説明

高応答性高帯域金属−半導体−金属光電デバイス

【課題】波長域内の入射光波を検知する光デバイスを提供すること。
【解決手段】波長域内の入射光波を検知する光デバイスは、基板上に重ね合わされた電極の第1アレーと第2アレーを備え、センサはコンタクトに接続される。前記アレーは櫛型にかみ合っている。各アレーは、それぞれのパラメータである、コンタクト幅、コンタクト厚み、溝部幅、及び溝部誘電率を有している。前記アレーと関連する構造は、入射波と局所的な電磁共鳴又はハイブリッドモードとを共鳴カップリングし、このハイブリッドモードは少なくとも表面プラズモンキャビティモード(CM)を含む。CMをカップリングするために、コンタクト厚みの電極間の間隔に対するアスペクト比は少なくとも1である。高帯域及び高応答性用のハイブリッドモードをカップリングする好適な構造は、交互の溝部においてより高い誘電率を有する。前記基板は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)を含む、シリコンを含んでもよい。より高い誘電体、例えばシリコン酸化物を有する交互の溝部を有するSOIデバイスは、0.25A/W及び30GHzの帯域幅を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本願に組み込まれる2004年3月22日出願の米国仮出願第60/555,109号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、高応答性の光電デバイスの分野に関し、特に、高帯域・高感度の金属−半導体−金属光検出器に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術の金属−半導体−金属(MSM)検出器においては、半導体のバンドギャップよりも十分に大きなエネルギーの光が構造に入射すると、入射光の一部が電極間の半導体に作用して、半導体内の電荷担体、すなわち電子と正孔を励起する。電子は、印加電圧と電界とにより、正に帯電した電極の方へ引き寄せられる。正孔は、反対の方向の負に帯電した電極の方へ引き寄せられる。これらの電荷担体が電極又はコンタクトへ引き寄せられると、当該コンタクト内に測定可能な電流を生じさせる。
【0004】
MSMデバイスの速度は、通常、電荷が電極に引き寄せられるのに必要な時間により制限される。これらのMSMデバイスのスピードを速める方法として、隣接する電極間の間隔を減少させるというものがある。間隔の減少により、キャリアの電極までの移動距離が短縮され、移動時間が減少する。移動時間の減少の結果、デバイスのスピードが速くなる。このようなスピードの向上は、他の種類の検出器と比較したMSMデバイスの利点である。しかしながら、一定のコンタクト間隔を維持しつつ上記間隔を減らすことにより、デバイスの表面のかなりの割合が、入射光を反射する金属の反射電極によって覆われることになり、結果として感度が低くなる。従って、一般的なMSMデバイスにおいては、速いスピードのために光感度が犠牲となっている。
【0005】
MSMデバイスにおける多電極構造は、格子状構造を形成してもよい。過去において、間隔の狭い格子間を通る光の透過は、研究者の研究対象であった。特に特に、ラメラ格子及びその他の周期的な複合格子構造において劇的な光学的な挙動を示す表面プラズモン(SP)やその他の電磁共鳴(ER)が、観察及び分析されてきた。周期的構造における「異常な」透過及び電磁共鳴の現象についての研究は、Ebbesen,T.W.他「サブ波長正孔アレーを通した異常光透過」ネイチャー、391、667〜669ページ(1998)において、Ebbesen他が、正孔の2次元アレーは、膜の総面積に対する正孔の面積の占める割合よりも高い割合で、特定の波長と角度で入射する光を透過させることを報告した後、増加した。言い換えると、入射光は正孔により「導かれる」ように思われる。例えば、Lochbihler,H.「ゴールドワイヤ格子における表面ポラリトン」フィジカルレビュー B,50(7):4795ページ(1994)において、異常な透過は、1D周期格子構造においても観察される。これらと他の研究は、いくつかの注目すべき例外を除いては、異常な透過の物理的メカニズムに主に関連するものであり、例えば表面プラズモンの光電デバイスに対する実用化を検討するものではなかった。
【0006】
例えば、Ebbesen他に対する米国特許第5,973,316号は、SPモードにカップリングすることにより光透過を高める金属膜又は薄い金属プレートのサブ波長アパーチャーのアレーを開示し、ここで、アレーの周期が選択されて特定の波長域の透過が向上される。このアレーは、フォトリソグラフィーを利用する際の光のフィルタリングと収集とに用いることができる。
【0007】
別の例として、Brownに対する米国特許第5,625,729号は、入射光を局在表面プラズモン波に共鳴カップリングする光電デバイスを開示する。このデバイスは、半導体基板上の複数の略平面状の規則的な間隔で配された低いプロファイル(low-profile)電極を含み、これらの電極は格子を形成して、格子に沿って広がる表面プラズモンモード(水平SPモード)と基板とを共鳴カップリングする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、Brown特許は、水平SPの平面格子界面に対する周知のカップリング効果を、従来のMSM光検出器を構成する周期的金属格子に拡張するものである。Brown特許に記載のMSM光検出器は、電極格子を介した透過を向上させることができるが、このMSM光検出器に用いられる半導体材料又はその用途に関わらず、1種類のSPモード(水平)にカップリングするための、MSM光検出器の1つの電極構造(平面状の目立たない格子構造)しか開示及び検討されていない。言い換えると、Brown特許のMSM光検出器は、SPモードカップリング又はその他のERモードカップリングの特定の検出器への応用に対する最も効率的な利用に最適化されていない。
【0009】
ゆえに、特定の波長域の検出が特に必要とされる特定の用途における迅速な応答時間(高帯域)と高応答性の両方に最適化された、改良された金属−半導体−金属デバイスが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、特定の用途と波長感度範囲に最適化された高帯域・高応答性の金属−半導体−金属(MSM)デバイスに関する。
【0011】
本発明の一実施形態は、外部光波の強さを検知する光学検波器に関する。この検出器は、外部光波と局所的な光波とを共鳴カップリングし、かつ隣接する電極間に電位差を可能にするよう構成された、略規則的なパターンで離間し、複数の金属電極を含む。検出器は、さらに、前記複数の電極に関する構造であって、その構造と複数の電極とが局所的な光波をサポートする構造と、その複数の電極に接続され、電気量を検知するセンサとを含む。
【0012】
光学検波器は、さらに、複数の電極と重ね合わされた半導体基板を含み、隣接する電極間の間隔に対する複数の電極の高さは少なくとも1のアスペクト比である。加えて、外部光波にカップリングされた前記局所的な光波は、検出器表面に対して略垂直方向の運動量の要素を有する表面プラズモン波を有する。
【0013】
光学検波器の半導体基板は、好ましくは、水銀カドミウムテルル、インジウムガリウムヒ素、又はシリコンを含む。
【0014】
別の実施形態において、光学検波器の基板はシリコン・オン・インシュレータ構造を含む。
【0015】
隣接する電極間の間隔は、好ましくは少なくとも約20ナノメータである。
【0016】
一実施形態において、アスペクト比は少なくとも3である。
【0017】
別の実施形態において、アスペクト比は4より大きく16より小さい。
【0018】
さらに別の実施形態において、アスペクト比は10より大きく15より小さい。
【0019】
光学検波器は、検出器表面の面上で90°回転した略規則的なパターンで離間した第2複数の電極を含んでもよい。第2複数の電極は、複数の電極及び基板と重ね合わされた。第2複数の電極は、外部光波と表面プラズモン波とを共鳴カップリングするよう構成され、表面プラズモン波は、検出器表面に対して略垂直方向の運動量の要素を有する。
【0020】
別の実施形態において、光学検波器は、隣接する電極間の間隔を略充填する半導体層を含んでもよい。
【0021】
また別の実施形態において、光学検波器の複数の電極の高さは少なくとも約50ナノメータである。
【0022】
さらに別の実施形態において、複数の電極の高さは約50ナノメータ〜約1500ナノメータの範囲にある。
【0023】
異なる実施形態において、複数の電極の高さは約100ナノメータ〜約750ナノメータの範囲にある。
【0024】
本発明はまた、波長域内の入射光波の強さを検知する光デバイスに関し、この光デバイスは、第1電極の第1アレーと、第2電極の第2アレーと、基板と、第1電極及び第2電極に接続され電気量を検知するセンサとを含む。第2アレーは、第1アレーに対して直線的に移動されて第2電極が第1電極と互いにかみ合うようになる。デバイスは、また、第1アレー及び第2アレーと関連し、入射光波と局所的な電磁共鳴とを共鳴カップリングする構造を含む。局所的な電磁共鳴は、少なくとも局在表面プラズモン波のキャビティモードを含む。第1アレー及び第2アレーは、基板と重ね合わされた。加えて、第1アレーは、第1幅を有する第1コンタクト窓と、第1誘電率を有する第1コンタクト窓誘電体と、第1コンタクト厚みと、第1コンタクト幅とを含み、第2アレーは、第2幅を有する第2コンタクト窓と、第2誘電率を有する第2コンタクト窓誘電体と、第2コンタクト厚みと、第2コンタクト幅とを含む。デバイスは、また、電極構造のピッチも含む。
【0025】
光デバイスの基板は、好ましくは、IV元素半導体、III−V元素半導体、及びII−VI元素半導体のいずれか1つを含む。
【0026】
一実施形態において、半導体は水銀カドミウムテルル、インジウムガリウムヒ素、及びシリコンのいずれか1つを含む。
【0027】
第1電極及び第2電極のうち少なくとも1つは金を含んでもよい。
【0028】
光デバイスの一実施形態において、基板は水銀カドミウムテルルを含み、第1電極及び第2電極はアルミニウムを含み、第1誘電率は第2誘電率よりも大きい。加えて、第1誘電率は、1.75〜4.0の範囲にあることが好ましい。
【0029】
水銀カドミウムテルル光デバイスの構造は、好ましくはハイブリッドモードと共鳴カップリングする。ハイブリッドモードは、少なくともキャビティモードと水平表面プラズモンモードとを含む。デバイスは、少なくとも約2.0マイクロメータ〜約4.0マイクロメータの波長域で動作する。
【0030】
水銀カドミウムテルル光デバイスの別の実施形態において、構造は、ハイブリッドモードと、少なくとも約4.0マイクロメータ〜約15.0マイクロメータの波長域で共鳴カップリングする。加えて、第1及び第2幅はそれぞれ、0.5マイクロメータ〜0.9マイクロメータの範囲にある。第1コンタクト厚みと第2コンタクト厚みはそれぞれ、0.45マイクロメータ〜0.85マイクロメータの範囲にある。第1コンタクト幅と第2コンタクト幅はそれぞれ、0.2マイクロメータ〜0.5マイクロメータの範囲にある。
【0031】
基板がシリコンを含む光デバイスの実施形態は、少なくともキャビティモードと水平表面プラズモンモードとを含むハイブリッドモードと共鳴カップリングする基板を備える。波長域は、約830ナノメータ〜少なくとも約850ナノメータの範囲を含む。加えて、第1コンタクト幅と第2コンタクト幅は、それぞれ、第1幅と第2幅よりも大きい。
【0032】
好ましくは、シリコン半導体を有する光デバイスの第1誘電率は、第2誘電率よりも大きく、1.75〜4.0の範囲にある。加えて、第1コンタクト厚み及び第2コンタクト厚みのうち少なくとも1つは、好ましくは少なくとも100ナノメータである。
【0033】
加えて、第1幅と第2幅はそれぞれ、0.075マイクロメータ〜0.25マイクロメータの範囲にあってもよい。
【0034】
また、第1コンタクト厚み及び第2コンタクト厚みはそれぞれ、0.075〜0.2マイクロメータの範囲にあってもよい。
【0035】
光デバイスの別の実施形態において、基板はシリコン・オン・インシュレータ構造を含む。好ましくは、この光デバイスは、30GHzより大きい帯域幅と少なくとも0.25A/Wの応答性とを有する。
【0036】
シリコン・オン・インシュレータ構造を含む光デバイスの第2誘電体は、シリコン酸化物を含んでもよい。加えて、第1コンタクト幅は、好ましくは第1幅の少なくとも2倍であり、第1厚み及び第2厚みはそれぞれ、少なくとも100nmである。
【0037】
シリコン・オン・インシュレータ構造は、シリコン最上層と絶縁体層とを備える。好ましくは、シリコン最上層の厚みは300ナノメータ〜400nmの範囲にあり、絶縁体層の厚みは約25ナノメータ〜約75ナノメータの範囲にある。
【0038】
結果として、本発明は、特定の動作波長域に最適化された高帯域・高応答性の金属−半導体−金属デバイスを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明に従って形成されるデバイスは、応答時間が速く且つ高感度の光電デバイスを提供する。このデバイスの構造は、用途に応じ、特に最適の性能に調整される。異なる用途においては、特に、特定の波長域における所定の検出感度が要求される。この要求により、好適な半導体材料は、着目する波長域においてより高い応答性を示すものに制限される。しかしながら、同じ半導体を用いる従来のデバイスでは、必ずしも最適な応答時間をも示すわけではなく、光電デバイスの設計者は、スピードをより速くするために応答性を犠牲にしなければならないことも多い。
【0040】
本発明において、デバイスは、特定の基板により電極の構造を調整してデバイスの応答時間及び入射光の吸収の双方を向上させることにより、高速な応答時間も備えつつ、好適な波長域における高応答性を提供する。好ましくは、この基板は半導体を含み、デバイスは金属−半導体−金属(MSM)デバイスであるという特徴を有する。電極構造及び材料特性は、ローカル電磁共鳴(ER)を介して入射光波と透過波要素を共鳴カップリングするように最適化される。ローカルERモードは、好ましくは表面プラズモン(SP)波を含み、運動量の要素のうちの少なくともデバイスの表面に略垂直な要素を有している。ここで、このSP波の垂直な要素を、垂直SPモード若しくはキャビティモード(CM)と呼ぶ。電極の構造と材料を変更することにより、入射光信号又は波により半導体に含まれる電磁場プロファイルは高度に制御可能となる。これに対して、低度のプロファイルの電極構造を含む従来技術のデバイスは、水平SP(HSP)モードのみカップリングするよう構成されている。
【0041】
ERモードは、例えば、回折モード(DM)、ウッド・レーリー異常(WR)、HSP、及びCMを含んでもよい。
【0042】
HSPは、空気/コンタクト及びコンタクト/半導体界面に対して平行な運動量(図1の

