説明

高均一照度が得られる照明装置及び照明方法

【課題】大面積照射面を持つ分光器やソーラシミュレータからの照度均一性が標準測定法の最高等級クラスAに適合する±2%以内となる高均一照明装置を提供する。
【解決手段】光源21から放射された光の照射面33における高均一照度を高速に実現する照明装置であって、矩形状の光束を出射する光源21と、光源21からの出射光を入射し、該入射光を微小な鏡の開閉制御により反射・非反射を制御するDMD26と、DMD26によって反射された光を整形する光学系28と、光学系28からの出射光を照射光とモニタ光に分けるハーフミラー30と、前記照射光が照射される照射面33と、前記モニタ光の照度を測定するモニタ部34と、モニタ部34で測定された測定結果に基づいて、DMD26の各微小な鏡の開閉を制御する制御信号をDMD26に送信する制御部35と、を備え、照射面33における照度分布を所定値に調整する照明装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高均一照度が高速で得られる照明装置及び照明方法に係わり、特に、太陽電池モジュール級の大面積分光器やソーラシミュレータ等の大面積照射に適用される照射面において、高均一照度を高速で実現することのできる照明装置及び照明方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラシミュレータによる太陽電池の正確な測定のためには、照射面における照度が高い均一度、例えば、標準測定法の最高等級クラスAにおいて±2%以内の均一度が必要である。
図7は、従来技術に係る標準的な太陽電池測定に用いられてきたソーラシミュレータの光学システムの概要を示す図である。
同図に示すように、この光学システムにおいて、放電ランプ101から出射された光は、楕円反射鏡102によって反射されて、楕円反射鏡102の開口部に向けて放射される。放射された放射光は、平面反射鏡103、照度を均一化するインテグレータレンズ104、平面反射鏡105、及び拡散光を平行光化するコリメーションレンズ106を介して、照射面107(太陽電池モジュール表面)に照射される。
【0003】
しかし、上記の光学システムでは、光学系中にコリメーションレンズ106が用いられている。しかし、コリメーションレンズ106は球面収差を持つ。そのために、照射面107には同心円状に照度ムラが生じ、太陽電池モジュール級の大面積の照射面107における照度の均一度を上げることが非常に困難であった。この照度ムラは、コリメーションレンズ106の形状を変えることである程度緩和することができるが、全く無くすことは原理的にできない。さらに、上記の球面収差以外にも、コリメーションレンズ106の両面と照射面107(太陽電池モジュール表面)との間に生ずる多重反射により、コリメーションレンズ106の光軸中心部分の照度が他の部分より高くなる現象があり、これによる均一度の乱れは、従来のいかなる手段を用いても解消することはできなかった。
【0004】
つまり、従来技術を用いられているソーラシミュレータでは、球面収差と多重反射の影響による照度ムラが大きく、照度ムラが、標準測定法の最高等級クラスAにおける±2%よりもはるかに大きな値になる。特に、多重反射による影響は、照射面(太陽電池表面)が品種ごとに異なる反射率を有するため、たとえある品種の太陽電池に対し、ある光学系を用いて照度の均一度を所期の範囲内に収めたとしても、別品種に対しては、照度均一度が所期の範囲を逸脱するおそれがある。つまり、異なる反射率という変動要因に対して、固定した装置によって問題に対処することはできないということである。すなわち、異なる表面反射率を持つ品種ごとに、光学系を変える必要が生じるため、従来方式を踏襲する限り、実用的な高均一照度が得られる照明装置及び照明方法の実現可能性は極めて低いものであった。
【0005】
また、従来、太陽電池モジュール級の大面積分光器から分光された光を、照射面において高均一照度に調整するためには、分光波長掃引の回折格子を含む光学系配置中における調整と、出射スリットの後の光学インテグレータによる調整の2つの調整手段が採られていた。しかし、第1の調整手段では、いかなる光学系配置を採用しても、分光波長掃引の目的で回折格子を回転させる際、出射スリットで得られるビーム均一度が波長に対し変化し、また、出射スリットの幅も波長に対して一定とは限らないため、これを入射光とし光学系でいかに調整しても、大面積の照射面の照度均一度を上げることは難しかった。また、第2の調整手段については、光学インテグレータとして使用するフライアイレンズの色収差・球面収差が原因となり、やはり得られる照度均一度が波長に対して変化する。つまり、第1及び第2のいずれの調整手段によっても、波長という変動要因に対し、固定した装置をもって問題に対処することはできなかった。
【0006】
更に、従来の分光器においては、この分光の照射均一度の波長変化を実際に測定し、調整する技術も存在しなかった。これは、従来の分光感度測定対象が、5cm平方程度の太陽電池セル級以下の小面積の試料に限られ、その照度均一度が、それほど問題とされなかったことにもよる。しかし近年では、分光感度測定対象が、太陽電池セル級の小型試料から太陽電池モジュール級の大型試料に広がっており、照射面積を数十cm平方程度まで広げる必要があるが、そのような太陽電池モジュール級の大面積分光器の照度均一度に対処する技術は存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−183851号公報
【特許文献2】特開平8−146911号公報
