説明

高分解機能X線顕微検査装置

【課題】 超高分解能で且つ非常に短時間での非破壊検査が可能であると共に、ターゲット切替機能、高精度の電子プローブ制御機能、CT機能、元素分析機能などの優れた機能を搭載したX線顕微検査装置を提供する。
【解決手段】 電子銃の電子発生部の近傍に磁界発生部が配置された磁界重畳レンズと、異なる波長のX線を発生する複数のX線発生用ターゲットとを具備し、検査目的に応じて前記X線発生用ターゲットを切替えて当該波長の特性X線を発生できるように構成する。更に、電子プローブ制御機能、電子線軸合わせ機能、CT機能、元素分析機能などの機能を搭載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はX線検査装置に関し、特に、高輝度電子流を放射する電子源を用いた超高分解能のX線顕微検査装置において、これまでにない高分解能CT(computerized tomography :X線断層撮影)機能、蛍光X線を利用した元素分析機能、複数の金属ターゲットを備えて検査目的に応じてターゲットを選べるターゲット切替機能などの新しい機能を付加したX線顕微検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線を利用した検査装置としては、X線顕微鏡,異物検査装置,蛍光X線分析装置などの各種の産業検査装置や、X線診断装置などの医療用X線装置が知られている。図9は、従来のX線検査装置の構成例を示している。本例でのX線検査装置は、電子源として熱電子放射陰極21bを用い、グリッド21aとアノード21cとの間に高電圧を印加することにより、電子源21bからの電子Reを加速後、電子レンズ22によりタングステンなどの高融点金属の薄板でできたターゲット23上に電子Reを集束させ、微小な点状X線源23aを得るようにしている。そして、X線源23aから発生する点状X線Rxを用いて試料(被検査体)10の内部を拡大投影し、試料内部の微細構造を非破壊で透視検査するというものである。
【0003】
本出願人が開発し商品化している従来のX線顕微検査装置では、集束レンズ系にできるだけ球面収差と色収差の少ないレンズを用いた二段縮小系と、熱電子源としてすぐれた性質をもつLaB6(六ほう化ランタン)カソードを採用し、さらに高感度のイメージ増強管を使用しており、分解能は1μmを切り、0.4μm程度に達している。この分解能は、実用的なX線検査装置としては世界的にみて現在最高の値(露光時間を無視すれば0.1μm程度までが最高の値)であるが、技術的に現状での限界と考えてよく、本発明で期待する0.1μmより良い分解能は、従来技術をもってしては不可能である(後述の非特許文献1〜5の説明参照)。
【0004】
一方、これら投影型のX線検査装置には、最近数社でマイクロCT機能が付加されるようになり、サンプル(試料)の任意の断面形状が観察できるため、その効用は非常に拡大した。しかしながら、現状でのCT像の分解能はもとの投影像のそれより数倍悪く、発展が阻まれている。これはCT像を得るのに必要な試料の回転における軸振れの技術的な制限と、試料をターゲットに近づけた状態で回転できないという本質的な制限によるものである。
【0005】
在来、投影型のX線検査装置では像のコントラスト(つまり透過度の違い)から試料の種類を推定するのみで、元素分析の必要性は極めて大きかったが、それが行われたことはなかった。これは在来の元素分析用検出器を試料の下部に置くと、ターゲットからの直接のX線と試料からの特性X線(この場合、蛍光X線)とが重なって区別がつかないからである。また図9に示すように、試料10の上方には検出器を入れるスペースがそもそも無かったことにもよる。
【0006】
試料によってはコントラストの付き方を変えて観察をすることが必要で、このため加速電圧とターゲットの種類を変えることが望ましい。加速電圧を変えることはよく行われることであるが、ターゲットを高真空に保ったまま変えることは非常に難しく、大がかりな装置にならざるを得ないので今までのX線検査装置でオンラインで行われたことはない。
【0007】
ここで、X線検査装置の分解能に係る従来の技術について説明する。
【0008】
分解能に係る技術については、例えば非特許文献1〜非特許文献5に開示されている。非特許文献1には、X線陰影顕微鏡に関し、従来、その分解能は0.5μmが限界であったが、今回ターゲットに非常に薄い金属膜(厚さ0.1μm)を用いることにより、分解能0.1μmを達成したことが記載されている。また、一枚の画像を得るのに露光時間は5分であったことが記載されており、この非特許文献1の論文が開示された後、露光時間を短くするための研究などが盛んに行われるようになった。また、非特許文献2は、電子顕微鏡の照射系を利用した透過型X線陰影顕微鏡についての研究報告(東北大学科学計測研究所報告)で、分解能0.1μmを達成したことが記載されてる。また、分解能に影響を与える各要因について理論的分析を行い、X線源のスポットサイズが分解能に一番影響を与えるという結論を導き出している。また、SEM(走査電子顕微鏡)であることを利用して、焦点合わせに偏向コイルで電子ビームを振ることを利用していることが記載されている。
【0009】
