説明

高周波用極細ペアケーブル及びその製造方法

【課題】伝送ロスが少ない等の電気特性に優れ、しかも極細線化が可能な高周波用極細ペアケーブル及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】内部導体とその外周に形成された絶縁体層とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブルが中空円柱形状のシールド管内に収容されており、該ペアケーブルの一部と該シールド管の内面とが接触している部分以外の部分では該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に空間が存在している高周波用極細ペアケーブル、及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高周波用極細ペアケーブル及びその製造方法に関し、より詳しくは、電気特性に優れ、しかも極細線化が可能な高周波用極細ペアケーブル及びその容易な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
差動伝送用に2芯フラットケーブルも使用されているが、信号にノイズが混入する原因は信号を伝える導線に外から電磁波が届くことである。導線を横切る磁力線が増えたり減ったりすると起電力と呼ばれる力が発生する。この起電力のせいで導線ペアに余計な電流が流れ、これが伝えたい信号に混入するノイズとなる。
【0003】
ノイズを防ぐ一つの方法が、外からの電磁波が入り込まないように導線の周りを導電体でぐるっと覆ってシールドすることである(例えば、特許文献1及び2参照。)。即ち、起電力を導線ペアの外で発生させて、逃がしてしまうわけである。
【0004】
これに対しツイストペアケーブルは、1対の導線を撚り合わせることで電磁波の影響を打ち消している(例えば、特許文献3参照。)。導線を半回転させると、電磁波の影響は半回転前の部分と逆向きに働く。導線を撚っていけば、少し位置がずれた部分で発生した起電力と相殺されるので余計な電流が流れず、ノイズが発生しにくくなる。
【0005】
さらに、ツイストペアケーブルは隣の信号線から発生する電磁波がノイズ源となる「漏話」と呼ばれる現象を防ぐ効果もある。漏話は、導線に電流が流れると周りに磁力線が発生することで起こる。しかし、導線のペアが撚り合わせてあれば、発生する磁力線の方向が半回転ごとに逆になり、打ち消し合うため、外に出る磁力線が減る。この結果、漏話が起こりにくくなる。
【0006】
ツイストペアケーブルの周りに更にシールドを施すことによりノイズの発生を更に抑制する技術も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−195924号公報
【特許文献2】特開2008−004275号公報
【特許文献3】特許第3918067号公報
【特許文献4】特表2003−508882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、2芯フラットケーブル又はツイストペアケーブルであるペアケーブルをシールドするとシールドが楕円状態となる。シールドとペアケーブルとの間の距離が短くなると高周波信号に対する伝送ロスが大きくなるという欠点がある。伝送ロスはシールドがペアケーブルから無限遠、即ちシールドが無い場合に最も小さく、シールドが近くなればなるほど大きくなるという特性を持っている。また、1MHzを超える高周波領域にいけばいくほど、シールドすることにより電気磁気的に誘導ロスが発生し、伝送ロスが大きくなるという問題がある。
【0009】
また、ペアケーブルは電子内視鏡、超音波像映プローブ、カテーテルシステム等にも用いられているが、これらの用途において伝送ロスが少ない等の電気特性に優れ、しかも極細線化が可能な高周波用極細ペアケーブルが求められてきている。
【0010】
本発明の目的は、伝送ロスが少ない等の電気特性に優れ、しかも極細線化が可能な高周波用極細ペアケーブル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
シールド層として中空円柱形状のシールド管を用い、該シールド管内に収容されたペアケーブルの一部と該シールド管の内面とが接触している部分以外の部分では該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に空間を設けることにより、又は該シールド管内に収容されたペアケーブルの一部と該シールド管の内面とが接触している部分以外の部分では該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に比誘電率が3以下の低誘電率物質を存在させることにより、上記の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
