説明

高効率交差スロットマイクロストリップアンテナ

交差スロット給電マイクロストリップアンテナ(100)が提供される。このアンテナ(100)は、少なくとも一つの交差スロット(125)を有する導電性グラウンドプレーン(125)と、少なくとも2つの給電配線(105)とを有する。給電配線(105)は、それぞれスタブ領域(105)を有し、この領域は、交差スロット(125)の外側に広がり、交差スロット(125)にまたは交差スロットからの信号エネルギーを伝送する。またアンテナ(100)は、グラウンドプレーン(120)と給電配線(105)の間に設置された第1の基板(150)を有する。第1の基板(150)は、第1の領域と、少なくとも第2の領域とを有し、この第2の領域は、第1の領域とは異なる基板特性を有する。第1の領域は、給電配線(105)の少なくとも一方に近接して設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差スロット給電マイクロストリップアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
RF回路、伝送線路およびアンテナ素子は、通常特別に設計された基板ボード上に製作される。従来の回路ボード基板は、一般に一体成形またはスプレーコーティングのようなプロセスによって製作され、これにより基板には、通常均一な誘電率などの物理特性が付与される。
【0003】
RF回路では、通常インピーダンス特性を慎重に制御し、これを維持することが重要となる。回路の異なる部分のインピーダンスが整合しない場合、結果的に信号が反射され、伝送出力が不十分になる。これらの回路内の伝送線路および放射器の電気的な長さも、重要な設計事項となる。
【0004】
回路特性に影響を及ぼす2つの重要な因子は、誘電率(時折、相対誘電率またはεと呼ばれる)および基板誘電体の損失タンジェント(時折、損失因子と呼ばれる)に関するものである。相対誘電率または誘電率は、基板材料の信号の電波速度を定め、従って伝送線路および他の基板上に設置された構成物の電気的長さを定める。損失タンジェントは、信号が基板材料に伝送される際に生じる信号損失量を定める。損失は周波数の増大とともに増大する傾向にある。従って周波数の増大とともに、特に受信機前部および低ノイズ増幅器回路の設計の際の、低損失材料の重要性がより高まる。
【0005】
RF回路に用いられるプリント伝送線路、パッシブ回路および放射素子は、多くの異なる方法で構成される。ひとつの構成は、マイクロストリップとして知られており、信号配線を基板表面に設置し、さらに通常グラウンドプレーンと呼ばれる第2の導電層を設置するものである。第2の構成は、埋設マイクロストリップとして知られており、信号配線が誘電体基板材料で被覆されている以外は、前述の構成と同様のものである。第3の構成は、ストリップラインとして知られており、信号配線が2つの導電性(グラウンド)プレーンの間に設置されるものである。
【0006】
損失を無視すると、ストリップラインまたはマイクロストリップラインのような伝送線路の特性インピーダンスは、近似的に
【0007】
【数1】

となる。ここでLは、単位長さあたりのインダクタンス、Cは、単位長さあたりのキャパシタンスである。通常LとCの値は、配線構造の物理形状および間隔、並びに伝送線路を分離するために使用される誘電体の誘電率や透過率によって決まる。従来の基板材料では、通常、相対透過率は約1.0である。
【0008】
従来のRF回路では、基板材料は、単一の相対誘電率値と単一の相対透過率値を有するように選定され、相対透過率値は、約1である。基板材料が選定されると、通常配線の幾何形状を制御することによって、配線の特性インピーダンス値が独立に設定される。
【0009】
無線周波数(RF)回路には、通常ハイブリッド回路が採用され、複数のアクティブおよびパッシブ回路構成物が、セラミック基板のような電気絶縁性ボード基板の表面に設置され、相互に接続される。通常各種構成物は、銅、金またはタンタルのような、関心周波数範囲において伝送線路(例えばストリップラインまたはマイクロストリップラインまたはツインライン)として機能するプリント金属導電体によって、相互に接続される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のように、基板上に形成される各種パッシブ構成物、放射素子および伝送線路回路の全てに合理的に適した誘電体ボード基板を、マイクロストリップラインRF回路用に選択しようとした場合、問題が生じる。
【0011】
特に、ある回路素子の幾何形状は、そのような素子に要求される特定の電気的またはインピーダンスの特性によって、物理的に大きくなったり、小さくなったりし得る。例えば、多くの回路素子または同調回路は、電気的に1/4波長とする必要がある。同様に多くの場合、極めて大きなまたは小さな特性インピーダンス値が配線幅に要求されると、所与の基板について、実際にこれを実施しようとすると、極めて狭小または広幅な配線幅となってしまう。マイクロストリップラインやストリップラインの物理的寸法は、誘電体材料の相対誘電率に反比例し、伝送線路または放射素子の寸法は、選択された基板ボード材料によって、大きな影響を受け得る。
【0012】
また、ある構成物に対して最適な基板材料の設計的選択は、アンテナ素子のような別の構成物のボード基板材料には、最適ではない場合がある。さらに、いくつかの設計対象となる回路構成物が、相互に整合しない場合もある。例えば、アンテナ素子の寸法は小さくすることが好ましい。これは、50乃至100程度の高誘電率値を有するボード材料を選定することで満たされる。しかしながら相対誘電率の高い誘電体を使用すると、通常アンテナの放射効率は著しく低下してしまう。
【0013】
アンテナ素子は、時折マイクロストリップスロットアンテナとして構成される。マイクロストリップスロットアンテナは、一般に別の種類のアンテナに比べて、必要空間が少なくてすみ、単純で、通常製作コストが低いという利点を有する。またマイクロストリップアンテナは、プリント回路技術と十分な互換性がある。
