説明

高性能エネルギー蓄積装置

少なくとも1個の鉛ベース負極1と、少なくとも1個の二酸化鉛ベース正極2と、少なくとも1個のコンデンサ電極3と、前記の諸電極(1,2)と接触している電解質7とを有する鉛蓄電池であって、蓄電池部分は、前記鉛ベース負極1と前記二酸化鉛ベース正極2とによって形成されており;非対称コンデンサ部分は、前記コンデンサ電極3と、該鉛ベース負極1及び該二酸化鉛ベース正極2から選ばれた一方の電極とによって形成されており;しかも、全ての負極は負極用母線9に接続されており、全ての正極は正極用母線8に接続されている、鉛蓄電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔発明の背景〕
本発明は、鉛蓄電池及び他の形式の蓄電池のような蓄電池だけでなく、コンデンサ電極及び非対称コンデンサをも包含する、高性能エネルギー蓄積装置(high performance energy storage devices)に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料にはほとんど頼らず、都市環境における大気汚染と闘い、且つ、化石燃料の有限的供給の世界的規模の消費を低減する輸送機関(vehicles)の開発及び導入を求める要求が増大している。そのような輸送機関は、3つの主類:電気自動車(EVs)、ハイブリッド電気自動車(HEVs)、及び(42ボルトパワーネット自動車(42-volt powernet vehicles)としても知られている)マイルドハイブリッド電気自動車(mild hybrid electric vehicles)に分類される。
【0003】
電気自動車及びハイブリッド電気自動車は、鉛蓄電池を包含する様々な異なる形式の蓄電池を使用することができる。マイルドハイブリッド電気自動車は、コストが低減されるため、主として鉛蓄電池を使用することができる。ハイブリッド電気自動車及びマイルドハイブリッド電気自動車は、内燃機関と電源としての蓄電池との組み合せに頼っている。現行の高級自動車(内燃機関自動車)において車搭載電源の要求が増大していることに起因して、現行の14ボルト交流電源の可能出力(capability)は、それの限界に近づいているか又はそれの限界を超えている。このようにして、マイルドハイブリッド電気自動車が開発されてきた。そのようなマイルドハイブリッド電気自動車では、36ボルト蓄電池及び42ボルト交流電源が使用されている。マイルドハイブリッド電気自動車は、現行の内燃機関自動車より優れた幾つかの利点を提供する。その利点には、電気的に発電される電力がより多く使用され、結果として排気ガスがより少なくなることが含まれる。
【0004】
少なくとも部分的に電力に頼る輸送機関のための新たな蓄電池及び電力回路網(power networks)の開発において多くの著しい進展があったものの、これらの輸送機関において使用される蓄電池は、依然として多くの問題を抱えている。
これらの蓄電池の全てにおいて、輸送機関を操作している間の様々な段階で蓄電池から取り出されて蓄電池に再充電される電流に関し、蓄電池に対する様々な要求が提起されている。例えば、電気自動車及びハイブリッド電気自動車の各々の、加速又はクランキング(cranking、エンジンの始動)を可能とするために、高率放電(high rate of discharge)の蓄電池が要求されている。蓄電池の高率再充電は、回生制動(regenerative braking)と関連している。
【0005】
鉛蓄電池が、とりわけハイブリッド電気自動車及びマイルドハイブリッド電気自動車において利用されている状況において、蓄電池の高率放電及び高率再充電を行えば、負極板の表面に硫酸鉛の層が形成され、且つ、負極板及び正極板に水素/酸素が発生する結果となる。このことは主として、蓄電池に高電流が要求される結果として起こる。これらの蓄電池が通常作動する部分充電状態(PSoC)は、電気自動車で20〜100%、ハイブリッド電気自動車で40〜60%、及びマイルドハイブリッド電気自動車で70〜90%である。これは、高率部分充電状態(HRPSoC)である。ハイブリッド電気自動車及びマイルドハイブリッド電気自動車を作動させるような、シミュレートされた高率部分充電状態の効率下において、鉛蓄電池は、主として負極板の表面に硫酸鉛が進行的に蓄積することに起因して、早すぎる時期に作動しなくなる。このことは、回生制動又はエンジンによって充電されている間、硫酸鉛がスポンジ状鉛に効率よく転化されずにスポンジ状鉛に戻ることができないために生じる。結局のところ、硫酸鉛のこの層は、該極板の有効表面積が著しく減少して、該極板が該自動車の要求する高電流をもはや放出することができないような程度まで成長する。このことによって、蓄電池の潜在的寿命は著しく短くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯電話技術を含む他の技術分野において、既存のものに代わる形式の蓄電池であって、改善された全寿命と総合的性能とを提供すると同時に、装置に対する様々な電力要求を満たす蓄電池が提供されれば、好都合であろう。
【0007】
従って、鉛蓄電池を包含する改良蓄電池であって、現行の蓄電池と比べて改善された寿命及び/又は改善された総合的性能を有する蓄電池が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔発明の概要〕
1つの面によると、
− 少なくとも1個の鉛ベース負極と、
− 少なくとも1個の二酸化鉛ベース正極と、
− 少なくとも1個のコンデンサ負極と、
− 前記の諸電極と接触している電解質と
を有する鉛蓄電池であって、
前記正極及び前記鉛ベース負極は蓄電池部分を規定しており、該正極及び該コンデンサ負極は非対称コンデンサ部分を規定しており、しかも、該正極は、該蓄電池部分と該非対称コンデンサ部分とによって共用されており;しかも、それらの鉛ベース負極及びコンデンサ負極は負極用母線に接続されており、前記の1個以上の正極は正極用母線に接続されている、鉛蓄電池が提供される。
【0009】
このように、前記鉛蓄電池の二酸化鉛蓄電池部分と非対称コンデンサ部分とは、1つの共用ユニットの中で並列に接続される。従って、該非対称コンデンサ部分は、高電流での充電又は放電が行われる間、電荷の受け入れ又は放出が優先的に行われる。このことは、該非対称コンデンサ部分が該蓄電池部分と比べてより小さい内部抵抗を有するために起こり、高率充電が行われる間(例えば、回生制動が行われる間)、又は高率放電が行われる間(例えば、車両の加速及びエンジンのクランキングが行われる間)、先ず、電荷を吸収し、次いで、電荷を放出する。結果として、該非対称コンデンサ部分は、該鉛蓄電池部分の高率作動を分担し、該鉛蓄電池に著しく長い寿命を提供する。このことは全て、該蓄電池部分と該コンデンサ部分との間に如何なる電子制御も電子スイッチも用いることなく、達成される。
【0010】
1つの具体例によると、前記2つの部分によって共用される前記正極は、前記鉛ベース負極と前記コンデンサ負極との間に配置される。
前記の共用電極が鉛ベース負極である逆の配置を利用することができることはよく理解されるであろう。該鉛ベース負極は、コンデンサ正極と共に非対称コンデンサ部分を規定する。
【0011】
従って、前記の2つの交互に並ぶ配置を考慮しながら、第2の面によると、
− 少なくとも1個の鉛ベース負極と、
− 少なくとも1個の二酸化鉛ベース正極と、
− 少なくとも1個のコンデンサ電極と、
− 前記の諸電極と接触している電解質と
を有する鉛蓄電池であって、
蓄電池部分は、前記鉛ベース負極と前記二酸化鉛ベース正極とによって形成されており;非対称コンデンサ部分は、前記コンデンサ電極と、該鉛ベース負極及び該二酸化鉛ベース正極から選ばれた一方の電極とによって形成されており;しかも、全ての負極は負極用母線に接続されており、全ての正極は正極用母線に接続されている、鉛蓄電池が提供される。
【0012】
この面によると、前記の諸コンデンサ電極の各々は、個々に正極又は負極であってもよい。
前記鉛蓄電池は、正極及び負極が交互に並んだ列を有するのが好ましい。交互に並んだそれらの電極に関し、これらの各々は、蓄電池用電極、コンデンサ用電極、又は共用される蓄電池用/コンデンサ用電極であってもよい。以下に、これらのタイプの電極を更に詳細に記述する。
【0013】
本発明の第3の面によると、正極及び負極が交互に並んだ列と、それらの電極と接触している電解質とを有する鉛蓄電池であって、
− 少なくとも一対の隣接する正極及び負極の領域は、エネルギーを静電容量として貯蔵し、且つ、
− 少なくとも一対の隣接する蓄電池用二酸化鉛正極及び蓄電池用鉛負極の領域は、エネルギーを電気化学的に貯蔵し、
しかも、前記の諸正極は第1の導電体によって直接に接続されており、前記の諸負極は第2の導電体によって直接に接続されている、鉛蓄電池が提供される。
【0014】
