説明

高周波技術のための構成要素および液晶媒体

本発明は、高周波技術のための、または電磁スペクトルのマイクロ波範囲およびミリメートル波範囲のための構成要素であって、前記構成要素が、式Iで表され、式中パラメーターが特許請求の範囲または本文に示したそれぞれの意味を有する液晶化合物または、前記式Iで表される1種または2種以上の化合物を同じく含む液晶媒体を含むことを特徴とする、前記構成要素、ならびに対応する新規な液晶媒体、その使用および製造、ならびに前記構成要素の製造および使用に関する。本発明の構成要素は、特にマイクロ波領域における、およびミリメートル波範囲における位相シフターとして、マイクロ波およびミリメートル波アレイアンテナに、ならびにとりわけいわゆる適合可能な「反射アレイ」に好適である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、高周波技術のための新規な構成要素、とりわけ、マイクロ波またはミリメートル波範囲において作動する高周波デバイス用の、特に、アンテナ用の、とりわけギガヘルツ範囲用の構成要素に関する。これらの構成要素は、例えば同調可能なフェーズドアレイアンテナまたは反射アレイ(reflectarray)に基づくマイクロ波アンテナの同調可能なセルのためのマイクロ波の位相シフトのための、特定の液晶化合物またはそれから構成される液晶媒体を使用する。
【背景技術】
【0002】
従来技術および解決するべき課題
液晶媒体は、情報を表示するための電気光学的ディスプレイ(liquid crystal displays−LCDs)において長期にわたり活用されている。
追加的なアルキル置換を中央のフェニレン環上で伴う、トリフェニルジアセチレンとしても知られているビストラン化合物は、当業者に十分知られている。
【0003】
例えば、Wu, S.-T., Hsu, C.-S.およびShyu, K.-F., Appl. Phys. Lett., 74 (3), (1999)、344〜346頁には、式
【化1】

で表される側方のメチル基を含む種々の液晶ビストラン化合物が開示されている。
【0004】
側方のメチル基を含む液晶ビストラン化合物に加えて、Hsu, C. S., Shyu, K. F., Chuang, Y. Y.およびWu, S.-T., Liq. Cryst., 27 (2), (2000)、283〜287頁にはまた、側方のエチル基を含む対応する化合物が開示されており、とりわけ液晶光学的フェーズドアレイにおけるその使用が提案されている。
【0005】
Dabrowski, R., Kula, P., Gauza, S., Dziadiszek, J., Urban, S.およびWu, S.-T., IDRC 08, (2008)、35〜38頁には、中央の環上に側方のメチル基を有する、および有しない誘電的に中性のビストラン化合物が、式
【化2】

で表される強度に誘電的に正のイソチオシアナトビストラン化合物に加えて開示されている。
【0006】
しかし、最近、液晶媒体はまた、例えばDE 10 2004 029 429 AおよびJP 2005-120208(A)に記載されているように、マイクロ波技術のための構成要素における使用について提案されている。
【0007】
高周波技術における液晶媒体の工業的に有用な適用は、それらの誘電特性を、特にギガヘルツ範囲について可変電圧によってコントロールすることができるというそれらの特性に基づく。これによって、いかなる可動部をも含まない同調可能なアンテナの構築が可能になる(A. Gaebler, A. Moessinger, F. Goelden, et al., "Liquid Crystal-Reconfigurable Antenna Concepts for Space Applications at Microwave and Millimeter Waves", International Journal of Antennas and Propagation, Volume 2009, Article ID 876989, (2009)、1〜7頁、doi:10.1155/2009/876989)。
【0008】
A. Penirschke, S. Mueller, P. Scheele, C. Weil, M. Wittek, C. HockおよびR. Jakoby: "Cavity Perturbation Method for Characterisation of Liquid Crystals up to 35 GHz", 34th European Microwave Conference - Amsterdam、545〜548頁には、とりわけ、9GHzの周波数における既知の単一の液晶物質K15(Merck KGaA,ドイツ国)の特性が記載されている。
【0009】
DE 10 2004 029 429 Aには、液晶媒体のマイクロ波技術における、とりわけ位相シフターにおける使用が記載されている。DE 10 2004 029 429 Aでは、液晶媒体が、対応する周波数範囲におけるそれらの特性に関して既に調査されている。
【0010】
高周波技術において使用するために、特定の、現在までむしろ稀で、卓越した特性または特性の組み合わせを有する液晶媒体が、要求される。
【0011】
A. Gaebler, F. Goelden, S. Mueller, A. PenirschkeおよびR. Jakoby "Direct Simulation of Material Permittivites using an Eigen-Susceptibility Formulation of the Vector Variational Approach”, 12MTC 2009 - International Instrumentation and Measurement Technology Conference, Singapore, 2009 (IEEE)、463〜467頁には、既知の液晶混合物E7(同様にMerck KGaA,ドイツ国)の対応する特性が記載されている。
【0012】
DE 10 2004 029 429 Aには、液晶媒体のマイクロ波技術における、とりわけ位相シフターにおける使用が記載されている。DE 10 2004 029 429 Aでは、液晶媒体が、対応する周波数範囲におけるそれらの特性に関して既に調査されている。さらに、式
【化3】

で表される化合物を、式
【化4】

で表される化合物の他に含む液晶媒体に言及されている。
【0013】
しかし、現在まで知られている組成物は、重大な欠点を抱えている。他の欠点に加えて、それらのほとんどは、不利に高い損失および/または不適切な位相シフトまたは不適切な材料品質(η)をもたらす。
したがって、改善された特性を有する新規な液晶媒体が必要である。特に、マイクロ波範囲における損失を低減しなければならず、材料品質を改善しなければならない。
【0014】
さらに、構成要素の低温挙動における改善に対する要求がある。作動特性およびまた保管寿命における改善が、共にここで必要である。
したがって、対応する実際の適用に好適な特性を有する液晶媒体について相当な要求がある。
【発明の概要】
【0015】
本発明
驚くべきことに、選択された液晶化合物またはこれらの化合物を含む媒体を使用する場合には、従来技術の材料の欠点を有しないか、または少なくとも相当に低下した程度の欠点を有するに過ぎない、高周波技術のための構成要素を達成することが可能であることが、ここで見出された。
【0016】
したがって、本発明は、高周波技術のための、または電磁スペクトルのマイクロ波範囲および/またはミリメートル範囲のための構成要素であって、それが、式Iで表される液晶化合物を含むか、またはそれが、式Iで表される1種もしくは2種以上の化合物を含む液晶媒体を含み、
【化5】

【0017】
式中、
11〜R13は、互いに独立して、各々1〜15個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルもしくはフッ素化されていないアルコキシ、各々2〜15個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシもしくはフッ素化されていないアルコキシアルキル、または各々15個までのC原子を有するシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルシクロアルケニル、アルキルシクロアルキルアルキルもしくはアルキルシクロアルケニルアルキルを示し、
【0018】
好ましくは、R11およびR12は、互いに独立して、各々1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルもしくはフッ素化されていないアルコキシ、または各々2〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシもしくはフッ素化されていないアルコキシアルキルを示し、
【0019】
特に好ましくは、R11は、1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたは各々2〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシもしくはフッ素化されていないアルコキシアルキルを示し、
特に好ましくは、R12は、各々1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはフッ素化されていないアルコキシを示し、
【0020】
好ましくは、R13は、1〜5個のC原子を有するフッ素化されていないアルキル、3〜7個のC原子を有するフッ素化されていないシクロアルキルもしくはシクロアルケニル、各々4〜12個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルシクロヘキシルもしくはフッ素化されていないシクロヘキシルアルキル、または5〜15個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルシクロヘキシルアルキル、特に好ましくはシクロプロピル、シクロブチルまたはシクロヘキシル、および極めて特に好ましくはn−アルキル、特に好ましくはメチル、エチルまたはn−プロピルを示す、
ことを特徴とする、前記構成要素に関する。
【0021】
本発明の第1の好ましい態様において、高周波技術のための構成要素は、式Iで表される液晶化合物または2種もしくは3種以上の式Iで表される化合物を含む液晶混合物を含む。
【0022】
高周波技術のための構成要素が式Iで表される単一の液晶化合物を含む場合において、
この式中のR11およびR12は、好ましくは、互いに独立して、1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたは1〜6個のC原子を有するフッ素化されていないアルコキシを示し、
この式中のR13は、好ましくはメチル、エチルまたはn−プロピル、特に好ましくはエチルを示し、
特に好ましくは、
11およびR12の一方はアルキルを示し、他方はアルキルまたはアルコキシを示し、
また極めて特に好ましくは、R11およびR12は、互いに異なる意味を有する。
【0023】
高周波技術のための構成要素が式Iで表される化合物の液晶混合物を含む場合において、この混合物は、式Iで表される2種、3種、4種または5種以上の化合物からなり、それについて、上記で記載した場合において示した個々のパラメーターのための条件は、好ましくは各場合において適用する。
【0024】
本発明のさらに好ましい態様において、高周波技術のための構成要素は、以下のものを含む液晶媒体を含む。
・上記に示した式Iで表される1種または2種以上の化合物からなる第1の構成要素である構成要素A、ならびに
・以下に定義する構成要素B〜Eの群から選択された1種または2種以上の他の構成要素、
・10.0以上の誘電異方性を有する強度に誘電的に正の構成要素である構成要素B、
・−5.0以下の誘電異方性を有する強度に誘電的に負の構成要素である構成要素C、
・−5.0超から10.0未満までの範囲内の誘電異方性を有し、7種または8種以上の5または6員環を有する化合物からなる、他の構成要素である構成要素D、および
・−5.0超から10.0未満までの範囲内の誘電異方性を同様に有し、6種までの5または6員環を有する化合物からなる、他の構成要素である構成要素Eである。
【0025】
5員環の典型的な例は、
【化6】