【0014】
高効率マイクロストリップアンテナを構成する際のある重要な因子は、誘電損失を含むいくつかの要因によって生じる、出力損失の最小化である。通常誘電損失は、束縛電荷の不完全な挙動により生じ、誘電体材料が時間とともに変化する電場内に置かれた際、常に生じる。一般に誘電損失は、作動周波数の増大とともに増加する。例えば、マイクロストリップパッチアンテナにおける誘電損失の程度は、原則として、放射パッチとグラウンドプレーンの間の誘電空間の誘電率によって決まる。ほとんどの場合、相対誘電率は真空または空気の値となり、約1である。
【0015】
相対誘電率が1に近い誘電体材料は、「良好な」誘電体材料である。良好な誘電体材料は、感心作動周波数において低い誘電損失を示す。従って、相対誘電率が実質的に1に等しい誘電体材料を使用した場合、誘電損失は、有効に解消される。従って、マイクロストリップパッチアンテナシステムにおいて、高い効率を維持させる一つの方法は、放射器パッチとグラウンドプレーンの間の空間に、相対誘電率の低い材料を用いることである。
【0016】
また相対誘電率の低い材料を使用した場合、幅広の伝送線路を使用することが可能となり、導電損失が抑制され、マイクロストリップアンテナの放射効率を向上させることができる。しかしながら、誘電率の低い誘電体材料の使用には、スロット給電アンテナのスロットを通る給電線路からの放射出力を、効率的に集束させることができなくなるという問題がある。
【0017】
マイクロストリップアンテナは、時折、例えば環状偏向出力が必要な場合、複数の偏向を放出するように構成される。通常は、ジュアル偏向および4偏向が利用される。これらの場合、交差スロット構造が形成される。例えば、各々が交差スロットの別のスロットを駆動する2つの給電線路が90゜の位相差を有する場合、環状偏向出力が形成される。4つの給電線路で交差スロットを駆動させることにより、均衡が改善される。給電線路は、最近接部同士の位相が90゜ずれている。
【0018】
好ましくないことに、交差スロットマイクロストリップアンテナの特性は、単一の均一な誘電率を有する特定の誘電体材料の区画によって、劣化する。誘電率が低い場合、幅広の給電線路が得られるため、抵抗損失の抑制が可能となり、配線による誘電損失が最小化される。しかしながら、スロットと給電線路の間の接合領域に誘電率の低い誘電体材料がある場合、スロットを介する結合特性の劣化のため、アンテナ放射効率は低下してしまう。このように従来の誘電体材料では、必然的に損失得性またはアンテナ効率のいずれかを犠牲にして、選定する必要が生じる。
【0019】
本発明では、このような問題を抑制することのできる高効率交差スロットマイクロストリップアンテナ等のアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、交差スロット給電マイクロストリップアンテナに関する。アンテナは、導電性グラウンドプレーンを有し、このグラウンドプレーンは、少なくとも一つの交差スロットを有する。さらにアンテナは、少なくとも2つの給電配線を有する。給電配線は、各々が交差スロットの外側に広がるスタブ領域を有し、これらの給電配線は、交差スロットにまたは交差スロットから信号エネルギーを伝送する。給電配線は、位相がずれており、複数の偏向放射パターンを提供する。
【0021】
さらにアンテナは、グラウンドプレーンと前記給電配線の間に設置された第1の基板を有する。第1の基板は、第1の領域および少なくとも第2の領域を有する。第1の領域は、第2の領域とは異なる基板特性を有し、給電配線の少なくとも一方に隣接している。基板特性には、誘電率と透過率が含まれる。第1の領域の透過率および/または誘電率は、第2の領域の透過率および/または誘電率より大きくても、小さくてもよい。さらに磁性粒子を用いることにより、いずれの基板領域の透過率を調整することも可能である。例えば、第1の領域の透過率を約1にして、第2の領域の透過率を1から10の間にすることができる。
【0022】
アンテナは、グラウンドプレーン上に設置された放射器パッチを有しても良く、第2の基板は、放射器パッチとグラウンドプレーンの間に設置される。また第2の基板は、磁性粒子を含んでも良い。追加の放射器パッチおよび基板が使用されても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
交差スロット給電マイクロストリップアンテナは、寸法が縮小され、さらに効率が改善される。また本交差スロット給電マイクロストリップアンテナでは、改善されたバンド幅が提供される。改良型マイクロストリップアンテナは、アンテナを構成する1または2以上の誘電層の一部の実効誘電率および/または実効透過率を局部的に制御して、構成される。
【0024】
通常RFの構成の際には、低誘電率ボード材料が選定される。例えばRT/ジュロイド(duroid)(登録商標)6002(誘電率2.94、損失タンジェント0.009)、およびRT/ジュロイド(登録商標)5880(誘電率2.2、損失タンジェント0.0007)のような、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系の化合物は、ロジャーズマイクロウェーブプロダクト社(Rogers Microwave Products)の先進回路材料部門、100s、ルーズベルト通り、チャンドラ、AZ85226より市販されている。これらの材料は、共通のボード材料に選定される。前述のボード材料は、ボード領域全体にわたり厚さおよび物理的特性が均一であり、比較的低誘電率で、低損失タンジェントの誘電層を提供する。これらの両材料の相対透過率は、ほぼ1である。
【0025】
