説明

高周波信号処理装置

【課題】高周波信号処理装置の小型化を実現する。
【解決手段】例えば、パッケージ化された高周波フロントエンドモジュール9を半導体チップ31,7,12のみで構成する。半導体チップ31には、それぞれ異なるバンド用の電力増幅器2a,2bならびにそれらの出力インピーダンス整合回路41a,41bなどが形成される。半導体チップ7には、各バンド毎に送信と受信を切り替えるアンテナスイッチ62が形成され、半導体チップ12には、各バンド用の低雑音増幅器11a,11bが形成される。ここで、パッケージ外において、アンテナスイッチ62とアンテナ8の間には各バンド用のロウパスフィルタ5a,5bが並列に接続され、低雑音増幅器11a,11bの出力ノードには、それぞれ各バンド用のバンドパスフィルタ10a,10bが接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号処理装置に関し、特に、携帯電話機において高周波フロントエンド部を担う高周波信号処理装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、GSM(Global System for Mobile communication)、およびDCS(Digital Cellular System)に対応したマルチモード高周波回路が示されている。当該文献の図16において、GSMやDCSの送信時には、電力増幅器からの送信信号がロウパスフィルタとスイッチを介してアンテナに伝送され、受信時には、アンテナからの受信信号がスイッチとバンドパスフィルタを介して伝送される。また、W−CDMAの送信時には、電力増幅器からの送信信号がデュプレクサとスイッチを介してアンテナに伝送され、受信時には、アンテナからの受信信号がスイッチとデュプレクサを介して伝送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−340257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、本発明の前提として検討した高周波信号処理装置の概略構成例を示すブロック図であり、GSM/DCS方式に対応した携帯電話機の高周波フロントエンド周りを示すものである。図1において、1a,1bは電力増幅器の入力インピーダンス整合回路、2a,2bは送信用電力増幅器、3は半導体チップである。4a,4bは電力増幅器の出力インピーダンス整合回路、5a,5bはロウパスフィルタ、6はSP4T(Single pole 4 throw)型アンテナスイッチ、7は半導体チップ、8はアンテナである。9は高周波フロントエンドモジュール(又は電力増幅器モジュール)であり、配線基板(プリント基板PCB)等がレジン等で封止されることでパッケージ化されている。10a,10bはバンドパスフィルタ、11a,11bは受信用低雑音増幅器、12は半導体チップである。
【0005】
入力インピーダンス整合回路1、送信用電力増幅器2、出力インピーダンス整合回路41、ロウパスフィルタ5、バンドパスフィルタ10、受信用低雑音増幅器11に関しては、低周波(GSM)バンドと高周波(DCS)バンドに対応して、それぞれ1対ずつ配置されており、符号に「a」が付いているものは低周波バンド用、「b」がついているものは高周波バンド用である。入力インピーダンス整合回路1a,1bと電力増幅器2a,2bは半導体チップ3上に、アンテナスイッチ6は半導体チップ7上に集積されている。それらの半導体チップは、出力インピーダンス整合回路4a,4bおよびロウパスフィルタ5a,5bと共に、高周波フロントエンドモジュール9の配線基板上に実装されている。出力インピーダンス整合回路4a,4bおよびロウパスフィルタ5a,5bは、例えばSMD(surface mounted device)部品と配線基板上の金属膜パターンよりなる。低雑音増幅器11a,11bは半導体チップ12上に集積され、その半導体チップ12は、バンドパスフィルタ10a,10bと共に、高周波フロントエンドモジュール9外の配線基板上に実装されている。
【0006】
図2は、本発明の前提として検討した他の高周波信号処理装置の概略構成例を示すブロック図であり、W−CDMA方式に対応した携帯電話機における高周波フロントエンド周りを示すものである。符号の1〜12が示す部分の名称は、図1の場合と同じである。61はSP2T(Single pole 2 throw)型アンテナスイッチ、13a,13bはアイソレータ、14a,14bはデュプレクサである。符号1〜12が示す部分は、図1の場合と同様な構成、配置となっている。アンテナスイッチ61は2個の受信用端子と1個のアンテナ用端子を有する。アイソレータ13a,13bおよびデュプレクサ14a,14bは例えばSMD部品であり、高周波フロントエンドモジュール9の配線基板上に配置されている。図1の場合と同様に、符号に「a」が付いているものは低周波バンド用、「b」がついているものは高周波バンド用である。低雑音増幅器11a,11bは半導体チップ12上に集積されている。その半導体チップ12は、図1の場合と同様に、バンドパスフィルタ10a,10bと共に、高周波フロントエンドモジュール9外の配線基板上に配置されている。
【0007】
ここで、図1および図2のような構成例を用いた場合、例えば次のような問題が生じる恐れがある。高周波信号処理装置の小型化を図るためには、全ての部品を単一、もしくは複数の半導体チップ上に集積化することが望ましい。また、そうすることにより、配線基板上の配線等の容易化や場合によっては配線基板の削除が可能となり、パッケージ組み立て工程の簡略化ができるので、製造コストを低減できる。しかしながら、現実的には、高周波信号処理装置に半導体チップ上への集積が困難な回路、部品が含まれるため、それが困難となっている。通常、図1、図2に示したように、高周波フロントエンドモジュール9のうち、電力増幅器とその入力インピーダンス整合回路、アンテナスイッチおよび低雑音増幅器は半導体チップ上に形成されているが、出力インピーダンス整合回路、ロウパスフィルタ、バンドパスフィルタ、デュプレクサ等は、SMD部品等を用いて配線基板上に形成されている。例えば、半導体チップとして、集積化や低コスト化が容易なシリコンチップを用いた場合、シリコン基板のノイズ特性や損失特性等の面から特にフィルタ回路のオンチップ化は容易でない。その結果、高周波信号処理装置を小型化することが困難になっている。また、組み立て工程が複雑となり、製造コストも高くなる。
【0008】
そこで、図1および図2の構成例に対して更なる小型化、低コストを図るため、半導体チップに集積できる部品のみを高周波フロントエンドモジュール9としてパッケージ化し、それ以外の部品をパッケージ外に配置することが考えられる。図3〜図5は、本発明の前提として検討した更に他の高周波信号処理装置の概略構成例を示すブロック図である。図3および図4は、GSM/DCS方式に対応した携帯電話機の高周波フロントエンド周りを示すものであり、図5は、W−CDMA方式に対応した携帯電話機における高周波フロントエンド周りを示すものである。
【0009】
まず、図3において、符号の1〜12が示す部分の名称は、図1の場合と同じである。図3では、図1における3個の半導体チップ3,7,12が1個の配線基板上に実装され、パッケージ化された高周波フロントエンドモジュール9を構成している。また、図1における出力インピーダンス整合回路4a,4b、ロウパスフィルタ5a,5b、および受信系のバンドパスフィルタ10a,10bはパッケージ外に配置されている。図4では、図3と異なり、送信用電力増幅器2a,2b等が形成された半導体チップ31上に出力インピーダンス整合回路41a,41bが集積され、これによって図3における外付けの出力インピーダンス整合回路4a,4bが削除されている。一方、図5では、図2における3個の半導体チップ3,7,12が高周波フロントエンドモジュール9の配線基板上でパッケージ化され、半導体チップ上に集積することが困難な、アイソレータ13a,13b、デュプレクサ14a,14b、および受信系のバンドパスフィルタ10a,10bがパッケージ外に配置されている。この際に、図4の場合と同様に、出力インピーダンス整合回路41a,41bは、半導体チップ31上に集積されている。
【0010】