本発明の更なる面において、前記の諸電極の1つの電位窓又は電位の作動範囲(potential operational range)において不釣合い(mismatch)がある場合、水素ガスが発生することがある。このことは、とりわけ、セル電圧が電極の電位範囲より大きい場合に当てはまる。水素ガスの発生は望ましくない。なぜなら、水素ガスが発生することによって、ガスが発生する電極において、前記蓄電池の早すぎる機能停止が引き起こされるからである。
不釣合いを回避するため、更なる具体例によると、前記の諸コンデンサ負極の少なくとも1個は、高表面積のコンデンサ材料と、鉛、亜鉛、カドミウム、銀及びビスマスの酸化物、水酸化物又は硫酸塩から選ばれている1種以上の添加剤とを含有している。それらの添加剤は、酸化物の形態で添加されるのが好ましい。それらの添加剤は、鉛及び/又は亜鉛の添加剤であるのが好ましく、鉛及び/又は亜鉛の酸化物であるのが最も好ましい。
【0015】
不釣合いは、前記コンデンサ正極で生じることもある。従って、蓄電池がコンデンサ正極を有している1つの具体例によると、該コンデンサ正極は、
− 高表面積のコンデンサ材料と、
− Pbと、
− アンチモンの酸化物、水酸化物又は硫酸塩と、
− 任意的な、鉄及び鉛の酸化物、水酸化物及び硫酸塩から選ばれている1種以上の添加剤と、
を含有している。
本発明のこの面は、ガス発生を回避するために、他のハイブリッド蓄電池タイプに同様に当てはまることがある。
【0016】
従って、本発明の第4の面によると、ハイブリッドの蓄電池−コンデンサにおいて、
− 少なくとも1個の蓄電池タイプ正極と、
− 少なくとも1個の蓄電池タイプ負極と、
− コンデンサ負極及びコンデンサ正極から選ばれている少なくとも1個のコンデンサタイプ電極であって、該コンデンサ負極は、コンデンサ用高表面積材料と、鉛、亜鉛、カドミウム、銀及びビスマスの酸化物、水酸化物又は硫酸塩から選ばれている1種以上の添加剤とを含有しており、しかも、該コンデンサ正極は、
− コンデンサ用高表面積材料、
− Pb
− アンチモンの酸化物、水酸化物又は硫酸塩、並びに、
− 任意的な、鉄及び鉛の酸化物、水酸化物及び硫酸塩から選ばれている1種以上の添加剤、
を含有している該コンデンサタイプ電極と、
− 前記諸電極と接触している電解質と、
を有するハイブリッド蓄電池−コンデンサであって、
蓄電池部分が、前記蓄電池タイプ正極と前記蓄電池タイプ負極との間に形成されており(即ち、蓄電池部分が、前記蓄電池タイプ正極と前記蓄電池タイプ負極とによって規定されており)、非対称コンデンサ部分が、前記コンデンサ電極と、前記諸蓄電池タイプ電極の一方との間に形成されており;しかも、前記の諸蓄電池タイプ電極の一方は、前記蓄電池部分と前記非対称コンデンサ部分とによって共用されており;しかも、前記の諸負極は第1の導電体に直接電気的に接続されており、前記の諸正極は第2の導電体に直接電気的に接続されている、上記ハイブリッド蓄電池−コンデンサが提供される。
【0017】
本発明の更なる面によると、上記の概念に基づいて、新規なコンデンサ電極も提供される。新規なコンデンサ負極は、集電体とペーストコーティングとを有しており、該ペーストコーティングは、コンデンサ用高表面積材料と、結合剤と、該ペーストコーティングの重量を基準とする、鉛、亜鉛、カドミウム、銀及びビスマスの酸化物、水酸化物若しくは硫酸塩から選ばれている添加剤又は添加剤混合物5〜40重量%とを、該添加剤が、鉛若しくは亜鉛の、少なくとも1種の酸化物、水酸化物又は硫酸塩を含有するという条件で、含有している。
【0018】
新規なコンデンサ正極は、集電体とペーストコーティングとを有しており、該ペーストコーティングは、コンデンサ用高表面積材料と、結合剤と、該ペーストコーティングの重量を基準とする、
− Pb
− アンチモンの酸化物、水酸化物又は硫酸塩、並びに、
− 任意的な、鉄及び鉛の、1種以上の酸化物、水酸化物又は硫酸塩、
を含有する添加剤混合物5〜40重量%とを含有している。
最終的に、上述のコンデンサ電極を有する非対称コンデンサも提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
〔発明の詳細な記述〕
次に、本発明の好ましい具体例に従って、本発明を更に詳細に説明する。
文脈が、特別な言葉又は必然的な言外の意味のために、そうでないことを必要としている場合を除き、あらゆる不確かさを回避するために、用語「…を含有する(comprise;…を有する;…を包含する)」、又は「…を含有する(comprises;…を有する;…を包含する)」若しくは「…を含有している(comprising;…を有している;…を包含している)」のような変化(variations)は、包含的意味(inclusive sense)で、即ち、規定される特徴の存在を特定するが、本発明の様々な具体例における更なる特徴の存在又は追加を排除しないように用いられている。
【0020】
一般的特徴
用語「鉛蓄電池」は、それの最も広い意味で使用され、1つ以上の蓄電池セルを有するあらゆるユニットを包含する。
記述される鉛蓄電池は、少なくとも1個の鉛ベース負極又は鉛ベース負領域と、少なくとも1個の二酸化鉛ベース正極又は二酸化鉛ベース正領域と、少なくとも1個のコンデンサ負極又はコンデンサ負領域とを有する。
下記に、これらの形式の電極の各々について記述し、次いで、電極領域の概念について記述する。
【0021】
電極の構造
電極は概して、集電体(current collector)(別名、グリッド又はプレートとしても知られている)であって、それに活性電極材料が施用されている集電体を有する。該活性電極材料は、ほとんど一般的には、ペースト形態で該集電体に施用され、本明細書においては、用語「ペースト(paste)」は、何らかの方法で該集電体に施用されるそのような活性材料含有組成物の全てに用いる。電極に関する文脈の中で用いられている用語「…ベース(based)」は、該活性電極材料を称するように意図されている。該電極が専ら該活性材料から形成されているということは事実ではないので、このことを示唆するのを回避するためにこの用語を用いる。この用語は更に、所定の電極の該活性材料が、具体的に記述されている該活性材料とは違った添加剤又は物質を含有することがあることを表わすように意図されている。
【0022】
鉛ベース電極及び二酸化鉛ベース電極
鉛ベース電極及び二酸化鉛ベース電極は、鉛蓄電池において使用するのに適切であれば如何なる配置のものでも、或いは如何なる種類のものでもよい。そのような電極は一般的に、(通常、鉛又は鉛合金から作られる)金属グリッドの上にペースト塗布される電気化学的に活性な材料(鉛又は二酸化鉛)を担持する該グリッドの形態をしている。ペースト塗布する作業工程は、当該分野では周知である。当該技術分野において知られている適切な鉛又は二酸化鉛であれば如何なるものをも使用することができるが、(オーストラリア特許出願AU2002952234号に基づく優先権が主張されている)同時係属出願PCT/AU2003/00140号明細書に開示されている鉛組成物を使用すれば好都合となる。該蓄電池を作る前、該活性材料は活性な形態でなくてもよい(即ち、該活性材料は金属の形態でなくてもよいし、二酸化物の形態でなくてもよい)ということに注目すべきである。このように、それらの用語は、該蓄電池が形成される時、鉛金属又は二酸化鉛に転化される他の形態を含む。
【0023】
コンデンサ電極
コンデンサ電極は、同様に、集電体と活性材料のコーティングとを有する。これは通常、ペーストとして施用される。
用語「コンデンサ(capacitor)」は、高表面積材料と電解質溶液との間の粒子/溶液界面の電気二重層の静電容量によってエネルギーを蓄える電極を称する電極に関連して用いる。
コンデンサに関し2つの主たる区分がある。第1の種類は、一方は正極、他方は負極のような2つの電極を有する「電気二重層コンデンサ(double-layer capacitors)」(別名、「対称コンデンサ(symmetric capacitors)」として知られている)である。第2の種類は、非対称コンデンサ(asymmetric capacitors)であり、それらは、ハイブリッドコンデンサ、「ウルトラコンデンサ(ultracapacitors)」及び「スーパーコンデンサ(supercapacitors)」とも呼ばれている。
【0024】
非対称コンデンサは、粒子/溶液界面全体の電気二重層によってエネルギーを蓄える第1の電極と、擬似静電容量によって(pseudocapacitively)エネルギーを蓄えるファラデー型電極又は蓄電池型電極である第2の電極とを有する。接頭語の「ウルトラ」及び「スーパー」は、非対称コンデンサを総称するのに用いられることもあれば、大貯蔵能力を有するようなコンデンサを称するのに用いられることもある。本出願書類において、接頭語「ウルトラ」は、ほとんど一般にこの第1の意味で用いるが、本発明の蓄電池のコンデンサ部分は大きい静電容量を有するのが好ましいので、時々、第2の意味で用いる。非対称コンデンサ部分は、ウルトラコンデンサの静電容量を有するのが好ましく、スーパーコンデンサの静電容量を有するのが更に好ましい。
【0025】
