高所作業車におけるバケットとウインチ取付台との干渉防止装置
【課題】ウインチ取付台側の突出部が、ウインチ取付台の下動状態でバケット上面より低位置まで降下するような高所作業車において、バケットの左右旋回範囲を制限することで、バケット上部がウインチ取付台側の突出部に干渉しないようにする。
【解決手段】ウインチ取付台の下部の一部にバケット上面の外形と上下に重合するような突出部を有し、ウインチ取付台が下動位置にあるときにウインチ取付台の突出部がバケット上面より下方に位置するように設定された高所作業車において、バケット指向角度検出器13とウインチ取付台指向角度検出器14を設け、該バケット指向角度検出器とウインチ取付台指向角度検出器とでそれぞれ検出した各側の指向角度に基いて、バケット危険側作動規制手段16によりバケットの外形がウインチ取付台の突出部に対して上下に重合する位置に旋回するのを禁止するようにしている。
【解決手段】ウインチ取付台の下部の一部にバケット上面の外形と上下に重合するような突出部を有し、ウインチ取付台が下動位置にあるときにウインチ取付台の突出部がバケット上面より下方に位置するように設定された高所作業車において、バケット指向角度検出器13とウインチ取付台指向角度検出器14を設け、該バケット指向角度検出器とウインチ取付台指向角度検出器とでそれぞれ検出した各側の指向角度に基いて、バケット危険側作動規制手段16によりバケットの外形がウインチ取付台の突出部に対して上下に重合する位置に旋回するのを禁止するようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、伸縮ブームの先端部に取付けた作業員搭乗用のバケットの近傍にウインチ取付台(ウインチとジブが取付けられる)を設け、バケットとウインチ取付台とが相対移動するような高所作業車を対象にしたものであり、さらに詳しくは、そのような高所作業車におけるバケットとウインチ取付台との干渉防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の高所作業車として、本件出願人は図9〜図11に示すものを既に提案している。尚、図9〜図11に示すものは、特許文献1(特開2010−235240号公報)に開示されたものである。
【0003】
図9〜図11に示す公知例の高所作業車は、伸縮ブーム12の先端部12aに鉛直姿勢を維持する支柱20を設け、該支柱20に対して上部側にウインチ取付台40と下部側にバケット取付台30とをそれぞれ水平旋回自在に装着している。
【0004】
ウインチ取付台40は、図9及び図10に示すように、ウインチ4を支持したウインチ支持アーム41と、支柱20に対して水平面内で回転可能な回転パイプ42と、該回転パイプ42の側面に固定したアーム支持台43と、該アーム支持台43とウインチ支持アーム41との間に介設したジブ揺動シリンダ23と、それらの外側を囲繞しているカバー体46とを有したものである。尚、上記回転パイプ42は、支柱20に対して非回転状態で昇降する昇降パイプ25の上部に設けた丸パイプ26の外周面で水平回転し得るものである。
【0005】
ウインチ支持アーム41には、所定長さのジブ51を取付けている。そして、ウインチ4からのロープ52の先端をジブ51の先端部まで導き、該ジブ先端部のシーブを介してロープ先端にフック53を吊下げている。
【0006】
ところで、ジブ揺動シリンダ23は、ウインチ支持アーム41を介してジブ51を上下に揺動させるものであるが、該ジブ揺動シリンダ23は所定のストロークを有している。そして、このジブ揺動シリンダ23のチューブ側端部23aは、図10に示すように支柱20から外方にかなり離れた位置で且つカバー体46全体のかなり低い位置においてシリンダ取付台45に支持されている。従って、カバー体46におけるジブ揺動シリンダ23及びシリンダ取付台45を囲う部分(符号47部分)は、該カバー体46の全高中のかなり下方で且つ該カバー体46の旋回中心(支柱20の中心)からかなり外方に突出した位置にある。尚、以下の説明では、カバー体46の符号47で示す外方且つ下方に突出する部分を単に突出部47という。
【0007】
ウインチ取付台40は、支柱20に対してウインチ昇降装置7で昇降せさ得るようになっている。即ち、このウインチ昇降装置7には昇降シリンダ22が使用されており、該昇降シリンダ22を伸縮させることにより、ウインチ取付台40を装着している昇降パイプ25を上下動させ得るようになっている。
【0008】
そして、通常使用時には、ウインチ取付台40(ジブ51等を含む)を支柱20に対して図9に示す下動位置で使用するが、そのときウインチ取付台40の突出部47の下面高さがバケット3の上面3aの高さより寸法Hだけ低位置に位置している。
【0009】
他方、ウインチ取付台40は、図10に示すように昇降パイプ25の上部に設けた丸パイプ26に対して手動(人力)で水平旋回させ得るようになっている。
【0010】
バケット取付台30には、作業者搭乗用のバケット3が取付けられている。このバケット3は、バケット旋回装置(この公知例では図示していない)により支柱20の回りで旋回させ得るようになっている。
【0011】
図9〜図11に示す公知の高所作業車では、地上から荷物(例えばトランス)Yをバケット3の近傍まで吊り上げるのにウインチ4を使用するが、図9に示すようにウインチ取付台40が下動位置にある状態でフック53で吊った荷物Yをもう少し持ち上げたいとき(荷物下面Yaをバケット上面3aより高くまで持ち上げるとき)には、図9の状態からウインチ昇降装置7の昇降シリンダ22を伸長させることで、荷物Yを図11に示す高さまで持ち上げることができる。
【0012】
他方、フック53で吊持した荷物Yにバケット3を近づける際には、バケット旋回装置でバケット3を水平旋回させることで行う。尚、荷物Yを吊持したジブ51を手動で旋回させようとすると、操作が重いとともに荷物Yが振れるので危険であり、実際にはバケット3を荷物Yに近づけることで行う場合が多い。
【0013】
そして、バケット3を左旋回方向又は右旋回方向に大きく旋回させると、例えば図12において鎖線図示(符号3′又は3″)するように、バケット3の上面3aの外形の一部(操作部がある突出部分で、符号3b′又は3b″で示す部分)がウインチ取付台40側の上記突出部47に対して上下に重合する位置まで移動することがある。因に、図12の場合は、ウインチ取付台40側の突出部47が指向する方向Aに対して、バケット3の指向方向Bが左右各側から例えば角度90°より小さくなる位置(例えばB′又はB″の位置)まで移動すると、バケット上面3aの一部(3b′又は3b″)が突出部47の一方の側部と上下に重合するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−235240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、図9〜図12に示す公知の高所作業車では、図11に示すようにウインチ取付台40が支柱20に対して上動位置にある状態では、バケット3を例えば図11における符号3′で示すようにウインチ取付台40側の突出部47の直下まで旋回させても衝突等の不都合は生じないが、図9に示すようにウインチ取付台40が支柱20に対して下動位置にある状態(上記突出部47の高さがバケット上面3aより低位置となっている状態)で、オペレータがそれに気付かずにバケット旋回装置5を操作してバケット3を左又は右に大きく旋回させると、バケット3の上部寄り外形部分がウインチ取付台40側の突出部47に衝突するという問題が発生する。
【0016】
又、図9〜図12に示す公知の高所作業車では、図11に示すようにウインチ取付台40が上動状態でバケット3が鎖線図示(符号3′)するように突出部47の直下に位置する状態のときに、オペレータが誤ってウインチ昇降装置7を降下側に操作すると、ウインチ取付台40が降下していくことで、ウインチ取付台40側の突出部47がバケット3′の上面に衝突する虞れが生じる。
