説明

高周波誘導加熱コイル、高周波誘導加熱ユニット、高周波誘導加熱装置

【課題】高周波誘導加熱装置に用いる高周波誘導加熱コイルにおいて、誘導される電流の大きさの変化が少なく、負荷変動に対する加熱状態の変化量を少なくすることを実現して、加熱ムラを減らした高周波誘導加熱装置を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の高周波誘導加熱装置は、一端側から他端側まで往路のコイルの一部または全部を波型に配置し、往路のコイルを他端側にて折り返し、他端側から一端側まで、折り返した復路のコイルの一部または全部を波型に、往路のコイルと交差させて配置する高周波誘導加熱コイルを用いて、往路のコイルと前記復路のコイルが一往復した分を一つの単位として、複数の単位のコイルを水平方向にあるいは垂直方向に並ぶように直列接続して配置している。そして当該高周波誘導加熱コイル90a、90bに高周波電源装置8を接続して高周波電流を通電するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、充填・密封済の缶詰を短時間で加熱する缶詰加熱装置などに用いられる高周波誘導加熱コイル、高周波誘導加熱ユニット、高周波誘導加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の缶詰加熱装置としては、缶詰を直立状態で連続的に搬送する搬送手段の進行方向の両側に誘導加熱コイルを用いた高周波誘導加熱手段である高周波誘導加熱ユニットを配置して、搬送路に沿って移動している各缶詰を進行方向の両側の高周波誘導加熱ユニットで加熱する高周波誘導加熱装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図13に、従来の缶詰加熱装置の概略側面図を示す。図13の缶詰加熱装置では、一定の間隔で各缶詰52を搬送路53に供給するための缶詰供給手段であるスクリュー51と、搬送路53に沿って各缶詰52を一定速度で搬送する平ベルトである搬送手段54と、搬送路53に沿って搬送される各缶詰52と接触して各缶詰52をそれぞれ回転させる細い平ベルトである回転力付与手段56とを備えている。そして、搬送路53の片側あるいは両側に配置される高周波誘導加熱手段である高周波誘導加熱ユニットの誘導加熱コイル57が搬送路53に沿って直列的に複数配設されている。そして、直列的に配設された各誘導加熱コイル57のそれぞれに対して、電源スイッチから誘導加熱コイルに至るまでの電気系統58が個別に設置されている。
【0003】
図14に、従来の高周波加熱装置を用いた缶詰加熱装置の部分平面図を示した。缶詰52が搬送手段54上で回転しながら一定速度で搬送されていく様子を白抜き矢印で示している。缶詰52は一対のサイドガイド59で進路を規制され、一対のサイドガイド59の間にある搬送手段54である平ベルトで図14の紙面の右側から左側に搬送される。搬送手段54には突起54aがあり、缶詰52はサイドガイド59間を、突起54aで押されながら紙面の左側に移動する。回転力付与手段56は細い平ベルトであり、缶詰52の底面に当接していて、搬送手段54と逆方向に移動し缶詰52に回転力を与える。その結果、缶詰52は搬送手段54上を回転しながら図14の紙面の右側から左側に移動する。
【0004】
缶詰52は、誘導加熱コイル57により渦電流を生じ発熱する。缶詰52は搬送手段54上を回転しながら移動するため、誘導加熱コイル57に接近した部分が回転に応じて順次、発熱する。
ここで注意すべきは、缶詰52は円柱形をしていることである。缶詰52の外周と誘導加熱コイル57の距離は、図14でW1、W2、W3と図示したように異なる。誘導加熱コイル57に近い部分は強く発熱し、遠い部分は弱く発熱する。そのため、搬送手段54の速度を遅くし、缶詰52の回転を速くして、缶詰52の外周を発熱させているが、搬送手段54を一旦止めて、缶詰52を一回転したときのように均一に発熱させることはできない。
【0005】
図15に従来の缶詰加熱装置の搬送路53の横断面図を示す。誘導加熱コイル57のそれぞれは、誘導加熱コイル本体57aをエポキシ樹脂のような非磁性体のケース57b内に収容したものであって、誘導加熱コイル57のケース57bの缶詰52に対向する側は、比較的薄い蓋板57cにより覆われている。そして、誘導加熱コイル57の本体57aは、フェライトコア571に導電線572をコイル巻きしたようなものであって、導電線572に電流を流すことで、ケースの蓋板57cを通して、誘導加熱コイル57の近傍を通過する缶詰52を、金属素材の缶容器に生じる誘導電流(渦電流)に基づくジュール熱によって加熱する。そして、該缶容器を介して中身の飲料を加熱し、缶詰52の全体を加熱している。
【0006】
従来は、フェライトコア571に導電線572をコイル巻きした複数の誘導加熱コイル57を直列に並べたものや、一つの誘導加熱コイルを螺旋状や渦巻き状に巻いた後、直列的に、新たに螺旋状や渦巻き状に巻いていた。
