説明

高圧電源装置

【課題】 ノイズの影響を低減して、安定した電源供給ができる高圧電源装置を提供する。
【解決手段】 トランス1209と、トランス1209の一次巻線に印加される電圧をスイッチングするスイッチング素子1207と、スイッチング素子1207のスイッチング動作を制御する制御信号を生成する高周波変調回路1205と、高周波変調回路1205から供給される制御信号に従ってスイッチング素子1207のオン、オフ切り替えを行うFETドライブ回路1206と、制御信号の周波数を決定する共振周波数信号をMCU1000から入力して、共振周波数信号を鋸歯状波信号に変換する鋸歯状波生成回路1204とを備える高圧電源部1100を複数の帯電器ごとに複数備え、高周波変調回路1205をFETドライブ回路1206に近接配置し、鋸歯状波生成回路1204から高周波変調回路1205に供給される鋸歯状波信号を送信する配線の配線長を短くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の備える帯電装置に電源を供給する電源装置に、高周波変調方式の交流高電圧電源装置が用いられるようになってきた。高調波変調方式の交流高圧電源装置は、特に、カラープリンタ等の多色画像形成装置での省エネルギー化に非常に有効なものとなっている。
【0003】
特許文献1は、帯電高圧電源と現像高圧電源とが、1つの基本クロックに基づいて帯電交流電圧および現像交流電圧を生成すると共に、帯電交流電圧の交流周波数と現像交流電圧の交流周波数とが整数比となっており、帯電交流電圧と現像交流電圧との位相関係が固定されていることを特徴とした画像形成装置の発明である。
【0004】
特許文献2は、感光体と、帯電部材と、現像部材と、第1直流電圧に第1交流電圧を重畳した出力を前記帯電部材に供給する第1供給手段と、第2直流電圧に第2交流電圧を重畳した出力を前記現像部材に供給する第2供給手段を備え、第1交流電圧と第2交流電圧の周波数の比を印字密度に応じた整数に変更する変更手段を備えた電子写真式画像形成装置の発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−109711号公報
【特許文献2】特許第3359111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ノイズの影響を低減して、安定した電源供給ができる高圧電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために本発明の高圧電源装置は、画像形成装置の備える複数の負荷に電源を供給する高圧電源装置であって、トランスと、前記トランスの一次巻線に印加される電圧をスイッチングするスイッチング素子と、前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御信号を生成する高周波変調回路と、前記高周波変調回路から供給される制御信号に従って前記スイッチング素子のオン、オフ切り替えを行うドライブ回路と、前記制御信号の周波数を決定する共振周波数信号を前記高圧電源装置の制御手段から入力して、前記共振周波数信号を鋸歯状波信号に変換する第1変換回路とを備える高圧電源部を前記複数の負荷ごとに複数備え、前記第1変換回路を前記高周波変調回路の近接に配置し、前記第1変換回路から前記高周波変調回路に供給される前記鋸歯状波信号を送信する配線の配線長を短くしたことを特徴としている。
【0008】
上記高圧電源装置において、前記トランスの二次巻線から出力される交流出力の周波数を制御する出力周波数信号と、前記共振周波数信号と、前記交流出力の電流値を制御する出力可変用信号とを前記複数の高圧電源部に送信して、前記交流出力を制御する前記制御手段を備え、前記高圧電源部は、前記交流出力の電流値を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段で検出される前記交流出力の電流値を電圧に変換した電圧値と、前記出力可変用信号との誤差を求めて増幅する誤差増幅器と、前記誤差増幅器の出力する誤差信号と前記出力周波数信号とを入力し、前記出力周波数信号を、周波数が前記出力周波数信号の周波数に一致し、振幅が前記誤差信号に基づいて設定された振幅を有する正弦波信号に変換する第2変換回路とをさらに備え、前記高周波変調回路は、前記第2変換回路から供給される前記正弦波信号と、前記鋸歯状波信号との信号レベルを比較し、周波数が前記鋸歯状波信号の周波数に一致し、前記正弦波信号の振幅に応じたオンデューティの前記制御信号を生成して前記ドライブ回路に供給し、前記出力可変用信号と前記共振周波数信号との周波数を、前記出力周波数信号の周波数の整数倍としたことを特徴としている。
【0009】