従来のアンテナは、均一な誘電体材料を利用するように設計されている。誘電特性の均一性は、各種アンテナ回路部に適した単一の誘電体を選定することによる二律背反の結果として、通常アンテナ特性に悪影響を及ぼす。誘電率の低い基板は、損失を考慮した場合、アンテナの放射効率の点で、伝送線路には好適であるが、アンテナ寸法を最小化して、エネルギー結合を最適化させるには、高誘電率の基板が好ましい。従って、しばしば二律背反により、スロット給電マイクロストリップアンテナを含むアンテナは低効率な構成となる。
【0026】
アンテナおよび給電線路に分離基板を使用した場合も、誘電体基板の均一な誘電特性とアンテナ特性との間で、妥協を余儀なくされる。例えばスロット給電アンテナの場合、低誘電率の基板は、給電線路損失を抑制するが、給電線路とスロットの間のエネルギー伝送効率は、低下する結果となる。
【0027】
一方本発明では、選択的に制御された誘電率および透過率特性により、誘電層またはその一部の使用が可能となるため、回路設計者には自由度が提供される。これにより、アンテナの効率、機能および物理形状が最適化される。
【0028】
誘電体基板の制御可能で局部的な誘電特性および磁気特性は、誘電体基板がメタ材料を含むことによって実現できる。「メタ材料」という用語は、分子またはナノレベルの極めて微細な状態の、2または3以上の異なる材料で構成される複合材料を意味する。
【0029】
本発明では、交差スロット給電マイクロストリップアンテナの構造が提供され、従来の交差スロット給電マイクロストリップアンテナの構造に比べて、効率およびバンド幅が改善する。図1には、本発明の実施例による交差スロット給電マイクロストリップパッチアンテナ(アンテナ)100の等角図が示されている。アンテナ100は、2または3以上の給電配線105を有し、この給電配線105は、スロット125を介して給電配線にあるいは給電配線から、信号エネルギーを伝送する。給電配線105は、第1の部分110と、スタブ部115とを有する。好適実施例では、図1に示すように4つのアンテナ給電配線105が使用される。アンテナ給電配線105は、マイクロストリップラインであっても、他の適当な給電構造であっても良く、適当なコネクタおよびインターフェースを用いて、各種駆動源によって駆動される。
【0030】
またアンテナ100は、交差スロット125を有するグラウンドプレーン120を有する。交差スロット125によって、例えばジュアル偏向などの複数の偏向信号を形成することが可能となる。一般にスロットは、第1の部分110とスロット125の間に適当な結合が提供されれば、いかなる形状であっても良い。例えばスロットは、複数の長方形または環状区画を有するように提供される。グラウンドプレーン120は、以降に詳細を示すように、第1の基板層150によってアンテナ給電配線105から絶縁される。
【0031】
必要に応じて、第1の放射器パッチ135を有する第1のパッチ基板130を設置しても良い。第1の放射器パッチ135は、第2の基板層160によってグラウンドプレーンから分離される。第2の放射器パッチ145を有する第2のパッチ基板140を設け、これを第3の基板層170によって、第1の放射器パッチ135から分離させても良い。放射器パッチ135および145は、それぞれの基板130および140上の金属化領域であっても良い。作動時には、給電配線105は、交差スロット125を介して放射器パッチ135および145にまたはこれらから、信号エネルギーを伝送する。
【0032】
放射器パッチ135および145が、アンテナの動作に必要ではないことは重要である。しかしながら、これらのパッチを加えることにより、アンテナの電波特性が向上することは、当業者には容易に理解される。例えば、放射器パッチ135および145は、アンテナ効率を向上させ、パッチを有さないスロット化マイクロストリップアンテナ全体に環状偏向パターンを提供する。
【0033】
図2に示すように、給電配線105の第1の部分110は、交差スロット125にまたは交差スロット125から、RF信号エネルギーを伝送する。また第1の部分110は、交差スロット125、第2の基板層160、および存在すれば第3の基板層170を介して、放射器パッチ135と145にまたはこれらから、信号エネルギーを伝送する。スタブ部115は、アンテナ素子105の一区画であり、アンテナ素子の先端部205から、アンテナ給電配線105が交差スロット125と交差する交差部210までの部分に相当する。通常スタブの長さは、給電配線105の全長に沿って定常波を形成する際の、エネルギー伝達が最大となるように調整される。これにより、交差スロット125上の給電配線105に存在する電圧が最大となる。例えばスタブ長さは、スタブ部115の先端205が開回路状態のときに、近似的に作動周波数での波長の半分となるように調整される。スタブ部115の先端205が、アースされた場合、通常スタブの最適長さは、近似的に作動周波数で1/4波長となる。
【0034】
図3には、交差スロット給電マイクロストリップパッチアンテナの断面図を示す(明確化のため一つの給電配線105のみが示されている)。第1の基板層150は、薄膜であることが好ましく、これにより給電配線と交差スロット125の間に強固な結合が得られる。例えば、基板層150の厚さは、アンテナの作動周波数の波長の10分の1にすることができる。
【0035】
第1の基板層は、第1組の基板特性を有する第1の領域305と、少なくとも、第2組の基板特性を有する第2の領域310とを有する。第1組の基板特性は、第2組の基板特性とは異なっている。第1の領域305は、交差スロット125と給電配線105の第1の部分110の間に設置される。
【0036】
