説明

高帯域幅プローブアセンブリ

【課題】高帯域幅アプリケーションで使用されるスプリングプローブブロックアセンブリを提供する。
【解決手段】スプリングプローブブロックアセンブリは、絶縁性ハウジングを有する。ハウジング内には、信号プローブと、絶縁性層と、導電性シェルと、を有するプローブコネクタが配置される。ハウジング内には、少なくとも1つの接地プローブも配置される。接地プローブとプローブコネクタの導電性シェルとは、接地部によって電気的に接続される。接地部は、接地プローブにスプリングエネルギをもたらすような方法で接地プローブを弾力的に変形するように構成される。スプリングエネルギは、接地プローブと接地部との間に垂直力を発生させ、それが接地プローブをその位置で保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動試験装置(Automatic Test Equipment(ATE))で使用されるタイプのスプリングプローブブロックアセンブリに関し、特に、高帯域幅アプリケーションで使用されるスプリングプローブブロックアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
スプリングプローブブロックは、集積回路または他の電子装置の必要な試験を行うために、集積回路または他の電子装置と自動試験装置試験ヘッドとの間に一時的なスプリング接触インタフェースを提供する目的で使用される。自動試験装置で使用されるタイプのスプリングプローブブロックアセンブリは、広く入手可能であり、略同様の設計を使用する。スプリングプローブブロックハウジングは、典型的には、圧入された同軸プローブと接地レセプタクルとを受入れる穴の正確な配置と直径とを保証する費用のかかる一続きのプロセスで、金属バーストックから機械加工される。固体金属成形加工はまた、回路素子のすべてを共通に接地する役割も果たし、それは最近まで信号完全性の観点から望ましいと考えられていた。スプリングプローブブロックハウジングによっては、機械加工された金属ではなく成形ポリマーから作製されたものもあった。
【0003】
金属とポリマーとの両方のプローブブロックハウジングにおいて、同軸プローブコネクタは、個々に、一方の端部において同軸ケーブルに他方の端部においてスプリングプローブに終端される。典型的には、各信号線に対して1つのスプリングプローブが提供され、各信号線に対して基準(接地)としての役割を果たすために1つまたは複数のスプリングプローブが提供される。ポリマースプリングプローブハウジングの場合、各信号線に関連する同軸シールドチューブおよび接地スプリングプローブを、ポリマーハウジングの誘電体材料によってそれらの隣接するものから電気的に絶縁することができる。各チャネル(信号線にその関連する接地帰還ループを足したものから構成される)の絶縁は、より高い帯域幅を達成するために必要である。高帯域幅で作動する能力は、自動試験装置の次の世代が、より高速な集積回路を試験するためだけではなく集積回路をより迅速に試験するためにも使用されるという理由で、重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの目下入手可能なスプリングプローブブロックアセンブリは、設計が1つまたは複数の欠点を有するために高帯域幅アプリケーションでの使用に適していない。特に、従来技術によるスプリングプローブアセンブリの多く(特に、金属ハウジングを使用して作製されたもの)は、接地プローブのすべてに対し共通接地を提供する。上述したように、共通接地は、高帯域幅アプリケーションには適していない。むしろ、高帯域幅アプリケーションには、他の同軸信号および接地プローブから電気的に絶縁された信号プローブとその関連する接地プローブとを有することが望ましい。
【0005】
また、従来技術の設計の多く(金属ハウジングを使用するものとポリマーハウジングを使用するものとの両方)は、過度に大きい接地帰還ループが存在するという理由でも、高帯域幅アプリケーションでの使用に適していない。図1Aは、ポリマーハウジング12を利用する従来技術によるスプリングプローブブロックアセンブリ10を示す。接地プローブ14と信号プローブ16とは、ポリマーハウジング12の前方の穴18内に挿入され、接地プローブ14はボックス接点20によって支持される。ボックス接点20は、同軸ケーブル23を終端し信号プローブ16を支持する同軸コネクタ22にはんだ付けされる。
