説明

高弾性発泡体

(1)少なくとも1つのメチレンジフェニルジイソシアナート異性体、誘導体またはこれらの組合せの少なくとも約5重量パーセントを含む少なくとも1つのポリイソシアナートと、(2)少なくとも1つの天然オイル系ポリオール、および天然オイル系ポリオールではない少なくとも1つのさらなるポリオールの混合物との反応生成物を含む高弾性(HR)ポリウレタン発泡体であって、この混合物は、少なくとも約10重量パーセントの天然オイル系ポリオール、および少なくとも約1700ダルトンの当量を有する少なくとも約40重量パーセントのさらなるポリオールを含み;発泡体は、ASTM D 3574、試験Hの手順に従って測定して、少なくとも40パーセントのボールリバウンドによって示される弾性を有する、発泡体。HR発泡体は、(a)少なくとも約10重量パーセントの少なくとも1つの天然オイル系ポリオール(少なくとも約2.2個のOH官能基数を有し、少なくとも約500ダルトン(Da)の当量を有する)、および少なくとも約40重量パーセントの少なくとも1つの従来のポリオール(少なくとも約1700Daの当量を有する)、および水を含む天然オイル系ポリオール組成物を形成するステップ;(b)触媒−ポリオール混合物を形成するために、少なくとも1つの触媒を天然オイル系ポリオール組成物と混合するステップ;(c)少なくとも1つのメチレンジフェニルジイソシアナート異性体、誘導体またはこれらの組合せの少なくとも約5重量パーセントを含むポリイソシアナートを、少なくとも約55で、大きくても約105のイソシアナートインデックスに相当する量で供給するステップ、および(c)イソシアナートを触媒−ポリオール混合物と混合するステップを含む方法によって製造される。発泡体は、生活を快適にするもの、吸音(騒音減衰、不快音減衰が含まれる)、保護、パッケージ、医療用具、安全用具およびこれらの組合せのような用途に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質(flexible)ポリウレタン発泡体、好ましくは天然オイルポリオールに基づき、高弾性(high resilience)を有する軟質ポリウレタン発泡体を含む。
【背景技術】
【0002】
発泡物品、特にポリウレタン発泡物品は、長い間、知られており、多くの用途に、特に、自動車の座席の詰め物、クッションおよびマットレスとして用いられる。ポリウレタン発泡体は、それらが、ASTM D3574、試験Hの手順に従って測定して、約40パーセントを超えるボールリバウンドによって示される弾性を有する場合、高弾性(HR)と呼ばれる。高弾性発泡体は通常、1分子当たり平均で約3個のヒドロキシル基公称官能基数(nominal functionality)、および約5,000の平均分子量域を有する石油系ポリオールを用いて発泡される。このような発泡体は、65から115のイソシアナートインデックスで、通常、100部のポリオール当たり、100重量部当たり、多くても約5.0重量部(pphp)の水レベルを用いて製造される。
【0003】
メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)系のイソシアナートを用いることが、TDI(トルエンジイソシアナート)に比べて低い蒸気圧、それ故に低い潜在的毒性のために、望ましい。しかし、K.D.Cavender等、「New Considerations in Isocyanate Selection for Automotive Seating Foams」、32nd Annual Polyurethane Technical/Marketing Conference、10月1〜4日、1989年、594〜595頁(Technomic Publishing Co、851 New Holland Avenue、Box 3535、Lancaster、PA 17604、米国)によって、MDI系HR発泡体は、TDI(トルエンジイソシアナート)系発泡体より低いボールリバウンド値を有することが示された(同等の発泡体硬度で、TDI発泡体での68パーセントに比べて、MDI発泡体では48パーセント)。
【0004】
石油系材料よりはむしろ、生物、特に植物系材料のような再生可能資源から製造される出発材料を用いることもまた望ましいと思われる。ポリウレタンの場合、植物材料に時折基づくのはポリオールである。しかし、HR発泡体において、従来のポリオールを置き換えるために天然オイル系ポリオールを用いると、WO2004/096882の実施例53から56によって開示されるように、ボールリバウンド値を低下させることが示された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
驚くべきことに、天然オイルから製造される特定のポリオールが、MDIイソシアナートと反応して高弾性発泡体を製造し得ることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ASTM D3574、試験Hの手順に従って測定して、少なくとも約40パーセントのボールリバウンドを有するポリウレタン発泡体が、MDIイソシアナートとポリオール組成物(少なくとも約2.2個のOH官能基数、および少なくとも約500ダルトン(Da)の当量を好ましくは有する少なくとも10から60重量パーセントの天然オイル系ポリオール、ならびに、少なくとも約1700Daの当量を有する好ましくは40から90重量パーセントの少なくとも1つの従来のポリオールを好ましくは含む)との反応生成物として製造され得ることが今や見出された。
【0007】
本発明は、(1)少なくとも1つのメチレンジフェニルジイソシアナート異性体、誘導体またはこれらの組合せの少なくとも約5重量パーセントを含む少なくとも1つのポリイソシアナートと、(2)少なくとも1つの天然オイル系ポリオール、および天然オイル系ポリオールではない少なくとも1つのさらなるポリオールの混合物との反応生成物を含む高弾性(HR)ポリウレタン発泡体を含み、ここで、この混合物は、少なくとも約10重量パーセントの天然オイル系ポリオール、および少なくとも約1700ダルトンの当量を有する少なくとも約40重量パーセントのさらなるポリオールを含み;
また発泡体は、ASTM D 3574、試験Hの手順に従って測定して、少なくとも40パーセントのボールリバウンドによって示される弾性を有する。
【0008】
本発明はまた、(a)少なくとも約10重量パーセントの少なくとも1つの天然オイル系ポリオール(少なくとも約2.2個のOH官能基数、および少なくとも約500ダルトン(Da)の当量を有する)、および少なくとも約40重量パーセントの少なくとも1つの従来のポリオール(少なくとも約1700Daの当量を有する)、および水を含む天然オイル系ポリオール組成物を形成するステップ;(b)触媒−ポリオール混合物を形成するために、少なくとも1つの触媒を天然オイル系ポリオール組成物と混合するステップ;(c)少なくとも1つのメチレンジフェニルジイソシアナート異性体、誘導体またはこれらの組合せの少なくとも約5重量パーセントを含むポリイソシアナートを、少なくとも約55で、大きくても約105のイソシアナートインデックスに相当する量で供給するステップ、および(c)イソシアナートを触媒−ポリオール混合物と混合するステップを含む方法も含む。
【0009】
本発明は、生活を快適にするもの、吸音(騒音減衰、不快音減衰が含まれる)、保護、パッケージ、医療用具、安全用具およびこれらの組合せのような用途に有用である、本発明の発泡体から製造される物品を含む。
【0010】
図面はない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
用語「弾性」は、バネのような性質として認められる、発泡体の性質を表すために用いられる。それは、ASTM D3574、試験Hの手順に従って測定される。このボールリバウンド試験は、指定された条件下に落とされたときに、落とされた既知重量のスチールボールが、発泡体の表面からリバウンドする高さを測定し、結果を元の落下高さのパーセンテージとして表す。ASTM試験に従って測定したとき、HR発泡体は、少なくとも約40パーセント、より好ましくは少なくとも約42パーセント、最も好ましくは少なくとも約48パーセント、有利には50パーセントまでの弾性を示す。
【0012】
本明細書では、用語「ボールリバウンド」は、すでに記載されたように、ASTM D3574−試験Hの試験手順の結果を表すために用いられる。
【0013】
本明細書では、用語「密度」は、発泡体の単位体積当たりの重量を表すために用いられる。ポリウレタン発泡体の場合には、密度は、ASTM D3574−01、試験Aの手順に従って求められる。
【0014】
用語「コア密度」は、成形された、または自由上昇の発泡体パッドの表面に形成される全てのスキンの除去の後、ASTM D3574−95に従って測定される密度である。
【0015】
用語「空気流」は、125Pa(0.018psi)の圧力で、1.0インチ(2.54cm)の厚さで、2インチ×2インチ(5.08cm)の正方形の発泡体切断片を通過する空気の体積を表す。単位は、立方デシメートル/秒で表され、標準立方フィート/分に変換される。空気流を測定するための市販の代表的装置は、TexTest AG(チューリッヒ、スイス)によって製造され、TexTest Fx3300の名称を有する。この測定は、ASTM D 3574、試験Gに従う。
【0016】
用語「75パーセントCS」は、発泡体の上昇方向に平行な75パーセントの圧縮変形レベルで測定される乾燥状態(dry)圧縮永久歪試験を表す。本明細書では、この試験は、クッションの厚さの使用中の喪失と発泡体の厚さの変化を相互に関連させるために用いられる。圧縮永久歪は、ASTM D 3574−95、試験Iの手順に従って求められ、試料の元の厚さに対するパーセンテージとして測定される。同様に、「50パーセントCS」は、同じ測定(圧縮永久歪)を表すが、この場合、発泡体の上昇方向に平行な、試料の50パーセント圧縮変形レベルで測定される。
【0017】
用語「50パーセントHACS」は、発泡体の上昇方向に平行な50パーセントの圧縮変形で測定される、湿潤状態(humid)エイジング後の圧縮永久歪試験を表す。本明細書では、この試験は、発泡体の厚さの使用中の喪失と変化を相互に関連させるために用いられる。この50パーセント圧縮永久歪は、DIN 53578の手順に従って求められ、試料の元の厚さに対するパーセンテージとして測定される。同様に、「75パーセントHACS」は、同じ測定(湿潤状態エイジング後圧縮永久歪)を表すが、この場合は、湿潤状態エイジング後、試料の75パーセント圧縮変形レベルで測定される。
【0018】
用語「押込力撓み(Indentation Force Deflection)」(IFD)は、軟質材料(例えば、発泡体)の荷重支持能力の尺度を表し、24インチ平方(155cm)より小さくはない4インチ(10cm)の厚さの試料を、試料の元の高さの25または65パーセント(それぞれ、25パーセントIFD、および65パーセントIFDの用語によって示される)まで圧縮するのに必要とされる力(ポンド)(kPaに変換される)として測定される。軟質発泡体のIFD測定値は、5ポンド(22N)(柔らかめ)から80ポンド(365N)(非常に硬め)の範囲であり得る。IFDは、ASTM 3574−01、試験Bの手順に従って測定される。
【0019】
用語「硬度」は、ASTM D3574、試験Bの手順に従って測定される、IFDに相当する特性を表す。本明細書では、特に、65パーセントIFDが硬度の測定値として用いられる。
