説明

高圧インバータの制御装置

【課題】高圧インバータの制御装置が開示される。
【解決手段】本発明の装置(1)は、停電を検出した場合、停電を検出した時点の高圧インバータ(2)の出力周波数を固定し、高圧インバータが発生する交流電力の電圧レベルを予め設定された減速勾配によって減少させて出力するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧インバータを制御するためのものである。
【背景技術】
【0002】
産業界で商用交流電力を直接高圧電動機に印加して用いる場合、周波数が60Hzに固定され、エネルギがほとんど節減されない。最近は、エネルギの節減が大きな問題になり、高圧インバータの使用が増大している。
【0003】
高圧インバータは、3.3kV、6.6kVまたは10kVなどの高圧を用いて電動機を駆動するものであって、主に、慣性の大きい産業用負荷を駆動するのに用いられる。例えば、高圧インバータは、産業界において重要なファン(Fan)及びポンプ(Pump)などのような負荷を駆動するのに広く用いられている。
【0004】
一例として、負荷がファンを回転させる電動機である場合、高圧インバータが電動機の回転速度を制御して風量を調節することで、最適のエネルギ節減をなすことができる。
【0005】
このような高圧インバータがファン及びポンプなどのように慣性の大きい負荷を駆動するにあたって、気象の変化及び電力供給などの問題によって瞬時停電が発生した場合、高圧インバータにトリップ(trip)が発生することがある。
【0006】
平均的に1年に約5回の瞬時停電が発生していると測定されている。インバータに瞬時停電に対する備えがない場合、主な負荷の設備に致命的な故障を誘発し得、これは、製品に対する不良及び人命被害をもたらす重要な問題を発生させることになる。
【0007】
したがって、瞬時停電が発生した場合、高圧インバータにトリップが発生することなく、電動機を安定して駆動する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、高圧インバータが電動機を駆動する状態で瞬時停電が発生した場合、高圧インバータの出力電圧を調節して、トリップが発生することなく、電動機を安定して駆動することができる高圧インバータの制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような技術的課題を解決するために、直列接続された複数の単相インバータを含み、高圧の電圧を出力して電動機を駆動する高圧インバータを制御する本発明の装置は、停電発生の有無及び復電の可否を検出する停電検出部と、前記停電検出部が停電を検出した場合、停電を検出した時点の高圧インバータの出力周波数を固定し、前記高圧インバータが発生する交流電力の電圧レベルを予め設定された減速勾配によって減少させて出力するように制御する制御部と、を含む。
【0010】
本発明の一実施例において、前記制御部は、停電が発生した場合、前記高圧インバータの出力電圧を減少させる前記減速勾配を予め設定することができる。
【0011】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記停電検出部が所定時間が経過する前に復電を検出した場合、停電発生以前の前記高圧インバータの状態によって前記高圧インバータを制御することができる。
【0012】
本発明の一実施例において、前記制御部は、所定時間以内の復電時に前記高圧インバータの出力電圧を増加させる加速勾配を予め設定することができる。
【0013】
本発明の一実施例において、前記高圧インバータは、停電発生前に定速運転、加速運転及び減速運転のいずれか一つのモードで前記電動機を駆動することができる。
【0014】
本発明の一実施例において、前記高圧インバータが停電発生前に定速運転する場合、前記制御部は、所定時間が経過する前に復電を検出した場合、加速勾配によって前記高圧インバータの出力電圧を上昇させるようにすることができる。
【0015】
本発明の一実施例において、前記高圧インバータが停電発生前に加速運転する場合、前記制御部は、所定時間が経過する前に復電を検出した場合、加速勾配によって前記高圧インバータの出力電圧を上昇させるようにし、前記高圧インバータの出力電圧が停電が発生した以前の出力電圧に回復した場合、前記高圧インバータの出力周波数及び出力電圧を目標周波数及び目標電圧まで増加させることができる。
【0016】
本発明の一実施例において、前記高圧インバータが停電発生前に減速運転する場合、前記制御部は、所定時間が経過する前に復電を検出した場合、前記減速勾配によって前記高圧インバータの出力電圧を上昇させるようにし、前記高圧インバータの出力電圧が停電が発生した以前の出力電圧に回復した場合、前記高圧インバータの出力周波数及び出力電圧を目標周波数及び目標電圧まで減少させることができる。
【発明の効果】
【0017】
このような本発明は、高圧インバータが電動機を駆動する状態で瞬時停電が発生した場合、高圧インバータが出力する周波数を固定し、出力電圧を減少させて出力するように制御する。よって、瞬時停電の運転設定時間以内に停電が復旧した場合、高圧インバータにトリップが発生せず、再び電動機を正常に運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一般的なインバータの構成図である。