このように、図3〜図5の構成例を用いると、高周波フロントエンドモジュール9内の部品は半導体チップのみとなるため、その配線基板上の配線の単純化や、場合によっては配線基板の削減が可能となり、モジュールの組み立ての工程を簡単化できる効果がある。しかしながら、これらの方法では、例えば、次のようなことが懸念される。すなわち、これらの構成例での部品配置では、高周波フロントエンドモジュール(パッケージ)9の中にある部品からパッケージ9の外にある部品を経て、再びパッケージ9の中にある部品に至る高周波信号の経路が存在する。たとえば、図3の場合では、パッケージ9内の電力増幅器2a,2bから、パッケージ9外の出力インピーダンス整合回路4a,4b、および、ロウパスフィルタ5a,5bを経て、再びパッケージ9内のアンテナスイッチ6に至る経路と、パッケージ9内のアンテナスイッチ6から、パッケージ9外のバンドパスフィルタ10a,10bを経て、再びパッケージ9内の低雑音増幅器11a,11bに至る経路が存在する。
【0011】
また、図4の場合でも、パッケージ9内からロウパスフィルタ5a,5bを経て、再びパッケージ9内に戻る経路と、パッケージ9内からバンドパスフィルタ10a,10bを経て、再びパッケージ9内に戻る経路が存在する。同様に、図5の場合でも、パッケージ9内からアイソレータ13a,13bおよびデュプレクサ14a,14bを経て、再びパッケージ9内に戻る経路と、パッケージ9内からデュプレクサ14a,14bおよびバンドパスフィルタ10a,10bを経て、再びパッケージ9内に戻る経路が存在する。このように、パッケージ9内から外に出した配線をもう一度パッケージ9内に戻す経路が存在すると、半導体チップや配線の配置が複雑となる。また、半導体チップ、配線基板のパッド数やパッケージのピン数が増加する。その結果、小型化、低コスト化、設計の容易化に対する障害となる。
【0012】
本発明は、このようなことを鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、高周波信号処理装置の小型化を実現することにある。本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
本実施の形態による高周波信号処理装置は、第1および第2アンテナスイッチ回路と、第1および第2電力増幅回路と、第1および第2整合回路と、第1および第2フィルタ(例えば共にロウパスフィルタ)とを有するものとなっている。第1電力増幅回路は、第1送信信号を増幅し、その出力信号は第1整合回路によるインピーダンス整合を経たのち第1アンテナスイッチ回路の第1送信ノード入力され、第1アンテナスイッチ回路の第1アンテナ接続ノードから送信される。同様に、第2電力増幅回路は、第2送信信号を増幅し、その出力信号は第2整合回路によるインピーダンス整合を経たのち第2アンテナスイッチ回路の第2送信ノード入力され、第2アンテナスイッチ回路の第2アンテナ接続ノードから送信される。このような構成において、当該高周波信号処理装置は、第1フィルタが第1アンテナ接続ノードとアンテナの間に接続され、第2フィルタが第2アンテナ接続ノードとアンテナの間に接続されることが特徴となっている。
【0015】
例えば、第1および第2電力増幅回路と第1および第2整合回路と第1および第2アンテナスイッチ回路を1個のパッケージで実現した場合、第1および第2フィルタをアンテナスイッチ回路の送信ノード側でなくアンテナ接続ノード側に配置することで、パッケージから外部に出て再びパッケージに戻る配線経路を無くすことができる。これによって、高周波信号処理装置の小型化や低コスト化が可能となる。また、第1および第2整合回路は、第1および第2電力増幅回路と同一の半導体チップ上に形成することが望ましい。これによって、パッケージ内に半導体チップ以外の受動部品等を搭載する必要が無くなり、高周波信号処理装置の更なる小型化や低コスト化が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すると、高周波信号処理装置の小型化が実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の前提として検討した高周波信号処理装置の概略構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の前提として検討した他の高周波信号処理装置の概略構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の前提として検討した更に他の高周波信号処理装置の概略構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の前提として検討した更に他の高周波信号処理装置の概略構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の前提として検討した更に他の高周波信号処理装置の概略構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態1による高周波信号処理装置において、図20を拡張した構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態3による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態4による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態5による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態6による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態8による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態9による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施の形態2による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施の形態10による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。
【図15】図6の高周波信号処理装置における高周波フロントエンドモジュールの概略的な外形例を示す斜視図である。
【図16】図9の高周波信号処理装置における高周波フロントエンドモジュールの概略的な外形例を示す斜視図である。
【図17】本発明の実施の形態7による高周波信号処理装置において、図9に示した高周波フロントエンドモジュールの他の概略的な外形例を示す斜視図である。
【図18】図11の高周波信号処理装置における高周波フロントエンドモジュールの概略的な外形例を示す斜視図である。
【図19】本発明の実施の形態1による高周波信号処理装置において、そのアンテナ周りの分岐経路の影響を説明する図である。
【図20】本発明の実施の形態1による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。
【図21】本発明の実施の形態11による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。
【図22】本発明の実施の形態12による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。
【図23】図6および図15における出力インピーダンス整合回路周りの概略構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0019】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
(実施の形態1)
《本実施の形態による高周波信号処理装置の基本構成(タイプ1)》
図20は、本発明の実施の形態1による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。図20に示す高周波信号処理装置は、例えば、TDD(Time Division Duplex)方式で通信を行う1個のバンド(帯域)に対応した構成となっており、高周波フロントエンドモジュール9と、ロウパスフィルタ5aと、バンドパスフィルタ10aと、アンテナ8を備えている。高周波フロントエンドモジュール9は、配線基板(プリント基板PCB)上に3個の半導体チップ34,7,12が実装されると共に、各半導体チップが配線基板もしくはボンディングワイヤを介して適宜接続された構成となっている。高周波フロントエンドモジュール9は、レジン等で封止されることでパッケージ化されている。ロウパスフィルタ5aは、代表的には積層セラミック技術を用いてインダクタや容量が形成されたSMD部品等であり、バンドパスフィルタ10aは、代表的にはSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタや誘電体フィルタ等である。
【0022】