【0020】
用語「50パーセントCFD」は、軟質材料(例えば、発泡体)の圧縮撓みの尺度であり、100cm平方より小さくはない5cmの厚さの試料を、4回の前サイクルの後で50パーセント撓みまで圧縮するのに必要とされる力(kPa)として測定される。CFDは、DIN 53577の手順に従って測定される。
【0021】
用語「NCOインデックス」は、この用語がポリウレタンの技術分野において一般に用いられるように、イソシアナートインデックスを意味する。本明細書において用いられる場合、イソシアナートの当量数は、イソシアナート反応性水素含有材料の全当量数によって割られ、100倍される。別の仕方で見ると、それは、配合中に存在するイソシアナート基とイソシアナート反応性水素原子との比(パーセンテージとして与えられる)である。このように、イソシアナートインデックスは、配合中に使用されるある量のイソシアナート反応性水素と反応するために、理論的に必要とされるイソシアナートの量に関して、配合において実際に用いられるイソシアナートのパーセンテージを表す。
【0022】
本明細書において用いられる場合、「ポリオール」は、1分子当たり、平均で1.0を超えるヒドロキシル基を有する有機分子を表す。それは、別の官能基、すなわち、他のタイプの官能基もまた含み得る。
【0023】
本明細書において用いられる場合、用語「従来のポリエーテルポリオール」は、少なくとも1つのアルキレンオキシド(好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこれらの組合せ)から形成され、植物または動物オイルに由来する分子の部分を有さないポリオールであり、ポリウレタン発泡体、特に本発明の実施では、HRポリウレタン発泡体の製造に一般的に用いられるタイプのポリオールである。ポリエーテルポリオールは、適切な出発剤分子のアルコキシ化によるような、知られている方法によって調製され得る。このような方法は通常、水、エチレングリコールもしくはプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールまたはこれらのブレンドのような開始剤を、触媒の存在下にアルキレンオキシドと反応させることを含む。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはこれらのオキシドの組合せが、アルコキシ化反応にとって特に有用であり得る。ポリエーテルポリオール、例えば、ポリオキシエチレンポリオールは、アルキル置換基を含み得る。ポリエーテルポリオールの製造方法は、アルキレンオキシド混合物の不均一フィード、単一成分のブロックを有するポリオール、または、例えばエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドによりキャッピングされたポリオールを製造するための、純粋なまたはほぼ純粋なアルキレンオキシドポリオールの逐次フィードを含み得る。これらのタイプのポリオールは全て知られており、ポリウレタン化学において用いられる。
【0024】
本明細書において、用語「天然オイルポリオール」(本明細書では、以後、NOP)は、動物および植物オイルを含めて(好ましくは、植物オイル)、天然オイルから分離される、誘導される、または製造される、ヒドロキシル基を有する化合物を表すために用いられる。使用され得る植物および動物オイルの例には、これらに限らないが、大豆油、サフラワー油、亜麻仁油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、オリーブオイル、カノーラ油、ゴマ油、綿実油、パームオイル、ナタネ油、桐油、魚油、またはこれらのオイルのいずれかのブレンドが含まれる。あるいは、部分的に水素化もしくはエポキシ化されたどのような天然オイルまたは遺伝子組換え天然オイルも、所望のヒドロキシル基含量を得るために使用され得る。このようなオイルの例には、これらに限らないが、高オレイン酸サフラワー油、高オレイン酸大豆油、高オレイン酸ピーナッツオイル、高オレイン酸ヒマワリ油(例えば、NuSunヒマワリ油)、高オレイン酸カノーラ油、および高エルカ酸ナタネ油(例えば、クランベ(Crumbe)オイル)が含まれる。天然オイルポリオールは、例えば、Colvin等、UTECH Asia、Low Cost Polyols from Natural Oils、論文36、1995年、および「Renewable raw materials−−an important basis for urethane chemistry」、Urethane Technology:14巻、No.2、4月/5月 1997年(Crain Communications、1997年)、WO01/04225、WO040/96882、WO040/96883、US 6686435、US 6433121、US 4508853、US 6107403、米国特許出願公開第20060041157号、および米国特許出願公開第20040242910号に開示されるように、十分に当業者の知識の範囲内にある。
【0025】
本明細書では、用語「天然オイル系ポリオール」は、天然オイルから誘導されるNOP化合物を表すために用いられる。例えば、天然オイルまたはそれらからの分離物が、空気もしくは酸素から、アミンおよびアルコールを含めての有機化合物までの範囲に渡る化合物と反応させられる。しばしば、天然オイルにおける不飽和は、ポリオールが得られるように、ヒドロキシル基に、またはヒドロキシル基を有する化合物と次に反応できる基に変換される。このような反応は、前の段落の参考文献において検討されている。
【0026】
用語「ヒドロキシル価」は、ポリマー、特にポリオールの組成物におけるヒドロキシル部分の濃度を示す。ヒドロキシル価は、mgKOH/ポリオール1gを表す。ヒドロキシル価は、ピリジンおよび無水酢酸によるアセチル化によって求められ、その結果はKOH溶液による2つの滴定の間の差として得られる。このように、ヒドロキシル価は、1gのポリオールとアセチル化によって結合できる無水酢酸を中和するKOHの重量(mg)として定義されてもよい。より大きなヒドロキシル価は、組成物中のより大きなヒドロキシル部分濃度を示す。組成物のヒドロキシル価の求め方の説明は、当技術分野においてよく知られた指定図書に、例えば、Woods,G.、The ICI Polyurethanes Book−−第2版(ICI Polyurethanes、オランダ、1990年)に見出すことができる。
【0027】
用語「第1級ヒドロキシル基」は、それに結合したたった1個の他の炭素原子を有する炭素原子上のヒドロキシル基(−OH)を意味する(好ましくは、これは、それに結合した水素原子だけを有する)(−CH−OH)。
【0028】
発泡体に用いられる用語「硬化」または「硬化した」は、全てのイソシアナート官能基が他の化学種に、化学反応を通じて変換された状態を表す。
【0029】
本明細書では、用語「官能基数」、特に「ポリオール官能基数」は、ポリオールのヒドロキシル基の数を表すために用いられる。
【0030】
本明細書では、全てのパーセンテージ、好ましい量もしくは測定値、範囲およびそれらの端点は、端の値を含む、すなわち、「約10より小さい」は約10を含む。したがって、「少なくとも」は、「以上」と同意義であり、また、したがって、「大きくても(多くても)」は、「以下」と同意義である。本明細書における数値は、記載されたものを超える精度を有さない。したがって、「115」は、少なくとも、114.5から115.49を含む。さらに、全ての列挙は、列挙の2つ以上の構成要素の組合せを含んでいる。「少なくとも」、「を超える」、「以上」として、または同様に記載されるパラメータから、「大きくても」、「まで」、「より小さい」、「以下」として、または同様に記載されるパラメータまでの全ての範囲は、各パラメータに対して示される相対的な好ましさの度合いに関係なく、好ましい範囲である。したがって、利点のある下限を、最も好ましい上限と組み合わせた範囲が、本発明の実施では好ましい。全ての量、比、割合および他の測定値は、特に断らなければ、重量による。全てのパーセンテージは、時に断らなければ、本発明の実施による全組成物に対する重量パーセントを表す。実施例、または特に断る場合を除いて、本明細書における量、パーセンテージ、OH価、官能基数などを表す全ての数値は、用語「約」によって、全ての事例において修飾されていると理解されるべきである。特に断らなければ、または当業者によって別のやり方では不可能であると認められなければ、本明細書に記載の方法のステップは、それらのステップが本明細書において記載されている順序とは異なる順序で、任意選択で実施される。さらに、任意選択で、複数のステップは、タイミングとして、別々に、同時に、または重なり合って行われる。例えば、加熱および混合のようなステップは、当技術分野において、しばしば、時間的に、別々である、同時である、または部分的に重なり合っている。特に断らなければ、望ましくない結果を引き起こし得る要素、材料、またはステップが、それが許容されない程度の結果を引き起こさないような量、または形態で存在する場合、それは、本発明の実施では実質的に存在しないと見なされる。さらに、用語「許容されない」および「許容されないほどに」は、商業的に有用であり得る、さもなければ、所与の状況において、または所定の限界(この限界は、特定の状況および用途により変わり、前もっての決定、例えば性能仕様によって設定され得る)の外側で有用であり得るものからの逸脱を表すために用いられる。当業者は、許容される限界は、設備、条件、用途、および他の変数により変わるが、それらが適用できるそれぞれの状況において、過度な実験なしに決定できることを認める。いくつかの事例において、1つのパラメータの変動または逸脱は、望ましい別の目標を達成するために許容され得る。
【0031】
用語「含む」は、「包含する」、または「によって特徴付けられる」と同義語であり、包括的である、または制限がなく、挙げられていないさらなる要素、材料、またはステップを除外しない。用語「から本質的になる」は、指定された要素、材料、またはステップに加えて、要素、挙げられていない材料またはステップが、主題の基本的で新規な少なくとも1つの特徴に、許容されないほどに大きく影響を及ぼさない量で存在し得ることを示す。用語「からなる」は、記載された要素、材料またはステップだけが存在することを示す。
【0032】
本発明は、高弾性(HR)発泡体、すなわち、ASTM D3574、試験Hの手順に従って測定して、少なくとも約40パーセントのボールリバウンドを有する発泡体を含み、この発泡体は、MDIイソシアナートと、ポリオール組成物(少なくとも約2.2個のOH官能基数および少なくとも約500ダルトン(Da)の当量を有する少なくとも10から60重量パーセント天然オイル系ポリオール、ならびに、少なくとも約1700Daの当量を有する40から90重量パーセントの少なくとも1つの従来のポリオールを含む)との反応生成物である。適切には、天然オイル系ポリオールは、HR発泡体を製造するために、本発明の実施によって、当業者が使用できる任意の化合物である。有利には、天然オイル系ポリオールは、1分子当たり、少なくとも約2.2、好ましくは少なくとも約2.4、より好ましくは少なくとも約2.6、最も好ましくは少なくとも約2.8で、好ましくは多くても約5、より好ましくは多くても約4、最も好ましくは多くても約3個のヒドロキシル基を有する。有利には、天然オイル系ポリオールは、高弾性を示す発泡体を形成するのに少なくとも十分な当量、すなわち、有利には、少なくとも約500、好ましくは少なくとも約750、より好ましくは少なくとも約1000、最も好ましくは少なくとも約1200で、好ましくは大きくても約2500、より好ましくは大きくても約2,000、最も好ましくは大きくても約1800ダルトンを有する。これらの好ましいヒドロキシル官能基数、当量またはこれらの組合せを有する天然オイル系ポリオールは、本発明の実施において、従来のポリエーテルポリオールと適切にブレンドされる。