【0006】
図1Bに示すように、接地ループ(破線30で示す)が過度に長いことにより、インダクタンスが増大するために帯域幅が制限される。接地ループ30は、信号プローブ16の先端から、接地プローブ14を介してボックス接点20まで、ボックス接点20の梁32に沿って、溶接部34を通り、その後同軸コネクタ22の導電性シールド36に沿って走る。接地ループの長さは、信号プローブ16と接地プローブ14とが貫通しなければならないポリマーハウジング12の厚さによってさらに長くなる。
【0007】
高速では、所与の帰還電流路のインダクタンスは、その抵抗よりはるかに重要であるということは周知である。実際に、高速帰還電流は、最小抵抗の経路ではなく最小インダクタンスの経路を辿る。さらに、最小インダクタンス帰還経路は、信号導体の直下にあるということも周知である。これは、出て行く電流路と戻る電流路との間の総接地ループ領域を最小にすることにより、できる限りの最小インダクタンスがもたらされるということを意味する。このため、図1Bにおいて、破線38により理想的な接地ループを示す。(ハワード・ジョンソン(Howard Johnson)およびマーティン・グラハム(Martin Graham)著、「高速デジタル設計:ブラックマジックのハンドブック(High Speed Digital Design:A Handbook of Black Magic)」を参照のこと。)
【0008】
上記欠点に加えて、スプリングプローブブロックアセンブリの多くの入手可能な設計では、アセンブリに接地スプリングプローブを保持するために追加のコンポーネントまたは製造工程が必要である。場合によっては、接地スプリングプローブを支持し保持する管状レセプタクルが使用される。たとえば、図2に示すように、金属スプリングプローブブロックハウジング40において、ハウジング40に穴42が機械加工により形成された後、管状金属レセプタクル44が穴42内に圧入され、その後接地スプリングプローブ46がレセプタクル44に挿入され、そこで圧入により適所に保持される。接地スプリングプローブ46自体はコンプライアンスが非常に低いため、レセプタクル44を使用することにより、システムにコンプライアンスが付加され、接地スプリングプローブ46に対する損傷が回避される。プローブレセプタクル44を使用することにより、追加の組立の工程と在庫管理すべき追加の部品との望ましくない要件が追加される。管状レセプタクルが使用されない他の場合では、接地スプリングプローブは、「バナナベンド(banana bend)」と呼ばれるものを用いて製造される。バナナベンドは、接地スプリングプローブが特大の穴に挿入され摩擦嵌合により穴内で保持されるのを可能にする。しかしながら、バナナベンドを用いてスプリングプローブを製造することは、困難でありかつ費用がかかり、信号および接地線のために異なるタイプのスプリングプローブを使用することを必要とする。明らかに、製造の困難さとコストとが追加されることは、在庫目録が増大することとともに望ましくない。上述した状況の両方において、損傷した接地スプリングプローブを置換えることは、アセンブリの残りに損傷を与えること無しには非常に困難である。
【0009】
明らかに、必要なものは、同軸コネクタとそれらの接地プローブとの間の電気的に安定した、低インダクタンスな経路を提供する費用効率のよい手法を提供することができる、スプリングプローブブロックアセンブリである。好ましくは、かかるスプリングプローブブロックアセンブリにより、接地プローブレセプタクル(およびそれらの関連するコスト、組立労力およびより長いインピーダンス経路)が不要となる。さらに、スプリングプローブブロックアセンブリは、いかなる接地プローブレセプタクルも使用されない場合、バナナベンドを有する接地スプリングプローブの使用が不要である。好ましくは、スプリングプローブブロックアセンブリは、スプリングプローブブロックアセンブリ全体の大規模な再加工または廃棄でさえも必要とすることなくブロックアセンブリ内のスプリングプローブおよび同軸コネクタの置換えも容易にする。