半導体チップ34は、入力インピーダンス整合回路1aと、その出力を入力とする送信用電力増幅器2aと、その出力を入力とする出力インピーダンス整合回路41aを備える。半導体チップ12は、受信用低雑音増幅器11aを備える。半導体チップ7は、送信端子、受信端子およびアンテナ用端子を持つ1個のSPDT(Single poles double throw)型のアンテナスイッチ61を備える。アンテナスイッチ61の送信端子には、出力インピーダンス整合回路41aの出力ノードが接続され、受信端子には受信用低雑音増幅器11aの入力ノードが接続される。アンテナスイッチ61のアンテナ用端子には、ロウパスフィルタ5aを介してアンテナ8が接続される。また、バンドパスフィルタ10aは、受信用低雑音増幅器11aの出力ノードに接続される。
【0023】
送信時には、送信用のミキサ回路等(図示せず)からの送信用の高周波信号が入力インピーダンス整合回路1aを介して電力増幅器2aに入力され、電力増幅器2aによって増幅されたのち、出力インピーダンス整合回路41a、アンテナスイッチ61、およびロウパスフィルタ5aを介してアンテナ8から出力される。この際に、出力インピーダンス整合回路41aは、電力増幅器2aの比較的低い出力インピーダンスをアンテナスイッチ61の入力インピーダンス(50Ω等)に整合させる。ロウパスフィルタ5aは、電力増幅器2aの非線形性等によって生じ得る高調波成分を低減する。また、場合によっては、アンテナスイッチ61によって生じる高調波成分も低減する。一方、受信時には、アンテナ8からの受信用の高周波信号がロウパスフィルタ5aおよびアンテナスイッチ61を介して低雑音増幅器11aに入力される。この際に、ロウパスフィルタ5aは、受信用の高周波信号に含まれる恐れがある高調波成分等を低減する。低雑音増幅器11aは、受信用の高周波信号を低雑音で増幅し、その出力信号はバンドパスフィルタ10aを介して必要な帯域に制限されたのち、受信用のミキサ回路等(図示せず)に伝送される。
【0024】
このような構成において、本実施の形態による高周波信号処理装置の主要な特徴は、オンチップ化可能な部品は半導体チップに集積すると共に、高周波フロントエンドモジュール(パッケージ)9をできる限り当該半導体チップのみで構成し、オンチップ化が困難な部品は表面実装部品等としてパッケージ外に配置すると共に、パッケージから出た配線が、再びパッケージに戻ることが無いように各部品の接続関係を工夫した点にある。具体的な特徴は、(1)出力インピーダンス整合回路41aが例えばトランスフォーマ等を用いてオンチップ化された点、(2)ロウパスフィルタ5aがアンテナスイッチ61とアンテナ8の間に配置された点にある。また、ここでは更に、(3)バンドパスフィルタ10aが低雑音増幅器11aの出力側に配置された点も特徴となっている。
【0025】
ここで、上記(3)に関し、通常は、図1に示したようにバンドパスフィルタ10aは低雑音増幅器11aの入力側に配置されているが、それは、アンテナ8を経由して入ってきた妨害波をバンドパスフィルタ10aで除去することにより低雑音増幅器11aに入らないようにするためである。パワーの大きな妨害波が低雑音増幅器11aに入力された場合、線型に増幅できる電力範囲を超えることにより、増幅特性に歪みが生じて信号特性を劣化させる可能性がある。図20の構成例では、バンドパスフィルタ10aが低雑音増幅器11aの出力側に配置されているため、大きな妨害波が低雑音増幅器に入る可能性がある。しかしながら、例えば低雑音増幅器11aの寸法を大きくし、妨害波の入力による増幅歪を生じ難くすることなどで、信号特性の劣化を抑制することが可能である。
【0026】
《本実施の形態による高周波信号処理装置の基本構成(タイプ1’)》
図6は、本発明の実施の形態1による高周波信号処理装置において、図20を拡張した構成例を示すブロック図である。図6に示す高周波信号処理装置は、例えば、それぞれTDD(Time Division Duplex)方式で通信を行う2個のバンドに対応した構成となっており、前述した図20の回路構成を2系統備えたような構成例となっている。2個のバンドの一方(低周波バンドと称す)は、例えば、略824MHz〜略915MHzの送信周波数と、略869MHz〜略960MHzの受信周波数を持つGSM(Global System for Mobile Communications)用のバンドである。2個のバンドの他方(高周波バンドと称す)は、例えば、略1710MHz〜略1910MHzの送信周波数と、略1805MHz〜略1990MHzの受信周波数を持つDCS(Digital Cellular System)用のバンドである。
【0027】
図6に示す高周波信号処理装置は、配線基板上に3個の半導体チップ31,7,12が実装された高周波フロントエンドモジュール9と、2個のロウパスフィルタ5a,5bと、2個のバンドパスフィルタ10a,10bと、アンテナ8を備えている。高周波フロントエンドモジュール9は、レジン等で封止されることでパッケージ化されている。半導体チップ31は、前述した図20の半導体チップ34内の回路構成を2系統持ち、2個の入力インピーダンス整合回路1a,1b、送信用電力増幅器2a,2b、出力インピーダンス整合回路41a,41bを備えている。符号に「a」が付いているものは低周波バンド用、「b」がついているものは高周波バンド用である。同様に、半導体チップ12は、低周波バンド用の受信用低雑音増幅器11aと、高周波バンド用の受信用低雑音増幅器11bを備える。
【0028】
また、半導体チップ7は、アンテナスイッチ62を備え、アンテナスイッチ62は、低周波バンドおよび高周波バンドに対応して、図20で述べたSPDT型のスイッチを2系統備えている。すなわち、アンテナスイッチ62は、2個の送信端子、2個の受信端子、および2個のアンテナ用端子を備えている。2個の送信端子の一方は、出力インピーダンス整合回路41aの出力ノードが接続され、他方は、出力インピーダンス整合回路41bの出力ノードが接続される。2個の受信端子の一方は、受信用低雑音増幅器11aの入力ノードに接続され、他方は、受信用低雑音増幅器11bの入力ノードに接続される。2個のアンテナ用端子の一方は、低周波バンド用のロウパスフィルタ5aを介してアンテナ8に接続され、他方は、高周波バンド用のロウパスフィルタ5bを介してアンテナ8に共通に接続される。また、受信用低雑音増幅器11aの出力ノードには、低周波用のバンドパスフィルタ10aが接続され、受信用低雑音増幅器11bの出力ノードには、高周波用のバンドパスフィルタ10bが接続される。
【0029】
このように、図20の構成例を2個のバンドに拡張した場合、図20で述べた特徴に加えて、(4)アンテナスイッチ62においてアンテナ用端子が2個存在する点と、(5)各アンテナ用端子がそれぞれロウパスフィルタ5a,5bを介してアンテナ8に共通接続される点が特徴となる。なお、前述した低周波バンドと高周波バンドがGSMとDCSの場合、例えば、ロウパスフィルタ5bは、ロウパスフィルタ5aの約2倍程度の通過帯域を備えることになる。
【0030】
《基本構成(タイプ1および1’)による主な効果》
以上のように、図20や図6の構成例を用いることで、例えば次のような効果が得られる。第1に、高周波フロントエンドモジュール9への部品搭載工程がダイボンディングとワイヤボンディングのみに簡単化できる。また、場合によっては、配線基板を使用せずに高周波フロントエンドモジュール(パッケージ)を構成することも可能である。それらの結果、製造コストの低減が可能となる。第2に、パッケージから出てパッケージ内に戻る高周波信号線がなくなるため、配線の配置が簡単化でき、パッケージの寸法が縮小できる。すなわち、高周波フロントエンドモジュール9の小型化と共に、高周波フロントエンドモジュール9を含む高周波信号処理装置全体の小型化が可能となる。第3に、高周波フロントエンドモジュール9との間の配線経路が簡略化されることから、高周波信号処理装置における設計の容易化が図れる。これの効果に関して、以下、より詳細に説明する。
【0031】
まず、第1の効果に関し、前述したように、高周波フロントエンドモジュール(パッケージ)9に搭載される部品は全て半導体チップで構成されることになり、SMD部品等がパッケージに搭載されなくなる。これにより、パッケージへの部品搭載のための工程から、SMD部品等の半田付け工程が削除でき、半導体チップのダイボンディング工程と、半導体チップ間の接続工程を行えばよい。半導体チップ間を接続する際には、配線基板を介して接続したり、場合によっては、配線基板を用いずに、ボンディングワイヤやリードフレームを介して接続したり、あるいはボンディングワイヤによって半導体チップ間を直接接続することも可能である。これによって、製造工程が簡略化できることから、製造コストを低減することができる。また、配線基板を用いる場合には、SMD部品等を搭載しなくなることから、配線層数等の構造を単純化できる。また、配線基板を用いる代わりに例えばリードフレーム等で済ますことも可能である。その結果、製造コストをさらに低減することができる。