また、非特許文献3は、今日までのX線顕微鏡の流れを解説したものであり、特に生物試料の観察に言及して、比較的波長の短い(1〜100Å)軟X線顕微鏡について解説している。非特許文献4は、非特許文献2の内容とほぼ同じであるが、0.1μmの分解能の根拠になる波形が示されている(本文p.146)。非特許文献5は、X線顕微鏡についてわかりやすく解説されており、非特許文献2,3,4と同じで、コントラストが付きづらい試料に対してターゲットを変えることにより、像質が良くなることが示されている。
【非特許文献1】ニクソン(Nixon)著,「ハイ-リゾルーション エックス-レイ プロジェクション マイクロスコーピィ(High-resolution X-ray projection microscopy)」,1960年,A232:p.475−485
【非特許文献2】矢田 慶治・石川 寿,「SEMを利用した透過型X線陰影顕微鏡」,東北大学科学計測研究所報告,1980年, 第29巻 第1号 p.25−42
【非特許文献3】矢田慶治・篠原邦夫,「軟X線顕微鏡の発達」,1980年,生物物理 Vol.33 No.4 p.8−16
【非特許文献4】ケイジ ヤダ(Keiji Yada)・ショウイチ タカハシ(Shoichi Takahashi),「ハイ-リゾルーション プロジェクション エックス-レイ マイクロスコーピィ(High-Resolution Projection X-ray Microscopy)」,1994年,Chap.8 p133−150
【非特許文献5】矢田慶治・篠原邦夫,「投影X線顕微鏡の開発と生物学への応用」,1996年,青森公立大学紀要 第1巻 p.2−13
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
現在の半導体技術は微細化の一途をたどっており、0.1μm程度の分解能のX線顕微装置は近い将来必須のものとなると予想される。ナノテクノロジーの分野は情報、医療、環境にわたるが、例えば、医療で言われているマイクロマシンにおいては、それを構成する部品が1μmを切り、ナノのオーダーに入ろうとしている。また、現在の半導体技術は微細化の一途をたどっており、これまでにない微小X線源を用いて分解能0.1μm以下クラスでの非破壊検査が是非とも必要な課題となっている。特に情報分野では次世代超LSIの線幅を現在の180〜130nmから70〜100nmにしようという大きな課題がある。同時に、軽元素を主体とした微細構造が観察対象となるケースが多く、像にコントラストをつけるため、在来のX線検査装置では困難であった10〜20kVの低加速電圧による長波長のX線を用いても高分解能を保持することが重要な課題となっている。それと同時に、これまでにない多くの新しい機能が望まれよう。
【0011】
これまでにない高分解能をもつX線検査装置を製作するためには、より高輝度(単位面積/単位立体角あたりの電流量が多く)且つ放射電流量が多い電子源が必要になってくる。また、できるだけ多くの電子プローブ電流量を確保する電子レンズ系も必要になってくる。さらに、こうした高電流密度をもつ電子プローブが衝突しても融けたり蒸発しない様、ターゲットの放熱効果を大きくする工夫が必要になってくる。
【0012】
また、超高分解能(ここでは、0.1μm以下の分解能を言う)をもつX線検査装置において実用化が望まれる新機能の第1は、電子プローブのX線発生用ターゲット(X線源)に対するピント調整,電子プローブの非点収差補正などの調整を画像を見ながら容易に行うことが可能な機能(以下、焦点調整機能と言う)である。また、第2は、被検査体の所望の部位の検査やターゲットの切替えを可能とするために、電子プローブをターゲット面上で自由に振って当該X線により被検査体を走査可能とする機能(以下、電子プローブ制御機能と言う)である。第3は、X線発生用ターゲットに当てる電子線の軸合わせを容易に行うことが可能な電子線軸合わせ機能である。第4は、高分解能かつ高速のCT機能である。第5は、透視像の所望の部分の元素を分析する元素分析機能である。これには蛍光X線による元素分析を利用するが、そのためのX線ターゲットが必要である。従って、第6の機能としては、分析用ターゲットの他に短波長用と長波長用のターゲットを複数具備し、検査目的に応じてターゲットを切替可能とするターゲット切替機能である。
【0013】
本発明は上述のような事情から成されたものであり、本発明の目的は、ナノテクノロジーの分野に大きく貢献することができるX線顕微検査装置を提供することにある。詳しくは、超高分解能で且つ非常に短時間での非破壊検査が可能であると共に、ターゲット切替機能、高精度の電子プローブ制御機能、CT機能,元素分析機能などの優れた機能を搭載したX線顕微検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、電子源からの電子線をX線発生用ターゲットに当ててX線を発生させるX線発生手段を有し、前記X線を利用して被検査体を検査するX線顕微検査装置に関するものであり、本発明の上記目的は、電子銃の電子発生部の近傍に磁界発生部が配置された磁界重畳レンズと、異なる波長のX線を発生する複数のX線発生用ターゲットとを具備し、検査目的に応じて前記X線発生用ターゲットを切替えて当該波長の特性X線を発生できるように構成することによって達成される。
