説明

高周波調理器

【課題】高周波調理器において、加熱室内の食品がマイクロ波により加熱調理される際に出る蒸気や調味料が飛散した時に加熱室壁面に付着し、マイクロ波透過性カバーのおもて面や裏面に流れて付着し、マイクロ波により加熱され、マイクロ波透過性カバーが溶融・変形してしまう。
【解決手段】加熱室1と、マグネトロン2と、加熱室1の反対面の壁面には、導波管3と、加熱室1の壁面に給電口4と、給電口4からの蒸気や汚れの侵入を防止するため、塞ぐようにマイクロ波透過性カバー5と、マイクロ波透過性カバー5の上辺端面を覆うように防汚カバー6とを備え、蒸気や調味料が飛散した時に加熱室壁面に付着し、流れ落ちても、傘状の部材により、マイクロ波透過性カバーのおもて面や裏面に付着することを防止し、マイクロ波透過性カバーが溶融・変形しないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を導波管で導き、給電口から加熱室内に供給する電子レンジ等の高周波調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高周波調理器は、マイクロ波発生手段であるマグネトロンから発生され導波管で導かれたマイクロ波を加熱室内に供給するための給電口と、この給電口を塞ぐマイクロ波透過性カバーで構成されている。
【0003】
図4は従来の高周波調理器の要部断面図であり、図4に示すようにマグネトロン2と導波管3とマイクロ波透過性カバー5とで構成されている。
【0004】
また、給電口4と給電口周縁部分に形成された給電口周縁座押し部7とから構成されているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−209493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の構成では、マグネトロンから発生したマイクロ波は導波管により導かれ給電口より加熱室に照射され、過熱室内の食品を加熱調理する。この時、給電口の端面はマイクロ波による壁面電流が流れ発熱する。この、発熱によりマイクロ波透過性カバーが溶融・変形してしまう。
【0007】
しかし、従来の構成のなかには、給電口周縁部分に形成された給電口周縁座押し部により、給電口周縁部分がマイクロ波透過性カバーと接触せず、溶融・変形しにくくした物もある。
【0008】
しかしながら、このような従来の構成であっても、加熱室内の食品がマイクロ波により加熱調理される際に出る蒸気や調味料が、飛散した時に加熱室壁面に付着し、マイクロ波透過性カバーのおもて面や裏面に流れて付着し、マイクロ波により加熱され、マイクロ波透過性カバーが溶融・変形してしまうといった課題を有していた。
【0009】
本発明は、食品からの蒸気や調味料からの汚れを防止し、マイクロ波透過性カバーが溶融・変形しない高周波調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の高周波調理器は、給電口を塞ぐマイクロ波透過性カバーと、このマイクロ波透過性カバーの上辺端面を覆うように、前記給電口より上の面に構成された傘状の部材を設けたものである。
【0011】
これにより、加熱室内の食品がマイクロ波により加熱調理される際に出る蒸気や調味料が飛散した時に加熱室壁面に付着し、流れ落ちても傘状の部材により、マイクロ波透過性カバーのおもて面や裏面に付着することを防止することができる。
【0012】
また、傘状の部材は両端部には加熱室壁面との隙間を小さくするような段差をつけたカバー押さえ部が、マイクロ波透過性カバーの固定を兼ねるように構成されたことにより汚れの付着を防止しつつ、マイクロ波透過性カバーと加熱室壁面との密着性を確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高周波調理器によれば、マイクロ波透過性カバーの上辺端面を覆うように、前記給電口より上の面に構成された傘状の部材を設けたことにより、食品からの蒸気や調味料からの汚れがマイクロ波透過性カバーへの付着を防止し、マイクロ波透過性カバーが溶融・変形しないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における高周波調理器の要部断面図
【図2】本発明の実施の形態1における高周波調理器の斜視図
【図3】本発明の実施の形態2における高周波調理器の要部斜視図
【図4】従来の高周波調理器の要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、加熱室と、高周波発生手段と、前記加熱室の反対面に形成され、前記高周波発生手段が発生したマイクロ波を導く導波管と、前記加熱室壁に形成され、前記導波管で導かれたマイクロ波を前記加熱室内に供給せしめる給電口と、この給電口を塞ぐマイクロ波透過性カバーと、このマイクロ波透過性カバーの上辺端面を覆うように、前記給電口より上の面に構成された傘状の部材を設けたものである。
【0016】
これにより、加熱室内の食品がマイクロ波により加熱調理される際に出る蒸気や調味料が飛散した時に加熱室壁面に付着し、流れ落ちても、傘状の部材により、マイクロ波透過性カバーのおもて面や裏面に付着することを防止し、マイクロ波透過性カバーが溶融・変形しない。