【特許文献3】特開2002−189178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、分光器から出射されるような異なる波長毎の照射光の照度分布をリアルタイムでモニタし、DLP(登録商標)(Digital Light Processing)に利用される、平面基板上に複数個の開閉制御可能な微小ミラーを2次元的に配列して構成されたDMD(Digital Mirror Device)を用いて照射面の微少部分の照度を制御することにより、太陽電池の標準測定に必要な、最高等級クラスAに適合する±2%以下の照度均一度の高い単色照射光を得ることのできる照明装置及び照明方法を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、種々の品種からなる太陽電池毎に、照射光をリアルタイムにDMDを制御することにより、従来技術におけるコリメーションレンズの収差や多重反射の影響を解消して、太陽電池の標準測定の最高等級クラスAに適合する±2%以下の照度均一度の高い照射光を得ることのできる照明装置及び照明方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、光源から放射された光の照射面において高均一照度が得られる照明装置であって、矩形状の光束を出射する光源と、該光源から出射した光を入射し、該入射された光を微小な鏡の開閉制御により反射・非反射を制御するDMDと、該DMDによって反射された光を整形する光学系と、該光学系から出射した光を照射光とモニタ光に分けるモニタ用ハーフミラーと、前記照射光が照射される照射面と、前記モニタ光の照度を測定するモニタ部と、該モニタ部で測定された測定結果に基づいて、前記DMDの各微小な鏡の開閉を制御する制御信号を前記DMDに送信する制御部と、を備え、前記照射面における照度分布を所定の値に調整することを特徴とする照明装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記光源から出射する光が、分光器から出射する分光光であることを特徴とする照明装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記光源と前記DMDとの間に、前記光源から出射した光を反射された主光と透過光に分ける制御用ハーフミラーと、該制御用ハーフミラーを透過した透過光を反射する反射鏡とを配置し、前記DMDは、前記反射鏡で反射された反射光を入射し、該入射された反射光を微小な鏡の開閉制御により反射・非反射を制御するDMDであって、前記光学系は、前記主光と前記DMDによって反射された副光とが加算された光を整形する光学系であることを特徴とする照明装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記光源が、ソーラシミュレータ用光源であることを特徴とする照明装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1つの請求項において、前記モニタ部が、CCDで構成されることを特徴とする照明装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の照明装置において、光源から放射された光の照射面における高均一照度を高速に実現するための高均一照明方法であって、前記光源からの光を前記DMDに向けて出射するステップ1と、前記モニタ部に映る光源像が互いに隣接する複数個の光源像群から成るように、各光源像群のそれぞれに対応する鏡(以下、選別鏡と呼ぶ)を選別するステップ2と、前記DMDの全ての鏡を閉じた迷光状態において、前記各選別鏡の位置に対応する迷光照度を前記モニタ部において測定し、記憶するステップ3と、前記選別鏡を順次1個ずつ開くと同時に、それ以外の選別鏡は閉じ、順次開いた選別鏡の位置に対応する照度を前記モニタ部において測定し、記憶するステップ4と、前記選別鏡毎に、前記ステップ4で取得した照度から、前記ステップ3で取得した迷光照度を差し引いて、全ての選別鏡毎の位置に対応する真の照度を算出し、全ての選別鏡の位置に対応する真の照度からなる対応表を作成し、記憶するステップ5と、前記選別鏡の中から最小の矩形を形成する4個の選別鏡を選択し、前記選択された4個の選別鏡が形成する矩形内に位置する残余の鏡(以下、非選別鏡と呼ぶ)の位置に対応する照度を、前記選択された各選別鏡の位置に対応する照度から平面状に線形補間して算出し、該算出処理を、全ての非選別鏡の位置に対応する照度を求めるまで繰り返し行い、全ての非選別鏡毎の位置に対応する真の照度を算出し、全ての非選別鏡の位置に対応する真の照度からなる対応表を作成し、記憶するステップ6と、前記DMDの全ての鏡を開いて、前記モニタ部において照度を測定し、測定された照度から、平均照度Φmeam、最大照度Φmax、最小照度Φmin、及び最大照度Φmaxの位置を算出するステップ7と、Δを任意の定数として、最大照度Φmax/平均照度Φmeam<1+Δ、かつ最小照度Φmin/平均照度Φmeam>1−Δの条件を充足するかを判定するステップ8と、前記条件を充足するときは、処理を終了し、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、最大照度Φmaxを呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じるステップ9と、再び、前記ステップ8の処理を繰り返し、前記条件を充足するかを判定し、前記条件を充足しないときは、前記ステップ9において、全ての対応表から、残余の最大照度を呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じて、前記ステップ9の処理を繰り返し、前記照射面における照度分布を所定の値に迅速に調整することを特徴とする照明方法である。
請求項7に記載の発明は、請求項6において、前記ステップ9において、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、最大照度Φmaxを呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じる処理に代えて、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、所定の照度より大きな照度を呈する位置に対応する全ての鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じることを特徴とする照明方法である。
