説明

高周波測定用プローブ

【課題】インピーダンスの変化を抑制すると共に外来ノイズを拾い難い構造とする。
【解決手段】フレキシブル・フラット・ケーブル(30)の導体を用い、被測定物に対する接触部(33)の裏面にも第2絶縁フィルム(3e)があり且つシールド箔(41)がある。
【効果】例えばマイクロストリップライン構造の被測定物に接触させるのに好適である。被測定物に対する接触部(33)においてもインピーダンスの変化を抑制できると共に外来ノイズを拾い難くすることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波測定用プローブに関し、さらに詳しくは、インピーダンスの変化を抑制できる構造とした高周波測定用プローブおよび外来ノイズを拾い難い構造とした高周波測定用プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導体を誘電体で担持したコプレーナ導体構造物の導体の第1端を同軸ケーブルに接続し、導体の第2端を誘電体より突出させて被測定物に対する接触部とし、誘電体の一面に金属をコーティングしてシールドとした高周波測定プローブが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特表2003−510574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の高周波測定プローブでは、コプレーナ導体構造物の導体を用いており、例えばマイクロストリップライン構造の被測定物に接触させるのに好適であった。また、誘電体の一面がシールドになっており、外来ノイズを拾い難くなっていた。
しかし、被測定物に対する接触部においては誘電体が無いため、インピーダンスが変化してしまう問題点がある。また、シールドが無いため、外来ノイズを拾ってしまう問題点がある。
そこで、本発明の目的は、インピーダンスの変化を抑制できる構造とした高周波測定用プローブおよび外来ノイズを拾い難い構造とした高周波測定用プローブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点では、本発明は、同軸コネクタ(10)と、複数の導体ストリップ(3a,3b,3c)を第1絶縁フィルム(3d)と第2絶縁フィルム(3e)とで挟んだ構造であり且つ前記同軸コネクタ(10)に第1端(31)を接続され且つ前記導体ストリップ(3a,3b,3c)の第2端(32)の前記第1絶縁フィルム(3d)側面が露出し被測定物に対する接触部(33)になっており且つ前記導体ストリップ(3a,3b,3c)の第2端(32)の前記第2絶縁フィルム(3e)側面は前記第2絶縁フィルム(3e)で被覆されたフレキシブル・フラット・ケーブル(30)とを具備したことを特徴とする高周波測定用プローブ(101,102)を提供する。
上記第1の観点による高周波測定用プローブ(101,102)では、フレキシブル・フラット・ケーブル(30)の導体を用いており、例えばマイクロストリップライン構造の被測定物に接触させるのに好適である。そして、被測定物に対する接触部(33)の裏面にも第2絶縁フィルム(3e)があるので、インピーダンスの変化を抑制できる。
【0005】
第2の観点では、本発明は、同軸コネクタ(10)と、前記同軸コネクタ(10)に第1端(21)を接続された同軸ケーブル(20)と、複数の導体ストリップ(3a,3b,3c)を第1絶縁フィルム(3d)と第2絶縁フィルム(3e)とで挟んだ構造であり且つ前記同軸ケーブル(20)の第2端(22)に第1端(31)を接続され且つ前記導体ストリップ(3a,3b,3c)の第2端(32)の前記第1絶縁フィルム(3d)側面が露出し被測定物に対する接触部(33)になっており且つ前記導体ストリップ(3a,3b,3c)の第2端(32)の前記第2絶縁フィルム(3e)側面は前記第2絶縁フィルム(3e)で被覆されたフレキシブル・フラット・ケーブル(30)とを具備したことを特徴とする高周波測定用プローブ(200)を提供する。
上記第2の観点による高周波測定用プローブ(200)では、フレキシブル・フラット・ケーブル(30)の導体を用いており、例えばマイクロストリップライン構造の被測定物に接触させるのに好適である。そして、被測定物に対する接触部(33)の裏面にも第2絶縁フィルム(3e)があるので、被測定物に対する接触部(33)においてもインピーダンスの変化を抑制できる。さらに、同軸コネクタ(10)とフレキシブル・フラット・ケーブル(30)の間に同軸ケーブル(20)を介在させるので、被測定物に対する接触部(33)から同軸コネクタ(10)までの長さを容易に伸張することが出来る。
【0006】
第3の観点では、本発明は、前記第1または第2の観点による高周波測定用プローブ(101,102,200)において、前記第2絶縁フィルム(3e)に貼着されたシールド箔(41)を具備したことを特徴とする高周波測定用プローブ(101,102,200)を提供する。
上記第3の観点による高周波測定用プローブ(101,102,200)では、第2絶縁フィルム(3e)側にシールド箔(41)があるので、外来ノイズを拾い難くなる。
【0007】
第4の観点では、本発明は、前記第1から第3のいずれかの観点による高周波測定用プローブ(101,102,200)において、前記第1絶縁フィルム(3d)に貼着されたシールド箔(42)を具備したことを特徴とする高周波測定用プローブ(101,102,200)を提供する。