および他のものである。
【0026】
6員環の典型的な例は、
【化7】

である。
【0027】
5および6員環はまた、飽和した、および部分的に飽和した環、ならびに複素環を含む。
【0028】
本出願の目的のために、これらの環の2つからなる縮合環系、すなわち2つの5員環、1つの5員環または2つの6員環、例えば、
【化8】

などを、化合物の構成要素DまたはEへの割り当ての際に、これらの5または6員環の1つとして計数する。
【0029】
相応して、分子中に縦方向で組み入れられるこれらの環の3種または4種以上の組み合わせからなる縮合環系、例えば、
【化9】

などを、これらの5または6員環の2つとして計数する。
【0030】
対照的に、分子中に横方向で組み入れられる縮合環系、例えば、
【化10】

などを、これらの5または6員環の1つとして計数する。
【0031】
本発明は同様に、直接前掲した液晶媒体および以下に記載したもの、ならびに電気光学的ディスプレイおよび高周波技術のための構成要素におけるその使用に関する。
【0032】
本発明の好ましい態様において、液晶媒体は、式I−1〜I−3で表される、好ましくは式I−1および/またはI−2および/またはI−3で表される、好ましくは式I−1およびI−2で表される化合物の群から好ましくは選択された、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含み、より好ましくは主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化11】

【0033】
式中、
は、3〜6個のC原子を有するシクロアルキル、好ましくはシクロプロピル、シクロブチルまたはシクロヘキシル、特に好ましくはシクロプロピルまたはシクロヘキシルおよび極めて特に好ましくはシクロプロピルを示し、
また他のパラメーターは、式Iについて上記で示したそれぞれの意味を有し、好ましくは
11は、1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルを示し、
12は、1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたは1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルコキシを示す。
【0034】
構成要素Aに加えて、本発明のこれらの媒体は、好ましくは2種の構成要素BおよびCから選択された構成要素、ならびに任意にさらに構成要素Dおよび/またはEを含む。
【0035】
本発明のこれらの媒体は、好ましくは2種、3種または4種、特に好ましくは2種または3種の構成要素A〜Eの群から選択された構成要素を含む。これらの媒体は、好ましくは、
・構成要素Aおよび構成要素B、または、
・構成要素A、構成要素Bおよび構成要素Dおよび/もしくはE、または
・構成要素Aおよび構成要素C、または、
・構成要素A、構成要素Cおよび構成要素Dおよび/もしくはE
を含む。
【0036】
本発明のこれらの媒体は、好ましくは構成要素Bを含み、構成要素Cを含まず、または逆もまた同様である。
強度に誘電的に正の構成要素である構成要素Bは、好ましくは20.0以上、より好ましくは25.0以上、特に好ましくは30.0以上、および極めて特に好ましくは40.0以上の誘電異方性を有する。
強度に誘電的に負の構成要素である構成要素Cは、好ましくは−7.0以下、より好ましくは−8.0以下、特に好ましくは−10.0以下、および極めて特に好ましくは−15.0以下の誘電異方性を有する。
【0037】
本発明の好ましい態様において、構成要素Bは、式IIA〜IICで表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む:
【化12】

【0038】
21は、各々1〜15個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルもしくはフッ素化されていないアルコキシ、または各々2〜15個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシもしくはフッ素化されていないアルコキシアルキル、好ましくはアルキル、特に好ましくはn−アルキルを示し、
22は、H、各々1〜5個、好ましくは1〜3個、特に好ましくは3個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはフッ素化されていないアルコキシを示し、
【0039】
【化13】

は、互いに独立して、またそれらが1回よりも多く出現する場合には、これらはまた、各々の場合において互いに独立して、
【化14】

を示し、
【0040】
nおよびmは、互いに独立して1または2を示し、好ましくは
(n+m)は、3または4を示し、特に好ましくは
nは、2を示し、
は、F、Cl、−CFまたは−OCF、好ましくはFまたはCl、特に好ましくはFを示し、
は、F、Cl、−CF、−OCFまたはCN、好ましくはCNを示し、
は、HまたはFを示す。
【0041】
式IIAで表される好ましい化合物は、対応する従属式IIA−1
【化15】

式中、R21は、上記に示した意味を有する、
で表される化合物である。
【0042】
式IIBで表される好ましい化合物は、対応する従属式IIB−1およびIIB−2:
【化16】

式中、R21は、上記に示した意味を有する、
で表される化合物である。
【0043】
式IICで表される好ましい化合物は、対応する従属式IIC−1およびIIC−2:
【化17】

式中、R21、R22およびXは、上記に示したそれぞれの意味を有する、
で表される化合物である。
【0044】
本発明の好ましい態様において、構成要素Cは、式IIIAおよびIIIB:
【化18】

で表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含み、
【0045】
式中、
31およびR32は、互いに独立して、式IIAのR21について上記に示した意味を有し、
また好ましくは、
31は、C2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
32は、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、
また式中、
nおよびmは、互いに独立して、0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、また
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0046】
ここでの(R31およびR32)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0047】
式IIIBで表される好ましい化合物は、従属式IIIB−1およびIIIB−2:
【化19】

式中、
nおよびmは、各々、式IIIBについて上記に示した意味を有し、好ましくは、互いに独立して1〜7の範囲内の整数を示す、
で表される化合物である。
【0048】
本発明の好ましい態様において、構成要素Dは、以下の式IV:
【化20】

で表される1種または2種以上の化合物を含み、
式中、
41およびR42は、互いに独立して、式IのR11について上記に示した意味の1つを有し、
41〜L44は、出現する度に、各場合において互いに独立してH、1〜5個のC原子を有するアルキル、FまたはClを示し、また
Pは、7〜14、好ましくは8〜12および特に好ましくは9〜10の範囲内の整数を示し、
【0049】
また好ましくは、
存在する置換基L41〜L44の少なくとも2つは、H以外の意味を有し、
31は、C2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
32は、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、
また式中、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0050】
本出願の好ましい態様において、液晶媒体はさらに、好ましくは式V〜IX:
【化21】

で表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物からなる他の構成要素である構成要素Eを含み、
【0051】
式中、
51は、R51またはX51を示し、
52は、R52またはX52を示し、
51およびR52は、互いに独立してH、1〜17個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルもしくはフッ素化されていないアルコキシ、または2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシもしくはフッ素化されていないアルコキシアルキル、好ましくはアルキルまたはフッ素化されていないアルケニルを示し、
51およびX52は、互いに独立してH、F、Cl、−CN、−NCS、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキルもしくはフッ素化されたアルコキシまたは2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、フッ素化されていない、もしくはフッ素化されたアルケニルオキシまたはフッ素化されていない、もしくはフッ素化されたアルコキシアルキル、好ましくはフッ素化されたアルコキシ、フッ素化されたアルケニルオキシ、FまたはClを示し、また
【0052】
【化22】