【0015】
また、本発明の目的は、前記X線発生用ターゲットの上方に検出部が配置され、前記磁界重畳レンズを介して形成された電子プローブの前記X線発生用ターゲットからの反射電子を検出する反射電子検出手段と、前記反射電子検出手段の検出信号に基づいて前記X線発生用ターゲットのターゲット面の電子像を画像化する電子像生成手段とを更に備え、前記電子プローブの前記X線発生用ターゲットに対するピント調整,非点収差補正を含む調整を前記電子像の画像情報に基づいて行い得るように構成すること、前記磁界重畳レンズを介して形成される電子プローブを前記X線発生用ターゲットの面上で自在に振るための走査コイルを更に備えること、前記電子源から発生する電子の発生部近傍に配置され、前記磁界重畳レンズを介して前記X線発生用ターゲットに当てる電子線の軸を電子の加速前に合わせる電子線軸合わせコイルを更に備えること、前記磁界重畳レンズを介して集束された電子線を電子プローブとして磁場の制御により前記X線発生用ターゲット上を所定の経路に沿って走査する電子プローブ制御手段と、前記走査に応じて得られた前記被検査体の透過X線の検出データに基づき、前記被検査体の異なる断面に係る複数枚の画像を処理して前記被検査体の当該断層の微細構造を表示可能にするX線断層画像生成手段とを更に備えることによって、それぞれ一層効果的に達成される。
【0016】
また、本発明の目的は、前記被検査体の上方で且つ前記X線発生用ターゲットから発生するX線の領域外に検出部が配置され前記被検査体から発生する蛍光X線を検出する蛍光X線検出手段と、前記蛍光X線検出手段からの蛍光X線検出信号及び各元素を特定するための設定値に基づいて前記被検査体の元素を分析する元素分析手段とを更に備えること、前記蛍光X線検出手段は、前記蛍光X線を検出する前記検出部にテルル化カドミウム半導体を用いること、前記電子源として、熱電界放射陰極又は液体金属電界放射陰極を用いること、前記ターゲットと前記被検査体との間に、前記ターゲットから発生したX線を通過させるピンホールを有することによって、それぞれ一層効果的に達成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、X線発生用ターゲットを手動で交換すること無く、検査目的に応じて自在に切替えることができるので、コントラストの付き方を変えて観察をするなど、波長の異なる複数のX線による検査が容易に行えるようになる。また、請求項2に係る発明によれば、高電流密度を有するX線発生用電子プローブにより被検査体の微細構造を高分解能で検査できると共に、これまでにない高性能の機能を有するX線顕微検査装置を提供することが可能となる。詳しくは、電子プローブのX線発生用ターゲットに対するピント調整,非点収差補正を含む調整を画像を見ながら容易に行うことが可能となる。また、請求項3に係る発明によれば、走査コイルにより電子プローブを自在に制御することができるので、被検査体を回転などさせること無く、所望の部位を検査することが可能となる。また、請求項4に係る発明によれば、電子線の軸を電子の加速前に合わせる機能を備えているので、高電流密度を有するX線発生用電子プローブの軸合わせを正確且つ極めて容易に行うことができる。
【0018】
また、請求項5に係る発明によれば、高分解能かつ高速のCT機能を備えているので、次世代超LSI等の検査など、ナノスケールでの非破壊検査を高精度で行うことが可能となる。また、請求項6に係る発明によれば、ターゲットからから発生するX線の影響を受けること無く、被検査体から発生する蛍光X線を検出して被検査体の元素を高精度で分析することができる。
【0019】
ところで、近年、半導体部品を筆頭にその構成最小単位はマイクロスケールからナノスケールヘ微細化が進んでいる。そうした部品の内部の微細構造を非破壊で検査し、特性X線を利用して被検査体ごとに最適なコントラストを実現し、微小部位の元素分析するということは今後、必要不可欠な技術になってくる。こうした内部構造を非破壊かつ高分解能で観察および分析できる手段は、今のところX線しかない。よって本発明により、ナノテクノロジーの分野に大きく貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
先ず、本発明に係るX線顕微検査装置の基本構成について説明する。本発明では、以下に説明する磁界重畳レンズを有するX線顕微検査装置の構成に、後述する電子像による焦点調整機能、電子プローブ制御機能、電子線軸合わせ機能、CT機能,元素分析機能,ターゲット切替機能などの多機能を実現するための手段を付加した装置構成としている。
【0021】
図1は、本発明に係るX線顕微検査装置の基本構成の一例を示しており、X線発生手段は、電子銃1、対物レンズ2、ターゲット3等から成り、電子銃1は、ショットキーモジュール1a,電子源1b,アノード1c等から構成される。
【0022】