高周波誘導加熱では、螺旋状コイル(例えば、特許文献2参照)、あるいは渦巻き状コイルなどが知られている(例えば、特許文献3参照)。螺旋状コイル、渦巻き状コイルは、被誘導体が円柱や円板など被加熱面がコイル形状に相似している形の場合は比較的一様に誘導加熱することができるが、四角のプレート(方形板)を円形のコイルで誘導させようとすると4コーナーがコイルに近接していないので発熱しにくい。つまり、四角形、長方形などの被誘導体ではコイルに相対しない部分が多く、加熱ムラの原因となっている。
【0007】
図16に螺旋状コイル572の側面図を示す。螺旋状コイル、渦巻き状コイルはいずれも円形になる為、被加熱面が四角形などの被誘導体では相対しない部位(図16のA部)が発生し加熱ムラの大きな要因となっている。四角形にコイルを巻くことも可能であるが、中心部に磁束が集中する為、磁束が少ない周辺部との差異が加熱ムラとなることが多い。
また、螺旋状コイル・渦巻き状コイルは、巻き数を増やすと磁束が強くなるが、磁束が強いと、加熱をしたくない、コイルより離れている被誘導体の端部に、飛ぶように、異常な電流が誘導されるような現象が発生したりして制御が難しくなることもある。
【0008】
図17と図18に、加熱領域となる長方形に対応するように、螺旋状コイルや渦巻き状コイルを並べて直列接続した場合を示す。図17では、従来の一重巻きの高周波誘導加熱コイルを直列に接続したときの側面図を示し、図18では、従来の二重巻きの高周波誘導加熱コイルを直列に接続したときの側面図を示す。
図17と図18では、コイルに高周波電流が流れて電流の向きが変わるため、ある瞬間でのコイルに流れる電流の向きを破線の矢印で示した。たとえば、図17では、矢印Bのように流れてきた電流がコイルの形に添って、矢印Cのように紙面下方に流れ、その後矢印Dのように紙面上方に流れる。コイルはループを描いて流れるため、各ループが隣り合うと、紙面下向きの矢印Cの流れと、紙面上向きの矢印Dの流れが近接する。図18も同様である。このように電流の向きが正反対であると、各コイルは他のコイルが引き起こす誘導電流を弱める。この傾向は、コイルの巻き数を増やしても変わらないという欠点があった。
【0009】
また、螺旋状コイルや渦巻き状コイルを並べて直列接続して使用すると、コイルとコイルの接続の為にもインダクタンス成分を含むコイル部材が必要となり、コイル線長が長くなりコイル全体のインダクタンス成分にも影響してしまう。巻き数が多く誘導係数が高いコイルでは被誘導体である負荷に変動があると誘導される電流も変動しやすくなり、負荷変動による加熱状態の違いも発生しやすいという欠点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3755630号公報
【特許文献2】特開平11−77835号公報
【特許文献3】特許第4613425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明では、従来の巻き方ではコイルが近接できなかった部位にもコイルを近接でき、加熱ムラを減らせる高周波誘導加熱コイル、高周波誘導加熱ユニット、高周波誘導加熱装置を提供することを第一の目的としている。そして、螺旋や渦巻きコイルを直列接続したものと同等性能でコイル線長を短くすることを第二の目的としている。そして第三に、意図しない被誘導体端部への異常な誘導現象を起こりにくくすることを目的としている。第四に、負荷の増減があっても、誘導される電流の大きさの変化が少なく、負荷変動に対する加熱状態の変化量を少なくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の高周波誘導加熱コイルは、一端側から他端側まで往路のコイルの一部または全部を波型に配置し、前記往路のコイルを前記他端側にて折り返し、前記他端側から前記一端側まで、折り返した復路のコイルの一部または全部を波型に、前記往路のコイルと交差させて配置する高周波誘導加熱コイルを用いて、前記往路のコイルと前記復路のコイルが一往復した分を一つの単位として、複数の単位のコイルを水平方向にあるいは垂直方向に並ぶように直列接続して配置している。
【0013】
このことにより、加熱ムラを大幅に減少させている。また、螺旋や渦巻きコイルを直列接続したものと同等性能でコイル線長を短くすることができる。意図しない被誘導体端部への異常な誘導現象を起こりにくくすることができる。そして、負荷の増減があっても、誘導される電流の大きさの変化が少なく、負荷変動に対する加熱状態の変化量を少なくすることができる。
【0014】
また本発明の高周波誘導加熱コイルは、復路のコイルと往路のコイルが重なる各交点のコイル間を離して空間を設けて配置している。
このことにより、表面に絶縁皮膜を設けていない高周波誘導加熱コイルを用いたときでも、高周波誘導加熱コイルが交点で接触して予期せぬ電流が流れることがない。
【0015】
また本発明の高周波誘導加熱コイルは、復路のコイルと往路のコイルが重なる各交点のコイル間に絶縁体のスペーサを挟んで配置している。
