説明

高圧縮強度を有するハニカムコアおよびそれから製造される物品

本発明は、高圧縮率を有するハニカムコア構造に関する。コア構造は、(a)複数のハニカムセルを画定する表面を有する複数の相互接続された壁(セル壁は不織シートから形成される)と、(b)硬化樹脂および不織シートの合わせた重量の百分率としての硬化樹脂の重量が少なくとも62パーセントであるような量の硬化樹脂とを含む。不織シートは、さらに、少なくとも200グラム/デニール(180グラム/デシテックス)のモジュラスおよび少なくとも10グラム/デニール(9グラム/デシテックス)の靭性を有する繊維を含み、樹脂による含浸の前に、不織シートは、式Dp=K×((dr×(100−%r)/%r)/(1+dr/ds×(100−%r)/%r)から計算される見掛け密度を有し、式中、Dpは含浸前のシートの見掛け密度であり、drは硬化樹脂の密度であり、dsは含浸前のシート中の固体材料の密度であり、%rは最終コア構造中の重量%単位での硬化樹脂含量であり、Kは1.0〜1.5の値を有する数である。さらに、樹脂による含浸前の不織シートのGurley多孔度は、30秒/100ミリリットル以下である。また本発明は、このような折り畳みコアを組み込んだ複合構造にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維不織シートから製造される高圧縮強度のハニカムコア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高モジュラス高強度の繊維不織シートから得られるサンドイッチパネル用コア構造(大抵はハニカム形態である)は種々の用途で使用されるが、主として、強度対重量比または剛性対重量比が非常に高い値を有する航空宇宙産業で使用される。例えば、米国特許第5,137,768号明細書(Lin)には、50重量%以上のp−アラミド繊維を含む(組成物の残りは、バインダーおよび他の添加剤である)高密度の湿式(wet−laid)不織布から製造されたハニカムコアが記載されている。
【0003】
コア構造を製造するための市販のp−アラミド高モジュラス高強度の繊維不織シートは、E.I.DuPont de Nemours and Company(Wilmington、DE)によって販売されるKEVLAR(登録商標)N636紙である。最軽量グレード(1.4N636)のための紙の密度は、0.68〜0.82g/cm3の範囲である。3つの他のグレード(1.8N636、2.8N636、および3.9N636)のためには、密度範囲は0.78〜0.92g/cm3である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧縮特性の強化が非常に重要である用途がいくつかある。これは、航空機、列車などの床材で使用されるサンドイッチパネルに特に当てはまる。潜在的に、圧縮強度について最適化されたハニカムコアは、付加的な重量およびコストの削減を提供することができる。従って、必要とされるのは、改善された圧縮強度を有するハニカムコア構造である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、繊維不織シートから製造された高圧縮強度を有するハニカムコア構造に関する。ハニカムコア構造のセル壁は、不織シートと、硬化樹脂および不織シートの合わせた重量の百分率としての硬化樹脂の重量が少なくとも62パーセントであるような量の硬化樹脂とを含む。不織シートは、さらに、少なくとも200グラム/デニール(180グラム/デシテックス)のモジュラスおよび少なくとも10グラム/デニール(9グラム/デシテックス)の靭性を有する繊維を含み、樹脂による含浸の前に、不織シートは、式Dp=K×((dr×(100−%r)/%r)/(1+dr/ds×(100−%r)/%r)から計算される見掛け密度を有し、式中、Dpは含浸前のシートの見掛け密度であり、drは硬化樹脂の密度であり、dsは含浸前のシート中の固体材料の密度であり、%rは最終コア構造中の重量%単位での硬化樹脂含量であり、Kは1.0〜1.35の値を有する数である。さらに、樹脂による含浸前の不織シートのGurley多孔度は30秒/100ミリリットル以下である。
【0006】
本発明は、さらに、ハニカムコア構造を含有する複合パネルに関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】aおよびbは、六角形状のハニカムの図である。
【図2】六角形セル形状のハニカムの別の図である。