即ち、本発明の高周波用極細ペアケーブルは、内部導体とその外周に形成された絶縁体層とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブルが中空円柱形状のシールド管内に収容されており、該ペアケーブルの一部と該シールド管の内面とが接触している部分以外の部分では該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に空間が存在していることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の高周波用極細ペアケーブルは、内部導体とその外周に形成された絶縁体層とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブルが中空円柱形状のシールド管内に収容されており、該ペアケーブルの一部と該シールド管の内面とが接触している部分以外の部分では該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に比誘電率が3以下の低誘電率物質が存在していることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明の高周波用極細ペアケーブルの製造方法は、内部導体とその外周に形成された絶縁体層とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブルを、該ペアケーブルの挿入が可能な内径を有する中空円柱形状のシールド管に挿入し、該ペアケーブルの一部と該シールド管の内面とが接触している部分以外の部分で該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に空間を設けることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の高周波用極細ペアケーブルの製造方法は、内部導体とその外周に形成された絶縁体層とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブルを、該ペアケーブルの挿入が可能な内径を有する中空円柱形状のシールド管に挿入し、該シールド管を円形の断面形状を保ったままでダイス引きで絞り込んで、該シールド管の内面を該ペアケーブルに接触させて該ペアケーブルを固定し、且つ該接触部以外の部分で該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に空間を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の高周波用極細ペアケーブルはペアケーブルのシールドを中空円柱形状に保つことができ、伝送ロスが少ない等の電気特性に優れ、極細線化が可能であり、しかも容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の高周波用極細ペアケーブルの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の高周波用極細ペアケーブルの他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の高周波用極細ペアケーブルがツイストペアケーブルである場合を説明するためのシールド管のみを半裁した状態で示す概略説明図である。
【図4】本発明の高周波用極細ペアケーブルが2芯フラットケーブルである場合を説明するためのシールド管のみを半裁した状態で示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面に従って本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、内部導体1とその外周に形成された絶縁体層2とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブル3が中空円柱形状のシールド管4内に収容されており、該ペアケーブル3の一部と該シールド管4の内面とが接触している部分以外の部分では該ペアケーブル3と該シールド管4の内面との間に空間5が存在している場合の本発明の高周波用極細ペアケーブルの断面図であり、図2は、該ペアケーブル3の一部と該シールド管4の内面とが接触している部分以外の部分では該ペアケーブル3と該シールド管4の内面との間に比誘電率が3以下の低誘電率物質6が存在している場合の本発明の高周波用極細ペアケーブルの断面図である。
【0020】
図3はペアケーブル3がツイストペアケーブルであり、シールド管4内に収容された該ペアケーブルの一部と該シールド管の内面とが接触している部分以外の部分では該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に空間5を設けられている場合の本発明の高周波用極細ペアケーブルを説明するための該シールド管のみを半裁した状態で示す概略説明図であり、図4はペアケーブル3が2芯フラットケーブルであり、該ペアケーブルがシールド管4に挿入されただけで、該シールド管は絞り込まれておらず、該シールド管内に収容された該ペアケーブルの一部と該シールド管の内面とが接触している部分以外の部分では該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に空間5を設けられている場合の本発明の高周波用極細ペアケーブルを説明するためのシールド管のみを半裁した状態で示す概略説明図である。
【0021】