このことにより、高周波誘導加熱コイルの各交点のコイル間を一定の距離だけ離すことができ、缶詰等の被誘導体を安定して加熱することができる。
【0016】
本発明の高周波誘導加熱コイルは、一端側から他端側まで往路のコイルを波型に配置し、往路のコイルを他端側にて折り返し、他端側から一端側まで、折り返した復路のコイルを往路のコイルと交差させた波型として、∞の字が連続するようにしている。
このように本発明は、高周波誘導加熱コイルを∞の字が連続するように配置したことにより、加熱ムラを大幅に減少させている。
【0017】
また本発明の高周波誘導加熱コイルは、コイルの波型をサインカーブの波、円弧状の波、折り曲げ線状の波、あるいはこれらの波のいずれか2以上の波を組み合わせた配置としている。このことにより、加熱ムラを減少するとともに、高周波誘導加熱コイルを製造しやすくしている。
【0018】
また本発明の高周波誘導加熱ユニットでは、上記した高周波誘導加熱コイルに高周波電源装置を接続し、高周波電流を通電するように構成している。このことにより、上記した高周波誘導加熱コイルを用いた高周波電源装置で缶詰等の被誘導体を安定して加熱することができる。
【0019】
また本発明の高周波誘導加熱装置では、上記した高周波誘導加熱ユニットの高周波誘導加熱コイルに沿って加熱対象物を搬送する加熱対象物搬送手段を設け、加熱対象物が搬送されている間に加熱対象物を加熱するように構成している。このことにより、加熱対象物を移動させながら均一に加熱することを実現している。
【発明の効果】
【0020】
本発明の高周波誘導加熱コイル、高周波誘導加熱ユニット、高周波誘導加熱装置では、加熱ムラを大幅に減少させる効果がある。また、螺旋状コイルや渦巻き状コイルは、被誘導体に対し、巻き線数(ターン数)が多くなり部分的な磁束密度が高くなりがちであるが、本発明の高周波誘導加熱コイル、高周波誘導加熱ユニット、高周波誘導加熱装置では、従来のコイルに比べて短くてすみ、被誘導体への磁束密度が密になりにくく、誘導係数が低めとなって局所的な加熱も減少し、意図しない被誘導体端部への異常な誘導現象も起こりにくい。また、負荷の増減があっても、誘導される電流の大きさの変化は少なく、負荷変動に対する加熱状態の変化量も少ないという効果がある。
【0021】
特に、加熱対象物である被誘導体の被加熱面が長方形のとき、螺旋状コイルや渦巻き状コイルの直列接続では物理的に相対しなかった部位が減少し、大きな加熱ムラ改善効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一の実施の形態にかかる高周波誘導加熱装置を用いた缶詰加熱装置の概略側面図。
【図2】本発明の第一の実施の形態にかかる高周波誘導加熱装置の概略構成を示した図。
【図3】(a)本発明の第一の実施の形態にかかる往路のコイルと前記復路のコイルが一往復した一つの単位の高周波誘導加熱コイルを、二つ離して示した図(b)本発明の第一の実施の形態にかかる二つの単位の高周波誘導加熱コイルを直列接続した状態を示す図(c)本発明の第一の実施の形態にかかる直列接続した二つの単位の高周波誘導加熱コイルに高周波電源装置を接続して、一つの高周波誘導加熱ユニットとした状態を示す図。
【図4】本発明の第一の実施の形態にかかる高周波誘導加熱ユニットと加熱対象物の搬送経路の位置関係を示した斜視図。
【図5】本発明の第一の実施の形態にかかる高周波加熱装置を用いた缶詰加熱装置の部分断面図。
【図6】(a)本発明の第一の実施の形態にかかる高周波誘導加熱コイルの変形例の側面図(b)本発明の第一の実施の形態にかかる高周波誘導加熱コイルの変形例の側面図(c)本発明の第一の実施の形態にかかる高周波誘導加熱コイルの変形例の側面図。
【図7】本発明の第一の実施の形態にかかる高周波誘導加熱ユニットの斜視図。
【図8】本発明の第一の実施の形態にかかる他の高周波誘導加熱ユニットと加熱対象物の搬送経路の位置を示した斜視図。
【図9】本発明の第一の実施の形態にかかる他の高周波誘導加熱ユニットの斜視図。
【図10】本発明の第二の実施の形態にかかる高周波誘導加熱ユニットの斜視図。
【図11】(a)本発明の第二の実施の形態にかかる高周波誘導加熱コイルに流れる電流の方向を示した図(b)本発明の第二の実施の形態にかかる高周波誘導加熱コイルに流れる電流の方向を示した図。
【図12】本発明の第二の実施の形態にかかる他の高周波誘導加熱ユニットの構成を示した図。
【図13】従来の高周波加熱装置を用いた缶詰加熱装置の概略側面図。
【図14】従来の高周波加熱装置を用いた缶詰加熱装置の部分平面図。
【図15】従来の高周波加熱装置を用いた缶詰加熱装置の部分断面図。
【図16】従来の高周波誘導加熱コイルの側面図。
【図17】従来の一重巻きの高周波誘導加熱コイルを直列に接続したときの側面図。