【0032】
次に、第2および第3の効果に関し、前述したように、ロウパスフィルタが、アンテナスイッチと出力インピーダンス整合回路の間ではなく、アンテナスイッチとアンテナの間に配置される。更に、低雑音増幅器がパッケージ内に搭載されると共に、低雑音増幅器の入力側ではなく出力側にバンドパスフィルタが配置される。これによって、パッケージから出てパッケージ内に戻る高周波信号線がなくなり、パッケージから配線を引き出すためのパッド数を少なくでき、また配線の配置が簡単化できる。その結果、パッケージの寸法が縮小でき、回路設計も容易になる。なお、低雑音増幅器をパッケージに搭載した場合、アンテナスイッチと低雑音増幅器との間を直接、短距離で接続できる。その結果、その接続配線、すなわち、低雑音増幅器の入力に影響する電磁界の変動(ノイズ)を少なくできるので、低雑音増幅器の出力ノイズを低減できる効果もある。
【0033】
ところで、本実施の形態による高周波信号処理装置では、図6に示したように、アンテナスイッチとアンテナの間に低周波バンド用と高周波バンド用の2個のロウパスフィルタが並列に接続されることになる。図1等に示したように、通常の場合、信号の分岐は必ずスイッチ(場合によってはダイプレクサ)によって行われているが、その目的の一つは、先端が行き止まりとなる信号経路ができることを防ぐためである。すなわち、信号が伝わる経路に行き止まりの経路がぶら下がった経路構成の場合、行き止まりの経路での損失や、そこからの反射波が本来の信号に重畳されることによる影響が明らかにされていなかったため、そのような経路構成を避けるように設計されていた。一方、本実施の形態による高周波信号処理装置を用いると、スイッチ以外の部分で信号経路の分岐があるため、スイッチがオンとなり信号が伝わる経路に、スイッチがオフとなり行き止まりとなる経路がぶら下がった構成が含まれるようになる。
【0034】
そこで、当該構成の影響について、図19を用いて説明する。図19は、本発明の実施の形態1による高周波信号処理装置において、そのアンテナ周りの分岐経路の影響を説明する図であり、アンテナからアンテナスイッチに至る信号経路が示されると共に、その中の特定ノードA,Bにおけるインピーダンスがスミスチャートにより示されている。図中の符号で、5a,5bはロウパスフィルタ、62はアンテナスイッチ、8はアンテナである。図19の例では、例えば、高周波バンドの送信に伴い、SPDTスイッチの一方において送信端子とアンテナ用端子が接続され、SPDTスイッチの他方においてアンテナ用端子はオフ状態(ハイインピーダンス状態)となっている。これによって、このSPDTスイッチの他方におけるアンテナ用端子が行き止まりの経路の端となる。ここで、この行き止まりの経路の端には、実際には、アンテナスイッチを構成するオフ状態のトランジスタが接続されているので、行き止まりの経路は、等価的に、純虚数成分の高インピーダンスで終端されていることになる。
【0035】
すなわち、ノードAの位置からアンテナスイッチ側を見たインピーダンスは、高インピーダンスでかつ実数成分がないので、スミスチャートのAに示されているように外周右側に張り付いている。ノードBの位置からアンテナスイッチ側を見たインピーダンスは、ノードAでのインピーダンスにロウパスフィルタを付加したものになっている。ロウパスフィルタはシャント接続された容量とシリーズ接続されたインダクタンスにより構成されている。ノードBでのインピーダンスは、ノードAでのインピーダンスに実数成分がないため、それに容量やインダクタンスを付加しても、やはりスミスチャートのBに示したようにスミスチャートの外周に近い領域の値となる。そのため、ノードBの位置からロウパスフィルタを見た反射率は0.9以上と高くなり、そこに入射する信号電力は小さくなっている。その結果、そこでの損失や、そこからの反射波の重畳による信号の位相ずれの増大を抑えることが可能となるため、当該分岐経路の影響は、問題のない水準となることが本発明者等によって見出された。
【0036】
《基本構成(タイプ1’)の外形例》
図15は、図6の高周波信号処理装置における高周波フロントエンドモジュールの概略的な外形例を示す斜視図である。図15に示す高周波フロントエンドモジュール(パッケージ)9は、実際には、レジン等により封止されているが、構造を分かりやすくするために封止材を省略して表示している。図中の各符号が示す部分の名称は、図6に含まれるものについては図6の場合と同じである。それ以外において、91は配線基板(プリント基板PCB)、15a,15bはパッケージ9への入力パッド、16a,16bは電力増幅器の出力インピーダンス整合回路41a,41bとアンテナスイッチ62の送信端子を接続するためのワイヤ、17a,17bはパッケージ9からロウパスフィルタ5a,5bに接続するための入出力パッドである。また、18a,18bは、低雑音増幅器11a,11bからバンドパスフィルタ10a,10bに接続するための出力パッド、19a,19bはアンテナスイッチ62の受信端子と低雑音増幅器11a,11bを接続するためのワイヤである。符号に「a」が付いているものは低周波バンド用、「b」がついているものは高周波バンド用である。パッケージ9内の部品は全て3個の半導体チップ31,7,12上に集積されている。
【0037】
配線基板(プリント基板PCB)91は、例えば、セラミック等の誘電体層や銅等の配線層が積層された構造となっている。半導体チップ31,7,12のそれぞれは、例えば、シリコン基板、SOI(Silicon On Insulator)基板、SOS(Silicon on Sapphire)基板、GaAsを代表とする化合物半導体基板等の中から選択した最適な基板を備え、当該基板上では最適な製造プロセスによって各回路等が形成される。例えば、送信用電力増幅器2a,2bは、シリコン基板やSOI基板上のLD−MOSFET(Laterally Diffused-Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等によって形成され、同一基板上において、出力インピーダンス整合回路41a,41bは、例えば、MIM(Metal Insulator Metal)容量、トランスフォーマ等によって形成される。
【0038】
図23は、図6および図15における出力インピーダンス整合回路周りの概略構成例を示す回路図である。図23に示すように、出力インピーダンス整合回路は、例えば、1次コイル410と2次コイル411の間でインピーダンス変換を行うトランスフォーマ41からなる。1次コイル410の一端と接地電源電圧GNDの間には、nチャネル型MOSFET200のソース・ドレイン経路が接続され、1次コイル410の他端とGNDの間には、nチャネル型MOSFET201のソース・ドレイン経路が接続される。また、1次コイル410の両端には、高調波成分低減用の容量202が備わっている。nチャネル型MOSFET200,201および容量202は、その前段の電力増幅器2(2a,2b)の一部となる。1次コイル410は、電源電圧Vddが印加される中間タップを備え、当該トランスフォーマ41は、nチャネル型MOSFET200,201を介したブッシュプル動作によりインピーダンス変換を行う。
【0039】
(実施の形態2)
《本実施の形態による高周波信号処理装置の基本構成(タイプ2)》
図13は、本発明の実施の形態2による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図である。図13に示す高周波信号処理装置は、例えば、それぞれFDD(Frequency Division Duplex)方式で通信を行う2個のバンド(バンドA、バンドBとする)に対応した構成となっている。バンドA,Bは、それぞれ、例えば十数種類のバンドが規定されたW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)におけるそれぞれ異なるバンドである。図13の高周波信号処理装置は、高周波フロントエンドモジュール9と、アイソレータ13a,13bおよびデュプレクサ14a,14bと、バンドパスフィルタ10a,10bと、アンテナ8を備えている。
【0040】
高周波フロントエンドモジュール9は、配線基板(プリント基板PCB)上に3個の半導体チップ31,7,12が実装されると共に、各半導体チップが配線基板を介して適宜接続された構成となっている。高周波フロントエンドモジュール9は、レジン等で封止されることでパッケージ化されている。バンドパスフィルタ10a,10bやデュプレクサ14a,14bは、代表的にはSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタや誘電体フィルタ等で構成される。前述した図6の場合と同様に、半導体チップ31は、入力インピーダンス整合回路1a,1b、送信用電力増幅器2a,2b、および出力インピーダンス整合回路41a,41bを備え、半導体チップ12は、受信用低雑音増幅器11a,11bを備える。一方、半導体チップ7は、図6の場合と異なり、2個の受信端子とアンテナ用端子を持つ1個のSPDT(Single poles double throw)型のアンテナスイッチ61を備える。
