアミノ配列およびドメインを、(B)は、順次的に欠失されたSFP1遺伝子を発現させるベクターの模式図を、(C)は、相対的SFP1蛋白質の発現レベルのSDS−PAGE分析を示す。アセトン0.4mlで濃縮させたそれぞれの培養ブロス0.6mlの10%トリス−トリジンSDS−PAGE分析。レーン1:YGaT91ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン2:YGaT92ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン3:YGaT93ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン4:YGaT94ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン5:YGaT95ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン6:YGaT96ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン7:YGaT97ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン(Invitrogen))。
【図2】図2の(A)は、SFP1−IL2融合蛋白質を発現するベクターの模式図を、(B)は、SFP1−IL2融合蛋白質の発現レベルのSDS−PAGE分析を示す。アセトン0.4mlで濃縮させたそれぞれの培養ブロス0.6mlの10%トリス−トリジンSDS−PAGE分析。レーン1:YGaT92−IL2ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン2:YGaT93−IL2ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン3:YGaT94−IL2ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン)。
【図3】図3は、YGaT92−EXD4を含有する組換え酵母菌株の流加式(fed−batch)発酵に対するプロファイルおよび発酵時間に応じた培地に分泌された蛋白質分析のためのSDS−PAGEの結果を示す。
【図4】図4は、異なる濃度のエンテロキナーゼ(インビトロジェン、米国)で消化した精製SFP1−EXD4融合蛋白質のSDS−PAGE分析を示す。レーン1:精製SFP1−EXD4融合蛋白質;レーン2:エンテロキナーゼ0.1μlで1時間、37℃で消化した精製SFP1−EXD4融合蛋白質;レーン3:エンテロキナーゼ0.2μlで1時間、37℃で消化した精製SFP1−EXD4融合蛋白質;レーン4:エンテロキナーゼ0.3μlで1時間、37℃で消化した精製SFP1−EXD4融合蛋白質;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン)。
【図5】図5の(A)は、エンテロキナーゼ消化したSFP1−EXD4融合蛋白質のHPLC分析を、(B)は、HPLC分画のSDS−PAGE分析を示す。ゲル上の数は、HPLC分画数を示す。
【図6】図6は、精製EXD4蛋白質のMALDI−TOF分析である。
【図7】図7の(A)は、SFP1変異体−EXD4融合蛋白質を発現するベクターの模式図を、(B)は、SFP1変異体−EXD4融合蛋白質の発現レベルのSDS−PAGE分析を示す。アセトン0.4mlで濃縮されたそれぞれの培養ブロス0.6mlの10%トリス−トリジンSDS−PAGE分析。レーン1:YGaT92−EXD4ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン2:YGaT921−EXD4ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン3:YGaT922−EXD4ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーン4:YGaT923−EXD4ベクターで形質転換された2805菌株の培養ブロス;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン)。
【図8】図8は、YGaMKH−EXD4を含有する組換え酵母菌株の流加発酵の、提示された発酵時間におけるSDS−PAGE分析を示す。
【図9】図9は、YGaST6−EXD4−HLを含有する組換え酵母菌株の流加発酵に対するプロファイル、および培地に分泌された蛋白質分析に対する、発酵時間に応じたSDS−PAGEの結果を示す。
【図10】図10は、YGaMKH−EGFを含有する組換え酵母菌株の流加発酵に対するプロファイル、および培地に分泌された蛋白質分析に対する、発酵時間に応じたSDS−PAGEの結果を示す。
【図11】図11の(A)は、HL−EGF融合蛋白質のNi−NTA親和性クロマトグラフィーの結果を示す。添付された小さい図面は、提示された分画のSDS−PAGE分析である。(B)は、エンテロキナーゼで消化した後の、HL−EGF融合蛋白質のNi−NTA親和性クロマトグラフィーの結果を示す。添付された小さい図面は、提示された分画のSDS−PAGE分析である。
【図12】図12は、YGaMKH−PTHを含有する組換え酵母菌株の流加発酵に対するプロファイル、および培地に分泌された蛋白質分析に対する、発酵時間に応じたSDS−PAGEの結果を示す。
【図13】図13は、エンテロキナーゼ(インビトロジェン、米国)および組換え体Kex2p(JH Sohn,KRIBB)の分泌形態で消化した精製HL−PTH融合蛋白質のSDS−PAGE分析を示す。レーン1:精製HL−PTH融合蛋白質;レーン2:Kex2pで1時間、37℃で切断させた精製HL−PTH融合蛋白質;レーン3:エンテロキナーゼで1時間、37℃で切断させた精製HL−PTH融合蛋白質;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン)。
【図14】図14の(A)は、2805菌株の成長曲線を示し、矢印は、サンフリングポイントを示し、(B)は、蛍光染料ヘキスト(hochest)で染色した後、サンフリングした細胞の共焦点レーザースキャニング顕微鏡写真を示す。
【図15】図15は、M2サンプルの2Dゲル電気泳動の結果を示す。
【図16】図16は、1−DE/MudPIT(Multidimensional Protein Identification Technology)に対するSDS−PAGE分析を示す。
【図17】図17の(A)は、セクレトーム分析から選択された19個の遺伝子を発現するY2805形質転換体の培養上澄液のSDS−PAGE分析を示す。アセトン0.4mlで濃縮させたそれぞれの培養ブロス0.6mlの10%トリス−グリシン SDS−PAGE分析。レーン1:BGL2遺伝子を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン2:CIS3を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン3:CRH1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン4:CWP1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン5:DSE4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン7:EGT2を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン8:EXG1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン9:GAS1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン10:GAS3を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン11:GAS5を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン12:PST1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン13:SCW4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン15:SIM1を発現する2805菌株の培養ブロス;レーン16:TOS1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン17:UTH1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン18:YGP1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン19:YPS1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン20:ZPS1を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン)。(B)は、エンド−H処理後の培養上澄液のSDS−PAGE分析を示す。
【図18】図18は、EXD4遺伝子と融合した11個の遺伝子を発現するY2805形質転換体の培養上澄液のそれぞれのSDS−PAGE分析を示す。アセトン0.4mlで濃縮させたそれぞれの培養ブロス0.6mlの10%トリス−トリジンSDS−PAGE分析。レーン1:BGL2−EXD4遺伝子を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン2:GAS3−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン3:GAS5−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン4:PST1−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン5:SCW4−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン6:SCW10−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン7:SIM1−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン8:UTH1−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン9:YGP1−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン10:YPS1−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーン11:ZPS1−EXD4を過剰発現する2805菌株の培養ブロス;レーンM:予め染色された蛋白質のサイズマーカー(インビトロジェン)。
【図19】図19の(A)は、SCW4およびEXD4融合の欠失断片に対するカイト−ドゥーリットル疏水性(Kyte−Doolittle hydropathy)分析および模式図を、(B)は、徐々に欠失されたSCW4−EXD4融合断片を含有するそれぞれの形質転換体の培養上澄液のSDS−PAGE分析を示す。
【図20】図20は、YGa−SCW4−1−EXD4およびYGa−SCW4−3−EXD4をそれぞれ含有する組換え2805酵母菌株の流加発酵の間に培地に分泌された蛋白質を分析するためのSDS−PAGEの結果を示す。
【図21】図21は、エンテロキナーゼの処理前および後の分泌された融合蛋白質、SCW4−1−EXD4およびSCW4−3−EXD4を分析するためのSDS−PAGEの結果を示す。
【図22】図22は、(A)それぞれのベクターを含有する細胞の培養ブロス10マイクロリットルの、(B)エンテロキナーゼの処理前および後のサンプルの培地に分泌された、SCW4−hGHのSDS−PAGE結果を示す。
【図23】図23は、YGa−SCW4−2−hGHを含有する組換え酵母菌株の流加発酵の間に培地に分泌された蛋白質を分析するための、発酵時間に応じたSDS−PAGEの結果を示す。
【図24】図24は、IL−2発現ベクターpYGaT92−IL2の地図を示す。
【図25】図25は、エキセンディン(exendin)−4発現ベクターpYGaT923−EXD4の地図を示す。
【図26】図26は、エキセンディン−4発現ベクターpYGaMKH−EXD4の地図を示す。
【図27】図27は、エキセンディン−4発現ベクターpYGaST6−EXD−HLの地図を示す。
【図28】図28は、EGF発現ベクターpYGaMKH−EGFの地図を示す。
【図29】図29は、PTH発現ベクターpYGaMKH−PTHの地図を示す。
【図30】図30は、エキセンディン−4発現ベクターpYGaSCW4−1−EXD4の地図を示す。
【図31】図31は、エキセンディン−4発現ベクターpYGaSCW4−3−EXD4の地図を示す。
【図32】図32は、hGH発現ベクターpYGaSCW4−2−hGHの地図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明では、目的ポリペプチドの高いレベルの分泌や、目的ポリペプチドの高いレベルの分泌を達成するのに使用できるSFP確認のための、迅速且つ効率的なスクリーニング技術のために必要なことに対して苦心した。本発明は、任意の蛋白質の組換え発現を最適化するのに有用な一方、公知の発現系でその低いレベルの発現により大規模および/または低コストで生産され得ない蛋白質の生産を可能にするのに特に有用である。目的ポリペプチドを高レベルで分泌するための、最適化されたSFPが記載されている。
【0018】
定義
用語「1つの(a)」または「1つの(an)」独立体は、1つ以上のその独立体を表するものであって、例えば、「1つのベクター」は、1つ以上のベクターを示すものとして理解されなければならない。このように、用語「1つの」(または「1つ」)、「1つ以上の、」および「少なくとも1つの」は、本願において相互に交換可能に使用され得る。
【0019】
本明細書で使用されるとき、用語「ポリペプチド」は、単数の「ポリペプチド」だけでなく、多数の「ポリペプチド」を含もうとするものであり、アミド結合(ペプチド結合とも公知される)によって線型に連結されたモノマー(アミノ酸)などからなる分子を示す。用語「ポリペプチド」は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖または鎖などを示し、生産物の具体的な長さを示すのではない。従って、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「蛋白質」、「アミノ酸鎖」,または、2つ以上のアミノ酸の鎖または鎖などを示すために使用された任意の他の用語は、「ポリペプチド」の定義内に含まれ、用語「ポリペプチド」は、任意のこれらの用語の代りに、または、相互に交換可能に使用され得る。また、用語「ポリペプチド」は、これに制限されないが、公知の保護/ブロッキング基によるグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、誘導体化、蛋白質分解性の消化、または自然的に発生しないアミノ酸による変形を含むポリペプチドの発現後変形の生産物を示すとするものである。ポリペプチドは、天然の生物学的供給源に由来するかまたは組換え技術によって製造され得るが、指定された核酸配列から翻訳される必要性はない。これは、化学合成を含む任意の方式で生産され得る。
【0020】
「単離されたポリペプチド」またはその断片、変異体もしくは誘導体は、その自然環境に存在しないポリペプチドを意図する。特定レベルの精製が要求されない。例えば、単離されたポリペプチドは、その天然状態または自然環境から除去され得る。組換え的に製造されたポリペプチドおよび宿主細胞内で発現した蛋白質は、本発明の目的のために単離されたものとして考慮されるが、これは、天然状態または任意の適合な技術によって分離、分画、または部分的にまたはかなり精製された組換えポリペプチドである。
【0021】
また、本発明のポリペプチドに含まれるのは、前記ポリペプチドの断片、誘導体、類似体、または変異体、およびこれらの任意の組合わせである。本発明のポリペプチドを指して呼ぶ場合、用語「断片」、「変異体」、「誘導体」および「類似体」は、対応する天然のポリペプチドの生物学的、抗原的、または免疫的特性の少なくとも幾つかを保有するポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドの断片は、蛋白質分解された断片だけでなく、欠失断片、また、本願で議論された他の特異的断片を含む。本発明のポリペプチドの変異体は、前記に記載された断片、およびアミノ酸置換、欠失、または挿入によって変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドも含む。変異体は、自然的に発生することもあるし、あるいは自然的に発生しないことがある。自然的に発生しない変異体は、当業者に知られている突然変異誘発技術を用いて製造され得る。変異体ポリペプチドは、保存的または非保存的アミノ酸置換、欠失または付加を含むことができる。本発明のポリペプチドの誘導体は、天然ポリペプチド上で発見されないさらなる特徴を示すようにするために変更されたポリペプチドを含む。また本明細書において変異体ポリペプチドは、「ポリペプチド類似体」と呼ぶことができる。本明細書中で使用されるとき、ポリペプチドの「誘導体」は、機能性側基の反応によって化学的に誘導された1つ以上の残基を有する対象ポリペプチドを示す。また「誘導体」として含まれるのは、20個の標準アミノ酸のうち、1つ以上の自然的に発生するアミノ酸誘導体を含有するペプチドである。例えば、4−ヒドロキシプロリンは、プロリンに置換でき、5−ヒドロキシリジンは、リジンに置換されることができ、3−メチルヒスチジンは、ヒスチジンに置換でき、ホモセリンは、セリンに置換でき、オルニチンは、リジンに置換され得る。
【0022】
「参照アミノ酸配列」は、任意のアミノ酸置換を導入することなく、特定された配列を意味する。当業者に通用されるように、置換がない場合、本発明の「単離されたポリペプチド」は、参照アミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0023】
本願に記載されたポリペプチドは、様々な変更、例えば、置換、挿入または欠失を有することができる。ポリペプチドで置換され得る例示的アミノ酸は、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐型側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。
【0024】
本願に記載されたポリペプチドおよび参考ポリペプチドと、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチドの対応する断片もまた考慮される。
【0025】
配列同一性は、比較対象になる部位が最適に整列された2つの配列を比較し、2つの配列のいずれにも現れる同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドの位置の数を決定してマッチする位置の数を得、マッチする位置の数を比較対象部位の総位置の数で分り(すなわち、ウィンドウサイズ)、結果を100で乗じて、配列同一性の百分率を求めることによって計算することができる。1つの態様として、整列を極大化するために100個のアミノ酸またはヌクレオチドの長さから4個のギャップが導入され得る場合、同一性%は、比較する配列で同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドを整列した2つの配列より小さい配列でのアミノ酸残基またはヌクレオチドの百分率で計算される(Dayhoff,in Atlas of Protein Sequence and Structure,Vol.5,p.124,National Biochemical Research Foundation,Washington,D.C.(1972),本明細書中に参考として含まれる)。同一性の決定は、当業者に知られているコンピュータ相同性のプログラムによって典型的に行われる。例示的なプログラムは、スミス(Smith)およびウォーターマン(Waterman)のアルゴリズム(Adv.Appl.Math.,1981,2:482−489,その全文が本明細書中に参考として含まれる)を用いる、デフォルトセッティングを用いたギャッププログラムである(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for UNIX,Genetics Computer Group,University Research Park,Madison,WI)。
【0026】
好ましくは、任意の置換は、保存的アミノ酸置換である。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似する側鎖を有するアミノ酸残基に代替されたものである。類似する側鎖を有するアミノ酸残基の群は、当業界で定義されている。これらの群には、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分岐型側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および方向性側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。
【0027】
一実施態様において、本発明は、(i)分泌ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された異種プロモーターで、第1の宿主細胞を形質転換させる工程;(ii)前記ポリペプチドの天然のプロモーターが前記分泌ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドに連結された場合に、前記ポリペプチドの分泌レベルと比較して、前記第1の宿主細胞から前記分泌ポリペプチドが過分泌されるかどうかを決定する工程;(iii)目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび工程(ii)で過分泌されたものとして決定されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドコンストラクトで第2の宿主細胞を形質転換させる工程であって、ここで、前記目的ポリペプチドおよび前記過分泌されたポリペプチドが任意の順序で融合することを特徴とする、工程;(iv)前記ポリヌクレオチドコンストラクトが融合ポリペプチドを発現する条件下で、前記第2の宿主細胞を培養する工程;および(v)前記融合ポリペプチドが細胞外培養培地へ分泌されるかどうかを決定し;これで前記過分泌されたポリペプチドが分泌融合パートナーであるかを確認する工程を含む、分泌融合パートナー(SFP)を確認する方法に関する。
【0028】
本発明の方法において、SFPは、「セクレトーム」または「総分泌されたポリペプチド」から確認され得る。セクレトームは、細胞外の培養培地へ分泌され、それから収集したポリペプチドを含む。セクレトームは、バクテリア、菌類(例えば、酵母)、植物、および動物(例えば、哺乳動物)を含む任意の真核または、原核生物のDNAによってコードされる。適したバクテリアには、これに制限されないが、エシェリキア(Escherichia)およびバチルス(Bacillus)種が含まれる。適した酵母としては、カンジダ(Candida)、テバリオミセス(Debaryomyces)、ハンゼヌラ(Hansenula),クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia),シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シュワンニオマイセス(Schwanniomyces)、およびアルクスラ(Arxula)種が挙げられるが、これらに制限されない。
【0029】
具体的な種の例としては、カンジダ・ユチリス(Candida utilis)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・スチピチス(Pichia stipitis)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、シュワンニオマイセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis),およびアルクスラ・アデニニボランス(Arxula adeninivorans)が挙げられる。DNA供給源として提供され得るその他の菌類としては、アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penicillium)、リゾプス(Rhizopus)、およびトリコデルマ(Trichoderma)種が挙げられるが、これらに制限されない。DNA供給源として提供され得る植物としては、アラビドプシス、トウモロコシ、タバコ、およびジャガイモが挙げられるが、これらに制限されない。適した動物としては、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、犬、猫、および猿が挙げられるが、これらに制限されない。一実施態様において、セクレトームは、酵母、バクテリア、植物または動物に由来しうる。
【0030】
高分泌されたポリペプチドを選択するためのセクレトーム分析は、当業界で入手可能な技術を用いて達成され得る。例えば、培養上澄液を濃縮することによって単離された全てのポリペプチドは、2−Dゲル電気泳動および/または多次元蛋白質同定技術(Multidimensional Protein Identification Technology:1−DE/MudPIT)を用いて分析され得る。セクレトームからのポリペプチドは、任意の種類の蛋白質精製カラム、例えば、イオン交換カラム、疎水性相互作用カラム、ゲルろ過カラム、親和性カラム、および逆相カラムによって分析され得る。
【0031】
一実施態様において、正常酵母細胞成長の間に生産された酵母総分泌されたポリペプチド(酵母セクレトーム)を分析した。正常細胞成長は、最小培地(例えば、アミノ酸無しの0.67%酵母窒素ベース、0.5%カザミノ酸(casamino acid)、2%グルコースおよび0.002%ウラシル)で培養される細胞を意味する。グルコースの代わりに異なる炭素源、例えば、ガラクトース、キシロース、フルクトース、マンノース、スクロース、ラフィノース、およびセロビオースを含めうる、変更された条件が利用され得る。変更された条件はまた、培地の任意の成分、例えば、窒素またはリン酸塩のレベルを制限することを含む。
【0032】
用語「高分泌された」は、セクレトームから分泌されたポリペプチドのレベルが上位40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%以上であるポリペプチドを示す。高分泌されたポリペプチドは、分泌された蛋白質の数に比例できる蛋白質数度指数(protein abundance index:PAI)により決定され得る(文献[Rappsilber et al.,Genome Res.12:1231−45(2002)])。高分泌された蛋白質の例は、表1に示されている。
【0033】
用語「過分泌された」は、ポリペプチドの天然プロモーターから発現される場合、ポリペプチドの分泌レベルより少なくとも5X、6X、7X、8X、9Xまたは、10Xのレベルで宿主細胞からポリペプチドが分泌されることとして定義される。高分泌はまた、野生型の蛋白質分泌レベルと比較して、高分泌されるポリペプチドの分泌レベルを比較することによって分析することができる。例えば、野生型の酵母で分泌された蛋白質は、正常細胞成長の間に分泌レベルが約20mg/Lを超過しないが、強力な異種プロモーターと連結された場合、これらの蛋白質のうち一部は高分泌され、分泌レベルが20mg/Lを超過する。