一般的に、前記の鉛電極及び二酸化鉛電極と同様、前記コンデンサ電極は、(通常、鉛合金から作られた)金属グリッドと、(通常、結合剤と共に)前記コンデンサ材料を含有するペースト塗布されたコーティングとを有している。該ペースト組成物を得るのに適した結合剤の例は、カルボキシメチルセルロース及びネオプレンである。
前記コンデンサ電極は、コンデンサとして使用するのに適した高表面積(又は高誘電率)材料を有するのが好都合である。そのような材料は、当該技術分野では周知である。これらのコンデンサ用高誘電率材料には、高表面積炭素、酸化ルテニウム、酸化銀、酸化コバルト及び導電性ポリマーが包含される。コンデンサ負極は、高表面積炭素材料を含有するのが好ましい。高表面積炭素材料の例は、活性炭素、カーボンブラック、非晶質炭素、カーボンナノ粒子、カーボンナノチューブ、炭素繊維、及びそれらの混合物である。
【0026】
複数の材料の混合物はしばしば、表面積(従って、静電容量)と電気伝導率との間の適切なバランスを得るために使用される。現行では、コスト的理由のために、活性炭が最も適切な供給源である。1つの適切な活性炭素材料は、1000〜2500m/g、好ましくは1000〜2000m/gの間の表面積を有するものである。この材料は、カーボンブラックのような導電性がいっそう大きい材料と組合せて適切に使用される。1つの適切なカーボンブラック材料は、60〜1000m/gの間の表面積を有する。これらの材料の、1つの適切な混合物は、カーボンブラック5〜20%と、活性炭40〜80%と、炭素繊維0〜10%と、及び5〜25%の間の濃度の残量の結合剤とを含有する。測定値は全て、別に規定されていなければ、重量による。
【0027】
コンデンサ電極の添加剤含有量
上述のように、前記の諸コンデンサ電極の1つの電位窓(potential window)又は電位作動範囲(potential operational range)の不釣合い(mismatch)があると、水素及び/又は酸素のガス発生が生じることがあるということが分かっている。1つの具体例によると、水素ガスの発生を抑制するために、前記コンデンサ負極は、鉛、亜鉛、カドミウム、銀及びビスマスの酸化物、水酸化物若しくは硫酸塩又はそれらの混合物を含有する添加剤又は添加剤混合物を含有する。該添加剤は、鉛若しくは亜鉛の、少なくとも1種の酸化物、水酸化物又は硫酸塩を含有することが、一般的に好ましい。便宜上、該添加剤は、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化銀及び酸化ビスマスから選ばれる1種以上の酸化物であるのが好都合である。前記コンデンサ負極の各々は、前記コンデンサ用高表面積材料の他に該添加剤を含有するのが好ましい。毒性の理由により、カドミウム化合物は好ましくなく、従って、該組成物は、鉛化合物及び/又は亜鉛化合物、及び任意的な銀化合物を含有するのが好ましい。コスト上の理由のために、酸化銀及び酸化ビスマスは通常、回避されるであろう。
【0028】
前記添加剤が添加される形態とは関係なく、コンデンサが前記電解質(例えば、硫酸)と接触する時、該添加剤は該電解質と反応し、従って、該添加剤は、元の金属酸化物、金属硫酸塩又は金属水酸化物から得られるもう1つの金属化合物に転化されることがある。主題の諸添加剤の酸化物、硫酸塩及び水酸化物についての言及は、それらの添加剤と該電解質との間の反応による諸生成物を包含するものと解釈されるべきである。同様に、蓄電池の充電状態又は放電状態の間、該添加剤が酸化還元反応によってもう1つの形態に転化される場合、前記の酸化物、硫酸塩及び水酸化物についての言及は、これらの添加剤の酸化還元反応による諸生成物を包含するものと解釈されるべきである。
【0029】
酸素のガス発生を抑制するために、前記コンデンサ正極は、
− (上述のような)コンデンサ用高表面積材料と、
− Pb(光明丹)と、
− アンチモンの酸化物、水酸化物又は硫酸塩と、
− 任意的な、鉄及び鉛の酸化物、水酸化物並びに硫酸塩から選ばれる1種以上の添加剤と、
を含有するのが好ましい。
【0030】
前記アンチモン化合物は、前記コンデンサ正極において(酸素)ガスの発生を抑制する上で有益である。しかし、該アンチモン化合物が前記コンデンサ負極に移動するならば、該アンチモン化合物は、該コンデンサ負極における(水素)ガス発生に悪影響を及ぼす。該コンデンサ正極に該アンチモン化合物を固定する作用剤の不存在下では、該アンチモン化合物が前記電解質と接触するとき、該アンチモン化合物は、該電解質中に溶解し、電流が流れる時、該負極に堆積することがある。該アンチモンを固定するか、又は該アンチモンが該負極に移動するのを防止するために、前記光明丹を用いる。鉛及び鉄の化合物(即ち、酸化物、硫酸塩又は水酸化物)もまた、この電極では有益であり、前記添加剤混合物中で用いることもできる。
【0031】
各々の場合において、前記添加剤は、水素及び酸素のガス発生を回避する量で用いる。これは通常、前記コンデンサ負極及び前記コンデンサ正極の電位窓を、典型的な±0.9V又は±1.0Vから、少なくとも±1.2V、好ましくは少なくとも±1.3Vまで増大させる量である。大まかに言えば、前記酸化物の全含有量は、(前記乾燥ペースと組成物中における、高表面積活性材料、結合剤及び他のあらゆる成分を含有する)前記全活性材料組成物を基準として、5〜40重量%の間であることがある。
【0032】
前記コンデンサ負極用添加剤は、Pb化合物1〜40重量%(より好ましくは1〜20重量%)と、Zn化合物1〜20重量%(より好ましくは1〜10重量%)と、Cd化合物0〜5重量%と、Ag化合物0〜5重量%とを含有するのが好ましい。その合計は、上述の5〜40重量%の範囲内であるのが好ましい。ZnO添加剤を単独で使用すれば、PbOを単独で使用した場合、又はPbOとZnOの混合物を使用した場合と同様に、優れた結果が提供される。
前記コンデンサ正極用添加剤は、酸化物(いずれかの酸化物)、硫酸塩又は水酸化物の形態のPb 0〜30重量%(好ましくは1〜30重量%)と、Pb1〜10重量%と、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態のFe 0〜2重量%(好ましくは1〜2重量%)と、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態のSb 0.05〜1重量%とを含有するのが好ましい。Sbは、酸化物として添加するのが好ましい。その合計は、上述の5〜40重量%の範囲内であるのが好ましい。
【0033】
コンデンサ電極の他の用途
前記の添加剤含有コンデンサ電極は、蓄電池部分を規定する如何なる蓄電池用正極及び蓄電池用負極の対をも用いることなく、蓄電池タイプ電極(鉛又は二酸化鉛)及び電解質と一緒に使用して、非対称コンデンサを形成することができる。新規な諸成分を含有するこの非対称コンデンサは、従来のやり方であるが、追加の如何なる電極デバイスをも使用することなく、外部で蓄電池に接続することができる。
【0034】
他の電極
前記蓄電池は、以下に更に詳細に記述されるように、上述の諸電極に加えて、又は上述の諸電極の代わりに、他のタイプの電極を有することができる。とりわけ、該蓄電池は、コンデンサ−蓄電池用正極のような、1個以上の混合されたコンデンサ−蓄電池用電極を有することができる。
(上述の)前記コンデンサ正極が酸化鉛を含有している状況において、この酸化鉛は、前記蓄電池が充電されている間、二酸化鉛に転化される。従って、該蓄電池の作動中、二酸化鉛に転化される鉛源を有している該コンデンサ電極は、コンデンサ電極と蓄電池電極との両方の幾つかの特性を有するコンデンサ−蓄電池用電極(capacitor-battery electrode)であると見なすことができる。
【0035】
[正極]対[負極]の表面積比のバランスを取る必要性に取り組むために、炭素のような高表面積材料を、幾つかの正極の中に組み入れることを試みることができる。如何なるコンデンサ正極も存在しない場合、高表面積コンデンサ負極は、正極に比べてより大きい、負極の全表面積を増大させる。表面積のバランスが取れていない場合、より小さい表面積の電極は機能停止となる。高表面積炭素を幾つかの正極の中に組み入れることにより、該正極の表面積をより大きくすることによって、該バランスは検討される。
【0036】
上述のことの結果として、前記蓄電池は、複数の正極及び複数の負極が交互に並んだ列であって、電解質がそれらの電極と接触しており、第1の導電体が該正極を直接に接続しており、第2の導電体が該負極を直接に接続しており、しかも、前記の隣接する正極及び負極の領域の少なくとも一対が(静電エネルギーを蓄えることによって)コンデンサを形成しており、且つ、前記の隣接する正極及び負極の領域の少なくとも一対が(2個の電極の対の間に、電気化学的電位としてエネルギーを蓄えることによって)蓄電池を形成している、上記列を有することができることを、当業者はよく理解するであろう。
【0037】
領域