【図18】従来の二重巻きの高周波誘導加熱コイルを直列に接続したときの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の高周波誘導加熱コイル及びこれを用いた高周波誘導加熱装置では、コイルを一端から波型に配置し、他端にて折り返し、側面視において∞の字が連続するようなコイル(以下、∞コイルという)にしている。そして、この∞コイルについて、往路のコイルと復路のコイルが一往復した分を一つの単位として、複数の単位のコイルを水平方向にあるいは垂直方向に並ぶように直列接続して配置している。
【0024】
このようにすると、一端から他端に延ばした第一層目の高周波誘導加熱コイルと折り返して他端から一端に延ばした第二層目の高周波誘導加熱コイルが交差する付近の電流の流れが交差して、磁界を強めあうようにすることができる。小さな電流の輪がチェーン状に連なっている姿を実現することができる。そのため、従来の図17、18のように高周波誘導加熱コイルが隣接する部分で電流が逆向きに流れ、磁界を打ち消しあうということがない。そして、磁力線の強さが極端に強められた領域は減り、また磁力線の強さが極端に弱められた領域も減ることとなる。全体として、磁力線の強さは平均化されて、幅広い領域において、均一な高周波誘導加熱が行われる。これにより螺旋や渦巻きコイルを直列接続したものと同等性能で尚且つコイル線長を短くすることができる。
【0025】
被誘導体の被加熱面が長方形である場合、その長辺の長さを、相対するコイルの波高とし、被加熱面の長辺の長さに対応できるまでコイルを波状に連続させる。波長は用途に応じて検討できるが標準的には波高の2倍程度となる。円弧状の波の形、つまり波型はサインカーブだけでなく、円と円が近接し連続した波型や、その円と円の間隔を広げクロスする直線で結んだ波型、あるいは三角波や矩形波になってもよく、その部分的な変形も可能である。また、被加熱面に直交する方向での変形(位置調整)や、コイル隣接(交差)部位の角度調整や直交方向の位置調整は、加熱ムラの改善あるいは意図的に加熱の強弱をつける為にも有効である。他端では波型が円弧状になるように折り返す。被加熱面が長楕円あるいは特殊な形状の場合には、部分的にコイルの形状や波高を変更することによって対応することもできる。
【0026】
(第一の実施の形態)
図1に本発明の高周波誘導加熱装置の第一の実施の形態としての缶詰加熱装置の概略側面図を示す。図1に示す基本的な構成は、図13で示した従来の缶詰加熱装置と同じであり、同じ部分については、同じ符号を付して説明を省略する。図2に、本発明の第一の実施の形態にかかる高周波誘導加熱装置の概略構成を示す。図2では、本発明の高周波誘導加熱装置の加熱対象物を搬送する加熱対象物搬送手段を矢印(X)で簡略化して示し、高周波誘導加熱ユニット9も簡略化して示している。
【0027】
本発明の高周波誘導加熱装置では、図2に示した高周波誘導加熱ユニット9のように高周波誘導加熱コイル90aと90bについて、それぞれ長手方向の一端から他端まで複数波長分だけ波打つように配置し、他端近くで折り返し、他端から一端まで同一波長のまま複数波長分だけ波打つように重ねて配置している。そして、往路のコイルと復路のコイルが一往復した分を一つの単位として、複数の単位のコイル、つまり高周波誘導加熱コイル90aと90bを水平方向にあるいは垂直方向に並ぶように直列接続して配置している。図2では、二つの単位のコイル90aと90bを紙面の同一平面内で並べた図を示しているが、二つの単位のコイルをそれぞれ紙面に垂直に立てて配置してもよい。二つの単位のコイル90aと90bをそれぞれ紙面に垂直に立てて、その間に矢印(X)方向に缶詰のような加熱対象物を搬送すると、加熱対象物の両側から高周波誘導加熱することができる。
【0028】
図2において、一つの単位のコイルのコイル長さを(K1)、他の単位のコイルのコイル長さを(K2)で示し、コイルのピッチ(波長)をそれぞれ(P1)、(P2)、(P3)、(P4)で示した。波高は(H1)、(H2)で示した。二つの単位のコイルの間隔を(Bh)で示した。これら、コイル長さ(K)、ピッチ(P)、波高(H)、コイル間隔(Bh)の各パラメーターは、加熱対象物の大きさと加熱する温度に応じて最適な値が選択される。波のピッチP1、P2、P3等はすべて同じピッチとしてもよいし、それぞれ異なるピッチとしてもよい。多様なピッチが混在した方が、いろいろな形の磁界ができて加熱対象物を均一に加熱できる場合があるからである。
【0029】
図2では、高周波誘導加熱コイル90aの端に高周波電源装置8を接続して高周波電流を通電して、一つの高周波誘導加熱手段として使えるようにしている。二つの単位の高周波誘導加熱コイル90a、90bを、間隔をあけて並行に配置して、その間に搬送手段を設けて缶詰52を回転させながら搬送すると、缶詰52に渦電流が流れて発熱する。
本発明の構成を図3(a)(b)(c)を用いて説明する。本発明では、図3(a)の高周波誘導加熱コイル90aまたは90bのように、一端側から他端側まで往路のコイルの全部を波型に配置し、往路のコイルを他端側にて折り返し、他端側から一端側まで、折り返した復路のコイルの全部を波型に、往路のコイルと交差させて配置する高周波誘導加熱コイルについて、往路のコイルと復路のコイルが一往復した分を一つの単位としている。