方向)を有する表面プラズモンモードである。HSPは誘電体/コンタクト界面の近傍に局在しており、高いフィールド強度と金属ワイヤにおける高い吸収性とを有し、通常は反射率(透過率)における最大値(最小値)を実現する。WRは、伝播回折モードの兆候であり、これも空気/コンタクト又はコンタクト/半導体界面近傍に局在するが、HSPほどではない。WRはHSPのように高いフィールド強度を有せず、ワイヤにおいては低い吸収作用を有する。入射波長が減少(エネルギーが増加)すると、WRは、まずSiと空気中の低い波長(高エネルギー)において、出力が第0番目の入射及び反射モードから回折モードへ次第に転換される点を示す。CMは、溝部の幾何形状により生じる強制されたファブリーペロー共鳴条件を有する、溝部の壁面に対して垂直方向を向いた表面プラズモンである。CMは、溝部内で高いフィールド強度を有する。透過現象の向上は、空気及び半導体におけるCMを介した伝播モードとWRの間のカップリングにより生じると考えられる。
【0043】
一般に、あらゆる光波と同じく、ローカルER波は、方向性をもって直交モードに分解することができる。複合波は、その後、なんらかの一次結合のERモードの重ね合わせとして説明される。ここで、複合波モードをハイブリッドモードと呼ぶ。従って、ハイブリッドモードは、例えばDM、WRモード、HSP、及びCMなど、ERモードのいずれの組み合わせを含んでもよい。MSM及びその他の格子状構造におけるSPモードの2つの基本的種類、すなわちHSPとCMは、それぞれ図1a及び図1bに示す例により説明される。この図は、MSMシリコン系デバイスのシミュレーション・モデルの一部を図示する。いずれの例においても、ここでコンタクト10とも呼ばれる電極10は、ピッチ12が1μm、ワイヤ幅が0.7μm、コンタクト窓幅14が0.3μm、厚さが0.5μmのアルミニウム(Al)ワイヤである。ここで、コンタクト窓14は、「溝部」とも呼ばれる。基板16はシリコンを含む。
【0044】
ここで、ピッチ12は、第1アレーの電極の端部からその第1電極アレーの次の電極の端部までの距離を言う。従って、このピッチは、第1アレーの電極の幅とその第1アレーの隣接する電極間の間隔との合計に等しい。図1aにおいて、デバイスには1つのアレーしか有しておらず、隣接する電極間の間隔はコンタクト窓幅14である。従って、このピッチは、コンタクト窓幅14と電極幅との合計である。
【0045】
デバイスのスピードに対する2つの種類のSPモードの効果を示すために、図1a及び図1bに示す電磁場分布となるシミュレーションを行った。図1aに示す第1位数のHSPモードカップリングの分布は、0.37eVの入射光についてのシミュレーションで、これは約3.35μmの波長に対応する。図1bに示す磁場強度は、0.55eVでの第1位数のCMカップリングについてのシミュレーションで、これは約2.25μmの波長に対応する。いずれもエネルギーはSiのバンドギャップより小さく、従ってシリコンに対して使用可能な波長域外にある。しかしながら、このようなSi系MSMデバイスにおけるCM及びHSPモードの表れは、バンドギャップ内のエネルギーがより高いところでも存在しうる。
【0046】
HSPモードカップリングについて図1aを参照すると、フィールドは、印加されたバイアスにより生じる静電場が小さい、コンタクトの真下にある強い電磁場強度20により、コンタクト10/半導体16の界面18に閉じ込められている。従って、これらの場所における光生成キャリアがそれぞれのコンタクトにたどり着くには長い時間がかかり、結果として応答時間が増加する。
【0047】
CMカップリングについて図1bを参照すると、磁場強度は、溝部14内に、入射波を照射光学モード22にカップリングする大きな電磁場強度を有しており、シリコン(Si)(入射光波長850nmでα=3.82×10/cm)等の吸収定数が小さい材料については、構造の内部深くに大きな場を生じさせる。従って、純粋なCMカップリングでは、それぞれのコンタクトへドリフトするまで時間がかかる場所に光生成キャリアが生じる結果となる。従って、対称とする波長域内でカップリングする1つのモードにのみ対応する構造は、高性能のSi系のMSMデバイス用の理想的な構成とすることができない。
【0048】
図2を参照すると、本発明のMSMデバイス30の実施形態は、少なくとも1つの電極アレー、すなわち、少なくとも電極32の第1アレーを含む。電極32は略規則的なパターンで離間している。電極32は、検出される外部光波34と、CM、HSP、WR、回折モード、又はこれらのいずれの組み合わせ(ハイブリッドモード)等のローカルER36とを共鳴カップリングするよう構成されている。ER36は、好ましくは、デバイス30の検出器表面38に対して略垂直な運動量の要素を有するSPを少なくとも含んでいる、すなわち、波36は表面プラズモンキャビティモード(CM)を含む。デバイス30は、さらに前記電極32の少なくとも1つのアレーと重ね合わされた基板40を含む。基板40は、半導体材料を含むことが好ましい。
【0049】
加えて、構造は電極32の少なくとも1つのアレーと関連しており、この構造は、少なくとも表面プラズモン波のCM要素を含むER又はハイブリッドモードに対応している。電気量を検出するために、センサ(図示せず)が、動作可能に電極32に接続されていることが好ましい。
【0050】
デバイス30の検出器表面38は、好ましくは略平面状の表面であり、その一部が外部光波34に直接さらされており、またその一部が電極32と基板40との間の界面42を形成する。検出器表面38は、基板40の表面と一致する。また、1つ以上の透過型光学材料の層、例えば反射防止膜が基板40上に配されて検出器表面38を形成してもよい。
【0051】
本発明のMSM検出器の基板40は、好ましくは半導体を含む。
【0052】
半導性基板40は、シリコン(Si)等のIV元素半導体、ガリウムヒ素(GaAs)やリン化インジウム(InP)等のIII−V半導体、ヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)やインジウムガリウムヒ素(InGaAs)等のIII−V三元化合物半導体、及び水銀カドミウムテルル(HgCdTe)等のII−VI半導体のうちいずれの半導体を含んでもよいが、これに限らない。
【0053】
本発明に従って形成される高速・高感度MSMデバイスは、例えば約500nm〜約1600nmの可視スペクトルから近赤外線スペクトルの入射光の検出に対して特に有用である。
【0054】
本発明の一実施形態において、MSMデバイス30はシリコンを含む基板40を備える。好ましくは、動作波長域は約830nm〜約850nmである。
【0055】
別の実施形態では、基板40はシリコン・オン・インシュレータ構造を含む。
【0056】
別の実施形態では、本発明のシリコン系MSMデバイスは、宇宙ベースの用途に用いられるよう構成されてもよい。
【0057】
本発明の別の実施形態では、基板40はインジウムガリウムヒ素(InGaAs)を含む。好ましくは、デバイス40の動作波長域は近赤外線を含み、例えば約1000m〜約1600nmである。最も好ましくは、この動作域は約1200nm〜約1550nmである。
【0058】
別の実施形態では、本発明のInGaAsMSMデバイスは高帯域通信システムで用いられるよう構成されてもよい。
【0059】
最適化されたMSM検出器を設計する方法は、好適な感度の波長域及びその他特定の用途に関連する特性、例えば温度感度や吸湿性等に従い、特定の用途に対する半導体を選択することを含む。少なくとも一つの電極アレー32の構造は、後述するように、用途及び好適な動作波長域による最適な電磁場プロファイルを作りだすように最適化される。
【0060】
本発明の電極は金属を含む。更に電極は、隣接する電極間で電位差を有することを特徴とする。好ましくは、任意の2つの隣接する電極間の電位差は、一方の電極に正の電圧、隣接する電極に負の電圧を維持することにより実現される。
【0061】
図2を参照すると、この電極はどのような形状でもよく、特定の用途におけるERモードの最適なカップリングに好適な幾何学形状パターンに配置される。好適な構造は、好ましくは、特定の波長、入射角、及び偏光の入射光で、いくらかのCMカップリングを含むERモードの発生を最適化する。光がこれらのパラメータを満たすとき、金属コンタクト32の少なくとも1つのアレーを通過して半導性基板40へと、この光の大部分が透過される。基板40に導かれる光は、電子と正孔のペアを励起し、これらの電子と正孔のペアは、その後コンタクト32によって集められ、好ましくは光電流を発生する。垂直方向の表面プラズモンCMを介した入射光及び透過波要素のカップリングにより、集められた光の量は、半導体材料の面積に直接、すなわち電極32により覆われていないコンタクト窓44それぞれを通過して入射した光の量よりも多くなる。
【0062】
好ましくは、これらの電極は略長方形状をしており、検出器表面38に対して略直角である。この電極は、また、基板40において略直線的に垂直な端部により特徴付けられることが好ましい。
【0063】
一実施形態において、例えば第1アレー32にあるような電極と基板40との間の端部は、略曲線状又は傾斜していることを特徴とする。製造時に発生する略傾斜した端部は、基板40の表面プラズモン、WR、又は回折モードのカップリングに影響を与えることなく、モード36の共鳴エネルギーをシフトすることができ、本発明に従って形成されるデバイスのパラメータの最適化する上で考慮しれなければならない。
【0064】
図3に示すように、この電極は、櫛形金属電極46であることが好ましい。櫛型電極は、半導体基板の表面に配されたときに、連続ショットキ接触を形成する指状部48を有する。
【0065】
図2及び図3の両方を参照すると、デバイス30の電極構造は、従来のMSMデバイスより複雑であってもよい。一実施形態において、少なくとも1つの電極アレーは、略規則的に離間した電極32の第1アレーと、略規則的に離間した電極の第2アレー50とを含む。図2には電極アレーは2つしか図示していないが、さらにアレーを組み込んだより複雑な構造も、本発明の範囲にある。図2に示すこれらの2つのアレーは交互に配置又は、互いにかみ合った状態になっており、図3に示すように、第1電極32と第2電極50とが交互に配列されたパターンを形成するように、櫛型電極46を用いることが好ましい。例えば、第1アレー32は、正の電位に維持される電極52のトップアレーによって表わすことができ、第2アレー50は、負の電位に維持されるボトムアレー54によって表わすことができる。第1アレー32と第2アレー50の電極は、外部光波34と表面プラズモン波36の少なくともCM要素を共鳴カップリングするように構成されている。
【0066】