本発明の前記諸電極は、複合電極である場合がある(即ち、それらの電極は、蓄電池用電極材料とコンデンサ用電極材料と複合材料である場合がある)。「鉛ベース」電極、「二酸化鉛ベース」電極及び「コンデンサ」電極への言及は、単一電極が他の異なるタイプの領域を有しているか否かとは関係なく、特定機能を有する電極領域を包含する。
【0038】
本発明の1つの具体例によると、異なるタイプの領域を有する複数の電極を、慎重に熟慮して用いる。この具体例によると、複数の負極の1個以上は、蓄電池電極材料領域とコンデンサ電極材料領域とを含む、少なくとも2つの領域を有する。1つの例として、2つの領域を有する該電極は、蓄電池電極材料(例えば、鉛)でペースト塗布された1つの表面と、コンデンサ負極材料でペースト塗布された背中合わせの表面とを有する電極集電体であって、上述のタイプのものである場合もある電極集電体を有している。もう1つの方法として、両側面に蓄電池電極材料を有する蓄電池タイプ電極の1つの表面又はいずれか他の領域を、コンデンサ電極材料で被覆することができる。
【0039】
他の蓄電池電極タイプ
水素ガスの発生を回避するために前記コンデンサ電極が添加剤と一緒に炭素を含有している、本発明の前記実施態様によると、前記の複数の蓄電池電極は、鉛蓄電池用鉛電極以外のタイプのものである場合がある。本具体例の蓄電池のタイプは、再充電可能なニッケル蓄電池、再充電可能なリチウム金属蓄電池又は再充電可能なリチウムイオン蓄電池、等である。この場合の適切な蓄電池タイプ正極材料には、酸化ニッケルと、酸化銀と、酸化マンガンと、リチウムポリマー材料と、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物及びリチウムバナジウム酸化物を包含する混合リチウム酸化物と、リチウム・導電性ポリマーカソード材料とが包含される。この場合の適切な蓄電池タイプ負極材料には、亜鉛と、カドミウムと、金属水素化物と、金属又は合金の形態のリチウムであって、アルミニウムのような他の金属を含有するリチウムと、リチウムイオン層間材料(lithium ion intercalation materials)とが包含される。本発明の技術分野における様々な刊行物から、様々なタイプの蓄電池で使用されるこれらの電極材料の詳細と該電極材料の代替品とを集めることができる。
【0040】
物理的形状(Physical configuration)
前記の諸電極は、適切な形状であれば如何なるものでもよく、従って、角柱状セル又は渦巻き状セルを形成するために、平板形状であってもよく又は渦巻き板の形状であってもよい。構造を単純化するためには、平板が好ましい。
【0041】
電解質
鉛蓄電池の場合、適切な酸電解質であれば如何なるものも使用することができる。該電解質は、例えば、液体又はゲルの形態であってもよい。硫酸電解質が好ましい。
他のタイプの蓄電池の場合、前記電解質は、カリウム及び他の水酸化物のようなアルカリ、リチウムイオン含有有機溶媒、ポリマー電解質、液体状態若しくは固体状態のイオン液体電解質(ionic liquid electrolytes)等を包含する水性電解質又は有機電解質であることがある。当業者は通常、選ばれた蓄電池用の正極材料及び負極材料のための適切な電解質を選定することができる。
【0042】
母線又は導電体
前記鉛蓄電池の母線は、適切な構造であれば如何なるものでもよく、また、当該技術分野で知られている適切な導電性材料であれば如何なるものから作成してもよい。該母線に関する文脈で用いられている用語「…に接続されて(connected to)」は、電気的接続をいう。とは言え、直接的な物理的接触が好ましい。該蓄電池が、母線を有する典型的な鉛蓄電池の構造のものではない場合、該蓄電池のための外部の回路部品を含まない導電体であれば如何なるものをも使用することができる。
【0043】
蓄電池の他の特徴
前記蓄電池の諸構成部品は通常、使用されるタイプの蓄電池に適合した更なる特徴を有する蓄電池ケースの内部に収納される。例えば、鉛蓄電池の場合、該鉛蓄電池は、満液式電解質設計(flooded-electrolyte design)のもの、又は弁調節式設計(valve-regulated design)のものであってもよい。該鉛蓄電池が弁調節式鉛蓄電池である場合、該蓄電池は、適切な設計であれば如何なる設計のものでもよく、例えば、ゲル電解質を含有してもよい。そのような設計に適した蓄電池ユニットの具体的な特徴は、本発明の技術分野では周知である。
前記鉛蓄電池に加わり得る圧力は、満液式電解質設計では5〜20kPaの範囲であることがあり、弁調節式鉛蓄電池設計では20〜80kPaの範囲であることがある。
【0044】
セパレータ
前記正極及び前記負極の各々は通常、多孔質セパレータによって隣接する電極から分離されている。
前記セパレータは、隣接する電極の間に適切な分離距離を保持する。直接に隣接する鉛ベース負極及び二酸化鉛ベース正極の間に配置されるセパレータは、例えば、多孔質ポリマー材料又は吸収性ガラスマイクロファイバー(absorptive glass microfibre)(AGM)のような、当該技術分野で一般に使用されている適切な多孔質材料であれば如何なるものから作ってもよい。(セパレータの厚さに対応する)該分離距離は通常、これらのセパレータでは1〜2.5mmである。前記蓄電池部分を形成する前記正極と前記負極との間のセパレータを形成するのに有用な適切なポリマー材料は、ポリエチレン及びAGM(吸収性ガラスマイクロファイバー)である。ポリエチレンセパレータは、1〜1.5mmの厚さであるのが適切であるのに対して、AGMセパレータは、1.2〜2.5mmの厚さであるのが適切である。
【0045】
前記正極と前記コンデンサ負極との間に配置されるセパレータの場合、これらのセパレータは、前記鉛蓄電池の蓄電池部分のセパレータよりも遥かに薄いのが適切である。該セパレータは、0.01〜0.1mmの厚さ、最も好ましくは0.03〜0.07mmの厚さであるのが好都合である。これらのセパレータは、微孔質ポリプロピレンのような微孔質ポリマー材料から作るのが適切である。他のセパレータは、吸収性ガラスマイクロファイバー(AGM)であり、このタイプのセパレータの厚さは、0.1〜1mmの間であり、好ましくは0.1〜0.5mmの間である。
【0046】
鉛蓄電池の形成
蓄電池ケースの中で前記の適切な諸構成部品を組立てた後、一般的には、前記鉛蓄電池を形成する必要がある。その形成作業工程は当該分野では周知である。「鉛ベース」材料及び「二酸化鉛ベース」材料への言及は、鉛それ自体若しくは二酸化鉛それ自体;それの金属/金属二酸化物を含有する材料;又は、場合によっては、与えられた電極において、鉛又は二酸化鉛に転化される材料;をいうのに用いられると理解すべきである。
上記で用いた用語によって示されるように、前記鉛蓄電池は、各々のタイプの電極の少なくとも1個を備えている。該蓄電池中の(負極板及び正極板で構成されている)個々のセル(cells)の数は、各々の蓄電池の所望の電圧によって決まる。(42ボルトまで充電することのできる)マイルドハイブリッド電気自動車用蓄電池として使用するのに適した36ボルト蓄電池に関し、この蓄電池は、18個のセルを使用することを含むであろう。
【0047】
電極の配置
1つの具体例による最良の作業工程として、前記の正極及び負極は、各々の正極がそれの片側に1個の鉛ベース負極を有し、且つ、それの反対側に1個のコンデンサ負極を有するように、交互に配置される。従って、1つの具体例の電極配置は、交互に並んだ正極及び負極を有し、それら負極は、1つおきに、鉛ベース電極及びコンデンサ負極となる。それら負極(鉛及び炭素)は全て前記負極用母線に接続され、それら正極は前記正極用母線に接続されるので、各々の蓄電池セル及びウルトラコンデンサセルは、共通の鉛蓄電池において、並列に接続される。
【0048】
作動
上記に説明されるように、記述された前記鉛蓄電池の配置におけるウルトラコンデンサセル(ultracapacitor cell)は、該鉛蓄電池に比べて、より小さい内部抵抗を有しており、従って、該ウルトラコンデンサセルは、(発生制動(generative braking)のための)高率充電又は(車両の加速及びエンジンのクランキング(cranking)のための)高率放電が行われる間、先ず、開放充電(release charge)を吸収する。結果的に、該非対称コンデンサセルは、該鉛蓄電池の高率作動を分担して、該鉛蓄電池に著しく長い寿命を提供する。更に具体的に言えば、通常、該鉛蓄電池の高電流による充電及び放電が行われる間に起こる、該鉛蓄電池のセル電極(cell electrodes)の表面での硫酸鉛の形成は、最小限に抑えられる。なぜなら、その高電流による充電及び放電は通常、該非対称コンデンサによって行われるからである。
【0049】
本発明の1つの具体例の各々の蓄電池セルは、2ボルトの電圧を提供する。電気自動車の蓄電池用途の広範囲において使用するのに適した、1つの具体例の鉛蓄電池は、8個の負極と9個の正極とを有しており、それらの負極のうち4個は鉛ベース負極であり、他の4個はコンデンサ電極であり、交互に配置されている。諸電極のこの配置及び相対数の変形(variations)もまた、各々の電極の一方の最小の数が存在するという条件で、適切である。