【0030】
ここで図3(a)のように、一つの単位である高周波誘導加熱コイル90aと90bを切り離したまま、それぞれに高周波電源装置8接続して高周波電源を与えたのでは、高周波誘導加熱コイル90aと90bの発振するタイミングを統一的に制御できない。高周波誘導加熱コイル90aと90bに流れる電流の向きが同方向になったり、逆向きになったり、わずかにずれたりして、誘導される磁界が強くなったり、弱くなったりして均一な加熱ができない。
【0031】
そこで図3(b)のように、本発明の高周波誘導加熱コイルとして、複数の単位のコイルである高周波誘導加熱コイル90aと90bを水平方向にあるいは垂直方向に並ぶように直列接続して配置した。
そして図3(c)のように、本発明の高周波誘導加熱ユニットとして、上記本発明の高周波誘導加熱コイルに高周波電源装置8を接続して高周波電流を通電するように構成した。このことにより、一つの高周波電源装置8から高周波電源を供給することにより高周波誘導加熱コイル90aと90bの発振するタイミングを統一的に制御している。
【0032】
本発明では、図3(c)のように構成した高周波誘導加熱ユニットの高周波誘導加熱コイル90aと90bの間に、矢印(X)のように加熱対象物を搬送する搬送手段を設け、加熱対象物を搬送している間に加熱対象物を加熱する高周波誘導加熱装置を構成している。
本発明では、一つの高周波電源装置8で図2のように配置した高周波誘導加熱コイル90a、90bに通電することができるので、図13に示した従来例のように、多数の高周波電源装置58を設けなくてすむ利点がある。
【0033】
図4に、本発明の第一の実施の形態にかかる高周波誘導加熱ユニットと加熱対象物の搬送経路の位置関係を斜視図として示した。
高周波誘導加熱コイル90a、90bがそれぞれ側面視において往路と復路とで交差する位置では、高周波誘導加熱コイルの往路のコイルと復路のコイルの間を奥行き方向において離して配置している。高周波誘導加熱コイルの往路のコイルと復路のコイルの間を離すには、空間を設けてもよいし、絶縁体のスペーサをはさんでもよい。図4では、高周波誘導加熱コイルの往路のコイルと復路のコイルの間に空間を設けて離した例を示した。
【0034】
高周波誘導加熱コイル90a、90bのそれぞれが交差して重なる部分では、電流の向きが上下方向において同じ向きに交差する。そのため、電流の向きが同じ向きに交差するため磁界は強めあい、被誘導体に生じる渦電流は増える。その結果、高周波誘導加熱コイル90a、90bのそれぞれが所定の角度で交差して重なる部分で被誘導体は効率よく十分に加熱される。また、複数の単位のコイルを一つの高周波電源8に直列接続してつないでいるため、各単位のコイルに流れる電流の向きは一つの高周波電源8に従って変化する。図13の従来例のように、各高周波誘導加熱コイル57毎にそれぞれの高周波電源58を接続した場合は、高周波電源の発振周期を均一に制御できないのであるが、本発明によれば、複数の単位のコイルが直列に連なっているため、各単位のコイルに流れる電流の向きを統一的に制御することができる。
【0035】
電流の向きが逆向きでないというのは、図17や図18で示した従来の高周波誘導加熱コイルの巻き方と大きく異なる点である。図17で示した、従来のコイルの巻き方では、コイルの隣接した位置では、電流の向きが上下正反対に向き合い磁界を打ち消しあっていた。そのため、被誘導体に生じる渦電流は極端に弱くなり十分に加熱されないという課題があった。本発明は、高周波誘導加熱コイル90a、90bのそれぞれにおける交差して重なる部分で被誘導体が、効率よく十分に加熱されるという特有の効果がある。
【0036】
図4では、本発明の第一の実施の形態にかかる高周波誘導加熱ユニットのコイルケースを省略して、高周波誘導加熱コイル90a、90bと高周波電源装置8だけを斜視図で示した。
図4では、複数の高周波誘導加熱コイル90a、90bを、間隔をあけた一対の平行な平面上に位置させている。そして、複数の高周波誘導加熱コイル90a、90bの間に、矢印(X)のように加熱対象物の搬送経路を設けている。高周波誘導加熱コイル90aの手前から一層目のコイル(L1)と二層目のコイル(L2)にそれぞれ流れる電流の向きは反対であり、間隔をあけた高周波誘導加熱コイル90bの三層目のコイル(L3)、四層目のコイル(L4)にそれぞれ流れる電流の向きも反対になる。矢印(X)のように加熱対象物が搬送されると、加熱対象物中の異なった向きに誘導電流が流れて、均一に加熱される。
【0037】
図5に、本発明の第一の実施の形態にかかる高周波加熱装置を用いた缶詰加熱装置の部分断面図を示す。実際には、円筒容器の加熱を目的として、750mm×95mmの有効面積を持つコイルユニットを作成して実験した。φ4mmの銅管を用いて、波高90mm、波長を220mm程度とした。円筒容器は回転しながらコイルユニットに沿って移動し、加熱する仕様であるが、全く同じ目的で作成した、従来例の有効直径90mmと70mmの2重円コイルを7つ直列に並べて使用したユニットと比較して、特にコイル上方と下方での加熱幅の拡大があり、加熱ムラの改善が確認された。