さらに、スプリングプローブブロックアセンブリは、好ましくは、自動試験装置の動作中に同軸コネクタを不注意に押しのける可能性のある高いケーブル引出し力に対し耐性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、高帯域幅アプリケーションで使用されるスプリングプローブブロックアセンブリを提供する。本明細書で説明するスプリングプローブブロックアセンブリは、信号プローブとその関連する接地プローブとを他の同軸信号および接地プローブから電気的に絶縁し、信号のための低インダクタンス帰還経路を提供する。また、スプリングプローブブロックアセンブリは、接地レセプタクルまたはバナナベンドを利用するスプリングプローブを不要にする。
【0011】
好ましい実施形態では、スプリングプローブブロックアセンブリは、前面に空洞を有する絶縁性ハウジングを備える。空洞内においてハウジングの前面に隣接して導電性リテーナが配置される。導電性リテーナは、プローブコネクタと接地プローブとを収納する通路を有する。導電性リテーナは、接地プローブと信号プローブコネクタの導電性シェルとを電気的に接続することにより、関連する信号に対する低インダクタンスの接地帰還経路を提供する。好ましくは、スプリングプローブブロックアセンブリのハウジングは、静電気防止または静電気拡散特性のいずれかを有する誘電体絶縁性材料から形成される。
【0012】
一実施形態では、接地プローブは導電性リテーナ内に、接地プローブがリテーナに挿入された時に発生する垂直力により保持される。垂直力は、接地プローブがハウジング内の傾斜側壁によって偏向すると発生する。接地プローブは、傾斜側壁によって偏向すると、アセンブリ内に摩擦的に保持される。別の実施形態では、接地プローブのリテーナへの挿入により、プローブコネクタ本体に対してクランプ力が発生し、それにより、プローブコネクタと、リテーナと、接地プローブとが、一定の関係で保持される。
【0013】
本発明の追加の態様は、接地プローブを信号プローブコネクタのケーブルシールドに電気的に接続する接地要素であり、接地プローブは、接地要素によって弾力的に変形することにより、接地要素と接地プローブとの間のスプリング力を維持する。接地要素の弾力的変形を、たとえば、接地プローブが挿入される非線形軸を有する穴を提供することによってもたらすことができる。接地プローブが非線形軸を有する穴に挿入されると、接地プローブの弾力的変形によりスプリング力がもたらされ、それにより接地プローブが適所に保持される。
【0014】
本発明のさらなる別の態様は、スプリングプローブをハウジングに保持する方法である。本方法は、ハウジングに非線形軸を有する穴を形成することと、その後線形スプリングプローブを穴に挿入することと、を含む。線形スプリングプローブを非線形穴に挿入することにより、スプリングプローブは弾力的に変形し、ハウジングとスプリングプローブとの間にスプリング力を維持し、それによりスプリングプローブがその位置で保持される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】従来技術に係るスプリングプローブブロックアセンブリの断面図である。
【図1B】図1Aのスプリングプローブブロックアセンブリのプローブコネクタおよび接地プローブアセンブリの拡大斜視図である。
【図2】別の従来技術に係るスプリングプローブブロックアセンブリの斜視図である。
【図3A】本明細書で説明する本発明のスプリングプローブブロックアセンブリの一実施形態の斜視図である。
【図3B】図3Aのスプリングプローブブロックアセンブリの正面の立面図である。
【図3C】図3Aのスプリングプローブブロックアセンブリの正面の一部の拡大図である。
【図4A】図3Bの線4−4に沿って取出された断面図である。
【図4B】図4Aに示す接地プレート、プローブコネクタおよび接地プローブの組立分解図である。
【図4C】図4Aに示す接地プレート、プローブコネクタおよび接地プローブの組立図である。
【図5A】代替的なスプリングプローブ保持構成の断面図である。
【図5B】代替的なスプリングプローブ保持構成の断面図である。
【図5C】代替的なスプリングプローブ保持構成の断面図である。