【実施例1】
【0050】
図1及び図2に概略的に例示される配列で、試験を行う目的に適した、本発明の1つの具体例の鉛蓄電池を作った。
蓄電池ケース4の中に、図1に例示されるような互い違いの配列で、2個のスポンジ鉛(負極板)電極1と、2個の二酸化鉛正極板電極2と、1個の高表面積炭素負極板3とを配置した。二酸化鉛正極2及び鉛負極1は、幅40mm×高さ68mm×厚さ3.3mmであった。炭素電極3は、幅40mm×高さ68mm×厚さ1.4mmであった。それらの蓄電池電極は、鉛蓄電池として標準的な相対的配置(configuration)及び組成のものであり、上記の詳細な記述に記述される方法によって作った。この実施例で用いる鉛電極形成技術は、本出願人の同時係属出願PCT/AU2003/001404号にいっそう完全に記述されている。その出願明細書の全内容は、言及することによって組み入れる。要約すれば、鉛負極を得るためのペースト組成物は、酸化鉛(1kg)、繊維(0.6kg)、BaSO(4.93kg)、カーボンブラック(0.26kg)、HSO(相対密度1.400)57cm、水110cmを含有し、[酸]対[酸化物]比は4%であり、ペーストの密度は4.7g/cmであった。二酸化鉛正極を得るためのペースト組成物は、酸化鉛(1kg)、繊維(0.3kg)、HSO(相対密度1.400)57cm、水130cmを含有し、[酸]対[酸化物]比は4%であり、ペーストの密度は4.5g/cmであった。該酸化鉛は、本出願人の同時係属出願明細書に記述される前記形成技術によって、二酸化鉛と鉛とに転化された。
【0051】
60m/gの比表面積を有するカーボンブラック(電気化学社、日本)20重量%と、カルボキシメチルセルロース7.5重量%と、ネオプレン7.5重量%と、2000m/gの比表面積を有する活性炭(クラレケミカル社、日本)65重量%とから、コンデンサ電極3を作った。
隣接する前記の諸電極の間にセパレータ(5,6)を配置した。二酸化鉛電極2と鉛電極1との間に、厚さ2mmの吸収性ガラスマイクロファイバー(absorptive glass microfibre)(AGM)のセパレータ5を配置し、また、正極2と炭素電極3との間に、厚さ0.05mmの微孔性ポリプロピレンのセパレータ6を差し込んだ。
【0052】
蓄電池ケース4は、硫酸溶液7で充填した。前記複数の正極は正極用母線8に接続し、前記複数の負極は負極用母線9に接続した。下記に述べるように、比較を行う目的で、ウルトラコンデンサセル(ultracapacitor cell)の成分を全く有していない蓄電池のシミュレーションを行うため、前記コンデンサ負極板は、該負極用母線から接続を断つことができた。
【0053】
試験を行う目的で、充電及び放電のプロフィルを創り出して、マイルドハイブリッド電気自動車用途で典型的に使用される42ボルトマイルドハイブリッド電気自動車用蓄電池に関する典型的な充電及び放電に要求される物をシミュレートした。そのプロフィルは、短期間(2.35分)を有し、自動車が作動する間の該蓄電池の電源条件をシミュレートする幾つかの電流ステップ(current steps)で構成されている。これらは、順に
(a)60秒間に渡る2Aの放電を含むアイドリングストップセクション(idle stop section);
(b)0.5秒間続き、クランキング(cranking)をシミュレートする、17.5Aの高電流放電;
(c)0.5秒間の8.5A電力補助放電;
(d)標準的駆動条件の間の該蓄電池の充電をシミュレートする、14ボルト/最大2Aで70秒間の長期エンジン充電セクション;
(e)5秒間の停止期間;及び
(f)5秒間続く、再生充電(回生制動)に関連する14ボルト/最大2Aの期間;
である。
重要な段階は、前記電池が17.5Aの電流を0.5秒間流さなければならない前記クランキング期間である。
【0054】
試験
本実施例の蓄電池の寿命の試験を行うため、2つの同一の蓄電池を作った。一方は、その後、負極用母線から炭素コンデンサ負極の接続を断つように改造して、ウルトラコンデンサの完全な特徴は有さない同等の蓄電池に相当するようにした。その蓄電池は、以下、「比較蓄電池」と呼ぶ。
各々の蓄電池に対し、図3に例示され上述されるようなプロフィルの繰り返しサイクルを行った。本発明の分野における蓄電池のための一般的カットオフ電圧(cut-off voltage)値である、1.6Vのカットオフ電圧を設定した。次いで、それらの蓄電池に対し、放電の間の最低電圧が該カットオフ電圧値に到達するまで、充電サイクルによる繰り返しサイクリングを行った。
【0055】
前記試験の結果を、図4に説明する。この図において、線10は、前記比較蓄電池の内部抵抗のプロフィルであり、線11は、実施例1の蓄電池の内部抵抗のプロフィルであり、線12は、該比較蓄電池の最小放電電圧のプロフィルであり、また、線13は、実施例1の蓄電池の最小放電電圧のプロフィルである。
【0056】
サイクリングの間、次の観察を行った:
(i) 前記比較蓄電池及び実施例1の蓄電池の最大充電電圧は、線14によって表わされるように、2.35ボルトに維持されている。
(ii) 両蓄電池の内部抵抗は、サイクリングと共に増大している。それにもかかわらず、例えば、該比較蓄電池の19mΩから25mΩまで、また、実施例1の蓄電池の18mΩから25mΩまで、該比較蓄電池の内部抵抗は、実施例1の蓄電池の内部抵抗よりも速く増大している。
(iii) 該比較蓄電池及び実施例1の蓄電池の最小放電電圧は、サイクリングと共に低下しているが、その低下率は、該比較蓄電池がいっそう速い。
【0057】
前記比較蓄電池及び実施例1の蓄電池の各々の最小放電電圧が、(線15によって表わされる)1.6ボルトのカットオフ値に到達する前、該比較蓄電池が約2150サイクルを実現しているに対し、実施例1の蓄電池は8940サイクルを実現している。従って、実施例1の蓄電池のサイクリング性能は、該比較蓄電池のサイクリング性能よりも少なくとも4倍優れている。
【実施例2】
【0058】
図5及び図6に、実施例1の蓄電池の1つの変形を例示する。比較が容易となるよう、それら2つの蓄電池の共通の特徴に言及するのに、同一番号を用いる。
【0059】
この実施例の具体例は、3個の二酸化鉛正極板電極2と、2個の複合負極16とを有している。それらの複合負極は、該複合負極の1つの領域(表面)18に施用されている上述の鉛含有ペースト組成物、及び、対面19に施用されている高表面積炭素コンデンサ電極材料含有ペーストと一緒に、集電体(current collector)又はグリッド17を有している。該電極の形成は、当該技術分野において知られている方法で行う。作るのがいっそう簡単である、本具体例の1つの変形において、鉛ベース負極は、本体セクションを鉛ペースト材料に浸漬する従来の浸漬技術によって、鉛をペースト塗布して作り、次いで、形成し、次いで、この鉛ベース負極の1つ以上の領域(例えば、該鉛ベース負極の1つの表面)に該コンデンサ材料をペースト塗布する。正極2及び複合負極16は、蓄電池ケース4の中に、図5に例示するように交互に並んだ配列で配置されている。
【0060】
図5に例示する前記具体例の二酸化鉛正極2及び複合負極16は、幅40mm×高さ68mm×厚さ3.3mmである。該負極の炭素電極領域19は、該負極の厚さの1.4mmを占める。
隣接するそれら電極の間にセパレータ(5,6)が配置されている。二酸化鉛電極2と前記負極の鉛表面18との間に、厚さ2mmの吸収性ガラスマイクロファイバー(AGM)のセパレータ5が配置されており、また、正極2と該負極の炭素表面19との間に、厚さ0.05mmの微孔性ポリプロピレンのセパレータ6が差し込まれている。
蓄電池ケース4は、硫酸溶液7で充填されている。前記複数の正極は正極用母線8に接続され、前記複数の負極は負極用母線9に接続されている。
【実施例3】
【0061】
実施例1の蓄電池に関する更なる試験によって、電解質のドライアウト(dry-out)に関する改善は、蓄電池を充電する間の炭素電極3の水素発生速度を、鉛負極1の水素発生速度に類似するように合わせることによって達成することができることが分かった。これは、実施例1の炭素電極を、前記ペースト組成物中にPbO 2.5重量%、ZnO 2.5重量%、活性炭素65重量%、カーボンブラック20重量%及び結合剤(10重量%)を含有する修飾炭素電極(modified carbon electrode)103に取り替えることによって達成された。
【0062】
この電極の水素発生速度を試験して、実施例1で用いた電極と比較するだけでなく、実施例1の鉛負極の水素発生速度をも試験した。図7にその結果を示す。図7において、曲線20は前記炭素電極の水素発生速度を表わし、曲線21は前記鉛−酸負極板の水素発生速度を表わし、また、曲線22は前記の炭素+諸添加剤の電極の水素発生速度を表わす。酸化物添加剤を全く含有しない前記炭素電極について記録されたいっそう高い電流密度のレベルは、−1.2Vより低い電位で著しく上昇し、−1.3Vより低い電位ではなおさら著しく上昇する。それら2つの電極の水素発生速度がいっそうよく類似するように合わせることによって、前記蓄電池は、電解質のドライアウトに起因する早すぎる時期の機能停止を引き起こすことなく、いっそう高い電位で作動することができる。