【0038】
本発明の図4のコイルの巻き方と従来例の図17の巻き方を対比してみるとわかるように、図4のコイル一往復分と図17の相当するコイルの部分を対比すると、本発明の高周波誘導加熱コイルの長さが短いことが理解されよう。高周波誘導加熱コイルの全長が短いと、高周波誘導加熱コイルの無駄が無く、被誘導体の負荷変動があっても、誘導される電流の大きさの変化が少なく、負荷変動に対する加熱状態の変化量が少なくなっている。
【0039】
また、図示していないが、高周波誘導加熱コイルは中空のチューブを用いて中の空洞に水を流して高周波誘導加熱コイルを水冷することが多いが、本発明の図4と従来例の図17とを対比してみると分かるように、高周波誘導加熱コイルの空洞がループになっているのではなく、波状にうねっている部分がほとんどであるため、水が流れやすく、冷却しやすいという利点もある。
【0040】
ちなみに上記では、高周波誘導加熱コイルとしてφ4mmの銅管、つまり中空のコイルを例示したが、必要により高周波誘導加熱コイルとして中実のコイルである銅線、絶縁体で被覆した中空のコイル、あるいは絶縁体で被覆した中実のコイルを用いても良い。
また、上記では、一端側から他端側まで往路のコイルの全部を波型に配置し、他端側から一端側まで復路のコイルの全部を波型に配置した例を示したが、往路のコイルの一部を波型に配置し、他端側から一端側まで復路のコイルの一部を波型に配置してもよい。コイルの全部でなく一部について波型に配置した変形例を図6(a)に示した。図6(a)の高周波誘導加熱コイル91aでは、波型の部分と直線の部分が混在した形でつながっている。このように一部を波型でない形にすることにより、その領域の発熱量を波型の領域の発熱量と違った任意の値に設定することができる。
【0041】
また、図6(b)では、ほぼ直線状の高周波誘導加熱コイル92aを折り曲げて配置した例を示した。一端から他端まで、ほぼ直線状のコイルを折り曲げて波型に配置し、他端にて円弧状に折り返し、折り返した復路のコイルを往路のコイルと所定の角度で交差させ、∞の字が連続するようにしている。
【0042】
図6(c)では、折り返した復路のコイルと往路のコイルが重なる各交点のコイル間に絶縁体のスペーサを挟み、∞の字が連続するようにした高周波誘導加熱コイルを形成している。19は絶縁体のスペーサである。折り返した高周波加熱コイル93aが重なる各交点のコイル間に絶縁体のスペーサ19を挟むことにより、コイル93aが重なる各交点で磁界が極端に強めあったり、弱めあったりしないように相互の影響を抑制して、磁界のピークを抑え、対象物の発熱温度が平均化するようにしている。
【0043】
また、上記では、コイルが一つの平面上にある場合を説明したが、必要により、コイルが任意の曲率で曲がった曲面上にあってもよいし、平面と曲面が混在した凹凸のある表面上にあってもよい。
図4では、手前の高周波誘導コイルと奥の高周波誘導コイルを一つの高周波電源8に直列につないでいる。このことにより、高周波誘導加熱コイル90aの一層目(L1)、二層目(L2)、高周波誘導加熱コイル90bの三層目(L3)、四層目(L4)の高周波誘導コイルに流れる電流の向きをそれぞれ逆向きにすることができる。そして、手前の高周波誘導コイル90aと奥の高周波誘導コイル90bの間を矢印(X)で示した搬送方向に加熱対象物を搬送することにより、加熱対象物を均一加熱することができる。
【0044】
図7では、加熱対象物の搬送方向の矢印(X)を書いていないが、この姿を一つの高周波誘導加熱ユニットとして使用してもよい。先に図2の説明で述べたように、コイル長さ(K)、波型のピッチ(P)や高周波誘導コイルの間隔(Bh)、波高(H)を必要に応じて任意に設定して、全体を一つの高周波誘導加熱ユニットとして使用してもよい。手前の高周波誘導コイルのピッチと奥の高周波誘導コイルのピッチを異ならせてもよいし、隣り合う高周波誘導コイルのピッチを大きくしたり、小さくしたりしてもよい。
【0045】
また、高周波誘導コイルの間隔(Bh)を極端に近づけた形の高周波誘導加熱ユニットとして、高周波誘導コイルの外側に加熱対象物の搬送経路を設けてもよい。高周波誘導コイルの間隔(Bh)をもっと広くした高周波誘導加熱ユニットとして、複数列の加熱対象物の搬送経路を設けてもよい。高周波誘導コイルのピッチ(P)や間隔(Bh)、波高(H)は、必要に応じて最適値を選定することができる。
【0046】