上記高圧電源装置において、前記複数の負荷は、前記画像形成装置が形成する多色画像の各色ごとに備えられた帯電装置であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、ノイズの影響を低減して、安定した電源供給ができる高圧電源装置を提供することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、安定した電源供給ができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、画像形成装置の備える複数の帯電装置に安定した電源供給ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】高圧電源装置の構成を示すブロック図である。
【図2】鋸歯状波生成回路の構成を示す回路図である。
【図3】高周波変調回路の変調方法を説明するための図である。
【図4】高圧電源部の回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例を説明する。
【実施例】
【0015】
図1には、本発明を画像形成装置に搭載された高圧電源装置に適用した実施例の構成を示す。図1に示す高圧電源装置1は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の多色画像を形成する画像形成装置に用いられる高圧電源装置である。高圧電源装置1は、図1に示すように高圧電源部1100と、高圧電源部1100を制御して高圧電源部1100の出力電圧を制御するMCU(マシンコントロールユニット)1000とを備えている。高圧電源部1100は、Y,M,C,Kの各色ごとに1つずつ設けられている。なお、以下では、Y,M,C,K色用の高圧電源部をそれぞれ高圧電源部1100Y,1100M,1100C,1100Kと表記し、高圧電源部1100Y,1100M,1100C,1100Kを特に区別する必要がない場合には、高圧電源部1100と表記する。また、図1には、高圧電源部1100Yの詳細な構成を示し、その他の高圧電源部1100M,1100C,1100Kの構成は、高圧電源部1100Yと同一であるため省略する。
【0016】
高圧電源部1100Yは、交流電圧出力部1200と、直流電圧出力部1250とを備えている。交流電圧出力部1200は、アナログ電圧変換回路1201と、誤差増幅用アンプ(図1には、単にアンプと略記する)1202と、第1ローパスフィルタ1203と、鋸歯状波生成回路1204と、高周波変調回路1205と、FET(Field effect transistor)ドライブ回路1206と、スイッチ回路(以下、スイッチをSWと略記する)1207と、第2ローパスフィルタ1208と、トランス1209と、出力電流検出回路1210とを備えている。
なお、直流電圧出力部1250の構成については、図1では省略する。
【0017】
アナログ電圧変換回路1201は、MCU1000から送られる交流出力可変用信号を入力する。なお、図1には、MCU1000からアナログ電圧変換回路1201に交流出力可変用信号を送信する配線を、配線Aで示す(他色(M,C,K)のアナログ電圧変換回路1201も同様である)。この交流出力可変用信号は、PWM(Pulse Width Modulation)信号である。交流出力可変用信号は、トランス1209の出力である交流出力(正弦波)の電流値を決定する信号であり、例えば、3%〜100%でオンデューティが変化する信号である。
アナログ電圧変換回路1201は、交流出力可変用信号を入力して、入力した交流出力可変用信号のデューティ比(オンデューティとオフデューティとのデューティ比)に応じたアナログ電圧の信号(以下、アナログ電圧信号と呼ぶ)を生成する。例えば、アナログ電圧変換回路1201が電圧変換に使用する基準電圧が5[V]の場合、交流出力可変用信号のオンデューティが25%であれば、5[V]×(25/100)=1.25[V]のアナログ電圧信号となり、オンデューティが50%であれば、5[V]×(50/100)=2.5[V]のアナログ電圧信号となる。アナログ電圧変換回路1201は、生成したアナログ電圧信号を誤差増幅用アンプ1202に送る。
【0018】
誤差増幅用アンプ1202は、アナログ電圧変換回路1201から出力されるアナログ電圧信号を入力する。また、誤差増幅用アンプ1202は、出力電流検出回路1210から出力される電圧信号を入力する。出力電流検出回路1210は、トランス1209が出力する交流出力(正弦波)を入力して、入力した交流出力の電流を検出し、検出した電流を電圧値に変換した電圧信号を生成する。