これら2つのアレーは、互いに異なる1以上の特徴を有する。一般に、第1アレー32は、第1誘電率を有すると共に第1コンタクト窓44の第1幅、第1コンタクト幅56、ここでは高さ58とも呼ばれる厚み58、及びピッチ60と関連する第1金属を含む。同様に、第2アレー50は、第2誘電率を有すると共に第2コンタクト窓62の第2幅、第2コンタクト幅64及び厚み66と関連する第2金属を含む。電極構造の周期性を表わすピッチ60は、図示するように、第2コンタクトを用いて定義することもできる。従って、隣接する電極は、異なる材料からなり、異なる幅と厚みを有することができる。
【0067】
加えて、交互に存在するコンタクト窓領域は、異なる誘電体材料を有してもよい。デバイス30は、第1アレー32の1つの電極から第1アレー32の隣の電極に延びる第2(より低いプロファイルの)アレー50の電極の高さの上方にあるコンタクト窓領域70に関連する誘電率εを有する、好ましくは膜である誘電体材料を含んでもよい。デバイス30は、好ましくは、第1アレー32の電極の後端から第2アレー50の電極の隣接する先端(低いプロファイルの(第2)アレー50の電極の高さの下方)に延びる第1コンタクト窓44に関連する誘電率εを有する、第1誘電体材料、又は第1コンタクト(溝部)誘電体を含む。デバイスは、さらに、第2アレー50の電極の後端から第1アレー32の電極の隣接する先端に延びる第2コンタクト窓62と関連する第2誘電率εを有する第2誘電体材料を含むことが好ましい。この誘電率のうち、コンタクト窓領域に関連する1つ以上の誘電率が異なっていてもよい。
【0068】
コンタクト窓領域70は、ε=1の空気であってもよい。同様に、一実施形態の2つの誘電体上方の領域69が、空気であってもよい。
【0069】
本発明にかかる方法において、MSMデバイス30は、このような大幅な構造的可変性を利用して最適化され、最適なERモードカップリングを作り出し、構造を正しく設計することにより特定の電気光学特性を実現する。
【0070】
この方法は、表面インピーダンス境界条件(SIBC)方法の拡張バージョンの利用を含んでもよい。SIBC方法は、当業者にとって周知である。改良された拡張SIBCアルゴリズムにより、図2に示す複雑な構造の数値モデリングが可能となる。従って、構造的特徴又は非対称性は、デバイス30のモデリングにおいて、変更、分析、最適化が可能である。それは異なる金属からなる金属ワイヤを交互に配する、異なる誘電率の材料を交互に溝部に配する、幅の異なる金属ワイヤを交互に配する、厚みの異なる金属ワイヤを交互に配する、又はオフセットした金属ワイヤを交互に配する、すなわちコンタクト窓44の幅とコンタクト窓62の幅とが等しくない(図2において、(x−x)≠(−x+x))ということである。
【0071】
調査によって、これらの非対称性はそれぞれ、ERモードに対して、高性能光検出器の設計に有用な異なる効果を生み出すことがわかった。
【0072】
上記5つの非対称構造を調整することにより、特定の用途のための、ER強化MSM光検出器に最適な電磁場を得ることができる。例えば、高帯域・高感度用途に特に重要な2種類の検出器であるSi系InGaAsMSM検出器に、異なる最適な構造を適用する。HSP及びCM表面プラズモンモードの「ハイブリッド」化を説明するために、例えば、HSPモード、CMモード、及びHSP及びCMモードをHg.276Cd.324Teで組み合わせたハイブリッドSPモードの比較を、図4a,図4b,図4cのそれぞれに示す。
【0073】
図4aにおいて、Hg.276Cd.324Teの基板のMSMデバイスについて、0.36eVで第1位数のHSPモード76の有効電磁エネルギー密度の図を、HSP及びCMモードを調整する修正を行わない状態で示す。図4bは、同じ構造について、0.5eVで第1位数のCMモード78の有効電磁エネルギー密度を示す図である。最も輝度の高い領域(白い部分)は、エネルギー密度が最も高いことを示す。
【0074】
図4cは、本発明に従って形成されたHg.276Cd.324TeのMSM構造について、0.37eVにおけるSP80のハイブリッドモードの有効電磁エネルギー密度を示す図である。第1アレー32及び第2アレー50双方の電極は、Hg.276Cd.324Teを含む。第1及び第2アレー双方のコンタクト幅(w)、コンタクト窓幅(c)、及び厚み又は高さ(h)は、それぞれ、w=0.1μm、c=0.3μm、h=0.65μmである。第1アレー32及び第2アレー50双方のコンタクトはアルミニウム(Al)を含む。第1コンタクト窓44の溝部誘電率は3.25であり、第2コンタクト領域62は1.0である。
【0075】
本発明の光デバイスの一実施形態において、基板は水銀カドミウムテルルを含む。第1及び第2電極は、それぞれ、金属、好ましくはアルミニウムを含む。加えて、第1誘電率は約1.75〜約4.0の範囲にあり、第2誘電率よりも大きいことが好ましい。
【0076】
一実施形態において、第1誘電体はシリコン酸化物を含む。
【0077】
別の施形態において、第2誘電体は空気である。
【0078】
本発明の水銀カドミウムテルルの基板を備え、第2誘電率よりも大きい約1.75〜約4.0の範囲の第1誘電率を有する光デバイスは、又はハイブリッドERモードと共鳴カップリングする構造を含むことが好ましい。このハイブリッドモードは、少なくともSPキャビティモードとHSPモードを含むことが好ましい。
【0079】
一実施形態において、本発明の水銀カドミウムテルルデバイスの波長域は、約2.0マイクロメータ〜約4.0マイクロメータを含む。
【0080】
別の施形態において、本発明の水銀カドミウムテルルデバイスの波長域は、約4.0マイクロメータ〜約15.0マイクロメータを含む。
【0081】
別の施形態において、本発明の水銀カドミウムテルルデバイスの波長域は、約15.0マイクロメータ〜約25.0マイクロメータを含む。
【0082】
別の施形態において、水銀カドミウムテルルデバイスの波長域は、2.0マイクロメータ〜40.0マイクロメータの間の任意の範囲を含む。
【0083】
水銀カドミウムテルルの基板を含む光デバイスは、約0.5マイクロメータ〜約0.9マイクロメータの第1及び第2窓幅を含んでもよい。第1及び第2コンタクト厚みは、それぞれ約0.45〜約0.85マイクロメータの範囲から選択されることが好ましい。加えて、第1コンタクト幅及び第2コンタクト幅は、それぞれ約0.2〜約0.5マイクロメータの範囲から選択されることが好ましい。
【0084】
吸光係数の高い直接的バンドギャップ材料では、図4bに示すエネルギー密度分布により特徴付けられるデバイス78にカップリングされたCMモード、又は図4cのエネルギー密度分布80を示すハイブリッドSPモードのいずれかが、この直接的バンドギャップ材料における高性能MSM検出器の製造に対する有用なモデルであることがわかる。この場合、電界強度は、静的な印加された電界が最大となる電極の間のコンタクト窓領域で最大であり且つ集中する。従って、高速レスポンスが実現される。これに対して、図4aに示すHSPモードカップリング76については、コンタクト窓44及び62の内部及び下方のエネルギー密度は、コンタクトの上方の領域82への入射ビームのエネルギー密度よりそれほど大きくはない。また、かなりの部分は、直接両方のコンタクト32及び50の下方の中央部分に位置している。この領域に局在する電荷担体は、望ましくない長い移動時間をかけてそれぞれの電極にたどり着く。
【0085】
図5において、本発明に従って形成されるシリコンMSMデバイスのハイブリッドモードを示す。Siは、850nmで約3.82×10/cmという低い吸収係数(α)直接的バンドギャップ材料にある。SiMSM構造は、厚み0.125μmの金(Au)コンタクト84を含む、1.08μmのピッチ86、0.43μmのワイヤ幅、0.11μmのコンタクト窓88の幅、及び約3.8の第1コンタクト窓領域88の第1溝部誘電率の第1アレーを含む。コンタクト90(1つのみ図示)の第2アレーは、第2コンタクト窓領域92が約1.0に等しい第2溝部誘電率を有することを除いては同一のパラメータを有する。この構造は、CM及びWRからなるハイブリッドモードとSiの回折要素が1.6eVで整列し、また少なくとも約830nm〜約850nmの範囲で動作するSi系MSMデバイスに望ましい電磁エネルギープロファイルを作り出すように設計される。図5は、1.6eVでのハイブリッドモード94の有効電磁エネルギー密度を示しており、ここで、エネルギー密度が最も高い領域は最も明るい境域(白)で示される。発生したハイブリッドモードは、主にコンタクト窓の下のコンタクト/Si界面の近傍の電磁場94に集中する。以上より、隣接する窓では、生成される光電流の量が実質的に異なる。
【0086】
本発明のシリコンMSMデバイスの実施形態において、基板はシリコンを含み、電極構造は、少なくともCM及びHSPモードを含むハイブリッドモードに共鳴カップリングされるよう最適化される。このデバイスの好適な動作波長域は、約830ナノメータから少なくとも850ナノメータを含む。加えて、各コンタクト幅は、それぞれの窓幅よりも大きい。
【0087】
好ましくは、前記第1誘電率は1.75〜4.0の範囲にあり、第2誘電率よりも大きい。
【0088】
一実施形態において、第1窓幅及び第2窓幅はそれぞれ、0.075μm〜0.25μmの範囲から選択される。
【0089】
別の施形態において、前記第1及び第2コンタクト厚みはそれぞれ、約0.075〜約0.2μmの範囲から選択される。
【0090】
別の施形態において、前記第1コンタクト幅及び第2コンタクト幅はそれぞれ、0.2μm〜0.4μmの範囲から選択される。
【0091】
図5を参照すると、CMモードの特徴を示す電磁エネルギープロファイルを形作るためには、CM/回折モードハイブリッドを作り出すHSPモードとWRモードの間にわずかにずれがあることが、好適な波長域にわたって完全に一致するよりも望ましい。電磁エネルギー密度は、構造をかなり上回る入射ビームにより作りだされた電磁エネルギー密度に比べておよそ40倍に増幅される。従って、このエネルギー密度が高い領域は窓領域内では小さいものの、この領域内で作り出された電子と正孔のペアが高濃度に存在し、吸収が大きくなり、Siの吸収長を「効果的に」減少させる。このコンタクト/Si界面近傍の窓領域は、電荷担体が作り出されるには最も望ましい場所である。それは、印加されるバイアスによって作り出される静電場がこの領域において最大になり、担体をそれぞれのコンタクトに急速に引き寄せることができるからである。従って、図5のエネルギー密度プロファイル94により説明されるデバイスは、高帯域動作が可能である。
【0092】
特にSi基板を用いる本発明のMSMデバイスにおいては、吸収係数が低い(例えば好適な動作波長域において10/cmより小さい)他の半導体材料を用いるMSMデバイス同様、電界が、MSMデバイスのコンタクト窓領域の小さな領域内で増幅されて濃度が高くなるよう設計されることが最も好ましい。この領域内の静電磁場では、電子/正孔担体をそれぞれの電極に引き寄せる力が最も強い。従って、電磁場密度プロファイルを適切にパターニングすることにより、高帯域MSM光検出器に用いられるSiの吸収長は効果的に短縮される。