本実施の形態では、X線顕微検査装置の電子銃1の電子発生部の近傍に、X線顕微鏡では使われたことのない磁界重畳レンズ1dを配置し、少なくとも電子発生部1aから電子加速手段の構成要素であるアノード1cに至るまで、電子銃が作る電界に磁界重畳レンズ1dが作る磁界を重畳させて、電子Reをアノード1cで加速しながら集束させる構成としている。すなわち、電子発生部1aから発生した直後の電子Reを集束させながら加速することによって集束電子線の損失電子線量を減らしている。そして、高電流密度を有する集束電子線(X線発生用電子プローブ)をターゲット3に当て、ターゲット3から発生するX線量を増加させるようにしている。
【0023】
いわゆる磁界重畳レンズは、従来より透過電子顕微鏡や走査電子顕微鏡等の電子線装置においては使用されているが、これらの電子線装置では、電子線のスポット径は小さいが、放射電流量が少ないためターゲット3から所望のX線量が得られず、X線顕微検査装置には適用できなかった。その理由は、電子顕微鏡では放射電流量はかなり小さくても信号量として充分でそれ程問題とならないが、X線顕微検査装置では、電子顕微鏡と違い、少ないプローブ電流では、像が暗く、長い露光時間を要するという問題が発生するからである。特に、露光時間が短いというのが産業用に普及するための必要条件である。また、電子顕微鏡等の電子線装置では、超高真空が求められる電子銃室内に磁気回路等を組込む構成としている。より大電子流(プローブ電流)を必要とするX線顕微検査装置では、電子流が当たって放出するガスと発熱を伴う磁気回路による真空の劣化を解決するのが困難であった。そのため、電子線装置で使用されているものをX線検査装置に適用したものはなく、従来のX線検査装置では、アノードで加速した電子線をレンズで曲げて集束させるようにしていた。本発明に係るX線顕微検査装置では、ガス放出量が少ないとされている材料の採用と磁気回路を真空的に分離し、かつ水冷することでこの問題を解決している。
【0024】
ここで、本発明に係るX線検査装置独特の磁界重畳レンズの構成について、走査電子顕微鏡装置等の電子線装置で使用されているものと比較して説明する。
【0025】
FE(電界放射)電子銃は、輝度が高く且つ干渉性の良い電子線が得られることから、透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡、走査透過型電子顕微鏡、あるいは電子線露光装置などで威力を発揮している。しかし、この性能は、光源のクロスオーバを著しく小さく縮小して得られる。いわゆる電子線プローブもナノメータサイズ以下(サブナノメータ)のプローブとした時に初めて十分な性能を発揮している。しかし、光源のクロスオーバをサブミクロンからミクロンサイズと拡大したプローブを得ようとすると、拡大レンズの大きな収差によって十分なプローブ電流を得ることは困難となる。この収差は電子銃の光源の位置から拡大レンズ(1段又は複数段)の初段までの距離に関係し、距離の3−4乗に比例する。そのため電子銃部に電子レンズを付加した、いわゆる複合レンズが考案され、一部で実用化されている。
【0026】
しかし、従来のFE電子銃は、図10の構成例に示すように、電子銃室の筐体は全体がステンレスなどの真空シール材1Bで形成されており、その超高真空内に配置された電子銃先端部1Aに独立した磁気回路1d(磁性体1d11,励磁コイル1d12等)を組み込んだ構成としている。このような構成では、超高真空が求められるFE電子銃室A内に発熱を伴う磁気回路、冷却水、磁気コイルの組み込み、それらにつながるリード線、配管の取り出しに大きな困難が伴う。また、電子銃と電子レンズの軸合わせ機構も極めて困難である。これに対して、本発明に係る磁界重畳レンズを有する電子銃(以下、磁界レンズ重畳電子銃と言う)は、磁気回路1d等から成る磁界重畳レンズの磁界発生部を、電子銃の電子源(電子を発生する電子銃先端部1A)の近傍で且つ電子銃室とは真空的に分離した部位に設けた構成としている。
【0027】
図2は、本発明に係る磁界レンズ重畳電子銃の第1の構成例を、図10に示した従来のFE電子銃の構成に対応させて示しており、1Aはエミッタ,サプレッサ,エキストラクタ等から構成される電子銃先端部、1dは磁気回路、1d11は磁気回路を構成する磁性体、1d12は、磁気回路1dのための励磁コイル、sは電子レンズの二つのポールピースの間隔、b2(図10では“b”)はポールピースの穴径をそれぞれ示している。図2に示すように、本実施の形態では、電子銃室そのものを磁性体1d11等から成る磁気回路1dの中に組み込んだ構成としている。詳しくは、磁界重畳レンズ1dの構成要素として、図2中に示すような例えば断面が矩形状で筐体の全体(又は一部)が磁性体で覆われた電子銃収容部を電子銃室Aとして具備し、その電子銃収容部内に電子銃が組み込まれた構成となっている。すなわち、電子銃室を構成する筐体の部位(上板、底板、外筒など筐体の一部又は全体)を磁気回路(磁界発生部)の一部又は全体とし、電子銃と電子レンズ1dとを真空的に分離した構成としている。
【0028】
この第1の構成例では、強い励磁が求められるが、物面(光源のクロスオーバ)はレンズ場中心より後方に配置されるため、収差係数(特に球面収差)を十分小さくできるという効果がある。その理由は、一般に、物面(この場合、光源のクロスオーバ)から電子レンズ下極までの距離が固定されると、ポールピースの穴径、間隔は大きい方が球面収差は小さくなるからである。なお、色収差はその限りではないが、本発明の対象として色収差は無視することができる。また、超高真空が求められる電子銃室とは構成上分離した形となるため、真空シール、冷却水、リード線の取り出しなどが容易になるという効果がある。