【0034】
一実施態様において、本発明の方法は、融合ポリペプチドの分泌のためのSFPの最適なサイズを決定することをさらに含む。SFPの最適なサイズは、前記SFPの欠失分析によって決定されることができ、ここでSFPの異なる欠失コンストラクトをそれぞれ含有する融合ポリペプチドの分泌レベルを比較する。幾つかのSFPは、初期に同定されたSFPで得た発現より、融合ポリペプチドのはるかに高い発現を可能にする最適なサイズを持ちうる。SFPの最適なサイズは、次善のSFPに融合した場合の目的ポリペプチドの分泌レベルに比べて目的ポリペプチドの増加された分泌レベルを可能にすることができる。SFPの最適なサイズは、目的ポリペプチドとの間で多様であり、SFPが先ず確認されると、本願に開示された方法または当業者に知られている方法を用いて決定され得る。
【0035】
一実施態様において、親水性配列で終わるSFP欠失断片が選択される。蛋白質の親水性ドメインは、一般的に蛋白質の表面近傍に位置する。従って、SFPおよび目的ポリペプチドの接合部は、2つのポリペプチドの間で容易に露出されることができ、これは、プロテアーゼが前記接合部を消化することをより容易にして目的ポリペプチドをインビトロへ放出するようにする。
【0036】
SFPに適用されるとき、用語「その断片」は、SFPのアミノ酸配列の任意の部分を含むポリペプチドを示し、ここで断片は、融合した目的ポリペプチドの分泌を誘導できる能力を実質的に保有する。
【0037】
本明細書中で使用されるとき、用語「融合した目的ポリペプチドの分泌を誘導できる能力を実質的に保有する」ということは、融合した目的ポリペプチドの分泌を誘導する親SFPの能力の少なくとも50%を保有するSFPの断片または誘導体のことをいう。特定の実施態様において、融合した目的ポリペプチドの分泌を誘導する能力が60、65、70、75、80、85、90、または95%以上保有される。目的ポリペプチドの分泌を誘導する能力は、当業者によく知られているルーチン技術および前記に記載された技術によって決定され得る。
【0038】
SFPに適用されるとき、用語「その誘導体」は、SFPのアミノ酸配列と70%以上同一のアミノ酸配列からなるポリペプチドを示し、ここで、ポリペプチドは、融合した目的ポリペプチドの分泌を誘導する能力を実質的に保有する。特定の実施態様において、誘導体は、SFPのアミノ酸配列と75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上同一のアミノ酸配列を含む。誘導体は、SFPのアミノ酸配列に付加、欠失、置換、またはその組合わせを含むことができる。誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11−15、16−20、21−25、26−30個の付加、置換、または欠失を有する突然変異ポリペプチドを含むことができる。付加または置換はまた、自然的に発生しないアミノ酸の使用を含む。
【0039】
SFPの誘導体の例としてはこれに制限されないが、SFP内で確認された、欠失突然変異(例えば、単一方向性欠失)、機能性配列の付加(例えば、グリコシル化部位、制限酵素部位)、およびプロ−配列またはプレ−配列の欠失または付加(例えば、スワッピング)が含まれる。当業者は、ルーチンの突然変異誘発技術、例えば前述した参照文献に記載された技術を用いて、SFPの誘導体またはSFPをコードする核酸を用意し、融合した目的ポリペプチドの分泌を誘導する能力を実質的に保有する誘導体を確認することができる。
【0040】
一実施態様において、SFPまたはその誘導体または断片は、本発明の方法によって確認される。他の実施態様において、SFPをコードするヌクレオチド配列は、BGL2(配列番号62)、GAS3(配列番号63)、GAS5(配列番号64)、PST1(配列番号65)、SCW4(配列番号66)、SCW10(配列番号67)、SIM1(配列番号68)、UTH1(配列番号69)、YGP1(配列番号70)、YPS1(配列番号71)、およびZPS1(配列番号72)から選択される。また他の実施態様において、SFPは、BGL2(配列番号80)、GAS3(配列番号81)、GAS5(配列番号82)、PST1(配列番号83)、SCW4(配列番号84)、SCW10(配列番号85)、SIM1(配列番号86)、UTH1(配列番号87)、YGP1(配列番号88)、YPS1(配列番号89)、およびZPS1(配列番号90)から選択される。
【0041】
本発明の方法は、高いレベルの組換え発現に対する要求が存在する「目的ポリペプチド」またはその誘導体をもって利用され得る。目的ポリペプチドに適用されるとき、用語「その誘導体」は、目的ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列であるポリペプチドのことをいい、ここでポリペプチドは、その生物学的活性を実質的に保有する。特定の実施態様において、誘導体は、目的ポリペプチドのアミノ酸配列と75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上同一のアミノ酸配列を含む。誘導体は、目的ポリペプチドのアミノ酸配列に付加、欠失、置換、またはその組合わせを含むことができる。誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11−15、16−20、21−25、26−30個の付加、置換、または欠失を有する変異体ポリペプチドを含むことができる。付加または置換は、また、自然的に発生しないアミノ酸の使用を含む。
【0042】
目的蛋白質またはポリペプチドの誘導体の例としては、これに制限されないが、目的ポリペプチド内で確認された、欠失突然変異(例えば、単一方向性欠失)、機能性配列の付加(例えば、グリコシル化部位、制限酵素部位)、およびプロ−配列またはプレ−配列の欠失または付加(例えば、スワッピング)が含まれる。当業者は、ルーチンの突然変異誘発技術、例えば、前述した参照文献に記載された技術を用いて目的ポリペプチドの誘導体または目的ポリペプチドをコードする核酸を用意することができ、目的ポリペプチドの生物学的活性を実質的に保有する誘導体を確認することができる。
【0043】
目的ポリペプチドがSFPに融合する場合、目的ポリペプチドおよびSFPは、同様の自然発生する蛋白質のポリペプチドではない。目的ポリペプチドは、学術目的のために研究されるものであるとか、または商業的な目的、例えば、治療または産業的用途のために製造されるものであり得る。目的ポリペプチドは任意の植物、動物または微生物から得ることができ、自然発生したり、核酸によってコードできる限り変形され得る。一実施態様において、目的ポリペプチドは、ヒト蛋白質である。また他の実施態様において、目的ポリペプチドは、サイトカイン、血清蛋白質、コロニー刺激因子、成長因子、ホルモン、または酵素である。
【0044】
例えば、目的ポリペプチドは、インターロイキン、凝集因子、インターフェロン−α、インターフェロン−βまたはインターフェロン−γ、顆粒球−コロニー刺激因子、顆粒球大食細胞−コロニー刺激因子、組織成長因子、上皮成長因子、TGFα、TGFβ、表皮成長因子、血小板−由来成長因子、線維芽細胞成長因子、濾胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、抗利尿ホルモン、色素分泌ホルモン、副甲状腺ホルモン、黄体形成ホルモン−放出ホルモン、炭水化物−特異的酵素、蛋白質分解性酵素、リパーゼ、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、リアーゼ、異性化酵素、リガーゼ、免疫グロブリン、サイトカイン受容体、ラクトフェリン、ホスホリパーゼA2−活性化蛋白質、インスリン、腫瘍壊死因子、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチト、エンケファリン、ソマトメジン、エリスロポエチン、視床下部放出因子、プロラクチン、絨毛膜性生殖腺刺激ホルモン、組織プラスミノゲン活性因子、成長ホルモン放出ペプチド、胸腺体液性因子、抗癌ペプチド、または抗生剤ペプチドから選択され得る。具体的な例としては、ヒトインターロイキン2(hIL−2)、エキセンディン−3、エキセンディン−4(EXD4)、グルカゴン−類似−ペプチド−1(GLP−1)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒトインターロイキン−1β、ヒトインターロイキン−6、ヒトインターロイキン−32α、ヒトインターロイキン−32βまたはヒトインターロイキン−32γ、因子VII、因子VIII、因子IX、ヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン−α、ヒトインターフェロン−βまたはヒトインターフェロン−γ、ヒト顆粒球−コロニー刺激因子、ヒト顆粒球大食細胞−コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト血小板−由来成長因子、ヒト塩基性線維芽細胞成長因子、ヒト表皮成長因子(EGF)、ヒトインスリン−類似成長因子、ヒト神経成長因子、ヒト形質転換成長因子β−1、ヒト濾胞刺激ホルモン、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、グルクロニダーゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、過酸化物ジスムターゼ、エンドトキシナーゼ、カタラーゼ、キモトリプシン、ウリカーゼ、アデノシンジホスファターゼ、チロシナーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ウシガラクトース−1−ポスフェートウリジリルトランスフェラーゼ、クラゲ緑色蛍光蛋白質、カンジダアンタクチカ(Candida antarctica)リパーゼB、カンジダルゴサ(Candida rugosa)リパーゼ、菌類クロロペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、レゾルバーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、トレハロースシンターゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、ヒトラクトフェリン、ヒトエリスロポエチン、ヒトパラオキソナーゼ、ヒト成長分化因子15、ヒトガレクチン3結合蛋白質、ヒトセリンプロテアーゼ抑制剤、クニッツ類型(Kunitz type)2、ヒトヤヌス(Janus)キナーゼ2、ヒトfms−類似チロシンキナーゼ3リガンド、ヒトYM1&2、ヒトCEMI、ヒトジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、ヒトレプチン、ヒトmL259、ヒトプロテイナーゼ3、ヒトリゾチーム、ヒトデッドボックス(DEAD box)蛋白質41、ヒトエトポシド導入蛋白質24(human etoposide induced protein 24)、マウスカスパーゼ1、ウシアンギオジェニン、およびミミズルンブロキナーゼが挙げられが、これらに制限されない。
【0045】
一実施態様において、目的ポリペプチドは、ルーチンの組換え生産方法を用いて製造し難いポリペプチド、すなわち、全く生産されなかったり、または低いレベルでしか生産されないポリペプチドである。また他の実施態様において、目的ポリペプチドは、公知の発現系を用いて容易に生産されるが、より高いレベルの発現を達成しようとする望みがあるポリペプチドである。
【0046】
一実施態様において、本発明の融合ポリペプチドは、任意の順序で目的ポリペプチドに融合した分泌ポリペプチドを含む、ポリペプチドを示す。また他の実施態様において、本発明は、目的ポリペプチドに融合した本発明のSFPを含む単離された融合ポリペプチドに関する。
【0047】
本明細書で使用されるとき、用語「融合した」は、組換え的に製造された融合ポリペプチドを示す。一実施態様において、融合ポリペプチドは、目的ポリペプチドに融合した分泌ポリペプチドを含み、ここで、分泌ポリペプチドおよび目的ポリペプチドは、任意の順序で融合する。また他の実施態様において、SFPは、目的ポリペプチドのN−末端またはC−末端で融合する。SFPおよび目的ポリペプチドは、介入するアミノ酸、例えば、リンカーDNAによってコードされたアミノ酸と共に、あるいはそれ無しで、融合することができる。特定の実施態様において、SFPと目的ポリペプチドとの間の距離は、0〜10;0〜20;0〜30;0〜40;またはそれ以上のアミノ酸であり得る。特定の実施態様において、融合ポリペプチドは、プロテアーゼ認識配列および/または親和性タグを含む。
【0048】
一実施態様において、単離された融合ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸の176−213を含む親水性(HL)ドメインを含むSFPまたはその誘導体、および目的ポリペプチドを含む。一実施態様において、変形されたHLドメインは、配列番号45によってコードされる。
【0049】
本発明は、さらに本発明のSFPを使用して目的ポリペプチドを組換え的に生産する方法に関する。一実施態様において、前記方法は、SFPまたはその誘導体または断片をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された目的ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むコンストラクトを用意する工程、宿主細胞を前記コンストラクトで形質転換させる工程、融合ポリペプチドが生産され、宿主細胞から分泌される条件下で宿主細胞を培養する工程、そして前記目的ポリペプチドから前記SFPを分離する工程を含む。
【0050】
目的ポリペプチドは、当業者に知られている任意の発現系を用いて組換え的に生産され得る。好ましくは、目的ポリペプチドは、例えば、バクテリア、酵母、または哺乳動物細胞培養物で組換え的に発現される。組換え発現は、目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを用意する工程、ベクターを宿主細胞へ輸送する工程、目的ポリペプチドが発現される条件下で宿主細胞を培養する工程、目的ポリペプチドを分離する工程、を含むことができる。組換えベクターを用意し、これを使用して宿主細胞を形質転換させ、宿主細胞でベクターを複製し、生物学的に活性である外部ポリペプチドおよび蛋白質を発現させるための方法および物質は、本明細書中で議論されており、そして文献[Sambrook et al.,Molecular Cloning,3rd edition,Cold Spring Harbor Laboratory,2001]および[Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York 3rd edition,(2000)]に記載されており、これらは、それぞれ参考として本明細書中に組み込まれる。
【0051】
目的ポリペプチドは、宿主細胞が成長した培地から、当業者に知られている精製方法、例えば、培地からの沈殿法、またはイムノアフィニティークロマトグラフィー、レセプターアフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、レクチンアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除ろ過、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、逆相HPLCなどを含む従来型のクロマトグラフィー方法によって単離され得る。また他の精製方法は、所望のポリペプチドが発現され、特異的結合パートナーまたは作用剤によって認識される特異的親和性ペプチド、タグ、ラベル、またはキレート残基を有する融合ポリペプチドとして精製される方法を含む。精製されたポリペプチドは切断されて、所望のポリペプチドを得ることができるし、または無傷の融合ポリペプチドとして残ることもできる。親和性タグ成分の切断は、切断過程の結果としてさらなるアミノ酸残基を有する所望のポリペプチドの形態を生成することができる。一実施態様において、親和性タグは、GST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、S−タグ、またはその任意の組合わせである。
【0052】
本発明の目的ポリペプチドは、分泌融合パートナーとの融合形態で細胞外生産されることができ、インビトロプロテアーゼ処理によってSFPから分離され得る。単離手法が行われた後に単離された目的ポリペプチドが生物学的に活性でない場合には、「リフォールディング(refolding)」またはポリペプチドのその3次構造への転換およびジスルフィド結合の生成のための様々な方法が生物学的活性を回復させるために使用され得る。当業者に知られている方法は、可溶化されたポリペプチドのpHを通常pH7より上に調整したり、特定濃度のカオトロープ(chaotrope)の存在下に置くことを含む。カオトロープの選択は、封入体(inclusion body)可溶化のために利用された選択肢と非常に類似するが、一般的により低い濃度で行われ、必須的に可溶化のために使用されたような同一のカオトロープである必要はない。蛋白質のシステインブリッジ(など)を形成させるジスルフィドシャッフリングを起こす特定酸化還元電位を生成するために、還元剤または還元剤に特定の割合でその酸化された形態を加えたものを使用することが要求され得る。いくつかのルーチンに使用される酸化還元カップルとしては、システイン/シスタミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGSH、塩化第二銅、ジチオスレイトール(DTT)/ジチアンDTT、2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−b(ME)が挙げられる。リフォールディングの効率を増加させるために、グリセロール、様々な分子量のポリエチレングリコール、およびアルギニンのような共溶媒を使用することが必要になることがある。
【0053】
用語「ポリヌクレオチド」は、単一の核酸だけでなく、複数の核酸も含むものを意図し、単離された核酸分子またはコンストラクト、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、ウイルス由来RNA、またはプラスミドDNA(pDNA)のことをいう。ポリヌクレオチドは、従来型のリン酸ジエステル結合または従来型でない結合(例えば、アミド結合、例えば、ペプチド核酸(PNA)で発見される)を含むことができる。用語「核酸」は、ポリヌクレオチドに存在する任意の1つ以上の核酸切片、例えば、DNAまたはRNA断片を示す。「単離された」核酸またはポリヌクレオチドは、その自然環境状態から除去された核酸分子、DNAまたはRNAを意図する。例えば、ベクターに含有された治療的ポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドは、本発明の目的のために単離されることが考慮される。単離されたポリヌクレオチドのさらなる例としては、異種宿主細胞に残っている組換えポリヌクレオチドまたは溶液中の(部分的にまたは相当に)精製されたポリヌクレオチドが挙げられる。単離されたRNA分子は、本発明のインビボまたはインビトロRNA転写体だけでなく、本願に開示されたペスチウイルスベクターの陽性および陰性鎖形態、および二重鎖形態を含む。
【0054】
本発明による単離されたポリヌクレオチドまたは核酸は、合成的に生成されたこのような分子をさらに含む。また、ポリヌクレオチドまたは核酸は、調節要素、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、または転写ターミネーターであることもあったり、またはこれらを含むことができる。
【0055】
本明細書中で使用されるような「コード領域」は、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸の一部である。たとえ「停止コドン」(TAG、TGA、またはTAA)がアミノ酸に翻訳されなくても、それはコード領域の一部で考慮されるかもしれないが、存在する場合、任意の側面配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、5’および3’非−翻訳領域などは、コード領域の一部ではない。本発明の2つ以上のコード領域は、単一ポリヌクレオチドコンストラクトに、例えば、単一ベクター上に、または分離ポリヌクレオチドコンストラクトに、例えば、分離(異なる)ベクター上に存在することができる。また、任意のベクターは、単一コード領域を含有することができたり、または、2つ以上のコード領域を含むことができ、例えば、本発明のベクターは、蛋白質分解性の切断を介して最終ポリペプチドに翻訳後、または翻訳と同時に分離される1つ以上のポリペプチドをコードすることができる。さらに、本発明のベクター、ポリヌクレオチド、または核酸は、本発明のポリペプチドをコードする第1または第2の核酸、またはその変異体または誘導体に融合したりまたは融合しなかった異種コード領域をコードすることができる。異種コード領域は、制限なく、細分化された要素またはモチーフ、例えば、分泌シグナルペプチドまたは異種機能性ドメインを含む。
【0056】
特定の実施態様において、ポリヌクレオチドまたは核酸は、DNAである。DNAの場合、正常的にポリペプチドをコードする核酸を含むポリヌクレオチドは、通常1つ以上のコード領域と作動可能に連結されたプロモーターおよび/または、他の転写または翻訳制御要素を含むことができる。作動可能な連結とは、遺伝子生成物、例えば、ポリペプチドに対するコード領域が1つ以上の調節配列に連結され、そのような方式で調節配列(など)の影響または制御下で遺伝子生成物の発現が起こるようにする場合のことである。2つのDNA断片(例えば、ポリペプチドコード領域およびそれに連結されたプロモーター)は、プロモーター機能の導入が所望の遺伝子生成物をコードするmRNAの転写を招く場合、そして2つのDNA断片間の連結特性が遺伝子生成物の発現を指示するための発現調節配列の能力に干渉しない、または転写されたDNA鋳型の能力に干渉しない場合に、「作動可能に連結」されたものである。従って、プロモーターがその核酸の転写に作用できる場合、プロモーター領域は、ポリペプチドをコードする核酸と作動可能に連結されたものである。プロモーターは、予め決定された細胞のみでDNAの実質的な転写を指示する細胞−特異的プロモーターであり得る。プロモーターの他に他の転写制御要素、例えば、エンハンサー、オペレーター、リプレッサー、および転写終結シグナルがポリヌクレオチドと作動可能に連結されて細胞−特異的転写を指示することができる。適切なプロモーターおよび他の転写制御領域は、本明細書中に開示されている。
【0057】
様々な転写制御領域が当業者に公知である。これらとしては、脊椎動物細胞で作用する転写制御領域、例えば、これに制限されないが、サイトメガロウイルス(例えば、即時初期(immediate early)プロモーター、イントロン−Aと共に)、類人猿ウイルス40(例えば、初期プロモーター)、およびレトロウイルス(例えば、ラウス肉腫ウイルス)からのプロモーターおよびエンハンサー切片が挙げられるが、これらに制限されない。他の転写制御領域としては、脊椎動物遺伝子から由来したもの、例えば、アクチン、熱衝撃蛋白質、ウシ成長ホルモンおよびウサギβ−グロビンだけでなく、真核細胞で遺伝子発現を制御できる他の配列が挙げられる。さらなる適切な転写制御領域としては、組織−特異的プロモーターおよびエンハンサーだけでなく、リンフォカイン−誘導性プロモーター(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンにより誘導可能なプロモーター)が挙げられる。
【0058】
同様に、様々な翻訳制御要素が当業者に公知である。これらとしては、リボソーム結合部位、翻訳開始および終結コドン、およびウイルス系から由来した要素(特に内部リボソームエントリー部位、またはIRES、CITE配列にも称する)が挙げられるが、これらに制限されない。
【0059】
本発明のポリヌクレオチドは、RNA、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)の形態を含むことができる。本発明のRNAは、単鎖または二重鎖であり得る。
【0060】
本発明のポリヌクレオチドおよび核酸コード領域は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの分泌を指示する、分泌またはシグナルペプチドをコードするさらなるコード領域と連結され得る。シグナル仮説によれば、成長する蛋白質鎖が粗面小胞体を経て出現しはじめたとたんに、哺乳動物細胞によって分泌された蛋白質は、成熟蛋白質から切断されたシグナルペプチドまたは分泌リーダー配列を持つ。当業者は、脊椎動物細胞によって分泌されたポリペプチドがポリペプチドのN−末端に融合したシグナルペプチドを一般的に持っており、これは、ポリペプチドの分泌または「成熟」型を生産するために、完全なまたは「全長」ポリペプチドから切断されるということを認知するだろう。特定の実施態様において、天然シグナルペプチド、例えば、免疫グロブリン重鎖または軽鎖シグナルペプチド、またはそれに作動可能に連結されたポリペプチドの分泌を指示する能力を保有するその配列の機能性誘導体が使用される。別の法としては、異種哺乳動物シグナルペプチド、またはその機能性誘導体が使用され得る。例えば、野生型リーダー配列は、ヒト組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)またはマウスβ−グルクロニダーゼのリーダー配列で置換され得る。
【0061】
用語「コンストラクト」は、自然的に発生しない核酸分子を示す。コンストラクトは、融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。一実施態様において、コンストラクトは、SFPまたは候補SFPおよび目的ポリペプチドを含む融合ポリペプチドをコードする。コンストラクトは、円型または線型のベクターをさらに含むことができ、例えば、相同組換えによって他のポリヌクレオチドと組合わせることができる。
【0062】
本明細書中で使用されるとき、用語「ベクター」は、それが連結されたまた他の核酸を輸送できる核酸分子を示す。ベクターの1つの類型は、「プラスミド」であり、これは、さらなるDNA切片がライゲーションされ得る円型の二重鎖DNAループを示す。他の類型のベクターは、ウイルスベクターであり、ここで、さらなるDNA切片は、ウイルスゲノムでライゲーションされ得る。特定ベクターは、これらが導入された宿主細胞で自律的複製が可能である(例えば、バクテリア複製起点を持つバクテリアベクターおよびエピゾーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非−エピゾーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞へ導入されて宿主細胞のゲノムに統合されることによって、宿主ゲノムと共に複製される。本発明のベクターは、作動的に連結された目的ポリペプチドをコードする遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書中「発現ベクター」と称する。一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。本願において、「プラスミド」および「ベクター」は、相互交換的に使用されるが、プラスミドは、ベクターの最も通常的に使用される形態であるためである。しかし、本発明は、同等の機能をするそのような他の形態の発現ベクター、例えば、ウイルス(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ−関連ウイルス)ベクターを含む。
【0063】