【0093】
図6を参照すると、本発明のMSMデバイスの別の実施形態は、関連波長域内での吸収係数が高いことを特徴とする半導体を有することが好ましい。本発明の検出器110は、略規則正しいパターンで離間した複数の電極112を備える。電極112は、検出される外部光波114とローカル波、例えば表面プラズモン波115とを共鳴カップリングするように構成される。表面プラズモン波115は、検出器110の検出器表面116に略垂直方向の運動量要素を含む。すなわち、波115はCMを含む。センサ(図示せず)は、電気量を検知する電極12に接続されている。
【0094】
検出器表面116は、部分的に外部光波114に直接露出略平面状の面であることが好ましい。検出器表面116は、基板122の表面と一致する。また、検出器表面116を形成するように、1つ以上の透過型光学材料の層を基板122上に堆積させてもよい。
【0095】
この実施形態において、複数の電極112に関連する構造は、優先的にCM115をサポートする。この特定の構造及びCMモードカップリングは、一般に、電極112の周囲に光を導くことにより、効率的かつ高められた入射波114の透過を促進する。
【0096】
光学検波器110は、さらに半導体材料を含む複数の電極112と重ね合わされた基板122を備える。
【0097】
本実施形態の基板122は、上記いずれの半導体を含んでもよい。しかしながら、図6に示す特定の実施形態については、好適な基板122は、少なくとも1つの直接的バンドギャップ半導体を含む。この半導体は、望ましい検出波長域における吸収係数が高いことが好ましい。最も好ましくは、この吸収係数は約10cm−1より大きい。
【0098】
近赤外域(例えば約1.0μm〜約1.6μm)の高帯域・高感度のデバイスに用いられるデバイス110の一実施形態において、基板122はInGaAsを含む。これらのデバイスは、特に高帯域通信システムに有用である。
【0099】
近・中赤外域(例えば約1.0μm〜約26μm)で用いられる高帯域・高感度のデバイスに用いられるデバイス110の別の実施形態において、基板は水銀カドミウムテルル(HgCdTe)を含む。用途としては、サーモグラフィ、COレーザー検出、及びミサイル誘導などが含まれる。化合物半導体は全てそうであるように、ピーク応答の波長は材料のバンドギャップエネルギーに依存する。このバンドギャップエネルギーは、合金組成を変えることにより(この場合、相当広い範囲で)容易に変化する。
【0100】
図6に示す実施形態の検出器110は、略垂直な表面プラズモン又はキャビティモード115に対応するのに十分なアスペクト比により特徴付けられる。このアスペクト比は、電極112の高さ118の、隣接する電極112間の間隔120に対する比である。
【0101】
一実施形態において、表面プラズモン波の運動量の略垂直な要素に対応するためには、アスペクト比は、少なくとも1である。
【0102】
別の施形態において、アスペクト比は、少なくとも3である。
【0103】
別の施形態において、アスペクト比は、好ましくは約16より小さい。
【0104】
好適な実施形態において、アスペクト比は、少なくとも約4〜約10より小さい。
【0105】
別の施形態において、アスペクト比は、好ましくは少なくとも約10よりも大きく約15よりも小さい範囲にある。
【0106】
別の施形態において、アスペクト比は、好ましくは少なくとも約7〜約12より小さい。
【0107】
一実施形態において、アスペクト比は、3以上16以下である。
【0108】
さらに別の実施形態において、アスペクト比は、少なくとも約10よりも大きく約15よりも小さい範囲にある。
【0109】
表面プラズモンは、金属表面における電磁励起であり、一旦励起されると、エネルギーの一部が隣接する表面、この場合は半導体に転送される。従って、表面プラズモンは、光検出器の効率を高めるという利点を有する。従来技術のデバイスでは、検出器の面上にありこれと平行な表面プラズモンが、半導体にカップリングされた光量を向上させることがわかったため、表面プラズモンの考え方を、平ら又は低いプロファイルの電極幾何形状に応用した。
【0110】
さらに図6を参照すると、本発明のMSM検出器は、光の透過率を向上させるために、さらに検出器表面116、すなわちCMに略垂直方向の表面プラズモンを利用する。向上された透過率は、アスペクト比の高い電極構造を用いることにより実現することができる。向上された透過率は、電極112の隣接する指状部の間の間隔120をより小さく、また高さ118をより高くすることを可能とする。電極の高さ118が高いため、電極112の指状部の抵抗が小さくなり、デバイスの光感度を著しく下げることなく高速のデバイスを作り出す。小さい間隔120は、光生成キャリアの移動時間を短縮し、従って、同様にデバイスの光感度を著しく下げることなくデバイスの速度を速める。
【0111】
本発明に従って形成されたMSM検出器の間隔は、好ましくは約20ナノメータ(nm)以上である。
【0112】
本発明に従って形成されるMSMデバイスのさらに別の実施形態において、コンタクト、例えば櫛型指状部の特定の好適な幾何形状及びアスペクト比は、好適な波長、偏光性、及び所望の入射角感度によって決定される。最適な高さ118及びアスペクト比は、好ましくは、本発明に従って形成される光学検波器110の可視波長感度の好適な範囲により、ある程度決定される。一般に、コンタクト又は指状部の高さ118が高くなると、表面プラズモンエネルギーは減少し、対応する表面プラズモン共鳴の波長は増加する。高さ118は、好ましくは表面プラズモン共鳴波長が半導体122のピーク応答性での波長に対応するように選択され、検出器110は、半導体材料のピーク分光応答度の範囲の光の検出に最適化される。
【0113】
一実施形態において、本発明の検出器の電極の電気コンタクト又は指状部の最小の高さは、約50nmである。
【0114】
さらに別の実施形態において、本発明の検出器の電極の電気コンタクト又は指状部の高さは、約75nm〜約750nmの範囲にある。
【0115】
別の実施形態において、本発明の検出器の電極の電気コンタクト又は指状部の最大の高さは、約1500nmである。
【0116】
別の実施形態において、電気コンタクトの高さは、好適な検出波長域に匹敵するものである。
【0117】
さらなる実施形態において、電気コンタクトの高さは、2マイクロメータよりも大きい。
【0118】
偏光及び入射角が、特定の波長に集中し、直線状の段のあるプロファイル又は格子構造を介して透過する入射光の量へ依存することは、当業者には周知である。本発明の略規則的な電極パターンは、格子状構造を示す。従って、電極構造の幾何形状(特に、間隔120及び電極ピッチ)は、検出されるべき特定の波長の入射光の好適な入射角を向上するようさらに最適化されていることが好ましい。当業者には周知のように、透過される直線状に偏光した光の量は、主として電極構造の向きに対する入射偏光波の向きにより決定される。
【0119】
従って、本発明のデバイスは、略規則的な電極構造(すなわち、電極格子)によって生じる当業者には周知の共鳴カップリング効果を利用するために、電極の間隔、ピッチ、及び向きを最適化することが望ましい。これらのパラメータは、本発明に従って形成される検出器の好適な波長、偏光、及び入射角感度に従って最適化される。増加するスピードに対する抵抗を減少し、同時に、略垂直な表面プラズモンモードにカップリングする共鳴により好適な波長感度範囲内の光の透過を向上させるために、電極コンタクトの高さをさらに最適化する。
【0120】
さらに別の実施形態において、本発明のMSMデバイスは、さらに略規則的なパターンで離間した、基板及び前記複数の電極と重ね合わせて配置される第2複数の電極を備える。この第2複数の電極は、第1電極の指状部の向きに相対的な角度で回転し、前記検出器表面の表面にある。この第2複数の電極は、好ましくは、第1電極の指状部に対して約90°の角度で回転する。
【0121】
この第2複数の電極は、また、検出器表面に略垂直方向の運動量の要素を有する表面プラズモン波に対応するよう構成されている。本実施形態のMSMデバイスは、好ましくは、デバイスに入射する偏光されていない光の、少なくとも直交する直線状の偏光要素を共鳴カップリングし、従って、偏光されていない光の検出を向上するという利点がある。
【0122】
略垂直な運動量の要素を利用することにより、従来技術とは反対に、高い光感度及び速い応答時間の両方を、好適な波長、偏光、及び入射角で実現することができる。高いアスペクト比構造が、特にCM表面プラズモンに対応するように構成される。
【0123】
図7を参照すると、本発明に従って形成されたMSM検出器の好適な実施形態130は、電極112の隣接する指状部の間の深い間隔120に位置する第2半導体材料128を備える。第2半導体128は、基板122と同じ半導体材料を含むことが好ましい。本実施形態において、吸収する半導体材料128は、好ましくは表面プラズモンにより生じる増幅した電磁場に位置し、従って、図7に示すデバイス130が既存のデバイスよりも高感度となる。
【0124】
光検出器の応答速度は、通常、デバイスが光に露出された後に均衡状態に戻るために必要な期間として定められた固有の応答時間により部分的に制限される。言い換えると、光のパルスが一般的なMSM検出器の半導体材料を透過するとき、半導体から電極方向へ引き寄せられる正孔対を生成する。正孔は負に帯電した電極の方へ移動するが、電子は正に帯電した電極の方へ移動する。光生成電子と正孔は、半導体材料を離れてそれぞれの電極に到達するか、又は互いに再結合する。電子と正孔の濃度が均衡状態に戻るまでにかかる時間が、固有の応答時間である。固有の応答時間は、通常、電極間の電子と正孔の移動時間又はキャリアの再結合時間により制限される。
【0125】
従って、従来技術のMSMデバイスの応答速度は、隣接する電極間の間隔を減少させることにより速くなる。しかしながら、応答速度は、また、電極の抵抗とキャパシタンスにより部分的に制限され、電極の抵抗とキャパシタンスの結果に反比例する。従来技術においては、キャパシタンス及び移動時間は、いずれも、隣接する電極間の間隔及び電極の幅を減らすことにより、短縮することができるという利点が認識されている。しかしながら、そうすることにより、デバイスの抵抗は増加し、従ってデバイスの速度が減少する。
【0126】
図6に示すデバイス110及び図7に示すデバイス130の実施形態を参照すると、デバイス110の抵抗を低くするために高さ118とアスペクト比を増加しつつ、隣接する電極間又は電極の指状部間の間隔を減らして(移動時間を短縮することにより)スピードを速くすることにより、この固有の応答時間が短縮され、好ましくはデバイスの応答速度が速くなる。
【0127】
また図3を参照すると、本発明のMSMデバイス110の応答速度は、例えば、櫛型電極46のいわゆる指状部48の抵抗とキャパシタンスの結果の逆に比例する。指状部の長さCごとのキャパシタンスは、以下の数式1により定義される。
【数1】