請求項8に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の高均一照明装置において、光源から放射された光の照射面における高均一照度を高速に実現するための高均一照明方法であって、前記光源からの光を前記制御用ハーフミラーに向けて出射するステップ11と、前記モニタ部に映る光源像が互いに隣接する複数個の光源像群から成るように、各光源像群のそれぞれに対応する鏡(以下、選別鏡と呼ぶ)を選別するステップ12と、前記DMDの全ての鏡を閉じた迷光状態において、前記各選別鏡の位置に対応する迷光照度を前記モニタ部において測定し、記憶するステップ13と、前記選別鏡を順次1個ずつ開くと同時に、それ以外の選別鏡は閉じ、順次開いた選別鏡の位置に対応する照度を前記モニタ部において測定し、記憶するステップ14と、前記選別鏡毎に、前記ステップ14で取得した照度から、前記ステップ13で取得した迷光照度を差し引いて、全ての選別鏡毎の位置に対応する真の照度を算出し、全ての選別鏡の位置に対応する真の照度からなる対応表を作成し、記憶するステップ15と、前記選別鏡の中から最小の矩形を形成する4個の選別鏡を選択し、前記選択された4個の選別鏡が形成する矩形内に位置する残余の鏡(以下、非選別鏡と呼ぶ)の位置に対応する照度を、前記選択された各選別鏡の位置に対応する照度から平面状に線形補間して算出し、該算出処理を、全ての非選別鏡の位置に対応する照度を求めるまで繰り返し行い、全ての非選別鏡毎の位置に対応する真の照度を算出し、全ての非選別鏡の位置に対応する真の照度からなる対応表を作成し、記憶するステップ16と、前記DMDの全ての鏡を開いて、前記モニタ部において照度を測定し、測定された照度から、平均照度Φmeam、最大照度Φmax、最小照度Φmin、及び最大照度Φmaxの位置を算出するステップ17と、Δを任意の定数として、最大照度Φmax/平均照度Φmeam<1+Δ、かつ最小照度Φmin/平均照度Φmeam>1−Δの条件を充足するかを判定するステップ18と、前記条件を充足するときは、処理を終了し、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、最大照度Φmaxを呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じるステップ19と、再び、前記ステップ18の処理を繰り返し、前記条件を充足するかを判定し、前記条件を充足しないときは、前記ステップ19において、全ての対応表から、残余の最大照度を呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じて、前記ステップ18の処理を繰り返し、前記照射面における照度分布を所定の値に迅速に調整することを特徴とする照明方法である。
請求項9に記載の発明は、請求項8において、前記ステップ19において、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、最大照度Φmaxを呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を開く処理に代えて、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、所定の照度より大きな照度を呈する位置に対応する全ての鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じることを特徴とする照明方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る高均一照度が得られる照明装置及び照明方法によれば、ソーラシミュレータや大面積分光器から出射される照射光を、太陽電池モジュール級大面積試料に適用される標準測定法の最高等級クラスAに適合する照射面均一度を有する高均一照明装置及び高均一化照明方法を高速に実現することができる。すなわち、本発明に係る高均一照度が得られる照明装置及び照明方法によれば、太陽電池における照射面均一度を標準測定法の最高等級クラスAで定める照度均一度、±2%以内に高速に収めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】DLPを用いたプロジェクタのスクリーン制御を模式化した図である。
【図2】第1の実施形態に係る太陽電池モジュール級の大面積分光器に適用される高均一照度が得られる照明装置の概要を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る高均一照度が得られる照明方法を説明するための模式図である。
【図4】第1の実施形態に係る高均一照度が得られる照明方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係るソーラシミュレータ等の大面積照射に適用される高均一照度が得られる照明装置の概要を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る高均一照度が得られる照明方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】従来技術に係る標準的な太陽電池測定に用いられてきたソーラシミュレータの光学システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
はじめに、本発明の下記に詳述する各実施形態の説明に先立って、各実施形態に適用されるDLPについて図1を用いて説明する。 図1は、DLPを用いたプロジェクタのスクリーン制御を模式化した図である。
同図において、DLP1は、典型的にはプロジェクタ2に応用されている。光ビーム3は、DLP1のディジタル制御されたIC上の微少な複数の鏡(DMD)11に照射され、この微小な複数の鏡(DMD)11の開閉によってON/OFF制御され、微小な複数の鏡(DMD)11で反射された光はスクリーン4上に投影され、画像を投影表示することができる。プロジェクタの投影システムとしては、他に液晶使用のシステムもあるが、動作速度、光の使用効率、耐久性等の点では、DLPを用いるシステムが優れている。