上記第4の観点による高周波測定用プローブ(101,102,200)では、第1絶縁フィルム(3d)側にシールド箔(42)があるので、外来ノイズを拾い難くなる。
【0008】
第5の観点では、本発明は、前記第1から第4のいずれかの観点による高周波測定用プローブ(101,102,200)において、前記接触部(33)に凸部(34)を設けたことを特徴とする高周波測定用プローブ(101,102,200)を提供する。
上記第5の観点による高周波測定用プローブ(101,102,200)では、被測定物に対する接触部(33)に凸部(34)を設けたので、被測定物に対する接触性を良好かつ安定に出来る。
【発明の効果】
【0009】
本発明の高周波測定用プローブによれば、被測定物に対する接触部の裏面にも絶縁フィルムがあるので、インピーダンスの変化を抑制でき、インピーダンス整合を向上できる。。また、シールド箔があるので、外来ノイズを拾い難くすることが出来る。さらに、柔軟で薄いフレキシブル・フラット・ケーブルを用いるので、同軸ケーブルやリジッドな電極では接触させることが困難な部分にも容易に接触させることが可能になり、高周波測定対象を大きく広げることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係る高周波測定用プローブ101を示す上面図である。図2は、同一部破断正面図である。
【0012】
この高周波測定用プローブ101は、同軸コネクタ10と、フレキシブル・フラット・ケーブル30と、シールド箔41,42とを具備してなる。
【0013】
フレキシブル・フラット・ケーブル30は、中心導体ストリップ3aと両側導体ストリップ3b,3cとを、第1絶縁フィルム3dと第2絶縁フィルム3eとで挟んで、接着した構造である。
フレキシブル・フラット・ケーブル30の第1端31では、露出した導体ストリップ3a,3b,3cが、半田付けにより、同軸コネクタ10に接続されている。
フレキシブル・フラット・ケーブル30の第2端32では、第1絶縁フィルム3d側面のみ導体ストリップ3a,3b,3cが露出し、半田被覆され、被測定物に対する接触部33になっている。接触部33には、凸部34が設けられている。一方、第2絶縁フィルム3e側面は第2絶縁フィルム3eで被覆されており、導体ストリップ3a,3b,3cは露出していない。
【0014】
シールド箔41は第2絶縁フィルム3eに貼着され、シールド箔42は第1絶縁フィルム3dに貼着されている。
【0015】
具体例を示すと、導体ストリップ3a,3b,3cは、幅0.4mmの銅箔である。導体ストリップ3aと3bの間のギャップ幅および導体ストリップ3aと3cの間のギャップ幅は0.3mmである。第1絶縁フィルム3dおよび第2絶縁フィルム3eは、幅2.1mmのPETフィルムである。シールド箔41,42はアルミ箔である。フレキシブル・フラット・ケーブル30のインピーダンスは50Ωである。
【0016】
実施例1の高周波測定用プローブ101によれば、被測定物に対する接触部33の裏面にも第2絶縁フィルム3eがあるので、インピーダンスの変化を抑制できる。また、シールド箔41があるので、外来ノイズを拾い難くすることが出来る。さらに、被測定物に対する接触部33に凸部34を設けたので、被測定物に対する接触性を良好かつ安定に出来る。
【実施例2】
【0017】
図3は、実施例2に係る高周波測定用プローブ102を示す上面図である。図4は、同一部破断正面図である。
この高周波測定用プローブ102は、フレキシブル・フラット・ケーブル30の第1端31で、露出した導体ストリップ3a,3b,3cが、挟み込みにより、同軸コネクタ10に接続されている。それ以外の構成は、実施例1に係る高周波測定用プローブ101と同じである。
【実施例3】
【0018】
図5は、実施例3に係る高周波測定用プローブ200を示す上面図である。図6は、同一部破断正面図である。
【0019】
この高周波測定用プローブ200は、同軸コネクタ(SMAコネクタ)10と、同軸ケーブル20と、フレキシブル・フラット・ケーブル30と、シールド箔41,42とを具備してなる。
【0020】
同軸コネクタ10には、同軸ケーブル20の第1端21の中心導体とシールド導体とが挟み込みにより接続されている。
【0021】
フレキシブル・フラット・ケーブル30は、中心導体ストリップ3aと両側導体ストリップ3b,3cとを、第1絶縁フィルム3dと第2絶縁フィルム3eとで挟んで、接着した構造である。
フレキシブル・フラット・ケーブル30の第1端31では、露出した導体ストリップ3a,3b,3cが、半田付けにより、同軸ケーブル20の第2端22の中心導体とシールド導体とに接続されている。
フレキシブル・フラット・ケーブル30の第2端32では、第1絶縁フィルム3d側面のみ導体ストリップ3a,3b,3cが露出し、被測定物に対する接触部33になっている。接触部33には、凸部34が設けられている。一方、第2絶縁フィルム3e側面は第2絶縁フィルム3eで被覆されており、導体ストリップ3a,3b,3cは露出していない。
【0022】
シールド箔41は第2絶縁フィルム3eに貼着され、シールド箔42は第1絶縁フィルム3dに貼着されている。
【0023】
具体例を示すと、導体ストリップ3a,3b,3cは、幅0.4mmの銅箔である。導体ストリップ3aと3bの間のギャップ幅および導体ストリップ3aと3cの間のギャップ幅は0.3mmである。第1絶縁フィルム3dおよび第2絶縁フィルム3eは、幅2.1mmのPETフィルムである。シールド箔41,42はアルミ箔である。フレキシブル・フラット・ケーブル30のインピーダンスは50Ωである。同軸ケーブル20のインピーダンスは50Ωである。