ベクターDNAは、従来の形質転換または形質感染技術を介して原核または真核細胞に導入され得る。本明細書で使用されるとき、用語「形質転換」および「形質感染」は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿法、DEAE−デキストラン−媒介性形質感染、リポフェクション、または電気穿孔法を含む外部核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための、様々な当業者に認知された技術を示す。宿主細胞を形質転換させたりまたは形質感染させるための適切な方法は、文献[Sambrook,et al.MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989]、および他の実験マニュアルで探してみることができる。
【0064】
利用された発現ベクターおよび形質感染技術に応じて変わるが、哺乳動物細胞の安定した形質感染のために、細胞の小さい分画だけが外部DNAをそのゲノムに統合させ得るということが公知されている。これらの統合体を確認および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生剤耐性)をコードする遺伝子が関心のある遺伝子と共に宿主細胞へ一般的に導入される。様々な選択可能なマーカーは、薬物に耐性を付与するものなど、例えば、G418、ハイグロマイシン およびメトトレキサートを含む。選択可能なマーカーをコードする核酸は、目的ポリペプチドをコードするものと同一のベクター上で宿主細胞に導入されることができたり、または分離ベクター上で導入され得る。導入された核酸で安定に形質感染された細胞は、薬物選択、栄養要求性マーカー選択、培地組成、炭素源選択、または当業者に知られている他の方法(例えば、他の細胞は死ぬ一方、選択可能なマーカー遺伝子を統合した細胞は生存すること)により確認され得る。
【0065】
一実施態様において、本発明の方法で使用されたポリペプチドまたはその断片または誘導体をコードするヌクレオチド配列は、5’末端および3’末端で本発明の線型ベクターにてインビボ相同組換えのために使用されるDNAをさらに含むことができる。5’末端および3’末端DNAは、十分な相同的配列を提供し、これらが宿主細胞に共形質転換される場合、ポリペプチドまたはその断片または誘導体をコードするヌクレオチド配列および線型ベクターの間にインビボ組換えができるようにする。一実施態様において、5’末端および3’末端DNAのそれぞれは、線型ベクターの配列と重なる20個以上の塩基対、例えば、30または40個以上の塩基対を含む。5’および3’DNAの付加は、通常的組換えDNA技術、例えば、PCRおよび/または制限酵素切断およびライゲーションを用いて行うことができる。
【0066】
本発明のポリヌクレオチドは、親和性タグ、例えば、GST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、またはS−タグをさらにコードすることができる。親和性タグは、リンカーDNAによってコードされ得るとか、または本発明のポリヌクレオチドのまた他の部分、例えば、融合蛋白質をコードする領域の5’または3’部分によってコードされ得る。
【0067】
本発明のポリヌクレオチドは、リンカーDNAをさらに含むことができる。一実施態様において、リンカーDNAは、リンカーペプチドをコードする。
【0068】
本発明のリンカーDNAは、十分な長さであることもあり、線型ベクターのヌクレオチド配列の一部に対して十分な配列同一性を持ち、これらが宿主細胞に共形質転換される場合、ポリペプチド−コードヌクレオチド配列および線型ベクターの間にインビボ組換えを可能にする。一実施態様において、リンカーDNAは、20個以上の塩基対の長さ、例えば、30または40個以上の塩基対の長さである。さらなる実施態様において、リンカーDNAは、線型ベクター上で対応する配列と80%以上、例えば、85%、90%、95%、または99%以上同一である。
【0069】
一実施態様において、リンカーDNAは、プロテアーゼ認識配列をコードすることによって、SFPおよび目的ポリペプチドの接合部で切断されるようにする。例えば、リンカーDNAは、酵母kex2p−またはKex2−類似プロテアーゼ認識配列(例えば、Lys−Arg、Arg−Arg、またはLeu−Asp−Lys−Argを含むアミノ酸配列(配列番号74))、哺乳動物フリン−認識配列(例えば、Arg−X−X−Argを含むアミノ酸配列)、因子Xa−認識配列(例えば、Ile−Glu−Gly−Argを含むアミノ酸配列(配列番号75))、エンテロキナーゼ認識配列(例えば、Asp−Asp−Lysを含むアミノ酸配列)、サブチリシン認識配列(例えば、Ala−Ala−His−Tyrを含むアミノ酸配列(配列番号76))、タバコエッチウイルスプロテアーゼ−認識配列(例えば、Glu−Asn−Leu−Tyr−Phe−Gln−Glyを含むアミノ酸配列(配列番号77))、ユビキチン加水分解酵素−認識配列(例えば、Arg−Gly−Glyを含むアミノ酸配列)またはトロンビン−認識配列(例えば、Arg−GlyPro−Argを含むアミノ酸配列(配列番号78))をコードすることができる。
【0070】
リンカーのプロテアーゼ部位内における、あるいは分泌ポリペプチドまたは目的ポリペプチド内における、内在的宿主プロテアーゼによる融合ポリペプチドの望まれない切断を避けることが好ましい。これと同様に、目的ポリペプチドまたは分泌ポリペプチド、あるいはSFPまたはその断片もしくはその誘導体内で目的ポリペプチドから分泌されたポリペプチドを切断するために使用される、プロテアーゼによる切断を避けることが好ましい。従って、プロテアーゼ認識配列をコードするリンカーDNAが融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの部分として宿主細胞に形質転換される場合、宿主細胞は、好ましくは、リンカーでプロテアーゼ配列を認知するプロテアーゼを発現しない。宿主細胞は、プロテアーゼを自然的に発現しないこともあるとか、または宿主細胞は、プロテアーゼを発現しないように変形され得る(例えば、kex2突然変異宿主細胞、kex2−類似プロテアーゼ突然変異宿主細胞、およびフリン突然変異宿主細胞)。融合ポリペプチドが分泌ポリペプチドおよび目的ポリペプチドを含む場合、分泌ポリペプチド、SFPまたはその断片もしくは誘導体ならびに/あるいは目的ポリペプチドは、宿主プロテアーゼ認識配列を自然的に含めないこともあり得、あるいは分泌ポリペプチド、SFP、その断片もしくは誘導体および/または目的ポリペプチドは、宿主プロテアーゼによって認識される配列を含有しないように変形され得る。融合ポリペプチドが分泌ポリペプチド、SFPまたはその断片もしくは誘導体、目的ポリペプチド、およびプロテアーゼ認識配列を含むペプチドリンカーを含む場合、分泌ポリペプチド、SFPまたはその断片もしくは誘導体ならびに/あるいは目的ポリペプチドは、プロテアーゼ認識配列を自然的に含めないこともあり得、あるいは分泌ポリペプチド、SFPまたはその断片もしくは誘導体ならびに/あるいは目的ポリペプチドは、ペプチドリンカーのプロテアーゼ認識配列を認識するプロテアーゼによって認識される配列を含有しないように変形され得る。
【0071】
また他の実施態様において、リンカーDNAは、親和性タグ、例えば、GST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、またはS−タグをコードする。
【0072】
さらなる実施態様において、リンカーDNAは、制限酵素認識部位およびプロテアーゼ認識配列(例えば、kex2p−類似プロテアーゼまたはkex−2p−認識配列)をコードする。
【0073】
原核生物におけるポリペプチドの発現は、目的ポリペプチド−レポーターポリペプチド融合の発現を指示する構成的または誘導性プロモーターを含有するベクターで行うことができる。適したエシェリキア・コリ発現ベクターの例には、pTrc(Amrann et al.,Gene 69:301−315(1988))およびpET(Studier et al.,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)60−89)が含まれる。
【0074】
酵母細胞における発現のために適切な酵母発現ベクターとしては、pYepSec1((Baldari et al.,EMBO J.6:229−234(1987))、pMFa((Kurjan et al.,Cell 30:933−943(1982))、pJRY88(Schultz et al.,Gene 54:113−123(1987))、pYES2(インビトロジェン:Invitrogen Corporation,San Diego,Calif.)、およびpicZ(インビトロジェン)が挙げられるが、これらに制限されない。
【0075】
昆虫細胞における発現のために、バキュロウイルス発現ベクターが使用され得る。培養された昆虫細胞(例えば、SF9細胞)におけるポリペプチドの発現に利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smith et al.,Mol.Cell.Biol.3:2156−2165(1983))およびpVLシリーズ(Lucklow et al.,Virology 170:31−39(1989))が挙げられる。
【0076】
また他の実施態様において、宿主細胞は哺乳動物細胞であり、ベクターは哺乳動物発現ベクターである。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(文献[Seed,Nature 329:840(1987)])およびpMT2PC(文献[Kaufman et al.,EMBO J.6:187−195(1987)])が含まれる。哺乳動物細胞で使用される場合、発現ベクターの制御機能は、ウイルス調節要素によってしばしば提供される。例えば、よく使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよび類人猿ウイルス40に由来する。原核細胞および真核細胞の両方に適切な他の発現系としては、例えば、文献[Chapters 16 and 17 of Sambrook et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989]を参照すること。
【0077】
好ましいベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、エピソーム、ウイルス粒子またはウイルス、および統合可能なDNA断片(すなわち、相同的組換えによって宿主ゲノムに統合可能な断片)が挙げられるが、これらに制限されない。
好ましいウイルス粒子としては、アデノウイルス、バキュロウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ関連ウイルス、セムリキ森林(Semliki Forest)ウイルス、ワクシニアウイルス、およびレトロウイルスが挙げられるが、これらに制限されない。好ましい発現ベクターとしては、pcDNA3(インビトロジェン)およびpSVL(Pharmacia Biotech)が挙げられるが、これらに制限されない。他の発現ベクターとしては、pSPORTTMベクター、pGEMTMベクター(プロメガ社)、pPROEXベクターTM(LTI,Bethesda,MD)、ブルースクリプト(Bluescript)TMベクター(ストラタジーン社)、pQETMベクター(キアゲン社)、pSE420TM(インビトロジェン)、およびpYES2TM(インビトロジェン)が挙げられるが、これらに制限されない。
【0078】
一実施態様において、発現ベクターは、目的ポリペプチドをコードするDNA配列が作動可能にリンクされたり、あるいは適した宿主で目的ポリペプチドの発現に影響を与えうる適切な制御配列に連結された、複製可能なDNAコンストラクトである。DNA領域は、それらが互いに機能的に関連された場合、作動可能にリンクされたり、または連結されている。例えばプロモーターは、配列の転写を制御する場合にコード配列に作動可能にリンクされたり、または連結されている。ベクターの増幅には、発現制御ドメインを要求しないが、複製起点によって通常付与された宿主での複製能力、および形質転換体の認識を促進するための遺伝子選択能力だけが要求される。発現ベクターにおける制御配列に対する要件は、選択された宿主および選択された形質転換方法に応じて異なるだろう。一般的に、制御配列としては、転写プロモーター、エンハンサー、転写を制御するための選択的オペレーター配列、ポリアデニル化シグナル、適切なmRNAリボソーム結合をコードする配列、および転写および翻訳の終結を制御する配列が挙げられるが、これらに制限されない。このような調節配列は、例えば、文献[Goeddel;GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)]に記載されている。調節配列は、多くの類型の宿主細胞におけるヌクレオチド配列の構成的発現を指示する配列、および特定宿主細胞のみでヌクレオチド配列の発現を指示する配列(例えば、組織−特異的調節配列)を含む。当業者は、発現ベクターの考案が形質転換される宿主細胞の選択、所望のポリペプチドの発現レベルなどの因子に応じて変わる可能性があることを認知するだろう。
【0079】
本発明の発現ベクターは、宿主細胞へ導入されることによって、本明細書中に記載された核酸によってコードされる融合蛋白質またはペプチドを含む、蛋白質またはペプチドを生成することができる。好ましいベクターは、宿主有機体によって認識されるプロモーターを含有する。
【0080】
一実施態様において、本発明のプロモーターは、外部ポリペプチドの組換え生成のために使用される強力な異種プロモーターである。異種プロモーターは、誘導性であり得るし、あるいは構成的であり得る。好ましい異種プロモーターは、蛋白質の商業的生成のために使用されるものなど、例えば、下記に記載されたものなどである。本発明の異種プロモーターは、天然または野生型SFPプロモーターから区別可能である。
【0081】
本発明のプロモーター配列は、原核生物、真核生物またはウイルス由来であり得る。適切な原核生物配列の例としては、バクテリオファージラムダのPRおよびPLプロモーター(The bacteriophage Lambda,Hershey,A.D.,Ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(1973)、その全文が本明細書中に参考として組み込まれる;Lambda II,Hendrix,R.W.,Ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(1980)、その全文が本明細書中に参考として組み込まれる);エシェリキア・コリのtrp、recA、熱衝撃、およびlacZプロモーターおよびSV40初期プロモーター(Benoist et al.,Nature,290:304−310(1981)、その全文が本明細書中に参考として組み込まれる)が挙げられる。酵母に対しては、適切なプロモーターの例としては、GAPDH、PGK、ADH、PHO5、TEF、GAL1、およびGAL10が挙げられるが、これらに制限されない。さらなるプロモーターとしては、マウス乳腺腫瘍ウイルス、ヒト免疫欠乏ウイルスの長い末端反復、マロニーウイルス、サイトメガロウイルス即時初期プロモーター、エプスタイン・バー(Epstein Barr)ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、およびヒトメタロチオネインが挙げられるが、これらに制限されない。
【0082】
またさらなる調節配列を、好ましいベクターに含めることができる。適切な調節配列の例は、ファージMS−2のレプルリカーゼ遺伝子およびバクテリオファージラムダの遺伝子cIIのシャイン−ダルガーノ(Shine−Dalgarno)配列によって表される。
【0083】
また、適切な発現ベクターは、形質転換された宿主細胞のスクリーニングを可能にする適したマーカーを含みうる。選択された宿主の形質転換は、当業者に十分公知された様々な技術のうち、任意の1つを用いて行われ、サムブルックなど(Sambrook et al.)の前記文献に記載されている。
【0084】
複製起点は、また、ベクターの作製によって外因性起点を含むように提供され得るか、あるいは、宿主細胞染色体複製メカニズムによって提供され得る。ベクターが宿主細胞染色体に統合される場合、後者が十分であることもできる。これとは異なって、ウイルス複製起点を含有するベクターを使用するよりも、当業者は、選択可能なマーカーおよび目的ポリペプチドDNAで共形質転換の方法によって哺乳動物細胞を形質転換させ得る。適切なマーカーの例は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)またはチミジンキナーゼ(米国特許第4,399,216号参照)である。
【0085】
目的ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、ライゲーションのためのブラント−エンド(blunt−ended)またはスタガード−エンド(staggered−ended)末端、適切な末端を提供するための制限酵素による消化、粘着性末端(cohesive end)を適切な位置に埋めること、好ましくない連結を避けるためのアルカリ性ホスファターゼ処理、および適したリガーゼでライゲーションさせることを含む従来技術によって、ベクターDNAに組換えされ得る。このような操作に対する技術は、サムブルックなど(Sambrook et al.)の前記文献に開示されており、当業界に良く公知されている。哺乳動物発現ベクターの作製方法は、例えば、文献[Okayama et al.,Mol.Cell.Biol.3:280(1983)]、[Cosman et al.,Mol.Immunol.23:935(1986)]、[Cosman et al.,Nature 312:768(1984)]、EP−A−0367566、およびWO91/18982に記載されており、これらのそれぞれは、その全文が本明細書中に参考として組み込まれる。
【0086】
本発明で使用した宿主細胞は、当業者に公知の任意の宿主細胞であり得る。適した宿主細胞としては、バクテリア、菌類(例えば、酵母)、植物、または動物(例えば、哺乳動物または昆虫)細胞が挙げられる。適した酵母細胞としては、カンジダ、デバリオミセス、ハンゼヌラ、クルイベロミセス、ピキア、シゾサッカロミセス、ヤロウィア、サッカロミセス、シュワンニオミセス、およびアルクスラ種が挙げられる。具体的な例としては、カンジダ・ユチリス、カンジダ・ボイジニイ、カンジダ・アルビカンス、クルイベロミセスラクティス、ピキアパストリス、ピキアスチピチス、シゾサッカロミセスポンベ、サッカロマイセス・セレビシエ、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ヤロウィア・リポリティカ、シュワンニオミセス・オクシデンタリス、およびアルクスラ・アデニニボランスが挙げられる。他の適切な菌類としては、アスペルギルス、ペニシリウム、リゾプス、およびトリコデルマ種が挙げられる。宿主細胞として使用され得るバクテリアとしては、エシェリキア、シュードモナス、およびバチルス種が挙げられる。適切な植物宿主細胞としては、アラビドプシス、トウモロコシ、タバコ、およびジャガイモが挙げられる。動物細胞としては、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、犬、猫、猿、および昆虫から由来した細胞が挙げられる。例としては、CHO、COS1、COS7、BSC1、BSC40、BMT10、およびSf9細胞が挙げられる。特定の実施態様において、宿主細胞は、酵母細胞である。
【0087】
本発明のポリヌクレオチドは、単離されたポリペプチドコード領域またはウイルスベクターを含む原形プラスミドの一部として、または線型DNAとして宿主細胞に導入され得る。当業者によく知られ従来より用いられるDNAの宿主細胞への導入方法としては、形質転換法、形質感染法、電気穿孔法、核注入法、または運搬体、例えば、リポソーム、ミセル、皮細胞、およびプロトプラストとの融合法が挙げられる。
【0088】
迅速且つ効率的に検出可能なレポーター蛋白質が本発明で使用され得る。一実施態様において、レポーター蛋白質は、スクリーニング過程を自動化するために陽性的に選択され得る活性を有する。さらなる実施態様において、レポーター蛋白質は、細胞外空間に分泌された蛋白質、例えば、インベルターゼ、スクラーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、マルターゼ、アミラーゼ、クルコアミラーゼ、ガラクトシダーゼ(例えば、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、メリビアーゼ)、ホスファターゼ(例えば、PHO5)、β−ラクタマーゼ、リパーゼまたはプロテアーゼである。特定の実施態様において、分泌された蛋白質は、細胞が特定基質上で成長するようにする。哺乳動物細胞におけるレポーターシステムの例として、マウス胚芽幹細胞で分泌経路遺伝子を探すために、抗生剤G418を含有する培地でCD2/ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(Ceo)遺伝子が、分泌レポーターとして使用され得る(De−Zolt et al.,Nucleic Acid Res.34:e25(2006))。
【0089】
一実施態様において、宿主細胞は、酵母であり、レポーター蛋白質は、インベルターゼであり、形質転換された酵母細胞は、スクロスまたはラフィノース上で成長できるその能力について選択される。また他の実施態様において、宿主細胞は、酵母であり、レポーター蛋白質は、メリビアーゼであり、形質転換された酵母細胞は、メリビオース上で成長できるその能力について選択される。さらなる実施態様において、宿主細胞は、酵母であり、レポーター蛋白質は、アミラーゼ(例えば、エンドアミラーゼ、エキソアミラーゼ、β−アミラーゼ、またはグルコアミラーゼ)であり、酵母細胞は、非−澱粉分解性であり、形質転換された細胞は、澱粉を分解できるその能力についてスクリーニングされる。
さらなる実施態様において、レポーター蛋白質の活性を示す細胞を確認する工程は、成長抑制剤、例えば、抗生剤に耐性を提供するレポーター蛋白質を使用することによってなされる。また他の実施態様において、レポーター蛋白質は、視覚的に検出され得る蛋白質、例えば、緑色蛍光蛋白質またはルシフェラーゼである。一実施態様において、レポーター蛋白質の活性を示す細胞を確認する工程は、2つ以上のレポーター蛋白質、例えば、リパーゼおよびインベルターゼを使用することによってなされる。
【0090】
本発明の宿主細胞は、レポーター蛋白質活性を示さない。一実施態様において、宿主細胞はレポーター蛋白質を自然的に発現させない。他の実施態様において、レポーター蛋白質をコードする遺伝子(など)は、全体または一部が欠失されたり、レポーター蛋白質が発現しなかったりまたは非活性形態で発現するように突然変異される。細胞に特定の蛋白質が欠乏されるようにする方法は、当業者によく知られており、任意のそのような方法が本発明の宿主細胞を用意するために利用され得る(Sambrook et al.,前記文献)。酵母において、レポーター遺伝子欠乏は、良く公知された遺伝子代替技術を用いて導入され得る(文献[Rothstein,Meth.Enzymol.194:281(1991)])。
【0091】
目的ポリペプチドをコードする核酸は、ゲノムまたはcDNAライブラリからの単離、PCRによる増幅、または化学的合成を含む当業者によく知られた従来の技術を用いて任意の供給源から得ることができる。
【0092】
核酸またはその断片のライブラリは、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、および組換えDNAを含む任意の類型のDNAから得ることができる。RNAおよび自然的に発生しない核酸を含むDNA以外の核酸もまた使用され得る。
予め選択された核酸断片のライブラリは、以前に確認された核酸断片を多様化することによって、例えば、単一方向性欠失、突然変異、機能性配列(例えば、グリコシル化部位)の付加または、核酸断片の間でのプレおよびプロ−シグナル配列のスワッピングによって得ることができる。一実施態様において、核酸断片は、1000塩基対未満、例えば、700、500、または、300塩基対未満のサイズを持つ。核酸断片のライブラリは、DNAの酵素的切断、cDNA合成、または組換えDNA技術(例えば、単一方向性欠失、突然変異誘発)によって作製され得る。
【0093】
核酸断片は、有機体の全体ゲノム、例えば、全体ゲノムまたはcDNAライブラリに由来しうる。断片は、また、全体ゲノムの任意の部分、例えば、サブトラクションライブラリまたはサイズ分類したライブラリ由来することができる。
【0094】
下記の実施例は、本発明の方法および組成物を例示するが、これらに制限されない。当業者に明らかであり、臨床治療において一般的に含まれる様々な条件およびパラメータの他の適切な変形および適用は、本発明の精神および範囲内にある。
【実施例】
【0095】
実施例1
細胞外分泌のためのYGR106C遺伝子の最適サイズの決定
この実施例は、細胞外分泌のために必要なYGR106の最適領域を立証する。図1Aに示されたように、YGR106C(以下、分泌融合パートナー1、SFP1)蛋白質(配列番号1)は、シグナルペプチド、3つのグリコシル化部位、1つの親水性ドメイン(HL)および1つの膜貫通ドメイン(TM)を含有する265個のアミノ酸残基からなる。
【0096】
GAL10プロモーターの制御下で無傷のYGR106C遺伝子の過剰発現は、培養培地でYGR106C蛋白質を生成しなかった。しかし、末端切断型(truncated)SFP1(配列番号1のアミノ酸1−213)は、YGR106CのC−末端切断型形態を用いて酵母GAL10プロモーターの制御下で培養培地に高いレベルで分泌した。
【0097】
SFP1遺伝子の最適ドメインのさらなる同定は、分泌に対して決定した。SFP1蛋白質には、いくつかの機能性ドメインが存在するが、例えば、シグナル分泌シグナル(配列番号1のアミノ酸1−19)、親水性ドメイン(HL)(配列番号1のアミノ酸176−213)および膜貫通ドメイン(TM)(配列番号1のアミノ酸220−247)をカイト−ドゥーリトル疏水性分析によって決定した(図1A)。
【0098】
SFP1遺伝子が順次に欠失された異なるベクターを含有する組換え酵母サッカロマイセス・セレビシエ2805(Mat a ura3 INV2 pep4::HIS3 can1)菌株を作製し、それぞれのベクターからSFP1関連蛋白質の分泌を比較した(図1B)。最初に、無傷のSFP1蛋白質を発現させるために、SFP1のオープンリーディングフレーム(ORF)をサッカロマイセス・セレビシエ2805ゲノムDNAからPCRプライマー、BamHI部位を含有するセンスプライマーT9F(配列番号2)およびSalI部位を含有するアンチセンスプライマーH159(配列番号3)で増幅させた。PCRをPfuポリメラーゼ(ストラタジーン社製、米国)またはEx−TaqDNAポリメラーゼ(宝酒造株式会社:TaKaRa Korea Biomedical Inc.,Seoul,Korea)で実施した。PCR条件は、94℃で5分間1回の変成工程、および94℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で1分間の25回増幅サイクル、続いて72℃で7分間の最終延長を含んだ。増幅されたSFP1ORFをBamHI−SalIで消化し、YEGα−HIR525のBamHI−SalI部位でサブクローニングし(文献[Sohn et al.,Process Biochem.30:653(1995)])、これで生成されたプラスミドをYGaT91と命名した。
【0099】
C−末端からTMドメインまで欠失した末端切断型SFP1蛋白質を発現させるために、部分SFP1遺伝子を、YGaT91ベクターからセンスプライマーT9F(配列番号2)およびアンチセンスプライマーH160(配列番号4)で増幅させた。増幅した部分SFP1遺伝子を、YGaT91の作製と同様の方法を用いてYEGα−HIR525にクローニングし、これで生成されたプラスミドをYGaT92と命名した。