第1の基板領域305の相対透過率および/または誘電率は、第2の基板領域310の相対透過率および/または誘電率よりも大きいことが好ましい。例えば、第2の基板領域310の誘電率が低い場合、給電配線105の第1の部分110は、その長手方向の実質的部分全体にわたって損失を抑制することができ、第1の基板領域305の誘電率が高い場合、給電配線110とスロット125の間の結合が向上する。給電配線110とスロット125の間の結合特性が向上した場合、給電配線110とスロット125の間に電磁場エネルギーが集中して、アンテナ100の効率が向上する。ある実施例では、第2の基板領域310の相対誘電率は、2乃至3とすることができ、第1の基板領域305の相対誘電率と第3の基板領域315の相対誘電率は、少なくとも4にすることができる。例えば、第1の基板領域305の相対誘電率と第3の基板領域315の相対誘電率は、4、6、8、10、20、30、40、50、60またはこれ以上あるいはこれらの間の値にすることができる。
【0037】
スタブ部115のようなスタブは、通常、スロット給電アンテナの余分なリアクタンスを除去するために使用される。しかしながら、通常スタブのインピーダンスバンド幅は、スロット125や放射器パッチ135(設置されている場合)のインピーダンスバンド幅に比べて小さい。従って一般に従来のスタブをアンテナの余分なリアクタンスを除去するために使用することは可能ではあるものの、従来のスタブの小さなインピーダンスバンド幅では、通常アンテナのバンド幅が制限されてしまう。本発明を利用して、第3の基板領域315上にスタブ部115を設置することで、スタブのインピーダンスバンド幅が改善される。第3の基板領域315は、相対誘電率が高く、例えば少なくとも6である。
【0038】
第1の基板層150と類似の第2の基板層160を配置して、異なる基板特性を提供することができる。ある実施例では、第2の基板層160の第1の部分330は、第2の部分335よりも高い誘電率を有する。
【0039】
2つの放射器パッチが配置される場合、各放射器パッチ135および145の間の領域には、制御可能で局部的な誘電基板パラメータが提供されることが好ましい。これにより、所与の作動周波数に対して、パッチの誘電負荷により、アンテナ寸法を縮小することができる。すなわち、第3の基板層170の少なくとも第1の部分340は、第2の部分345よりも高い誘電率を有する。このように本発明では、小さなパッチ寸法のアンテナが提供され、所望の周波数範囲での放射が可能となる。また誘電負荷を利用して、放射器パッチ135と145のバンド幅を高めることができる。
【0040】
放射器パッチ145のような放射素子の下側の誘電領域において、相対誘電率を増大させる際の一つの問題は、結果的にアンテナの放射効率が低下することである。また、高誘電率で比較的厚い基板がプリントされたマイクロストリップアンテナでは、放射効率は低下する傾向にある。相対誘電率の大きな誘電体基板を用いた場合、導電性アンテナ素子とその下側の導体の間の誘電体に、大きな電磁場が集中する。そのような状態では、しばしば放射効率の低いことが、空気/基板界面に沿って伝播する表面波の一部に影響を及ぼす。
【0041】
この効率の大きな低下は、基板層150、160および170の相対透過率を選択的に増大させることにより、補うことができる。透過率の増大によって、アンテナ100内での電磁場の集中が促進され、これにより、誘電率の高い誘電体基板部分の限定的な使用に伴うアンテナ効率の低下を生じさせずに、アンテナ100の寸法を縮小することが可能となる。
【0042】
本発明では、誘電体基板の選択された部分に磁性粒子405を設置しても良い。例えば、磁性粒子405は、図4に示すように基板170のパッチ145の底部に設置される。磁性粒子405の提供によって、基板層は1または2以上の領域を有し、大きな磁気透過率が得られる。また磁性粒子405は、給電配線105とスロット125の間の第1の基板領域305、スタブ115と隣接する第3の基板領域315、および/またはパッチ135、145と隣接する、第2および第3の基板層160、170の領域330、340に設置しても良い。ここで、大きな磁気透過率とは、相対磁気透過率が少なくとも約2であることを意味する。前述のように従来の基板材料では、相対磁気透過率は約1である。
【0043】
磁性粒子405は、メタ材料粒子とすることができ、これは、粒子を基板層150、160または170に形成されたボイド内に挿入する等、各種方法によって基板に設置される。基板は、以下に詳細を示すように、セラミックまたは他の基板材料であっても良い。誘電体基板の一部に選択的に大きな磁気透過率を付与することにより、通常(伝送線路およびアンテナ素子のような)導電性トレース近傍のインダクタンスが増大し、給電配線105、スロット125および放射器パッチ145の間の結合が著しく向上するとともに、真空空間に対するアンテナのインピーダンス整合が改善される。
【0044】
一般にアンテナ基板の相対基板誘電率は、約4よりも大きいことが知られており、アンテナの整合を高めるため、アンテナ基板透過率を増大させることが好ましい。これにより真空空間内の電磁エネルギーの伝送がより効率的に行える。放射効率が高まると、相対透過率は、近似的に、局部的な相対誘電率の値の平方根に従って増大することが知られている。例えば、基板領域340が、その相対誘電率が9となるように構成された場合、この領域における相対透過率の好適な開始点は3となる。いかなる特殊な場合にも、最適値が各種因子に依存することは、当業者には容易に認識できる。各種因子には、アンテナ素子上下部の誘電体構造の正確な性状、アンテナ素子の周囲の誘電体および導電体構造、グラウンドプレーン上部のアンテナの高さ、パッチの面積等が含まれる。このような誘電率と透過率の最適値の好適な組み合わせは、実験的におよび/またはコンピュータによるモデル計算によって決定することができる。
【0045】