誤差増幅用アンプ1202は、アナログ電圧変換回路1201から入力したアナログ電圧信号と、出力電流検出回路1210から入力した電圧信号との誤差を算出し、算出した誤差を増幅した誤差増幅信号を生成して第1ローパスフィルタ1203に出力する。
【0019】
第1ローパスフィルタ1203は、MCU1000から供給される出力周波数信号を入力する。なお、図1には、MCU1000から第1ローパスフィルタ1203に出力周波数信号を送信する配線を、配線Bで示す(他色(M,C,K)の第1ローパスフィルタ1203も同様である)。また、第1ローパスフィルタ1203は、誤差増幅用アンプ1202から供給される誤差増幅信号を入力する。出力周波数信号は、矩形波形であって、トランス1209の出力する交流出力の周波数を決定する信号である。出力周波数信号の周波数は、トランス1209から出力される交流出力の周波数に一致する。また、出力周波数信号のデューティは、50%に固定されている。
第1ローパスフィルタ1203は、カップリングコンデンサを備え、矩型波形の出力周波数信号を入力して、コンデンサカップリングにより出力周波数信号の交流成分を取り出す。また、第1ローパスフィルタ103は、出力周波数信号をフィルタ処理し、交流成分となった出力周波数信号の低周波成分を第1ローパスフィルタ103の出力側に出力し、又、出力周波数信号の高周波成分を遮断することで、出力周波数信号の周波数と一致する正弦波信号を生成する。なお、誤差増幅用アンプ1202から供給された誤差増幅信号は、正弦波信号のピーク間(p-p)の電位差(Vp-p)を決定するために使用される。第1ローパスフィルタ103は、生成した正弦波信号を高周波変調回路1205に出力する。
【0020】
鋸歯状波生成回路1204は、共振周波数信号をMCU1000から入力して、この共振周波数信号を鋸歯状波信号に変換する。なお、図1には、MCU1000から鋸歯状波生成回路1204に共振周波数信号を送信する配線を、配線Cで示す(他色(M,C,K)の鋸歯状波生成回路1204も同様である)。共振周波数信号は、高周波変調回路1205が変調して生成する変調波信号(制御信号)の周波数を決める信号である。なお、鋸歯状波信号を生成する鋸歯状波生成回路1204については、特に限定するものではなく、一般的に知られた鋸歯状波生成回路を用いることができる。
図2に鋸歯状波生成回路1204の一例を示す。図2に示す鋸歯状波生成回路1204は、基準電圧(本実施例では、5Vであり、図2には、Vrefと表記する)に接続した配線100に、直列に接続したトランジスタTr1、抵抗R1と、直列に接続したトランジスタTr2、トランジスタTr3、コンデンサCとがそれぞれ接続されている。トランジスタTr1のエミッタは、配線100に接続し、コレクタは、抵抗R1に接続している。また、一端をトランジスタTr1に接続する抵抗R1の他端は、接地されている。また、トランジスタTr2のエミッタは、配線100に接続し、コレクタは、トランジスタTr3のエミッタに接続している。トランジスタTr3のコレクタは、コンデンサCに接続している。一端をトランジスタTr3のコレクタに接続するコンデンサCの他端は接地されている。また、トランジスタTr1とトランジスタTr2とのベースが配線101で接続され、トランジスタTr2のコレクタと配線101とが配線102で接続されている。また、トランジスタTr3のベースは、トランジスタTr1と抵抗R1との接続点に接続している。また、トランジスタTr3とコンデンサCとの接続点と、トランジスタTr4のコレクタとが配線104で接続され、配線104に鋸歯状波生成回路1204の出力端子が接続されている。さらに、トランジスタTr4のベースには、MCU1000から送られる共振周波数信号が印加される。
【0021】
図2に示す鋸歯状波生成回路1204は、トランジスタTr1,Tr2,Tr3により定電流回路を構成する。トランジスタTr1に直列に接続した抵抗R1と、トランジスタTr3に直列に接続したコンデンサCとの時定数により、鋸歯状波信号の立ち上がりタイミングが決定され、トランジスタTr4のベースに印加される共振周波数信号の立ち下がりエッジによりトランジスタTr4がオンすることで鋸歯状波信号の立ち下がりタイミングが決定される。
【0022】
高周波変調回路1205は、第1ローパスフィルタ1203から出力される正弦波信号と、鋸歯状波生成回路1204から出力される鋸歯状波信号とを入力する。図3には、高周波変調回路1205に入力される正弦波信号及び鋸歯状波信号の信号波形と、高周波変調回路1205の生成する変調波信号の信号波形とを示す。図3に点線で示す信号が鋸歯状波信号である。また、正弦波信号は、正弦波信号の半周期分の信号波形を示している。