【0100】
また、C−末端からHLドメインの半分まで欠失した異なる末端切断型SFP1蛋白質を発現させるために、部分SFP1遺伝子を、YGaT91ベクターからセンスプライマーT9F(配列番号2)およびアンチセンスプライマーH161(配列番号5)で増幅させた。増幅した部分SFP1遺伝子を、YGaT91の作製と同様の方法を用いてYEGα−HIR525にクローニングし、これで生成されたプラスミドをYGaT93と命名した。
【0101】
また、C−末端からHLドメインまで欠失した異なる末端切断型SFP1蛋白質を発現させるために、部分SFP1遺伝子を、YGaT91ベクターからセンスプライマーT9F(配列番号2)およびアンチセンスプライマーH162(配列番号6)で増幅させた。増幅した部分SFP1遺伝子を、YGaT91の作製と同様の方法を用いてYEGα−HIR525にクローニングし、これで生成されたプラスミドをYGaT94と命名した。
【0102】
また、C−末端から第3のグリコシル化部位まで欠失した異なる末端切断型SFP1蛋白質を発現させるために、部分SFP1遺伝子を、YGaT91ベクターからセンスプライマーT9F(配列番号2)およびアンチセンスプライマーH205(配列番号7)で増幅させた。増幅した部分SFP1遺伝子を、YGaT91の作製と同様の方法を用いてYEGα−HIR525にクローニングし、これで生成されたプラスミドをYGaT95と命名した。
【0103】
また、C−末端から第2のグリコシル化部位までが欠失した異なる末端切断型SFP1蛋白質を発現させるために、部分SFP1遺伝子を、YGaT91ベクターからセンスプライマーT9F(配列番号2)およびアンチセンスプライマーH204(配列番号8)で増幅させた。増幅した部分SFP1遺伝子を、YGaT91の作製と同様の方法を用いてYEGα−HIR525にクローニングし、これで生成されたプラスミドをYGaT96と命名した。
【0104】
また、C−末端から第1のグリコシル化部位までが欠失された異なる末端切断型SFP1遺伝子を発現させるために、部分SFP1遺伝子を、YGaT91ベクターからセンスプライマーT9F(配列番号2)およびアンチセンスプライマーH203(配列番号9)で増幅させた。増幅した部分SFP1遺伝子を、YGaT91の作製と同様の方法を用いてYEGα−HIR525にクローニングし、これで生成されたプラスミドをYGaT97と命名した。
【0105】
酵母サッカロマイセス・セレビシエ2805菌株(Mat a ura3 INV2 pep4::HIS3 can1)を、作製したベクター(YGaT91、YGaT92、YGaT93、YGaT94、YGaT95、YGaT96、およびYGaT97)で形質転換させた。異なる形質転換のUDプレート(アミノ酸無し0.67%酵母窒素ベース、0.77g/lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%アガー)から選択される単一コロニーを、YPDGブロス培地(1%酵母抽出物、2%バクト−ペプトン、1%グルコース、1%ガラクトース)で40時間30℃で培養した。それぞれの培養ブロス0.6mlのうち、分泌された蛋白質をアセトン0.4mlで濃縮させ、SDS−PAGEによって分離した。図1Cに示されたように、SFP1関連蛋白質は、YGaT92、YGaT93およびYGaT94を保有する細胞(それぞれレーン2、3、および4)のみで確認した。1つのグリコシル化された形態および他の非−グリコシル化された2つのバンドを3つの陽性菌株の全てで検出した。しかし、他の細胞、YGaT91、YGaT95、YGaT96、およびYGaT97では、そのようなバンドを示さなかった(それぞれレーン1、5、6、および7)。これらの結果は、TMドメインの除去および3つのグリコシル化部位全てを含有するドメインを保有することによって、SFP1の細胞外分泌が可能になるということを示している。
【0106】
実施例2
目的蛋白質の分泌のための融合パートナーとしての、SFP1遺伝子の最適サイズの決定
この実施例は、SPF1誘導体の融合パートナーとしての用途を立証する。例示的な目的蛋白質である、ヒトインターロイキン−2(hIL−2)の分泌のための融合パートナーとしてのSFP1誘導体を試験するために、YGaT92、YGaT93およびYGaT94の3つのSFP1誘導体(SFP1−92(配列番号39)、SFP1−93(配列番号40)、およびSFP1−94(配列番号41))との融合蛋白質として、それぞれhIL−2を発現させるための3つのベクターを作製した(図2A)。YGaT91とのhIL−2融合もまた生成し、SFP1−91(配列番号38)のデータは示さなかった。hIL2遺伝子をYGaT92のSFP1−92と融合させるために、部分SFP1遺伝子をYGaT92ベクターからGAL10プロモーターを認識するセンスプライマーGAL100(配列番号10)およびアンチセンスプライマーH121(配列番号11)で増幅させた。hIL2遺伝子との融合を促進し、hIL2融合蛋白質の酵母ジペプチジルプロテアーゼKex2pによるインビボ切断を誘導するために(Mizuno K et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.156:246(1988))、H121プライマー(配列番号11)をKex2p切断配列およびN−末端hIL2配列を含有するように考案した。ヒトIL−2遺伝子をH121プライマー(配列番号11)に相補的なSFP1配列の一部を含有するセンスプライマーIL2F(配列番号12)およびアンチセンスプライマーIL2R(配列番号13)で増幅させた。IL2Rプライマーは、GAL7ターミネーター配列の一部を含有する。SFP1−92およびhIL−2遺伝子を含有する増幅されたPCR断片を重複−延長(overlap−extension)PCRによってGAL100およびGT50R(配列番号14)プライマーで融合させた。GT50Rプライマーは、GAL7ターミネーターを認識するアンチセンスプライマーである。これで生成されたPCR生産物を、100bpのGAL10プロモーター配列および50bpのGAL7ターミネーター配列でフランキングさせた。発現宿主としてサッカロマイセス・セレビシエの長所のうちの1つは、効率的且つ正確な相同的組換えストラテジーを利用することが可能であるということである。断片末端の一側面上にDNA配列重複を共有する線型化されたベクターおよびDNA断片は、プラスミドの円型トポロジーを復旧する組換えを行うことができるということが当業界で公知されている(文献[Kunes et al.,Genetics.115:73(1987)])。サッカロマイセス・セレビシエのこの特性を発現宿主系の作製のために利用した。
【0107】
インビボ組換え骨格としてYGaT92ベクターを使用するために、YGaT92ベクターをBamHI/SalIで切断させた。線型化されたベクター断片をアガロースゲルからゲル抽出キット(バイオニア、韓国)を用いて単離した。GAL100/GT50Rプライマーセットで増幅されたPCR生成物は、線型化されたベクターと50個以上のヌクレオチドを共有した。インビボ組換えのための最小要件は、約30個のヌクレオチド重複である[Oldenberg et al.,Nucleic Acids Res.25:451(1997)]。50個のヌクレオチド重複は、サッカロマイセス・セレビシエでプラスミドを再作製するのに十分である。組換えサッカロマイセス・セレビシエ2805菌株を前記記載のPCR生成物およびベクター断片で共形質転換させることによって、直接作製した。組換えによって作製、生成されたプラスミドをYGaT92−IL2と命名した(図24)。YGaT93−IL2ベクターで形質転換されたサッカロマイセス・セレビシエ2805菌株の作製のために、本発明者らは、H120プライマー(配列番号15)をH121プライマー(配列番号11)の代わりに使用したことを除いては、YGaT92−IL2プラスミド作製で使用したものと同様の手法を用いた。H120プライマーは、YGaT93ベクターのSFP1遺伝子の3’末端を認識し、Kex2p切断配列およびN−末端hIL2配列を含有するアンチセンスプライマーである。サッカロマイセス・セレビシエ2805菌株をYGaT94−IL2ベクターで形質転換させるために、H119プライマー(配列番号16)をH121プライマー(配列番号11)の代わりに使用し、その他には、YGaT92−IL2プラスミド作製に対して記載したものと同様の手法を用いた。H119プライマーは、YGaT94ベクターのSFP1遺伝子の3’末端を認識するアンチセンスプライマーであり、Kex2p切断配列およびN−末端hIL2配列を含有する。
【0108】
UDプレート(アミノ酸無し0.67%酵母窒素ベース、0.77g/lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%アガー)から選択される単一コロニーを、YPDGブロス培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、1%グルコース、1%ガラクトース)で40時間30℃で培養した。それぞれの培養ブロス0.6mlのうち分泌された蛋白質をアセトン0.4mlで濃縮し、SDS−PAGEによって分離した。図2Bに示されたように、SFP1誘導体蛋白質およびhIL2は、YGaT92−IL2(配列番号58)およびYGaT93−IL2(それぞれレーン1および2)を保有するサッカロマイセス・セレビシエ細胞から分泌されたが、YGaT94−IL2細胞(レーン3)は、分泌しなかった。この結果は、融合形態で発現される場合、HLドメインがSPF1誘導体蛋白質の分泌に重要であることを示唆する。
【0109】
実施例3
SFP1誘導体と融合した目的蛋白質の発現
YGaT92から実施例2で作製されたSFP1−92(配列番号39)を、エキセンディン−4(EXD4)、グルカゴン−類似ペプチド−1(GLP1)の39個のアミノ酸ペプチド類似体の分泌生成のために使用した。無傷のEXD4蛋白質の単純且つ効率的な精製のために、6−ヒスチジンタグおよびエンテロキナーゼ切断部位(DDDDK(配列番号79)、D:アスパラギン酸、K:リジン)をSFP1のC−末端に付加した。従って、融合蛋白質のN−末端からC−末端では、SFP1断片、6−ヒスチジンタグ、エンテロキナーゼ切断部位およびEXD4配列を含んでいた。SFP1−92 EXD4融合蛋白質を発現するYGaT92−EXD4ベクターを作製するために、SFP1−92遺伝子をYGaT92ベクターからHL配列を認識し、6個のヒスチジンコドンを含有するアンチセンスプライマーHDK−R(配列番号17)およびGAL100プライマー(配列番号10)で増幅させた。EXD4遺伝子をDDDDKコドンおよびHDK−Rプライマーに相補的な18個のヌクレオチドを含有するセンスプライマーHDK−F(配列番号18)およびGT50R(配列番号14)プライマー配列の18個のヌクレオチドを含有するアンチセンスプライマーEXD−R(配列番号19)で増幅させた。増幅されたSFP1−92およびEXD4遺伝子を重複−延長PCRによってGAL100/GT50Rプライマーセットで融合させた。YGaT92−EXD4ベクターを保有する組換えサッカロマイセス・セレビシエ2805菌株を、実施例2に記載したように融合した断片およびBamHI/SalI消化したYGaT92ベクター断片の共形質転換を介してインビボ組換えによって直接作製した。
【0110】
YGaT92−EXD4で形質転換された組換え酵母菌株を5−L発酵槽(jar fermentor)で流加培養によって培養して、SFP1−92−EXD4融合蛋白質の分泌生成を誘導するその能力について評価した。発酵槽で接種させる種菌培養物をフラスコで種菌培養培地(アミノ酸無し6.7%酵母窒素ベース、0.5%カザミノ酸および2%グルコース)を使用して培養した。初期発酵培地として発酵培養培地(4%酵母抽出物、1%ペプトン、2%グルコース)を使用して培養する場合、OD600が約15に達し、流加培地(15%酵母抽出物、30%グルコース、30%ガラクトース)を細胞成長速度に応じて様々な量で供給した。約48時間の培養後、培養物は、OD600が約160に達した。培地10μlを提示された時点で収集し、分泌された蛋白質をSDS−PAGEによって評価した(図3A−B)。標準蛋白質バンドと比較して、分泌されたSFP1−EXD4は、約500mg/Lと測定された。上澄液を遠心分離によって回収して酵母細胞を除去し、限外ろ過(クイックスタンド、アマシャム:Quickstand,Amersham)により濃縮させて脱塩させた。
【0111】
融合蛋白質、SFP1−92−EXD4をNi−NTA親和性カラム(キアゲン、米国)で精製した(図4、レーン1)。SFP1−92融合蛋白質からEXD−4を回収するために、精製された融合蛋白質を異なる濃度のエンテロキナーゼ(インビトロジェン、米国)で切断させた。サンプルをエンテロキナーゼ緩衝液[20mMトリス−HCl(pH8.0)、50mM NaCl、2mM CaCl2]に溶解させた。同量の蛋白質サンプルを0.1、0.2および0.3μlのエンテロキナーゼで1時間、37℃で切断させた。これで生成された蛋白質をSDS−PAGEによって分析した(図4、それぞれレーン2、3および4)。
【0112】
2つのバンドでないいくつかの小さい蛋白質バンドが生成された。これらの小さい断片は、エンテロキナーゼによるSFP1の非特異的消化の結果として見える。SFP1蛋白質は、DDK(137番目アミノ酸)およびEDK(168番目アミノ酸)残基を含有し、これはエンテロキナーゼの基質として使用可能である。
【0113】
SFP1−92−EXD4から回収したEXD−4のさらなる分析のために、エンテロキナーゼを処理したサンプル(図4、レーン3)をHPLCによって分画化した(図5A)。HPLCクロマトグラムでピークとして検出された蛋白質をSDS−PAGEによって分析した(図5B)。HPLC分画数41は、EXD−4と予想される単一バンドを示した。蛋白質をさらに分析してマトリックス支援レーザー脱離質量時間(MALDI−TOF;韓国基礎科学支援研究院、大田、韓国)によりその分子量(MW)を決定した(図6)。SFP1−92融合から生成されたEXD−4のMWは、4187.8Daであり、そのアミノ酸配列によって計算されたMWと一致した。
【0114】
エンテロキナーゼに耐性のある強力なSFP1−92融合パートナーを作製するために、DDKおよびEDK残基をDGKおよびEGK残基にそれぞれ交替した(図7A)。DDK残基をDGK残基に交替するために、5’SFP1−92断片をYGaT92−EXD4からGAL100プライマー(配列番号8)およびDDK残基のアスパラギン酸コドンの代りにグリシンコドンを含有するアンチセンス突然変異誘発性プライマーH307(配列番号20)で増幅させた。3’SFP1−92−EXD4断片もまた、H307(配列番号20)に相補的なセンスプライマーH306(配列番号21)およびGT50Rプライマー(配列番号14)でYGaT92−EXD4ベクターから増幅させた。これらの断片を重複延長PCRによってGAL100/GT50Rプライマーセットで融合させた。BamHI/SalIで切断させた後、融合した断片をYGaT92−EXD4ベクターのBamHI/SalI部位にクローニングした。これで生成されたプラスミドのヌクレオチド配列を確認し、SFP1−921(配列番号42)を含有するYGaT921−EXD4と命名した。
【0115】
EDK残基をEGK残基に交替するために、5’SFP1断片をYGaT92−EXD4からGAL100プライマー(配列番号10)およびEDK残基のアスパラギン酸コドンの代りにグリシンコドンを含有するアンチセンス突然変異誘発性プライマーH309(配列番号22)で増幅させた。3’SFP1−92−EXD4断片をまた、H309(配列番号22)に相補的なセンスプライマーH308(配列番号23)およびGT50Rプライマー(配列番号14)でYGaT92−EXD4ベクターから増幅させた。これらの断片をGAL100/GT50Rプライマーセットで重複延長PCRによって融合させた。BamHI/SalIで切断させた後、融合した断片をYGaT92−EXD4ベクターのBamHI/SalI部位にクローニングした。これで生成されたプラスミドのヌクレオチド配列を確認し、SFP1−922(配列番号43)を含有するYGaT922−EXD4と命名した。
【0116】
DDKおよびEDK残基の両方をDGKおよびEGKでそれぞれ交換するために、5’SFP1断片をGAL100プライマー(配列番号10)およびEDK残基のアスパラギン酸コドンの代わりにグリシンコドンを含有するアンチセンス突然変異誘発性プライマーH309(配列番号22)でYGaT921−EXD4から増幅させた。3’SFP1−EXD4断片をまた、H309(配列番号22)に相補的なセンスプライマーH308(配列番号23)およびGT50Rプライマー(配列番号14)でYGaT92−EXD4ベクターから増幅させた。これらの断片をGAL100/GT50Rプライマーセットで重複延長PCRによって融合させた。BamHI/SalIで切断させた後、融合した断片をYGaT92−EXD4ベクターのBamHI/SalI部位にクローニングした。これで生成されたプラスミドのヌクレオチド配列を確認し、SFP1−923(配列番号44)を含有するYGaT923−EXD4と命名した(図25)。
【0117】
サッカロマイセス・セレビシエ2805菌株を、ベクター:YGaT92−EXD4、YGaT921−EXD4、YGaT922−EXD4、およびYGaT923−EXD4で形質転換させた。UDプレート(アミノ酸無し0.67%酵母窒素ベース、0.77g/lアミノ酸混合物、2%グルコースおよび2%アガー)から選択される単一コロニーをYPDGブロス培地(1%酵母抽出物、2%バクト−ペプトン、1%グルコース、1%ガラクトース)で40時間30℃で培養した。培養上澄液0.6ml中に含まれた蛋白質をアセトン0.4mlで沈殿させ、エンテロキナーゼ緩衝液[20mMトリス−HCl(pH8.0)、50mM NaCl、2mM CaCl2]に溶解させた。同量の蛋白質サンプルをエンテロキナーゼ0.1μlで1時間、37℃で切断させ、SDS−PAGEによって分離した。
【0118】
図7Bに示されたように、YGaT92−EXD4形質転換体から生成されたSFP1を約15kDa断片(図7B、レーン1)で切断させたが、YGaT921−EXD4およびYGaT922−EXD4形質転換体から生成されたSFP1(図7B、それぞれレーン2および3)は、YGaT92−EXD4からのSFP1より内部SFP1エンテロキナーゼ切断に対してより耐性があった。最終的に、YGaT923−EXD4(配列番号59)形質転換体から生成されたSFP1断片の大部分は無傷であった(図7B、レーン4)。従って、結果は、YGaT923−EXD4からのSFP1変異体は、目的蛋白質の発現および精製に成功的に適用されたことを示唆する。
【0119】
実施例4
SFP1のHLドメインと融合した目的蛋白質の分泌
実施例2に示されたように、HLドメインは、目的蛋白質の分泌において重要な役割を果たす。目的蛋白質の分泌において、HLの機能は、HLドメイン内の酸性荷電されたアミノ酸によったことによるが、蛋白質の可溶性は蛋白質の純電荷(net charge)と密接に関連していることによる。HLドメインの融合パートナーとしての機能を調査するために、本発明者らはEXD4の分泌のためにHLドメインを使用した。
【0120】
HLドメインを目的蛋白質のN−末端に融合させた。HL−EXD4遺伝子をYGaT923−EXD4ベクターからH221(配列番号24)/GT50R(配列番号14)プライマーセットで増幅させ、メイティング因子α(MFα)のプレ−プロリーダーペプチドをGAL100/LNK−R(配列番号25)プライマーセットで増幅させた。H221およびLNK−Rプライマー(配列番号25)が相補的なリンカー配列を含有するので、これらの2つの断片をGAL100(配列番号8)/GT50R(配列番号14)プライマーセットで重複−延長PCRによって融合させた。YGaMKH−EXD4(図26)形質転換体を実施例2に記載されたように融合した断片およびBamHI/SalI消化したYGaT92ベクター断片で共同形質転換させることによって直接作製した。YGaMKH−EXD4プラスミドは、Kex2pによるインビボプロセシングのためにMFαのプレ−プロリーダーペプチドとHLペプチドとの間にリンカーペプチド(AASASAGLALDKR)を含有する。YGaMKH−EXD4で形質転換された組換え酵母菌株を5−L発酵槽で流加培養によって培養して、HL−EXD4の分泌生成を誘導するその能力について評価した。発酵槽に接種する種菌培養物を、種菌培養培地(6.7%アミノ酸無し酵母窒素ベース、0.5%カザミノ酸および2%グルコース)を使用してフラスコで培養した。初期発酵培地として発酵培養培地(4%酵母抽出物、1%ペプトン、2%グルコース)を使用して培養する場合、OD600が約15に達した時、流加培地(15%酵母抽出物、30%グルコース、30%ガラクトース)を細胞成長速度に応じて様々な量で供給した。約48時間培養後、培養物はOD600が約150に達した。培地10μlを提示された時点で収集し、分泌された蛋白質についてSDS−PAGEによって分析した(図8)。標準蛋白質バンドと比較する場合、分泌されたHL−EXD4は、約200mg/Lと測定された。
【0121】
HLペプチドの目的蛋白質へのC−末端融合の効果を試験するために、プラスミド、YGaST6−EXD−HL(図27)を作製した。EXD4遺伝子をYGaMKH−EXD4からのセンスプライマーH412(配列番号26)およびアンチセンスプライマーH413(配列番号27)で増幅させ、HLペプチドをYGaMKH−EXD4からのHL−F(配列番号28)およびHL−GT50R(配列番号29)で増幅させた。H413プライマー(配列番号27)は、HL−Fプライマーに相補的な配列を含有するので、これらの2つの断片をH412(配列番号26)/GT50Rプライマーセットで重複−延長PCRによって融合させた。H412プライマー(配列番号26)は、リンカー配列を含有し、GAL100(配列番号10)/LNK−R(配列番号25)プライマーセットで増幅されたMFαのプレ−プロリーダーと融合させ得る。それぞれの増幅された断片をMFαのプレ−プロリーダー、EXD4およびHLドメイン遺伝子の順序でGAL100/GT50Rプライマーセットで重複−延長PCRによって融合させた。YGaST6−EXD−HL形質転換体を、実施例2に記載されたように、融合した断片およびBamHI/SalI消化したYGaT92ベクター断片で共形質転換することによって直接作製した。YGaST6−EXD4−HLで形質転換された組換え酵母菌株を5−L発酵槽で流加培養によって培養して、EXD4−HLの分泌生成を誘導するその能力について評価した。約48時間培養後、培養物はOD600が約160に達した。培地10μlを提示された時点で収集し、分泌された蛋白質についてSDS−PAGEによって分析した(図9AおよびB)。標準蛋白質バンドと比較して、分泌されたEXD4−HLは、約500mg/Lと測定された。HLがEXD4で融合する場合、C−末端融合は、N−末端融合よりはるかに高いEXD4の分泌レベルを示した。従って結果は、HLドメインが目的蛋白質のN−末端およびC−末端の両方で融合形態で蛋白質の分泌に有用であることを示唆する。しかし、C−末端融合が目的蛋白質の増加した分泌を示した。
【0122】
HLドメインの融合パートナーとしてのさらなる試験のために、HLドメインをヒト表皮成長因子(hEGF)の発現のために使用した。YGaMKH−EGFプラスミド(図28)を作製した。YGaMKH−EGFで、HLドメインをhEGFのN−末端に融合させ、MFαプレ−プロペプチドHL融合ペプチド遺伝子をGAL100(配列番号10)/DDK−R(配列番号30)プライマーセットでYGaMKH−EXD4ベクターから増幅させ、hEGF遺伝子をDDK−Rプライマーに相補的な配列を含有するセンスプライマーH410(配列番号31)およびGT50R(配列番号14)と同じ配列を含有するアンチセンスプライマーH411(配列番号32)で増幅させた。それぞれの増幅された断片をGAL100/GT50Rプライマーセットで重複−延長PCRによって融合させた。YGaMKH−EGF形質転換体を、実施例2に記載されたように、融合した断片およびBamHI/SalI消化したYGaT92ベクター断片で共形質転換させた。
【0123】
YGaMKH−EGFで形質転換された組換え酵母菌株を5−L発酵槽で流加培養によって培養して、HL−EGFの分泌生成を誘導するその能力について評価した。約48時間培養後、培養物は、OD600が約155に達した。培地10μlを提示された時点で収集し、SDS−PAGEによって分泌された蛋白質について分析した(図10AおよびB)。標準蛋白質バンドと比較して、分泌されたHL−EGFは、約400mg/Lと測定された。
【0124】
HL−hEGF融合蛋白質をNi−NTA親和性クロマトグラフィーによって直接精製した(図11A)。hEGFおよびHLペプチドを分離するために、精製された融合蛋白質をエンテロキナーゼで切断させ、これで生成された断片をNi−NTA親和性クロマトグラフィーによって再分画化した。図11Bに示されたように、無傷且つ純粋なhEGF(6kD)を効率的に精製した。
【0125】
HLドメインをまた、ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)の分泌生成に対して適用した。HLドメインをhPTHのN−末端に融合させることによってYGaMKH−PTH(図29)ベクターを作製した。hPTH遺伝子をDDK−Rプライマー(配列番号30)に相補的な配列を含有するセンスプライマーH310(配列番号33)およびGT50R(配列番号14)と同じ配列を含有するアンチセンスプライマーH311(配列番号34)で増幅させた。この断片をGAL100(配列番号10)/GT50R(配列番号14)プライマーセットを用いた重複−延長PCRによってMFαプレ−プロペプチドHL融合ペプチド遺伝子と融合させた。YGaMKH−PTH形質転換体を、実施例2に記載されたように、融合した断片およびBamHI/SalI消化したYGaT92ベクター断片で共形質転換することによって直接作製した。YGaMKH−PTHで形質転換された組換え酵母菌株を5−L発酵槽で流加培養によって培養して、HL−PTHの分泌生成を誘導するその能力について評価した。約48時間培養後、培養物は、OD600が約120に達した。培地10μlを提示された時点で収集し、SDS−PAGEによって分泌された蛋白質について分析した(図12AおよびB)。HL−PTHと関連した2つの主要バンドが検出された。大多数のhPTHがKex2pによる不完全インビボ切断によってMFαpro−HL−PTHの融合形態で60kDで検出された。HL−PTHのKex2p切断を示すバンドも検出された。PTHと関連した総分泌された蛋白質は、500mg/L以上と測定された。発酵上澄液中のHisタグされた蛋白質をNi−NTA親和性クロマトグラフィーによって直接精製した。精製された蛋白質を予想した通りにSDS−PAGEで2種類のバンドに分離した(図13、レーン1)。より大きいバンド(Pro−HL−PTH)がKex2pを用いたインビトロプロセシング後に消えた(図13、レーン2)。融合蛋白質(HL−PTH)をエンテロキナーゼ切断によってHLペプチドおよびhPTHペプチドに正確に分離した(レーン3)。
【0126】
実施例1〜4は、YGR106C遺伝子の最適領域の同定および変形によって、組換え蛋白質の分泌生成および単離のための、SFP1に由来した効率的なマルチ機能性の融合パートナーを構築することを示している。
【0127】
実施例5
酵母セクレトームからの分泌融合パートナーの選択
この実施例は、融合パートナーとして有用な、高分泌された蛋白質を確認するための技術を立証した。
【0128】
まず、正常酵母細胞成長中に生成された酵母の総分泌された蛋白質(酵母セクレトーム)を分析した。酵母セクレトームの単離のために、酵母サッカロマイセス・セレビシエ2805菌株を最小培地(アミノ酸無し0.67%酵母窒素ベース、0.5%カザミノ酸、2%グルコースおよび0.002%ウラシル)で20時間(M1)および40時間(M2)培養した。培養上澄液500mlを膜ろ過を用いて濃縮させ、総分泌された蛋白質を回収した。酵母細胞を蛍光染料ヘキストで染色した後、共焦点レーザースキャニング顕微鏡を用いて無傷であることを確認した(図14AおよびB)。