【0017】
そこで、本願発明は、上記公知例の高所作業車と同様に、ウインチ取付台に上記突出部を有し、ウインチ取付台の下動状態で該突出部の下面高さがバケット上面より低位置まで降下するものにおいて、ウインチ取付台側の突出部の指向方向に対してバケットの左右旋回範囲を制限することで、バケット上部がウインチ取付台側の突出部に干渉しないようにすることを第1の目的とする一方、ウインチ取付台側の突出部の直下にバケットが重合する場合において、ウインチ取付台の下動範囲(バケットが昇降するものではバケット上動範囲も含めて)を制限することで、ウインチ取付台側の突出部がバケット上面に干渉しないようにすることを第2の目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、高所作業車におけるバケットとウインチ取付台との干渉防止装置を対象にしたものである。
【0019】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明では、次の構成を有した高所作業車を採用している。
【0020】
即ち、本願で採用している高所作業車は、車両上の旋回台に伸縮ブームを起伏自在に取付け、該伸縮ブームの先端部に鉛直姿勢を維持する支柱を設け、該支柱に対してウインチ取付台と作業員搭乗用のバケットとをそれぞれ水平旋回自在に装着したものである。尚、ウインチ取付台はバケット取付台より上側に位置している。
【0021】
ウインチ取付台には、荷上げ用のウインチと、吊上げ用のフックを支持するジブとが取付けられている。そして、このウインチ取付台は、支柱に対して水平旋回し得るように取付けられているが、該ウインチ取付台の旋回は、動力(モータ)で行わせるようにしたもののほかに、バケット上に搭乗している作業員が手動(人力)で行うものもある。
【0022】
バケットは、バケット取付台を介して支柱に支持されており、該バケット取付台を支柱に対してバケット旋回装置(動力)で旋回させることでバケットを水平旋回させ得るようにしている。
【0023】
バケットとウインチ取付台とは、少なくとも一方を昇降装置(昇降シリンダ)で昇降させ得るようにしている。
【0024】
又、ウインチ取付台の下部の一部には、バケットとウインチ取付台とが特定の相対角度範囲内に位置するときに平面視においてバケット上面の外形と上下に重合するような突出部を有している。尚、この突出部は、実施例の項で説明するようにウインチ支持アームを揺動させるためのシリンダを取付けるのに必要なものであり、後述の実施例ではカバー体の一部が突出部に相当する。
【0025】
又、本願で採用している高所作業車は、バケットとウインチ取付台の少なくとも一方を昇降させたときに該ウインチ取付台の突出部がバケット上面より下方に位置するように設定されたものである。
【0026】
そして、本願請求項1のバケットとウインチ取付台との干渉防止装置は、上記構成の高所作業車において、次の構成を有している。
【0027】
まず、バケットが支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するバケット指向角度検出器と、ウインチ取付台が支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するウインチ取付台指向角度検出器とをそれぞれ設けている。このバケット指向角度検出器とウインチ取付台指向角度検出器は、基準位置である支柱に対してバケットやウインチ取付台がそれぞれ水平旋回方向のどの位置に指向しているのかを検出するものであって、これらの指向角度検出器には、例えばポテンショメータが採用可能である。そして、この各指向角度検出器からの検出角度データは、常時コントローラに入力している。
【0028】
他方、コントローラには、バケット指向角度検出器で検出されたバケット指向角度及びウインチ取付台指向角度検出器で検出されたウインチ取付台指向角度とに基いて、バケット旋回装置に対して平面視においてバケットの外形がウインチ取付台の突出部に対して上下に重合する位置に旋回するのを禁止するバケット危険側作動規制手段を設けている。
【0029】
このバケット危険側作動規制手段としては、バケットの外形とウインチ取付台の突出部とが上下に重合する位置関係にあるときの相対角度範囲を規制相対角度記憶手段に記憶させておく一方、上記バケット指向角度検出器で検出されたバケット指向角度とウインチ取付台指向角度検出器で検出されたウインチ取付台指向角度とに基いて該バケットとウインチ取付台との実際の相対角度を実際相対角度演算手段で演算し、さらに規制相対角度記憶手段に記憶させた規制相対角度(これを記憶規制相対角度という)と実際相対角度演算手段で演算した実際の相対角度(これを実際相対角度という)とを比較手段で比較して、実際相対角度が記憶規制相対角度に達したときに(あるいは達する直前で)、バケット旋回装置に対して危険側(干渉側)作動を禁止する信号を出力するものである。
【0030】
従って、この請求項1のバケットとウインチ取付台との干渉防止装置では、バケット旋回装置でバケットを左又は右に大きく旋回させても、該バケットの外形がウインチ取付台側の突出部に対して上下に重合する位置の直前まで旋回移動したときに、バケット危険側作動規制手段によりバケットの旋回動作が自動で停止するようになる。即ち、バケット旋回装置によりバケット旋回操作を行っても、バケット外形とウインチ取付台側の突出部とが上下に重合することがないので、もしウインチ取付台側の突出部の高さがバケットの上面高さより低い場合であっても、バケット上部が該突出部に側方から干渉(衝突)することがない。
【0031】
尚、この請求項1の干渉防止装置では、ウインチ取付台が支柱に対して手動で旋回できるようになっていて、該ウインチ取付台を旋回させることでその突出部がバケット外形に対して上下に重合する位置まで移動することがあるが、ウインチ取付台に対する旋回力は手動(人力)であるので比較的小さい。従って、ウインチ取付台側の突出部の高さがバケットの上面高さより低い状態で、ウインチ取付台を旋回させてその突出部がバケット外形の側面に干渉しても、そのときの衝撃は小さいものであって、そのときの影響は非常に小さいものである。又、手動によるウインチ取付台の旋回操作であれば、ウインチ取付台側の突出部がバケット外形に干渉することが容易に認識できるので、その干渉前に旋回操作を中止すべきことに気付き易い。
【0032】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明の干渉防止装置も、上記請求項1の基本的構成を備えた高所作業車に適用されるものである。
【0033】
そして、この請求項2の干渉防止装置では、上記請求項1と同様にバケットが支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するバケット指向角度検出器と、ウインチ取付台が支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するウインチ取付台指向角度検出器とを設けているほかに、ウインチ取付台の突出部の下面高さとバケットの上面高さとが上下に近接したことを確認する近接状態検出器を設けている。
【0034】
本願請求項2で用いられる近接状態検出器としては、例えばリミットスイッチが一般的であるが、両材(突出部とバケット)の近接状態を検出できるものであれば適宜のものを採用できる。
【0035】