【0033】
天然オイル系ポリオールの中で、WO04/096882およびWO04/096883に開示されているポリオールが最も好ましい。これらは、活性水素を有する開始剤(例えば、ポリオールもしくはポリアミン、アミノアルコールまたはこれらの混合物)と、植物オイル系モノマー(不飽和脂肪酸またはエステルのヒドロホルミル化、その後の、得られるホルミル基の少なくとも一部の水素化のようなプロセスによって調製される)との反応生成物である。このようなポリオールは、本明細書において以後、「開始剤による脂肪酸ポリエステルアルコール」と呼ばれる。
【0034】
本発明の実施において好ましい、開始剤による脂肪酸ポリエステルアルコールの製造において、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、12〜26個の炭素原子を有するヒドロキシメチル基含有脂肪酸、またはこのようなヒドロキシメチル化脂肪酸のエステルと、ヒドロキシル、第1級アミンおよび/または第2級アミンの少なくとも平均で2つの基/分子を有する、ポリオール、ヒドロキシルアミンまたはポリアミン開始剤化合物とを反応させることによって都合よく調製される。出発材料の割合および反応条件は、得られるヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、開始剤化合物のヒドロキシル、第1級アミンおよび第2級アミン基の各々に対して、ヒドロキシメチル基含有脂肪酸またはそのエステルに由来する平均で少なくとも1.3個の繰返し単位を含み、また該ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、少なくとも400から15,000までの当量を有するように選択される。有利には、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、次の平均構造を有する(構造1)化合物の混合物である。
[H−X](n−p)−R−[X−Z] (I)
【0035】
式中、Rは、n個のヒドロキシルおよび/または第1級アミンもしくは第2級アミン基を有する開始剤化合物の残基であり、nは少なくとも2であり;各Xは、独立に、−O−、−NH−、または−NR’−であり(R’は、不活性置換されたアルキル、アリール、シクロアルキル、またはアラルキル基である)、pは1からnの数であり、ヒドロキシルメチル含有ポリエステルポリオール1分子当たりの[X−Z]基の平均数を表し、Zは、脂肪酸残基を含む線状または分岐状の鎖である。「不活性置換された」基は、イソシアナート基と反応せず、また、別に、ヒドロキシルメチル基含有ポリエステルポリオールの調製の間に副反応に関らない基である。このような不活性置換基の例には、アリール、シクロアルキル、シリル、ハロゲン(特に、フッ素、塩素または臭素)、ニトロ、エーテル、エステルが含まれる。
【0036】
式Iにおいて、nは、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6、より一層好ましくは2〜5、特に3〜5である。各Xは好ましくは−O−である。ヒドロキシメチル化ポリオール1分子当たりの脂肪酸残基の平均全数は、好ましくは、nの値の少なくとも1.5倍、例えば、nの値の1.5から10倍、nの値の2から10倍、またはnの値の2から5倍である。
【0037】
構造Iによるヒドロキシルメチル含有ポリエステルポリオールは、少なくとも1つの構成脂肪酸鎖に1つまたは複数の炭素−炭素2重結合を含む、植物または動物の脂肪から、複数ステップのプロセスで調製できる。適切な脂肪には、例えば、鶏脂肪、カノーラ油、柑橘類種子油、ココアバター、トウモロコシ油、綿実油、ラード、亜麻仁油、オート麦油、オリーブオイル、パームオイル、ピーナッツオイル、ナタネ油、米糠油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、または牛脂が含まれる。
【0038】
植物または動物の脂肪は、構成脂肪酸のアルキルエステルを製造するために、最初に、都合よくは、低級アルカノール、特にメタノールまたはエタノールによるエステル交換反応を受ける。得られるアルキルエステルは、望まれる場合、対応する脂肪酸に加水分解されるが、このステップは通常、必要ではない、または望ましくない。アルキルエステル(または脂肪酸)は、都合よくは、一酸化炭素および水素との反応によって、ヒドロホルミル化される。これは、炭素−炭素不飽和の箇所で、脂肪酸の鎖に、−CHO基を導入する。適切なヒドロホルミル化法は、例えば、米国特許第4731486号および米国特許第4633021号に、また、2003年4月25日に出願された米国特許仮出願第60/465663号に記載されており、全て、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの脂肪酸グループは、複数の炭素−炭素2重結合箇所を含む。このような場合、ヒドロホルミル化反応は、2重結合箇所の全てに−CHO基を導入しないこともあり得る。次の水素化ステップは、−CHO基をヒドロキシメチル(−CHOH)基に変換し、同時に、本質的に全ての炭素−炭素不飽和を取り除くように、残留炭素−炭素結合を水素化する。次いで、得られるヒドロメチル化脂肪酸混合物は、水または低級アルカノールを除去しながら開始剤化合物と反応させられて、ポリエステルポリオールを形成する。
【0039】
前記開始剤は、ヒドロキシル、第1級アミンまたは第2級アミンの2つ以上の基を含み、ポリオール、アルカノールアミンまたはポリアミンであり得る。特に重要な開始剤はポリオールである。ポリエーテルポリオール開始剤は有用であり、これらには、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのポリマー(2〜8個、特に2〜4個のヒドロキシル基/分子、ならびに約150〜3000、特に200〜1000の分子量を有する)が含まれる。本発明の実施にとって、好ましい開始剤には、アルコキシ化(好ましくはエトキシ化、プロポキシ化またはこれらの組合せ)されたグリセリンが含まれる。このようなアルコキシ化グリセリンは、3個の公称官能基数、および、好ましくは少なくとも約200、より好ましくは少なくとも約300、最も好ましくは少なくとも約400で、好ましくは大きくても約1500、より好ましくは大きくても約2000、最も好ましくは大きくても約1700の当量を有する。好ましくは、これらのポリオールは、約0.09meq/gより小さい不飽和レベルを有する。アルケンオキシドからのこのようなポリオールの形成は、任意選択で、KOHまたは複金属シアン化物(Double Metal Cyanide、DMC)により触媒される。KOHの場合、次に、それらは、Kを除去するために、仕上げ処理される。これらの化合物では、構造1のnは3である。
【0040】
前記プロセスで製造されるヒドロキシメチル含有脂肪酸は、ヒドロキシメチル基を全く有さない材料、および1、2または3個のヒドロキシメチル基を有する材料の混合物である傾向を有する。通常、2および3個のヒドロキシメチル基を有する材料の割合は、ヒドロホルミル化反応が、厳格な反応条件が用いられなければ、しばしば、全ての炭素−炭素2重結合に渡って起こらないので、2および3個の炭素−炭素2重結合を有する出発脂肪酸(またはアルキルエステル)の割合よりいくらか小さい。ヒドロホルミル化されない炭素−炭素2重結合は、通常、水素化される。
【0041】
このようなヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールの製造方法は、WO2004/096882に開示されている。
【0042】
このように製造されたヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、通常、いくらかの未反応開始剤化合物を含み、未反応ヒドロメチル化脂肪酸(またはエステル)を含み得る。開始剤化合物は、しばしば、脂肪酸(またはエステル)と、1官能性または2官能性としてのみ反応し、結果として得られるポリエステルポリオールは、しばしば、開始剤化合物残基に直接結合した遊離ヒドロキシル基またはアミノ基を含む。
【0043】
有利には、天然オイル系ポリオールは、少なくとも約10重量パーセント、好ましくは少なくとも約15、より好ましくは少なくとも約20で、好ましくは多くも約60、より好ましくは多くても約30、最も好ましくは多くても約20重量パーセントの量で用いられる。
【0044】
天然オイル系ポリオールは、天然オイル系ポリオールとは異なるポリオール、例えば、ポリウレタン発泡体、特にHR発泡体を形成するのに広く用いられるポリエーテルポリオール(本明細書では、以後、従来のポリオールまたはさらなるポリオールと呼ばれる)と共に用いられる。有利には、従来のポリオールは、高弾性を示す発泡体を形成するのに少なくとも十分な当量、すなわち、有利には、少なくとも約1700、好ましくは少なくとも約1,800、より好ましくは少なくとも約1,900で、好ましくは大きくても約2,500、より好ましくは大きくても約2,100、最も好ましくは大きくても約2,000ダルトンを有する。HR発泡体を製造するために、有利には、従来のポリオールは、1分子当たり、少なくとも約2、好ましくは少なくとも約2.2、より好ましくは少なくとも約2.5、最も好ましくは少なくとも約2.8で、好ましくは多くても約3.4、より好ましくは多くても約3.0、最も好ましくは多くても約2.9個のヒドロキシル基を有する。さらなるポリオールは、好ましくは、約0.09meq/gより小さい不飽和レベルを有する。このポリオールは、1つまたは複数のアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび1,2−ブチレンオキシド、またはこのようなアルキレンオキシドの混合物のポリマーであり得る。好ましいポリエーテルは、ポリプロピレンオキシド、またはプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの混合物のポリマーである。アルコキシドの重合は、複金属シアン化物(DMC)触媒を用い、または水酸化カリウム(KOH)を用い、任意選択で触媒される。さらなるポリオールはまた、ポリエステルポリオールでもあり得る。これらのポリエステルポリオールには、ポリオール、好ましくはジオールと、ポリカルボン酸またはそれらの無水物、好ましくはジカルボン酸またはジカルボン酸無水物との反応生成物が含まれる。ポリカルボン酸または無水物は、脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式であり得る、また、例えばハロゲン原子により、置換されていてもよい。ポリカルボン酸は不飽和であり得る。これらのポリカルボン酸の例には、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリト酸無水物、フタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、およびフマル酸が含まれる。ポリエステルポリオールの製造に用いられるポリオールは、好ましくは、150以下の当量を有し、これらには、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、1,4−および2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、メチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールが含まれる。The Dow Chemical Companyによって「Tone」の商用名で販売されているもののようなポリカプロラクトンポリオールもまた有用である。どのような従来のポリオールも適切に用いられるが、好ましいポリオールは、脂肪族ポリオールであるもの、より好ましくはポリエステル、最も好ましくはポリエーテルである。さらに、高レベルの、すなわち、約50パーセントを超えるレベルのエチレンオキシドを含むポリオールが、約10部より少なく、より好ましくはポリオールブレンドの約5重量パーセントより少ない濃度で、セル開放剤(cell opener)として用いられる。
