説明

高反射白色タイルおよびその製法

【課題】建物の床材や壁材として使用され、室内の光の拡散を補助し、より少ない照明数で照度を維持または上昇させることができるタイルおよびその製法を提供する。
【解決手段】コランダム(α−Al)の結晶を有し、かつ酸化鉄の含有量が0.5重量%以下でSiO/Alの分子組成の比が0.5から5.5であるタイル素地を、少なくとも、片側表面に有することを特徴とする高反射白色タイル。(i)タイル原料および酸化アルミニウムを混合し、ここにタイル原料および酸化アルミニウムは、焼成後の酸化鉄の含有量が0.5重量%以下であってSiO/Alの分子組成の比が0.5から5.5になるよう選択配合され、(ii)得られた混合物を成形し、次いで、(iii)成形体を焼成して、X線回折において、コランダム(α−Al)を主としたピークが得られる焼結体を得る高反射白色タイルの製法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の床材や壁材として使用され、室内の光の拡散を補助し、より少ない照明数で照度を維持または上昇させることができる高反射白色タイルおよびその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
照明から発する光については、世界中で莫大なコストとエネルギーが使われており、そのコスト削減と省エネ化(CO削減)が各国で進められているが、その対策の一例として、床材へ反射率の高いセラミック床を使用することによって部屋の照度が上昇することが知られている。
【0003】
部屋の照度を決めるファクターは、以下の式に示すように光源の数や出力以外にも、照明率(器具を通り室内の床や天井や壁に反射し、その結果光が作業面にどれだけの割合で届いているかを表す)、保守率(光束の維持率を表す;使用ランプ(光束維持率)・状況(ほこり等)によって変化する)などがあり、ランプの本数(消費電力)を減らしても、照明率の効率を(壁や床などの反射率向上により)上げていくことで、部屋の明るさを維持できることが理論的には可能であることが分かっている。
【0004】
【数1】