は、互いに独立して
【化23】

を示し、
【0053】
61は、R21を示し、Z61および/またはZ62がトランス−CH=CH−またはトランス−CF=CF−を示す場合において、代替的にX21を示し、
62は、R62を示し、Z61および/またはZ62がトランス−CH=CH−またはトランス−CF=CF−を示す場合において、代替的にX62を示し、
【0054】
61およびR62は、互いに独立してH、1〜17個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルもしくはフッ素化されていないアルコキシ、または2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシもしくはフッ素化されていないアルコキシアルキル、好ましくはアルキルまたはフッ素化されていないアルケニルを示し、
【0055】
61およびX62は、互いに独立してFまたはCl、−CN、−NCS、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキルもしくはアルコキシまたは2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、アルケニルオキシもしくはアルコキシアルキル、好ましくは−NCSを示し、
【0056】
61およびZ62の一方は、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−または−C≡C−を示し、他方はそれとは独立してトランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−または単結合を示し、好ましくはそれらの1つは、−C≡C−またはトランス−CH=CH−を示し、他方は単結合を示し、また
【0057】
【化24】

は、互いに独立して
【化25】

を示し、
【0058】
71は、R71またはX71を示し、
72は、R72またはX72を示し、
【0059】
71およびR72は、互いに独立してH、1〜17個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルもしくはフッ素化されていないアルコキシ、または2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシもしくはフッ素化されていないアルコキシアルキル、好ましくはアルキルまたはフッ素化されていないアルケニルを示し、
【0060】
71およびX72は、互いに独立してH、F、Cl、−CN、−NCS、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキルもしくはフッ素化されたアルコキシまたは2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、フッ素化されていない、もしくはフッ素化されたアルケニルオキシまたはフッ素化されていない、もしくはフッ素化されたアルコキシアルキル、好ましくはフッ素化されたアルコキシ、フッ素化されたアルケニルオキシ、FまたはClを示し、また
【0061】
71〜Z73は、互いに独立してトランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−C≡C−または単結合を示し、好ましくはそれらの1つまたは2つ以上は単結合を示し、特に好ましくは、すべてが単結合を示し、また
【0062】
【化26】

は、互いに独立して
【化27】

を示し、
【0063】
81およびR82は、互いに独立してH、1〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルもしくはアルコキシ、または2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、アルケニルオキシもしくはアルコキシアルキル、好ましくはフッ素化されていないアルキルまたはアルケニルを示し、
【0064】
81およびZ82の一方は、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−または−C≡C−を示し、他方はそれとは独立してトランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−または単結合を示し、好ましくはそれらの1つは−C≡C−またはトランス−CH=CH−を示し、他方は単結合を示し、また
【0065】
【化28】

は、
【化29】

を示し、
【化30】

は、互いに独立して
【化31】

を示し、
【0066】
91は、R91またはX91を示し、
92は、R92またはX92を示し、
【0067】
91およびR92は、互いに独立してH、1〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルもしくはアルコキシまたは2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、アルケニルオキシもしくはアルコキシアルキル、好ましくはフッ素化されていないアルキルまたはアルケニルを示し、
【0068】
91およびX92は、互いに独立してH、F、Cl、−CN、−NCS、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキルもしくはフッ素化されたアルコキシまたは2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、フッ素化されていない、もしくはフッ素化されたアルケニルオキシまたはフッ素化されていない、もしくはフッ素化されたアルコキシアルキル、好ましくはフッ素化されたアルコキシ、フッ素化されたアルケニルオキシ、FまたはClを示し、また
【0069】
91〜Z93は、互いに独立してトランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−C≡C−または単結合を示し、好ましくはそれらの1つまたは2つ以上は単結合を示し、特に好ましくはすべてが単結合を示し、
【0070】
【化32】

は、
【化33】

を示し、
【化34】

は、互いに独立して
【化35】

を示し、
またここで、式IIIAで表される化合物は、式VIで表される化合物から除外される。
【0071】
本発明の好ましい態様において、液晶媒体は、式V−1〜V−3で表される、好ましくは式V−1および/またはV−2および/またはV−3で表される、好ましくは式V−1およびV−2で表される化合物の群から好ましくは選択された、式Vで表される1種または2種以上の化合物を含み、より好ましくは主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化36】

【0072】
式中、パラメーターは、式Vについて上記で示したそれぞれの意味を有し、好ましくは
51は、1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたは2〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニルを示し、
52は、1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたは2〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニルまたは1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルコキシを示し、
51およびX52は、互いに独立してF、Cl、−OCF、−CF、−CN、−NCSまたは−SF、好ましくはF、Cl、−OCFまたは−CNを示す。
【0073】
式V−1で表される化合物は、好ましくは式V−1a〜V−1dで表される化合物の群から選択され、より好ましくは式Vで表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化37】

【0074】
式中、パラメーターは、式V−1について上記で示したそれぞれの意味を有し、また式中、
51およびY52は、各場合において互いに独立してHまたはFを示し、好ましくは
51は、アルキルまたはアルケニルを示し、
51は、F、Clまたは−OCFを示す。
【0075】
式V−2で表される化合物は、好ましくは式V−2a〜V−2eで表される化合物の群から、ならびに/または式V−2fおよびV−2gで表される化合物の群から選択され、より好ましくは式Vで表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化38】

【0076】
ここで、各場合において、式V−2aで表される化合物は式V−2bおよびV−2cで表される化合物から除外され、式V−2bで表される化合物は式V−2cで表される化合物から除外され、式V−2eで表される化合物は式V−2fで表される化合物から除外され、
ここで、パラメーターは、式V−1について上記で示したそれぞれの意味を有し、また式中、
【0077】
51およびY52は、各場合において互いに独立してHまたはFを示し、好ましくは
51は、アルキルまたはアルケニルを示し、
51は、F、Clまたは−OCFを示し、また好ましくは
51およびY52の一方はHを示し、他方はHまたはFを示し、好ましくは同様にHを示す。
【0078】
式V−3で表される化合物は、好ましくは式V−3aで表される化合物であり:
【化39】

式中、パラメーターは、式V−1について上記で示したそれぞれの意味を有し、また式中、好ましくは
51は、F、Cl、好ましくはFを示し、
52は、F、Clまたは−OCF、好ましくは−OCFを示す。
【0079】
本発明の尚より好ましい態様において、式Vで表される化合物は、好ましくは化合物V−1a〜V−1dの群から選択され、好ましくは化合物V−1cおよびV−1dの群から選択され、より好ましくは式Vで表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【0080】
式V−1aで表される化合物は、好ましくは式V−1a−1およびV−1a−2で表される化合物の群から選択され、より好ましくは式Vで表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化40】

【0081】
式中
51は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1を示し、ここで
nは、0〜7の範囲内の、好ましくは1〜5の範囲内の、および特に好ましくは3または7の整数を示す。
【0082】
式V−1bで表される化合物は、好ましくは式V−2b−1で表される化合物である:
【化41】

式中
51は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1を示し、ここで
nは、0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示す。
【0083】
式V−1cで表される化合物は、好ましくは式V−1c−1〜V−1c−4で表される化合物の群から選択され、好ましくは式V−1c−1およびV−1c−2で表される化合物の群から選択され、より好ましくは式Vで表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化42】

【0084】
式中、
51は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1を示し、ここで
nは、0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示す。
【0085】
式V−1dで表される化合物は、好ましくは式V−1d−1およびV−1d−2で表される化合物、好ましくは式V−1d−2で表される化合物の群から選択され、より好ましくは式Vで表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化43】

【0086】
式中、
51は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1を示し、ここで
nは、0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示す。
【0087】
式V−2aで表される化合物は、好ましくは式V−2a−1およびV−2a−2で表される化合物、好ましくは式V−2a−1で表される化合物の群から選択され、より好ましくは式Vで表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化44】

【0088】
式中、
51は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
52は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0089】
特に式V−2a−1の場合における(R51およびR52)の好ましい組み合わせは、(C2n+1およびC2m+1)、(C2n+1およびO−C2m+1)、(CH=CH−(CHおよびC2m+1)、(CH=CH−(CHおよびO−C2m+1)ならびに(C2n+1および(CH−CH=CH)である。
【0090】
式V−2bで表される好ましい化合物は、式V−2b−1で表される化合物である:
【化45】

【0091】
式中、
51は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
52は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0092】
ここでの(R51およびR52)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)である。
【0093】
式V−2cで表される好ましい化合物は、式V−2c−1で表される化合物である:
【化46】