【図2】本発明による高圧インバータ制御装置の一実施例の構成図である。
【図3】本発明による高圧インバータ制御方法を説明するための一実施例のフローチャートである。
【図4】図3のS38の定速運転による瞬時停電時の制御方法を説明するための一実施例の詳細フローチャートである。
【図5】図4の制御時の商用電力、周波数及び出力電圧の関係を説明するための一例示図である。
【図6】図3のS39の加速運転による瞬時停電時の制御方法を説明するための一実施例の詳細フローチャートである。
【図7】図6の制御時の商用電力、周波数及び出力電圧の関係を説明するための一例示図である。
【図8】図3のS40の減速運転による瞬時停電時の制御方法を説明するための一実施例の詳細フローチャートである。
【図9】図8の制御時の商用電力、周波数及び出力電圧の関係を説明するための一例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、様々な変更を加えられることができ、様々な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明において詳細に説明する。
【0020】
しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解しなければならない。
【0021】
第1、第2などように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用されるが、構成要素は、この用語によって限定されない。
【0022】
この用語は、一つの構成要素を、他の構成要素から区別する目的のみで使用される。例えば、本発明の権利範囲から外れずに、第2構成要素は、第1構成要素と命名することができ、同様に、第1構成要素も、第2構成要素と命名することができる。
【0023】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、または「接続されて」いると言及するときは、他の構成要素に直接連結されているか、または接続されている場合もあるが、その間に他の構成要素が存在することもあると理解しなければならない。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、または「直接接続されて」いると言及したときには、その間に他の構成要素が存在しないものと理解すべきである。
【0024】
本出願において使用する用語は、単に特定の実施例を説明するために使用したものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を表さない限り、複数の表現を含む。
【0025】
本出願で、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除していないものと理解しなければならない。
【0026】
また、本出願において添付された図面は、説明の便宜のために拡大または縮小して示したものと理解しなければならない。
【0027】
以下に、添付した図面を参照しながら、従来のインバータ制御について説明した後、本発明による好ましい一実施例について詳しく説明する。
【0028】
図1は、一般的なインバータの構成図である。インバータ100は、入力される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力をスイッチング制御信号によってスイッチングして交流電力に変換した後、電動機110に出力して、電動機110を駆動する。
【0029】
ここで、電動機110は、例えば、産業界全般で用いられているファンまたはポンプなどの負荷を駆動するのに用いられる。
【0030】
インバータ100は、整流部102、平滑部104及びスイッチング部106を含む。整流部102は、外部から入力される交流電力を整流して、脈流電力に変換する。平滑部104は、整流部102が整流した脈流電力を平滑して、直流電力に変換する。スイッチング部106は、平滑部104が平滑した直流電力をスイッチング制御信号によってスイッチングして、交流電力に変換し、変換した交流電力を電動機110に出力して電動機110が駆動するようにする。
【0031】
電圧検出部120は、平滑部104がスイッチング部106に出力する直流電圧のレベルを検出し、回生電圧検出部130は、電圧検出部120の出力電圧を用いて、瞬時停電が発生した場合、電動機110で逆起電力が発生し、発生した逆起電力がスイッチング部106を通じて平滑部104のコンデンサに充電される回生電圧のレベルを検出する。
【0032】
制御部140は、電圧検出部120の検出電圧と回生電圧検出部130が検出する回生電圧によってスイッチング制御信号を発生し、発生したスイッチング制御信号をインバータ100のスイッチング部106に出力する。
【0033】
このような構成を有するインバータは、外部から入力される商用交流電力をインバータ100の整流部102が脈流電力に整流し、整流した脈流電力を平滑部104が平滑して直流電力に変換し、変換した直流電力がスイッチング部106に供給される。
【0034】
このような状態で、制御部140は、電動機110の駆動による各種センサ信号及び状態信号によってスイッチング制御信号を発生する。
【0035】
制御部140が発生したスイッチング制御信号によって、スイッチング部106が平滑部104で出力される直流電力をスイッチングして交流電力を生成し、生成した交流電力が電動機110に印加され、電動機110が駆動される。