高周波誘導コイルの巻き方を変えて、各高周波誘導コイルが重ならないように高周波誘導コイルの間(Bh)を近づけると、隣接する高周波誘導コイルに流れる電流の向きが入り乱れるようにすることができる。高周波誘導コイルに流れる電流の向きが入り乱れると、コイルの周囲に発生する磁力線がコイルに流れる電流の向きが同じ方向に流れる空間領域では、磁束が強めあい、異なる方向に流れる空間領域では、磁束が弱めあう。そしてコイルの周囲に発生する磁力線の分布が、細かい領域で入り乱れることになる。このことにより、磁力線の強さが極端に強められた領域は減り、また磁力線の強さが極端に弱められた領域も減ることとなる。そして、全体として、磁力線の強さは平均化されて、幅広い領域において、均一な高周波誘導加熱が行われる。
【0047】
図8には、図4で示した高周波誘導加熱ユニットの変形例として、一層目(L1)及び二層目(L2)からなる一往復分の高周波誘導コイル90aと、三層目(L3)及び四層目(L4)からなる一往復分の高周波誘導コイル90bの間に、高周波電源装置8を直列接続して配置した場合を示す。図9では、加熱対象物の搬送方向の矢印(X)を書いていないが、波型のピッチ(P)や高周波誘導コイルの間隔(Bh)、波高(H)を必要に応じて任意に設定して、全体を一つの高周波誘導加熱ユニットとして使用することもできるのは、図4のときと同じである。
【0048】
なお、上記第一の実施の形態では、缶詰加熱装置に用いる高周波加熱コイルを例として説明した。そのため、平面状に高周波加熱コイルを配置した例を示しているが、加熱対象物の形状に応じて、凹面あるいは凸面に沿って高周波加熱コイルを配置してもよい。波高(H)についても、必要により、高い場合、低い場合を混在させてもよいし、加熱対象物の搬送方向について漸増、漸減するようにしてもよい。先に述べたとおり、波高(H)の値について必要により最適値を選定することができる。
【0049】
また、一端から他端までコイルを波型に配置に際して、波のピッチ(波長)を途中で変えて、疎密のある波型に配置してもよい。高周波加熱コイルの波長が短く高周波加熱コイルが密の部分では発熱量を大きくでき、高周波加熱コイルの波長が長く高周波加熱コイルが疎の部分では発熱量を小さくすることができる。
【0050】
また、上記第一の実施の形態では、往路のコイルの波型と復路のコイルの波型を同じ形とした例を示したが、発熱するときの必要に応じて、異なる波型の組合せとしてもよいし、コイルの波高やコイル波長を変えた異なる波型の組合せとしてもよい。
【0051】
(第二の実施の形態)
図10に、本発明の第二の実施の形態にかかる高周波誘導加熱ユニットの斜視図を示す。図10では、一往復分を1つとして3つの高周波誘導加熱コイル(つまり、三つの単位のコイル)94a、94b、94cを同一垂直面上で上下方向に、コイル間隔としてBv1、Bv2という値を決めて隣接した位置に配置している。そして、上下に位置させた3つの高周波誘導加熱コイルをひとつの壁と見たて、壁の前を加熱対象物の搬送経路としている。
【0052】
図10では、3つの高周波誘導加熱コイル94a、94b、94cを直列接続して高周波電源8に接続することにより、隣接する高周波誘導加熱コイルの電流が同一方向に流れるようにしている。上下に隣接した高周波誘導加熱コイルの電流が逆方向に流れると、磁界を打ち消しあって弱めてしまうからである。
【0053】
図10では、下の高周波誘導加熱コイル94a(L1、L2)と真ん中の高周波誘導加熱コイル94b(L3、L4)と上の高周波誘導加熱コイル94c(L5、L6)を直列接続したものを一つの高周波電源8につないでいる。そのため、上下に近接した高周波誘導加熱コイルの電流が同一方向に流れる。上下に近接した高周波誘導加熱コイルの電流が同一方向に流れると磁界は強めあう。図11(a)(b)は図10の場合の電流の流れを図示したものである。図11(a)(b)に示すように、高周波誘導加熱コイルが交差している部分および近接している部分では、電流の向きが上下方向あるいは左右方向において同じ向きになっている。電流の向きが同じ向きのため磁界は強めあい、被誘導体に生じる渦電流は増える。その結果、高周波誘導加熱コイルが所定の角度で交差して重なる部分および近接している部分では被誘導体は効率よく十分に加熱される。
【0054】
第二の実施の形態の各高周波誘導コイルの巻き方は同じであるが、近接した高周波誘導加熱コイルの電流が同一方向に流れて磁界を強めあいながら、各高周波誘導コイルに流れる電流の向きが上下左右に入り乱れていることがわかる。このように第二の実施の形態では、一つの平面上に同時に多数のループ状の電流の流れを起こすことができるので、高周波誘導コイルに対向する加熱対象物の表面に同時に多数の渦電流が生じる。
【0055】
図10のように同一垂直面上で上下に位置させた高周波誘導加熱コイルの前で、加熱対象物を搬送すれば加熱対象物を均一加熱することができる。
なお、図10で示したコイル長さ(K)、ピッチ(P)、コイル間隔(Bv)、波高(H)の各パラメーターは、加熱対象物の大きさと加熱する温度に応じて最適な値が選択されるのは、第一の実施の形態と同じである。そして、例えば図12に示すように、一つの単位のコイル90bにおいて一つのピッチ(P7)を他(P1、P2、P3等)と変えてもよい。一つのピッチを変えたことにより、その部分だけでなく、その部分に連なる高周波誘導加熱コイルにより被誘導体に生じる渦電流の状況が変わるからである。