【0094】
式中、
51は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
52は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0095】
ここでの(R51およびR52)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)である。
【0096】
式V−2dで表される好ましい化合物は、式V−2d−1で表される化合物である:
【化47】

【0097】
式中、
51は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
52は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0098】
ここでの(R51およびR52)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)である。
【0099】
式V−2eで表される好ましい化合物は、式V−2e−1で表される化合物である:
【化48】

【0100】
式中、
51は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
52は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0101】
ここでの(R51およびR52)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0102】
式V−2eで表される好ましい化合物は、式V−2f−1で表される化合物である:
【化49】

【0103】
式中、
51は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
52は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0104】
ここでの(R51およびR52)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは(C2n+1およびC2m+1)である。
【0105】
式V−2fで表される好ましい化合物は、式V−2f−1で表される化合物である:
【化50】

【0106】
式中、
51は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
52は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0107】
ここでの(R51およびR52)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0108】
式VIで表される化合物は、好ましくは式VI−1〜VI−4で表される化合物の群から選択され、より好ましくは、式VIで表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化51】

【0109】
式中、
61およびZ62は、トランス−CH=CH−またはトランス−CF=CF−、好ましくはトランス−CH=CH−を示し、他のパラメーターは、式VIの上記に示した意味を有し、また好ましくは、
61およびR62は、互いに独立してH、1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルもしくはアルコキシまたは2〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニルを示し、
62は、F、Cl、−CNまたは−NCS、好ましくは−NCSを示し、
【0110】
また
【化52】

の1つは、
【化53】

を示し、
【0111】
また他のものは、互いに独立して
【化54】

を示し、また好ましくは
【0112】
61は、C2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
62は、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0113】
式VI−1で表される化合物は、好ましくは式VI−1aおよびVI−1bで表される化合物の群から選択され、好ましくは式VI−1aで表される化合物から選択され、より好ましくは、式VIで表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化55】

【0114】
式中、
61は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
62は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0115】
ここでの(R61およびR62)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)、式VI−1aの場合においては特に好ましくは(C2n+1およびC2m+1)ならびに式VI−1bの場合においては特に好ましくは(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0116】
式VI−3で表される化合物は、好ましくは式VI−3aで表される化合物である:
【化56】

【0117】
式中、パラメーターは、式VI−3の上記で示した意味を有し、好ましくは
61は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1を示し、ここで
nは、0〜7の範囲内の、好ましくは1〜5の範囲内の整数を示し、
62は、−F、−Cl、−OCF、−CNまたは−NCS、特に好ましくは−NCSを示す。
【0118】
式VI−4で表される化合物は、好ましくは式VI−4aで表される化合物である:
【化57】

【0119】
式中、パラメーターは、式VI−4の上記で示した意味を有し、好ましくは
61は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1を示し、ここで
nは、0〜7の範囲内の、好ましくは1〜5の範囲内の整数を示し、
62は、F、Cl、OCF、−CNまたは−NCS、特に好ましくは−NCSを示す。
【0120】
式VIで表される他の好ましい化合物は、以下の式で表される化合物である:
【化58】

式中
nは、0〜7の範囲内の、好ましくは1〜5の範囲内の整数を示す。
【0121】
式VIIで表される化合物は、好ましくは式VII−1〜VII−6で表される化合物の群から選択され、より好ましくは、式VIIで表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化59】

【0122】
ここで、式VII−5で表される化合物は、式VII−6で表される化合物から除外され、
式中、パラメーターは、式VIIについて上記で示したそれぞれの意味を有し、好ましくは
【0123】
71は、各々1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルもしくはアルコキシまたは2〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニルを示し、
72は、各々1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルもしくはアルコキシまたは2〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニルを示し、
72は、F、Clまたは−OCF、好ましくはFを示し、
【0124】
特に好ましくは、
71は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
72は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0125】
式VII−1で表される化合物は、好ましくは式VII−1a〜VII−1dで表される化合物の群から選択され、より好ましくは式VII−1で表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化60】

【0126】
式中、X72は、式VII−2について上記で示した意味を有し、
71は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1を示し、ここで
nは、1〜7、好ましくは2〜6、特に好ましくは2、3または5を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示し、
72は、好ましくはFを示す。
【0127】
式VII−2で表される化合物は、式VII−2aおよびVII−2bで表される、好ましくは式VII−2aで表される化合物の群から好ましくは選択され、より好ましくは式VII−2で表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化61】

【0128】
式中
71は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
72は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0129】
ここでの(R71およびR72)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは(C2n+1およびC2m+1)である。
【0130】
式VII−3で表される化合物は、好ましくは式VII−3aで表される化合物である:
【化62】

【0131】
式中、
71は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
72は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0132】
ここでの(R71およびR72)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは(C2n+1およびC2m+1)である。
【0133】
式VII−4で表される化合物は、好ましくは式VII−4aで表される化合物である:
【化63】

【0134】
式中、
71は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
72は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0135】
ここでの(R71およびR72)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは(C2n+1およびC2m+1)である。
【0136】
式VII−5で表される化合物は、式VII−5aおよびVII−5bで表される、好ましくは式VII−5aで表される化合物の群から好ましくは選択され、より好ましくは式VII−5で表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化64】

【0137】
式中、
71は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
72は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0138】
ここでの(R71およびR72)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは(C2n+1およびC2m+1)である。
【0139】
式VII−6で表される化合物は、好ましくは式VII−6aおよびVII−6bで表される化合物の群から選択され、より好ましくは式VII−6で表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化65】

【0140】
式中、
71は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
72は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0141】
ここでの(R71およびR72)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは(C2n+1およびC2m+1)である。
【0142】
本出願に従い、液晶媒体は、合計で0〜40%、好ましくは0〜30%および特に好ましくは5〜25%の式VIIIで表される化合物を好ましくは含む。
【0143】
式VIIIで表される化合物は、好ましくは式VIII−1〜VIII−3で表される化合物の群から選択され、より好ましくは式VIIIで表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化66】

【0144】
式中、
81およびY82の一方はHを示し、他方はHまたはFを示し、
81は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
82は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0145】
ここでの(R81およびR82)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは(C2n+1およびC2m+1)である。
【0146】
式VIII−1で表される化合物は、好ましくは式VIII−1a〜VIII−1cで表される化合物の群から選択され、より好ましくは式VIII−1で表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化67】

【0147】
式中、
81は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
82は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0148】
ここでの(R81およびR82)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは(C2n+1およびC2m+1)である。
【0149】
式VIII−2で表される化合物は、好ましくは式VIII−2aで表される化合物である:
【化68】

【0150】
式中、
81は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
82は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0151】
ここでの(R81およびR82)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)、(C2n+1およびO−C2m+1)ならびに(CH=CH−(CHおよびC2m+1)、特に好ましくは(C2n+1およびC2m+1)である。
【0152】
式VIII−3で表される化合物は、好ましくは式VIII−3aで表される化合物である:
【化69】

【0153】
式中、
81は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
82は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0154】
ここでの(R81およびR82)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0155】
式IXで表される化合物は、好ましくは式IX−1〜IX−3で表される化合物の群から選択され、より好ましくは式IXで表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化70】

【0156】
式中、パラメーターは、式IXの上記で示したそれぞれの意味を有し、好ましくは
【化71】

の1つは、
【化72】

を示し、
【0157】
また
ここで、
91は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
92は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0158】
ここでの(R91およびR92)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0159】
本出願に従い、液晶媒体は、合計で5〜30%、好ましくは10〜25%、および特に好ましくは15〜20%の式IXで表される化合物を好ましくは含む。
【0160】
式IX−1で表される化合物は、好ましくは式IX−1a〜IX−1eで表される化合物の群から選択され、より好ましくは式IX−1で表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化73】

【0161】
式中、パラメーターは、上記で示した意味を有し、好ましくは、
91は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1を示し、
nは、0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
92は、好ましくはFまたはClを示す。
【0162】
式IX−2で表される化合物は、好ましくは式IX−2aおよびIX−2bで表される化合物の群から選択され、より好ましくは式IX−2で表されるこれらの化合物は、主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる:
【化74】

【0163】
式中、
91は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
92は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0164】
ここでの(R91およびR92)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)である。
【0165】
式IX−3で表される化合物は、好ましくは式IX−3aおよびIX−3bで表される化合物である:
【化75】