従ってアンテナ100に対して、改善された効率、改善されたバンド幅および物理的寸法の縮小という、少なくとも3つの革新的な改良が可能となる。前述のように、所与の作動周波数範囲での改良されたアンテナ効率および寸法の縮小は、1または2以上の最適化アンテナ基板層を用いることで実現できる。マイクロストリップパッチアンテナの実施例において、アンテナ効率は、局部的に誘電率の高い領域305を提供する最適化基板を用いて、給電配線105とスロット125の間、およびスロット125とパッチ135、145の間の電磁エネルギーの結合を高めることにより、さらに向上することができる。また基板領域310は、給電配線損失が小さくなるように最適化される。最終的に、アンテナのバンド幅、さらにいくつかの用途ではアンテナ効率が、スタブ部115のインピーダンスバンド幅の改善によって最適化される。
【0046】
局部的に磁性および誘電特性を選択することのできるメタ材料部分を有する誘電体基板ボードは、図5のように、特別なアンテナ基板を用いて調製される。ステップ510では、誘電ボード基板が調製される。ステップ520では、誘電ボード材料の少なくとも一部が、以下に示すようにメタ材料を用いて、異なる状態に変質され、物理的寸法が縮小し、アンテナおよび関連回路に最適な効率が得られる。変質には、誘電体材料内のボイドの形成や、実質的にボイドの一部または全てを磁性粒子で充填することが含まれる。最後にステップ530に示すように、金属層が設置され、アンテナ素子に対応する導電性トレースが定められ、放射器パッチのような対応する給電回路が定められる。
【0047】
ここで「メタ材料」という用語は、オングストロームあるいはナノメートルレベルの極めて微細な寸法の、2または3以上の異なる材料の混合または配置によって形成される複合材料を意味する。メタ材料では、複合材料の電磁気的特性を調整することが可能であり、この特性は、実効電気誘電率εeff(または誘電率)および実効磁気透過率Φeffを含む、実効電気的磁気的パラメータによって定められる。
【0048】
ステップ510および520に示す誘電ボード材料の調製および変質のプロセスを以下に詳細に示す。ただし、以降に示す方法は、単なる例示であって、本発明はこれに限定されるものではないことを理解する必要がある。
【0049】
適当なバルク誘電体セラミック基板材料が、ジュポン社やフェロ社のような材料メーカによる市販の材料から提供される。通常グリーンテープ(登録商標)と呼ばれる未処理材が、バルクの誘電テープから、例えば6インチ×6インチのような形状に、切断採取される。例えばジュポン社のマイクロ回路材料部門の951低温共熱処理誘電体テープや、フェロ社の電子材料ULF28−30超低温熱処理COG誘電体形成のようなグリーンテープ材料システムが提供される。これらの基板材料は、熱処理後に、比較的中程度の誘電率で、マイクロ波周波数での回路作動時の損失タンジェントが比較的小さな誘電層を提供する際に使用される。
【0050】
複数の誘電体基板材料のシートを用いて、マイクロ波回路を形成するプロセスでは、経路、ボイド、孔またはキャビティのような形状は、1または2以上のテープ層をパンチ加工して形成される。ボイドは、機械的手段(例えばパンチ)または直接エネルギー手段(例えばレーザー穴あけ、写真転写)を用いて形成されるが、ボイドは別のいかなる適当な方法を用いて、定形されても良い。いくつかの経路は、基板の厚みを貫通するように形成しても良く、いくつかのボイドは、基板の厚みを部分的に変化させて形成しても良い。
【0051】
次に経路は、金属または他の誘電材料や磁性材料あるいはこれらの混合物で満たされる。通常は、充填材を正確に設置させるため型板が使用される。テープの個々の層は、従来のプロセスで相互に積層され、完全な多層化基板が形成される。あるいは、テープの個々の層は、相互に積層して、不完全な多層化基板を形成しても良く、これは通常サブスタックと呼ばれる。
【0052】
ボイドの形成された領域にはボイドを残しておいても良い。選定された充填材で充填する場合、選定材料は、メタ材料を含むことが好ましい。メタ材料組成の選択により、実効誘電率を2未満から約2650までの比較的連続的な範囲で制御することが可能となる。磁気特性の制御は、あるメタ材料に利用することもできる。例えば適当な材料の選定により、相対実効磁気透過率は、約4から116の範囲とすることができ、これは、ほとんどの実際のRF機器に適用できる。ただし、相対実効磁気透過率は、約2まで下げても、数千の値であっても良い。
【0053】
所与の誘電体基板は、異なる状態に変質されても良い。ここで「異なる状態に変質される」とは、ドーパント処理などによって、誘電体基板層を改質することを意味し、少なくとも一つの誘電特性および磁気特性が、基板のある部分と別の部分とで異なった状態となる。異なる状態に変質されたボード基板は、1または2以上のメタ材料領域を有することが好ましい。例えば、変質は選択的であっても良く、ある誘電層部分が、第1組の誘電または磁性特性を有し、別の誘電層部分では、異なる状態に変質されあるいはそのままの状態に維持され、誘電および/または磁性特性が第1組の特性とは異なるように提供される。異なる状態への変質は、各種異なる方法で実現させることができる。
【0054】
ある実施例では、誘電層に追加の誘電層が設置される。スピンコート技術のような各種スプレー技術、スパッタリングのような各種成膜技術などの従来技術を用いて、追加の誘電層が設置される。追加誘電層は、ボイドや孔の周囲など一部の領域に選択的に設置しても良く、誘電層の全体に設置しても良い。例えば、追加誘電層を基板の一部に提供して、実効誘電率を向上させることができる。追加層として設置される誘電層は、各種高分子材料を含んでも良い。
【0055】
さらに異なる状態に変質させるステップは、誘電層または追加誘電層に、局部的に追加材料を設置するステップを有しても良い。材料の追加によって、さらに誘電層の実効誘電率または磁気特性を制御して、所与の構造を形成することができる。
【0056】
追加材料は、複数の金属および/またはセラミック粒子を含んでも良い。金属粒子には、鉄、タングステン、コバルト、バナジウム、マンガン、ある希土類金属、ニッケルまたはニオブの粒子が含まれることが好ましい。粒子は、通常サブミクロンの物理的寸法を有するナノメートルサイズの粒子であることが好ましく、これを以降ナノ粒子と呼ぶ。粒子は、有機官能性複合材粒子であることが好ましい。例えば、有機官能性複合材粒子は、電気絶縁コーティングされた金属コアを有する粒子、あるいは金属コーティングされた電気絶縁性コアを有する粒子を含む。