【図3】フェースシートを備えたハニカムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、樹脂により含浸された繊維不織シートから製造されたセル壁を有する高圧縮強度のハニカムコア構造に関する。
【0009】
図1aは、本発明の1つのハニカム1の平面図であり、セル壁3により形成されたセル2を示す。図1bは、図1aに示されるハニカムの立面図であり、セル壁の両端部に形成された2つの外部表面、すなわち面4を示す。コアはエッジ5も有する。図2は、ハニカムの3次元図である。六角形セル2およびセル壁3を有するハニカム1が示されている。「T」方向またはハニカムの厚さが図2に示されている。六角形セルが示されているが、他の幾何学的配置も可能であり、正方形、過剰膨張およびフレックスコアセルが可能性のある最も一般的な配置である。このようなセルタイプは当該技術分野において周知であり、可能性のある幾何学的セルタイプのさらなる情報については、T.BitzerによるHoneycomb Technology(Chapman & Hall、出版社、1997年)を参照することができる。
【0010】
図3は、フェースシート7および8がコアの2つの外部表面に取り付けられたハニカムコア6から構築される構造的サンドイッチパネル5を示す。好ましいフェースシート材料はプリプレグ、熱硬化性または熱可塑性樹脂が含浸された繊維シートであるが、金属フェースシートが用いられてもよい。金属フェースシートの場合、そして状況によってはプリプレグの場合に、接着剤フィルム9も使用される。通常、コアの両側に少なくとも2つのプリプレグスキンがある。
【0011】
本発明のハニカムコアは樹脂含浸繊維不織シートのセル壁を有し、セル壁の面は好ましくはハニカムのT−方向に平行である。樹脂による含浸前の不織シートの見掛け密度は、式:
Dp=K×((dr×(100−%r)/%r)/(1+dr/ds×(100−%r)/%r)
によって定義され、式中、Dpは含浸前の不織シートの見掛け密度であり、drは硬化樹脂の密度であり、dsは含浸前の不織シート中の固体材料の密度であり、%rは最終コア中の重量%単位での硬化樹脂含量であり、Kは1〜1.35の値を有する数である。
【0012】
高いシート材料透過性と、あまり高くない見掛け密度とによって、樹脂含浸の過程で樹脂のシート材料内への良好な浸透が可能になるので、被覆後のシートの厚さは、非被覆不織シートの厚さとあまり異ならない。
【0013】
樹脂による含浸の前の不織シートは、30秒/100ミリリットル以下のGurley透気度を有する。
【0014】
不織シート内の自由体積/空隙含量は、不織シートの見掛け密度および不織シート中の固体材料の密度に基づいて、あるいは不織布断面の画像解析によって測定することができる。
【0015】
本発明において使用される不織シートの厚さはハニカムコアの最終用途または所望の特性に依存しており、いくつかの実施形態では、通常、3〜20ミル(75〜500マイクロメートル)の厚さである。いくつかの実施形態では、不織シートの坪量は、0.5〜6オンス/平方ヤード(15〜200グラム/平方メートル)である。
【0016】
本発明のハニカムコアにおいて使用される不織シートは、少なくとも200グラム/デニール(180グラム/デシテックス)の初期ヤング率、少なくとも10グラム/デニール(9グラム/デシテックス)の靭性を有する70〜100重量部の高モジュラス高強度繊維と、30重量%以下のバインダーとを含む。
【0017】
最終用途に応じて異なる材料を不織シートバインダーとして使用することができる。好ましいバインダーとしては、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリスルホンアミド(PSA)、ポリ−フェニレンスルフィド(PPS)、およびポリイミドが挙げられる。本発明のハニカムコアの高モジュラス高強度繊維不織シートにおいて、連続繊維、カット繊維(フロック)、パルプまたはこれらの組み合わせの形態である種々の高モジュラス高強度繊維を使用することができる。好ましいタイプの繊維としては、p−アラミド、液晶ポリエステル、ポリベンゾアゾール、ポリピリダゾール、ポリスルホンアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィン、炭素、ガラスおよびその他の無機繊維、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