【0045】
有利には、従来のポリオールは、少なくとも約40重量パーセント、好ましくは少なくとも約45、より好ましくは少なくとも約50で、好ましくは多くても約90、より好ましくは多くても約80、最も好ましくは多くても約60重量パーセントの量で用いられる。本発明の目的では、本発明のHR発泡体を製造するために用いられるポリオールまたはポリオールの組合せは、天然オイル系ポリオール組成物と呼ばれる。
【0046】
天然オイル系ポリオール組成物は、1分子当たり、平均で1.8個以上のイソシアナート基を有する少なくとも1つのメチレンジフェニルジイソシアナートと反応させられる。イソシアナート官能基数は、好ましくは少なくとも約2.0、より好ましくは少なくとも約2.1、最も好ましくは少なくとも約2.2で、好ましくは多くても約2.7、より好ましくは多くても約2.5、最も好ましくは多くても約2.3個である。例示的なメチレンジフェニルジイソシアナートには、例えば、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)の様々な異性体、MDIの誘導体、例えば、ビウレット変性「液体」MDI生成物、およびポリメリックMDI(PMDI)が含まれる。好ましくは、MDIは、例えば、EP 485 953に開示されているような、当技術分野の範囲内のプレポリマーである。任意選択で、MDIはプロメリック(Puromeric)、すなわち、ポリメリックMDIとモノマーMDIのブレンドである。任意選択で、MDIは、他のイソシアナート、例えば、TDI(トルエンジイソシアナート)、またはCHDI(1,4−シクリヘキサンジイソシアナート)もしくはIPDI(イソホロンジイソシアナート)のような脂肪族イソシアナートと組み合わせられる。本発明の実施において、得られるイソシアナートブレンドは、少なくとも約5重量パーセントのMDIまたはMDI誘導体(例えばPMDI)、好ましくは少なくとも約10、より好ましくは少なくとも約25、最も好ましくは少なくとも約50重量パーセントのMDIまたはそれらの誘導体を含む。
【0047】
本発明の発泡体を製造するために使用される組成物に、天然オイル系ポリオール組成物およびイソシアナート以外に、水が用いられる。水は、イソシアナートとの反応によって、発泡体の発泡(blowing)を達成し、ウレアセグメント(ハードセグメント)を形成するために用いられる。スラブストック(slab stock)ポリウレタン発泡体は、通常、2.5から6重量部/100重量部のポリオール(pphp)の量の水を用いるが、有利には、本発明のHR発泡体は、100部のポリオール成分の全重量に対する重量部として計算して、少なくとも約2.0、好ましくは少なくとも約2.5、より好ましくは少なくとも約3.0、最も好ましくは少なくとも約3.5pphpで、有利には、ポリオール成分の全重量に対して、多くても約10、好ましくは多くても約8、より好ましくは多くても約6、最も好ましくは多くても約5pphpを用いる。いくつかの事例において、発泡反応または密度の制御は、水を他の発泡剤、例えば、炭化水素(例えば、シクロ、イソ、もしくはn−ペンタン)またはヒドロフルオロカーボン(HFC)、および二酸化炭素のような他の揮発性分子(ガス状または液体)と組み合わせることによって達成される。不完全な真空(低い大気圧、例えば、0.5Barまで下がった)が、本発明の実施に、任意選択で用いられる。
【0048】
ポリオールおよび水の合計に対する割合としてのイソシアナートの量は、イソシアナートインデックスによって示される。本発明のHR発泡体では、MDIがイソシアナートとして用いられ、イソシアナートインデックスは、好ましくは少なくとも約55、より好ましくは少なくとも約65、最も好ましくは少なくとも約95で、好ましくは大きくても約125、より好ましくは大きくても約115、最も好ましくは大きくても約105である。
【0049】
少なくとも1つの天然オイル系ポリオール組成物と少なくとも1つのイソシアナートが、1つまたは複数の触媒の存在下に一緒に反応させられる。ウレタン発泡体の形成は、通常、ポリオール−イソシアナート(ゲル化)反応を触媒し得る少なくとも1つの触媒、または水−イソシアナート(発泡)反応を触媒し得る少なくとも1つ(水が発泡剤として用いられる場合)、あるいは両方を用いる。水発泡による発泡体の製造では、発泡反応を促進する少なくとも1つの触媒と、ゲル化反応を促進する少なくとも1つの他の触媒との混合物、または両方を促進する1つの触媒を用いるのが通常である。これらは、所望のセル構造を保つのに十分なゲル化(粘度)を達成しながら、配合物を発泡させ、好ましくは、発泡体のセルの多くを開放させるのに十分な発泡を達成するようにバランスされる。HR発泡体の製造では、ジブチルスズジラウラート(DBTDL)のようなスズ触媒が、通常、用いられる。驚くべきことに、本発明の実施において、DBTDLは有用であるが、オクタン酸第一スズ(stannous octoate、SO)もまた好ましいスズ触媒であり、いくつかの実施形態では、より好ましい。アミンポリオールの組合せを用い、HR発泡体を製造することもまた一般的であり、この組合せは、本発明の実施において有用である。しかし、本発明の実施では、発泡反応を促進する単一のアミン触媒の使用が、最終発泡体製品の臭気を減らし、また発泡体製品を製造するための配合を簡単にするために、好ましい。
【0050】
ポリウレタン形成反応を触媒する様々な材料が知られており、これらには、第3級アミン;第3級ホスフィン、例えば、トリアルキルホスフィンおよびジアルキルベンジルホスフィン;様々な金属キレート、例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチルと、金属(例えば、Be、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、CoおよびNi)とから得ることができるもの;強酸の酸金属塩、例えば、塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマスおよび塩化ビスマス;アルカリおよびアルカリ土類金属の水酸化物のような強塩基、アルコキシドおよびフェノキシド、様々な金属アルコラートおよびフェノラート、例えば、Ti(OR)4、Sn(OR)4およびAl(OR)3(式中、Rは、アルキルまたはアリールである)、ならびに、アルコラートとカルボン酸、ベータ−ジケトンおよび2−(N,N−ジアルキルアミノ)アルコールとの反応生成物;アルカリ土類金属、Bi、Pb、SnまたはAlのカルボン酸塩;ならびに、4価のスズ化合物、および3価または5価のビスマス、アンチモン、またはヒ素化合物が含まれる。好ましい触媒には、第3級アミン触媒および有機スズ触媒が含まれる。市販の第3級アミン触媒の例には、次のものが含まれる:トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ−2,2,2−オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミンおよびジメチルアルキルアミン(アルキル基は4から18個の炭素原子を含む)。これらの第3級アミン触媒の混合物がしばしば用いられる。市販のアミン触媒の例には、Niax(商標)A1およびNiax(商標)A99(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、プロピレングリコール中、GE Advanced Materials,Siliconesから入手可能)、Niax(商標)B9(N,N−ジメチルピペラジンおよびN,N−ジメチルヘキサデシルアミン、ポリアルキレンオキシドポリオール中、GE Advanced Materials,Siliconesから入手可能)、Dabco(商標)8264(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミンおよびジメチルヒドロキシエチルアミンの混合物、ジプロピレングリコール中、Air Products and Chemicalsから入手可能)、およびDabco(商標)33LV(トリエチレンジアミン、ジプロピレングリコール中、Air Products and Chemicalsから入手可能)、Niax(商標)A−400(製造販売の独占権をもつ第3級アミン/カルボン酸塩およびビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、水中、ならびに製造販売の独占権をもつヒドロキシル化合物、GE Advanced Materials,Siliconesから入手可能);Niax(商標)A−300(製造販売の独占権をもつ第3級アミン/カルボン酸塩およびトリエチレンジアミン、水中、GE Advanced Materials,Siliconesから入手可能);Polycat(商標)58(製造販売の独占権をもつアミン触媒、Air Products and Chemicalsから可能入手)、Polycat(商標)5(ペンタメチルジエチレントリアミン、Air Products and Chemicalsから入手可能)、およびPolycat(商標)8(N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、Air Products and Chemicalsから入手可能)が含まれる。
【0051】
有機スズ触媒の例は、塩化第二スズ、塩化第一スズ、オクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、ジラウリン酸ジメチルスズ、ジブチルスズジラウラート、式SnRn(OR)4−n(式中、Rはアルキルまたはアリールであり、nは0〜2である)の他の有機スズ化合物である。通常、有機スズ触媒は、仮に用いられるとした場合、1つまたは複数の第3級アミン触媒と共に用いられる。関連する市販の有機スズ触媒には、Dabco(商標)T−9およびT−95触媒が含まれる(どちらも、Air Products and Chemicalsから入手可能なオクタン酸第一スズ組成物)。
【0052】
触媒は通常、少量で用いられ、例えば、各触媒は、天然オイル系ポリオール組成物の0.0015から5重量パーセント用いられる。この量は、触媒または触媒混合物、特定の設備でのゲル化および発泡反応の所望のバランス、ポリオールとイソシアナートの反応性、さらには当業者によく知られている他の要因に応じて決まる。
【0053】