【0057】
通常、磁性材料粒子は、以降に示す各種用途の誘電層の磁気特性の制御に適しており、フェライト有機セラミック(FexCyHz)−(Ca/Sr/Ba−セラミック)を含む。これらの粒子は、8−40GHzの周波数範囲での使用に適している。別の方法として、またはこれに加えて、ニオブ系有機セラミック(NbCyHz)−(Ca/Sr/Ba−セラミック)を使用した場合、これは12−40 GHzの周波数範囲に適している。高周波数用に設計された材料を低周波数用に使用することも可能である。これらのおよび他の種類の複合材粒子は、市販のものから得ることができる。
【0058】
一般に本発明では、コーティングされた粒子を用いることが好ましい。これらの粒子は、高分子マトリクスで、あるいは側鎖の片側に結合されるからである。誘電体の磁気特性を制御することに加えて、添加粒子を用いて、材料の実効誘電率を制御することも可能である。複合材粒子の充填率を約1から70%として、基板誘電層および/または追加誘電層の一部の誘電率を大きく増減させることが可能である。例えば、誘電層に有機官能性ナノ粒子を設置して、これを用いて変質誘電層の一部の誘電率を増大させることができる。
【0059】
粒子は、高分子混合、混合および撹拌充填のような各種方法で設置することができる。例えば誘電率は、約70%までの各種充填率の粒子を用いることにより、2から約10まで上昇する。この目的に適した金属酸化物には、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化ジルコニウムおよび酸化ニオブ(II、IVおよびV)が含まれる。リチウムニオベート(LiNbO)およびカルシウムジルコネートやマグネシウムジルコネートのようなジルコネートが用いられても良い。
【0060】
選択可能な誘電特性は、約10ナノメートルの領域に局在化させることができ、またはボード基板表面全体など大面積領域全体に発現させることができる。写真転写技術や成膜処理後のエッチング技術のような従来の技術を用いて、局部的に誘電および磁気特性を操作することができる。
【0061】
材料は、他の材料と混合して調製しても、あるいはボイド領域(通常空気が導入される)の密度を変化させて調製しても良く、他の所望の基板特性と同様に、2から約2650までの実質的に連続的な範囲の実効相対誘電率が得られる。例えば、低誘電率の材料(<2から約4)は、ボイド領域密度を変化させたシリカを含む。ボイド領域密度を変化させたアルミナでは、相対誘電率が約4乃至9となる。シリカやアルミナ以外では、著しく大きな磁気透過率は得られない。しかしながら、約20wt%までの磁性粒子を加えることで、これらのおよび他の材料に、磁性を与えることが可能となる。例えば磁気特性は、有機官能基によって調整することができる。添加磁性材料の誘電率に及ぼす影響によって、通常誘電率は増大する。
【0062】
中程度の誘電率の材料では、一般に相対誘電率は70から500±10%の範囲にある。前述のように、これらの材料には、所望の実効誘電率値が得られるように他の材料が混合され、あるいはボイドが形成される。これらの材料には、チタン酸カルシウムがドープされたフェライトが含まれる。ドーピング金属には、マグネシウム、ストロンチウムおよびニオブが含まれる。これらの材料は、45乃至600の範囲の相対磁気透過率を有する。
【0063】
高い誘電率を利用する場合、フェライトまたはカルシウムまたはバリウムのチタン酸ジルコネートがドープされたニオブが用いられる。これらの材料では、相対誘電率は約2200から2650である。これらの材料へのドーピング量は、通常約1乃至10%である。これらの材料は、所望の実効誘電率を得るため、別の材料と混合しても良く、またはボイドを形成しても良い。
【0064】
これらの材料は、通常各種分子レベルの変質プロセスを用いて改質される。変質プロセスには、ボイド形成工程、および後続の、ポリテトラフルオロエチレンPTFEのような炭素やフッ素系有機官能性材料等による充填工程が含まれる。
【0065】
別の方法として、あるいは有機官能性材料の一体化に加えて、一体自由成形加工(SFF)、光、紫外線、x線、電子ビームまたはイオンビームの照射による方法がある。写真転写技術を用いて、光、紫外線、x線、電子ビームまたはイオンビームの照射を行っても良い。
【0066】
メタ材料を含む別の材料を利用して、基板層(サブスタック)に異なる領域を形成することも可能であり、この場合、基板層(サブスタック)の複数の領域が、異なる誘電および/または磁性特性を有するようになる。前述のような充填材を用いて、1または2以上の追加処理ステップにより、局部的にまたはバルクの基板部分全体に、所望の誘電および/または磁性特性を得ることも可能である。
【0067】
次に通常、導電体の上部層が変質基板層、サブスタックまたは完全スタックにプリントされる。導電体のトレースは、薄膜技術、厚膜技術、電気鍍金または他の適当な技術を用いて提供される。導電体パターンを定形する際に使用されるプロセスには、これに限られるものではないが、標準的な写真転写および型板処理が含まれる。
【0068】
次に、複数の変質ボード基板を収集し整列配置するベースプレートが提供される。この目的は、複数の基板ボードの各々を通る位置合わせ孔を用いることで、達成される。
【0069】
次に、基板の複数の層、1または2以上のサブスタック、あるいは複数の層とサブスタックとを組み合わせた層は、全方向から材料に圧力を加える静水圧、または一つの軸方向からのみ材料に圧力を加える単軸加圧を用いて、(例えば機械的に加圧されて)相互に積層される。次に積層基板は、前述のように、あるいは炉内に設置され、処理基板に適した温度(前述の材料の場合、約850℃乃至900℃)で熱処理される。