本明細書において使用される場合、アラミドという用語は、アミド(−CONH−)結合の少なくとも85%が2つの芳香環に直接付いたポリアミドを意味する。アラミドと共に添加剤を使用することができる。実際、10重量パーセントまでもの他の高分子材料がアラミドとブレンドされ得ること、あるいはアラミドのジアミンの代わりに10パーセントも他のジアミン、またはアラミドの二酸クロリドの代わりに10パーセントもの他の二酸クロリドを有するコポリマーが使用され得ることが分かっている。パラアラミド繊維およびこれらの繊維の種々の形態は、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington、Delaware)から商品名Kevlar(登録商標)で、そしてTeijin,Ltd.から商品名Twaron(登録商標)で入手可能である。本発明において有用な市販のポリベンゾアゾール繊維としては、Zylon(登録商標)PBO−AS(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)繊維、Zylon(登録商標)PBO−HM(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール))繊維が挙げられ、これらはいずれも東洋紡(Toyobo Co.Inc.)(大阪、日本)から入手可能である。本発明において有用な市販の炭素繊維としては、Toho Tenax America,Inc(Rockwood、TN)から入手可能なTenax(登録商標)繊維が挙げられる。本発明において有用な市販の液晶ポリエステル繊維としては、Kuraray America Inc.(New York、NY)から入手可能なVectran(登録商標)HS繊維が挙げられる。
【0019】
本発明のハニカムコア構造の不織シートは、より高いモジュラスの繊維とブレンドされたより低い強度およびモジュラスの繊維を含むこともできる。ブレンド中のより低強度の繊維の量は、折り畳みコア構造の所望の強度に応じて個別的に変わり得る。低強度繊維の量が多いほど、折り畳みコア構造の強度は低いであろう。好ましい実施形態では、より低強度の繊維の量は30%以下でなければならない。このようなより低強度の繊維の例としては、メタ−アラミド繊維およびポリ(エチレンテレフタルアミド)繊維が挙げられる。
【0020】
本発明のハニカムコアの不織シートは少量の無機粒子を含有することができ、代表的な粒子としては、マイカ、バーミキュライトなどが挙げられ、これらの性能強化添加剤の添加は、改善された耐火性、熱伝導率、寸法安定性などの特性を不織シートおよび最終折り畳みコア構造に付与することができる。
【0021】
本発明のハニカムコアのために使用される好ましいタイプの不織シートは紙または湿式不織布である。しかしながら、ニードルパンチ法、接着結合法、熱結合法、および水流交絡法を含む他の技術によって製造された不織布も使用することができる。本発明のハニカムコアを製造するために使用される紙(湿式不織布)は、実験用スクリーンから業務用サイズの製紙機械類(長網抄紙機(Fourdrinier)または傾斜ワイヤ抄紙機などの一般に使用される機械を含む)までのどんなスケールの設備でも形成することができる。典型的な方法は、フロックおよび/またはパルプなどの繊維材料ならびにバインダーの水性液体中の分散液を作り、液体を分散液から流し出して湿った組成物をもたらし、湿った紙組成物を乾燥させることを含む。分散液は、繊維を分散させてからバインダーを添加するか、あるいはバインダーを分散させてから繊維を添加するかのいずれかによって作ることができる。また最終分散液は、繊維の分散液をバインダーの分散液と混ぜ合わせることによって作ることもでき、分散液は、場合により、無機材料などの他の添加剤を含んでいてもよい。分散液中の繊維の濃度は、分散液の全重量を基準として0.01〜1.0重量パーセントの範囲であり得る。分散液中のバインダーの濃度は、固体の全重量を基準として30重量パーセントまでであり得る。典型的な方法では、分散液の水性液体は通常水であるが、pH調整材料、形成助剤、界面活性剤、消泡剤などの種々の他の材料を含んでもよい。水性液体は、通常、分散液をスクリーンまたは他の穿孔支持体上に導き、分散された固体を保持し、次に液体を通過させて、湿った紙組成物をもたらすことによって分散液から流れ出される。湿った組成物は、支持体上に形成されたら、通常、真空またはその他の圧力によりさらに脱水され、残りの液体を蒸発させることによりさらに乾燥される。
【0022】