【0013】
更に、図1に示したDLPによるプロジェクタのスクリーン制御について詳述する。なお、ここでは、簡単のためにDMD11の微少な鏡の数は4つとした。
同図に示すように、点光源5を出た光は、第1のレンズ6で平行光となり、DLP1に入射する。この光ビーム3は、IC上の微少な鏡(DMD)11に入り、個々の鏡(DMD)11の開閉によって、1本ずつON/OFFされて画像を反映した平行光線7の束となる。その後、この光線7の束は第2のレンズ8によって拡大され、スクリーン4上に白(開)黒(閉)の像として投影される。この場合、点光源5を出てDLP1上のある位置の鏡(DMD)11を経由しスクリーン4に到達する光線の光路は、他の位置の鏡(DMD)11を経由した光の光路と交わることはない。したがって、点光源5、DMD11、スクリーン4の組み合わせを更に模式化すると、点光源5の光が、無数のピンホールが並ぶ壁(DMD)を経由して、スクリーン4に到達するモデルに置き換えることができる。このとき、スクリーン4上に写る像は、壁(DMD)のピンホールの開閉により、その形が定まる。
【0014】
次に、本発明の第1の実施形態を図2〜図4を用いて説明する。
図2は、太陽電池モジュール級の大面積分光器に適用される高均一照度が得られる照明装置の概要を示す図である。
同図において、分光器21の、例えば、光学スリットからなる出射口22から出射した分光光23は、平面反射鏡24によって反射され、反射光25となって、各鏡面サイズが10数μmで、数十から数百万個にも及ぶ格子状に形成された微小な鏡からなるDMD26に入射される。DMD26の微小な鏡の開閉により、入射した反射光25は制御されて反射光27となって、照射面33に向けて出射される。反射光27は、コリメーションレンズ等からなる光学系28で整形され平行光29となって、モニタ用ハーフミラー30に入射される。モニタ用ハーフミラー30に入射した平行光29は、照射光31とモニタ光32に分岐される。分岐したモニタ光32は、その照度を照射面33と等価な位置で、2次元イメージセンサからなるCCD等で構成されるモニタ部34により測定される。モニタ部34で測定されたCCDの各画素に対応するCCD素子から得られる測定データは、制御部35に入射される。制御部35では、測定データに基づいて、DMD26の各微小な鏡の開閉制御データを計算し、例えば、照度の高い領域に属する微小な鏡の反射光25は照射面33側に反射させないように、DMD26の各微小な鏡開閉を制御する。このDMD26の鏡開閉制御により、モニタ部34により測定される照度分布は、均一な照度分布に近づき、この処理手順を何度か繰り返すことにより、照射面33における照度分布を、所期の均一な値、すなわち、太陽電池の標準測定の最高等級クラスAに規定する±2%以下の高均一照度を有する単色照射光に調整することができる。
【0015】
図3は、本実施形態に係る高均一照明方法を説明するための模式図である。
同図に示すように、分光器21の、例えば、光学スリットからなる出射口22から出射した分光光23は、DMD26の多数のピンホール(鏡面サイズが10数μmで、数十から数百万個にも及ぶ格子状に形成された多数の微小な鏡に相当)を通り、拡大されてCCD等のモニタ部34表面に照射される場合に置き換えることができる。なお、モニタ部34表面の照度の均一化を図ることによって、照射面33における照度の均一化を図ることができる。ここで、出射口22から出射した光は、DMD26全体に照射されるが、DMD26を複数のピンホール(複数の微小鏡)によって形成されているとすると、まず、選別された複数のピンホール(複数の選別鏡a)の位置に対応するモニタ部34に映し出される複数個の光源像群Aの照度を測定する。一方、選別されない複数のピンホール(複数の非選別鏡b)の位置に対応する照度は、制御部35において、測定された複数の各選別鏡aの位置に対応する照度に基づいて、平面状に線形補間処理により算出する。これによって、制御部35において、選別鏡a及び非選別鏡bの各位置に対応する照度を取得することができる。複数の選別鏡aによる照度測定は、1枚1枚の選別鏡aによる照度測定をしなければならないため時間を要する。つまり、制御部35における処理はコンピュータ処理されるので処理時間は問題とならないが、DMD26における数十から数百万個にも及ぶ格子状に形成された多数の微小な鏡を逐次開閉制御するためには多大な処理時間を要する。そのため、DMD26における多数の微小な鏡の逐次開閉制御するための時間を短縮するために、全体として照度の均一化処理に悪影響を与えない範囲で、複数の各選別鏡aを開閉制御するものである。その結果、本実施形態に係る高均一化照明方法によれば、例えば、開閉制御に要する時間を、選別鏡aの数N/微小鏡の全数(数十から数百万個)付近に短縮することができる。より具体的には、1枚の選別鏡による光源像データのモニタによる取り込みの所要時間は1秒程度、1万枚程度の非選別鏡光源像に共通な補間係数計算の所要時間も1秒程度である。
【0016】
図4は、本実施形態に係る図2記載の照明装置において、高均一照度を迅速に得るための照明方法の処理手順を示すフローチャートである。なお、本実施形態に係る高均一照明方法においては、分光器21から出射する分光光は、通常、ソーラシミュレータ用の光源から出射する光等より弱いので、照射面33における光の不均一度を助長する光のピーク値を削除する、いわゆる山均し制御を行う。
まず、測定が開始されると、ステップS1において、分光器21(出射口22)から分光光をDMD26に向けて出射する。
次に、ステップS2において、モニタ部34に映る光源像が互いに隣接する複数個の光源像群から成るように、各光源群像のそれぞれに対応する鏡(以下、選別鏡aと呼ぶ)を選別する。
次に、ステップS3において、DMD26の全ての鏡を閉じた迷光状態において、各選別鏡aの位置(xd1,yd1)、(xd1,yd2)・・・(xdm,ydn)に対応する迷光照度(Φp01)、(Φp02)・・・(Φp0m×n)をモニタ部34において測定して制御部35に記憶する。