【0063】
酸化物CdOを含有させれば、ZnO及びPbOに類似する効果が得られるが、毒性の理由のために、前記試験では使用しなかった。AgOは類似効果を有するが、高価な添加剤であり、それ自体で効果的という訳ではない。他の複数の試験において、ZnO及びPbOの濃度は、それぞれ、1〜10%及び1〜20%の範囲内で変化させ、AgOは1〜5%の間で変化させた。上記の詳細な記述で述べた他の諸酸化物は、AgOに対して類似の影響を与える。
【実施例4】
【0064】
図8に、実施例1の蓄電池の更なる変形を例示する。比較が容易となるように、それら2つの蓄電池の共通の特徴に言及するのに同一番号を用いる。加えて、単純にするため、蓄電池の諸電極のみを例示する。該蓄電池が、当該技術において共通する蓄電池の、複数のセパレータとケースと電解質と複数の母線と端子と他の特徴とを更に有することは、理解されるであろう。
【0065】
本実施例の蓄電池は、正極及び負極が交互に並んだ列を有している。それらの電極は、左から右へ順に、二酸化鉛蓄電池正極2;鉛ベース蓄電池負極3;第2の二酸化鉛蓄電池正極2;実施例3に記述されるタイプの、炭素及び添加剤のコンデンサ負極103;以下に更に記述されるようなコンデンサ−蓄電池正極23;実施例3に記述されるタイプの、炭素及び添加剤の第2のコンデンサ負極103;第2の鉛ベース蓄電池負極3;並びに、第3の二酸化鉛蓄電池正極2;である。それらの正極及び負極の各々はそれぞれ、正極導電材(positive conductor)及び負極導電材、並びに、該蓄電池の正極端子及び負極端子 (positive and negative terminals)に接続されている。
【0066】
コンデンサ−蓄電池電極23は、金属製集電体を有しており、該集電体の上に、活性炭素(60重量%)とカーボンブラック(20重量%)と酸化鉛10重量%との混合物がペースト塗布されている。該ペースト組成物は、結合剤10重量%[カルボキシメチルセルロース5重量%及びネオプレン5重量%]を用いて形成され、次いで、該集電体の上に焼結される。該電極は、約0.8mmの厚さである。ガス発生試験において、このコンデンサ正極の中にSbO及び光明丹を含有させれば、ガス発生に好都合な影響を与えることが分かった。従って、これらの添加剤は、該コンデンサ正極中に更に含有させることができる。
【0067】
本実施例の蓄電池は、いずれかのタイプの、互い違いの更なる正極及び負極を有することができる。一般に、該正極及び該負極の全体の表面積と水素発生速度とをある程度確実に調和させ、且つ、所望の電圧を有する蓄電池を提供するための、正極及び負極の必要数量を有することが望ましい。
このように、上述の諸具体例及び諸実施例に対して、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの部分的修正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の1つの具体例による鉛蓄電池の概略的側面図である。
【図2】図1の鉛蓄電池の概略的平面図である。
【図3】図1及び図2の具体例の鉛蓄電池について行った試験の、単一サイクルの電流プロフィルを示すグラフである。
【図4】比較蓄電池に対する、図1及び図2の蓄電池のサイクル性能を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の具体例による鉛蓄電池の概略的側面図である。
【図6】図5の鉛蓄電池の複数の負極のうちの1個の概略的側面図である。
【図7】標準炭素電極及び標準鉛ベース負極と比較した、本発明の第4の具体例のコンデンサ負極の水素発生速度を示すグラフである。
【図8】本発明の第3の具体例による蓄電池の電極配置を示す概略的側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 少なくとも1個の鉛ベース負極と、
− 少なくとも1個の二酸化鉛ベース正極と、
− 少なくとも1個のコンデンサ電極と、
− 前記の諸電極と接触している電解質と
を有する鉛蓄電池であって、
蓄電池部分は、前記鉛ベース負極と前記二酸化鉛ベース正極とによって形成されており;非対称コンデンサ部分は、前記コンデンサ電極と、該鉛ベース負極及び該二酸化鉛ベース正極から選ばれた一方の電極とによって形成されており;しかも、全ての負極は負極用母線に接続されており、全ての正極は正極用母線に接続されている、鉛蓄電池。
【請求項2】
前記の諸電極は、正極と負極とが交互に並んでいる、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項3】
前記コンデンサ電極は、炭素、酸化ルテニウム、酸化銀、酸化コバルト及び導電性ポリマーから選ばれた高表面積材料を有している、請求項1又は2に記載の鉛蓄電池。
【請求項4】
前記高表面積材料は、高表面積炭素材料である、請求項3に記載の鉛蓄電池。
【請求項5】
前記高表面積材料は、活性炭である、請求項4に記載の鉛蓄電池。
【請求項6】
前記活性炭材料は、1000〜2500m/gの表面積を有している、請求項5に記載の鉛蓄電池。
【請求項7】
前記コンデンサ電極は、カーボンブラックを更に含有している、請求項4〜6のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項8】
前記コンデンサ電極は、カーボンブラック5〜20%と、活性炭40〜80%と、炭素繊維0〜10%と、結合剤5〜25%とを含有するコーティングを有している、請求項7に記載の鉛蓄電池。
【請求項9】
前記鉛蓄電池は、高表面積の活性材料と、鉛、亜鉛、カドミウム、銀及びビスマスの酸化物、水酸化物若しくは硫酸塩又はそれらの混合物を含有する添加剤又は添加剤混合物とを含有する少なくとも1個のコンデンサ負極を有している、請求項1〜8のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項10】
前記添加剤は、鉛若しくは亜鉛の、少なくとも1種の酸化物、水酸化物又は硫酸塩を含有している、請求項9に記載の鉛蓄電池。
【請求項11】
前記添加剤は、前記コンデンサ負極上のコーティングの中に、該コンデンサ負極の電位窓を少なくとも−1.2Vまで増加させる量で存在している、請求項9又は10に記載の鉛蓄電池。
【請求項12】
前記添加剤の全含有量は、前記コンデンサの全コーティング組成物を基準として5〜40重量%の間である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項13】
前記コンデンサ負極用添加剤は、次の諸金属:Pb 1〜40重量%、Zn 1〜20重量%、Cd 0〜5重量%及びAg 0〜5重量%の化合物を、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態で含有している、請求項9〜12のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項14】
前記鉛蓄電池は、
高表面積のコンデンサ材料と、
− Pb
− アンチモンの酸化物、水酸化物又は硫酸塩、並びに
− 任意的に、鉄及び鉛の酸化物、水酸化物及び硫酸塩から選ばれている1種以上の添加剤、
を含有するコンデンサ正極用添加剤と
を含有する少なくとも1個のコンデンサ正極を有している、請求項1〜13のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項15】
前記コンデンサ正極用添加剤は、前記コンデンサ正極の電位窓を少なくとも+1.2Vまで上昇させる量で存在している、請求項14に記載の鉛蓄電池。
【請求項16】
前記コンデンサ正極用添加剤は、前記コンデンサ正極のコーティングの全組成物を基準として5〜40重量%の量で存在している、請求項14又は15に記載の鉛蓄電池。
【請求項17】
前記コンデンサ正極用添加剤は、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態の鉛 0〜30重量%と、Pb1〜10重量%と、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態のFe 0〜2重量%と、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態のSb 0.05〜1重量%とを含有している、請求項14又は15に記載の鉛蓄電池。
【請求項18】
前記鉛蓄電池は、蓄電池用電極材料領域とコンデンサ用電極材料領域とを含む少なくとも2つの領域を有する負極を有している、請求項1〜17のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項19】