そして、本願請求項2の干渉防止装置には、コントローラに、近接状態検出器が近接状態を検出しているときに、バケット指向角度検出器で検出されたバケット指向角度及びウインチ取付台指向角度検出器で検出されたウインチ取付台指向角度とに基いてバケット旋回装置に対して平面視においてバケットの外形がウインチ取付台の突出部に対して上下に重合する位置に旋回するのを禁止する制御と、平面視においてバケットのが外形がウインチ取付台に対して上下に重合する位置にあるときに近接状態検出器からの近接状態検出信号を受けてバケット又は/及びウインチ取付台の昇降装置に対してバケットとウインチ取付台とが上下に近接する側への作動を禁止する制御とを行う危険側作動規制手段を設けている。
【0036】
ところで、上記請求項1の干渉防止装置では、バケット危険側作動規制手段によりバケットの旋回操作でバケット外形がウインチ取付台側の突出部に重合する位置まで旋回できないが、ウインチ取付台は、その突出部がバケット外形の上方に重合する位置まで旋回可能となっている。そして、ウインチ取付台側の突出部がバケット外形の上方に重合する状態で、バケット又はウインチ取付台を昇降装置(昇降シリンダ)により該バケットとウインチ取付台とが相互に近接する側に昇降させた場合には、ウインチ取付台側の突出部とバケットの上面とが干渉(衝突)する虞れがある。
【0037】
そこで、この請求項2の干渉防止装置では、ウインチ取付台側の突出部の下面高さとバケットの上面高さとが上下に近接したときにそれを近接状態検出器で検出するとともに、該近接状態検出器が該近接状態を検出しているときに、危険側作動規制手段によりバケット旋回装置に対して危険側動作を禁止する一方、昇降装置に対してバケットとウインチ取付台とが上下に近接する側に作動するのを禁止するようにしているので、ウインチ取付台側の突出部がバケットに対して上下重合位置にある状態で、バケット旋回装置や昇降装置に対して誤操作(危険側操作)を行っても両者(突出部下面とバケット上面)が水平方向及び上下方向の両方向から干渉するまで近接移動することがない。
【発明の効果】
【0038】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の干渉防止装置では、上記した構成により、バケットの旋回作動で該バケット外形がウインチ取付台側の突出部に対して上下に重合する位置の直前まで移動してきたときに、バケット危険側作動規制手段によりバケットがそれ以上危険側(干渉する側)に移動しないように制御するようになっている。
【0039】
従って、この請求項1の発明では、バケット旋回作動によってバケット外形がウインチ取付台側の突出部に対して上下に重合する位置まで移動することがないので、もしウインチ取付台側の突出部とバケット上部とが上下同高さ位置にある状態でバケット旋回装置を誤って過度に操作し続けたときでも、該バケット外形が該突出部に側方から干渉するのを未然に防止できるという効果がある。
【0040】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明の干渉防止装置では、ウインチ取付台側の突出部の下面高とバケットの上面高さとが上下に近接したことを近接状態検出器で検出している状態において、危険側作動規制手段により、バケット旋回装置及び昇降装置に対してバケットとウインチ取付台とが水平方向及び上下方向の両方向から近接する側に作動するのを禁止するようにしている。
【0041】
従って、この請求項2の干渉防止装置では、もしウインチ取付台側の突出部がバケット外形に対して上方から重合する状態で、誤ってバケット旋回装置又は/及び昇降装置を危険側(近接側)に操作し続けても突出部下面とバケット上面とが水平方向及び上下方向の両方向から干渉するのを未然に防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願の干渉防止装置を装備し得る高所作業車の側面図である。
【図2】本願第1実施例の干渉防止装置を備えた図1の高所作業車の一部拡大図である。
【図3】図2における支柱回りの拡大断面図である。
【図4】図2の状態からウインチ取付台を上動させたときの状態変化図である。
【図5】図2の状態の平面図で、バケットとウインチ取付台との許容相対角度範囲の説明図である。
【図6】本願第1実施例の干渉防止装置のブロック図である。
【図7】本願第2実施例の干渉防止装置を採用した図2相当図である。
【図8】図7の第2実施例の干渉防止装置のブロック図である。
【図9】公知例に採用した高所作業車の一部側面図である。
【図10】図9(公知例)のウインチ昇降装置部分の拡大断面図である。
【図11】図9の状態からウインチ取付台を上動させたときの状態変化図である。
【図12】図9の状態の平面図で、バケットの旋回による干渉問題の説明図である。
【実施例】
【0043】
本願の発明の名称は、「高所作業車におけるバケットとウインチ取付台との干渉防止装置」であるが、以下の実施例の説明では、本願の発明の名称を単に「干渉防止装置」と簡略化して表現することがある。
【0044】
図1〜図8には、本願の実施例を示しており、図1には本願実施例の干渉防止装置を装備し得る高所作業車を示し、図2〜図6には図1の高所作業車に第1実施例の干渉防止装置を装備したものを示し、図7〜図8には図1の高所作業車に第2実施例の干渉防止装置を装備したものを示している。尚、図2〜図6に示す第1実施例の干渉防止装置は、本願請求項1に対応するものであり、図7〜図8に示す第2実施例の干渉防止装置は、本願請求項2に対応するものである。
【0045】
[図1〜図6の第1実施例]
図1に示す高所作業車は、車両1上に旋回台11を設け、該旋回台11に伸縮ブーム12を起伏自在に取付けている。
【0046】
伸縮ブーム12の先端部12aには、図2及び図3に示すように、レベリングシリンダ21によって鉛直姿勢に維持される支柱20が設けられている。該支柱20には、その下部側に作業員搭乗用のバケット3がバケット取付台30を介して取付けられている一方、支柱上部側にウインチ取付台40を介して荷揚げ用のウインチ4が取付けられている。
【0047】
図3には、ウインチ取付台40を昇降させるためのウインチ昇降装置7の詳細を示している。尚、この実施例で採用しているウインチ昇降装置7及びウインチ取付台40は、図10に示す公知例のものと同構造のものであり、該公知例の説明と重複するがそれぞれ次のように構成されたものである。
【0048】
即ち、ウインチ昇降装置7は、図3に示すように、丸パイプからなる支柱20と、該支柱20内に内装された角パイプからなる昇降パイプ25と、該昇降パイプ25を支柱20に対して昇降させる昇降シリンダ22とを有している。尚、昇降パイプ25は、角パイプ製であって、丸パイプ製の支柱20に対して昇降可能であるが支柱20に対して回転しないものである。
【0049】
昇降パイプ25の上部には、丸パイプ26が立設されており、該丸パイプ26にウインチ取付台40側の回転パイプ(後述する)42を回転自在に外嵌合させている。尚、ウインチ取付台40の構成については後述する。
【0050】
そして、このウインチ昇降装置7は、昇降シリンダ22の伸縮操作により、支柱20に対して昇降パイプ25及び該昇降パイプ25上に装備されているウインチ取付台40(ウインチ装置全体)を昇降させ得るようになっている。尚、図2は、ウインチ装置全体が降下した状態(昇降シリンダ22の縮小状態)であり、図4は、ウインチ装置全体が上昇した状態(昇降シリンダ22の伸長状態)である。
【0051】
ウインチ取付台40は、図2及び図3に示すように、ウインチ4を支持したウインチ支持アーム41と、支柱20(昇降パイプ25の上部の丸パイプ26)に対して水平面内で回転可能な回転パイプ42と、該回転パイプ42の側面に固定したアーム支持台43と、該アーム支持台43とウインチ支持アーム41との間に介設したジブ揺動シリンダ23と、それらの外側を囲繞しているカバー体46とを有したものである。
【0052】
ウインチ支持アーム41には、所定長さのジブ51を取付けている。そして、ウインチ4からのロープ52の先端をジブ51の先端部まで導き、該ジブ先端部のシーブを介してロープ先端にフック53を吊下げている。