【0129】
M2セクレトームサンプルを2−Dゲル電気泳動によって分析した(図15)。総蛋白質サンプルでリボ核酸汚染を除去するために付加したRNaseを除いて、大部分のセクレトーム蛋白質を酸性領域で確認した。図15に示されたように、2−Dゲル電気泳動は、サンプルM2に存在するすべての分泌された蛋白質を確認するのに十分ではなかった。従って、1−DE/MudPIT(Multidimensional Protein Identification Technology)方法をまた、酵母セクレトームのより完璧な確認のために適用した(図16)。結果として、57および83個の蛋白質をM1およびM2からそれぞれ確認した。これと共に、98個のユニークな蛋白質を確認した。これらのうち、42個の蛋白質がM1およびM2サンプルで共通的に検出された。分泌された蛋白質と最も類似の蛋白質を確認するために、蛋白質位置設定予測およびシグナル予測のための2つのプログラムWoLF PSORTおよびpTARGETを用いた。42個の蛋白質のうち、35個(80%を示す)の蛋白質を分泌蛋白質として予測した(表1)。
【0130】
【表1】
【0131】
多数の分泌蛋白質を細胞壁蛋白質およびGPI(グリコシルホスファチジルイノシトール)アンカーを有する蛋白質として確認した。高分泌された蛋白質を、分泌された蛋白質の数に比例できるPAI(蛋白質数度指数)により決定した(Rappsilber et al.,Genome Res.12:1231−45(2002))。この分析を基に、20個の高分泌された蛋白質を選択した。
【0132】
19個の高分泌された蛋白質の遺伝子を19個の異なるセンスプライマー(配列番号35)およびアンチセンスプライマー(配列番号36)を用いてゲノムDNAから増幅させた。増幅されたDNA断片の5’および3’末端は、前記に記載されたように、EcoRI−SalI消化したYEGα−HIR525とインビボ組換えのためにGAL10プロモーターおよびGAL7ターミネーターのそれぞれの一部と共に、相同的な配列の延長を含有していた。酵母形質転換体を、インビボによる組換えを介して線型化されたベクターおよびPCR断片の両方の形質転換によって容易に得た。19個の異なるPCR断片から得た20個の異なる形質転換体をYPDG(1%酵母抽出物、2%ペプトン、1%グルコース、および1%ガラクトース)培地で培養した。それぞれの培養上澄液300μlをアセトンで濃縮させた。それぞれのアセトン−濃縮した培養上澄液を、図17Aに示されたように、SDS−PAGEで分析した。
【0133】
高効率のSFPを選別するために、強いプロモーターを使用して高発現を誘導し、結果的に高分泌された蛋白質の分泌レベルを、形質転換しなかった野生型酵母の蛋白質分泌レベルと比較して決定した。図17AのレーンWTに示された野生型蛋白質分泌レベルと比較して、強いGAL10プロモーターを用いて発現された、試験された蛋白質の部分集合(11個)は、明らかに強いバンドを示したが、これは培養上澄液に高分泌されたことを示唆する。それぞれのサンプルのグリコシダーゼ、エンド−H処理は、それぞれの蛋白質のアミノ酸配列から予想される正確な蛋白質サイズで示され(図17B)、これは大部分の高分泌された蛋白質がグリコシル化されたことを立証する。19個の選択された高分泌された蛋白質中の11個であるBGL2(配列番号80)、GAS3(配列番号81)、GAS5(配列番号82)、PST1(配列番号83)、SCW4(配列番号84)、SCW10(配列番号85)、SIM1(配列番号86)、UTH1(配列番号87)、YGP1(配列番号88)、YPS1(配列番号89)、およびZPS1(配列番号90)を異種蛋白質の分泌に対する候補SFPとして試験した。11個の蛋白質は、下記のポリヌクレオチド:BGL2(配列番号62)、GAS3(配列番号63)、GAS5(配列番号64)、PST1(配列番号65)、SCW4(配列番号66)、SCW10(配列番号67)、SIM1(配列番号68)、UTH1(配列番号69)、YGP1(配列番号70)、YPS1(配列番号71)およびZPS1(配列番号72)によってコードされる。
【0134】
EXD4にそれぞれ融合した11個の高分泌された蛋白質をコードするポリヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(OFR)を使用して、融合蛋白質の発現のためのベクターを作製した。11個の融合蛋白質を培養上澄液へのこれらの分泌レベルについて試験した。YGa−ORFベクターを図17のようにそれぞれの蛋白質を生成するそれぞれの形質転換体から回収した。それぞれの融合蛋白質発現ベクターの作製のために、11個のPCR断片を異なるORFを含有する11個のYGa−ORFベクターからプライマーGAL100(配列番号10)および11個の異なるアンチセンスプライマー(配列番号37)を使用して増幅させた。増幅されたDNA断片の5’および3’末端は、GAL10プロモーターおよびエキセンディン−4のそれぞれと共に、相同的な配列の延長を含有していた。YGaT92−EXD4からプライマーEXD−F(配列番号46)およびGT50R(配列番号14)で増幅された11個のPCR断片およびエキセンディン−4を、プライマーGAL100(配列番号10)およびGT50R(配列番号14)のそれぞれを使用する11回の異なる重複延長PCRに対する鋳型として使用した。それぞれの延長されたPCR断片を前記に記載されたように、EcoRI−SalI消化したYEGα−HIR525で形質転換させた。それぞれの形質転換からの2つの形質転換体をYPDG(1%酵母抽出物、2%ペプトン、1%グルコースおよび1%ガラクトース)で40時間培養した。上澄液からのサンプル0.6mlをアセトン0.4mlを使用して濃縮させ、SDS−PAGEによって図18に示されたように分析した。6個の融合蛋白質(GAS3−EXD4、GAS5−EXD4、PST1−EXD4、SCW4−EXD4、YGP1−EXD4、およびYPS1−EXD4)は、細胞外培地に効率的に分泌されることが明らかになった。
【0135】
実施例5は、酵母セクレトームから選択された、高分泌された蛋白質が組換え蛋白質の分泌生成に対する分泌融合パートナーとして作用することを示した。実施例5では、酵母から分泌された蛋白質を使用したが、任意の生物が分泌したポリペプチド、例えば、明細書の全体に記載されたものなどを使用することができる。この実施例に示されたように、本発明のスクリーニング方法は、可能な候補SFPを35個の分泌された蛋白質から11個に狭め、この中で6個が効果的なSFPとして明らかにしたように、SFPを確認するための効率的な方法である。
【0136】
実施例6
融合パートナーとしての、SCW4遺伝子の最適サイズの決定
この実施例は、目的蛋白質、例えば、エキセンディン−4の分泌用融合パートナーとしての、SCW4の最適サイズの決定を立証する。8個のSCW4欠失クローンをカイト−ドゥーリトル疏水性分析に基づいて作製した(図19A)。8個のSCW4断片を、GAL100(配列番号10)および6個のヒスチジン配列をそれぞれ含有する8個の異なるアンチセンスプライマーH453−H460(配列番号47〜54)で増幅させた。増幅された断片をYGaT92−EXD4からセンスプライマー(配列番号55)およびGT50R(配列番号14)で増幅されたEXD4遺伝子と重複延長PCRによって、プライマー、GAL100(配列番号10)およびGT50R(配列番号14)をそれぞれ使用して、融合させた。それぞれの延長されたPCR断片を、以前の実施例に記載されたように、EcoRI−SalI消化したYEGα−HIR525で形質転換させた。8個の異なる形質転換体の3つのコロニーをYPDG(1%酵母抽出物、2%ペプトン、1%グルコース、および1%ガラクトース)培地で培養した。それぞれのサンプルに対する培養ブロス10μlをSDS−PAGE(濃縮無し)で直接分析した。図19Bに示されたように、SCW4の異なるC−末端断片を含有するSCW4−1、SCW4−2、SCW4−3およびSCW4−4は、EXD4の分泌に対する融合パートナーとして強い活性を示した。EXD4に対する融合パートナーとしてSCW4の最適なサイズは、SCW4蛋白質全体(380個のアミノ酸)のうち、169個未満のアミノ酸で示された。
【0137】
YGaSCW4−1−EXD4(図30)およびYGaSCW4−3−EXD4(図31)で形質転換された組換え酵母菌株を、5−L発酵槽で流加培養によって培養して、融合蛋白質の分泌生成を誘導する能力について評価した。約48時間培養後、培養物はOD600が約130に達した。培地10μlを提示された時点で収集し、分泌された蛋白質についてSDS−PAGEによって分析した(図20)。標準蛋白質バンドと比較して、分泌されたSCW4−1−EXD4(配列番号60)およびSCW4−3−EXD4(配列番号61)は、リットル当り3グラム以上と測定された。
【0138】
エンテロキナーゼに対するSCW4蛋白質のロバスト性を試験するために、発酵ブロスをエンテロキナーゼで1時間、37℃で、精製することなく消化した。図21に示されたように、融合蛋白質は、SCW4蛋白質およびエキセンディン−4ペプチドに正確に分かれた。従ってこれらの結果は、変形されたSCW4融合パートナーがエキセンディン−4蛋白質の収率を有意に増加させ、精製過程を単純化させるということを示す。
【0139】
他の蛋白質に対する一般的な融合パートナーとしてのSCW4の効果を試験した。SCW4−1、SCW4−2、SCW4−3およびSCW4−4をヒト成長ホルモン(hGH)の分泌生成に対して適用した。hGH遺伝子をセンスプライマー(配列番号56)およびアンチセンスプライマー(配列番号57)で増幅させた。この断片を6個のヒスチジンの延長およびGAL7ターミネーター配列でフランキングさせた。PCR増幅されたSCW4−1、−2、−3および−4断片をプライマー、GAL100(配列番号10)およびGT50R(配列番号14)をそれぞれ使用して重複延長PCRによってhGH遺伝子と融合させた。それぞれの延長されたPCR断片を、前記に記載されたようにEcoRI−SalI消化したYEGα−HIR525で形質転換させた。4個の異なる形質転換体の2つのコロニーをYPDG(1%酵母抽出物、2%ペプトン、1%グルコース、および1%ガラクトース)培地で培養した。それぞれのサンプルの培養ブロス10μlをSDS−PAGE(濃縮無し)で直接分析した。図22Aに示されたように、異なるサイズのSCW4−hGH融合蛋白質のバンドをそれぞれのサンプルに対して検出した。融合蛋白質を確認するために、培養上澄液をエンテロキナーゼと共に1時間、37℃でインキュベーションして融合蛋白質を消化した。正確なサイズのhGHをSCW4−1−hGH、SCW4−2−hGHおよびSCW4−4−hGHから回収した(図22B)。従って、SCW4のN−末端断片は、hGHだけでなく、EXD4の分泌に対する融合パートナーとして強い活性を示した。
【0140】
YGaSCW4−2−hGHで形質転換された組換え酵母菌株(図32)を5−L発酵槽で流加培養によって培養して融合蛋白質の分泌生成を誘導するその能力について評価した。約48時間培養後、培地10μlを提示された時点で収集し、分泌された蛋白質についてSDS−PAGEによって分析した(図23)。標準蛋白質のバンドと比較して、分泌されたSCW4−2−hGH(配列番号73)は、リットル当り3グラム超過と測定された。
【0141】
従って、実施例6の結果は、SCW4およびその断片が目的蛋白質の組換え発現に対する融合パートナーとして作用し、大量の目的蛋白質を生成するのに使用され得ることを示唆する。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、セクレトーム分析によって得られる分泌融合パートナー(SFP)を用いた様々な組換え蛋白質の超分泌生成および効率的な精製を提供する。組換え蛋白質は、分泌融合パートナーとの融合形態で細胞外に生成され、SFPからインビトロプロテアーゼ処理によって分離され得る。本発明に記載されたSFPは、バイオ製薬およびバイオ産業で価値のある目的蛋白質およびポリペプチドの分泌レベルを顕著に向上させる。本発明の選択/スクリーニング方法は、SFPとして作用する蛋白質、およびそのような蛋白質の断片および誘導体の選択を可能にする。本発明のスクリーニング/選択方法によって選択されたSFPは、バイオ−製薬およびバイオ−産業に有用な蛋白質の組換え生成を増進させる。また本発明は、確認されたSFPおよびその断片および誘導体を含む。
【0143】
これまで本発明を十分に説明してきたところ、本発明の範囲または任意の実施態様に影響を及ぼすことなく、広範かつ等価な範囲の条件、処方および他のパラメータ内で、本発明を実施することができることを、当業者は理解するだろう。本明細書で言及されたすべての特許、特許出願および公開文献は、その全文が参考として本明細書中に組み込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)分泌ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された異種プロモーターで第1の宿主細胞を形質転換させる工程;
(ii)前記分泌ポリペプチドの天然のプロモーターが前記分泌ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドに連結された場合に、分析された前記ポリペプチドの分泌レベルと比較して、前記第1の宿主細胞から分泌ポリペプチドが過分泌されるかどうかを決定する工程;
(iii)目的ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドおよび工程(ii)で過分泌されたものとして決定されたポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドを含むコンストラクトで第2の宿主細胞を形質転換させる工程であって、ここで、前記第1および第2のポリヌクレオチドは、互いに任意の順序であり、同じフレーム内にあるものであることを特徴とする、工程;
(iv)前記コンストラクトが前記目的ポリペプチドおよび前記過分泌されたポリペプチドの融合ポリペプチドを発現させる条件下で、前記第2の宿主細胞を培養する工程;および
(v)前記融合ポリペプチドが培養培地に分泌されるかどうかを決定することによって、前記過分泌されたポリペプチドがSFPであるかどうかを確認する工程を含む、分泌融合パートナー(SFP)を確認する方法。
【請求項2】
前記分泌ポリペプチドがセクレトームで高発現されるものとして選択されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セクレトームが酵母、バクテリア、植物または動物から単離されたものである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記セクレトームが酵母から単離されたものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記融合ポリペプチドまたは第2の融合ポリペプチドの分泌に対する前記SFPの最適なサイズを決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記最適なサイズが前記SFPの欠失分析によって決定されるものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記異種プロモーターが原核生物、真核生物またはウイルス由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記異種プロモーターがバクテリオファージラムダPR、バクテリオファージラムダPL、ラムダII、エシェリキア・コリtrp、エシェリキア・コリrecA、エシェリキア・コリ熱衝撃、エシェリキア・コリlacZ、SV40初期、酵母GAPDH、PGK、ADH、PHO5、TEF、GAL1、GAL10、マウス乳腺腫瘍ウイルス、ヒト免疫欠乏ウイルスの長い末端反復、マロにーウイルス、サイトメガロウイルス即時初期プロモーター、エプスタイン・バー(Epstein Barr)ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、およびヒトメタロチオネインからなる群から選択されるものである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記異種プロモーターがGAL10である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記分泌されたポリペプチドがグリコシル化されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の宿主細胞が植物、バクテリア、菌類、酵母、または動物細胞から選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の宿主細胞が酵母細胞である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の宿主細胞がカンジダ(Candida)、テバリオミセス(Debaryomyces)、ハンゼヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シュワンニオマイセス(Schwanniomyces)、およびアルクスラ(Arxula)からなる群から選択されるものである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の宿主細胞がカンジダ・ユチリス(Candida utilis)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・スチピチス(Pichia stipitis)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、シュワンニオマイセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、およびアルクスラ・アデニニボランス(Arxula adeninivorans)からなる群から選択されるものである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の宿主細胞が植物、バクテリア、菌類、酵母、または動物細胞から選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の宿主細胞が酵母細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の宿主細胞がカンジダ、テバリオミセス、ハンゼヌラ、クルイベロミセス、ピキア、シゾサッカロミセス、ヤロウイア、サッカロミセス、シュワンニオマイセス、およびアルクスラからなる群から選択されるものである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の宿主細胞がカンジダ・ユチリス、カンジダ・ボイジニイ、カンジダ・アルビカンス、クルイベロミセス・ラクティス、ピキア・パストリス、ピキア・スチピチス、シゾサッカロミセス・ポンベ、サッカロマイセス・セレビシエ、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ヤロウイア・リポリティカ、シュワンニオマイセス・オクシデンタリス、およびアルクスラ・アデニニボランスからなる群から選択されるものである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(i)請求項1のSFPまたはその断片または誘導体;および
(ii)目的ポリペプチドを含む単離された融合ポリペプチド。
【請求項20】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−84またはその断片または誘導体を含むものである、請求項19に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項21】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−101またはその断片または誘導体を含むものである、請求項20に記載単離された融合ポリペプチド。
【請求項22】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−135またはその断片または誘導体を含むものである、請求項21に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項23】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−169またはその断片または誘導体を含むものである、請求項22に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項24】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−195またはその断片または誘導体を含むものである、請求項23に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項25】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−227またはその断片または誘導体を含むものである、請求項24に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項26】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−271またはその断片または誘導体を含むものである、請求項25に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項27】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−364またはその断片または誘導体を含むものである、請求項26に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項28】
前記SFPがBGL2(配列番号80)、GAS3(配列番号81)、GAS5(配列番号82)、PST1(配列番号83)、SCW4(配列番号84)、SCW10(配列番号85)、SIM1(配列番号86)、UTH1(配列番号87)、YGP1(配列番号88)、YPS1(配列番号89)、およびZPS1(配列番号90)からなる群から選択されるものである、請求項19に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項29】
前記SFPがBGL2(配列番号62)、GAS3(配列番号63)、GAS5(配列番号64)、PST1(配列番号65)、SCW4(配列番号66)、SCW10(配列番号67)、SIM1(配列番号68)、UTH1(配列番号69)、YGP1(配列番号70)、YPS1(配列番号71)、およびZPS1(配列番号72)からなる群から選択されるポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項19に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項30】
前記目的ポリペプチドがヒトインターロイキン2(hIL−2)、エキセンディン−3、エキセンディン−4(EXD4)、グルカゴン−類似−ペプチド−1(GLP−1)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒトインターロイキン−1β、ヒトインターロイキン−6、ヒトインターロイキン−32α、ヒトインターロイキン−32β、ヒトインターロイキン−32γ、因子VII、因子VIII、因子IX、ヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン−α、ヒトインターフェロン−β、ヒトインターフェロン−γ、ヒト顆粒球−コロニー刺激因子、ヒト顆粒球大食細胞−コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト血小板−由来成長因子、ヒト塩基性線維芽細胞成長因子、ヒト表皮成長因子(EGF)、ヒトインスリン−類似成長因子、ヒト神経成長因子、ヒト形質転換成長因子β−1、ヒト濾胞刺激ホルモン、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、グルクロニダーゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、過酸化物ジスムターゼ、エンドトキシナーゼ、カタラーゼ、キモトリプシン、ウリカーゼ、アデノシンジホスファターゼ、チロシナーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ウシガラクトース−1−ポスフェートウリジリルトランスフェラーゼ、クラゲ緑色蛍光蛋白質、カンジダアンタクチカリパーゼB、カンジダルゴサ(Candida rugosa)リパーゼ、菌類クロロペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、レゾルバーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、トレハロースシンターゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、ヒトラクトフェリン、ヒトエリスロポエチン、ヒトパラオキソナーゼ、ヒト成長分化因子15、ヒトガレクチン−3結合蛋白質、ヒトセリンプロテアーゼ抑制剤、クニッツ類型2、ヒトヤヌスキナーゼ2、ヒトfms−類似チロシンキナーゼ3リガンド、ヒトYM1&2、ヒトCEMI、ヒトジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、ヒトレプチン、ヒトmL259、ヒトプロテイナーゼ3、ヒトリゾチーム、ヒトデッドボックス蛋白質41、ヒトエトポシド誘導された蛋白質24、マウスカスパーゼ1、ウシアンギオジェニン、およびミミズルンブロキナーゼからなる群から選択されるものである、請求項19に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項31】
前記目的ポリペプチドがEXD4である、請求項30に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項32】
前記目的ポリペプチドがhGHである、請求項30に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項33】
前記融合ポリペプチドがSCW4−3−EXD4(配列番号61)によりコードされるものである、請求項31に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項34】
前記融合ポリペプチドがSCW4−4−hGH(配列番号73)によりコードされるものである、請求項32に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項35】
前記SFPが目的ポリペプチドのN−末端で融合するものである、請求項19に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項36】
前記SFPが目的ポリペプチドのC−末端で融合するものである、請求項19に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項37】
(i)配列番号1のアミノ酸176−213またはその断片または誘導体を含む親水性(HL)ドメインを含み、膜貫通ドメイン(TM)が欠如したSFP;および
(ii)目的ポリペプチドを含む、単離された融合ポリペプチド。
【請求項38】
前記SFPが目的ポリペプチドのN−末端で融合したものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項39】