次に、ステップS4において、各選別鏡aを順次1個ずつ開き(ある1個の鏡が開いている時は、他の全ての鏡は閉じる)、モニタ部34において、各選別鏡aの位置(xd1,yd1)、(xd1,yd2)・・・(xdm,ydn)に対応する照度(Φp1)、(ΦP2)・・・(Φpm×n)を測定して制御部35に記憶する。
次に、ステップS5において、制御部35において、ステップS4において測定した各選別鏡aの位置(xd1,yd1)、(xd1,yd2)・・・(xdm,ydn)に対応する照度(Φp1)、(Φp2)・・・(Φpm×n)から、各選別鏡aの位置(xd1,yd1)、(xd1,yd2)・・・(xdm,ydn)に対応する迷光照度(Φp01)、(Φp02)・・・(Φp0m×n)を差し引いて、全ての各選別鏡aの位置(xd1,yd1)、(xd1,yd2)・・・(xdm,ydn)に対応する(真の)照度(Φp1−Φp01)、(ΦP2−Φp02)・・・(Φpm×n−Φp0m×n)を算出し、全ての選別鏡aの位置(xd1,yd1)、(xd1,yd2)・・・(xdm,ydn)に対応する(真の)照度からなる対応表を作成し、記憶する。
次に、ステップS6において、制御部35において、選別鏡aの中から最小の矩形を形成する4個の選別鏡aを選択し、選択された4個の選別鏡aが形成する矩形内に位置する残余の鏡(以下、非選別鏡bと呼ぶ)の位置に対応する照度を、選択された各選別鏡aの位置に対応する照度から平面状に線形補間して算出し、この算出処理を、全ての非選別鏡bの位置に対応する照度を求めるまで繰り返し行い、全ての非選別鏡bの位置(xe1,ye1)、(xe1,ye2)・・・(xek,yel)に対応する照度(Φq1)、(Φq2)・・・(Φqk×l)を算出し、全ての非選別鏡bの位置(xe1,ye1)、(xe1,ye2)・・・(xek,yel)に対応する照度(Φq1)、(Φq2)・・・(Φqk×l)からなる対応表を作成し、記憶する。
次に、ステップS7において、DMD26の全ての鏡を開いて、モニタ部34において照度を測定し、測定された照度から、平均照度Φmeam、最大照度Φmax、最小照度Φmin、及び最大照度Φmaxの位置(Xmax,Ymax)を算出する。
次に、ステップS8にいて、Δを任意の定数として、最大照度Φmax/平均照度Φmeam<1+Δ、かつ最小照度Φmin/平均照度Φmeam>1−Δの条件を充足するかを判定する。
次に、ステップS9において、ステップS8の条件を充足するときは、処理を終了し、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から(ステップ5及びステップ6によって得られた全ての鏡の位置に対応する照度からなる対応表から)、最大照度Φmaxを呈する位置(Xmax,Ymax)に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じる。
次に、再び、前記ステップ8の処理を繰り返し、前記条件を充足するかを判定し、前記条件を充足しないときは、前記ステップ9において、全ての対応表から、残余の最大照度を呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じて、前記ステップ8の処理を繰り返し、照射面33における照度分布を所定の値に迅速に調整する。
【0017】
なお、前記ステップ9において、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、最大照度Φmaxを呈する位置(Xmax,Ymax)に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じる処理に代えて、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、所定の照度より大きな照度を呈する位置に対応する全ての鏡を閉じるようにしてもよい。これによって、処理速度をより一層向上させることができる。
【0018】
次に、本発明の第2の実施形態を図5〜図6を用いて説明する。
図5は、ソーラシミュレータ等の大面積照射に適用される高均一照明装置の概要を示す図である。
同図において、不図示の放電ランプ等から出射し、不図示の楕円反射鏡によって反射された光源41の出射口42から出射した太陽光並の放射光43は、制御用ハーフミラー44によって、反射された主光45と透過光46とに分かれる。透過光46は、低反射率である平面反射鏡47によって反射され、低強度の反射光48となって、各鏡面サイズが10数μmで、数十から数百万個の格子状に形成された微小な鏡からなるDMD49に入射される。低反射率の平面反射鏡47を用いるのは、DMD49への入射光強度を太陽光よりもずっと小さく抑え、DMD49への入射光による劣化を防止するためである。DMD49で反射された副光50は、制御用ハーフミラー44を透過し、先に制御用ハーフミラー44によって反射された主光45と共に、コリメーションレンズ等からなる光学系51で整形されて、モニタ用ハーフミラー53に入射される。モニタ用ハーフミラー53に入射した主光45と副光50とからなる平行光52は、照射光54とモニタ光55に分岐される。分岐したモニタ光55は、その照度を照射面56と等価な位置で、2次元イメージセンサからなるCCD等で構成されるモニタ部57により測定される。モニタ部57で測定されたCCDの各画素に対応するCCD素子から得られる測定データは、制御部58に入力される。制御部58では、測定データに基づいて、DMD49の各微小な鏡の開閉制御データを計算し、例えば、照度の低い領域に属する鏡の反射光48は照射面56側には反射させるように、DMD49の各微小な鏡の開閉を制御する。DMD49の鏡開閉制御により、モニタ部57において測定された照度分布は、均一な照度分布に近づき、この処理手順を何度か繰り返すことにより、照射面56における照度分布を、所期の均一な値、すなわち、太陽電池の標準測定の最高等級クラスAに規定する±2%以下の均一な照度分布に調整することができる。
【0019】