ここでCは指状部の長さごとのキャパシタンス、εは自由空間の誘電率(permittivity)、εは半導体の誘電率、K(k)及びK(k’)は以下の数式により定義される楕円積分である。
【数2】

【数3】

これらの数式において、wは電極幅であり、pは電極ピッチである。
【0128】
加えて、デバイス10の総キャパシタンスCは、以下の数式により、ピッチpに反比例する。
【数4】

ここで、Adevlce=ldevlce×wdevlceはデバイスの総面積であり、ldevlce及びwdevlceは、それぞれデバイスの長さと幅である。
【0129】
数式(1)〜(4)をあてはめ、指状部幅のピッチに対する比136の関数としての指状部の長さCごとのキャパシタンスをプロット132した図を図8に示す。図8より、電極指状部48間の間隔120が固定電極ピッチpに対して減少すると(又は、同等に、電極幅wがピッチに対して増加するとき)、全体としてのキャパシタンスCが増加し、そのため、デバイスの速度が制限される。電極指状部の厚み118を増やして抵抗を低くすることによりキャパシタンスの増加が相殺され、電子の移動時間を短縮することにより間隔120が減少されて速度が速くなる。
【0130】
従って、本発明の一実施形態に従って形成されたデバイスの構造は、少なくともアスペクト比1を含み、検出器表面に対して略垂直な表面プラズモン共鳴モードを優先的にサポートする。この構造は半導体基板への光のチャネリングを促進する。アスペクト比の高い幾何形状により、抵抗が低くなり、電極間隔を減少することにより生じるキャパシタンスの増加の帯域幅を広げる効果を相殺し、デバイスの応答速度を速くする。さらに、電極の高さは、好ましくは好適な波長感度範囲に最適化され、速度、所望の好適な波長及び入射角及び偏光感度に対する高さと間隔の効果を考慮することにより、デバイスの最適アスペクト比及び好適な幾何形状が見出される。
【0131】
従来技術のデバイスにおける表面プラズモン共鳴の効果のモデルを作り、本発明に従って形成されるMSMデバイスのSPを含むERモードを最適化するために、数値モデルが開発されてきた。
【0132】
例えば、図9において従来技術のデバイスの分散曲線140を示す。エネルギーは、平面144上の表面プラズモン及び若干周期的に変調された金属表面146上の表面プラズモンモード用の全ての可能な発光モード(斜線部142)に対する波動ベクトルの関数として図示される。平面上の表面プラズモンモードを示す線144は斜線部142内に位置することはなく、これらのモードが光と互いに影響し合うことがないことを示す。偏光されたモードは斜線部142に位置し、光と互いに影響し合うことができる。これらのモードは、従来技術のデバイスを代表するデバイス表面に平行な運動量の要素のモードである。
【0133】
図10は、周期的に小さく変調される空気/金属界面を有する表面154に平行な運動量Ksp152を有する、一般的な(水平)表面プラズモンモード150の電磁場プロファイルを表わす。このフィールドは界面154において増幅され、検出器感度を高める。
【0134】
図11を参照すると、アスペクト比が高い本発明のMSM検出器の分散曲線160は、図9と比較すればわかるように、HSPカップリングに最適化された従来技術のMSM検出器の分散曲線とは顕著に異なる。図11に示すアスペクト比が高いMSMデバイスは、厚みが250nmで、250nm離れたコンタクトで、コンタクト間が30nm開いた、8よりも大きいアスペクト比に対応するアルミニウムコンタクトを有する。
【0135】
図11は、y軸上のエネルギーとx軸上の正規化された平面運動量(すなわち、デバイスの表面に平行な運動量)の関数としての、この構造に入射する光の反射率のグラフである。反射率曲線の最小値は、表面プラズモンモードの存在を示している。図11において、これらの最小値を濃い斜線又は斜線部で示す。
【0136】
図11に示すk/(K/2)=0(すなわちy軸)に近く、またこれに沿った表面プラズモンモードは、0に近い平面運動量及びデバイスの表面に対して略垂直な0ではない運動量を有する表面プラズモンモードに対応する。励起した又はこれらのモードを作り出す光は、略正規の入射光(すなわち、入射角が0の光)であり、MSMデバイスの利用において普通に見られる入射角である。
【0137】
この例で、検出器は、約500nmの可視波長における入射光での高められた透過に対応した約2.5eVに集中するエネルギーに最適化される。
【0138】
図12は、図11に示すアスペクト比の高いMSM検出器の電磁場プロファイル70のプロットである。
【0139】
本発明で開発される数値モデルは、WR異常、回折モード、CM及びHSPモードを含むERのいずれの組み合わせに利用されてもよい。同じモデルは、後で説明するシリコン・オン・インシュレータ(SOI)構造(図22参照)により得られるファブリーペロー共鳴の分析に用いることもできる。
【0140】
上述のとおり、特定の格子構造の向上された透過の理由となるメカニズムについて、次第に受け入れられてきている見解は、垂直表面共鳴(VSR)モードとも呼ばれる、CMを介した最上層(空気)/コンタクト及びコンタクト/ボトム層(半導体)の界面上の、格子の溝部内のウッド・レーリー異常カップリングである。厳密カップリング平面波(rigorous coupled plane wave:RCPW)法、積分法、時間領域有限差分法、及びモード法を含む、いくつかの数値モデリング方法が、格子構造の光学的特徴を計算するために用いられてきた。
【0141】
本発明は、図2に表す複合構造ERモードの分析に表面インピーダンス境界条件(SIBC)を拡大適用する。
【0142】
SIBC方法は、例えばLochbihler他「共鳴領域における高伝導針金格子」アプライド オプティクス、32(10)、3459〜3465ページ(1993)に記載されるように、誘電体/金属界面における電場及び磁場の接線要素間の以下の関係に組み込む近似値を用いる。
【数5】

ここで、Z=1/nmetal、nmetalは金属の複素屈折率、

は誘電体/金属界面における誘電体に導かれる単位法線ベクトルである。ここで用いられる単位は、特に断りがない限りcgsである。p偏光及びマクスウェル方程式を用いることにより、以下が求められる。
【数6】

ここで、

は、誘電体/金属界面における誘電体材料の誘電率、

である。
【0143】
以下の例においては、全てのコンタクトが同一の厚みを有するものとして、拡張SIBC方法を用いて図2に示す構造を分析する。電磁場を計算する領域は4つある。領域1は空気領域69、領域2は左溝部44、領域3は右溝部62、領域4は基板40である。SIBC方法においては金属ワイヤの場は計算しないが、完全導体の近似式のように0と考えられているわけではない。SIBC方法の新しい見地がいくつか発展しており、ここで簡単に説明を加える。関数f(x,y)をi番目の領域でp偏光された磁場とする。領域1〜4は以下のように表される。
【数7】

【数8】

【数9】

【数10】

ここで、

は構造の期間60(1つの指状部から次の類似の及び同様に囲まれた指状部までの距離)、θは入射角、λは波長、εはi番目の領域の誘電率である。また、モードΦi,nはi=2,3のとき、溝部において直交するモードの組を構成し、以下のとおりとなる。
【数11】

【数12】

【数13】

ここで、δ=−x、δ=x、及び項μi,n及びυi,nは次の関係に従う。
【数14】

【0144】
上記のとおりフィールドを表した後、SIBC条件をまず用いてdi,n及びμi,nの項を計算する。溝部の左側に条件を適用することにより、以下の関係が得られる。
【数15】

【0145】
ηの添え字は、領域(単純化された構造において1〜4のいずれか)を示す。また、ワイヤは異なる金属からなってもよいため、ηの添え字は、その特定の位置において金属/誘電体界面にどの金属が存在するのかを表さなければならない。空気及び基板領域においては、左、中央、及び右のη項がη、η、ηと表される。2つの溝部領域においては、左及び右のη項しか存在しない。
【0146】
SIBC条件を2つの溝部の右側にあてはめると以下の関係が成り立つ。
【数16】

【0147】
式16は、数的にμi,nの値を求めなければならない。正確な結果が保証されるように、μi,nの値を正確に求めることは重要である。p偏光については、ニュートン・ラルフソン法が通常は適当である。s偏光については、式16はより能力のある方法により求めなければならない。左手及び右手の境界金属が同じであれば、式16は他等のSIBC方法に関するそのほかの文献に記載の標準的な超越数の数式に変換する。
【0148】
不確定な係数R、T、ai,n、及びbi,nは、その後、電場及び磁場の接線要素がどの界面でも連続して続くことを利用して確定される。領域1及び2の間、1及び3の間、2及び4の間、ならびに3及び4の間で界面の接線フィールド要素を標準化することにより、その間隔に対する数式が得られる。−x≦x≦−x及びy=0、x≦x≦x及びy=0、−x≦x≦−x及びy=−h、x≦x≦x及びy=−h。SEBC条件を強制することにより、y=0及びy=−hについて、さらに3つの数式が生まれ、これは比較的簡単に使うことができ、マトリックス数式に変換される。まず、領域2及び3における直交モードの組を構成するモードX2,m(x)及びX3,m(x)は、例えば、溝部の左右の境界となる金属が同一である場合に用いることができる。しかしながら、これらのモードは、金属が異なる以下の正規化係数を有する場合にも直交する。
【数17】