【0166】
式中、
91は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2n+1またはCH=CH−(CHを示し、
92は、上記で示した意味を有し、好ましくはC2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを示し、またここで、
nおよびmは、互いに独立して0〜15の範囲内の、好ましくは1〜7の範囲内の、および特に好ましくは1〜5の整数を示し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を示す。
【0167】
ここでの(R91およびR92)の好ましい組み合わせは、特に(C2n+1およびC2m+1)ならびに(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0168】
本発明の好ましい態様において、媒体は、3より大きい誘電異方性を有する1種または2種以上の式V−1で表される誘電的に正の化合物を含む。
本発明に従い、液晶媒体は、好ましくは、2つ以下の5員環および/または6員環のみを有する化合物を、10%以下で、好ましくは5%以下で、特に好ましくは2%以下で、極めて特に好ましくは1%以下で含み、特に完全に含まない。
【0169】
本発明の好ましい態様において、媒体は、1種または2種以上の式VIで表される化合物を含む。
本発明の他の好ましい態様において、媒体は、1種または2種以上の式VIIで表される化合物を含む。
略号(頭字語)の定義を、以下で表D中に示すか、または表A〜Cから明らかである。
【0170】
本発明に従い、液晶媒体は、式I、II、IVおよびV、好ましくはI、IIおよびIVで表される化合物の群から選択された、または式I、III、IVおよびV、好ましくはI、IIIおよびIVで表される化合物の群から選択された化合物を好ましくは含み、より好ましくは主にそれからなり、尚より好ましくは本質的にそれからなり、極めて特に好ましくは完全にそれからなる。
【0171】
本出願において、組成物に関する「含む」とは、問題の実体、すなわち媒体または構成要素が示した構成要素(単数)もしくは構成要素(複数)または化合物(単数)もしくは化合物(複数)を、好ましくは10%以上、および極めて好ましくは20%以上の合計濃度で含むことを意味する。
これに関連して、「主に〜からなる」とは、問題の実体が55%以上、好ましくは60%以上および極めて好ましくは70%以上の示した構成要素(単数)もしくは構成要素(複数)または化合物(単数)もしくは化合物(複数)を含むことを意味する。
【0172】
これに関連して、「本質的に〜からなる」とは、問題の実体が80%以上、好ましくは90%以上および極めて好ましくは95%以上の示した構成要素(単数)もしくは構成要素(複数)または化合物(単数)もしくは化合物(複数)を含むことを意味する。
これに関連して、「完全に〜からなる」とは、問題の実体が98%以上、好ましくは99%以上および極めて好ましくは100.0%の示した構成要素(単数)もしくは構成要素(複数)または化合物(単数)もしくは化合物(複数)を含むことを意味する。
【0173】
上記で明確に述べていない他のメソゲン性化合物を、任意に、および有利にまた、本発明に従い、媒体において使用することができる。そのような化合物は、当業者に知られている。
本発明に従い、液晶媒体は、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、尚より好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上、極めて特に好ましくは170℃以上の透明点を有する。
【0174】
本発明の媒体のネマチック相は、少なくとも20℃以下から90℃以上まで、好ましくは100℃以上まで、より好ましくは少なくとも0℃以下から120℃以上まで、極めて好ましくは少なくとも−10℃以下から140℃以上まで、また特に少なくとも−20℃以下から150℃以上に好ましくはわたる。
【0175】
本発明に従い、液晶媒体のΔεは、1kHzおよび20℃で好ましくは1以上、より好ましくは2以上および極めて好ましくは3以上である。
【0176】
本発明に従い、液晶媒体のΔnは、589nm(Na)および20℃で好ましくは0.200以上から0.90以下の範囲内、より好ましくは0.250以上から0.90以下の範囲内、尚より好ましくは0.300以上から0.85以下の範囲内、および極めて特に好ましくは0.350以上から0.800以下の範囲内である。
【0177】
本出願の好ましい態様において、本発明に従い、液晶媒体のΔnは、好ましくは0.50以上、より好ましくは0.55以上である。
本発明に従い、液晶媒体における式Iで表される個々の化合物を、全体としての混合物の10%〜100%、より好ましくは30%〜95%、尚より好ましくは40%〜90%および極めて好ましくは50%〜90%の合計濃度において好ましくは使用する。
【0178】
液晶媒体が式IIAおよびIIBで表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む本発明の態様において、他の化合物を、好ましくは以下のように使用する。
式IIAおよびIIBで表される化合物の群から選択された化合物を、全体としての混合物の1%〜30%、より好ましくは2%〜20%、尚より好ましくは3%〜18%および極めて好ましくは4%〜16%の合計濃度において好ましくは使用する。
【0179】
式IVで表される化合物を、全体としての混合物の1%〜20%、より好ましくは2%〜15%、尚より好ましくは3%〜12%および極めて好ましくは5%〜10%の合計濃度において好ましくは使用する。
【0180】
液晶媒体は、合計で70%〜100%、より好ましくは80%〜100%および極めて好ましくは90%〜100%および特に95%〜100%の、式I、IIA、IIBおよびIV〜IXで表される、好ましくは式I、IIA、IIBおよびIVで表される化合物を好ましくは含み、より好ましくは主にそれからなり、極めて好ましくは完全にそれからなる。
【0181】
液晶媒体が式IIIAおよびIIIBで表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む本発明の態様において、他の化合物を、好ましくは以下のように使用する。
式IIIAおよびIIIBで表される化合物の群から選択された化合物を、全体としての混合物の1%〜60%、より好ましくは5%〜55%、尚より好ましくは7%〜50%および極めて好ましくは10%〜45%の合計濃度において好ましくは使用する。
【0182】
液晶媒体が式IIIAで表される1種または2種以上の化合物のみを含むが式IIIBで表される化合物を含まない場合には、式IIIAで表される化合物を、全体としての混合物の10%〜60%、より好ましくは20%〜55%、尚より好ましくは30%〜50%および極めて好ましくは35%〜45%の合計濃度において好ましくは使用する。
【0183】
液晶媒体が式IIIBで表される1種または2種以上の化合物のみを含むが式IIIAで表される化合物を含まない場合には、式IIIBで表される化合物を、全体としての混合物の5%〜45%、より好ましくは10%〜40%、尚より好ましくは15%〜35%および極めて好ましくは20%〜30%の合計濃度において好ましくは使用する。
【0184】
液晶媒体が式IIIAで表される1種または2種以上の化合物および式IIIBで表される1種または2種以上の化合物の両方を含む場合には、式IIIAで表される化合物を、全体としての混合物の5%〜50%、より好ましくは10%〜45%、尚より好ましくは15%〜30%および極めて好ましくは20%〜25%の合計濃度において好ましくは使用し、式IIIBで表される化合物を、全体としての混合物の1%〜35%、より好ましくは5%〜30%、尚より好ましくは7%〜25%および極めて好ましくは10%〜20%の合計濃度において好ましくは使用する。
【0185】
式IVで表される化合物を、全体としての混合物の1%〜20%、より好ましくは2%〜15%、尚より好ましくは3%〜12%および極めて好ましくは5%〜10%の合計濃度において好ましくは使用する。
【0186】
液晶媒体は、合計で70%〜100%、より好ましくは80%〜100%および極めて好ましくは90%〜100%および特に95%〜100%の式I、IIIA、IIIBおよびIV〜IXで表される、好ましくは式I、IIIAおよび/またはIIIBで表される化合物を好ましくは含み、より好ましくは主にそれからなり、極めて好ましくは完全にそれからなる。
【0187】
本発明の特に好ましい態様において、液晶媒体は、式Vで表される1種または2種以上の化合物および式VIで表される1種または2種以上の化合物を含む。
本発明の他の特に好ましい態様において、液晶媒体は、式Vで表される1種または2種以上の化合物および式VIIで表される1種または2種以上の化合物を含む。
【0188】
本発明に従い、液晶媒体は、式Vで表される1種または2種以上の化合物、式VIで表される1種または2種以上の化合物および式VIIIで表される1種または2種以上の化合物を同様に好ましくは含む。
【0189】
本出願に従い、液晶媒体が式Vで表される1種または2種以上の化合物を含む場合には、これらの化合物の濃度は、好ましくは合計で、10〜30%、好ましくは15〜25%および特に好ましくは18〜22%である。
本出願に従い、液晶媒体が式VIで表される1種または2種以上の化合物を含む場合には、これらの化合物の濃度は、好ましくは合計で、15〜35%、好ましくは18〜30%および特に好ましくは22〜26%である。
【0190】
本出願に従い、液晶媒体が式VIIで表される1種または2種以上の化合物を含む場合には、これらの化合物の濃度は、好ましくは合計で、4〜25%、好ましくは8〜20%および特に好ましくは10〜14%である。
本出願に従い、液晶媒体が式VIIIで表される1種または2種以上の化合物を含む場合には、これらの化合物の濃度は、好ましくは合計で、15〜35%、好ましくは18〜30%および特に好ましくは22〜26%である。
本出願に従い、液晶媒体が式IXで表される1種または2種以上の化合物を含む場合には、これらの化合物の濃度は、好ましくは合計で、5〜25%、好ましくは10〜20%および特に好ましくは13〜17%である。
【0191】
本出願において、「誘電的に正である」の表現は、Δε>3.0である化合物または構成要素を表し、「誘電的に中性である」は、−1.5≦Δε≦3.0であるものを表し、「誘電的に負である」は、Δε<−1.5であるものを表す。Δεは、1kHzの周波数で、および20℃で決定される。それぞれの化合物の誘電異方性は、ネマチックのホスト混合物中のそれぞれの個々の化合物の10%溶液の結果から決定される。ホスト混合物中のそれぞれの化合物の溶解度が10%より低い場合には、当該濃度を5%に低下させる。試験混合物のキャパシタンスは、ホメオトロピック配向(alignment)を有するセルおよびホモジニアス配向を有するセルの両方において決定される。両方のタイプのセルのセル厚さは、約20μmである。印加される電圧は、1kHzの周波数および典型的には0.5V〜1.0Vの実効値を有する矩形波であるが、常に、それぞれの試験混合物の容量しきい値より低くなるように選択される。
【0192】
以下の定義を、ここで適用する。
【化76】