【0053】
このウインチ取付台40は、ウインチ支持アーム41、ウインチ4及びジブ51を含めて、支柱20(昇降パイプ25上部の丸パイプ26)に対して手動(人力)で水平旋回させ得るようになっている。
【0054】
ジブ揺動シリンダ23は、ウインチ支持アーム41を介してジブ51を上下に揺動させるものであるが、該ジブ揺動シリンダ23は所定のストロークを有している。そして、このジブ揺動シリンダ23のチューブ側端部23aは、支柱20から外方にかなり離れた位置で且つカバー体46全体のかなり低い位置においてシリンダ取付台45に支持されている。従って、カバー体46におけるジブ揺動シリンダ23及びシリンダ取付台45を囲う部分(符号47部分)は、該カバー体46の全高中のかなり下方で且つ該カバー体46の旋回中心(支柱20の中心)からかなり外方に突出した位置にある。尚、本願実施例においても、カバー体46の符号47で示す外方且つ下方突出部分を単に突出部47という。
【0055】
バケット3は、支柱20に対してバケット取付台30を介して水平旋回させ得るように取付けている。そして、バケット取付台30を支柱20に対してバケット旋回装置5で回転させることで、バケット3を支柱20の回りで水平旋回させ得るようになっている。
【0056】
又、この実施例では、バケット3をバケット取付台30に対してバケット昇降装置6で昇降させ得るようになっている。このバケット昇降装置6は、昇降シリンダ61と2系統のチエン63,64とを使用し、昇降シリンダ61の伸縮量に対してバケット3をその2倍長さだけ昇降させ得るようになっている。そして、昇降シリンダ61が縮小状態では、バケット3がバケット取付台30に対して下動位置(図2及び図4の実線図示位置)にあるが、該昇降シリンダ61を伸長させると、図4に鎖線図示(符号3′)するようにバケット取付台30に対して上動するようになっている。尚、バケット昇降装置6によるバケット3の昇降操作は、高所作業時においてバケット3を小高さだけ昇降させる際に行われる。
【0057】
図1〜図4に示す高所作業車では、地上から荷物(例えばトランス)Yをバケット3の近傍まで吊り上げるのにウインチ4を使用するが、図2に示すようにウインチ取付台40が下動位置にある状態でフック53で吊った荷物Yをもう少し持ち上げたいとき(荷物下面Yaをバケット上面3aより高くまで持ち上げるとき)には、図2の状態からウインチ昇降装置7(昇降シリンダ22)を伸長させることで、荷物Yを図4に示す高さまで持ち上げることができる。
【0058】
又、フック53で吊持した荷物Yにバケット3を近づける際には、バケット旋回装置5でバケット3を水平旋回させることで行う。尚、荷物Yを吊持したジブ51を手動で旋回させようとすると、操作が重いとともに荷物Yが振れるので危険であり、実際にはバケット3を荷物Yに近づけることで行っている。
【0059】
そして、上記の「背景技術」の項で記載したように、バケット3を左旋回方向又は右旋回方向に大きく旋回させると、バケット3の上面3aの外形の一部(操作部がある突出部分)がウインチ取付台40側の上記突出部47に対して上下に重合する位置まで移動することがある。
【0060】
ところで、図4に示すようにウインチ取付台40が支柱20に対して上動位置にある状態では、バケット3を図4における符号3″で示すようにウインチ取付台40側の突出部47の直下まで旋回させても衝突等の不都合は生じないが、図2に示すようにウインチ取付台40が支柱20に対して下動位置にある状態(高さHの範囲でバケット3と突出部47とが上下に重合している状態)で、オペレータがそれに気付かずにバケット旋回装置5を操作してバケット3を左又は右に大きく旋回させると、バケット3の上部寄り外形部分がウインチ取付台40側の突出部47に衝突するという問題が発生する。
【0061】
そこで、本願第1実施例の干渉防止装置は、図5に示すように、バケット3の旋回動作時にバケット外形がウインチ取付台40側の突出部47に対して上下に重合する位置まで移動できないようにしたもので、具体的には次の構成を有している。
【0062】
即ち、この第1実施例では、図2〜図5(及び図6のブロック図)に示すように、支柱20に対するバケット3の指向角度を検出するバケット指向角度検出器13と、同じく支柱20に対するウインチ取付台40(突出部47)の指向角度を検出するウインチ取付台指向角度検出器14とを有している。そして、このバケット指向角度検出器13とウインチ取付台指向角度検出器14は、例えばそれぞれポテンショメータが使用可能であって、バケット3やウインチ取付台40(突出部47)が支柱(基準位置)20に対してどの方向に向いているのかをそれぞれ検出して、その各検出角度信号をそれぞれコントローラ10に入力し得るものである。尚、バケット指向角度検出器13は、支柱20とバケット取付台30との間に設けており、ウインチ取付台指向角度検出器14は、支柱上部の丸パイプ(旋回軸となる)26とウインチ取付台40との間に設けている。
【0063】
他方、図6に示すように、コントローラ10にはバケット危険側作動規制手段16が組み込まれているが、このバケット危険側作動規制手段16は次の構成を有している。
【0064】
即ち、このバケット危険側作動規制手段16には、バケット3の外形とウインチ取付台40の突出部47とが上下に重合する位置関係にあるときの相対角度範囲を規制相対角度として記憶する規制相対角度記憶手段101と、上記バケット指向角度検出器13で検出されたバケット指向角度とウインチ取付台指向角度検出器14で検出されたウインチ取付台指向角度とに基いて該バケット3とウインチ取付台40(突出部47)との現状の相対角度を演算する実際相対角度演算手段102と、規制相対角度記憶手段101に記憶させた規制相対角度(これを記憶規制相対角度という)と実際相対角度演算手段102で演算した現状の相対角度(これを実際相対角度という)とを比較する比較手段103と、該比較手段103で上記実際相対角度が上記記憶規制相対角度に達したときにバケット旋回装置5に対して危険側作動を禁止する信号を発する出力手段104とを有している。
【0065】
ところで、上記規制相対角度記憶手段101に記憶される規制相対角度としては、図5に鎖線図示するように、バケット(3′又は3″)の外形(3b′又は3b″)がウインチ取付台40側の突出部47の左右側面に対して左右各側から近接したときの、突出部指向方向Aとバケット指向方向(B′又はB″)間の相対角度が設定される。即ち、この実施例では、図5に鎖線図示するように突出部指向方向Aに対してバケット指向方向(B′又はB″)が左右からそれぞれ角度約90°まで近づいたときに、バケット外形(3b′又は3b″)がそれぞれ突出部47の側面に左右各側から近接するようになっている関係で、上記規制相対角度記憶手段101に記憶される規制相対角度としては角度90°が設定されている。
【0066】
又、上記出力手段104から発せられるバケット旋回装置5の危険側作動禁止信号は、バケット旋回モータの回転方向を、バケット3がウインチ取付台40の突出部47に近接する側に作動するのを禁止するように制御するものであって、該バケット旋回モータが安全側に回転するのは許容している。
【0067】
そして、図2〜図5に示す第1実施例の干渉防止装置は、次のように機能する。
【0068】