本発明の高周波用極細ペアケーブルの絶縁被覆線を構成する内部導体については導電性の高いものであれば特に限定されず、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、クロム、錫等、及びこれらの合金からなる線、それらの線に銅、銀、金、錫、クロム、ニッケル等をめっきしたもの、その場金属繊維強化銅合金等を用いることができ、好ましくは導電率が高い銅線、銀線、銀めっき銅線を用いる。内部導体は単線からなるものであっても、複数本(例えば、7本、19本)の単線を撚り合わせたものであってもよく、また各々の線は断面形状が円形でも、楕円形でも、平角形状でも良い。
【0022】
ここで、その場金属繊維強化銅合金からなる内部導体とは、金属繊維で強化された銅マトリックスであり、その場で、即ち、線材を形成する工程で線材中に金属繊維を形成した線材をいう。例えば、銅マトリックス中に、最大径が2.5μm以下で平均径が1.0μm以下のその場形成繊維状銀を含む線材等をいう。
【0023】
かかるその場金属繊維強化銅合金からなる内部導体は、例えば、銀含有率が1〜25質量%で残部が実質的に銅からなる合金材料を、必要に応じてスエージ加工し、次いで第一の冷間伸線加工を施し、次いで溶体化処理し、しかる後に第二の冷間伸線加工を施すことにより、銅マトリックス中に繊維状銀をその場形成して線材を得、該線材を少なくとも一本用いて導線を形成することにより得られる。なお、合金材料としては、上記した合金に限定されず、例えば、銀含有率が1〜25質量%で、ジルコニウム含有率が0.01〜8質量%で、残部が実質的に銅からなる合金材料も用いることができる。
【0024】
本発明の高周波用極細ペアケーブルの絶縁被覆線を構成する絶縁体層は低誘電率の材料、例えば、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ABS樹脂、ポリイミド等、又はそれらの発泡体を用いてコーティング層を形成することにより得られる。また、エナメルコーティングなどを挙げることができる。しかしながら、低誘電率で極細径化に好ましく且つ耐屈曲性の点ではPTFE(比誘電率2.1)、PFA(比誘電率2.1)、FEP(比誘電率2.1)、ETFE(比誘電率2.4〜2.6)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン(比誘電率2.3)、ポリプロピレン(比誘電率2.2〜2.6)等が好適である。
【0025】
本発明の高周波用極細ペアケーブルにおいては、ペアケーブルがツイストペアケーブルであっても、2芯フラットケーブルであっても、2本の絶縁被覆線がツイストされておらず且つ接合もされていない状態で存在するものであってもよい。しかし、ツイストペアケーブルを用いた場合には電磁波の影響が打ち消され、漏話が起こりにくくなるので好ましい。なお、2芯フラットケーブルの場合には2本の絶縁被覆線を融着等により接合させて製造したものでも、2本の絶縁被覆線にテープを巻き付けて固定したものでも、2本の内部導体を接触しないように並列配置して2本同時に絶縁体層で被覆して製造したものでもよい。
【0026】
本発明の高周波用極細ペアケーブルにおいては、内部導体とその外周に形成された絶縁体層とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブルが中空円柱形状のシールド管内に収容されている。シールド管は銅、金、銀、アルミニウム又はそれらの合金、或いはSUS等の導電性のある金属製の管でも、樹脂製チューブに導電性金属をめっきしたものでも、樹脂製チューブに銅箔等の導電性金属箔を巻いたものでも、導電性金属製のスプリング・コイル状のものでもよい。
【0027】
本発明の高周波用極細ペアケーブルにおいては、ペアケーブルがシールド管の内面に接触して固定されており且つ該接触部以外の部分ではペアケーブルとシールド管の内面との間に空間が存在していてもよい。この固定については、ペアケーブルの挿入されているシールド管を円形の断面形状を保ったままでダイス引きで絞り込んで、該シールド管の内面を該ペアケーブルに接触させて該ペアケーブルを該シールド管内に固定しても、ペアケーブルの挿入されているシールド管を適当な間隔で凹ませて該ペアケーブルを該シールド管内に固定しても、或いはペアケーブルに適当な間隔で柔軟な凸部を設けてシールド管に挿入することによって該ペアケーブルを該シールド管内に固定してもよい。また、ペアケーブルとシールド管の内面との間の空間の少なくとも一部に好ましくは比誘電率が3以下の低誘電率物質、例えば、PTFE(比誘電率2.1)、PFA(比誘電率2.1)、FEP(比誘電率2.1)、ETFE(比誘電率2.4〜2.6)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン(比誘電率2.3)、ポリプロピレン(比誘電率2.2〜2.6)等が存在していてもよい。
【0028】