である。
【0193】
誘電的に正の化合物のために使用するホスト混合物は、混合物ZLI−4792であり、誘電的に中性の、および誘電的に負の化合物のために使用するホスト混合物は、混合物ZLI−3086であり、共にMerck KGaA,ドイツ国からのものである。化合物の誘電率の絶対値は、関心のある化合物の添加の際のホスト混合物のそれぞれの値の変化から決定される。当該値を、関心のある化合物の100%の濃度に対して外挿する。
【0194】
20℃の測定温度でネマチック相を有する構成要素は、そのように測定され、すべての他のものは、化合物と同様に処理される。
【0195】
両方の場合において他に明確に述べない限り、本出願における「しきい値電圧」の表現は、光学的しきい値を指し、10%相対的コントラスト(V10)について引用され、「飽和電圧」の表現は、光学的飽和を指し、90%相対的コントラスト(V90)について引用される。フレデリクスしきい値(VFr)とも呼ばれる容量しきい値電圧(V)は、明確に述べた場合にのみ使用する。
【0196】
本出願において示したパラメーター範囲はすべて、他に明確に述べない限り限界値を含む。
互いとの組み合わせにおける特性の種々の範囲について示した種々の上限値および下限値によって、追加の好ましい範囲が生じる。
【0197】
本出願を通して、他に明確に述べない限り、以下の条件および定義が適用される。すべての濃度は重量パーセントで引用され、全体としてのそれぞれの混合物に関し、すべての温度を摂氏度で引用し、すべての温度差を差異の度で引用する。他に明確に述べない限り、すべての物理的性質を、"Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals", Status Nov. 1997, Merck KGaA, Germanyに従って決定し、20℃の温度について引用する。光学異方性(Δn)を、589.3nmの波長で決定する。誘電異方性(Δε)を、1kHzの周波数で決定する。しきい値電圧およびすべての他の電気光学的特性を、Merck KGaA,ドイツ国で生産された試験セルを使用して決定する。Δεの決定のための試験セルは、約20μmのセル厚さを有する。電極は、1.13cmの面積を有する円形のITO電極およびガードリングである。
【0198】
整列(orientation)層は、ホメオトロピック整列
【数1】

については日産化学、日本国からのSE−1211およびホモジニアス整列
【数2】

については日本合成ゴム、日本国からのポリイミドAL−1054である。キャパシタンスを、0.3Vrmsの電圧を有する正弦波を使用して、Solatron 1260周波数応答分析装置を使用して決定する。電気光学的測定において使用する光は、白色光である。Autronic-Melchers,ドイツ国から商業的に入手できるDMS機器を使用したセットアップを、ここで使用する。特性電圧を、垂直観察下で決定した。しきい値電圧(V10)、ミッドグレー(mid-grey)電圧(V50)および飽和電圧(V90)を、それぞれ10%、50%および90%相対的コントラストについて決定した。
【0199】
液晶媒体を、A. Penirschke, S. Mueller, P. Scheele, C. Weil, M. Wittek, C. HockおよびR. Jakoby:“Cavity Perturbation Method for Characterization of Liquid Crystals up to 35GHz“, 34th European Microwave Conference - Amsterdam、545〜548頁に記載されているように、マイクロ波周波数範囲におけるそれらの特性に関して調査する。
【0200】
この点において、またA. Gaebler, F. Goelden, S. Mueller, A. PenirschkeおよびR. Jakoby “Direct Simulation of Material Permittivites …“, 12MTC 2009 - International Instrumentation and Measurement Technology Conference, Singapore, 2009 (IEEE)、463〜467頁ならびにDE 10 2004 029 429 Aを比較されたい。ここでは、測定方法が、同様に詳細に記載されている。
【0201】
液晶を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)毛細管中に導入する。当該毛細管は、180μmの内半径および350μmの外半径を有する。有効長さは2.0cmである。充填した毛細管を、30GHzの共振周波数を伴って、空洞の中心の中へ導入する。この空洞は、6.6mmの長さ、7.1mmの幅および3.6mmの高さを有する。入力信号(源)を、次に印加し、出力信号の結果を、商業用ベクトルネットワーク分析装置を使用して記録する。
【0202】
液晶で充填された毛細管を使用した測定と液晶で充填された毛細管を使用しない測定との間の共振周波数の変化およびQ因子を使用して、対応する標的周波数における誘電率および損失角を、当該個所に記載されているA. Penirschke, S. Mueller, P. Scheele, C. Weil, M. Wittek, C. HockおよびR. Jakoby: “Cavity Perturbation Method for Characterization of Liquid Crystals up to 35GHz“, 34th European Microwave Conference - Amsterdam、545〜548頁中の方程式10および11によって決定する。
【0203】
液晶のダイレクターに垂直な、および平行な特性の構成要素についての値が、磁界における液晶の配向によって得られる。この目的のために、永久磁石の磁界を使用する。磁界の強度は、0.35テスラである。磁石の配向を、相応して設定し、次に90°を通じて相応させて回転する。
【0204】
好ましい構成要素は、位相シフター、バラクタ、無線および電波アンテナアレイ、整合回路適応フィルターおよび他のものである。
本出願において、「化合物」の用語は、他に明確に述べない限り、1種の化合物および複数種の化合物を共に意味するものと解釈される。
【0205】
本発明の液晶媒体は、好ましくは、各場合において少なくとも−20℃〜80℃、好ましくは−30℃〜85℃および極めて特に好ましくは−40℃〜100℃のネマチック相を有する。当該相は、120℃以上、好ましくは140℃以上および極めて特に好ましくは160℃以上に特に好ましくはわたる。「ネマチック相を有する」との表現は、ここでは一方で、スメクチック相および結晶化が、低温で対応する温度で観察されず、他方でネマチック相から加熱した際に透明化が生じないことを意味する。低温での調査を、対応する温度で流動粘度計において行い、5μmの層の厚さを有する試験セル中に少なくとも100時間保存することによってチェックする。高温にて、透明点を、毛細管中で慣用の方法によって測定する。
【0206】
さらに、本発明による液晶媒体は、可視範囲における高い光学異方性によって特徴づけられる。589nmにおける複屈折は、好ましくは0.20以上、特に好ましくは0.25以上、特に好ましくは0.30以上、特に好ましくは0.40以上および極めて特に好ましくは0.45以上である。さらに、複屈折は、好ましくは0.80以下である。
【0207】
本発明の好ましい態様において、使用する液晶媒体は、正の誘電異方性(Δε)を有する。これは、好ましくは1.8以上15.0以下、より好ましくは2.0以上10.0以下、特に好ましくは3.0以上8.0以下および極めて特に好ましくは3.5以上6.0以下である。
【0208】
使用する液晶媒体が負の誘電体異方性(Δε)を有する場合には、これは、好ましくは−2.5より低いかまたはそれに等しく、特に好ましくは−4.0より低いかまたはそれに等しく、極めて特に好ましくは−5.0より低いかまたはそれに等しい。
【0209】
使用する液晶媒体が負の誘電体異方性(Δε)を有する本発明のこの好ましい態様において、その値は、好ましくは1.5以上15.0以下、特に好ましくは1.8以上12.0以下、および極めて特に好ましくは2.0以上10.0以下である。
【0210】
さらに、本発明の液晶媒体は、マイクロ波範囲における高い異方性によって特徴づけられる。複屈折は、例えば、約8.3GHzにおいて好ましくは0.14以上、特に好ましくは0.15以上、特に好ましくは0.20以上、特に好ましくは0.25以上および極めて特に好ましくは0.30以上である。さらに、複屈折は、好ましくは0.80以下である。
【0211】
マイクロ波範囲における誘電異方性を、
【化77】