係数N3,mnは、各項の添え字の2を3にするだけで同様である。上記の数式から、最終的に6つのマトリックス数式が導き出され、これはデバイス全体のフィールドプロファイルを表わす。この数式には、その後、入力ビームIの振幅が与えられて、反射率、透過率、吸収、及び電磁場プロファイルが求められる。
【0149】
上述のとおり、本発明のMSMデバイスの格子状電極構造用のERモードには、水平表面プラズモンモード(HSP)、ウッド・レーリー異常(WR)、及び垂直キャビティモード(CM)という、3種類の基本的なタイプがある。これら3つのモード及びその効果の例を、図13〜図14に示す。同一の幅56が150nm、厚み58が400nm、第1コンタクトアレーのピッチ60が600nmの金(Au)コンタクトと溝部の空気を有するSiMSM構造について、法線入射についての、シリコン(Si)における反射率180、透過182、及び±第1位数の回折効率184を図13に示す。このコンタクトは全て同一であるので、「真」のピッチは300nmである。図13を参照すると、0.73eVでの広いCM、1.12eVでのHSPモード、及び関連する1.16eVでのWRがある。HSPは透過率におけるはっきりとした透過率の最小値をもたらし、CMは透過率における最大値をもたらす。これらの3つのERモードの磁場強度を、図14(a)、図14(b)、及び図14(c)に示す。図14(a)は、1.11eVのHSPについての有効電磁エネルギー密度のプロットである。HSPモードは、波長及び入射角に強く依存するという特徴を有する。一般に、HSPモードは、関連するWR共鳴よりもわずかに低いエネルギーを有する。構造的に、HSPモードは、コンタクトピッチに対する中度から強度の依存を有し、コンタクトの厚み58及びコンタクト窓幅に対する依存は小さく、第1金属コンタクト32及び第2金属コンタクトに対して中度の依存を有する。
【0150】
HSP186に対応する電磁場は、コンタクト/半導体界面の近傍で集中し且つ増幅され、電界強度の高い領域はこのコンタクトの真下に存在し、コンタクト窓の下には少ない。
【0151】
図14bを参照すると、1.16eVのウッド・レーリー異常共鳴が示され、入射ビームの波長と入射角及び構造パラメータに対するHSPと類似の依存を有することが示されている。加えて、WR電磁場188は、コンタクト/半導体界面42の近傍で集中し増幅されるが、HSPほどではない。WR異常は回折モードの始まりであり、従って入射ビームのエネルギーが増加すると、コンタクト/半導体界面での制限が少なくなる。また、コンタクト及びコンタクト窓の両方の真下に電界強度の高い領域が存在する。
【0152】
図14cに示す0.73eVのCM190を参照すると、垂直キャビティモードは、HSP及びWRよりも波長に対する依存が小さい。これらのモードでは、入射ビームの入射角への依存が弱い。構造的に、CMはコンタクトピッチに対する小さな依存を示し、コンタクトの厚み58、コンタクト窓幅、及び第1溝部44及び第2溝部62の誘電率に対しては中度から強度の依存を示す。CMは第0位数の入射ビーム及び透過ビームとカップリングして高められた透過を作り出し、溝部領域44に強い電界強度を有する。第0位数の入射ビーム及び透過ビームと関連するフィールドによって、CMは図14(c)に類似のフィールドプロファイルを作り出すことができる。
【0153】
これら3つの種類のERモードは、反射率、透過率、及びコンタクト/半導体近傍の光の濃度又は局所性に対して異なる効果を有する。図2に示す種類のラメラ格子において、WR及びHSPは、通常、ペアで生じ、HSPのエネルギーは関連するWRモードよりもすこし小さい。WRとHSPはいずれも、誘電体/金属界面の近傍で光が集中するが、反射率及び透過率に対する効果が劇的に異なる。第0位数の入射ビーム、WR及び回折モードは、透過を促進するキャビティモードを介して金属コンタクト層の両面にカップリングされてよい。従って、WRは反射率最小値と透過最大値につながることが多い。一方、HSPはその逆となり、反射率最大値と透過最小値を生じる。
【0154】
WRとHSPは、主として同じ構造的依存性を有しており、HSPは溝部内の金属及び誘電体材料に対してより感度が高い。HSP及びWRの構造的依存性は、いずれも、CM構造的依存性とは大きく異なる。計算より、上に挙げたモードの構造的依存性の背後の明らかに物理学的な推論が裏づけられる。これは、HSP/WRペア及びCMにおけるエネルギーがかなり独立して生じ、CMモードとHSP/WRモードが整列して「ハイブリッド」モードを作り出すことを可能とするため、重要である。これらハイブリッドモードは、光電子工学での利用に有用であり、用途によっては、HSP、WR、CM、あるいはハイブリッドモードのいずれかが最も効果的となる。MSM検出器については、HSP、WR、CMのいずれも、それ自体では高速動作用としては理想的ではない。その理由は、図14(a)、図14(b)、図14(c)において明らかである。HSP及びWRは、いずれも、大きな電磁場分布をコンタクトの真下に作り出すが、そこでは印加されたバイアスにより生じる静電場が非常に小さい。また、HSPは、普通、光沢のある金属ワイヤ内での入射ビームの吸収作用が大きい。CMモードは、第0位数の放射透過要素を作り出し、これによって半導体内部深くに大きな電磁場分布が生じるが、ここでもまた、印加されたバイアスにより生じる静電場は小さい。これら2つのモードはいずれも、望ましくない位置における光生成キャリアが、それぞれのコンタクトに向かってゆっくりと移動するキャリアを作り出し、これによりデバイスのスピードが制限される。
【0155】
用途に応じて光特性を合わせるために、この構造に導入可能な非対称性には、多くの種類がある。構造内に非対称性が導入されれば、即座に図2に示すように、真のピッチはもはや1つのワイヤの中間から次のワイヤの中間(あるいは先端から先端)までの距離ではなくなり、代わりに、その2倍の距離となる。
【0156】
異なる金属を、金属指状部に交互に使用することにより、電子と正孔のショットキ接触を個別に促進することができる。2つの異なる金属が、金、銀(Ag)、又はアルミニウム(Al)など、高い伝導率を有するものであれば、指状部の別の組については導電性が低い金属を用いることになるため、反射率と透過率の最大値と最小値を別にすれば、透過率は比較的同じとなる。アスペクト比が非常に高い透過型又は反射回折格子については、金属の選択がより一層の効果を生む。
【0157】
誘電体材料を溝部に配することにより、ERモードにいくつかの効果が生じる。誘電体材料を各溝部に非対称に配する場合、格子のピッチが変わることはなく、従ってHSP及びWRのエネルギーもほとんど変わらない。しかしながら、CMは、溝部の材料の誘電率が増えると、エネルギーが減少する。この現象は図15において見られ、ここでSiバルク基板上の、ピッチ=1.6μm、コンタクト幅w=0.56μm、窓幅c=0.24μm、コンタクト高さ(厚み)h=0.5μmで、溝部が誘電率の一層高い誘電体で満たされたAuコンタクトを有する構造に対する法線入射光に対する反射率192が示される。図15に、ε=1の誘電率194からε=2.2の誘電率196まで、0.2ずつ増加する、全ての溝部誘電体についての反射率192が示される。1つおきの溝部のεとして、ε=1の200からε=4の202まで、0.5ずつ増加する反射率198が図15の下半分に示される。この構造では、ε=2.2の誘電率196を有する溝部について、HSPがエネルギーが0番目の透過モード204に分布することを制限していることが図16に示されている。CMモード及びHSP/WRのペアが整列する、CMモードとカップリングされることにより、反射率促進コンタクト/SiHSPとして、反射率196における鋭い最大値が効果的に励起される(図16〜図17参照)。図17に、垂直表面プラズモン共鳴及び水平表面プラズモンの両方に関する通常の電磁場プロファイルを有する0.45eVのハイブリッドHSP/CMモード208を示す。両方が励起されていることがはっきりと示されている。第0位数の透過ビームにはほとんど入射エネルギーがカップリングされていない。
【0158】
1つおきの溝部(交互の溝部)に誘電体材料を配し、構造の真のピッチ(構造の周期性)を当初の2倍に増やす場合、上述の場合に生じた現象と全く違う現象が生じる。HSPは構造の近傍により近接に制限され、構造の材料中の電磁場強度がより大きくなるため、WRに比べて、HSPはより敏感に構造を変化させる。図15の下半分において、交互の溝部誘電率が増加し、別の交互の溝部のセットの誘電率と異なると、即座に0.45eVのHSP210は実質的に弱められる。図18を参照すると、一旦HSPが退くと、入射ビーム及びSiにおけるWR/1番目の回折モードはCMを介してより強くカップリングすることができる。新たな「真」のピッチは第1及び第2溝部誘電体が同じであったときの2倍なので、0.45eVで鋭い最大値を有する新たな±1回折要素212が0.22eVから始まる。図18の0.45eVの場合に示すように、入射ビームは、50%が+1Si回折オーダーにカップリングして、50%が−1回折オーダーにカップリングし、コンタクト/Si界面に平行に進むビームとなる。0.45eVハイブリッドCM/WRモードについて、図19aに磁場強度プロファイル214を示し、図19bにポインティングベクトル216の図を示す。この図はいずれも、入射ビームからのエネルギーが右手溝部62を介して(ε=3.8の誘電体材料で)WR/±1Si回折オーダーへコンタクトの周囲を導かれることを示す。
【0159】
上述の本発明の方法と分析とを、高帯域、高応答性MSM光検出器の設計に適用する際、HSP、CM、及びハイブリッドモードの特性における、使用材料に対する依存性を考慮しなければならない。HSP、CM、及びハイブリッドモードの明らかなエネルギー依存性の他にも、設計上考慮すべきことがある。例えば、直接的バンドギャップ材料は、通常、吸収係数が大きい(吸収長が小さい)。従って、コンタクト/半導体界面近傍の入射電磁場プロファイルを制限する方法は必要ないかもしれない。また、εの虚数部分が大きい材料又はエネルギーにおいて、HSPモードはより弱く十分に定義されない。この2点より、直接的バンドギャップ材料において、HSP又はハイブリッドモードは、CMに比べて使用においてあまり興味はもたれないであろう。しかしながら、Si系MSMにおいては、Siが間接的バンドギャップ材料であり、850nm前後の重要な波長域における吸光係数が小さいか中程度であるため、状況は異なる。従って、本発明のMSMデバイスは、高速動作用に、HSP、WR、又はハイブリッドモードに最適化されることが好ましい。最も好ましくは、SiMSM光検出器はWR/CMのハイブリッドモードをカップリングするように最適化される。
【0160】
図2の幾何形状を参照すると、この種のハイブリッドERモード(WR/VSR及びSi内の回折要素)をカップリングするMSM検出器の一実施形態において、電極構造は、コンタクト周辺及びコンタクト間のコンタクト/Si界面近傍に局在する入射光を導くことにより、高応答性・高帯域バルクSiMSM−PDを得るように最適化される。本実施形態において、MSM検出器の基板40はシリコンを含む。第2溝部62の第2誘電率は、好ましくは第1溝部44の第1誘電率よりも大きい。最も好ましくは、第2誘電率は、約1.75〜約4の範囲にある。
【0161】
一実施形態において、第2誘電体はシリコン酸化物を含むことが好ましい。
【0162】
好ましくは、第1厚み58及び第2厚み66のうち少なくとも1つは、少なくとも100nmである。
【0163】
別の施形態において、第1コンタクト厚み58及び第2コンタクト厚み66は、それぞれ、約125nmである。
【0164】
この好適なシリコンMSM検出器において、電極の第1アレー32及び第2アレー50に関連する構造は、好ましくは、入射光波と、WR/CM及びSiに回折要素を有する局所的なイブリッドERモードとを共鳴カップリングする。
【0165】
このデバイスの第1コンタクト幅56及び第2コンタクト幅64は、等しくてもよい。
【0166】
別の施形態において、第1コンタクト幅56は第1窓44の幅よりも大きく、第2コンタクト幅64は第2窓62の幅よりも大きい。これらのコンタクト幅は、それぞれ窓幅の少なくとも2倍であることが好ましい。また、第1及び第2窓幅は、等しくてもよい。
【0167】
シリコンMSMデバイスは、応答性が少なくとも0.25A/Wで、帯域幅が少なくとも15GHzであることが好ましい。
【0168】
SiMSM検出器の動作波長域は、800nm〜900nmを含むことができる。最も好ましくは、動作波長域は約830nm〜約850nmである。
【0169】