【図6A】任意の真空シーリングを有するスプリングプローブブロックアセンブリの断面図である。
【図6B】任意の真空シーリングを提供する成形インサートの斜視図である。
【図7A】本明細書で説明する本発明のスプリングプローブブロックアセンブリの代替実施形態の正面の立面図である。
【図7B】図7Aの導電性リテーナ要素の拡大図である。
【図8A】本明細書で説明するスプリングプローブブロックアセンブリの導電性リテーナ要素の代替実施形態の斜視図である。
【図8B】本明細書で説明するスプリングプローブブロックアセンブリの導電性リテーナ要素の代替実施形態の斜視図である。
【図8C】図8Aおよび図8Bの導電性リテーナ要素の拡大図である。
【図9A】図7A、図8Aおよび図8Bの実施形態で使用されるリテーナを示す斜視図である。
【図9B】図7A、図8Aおよび図8Bの実施形態で使用されるリテーナを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、スプリングプローブブロックアセンブリにおいて使用される場合に、同軸コネクタとそれらの接地プローブとの間の電気的に安定した、低インダクタンスな経路を生成する費用効率のよい手法を提供する。本明細書で説明するスプリングプローブブロックアセンブリは、部品の大規模な再加工または廃棄を必要とすることなく、スプリングプローブブロックアセンブリのコンポーネントの容易な交換を可能にする。さらに、本設計は、使用中に同軸ケーブルが高ケーブル引出し力に曝された場合に同軸コネクタが不注意に押しのけられることに対し、耐性がある。
【0017】
図3Aは、本明細書で説明するスプリングプローブブロックアセンブリの1つの好ましい実施形態の斜視図を提供する。図3Aに図示するように、スプリングプローブブロックアセンブリ50は、ガラスファイバ強化ポリフタルアミド(PPA)等、適当な絶縁性ポリマー材料から、射出成形等によって形成される、ハウジング52を含む。プローブブロックアセンブリの意図されたアプリケーションによっては、炭素繊維強化ポリフタルアミド等の帯電防止特性を有するポリマー材料を使用することが好ましい場合もある。ハウジング52は、その前面53に、滑り嵌合または圧入により接地プレート56を収納するように形作られた空洞54を有する。接地プレート56は、接地スプリングプローブ58とプローブコネクタ60との両方を収納し保持するように設計される。図3Bおよび図3Cにおいてより明らかに図示するように、プローブコネクタ60は、誘電絶縁体62により次に導電性シールド64により包囲される信号スプリングプローブ61を含む。それにより、信号プローブ61は接地から絶縁される。プローブコネクタ60の導電性シールド64は、接地プレート56と密に接触する。接地スプリングプローブ58は、接地プレート56の開口66内において滑動可能に収納され、後述する方法で接地プレート56と接触する。図示するように、誘電体材料ハウジング52は、接地要素(接地プレート56および接地スプリングプローブ58)とそれらの関連する信号線を包囲して、他のすべての接地および信号線対から絶縁する。また、アセンブリにおけるすべての接地は、隣接している可能性のある他のプローブブロックアセンブリからも、自動試験装置シャシ接地からとともに絶縁される。
【0018】
図4Aは、信号同軸プローブコネクタ60とその関連する信号および接地プローブ61、58とをそれぞれ備えたスプリングプローブブロックアセンブリ50の拡大断面図を示す。さらに明らかにするために、図4Bおよび図4Cはそれぞれ、接地プレート56と、接地スプリングプローブ58と、プローブコネクタ60と、の組立分解図と組立図とを示す。図4Aに図示するように、空洞54は、ハウジング52内に延在し、接地要素の組立てられたセットの全体的な外面に適合し、空洞54は、組立てられたプローブコネクタ60と、接地プレート56と、スプリングプローブ58、61との軸方向および横方向の移動を抑制するように大きさが画定されている。特に、接地プレート56は、各々、プローブコネクタ60の導電性シールド64を収納しそれを圧入によって保持するように寸法が決められた開口68を有し、プローブコネクタ60と接地プレート56の開口58との間の干渉により、好ましくは、接地プレート56が弾性変形する。接地プレート56の弾性変形を可能にすることは、プローブコネクタ60が非常に低コンプライアンスを有するため好ましく、接地プレート56をコンプライアントにすることにより、コンプライアント部材の数が1つから2つに効果的に2倍になる。これにより、コンポーネントのそれほど厳しくない公差の使用が可能になり、したがって、プローブブロックアセンブリ50の製造性が向上する。