まず、運転中は、バケット指向角度検出器13がバケット3の指向角度を検出している一方、ウインチ取付台指向角度検出器14がウインチ取付台40(突出部47)の指向角度を検出していて、それらの指向角度検出器13,14で検出したそれぞれの指向角度に基いて、コントローラ10の実際相対角度演算手段102がバケット指向方向Bと突出部指向方向A間の現状の相対角度を常時演算している。他方、比較手段103では、実際相対角度演算手段102で刻々演算される現状の相対角度(実際相対角度)と規制相対角度記憶手段101で記憶している規制相対角度(記憶規制相対角度)とを常時比較している。そして、上記実際相対角度が上記記憶規制相対角度に達していない(実際相対角度が記憶規制相対角度より大きい)ときには、比較手段103がOFF状態であってバケット旋回装置5によりバケット3を左右いずれの方向にも旋回させることができる一方、上記実際相対角度が上記記憶規制相対角度に達した(実際相対角度が記憶規制相対角度と同じになった)と比較手段103が判断した時点で該比較手段103から出力手段104にON信号が発せられて、バケット旋回装置5に対してバケット外形(図5の3b′又は3b″)が突出部47に近接する側に作動するのを禁止するように制御される。即ち、バケット3は、図5において符号Bの指向位置からB′又はB″の指向位置までは自由に旋回できるが、B′又はB″の指向位置から突出部47が指向する符号Aの方向には旋回できないようになっている。
【0069】
このように、第1実施例の干渉防止装置では、オペレータがバケット旋回装置5に対して、バケット3を突出部47に対して上下重合する側に操作し続けても、バケット外形が突出部47の上下重合位置まで旋回する直前で、該バケット3の旋回が自動的に停止するようになっている。従って、図2に示すように、バケット3の上面3aと突出部47の下面とが上下に重合(高さH)する部分がある状態で、オペレータが誤ってバケット旋回装置5を操作し続けても、バケット外形が突出部47の側面に干渉する直前でバケット3の旋回動作が停止するので、バケットと突出部との干渉は未然に防止できる(安全性が確保される)。
【0070】
尚、この第1実施例の干渉防止装置では、ウインチ取付台40が支柱20に対して手動で旋回できるようになっていて、該ウインチ取付台40を旋回させたときにその突出部47がバケット外形に対して上下に重合する位置まで移動することがあるが、ウインチ取付台40に対する旋回力は手動(人力)であるので比較的小さい。従って、例えば図2に示すようにウインチ取付台40側の突出部47の高さがバケット上面3aの高さより低い状態で、ウインチ取付台40を旋回させてその突出部47がバケット外形3b(図2)の側面に干渉しても、そのときの衝撃は小さいものであって、そのときの影響は非常に小さいものである。
【0071】
[図7〜図8の第2実施例]
ところで、上記した図2〜図6に示す第1実施例の干渉防止装置では、ウインチ取付台40とバケット3との相対位置関係に係わりなく、ウインチ取付台40又はバケット3をそれぞれ独自に昇降させ得るようになっている。そして、例えば図4においてバケット3が符号3″で示すようにウインチ取付台40の突出部47と上下に重合する位置関係にある状態で、ウインチ昇降装置7によりウインチ取付台40を下動操作したり、あるいはバケット昇降装置6によりバケット3を上動操作をしたりすると、ウインチ取付台40側の突出部47の下面とバケット3の上面とが干渉する虞れがある。
【0072】
そこで、このような上下方向からの干渉を防止するために、図7〜図8に示す第2実施例の干渉防止装置では次の構成を有している。
【0073】
図7及び図8に示す第2実施例の干渉防止装置でも、上記第1実施例の干渉防止装置の基本構成を備えている。即ち、この第2実施例の干渉防止装置には、図7及び図8に示すようにバケット指向角度検出器13とウインチ取付台指向角度検出器14を備えている一方、コントローラ10(図8)にバケット旋回装置5の危険側作動を禁止する手段(規制相対角度記憶手段101と、実際相対角度演算手段102と、比較手段103と、出力手段106)を有していて、バケット3の外形がウインチ取付台40の突出部47に対して上下重合する位置に旋回できないようになっている。
【0074】
そして、図7及び図8に示す第2実施例の干渉防止装置では、それに加えて、ウインチ取付台40の突出部47の下面高さとバケット3の上面3aの高さとが上下に所定小間隔をもって近接したことを検出する近接状態検出器15を有している。
【0075】
この近接状態検出器15には、この実施例ではリミットスイッチが採用されている。この近接状態検出器(リミットスイッチ)15は、図7に示すようにバケット3側に取付けられていて、ウインチ取付台40の上面3aとバケット3の突出部47の下面とが寸法T(図7)で示すように所定小間隔まで近接したときに、ウインチ取付台40の下端面が当接してON作動するようになっている。
【0076】
そして、この第2実施例の干渉防止装置では、コントローラ10(図8)に、近接状態検出器15からの近接状態検出信号(ON信号)を受けて、ウインチ取付台40及びバケット3のそれぞれの昇降装置(ウインチ昇降装置7及びバケット昇降装置6)とバケット旋回装置5に対して、ウインチ取付台40とバケット3とが上下方向及び水平方向の両方向からそれぞれ近接する側に作動するのを禁止する危険側作動規制手段17を設けている。
【0077】
この危険側作動規制手段17は、具体例には、図8に示すように、近接状態検出器(リミットスイッチ)15のON・OFF状態を確認する確認手段105を有し、該確認手段105がリミットスイッチON状態を確認している(その確認信号が比較手段103に入力される)ときに、各昇降装置(ウインチ昇降装置7とバケット昇降装置6)及びバケット旋回装置5に対して出力手段106からそれぞれ危険側作動を禁止する信号が出力されるように構成されている。尚、この出力手段106から出力される危険側作動禁止信号は、バケット旋回装置5に対してはバケット外形がウインチ取付台40側の突出部47に近接する側の作動を禁止するものであり、ウインチ昇降装置7(昇降シリンダ22)に対しては縮小側動作を禁止するものであり、バケット昇降装置6(昇降シリンダ61)に対しては伸長側動作を禁止するものである。
【0078】
そして、この第2実施例の干渉防止装置では、バケット3の外形とウインチ取付台40の突出部47とが上下に重合する旋回位置にあるときにおいて、ウインチ昇降装置7を下動操作したりバケット昇降装置6を上動操作したりしたときに、ウインチ取付台40の突出部47下面とバケット3の上面とが上下に近接する高さに達した時点で、危険側作動規制手段17により、ウインチ取付台40の下動を禁止(ウインチ昇降装置7の昇降シリンダ22の縮小側動作を禁止)するとともにバケット3の上動を禁止(バケット昇降装置6の昇降シリンダ61の伸長側動作を禁止)するようになっている。
【0079】
又、危険側作動規制手段17(図8)は、第1実施例に記載した内容に対し、近接状態検出器(リミットスイッチ)15がON状態の場合にのみ、バケット外形が突出部47の側面に干渉する方向の旋回動作を規制するように構成されている。
【0080】
従って、この第2実施例の干渉防止装置では、バケット3とウインチ取付台40側の突出部47とが、バケット旋回による水平方向とウインチ取付台下動又はバケット上動による上下方向の両方からそれぞれ干渉するのを未然に防止できるものである。
【符号の説明】
【0081】
1は車両、3はバケット、4はウインチ、5はバケット旋回装置、6はバケット昇降装置、7はウインチ昇降装置、10はコントローラ、12は伸縮ブーム、12aは伸縮ブームの先端部、13はバケット指向角度検出器、14はウインチ取付台指向角度検出器、15は近接状態検出器、16はバケット危険側作動規制手段、17は危険側作動規制手段、20は支柱、22は昇降シリンダ、23はジブ揺動シリンダ、30はバケット取付台、40はウインチ取付台、46はカバー体、47は突出部、51はジブ、61は昇降シリンダである。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、伸縮ブームの先端部に取付けた作業員搭乗用のバケットの近傍にウインチ取付台(ウインチとジブが取付けられる)を設け、バケットとウインチ取付台とが相対移動するような高所作業車を対象にしたものであり、さらに詳しくは、そのような高所作業車におけるバケットとウインチ取付台との干渉防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の高所作業車として、本件出願人は図9〜図11に示すものを既に提案している。尚、図9〜図11に示すものは、特許文献1(特開2010−235240号公報)に開示されたものである。