【0036】
このように動作するにあたって、電圧検出部120は、平滑部104がスイッチング部106に出力する直流電圧のレベルを検出し、検出した直流電圧のレベルを制御部140に出力する。
【0037】
そして、回生電圧検出部130は電圧検出部120の検出電圧を用いて、瞬時停電が発生する場合に発生する回生電圧を検出し、検出した回生電圧を制御部140に出力する。
【0038】
このような状態で、制御部140は、電圧検出部120及び回生電圧検出部130の出力電圧を用いて瞬時停電が発生したか否かを判断する。
【0039】
このような判断の結果、瞬時停電が発生した場合、制御部140は、回生電圧検出部130が検出する回生電圧を測定し、測定した回生電圧を基準に停電基準電圧、低圧トリップ電圧、復電基準電圧及び回生量などを比較して、正常モードでインバータ100を駆動するか、または、インバータ100の出力電圧を遮断するか、あるいは、停電モードで動作してインバータ100が出力する交流電力の周波数を低下させることで、瞬時停電が発生した場合にも電動機110を停止せずに、電動機110の駆動速度を減速して、電動機110の停電による被害を最小化することができるようにしている。
【0040】
しかし、高圧インバータのように慣性の大きい負荷を駆動する場合には、減速時間が短く、これにより、負荷によって回生される電圧によってスイッチング部106を構成するスイッチング素子は過電圧が印加されて損傷される。
【0041】
つまり、高圧インバータは、一般に複数の単相インバータを直列接続して用いられるものであって、出力する電圧のレベルによってスイッチング素子の個数が変わり、中性点の近くに位置するスイッチング素子であればあるほど、回生電圧によってトリップが発生する可能性が非常に高い。
【0042】
図2は、本発明による高圧インバータ制御装置の一実施例の構成図である。
【0043】
図面に示したように、本発明の制御装置1は、電動機3を駆動する高圧インバータ2を制御するためのものである。高圧インバータ2は、外部から入力される交流電力を整流及び平滑して直流電力に変換し、変換した直流電力をスイッチング制御信号によってスイッチングして交流電力に変換するものであることは上述したとおりである。また、高圧インバータ2は、複数の単相インバータを直列接続して、高圧の電圧を出力するものであることも上述したとおりであるため、その構成に係る詳細な説明は省略する。
【0044】
図2を参照すると、本発明の制御装置1は、制御部11及び停電検出部12を含む。
【0045】
停電検出部12は、外部から入力される交流電力が停電などによって入力されないか否かを検出する。また、停電検出部12は、停電時の復電の可否を検出する。
【0046】
制御部11は、外部から入力される制御信号によってスイッチング制御信号を発生して高圧インバータ2を駆動し、停電検出部12が停電を検出した場合、予め設定された時間高圧インバータ2が発生する交流電力の周波数を、停電検出部12が停電を検出したときの周波数に固定した状態で、高圧インバータ2が発生する交流電力の電圧レベルを予め設定された勾配によって減少させて出力するように制御し、予め設定された時間が経過する前に交流電力が再び正常に供給される場合、高圧インバータ2を元の状態に復帰させた後、正常運転するようにスイッチング制御信号を発生する。
【0047】
このような構成を有する本発明の制御装置1は、外部から入力される交流電力を高圧インバータ2が整流し、平滑して、直流電力に変換する。
【0048】
そして、高圧インバータ2は、変換した直流電力を、制御部11が発生するスイッチング制御信号によってスイッチングして高圧の交流電力を発生し、発生した高圧の交流電力を電動機3に印加し、電動機3を駆動する。
【0049】
このような状態で、停電検出部12は、外部から交流電力が正常に入力されるか否かを判断する。
【0050】
判断の結果、停電が発生した場合、停電検出部12は停電の発生を制御部11に通知する。
【0051】
すると、制御部11は、高圧インバータ2が発生する交流電力の周波数を停電検出部12が停電を検出したときに発生した出力周波数に固定した状態で、高圧インバータ2が発生する交流電力の電圧レベルを予め設定された勾配によって減少させて出力するようにスイッチング制御信号を発生する。
【0052】
このような状態で、制御部11は、予め設定された時間が経過する前に交流電力が再び正常に供給される場合、元の状態に高圧インバータ2を復帰させて、電動機3を正常運転するようにスイッチング制御信号を発生する。
【0053】
図3は、本発明による高圧インバータ制御方法を説明するための一実施例のフローチャートである。
【0054】
図3を参照すると、本発明の制御方法は、まず、使用者がユーザーインターフェース部(図示せず)を操作して、瞬時停電が発生した場合に運転するか否かを設定する(S31)。
【0055】
瞬時停電運転を設定した場合、制御部11は、使用者の操作によって瞬時停電の運転時間を設定する(S32)。
【0056】
そして、瞬時停電が発生した場合、出力電圧を減少させる減速勾配を設定し(S33)、また、瞬時停電が発生した後に再び交流電力が供給される場合、出力電圧を増加させる加速勾配を設定する(S34)。
【0057】