【0005】
内装材の反射率が高いほど、照明率が大きくなり、照明の本数を減らせる割合が増えるが、一般的に反射率の高いタイルは明るい色で60%程度、白色のタイルでも図1に示すように70%程度の反射率である。特に反射率85%を超える材料は、建材に限らず稀である。図1は、一般的な白色壁用タイル(商品名PL−100:ダントー(株)製)の分光反射率を示すグラフであり、JASCO(日本分光)製分光光度計(V−570)を用いて測定されたものである。
【0006】
省エネ効果の高い新しい光源として期待されているLED照明は、蛍光灯が部屋全体を満遍なく照らすのに対し、直線的に光を発する傾向がある。このため、場所によっては光の当たり方にムラが出る。そのムラをなくそうとすると、その分多めにLED照明を設置しなければならず、蛍光灯の環境をLEDで再現しようとすると、電気使用量が増えてしまう事例まで発生している(非特許文献1)。
【0007】
一般的に部屋の内装材の反射率は、天井は高く、床は低くなる傾向がある。LEDの光は直線的であるため、床方向へ光が集中し、比較的反射率の高い材料を使用している天井へ光が照射されないので、光が部屋全体に拡散しにくくなる傾向がある。
【0008】
また、国内のトンネル総延長は約3300kmであり(非特許文献2)、そこに設置される照明器具も膨大な数となっている。トンネル内は昼光が当らないため,夜間だけでなく昼間も照明が必要であり、原則として24時間連続で点灯されていることから、全国のトンネルで照明に消費される電力は多大なものとなっており、省エネ化が急がれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】日経ビジネス、2009年4月6日、9頁
【非特許文献2】道路統計年報2007年版、全国道路利用者会議、293頁〜305頁(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、前記諸問題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下を提供する。
[1]コランダム(α−Al)の結晶を有し、かつ酸化鉄の含有量が0.5重量%以下でSiO/Alの分子組成の比が0.5から5.5であるタイル素地を、少なくとも、片側表面に有することを特徴とする高反射白色タイル。
【0012】
[2]前記[1]において、少なくとも片側表面部における波長380〜780nmの可視光域の反射率が70%以上となることを特徴とする高反射白色タイル。
【0013】
[3]前記[1]または[2]において、少なくとも片側表面が、汚れによる反射率低下を防止するための施釉処理に付されたことを特徴とする高反射白色タイル。
【0014】
[4]前記[1]ないし[3]のいずれか1において、25MPa以上の曲げ強度を有することを特徴とする高反射白色タイル。
【0015】
[5]前記[1]ないし[3]のいずれか1において、顔料をタイル素地に含有する場合も、白さを表す色差計のL値が91.5以上であることを特徴とする高反射白色タイル。
【0016】
[6](i)タイル原料および酸化アルミニウムを混合し、ここに、タイル原料および酸化アルミニウムは、焼成後の酸化鉄の含有量が0.5重量%以下であってSiO/Alの分子組成の比が0.5から5.5になるよう選択配合され、(ii)得られた混合物を成形し、次いで、(iii)成形体を焼成して、X線回折において、コランダム(α−Al)を主としたピークが得られる焼結体を得ることを特徴とする高反射白色タイルの製法。
【発明の効果】
【0017】
かかる高反射白色タイルを床や壁に貼ることにより、建物内の空間を往復する光の量が増え、明るさを保ちつつ照明の数を減らすことができる。
【0018】
高反射白色タイルは、80〜90%程度の高い反射率でありながら耐久建材であるため、床に使用することができ、LEDによって、床の一部分に集中した光を部屋全体に広げることが可能となる。
【0019】
通常のタイル原料へ酸化アルミニウムを添加することにより、セラミックス表面において失透性が増し、セラミックス表面における光の反射率を高めることができる。これらの技術により、従来のタイルでは得られなかった高い反射率を有するタイルが得られる。
【0020】
本発明により、従来のタイルとほぼ同等のコストで導入が可能でありながら、部屋またはトンネルなどの建造物内の照度を維持しつつ、照明数を削減することができ、大幅な省エネによる経済効果が得られる。
【0021】
酸化アルミニウムを添加した素地は、通常の素地のタイルに比べ、材質強度が2倍〜3倍程度あり、必要な強度を維持しつつタイルを薄くすることができ、省資源性に優れるタイルが得られる。また耐摩耗性も優れた性能を持っており、人通りの多い所へ使用しても長期にわたって、その性能を維持することができる。
【0022】
本発明の高反射白色タイルは、建造物内の照明から発した光をタイル表面にて高い反射率で拡散反射し、建物内の照度のムラを軽減しつつ照明数を減らすことができる。部屋の形状にも影響されるが、部屋の内装の反射率が天井80%壁60%床25%の部屋において、床の反射率を25%から60%の床材に変更すると、照度を維持しながら約15%の照明を削減できる。さらに本発明の反射率90%の高反射白色タイルを設置した場合、反射率25%の床の時に比べ約30%の照明が削減できる。さらに床だけでなく壁も(60%→90%)併用した場合、相乗効果が得られ照度を維持しながら約50%の照明が削減できる。
【0023】
本発明の高反射白色タイルは、内装壁タイル、屋内用床タイルなどの機能性が生かせる場所だけではなく、材質・意匠性も優れるため場所を問わず使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、一般的な白色壁用タイル(商品名PL−100:ダントー(株)製)の分光反射率を示すグラフである。
【図2】図2は、分光反射率を示すグラフである。
【図3】図3は、照度を測定する様子を示す写真である。
【図4】照度測定個所を示す床の図である。
【図5】釉薬未処理の場合における、高反射白色タイルを1ヶ月土足で歩く場所に放置した後の該タイル表面の写真である。
【図6】薄釉薬処理の場合における、高反射白色タイルを1ヶ月土足で歩く場所に放置した後の該タイル表面の写真である。