【0003】
図9〜図11に示す公知例の高所作業車は、伸縮ブーム12の先端部12aに鉛直姿勢を維持する支柱20を設け、該支柱20に対して上部側にウインチ取付台40と下部側にバケット取付台30とをそれぞれ水平旋回自在に装着している。
【0004】
ウインチ取付台40は、図9及び図10に示すように、ウインチ4を支持したウインチ支持アーム41と、支柱20に対して水平面内で回転可能な回転パイプ42と、該回転パイプ42の側面に固定したアーム支持台43と、該アーム支持台43とウインチ支持アーム41との間に介設したジブ揺動シリンダ23と、それらの外側を囲繞しているカバー体46とを有したものである。尚、上記回転パイプ42は、支柱20に対して非回転状態で昇降する昇降パイプ25の上部に設けた丸パイプ26の外周面で水平回転し得るものである。
【0005】
ウインチ支持アーム41には、所定長さのジブ51を取付けている。そして、ウインチ4からのロープ52の先端をジブ51の先端部まで導き、該ジブ先端部のシーブを介してロープ先端にフック53を吊下げている。
【0006】
ところで、ジブ揺動シリンダ23は、ウインチ支持アーム41を介してジブ51を上下に揺動させるものであるが、該ジブ揺動シリンダ23は所定のストロークを有している。そして、このジブ揺動シリンダ23のチューブ側端部23aは、図10に示すように支柱20から外方にかなり離れた位置で且つカバー体46全体のかなり低い位置においてシリンダ取付台45に支持されている。従って、カバー体46におけるジブ揺動シリンダ23及びシリンダ取付台45を囲う部分(符号47部分)は、該カバー体46の全高中のかなり下方で且つ該カバー体46の旋回中心(支柱20の中心)からかなり外方に突出した位置にある。尚、以下の説明では、カバー体46の符号47で示す外方且つ下方に突出する部分を単に突出部47という。
【0007】
ウインチ取付台40は、支柱20に対してウインチ昇降装置7で昇降せさ得るようになっている。即ち、このウインチ昇降装置7には昇降シリンダ22が使用されており、該昇降シリンダ22を伸縮させることにより、ウインチ取付台40を装着している昇降パイプ25を上下動させ得るようになっている。
【0008】
そして、通常使用時には、ウインチ取付台40(ジブ51等を含む)を支柱20に対して図9に示す下動位置で使用するが、そのときウインチ取付台40の突出部47の下面高さがバケット3の上面3aの高さより寸法Hだけ低位置に位置している。
【0009】
他方、ウインチ取付台40は、図10に示すように昇降パイプ25の上部に設けた丸パイプ26に対して手動(人力)で水平旋回させ得るようになっている。
【0010】
バケット取付台30には、作業者搭乗用のバケット3が取付けられている。このバケット3は、バケット旋回装置(この公知例では図示していない)により支柱20の回りで旋回させ得るようになっている。
【0011】
図9〜図11に示す公知の高所作業車では、地上から荷物(例えばトランス)Yをバケット3の近傍まで吊り上げるのにウインチ4を使用するが、図9に示すようにウインチ取付台40が下動位置にある状態でフック53で吊った荷物Yをもう少し持ち上げたいとき(荷物下面Yaをバケット上面3aより高くまで持ち上げるとき)には、図9の状態からウインチ昇降装置7の昇降シリンダ22を伸長させることで、荷物Yを図11に示す高さまで持ち上げることができる。
【0012】
他方、フック53で吊持した荷物Yにバケット3を近づける際には、バケット旋回装置でバケット3を水平旋回させることで行う。尚、荷物Yを吊持したジブ51を手動で旋回させようとすると、操作が重いとともに荷物Yが振れるので危険であり、実際にはバケット3を荷物Yに近づけることで行う場合が多い。
【0013】
そして、バケット3を左旋回方向又は右旋回方向に大きく旋回させると、例えば図12において鎖線図示(符号3′又は3″)するように、バケット3の上面3aの外形の一部(操作部がある突出部分で、符号3b′又は3b″で示す部分)がウインチ取付台40側の上記突出部47に対して上下に重合する位置まで移動することがある。因に、図12の場合は、ウインチ取付台40側の突出部47が指向する方向Aに対して、バケット3の指向方向Bが左右各側から例えば角度90°より小さくなる位置(例えばB′又はB″の位置)まで移動すると、バケット上面3aの一部(3b′又は3b″)が突出部47の一方の側部と上下に重合するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−235240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、図9〜図12に示す公知の高所作業車では、図11に示すようにウインチ取付台40が支柱20に対して上動位置にある状態では、バケット3を例えば図11における符号3′で示すようにウインチ取付台40側の突出部47の直下まで旋回させても衝突等の不都合は生じないが、図9に示すようにウインチ取付台40が支柱20に対して下動位置にある状態(上記突出部47の高さがバケット上面3aより低位置となっている状態)で、オペレータがそれに気付かずにバケット旋回装置5を操作してバケット3を左又は右に大きく旋回させると、バケット3の上部寄り外形部分がウインチ取付台40側の突出部47に衝突するという問題が発生する。
【0016】
又、図9〜図12に示す公知の高所作業車では、図11に示すようにウインチ取付台40が上動状態でバケット3が鎖線図示(符号3′)するように突出部47の直下に位置する状態のときに、オペレータが誤ってウインチ昇降装置7を降下側に操作すると、ウインチ取付台40が降下していくことで、ウインチ取付台40側の突出部47がバケット3′の上面に衝突する虞れが生じる。
【0017】
そこで、本願発明は、上記公知例の高所作業車と同様に、ウインチ取付台に上記突出部を有し、ウインチ取付台の下動状態で該突出部の下面高さがバケット上面より低位置まで降下するものにおいて、ウインチ取付台側の突出部の指向方向に対してバケットの左右旋回範囲を制限することで、バケット上部がウインチ取付台側の突出部に干渉しないようにすることを第1の目的とする一方、ウインチ取付台側の突出部の直下にバケットが重合する場合において、ウインチ取付台の下動範囲(バケットが昇降するものではバケット上動範囲も含めて)を制限することで、ウインチ取付台側の突出部がバケット上面に干渉しないようにすることを第2の目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、高所作業車におけるバケットとウインチ取付台との干渉防止装置を対象にしたものである。
【0019】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明では、次の構成を有した高所作業車を採用している。
【0020】
即ち、本願で採用している高所作業車は、車両上の旋回台に伸縮ブームを起伏自在に取付け、該伸縮ブームの先端部に鉛直姿勢を維持する支柱を設け、該支柱に対してウインチ取付台と作業員搭乗用のバケットとをそれぞれ水平旋回自在に装着したものである。尚、ウインチ取付台はバケット取付台より上側に位置している。
【0021】
ウインチ取付台には、荷上げ用のウインチと、吊上げ用のフックを支持するジブとが取付けられている。そして、このウインチ取付台は、支柱に対して水平旋回し得るように取付けられているが、該ウインチ取付台の旋回は、動力(モータ)で行わせるようにしたもののほかに、バケット上に搭乗している作業員が手動(人力)で行うものもある。