【0041】
デュプレクサ14a,14bのそれぞれは、送信端子、受信端子、およびアンテナ用端子を持つ。デュプレクサ14a,14bのアンテナ用端子は、アンテナ8に共通に接続される。出力インピーダンス整合回路41aの出力ノードは、アイソレータ13aを介してデュプレクサ14aの送信端子に接続され、出力インピーダンス整合回路41bの出力ノードは、アイソレータ13bを介してデュプレクサ14bの送信端子に接続される。デュプレクサ14a,14bの受信端子は、アンテナスイッチ61のアンテナ用端子に共通に接続される。アンテナスイッチ61の2個の受信端子の一方は受信用低雑音増幅器11aの入力ノードに接続され、他方は受信用低雑音増幅器11bの入力ノードに接続される。バンドパスフィルタ10aは受信用低雑音増幅器11aの出力ノードに接続され、バンドパスフィルタ10bは受信用低雑音増幅器11bの出力ノードに接続される。なお、図中において、符号に「a」が付いているものはバンドA用、「b」がついているものはバンドB用である。
【0042】
例えば、バンドAの送受信時には、アンテナスイッチ61のアンテナ用端子が低雑音増幅器11aの入力ノードに接続される。このような状態において、出力インピーダンス整合回路41aから出力されたバンドAの高周波信号はアイソレータ13aおよびデュプレクサ14aを介してアンテナ8に送信される。一方、アンテナ8で受信されたバンドA用の高周波信号は、デュプレクサ14aおよびアンテナスイッチ61を介して低雑音増幅器11aに入力される。この際に、デュプレクサ14aは、例えば、内部に備えた2個のバンドパスフィルタによって送信用の通過帯域と、それとは異なる受信用の通過帯域を分離する。すなわち、デュプレクサ14aは、送信用の通過帯域を送信端子とアンテナ用端子の間で通過させ、受信用の通過帯域をアンテナ用端子と受信端子の間で通過させ、アンテナ8上の送信信号が受信側に回り込んだり、アンテナ8上の受信信号が送信側に回り込むことを阻止する。一方、このバンドAの送受信時において、デュプレクサ14bは送信用および受信用の通過帯域がデュプレクサ14aと異なるため、アンテナ8上のバンドA用の送受信信号はデュプレクサ14bのアンテナ用端子で十分に反射される。したがって、デュプレクサ14b側の経路に伴う損失等は特に問題とならない。
【0043】
このように、本実施の形態による高周波信号処理装置の具体的な特徴は、前述した図6および図20の場合と同様に、(1)出力インピーダンス整合回路がオンチップ化された点や、(2)バンドパスフィルタが低雑音増幅器の出力側に配置された点に加えて、(3)デュプレクサがアンテナスイッチとアンテナの間に配置され、各デュプレクサのアンテナ用端子が共通に接続された点にある。これによって、実施の形態1の場合と同様の理由で、製造コストの低減や、高周波フロントエンドモジュールならびに高周波信号処理装置の小型化や、高周波信号処理装置における設計の容易化等が図れる。
【0044】
なお、前述した実施の形態1では、GSM/DCS用の構成例を示し、本実施の形態2ではW−CDMA用の構成例を示したが、勿論、これらを適宜混在させることも可能である。例えば、図6の構成例と図13の構成例を混在させた場合、アンテナ8に2個のロウパスフィルタ5a,5bと2個のデュプレクサ14a,14bが共通接続されるような構成例となる。また、バンドの種類も、これらに限らず、LTE(Long Term Evolution)等も含めて適宜変更可能である。
【0045】
(実施の形態3)
《基本構成(タイプ1’)の変形例(1)》
図7は、本発明の実施の形態3による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図であり、図6の変形例を示すものである。図中の各符号が示す部分の名称は、図6に含まれるものについては図6の場合と同じである。63はアンテナスイッチで、図6の構成例と異なる点はこのスイッチの部分のみである。アンテナスイッチ63では、2個の送信用端子と2個のアンテナ用端子により、2個のSPST(Single poles single throw)型のスイッチ回路が構成され、2個の受信用端子ともう1個のアンテナ用端子により1個のSPDT型のスイッチ回路が構成されている。2個のSPST型スイッチ回路のアンテナ用端子は、ロウパスフィルタ5a,5bを介してアンテナ8に共通接続される。一方、受信経路となるSPDT型のスイッチ回路は、アンテナ用端子がアンテナ8に直接接続され、2個の受信用端子がそれぞれ受信用低雑音増幅器11a,11bの入力ノードに接続されている。
【0046】
このような構成例を用いると、実施の形態1と同様な効果が得られることに加えて、更に、受信信号の損失を低減することが可能となる。すなわち、図7の構成例を用いた場合、図6の場合と異なり、アンテナ8で受信した高周波信号がロウパスフィルタを介さずに受信用低雑音増幅器に入力されるため、ロウパスフィルタによる損失を無くすことができる。ただし、その一方で、受信した高周波信号に含まれ得る高調波ノイズ等がそのまま低雑音増幅器に入力されるため、このノイズの観点からは図6の構成例の方が望ましい。
【0047】
(実施の形態4)
《基本構成(タイプ1’)の変形例(2)》
図8は、本発明の実施の形態4による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図であり、図6の他の変形例を示すものである。図中の各符号が示す部分の名称は、図6に含まれるものについては図6の場合と同じである。24はダイプレクサであり、図6の構成例と異なる点はこの部分のみである。すなわち、図6の構成例における2個のロウパスフィルタ5a,5bが、ダイプレクサ24に置き換えられている。
【0048】
ダイプレクサ24は、例えば、TDD方式において、ある通信規格上の送信および受信バンド(例えばGSM用バンド)と、他の通信規格上の送信および受信バンド(例えばDCS用バンド)とを分離するものである。一方、前述したデュプレクサは、FDD方式における送信バンドと受信バンドをバンドパスフィルタによって分離するため、ダイプレクサとは区別される。図8に示すダイプレクサ24は、例えば、GSM用バンドをロウパスフィルタまたはバンドパスフィルタで通過させ、DCS用バンドをバンドパスフィルタ等で通過させることでバンドの分離と送信用電力増幅器からの高調波成分の低減を行う。このような構成例によっても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0049】
(実施の形態5)
《基本構成(タイプ1’)の変形例(3)》
図9は、本発明の実施の形態5による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図であり、図6の更に他の変形例を示すものである。図中の各符号が示す部分の名称は、図6に含まれるものについては図6の場合と同じである。71は半導体チップであり、当該半導体チップ71上に、アンテナスイッチ62と低雑音増幅器11a,11bが集積されている点が図6の構成例と異なっている。
【0050】
《変形例(3)の外形例(1)》
図16は、図9の高周波信号処理装置における高周波フロントエンドモジュールの概略的な外形例を示す斜視図であり、図15の変形例を示すものである。図16に示す高周波フロントエンドモジュール(パッケージ)9は、実際には、レジン等により封止されているが、構造を分かりやすくするために封止材を省略して表示している。図中の各符号が示す部分の名称は、図9および図15の場合と同じである。図16と図15の違いは、その比較から明らかなように、パッケージ9内で部品が集積されている半導体チップの数が3個から2個に低減された点である。
【0051】
図9および図16の構成例を用いることで、実施の形態1と同様の効果が得られることに加えて、更に、パッケージ内の半導体チップの数を低減できるため、高周波フロントエンドモジュールおよび高周波信号処理装置の更なる小型化や、パッケージの組み立てコストの更なる低減などが図れる。ただし、アンテナスイッチ62と低雑音増幅器11a,11bを同一半導体チップ71上に集積することで、製造プロセスの整合性等に伴い場合によっては回路特性が犠牲になる恐れがあり、この観点からは図15の構成例の方が望ましい。
【0052】