【図7】釉薬未処理の場合における、高反射白色タイルの表面の電子顕微鏡写真(約100倍)である。
【図8】薄釉薬処理の場合における、高反射白色タイルの表面の電子顕微鏡写真(約100倍)である。
【図9】高反射白色タイルのX線回折のチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高反射白色タイルは、コランダム(α−Al)の結晶を有し、かつ酸化鉄の含有量が0.5重量%以下でSiO/Alの分子組成の比が0.5から5.5であるタイル素地を、少なくとも片側表面に有することを特徴とする。
【0026】
本発明の高反射白色タイルにおけるタイル素地はコランダム(α−Al)の結晶を有する。
【0027】
酸化鉄の含有量は0.5重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下である。
【0028】
また、タイル素地におけるSiO/Alの分子組成の比は、0.5〜5.5、好ましくは0.8〜4.5、より好ましくは1.2〜3.0、最も好ましくは1.4〜1.7である。
【0029】
SiO/Alの分子組成の比が5を超える場合には、反射率上昇効果が得られないおそれがあり、0.5未満の場合は、溶融状態が不十分となりタイルとしての性質を損なうおそれがある。なお、SiO/Alの分子組成におけるAlはコランダム(α−Al)に限定されるものではなく、その他のAlを含めて分子組成SiO/Alが計算される。
【0030】
このようにタイル素地は、高反射白色タイルの少なくとも片側表面に存在するが、タイルの両面表面に存在してもよく、また、表面のみならず内部に存在してもよく、そして、タイル全体がそのような素地よりなるものであってもよい。
【0031】
本発明の高反射白色タイルにおいて、少なくとも片側表面部における波長380〜780nmの可視光域の反射率は70%以上が好ましい。より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、最も好ましくは90%以上である。
【0032】
反射率は、例えば、JASCO(日本分光)製分光光度計(V−570)を用いて測定することができる。
【0033】
ある実施態様によれば、本発明の高反射白色タイルにおいて、少なくとも片側表面が、汚れによる反射率低下を防止するための施釉処理に付されている。
【0034】
ある実施態様において、本発明の高反射白色タイルは25MPa以上、好ましくは50MPa以上、より好ましくは75MPa以上、最も好ましくは100MPa以上の曲げ強度を有する。
【0035】
本発明においては、タイル素地は顔料を含んでいてもよく、その顔料の例としては、青系顔料として (株)池垣化学工業所製NO.100海碧、黄系顔料として (株)池垣化学工業所製No.2 黄、赤系顔料として日陶顔料工業(株)製No.060810陶試紅、緑系顔料として伊勢久(株)製CB144グリ−ンが挙げられる。ある実施態様においては、本発明の高反射白色タイルが顔料をタイル素地に含有する場合に、白さを表す色差計のL値が91.5以上である。
【0036】
かかる高反射白色タイルは、以下のようなタイル製法により製造される。例えば、本発明の高反射白色タイルは、タイル原料を加圧成形や押出し成形により所望の形状とし、次いで、得られた成形体を焼成して得られる。さらに詳細には、まず、タイル原料(本明細書においては、タイル原料とは、窯業用粘土を主原料とし、長石、陶石、硅石、蝋石、滑石および石灰が必要に応じて配合されたものをいう)に加えて、酸化アルミニウムを原料とする。水を加え、ミルにて微粉砕した泥漿をスプレードライヤで噴霧乾燥もしくは、フィルタープレスによる脱水後2mm以下に粉砕して粒状の坏土にする。その坏土を用いて加圧成形機にて、タイル本体としての成形体に成形し、必要に応じて表面に防汚処理用の釉薬(比重1.05〜1.2g/cmの釉薬を1g〜2g/100mm塗布する)(焼成後の厚みとしては、0.05〜0.2mm程度である)を施し、焼成炉に入れ、焼成して(焼成時間は、15〜40時間である)高反射白色タイルを製造する。この時、特定の調合率で調合および特定の焼成温度(1100℃〜1300℃)で焼成することにより、タイル原料に応じて吸水率3%以下の磁器質タイル、吸水率3〜10%のせっ器質タイル、または吸水率50%以上の陶器質タイルが得られる。本発明の高反射白色タイルは、これらの3種のいずれのタイルとして得てもよいが、防汚の観点から磁器タイルが推奨される。
【0037】
上記の原料へ添加される酸化アルミニウムの量は、焼成後のタイルに含まれるSiO/Alの分子組成の比が以下のようになるよう調整される。具体的には、SiO/Alの分子組成の比は0.5〜5.5(坏土原料100質量部に対しておよその酸化アルミニウム添加量5〜60質量部)であり、好ましくは、0.8〜4.5(およその酸化アルミニウム添加量10〜50質量部)、より好ましくは1.2〜3.0(およその酸化アルミニウム添加量20〜40質量部)、最も好ましくは1.4〜1.7(およその酸化アルミニウム添加量30〜35質量部)である。
【0038】
上記の原料において不純物として含まれているFeは、光を吸収してしまう成分であるため、焼成後のタイル含まれるFeが以下の量になるよう調整される。具体的には、Feの含有量は、0.5重量%以下であり、好ましくは、0.3重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下である。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例および試験により具体的に説明するが、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義される発明の思想および範囲内に入る他の態様も本発明に含まれる。
【0040】
試験例1
従来の方法に従い鉄分を少なくし、乳濁剤:ZrSiO(ジルコン)を使用して、反射率の高いタイルを試作した。電気炉にて焼成し、焼成温度1,250℃、焼成時間は約24時間であった。コニカミノルタ(株)製色彩色差計「CR−200」を使用して色差を測定した。Fe重量%およびSiO/Al組成の比は蛍光X線による定量分析により求めた。
【0041】
【表1】