【0022】
バケットは、バケット取付台を介して支柱に支持されており、該バケット取付台を支柱に対してバケット旋回装置(動力)で旋回させることでバケットを水平旋回させ得るようにしている。
【0023】
バケットとウインチ取付台とは、少なくとも一方を昇降装置(昇降シリンダ)で昇降させ得るようにしている。
【0024】
又、ウインチ取付台の下部の一部には、バケットとウインチ取付台とが特定の相対角度範囲内に位置するときに平面視においてバケット上面の外形と上下に重合するような突出部を有している。尚、この突出部は、実施例の項で説明するようにウインチ支持アームを揺動させるためのシリンダを取付けるのに必要なものであり、後述の実施例ではカバー体の一部が突出部に相当する。
【0025】
又、本願で採用している高所作業車は、バケットとウインチ取付台の少なくとも一方を昇降させたときに該ウインチ取付台の突出部がバケット上面より下方に位置するように設定されたものである。
【0026】
そして、本願請求項1のバケットとウインチ取付台との干渉防止装置は、上記構成の高所作業車において、次の構成を有している。
【0027】
まず、バケットが支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するバケット指向角度検出器と、ウインチ取付台が支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するウインチ取付台指向角度検出器とをそれぞれ設けている。このバケット指向角度検出器とウインチ取付台指向角度検出器は、基準位置である支柱に対してバケットやウインチ取付台がそれぞれ水平旋回方向のどの位置に指向しているのかを検出するものであって、これらの指向角度検出器には、例えばポテンショメータが採用可能である。そして、この各指向角度検出器からの検出角度データは、常時コントローラに入力している。
【0028】
他方、コントローラには、バケット指向角度検出器で検出されたバケット指向角度及びウインチ取付台指向角度検出器で検出されたウインチ取付台指向角度とに基いて、バケット旋回装置に対して平面視においてバケットの外形がウインチ取付台の突出部に対して上下に重合する位置に旋回するのを禁止するバケット危険側作動規制手段を設けている。
【0029】
このバケット危険側作動規制手段としては、バケットの外形とウインチ取付台の突出部とが上下に重合する位置関係にあるときの相対角度範囲を規制相対角度記憶手段に記憶させておく一方、上記バケット指向角度検出器で検出されたバケット指向角度とウインチ取付台指向角度検出器で検出されたウインチ取付台指向角度とに基いて該バケットとウインチ取付台との実際の相対角度を実際相対角度演算手段で演算し、さらに規制相対角度記憶手段に記憶させた規制相対角度(これを記憶規制相対角度という)と実際相対角度演算手段で演算した実際の相対角度(これを実際相対角度という)とを比較手段で比較して、実際相対角度が記憶規制相対角度に達したときに(あるいは達する直前で)、バケット旋回装置に対して危険側(干渉側)作動を禁止する信号を出力するものである。
【0030】
従って、この請求項1のバケットとウインチ取付台との干渉防止装置では、バケット旋回装置でバケットを左又は右に大きく旋回させても、該バケットの外形がウインチ取付台側の突出部に対して上下に重合する位置の直前まで旋回移動したときに、バケット危険側作動規制手段によりバケットの旋回動作が自動で停止するようになる。即ち、バケット旋回装置によりバケット旋回操作を行っても、バケット外形とウインチ取付台側の突出部とが上下に重合することがないので、もしウインチ取付台側の突出部の高さがバケットの上面高さより低い場合であっても、バケット上部が該突出部に側方から干渉(衝突)することがない。
【0031】
尚、この請求項1の干渉防止装置では、ウインチ取付台が支柱に対して手動で旋回できるようになっていて、該ウインチ取付台を旋回させることでその突出部がバケット外形に対して上下に重合する位置まで移動することがあるが、ウインチ取付台に対する旋回力は手動(人力)であるので比較的小さい。従って、ウインチ取付台側の突出部の高さがバケットの上面高さより低い状態で、ウインチ取付台を旋回させてその突出部がバケット外形の側面に干渉しても、そのときの衝撃は小さいものであって、そのときの影響は非常に小さいものである。又、手動によるウインチ取付台の旋回操作であれば、ウインチ取付台側の突出部がバケット外形に干渉することが容易に認識できるので、その干渉前に旋回操作を中止すべきことに気付き易い。
【0032】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明の干渉防止装置も、上記請求項1の基本的構成を備えた高所作業車に適用されるものである。
【0033】
そして、この請求項2の干渉防止装置では、上記請求項1と同様にバケットが支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するバケット指向角度検出器と、ウインチ取付台が支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するウインチ取付台指向角度検出器とを設けているほかに、ウインチ取付台の突出部の下面高さとバケットの上面高さとが上下に近接したことを確認する近接状態検出器を設けている。
【0034】
本願請求項2で用いられる近接状態検出器としては、例えばリミットスイッチが一般的であるが、両材(突出部とバケット)の近接状態を検出できるものであれば適宜のものを採用できる。
【0035】
そして、本願請求項2の干渉防止装置には、コントローラに、近接状態検出器が近接状態を検出しているときに、バケット指向角度検出器で検出されたバケット指向角度及びウインチ取付台指向角度検出器で検出されたウインチ取付台指向角度とに基いてバケット旋回装置に対して平面視においてバケットの外形がウインチ取付台の突出部に対して上下に重合する位置に旋回するのを禁止する制御と、平面視においてバケットのが外形がウインチ取付台に対して上下に重合する位置にあるときに近接状態検出器からの近接状態検出信号を受けてバケット又は/及びウインチ取付台の昇降装置に対してバケットとウインチ取付台とが上下に近接する側への作動を禁止する制御とを行う危険側作動規制手段を設けている。
【0036】
ところで、上記請求項1の干渉防止装置では、バケット危険側作動規制手段によりバケットの旋回操作でバケット外形がウインチ取付台側の突出部に重合する位置まで旋回できないが、ウインチ取付台は、その突出部がバケット外形の上方に重合する位置まで旋回可能となっている。そして、ウインチ取付台側の突出部がバケット外形の上方に重合する状態で、バケット又はウインチ取付台を昇降装置(昇降シリンダ)により該バケットとウインチ取付台とが相互に近接する側に昇降させた場合には、ウインチ取付台側の突出部とバケットの上面とが干渉(衝突)する虞れがある。
【0037】
そこで、この請求項2の干渉防止装置では、ウインチ取付台側の突出部の下面高さとバケットの上面高さとが上下に近接したときにそれを近接状態検出器で検出するとともに、該近接状態検出器が該近接状態を検出しているときに、危険側作動規制手段によりバケット旋回装置に対して危険側動作を禁止する一方、昇降装置に対してバケットとウインチ取付台とが上下に近接する側に作動するのを禁止するようにしているので、ウインチ取付台側の突出部がバケットに対して上下重合位置にある状態で、バケット旋回装置や昇降装置に対して誤操作(危険側操作)を行っても両者(突出部下面とバケット上面)が水平方向及び上下方向の両方向から干渉するまで近接移動することがない。
【発明の効果】