前記SFPが目的ポリペプチドのC−末端で融合したものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項40】
前記SFPが配列番号39またはその断片もしくは誘導体を含むポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項41】
前記SFPが配列番号42またはその断片もしくは誘導体を含むポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項42】
前記SFPが配列番号43またはその断片もしくは誘導体を含むポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項43】
前記SFPが配列番号44またはその断片もしくは誘導体を含むポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項44】
前記HLドメインが配列番号45またはその断片もしくは誘導体を含むポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項45】
前記目的ポリペプチドがヒトインターロイキン2(hIL−2)、エキセンディン−3、エキセンディン−4(EXD4)、グルカゴン−類似−ペプチド−1(GLP−1)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒトインターロイキン−1β、ヒトインターロイキン−6、ヒトインターロイキン−32α、ヒトインターロイキン−32β、ヒトインターロイキン−32γ、因子VII、因子VIII、因子IX、ヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン−α、ヒトインターフェロン−β、ヒトインターフェロン−γ、ヒト顆粒球−コロニー刺激因子、ヒト顆粒球大食細胞−コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト血小板−由来成長因子、ヒト塩基性線維芽細胞成長因子、ヒト表皮成長因子(EGF)、ヒトインスリン−類似成長因子、ヒト神経成長因子、ヒト形質転換成長因子β−1、ヒト濾胞刺激ホルモン、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、グルクロニダーゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、過酸化物ジスムターゼ、エンドトキシナーゼ、カタラーゼ、キモトリプシン、ウリカーゼ、アデノシンジホスファターゼ、チロシナーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ウシガラクトース−1−ポスフェートウリジリルトランスフェラーゼ、クラゲ緑色蛍光蛋白質、カンジダアンタクチカリパーゼB、カンジダルゴサ(Candida rugosa)リパーゼ、菌類クロロペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、レゾルバーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、トレハロースシンターゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、ヒトラクトフェリン、ヒトエリスロポエチン、ヒトパラオキソナーゼ、ヒト成長分化因子15、ヒトガレクチン−3結合蛋白質、ヒトセリンプロテアーゼ抑制剤、クニッツ類型2、ヒトヤヌスキナーゼ2、ヒトfms−類似チロシンキナーゼ3リガンド、ヒトYM1&2、ヒトCEMI、ヒトジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、ヒトレプチン、ヒトmL259、ヒトプロテイナーゼ3、ヒトリゾチーム、ヒトデッドボックス蛋白質41、ヒトエトポシド誘導された蛋白質24、マウスカスパーゼ1、ウシアンギオジェニン、およびミミズルンブロキナーゼからなる群から選択されるものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項46】
前記目的ポリペプチドがIL2である、請求項45に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項47】
前記目的ポリペプチドがEXD4である、請求項45に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項48】
前記目的ポリペプチドがEGFである、請求項45に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項49】
前記目的ポリペプチドがPTHである、請求項45に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項50】
親和性タグを更に含む、請求項19乃至49のいずれか一項に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項51】
前記親和性タグがGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、S−タグ、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項50に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項52】
前記親和性タグが6HISである、請求項51に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項53】
リンカーペプチドを更に含み、ここで、前記リンカーは、前記SFPと前記目的ポリペプチドとの間に位置するものである、請求項19乃至52のいずれか一項に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項54】
前記リンカーペプチドがプロテアーゼ認識配列を含むことによって、SFPと目的ポリペプチドとの間を切断するようにする、請求項53に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項55】
前記プロテアーゼ認識配列が酵母kex2p−認識配列、kex2p−類似プロテアーゼ−認識配列、哺乳動物フリン−認識配列、エンテロキナーゼ認識配列、サブチリシン−認識配列、タバコエッチウイルスプロテアーゼ−認識配列、トロンビン−認識配列、ユビキチン加水分解酵素−認識配列、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項54に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項56】
前記プロテアーゼ認識配列がエンテロキナーゼ認識配列である、請求項55に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項57】
前記プロテアーゼ認識配列がアミノ酸配列Asp−Asp−Lysを含むものである、請求項56に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項58】
前記プロテアーゼ認識配列がkex2p−類似プロテアーゼ−またはkex2p−認識配列である、請求項55に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項59】
前記リンカーペプチドが親和性タグを含むものである、請求項53に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項60】
前記親和性タグがGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、S−タグ、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項59に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項61】
前記親和性タグが6HISである、請求項60に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項62】
前記リンカーペプチドが制限酵素認識部位を含むポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項53に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項63】
(i)プロモーター;
(ii)請求項1のSFPまたはその断片もしくは誘導体をコードする第1のポリヌクレオチド;および
(iii)目的ポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドを含むコンストラクト。
【請求項64】
(i)プロモーター;
(ii)配列番号1のアミノ酸176−213を含み、膜貫通ドメイン(TM)が欠如したSFPまたはその断片もしくは誘導体をコードする第1のポリヌクレオチド;および
(iii)目的ポリペプチドまたはその誘導体をコードする第2のポリヌクレオチドを含むコンストラクト。
【請求項65】
前記第1のポリヌクレオチドがBGL2(配列番号80)、GAS3(配列番号81)、GAS5(配列番号82)、PST1(配列番号83)、SCW4(配列番号84)、SCW10(配列番号85)、SIM1(配列番号86)、UTH1(配列番号87)、YGP1(配列番号88)、YPS1(配列番号89)、およびZPS1(配列番号90)からなる群から選択されるSFPをコードするものである、請求項63に記載のコンストラクト。
【請求項66】
前記第1のポリヌクレオチドがBGL2(配列番号62)、GAS3(配列番号63)、GAS5(配列番号64)、PST1(配列番号65)、SCW4(配列番号66)、SCW10(配列番号67)、SIM1(配列番号68)、UTH1(配列番号69)、YGP1(配列番号70)、YPS1(配列番号71)、およびZPS1(配列番号72)からなる群から選択されるものである、請求項63に記載のコンストラクト。
【請求項67】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−252またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項63に記載のコンストラクト。
【請求項68】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−303またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項67に記載のコンストラクト。
【請求項69】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−405またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項68に記載のコンストラクト。
【請求項70】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−507またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項69に記載のコンストラクト。
【請求項71】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−585またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項70に記載のコンストラクト。
【請求項72】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−681またはその断片もしくる、請求項71に記載のコンストラクト。
【請求項73】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−813またはその断片または誘導体を含むものである、請求項72に記載のコンストラクト。
【請求項74】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−1092またはその断片または誘導体を含むものである、請求項73に記載のコンストラクト。
【請求項75】
第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドが目的ポリペプチドのN−末端に融合したSFPをコードするものである、請求項63に記載のコンストラクト。
【請求項76】
第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドが目的ポリペプチドのC−末端に融合したSFPをコードするものである、請求項63に記載のコンストラクト。
【請求項77】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号39またはその断片もしくは誘導体である、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項78】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号42またはその断片もしくは誘導体である、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項79】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号43またはその断片もしくは誘導体である、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項80】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号44またはその断片もしくは誘導体である、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項81】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号45またはその断片もしくは誘導体である、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項82】
第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドが目的ポリペプチドのN−末端に融合したSFPをコードするものである、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項83】
第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドが目的ポリペプチドのC−末端に融合したSFPをコードするものである、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項84】
前記コンストラクトがベクターである、請求項63乃至83のいずれか一項に記載のコンストラクト。
【請求項85】
前記プロモーターが原核生物、真核生物またはウイルス由来である、請求項63乃至84のいずれか一項に記載のコンストラクト。
【請求項86】
前記プロモーターがバクテリオファージラムダPR、バクテリオファージラムダPL、ラムダII、エシェリキア・コリtrp、エシェリキア・コリrecA、エシェリキア・コリ熱衝撃、エシェリキア・コリlacZ、SV40初期、GAPDH、PGK、ADH、PHO5、TEF、GAL1、GAL10、マウス乳腺腫瘍ウイルス、ヒト免疫欠乏ウイルスの長い末端反復、マロにーウイルス、サイトメガロウイルス即時初期、エプスタイン・バーウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、およびヒトメタロチオネインからなる群から選択されるものである、請求項85に記載のコンストラクト。
【請求項87】
前記プロモーターがGAL10である、請求項86に記載のコンストラクト。
【請求項88】
前記第2のポリヌクレオチドがヒトインターロイキン2(hIL−2)、エキセンディン−3、エキセンディン−4(EXD4)、グルカゴン−類似−ペプチド−1(GLP−1)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒトインターロイキン−1β、ヒトインターロイキン−6、ヒトインターロイキン−32α、ヒトインターロイキン−32β、ヒトインターロイキン−32γ、因子VII、因子VIII、因子IX、ヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン−α、ヒトインターフェロン−β、ヒトインターフェロン−γ、ヒト顆粒球−コロニー刺激因子、ヒト顆粒球大食細胞−コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト血小板−由来成長因子、ヒト塩基性線維芽細胞成長因子、ヒト表皮成長因子(EGF)、ヒトインスリン−類似成長因子、ヒト神経成長因子、ヒト形質転換成長因子β−1、ヒト濾胞刺激ホルモン、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、グルクロニダーゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、過酸化物ジスムターゼ、エンドトキシナーゼ、カタラーゼ、キモトリプシン、ウリカーゼ、アデノシンジホスファターゼ、チロシナーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ウシガラクトース−1−ポスフェートウリジリルトランスフェラーゼ、クラゲ緑色蛍光蛋白質、カンジダアンタクチカリパーゼB、カンジダルゴサ(Candida rugosa)リパーゼ、菌類クロロペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、レゾルバーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、トレハロースシンターゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、ヒトラクトフェリン、ヒトエリスロポエチン、ヒトパラオキソナーゼ、ヒト成長分化因子15、ヒトガレクチン−3結合蛋白質、ヒトセリンプロテアーゼ抑制剤、クニッツ類型2、ヒトヤヌスキナーゼ2、ヒトfms−類似チロシンキナーゼ3リガンド、ヒトYM1&2、ヒトCEMI、ヒトジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、ヒトレプチン、ヒトmL259、ヒトプロテイナーゼ3、ヒトリゾチーム、ヒトデッドボックス蛋白質41、ヒトエトポシド誘導された蛋白質24、マウスカスパーゼ1、ウシアンギオジェニン、およびミミズルンブロキナーゼからなる群から選択される目的ポリペプチドをコードするものである、請求項63乃至87のいずれか一項に記載のコンストラクト。
【請求項89】
親和性タグを更に含む請求項63乃至88のいずれか一項に記載のコンストラクト。
【請求項90】
前記親和性タグがGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、S−タグ、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項89に記載のコンストラクト融合ポリペプチド。
【請求項91】
前記親和性タグが6HISである、請求項90に記載のコンストラクト融合ポリペプチド。
【請求項92】
リンカーDNAを更に含み、ここで、前記リンカーDNAは、前記第1のポリペプチドと前記第2のポリペプチドとの間に位置するものである、請求項63乃至91のいずれか一項に記載のコンストラクト。
【請求項93】
前記リンカーDNAがプロテアーゼ認識配列をコードすることによって、SFPと目的ポリペプチドとの間を切断するようにする、請求項92に記載のコンストラクト。
【請求項94】
前記プロテアーゼ認識配列が酵母kex2p−認識配列、kex2p−類似プロテアーゼ−認識配列、哺乳動物フリン−認識配列、エンテロキナーゼ−認識配列、サブチリシン−認識配列、タバコエッチウイルスプロテアーゼ−認識配列、トロンビン−認識配列、ユビキチン加水分解酵素−認識配列、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項93に記載のコンストラクト。
【請求項95】
前記プロテアーゼ認識配列がエンテロキナーゼ−認識配列である、請求項94に記載のコンストラクト。
【請求項96】
前記エンテロキナーゼ−認識配列がアミノ酸Asp−Asp−Lysである、請求項95に記載のコンストラクト。
【請求項97】
前記プロテアーゼ認識配列がkex2p−類似プロテアーゼ−またはkex2p−認識配列である、請求項94に記載のコンストラクト。
【請求項98】
前記リンカーDNAが親和性タグをコードするものである、請求項92に記載のコンストラクト。
【請求項99】
前記親和性タグがGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、S−タグ、またはその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項98に記載のコンストラクト。
【請求項100】
前記親和性タグが6HISである、請求項99に記載のコンストラクト。
【請求項101】
前記リンカーDNAが制限酵素認識部位を含むものである、請求項92に記載のコンストラクト。
【請求項102】
請求項63乃至101のいずれか一項に記載のコンストラクトを含む宿主細胞。
【請求項103】
前記宿主細胞が植物、バクテリア、菌類、酵母、または動物細胞から選択されるものである、請求項102に記載の宿主細胞。
【請求項104】
前記宿主細胞が酵母細胞である、請求項103に記載の宿主細胞。
【請求項105】
前記酵母細胞がカンジダ、テバリオミセス、ハンゼヌラ、クルイベロミセス、ピキア、シゾサッカロミセス、ヤロウイア、サッカロミセス、シュワンニオマイセス、およびアルクスラからなる群から選択されるものである、請求項104に記載の宿主細胞。
【請求項106】
前記酵母細胞がカンジダ−ユチリス、カンジダ・ボイジニイ、カンジダアルビカンス、クルイベロミセスラクティス、ピキアパストリス、ピキアスチピチス、シゾサッカロミセスポンベ、サッカロマイセス・セレビシエ、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ヤロウイアリポリティカ、シュワンニオマイセス・オクシデンタリス、およびアルクスラ・アデニニボランスからなる群から選択されるものである、請求項105に記載の宿主細胞。
【請求項107】
前記宿主細胞がkex2突然変異体である、請求項102に記載の宿主細胞。
【請求項108】
(i)SFPをコードするポリヌクレオチドおよび目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドで宿主細胞を形質転換させる工程;
(ii)前記目的ポリペプチドに融合した前記SPFを含む融合ポリペプチドが宿主細胞から生成され、分泌される条件下で、前記宿主細胞を培養する工程;および
(iii)前記融合ポリペプチドを単離する工程を含む、目的ポリペプチドを組換え的に生成する方法。
【請求項109】
SFPをコードする前記ポリヌクレオチドおよび目的ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが単一コンストラクトの一部である、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
SFPをコードする前記ポリヌクレオチドおよび目的ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが多数のコンストラクトの一部である、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記多数のコンストラクトが線型である、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記多数のコンストラクトが相同的組換えによって組換えされたものである、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記SPFおよび前記目的ポリペプチドがエンドプロテアーゼ消化によって分離されるものである請求項108に記載の方法。
【請求項114】
前記融合ポリペプチドが親和性タグを更に含むものである、請求項108に記載の方法。
【請求項115】
前記親和性タグがGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、S−タグ、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記親和性タグが6HISである、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記融合ポリペプチドがリンカーペプチドを更に含み、ここで、前記リンカーペプチドが、前記SFPと前記目的ポリペプチドとの間に位置するものである、請求項108に記載の方法。
【請求項118】
前記リンカーペプチドがプロテアーゼ認識配列を含むことによって、SFPと目的ポリペプチドとの間を切断するようにするものである、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記プロテアーゼ認識配列が酵母kex2p−認識配列、kex2p−類似プロテアーゼ−認識配列、哺乳動物フリン−認識配列、エンテロキナーゼ−認識配列、サブチリシン−認識配列、タバコエッチウイルスプロテアーゼ−認識配列、トロンビン−認識配列、ユビキチン加水分解酵素−認識配列、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記プロテアーゼ認識配列がエンテロキナーゼ−認識配列である、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記エンテロキナーゼ−認識配列がアミノ酸Asp−Asp−Lysである、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記プロテアーゼ認識配列がkex2p−類似プロテアーゼ−またはkex2p−認識配列である、請求項119に記載の方法。
【請求項123】
前記リンカーペプチドが親和性タグを含むものである、請求項117に記載の方法。
【請求項124】
前記親和性タグがGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、およびS−タグからなる群から選択されるものである、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記親和性タグが6HISである、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記宿主細胞が流加発酵によって培養されるものである、請求項108に記載の方法。
【請求項127】
前記SFPまたはその断片または誘導体が請求項1の方法によって確認されるものである、請求項108乃至126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−84またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−101またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−135またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−169またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−195またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−227またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−271またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−364またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