図6は、本実施形態に係る図5に記載の照明装置において、高均一照度を迅速に得るための照明方法の処理手順を示すフローチャートである。
なお、本実施形態に係る高均一化照明方法においては、光源41から出射する光は、ソーラシミュレータ用の光源である場合は、分光光等に比べて出射する光が強いので、照射面56における光の不均一度を助長する光のボトム値を底上げする、いわゆる谷埋め制御を行うことも出来る。
まず、測定が開始されると、ステップS11において、光源41(出射口42)からの光を制御用ハーフミラー44に向けて出射する。
次に、ステップS12において、モニタ部57に映る光源像が互いに隣接する複数個の光源像群から成るように、各光源像群のそれぞれに対応する鏡(以下、選別鏡aと呼ぶ)を選別する。
次に、ステップS13において、DMD49の全ての鏡を閉じ、制御用ハーフミラー44で反射されている迷光状態において、各選別鏡aの位置(xd1,yd1)、(xd1,yd2)・・・(xdm,ydn)に対応する迷光照度(Φp01)、(Φp02)・・・(Φp0m×n)をモニタ部57において測定して制御部58に記憶する。
次に、ステップS14において、各選別鏡aを順次1個ずつ開き(ある1個の鏡が開いている時は、他の全ての鏡は閉じる)、モニタ部57において、各選別鏡aの位置(xd1,yd1)、(xd1,yd2)・・・(xdm,ydn)に対応する照度(Φp1)、(ΦP2)・・・(Φpm×n)を測定して制御部58に記憶する。
次に、ステップS15において、制御部58において、ステップS4において測定した各選別鏡aの位置(xd1,yd1)、(xd1,yd2)・・・(xdm,ydn)に対応する照度(Φp1)、(Φp2)・・・(Φpm×n)から、各選別鏡aの位置(xd1,yd1)、(xd1,yd2)・・・(xdm,ydn)に対応する迷光照度(Φp01)、(Φp02)・・・(Φp0m×n)を差し引いて、全ての各選別鏡aの位置(xd1,yd1)、(xd1,yd2)・・・(xdm,ydn)に対応する(真の)照度(Φp1−Φp01)、(ΦP2−Φp02)・・・(Φpm×n−Φp0m×n)を算出し、全ての選別鏡aの位置(xd1,yd1)、(xd1,yd2)・・・(xdm,ydn)に対応する照度からなる対応表を作成し、記憶する。
次に、ステップS16において、制御部58において、選別鏡aの中から最小の矩形を形成する4個の選別鏡aを選択し、選択された4個の選別鏡aが形成する矩形内に位置する残余の鏡(以下、非選別鏡bと呼ぶ)の位置に対応する照度を、選択された各選別鏡aの位置に対応する照度から平面状に線形補間して算出し、この算出処理を、全ての非選別鏡bの位置に対応する照度を求めるまで繰り返し行い、全ての非選別鏡bの位置(xe1,ye1)、(xe1,ye2)・・・(xek,yel)に対応する照度(Φq1)、(Φq2)・・・(Φqk×l)を算出し、全ての非選別鏡bの位置(xe1,ye1)、(xe1,ye2)・・・(xek,yel)に対応する照度(Φq1)、(Φq2)・・・(Φqk×l)からなる対応表を作成し、記憶する。
次に、ステップS17において、DMD49の全ての鏡を開いて、モニタ部57において照度を測定し、測定された照度から、平均照度Φmeam、最大照度Φmax、最小照度Φmin、及び最大照度Φmaxの位置(Xmax,Ymax)を算出する。
次に、ステップS18にいて、Δを任意の定数として、最大照度Φmax/平均照度Φmeam<1+Δ、かつ最小照度Φmin/平均照度Φmeam>1−Δの条件を充足するかを判定する。
次に、ステップS19において、ステップS18の条件を充足するときは、処理を終了し、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から(ステップ15及びステップ16によって得られた全ての鏡の位置に対応する照度からなる対応表から)、最大照度Φmaxを呈する位置(Xmax,Ymax)に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じる。
次に、再び、前記ステップ18の処理を繰り返し、前記条件を充足するかを判定し、前記条件を充足しないときは、前記ステップ19において、全ての対応表から、残余の最大照度を呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じて、前記ステップ18の処理を繰り返し、照射面56における照度分布を所定の値に迅速に調整する。
【0020】
なお、前記ステップ19において、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、最大照度Φmaxを呈する位置(Xmax,Ymax)に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じる処理に代えて、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、所定の照度より大きな照度を呈する位置に対応する全ての鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じるようにしてもよい。これによって、処理速度をより一層向上させることができる。
【0021】
ここで、上記の各実施形態の高均一照明装置におけるDLP(登録商標)の使用と、プロジェクタにおけるDLPの使用との違いについて説明する。
各実施形態の高均一照明装置においても、光源からの光がDLPを経由して、スクリーン相当の試料面に到達するという基本の仕組みは、プロジェクタの場合と同じである。しかし、上記の各実施形態における大面積分光器やソーラシミュレータに利用される高均一照明装置は、以下の2点において、プロジェクタの場合とは異なる。
【0022】