前記負極は、1つの表面上の蓄電池用鉛ベース電極材料領域と、その反対側の表面上のコンデンサ負極材料領域とを有している、請求項18に記載の鉛蓄電池。
【請求項20】
前記非対称コンデンサ部分は、ウルトラコンデンサの静電容量を有している、請求項1〜19のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項21】
前記非対称コンデンサ部分は、スーパーコンデンサの静電容量を有している、請求項1〜20のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項22】
前記電解質は硫酸である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項23】
前記の正極及び負極の各々は、多孔質セパレータによって隣接する電極から分離されている、請求項1〜22のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項24】
隣接する鉛ベース負極と二酸化鉛ベース正極との間に配置されている前記セパレータは、1〜2.5mmの間の厚さを有している、請求項23に記載の鉛蓄電池。
【請求項25】
コンデンサ電極表面と接触した状態で配置されている前記セパレータは、0.01〜0.1の間の厚さを有している、請求項23又は24に記載の鉛蓄電池。
【請求項26】
− 少なくとも1個の鉛ベース負極と、
− 少なくとも1個の二酸化鉛ベース正極と、
− 少なくとも1個のコンデンサ負極と、
− 前記の諸電極と接触している電解質と
を有する鉛蓄電池であって、
該正極及び該鉛ベース負極は蓄電池部分を規定しており、該正極及び該コンデンサ負極は非対称コンデンサ部分を規定しており、該正極は該蓄電池部分と該非対称コンデンサ部分とによって共用されており、しかも、該鉛ベース負極及び該コンデンサ負極は負極用母線に接続されており、1個以上の該正極は正極用母線に接続されている、鉛蓄電池。
【請求項27】
前記の諸電極は、正極と負極とが交互に並んでいる、請求項26に記載の鉛蓄電池。
【請求項28】
前記コンデンサ電極は、高表面積炭素材料を有している、請求項26又は27に記載の鉛蓄電池。
【請求項29】
前記コンデンサ負極は、高表面積活性材料と、鉛、亜鉛、カドミウム、銀及びビスマスの酸化物、水酸化物若しくは硫酸塩又はそれらの混合物を含有する添加剤又は添加剤混合物とを含有している、請求項26〜28のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項30】
前記添加剤は、鉛若しくは亜鉛の、少なくとも1種の酸化物、水酸化物又は硫酸塩を含有している、請求項29に記載の鉛蓄電池。
【請求項31】
前記添加剤は、前記コンデンサ負極の電位窓を少なくとも−1.2Vまで増加させる量で、該コンデンサ負極上のコーティングの中に存在している、請求項29又は30に記載の鉛蓄電池。
【請求項32】
前記添加剤の全含有量は、前記コンデンサの全コーティング組成物を基準として5〜40重量%の間である、請求項29〜31のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項33】
前記コンデンサ負極用添加剤は、次の諸金属:Pb 1〜40重量%、Zn 1〜20重量%、Cd 0〜5重量%及びAg 0〜5重量%の化合物を、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態で含有している、請求項29〜32のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項34】
前記鉛蓄電池は、
高表面積のコンデンサ材料と、
− Pb
− アンチモンの酸化物、水酸化物又は硫酸塩、並びに
− 任意的な、鉄及び鉛の酸化物、水酸化物及び硫酸塩から選ばれる1種以上の添加剤、
を含有するコンデンサ正極用添加剤と
を含有する少なくとも1個のコンデンサ正極を有している、請求項26〜33のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項35】
前記コンデンサ正極用添加剤は、5〜40重量%の量で存在している、請求項34に記載の鉛蓄電池。
【請求項36】
前記コンデンサ正極用添加剤は、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態の鉛 0〜30重量%と、Pb1〜10重量%と、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態のFe 0〜2重量%と、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態のSb 0.05〜1重量%とを含有している、請求項34又は35に記載の鉛蓄電池。
【請求項37】
前記鉛蓄電池は、蓄電池電極材料領域とコンデンサ電極材料領域とを含む少なくとも2つの領域を有する負極を有している、先行する請求項のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項38】
前記負極は、1つの表面上の蓄電池用鉛ベース電極材料領域と、その反対側の表面上のコンデンサ用負極材料領域とを有している、請求項37に記載の鉛蓄電池。
【請求項39】
前記非対称コンデンサ部分は、ウルトラコンデンサの静電容量を有している、請求項26〜38のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項40】
前記非対称コンデンサ部分は、スーパーコンデンサの静電容量を有している、請求項26〜39のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項41】
前記電解質は硫酸である、請求項26〜40のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項42】
前記の正極及び負極の各々は、多孔質セパレータによって隣接する電極から分離されている、請求項26〜41のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項43】
隣接する鉛ベース負極と二酸化鉛ベース正極との間に配置されている前記セパレータは、1〜2.5mmの間の厚さを有している、請求項42に記載の鉛蓄電池。
【請求項44】
コンデンサ電極表面と接触した状態で配置されている前記セパレータは、0.01〜0.1の間の厚さを有している、請求項42又は43に記載の鉛蓄電池。
【請求項45】
正極及び負極が交互に並んだ列と、それらの電極と接触している電解質とを有する鉛蓄電池であって、
− 少なくとも一対の隣接する正極及び負極の領域は、エネルギーを静電容量として貯蔵し、且つ、
− 少なくとも一対の隣接する蓄電池用二酸化鉛正極及び蓄電池用鉛負極の領域は、エネルギーを電気化学的に貯蔵し、
しかも、前記の諸正極は第1の導電体によって直接に接続されており、前記の諸負極は第2の導電体によって直接に接続されている、鉛蓄電池。
【請求項46】
前記の正極及び負極の領域の一方は、コンデンサ電極領域である、請求項45に記載の鉛蓄電池。
【請求項47】
前記コンデンサ電極領域は、高表面積炭素材料を含有している、請求項46に記載の鉛蓄電池。
【請求項48】
前記コンデンサ電極領域は、コンデンサ負極領域であって、高表面積炭素材料と、鉛、亜鉛、カドミウム、銀及びビスマスの酸化物、水酸化物若しくは硫酸塩又はそれらの混合物を含有する添加剤又は添加剤混合物とを含有している、請求項47に記載の鉛蓄電池。
【請求項49】
前記添加剤は、鉛若しくは亜鉛の、少なくとも1種の酸化物、水酸化物又は硫酸塩を含有している、請求項48に記載の鉛蓄電池。
【請求項50】
前記添加剤の全含有量は、5〜40重量%の間である、請求項48又は49に記載の鉛蓄電池。
【請求項51】
前記コンデンサ負極用添加剤は、次の諸金属:Pb 1〜40重量%、Zn 1〜20重量%、Cd 0〜5重量%及びAg 0〜5重量%の化合物を、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態で含有している、請求項47〜50のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項52】
前記コンデンサ電極領域は、コンデンサ正極領域であって、
高表面積のコンデンサ材料と、
− Pb
− アンチモンの酸化物、水酸化物又は硫酸塩、並びに
− 任意的な、鉄及び鉛の酸化物、水酸化物及び硫酸塩から選ばれている1種以上の添加剤、
を含有するコンデンサ正極用添加剤と
を含有している、請求項47に記載の鉛蓄電池。
【請求項53】
前記コンデンサ正極用添加剤は、5〜40重量%の量で存在している、請求項52に記載の鉛蓄電池。
【請求項54】