1つの好ましい実施形態では、繊維および高分子バインダーを一緒にスラリー化して混合物を形成することができ、この混合物は、ワイヤスクリーンまたはベルト上で紙へと変形される。種々のタイプの繊維材料および高分子バインダーから紙を形成するための実例となる方法については、米国特許第4,698,267号明細書および米国特許第4,729,921号明細書(Tokarsky)、米国特許第5,026,456号明細書(Heslerら)、米国特許第5,223,094号明細書および米国特許第5,314,742号明細書(Kirayogluら)が参照される。
【0023】
紙が形成されたら、これを所望の密度までカレンダー加工するか、あるいは標的の最終密度によってはそのままカレンダー加工しない。
【0024】
後者の場合、形成テーブルの真空および湿式プレスの圧力を最適化することによって、密度のいくらかの調整を形成中に行うことができる。
【0025】
フロックは、一般に、連続紡績フィラメントを特定の長さの断片に切断することによって製造される。フロックの長さが2ミリメートル未満であれば、一般に、適切な強度の紙を提供するには短すぎであり、フロックの長さが25ミリメートルよりも長ければ、均一な湿式ウェブを形成するのが非常に困難である。5マイクロメートル未満、特に3マイクロメートル未満の直径を有するフロックは、適切な断面の均一性および再現性を備えて製造するのが困難であり、フロック直径が20マイクロメートルよりも大きければ、軽〜中程度の坪量を有する均一な紙を形成するのが非常に困難である。
【0026】
「パルプ」という用語は、本明細書で使用される場合、茎と通常そこから延出するフィブリルとを有する繊維材料の粒子を意味する。ここで、茎は一般に円柱状であり、直径が約10〜50マイクロメートルであり、フィブリルは、通常茎に付いた微細な毛髪様部材であり、直径が1マイクロメートルのわずか何分の一または数マイクロメートル、長さが約10〜100マイクロメートルである。アラミドパルプを製造するための実例となる1つの可能な方法は、米国特許第5,084,136号明細書に概略的に開示されている。
【0027】
本発明の湿式不織布のための好ましいタイプのバインダーの1つはフィブリッド(fibrid)である。
【0028】
「フィブリッド」という用語は、本明細書で使用される場合、およそ100〜1000マイクロメートルの長さおよび幅と、およそ0.1〜1マイクロメートルの厚さとを有する小さい薄膜状の本質的に2次元の粒子の非常に微粉化されたポリマー生成物を意味する。フィブリッドは、通常、ポリマー溶液を溶液の溶媒と非混和性の液体の凝固浴内に流し込むことによって製造される。ポリマー溶液の流れは、ポリマーが凝固する際に激しいせん断力および乱流を受ける。
【0029】
本発明におけるフィブリッドのために好ましいポリマーとしては、アラミド(ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド))が挙げられる。
【0030】
上記のハニカムセル壁のためのウェブ基板をハニカムコアに変形させるための方法は、当業者によく知られており、膨張およびコルゲーションを含む。膨張法は、床材グレードのコアを製造するために特によく適している。このような方法は、Engineered Materials Handbook、第1巻−Composites、ASM International、1988年の721頁にさらに詳述されている。
【0031】
本発明のハニカムコアは、シート材料および硬化樹脂コートの全重量の少なくとも62重量%の硬化樹脂含量を有する。不織シート上の樹脂含浸は、ハニカムコア形状を形成する前に適用されてもよいし、あるいはコアの形成が完了した後に適用されてもよい。形状の形成前に樹脂の一部が不織シート内に含浸され、形状の形成後に残りが含浸される2段階含浸方法を使用することもできる。不織シートの樹脂含浸が形状の形成前に行われる場合、樹脂は部分的に硬化されるのが好ましい。B−ステージングとして知られるこのような部分硬化法は、複合材料産業では周知である。B−ステージとは、樹脂が熱で軟化し、可塑性および溶融性であるが、完全には溶解または溶融しない、重合反応における中間段階を意味する。B−ステージ後の基板は、まだ、所望のハニカムコア形状にさらに加工することができる。
【0032】
コアが形成(膨張)された後に樹脂の含浸が行われる場合、通常、浸漬、その後の溶媒除去、および樹脂の硬化という一連の繰り返しステップで行われる。好ましい最終コア密度(不織シートおよび樹脂)は、20〜150kg/m3の範囲である。樹脂含浸の過程で、樹脂はセル壁内に吸収され、セル壁上に被覆される。
【0033】