として定義する。
同調性(τ)を、
【化78】

として定義する。
【0212】
材料品質(η)を、
【化79】

として定義し、ここで
最大の誘電損失は、
【化80】

である。
【0213】
好ましい液晶材料の材料品質(η)は、6以上、好ましくは8以上、好ましくは10以上、好ましくは15以上、好ましくは17以上、好ましくは20以上、特に好ましくは25以上および極めて特に好ましくは30以上である。
【0214】
対応する構成要素において、好ましい液晶材料は、15°/dB以上、好ましくは20°/dB以上、好ましくは30°/dB以上、好ましくは40°/dB以上、好ましくは50°/dB以上、特に好ましくは80°/dB以上および極めて特に好ましくは100°/dB以上の位相シフター品質を有する。
【0215】
しかし、態様によっては、誘電異方性の負の値を有する液晶もまた、有利に使用することができる。
使用する液晶は、個別の物質または混合物のいずれかである。それらは、好ましくはネマチック相を有する。
【0216】
「アルキル」の用語は、好ましくは、各々1〜15個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状アルキル基ならびにシクロアルキル基、特に直鎖状基であるメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチル、ならびにシクロプロピルおよびシクロヘキシルを包含する。2〜10個の炭素原子を有する基が、一般的に好ましい。
【0217】
「アルケニル」の用語は、好ましくは2〜15個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状アルケニル基、特に直鎖状基を包含する。特に好ましいアルケニル基は、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニル、C〜C−4−アルケニル、C〜C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特にC〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニルおよびC〜C−4−アルケニルである。他の好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までの炭素原子を有する基が、一般的に好ましい。
【0218】
用語「フルオロアルキル」は、好ましくは末端のフッ素を有する直鎖状基、すなわちフルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルを包含する。しかし、フッ素の他の位置は除外されない。
【0219】
用語「オキサアルキル」または「アルコキシアルキル」は、好ましくは式C2n+1−O−(CHで表される直鎖状ラジカルを包含し、ここで、nおよびmは、各々、互いに独立して1〜10の整数を示す。好ましくは、nは1であり、mは1〜6である。
【0220】
ビニル末端基を含む化合物およびメチル末端基を含む化合物は、低い回転粘度を有する。
本出願において、高周波技術およびハイパー周波数(hyperfrequency)技術の両方は、1MHz〜1THz、好ましくは1GHz〜500GHz、より好ましくは2GHz〜300GHz、特に好ましくは約5〜150GHzの範囲内の周波数を有する用途を示す。
【0221】
本発明に従い、液晶媒体は、他の添加剤およびキラルなドーパントを通常の濃度で含んでもよい。これらの他の構成成分の合計濃度は、全体としての混合物を基準として0%〜10%、好ましくは0.1%〜6%の範囲内である。使用する個々の化合物の濃度は、各々好ましくは0.1%〜3%の範囲内である。これらのおよび同様の添加剤の濃度は、本出願における液晶媒体の液晶構成要素および液晶化合物の値および濃度範囲を引用する場合には考慮しない。
【0222】
本発明の液晶媒体は、複数種の化合物、好ましくは3〜30種、より好ましくは4〜20種および極めて好ましくは4〜15種の化合物からなる。これらの化合物を、慣用の方法において混合する。一般的に、より少ない量で使用する所望の量の化合物を、より多い量で使用する化合物に溶解する。温度が、より高濃度で使用する化合物の透明点より高い場合には、溶解プロセスの完了を観察するのは特に容易である。しかし、媒体を他の慣用の方法で、例えば化合物の同族混合物(homologous mixture)もしくは共晶混合物であり得る例えばいわゆるプレミックス(pre-mix)を使用して、または構成成分がそれら自体すぐに使用可能な混合物であるいわゆる「マルチボトル(multibottle)」系を使用して調製することも可能である。
【0223】
すべての温度、例えば液晶の融点T(C,N)またはT(C,S)、スメクチック相(S)からネマチック相(N)への転移T(S,N)および透明点T(N,I)を、摂氏度で引用する。すべての温度差を、差異の度で引用する。
【0224】
本発明において、および特に以下の例において、メソゲン性化合物の構造を、頭字語とも呼ばれる略号によって示す。これらの頭字語において、化学式を、以下の表A〜Cを使用して以下のように略す。すべての基C2n+1、C2m+1およびC2l+1またはC2n−1、C2m−1およびC2l−1は、それぞれn個、m個およびl個のC原子を有する直鎖状アルキルまたはアルケニル、好ましくは1E−アルケニルを示し、ここでn、mおよびlは、互いに独立して、それぞれ1〜9、好ましくは1〜7、または2〜9、好ましくは2〜7の整数を示す。C2o+1は、1〜7個、好ましくは1〜4個のC原子を有する直鎖状アルキル、または1〜7個、好ましくは1〜4個のC原子を有する分枝状アルキルを示す。
【0225】
表Aは、化合物の核構造の環要素のために使用するコードを列挙し、一方表Bは、結合基を示す。表Cは、左側の、または右側の末端基についてのコードの意味を付与する。表Dは、化合物の例示的構造をそれらのそれぞれの略号で示す。
【0226】
表A:環要素
【表1】

【0227】
【表2】

【0228】
【表3】

【0229】
表B:結合基
【表4】

【0230】
表C:末端基
【表5】

【0231】
ここで、nおよびmは、各々整数を示し、3個の点「...」は、この表からの他の略号のためのプレースホルダーである。
【0232】
以下の表は、例示的な構造をそれらのそれぞれの略号と一緒に示す。これらを、略語についての規則の意味を例示するために示す。それらはさらに、好ましく使用する化合物を表す。
【0233】
表D:例示的な構造
例示的な構造は、特に好ましく使用する化合物を示す。
【0234】
構成要素Aの化合物の例
【表6】

【0235】
【表7】

【0236】
【表8】

【0237】
構成要素Bの化合物の例
【表9】

【0238】
【表10】

【0239】
構成要素Cの化合物の例
【表11】

【0240】
構成要素Eの化合物の例
3つの6員環を有する化合物
【表12】

【0241】
4つの6員環を有する化合物
【表13】

【0242】
使用した極性化合物の例示的な構造:
【表14】

【0243】
好ましく使用した他の中性の化合物の例示的な構造:
【表15】

【0244】
使用した他の極性化合物の例示的な構造:
【表16】

【0245】
以下の表である表Eは、本発明に従い、メソゲン性媒体中で安定剤として使用することができる例示的な化合物を示す。これらのおよび同様の化合物の媒体中での合計濃度は、好ましくは5%以下である。
【0246】
表E
【表17】

【0247】
【表18】

【0248】
【表19】

【0249】
【表20】

【0250】
本発明の好ましい態様において、メソゲン性媒体は、表Eからの化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
以下の表である表Fは、本発明に従い、メソゲン性媒体中でキラルなドーパントとして好ましく使用することができる例示的な化合物を示す。
【0251】
表F
【表21】

【0252】
【表22】

【0253】
【表23】

【0254】
本発明の好ましい態様において、メソゲン性媒体は、表Fからの化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
本出願に従い、メソゲン性媒体は、好ましくは2種または3種以上、好ましくは4種または5種以上の上記の表からの化合物からなる群から選択された化合物を含む。
【0255】
本発明に従い、液晶媒体は、好ましくは以下のものを含む。
・7種または8種以上、好ましくは8種または9種以上の化合物、好ましくは3種または4種以上、好ましくは4種または5種以上の表Dからの化合物の群から選択された異なる式を有する化合物である。
【0256】