SFPがBGL2(配列番号80)、GAS3(配列番号81)、GAS5(配列番号82)、PST1(配列番号83)、SCW4(配列番号84)、SCW10(配列番号85)、SIM1(配列番号86)、UTH1(配列番号87)、YGP1(配列番号88)、YPS1(配列番号89)、およびZPS1(配列番号90)からなる群から選択されるものである、請求項108乃至126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記SFPがBGL2(配列番号62)、GAS3(配列番号63)、GAS5(配列番号64)、PST1(配列番号65)、SCW4(配列番号66)、SCW10(配列番号67)、SIM1(配列番号68)、UTH1(配列番号69)、YGP1(配列番号70)、YPS1(配列番号71)、およびZPS1(配列番号72)からなる群から選択されるポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項108乃至126のいずれ一項に記載の方法。
【請求項138】
前記SFPが配列番号1のアミノ酸176−213またはその断片または誘導体を含む親水性(HL)ドメインを含み、膜貫通ドメイン(TM)が欠如したものである、請求項108乃至126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記SFPが配列番号39またはその断片もしくは誘導体によってコードされるものである請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記SFPが配列番号42またはその断片もしくは誘導体によってコードされるものである請求項138に記載の方法。
【請求項141】
前記SFPが配列番号43またはその断片もしくは誘導体によってコードされるものである請求項138に記載の方法。
【請求項142】
前記SFPが配列番号44またはその断片もしくは誘導体によってコードされるものである請求項138に記載の方法。
【請求項143】
前記SFPが配列番号45またはその断片もしくは誘導体によってコードされるものである請求項138に記載の方法。
【請求項144】
前記目的ポリペプチドがヒトインターロイキン2(hIL−2)、エキセンディン−3、エキセンディン−4(EXD4)、グルカゴン−類似−ペプチド−1(GLP−1)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒトインターロイキン−1β、ヒトインターロイキン−6、ヒトインターロイキン−32α、ヒトインターロイキン−32β、ヒトインターロイキン−32γ、因子VII、因子VIII、因子IX、ヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン−α、ヒトインターフェロン−β、ヒトインターフェロン−γ、ヒト顆粒球−コロニー刺激因子、ヒト顆粒球大食細胞−コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト血小板−由来成長因子、ヒト塩基性線維芽細胞成長因子、ヒト表皮成長因子(EGF)、ヒトインスリン−類似成長因子、ヒト神経成長因子、ヒト形質転換成長因子β−1、ヒト濾胞刺激ホルモン、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、グルクロニダーゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、過酸化物ジスムターゼ、エンドトキシナーゼ、カタラーゼ、キモトリプシン、ウリカーゼ、アデノシンジホスファターゼ、チロシナーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ウシガラクトース−1−ポスフェートウリジリルトランスフェラーゼ、クラゲ緑色蛍光蛋白質、カンジダアンタクチカリパーゼB、カンジダルゴサ(Candida rugosa)リパーゼ、菌類クロロペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、レゾルバーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、トレハロースシンターゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、ヒトラクトフェリン、ヒトエリスロポエチン、ヒトパラオキソナーゼ、ヒト成長分化因子15、ヒトガレクチン−3結合蛋白質、ヒトセリンプロテアーゼ抑制剤、クニッツ類型2、ヒトヤヌスキナーゼ2、ヒトfms−類似チロシンキナーゼ3リガンド、ヒトYM1&2、ヒトCEMI、ヒトジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、ヒトレプチン、ヒトmL259、ヒトプロテイナーゼ3、ヒトリゾチーム、ヒトデッドボックス蛋白質41、ヒトエトポシド誘導された蛋白質24、マウスカスパーゼ1、ウシアンギオジェニン、およびミミズルンブロキナーゼからなる群から選択されるものである請求項108乃至143のうち、いずれか1に記載の方法。
【請求項145】
請求項108乃至144のいずれか一項に記載の方法によって組換え的に生成された、目的ポリペプチド。
【請求項1】
(i)分泌ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された異種プロモーターで第1の宿主細胞を形質転換させる工程;
(ii)前記分泌ポリペプチドの天然のプロモーターが前記分泌ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドに連結された場合に、分析された前記ポリペプチドの分泌レベルと比較して、前記第1の宿主細胞から分泌ポリペプチドが過分泌されるかどうかを決定する工程;
(iii)目的ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドおよび工程(ii)で過分泌されたものとして決定されたポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドを含むコンストラクトで第2の宿主細胞を形質転換させる工程であって、ここで、前記第1および第2のポリヌクレオチドは、互いに任意の順序であり、同じフレーム内にあるものであることを特徴とする、工程;
(iv)前記コンストラクトが前記目的ポリペプチドおよび前記過分泌されたポリペプチドの融合ポリペプチドを発現させる条件下で、前記第2の宿主細胞を培養する工程;および
(v)前記融合ポリペプチドが培養培地に分泌されるかどうかを決定することによって、前記過分泌されたポリペプチドがSFPであるかどうかを確認する工程を含む、分泌融合パートナー(SFP)を確認する方法。
【請求項2】
前記分泌ポリペプチドがセクレトームで高発現されるものとして選択されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セクレトームが酵母、バクテリア、植物または動物から単離されたものである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記セクレトームが酵母から単離されたものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記融合ポリペプチドまたは第2の融合ポリペプチドの分泌に対する前記SFPの最適なサイズを決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記最適なサイズが前記SFPの欠失分析によって決定されるものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記異種プロモーターが原核生物、真核生物またはウイルス由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記異種プロモーターがバクテリオファージラムダPR、バクテリオファージラムダPL、ラムダII、エシェリキア・コリtrp、エシェリキア・コリrecA、エシェリキア・コリ熱衝撃、エシェリキア・コリlacZ、SV40初期、酵母GAPDH、PGK、ADH、PHO5、TEF、GAL1、GAL10、マウス乳腺腫瘍ウイルス、ヒト免疫欠乏ウイルスの長い末端反復、マロにーウイルス、サイトメガロウイルス即時初期プロモーター、エプスタイン・バー(Epstein Barr)ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、およびヒトメタロチオネインからなる群から選択されるものである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記異種プロモーターがGAL10である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記分泌されたポリペプチドがグリコシル化されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の宿主細胞が植物、バクテリア、菌類、酵母、または動物細胞から選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の宿主細胞が酵母細胞である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の宿主細胞がカンジダ(Candida)、テバリオミセス(Debaryomyces)、ハンゼヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シュワンニオマイセス(Schwanniomyces)、およびアルクスラ(Arxula)からなる群から選択されるものである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の宿主細胞がカンジダ・ユチリス(Candida utilis)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・スチピチス(Pichia stipitis)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、シュワンニオマイセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、およびアルクスラ・アデニニボランス(Arxula adeninivorans)からなる群から選択されるものである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の宿主細胞が植物、バクテリア、菌類、酵母、または動物細胞から選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の宿主細胞が酵母細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の宿主細胞がカンジダ、テバリオミセス、ハンゼヌラ、クルイベロミセス、ピキア、シゾサッカロミセス、ヤロウイア、サッカロミセス、シュワンニオマイセス、およびアルクスラからなる群から選択されるものである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の宿主細胞がカンジダ・ユチリス、カンジダ・ボイジニイ、カンジダ・アルビカンス、クルイベロミセス・ラクティス、ピキア・パストリス、ピキア・スチピチス、シゾサッカロミセス・ポンベ、サッカロマイセス・セレビシエ、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ヤロウイア・リポリティカ、シュワンニオマイセス・オクシデンタリス、およびアルクスラ・アデニニボランスからなる群から選択されるものである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(i)請求項1のSFPまたはその断片または誘導体;および
(ii)目的ポリペプチドを含む単離された融合ポリペプチド。
【請求項20】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−84またはその断片または誘導体を含むものである、請求項19に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項21】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−101またはその断片または誘導体を含むものである、請求項20に記載単離された融合ポリペプチド。
【請求項22】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−135またはその断片または誘導体を含むものである、請求項21に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項23】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−169またはその断片または誘導体を含むものである、請求項22に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項24】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−195またはその断片または誘導体を含むものである、請求項23に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項25】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−227またはその断片または誘導体を含むものである、請求項24に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項26】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−271またはその断片または誘導体を含むものである、請求項25に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項27】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−364またはその断片または誘導体を含むものである、請求項26に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項28】
前記SFPがBGL2(配列番号80)、GAS3(配列番号81)、GAS5(配列番号82)、PST1(配列番号83)、SCW4(配列番号84)、SCW10(配列番号85)、SIM1(配列番号86)、UTH1(配列番号87)、YGP1(配列番号88)、YPS1(配列番号89)、およびZPS1(配列番号90)からなる群から選択されるものである、請求項19に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項29】
前記SFPがBGL2(配列番号62)、GAS3(配列番号63)、GAS5(配列番号64)、PST1(配列番号65)、SCW4(配列番号66)、SCW10(配列番号67)、SIM1(配列番号68)、UTH1(配列番号69)、YGP1(配列番号70)、YPS1(配列番号71)、およびZPS1(配列番号72)からなる群から選択されるポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項19に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項30】
前記目的ポリペプチドがヒトインターロイキン2(hIL−2)、エキセンディン−3、エキセンディン−4(EXD4)、グルカゴン−類似−ペプチド−1(GLP−1)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒトインターロイキン−1β、ヒトインターロイキン−6、ヒトインターロイキン−32α、ヒトインターロイキン−32β、ヒトインターロイキン−32γ、因子VII、因子VIII、因子IX、ヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン−α、ヒトインターフェロン−β、ヒトインターフェロン−γ、ヒト顆粒球−コロニー刺激因子、ヒト顆粒球大食細胞−コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト血小板−由来成長因子、ヒト塩基性線維芽細胞成長因子、ヒト表皮成長因子(EGF)、ヒトインスリン−類似成長因子、ヒト神経成長因子、ヒト形質転換成長因子β−1、ヒト濾胞刺激ホルモン、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、グルクロニダーゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、過酸化物ジスムターゼ、エンドトキシナーゼ、カタラーゼ、キモトリプシン、ウリカーゼ、アデノシンジホスファターゼ、チロシナーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ウシガラクトース−1−ポスフェートウリジリルトランスフェラーゼ、クラゲ緑色蛍光蛋白質、カンジダアンタクチカリパーゼB、カンジダルゴサ(Candida rugosa)リパーゼ、菌類クロロペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、レゾルバーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、トレハロースシンターゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、ヒトラクトフェリン、ヒトエリスロポエチン、ヒトパラオキソナーゼ、ヒト成長分化因子15、ヒトガレクチン−3結合蛋白質、ヒトセリンプロテアーゼ抑制剤、クニッツ類型2、ヒトヤヌスキナーゼ2、ヒトfms−類似チロシンキナーゼ3リガンド、ヒトYM1&2、ヒトCEMI、ヒトジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、ヒトレプチン、ヒトmL259、ヒトプロテイナーゼ3、ヒトリゾチーム、ヒトデッドボックス蛋白質41、ヒトエトポシド誘導された蛋白質24、マウスカスパーゼ1、ウシアンギオジェニン、およびミミズルンブロキナーゼからなる群から選択されるものである、請求項19に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項31】
前記目的ポリペプチドがEXD4である、請求項30に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項32】
前記目的ポリペプチドがhGHである、請求項30に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項33】
前記融合ポリペプチドがSCW4−3−EXD4(配列番号61)によりコードされるものである、請求項31に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項34】
前記融合ポリペプチドがSCW4−4−hGH(配列番号73)によりコードされるものである、請求項32に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項35】
前記SFPが目的ポリペプチドのN−末端で融合するものである、請求項19に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項36】
前記SFPが目的ポリペプチドのC−末端で融合するものである、請求項19に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項37】
(i)配列番号1のアミノ酸176−213またはその断片または誘導体を含む親水性(HL)ドメインを含み、膜貫通ドメイン(TM)が欠如したSFP;および
(ii)目的ポリペプチドを含む、単離された融合ポリペプチド。
【請求項38】
前記SFPが目的ポリペプチドのN−末端で融合したものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項39】
前記SFPが目的ポリペプチドのC−末端で融合したものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項40】
前記SFPが配列番号39またはその断片もしくは誘導体を含むポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項41】
前記SFPが配列番号42またはその断片もしくは誘導体を含むポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項42】
前記SFPが配列番号43またはその断片もしくは誘導体を含むポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項43】
前記SFPが配列番号44またはその断片もしくは誘導体を含むポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項44】
前記HLドメインが配列番号45またはその断片もしくは誘導体を含むポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項45】
前記目的ポリペプチドがヒトインターロイキン2(hIL−2)、エキセンディン−3、エキセンディン−4(EXD4)、グルカゴン−類似−ペプチド−1(GLP−1)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒトインターロイキン−1β、ヒトインターロイキン−6、ヒトインターロイキン−32α、ヒトインターロイキン−32β、ヒトインターロイキン−32γ、因子VII、因子VIII、因子IX、ヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン−α、ヒトインターフェロン−β、ヒトインターフェロン−γ、ヒト顆粒球−コロニー刺激因子、ヒト顆粒球大食細胞−コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト血小板−由来成長因子、ヒト塩基性線維芽細胞成長因子、ヒト表皮成長因子(EGF)、ヒトインスリン−類似成長因子、ヒト神経成長因子、ヒト形質転換成長因子β−1、ヒト濾胞刺激ホルモン、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、グルクロニダーゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、過酸化物ジスムターゼ、エンドトキシナーゼ、カタラーゼ、キモトリプシン、ウリカーゼ、アデノシンジホスファターゼ、チロシナーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ウシガラクトース−1−ポスフェートウリジリルトランスフェラーゼ、クラゲ緑色蛍光蛋白質、カンジダアンタクチカリパーゼB、カンジダルゴサ(Candida rugosa)リパーゼ、菌類クロロペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、レゾルバーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、トレハロースシンターゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、ヒトラクトフェリン、ヒトエリスロポエチン、ヒトパラオキソナーゼ、ヒト成長分化因子15、ヒトガレクチン−3結合蛋白質、ヒトセリンプロテアーゼ抑制剤、クニッツ類型2、ヒトヤヌスキナーゼ2、ヒトfms−類似チロシンキナーゼ3リガンド、ヒトYM1&2、ヒトCEMI、ヒトジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、ヒトレプチン、ヒトmL259、ヒトプロテイナーゼ3、ヒトリゾチーム、ヒトデッドボックス蛋白質41、ヒトエトポシド誘導された蛋白質24、マウスカスパーゼ1、ウシアンギオジェニン、およびミミズルンブロキナーゼからなる群から選択されるものである、請求項37に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項46】
前記目的ポリペプチドがIL2である、請求項45に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項47】
前記目的ポリペプチドがEXD4である、請求項45に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項48】
前記目的ポリペプチドがEGFである、請求項45に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項49】
前記目的ポリペプチドがPTHである、請求項45に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項50】
親和性タグを更に含む、請求項19乃至49のいずれか一項に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項51】
前記親和性タグがGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、S−タグ、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項50に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項52】
前記親和性タグが6HISである、請求項51に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項53】
リンカーペプチドを更に含み、ここで、前記リンカーは、前記SFPと前記目的ポリペプチドとの間に位置するものである、請求項19乃至52のいずれか一項に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項54】
前記リンカーペプチドがプロテアーゼ認識配列を含むことによって、SFPと目的ポリペプチドとの間を切断するようにする、請求項53に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項55】
前記プロテアーゼ認識配列が酵母kex2p−認識配列、kex2p−類似プロテアーゼ−認識配列、哺乳動物フリン−認識配列、エンテロキナーゼ認識配列、サブチリシン−認識配列、タバコエッチウイルスプロテアーゼ−認識配列、トロンビン−認識配列、ユビキチン加水分解酵素−認識配列、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項54に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項56】
前記プロテアーゼ認識配列がエンテロキナーゼ認識配列である、請求項55に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項57】
前記プロテアーゼ認識配列がアミノ酸配列Asp−Asp−Lysを含むものである、請求項56に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項58】
前記プロテアーゼ認識配列がkex2p−類似プロテアーゼ−またはkex2p−認識配列である、請求項55に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項59】