このような状態で、制御部11は、外部から入力される制御信号によってスイッチング制御信号を発生して高圧インバータ2をスイッチングし、このスイッチングによって高圧インバータ2は所定の周波数及び電圧を有する高圧の交流電力を発生して電動機3を駆動する。
【0058】
このように制御部11が高圧インバータ2をスイッチングして電動機3を駆動する状態で、停電検出部12は、交流電力が正常に供給されない停電が発生したか否かを判断し、判断信号を制御部11に出力する。
【0059】
制御部11は、外部から入力される制御信号によって高圧インバータ2をスイッチングする状態で、停電検出部12の判断信号を受信して、停電が発生したか否かを判断する(S35)。
【0060】
S35の判断の結果、停電が発生していない場合、制御部11は、外部から入力される制御信号によって高圧インバータ2をスイッチングする動作を続けて行い、瞬時停電の発生による動作を終了する。
【0061】
S35の判断の結果、停電が発生した場合、制御部11は、瞬時停電の発生による運転が設定されているか否かを判断する(S36)。
【0062】
瞬時停電の発生による運転が設定されていない場合、制御部11は、高圧インバータ2の動作を停止し、終了する。
【0063】
そして、瞬時停電の発生による運転が設定されている場合、制御部11は、電動機3の現在の運転状態を判断する(S37)。すなわち、制御部11は、電動機3を定速運転、加速運転または減速運転しているかどうかを判断する。
【0064】
S37の判断の結果、電動機3を定速運転している状態で停電が発生した場合、制御部11は、電動機3の定速運転による瞬時停電運転を行う(S38)。
【0065】
そして、S37の判断の結果、電動機3を加速運転している状態で停電が発生した場合、制御部11は、電動機3の加速運転による瞬時停電運転を行う(S39)。
【0066】
また、S37の判断の結果、電動機3を減速運転している状態で停電が発生した場合、制御部11は、電動機3の減速運転による瞬時停電運転を行う(S40)。
【0067】
図4は、図3のS38の定速運転による瞬時停電時の制御方法を説明するための一実施例の詳細フローチャートであり、図5は、図4の制御時の商用電力、周波数及び出力電圧の関係を説明するための一例示図である。
【0068】
図4を参照すると、制御部11は、高圧インバータ2が電動機3を定速運転する状態で図5の(a)の時間t11で停電が発生した場合、制御部11は、図5の(c)の高圧インバータ2が電動機3に出力する定速出力電圧Aを格納する(S41)。
【0069】
そして、制御部11は、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力周波数を、図5の(b)のように瞬時停電が発生する前の出力周波数に固定し(S42)、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧を、図5の(c)のように予め設定された減速勾配Bによって降下させて出力するようにする(S43)。
【0070】
このような状態で、制御部11は、停電が発生した以降の経過時間をカウントし(S44)、カウントした停電経過時間が予め設定した瞬時停電の運転時間以内であるか否かを判断する(S45)。
【0071】
S45の判断の結果、予め設定した瞬時停電の運転時間以内の場合、制御部11は、停電検出部12の出力信号で停電が復旧して、交流電力が正常に入力されるか否かを判断する(S46)。
【0072】
S46の判断の結果、停電が復旧していない場合に、制御部11はS42に進み、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力周波数を固定(S42)し、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧を予め設定された減速勾配によって続けて降下させて出力するようにし(S43)、予め設定した瞬時停電の運転時間が経過したか否かを判断する動作(S44、S45)を繰り返し行う。
【0073】
このような状態で、予め設定した瞬時停電の運転時間以内の時間t12で図5の(a)のように停電が復旧して再び交流電力が供給される場合、制御部11は、図5の(c)に示したように、予め設定された加速勾配Cによって高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧を上昇させる(S47)。
【0074】
このような状態で、制御部11は、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧が停電発生以前の電圧に回復するか否かを判断し(S48)、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧が停電発生以前の状態に回復する場合、制御部11は、高圧インバータ2を正常に制御して、電動機3を再び定速で駆動するようにする(S49)。
【0075】
そして、S48で予め設定された瞬時停電の運転時間が経過しても停電が復旧しない場合、制御部11は、高圧インバータ2の動作を停止し(S50)、瞬時停電の発生による動作を終了する。
【0076】
図6は、図3のS39の加速運転による瞬時停電時の制御方法を説明するための一実施例の詳細フローチャートであり、図7は、図6の制御時の商用電力、周波数及び出力電圧の関係を説明するための一例示図である。
【0077】