図20〜図21は、それぞれ、本発明のシリコンMSM光検出器の、エネルギー密度プロファイル216及び誘発された光電流218のプロットであり、幅300nm、厚み125nmのAuの第1コンタクト32及び溝部幅が150nmの交互の(第1)溝部44を有する第2コンタクト50を有する、誘電率ε=2を有する誘電体材料が挿入される、。図20は、このSiMSM構造用の1.46eVでのハイブリッドモードについての有効電磁密度を示す。ここに示すように、このハイブリッドモードは、窓44及び62の下のコンタクト/Si界面近傍の電磁場(高濃度領域は図中最も明るく白っぽい部分である)に、主に集中している。これらのデバイスのモデリングで通常考えられるように、入射ビームによって生み出される、ゆっくりとした幾何学級数的に崩壊していくエネルギー密度プロファイルの代わりに、エネルギーは主にSi表面の近くに集中する。図21は、ワイヤ内に誘発された電子電流と正孔電流が、一連の10psの期間、50%のデューティサイクル、850nmの光の入射パルスを与えることを示す。5mWのTM偏光入力パルストレイン(グレーの部分)220、電子電流222、及び正孔電流224が示される。これらの結果から、このデバイスは、少なくとも0.25A/Wの応答性を有しながら、少なくとも30の帯域幅を有することができることが示唆される。
【0170】
幅及び厚みの非対称性は、特に特にHSP及びWRモードの数の増加につながる。CMモードのエネルギーは、大きくは変化しないが、HSP/WRモードの数の増加は広いCMモードのエネルギー範囲に原因があるかも知れず、これらに影響を与える可能性がある。加えて、格子のピッチは空気/コンタクトのHSP/WR及びコンタクト/半導体のHSP/WRの両方から2倍増加するため、格子の「有効」ピッチは空気中の電磁場の投影や半導体基板における電磁場の投影によって異なり得る。格子のピッチは、空気/コンタクトのHSP/WRのみの投影から2倍増加する一方で、コンタクト/半導体のHSPの投影からは同じであってもよい。
【0171】
つまり、本明細書に記載の拡張SEBC法を用いることにより、HSP、WR、及びCMモードのエネルギーは、異なる構造及び材料パラメータを変更して、個別に変更することができる。加えて、HSPの効果は最小化され、WR及びCMモードは1つおきの溝部の誘電率を増加することにより整列さえることができる。また、ここで説明した非対称性のいずれか1つを構造に加えることにより、この構造の「実際」のピッチを2倍にするが、「有効」ピッチは導入する非対称性によって2倍にすることも、またしないこともできる。本発明は、HSP、WR、CM、及びハイブリッドモードのカップリングを最適化することにより、帯域幅が50GHzを越え、応答性が0.3A/Wを越える高速SiMSM光検出器を提供する。
【0172】
以上、基板がバルク形状の半導体を含むと仮定して、本発明のMSMデバイスについて検討と分析を加えた。しかしながら、この半導性基板はこれに限らない。
【0173】
図22を参照すると、MSMデバイス225のさらなる実施形態において、基板はシリコン・オン・インシュレータ(SOI)構造226を含む。SOIは3層誘電体構造226であり、シリコン228の最上層とシリコン232の最下層層との間に配された絶縁体層230を備える。
【0174】
シリコン系金属−半導体−金属光検出器(MSM−PD)及び関連するSi系光検出構造は、光学的及び電気的要素を同一チップ上で統合することができるため、大変興味深いものである。しかしながら、InGaAs等の他のいくつかの材料を用いて製造されたMSM光検出器と比べると、SiMSM−PDの性能は劣る。これは、主として、Siが間接的バンドギャップ材料であり、吸収長が長いことによる。これにより、Siの内部深くに生成される電子と正孔のペアがコンタクトに移動するまでに長時間かかり、コンタクトで誘発される光電流がごく小さいものとなる。SiMSMの帯域幅及び応答性を促進するための多くの方法があるが、一方を高めようとすると他方が悪化する傾向があった。シリコン領域に埋め込み層を導入することにより、バルクシリコン半導体の内部深くに生成されたキャリアを検出器の活性領域から分離することができ、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)のコンタクト/シリコン/酸化物層を用いてSiの上面に光が集中する共鳴キャビティを作り出すことができることが報告されている。いずれもデバイスの性能を高めると考えられる。別の方法では、SOI層の上面に金属の島を用いて、活性シリコン領域に更なる光をカップリングする。しかし、正確な、時間依存及び相互依存した形でのデバイスの光学的及び電気的特性の完全な分析(すなわち入射ビーム、静的な場、及び電荷担体の運動と、これら相互に対する影響を同時に分析すること)は、いまだ行われていない。電磁場、電荷担体の生成率、及び誘発される電流に関するこれら過去の研究における仮定は、Si系MSMデバイスにおけるERモードの可能性を促進する能力の過小評価を導く。
【0175】
図22を参照し、以下の本発明にかかるSOI半導体226を有するMSMの例を、SOI上に製造されたMSMにおける水平表面プラズモン(HSP)、垂直表面共鳴(VSR)とも呼ばれる表面プラズモンキャビティモード(CM)、ウッド・レーリー異常(WR)、ここではキャビティ共鳴(CR)とも呼ばれるファブリーペロー共鳴(FPR)、及び回折モード(DM)を含む、各種の電磁共鳴との関連で説明する。これらのモードの組み合わせは、本発明のSOIのMSM光検出器の帯域幅と応答性を促進する。この計算を行うことにより、時間依存及び相互依存した形の3つのアルゴリズムが用いられる。(1)入射ビームにより生じる電磁場プロファイルを計算する拡張表面インピーダンス境界条件(拡張SIBC)、(2)印加されたバイアスと電荷担体により生成される擬似静的フィールドを求めるポアソン方程式解法、(3)電荷担体の動き、光電流、再結合、帯域幅、及び応答性を計算するモンテカルロアルゴリズム、である。ERモードの組み合わせ、すなわち、ハイブリッドERモードは、デバイスの性能を高めるために2つのことを実現するように最適化されることが好ましい。空気/コンタクト界面及びコンタクト/半導体界面上でのCMを介したWR及び回折モードのカップリングによって、金属コンタクトの周囲に光を導くことと、Siのコンタクト/Si界面及びコンタクトの間に光を限定する又は集中させることである。WR及び回折モードのカップリングにより光を導くことにより、応答性が高まる。光をSiに限定することは、既に既に述べたとおり、帯域幅を向上させる。
【0176】
SOIにおいて、これら2つの様態は、SOIのコンタクト/Si/絶縁体共鳴キャビティと関連したFPRを用いることにより、1ステップ進むことになる。Si層228の共鳴キャビティは、例えば、コンタクト32により一方に結合され、絶縁体230によって他方に結合される。FPRをハイブリッドERモードと統合することにより、新たなハイブリッドモードが形成され、入射ビームの極めて大きな範囲の限定が可能となる。
【0177】
デバイス225の多くの様態は、各種のERモードを利用し、MSM検出器について半導体内に最適な電磁場強度プロファイルを作りだすために、変更することができる。空気領域I69、領域IVを形成する第1半導体層228、第2半導体層232、領域VI、及び絶縁領域V230内のフィールドは、好ましくは、フロケの定理による擬似フーリエ拡張で表わされる。溝部領域II44及びIII62のフィールドは、好ましくは、直交モードの一次結合として表わされ、既に述べたように、またLochbihler他「共鳴領域における高伝導針金格子」Applied Optics、32(10)、3459〜3465ページ(1993)で記載されるとおり、拡張SIBC法を用いて計算される。ここで示される結果は全て、TM偏光(SPはTM偏光についてのみ起こる)と法線入射についてのものである。
【0178】
図23を参照すると、コンタクト/Si/絶縁体層によって生じるFPRモードを含む、SOI半導体の構造内で生じる各種の異なるERモード及び回折モードがある。この共鳴効果は、SPへのつながりを全く持たない単純なファブリーペロー効果である。一番上のSi薄膜228の厚みは、このFPRモードのエネルギーがバルクSiMSM−PDで用いられるハイブリッドWR/VSRモードのエネルギーと一致するように調整されることが好ましい。これによって、電磁エネルギー密度234のプロファイルでみるように、コンタクト/Si界面近傍の光の局所性が著しく高められる。
【0179】
図24に、一連の反射率曲線を示す。図24の一番上のグラフは、上記のバルクSiMSM−PDについての反射率236を示すが、バルクSiの代わりに、350nmの一番上のSi層228とこれに続く厚みが50nmのシリコン酸化物絶縁体230を有している。デバイス225は、ピッチd=2x=900nm、幅w=300nm、及び厚みh=125nmの同一のAuコンタクトと、幅c=150nm及び誘電率ε=2の交互の溝部の組と、幅c=150nm及び誘電率ε=1の交互の溝部の別の組とを有する。
【0180】
本発明のSiMSM光検出器の一実施形態において、基板は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)構造を備える。SOIは、Siの最上層228及び絶縁体層230を有する。好ましくは、最上層228は約300nm〜約400nmの範囲にある。絶縁体層は、約25nmと約75nmの間にあることが好ましい。
【0181】
上述の、バルクSiMSM−PDについてのER共鳴モードは、WR、Siの回折要素、及びVSRからなるハイブリッドERモードを利用して、コンタクトの周囲に導かれ、このコンタクト間のコンタクト/Si界面の近傍に局在する、望ましい電磁場強度プロファイルを作り出す。
【0182】
図24を参照すると、SOI構造226を備えるデバイスについての反射率曲線236は、SOI半導体の共鳴効果の結果としての特徴をさらに有する。共鳴に対して建設的及び破壊的なSOIの界面効果に関し、周期的な最大値と最小値がある。これらの効果は、バルクSiMSMの反射率が低いとき(すなわち、より多くの光量が構造に入ってSOI共鳴効果が起こるとき)に、最も明らかとなる。
【0183】
図24に、比較のため、さらに2つの反射率曲線を示す。それぞれSOIのMSM−PDと同じ寸法、すなわちSi最上層228(350nm)及び酸化物層230(50nm)のSOI半導体である。一方の反射率曲線238は、厚みが30nmの連続した(すなわち、パターンのない)Au膜を有する構造を備え、もう一方の反射率曲線240は、金属膜がない場合を比較のために示した。これら2つの比較用曲線は、Si薄膜の一方と結合しているのが空気か金属によって、反射率の最大値/最小値の場所(エネルギーに関して)に大きなばらつきがあること示すために用意した。デバイス全体(パターンを持つコンタクト及びSOI)を含むSOIのMSM−PDの光学的特性の正確な計算は、好ましくは本発明の拡張SIBC方法を用いて行われる。
【0184】
図23を参照し、1.46eVでのエネルギー密度プロファイル234を示す。光の局所性は、静的場が最大になるコンタクト窓44及び62の下で最も大きくなる。一方。バルクSi232の底部のフィールドは、事実上ゼロとなる。これにより、電子と正孔のペアが基板の内部深くに生じることを防ぐことができるため、帯域幅及び応答性を向上させることができるため、望ましい。ERモードのチャネリング効果、特に、CMモードは、入射光が金属コンタクトの周囲を活性Si領域228へと導かれることを示す。その後、Si最上層228への光の限定を支援するためにCR(FPR)が用いられる。
【0185】
トップのSi薄膜228ならびにコンタクト32及び50の間に光が限定されるため、デバイス225の帯域幅及び応答性は、従来のMSM検出器よりも高くなる。特に、本発明のMSMデバイスでは速度がSi内での電荷担体の動作ではなく、金属指状部のキャパシタンス及び抵抗ならびに負荷により制限される。
【0186】
印加されたバイアスと光パルスの強度と期間の関数としての、印加されるバイアスによりコンタクト内に誘発される光電流の分析に必要な、時間に依存する相互依存的なアルゴリズムを計算することができる。一旦入射ビームにより生じる電磁場強度プロファイルが上述のように計算されると、ポインティングベクトルの分岐が計算される。ポインティングベクトルの分岐に比例する電子と正孔の生成率も計算することができる。ポアソン方程式解法及びモンテカルロアルゴリズムは、その後、好ましくは、擬似静的フィールド、誘発された光電流(Ramoの定理を用いて)、帯域幅及び応答性を計算に用いられる。
【0187】
図25において、一連の5mW、10ps、50%のデューティサイクルパルスで、850nmのTM偏光された光により励起されたと仮定したときの、図22〜図23に示す50μm×50μmのMSM光検出器225の時間領域応答を示す。誘発された電子電流242及び誘発された正孔電流244の双方が示されている。このデバイスのこの速度での応答性は、少なくとも0.3A/Wであり、また、0.4A/W以上であってもよい。2つの電流要素の立ち上がり時間と立ち下がり時間は大変短く(5ps)、これらのデバイスが、少なくとも約0.3A/Wの高応答性を維持しつつ、50GHzを越える、あるいは80GHzもの帯域幅を実現することができるかもしれないことを示している。
【0188】
本発明のSiMSM検出器の一実施形態において、830nm〜850nmの動作波長域で、応答性は少なくとも0.25A/Wであり、帯域幅は少なくとも30GHzである。
【0189】