【0056】
以上説明したとおり、本発明では、複数の高周波誘導加熱コイルを同一垂直面上で上下に配置しても、近接した高周波誘導加熱コイルの電流が同一方向に流れるようにして高周波誘導加熱コイルの電流が磁界を打ち消しあわないようにしている。特に、一つの高周波電源装置で上下方向あるいは水平方向に配置した高周波誘導加熱コイルに高周波電流を供給したときには、特に特別な制御をしなくても、近接した高周波誘導加熱コイルの電流が同一方向に流れるようにすることができるという効果がある。
【0057】
なお上記では、往路のコイルと復路のコイルが一往復した分を一つの単位として、複数の単位のコイルを水平方向にあるいは垂直方向に並ぶように直列接続して配置した例を説明したが、複数の単位のコイルを水平方向と垂直方向の両方向に並ぶように直列接続して配置してもよい。また、複数の単位のコイルを放射線状に並ぶように直列接続して配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、被誘導体シートが含まれる容器の加熱や、熱板溶着に使用される熱板や金型の誘導加熱、接合する目的のシート状の被誘導体加熱などに適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
8 高周波電源装置
9 高周波誘導加熱ユニット
90a、90b、91a、92a、93a、94a、94b、94c 高周波誘導加熱コイル
57a 誘導加熱コイル本体
9b、57b ケース
9c、57c 蓋板
19 絶縁体(スペーサ)
51 スクリュー(缶詰供給手段)
52 缶詰
53 支持プレート
54 搬送ベルト(搬送手段)
54a (搬送ベルトの)突起部
56 回転力付与ベルト(回転力付与手段)
57 誘導加熱コイル
58 電気回路(電気系統)
59 サイドガイド
571 フェライトコア
572 導電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側から他端側まで往路のコイルの一部または全部を波型に配置し、前記往路のコイルを前記他端側にて折り返し、前記他端側から前記一端側まで、折り返した復路のコイルの一部または全部を波型に、前記往路のコイルと交差させて配置する高周波誘導加熱コイルについて、
前記往路のコイルと前記復路のコイルが一往復した分を一つの単位として、複数の単位のコイルを水平方向にあるいは垂直方向に並ぶように直列接続して配置したことを特徴とする高周波誘導加熱コイル。
【請求項2】
前記復路のコイルと前記往路のコイルが重なる各交点のコイル間を離して空間を設けて配置した請求項1の高周波誘導加熱コイル。
【請求項3】
前記復路のコイルと前記往路のコイルが重なる各交点のコイル間に絶縁体のスペーサを挟んで配置した請求項1または請求項2に記載した高周波誘導加熱コイル。
【請求項4】
一端側から他端側まで往路のコイルを波型に配置し、
前記往路のコイルを前記他端側にて折り返し、
前記他端側から前記一端側まで、折り返した復路のコイルを前記往路のコイルと交差させた波型として、∞の字が連続するようにした請求項1から請求項3のいずれかに記載した高周波誘導加熱コイル。
【請求項5】
前記コイルの波型をサインカーブの波とした請求項1から請求項4のいずれかに記載した高周波誘導加熱コイル。
【請求項6】
前記コイルの波型を円弧状の波とした請求項1から請求項4のいずれかに記載した高周波誘導加熱コイル。
【請求項7】
前記コイルの波型を折り曲げ線状の波とした請求項1から請求項4のいずれかに記載した高周波誘導加熱コイル。
【請求項8】
前記コイルの波型をサインカーブの波、円弧状の波、あるいは折り曲げ線状の波のいずれか2以上の波を組み合わせた波とした請求項1から請求項4のいずれかに記載した高周波誘導加熱コイル。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載した高周波誘導加熱コイルに高周波電源装置を接続し、高周波電流を通電するように構成した高周波誘導加熱ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載した高周波誘導加熱ユニットの高周波誘導加熱コイルに沿って加熱対象物を搬送する加熱対象物搬送手段を設け、加熱対象物が搬送されている間に加熱対象物を加熱するように構成した高周波誘導加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−8518(P2013−8518A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139534(P2011−139534)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000195649)精電舎電子工業株式会社 (27)
【Fターム(参考)】