図6を参照すると、制御部11は、高圧インバータ2が図7の(b)のように電動機3に出力する周波数を増加させるとともに、図7の(c)のように電動機3に出力する電圧を増加させて加速運転をしている状態で、図7の(a)の時間t21で停電が発生した場合、制御部11は、図7の(c)で高圧インバータ2が電動機3に出力する加速出力電圧Dを格納する(S61)。
【0078】
そして、制御部11は、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力周波数を図7の(b)のように固定し(S62)、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧を図7の(c)のように予め設定された減速勾配Eによって降下させて出力するようにする(S63)。
【0079】
このような状態で、制御部11は、停電が発生した以降の経過時間をカウントし(S64)、カウントした停電経過時間が予め設定した瞬時停電の運転時間以内であるか否かを判断する(S65)。
【0080】
S65の判断の結果、予め設定した瞬時停電の運転時間以内の場合、制御部11は、停電検出部12の出力信号で停電が復旧して交流電力が正常に入力されるか否かを判断する(S66)。
【0081】
S66の判断の結果、停電が復旧していない場合に、制御部11はS62に進み、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力周波数を固定(S62)し、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧を予め設定された減速勾配によって続けて降下させて出力するようにし(S63)、予め設定した瞬時停電の運転時間が経過したか否かを判断する動作(S64、S65)を繰り返し行う。
【0082】
このような状態で、予め設定した瞬時停電の運転時間以内の時間t22で、図7の(a)のように停電が復旧して再び交流電力が供給される場合、制御部11は、予め設定された加速勾配Fによって図7の(c)のように高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧を上昇させる(S67)。
【0083】
このような状態で制御部11は、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧が停電が発生した以前の電圧Dに回復するか否かを判断する(S68)。
【0084】
高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧が停電が発生した以前の電圧Dに回復した場合、制御部11は、図7の(b)のように、電動機3に出力する出力周波数を目標周波数まで増加させるとともに、図7の(c)のように、電動機3に出力する出力電圧を目標電圧まで増加させて、電動機3をまた正常に加速運転するようにする(S69)。
【0085】
一方、S65で予め設定された瞬時停電の運転時間が経過しても停電が復旧しない場合、制御部11は、高圧インバータ2の動作を停止し(S70)、瞬時停電の発生による動作を終了する。
【0086】
図8は、図3のS40の減速運転による瞬時停電時の制御方法を説明するための一実施例の詳細フローチャートであり、図9は、図8の制御時の商用電力、周波数及び出力電圧の関係を説明するための一例示図である。
【0087】
図8を参照すると、制御部11は、図9の(b)のように電動機3に出力する周波数を減少させるとともに、図9の(c)のように電動機3に出力する電圧を減少させて電動機3を減速運転する状態で、図9の(a)に示したように時間t31で停電が発生した場合、制御部11は、図9の(c)のように、高圧インバータ2が電動機3に現在出力する出力電圧Gを格納する(S81)。
【0088】
そして、制御部11は、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力周波数を図9の(b)のように固定し(S82)、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧を図9の(c)のように予め設定された減速勾配Hによって降下させて出力するようにする(S83)。
【0089】
このような状態で、制御部11は、停電が発生した以降の経過時間をカウントし(S84)、カウントした停電経過時間が予め設定した瞬時停電の運転時間以内であるか否かを判断する(S85)。
【0090】
S85の判断の結果、予め設定した瞬時停電の運転時間以内の場合、制御部11は、停電検出部12の出力信号で停電が復旧して交流電力が正常に入力されるか否かを判断する(S86)。
【0091】
S86の判断の結果、停電が復旧していない場合に、制御部11はS82に進み、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力周波数を固定(S82)し、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧を予め設定された減速勾配によって続けて降下させて出力するようにし(S83)、予め設定した瞬時停電の運転時間が経過したか否かを判断する動作(S84、S85)を繰り返し行う。
【0092】