以下の例は、本発明を、いかなる意味においてもそれを限定せずに例示する。しかし、それは、どの特性を達成することができ、どの範囲においてそれらを修正することができることは、物理的特性から当業者に明らかである。特に、好ましく達成することができる種々な特性の組み合わせは、このように当業者のために良好に定義される。
【0257】
例1
略称PTP(2)TP−6−3を有する液晶物質を、Hsu, C. S., Shyu, K. F., Chuang, Y. Y.およびWu, S.-T., Liq. Cryst., 27 (2), (2000)、283〜287頁の方法によって調製し、特にマイクロ波範囲におけるその物理的特性に関して調査する。化合物は、ネマチック相および114.5℃の透明点(T(N,I))を有する。20℃における他の物理的特性は、以下のとおりである:n(589.3nm)=1.8563;Δn(589.3nm)=0.3250;
【数3】

およびγ=2.100mPa・s。化合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に適している。比較のために、以下の値を、化合物4’−ペンチル−4−シアノビフェニル(また5CBまたはK15、Merck KGaAとして知られている)で20℃にて得る。
【0258】
表1a:化合物PTP(2)TP−6−3の30GHzにおける特性
【表24】

【0259】
表1b:化合物K15の30GHzにおける特性
【表25】

【0260】
表2:30GHzにおける、および20℃における種々の例の特性の比較
【表26】

注:*)P2−6−3:PTP(2)TP−6−3および
t.b.d.:未決定。
【0261】
例2
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−1を、調製する。
【表27】


注:化合物PTP(2)TP−3−3およびPTP(2)TP−4−3を、例1の化合物と同様にして調製する。
この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
【0262】
例3
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−2を、調製する。
【表28】

【0263】
この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
表3:混合物M−2の30GHzにおける特性
【表29】

【0264】
例4
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−3を、調製する。
【表30】

注:化合物をすべて、例1の化合物と同様にして調製する。化合物PTP(c6)TP−3−6は、−23℃のガラス転移温度(T)を有する。
【0265】
この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
表4:混合物M−3の30GHzにおける特性
【表31】

【0266】
例5
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−4を、調製する。
【表32】

注:t.b.d.:未決定。
【0267】
化合物をすべて、例1の化合物と同様にして調製する。化合物PTP(c3)TP−4−4は、ネマチック相および84.5℃の透明点を有する。
この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
【0268】
例6
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−5を、調製する。
【表33】

注:t.b.d.:未決定。
【0269】
化合物をすべて、例1の化合物と同様にして調製する。化合物PTP(c4)TP−4−4は、ネマチック相および70.1℃の透明点を有する。
この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
【0270】
例7
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−6を、調製する。
【表34】

【0271】
この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
【0272】
表5:混合物M−6の30GHzにおける特性
【表35】

【0273】
例8
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−7を、調製する。
【表36】

この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
【0274】
表6:混合物M−7の30GHzにおける特性
【表37】

【0275】
例9
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−8を、調製する。
【表38】

【0276】
表7:混合物M−8の30GHzにおける特性
【表39】

【0277】
例10
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−9を、調製する。
【表40】

注:t.b.d.:未決定。
【0278】
例11
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−10を、調製する。
【表41】

注:t.b.d.:未決定。
【0279】
例12
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−11を、調製する。
【表42】

注:CPWZG−3−N:(相:C 104 SA (79) N 169.4 I)
【0280】
この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
表8:混合物M−11の30GHzにおける特性
【表43】

【0281】
例13
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−12を、調製する。
【表44】

この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
【0282】
例14
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−13を、調製する。
【表45】

この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
【0283】
例15
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−14を、調製する。
【表46】

注:t.b.d.:未決定。
この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
【0284】
例16
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−15を、調製する。
【表47】

注:PU[QGU]−5−F:PUQGUQGU−5−F(相:C 86 N 236.4 I)
PU[QGU](3)−5−F:PUQGU(3)QGU−5−F(相:C 80℃ S (39) N 100.6 I)および
t.b.d.:未決定。
【0285】
例17
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−16を、調製する。
【表48】

注:PU[QGU]−3−F:PUQGUQGU−3−F、
PU[QGU]−5−F:PUQGUQGU−5−F。
【0286】
例18
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−17を、調製する。
【表49】

この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
【0287】
例19
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−18を、調製する。
【表50】

【0288】
この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
表9:混合物M−18の30GHzにおける特性
【表51】

【0289】
例20
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−19を、調製する。
【表52】

注:t.b.d.:未決定。
この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
【0290】
例21
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−20を、調製する。
【表53】

注:t.b.d.:未決定。
この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
【0291】
例22
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−21を、調製する。
【表54】

注:t.b.d.:未決定。
この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。
【0292】
例23
以下の表中に示す組成および特性を有する液晶混合物M−22を、調製する。
【表55】

この混合物は、特に位相シフターのためのマイクロ波範囲における適用に極めて適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波技術のための、または電磁スペクトルのマイクロ波範囲およびミリメートル波範囲のための構成要素であって、式Iで表される液晶化合物または式Iで表される1種もしくは2種以上の化合物を自体が含む液晶媒体を含み、
【化1】

式中、
11〜R13は、互いに独立して、各々1〜15個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルもしくはフッ素化されていないアルコキシ、各々2〜15個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシもしくはフッ素化されていないアルコキシアルキル、または各々15個までのC原子を有するシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルシクロアルケニル、アルキルシクロアルキルアルキルもしくはアルキルシクロアルケニルアルキルを示す、
ことを特徴とする、前記構成要素。
【請求項2】
液晶化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の構成要素。
【請求項3】
液晶媒体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の構成要素。
【請求項4】
請求項1に示した式Iで表される1種または2種以上の化合物からなる構成要素Aに加えて、液晶媒体がさらに、以下の構成要素である構成要素B〜E
・10以上の誘電異方性を有する強度に誘電的に正の構成要素である構成要素B、
・5以上の値を有する誘電異方性を有する強度に誘電的に負の構成要素である構成要素C、
・−5.0超から10.0未満までの範囲内の誘電異方性を有し、8種または9種以上の5または6員環を有する化合物からなる構成要素である構成要素D、および
・−5.0超から10.0未満までの範囲内の誘電異方性を同様に有し、7種までの5または6員環を有する化合物からなる構成要素である構成要素E
の群から選択された1種または2種以上の構成要素を含むことを特徴とする、請求項3に記載の構成要素。
【請求項5】
液晶媒体が構成要素Bを含むことを特徴とする、請求項4に記載の構成要素。
【請求項6】
液晶媒体が構成要素Cを含むことを特徴とする、請求項4に記載の構成要素。
【請求項7】
液晶媒体が構成要素Dを含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の構成要素。
【請求項8】
・請求項1に示した式Iで表される1種または2種以上の化合物からなる構成要素A、ならびに
・さらに、以下の構成要素である構成要素B〜E:
・10以上の誘電異方性を有する強度に誘電的に正の構成要素である構成要素B、
・5以上の値を有する誘電異方性を有する強度に誘電的に負の構成要素である構成要素C、
・−5.0超から10.0未満までの範囲内の誘電異方性を有し、8種または9種以上の5または6員環を有する化合物からなる構成要素である構成要素D、および
・−5.0超から10.0未満までの範囲内の誘電異方性を同様に有し、7種までの5または6員環を有する化合物からなる構成要素である構成要素E
の群から選択された1種または2種以上の構成要素
を含むことを特徴とする、液晶媒体。
【請求項9】
液晶媒体が構成要素Bを含むことを特徴とする、請求項8に記載の液晶媒体。
【請求項10】
液晶媒体が構成要素Cを含むことを特徴とする、請求項8に記載の液晶媒体。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載の液晶媒体の、高周波技術のための構成要素における使用。
【請求項12】
請求項8〜10のいずれか一項に記載の液晶媒体の調製方法であって、請求項1に示した式Iで表される1種または2種以上の化合物を、1種もしくは2種以上の他の化合物と、および/または1種もしくは2種以上の添加剤と混合することを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の構成要素の製造方法であって、請求項8〜10のいずれか一項に記載の液晶媒体を使用することを特徴とする、前記方法。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の1種または2種以上の構成要素を含むことを特徴とする、マイクロ波アンテナアレイ。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の構成要素を電気的に同調させることを特徴とする、マイクロ波アンテナアレイを同調させる方法。

【公表番号】特表2013−506016(P2013−506016A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530152(P2012−530152)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005640
【国際公開番号】WO2011/035863
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】