(実施の形態6)
《基本構成(タイプ1’)の変形例(4)》
図10は、本発明の実施の形態6による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図であり、図6の更に他の変形例を示すものである。図中の各符号が示す部分の名称は、図6に含まれるものについては図6の場合と同じである。32は半導体チップであり、当該半導体チップ32上に、入力インピーダンス整合回路1a,1b、送信用電力増幅器2a,2b、出力インピーダンス整合回路41a,41bと共にアンテナスイッチ62が集積されている点が図6の構成例とは異なっている。図10の構成例による効果は、実施の形態5の場合と同様である。
【0053】
(実施の形態7)
《変形例(3)の外形例(2)》
図17は、本発明の実施の形態7による高周波信号処理装置において、図9に示した高周波フロントエンドモジュールの他の概略的な外形例を示す斜視図であり、図16の変形例を示すものである。図17の高周波フロントエンドモジュール(パッケージ)9は、実際には、レジン等により封止されているが、構造を分かりやすくするために封止材を省略して表示している。図中の各符号が示す部分の名称は、図16に含まれるものについては図16の場合と同じである。それ以外では、符号20a〜23a,20b〜23bはリードフレームの端子であり、20a,20bはパッケージ9への入力端子、21は接地電源電圧(GND)端子、22a,22bはパッケージ9からロウパスフィルタ5a,5bに接続するための入出力端子、23a,23bは低雑音増幅器11a,11bからバンドパスフィルタ10a,10bに接続するための出力端子である。符号に「a」が付いているものは低周波バンド用、「b」がついているものは高周波バンド用である。
【0054】
図17の構成例を用いた場合、パッケージ9内の部品は、2個の半導体チップ31,71とリードフレームのみとなっている。2個の半導体チップ31,71は、それぞれリードフレームの部材となる2個のダイパッド上にそれぞれ搭載される。したがって、このような構成例を用いることで、実施の形態5と同様な効果が得られることに加えて、更に、半導体チップを搭載するための配線基板(プリント基板PCB)が不要になるため、製造コストをより低減できる効果が得られる。
【0055】
(実施の形態8)
《基本構成(タイプ1’)の変形例(5)》
図11は、本発明の実施の形態8による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図であり、図6の更に他の変形例を示すものである。図中の各符号が示す部分の名称は、図6に含まれるものについては図6の場合と同じである。33は半導体チップであり、当該半導体チップ33上に、入力インピーダンス整合回路1a,1b、送信用電力増幅器2a,2b、出力インピーダンス整合回路41a,41b、アンテナスイッチ62、および低雑音増幅器11a,11bが集積されている点が図6の構成例とは異なっている。
【0056】
《変形例(5)の外形例》
図18は、図11の高周波信号処理装置における高周波フロントエンドモジュールの概略的な外形例を示す斜視図であり、図17の変形例を示すものである。高周波フロントエンドモジュール(パッケージ)9は、実際には、レジン等により封止されているが、構造を分かりやすくするために封止材を省略して表示している。図中の各符号が示す部分の名称は、図11、図17に含まれるものについてはそれらの場合と同じである。図18では、図17の場合と異なり、パッケージ9内の部品が1個の半導体チップ33とリードフレームのみとなっている。半導体チップ33は、リードフレームの部材となるダイパッド上に搭載される。また、半導体チップ33は、例えばSOI基板等によって実現される。
【0057】
このような構成例を用いると、実施の形態1と同様の効果が得られることに加えて、更に、パッケージを1個の半導体チップで実現できるため、高周波フロントエンドモジュールおよび高周波信号処理装置の大幅な小型化や、パッケージの組み立てコストの大幅な低減などが図れる。ただし、前述した各回路の全てを同一のSOI基板等に形成する場合、それぞれの回路特性がかなり犠牲になる恐れがあるため、この観点からは、前述した図6や、図9あるいは図10の構成例の方が望ましい。
【0058】
(実施の形態9)
《基本構成(タイプ1’)の変形例(6)》
図12は、本発明の実施の形態9による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図であり、図6の更に他の変形例を示すものである。図中の各符号が示す部分の名称は、図6に含まれるものについては図6の場合と同じである。図12の構成例では、半導体チップ12上に形成された低雑音増幅器11a,11bが高周波フロントエンドモジュール(パッケージ)9の外に配置され、バンドパスフィルタ10a,10bが、アンテナスイッチ62と低雑音増幅器11a,11bの間に接続されている点が図6の構成例とは異なっている。
【0059】
このような構成例を用いると、実施の形態1とほぼ同様の効果が得られるが、低雑音増幅器11a,11bのパッケージ9外への配置に伴い、図6等の構成例と比較して、高周波信号処理装置全体としての小型化や低コスト化の効果が小さくなる恐れがある。ただし、低雑音増幅器をパッケージ外へ配置することで、前述したパッケージへの戻り配線の問題が無くなるため、低雑音増幅器の入力側にバンドパスフィルタを配置することが可能になる。前述したように、バンドパスフィルタは低雑音増幅器の出力側に配置することも可能であるが、入力側に配置することも有益である。入力側に配置した場合、アンテナ8を経由して入ってきた妨害波が、低雑音増幅器に入力される前に除去される。これにより、低雑音増幅器の寸法が小さくても、増幅特性に歪みが生じ難く、信号特性が劣化し難い。その結果、低雑音増幅器の小型化や、消費電力の低減が図れる。なお、低雑音増幅器をパッケージ外へ配置した場合でも、例えば、受信系の復調回路(ミキサ回路等)が形成される半導体チップ上に低雑音増幅器が集積できるような場合には、高周波システム全体としての小型化は十分に図れる。
【0060】
(実施の形態10)
《基本構成(タイプ2)の変形例》
図14は、本発明の実施の形態10による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図であり、図13の変形例を示すものである。図中の各符号が示す部分の名称は、図13に含まれるものについては図13の場合と同じである。64はアンテナスイッチであり、当該アンテナスイッチ64はSPST型の2個のスイッチ回路によって構成されており、この点が図13の構成例との違いになっている。2個のスイッチ回路の一方は、一端がデュプレクサ14aの受信端子に接続され、他端が低雑音増幅器11aの入力ノードに接続される。2個のスイッチ回路の他方は、一端がデュプレクサ14bの受信端子に接続され、他端が低雑音増幅器11bの入力ノードに接続される。
【0061】
このような構成例を用いると、実施の形態2の場合と同様な効果が得られる。また、実施の形態2で述べた図13の構成例では、デュプレクサ14a,14bの受信端子が、アンテナスイッチ61のアンテナ用端子に共通に接続されているため、場合によっては、デュプレクサ14aの受信端子から出力された受信信号が、デュプレクサ14bの受信端子側に回り込み、そこで反射されることで信号品質が低下する恐れがある。一方、図14の構成例を用いると、このような事態を防止することができる。
【0062】
(実施の形態11)
《基本構成(タイプ1’)の変形例(7)》
図21は、本発明の実施の形態11による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図であり、図12の変形例を示すものである。図中の各符号が示す部分の名称は、図12に含まれるものについては図12の場合と同じである。32は半導体チップであり、当該半導体チップ32上には、入力インピーダンス整合回路1a,1b、送信用電力増幅器2a,2b、出力インピーダンス整合回路41a,41bと共にアンテナスイッチ62が集積されている。図21の構成例は、図12の構成例と比較すると、アンテナスイッチ62が送信用電力増幅器2a,2bと同一の半導体チップ上に形成されている点が異なる。このような構成例を用いると、実施の形態9と同様な効果が得られることに加えて、更に、パッケージ内の半導体チップ数が少なくなるため、より低コスト、小型化が可能となる効果が得られる。
【0063】
(実施の形態12)
《基本構成(タイプ1’)の変形例(8)》