【0029】
図3は、本発明に係る磁界レンズ重畳電子銃の第2の構成例を図2に示した第1の構成例に対応させて示しており、本実施の形態では、図3に示すように、電子銃先端部1Aと磁性体1d11とがより近接するように、例えば断面が凹状に形成された磁性体1d11等から成る磁界重畳レンズ1dの上部に凸状の電子銃室Aを設け、電子銃先端部1Aを磁界重畳レンズ1dの上側から磁界の中に挿入する形の構成としている。図2に示した第1の構成例では極めて強い磁界が得られるため、低加速電子線に対しては極めて有効であるが、ある程度、高加速の電子線に対しては必ずしも好都合とは言えない。そこで、小さな励磁で済むように、ポールピースの穴径b(本例では上下が異なる径サイズの穴径b1,b2)、間隔sを小さくして、その磁界の中に電子銃先端部1Aを挿入する形としたのが、本実施の形態である。
【0030】
上記の磁界レンズ重畳電子銃の第1,第2の構成例とも、磁界重畳レンズは、磁界発生部を電子銃の電子発生部の近傍で且つ電子銃室とは分離した部位に配置した構成としており、電子銃と電子レンズとを真空的に分離できる(焼きだしを含めて超高真空を実現しやすい)という効果と、電子銃の作る電界と電子レンズの作る磁界とを無理なく重畳できるという効果がある。また、40nm〜100nmのナノスケールでの高分解能のX線顕微検査装置とするため、図1のX線顕微検査装置は、X線発生手段の構成要素として、上記の磁界重畳レンズ1dの他に、輝度がLaB6陰極より2桁高く、同時に実効的な電子源の大きさが3桁小さい「熱電界放射陰極」又は「液体金属電界放射陰極」を、X線顕微検査装置としては初めて用いた電子源1bを備えている。そして、液体金属を用いた電子源の場合、液体金属(低融点金属のうち融点での蒸気圧が比較的低いIn(インジウム),Ga(ガリウム)などの金属)が電子発生部先端に供給される構成としている。
【0031】
また、電子ビームによるターゲットの温度上昇を大幅に減少させ、電子線から変換されるX線が大幅に増加しても熱的負荷に耐えられるターゲットを実現するため、X線発生用ターゲット3としては、X線が透過し易く、絶縁物であるにも拘わらず熱伝導率が極めて高く、且つ融点も極めて高いダイヤモンド(CVD(chemical vapor deposition)にて形成された薄板状のダイヤモンド)をヒートシンクとして、そのダイヤモンド上にターゲット材料をCVDにより蒸着した構成の「ダイヤモンドヒートシンク付きターゲット」を備えている。
【0032】
電子線集束用のレンズとしては、原理的には上述した磁界重畳レンズ1dだけで良く、図1に示したターゲット3側の電子レンズ(対物レンズ)2は必須構成ではないが、対物レンズ2を設けて電子線の集束を2段階とすることで、所望の電子プローブサイズとプローブ電流を選択する自由度が極めて大きくなる。また、従来の装置(図9参照)と比較して、本発明のX線顕微検査装置では、対物レンズ2の焦点距離が長く、従来のX線顕微検査装置では得られない長い作動距離(数cm)を実現することができる。そのため、対物レンズ2とターゲット3との間の空間を広くとることができ、その空間内に検査に係る周辺機器を設置することが可能となる。本発明では、上記の空間内に後述する検出機器を配置し、高電流密度を有するX線発生用電子プローブにより被検査体の微細構造を高分解能で検査できると共に、これまでにない機能を有する高性能のX線顕微検査装置を実現している。
【0033】
以下、本発明に係る各機能を搭載したX線顕微検査装置について説明する。
【0034】
本発明のX線顕微検査装置では、[発明が解決しようとする課題]で述べた第1〜第6の機能、すなわち、(1) 電子像によるピント調整,非点収差補正などの焦点調整機能、(2) 電子プローブをターゲット面上で自由に振って当該X線により被検査体を走査可能とする電子プローブ制御機能、(3) X線発生用ターゲットに当てる電子線の軸合わせを行う電子線軸合わせ機能、(4) 高分解能かつ高速のCT機能,(5) 透視像の所望の部分の元素を分析する元素分析機能,(6) 検査目的に応じて目的に応じてターゲットを切替可能とするターゲット切替機能、の少なくともいずれか一つ以上の機能を付加した装置構成としている。これらの機能を実現するためには、前述した「熱電界放射陰極」又は「液体金属電界放射陰極」を用いた電子源1b、ダイヤモンドヒートシンク付きターゲット3は、構成要素としては必須ではなく、従来のLaB6陰極を用いた電子源、ダイヤモンドヒートシンクを有しないターゲットであっても良いが、より高分解能の装置を実現するために、本実施の形態では上記構成要素を備えた装置構成としている。
【0035】
図4は、本発明に係る多機能を有するX線顕微検査装置の構成の一例を図1に対応させて示しており、図1の装置と同一構成箇所は同符号を付して説明を省略する。
【0036】