【0070】
次に、複数のセラミックテープ層および基板のスタック化されたサブスタックは、使用基板材料に適した速度で昇温制御することの可能な適当な炉を用いて、熱処理される。昇温速度、最終温度、冷却プロファイルおよびその他の必要な保持状態のような熱処理条件は、基板材料や、あらゆる充填材または成膜材に留意して選定される。熱処理後に、スタック化基板ボードは、通常音響式、光学式、電子走査式、またはx線式顕微鏡を用いた欠陥検査に供される。
【0071】
次にスタック化セラミック基板は、必要に応じて、所定の帯状寸法となるように切断され、回路の機能が要求仕様に適合される。最終検査後に、帯状基板の切断試料は、試験冶具に取り付けられ、誘電特性、磁性特性および/または電気特性のような各種特性が、指定限界内にあるかどうか評価される。
【0072】
このように、誘電体基板材料は、誘電特性および磁気特性が局部的に調整された状態で提供され、回路、さらには交差スロット給電マイクロストリップチアンテナのような、マイクロストリップアンテナを構成する部品の密度や特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明による、アンテナ寸法が縮小され、アンテナの結合特性およびバンド幅が向上した、基板に形成された交差スロットマイクロストリップパッチアンテナの等角図である。
【図2】図1のスロット給電マイクロストリップパッチアンテナの底面図である。
【図3】切断線3−3に沿った、図1のスロット給電マイクロストリップパッチアンテナの断面図である(明確化のため一つの給電配線のみが示されている)。
【図4】図1のスロット給電マイクロストリップパッチアンテナの別の実施例の断面図である(明確化のため一つの給電配線のみが示されている)。
【図5】本発明による、寸法が縮小され、結合特性とバンド幅が改善された、交差スロットマイクロストリップパッチアンテナの製作工程の説明用のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの交差スロットを有する導電性グラウンドプレーンと、
少なくとも2つの給電配線であって、各々が前記交差スロットの外側に広がるスタブ領域を有し、各前記給電配線は、前記交差スロットのスロットを介して、前記給電配線にまたは前記給電配線から信号エネルギーを伝送し、前記給電配線は、位相がずれており、複数の偏向放射パターンを提供する、少なくとも2つの給電配線と、
第1の領域および少なくとも第2の領域を有する第1の基板であって、前記グラウンドプレーンと前記給電配線の間に設置される第1の基板と、
を有する交差スロット給電マイクロストリップアンテナであって、
前記第1の領域は、前記第2の領域とは異なる基板特性を有し、前記第1の領域は、前記給電配線の少なくとも一方に隣接していることを特徴とする交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。
【請求項2】
前記第1の領域の基板特性は、第1の誘電率と第1の透過率の少なくとも一つを有し、前記第2の領域の基板特性は、第2の誘電率と第2の透過率の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1に記載の交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。
【請求項3】
さらに、前記グラウンドプレーン上に設置された少なくとも一つの放射器パッチと、少なくとも、該放射器パッチと前記グラウンドプレーンの間に設置された第2の基板とを有し、前記給電配線は、前記交差スロットおよび前記第2の基板を介して、前記放射器パッチにまたは前記放射器パッチから信号エネルギーを伝送することを特徴とする請求項1に記載の交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。
【請求項4】
少なくとも一つの交差スロットを有する導電性グラウンドプレーンと、
少なくとも2つの給電配線であって、各々が前記交差スロットの外側に広がるスタブ領域を有し、各前記給電配線は、前記交差スロットのスロットを介して、前記給電配線にまたは前記給電配線から信号エネルギーを伝送し、前記給電配線は、位相がずれており、複数の偏向放射パターンを提供する、少なくとも2つの給電配線と、
前記グラウンドプレーンと前記給電配線の間に設置された第1の基板材料であって、前記第1の基板の少なくとも一部は、磁性粒子を有する、第1の基板材料と、
を有する交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。
【請求項5】
前記第1の基板材料は、第1の領域および少なくとも第2の領域を有し、前記磁性粒子は、前記第1の領域に含まれることを特徴とする請求項12に記載の交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの交差スロットを有する導電性グラウンドプレーンと、
少なくとも2つの給電配線であって、各々が前記交差スロットの外側に広がるスタブ領域を有し、各前記給電配線は、前記交差スロットのスロットを介して、前記給電配線にまたは前記給電配線から信号エネルギーを伝送し、前記給電配線は、位相がずれており、複数の偏向放射パターンを提供する、少なくとも2つの給電配線と、
第1の領域および少なくとも第2の領域を有する第1の基板であって、前記グラウンドプレーンと前記給電配線の間に設置される第1の基板と、
を有する交差スロット給電マイクロストリップアンテナであって、
前記第1の領域は、メタ材料を有し、前記第2の領域とは異なる基板特性を有し、前記第1の領域は、前記給電配線の少なくとも一方に隣接していることを特徴とする交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。