図22は、本発明の実施の形態12による高周波信号処理装置において、その概略構成例を示すブロック図であり、図6の更に他の変形例を示すものである。図中の各符号が示す部分の名称は、図6に含まれるものについては図6の場合と同じである。7はアンテナスイッチ65が形成された半導体チップであり、当該アンテナスイッチ65は、4個の送信用端子と4個のアンテナ用端子を持つ4個のSPST型のスイッチ回路を備えている。
【0064】
第1のSPST型スイッチ回路は、一端が出力インピーダンス整合回路41aの出力ノードに、他端がロウパスフィルタ5aの一端にそれぞれ接続され、第2のSPST型スイッチ回路は、一端が出力インピーダンス整合回路41bの出力ノードに、他端がロウパスフィルタ5bの一端にそれぞれ接続される。第3のSPST型スイッチ回路は、一端が低雑音増幅器11aの入力ノードに、他端がバンドパスフィルタ10aの一端にそれぞれ接続され、第4のSPST型スイッチ回路は、一端が低雑音増幅器11bの入力ノードに、他端がバンドパスフィルタ10bの一端にそれぞれ接続される。ロウパスフィルタ5a,5bおよびバンドパスフィルタ10a,10bの他端は、アンテナ8に共通に接続される。第1〜第4のSPST型スイッチ回路は、低周波バンドと高周波バンドの選択と送信と受信の選択に応じて、あるタイミングでいずれか1個のスイッチ回路がオンに駆動される。したがって、このアンテナ8上に存在する4個の分岐経路は、前述した図19と同様の理由で特に問題とならない。
【0065】
図22の構成例を用いると、実施の形態1の場合と同様な効果が得られる。更に、バンドパスフィルタ10a,10bが低雑音増幅器11a,11bの入力に接続されていることから、アンテナ8を経由して入ってきた妨害波が、低雑音増幅器に入力される前に除去される。そのため、図6の構成例と比較して、低雑音増幅器の寸法が小さくても、増幅特性に歪みが生じ難く信号特性が劣化し難い。その結果、低雑音増幅器の小型化や消費電力の低減が図れる。
【0066】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0067】
例えば、前述した各実施の形態では、携帯電話機を例として高周波フロントエンド周りの構成例を示したが、勿論、携帯電話機に限らず、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)等も含めて様々な無線通信システムに対して同様に適用可能である。また、前述した図6等では、アンテナ8にロウパスフィルタを接続したが、場合によってはロウパスフィルタの変わりにバンドパスフィルタを用いることも可能である。更に、前述した図6等では、2個のバンドに対応した構成例を示したが、勿論、同様にして3個以上のバンドに拡張することも可能である。
【0068】
ここで、前述した各実施の形態の高周波信号処理装置が備える特徴的な構成を以下に纏める。
【0069】
(1)本実施の形態による高周波信号処理装置は、少なくとも電力増幅回路、それらの出力インピーダンス整合回路、およびアンテナスイッチ回路が集積された単一、もしくは複数個の半導体チップと、それらを搭載するリードフレームもしくはプリント基板が封止された集積回路パッケージを有する。そして、出力インピーダンス整合回路とアンテナスイッチ回路が高周波信号線によりフィルタを介さず接続され、集積回路パッケージの外部において、アンテナスイッチ回路とアンテナの間にフィルタが接続された構成を有する。
【0070】
(2)前記(1)の高周波信号処理装置は、更に、アンテナとフィルタとの間の高周波信号線に分岐を有する。
【0071】
(3)前記(1)の高周波信号処理装置は、電力増幅回路、それらの出力インピーダンス整合回路、アンテナスイッチ回路と共に更に低雑音増幅回路が集積された単一、もしくは複数個の半導体チップと、それを搭載するリードフレームもしくはプリント基板が封止された集積回路パッケージを有する。そして、アンテナスイッチ回路の出力に低雑音増幅回路が高周波信号線によりフィルタを介さず接続される。
【0072】
(4)前記(3)の高周波信号処理装置は、集積回路パッケージの外部において、低雑音増幅回路の出力にフィルタが接続される。
【0073】
(5)本実施の形態による高周波信号処理装置は、少なくとも電力増幅回路、それらの出力インピーダンス整合回路、およびアンテナスイッチ回路が集積された単一、もしくは複数個の半導体チップと、それらを搭載するリードフレームもしくはプリント基板が封止された集積回路パッケージを有する。そして、集積回路パッケージの外部において、アンテナスイッチ回路とアンテナの間に、デュプレクサが接続された構成を有する。
【0074】
(6)前記(5)の高周波信号処理装置は、アンテナとデュプレクサとの間の高周波信号線に分岐を有する。
【0075】
(7)前記(5)の高周波信号処理装置は、電力増幅回路、それらの出力インピーダンス整合回路、アンテナスイッチ回路と共に更に低雑音増幅回路が集積された単一、もしくは複数個の半導体チップと、それを搭載するリードフレームもしくはプリント基板が封止された集積回路パッケージを有する。そして、アンテナスイッチ回路の出力に低雑音増幅回路が高周波信号線によりフィルタとデュプレクサを介さず接続された構成を有する。
【0076】
(8)前記(1)〜(7)の高周波信号処理装置は、アンテナスイッチ回路がアンテナに接続される端子を複数有する。
【0077】
(9)前記(3)かつ(8)の高周波信号処理装置は、集積回路パッケージの外部でありアンテナから低雑音増幅回路に接続される経路において、アンテナとアンテナスイッチ回路の間にフィルタが挿入された構成を有する。
【0078】
(10)前記(1)〜(9)の高周波信号処理装置は、電力増幅回路の出力インピーダンス整合回路がトランスフォーマよりなる。
【符号の説明】
【0079】
10a,10b バンドパスフィルタ
11a,11b 低雑音増幅器
13a,13b アイソレータ
14a,14b デュプレクサ
15a,15b 入力パッド
16a,16b,19a,19b ワイヤ
17a,17b 入出力パッド
18a,18b 出力パッド
1a,1b 入力インピーダンス整合回路
2,2a,2b 電力増幅器
200,201 MOSFET
202 容量
20a,20b 入力端子
21 接地電源電圧端子
22a,22b 入出力端子
23a,23b 出力端子
24 ダイプレクサ
3,7,12,31〜34,71 半導体チップ
41 トランスフォーマ
410,411 コイル
4a,4b,41a,41b 出力インピーダンス整合回路
5a,5b ロウパスフィルタ
6,61,62,63,64,65 アンテナスイッチ
8 アンテナ
9 高周波フロントエンドモジュール
91 配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アンテナ接続ノードを第1送信ノードに接続する第1アンテナスイッチ回路と、
第1送信信号を増幅する第1電力増幅回路と、
前記第1電力増幅回路の出力ノードと前記第1送信ノードの間に設けられ、前記第1電力増幅回路の出力インピーダンスを前記第1送信ノード側の入力インピーダンスに整合させる第1整合回路と、
一端が前記第1アンテナ接続ノードに、他端がアンテナに接続された第1フィルタと、
第2アンテナ接続ノードを第2送信ノードに接続する第2アンテナスイッチ回路と、
第2送信信号を増幅する第2電力増幅回路と、
前記第2電力増幅回路の出力ノードと前記第2送信ノードの間に設けられ、前記第2電力増幅回路の出力インピーダンスを前記第2送信ノード側の入力インピーダンスに整合させる第2整合回路と、
一端が前記第2アンテナ接続ノードに、他端が前記アンテナに接続された第2フィルタとを有することを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の高周波信号処理装置において、
前記第1および第2フィルタのそれぞれは、ロウパスフィルタであることを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の高周波信号処理装置において、
前記第1および第2電力増幅回路と前記第1および第2整合回路は、同一の半導体チップ上に形成され、
前記第1アンテナスイッチ回路と前記第2アンテナスイッチ回路は、同一の半導体チップ上に形成され、
前記第1および第2電力増幅回路と前記第1および第2整合回路と前記第1および第2アンテナスイッチ回路は、1個の第1パッケージ内に搭載され、
前記第1および第2フィルタは、前記第1パッケージの外部に搭載されることを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の高周波信号処理装置において、
前記第1パッケージは、リードフレームを含み、前記リードフレーム上のダイパッドに半導体チップが搭載された構造を備えることを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の高周波信号処理装置において、