【0019】
上述したように、高帯域幅アプリケーションでは、プローブアセンブリにおける低インダクタンス接地帰還経路を提供することが望ましい。このため、接地帰還経路が短縮され信号経路に近接して保持されるように、接地プレート56をハウジング52において可能な限り前方に配置することが好ましい。したがって、好ましい実施形態では、接地プレート56は、接地プレート56の前面69がハウジング52の前面53と同一平面であるようにハウジング52内に設置される。代替的に、接地プレート56の前面69は、ハウジング52の前面53の前方にわずかに突出してもよい。接地プレート56の設置深さを、空洞54における肩部71の位置によって制御してもよい。
【0020】
接地プレート56は、好ましくは、特定の方向付けを必要とすることなくハウジング52の空洞54に挿入することができるように、左右対称である。さらに、接地スプリングプローブ本体74がハウジング52の傾斜側壁72と接触することで変形する場合、接地プレート56は、好ましくは、スプリングプローブプランジャ移動の領域において接地スプリングプローブ本体74が大幅に曲がらないようにするために十分な厚さを有する。好ましい設計では、接地プレート56に、接地スプリングプローブ貫通孔66を二分することにより、製造プロセス中に穴66を通過するメッキプロセス流体の流れを上昇させる、開口溝80が設けられる。接地スプリングプローブ貫通孔66は、好ましくは、接地スプリングプローブ本体が、アセンブリに挿入された時にハウジング52の傾斜側壁72に対して撓むことにより変位される場合、接地スプリングプローブ先端59の角変位を補償するように間隔が空けられる。さらに、接地スプリングプローブ58内の内部接触抵抗を最小にしアセンブリの長期のサイクル中に摩滅が増大するのを回避するために、接地スプリングプローブ先端59は、好ましくは、3度以下の角度で信号プローブコネクタ60の軸に対してある角度で配置される。
【0021】
上述したように、接地プレート56は、接地スプリングプローブ58の滑り嵌合通路を可能にするように寸法が決められた少なくとも1つの貫通孔66を有する。接地スプリングプローブ58は、ハウジング52の空洞54の端壁70に接触して取付けられる。好ましくは、ハウジング52の空洞54は、挿入中に接地スプリングプローブ本体74と漸次干渉する傾斜側壁72を有し、それにより、図4Aに図示するように、接地スプリングプローブ本体74と傾斜側壁72との間の干渉が接地スプリングプローブ本体74を弾力的に変形させる。接地スプリングプローブ本体74と傾斜側壁72との間の干渉は、2点の76において接地スプリングプローブ本体74と接地プレート56との間で垂直力を維持する。接地スプリングプローブ本体74の終端を信号プローブコネクタ本体シールド64に対して付勢するように傾斜側壁72の傾斜を増大させることにより、任意の第3接触点76’を取得してもよい。
【0022】
上述したような傾斜側壁72との接触以外の方法で、接地スプリングプローブ本体74を接地プレート56内で偏向させ保持してもよい。特に、接地プレート56に、ハウジング52において傾斜側壁72を使用せずに、接地スプリングプローブ58に対して垂直力を維持するための穴構造を提供してもよい。図5Aに示すように、接地プレート56は、前面200から延在する第1穴80と、後面201から延在する第2穴82と、を有してもよく、第1穴80と第2穴82とは互いからわずかにずれている。接地スプリングプローブ本体74は、前面200から第1穴80内に挿入されその後第2穴82に挿入されると、偏向し、それによって接地プレート56に対して垂直力を働かせ、それにより摩擦嵌合によって適所に保持される。図5Bに示すように、接地プレート56は、代替的に、前面200から延在する第1穴80’と後面201から延在する第2穴82’とを有してもよく、第2穴82’は第1穴80に対してある角度で配置される。