前記リンカーペプチドが親和性タグを含むものである、請求項53に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項60】
前記親和性タグがGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、S−タグ、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項59に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項61】
前記親和性タグが6HISである、請求項60に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項62】
前記リンカーペプチドが制限酵素認識部位を含むポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項53に記載の単離された融合ポリペプチド。
【請求項63】
(i)プロモーター;
(ii)請求項1のSFPまたはその断片もしくは誘導体をコードする第1のポリヌクレオチド;および
(iii)目的ポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドを含むコンストラクト。
【請求項64】
(i)プロモーター;
(ii)配列番号1のアミノ酸176−213を含み、膜貫通ドメイン(TM)が欠如したSFPまたはその断片もしくは誘導体をコードする第1のポリヌクレオチド;および
(iii)目的ポリペプチドまたはその誘導体をコードする第2のポリヌクレオチドを含むコンストラクト。
【請求項65】
前記第1のポリヌクレオチドがBGL2(配列番号80)、GAS3(配列番号81)、GAS5(配列番号82)、PST1(配列番号83)、SCW4(配列番号84)、SCW10(配列番号85)、SIM1(配列番号86)、UTH1(配列番号87)、YGP1(配列番号88)、YPS1(配列番号89)、およびZPS1(配列番号90)からなる群から選択されるSFPをコードするものである、請求項63に記載のコンストラクト。
【請求項66】
前記第1のポリヌクレオチドがBGL2(配列番号62)、GAS3(配列番号63)、GAS5(配列番号64)、PST1(配列番号65)、SCW4(配列番号66)、SCW10(配列番号67)、SIM1(配列番号68)、UTH1(配列番号69)、YGP1(配列番号70)、YPS1(配列番号71)、およびZPS1(配列番号72)からなる群から選択されるものである、請求項63に記載のコンストラクト。
【請求項67】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−252またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項63に記載のコンストラクト。
【請求項68】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−303またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項67に記載のコンストラクト。
【請求項69】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−405またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項68に記載のコンストラクト。
【請求項70】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−507またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項69に記載のコンストラクト。
【請求項71】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−585またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項70に記載のコンストラクト。
【請求項72】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−681またはその断片もしくる、請求項71に記載のコンストラクト。
【請求項73】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−813またはその断片または誘導体を含むものである、請求項72に記載のコンストラクト。
【請求項74】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号66の核酸1−1092またはその断片または誘導体を含むものである、請求項73に記載のコンストラクト。
【請求項75】
第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドが目的ポリペプチドのN−末端に融合したSFPをコードするものである、請求項63に記載のコンストラクト。
【請求項76】
第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドが目的ポリペプチドのC−末端に融合したSFPをコードするものである、請求項63に記載のコンストラクト。
【請求項77】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号39またはその断片もしくは誘導体である、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項78】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号42またはその断片もしくは誘導体である、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項79】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号43またはその断片もしくは誘導体である、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項80】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号44またはその断片もしくは誘導体である、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項81】
前記第1のポリヌクレオチドが配列番号45またはその断片もしくは誘導体である、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項82】
第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドが目的ポリペプチドのN−末端に融合したSFPをコードするものである、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項83】
第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドが目的ポリペプチドのC−末端に融合したSFPをコードするものである、請求項64に記載のコンストラクト。
【請求項84】
前記コンストラクトがベクターである、請求項63乃至83のいずれか一項に記載のコンストラクト。
【請求項85】
前記プロモーターが原核生物、真核生物またはウイルス由来である、請求項63乃至84のいずれか一項に記載のコンストラクト。
【請求項86】
前記プロモーターがバクテリオファージラムダPR、バクテリオファージラムダPL、ラムダII、エシェリキア・コリtrp、エシェリキア・コリrecA、エシェリキア・コリ熱衝撃、エシェリキア・コリlacZ、SV40初期、GAPDH、PGK、ADH、PHO5、TEF、GAL1、GAL10、マウス乳腺腫瘍ウイルス、ヒト免疫欠乏ウイルスの長い末端反復、マロにーウイルス、サイトメガロウイルス即時初期、エプスタイン・バーウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、およびヒトメタロチオネインからなる群から選択されるものである、請求項85に記載のコンストラクト。
【請求項87】
前記プロモーターがGAL10である、請求項86に記載のコンストラクト。
【請求項88】
前記第2のポリヌクレオチドがヒトインターロイキン2(hIL−2)、エキセンディン−3、エキセンディン−4(EXD4)、グルカゴン−類似−ペプチド−1(GLP−1)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒトインターロイキン−1β、ヒトインターロイキン−6、ヒトインターロイキン−32α、ヒトインターロイキン−32β、ヒトインターロイキン−32γ、因子VII、因子VIII、因子IX、ヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン−α、ヒトインターフェロン−β、ヒトインターフェロン−γ、ヒト顆粒球−コロニー刺激因子、ヒト顆粒球大食細胞−コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト血小板−由来成長因子、ヒト塩基性線維芽細胞成長因子、ヒト表皮成長因子(EGF)、ヒトインスリン−類似成長因子、ヒト神経成長因子、ヒト形質転換成長因子β−1、ヒト濾胞刺激ホルモン、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、グルクロニダーゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、過酸化物ジスムターゼ、エンドトキシナーゼ、カタラーゼ、キモトリプシン、ウリカーゼ、アデノシンジホスファターゼ、チロシナーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ウシガラクトース−1−ポスフェートウリジリルトランスフェラーゼ、クラゲ緑色蛍光蛋白質、カンジダアンタクチカリパーゼB、カンジダルゴサ(Candida rugosa)リパーゼ、菌類クロロペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、レゾルバーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、トレハロースシンターゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、ヒトラクトフェリン、ヒトエリスロポエチン、ヒトパラオキソナーゼ、ヒト成長分化因子15、ヒトガレクチン−3結合蛋白質、ヒトセリンプロテアーゼ抑制剤、クニッツ類型2、ヒトヤヌスキナーゼ2、ヒトfms−類似チロシンキナーゼ3リガンド、ヒトYM1&2、ヒトCEMI、ヒトジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、ヒトレプチン、ヒトmL259、ヒトプロテイナーゼ3、ヒトリゾチーム、ヒトデッドボックス蛋白質41、ヒトエトポシド誘導された蛋白質24、マウスカスパーゼ1、ウシアンギオジェニン、およびミミズルンブロキナーゼからなる群から選択される目的ポリペプチドをコードするものである、請求項63乃至87のいずれか一項に記載のコンストラクト。
【請求項89】
親和性タグを更に含む請求項63乃至88のいずれか一項に記載のコンストラクト。
【請求項90】
前記親和性タグがGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、S−タグ、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項89に記載のコンストラクト融合ポリペプチド。
【請求項91】
前記親和性タグが6HISである、請求項90に記載のコンストラクト融合ポリペプチド。
【請求項92】
リンカーDNAを更に含み、ここで、前記リンカーDNAは、前記第1のポリペプチドと前記第2のポリペプチドとの間に位置するものである、請求項63乃至91のいずれか一項に記載のコンストラクト。
【請求項93】
前記リンカーDNAがプロテアーゼ認識配列をコードすることによって、SFPと目的ポリペプチドとの間を切断するようにする、請求項92に記載のコンストラクト。
【請求項94】
前記プロテアーゼ認識配列が酵母kex2p−認識配列、kex2p−類似プロテアーゼ−認識配列、哺乳動物フリン−認識配列、エンテロキナーゼ−認識配列、サブチリシン−認識配列、タバコエッチウイルスプロテアーゼ−認識配列、トロンビン−認識配列、ユビキチン加水分解酵素−認識配列、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項93に記載のコンストラクト。
【請求項95】
前記プロテアーゼ認識配列がエンテロキナーゼ−認識配列である、請求項94に記載のコンストラクト。
【請求項96】
前記エンテロキナーゼ−認識配列がアミノ酸Asp−Asp−Lysである、請求項95に記載のコンストラクト。
【請求項97】
前記プロテアーゼ認識配列がkex2p−類似プロテアーゼ−またはkex2p−認識配列である、請求項94に記載のコンストラクト。
【請求項98】
前記リンカーDNAが親和性タグをコードするものである、請求項92に記載のコンストラクト。
【請求項99】
前記親和性タグがGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、S−タグ、またはその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項98に記載のコンストラクト。
【請求項100】
前記親和性タグが6HISである、請求項99に記載のコンストラクト。
【請求項101】
前記リンカーDNAが制限酵素認識部位を含むものである、請求項92に記載のコンストラクト。
【請求項102】
請求項63乃至101のいずれか一項に記載のコンストラクトを含む宿主細胞。
【請求項103】
前記宿主細胞が植物、バクテリア、菌類、酵母、または動物細胞から選択されるものである、請求項102に記載の宿主細胞。
【請求項104】
前記宿主細胞が酵母細胞である、請求項103に記載の宿主細胞。
【請求項105】
前記酵母細胞がカンジダ、テバリオミセス、ハンゼヌラ、クルイベロミセス、ピキア、シゾサッカロミセス、ヤロウイア、サッカロミセス、シュワンニオマイセス、およびアルクスラからなる群から選択されるものである、請求項104に記載の宿主細胞。
【請求項106】
前記酵母細胞がカンジダ−ユチリス、カンジダ・ボイジニイ、カンジダアルビカンス、クルイベロミセスラクティス、ピキアパストリス、ピキアスチピチス、シゾサッカロミセスポンベ、サッカロマイセス・セレビシエ、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ヤロウイアリポリティカ、シュワンニオマイセス・オクシデンタリス、およびアルクスラ・アデニニボランスからなる群から選択されるものである、請求項105に記載の宿主細胞。
【請求項107】
前記宿主細胞がkex2突然変異体である、請求項102に記載の宿主細胞。
【請求項108】
(i)SFPをコードするポリヌクレオチドおよび目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドで宿主細胞を形質転換させる工程;
(ii)前記目的ポリペプチドに融合した前記SPFを含む融合ポリペプチドが宿主細胞から生成され、分泌される条件下で、前記宿主細胞を培養する工程;および
(iii)前記融合ポリペプチドを単離する工程を含む、目的ポリペプチドを組換え的に生成する方法。
【請求項109】
SFPをコードする前記ポリヌクレオチドおよび目的ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが単一コンストラクトの一部である、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
SFPをコードする前記ポリヌクレオチドおよび目的ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが多数のコンストラクトの一部である、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記多数のコンストラクトが線型である、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記多数のコンストラクトが相同的組換えによって組換えされたものである、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記SPFおよび前記目的ポリペプチドがエンドプロテアーゼ消化によって分離されるものである請求項108に記載の方法。
【請求項114】
前記融合ポリペプチドが親和性タグを更に含むものである、請求項108に記載の方法。
【請求項115】
前記親和性タグがGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、S−タグ、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記親和性タグが6HISである、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記融合ポリペプチドがリンカーペプチドを更に含み、ここで、前記リンカーペプチドが、前記SFPと前記目的ポリペプチドとの間に位置するものである、請求項108に記載の方法。
【請求項118】
前記リンカーペプチドがプロテアーゼ認識配列を含むことによって、SFPと目的ポリペプチドとの間を切断するようにするものである、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記プロテアーゼ認識配列が酵母kex2p−認識配列、kex2p−類似プロテアーゼ−認識配列、哺乳動物フリン−認識配列、エンテロキナーゼ−認識配列、サブチリシン−認識配列、タバコエッチウイルスプロテアーゼ−認識配列、トロンビン−認識配列、ユビキチン加水分解酵素−認識配列、およびその任意の組合せからなる群から選択されるものである、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記プロテアーゼ認識配列がエンテロキナーゼ−認識配列である、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記エンテロキナーゼ−認識配列がアミノ酸Asp−Asp−Lysである、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記プロテアーゼ認識配列がkex2p−類似プロテアーゼ−またはkex2p−認識配列である、請求項119に記載の方法。
【請求項123】
前記リンカーペプチドが親和性タグを含むものである、請求項117に記載の方法。
【請求項124】
前記親和性タグがGST、MBP、NusA、チオレドキシン、ユビキチン、FLAG、BAP、6HIS、STREP、CBP、CBD、およびS−タグからなる群から選択されるものである、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記親和性タグが6HISである、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記宿主細胞が流加発酵によって培養されるものである、請求項108に記載の方法。
【請求項127】
前記SFPまたはその断片または誘導体が請求項1の方法によって確認されるものである、請求項108乃至126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−84またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−101またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−135またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−169またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−195またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−227またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−271またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記SFPが配列番号84のアミノ酸1−364またはその断片もしくは誘導体を含むものである、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
SFPがBGL2(配列番号80)、GAS3(配列番号81)、GAS5(配列番号82)、PST1(配列番号83)、SCW4(配列番号84)、SCW10(配列番号85)、SIM1(配列番号86)、UTH1(配列番号87)、YGP1(配列番号88)、YPS1(配列番号89)、およびZPS1(配列番号90)からなる群から選択されるものである、請求項108乃至126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記SFPがBGL2(配列番号62)、GAS3(配列番号63)、GAS5(配列番号64)、PST1(配列番号65)、SCW4(配列番号66)、SCW10(配列番号67)、SIM1(配列番号68)、UTH1(配列番号69)、YGP1(配列番号70)、YPS1(配列番号71)、およびZPS1(配列番号72)からなる群から選択されるポリヌクレオチドによってコードされるものである、請求項108乃至126のいずれ一項に記載の方法。
【請求項138】
前記SFPが配列番号1のアミノ酸176−213またはその断片または誘導体を含む親水性(HL)ドメインを含み、膜貫通ドメイン(TM)が欠如したものである、請求項108乃至126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記SFPが配列番号39またはその断片もしくは誘導体によってコードされるものである請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記SFPが配列番号42またはその断片もしくは誘導体によってコードされるものである請求項138に記載の方法。
【請求項141】
前記SFPが配列番号43またはその断片もしくは誘導体によってコードされるものである請求項138に記載の方法。
【請求項142】
前記SFPが配列番号44またはその断片もしくは誘導体によってコードされるものである請求項138に記載の方法。
【請求項143】
前記SFPが配列番号45またはその断片もしくは誘導体によってコードされるものである請求項138に記載の方法。
【請求項144】
前記目的ポリペプチドがヒトインターロイキン2(hIL−2)、エキセンディン−3、エキセンディン−4(EXD4)、グルカゴン−類似−ペプチド−1(GLP−1)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒトインターロイキン−1β、ヒトインターロイキン−6、ヒトインターロイキン−32α、ヒトインターロイキン−32β、ヒトインターロイキン−32γ、因子VII、因子VIII、因子IX、ヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン−α、ヒトインターフェロン−β、ヒトインターフェロン−γ、ヒト顆粒球−コロニー刺激因子、ヒト顆粒球大食細胞−コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト血小板−由来成長因子、ヒト塩基性線維芽細胞成長因子、ヒト表皮成長因子(EGF)、ヒトインスリン−類似成長因子、ヒト神経成長因子、ヒト形質転換成長因子β−1、ヒト濾胞刺激ホルモン、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、グルクロニダーゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、過酸化物ジスムターゼ、エンドトキシナーゼ、カタラーゼ、キモトリプシン、ウリカーゼ、アデノシンジホスファターゼ、チロシナーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ウシガラクトース−1−ポスフェートウリジリルトランスフェラーゼ、クラゲ緑色蛍光蛋白質、カンジダアンタクチカリパーゼB、カンジダルゴサ(Candida rugosa)リパーゼ、菌類クロロペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、レゾルバーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、トレハロースシンターゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、キシラナーゼ、フィターゼ、ヒトラクトフェリン、ヒトエリスロポエチン、ヒトパラオキソナーゼ、ヒト成長分化因子15、ヒトガレクチン−3結合蛋白質、ヒトセリンプロテアーゼ抑制剤、クニッツ類型2、ヒトヤヌスキナーゼ2、ヒトfms−類似チロシンキナーゼ3リガンド、ヒトYM1&2、ヒトCEMI、ヒトジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、ヒトレプチン、ヒトmL259、ヒトプロテイナーゼ3、ヒトリゾチーム、ヒトデッドボックス蛋白質41、ヒトエトポシド誘導された蛋白質24、マウスカスパーゼ1、ウシアンギオジェニン、およびミミズルンブロキナーゼからなる群から選択されるものである請求項108乃至143のうち、いずれか1に記載の方法。
【請求項145】
請求項108乃至144のいずれか一項に記載の方法によって組換え的に生成された、目的ポリペプチド。
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図25】
【図26】
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【図28】
【図29】
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【図31】
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【図1】
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【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2012−510808(P2012−510808A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539432(P2011−539432)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007231
【国際公開番号】WO2010/064748
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(508139457)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007231
【国際公開番号】WO2010/064748
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(508139457)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (19)
【Fターム(参考)】
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