VOC(揮発性有機化合物)の放出を減らすために、イソシアナート反応性触媒アミン(例えば、EP 747 407に記載されるもの)が、任意選択で用いられ、好ましくは、EP 539 819、US 5,672,636またはWO01/58976に開示されるもののようなアミン開始剤によるポリオールが、本発明により用いられる。
【0054】
有利には、界面活性剤が、しばしば、HR発泡体配合に、それが膨張し硬化するときに発泡体を安定化するのを助けるために、含まれる。界面活性剤の例には、非イオン界面活性剤および湿潤剤、例えば、プロピレングリコールへのプロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドの逐次付加によって調製されるもの、固体または液体のオルガノシリコーン、および長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテルが含まれる。イオン界面活性剤、例えば、長鎖アルキル酸硫酸エステルの第3級アミンまたはアルキロールアミン塩、アルキルスルホン酸エステルおよびアルキルアリールスルホン酸もまた使用され得る。プロピレングリコールへのプロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドの逐次付加によって調製される界面活性剤が、好ましく、固体または液体のオルガノシリコーンもそうであり、これらが最も好ましい。有用なオルガノシリコーン界面活性剤の例には、市販のポリシロキサン/ポリエーテルコポリマー、例えば、Tegostab(Goldschmidt Chemical Corp.の商標)B−8462およびB−8404、ならびにDC−198およびDC−5043界面活性剤(Dow Corningから入手可能)、ならびにNiax(商標)627界面活性剤(GE Advanced Materials,Siliconesによる)が含まれる。界面活性剤の量は、特定の界面活性剤の表面活性、および発泡体セル構造を安定化または開放するその能力、ならびにポリオール混合物の反応性、表面張力および粘度により変わるが、通常、それは、ポリオールの全重量に対して0.0015と3pphpの間の量で用いられる。
【0055】
発泡性組成物は、鎖延長剤または架橋剤を含み得るが、これらの使用は、一般に、好ましくなく、これらの材料は通常、仮に存在する場合、少量(例えば、100重量部のポリオールまたはポリオール混合物当たり、10重量部まで、特に2重量部まで)で用いられる。鎖延長剤は、正確に2個のイソシアナート反応性基/分子を有する材料であり、一方、架橋剤は、平均で2個を超えるイソシアナート反応性基/分子を含み、いずれの場合でも、イソシアナート反応性基当たりの当量は、30から125の範囲であり得るが、好ましくは、30から75である。イソシアナート反応性基は、好ましくは、脂肪族アルコール、第1級アミンまたは第2級アミン基であり、脂肪族アルコール基が特に好ましい。鎖延長剤および架橋剤の例には、アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール;グリコールエーテル、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール;シクロヘキサンジメタノール;グリセリン;トリメチロールプロパン;トリエタノールアミン;ジエタノールアミンが含まれる。
【0056】
発泡性ポリウレタン組成物には、(水以外の)さらなる発泡剤は含まれない(すなわち、意図し得る量より少ない、または、好ましくは約0.5pphpより少ない)ことが好ましいが、さらなる物理的または化学的発泡剤を含めることは、本発明の範囲内である。物理的発泡剤の中には、COおよび様々な炭化水素、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、クロロカーボン(例えば、塩化メチレン)、クロロフルオロカーボンおよびヒドロクロロフルオロカーボン、ケトン(例えば、メチル;エチルケトンもしくはアセトン)、ならびにエステル(例えば、メチルホルマート)がある。化学的発泡剤は、高温で分解または反応(イソシアナート基以外と)して二酸化炭素および/または窒素を生成する材料である。
【0057】
本発明のHR発泡体を生成するために用いられる組成物は、ポリウレタンポリマーの生成のために当技術分野において一般的に知られているどのような添加剤も任意選択で含む。界面活性剤、セル開放剤、着色剤、フィラー、荷重支持向上添加剤(例えば、SAN(スチレンおよびアクリロニトリル)、PHD(ポリウレア)またはPIPA(ポリイソシアナートポリアルカノールアミン)コポリマーポリオール)、内部離型剤(internal mold release)、帯電防止剤、抗菌剤、可燃性を低下させる添加剤、分散剤、フィラー(再生PU発泡体粉末が含まれる)、および当業者に知られている他の添加剤のような様々な添加剤のいずれも、本発明の範囲内で有用である。
【0058】
天然オイル系ポリオール組成物からのポリウレタンの形成において、天然オイル系ポリオール組成物は、配合されたポリオールを生成するように、発泡剤、乾燥剤、フィラー、顔料、触媒のような適切な添加剤とブレンドされ得る。すでに記載されたイソシアナートインデックスに相当する量のイソシアナートが、加えられ、ポリオールと撹拌される。ポリオール/イソシアナートの混合物は、発泡が停止するまで、乾燥空気もしくは窒素または真空下に保たれ、次いで、モールドに注入される。得られるポリウレタン発泡体は、室温またはより高い温度のいずれかで硬化され得る。
【0059】
一実施形態において、HR発泡体の形成方法は、(a)少なくとも約10重量パーセントの少なくとも1つの天然オイル系ポリオール(少なくとも約2.2個のOH官能基数、および少なくとも約500ダルトン(Da)の当量を有する)、および少なくとも約40重量パーセントの少なくとも1つの従来のポリオール(少なくとも約1700Daの当量を有する)、および水を含む天然オイル系ポリオール組成物を形成するステップ;(b)触媒−ポリオール混合物を形成するために、少なくとも1つの触媒を天然オイル系ポリオール組成物と混合するステップ;(c)少なくとも1つのメチレンジフェニルジイソシアナート異性体、誘導体またはこれらの組合せの少なくとも約5重量パーセントを含むポリイソシアナートを、少なくとも約55で、大きくても約105のイソシアナートインデックスに相当する量で供給するステップ、および(c)イソシアナートを触媒−ポリオール混合物と混合するステップを含む。これらのステップは、任意選択で、同時に、または任意の順序で行われる。任意選択で、補助的な発泡剤のような、さらなる成分もまた加えられる。記載された方法は、天然オイル系ポリオール組成物を形成するために、少なくとも1つの天然オイル系ポリオールと他のポリオールとを混合するステップを含むが、それはまた、少なくとも1つの天然オイル系ポリオールを、添加剤として天然オイル系ポリオール組成物に添加することも含むことに留意されたい。
【0060】
HR発泡体は、いわゆるスラブストック法で、または様々な成形法によって調製され得る。スラブストック法は最も重要である。スラブストック法では、成分は、混合され、槽(trough)または他の区画に注がれ、そこで、配合物は反応し、少なくとも1つの方向に自由に膨張し、硬化する。スラブストック法は通常、商業的規模では連続的に操業されるが、不連続または箱発泡法でもまた操業され得る。
【0061】
スラブストック法において、様々な成分は、個別に、または様々な部分的組合せとして、混合ヘッドに導入され、そこで、それらは混合され、定量供給される。通常、成分温度は、混合前、15から35℃の範囲にある。定量供給される混合物は、通常、加熱されずに、膨張し硬化する。スラブストック法において、反応している混合物は、自由に、または最低限の拘束の下で(カバーシートまたはフィルムの重さのせいで加えられ得るような)膨張する。別法として、HR発泡体を製造するための成分は、スラブストック発泡体の連続生産のために設計された設備(例えば、Maxfoam機)、または、Hebnerによって、Insight 95 International Conference、10月、1995年に提示された「Polyurethane Foam:Polymers’ Cinderella Product」(Foamex Internationalから入手可能)に記載されるような、当技術分野の技術の範囲内の他の方法におけるように、同時に一緒にされてもよい。このようなプロセスは、高圧注入ヘッド技術(任意選択で、COのような補助発泡剤の注入を用いる)を用いるか、あるいはまた、イン−ライン成分混合を伴う低圧注入装置においてかのいずれかで実施できる。どちらの技術も当業者に知られている。反応混合物を閉じたモールド(ここで、それは膨張し硬化する)に導入することによって、成形法でHR発泡体を製造することもまた可能である。これらの工業的応用の十分な説明には、G.Oertelによって編集された、Polyurethane Handbook.Chemistry,Raw Materials,Processing,Application,Properties(Hanser publisher(1993年、第2版)を参照されたい。他のプロセス、例えば、スプレー発泡技術もまた使用でき、この場合、発泡している混合物は、手動式スプレー装置の使用によるか、または発泡スプレーロボット装置(例えば、自動車内部に音減衰発泡体をスプレーするのに用いられるタイプ)によるかのいずれかで、基材を背にする所にスプレーされる。さらに、可変圧力発泡(variable pressure foaming、VPF)のようなプロセスが用いられてもよく、このプロセスでは、発泡体は、大気圧で同じ配合を用いて得ることができるより低い密度で低い硬度を有する発泡体を製造するように、減圧下に製造される。別法として、VPFプロセスは、大気圧で同じ配合を用いて得ることができるより高い硬度を有する高い密度の発泡体を得るように、加圧下に実施され得る。
【0062】
有利には、本発明のHR発泡体は、(a)約80kg/mより小さい密度、(b)約40パーセントを超える弾性、(c)乾燥状態での75パーセント圧縮永久歪が約30パーセントより小さい、の少なくとも1つ、または、好ましくはこれらの組合せを有する。ASTM D3574−01、試験Aの手順に従って求めた本発明の発泡体の密度は、有利には、少なくとも約25、好ましくは少なくとも約30、より好ましくは少なくとも約35で、好ましくは大きくても約80、より好ましくは大きくても約55、最も好ましくは大きくても約50kg/mである。ASTM D3574、試験Hに従って測定して、本発明の発泡体は、少なくとも約40パーセント、より好ましくは少なくとも約42パーセント、最も好ましくは少なくとも約48パーセント、有利には50パーセントまでの弾性を示す。本発明の発泡体は、ASTM D 3574−95、試験Iの手順に従って測定して、有利には、大きくても約30、より有利には大きくても約25、好ましくは大きくても約20、より好ましくは大きくても約15、最も好ましくは大きくても約10パーセントの、乾燥状態での75パーセント圧縮永久歪を有する。
【0063】
本発明のHR発泡体は、既存のHR発泡体の用途、例えば、生活を快適にする用途(例えば、マットレス、枕、および座席の詰め物クッション材)のいずれにも、吸音に、振動減衰ならびにこれらの組合せに有用である。さらに、本発明の発泡体は、様々なパッケージおよびクッション材用途に、例えば、マットレス、パッケージ、バンパーパッド、スポーツおよび医療用具、ヘルメットライナー、パイロットシート、耳栓、ならびに様々な騒音および振動減衰用途に有用である。