上述したように、接地スプリングプローブ本体74は、前面200から第1穴80’に挿入されその後第2穴82’に挿入されると、偏向し、垂直力をもたらし、摩擦嵌合によって保持される。図5Cに示すように、接地プレート56を、任意に前部86と後部88とから形成してもよく、第1穴80”は前面200から前部86を介して延在し、第2穴82”は後面201から後部80を介して延在する。ハウジング52において組立てられると、接地プレートの前部86および後部88は、第1および第2穴80”、82”が互いからわずかにずれるように位置合せされる。ここでもまた、接地スプリングプローブ本体74は、前面200から第1穴80”に挿入されその後第2穴82”に挿入されると、偏向し、垂直力をもたらし、摩擦嵌合によって保持される。
【0023】
図5A〜図5Cに示す設計を、金属ハウジングを有するが上述したような接地プレートまたはリテーナを使用しないプローブアセンブリにおいて使用してもよいということが認められよう。特に、レセプタクルの使用または接地プローブにおいて予備成形された「バナナベンド」の必要無しに、ハウジングにおいて接地プローブを固定するために、金属ハウジングにおいて図5A〜図5Cに示すスプリングプローブの保持方法を使用してもよい。当業者は、レセプタクルまたは予備成形されたバナナベンドを不要にすることにより、製造性が簡略化し、プローブアセンブリのコストが低減し、したがってそれが非常に望ましいということを認めるであろう。
【0024】
スプリングプローブブロックアセンブリに、追加の特徴を提供してもよい。たとえば、ハウジング52に、器具(図示せず)が接地スプリングプローブ本体74の後部に到達するのを可能にするため、接地プローブ本体座部70と連通する、アクセス穴90を設けてもよい。このように器具が到達することにより、使用中にスプリングプランジャが破壊した場合等に、接地スプリングプローブの除去が容易になる。装置の真空シーリングを必要とするアプリケーションで使用する場合、任意のアクセス穴90はシールされる。真空シーリングを、アクセス穴90を充填するための取外し可能プラグを提供することによって達成してもよい。
【0025】
装置の真空シーリングが望ましい場合、図6Aおよび図6Bに示すもの等、任意のシーリング能力を、空洞54の穴104内に提供してもよい。シーリング能力は、好ましくは、ハウジング52の後面における空洞の穴104内に適合するように設計されたカラー部102を含む柔軟なポリマーの単一成形インサート100によって提供される。図6Aに図示するように、プローブコネクタ60は、ハウジング52内に挿入されると、コンプライアントなインサート100のカラー102を穴104の壁に対して押圧し、それにより確実なシーリングを提供する。図6Aおよび図6Bに示す単一成形インサート100に加えて、空洞52の穴104の各々内に個々のカラーまたはOリングを設けることによりシールを提供することも可能である。しかしながら、個々のOリングを使用することにより、装置の組立時間が大幅に増大するとともに、プローブコネクタ60の挿入中により容易に変位する。
【0026】
本明細書で説明するスプリングプローブブロックアセンブリ50では、ハウジング52の前面53からハウジング52の接地スプリングプローブ接点76までの距離が最小化し、ゼロに近い。すなわち、接地スプリングプローブ本体74は、ハウジングの前面53に可能な限り近くで接地プレート56に接触し、それにより、非常に低インダクタンスの接地経路がもたらされる。上述したように、多くの高帯域幅アプリケーションに対し、低インダクタンス接地経路が非常に望ましく、実際に必要である。従来技術によるスプリングプローブブロックアセンブリは、はるかに長い電気経路を利用し、したがってより高い自己インダクタンスを有し、そのため高速試験能力に対して不適当なものとなる。
【0027】