第1に、各実施形態の高均一照明装置(高均一照明方法)においては、光源の形が広がりを持っている点である。つまり、光源の形は、プロジェクタの場合は、点光源であるのに対して、第1の実施形態の大面積分光器の場合は、長方形のスリット(出射口22)であり、第2の実施形態のソーラシミュレータの場合は、出口が正方形のインテグレータ(出射口42)であり、いずれも、点光源ではなく矩形の広がりを持った出射口を有する。そのため、DMD上のある1個の鏡位置を経由してスクリーン相当の試料面に描かれるのは、広がりを持つ長方形や正方形の光源像となる。つまり、スクリーン相当の照射面上に全体として描かれるのは、複数の開かれた鏡位置を経由した、長方形や正方形の光源像の重なりである。
【0023】
第2に、各実施形態の高均一照明装置(高均一照明方法)においては、鏡開閉による照度制御を施さない状態では、光の強さが一定でない点である。つまり、第1の実施形態の大面積分光器の場合は、波長によってスリットの枠内の光の輝度が変化する。また、第2の実施形態のソーラシミュレータの場合は、インテグレータ枠内の光の輝度が変化すると共にコリメーションレンズと太陽電池表面との間に生ずる多重反射により、光軸中心の照度が大きくなるという作用がある。つまり、太陽電池の品種が変わると、実効的な光源の強さが変化する。従って、鏡開閉の最適解は、第1の実施形態の大面積分光器の場合は、波長ごとに、第2の実施形態のソーラシミュレータの場合は、品種ごとに求める必要がある。
【0024】
つまり、各実施形態の高均一照明装置におけるDLPの鏡開閉の最適解は、DMDへのフィードバック制御を繰り返すことによって得られる。
上記の各実施形態の照明装置においては、光が一定の広がりを持つ矩形枠の出射口21(42)から入射し、枠内の輝度が変化し、さらにその光が光学系の収差の影響を受ける場合に、その光をDMD26(49)の個々の鏡群開閉によってリアルタイムに制御し、個々の光源像の重なりとして得られる照射面の照度を均一化するものである。個々の鏡群制御をリアルタイムに行なうための最適解は、フィードバック制御の繰り返しにより求める。鏡群制御の最適解は、光学系の収差が無ければ数学的に求まるが、実際には収差が有るので、フィードバック制御が必要となる。すなわち、照射面33(56)における均一な照度分布を得るためには、照射面33(56)と等価の位置に置かれたモニタ部34(57)で測定し、その測定データを、より良い鏡群制御のためにDMD26(49)にフィードバックするという手順を所期の照度均一度が得られるまで繰り返すことによって得ることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 DLP
11 微少な鏡
2 プロジェクタ
3 光ビーム
4 スクリーン
5 点光源
6 第1のレンズ
7 平行光線
8 第2のレンズ
21 分光器
22 出射口
23 分光光
24 平面反射鏡
25 反射光
26 DMD
27 反射光
28 光学系(コリメーションレンズ)
29 平行光
30 モニタ用ハーフミラー
31 照射光
32 モニタ光
33 照射面
34 モニタ部
35 制御部
41 光源
42 出射口
43 放射光
44 制御用ハーフミラー
45 主光
46 透過光
47 平面反射鏡
48 反射光
49 DMD
50 副光
51 光学系(コリメーションレンズ)
52 平行光
53 モニタ用ハーフミラー
54 照射光
55 モニタ光
56 照射面
57 モニタ部
58 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から放射された光の照射面において高均一照度が得られる照明装置であって、
矩形状の光束を出射する光源と、
該光源から出射した光を入射し、該入射された光を微小な鏡の開閉制御により反射・非反射を制御するDMDと、
該DMDによって反射された光を整形する光学系と、
該光学系から出射した光を照射光とモニタ光に分けるモニタ用ハーフミラーと、
前記照射光が照射される照射面と、
前記モニタ光の照度を測定するモニタ部と、
該モニタ部で測定された測定結果に基づいて、前記DMDの各微小な鏡の開閉を制御する制御信号を前記DMDに送信する制御部と、
を備え、前記照射面における照度分布を所定の値に調整することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光源から出射する光が、分光器から出射する分光光であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源と前記DMDとの間に、前記光源から出射した光を反射された主光と透過光に分ける制御用ハーフミラーと、該制御用ハーフミラーを透過した透過光を反射する反射鏡とを配置し、前記DMDは、前記反射鏡で反射された反射光を入射し、該入射された反射光を微小な鏡の開閉制御により反射・非反射を制御するDMDであって、前記光学系は、前記主光と前記DMDによって反射された副光とが加算された光を整形する光学系であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光源が、ソーラシミュレータ用光源であることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記モニタ部が、CCDで構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つの請求項に記載の照明装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の照明装置において、光源から放射された光の照射面における高均一照度を高速に実現するための照明方法であって、前記光源からの光を前記DMDに向けて出射するステップ1と、前記モニタ部に映る光源像が互いに隣接する複数個の光源像群から成るように、各光源像群のそれぞれに対応する鏡(以下、選別鏡と呼ぶ)を選別するステップ2と、前記DMDの全ての鏡を閉じた迷光状態において、前記各選別鏡の位置に対応する迷光照度を前記モニタ部において測定し、記憶するステップ3と、前記選別鏡を順次1個ずつ開くと同時に、それ以外の選別鏡は閉じ、順次開いた選別鏡の位置に対応する照度を前記モニタ部において測定し、記憶するステップ4と、前記選別鏡毎に、前記ステップ4で取得した照度から、前記ステップ3で取得した迷光照度を差し引いて、全ての選別鏡