前記第1アンテナスイッチ回路は、更に、第1受信ノードを持ち、前記第1アンテナ接続ノードを前記第1送信ノードか前記第1受信ノードに選択的に接続し、
前記第2アンテナスイッチ回路は、更に、第2受信ノードを持ち、前記第2アンテナ接続ノードを前記第2送信ノードか前記第2受信ノードに選択的に接続し、
前記高周波信号処理装置は、さらに、
前記第1受信ノードに入力ノードが接続された第1低雑音増幅回路と、
前記第2受信ノードに入力ノードが接続された第2低雑音増幅回路と、
前記第1低雑音増幅回路の出力ノードに接続された第1バンドパスフィルタと、
前記第2低雑音増幅回路の出力ノードに接続された第2バンドパスフィルタとを有することを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の高周波信号処理装置において、
前記第1および第2電力増幅回路と前記第1および第2整合回路は、同一の半導体チップ上に形成され、
前記第1アンテナスイッチ回路と前記第2アンテナスイッチ回路は、同一の半導体チップ上に形成され、
前記第1低雑音増幅回路と前記第2低雑音増幅回路は、同一の半導体チップ上に形成され、
前記第1および第2電力増幅回路と前記第1および第2整合回路と前記第1および第2アンテナスイッチ回路と前記第1および第2低雑音増幅回路は、1個の第2パッケージ内に搭載され、
前記第1および第2フィルタと前記第1および第2バンドパスフィルタは、前記第2パッケージの外部に搭載されることを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項7】
請求項5記載の高周波信号処理装置において、
前記第1および第2電力増幅回路と前記第1および第2整合回路は、同一の半導体チップ上に形成され、
前記第1アンテナスイッチ回路と前記第2アンテナスイッチ回路は、同一の半導体チップ上に形成され、
前記第1低雑音増幅回路と前記第2低雑音増幅回路は、同一の半導体チップ上に形成され、
前記第1および第2電力増幅回路と前記第1および第2整合回路と前記第1および第2アンテナスイッチ回路は、1個の第3パッケージ内に搭載され、
前記第1および第2低雑音増幅回路と前記第1および第2フィルタと前記第1および第2バンドパスフィルタは、前記第3パッケージの外部に搭載されることを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項8】
第1アンテナ接続ノードを第1送信ノードに接続する第1アンテナスイッチ回路と、
第1送信信号を増幅する第1電力増幅回路と、
前記第1電力増幅回路の出力ノードと前記第1送信ノードの間に設けられ、前記第1電力増幅回路の出力インピーダンスを前記第1送信ノード側の入力インピーダンスに整合させる第1整合回路と、
一端が前記第1アンテナ接続ノードに接続され、他端がアンテナに接続された第1ロウパスフィルタとを有することを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項9】
請求項8記載の高周波信号処理装置において、
前記第1電力増幅回路と前記第1整合回路は、同一の半導体チップ上に形成され、
前記第1電力増幅回路と前記第1整合回路と前記第1アンテナスイッチ回路は、1個の第1パッケージ内に搭載され、
前記第1ロウパスフィルタは、前記第1パッケージの外部に搭載されることを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項10】
請求項8記載の高周波信号処理装置において、
前記第1アンテナスイッチ回路は、更に、第1受信ノードを持ち、前記第1アンテナ接続ノードを前記第1送信ノードか前記第1受信ノードに選択的に接続し、
前記高周波信号処理装置は、さらに、
前記第1受信ノードに入力ノードが接続された第1低雑音増幅回路と、
前記第1低雑音増幅回路の出力ノードに接続された第1バンドパスフィルタとを有することを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項11】
請求項10記載の高周波信号処理装置において、
前記第1電力増幅回路と前記第1整合回路は、同一の半導体チップ上に形成され、
前記第1電力増幅回路と前記第1整合回路と前記第1アンテナスイッチ回路と前記第1低雑音増幅回路は、1個の第2パッケージ内に搭載され、
前記第1ロウパスフィルタと前記第1バンドパスフィルタは、前記第2パッケージの外部に搭載されることを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項12】
請求項8記載の高周波信号処理装置において、
前記第1アンテナスイッチ回路は、更に、第2アンテナ接続ノードと第2受信ノードを持ち、前記第1アンテナ接続ノードと前記第1送信ノードの接続と、前記第2アンテナ接続ノードと前記第2受信ノードの接続とを選択的に制御することを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項13】
請求項12記載の高周波信号処理装置において、更に、
前記第2受信ノードに入力ノードが接続された第2低雑音増幅回路と、
前記第2低雑音増幅回路の出力ノードに接続された第2バンドパスフィルタとを有し、
前記第2アンテナ接続ノードは、前記アンテナに接続されていることを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項14】
請求項12記載の高周波信号処理装置において、更に、
前記第2受信ノードに入力ノードが接続された第2低雑音増幅回路と、
前記第2アンテナ接続ノードと前記アンテナの間に接続された第3バンドパスフィルタとを有することを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項15】
第1送信バンド内の信号を第1送信ノードと第1アンテナ接続ノードの間で通過させ、第1受信バンド内の信号を前記第1アンテナ接続ノードと第1受信ノードの間で通過させる第1デュプレクサと、
第1送信信号を増幅する第1電力増幅回路と、
前記第1電力増幅回路の出力ノードと前記第1送信ノードの間に設けられ、前記第1電力増幅回路の出力インピーダンスを前記第1送信ノード側の入力インピーダンスに整合させる第1整合回路と、
第2送信バンド内の信号を第2送信ノードと第2アンテナ接続ノードの間で通過させ、第2受信バンド内の信号を前記第2アンテナ接続ノードと第2受信ノードの間で通過させる第2デュプレクサと、
第2送信信号を増幅する第2電力増幅回路と、
前記第2電力増幅回路の出力ノードと前記第2送信ノードの間に設けられ、前記第2電力増幅回路の出力インピーダンスを前記第2送信ノード側の入力インピーダンスに整合させる第2整合回路とを備え
前記第1および第2アンテナ接続ノードは、アンテナに直接的に接続されていることを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項16】
請求項15記載の高周波信号処理装置において、
前記第1および第2電力増幅回路と前記第1および第2整合回路は、同一の半導体チップ上に形成されると共に1個の第1パッケージ内に搭載され、
前記第1および第2デュプレクサは、前記第1パッケージの外部に搭載されることを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項17】
請求項15記載の高周波信号処理装置において、更に、
第1および第2低雑音増幅回路と、
前記第1受信ノードを前記第1低雑音増幅回路の入力ノードに接続し、前記第2受信ノードを前記第2低雑音増幅回路の入力ノードに接続するアンテナスイッチ回路と、
前記第1低雑音増幅回路の出力ノードに接続された第1バンドパスフィルタと、
前記第2低雑音増幅回路の出力ノードに接続された第2バンドパスフィルタとを有することを特徴とする高周波信号処理装置。
【請求項18】
請求項17記載の高周波信号処理装置において、
前記第1および第2電力増幅回路と前記第1および第2整合回路は、同一の半導体チップ上に形成され、
前記第1低雑音増幅回路と前記第2低雑音増幅回路は、同一の半導体チップ上に形成され、
前記第1および第2電力増幅回路と前記第1および第2整合回路と前記アンテナスイッチ回路と前記第1および第2低雑音増幅回路は、1個の第2パッケージ内に搭載され、
前記第1および第2デュプレクサと前記第1および第2バンドパスフィルタは、前記第2パッケージの外部に搭載されることを特徴とする高周波信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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