また、上述したスプリングプローブブロックアセンブリは、組立、再加工および修理が容易であるという利点も有する。本明細書で説明するポリマーハウジングは、コンプライアント部材を利用することにより、スプリングプローブ本体を適所にかつ互いに電気的に接触して保持するため、スプリングプローブブロックアセンブリを組立てること、もしくは摩滅したか破損した可能性のある部品を交換することが容易である。このため、本明細書で説明したスプリングプローブブロックアセンブリは、組立プロセス中に破損した場合に破棄しなければならない部品を無くすだけでなく、アセンブリ全体を破棄する必要無しに比較的安価な部品を交換することを可能にする。
【0028】
スプリングプローブブロックアセンブリを真空に対してシーリングしなければならないということが必要なアプリケーションでは、本発明は、各プローブコネクタ60の周囲で各ハウジング空洞内に、上述したようなシールリングを配置することにより、効果的なシーリングを可能にする。シール圧縮は、コンポーネント間の空間的関係により維持される。ハウジング52により、真空シールが接地プローブ58の位置の後方に配置されることが可能となるため、接地プローブ58の周囲をシーリングする必要はない。
【0029】
代替実施形態
図7Aに、スプリングプローブブロックアセンブリ150の代替実施形態を示す。スプリングプローブブロックアセンブリ150は、絶縁性ハウジング152と、信号プローブ接点161および接地プローブ接点158と、プローブコネクタリテーナ156とを含む。最初に説明した実施形態と同様に、ハウジング152は成形誘電体材料であり、その誘電体材料は、接地要素と関連する信号線とを包囲して他のすべての信号線および接地対から隔離し、さらに、アセンブリにおけるすべての接地を、他の隣接するプローブブロックアセンブリと自動試験装置シャシ接地とから絶縁する。上述したように、ハウジング152の両端における有芯空洞は、接地要素の組立てられたセットの全体的な外面に適合し、空洞は、スプリングプローブが取付けられた場合の、組立てられたプローブコネクタおよび接地クランプの、軸方向かつ横方向の移動を制約するように、大きさが決められている。
【0030】
図7Aおよび図7Bに示すように、プローブリテーナ156は、互いに係合することにより信号プローブコネクタ160と接地プローブ158とを支持する締付装置を形成する、一対の打抜かれた電気的接地クランプ180を備える。接地クランプ180は、軸合せされ中心に配置されたループ182と、2つの端部の各々から延在する一対のスプリングアーム184とを有する。接地クランプアセンブリは、好ましくは左右対称であり、そのため特定の方向付け無しにハウジング152の空洞に挿入することができ、それにより、組立の容易性が向上する。接地クランプ180のループ182は、低挿入力(7lbs未満)で滑動可能に係合する信号スプリングプローブコネクタ160を収納するように寸法が決められている。接地スプリングプローブ158がスプリングアーム184間に挿入されると、アーム184は、外側に変位し、信号スプリングプローブコネクタ本体60に対して垂直力を発生させ、それにより組立てられた要素を適所に保持する。好ましくは、接地クランプ180のループ182のうちの1つは、信号プローブコネクタ160のプレスリング183の後方に配置され、それにより装置の引出し抵抗力が上昇する。
【0031】
図7Aおよび図7Bの実施形態では、接地クランプ180のスプリングアーム184は、はさみ状に外側に角度が付けられることにより、接地プローブ158が間に挿入されると、締付け力が接地プローブ158をハウジング152の軸溝190に対して付勢し、それによりハウジング152内の接地プローブ158の適当な位置合せが確立される。スプリングアーム184によって画定される角度θは、好ましくは22度より大きい。さらに、ハウジングの空洞の側壁は、好ましくは、接地クランプ180のスプリングアーム184を予荷重状態で支持し、そのためスプリングアーム184に対する予荷重が、スプリングアーム184間の開領域を増大させ、それにより、接地プローブ158の挿入が容易になる。かかる予荷重はまた、スプリングアーム引込みチャンバ192間の入口角度を増大させ、それにより必要な挿入力を低減する。
【0032】