【0064】
本発明の目的および利点は以下の実施例によってさらに例示される。これらの実施例に挙げられる、特定の材料およびそれらの量、さらには他の条件および詳細は、本発明を限定するために用いられるべきではない。特に断らなければ、パーセンテージ、部数および比の全ては、重量による。本発明の実施例は、番号が付けられているが、一方、比較試料(これらは本発明の例ではない)は、アルファベット順に命名されている。
【実施例】
【0065】
以下の材料を、本発明の発泡体の製造に用いる。
PEPO−1は、3官能性で、当量1630のポリエーテルポリオール(The Dow Chemical CompanyからVoranol CP 4711ポリオールの商用名で市販されている)である。
PEPO−2は、3官能性で、当量2000のポリエーテルポリオール(The Dow Chemical CompanyからVoranol CP 6001ポリオールの商用名で市販されている)である。
PEPO−3は、2官能性で、当量1900のポリエーテルポリオール(The Dow Chemical CompanyからVoranol EP 1900ポリオールの商用名で市販されている)である。
PEPO−4は、4.7官能性、当量1,750で、15パーセントのエチレンオキシド(EO)キャッピング(capping)を有するポリエーテルポリオール(The Dow Chemical CompanyからSpecflex NC 632の商用名で入手可能)である。
PEPO−5は、SAN(スチレンアクリロニトリル)系コポリマーポリオール(The Dow Chemical CompanyからSpecflex NC 700の商用名で市販されている)である。
PEPO−6は、3,3’−ジアミノ−N−メチル−ジプロピルアミンにより開始され、4官能性、当量1,700で、17.5パーセントのEOキャッピングを有するポリエーテルポリオールである。
NOPO−1は、大豆油からの脂肪酸を用いて調製される3官能性の天然オイルポリオールであり、89のヒドロキシル価(OH#)を有し100パーセントの第1級ヒドロキシル含量を有する。それは、ヒドロキシメチル化大豆脂肪酸メチルエステルと、分子量625のポリ(エチレンオキシド)トリオール(開始剤−1)(当技術分野の技術において知られており、G.Oertelにより編集された、Polyurethane Handbook,Chemistry,Raw Materials,Processing,Application,Properties(Hanser publisher(1993年、第2版)の3.1.1.20項のような参考文献に教示されるように、0.3パーセントの最終KOHレベルを用いる、209の当量に達するまでの、120℃でのグリセロールのエトキシ化によって製造され、合成ケイ酸マグネシウムにより仕上げられる)とを、4:1のモル比で、500ppmのオクタン酸第一スズを触媒として用い、反応させることによって製造される。得られるポリエーテル−ポリエステルは、21℃で2,700mPaの粘度、640のヒドロキシル当量、2500のMn、3550のMw、および1.44の多分散度を有する。NOPO−1は、平均で約3.0のヒドロキシル基/分子を有する。NOPO−1は、構造Iに相当し、式中、Xは−O−であり、n=3である。
NOPO−2は、大豆油からの脂肪酸を用いて調製される3官能性の天然オイルポリオールであり、55のヒドロキシル価(OH#)を有し、100パーセントの第1級ヒドロキシル含量を有する。それは、ヒドロキシメチル化大豆脂肪酸メチルエステルと、当量450のポリ(エチレンオキシド)トリオールとを、開始剤−1の製造に用いられるものと同じ条件で、但し、5.5:1のモル比で、990ppmのオクタン酸第一スズを触媒として用いて反応させることによって製造される。得られるポリエーテル−ポリエステルは、21℃で5,200mPaの粘度、2609のヒドロキシル当量、4262のMw、および1.63の多分散度を有する。NOPO−2は、平均で約3のヒドロキシル基/分子を有する。
NOPO−3は、大豆油からの脂肪酸を用いて調製される3官能性の天然オイルポリオールであり、45のヒドロキシル価(OH#)を有し、100パーセントの第1級ヒドロキシル含量を有する。それは、ヒドロキシメチル化大豆脂肪酸メチルエステルと、当量550のポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)トリオール(開始剤−1の製造に用いられたものと同じ条件で、450の分子量に達するまでの、グリセロールのプロポキシ化、次いで、27モルのEOによるエトキシ化によって製造される)とを、但し、6.9:1のモル比で、578ppmのオクタン酸第一スズを触媒として用い、反応させることによって製造される。得られるポリエーテル−ポリエステルは、21℃で5,400mPaの粘度、3350のヒドロキシル当量、5413のMw、および1.61の多分散度を有する。NOPO−3は、平均で約3のヒドロキシル基/分子を有する。
NOPO−4は、大豆油からの脂肪酸を用いて調製される3官能性の天然オイルポリオールであり、35のヒドロキシル価(OH#)を有し、100パーセントの第1級ヒドロキシル含量を有する。それは、ヒドロキシメチル化大豆脂肪酸メチルエステルと、550の当量を有するポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)トリオール(開始剤−1の製造に用いられたものと同じ条件で、450の分子量に達するまでの、グリセロールのプロポキシ化、次いで、27モルのEOによる反応によって製造される)とを、但し、9.9:1のモル比で、717ppmのオクタン酸第一スズを触媒として用い、反応させることによって製造される。得られるポリエーテル−ポリエステルは、21℃で7,700mPaの粘度、3775のヒドロキシル当量、6365のMw、および1.68の多分散度を有する。NOPO−4は、平均で約3のヒドロキシル基/分子を有する。
NOPO−5は、大豆油からの脂肪酸を用いて調製される3官能性の天然オイルポリオールであり、32のヒドロキシル価(OH#)を有し、100パーセントの第1級ヒドロキシル含量を有する。それは、ヒドロキシメチル化大豆脂肪酸メチルエステルと、6merのプロピレンオキシド単位および27merのエチレンオキシド単位、ならびに660の当量を有するポリ(アルキレンオキシド)トリオール(開始剤−1の製造に用いられたものと同じ条件で製造され、450の分子量に達するまでの、グリセロールのプロポキシ化、次いで、6モルのPOの付加、その後の27モルのEOの反応(約660の当量となる)によって製造される)とを、但し、11.8:1のモル比で、578ppmのオクタン酸第一スズを触媒として用い、反応させることによって製造される。得られるポリエステルは、21℃で7,900mPaの粘度、3770のヒドロキシル当量、6213のMw、および1.65の多分散度を有する。NOPO−5は、平均で約3のヒドロキシル基/分子を有する。
水は脱イオン水である。
NCO−1は、29.5のNCO重量パーセントを有するMDIプレポリマー(The Dow Chemical CompanyからSPECFLEX NE 134イソシアナートの商用名で市販されている)である。
NCO−2は、31.5のNCO重量パーセントを有するポリメリックMDI(Bayer AGからDESMODUR 3230イソシアナートの商用名で市販されている)である。
NCO−3は、80重量パーセントのTDI 80/20、および20重量パーセントのPMDI(ポリメリックMDI)のブレンド(The Dow Chemical CompanyからSpecflex TM−20イソシアナートの商用名で市販されている)である。
MOD−1は、シリコーン系界面活性剤(Degussa−Goldschmidt Chemical Corp.からTegostab B−8715LFの商用名で市販されている)である。
MOD−2は、セル開放剤として作用する、エトキシ化/プロポキシ化トリオールポリエーテルポリオール(The Dow Chemical CompanyからVORANOL(商標)CP 1421の商用名で市販されている)である。
MOD−3は、セル開放剤(Degussa−Goldschmidt Chemical Corp.からTegostab B−8948の商用名で市販されている)である。
CAT−1は、純度99+のジエタノールアミン(DEOA)に基づく架橋剤(Sigma−Aldrich Co.から市販されている)である。
CAT−2は、ジプロピレングリコール(67パーセント)中のジエチレントリアミン(33パーセント)溶液(Air Products and Chemicals,Inc.からDabco(商標)33LV触媒の商用名で市販されている)である。
CAT−3は、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル触媒(GE Advanced Materials,SiliconesからNiax(商標)A1触媒の商用名で市販されている)である。
CAT−2は、アミン触媒(GE Advanced Materials,SiliconesからNiax(商標)A300の商標名で市販されている)である。
CAT−4は、N,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)(Sigma−Aldrich Co.から市販されている)である。
【0066】
「プロセスA」に従って調製された各実施例および比較試料において、発泡体は、触媒を含む所与の配合の成分、および添加剤(MOD−1、MOD−2、およびMOD−3として示される)の全てを個別に秤量し、およびそれらを1リットル容量のカップに量って入れることによって調製する。成分の温度は約23℃である。成分は、電動式撹拌機を用い、2,000rpmで30秒間、予備混合する。次いで、撹拌した成分に、表に示すイソシアナートを加え、2,000rpmで、さらに5秒間混合する。次に、反応物を、60℃に加熱した30×30×10cmのアルミニウムモールド(Klueber LubricationからKlueber 3028離型剤の商用名で市販されている離型剤でスプレーされている)に注ぐ。発泡塊がベント孔に達する時間は、表において、モールド出口時間と呼ぶ。これに対して、脱モールド時間は、少なくとも4分間で一定に、または、発泡体が変形しないで適切にモールドから取り出すことができない場合、より長時間に維持する。発泡体パッドは、脱モールド時に、セルを開放させ、収縮の可能性を除くために、手で押しつぶす。明瞭に認められる他のどのような反応特性、例えば、発泡体の臭気、スキンの様子も、それらが満足のいくものではない場合には、観察し、記録する。次いで、得られる発泡体パッドは、換気ドラフトチャンバの下で、一夜、硬化させる。次に、それらは、7日間、室内に保管し、その後、前に記載した特性の定義において指定したASTMおよびDIN試験法を用い、物理的特性の評価を行う。
【0067】
実施例1〜3および比較試料A〜C
プロセスAを用いて、表1に記載の発泡体を調製する。
【0068】
【表1】

【0069】
表1のデータは、40パーセントまでのレベルでPEOP−2をNOPO−1と組み合わせて用いたとき、40パーセント以上の発泡体弾性が得られることを示す。NOPO−1を含まない比較試料AおよびCは、50パーセントを超える弾性を有する。PEOP−1および30PHPのNOPO−1に基づく比較例Bは、40パーセントをほんの少し超える弾性であるので、40PHPでは目的を達成できないであろう。これは、ポリエーテルポリオールの当量が、天然オイル系ポリオールおよびポリエーテルポリオールの組合せを用いるHR発泡体の製造において重要であることを示す。