【請求項2】
少なくとも一つの交差スロットを有する導電性グラウンドプレーンと、
少なくとも2つの給電配線であって、各々が前記交差スロットの外側に広がるスタブ領域を有し、各前記給電配線は、前記交差スロットのスロットを介して、前記給電配線にまたは前記給電配線から信号エネルギーを伝送し、前記給電配線は、位相がずれており、複数の偏向放射パターンを提供する、少なくとも2つの給電配線と、
第1の領域および少なくとも第2の領域を有する第1の基板であって、前記グラウンドプレーンと前記給電配線の間に設置される第1の基板と、
を有する交差スロット給電マイクロストリップアンテナであって、
前記第1の領域は、前記第2の領域とは異なる基板特性を有し、前記第1の領域は、前記給電配線の少なくとも一方に隣接し、
前記第1の領域の基板特性は、第1の誘電率と第1の透過率の少なくとも一つを有し、前記第2の領域の基板特性は、第2の誘電率と第2の透過率の少なくとも一つを有することを特徴とする交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。
【請求項3】
さらに、前記グラウンドプレーン上に設置された少なくとも一つの放射器パッチと、少なくとも、該放射器パッチと前記グラウンドプレーンの間に設置された第2の基板とを有し、前記給電配線は、前記交差スロットおよび前記第2の基板を介して、前記放射器パッチにまたは前記放射器パッチから信号エネルギーを伝送することを特徴とする請求項1に記載の交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。
【請求項4】
少なくとも一つの交差スロットを有する導電性グラウンドプレーンと、
少なくとも2つの給電配線であって、各々が前記交差スロットの外側に広がるスタブ領域を有し、各前記給電配線は、前記交差スロットのスロットを介して、前記給電配線にまたは前記給電配線から信号エネルギーを伝送し、前記給電配線は、位相がずれており、複数の偏向放射パターンを提供する、少なくとも2つの給電配線と、
前記グラウンドプレーンと前記給電配線の間に設置された第1の基板材料であって、前記第1の基板の少なくとも一部は、磁性粒子を有する、第1の基板材料と、
を有する交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。
【請求項5】
前記第1の基板材料は、第1の領域および少なくとも第2の領域を有し、前記磁性粒子は、前記第1の領域に含まれることを特徴とする請求項12に記載の交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの交差スロットを有する導電性グラウンドプレーンと、
少なくとも2つの給電配線であって、各々が前記交差スロットの外側に広がるスタブ領域を有し、各前記給電配線は、前記交差スロットのスロットを介して、前記給電配線にまたは前記給電配線から信号エネルギーを伝送し、前記給電配線は、位相がずれており、複数の偏向放射パターンを提供する、少なくとも2つの給電配線と、
第1の領域および少なくとも第2の領域を有する第1の基板であって、前記グラウンドプレーンと前記給電配線の間に設置される第1の基板と、
を有する交差スロット給電マイクロストリップアンテナであって、
前記第1の領域は、メタ材料を有し、前記第2の領域とは異なる基板特性を有し、前記第1の領域は、前記給電配線の少なくとも一方に隣接していることを特徴とする交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。
【請求項2】
少なくとも一つの交差スロットを有する導電性グラウンドプレーンと、
少なくとも2つの給電配線であって、各々が前記交差スロットの外側に広がるスタブ領域を有し、各前記給電配線は、前記交差スロットのスロットを介して、前記給電配線にまたは前記給電配線から信号エネルギーを伝送し、前記給電配線は、位相がずれており、複数の偏向放射パターンを提供する、少なくとも2つの給電配線と、
第1の領域および少なくとも第2の領域を有する第1の基板であって、前記グラウンドプレーンと前記給電配線の間に設置される第1の基板と、
を有する交差スロット給電マイクロストリップアンテナであって、
前記第1の領域は、前記第2の領域とは異なる基板特性を有し、前記第1の領域は、前記給電配線の少なくとも一方に隣接し、
前記第1の領域の基板特性は、第1の誘電率と第1の透過率の少なくとも一つを有し、前記第2の領域の基板特性は、第2の誘電率と第2の透過率の少なくとも一つを有することを特徴とする、交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。
【請求項3】
さらに、前記グラウンドプレーン上に設置された少なくとも一つの放射器パッチと、少なくとも、該放射器パッチと前記グラウンドプレーンの間に設置された第2の基板とを有し、前記給電配線は、前記交差スロットおよび前記第2の基板を介して、前記放射器パッチにまたは前記放射器パッチから信号エネルギーを伝送することを特徴とする請求項1に記載の交差スロット給電マイクロストリップアンテナ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2006−522550(P2006−522550A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507526(P2006−507526)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/008981
【国際公開番号】WO2004/095628
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(594071675)ハリス コーポレイション (287)
【氏名又は名称原語表記】Harris Corporation
【Fターム(参考)】