【0017】
第2の発明は、特に、第1の発明の傘状の部材は両端部には加熱室壁面との隙間を小さくするような段差をつけたカバー押さえ部が、マイクロ波透過性カバーの固定を兼ねるように構成されたものであある。
【0018】
これによって、汚れの付着を防止しつつ、マイクロ波透過性カバーと加熱室壁面との密着性を確保することが可能となる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における高周波調理器の要部断面図、図2は、本発明の第1の実施の形態における高周波調理器の斜視図を示すものである。
【0021】
図1において、本発明の第1の実施の形態における高周波調理器は、被加熱物を加熱するための加熱室1と、高周波波発生手段であるマグネトロン2と、加熱室1の反対面の壁面には、導波管3と、加熱室1の壁面に給電口4と、給電口4からの蒸気や汚れの侵入を防止するため、塞ぐようにマイクロ波透過性カバー5と、マイクロ波透過性カバー5の上辺端面を覆うように防汚カバー6が設けられて構成している。
【0022】
以上のように構成された高周波調理器について以下その動作、作用について説明する。
まず、マグネトロン2から発生したマイクロ波は導波管3により導かれ給電口4より加熱室1に照射され、過熱室内の食品を加熱調理する。
【0023】
この時、給電口4の端面はマイクロ波による壁面電流が流れ発熱する。さらに、マグネトロン2に近い給電口4の周縁部分はより大きな壁面電流が流れ、さらに発熱が大きくなる。通常、加熱室内の食品がマイクロ波により加熱調理されると、蒸気が出たり、調味料が飛散したりする。
【0024】
この時に、加熱室1の壁面に付着した蒸気や調味料は、加熱室1の壁面を伝い、マイクロ波透過性カバーのおもて面に付着する。
【0025】
また、マイクロ波透過性カバーと加熱室壁面には隙間があり、そこからマイクロ波透過性カバーの裏面にも流れて付着する場合がある。これが、前記給電口4の端面周縁部分に付着すると、その部分にマイクロ波が集中的に加熱され、さらに発熱が大きくなり、マイクロ波透過性カバーが溶融・変形したりするが、マイクロ波透過性カバー5の上辺端面を覆うように傘状の部材である防汚カバー6が設けられているため、マイクロ波透過性カバーのおもて面や裏面に付着することを防止し、マイクロ波透過性カバーの溶融・変形をなくすことができる。
【0026】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態における高周波調理器の要部斜視図である。なお、実施の形態1と同一または同等部分については、説明を省略あるいは簡略化する。
【0027】
図3において、傘状の防汚カバー6はマイクロ波透過性カバー5の上辺端面を覆うように設けられ、防汚カバー6の両端部には加熱室壁面との隙間を小さくするような段差をつけたカバー押さえ部8がある。この隙間に、マイクロ波透過性カバーを差し込むように固定されており、このカバー押さえ部8により、マイクロ波透過性カバー5は加熱室1の壁面に密着するように押しつけられるかたちとなり、マイクロ波透過性カバー5と加熱室壁面との密着性が向上し、さらに蒸気や調味料がマイクロ波透過性カバー5の裏面に侵入しにくくなる。
【0028】
また、カバー押さえ部8は防汚カバー6の両端に設けられているため、この場所はマイクロ波による発熱の少ないところであり、この部分の傘部のオーバーラップ代が少なくなっても、マイクロ波透過性カバー5が溶融/変形することがない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明にかかる高周波調理器は、長期間使用して庫内が汚れてもマイクロ波透過性カバーが溶融・変形するといった不具合を防止することができるので、高周波調理器の用途に有効である。
【符号の説明】
【0030】
1 加熱室
2 マグネトロン
3 導波管
4 給電口
5 マイクロ波透過性カバー
6 防汚カバー
7 給電口周縁座押し部
8 カバー押さえ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱室と、高周波発生手段と、前記加熱室の反対面に形成され、前記高周波発生手段が発生したマイクロ波を導く導波管と、前記加熱室壁に形成され、前記導波管で導かれたマイクロ波を前記加熱室内に供給せしめる給電口と、この給電口を塞ぐマイクロ波透過性カバーと、このマイクロ波透過性カバーの上辺端面を覆うように、前記給電口より上の面に構成された傘状の部材を設けた高周波調理器。
【請求項2】
前記傘状の部材は両端部には加熱室壁面との隙間を小さくするような段差をつけたカバー押さえ部が、マイクロ波透過性カバーの固定を兼ねるように構成された請求項1に記載の高周波調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−24535(P2013−24535A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162738(P2011−162738)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】