【0070】
実施例4および比較試料D〜F
プロセスAを用いて、表2に記載の発泡体を調製する。
【0071】
【表2】

【0072】
表2のデータは、弾性が45パーセントで、乾燥および湿潤状態エイジング後圧縮永久歪が小さい発泡体を、PEOP−2および30PHPのNOPO−1により得ることができることを示す。これらの発泡体の特性は、通常のOEM仕様を満たすのに十分に、対照標準のCS Dのものに近い。
【0073】
実施例5〜8
プロセスAを用いて、表3に記載の発泡体を調製する。
【0074】
【表3】

【0075】
表3のデータは、ジオールPEOP−3の使用により、発泡体の特性が保たれることを示す。しかし、CAT−1(DMEA)は、発泡体を開放させる一方で、発泡体スキンを硬化させること、および上昇している発泡体を安定化させることにおいて、CAT−2より効果が劣る。しかし、発泡体の特性は保たれる。
【0076】
実施例9〜12
プロセスAを用いて、表4に記載の発泡体を調製する。
【0077】
【表4】

【0078】
表4のデータは、PEOP−2をNOPO−5(これは、NOPO−1より大きい分子量を有する)と共に用いると、より開放された発泡体、より大きな発泡体弾性および良好な乾燥および湿潤状態エイジング後圧縮永久歪が得られることを示す。
【0079】
実施例13〜17および比較試料G
プロセスAを用いて、表5に記載の発泡体を調製する。
【0080】
【表5】

【0081】
表5のデータは、発泡体配合におけるNOPO−1のレベルの増加が、発泡体の弾性の低下に導くことを確証する。例えば、実施例17の発泡体は、40パーセントの弾性に到達するために、より高い分子量のポリオールを必要とすると思われる。
【0082】
実施例18〜20
プロセスAを用いて、表6に記載の発泡体を調製する。
【0083】
【表6】

【0084】
実施例18から20は、TDIおよびPMDIのブレンドが、非常に良好なボールリバウンド値および許容される圧縮永久歪を有する、天然オイル系ポリオールに基づく発泡体を与えることを示す。これらの発泡体パッドは、6分間の硬化時間後に脱モールドした。実施例20は、自己触媒ポリオール(PEPO−6)を用いたとき、添加される触媒(CAT−3)を減らせることを例示する。
【0085】
当業者は、本発明が、本出願において特定され例示された材料を越えて、有用であることを認めるであろう。例えば、本発明は、例示された、開始剤による脂肪酸ポリエステルアルコール以外の天然オイル系ポリオールに適用可能であり、例えば、適切な天然オイル系ポリオールには、Grosch,G.H.等、WO0014045(A1)(2000年3月16日);David M.Casper、US20060041155(A1)、2004年8月23日;David M.CasperおよびTrevor Newbold、US20060041156(A1);Ashvin ShahおよびTilak Shah、WO0104225(A1)(2000年7月12日)、Ron HerringtonおよびJeffrey Malsam、US20050070620(A1)(2004年6月25日)、Dwight E.PeermanおよびEdgar R.Rogier、EP106491(1983年9月6日);US4496487(1982年9月7日);US4423162(1983年12月27日);ならびに、US4543369(1984年10月26日);Zoran S.Petrovic等;US20060041157(A1)(2005年6月24日)のような参考文献に開示されているものが含まれると考えられる。
【0086】
本発明の実施形態は以下を含む。
1.少なくとも1つの天然オイル系ポリオールと、少なくとも1つのポリイソシアナートまたは2つ以上のイソシアナート基を有するこれらの誘導体との反応生成物である高弾性(HR)発泡体(ここで、ポリイソシアナートは、少なくとも5重量パーセントのメチレンジフェニルジイソシアナートを含む)。
2.A)少なくとも1つのポリオール、少なくとも1つのポリイソシアナート、水、少なくとも1つの触媒を含む反応混合物を形成すること(ここで、ポリオールは少なくとも1つの天然オイル系ポリオールを含み、ポリイソシアナートは、少なくとも5重量パーセントのメチレンジフェニルジイソシアナートを含む)、
B)反応混合物を、反応混合物が膨張し、HRポリウレタン発泡体を形成する結果を生じるのに十分な条件下におくこと、
を含む、HR発泡体の調製方法。
3.実施形態1の発泡体、実施例2の方法によって製造される発泡体、またはこれらの組合せを含む物品。
4.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、ポリイソシアナートは、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)の異性体、MDIの誘導体(例えば、ビウレット変性「液体」MDI生成物、およびポリメリックMDI(PMDI))、MDIプレポリマーおよびこれらの組合せから好ましくは選択される、少なくとも1つのメチレンジフェニルジイソシアナートまたはこれらの誘導体を含む)。
5.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、イソシアナートは、イソシアナート化合物の全重量に対して、少なくとも約5、10、25、または50重量パーセントのいずれかのメチレンジフェニルジイソシアナート、好ましくはMDIまたはそれらの誘導体を含み、独立に好ましくは、メチレンジフェニルジイソシアナートは、ポリイソシアナートの、最大で約90、95または100重量パーセントのいずれかを占め、より好ましくは、ポリイソシアナートは、少なくとも1つのメチレンジフェニルジイソシアナートであり、最も好ましくは、少なくとも1つのMDIまたはそれらの誘導体である)。
6.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、イソシアナートまたはこれらの組合せは、平均で、少なくとも約1.8、2.0、2.1、または2.2個のいずれかを、好ましくは多くても約2.7、2.5、または2.3個のいずれかを有する)。
7.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、天然オイル系ポリオールまたはそれらの組合せは、1分子当たり、少なくとも約2.2、2.4、2.6、または2.8個のいずれかから、多くても約3、4または5個のいずれかまでのヒドロキシル基を有する)。
8.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、天然オイル系ポリオール(NOBP)は、高弾性を、好ましくは少なくとも40パーセントのボールリバウンドを示す発泡体を形成するのに少なくとも十分な当量、好ましくは少なくとも約500、750、1000、または1200のいずれかから、大きくても約2500、2000、または1800ダルトンのいずれかまでの当量を有する)。
9.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、NOBPは、少なくとも1つの開始剤による脂肪酸ポリエステルアルコールであり、好ましくは、開始剤は、1分子当たり、平均で少なくとも2個の活性水素基を有し、より好ましくは、活性水素基は、ヒドロキシル、第1級アミン、第2級アミンまたはこれらの組合せの基から選択される)。
10.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、NOBPは、開始剤の1個の活性水素基当たり、脂肪酸またはエステルに由来する、平均で少なくとも約1.3個の繰返し単位を有する)。
11.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、少なくとも1つの開始剤はアルコキシ化グリセリンであり、好ましくは、これは、3個の公称官能基数を有し、独立に好ましくは、これは、好ましくは少なくとも約200、300、または400のいずれかから、好ましくは大きくても約1500、2000、または1700までのいずれかの当量を有し、独立に好ましくは、このポリオールは約0.09meq/gより小さい不飽和レベルを有する)。
12.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、少なくとも1つのNOBPは、少なくとも1つの従来のまたはさらなるポリオールとの混合物として使用され、好ましくは、NOBPまたはこれらの組合せは、用いられるポリオール混合物の、少なくとも約10、15、または20のいずれかから、好ましくは多くても約20、30または60重量パーセントのいずれかまでを占める)。
13.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、少なくとも1つのNOBPは、少なくとも1つのさらなるポリオールとの混合物として使用され、好ましくは、さらなるポリオールは、高弾性を、より好ましくはボールリバウンドによって求めて少なくとも40パーセントの高弾性を示す発泡体を形成するのに少なくとも十分な当量、最も好ましくは、少なくとも約1700、1800、または1900のいずれかから、最も好ましくは、大きくても約2500、2100または2000ダルトンのいずれかまでの当量を有する)。
14.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、少なくとも1つのNOBPは、少なくとも1つのさらなるポリオールとの混合物として使用され、好ましくは、さらなるポリオールは、高弾性を、より好ましくはボールリバウンドによって求めて少なくとも40パーセントの高弾性を示す発泡体を形成するのに少なくとも十分な、1分子当たりのヒドロキシル基数、最も好ましくは、1分子当たり、少なくとも約2、2.2、2.5、または2.8個のいずれかから、最も好ましくは多くても約3.4、3または2.9個のいずれかまでのヒドロキシル基を有する)。
15.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、少なくとも1つのNOBPは、少なくとも1つのさらなるポリオールとの混合物として使用され、好ましくは、さらなるポリオールは、約0.09meq/gより少ない不飽和レベルを有する)。
16.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、少なくとも1つのNOBPは、少なくとも1つの従来のまたはさらなるポリオールとの混合物として使用され、好ましくは、さらなるポリオールまたはこれらの組合せは、使用されるポリオール混合物の、少なくとも約40、45または50のいずれかから、好ましくは、最大で約60、80、90重量パーセントのいずれかまでを占める)。
17.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、少なくとも1つの天然オイル系ポリオールは、(a)開始剤による脂肪酸ポリエステルアルコール、(b)ひまし油および大豆油エポキシド生成物、(c)第2級アルコールアルコキシ化生成物、(d)他のアルコキシ化天然オイル化合物、または(e)(a)、(b)、(c)および(d)の任意に選ばれたものまたは組合せの少なくとも1つから選択される)。