このような状態で、予め設定した瞬時停電の運転時間以内の時間t32で図9の(a)のように停電が復旧して再び交流電力が供給される場合、制御部11は、予め設定された加速勾配Iによって、図9の(c)のように高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧を上昇させる(S87)。
【0093】
このような状態で、制御部11は、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧が停電が発生した以前の電圧Gに回復するか否かを判断する(S88)。
【0094】
S88の判断の結果、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧が停電が発生した以前の電圧Gに回復した場合、制御部11は、図9の(b)のように、目標周波数まで出力周波数を降下させ、高圧インバータ2が電動機3に出力する出力電圧を図9の(c)のように目標電圧まで降下する減速運転を行う(S89)。
【0095】
そして、S85で、予め設定された瞬時停電の運転時間が経過しても停電が復旧しない場合、制御部11は、高圧インバータ2の動作を停止し(S90)、瞬時停電の発生による動作を終了する。
【0096】
以上で、代表的な実施例により本発明について詳細に説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、上述の実施例に対して本発明の範疇から外れない範囲内で様々な変形が可能であることを理解することができるだろう。したがって、本発明の権利範囲は説明した実施例に限定されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定めなければならない。
【符号の説明】
【0097】
1 制御装置
2 高圧インバータ
3 電動機
11 制御部
12 停電検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の単相インバータを含み、高圧の電圧を出力して電動機を駆動する高圧インバータを制御する装置において、
停電発生の有無及び復電の可否を検出する停電検出部と、
前記停電検出部が停電を検出した場合、停電を検出した時点の高圧インバータの出力周波数を固定し、前記高圧インバータが発生する交流電力の電圧レベルを予め設定された減速勾配によって減少させて出力するように制御する制御部と、
を含むことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、停電が発生した場合、前記高圧インバータの出力電圧を減少させる前記減速勾配を予め設定することを特徴とする、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記停電検出部が所定時間が経過する前に復電を検出した場合、停電発生以前の前記高圧インバータの状態によって前記高圧インバータを制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、所定時間以内の復電時に前記高圧インバータの出力電圧を増加させる加速勾配を予め設定することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記高圧インバータは、停電発生前に定速運転、加速運転及び減速運転のいずれか一つのモードで前記電動機を駆動することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記高圧インバータが停電発生前に定速運転する場合、前記制御部は、所定時間が経過する前に復電を検出した場合、加速勾配によって前記高圧インバータの出力電圧を上昇させるようにすることを特徴とする、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記高圧インバータが停電発生前に加速運転する場合、前記制御部は、所定時間が経過する前に復電を検出した場合、加速勾配によって前記高圧インバータの出力電圧を上昇させるようにし、前記高圧インバータの出力電圧が停電が発生した以前の出力電圧に回復した場合、前記高圧インバータの出力周波数及び出力電圧を目標周波数及び目標電圧まで増加させることを特徴とする、請求項5又は6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記高圧インバータが停電発生前に減速運転する場合、前記制御部は、所定時間が経過する前に復電を検出した場合、前記減速勾配によって前記高圧インバータの出力電圧を上昇させるようにし、前記高圧インバータの出力電圧が停電が発生した以前の出力電圧に回復した場合、前記高圧インバータの出力周波数及び出力電圧を目標周波数及び目標電圧まで減少させることを特徴とする、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−27310(P2013−27310A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161749(P2012−161749)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【出願人】(593121379)エルエス産電株式会社 (221)
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO., LTD
【Fターム(参考)】