前記コンデンサ正極用添加剤は、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態の鉛 0〜30重量%と、Pb1〜10重量%と、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態のFe 0〜2重量%と、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態のSb 0.05〜1重量%とを含有している、請求項52又は53に記載の鉛蓄電池。
【請求項55】
前記蓄電池用鉛負極領域は、負極の1つの表面上にあり、コンデンサ負極材料領域は、該負極の反対側の表面上にある、請求項45〜54のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項56】
前記電解質は硫酸である、請求項45〜55のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項57】
前記の正極及び負極の各々は、多孔質セパレータによって隣接する電極から分離されている、請求項45〜56のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
【請求項58】
隣接する鉛ベース負極領域と二酸化鉛ベース正極領域との間に配置されている前記セパレータは、1〜2.5mmの間の厚さを有している、請求項57に記載の鉛蓄電池。
【請求項59】
コンデンサ電極表面と接触した状態で配置されている前記セパレータは、0.01〜0.1の間の厚さを有している、請求項57又は58に記載の鉛蓄電池。
【請求項60】
ハイブリッドの蓄電池−コンデンサにおいて、
− 少なくとも1個の蓄電池タイプ正極と、
− 少なくとも1個の蓄電池タイプ負極と、
− コンデンサ負極及びコンデンサ正極から選ばれている少なくとも1個のコンデンサタイプ電極であって、該コンデンサ負極は、コンデンサ用高表面積材料と、鉛、亜鉛、カドミウム、銀及びビスマスの酸化物、水酸化物又は硫酸塩から選ばれている1種以上の添加剤とを含有しており、しかも、該コンデンサ正極は、
− コンデンサ用高表面積材料、
− Pb
− アンチモンの酸化物、水酸化物又は硫酸塩、並びに、
− 任意的な、鉄及び鉛の酸化物、水酸化物及び硫酸塩から選ばれている1種以上の添加剤、
を含有している該コンデンサタイプ電極と、
− 前記諸電極と接触している電解質と、
を有するハイブリッド蓄電池−コンデンサであって、
蓄電池部分が、前記蓄電池タイプ正極と前記蓄電池タイプ負極との間に形成されており、非対称コンデンサ部分が、前記コンデンサ電極と、前記の諸蓄電池タイプ電極の一方との間に形成されており;しかも、前記の諸蓄電池タイプ電極の一方は、前記蓄電池部分と前記非対称コンデンサ部分とによって共用されており;しかも、前記の諸負極は第1の導電体に直接電気的に接続されており、前記の諸正極は第2の導電体に直接電気的に接続されている、上記ハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項61】
前記蓄電池タイプ正極は、二酸化鉛と、酸化ニッケルと、酸化銀と、酸化マンガンと、リチウムポリマー材料と、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物及びリチウムバナジウム酸化物を包含する混合リチウム酸化物とから選ばれている電極材料;並びにリチウム導電性ポリマーカソード材料;を含有している、請求項60に記載のハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項62】
前記蓄電池タイプ負極は、金属形態又は合金形態の、鉛、亜鉛、カドミウム、金属水素化物、リチウムから選ばれている電極材料を、アルミニウム層間物質及びリチウムイオン層間物質のような他の金属と共に含有している、請求項60又は61に記載のハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項63】
前記の諸電極は、正極及び負極が交互に並んでいる、請求項60〜62のいずれか1項に記載のハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項64】
前記高表面積材料は高表面積炭素材料である、請求項60〜63のいずれか1項に記載のハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項65】
前記コンデンサタイプ電極はコンデンサ負極であり、前記添加剤は、鉛若しくは亜鉛の少なくとも1種の酸化物、水酸化物又は硫酸塩を含有している、請求項60〜64のいずれか1項に記載のハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項66】
前記添加剤は、前記コンデンサ負極の電圧窓を少なくとも−1.2Vまで増加させる量で、該コンデンサ負極上のコーティングの中に存在している、請求項65に記載のハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項67】
前記添加剤の全含有量は、前記コンデンサの全コーティング組成物を基準として5〜40重量%の間である、請求項65又は66に記載のハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項68】
前記コンデンサ負極用添加剤は、次の諸金属:Pb 1〜40重量%、Zn 1〜20重量%、Cd 0〜5重量%及びAg 0〜5重量%の化合物を、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態で含有している、請求項65〜67のいずれか1項に記載のハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項69】
前記コンデンサタイプ電極はコンデンサ正極であり、前記コンデンサ正極用添加剤は、5〜40重量%の量で存在している、請求項60〜64のいずれか1項に記載のハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項70】
前記コンデンサ正極用添加剤は、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態の鉛 0〜30重量%と、Pb1〜10重量%と、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態のFe 0〜2重量%と、酸化物、硫酸塩又は水酸化物の形態のSb 0.05〜1重量%とを含有している、請求項69に記載のハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項71】
コンデンサ正極とコンデンサ負極の両方を有している、請求項60〜64のいずれか1項に記載のハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項72】
前記の正極及び負極の各々は、多孔質セパレータによって隣接する電極から分離されている、請求項60〜71のいずれか1項に記載のハイブリッド蓄電池−コンデンサ。
【請求項73】
集電体とペーストコーティングとを有するコンデンサ負極であって、該ペーストコーティングは、コンデンサ用高表面積材料と、結合剤と、該ペーストコーティングの重量を基準とする、鉛、亜鉛、カドミウム、銀及びビスマスの酸化物、水酸化物若しくは硫酸塩から選ばれている添加剤又は添加剤混合物5〜40重量%とを、該添加剤が、鉛若しくは亜鉛の、少なくとも1種の酸化物、水酸化物又は硫酸塩を含有するという条件で、含有している、コンデンサ負極。
【請求項74】
集電体とペーストコーティングとを有するコンデンサ正極であって、該ペーストコーティングは、コンデンサ用高表面積材料と、結合剤と、該ペーストコーティングの重量を基準とする、
− Pb
− アンチモンの酸化物、水酸化物又は硫酸塩、並びに、
− 任意的な、鉄及び鉛の、1種以上の酸化物、水酸化物又は硫酸塩、
を含有する添加剤混合物5〜40重量%とを含有している、コンデンサ正極。
【請求項75】
請求項73に記載のコンデンサ負極又は請求項74に記載のコンデンサ正極と、鉛電極又は二酸化鉛電極から選ばれている蓄電池タイプ電極と、電解質とを有している、非対称コンデンサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−506230(P2007−506230A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526484(P2006−526484)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001262
【国際公開番号】WO2005/027255
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(500053399)コモンウエルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション (8)
【Fターム(参考)】