18.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、天然オイル系ポリオールは、アルコキシ化天然オイルポリオールであり、このアルコキシ化剤は、アルキレンオキシドであり、好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこれらの組合せから選択される)。
19.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、少なくとも1つの従来のポリエーテルポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはこれらの組合せから選択される)。
20.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、少なくとも1つのポリオール、好ましくは、天然オイル系ポリオールは、第1級ヒドロキシル基を、より好ましくは、少なくとも20、50、75、80、85、90、95または100パーセントのいずれかの第1級ヒドロキシル基を有する)。
21.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、水は、発泡体を製造するために、合わせた全ポリオール成分の重量に対して、2.0、2.5、3.0、または3.5のいずれかから、10、8、6、5pphpのいずれかまでの量で用いられる)。
22.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、水以外の、または好ましくは水に加えて、発泡剤が用いられ、好ましくは、炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、二酸化炭素またはこれらの組合せから選択される)。
23.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、大気圧より低く、好ましくは0.5Barまで下がった圧力が、発泡体の製造に用いられる)。
24.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、イソシアナートまたはこれらの組合せは、少なくとも約55、65、95のいずれかから、125、115、105のいずれかまでのイソシアナートインデックスに相当する量で用いられる)。
25.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、プレポリマーは、少なくとも一部のイソシアナートと少なくとも一部のポリオールの間で形成される)。
26.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、プレポリマーは、少なくとも一部のイソシアナートと、少なくとも一部の天然オイル系ポリオールと、任意選択で、少なくとも一部のさらなるポリオールとから形成される)。
27.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、プレポリマーは、少なくとも一部のイソシアナートと、少なくとも一部のさらなるポリオールと、任意選択で、少なくとも一部の天然オイル系ポリオールとから形成される)。
28.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、発泡体は、少なくとも1つのゲル化触媒、および少なくとも1つの発泡触媒の存在下に形成される)。
29.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、触媒は、アミンおよびスズ触媒から選択され、好ましくは、スズ触媒は、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジラウラートまたはこれらの組合せ、より好ましくは、一実施形態においてジブチルスズジラウラート、より好ましくは別の実施形態においてオクタン酸第一スズであり、好ましくは、たった1つのアミン触媒が用いられる)。
30.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、発泡体は、少なくとも1つの界面活性剤または相溶化剤の存在下に形成される)。
31.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、鎖延長材または架橋剤のいずれか、好ましくは両方が、実質的に存在しない、または避けられる)。
32.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、水は、使用される唯一の発泡剤である)。
33.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、水は、少なくとも1つのさらなる発泡剤と共に用いられる)。
34.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、発泡体は、(a)少なくとも約10重量パーセントの少なくとも1つの天然オイル系ポリオール(少なくとも約2.2のOH官能基数、および少なくとも約500ダルトン(Da)の当量を有する)、および少なくとも約40重量パーセントの少なくとも1つの従来のポリオール(少なくとも約1700Daの当量を有する)、および水を含む天然オイル系ポリオール組成物を形成するステップ;(b)触媒−ポリオール混合物を形成するために、少なくとも1つの触媒を天然オイル系ポリオール組成物と混合するステップ;(c)少なくとも1つのメチレンジフェニルジイソシアナート異性体、誘導体またはこれらの組合せの少なくとも約5重量パーセントを含むポリイソシアナートを、少なくとも約55で、大きくても約105のイソシアナートインデックスに相当する量で供給するステップ、および(c)イソシアナートを触媒−ポリオール混合物と混合するステップを含む方法によって製造される)。
35.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、発泡体は、有利には、次の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、最も好ましくは4つを有する:
(a)ASTM D 3574−01、試験Aの手順に従って求めて、少なくとも約25、30、35のいずれかで、好ましくは約80、55、または50kg/mのいずれかまでである密度;
(b)ASTM D 3574、試験Hの手順に従って求めて、少なくとも約40、42、または48のいずれかから、好ましくは50パーセントまでの弾性;あるいは
(c)ASTM D 3574、試験Iの手順に従って測定して、大きくても約30、25、20、15、または10パーセントのいずれかの、乾燥状態での75パーセント圧縮永久歪)。
36.前記実施形態のいずれかの発泡体、方法または物品(ここで、発泡体は、生活を快適にする用途、マットレス、枕、座席の詰め物、吸音、振動減衰、不快音減衰、パッケージ、バンパーパッド、スポーツ用具、医療用具、安全用具、ヘルメットライナー、パイロットシート、耳栓、騒音減衰、またはこれらの組合せに用いられる)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)少なくとも1つのメチレンジフェニルジイソシアナート異性体、誘導体またはこれらの組合せの少なくとも約5重量パーセントを含む少なくとも1つのポリイソシアナートと、(2)少なくとも1つの天然オイル系ポリオール、および天然オイル系ポリオールではない少なくとも1つのさらなるポリオールの混合物との反応生成物を含む高弾性ポリウレタン発泡体であって、該混合物は、少なくとも約10重量パーセントの天然オイル系ポリオール、および少なくとも約1700ダルトンの当量を有する少なくとも約40重量パーセントのさらなるポリオールを含み;該発泡体は、ASTM D 3574、試験Hの手順に従って測定して、少なくとも40パーセントのボールリバウンドによって示される弾性を有する、発泡体。
【請求項2】
天然オイル系ポリオールが、(a)少なくとも約2.2個のヒドロキシル官能基数、または(b)少なくとも約500Daの当量、またはこれらの組合せの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の発泡体。
【請求項3】
イソシアナートが、55から105のイソシアナートインデックスで用いられる、請求項1または2に記載の発泡体。
【請求項4】
プレポリマーが、少なくとも一部のイソシアナートと少なくとも一部のポリオールとの間で形成される、請求項1から3のいずれかに記載の発泡体。
【請求項5】
プレポリマーが、少なくとも一部のイソシアナートと、少なくとも一部の天然オイル系ポリオールと、任意選択で、少なくとも一部のさらなるポリオールとから形成される、請求項4に記載の発泡体。
【請求項6】
プレポリマーが、少なくとも一部のイソシアナートと、少なくとも一部のさらなるポリオールと、任意選択で、少なくとも一部の天然オイル系ポリオールとから形成される、請求項4に記載の発泡体。
【請求項7】
発泡体が、次の
(a)ASTM D 3574−01、試験Aの手順に従って求めた、大きくても約80kg/mの密度;
(b)ASTM D 3574、試験Hの手順に従って求めた、少なくとも約40の弾性;または
(c)ASTM D 3574、試験Iの手順に従って測定した、大きくても約30の、乾燥状態での75パーセント圧縮永久歪
の少なくとも1つを有する、請求項1から6のいずれかに記載の発泡体。
【請求項8】
(a)少なくとも約10重量パーセントの少なくとも1つの天然オイル系ポリオール(少なくとも約2.2個のOH官能基数を有し、少なくとも約500ダルトン(Da)の当量を有する)、および少なくとも約40重量パーセントの少なくとも1つの従来のポリオール(少なくとも約1700Daの当量を有する)、および水を含む天然オイル系ポリオール組成物を形成するステップ;(b)少なくとも1つの触媒を天然オイル系ポリオール組成物と混合して、触媒−ポリオール混合物を形成するステップ;(c)少なくとも1つのメチレンジフェニルジイソシアナート異性体、誘導体またはこれらの組合せの少なくとも約5重量パーセントを含むポリイソシアナートを、少なくとも約55で大きくても約105のイソシアナートインデックスに相当する量で供給するステップ、および(c)イソシアナートを触媒−ポリオール混合物と混合するステップを含む方法によって、高弾性発泡体が製造される方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載の発泡体または請求項8に記載の方法に従って製造される発泡体を含む物品。
【請求項10】
少なくとも1つの生活を快適にする用途、マットレス、枕、座席の詰め物、吸音、振動減衰、不快音減衰、パッケージ、バンパーパッド、スポーツ用具、医療用具、安全用具、ヘルメットライナー、パイロットシート、耳栓、騒音減衰用途、またはこれらの組合せを含む、請求項9に記載の物品。

【公表番号】特表2010−527400(P2010−527400A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508501(P2010−508501)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/062810
【国際公開番号】WO2008/144224
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】