【0042】
表1に示すように、原料に含まれる不純物の鉄分が少なくなると素地の光の吸収が減り、白さが増すが、それだけでは反射率70%付近が限界である。さらにそこへ乳濁剤となるジルコンを添加すると反射率が70%を超え85%付近まで上昇するが、原料のコストが非常に高くなるという問題が発生する。
【0043】
試験例2
通常の磁器質タイルに製造している原料(8番)へ酸化アルミニウムを添加したときの調合率と電気炉にて1,250℃焼成(焼成時間:約24時間)後の性質を下記の表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
表2より、アルミナ(酸化アルミニウム)の添加量が増えるに従い白さと反射率及び強度が増す傾向がある。しかし、光を吸収してしまうFeが0.5重量%を超える場合は、反射率70にすら満たず十分な白さと反射率が得られないことが分かる。
【0046】
実施例1
光を吸収してしまう鉄分の少ない原料を選択し、再度調合試験を行った。
電気炉にて焼成し、焼成温度1,250℃、焼成時間は約24時間であった。また19番〜22番については、粒度の違いによる性質変化も測定した。その結果を表3に示す。
【0047】
【表3】

【0048】
酸化鉄(Fe)の0.5%以下の状況下では、表3を見て分かるように、酸化アルミニウムの添加の増加により、タイル素地の失透性が強くなり、表2では、得られなかった80〜90%と高い反射率が得られる。16番においては、表1の5番とFe量はほぼ同じであるが、SiO/Al比が4.5以下になり、反射率75%超えの値が得られた。17番と18番では、アルミナ添加量の増加により、順調に反射率が上昇しているが、18番と19番では、不純物であるFeの増加により、やや反射率が低下している。さらに20〜23番において、粉砕粒度を変化により原料の粒径が小さくなるほど、反射率の増加が確認できる。24番と25番では酸化アルミニウム添加量がさらに増加しているが、SiO/Al比が1.4以下になると、反射率上昇効果は小さくなる。
【0049】
表3の19番の素地の原料へ顔料を添加し、湿式混合で着色した。青系顔料としては、 (株)池垣化学工業所製NO.100海碧、黄系顔料としては、(株)池垣化学工業所製No.2 黄、赤系顔料としては日陶顔料工業(株)製No.060810陶試紅、緑系顔料としては伊勢久(株)製CB144グリ−ンを用いた。焼成については、トンネル窯にて焼成温度1,200℃、約36時間で焼成した。
【0050】
【表4】

【0051】
L値91.5以上の白さを維持しつつ、微妙な色を持つ意匠性を有したタイルが得られる。
実施例2
【0052】
表3の21番に近い条件で実際にタイルを製造し、部屋の照度の上昇が得られるか試験を行った。
【0053】
下記表5に示す組成を有する坏土を調製し、幅300mm厚さ11mmで成形した成形体の上に、防汚のための薄釉を施釉(比重1.2g/cmの釉薬を2g/100mm塗布)し、その後、トンネル窯にて焼成温度1,200℃にて、約36時間焼成し、磁器タイルを調製した。
【0054】
【表5】