高周波変調回路1205が生成する変調波信号の周波数は、鋸歯状波信号の周波数に一致する。また、変調波信号のオンデューティは、正弦波信号の振幅がプラス側に極大となる場合に、最小となり、正弦波信号の振幅がマイナス側に極大となる場合に、最大となる。高周波変調回路1205は、生成した変調波信号をSW回路1207に出力する。
【0023】
FETドライブ回路1206は、高周波変調回路1205の生成した変調波信号を入力する。FETドライブ回路1206は、入力した変調波信号の立ち上がりに同期して、SW回路1207のスイッチをオンし、変調波信号の立ち下がりに同期して、SW回路1207のスイッチをオフする。
【0024】
SW回路1207は、FETで構成されたスイッチング素子である。FETドライブ回路1206によって、SW回路1207が断続的にスイッチングされることにより、トランス1209の一次巻線に印加される電圧をスイッチングする。SW回路1207によってスイッチングされた24V電圧をトランス1209により高電圧化してトランス1209の二次巻線に出力する。
【0025】
第2ローパスフィルタ1208は、SW回路1207によってスイッチングされた24V電圧の高周波成分を遮断し、低周波成分をトランス1209の一次巻線に供給する。
【0026】
図4に、図1に示す高圧電源部1100Yの詳細な回路構成の一例を示す。高圧電源部1100Yの構成の説明については、すでに一般的に知られた構成であるため、省略する。なお、図4には、図1では図示を省略した直流電圧出力部1250の構成も示している。図4に示す直流電圧出力部1250は、D−A(デジタル−アナログ)変換回路1251、誤差増幅用アンプ1252、ドライブ回路1253、トランス1254を備えている。なお、図1には、直流電圧出力部1250がMCU1000から入力する直流出力可変用信号を、直流電圧出力部1250に送信する配線を、配線Dで示す(他色(M,C,K)の直流電圧出力部1250も同様である)。直流出力可変用信号は、トランス1254の出力である直流出力の電圧値を決定する信号である。
【0027】
MCU1000から各高圧電源部1100Y,1100M,1100C,1100Kには、出力周波数信号と、共振周波数信号と、交流出力可変用信号と、直流出力可変用信号とが供給される。なお、MCU1000から各高圧電源部1100Y,1100M,1100C,1100Kに供給される出力周波数信号と、共振周波数信号と、交流出力可変用信号との周波数は、それぞれ同一である。
MCU1000から高圧電源部1100Y,1100M,1100C,1100Kに供給される出力周波数信号と、共振周波数信号と、交流出力可変用信号とは、同期がとられた周波数に設定されている。すなわち、共振周波数信号と交流出力可変用信号との周波数が、周波数がもっとも小さい出力周波数信号の整数倍に設定されている。出力周波数信号と、共振周波数信号と、交流出力可変用信号との同期がとれていない場合、複数の周波数が干渉を起こし、トランス1209から出力される交流出力の波形に低周波揺れが発生してしまう。そこで、本実施例では、共振周波数信号と交流出力可変用信号との周波数を、周波数がもっとも小さい出力周波数信号の整数倍に設定し、それぞれの信号が干渉を起こさないようにしている。
また、画像形成装置がプロセススピード(感光体の回転速度、すなわち、画像形成の速度)を変更可能であった場合、プロセススピードの変更に応じて高圧電源部1100の出力である交流出力の周波数や振幅も変更する必要がある。MCU1000は、プロセススピードの変更に伴い出力周波数信号と、共振周波数信号と、交流出力可変用信号とを変更する際に、共振周波数信号と交流出力可変用信号と出力周波数信号とが同期するように各信号の周波数を変更する。
なお、共振周波数信号の周波数は、出力周波数信号の周波数の50倍付近であるのが好ましい。例えば、出力周波数信号の周波数を2[kHz]とした場合、共振周波数信号の周波数は、100[kHz]とするのが好ましい。
【0028】
また、本実施例の高圧電源部1100は、高圧電源部1100Y,1100M,1100C,1100Kのそれぞれに鋸歯状波生成回路1204を設けて、各高圧電源部内で鋸歯状波信号を生成している。
4つの高圧電源部1100Y,1100M,1100C,1100Kに対して鋸歯状波生成回路1204を1つ設けて、この鋸歯状波生成回路1204で生成した鋸歯状波信号を、Y,M,C,Kの各色ごとの高圧電源部1100に供給するようにした場合、鋸歯状波信号を送信する信号線距離が長くなり、高圧電源部1100の回路基板上で信号線を引き回すこととなる。すると、この引き回された信号線が、24V電源ライン(図1に示す配線E)やグランド(GND)ラインに近接してしまう場合がある。