また、本発明の高周波用極細ペアケーブルにおいては、ペアケーブルがシールド管に挿入されただけで固定されておらず且つ該シールド管内に収容された該ペアケーブルの一部と該シールド管の内面とが接触している部分(接触部分は本発明の高周波用極細ペアケーブルの変位によって変化する)以外の部分では該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に空間が存在していてもよい。また、ペアケーブルとシールド管の内面との間の空間の少なくとも一部に比誘電率が3以下の低誘電率物質が存在していてもよい。
【0029】
本発明の高周波用極細ツイストペアケーブルの製造方法は、上記した材質からなる内部導体とその外周に形成された上記した材質からなる絶縁体層とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブルを、該ペアケーブルの挿入が可能な内径を有する、即ち、内径がペアケーブルの太さよりも大きい中空円柱形状の上記した材質からなるシールド管に挿入し、該ペアケーブルの一部と該シールド管の内面とが接触している部分以外の部分で該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に空間を設けることからなる。なお、ペアケーブルとシールド管の内面との間の空間の少なくとも一部に好ましくは比誘電率が3以下の低誘電率物質を存在させる場合には、ペアケーブルの周りに低誘電率物質の層を設けた後、低誘電率物質の層を有するペアケーブルの挿入が可能な内径を有する中空円柱形状のシールド管に挿入する。
【0030】
また、本発明の高周波用極細ペアケーブルの製造方法は、上記した材質からなる内部導体とその外周に形成された上記した材質からなる絶縁体層とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブルを、該ペアケーブルの挿入が可能な内径を有する中空円柱形状の上記した材質からなるシールド管に挿入し、該シールド管を円形の断面形状を保ったままでダイス引きで絞り込んで、該シールド管の内面を該ペアケーブルに接触させて該ペアケーブルを固定し、且つ該接触部以外の部分で該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に空間を設けることからなる。なお、ペアケーブルとシールド管の内面との間の空間の少なくとも一部に好ましくは比誘電率が3以下の低誘電率物質を存在させる場合には、ペアケーブルの周りに低誘電率物質の層を設けた後、低誘電率物質の層を有するペアケーブルの挿入が可能な内径を有する中空円柱形状のシールド管に挿入し、上記のその後の操作を続ける。
【0031】
内部導体とその外周に形成された絶縁体層とからなる絶縁被覆線の製造方法、絶縁被覆線2本で構成されたツイストペアケーブル、2芯フラットケーブルの製造方法、中空円柱形状のシールド管を円形の断面形状を保ったままでダイス引きで絞り込む方法は周知であり、本発明においてはそれらの周知の方法を採用する。
【0032】
本発明の高周波用極細ペアケーブルの製造方法で用いるシールド管の内径はペアケーブルを容易に挿入できる大きさである必要があるが、大きすぎるとシールド管内でのペアケーブルの遊びが多かったり、ダイス引きで絞り込むのに余分な手間がかかったりするので好ましくない。ダイス引きで絞り込む程度は、該シールド管の内面を該ペアケーブルに接触させて該ペアケーブルが該シールド管内で滑動することがないように固定するが、該接触部以外の部分で該ペアケーブルと該シールド管の内面との間に空間が存在する程度である。
【0033】
上記のような本発明の製造方法で製造される本発明の高周波用極細ペアケーブルは、従来、極細ペアケーブルが用いられている種々の用途に用いることができ、特に、電子内視鏡、超音波像映プローブ、カテーテルシステム等に用いることができる。
【0034】
例えば、電子内視鏡においては、先端部内には、CCDを駆動するための駆動用信号を生成するタイミングジェネレータと、この駆動用信号を電圧変換等してCCDにCCD駆動信号として印加するドライバとが設けられており、挿入部の少なくとも基端側に差動ドライバが設けてある。この差動ドライバには、ビデオプロセッサ内に設けた基準信号発生回路から出力される基準クロックが入力される。この差動ドライバの出力端には、極細ペアケーブルの一端が接続されている。この極細ペアケーブルは、電子内視鏡の信号伝送路の一端となるコネクタから、その他端となる先端部に至るまでユニバーサルケーブル部、操作部,挿入部内に挿通されている。そして、この極細ペアケーブルにより基準クロックを差動信号で、つまり差動の基準クロックとして、その基端から他端となる先端部まで伝送する。伝送された差動の基準クロックは、先端部内に設けた差動レシーバに入力される。そして、この差動レシーバの出力端から出力される基準クロックは、タイミングジェネレータに入力される。
【0035】
従って、本発明の高周波用極細ペアケーブルにおいては、細いこと、即ちシールド管の外径が500μm以下であることが好ましい。
【0036】
本発明の高周波用極細ペアケーブルを電子内視鏡、超音波像映プローブ、カテーテルシステム等の極微細なペアケーブルを用いる用途ではなく、通常の用途に用いる場合には、シールド管の外側に保護被覆層(シース)を設けることができる。保護被覆層の材料として、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ABS樹脂、ポリイミド、ポリアミド、塩化ビニル、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