本発明に係るX線顕微検査装置は、前述のように、電子Reを加速しながら集束する電子レンズ(磁界重畳レンズ)1dを導入することにより、損失電子線量を減らしながら全体として数倍の拡大系として動作させるようにしている。このように、レンズ系が縮小系でなく拡大系で作動させるため、対物レンズ2の焦点距離が長く、従来のX線顕微検査装置では得られない長い作動距離(数cm)を実現することができる。
【0037】
本実施の形態では、対物レンズ2とターゲット3との間に、偏向コイル(走査コイル)4と反射電子検出電極12aから成る反射電子検出器12の検出部とがそれぞれ設けられている。偏向コイル4は、磁界重畳レンズ1dを介して形成される電子プローブ(電子ビームRe)をX線発生用ターゲット3の面上で自在に振るためのコイルである。本例では、図4中に示すように、偏向コイル4が対物レンズ2の中心側の下部に形成されている。反射電子検出電極12aは、X線発生用ターゲット3からの反射電子を検出するための鏡体と絶縁された電極であり、反射電子検出器12の検出信号は、本例では分析用コンピュータ15に入力され、ターゲット面の電子像が画像化されてモニタ表示されるようになっている。
【0038】
また、被検査体(試料)10の上方で且つX線発生用ターゲット3から発生するX線の領域外に、被検査体10から発生する蛍光X線を検出するための蛍光X線検出器13が配置されている。蛍光X線検出器13で検出した蛍光X線の検出情報は、パルスハイトアナライザー14を介して分析用コンピュータ15に入力され、蛍光X線の検出情報及び各元素を特定するための設定値に基づいて被検査体の元素の分析処理が行われるようになっている。
【0039】
上述のような構成において、本発明のX線顕微検査装置が有する各機能について説明する。図4に示したX線顕微検査装置は、電子線の軸調整を極めて容易にするために、X線ターゲット3の近傍に反射電子検出器12が配置されており、電子プローブにより走査することによってX線発生用ターゲット3の表面の電子像を画像化できるように構成されている。そして、ターゲット3の反射電子像が、ピント調整(電子プローブのX線発生用ターゲットに対するピント調整),電子プローブの非点収差補正などの調整によって、最もシャープになった時に走査を止めることで、所望の電子プローブが得られるようになっている。この方法はX線顕微検査装置では初めての試みである。この反射電子像による調整は、例えば分析用コンピュータ15により画像化された画像を見ながら、対物レンズ2を電磁的に調整することにより行われるが、外部からの信号で制御可能な駆動機構を設けて、電子像の画像情報に基づいて自動的に調整する構成としても良い。
【0040】
上記の電子プローブによる走査は、電子プローブの周囲の偏向コイル(走査コイル)を用いて行われ、X線発生用ターゲット上を所定の経路に沿って走査するように制御する。
【0041】
ところで、高分解能のX線顕微検査装置を実現するには、試料(被検査体)10に照射するX線量が多く、且つ高強度で微小な焦点サイズのX線を発生させるためには、ターゲット3に当てる電子線は高性能レンズにより集束のロスが少なく電子量が多いことが重要であるが、X線発生用の電子ビームの軸の向き及び位置も重要である。本実施の形態では、図1並びに図4に例示したように、X線顕微検査装置としては初めて、電子発生部1Aの近傍(電子源のすぐ近くに)に電子線軸合わせコイル1eを配置する構成とし、この軸合せコイル1eにより、アノード1cで加速する前の電子線をX,Y方向にシフトして軸を合わせることで、電子ビームのX線源に対する軸合わせを正確且つ極めて容易にできるようにしている。この軸合わせは、前述のピント調整と共に、例えば分析用コンピュータ15により画像化された反射電子像の画像を見ながら行われる。
【0042】
本実施の形態では、電子ビーム(X線発生用の電子プローブ)によりスキャンして、反射電子検出器12の検出信号に基づいてターゲット表面の反射電子像を観察する能力があるので、走査コイル4に流す電流を制御して、例えば図5の例のように、電子ビームReを偏向してターゲット3上で円形にスキャンするなど、電子プローブを自在に動作させる機能を付加することによって、被検査体10を回転しなくてもターゲット3上で円形に電子ビームReを振りながら多数の像Isを取り込むことができる。そのため、CT処理によって任意の断面積の観察が可能となる。この方法は、被検査体10がターゲット3に接近した高分解能を期待できる状況で極めて精度よく被検査体を回転するのと等価な状態であり、数倍高分解能・高速のCT機能が実現できる。
【0043】
ここで、電子プローブの走査によるX線断層の撮像処理について説明する。本実施の形態では、磁界重畳レンズ1dを介して集束された電子線を電子プローブとして、磁場の制御によりX線発生用ターゲット3上を任意の経路に沿って走査する電子プローブ制御手段と、走査に応じて得られた被検査体10の透過X線の検出データに基づき、被検査体10の異なる断面に係る複数枚の画像を処理して被検査体10の当該断層の微細構造を表示可能にするX線断層画像生成手段とを備えている。これらの電子プローブの制御と画像処理は、分析用コンピュータ15、若しくは図示されない制御回路若しくは他のコンピュータで行われる。
【0044】