図8Aおよび図8Bに示す代替実施形態では、接地クランプ180’のスプリングアーム184’は、接地プローブ158が接地クランプ180’に挿入される場合に接地プローブ158を実質的に包囲するように、互いに向って戻るように湾曲している。接地プローブ158が接地クランプ180’の接地プローブ収納部に挿入されると、締付け力により、接地クランプ180’が信号プローブコネクタ160の本体の周囲に固定される。望ましい場合、個々の接地クランプ180’を、接地クランプ180’の単純な折り曲げにより要素の最終方向付けが得られるのを可能にする、任意の接続ウェブによって、形成してもよい。接地クランプを固定する任意の接続ウェブは、ともに、望ましい場合は脆弱であってもよく、もしくは可鍛性があってもよい。
【0033】
ケーブル引出し力を増大させるため、好ましくは、図9Aおよび図9Bに示すように、ハウジング152の後面184にスナップ嵌合配置で固定する、リテーナ200が提供される。リテーナ200は、好ましくは、ハウジング152の相互ラッチ機構204を係合するラッチアーム202を有する。組立を容易にするために、リテーナ200は、好ましくは、2つの部分として形成され、それらは、2つのリテーナ部200を互いに連結する嵌合タング204と溝206とを有する。さらに、ハウジング152は、好ましくは、プローブコネクタを受入れる空洞のパターンに関してハウジングの後端にオフセット空洞を有し、それにより同一のリテーナ部の使用が可能になる。これにより、製造のコストが低減し装置の組立の容易性が向上する。好ましくは、ハウジング152は、リテーナ200のラッチアーム202に開口する通路208を含み、それによりリテーナ200を、装置に対する再加工のためにハウジング152の外側から外すことができる。
【0034】
本明細書で説明したスプリングプローブブロックアセンブリ50、150の実施形態に対し、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行ってよい追加および変更を認めるであろう。たとえば、アセンブリのハウジング52、152に、好ましくは、取付穴210を設けることにより、スプリングプローブブロックアセンブリ50、150を自動試験装置ヘッドに取付けることができるようにする。リテーナ要素(接地プレート56および接地クランプ180、180’)が、本明細書で例示したものとは異なる形状を有してもよく、もしくは、それをたとえば、金属プローブアセンブリハウジングで使用してもよく、それでもなお本発明の機能および精神を具体化する、ということが予期される。
【符号の説明】
【0035】
1 スプリングプローブブロックアセンブリ
52 ハウジング
53 前面
54 空洞
56 接地プレート
58 接地スプリングプローブ
60 プローブコネクタ
62 誘電絶縁体
64 導電性シールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向スプリングプローブを収納する収納手段を有するハウジングと、
前記収納手段内に配置される長手方向スプリングプローブと、
を備え、
前記収納手段が、前記スプリングプローブを弾力的に偏向させるとともに摩擦嵌合により前記収納手段内に前記スプリングプローブを保持する偏向部を有することを特徴とするスプリングプローブブロックアセンブリ。
【請求項2】
直線状スプリングプローブを収納するように構成されたハウジングと、
前記ハウジング内に配置された直線状スプリングプローブと、
を備え、
前記直線状スプリングプローブが前記ハウジングによって弾力的に偏向されることにより、前記直線状スプリングプローブと前記ハウジングとの間に垂直力がもたらされ、それにより前記ハウジング内に前記直線状スプリングプローブが保持されることを特徴とするスプリングプローブブロックアセンブリ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2012−13713(P2012−13713A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221783(P2011−221783)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【分割の表示】特願2002−572428(P2002−572428)の分割
【原出願日】平成13年7月10日(2001.7.10)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】