毎の位置に対応する真の照度を算出し、全ての選別鏡の位置に対応する真の照度からなる対応表を作成し、記憶するステップ5と、前記選別鏡の中から最小の矩形を形成する4個の選別鏡を選択し、選択された4個の選別鏡が形成する矩形内に位置する残余の鏡(以下、非選別鏡と呼ぶ)の位置に対応する照度を、前記選択された各選別鏡の位置に対応する照度から平面状に線形補間して算出し、該算出処理を、全ての非選別鏡の位置に対応する照度を求めるまで繰り返し行い、全ての非選別鏡毎の位置に対応する真の照度を算出し、全ての非選別鏡の位置に対応する真の照度からなる対応表を作成し、記憶するステップ6と、前記DMDの全ての鏡を開いて、前記モニタ部において照度を測定し、測定された照度から、平均照度Φmeam、最大照度Φmax、最小照度Φmin、及び最大照度Φmaxの位置を算出するステップ7と、Δを任意の定数として、最大照度Φmax/平均照度Φmeam<1+Δ、かつ最小照度Φmin/平均照度Φmeam>1−Δの条件を充足するかを判定するステップ8と、前記条件を充足するときは、処理を終了し、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、最大照度Φmaxを呈する位置(Xmax,Ymax)に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じるステップ9と、再び、前記ステップ8の処理を繰り返し、前記条件を充足するかを判定し、前記条件を充足しないときは、前記ステップ9において、全ての対応表から、残余の最大照度を呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じて、前記ステップ9の処理を繰り返し、前記照射面における照度分布を所定の値に迅速に調整することを特徴とする照明方法。
【請求項7】
前記ステップ9において、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、最大照度Φmaxを呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じる処理に代えて、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、所定の照度より大きな照度を呈する位置に対応する全ての鏡を閉じることを特徴とする請求項6に記載の照明方法。
【請求項8】
請求項3又は請求項4に記載の高均一照明装置において、光源から放射された光の照射面における高均一照度を高速に実現するための照明方法であって、前記光源からの光を前記制御用ハーフミラーに向けて出射するステップ11と、前記モニタ部に映る光源像が互いに隣接する複数個の光源像群から成るように、各光源像群のそれぞれに対応する鏡(以下、選別鏡と呼ぶ)を選別するステップ12と、前記DMDの全ての鏡を閉じた迷光状態において、前記各選別鏡の位置に対応する迷光照度を前記モニタ部において測定し、記憶するステップ13と、前記選別鏡を順次1個ずつ開くと同時に、それ以外の選別鏡は閉じ、順次開いた選別鏡の位置に対応する照度を前記モニタ部において測定し、記憶するステップ14と、前記選別鏡毎に、前記ステップ14で取得した照度から、前記ステップ13で取得した迷光照度を差し引いて、全ての選別鏡の位置に対応する真の照度を算出し、全ての選別鏡の位置に対応する真の照度からなる対応表を作成し、記憶するステップ15と、前記選別鏡の中から最小の矩形を形成する4個の選別鏡を選択し、選択された4個の選別鏡が形成する矩形内に位置する残余の鏡(以下、非選別鏡と呼ぶ)の位置に対応する照度を、前記選択された各選別鏡の位置に対応する照度から平面状に線形補間して算出し、該算出処理を、全ての非選別鏡の位置に対応する照度を求めるまで繰り返し行い、全ての非選別鏡毎の位置に対応する真の照度を算出し、全ての非選別鏡の位置に対応する真の照度からなる対応表を作成し、記憶するステップ16と、前記DMDの全ての鏡を開いて、前記モニタ部において照度を測定し、測定された照度から、平均照度Φmeam、最大照度Φmax、最小照度Φmin、及び最大照度Φmaxの位置を算出するステップ17と、Δを任意の定数として、最大照度Φmax/平均照度Φmeam<1+Δ、かつ最小照度Φmin/平均照度Φmeam>1−Δの条件を充足するかを判定するステップ18と、前記条件を充足するときは、処理を終了し、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、最大照度Φmaxを呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じるステップ19と、再び、前記ステップ18の処理を繰り返し、前記条件を充足するかを判定し、前記条件を充足しないときは、前記ステップ19において、全ての対応表から、残余の最大照度を呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を閉じて、前記ステップ18の処理を繰り返し、前記照射面における照度分布を所定の値に迅速に調整することを特徴とする照明方法。
【請求項9】
前記ステップ19において、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、最大照度Φmaxを呈する位置に対応する鏡又は該鏡と該鏡周辺の鏡を開く処理に代えて、前記条件を充足しないときは、全ての対応表から、所定の照度より大きな照度を呈する位置に対応する全ての鏡を閉じることを特徴とする請求項8に記載の照明方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−271685(P2010−271685A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175940(P2009−175940)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(591060245)株式会社相馬光学 (14)
【Fターム(参考)】