図4に示した走査コイル4は、例えば図6に示すように、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ対向して環状に配置された4つの円弧状のコイル4Xa,4Xb,4Ya,4Ybから構成される。そして、これらの走査コイル4に流す電流を制御して電子プローブの周囲の磁場を変える。これにより、電子プローブの位置と方向を変えることで、被検査体10を円形にスキャンするなど所望の方向にスキャンしてそのX線像を得る。
【0045】
図7(A)は、電子プローブにより水平方向,垂直方向にスキャンする場合の走査コイル4の制御例を模式的に示している。また、同図(B)は、円形方向にスキャンする場合の走査コイル4の制御例を模式的に示している。これらの図7(A),(B)に示すように、X軸方向のコイル4Xa,4Xb、及びY軸方向のコイル4Ya,4Ybに流す電流量を制御することにより、電子プローブを偏向させてX線源23aの位置を連続的に変えることで、被検査体10をスキャンしてそのX線像を得る。
【0046】
次に、元素分析機能について説明する。被検査体10にX線を照射すると全方位に被検査体の構成元素特有の波長をもった蛍光X線が発生する。これを検出できれば被検査体の元素分析が可能となる。他方、ターゲット3からは連続X線と特性X線が出るが、特に連続X線は電子の入射方向に沿って下方に照射される。そのため被検査体の下方で蛍光X線検出器を置いても連続X線がバックグラウンドになり蛍光X線が測定できない。本発明に係るX線顕微検査装置は、対物レンズ2の焦点距離が長く、前述のように従来のX線顕微検査装置では得られない長い作動距離(数cm)を実現できるため、図4に示したように、被検査体10の上方で且つX線の発生領域外(本例ではX線ターゲットの斜め上方)に蛍光X線分析用検出器13を置く空間を確保できる。
【0047】
蛍光X線の検出器13としては、冷却しないで使用でき、且つ検出感度の高い
CdTe(テルル化カドミウム半導体)などを使用する。分析の部位を特定するために10−20μm程度のピンホールを設け、被検査体上面で走査して上方に出た蛍光X線を分析すると同時に、ピンホール5を通り抜けたX線でできた透視像で位置的な同定を行うことができるようにする。
【0048】
蛍光X線は、1次X線がエネルギーの高い硬X線の方が発生効率が高いので、分析用ターゲットにはなるべく原子番号の大きいものを用いるのが望ましい。同時にそのターゲットからの特性X線が観察しようとする被検査体の蛍光X線と紛らわしくないものであることが必要である。また、分解能と並んで重要な像のコントラストは加速電圧とターゲット材の種類に依存する。従来のX線検査装置は、単一のターゲット材を用いており、ターゲットを変えて様々な特性X線を利用するという機構のものはなかった。
【0049】
本発明ではターゲットとして従来一般的に用いられてきたW(タングステン)のほか、蛍光X線分析用や軽元素試料用を考慮して、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Ge(ゲルマニウム)、Mo(モリブデン)、Rh(ロジウム)、Re(レニウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)といった高融点金属をCVD法もしくはスパッタ法により、図8に示すように、微細な帯状に構成し、ターゲット3の直上の走査コイル4に電子ビームを移動する機能を付加して、各々のターゲット3(本例では3a,3a,3c)を観察目的に合わせて、反射電子像を見ながら選択できるようにする。その結果、各々の試料に最適なコントラストをもたらすターゲット材料を容易に選べるようになる。
【0050】
下記の表1は、これらのターゲット材料の原子番号、Kα、Lα線の波長、融点を示している。この表1からあまり観察用試料に使われない材料という観点から、分析用ターゲットとしては“Rh”が適していることが判る。
【0051】
【表1】

なお、上述した実施の形態においては、全ての機能を搭載したX線顕微検査装置を例として説明したが、個々の機能を独立して搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る本発明に係るX線顕微検査装置の基本構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る磁界レンズ重畳電子銃の第1の構成例を示す模式図である。
【図3】本発明に係る磁界レンズ重畳電子銃の第2の構成例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る多機能を有するX線顕微検査装置の構成の一例を示す模式図である。
【図5】本発明におけるCT機能を説明するための模式図である。
【図6】走査コイルの構成例を示す模式図である。
【図7】電子プローブを自由に振るための走査コイルの制御方式を説明するための図である。
【図8】本発明におけるターゲット切替機能を説明するための図である。
【図9】従来のX線検査装置の構成の一例を示す概略図である。
【図10】従来のFE電子銃の構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0053】
1 磁界レンズ重畳電子銃
1A 電子銃先端部(電子発生部)
1B 真空シール材
1a ショットキーモジュール