本発明のハニカムコアの最終用途に応じて、異なる樹脂を使用して、不織シートを被覆および含浸することができる。このような樹脂には、フェノール、エポキシ、ポリエステル、ポリアミド、およびポリイミド樹脂が含まれる。フェノールおよびポリイミド樹脂が好ましい。フェノール樹脂は、通常、United States Military Specification MIL−R−9299Cに適合する。これらの樹脂の組み合わせも使用され得る。適切な樹脂は、Hexion Specialty Chemicals(Columbus、OH)またはDurez Corporation(Detroit、MI)などの会社から入手可能である。
【0034】
上記の本発明のハニカムコアは、コア構造の少なくとも1つの外部表面に結合されたフェースシートを有する複合パネルを製造するために使用することができる。フェースシート材料は、プラスチックシートもしくはプレート、繊維強化プラスチック(プリプレグ)、または金属であり得る。フェースシートは、接着剤フィルムによって、あるいはプリプレグ中の樹脂から、圧力下で、通常は熱によりコア構造に取り付けられる。硬化は、プレス、オーブンまたはオートクレーブ内で行われる。このような技法は、当業者には十分に理解される。
【0035】
試験方法
不織シートの見掛け密度は、約50kPaの圧力でASTM D645−97により測定される不織シートの厚さと、ASTM D646−96により測定される坪量とを用いて計算した。繊維デニールは、ASTM D1907−07を用いて測定した。
【0036】
不織シートのGurley透気度(多孔度)は、TAPPI T460に従い、1.22kPaの圧力差を用いて、約6.4平方センチメートルの紙の円形領域について、シリンダー変位100ミリリットルあたりの秒数で透気度を測定することによって決定した。
【0037】
ハニカムコアの密度は、ASTM C271−61に従って決定した。
【0038】
コアの圧縮強度は、ASTM C365−57に従って決定した。
【0039】
コアの比圧縮強度は、圧縮強度の値をコアの密度で割って計算した。
【実施例】
【0040】
実施例1
81重量%のp−アラミドフロックおよび19重量%のメタ−アラミドフィブリッドを含む高モジュラス高強度の繊維不織シートを従来の製紙装置で形成した。パラアラミドフロックは、1.5デニール/フィラメント(1.7デシテックス/フィラメント)の公称フィラメント線密度、6.4mmのカット長、24グラム/デニールの靭性および960グラム/デニールのモジュラスを有するKevlar(登録商標)49であった。このような繊維は、E.I.DuPont de Nemours and Company(Wilmington、DE)から入手可能である。メタ−アラミドフィブリッドは、米国特許第3,756,908号明細書(Gross)に記載されるように作製した。
【0041】
次に、不織シートをカレンダー加工して、0.62g/cm3の見掛け密度、坪量1.4オンス/平方ヤード(47.5グラム/平方メートル)、および4秒/100ミリリットルのGurley多孔度を有する最終シートを生じた。式:
Dp=K×((dr×(100−%r)/%r)/(1+dr/ds×(100−%r)/%r)
に基づいて、最終コア中約62〜64重量%の樹脂含量に対して0.62g/cm3の不織シート見掛け密度を目標とした。上記式中、Dpは含浸前の不織シートの見掛け密度であり、drは硬化樹脂の密度(1.25g/cm3)であり、dsは含浸前の不織シート中の固体材料の密度(1.4g/cm3)であり、%rは最終コア中の重量%単位でのマトリックス樹脂含量であり、Kは1.0〜1.35の値を有する数である。
【0042】
実施例1の紙からハニカムブロックを形成した。このような方法は当業者によく知られているが、以下のように要約される。
【0043】
接着剤樹脂の交点線(node line)を紙の表面に適用し、接着剤の線の幅は1.78mmとした。1本の線の始まり次の線との間のピッチまたは直線距離は、5.3mmである。オーブ内で接着剤を紙上で部分的に乾燥させた。
【0044】
接着剤交点線を有するシートを交点線に平行に切断して、多数のより小さいシートを形成した。適用した接着剤交点線のピッチの半分または間隔の半分だけ各シートが他と変位されるように、切断したシートを順に積み重ねた。最終の積重ねが均一に鉛直になるように、変位は一方または他方に交互に行った。次に、シートの積重ねをホットプレスして交点線接着剤を硬化させ、従って、隣接シートを結合させた。
【0045】
次に、結合したアラミドシートを、積み重ね方向とは反対の方向に膨張させて、等辺の断面を有するセルを形成した。各シートを互いの間で拡大させ、結合された交点線のエッジに沿ってシートは折り畳まれ、結合されていない部分は張力の方向に拡大されて、シートを互いに分離した。膨張の後、オーブン内でハニカムブロックを加熱処理して、膨張した形状に固定した。