【0024】
実施例3の高周波測定用プローブ200によれば、被測定物に対する接触部33の裏面にも第2絶縁フィルム3eがあるので、インピーダンスの変化を抑制できる。また、シールド箔41があるので、外来ノイズを拾い難くすることが出来る。また、被測定物に対する接触部33に凸部34を設けたので、被測定物に対する接触性を良好かつ安定に出来る。さらに、同軸ケーブル20の長さを変えることにより、接触部33から同軸コネクタ10までの長さを容易に伸張することが出来る。
【実施例4】
【0025】
フレキシブル・フラット・ケーブル30のインピーダンスは、導体ストリップ3a,3b,3cや第1絶縁フィルム3dや第2絶縁フィルム3eの材料や寸法を変えることにより、また、導体ストリップ3a,3b,3cに第1絶縁フィルム3dや第2絶縁フィルム3eを接着する接着剤の材料や厚さを変えることにより変更でき、被測定物のインピーダンスとマッチングさせることが出来る。導体ストリップ3a,3b,3cの材料としては、銅の他、銀やニッケルを用いてもよい。
【0026】
なお、導体ストリップ3a,3b,3cの寸法、導体ストリップ3aと3bの間のギャップ幅、導体ストリップ3aと3cの間のギャップ幅は、被測定物の寸法(例えば配線パターン幅やギャップ幅、ICチップのピン幅やピッチ)に合わせる必要があるため、選択の自由度は制限される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の高周波測定用プローブは、例えば10GHz程度までの高周波の測定に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1に係る高周波測定用プローブを示す上面図である。
【図2】実施例1に係る高周波測定用プローブを示す一部破断正面図である。
【図3】実施例2に係る高周波測定用プローブを示す上面図である。
【図4】実施例2に係る高周波測定用プローブを示す一部破断正面図である。
【図5】実施例3に係る高周波測定用プローブを示す上面図である。
【図6】実施例3に係る高周波測定用プローブを示す一部破断正面図である。
【符号の説明】
【0029】
3a,3b,3c 導体ストリップ
3d 第1絶縁フィルム
3e 第2絶縁フィルム
10 同軸コネクタ
20 同軸ケーブル
30 フレキシブル・フラット・ケーブル
33 接触部
34 凸部
41,42 シールド箔
101,102,200 高周波測定用プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸コネクタ(10)と、複数の導体ストリップ(3a,3b,3c)を第1絶縁フィルム(3d)と第2絶縁フィルム(3e)とで挟んだ構造であり且つ前記同軸コネクタ(10)に第1端(31)を接続され且つ前記導体ストリップ(3a,3b,3c)の第2端(32)の前記第1絶縁フィルム(3d)側面が露出し被測定物に対する接触部(33)になっており且つ前記導体ストリップ(3a,3b,3c)の第2端(32)の前記第2絶縁フィルム(3e)側面は前記第2絶縁フィルム(3e)で被覆されているフレキシブル・フラット・ケーブル(30)とを具備したことを特徴とする高周波測定用プローブ(101,102)。
【請求項2】
同軸コネクタ(10)と、前記同軸コネクタ(10)に第1端(21)を接続された同軸ケーブル(20)と、複数の導体ストリップ(3a,3b,3c)を第1絶縁フィルム(3d)と第2絶縁フィルム(3e)とで挟んだ構造であり且つ前記同軸ケーブル(20)の第2端(22)に第1端(31)を接続され且つ前記導体ストリップ(3a,3b,3c)の第2端(32)の前記第1絶縁フィルム(3d)側面が露出し被測定物に対する接触部(33)になっており且つ前記導体ストリップ(3a,3b,3c)の第2端(32)の前記第2絶縁フィルム(3e)側面は前記第2絶縁フィルム(3e)で被覆されているフレキシブル・フラット・ケーブル(30)とを具備したことを特徴とする高周波測定用プローブ(200)。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の高周波測定用プローブ(101,102,,200)において、前記第2絶縁フィルム(3e)に貼着されたシールド箔(41)を具備したことを特徴とする高周波測定用プローブ(101,102,200)。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の高周波測定用プローブ(101,102,200)において、前記第1絶縁フィルム(3d)に貼着されたシールド箔(42)を具備したことを特徴とする高周波測定用プローブ(101,102,200)。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の高周波測定用プローブ(101,102,200)において、前記接触部(33)に凸部(34)を設けたことを特徴とする高周波測定用プローブ(101,102,200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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