1b 液体金属電界放射陰極又は熱電界放射陰極(電子源)
1c アノード
1d 磁界重畳レンズ
1d 磁気回路
1d11 磁性体
1d12 励磁コイル
1e 軸合わせコイル
2 対物レンズ
3 ダイヤモンドヒートシンク付きターゲット
3a ターゲット材料
3b ダイヤモンド板
4 走査コイル(偏向コイル)
5 ピンホール
10 被検査体(試料)
11 X線検出器
12 反射電子検出器
12a 反射電子検出電極
13 蛍光X線検出器
14 パルスハイトアナライザー
15 分析用コンピュータ
21 熱電子放射電子銃
21a グリッド
21b 熱電子放射陰極(電子源)
21c アノード
22 電子レンズ(対物レンズ)
23 ターゲット
23a X線源
24 検出器
Re 電子(電子線)
Rx X線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子源からの電子線をX線発生用ターゲットに当ててX線を発生させるX線発生手段を有し、前記X線を利用して被検査体を検査するX線顕微検査装置において、電子銃の電子発生部の近傍に磁界発生部が配置された磁界重畳レンズと、異なる波長のX線を発生する複数のX線発生用ターゲットとを具備し、検査目的に応じて前記X線発生用ターゲットを切替えて当該波長の特性X線を発生できるように構成したことを特徴とする高分解能X線顕微検査装置。
【請求項2】
前記X線発生用ターゲットの上方に検出部が配置され、前記磁界重畳レンズを介して形成された電子プローブの前記X線発生用ターゲットからの反射電子を検出する反射電子検出手段と、前記反射電子検出手段の検出信号に基づいて前記X線発生用ターゲットのターゲット面の電子像を画像化する電子像生成手段とを更に備え、前記電子プローブの前記X線発生用ターゲットに対するピント調整,非点収差補正を含む調整を前記電子像の画像情報に基づいて行い得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載の高分解能X線顕微検査装置。
【請求項3】
前記磁界重畳レンズを介して形成される電子プローブを前記X線発生用ターゲットの面上で自在に振るための走査コイルを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の高分解能X線顕微検査装置。
【請求項4】
前記電子源から発生する電子の発生部近傍に配置され、前記磁界重畳レンズを介して前記X線発生用ターゲットに当てる電子線の軸を電子の加速前に合わせる電子線軸合わせコイルを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の高分解能X線顕微検査装置。
【請求項5】
前記磁界重畳レンズを介して集束された電子線を電子プローブとして磁場の制御により前記X線発生用ターゲット上を所定の経路に沿って走査する電子プローブ制御手段と、前記走査に応じて得られた前記被検査体の透過X線の検出データに基づき、前記被検査体の異なる断面に係る複数枚の画像を処理して前記被検査体の当該断層の微細構造を表示可能にするX線断層画像生成手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の高分解能X線顕微検査装置。
【請求項6】
前記被検査体の上方で且つ前記X線発生用ターゲットから発生するX線の領域外に検出部が配置され前記被検査体から発生する蛍光X線を検出する蛍光X線検出手段と、前記蛍光X線検出手段からの蛍光X線検出信号及び各元素を特定するための設定値に基づいて前記被検査体の元素を分析する元素分析手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の高分解能X線顕微検査装置。
【請求項7】
前記蛍光X線検出手段は、前記蛍光X線を検出する前記検出部にテルル化カドミウム半導体を用いることを特徴とする請求項6に記載の高分解能X線顕微検査装置。
【請求項8】
前記電子源として、熱電界放射陰極又は液体金属電界放射陰極を用いることを特徴とする請求項1に記載の高分解能高分解能X線顕微検査装置。
【請求項9】
前記磁界発生部は、前記電子銃が設けられた超高真空の電子銃室の外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の高分解能X線顕微検査装置。
【請求項10】
前記ターゲットと前記被検査体との間に、前記ターゲットから発生したX線を通過させるピンホールを有することを特徴とする請求項1に記載の高分解能高分解能X線顕微検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−212468(P2007−212468A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68703(P2007−68703)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【分割の表示】特願2002−302537(P2002−302537)の分割
【原出願日】平成14年10月17日(2002.10.17)
【出願人】(000151601)株式会社東研 (18)
【Fターム(参考)】