高周波変調を行う高周波変調回路1205においては、外部から入射するノイズによって、画像形成装置で形成される画像に劣化が生じてしまう場合がある。外部から、例えば、RFI(Radio Frequency Interference)ノイズ等のノイズが装置内に侵入した場合、このノイズが24V電源ラインやグランドラインをつたわり、高圧電源部1100の内部にまで侵入してしまう可能性がある。ノイズが、24V電源ラインやグランドラインに近接配置された鋸歯状波信号の配線をつたわり、鋸歯状波信号にノイズが重畳された場合、特に、本実施例の高圧電源部1100は、高周波変調回路1205において、鋸歯状波信号と正弦波信号とを比較しながら変調を行うため、高周波変調回路1205の変調に異常が生じ、第2ローパスフィルタ1208から出力される正弦波信号の波形に歪みが生じる。このため、帯電装置を正常に帯電させることができなくなり、画質の劣化が生じる場合がある。
そこで、本実施例では、高圧電源部1100Y,1100M,1100C,1100Kのそれぞれに鋸歯状波生成回路1204を設け、さらに、図4に示すように鋸歯状波生成回路1204を、高周波変調回路1205の近傍に配置することで、鋸歯状波生成回路1204から高周波変調回路1205に鋸歯状波信号を送信する信号線の線長をできるだけ短くし、高周波変調回路1205がノイズの影響を受けないようにしている。
【0029】
上述した実施例は、本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1000 MCU
1100 高圧電源部
1200 交流電圧出力部
1201 アナログ電圧変換回路
1202 誤差増幅用アンプ
1203 第1ローパスフィルタ
1204 鋸歯状波生成回路
1205 高周波変調回路
1206 FETドライブ回路
1207 スイッチ回路
1208 第2ローパスフィルタ
1209 トランス
1210 出力電流検出回路
1250 直流電圧出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の備える複数の負荷に電源を供給する高圧電源装置であって、
トランスと、前記トランスの一次巻線に印加される電圧をスイッチングするスイッチング素子と、前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御信号を生成する高周波変調回路と、前記高周波変調回路から供給される制御信号に従って前記スイッチング素子のオン、オフ切り替えを行うドライブ回路と、前記制御信号の周波数を決定する共振周波数信号を前記高圧電源装置の制御手段から入力して、前記共振周波数信号を鋸歯状波信号に変換する第1変換回路とを備える高圧電源部を前記複数の負荷ごとに複数備え、
前記第1変換回路を前記高周波変調回路の近接に配置し、前記第1変換回路から前記高周波変調回路に供給される前記鋸歯状波信号を送信する配線の配線長を短くしたことを特徴とする高圧電源装置。
【請求項2】
前記トランスの二次巻線から出力される交流出力の周波数を制御する出力周波数信号と、前記共振周波数信号と、前記交流出力の電流値を制御する出力可変用信号とを前記複数の高圧電源部に送信して、前記交流出力を制御する前記制御手段を備え、
前記高圧電源部は、前記交流出力の電流値を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段で検出される前記交流出力の電流値を電圧に変換した電圧値と、前記出力可変用信号との誤差を求めて増幅する誤差増幅器と、前記誤差増幅器の出力する誤差信号と前記出力周波数信号とを入力し、前記出力周波数信号を、周波数が前記出力周波数信号の周波数に一致し、振幅が前記誤差信号に基づいて設定された振幅を有する正弦波信号に変換する第2変換回路とをさらに備え、
前記高周波変調回路は、前記第2変換回路から供給される前記正弦波信号と、前記鋸歯状波信号との信号レベルを比較し、周波数が前記鋸歯状波信号の周波数に一致し、前記正弦波信号の振幅に応じたオンデューティの前記制御信号を生成して前記ドライブ回路に供給し、
前記出力可変用信号と前記共振周波数信号との周波数を、前記出力周波数信号の周波数の整数倍としたことを特徴とする請求項1記載の高圧電源装置。
【請求項3】
前記複数の負荷は、前記画像形成装置が形成する多色画像の各色ごとに備えられた帯電装置であることを特徴とする請求項1又は2記載の高圧電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−63416(P2012−63416A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205613(P2010−205613)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】