【0037】
実施例1〜11
内部導体として第1表に示す外径の銅線を用い、その銅線の外周に第1表に示す誘電率を有する第1表に示す材質からなる絶縁体層を形成して第1表に示す外径を有する絶縁被覆線を得た。実施例1〜9においてはその絶縁被覆線2本で作製したツイストペアケーブルを用い、実施例10〜11ではその絶縁被覆線2本で作製した2芯フラットケーブルを用いた。このツイストペアケーブル又は2芯フラットケーブルを第1表に示す内径及び外径を有する中空円柱形状の銅製素材シールド管に挿入した。実施例1〜5、11については、ツイストペアケーブル又は2芯フラットケーブルを銅製素材シールド管に挿入したままで本発明の高周波用極細ペアケーブルとした。実施例6〜10については、ツイストペアケーブル又は2芯フラットケーブルの挿入されている銅製素材シールド管を円形の断面形状を保ったままでダイス引きで絞り込んで、該シールド管の内面を該ツイストペアケーブル又は該2芯フラットケーブルに接触させて該ツイストペアケーブル又は該2芯フラットケーブルが該シールド管内で滑動することがないように固定し、且つ該接触部以外の部分で該ツイストペアケーブル又は該2芯フラットケーブルと該シールド管の内面との間に空間を設けた。ダイス引きで絞り込んだ後の銅製製品シールド管の外径及び内径は第1表に示す通りであった。また、得られた高周波用極細ペアケーブルの特性インピーダンス及び伝送ロス(40MHz及び100MHz)は第1表に示す通りであった。
【0038】
【表1】

【符号の説明】
【0039】
1 内部導体
2 絶縁体層
3 ペアケーブル
4 シールド管
5 空間
6 低誘電率物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部導体(1)とその外周に形成された絶縁体層(2)とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブル(3)が中空円柱形状のシールド管(4)内に収容されており、該ペアケーブル(3)の一部と該シールド管(4)の内面とが接触している部分以外の部分では該ペアケーブル(3)と該シールド管(4)の内面との間に空間(5)が存在していることを特徴とする高周波用極細ペアケーブル。
【請求項2】
内部導体(1)とその外周に形成された絶縁体層(2)とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブル(3)が中空円柱形状のシールド管(4)内に収容されており、該ペアケーブル(3)の一部と該シールド管(4)の内面とが接触している部分以外の部分では該ペアケーブル(3)と該シールド管(4)の内面との間に比誘電率が3以下の低誘電率物質(6)が存在していることを特徴とする高周波用極細ペアケーブル。
【請求項3】
シールド管が金属製管である請求項1又は2に記載の高周波用極細ペアケーブル。
【請求項4】
シールド管の外径が500μm以下である請求項1、2又は3に記載の高周波用極細ペアケーブル。
【請求項5】
ペアケーブル(3)の一部とシールド管(4)の内面とが接触して固定されている請求項1、2、3又は4に記載の高周波用極細ペアケーブル。
【請求項6】
内部導体(1)とその外周に形成された絶縁体層(2)とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブル(3)を、該ペアケーブル(3)の挿入が可能な内径を有する中空円柱形状のシールド管(4)に挿入し、該ペアケーブル(3)の一部と該シールド管(4)の内面とが接触している部分以外の部分で該ペアケーブル(3)と該シールド管(4)の内面との間に空間(5)を設けることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の高周波用極細ペアケーブルの製造方法。
【請求項7】
内部導体(1)とその外周に形成された絶縁体層(2)とからなる絶縁被覆線2本で構成されたペアケーブル(3)を、該ペアケーブル(3)の挿入が可能な内径を有する中空円柱形状のシールド管(4)に挿入し、該シールド管(4)を円形の断面形状を保ったままでダイス引きで絞り込んで、該シールド管(4)の内面を該ペアケーブル(3)に接触させて該ペアケーブル(3)を固定し、且つ該接触部以外の部分で該ペアケーブル(3)と該シールド管(4)の内面との間に空間(5)を設けることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の高周波用極細ペアケーブルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−54410(P2011−54410A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202070(P2009−202070)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(592106007)吉野川電線株式会社 (8)
【Fターム(参考)】