【0055】
<表面反射率の測定>
前記より調製した磁器タイルの波長別の反射率を分光光度計(V−570:JASCO(日本分光)製)で測定した。分光反射率を図2に示す。また、可視光反射率を表6に示す。
【0056】
【表6】

【0057】
高反射率タイルAを反射率25%程度の床に設置し、設置する前と後での照度の比較を行った。設置を行う部屋の大きさと測定条件を下記に示す。
【0058】
部屋の大きさ 間口3.25×奥行き6.00×高さ3.00m
器具:FEN4215 ランプ:FLR40sw/M/36×2 光束:6000lm台数4台
作業面の高さ0.7mの照度を測定する。
照度を測定する様子を示す写真を図3に示す。
【0059】
測定は図3のように14か所、基準点から1m間隔と四隅の照度を測定して比較した(単位lxルクス)。照度測定個所を示す床の図を図4に示す。
【0060】
床を反射率25%の床から90%高反射白色タイルに貼るだけで40〜80lxほど、部屋の照度が上昇した。
実施例3
【0061】
実施例2の表5の高反射白色タイルAにおいて釉薬処理したものとしていないものとを比較した。土足で歩く廊下に両者のタイルを設置し、1ヶ月後のタイル反射率を測定することによって汚れに対する比較試験を行った。床に設置する前の反射率を100%とした場合の換算タイル反射率、および同じ換算での1ヶ月後にモップで床を清掃した後の換算タイル反射率を表7に示す。
【0062】
【表7】

【0063】
釉薬未処理の場合における、1ヶ月土足で歩く場所に放置した後の写真を図5に示す。また、薄釉薬処理の場合における、1ヶ月土足で歩く場所に放置した後の写真を図6に示す。釉薬未処理の場合における、表面の電子顕微鏡写真(約100倍)を図7に示す。薄釉薬処理の場合における、表面の電子顕微鏡写真(約100倍)を図8に示す。
【0064】
未処理のタイル表面は表面がゴツゴツとして凹凸が激しく、汚れがたまりやすい表面であるが、釉薬処理されたタイル表面はガラス状の滑らかな表面で、汚れが付きにくい表面が得られる。
【0065】
これらの技術により、汚れが目立ちやすい白色であるが、長期間メンテナンスをしなくても、意匠性と反射性能が損なわれず、床材として使用することができる。
【0066】
このタイルは、釉薬層を有した施釉タイルであってもよく、釉薬層を有しない無釉タイルであってもよい。ただし、施釉タイルであれば、汚れに対して、十分に防止される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コランダム(α−Al)の結晶を有し、かつ酸化鉄の含有量が0.5重量%以下でSiO/Alの分子組成の比が0.5から5.5であるタイル素地を、少なくとも、片側表面に有することを特徴とする高反射白色タイル。
【請求項2】
請求項1において、少なくとも片側表面部における波長380〜780nmの可視光域の反射率が70%以上となることを特徴とする高反射白色タイル。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項において、少なくとも片側表面が、汚れによる反射率低下を防止するための施釉処理に付されたことを特徴とする高反射白色タイル。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、25MPa以上の曲げ強度を有することを特徴とする高反射白色タイル。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項において、顔料をタイル素地に含有する場合も、白さを表す色差計のL値が91.5以上であることを特徴とする高反射白色タイル。
【請求項6】
(i)タイル原料および酸化アルミニウムを混合し、ここにタイル原料および酸化アルミニウムは、焼成後の酸化鉄の含有量が0.5重量%以下であってSiO/Alの分子組成の比が0.5から5.5になるよう選択配合され、(ii)得られた混合物を成形し、次いで、(iii)成形体を焼成して、X線回折において、コランダム(α−Al)を主としたピークが得られる焼結体を得ることを特徴とする高反射白色タイルの製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−226156(P2011−226156A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97106(P2010−97106)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000109211)ダント−ホ−ルディングス株式会社 (3)
【Fターム(参考)】