【0046】
次に、United States Military Specification MIL−R−9299Cに適合するフェノール樹脂溶液を含有する含浸浴または浸漬タンクに、ハニカムブロックを入れた。樹脂による含浸の後、ハニカムを浴から取り出し、乾燥炉においてホットエアを用いて乾燥させた。浸漬および硬化ステップは4回繰り返した。圧縮強度が改善された最終の浸漬および硬化ハニカムは、約104kg/m3のかさ密度を有する。
【0047】
ベアな(bare)比圧縮強度は0.087(N/mm2)/(kg/m3)であった。重要なデータは表1に要約される。
【0048】
比較例1
高モジュラス高強度の繊維不織シートを実施例1のように形成したが、0.83g/cm3の見掛け密度にカレンダー加工した。最終坪量は、約1.2オンス/平方ヤード(40.7グラム/平方メートル)であった。シートのGurley多孔度は約5秒であった。
【0049】
次に、不織シート実施例1のようにハニカムコア構造に変形させた。
【0050】
完成ハニカムコア構造は、97kg/m3の密度および全コア重量の67%の樹脂含量を有した。ベアな比圧縮強度は、0.064(N/mm2)/(kg/m3)であった。重要なデータは表1に要約される。
【0051】
表1

【0052】
表1の要約から分かるように、本発明に従って見掛け密度およびハニカムセル壁内の樹脂浸透について最適化された不織シートを有する実施例1のハニカムコア構造は、比較例1の従来技術からのハニカムコア構造と比較して、35パーセント高いベアな比圧縮強度を有した。このことによって、ハニカムコア構造を製造するために使用される不織シートの密度および不織シート内に含浸される樹脂含量の両方の最適化は、圧縮強度の著しい改善をもたらすことが確認される。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数のハニカムセルを画定する表面を有する複数の相互接続された壁であって、少なくとも200グラム/デニール(180グラム/デシテックス)のモジュラスおよび少なくとも10グラム/デニール(9グラム/デシテックス)の靭性を有する繊維を含む不織シートから形成される壁と、
(b)硬化樹脂および不織シートの合わせた重量の百分率としての硬化樹脂の重量が少なくとも62パーセントであるような量の硬化樹脂と
を含むハニカムコア構造であって、樹脂による含浸の前に、
(1)前記不織シートが、式Dp=K×((dr×(100−%r)/%r)/(1+dr/ds×(100−%r)/%r)(式中、Dpは含浸前の前記不織シートの見掛け密度であり、drは前記硬化樹脂の密度であり、dsは含浸前の前記不織シート中の固体材料の密度であり、%rは、最終コア構造中の重量%単位での前記硬化樹脂含量であり、Kは1.0〜1.35の値を有する数である)から計算される見掛け密度を有し、
(2)前記不織シートが、30秒/100ミリリットル以下のGurley多孔度を有する
ハニカムコア構造。
【請求項2】
前記不織シートが、70〜100重量%の繊維および0〜30重量%のバインダーを含む請求項1に記載のコア構造。
【請求項3】
前記不織シートが、湿式不織シートである請求項2に記載のコア構造。
【請求項4】
前記バインダーが、m−アラミドフィブリッドを含む請求項2に記載のコア構造。
【請求項5】
前記繊維が、p−アラミド繊維を含む請求項2に記載のコア構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のコア構造と、前記コア構造の少なくとも1つの外部表面に取り付けられた少なくとも1つのフェースシートとを含む複合パネル。
【請求項7】
前記フェースシートが、樹脂が含浸された繊維、プラスチックまたは金属から製造される請求項6に記載の構造パネル。

【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−500735(P2012−500735A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524022(P2011−524022)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/054584
【国際公開番号】WO2010/022312
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】