従って、本発明のMSMデバイスの性能は、例えばSOIのMSM−PD等の、着目する動作デバイスパラメータを正確に計算する時間依存及び相互依存したアルゴリズムから求められる。本発明のMSMデバイスは、デバイス性能を向上させるERモードの組み合わせを用いて最適化される。一実施形態において、このMSMデバイスは、より望ましいデバイス動作特徴のためにより大きい波長入射角範囲を生じる電極構造を備える。最適化の方法は、熱効果、空間正孔バーニング、及びデバイス浸透、ならびに集積回路(IC)に対応するその他の様態、例えば負荷、の分析を含む。
【0190】
ここに添付の図面を参照して本発明の具体的な実施形態を記載したが、本発明がこれらの正確な実施形態に限定されるものではないことは言うまでもなく、当業者は、本発明の範囲と趣旨を逸脱することなく、これに各種の変更や修正を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1a】第1位数の水平表面プラズモン(HSP)モードについての摸擬磁場強度が重畳された金属−半導体−金属(MSM)検出器の部分断面図である。
【図1b】第1位数の垂直表面プラズモン又はキャビティモード(CM)についての摸擬磁場強度が重ね合わされたMSM検出器の部分断面図である。
【図2】本発明に従って形成されたMSM検出器の実施形態の部分断面図である。
【図3】本発明に従って形成されたMSM検出器の実施形態の櫛型電極構造の上面図である。
【図4a】Hg.276Cd.324Teを含むMSM構造の0.36eVでの第1位数のHSPモードについての有効電磁エネルギー密度を示す図である。
【図4b】本発明に従って形成されたMSM構造の実施形態の0.5eVでの第1位数のCMに対する有効電磁エネルギー密度を示す図である。
【図4c】Hg.276Cd.324Teを含む本発明にかかるMSMデバイスの実施形態の0.37eVでのハイブリッドモードについての有効電磁エネルギー密度を示す図である。
【図5】本発明にかかるSiMSMデバイスの1.6eVでのハイブリッドモードについての有効電磁エネルギー密度を示す図である。
【図6】本発明に従って形成されたアスペクト比の高いMSM検出器の別の実施形態の断面側面図である。
【図7】本発明に従って形成されたMSM検出器のさらに別の実施形態の断面側面図である。
【図8】一般的な従来技術のMSMデバイスのキャパシタンスを示す図である。
【図9】従来技術のMSMデバイスの分散曲線である。
【図10】従来技術のMSMデバイスの電磁場プロファイルを示す図である。
【図11】本発明に従って形成されたMSM検出器の分散曲線である。
【図12】本発明に従って形成されたMSM検出器の電磁場プロファイルを示す図である。
【図13】本発明のMSM光検出器の反射率、第0位数の透過率、及び第1位数の回折効率を示す図である。
【図14a】MSM検出器のHSP(1.11eV)の有効電磁エネルギー密度プロファイルの例を示す図である。
【図14b】ウッド・レーリー異常(1.16eV)の有効電磁エネルギー密度プロファイルの例を示す図である。
【図14c】第0位数の透過要素の強度が高い0.73CMの有効電磁エネルギー密度プロファイルの例を示す図である。
【図15】溝部に誘電体を配することによる効果を説明するMSMデバイスの反射率曲線を示す図である。
【図16】CMモードにカップリングされることにより強く励起するHSPを説明する、シリコン半導体内の反射率、透過率、ならびに第1位数及び第2位数の回折効率を示す図である。
【図17】0.45eVのハイブリッドHSP/CMモードの有効電磁場密度プロファイルである。
【図18】本発明のMSM光検出器のSi内の反射率、第0位数の透過率、及び回折効率を示す図である。
【図19a】本発明のMSM光検出器のSi内の0.45eVのハイブリッドCM/WRモードの有効電磁場密度プロファイルである。
【図19b】図19aのデバイスのポインティング・ベクトルを示す図である。
【図20】本発明のMSM光検出器のSi内の1.46eVでのハイブリッドモードの有効電磁場密度プロファイルを示す図である。
【図21】図20のデバイスの電子電流と正孔電流を示す図である。
【図22】好適な本発明に従って形成されたMSM検出器の部分断面図である。
【図23】図22の好適なMSM検出器の有効電磁場密度プロファイルである。
【図24】図20の好適なMSM検出器の反射率曲線を電極構造なしで得られた反射率曲線と比較して示す図である。
【図25】図22のデバイスの電子電流と正孔電流を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略規則的なパターンで離間し、外部光波と局所的な光波との間を共鳴カップリングし、かつ隣接電極間に電位差を可能にするように構成された複数の電極であって、金属を含む電極と、
前記複数の電極に関する構造であって、前記構造と前記複数の電極とが前記局所的な光波をサポートする構造と、
前記複数の電極に接続され、電気量を検知するセンサと、
を備える外部光波の強さを検知する光学検波器であって、
前記電極と関連して重ね合わされた半導体を含む基板と、
隣接する電極間の間隔に対する前記複数の電極の高さが少なくとも1のアスペクト比とを備え、
前記局所的な光波は、検出器表面に対して略垂直方向の運動量の要素を有する表面プラズモン波を有する、外部光波の強さを検知する光学検波器。
【請求項2】
前記間隔は少なくとも約20ナノメータである、請求項1に記載の光学検波器。
【請求項3】
前記アスペクト比は少なくとも3である、請求項1に記載の光学検波器。
【請求項4】
前記アスペクト比は約4より大きく約16より小さい、請求項1に記載の光学検波器。
【請求項5】
前記アスペクト比は約10より大きく約15より小さい、請求項1に記載の光学検波器。
【請求項6】
前記基板は、水銀カドミウムテルル、インジウムガリウムヒ素、及びシリコンのいずれか一つを含む、請求項1に記載の光学検波器。
【請求項7】
前記基板はシリコン・オン・インシュレータ構造を備える、請求項1に記載の光学検波器。
【請求項8】
検出器表面の面上で90°回転した略規則的なパターンで離間した第2複数の電極であって、第2複数の電極は、前記複数の電極及び前記基板と重ね合わされ、前記第2複数の電極は前記外部光波と前記表面プラズモン波とを共鳴カップリングするよう構成され、前記表面プラズモン波は、前記検出器表面に対して略垂直方向の運動量の要素を有する、請求項1に記載の光学検波器。
【請求項9】
前記隣接する電極間の間隔を略充填する半導体層をさらに備える、請求項1に記載の光学検波器。
【請求項10】
前記複数の電極の高さは少なくとも約50ナノメータである、請求項1に記載の光学検波器。
【請求項11】
前記複数の電極の高さは約50ナノメータ〜約1500ナノメータの範囲にある、請求項1に記載の光学検波器。
【請求項12】
前記複数の電極の高さは約100ナノメータ〜約750ナノメータの範囲にある、請求項1に記載の光学検波器。
【請求項13】
第1幅を有する第1コンタクト窓、第1誘電率を有する第1コンタクト窓誘電体と、第1コンタクト厚み及び第1コンタクト幅を備える、第1電極の第1アレーと、
第2幅を有する第2コンタクト窓、第2誘電率を有する第2コンタクト窓誘電体、第2コンタクト厚み及び第2コンタクト幅を備える、第2電極の第2アレーであって、前記第2電極が前記第1アレーに対して直線的に移動され、前記第1電極と互いにかみ合っている、第2アレーと、
を備える波長域内の入射光波の強さを検知する光デバイスであって、さらに、
ピッチと、
前記第1アレー及び前記第2アレーに関する構造であって、前記入射光波と少なくとも局在表面プラズモン波のキャビティモードを含む局所的な電磁共鳴とを共鳴カップリングする構造と、
前記第1アレー及び前記第2アレーを有する前記構造が重ね合わされた基板と、
前記第1電極及び前記第2電極に接続され、電気量を検知するセンサと、
を備える、波長域内の入射光波の強さを検知する光デバイス。
【請求項14】
前記基板は、IV元素半導体、III−V元素半導体、及びII−VI元素半導体のいずれか1つを含む、請求項13に記載の光デバイス。
【請求項15】
前記基板は、水銀カドミウムテルル、インジウムガリウムヒ素、及びシリコンのいずれか1つを含む、請求項14に記載の光デバイス。
【請求項16】
前記基板は水銀カドミウムテルルを含み、前記第1電極及び前記第2電極はアルミニウムを含み、前記第1誘電率は1.75〜4.0の範囲にあって且つ前記第2誘電率よりも大きい、請求項15に記載の光デバイス。
【請求項17】
前記構造は少なくとも前記キャビティモードと水平表面プラズモンモードとを含むハイブリッドモードと共鳴カップリングし、前記波長域は少なくとも約2.0マイクロメータ〜約4.0マイクロメータの範囲を含む、請求項16に記載の光デバイス。
【請求項18】
前記構造はハイブリッドモードと共鳴カップリングし、前記波長域は少なくとも4.0マイクロメータ〜約15マイクロメータの範囲を含み、前記第1幅及び第2幅はそれぞれ、はそれぞれ、0.5マイクロメータ〜0.9マイクロメータの範囲にあり、第1コンタクト厚みと第2コンタクト厚みはそれぞれ、0.45マイクロメータ〜0.85マイクロメータの範囲にあり、第1コンタクト幅と第2コンタクト幅はそれぞれ、0.2マイクロメータ〜0.5マイクロメータの範囲にある、請求項16に記載の光デバイス。
【請求項19】
前記基板はシリコンを含み、前記構造は少なくとも前記キャビティモードと水平表面プラズモンモードとを含むハイブリッドモードと共鳴カップリングし、前記波長域は約830ナノメータ〜少なくとも約850ナノメータの範囲を含み、さらに、前記第1コンタクト幅と前記第2コンタクト幅はそれぞれ、前記第1幅と前記第2幅よりも大きい、請求項14に記載の光デバイス。
【請求項20】
前記第1電極及び前記第2電極は金からなり、前記第1誘電率は1.75〜4.0の範囲にあって前記第2誘電率よりも大きい、請求項19に記載の光デバイス。
【請求項21】
前記第1コンタクト厚み及び前記第2コンタクト厚みはそれぞれ、0.075〜0.2マイクロメータの範囲にある、請求項20に記載の光デバイス。
【請求項22】
前記第1幅と前記第2幅はそれぞれ、0.075マイクロメータ〜0.25マイクロメータの範囲にある、請求項20に記載の光デバイス。
【請求項23】
前記基板はシリコン・オン・インシュレータ構造を含む、請求項14に記載の光デバイス。
【請求項24】
前記基板はシリコンを含み、前記第2誘電率は前記第1誘電率よりも大きく、前記第1コンタクト幅と前記第2コンタクト幅は、それぞれ、前記第1幅と前記第2幅よりも大きい。請求項14に記載の光デバイス。
【請求項25】
前記第1電極及び前記第2電極は金属を含み、前記第1コンタクト厚み及び前記第2コンタクト厚みのうち少なくとも1つは、少なくとも100nmである、請求項24に記載の光デバイス。
【請求項26】
前記第2誘電率は1.75〜4.0の範囲にある、請求項24に記載の光デバイス。
【請求項27】
前記第1コンタクト幅は前記第1幅の少なくとも2倍であり、約0.2マイクロメータ〜約0.4マイクロメータの範囲にある、請求項25に記載の光デバイス。
【請求項28】
830nm〜850nmの動作波長域で少なくとも0.25A/Wの応答性と少なくとも30GHzの帯域幅を有する、請求項23に記載の光デバイス。
【請求項29】
前記第2誘電率は前記第1誘電率よりも大きく、前記第1コンタクト幅は前記第1幅よりも大きい、請求項23に記載の光デバイス。
【請求項30】
前記第2誘電体はシリコン酸化物であり、前記第1コンタクト幅は前記第1幅の少なくとも2倍であり、前記第1厚み及び前記第2厚みはそれぞれ、少なくとも100nmである、請求項23に記載の光デバイス。
【請求項31】
前記基板はシリコン最上層と絶縁体層とを含み、前記シリコン最上層は約300ナノメータ〜約400nmの範囲にあり、前記絶縁体層は約25nm〜約75nmの範囲にある、請求項30に記載の光デバイス。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19a】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2007−531277(P2007−531277A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505074(P2007−505074)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/009383
【国際公開番号】WO2005/092037
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506311909)リサーチ ファウンデーション オブ ザ シティー ユニバーシティ オブ ニューヨーク (2)
【氏名又は名称原語表記】RESEARCH FOUNDATION OF THE CITY UNIVERSITY OF NEW YORK
【住所又は居所原語表記】555 West 57th Street, 11th Floor, New York, New York 10019 U.S.A.
【Fターム(参考)】