【0038】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の干渉防止装置では、上記した構成により、バケットの旋回作動で該バケット外形がウインチ取付台側の突出部に対して上下に重合する位置の直前まで移動してきたときに、バケット危険側作動規制手段によりバケットがそれ以上危険側(干渉する側)に移動しないように制御するようになっている。
【0039】
従って、この請求項1の発明では、バケット旋回作動によってバケット外形がウインチ取付台側の突出部に対して上下に重合する位置まで移動することがないので、もしウインチ取付台側の突出部とバケット上部とが上下同高さ位置にある状態でバケット旋回装置を誤って過度に操作し続けたときでも、該バケット外形が該突出部に側方から干渉するのを未然に防止できるという効果がある。
【0040】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明の干渉防止装置では、ウインチ取付台側の突出部の下面高とバケットの上面高さとが上下に近接したことを近接状態検出器で検出している状態において、危険側作動規制手段により、バケット旋回装置及び昇降装置に対してバケットとウインチ取付台とが水平方向及び上下方向の両方向から近接する側に作動するのを禁止するようにしている。
【0041】
従って、この請求項2の干渉防止装置では、もしウインチ取付台側の突出部がバケット外形に対して上方から重合する状態で、誤ってバケット旋回装置又は/及び昇降装置を危険側(近接側)に操作し続けても突出部下面とバケット上面とが水平方向及び上下方向の両方向から干渉するのを未然に防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願の干渉防止装置を装備し得る高所作業車の側面図である。
【図2】本願第1実施例の干渉防止装置を備えた図1の高所作業車の一部拡大図である。
【図3】図2における支柱回りの拡大断面図である。
【図4】図2の状態からウインチ取付台を上動させたときの状態変化図である。
【図5】図2の状態の平面図で、バケットとウインチ取付台との許容相対角度範囲の説明図である。
【図6】本願第1実施例の干渉防止装置のブロック図である。
【図7】本願第2実施例の干渉防止装置を採用した図2相当図である。
【図8】図7の第2実施例の干渉防止装置のブロック図である。
【図9】公知例に採用した高所作業車の一部側面図である。
【図10】図9(公知例)のウインチ昇降装置部分の拡大断面図である。
【図11】図9の状態からウインチ取付台を上動させたときの状態変化図である。
【図12】図9の状態の平面図で、バケットの旋回による干渉問題の説明図である。
【実施例】
【0043】
本願の発明の名称は、「高所作業車におけるバケットとウインチ取付台との干渉防止装置」であるが、以下の実施例の説明では、本願の発明の名称を単に「干渉防止装置」と簡略化して表現することがある。
【0044】
図1〜図8には、本願の実施例を示しており、図1には本願実施例の干渉防止装置を装備し得る高所作業車を示し、図2〜図6には図1の高所作業車に第1実施例の干渉防止装置を装備したものを示し、図7〜図8には図1の高所作業車に第2実施例の干渉防止装置を装備したものを示している。尚、図2〜図6に示す第1実施例の干渉防止装置は、本願請求項1に対応するものであり、図7〜図8に示す第2実施例の干渉防止装置は、本願請求項2に対応するものである。
【0045】
[図1〜図6の第1実施例]
図1に示す高所作業車は、車両1上に旋回台11を設け、該旋回台11に伸縮ブーム12を起伏自在に取付けている。
【0046】
伸縮ブーム12の先端部12aには、図2及び図3に示すように、レベリングシリンダ21によって鉛直姿勢に維持される支柱20が設けられている。該支柱20には、その下部側に作業員搭乗用のバケット3がバケット取付台30を介して取付けられている一方、支柱上部側にウインチ取付台40を介して荷揚げ用のウインチ4が取付けられている。
【0047】
図3には、ウインチ取付台40を昇降させるためのウインチ昇降装置7の詳細を示している。尚、この実施例で採用しているウインチ昇降装置7及びウインチ取付台40は、図10に示す公知例のものと同構造のものであり、該公知例の説明と重複するがそれぞれ次のように構成されたものである。
【0048】
即ち、ウインチ昇降装置7は、図3に示すように、丸パイプからなる支柱20と、該支柱20内に内装された角パイプからなる昇降パイプ25と、該昇降パイプ25を支柱20に対して昇降させる昇降シリンダ22とを有している。尚、昇降パイプ25は、角パイプ製であって、丸パイプ製の支柱20に対して昇降可能であるが支柱20に対して回転しないものである。
【0049】
昇降パイプ25の上部には、丸パイプ26が立設されており、該丸パイプ26にウインチ取付台40側の回転パイプ(後述する)42を回転自在に外嵌合させている。尚、ウインチ取付台40の構成については後述する。
【0050】
そして、このウインチ昇降装置7は、昇降シリンダ22の伸縮操作により、支柱20に対して昇降パイプ25及び該昇降パイプ25上に装備されているウインチ取付台40(ウインチ装置全体)を昇降させ得るようになっている。尚、図2は、ウインチ装置全体が降下した状態(昇降シリンダ22の縮小状態)であり、図4は、ウインチ装置全体が上昇した状態(昇降シリンダ22の伸長状態)である。
【0051】
ウインチ取付台40は、図2及び図3に示すように、ウインチ4を支持したウインチ支持アーム41と、支柱20(昇降パイプ25の上部の丸パイプ26)に対して水平面内で回転可能な回転パイプ42と、該回転パイプ42の側面に固定したアーム支持台43と、該アーム支持台43とウインチ支持アーム41との間に介設したジブ揺動シリンダ23と、それらの外側を囲繞しているカバー体46とを有したものである。
【0052】
ウインチ支持アーム41には、所定長さのジブ51を取付けている。そして、ウインチ4からのロープ52の先端をジブ51の先端部まで導き、該ジブ先端部のシーブを介してロープ先端にフック53を吊下げている。
【0053】
このウインチ取付台40は、ウインチ支持アーム41、ウインチ4及びジブ51を含めて、支柱20(昇降パイプ25上部の丸パイプ26)に対して手動(人力)で水平旋回させ得るようになっている。
【0054】
ジブ揺動シリンダ23は、ウインチ支持アーム41を介してジブ51を上下に揺動させるものであるが、該ジブ揺動シリンダ23は所定のストロークを有している。そして、このジブ揺動シリンダ23のチューブ側端部23aは、支柱20から外方にかなり離れた位置で且つカバー体46全体のかなり低い位置においてシリンダ取付台45に支持されている。従って、カバー体46におけるジブ揺動シリンダ23及びシリンダ取付台45を囲う部分(符号47部分)は、該カバー体46の全高中のかなり下方で且つ該カバー体46の旋回中心(支柱20の中心)からかなり外方に突出した位置にある。尚、本願実施例においても、カバー体46の符号47で示す外方且つ下方突出部分を単に突出部47という。
【0055】
バケット3は、支柱20に対してバケット取付台30を介して水平旋回させ得るように取付けている。そして、バケット取付台30を支柱20に対してバケット旋回装置5で回転させることで、バケット3を支柱20の回りで水平旋回させ得るようになっている。
【0056】
又、この実施例では、バケット3をバケット取付台30に対してバケット昇降装置6で昇降させ得るようになっている。このバケット昇降装置6は、昇降シリンダ61と2系統のチエン63,64とを使用し、昇降シリンダ61の伸縮量に対してバケット3をその2倍長さだけ昇降させ得るようになっている。そして、昇降シリンダ61が縮小状態では、バケット3がバケット取付台30に対して下動位置(図2及び図4の実線図示位置)にあるが、該昇降シリンダ61を伸長させると、図4に鎖線図示(符号3′)するようにバケット取付台30に対して上動するようになっている。尚、バケット昇降装置6によるバケット3の昇降操作は、高所作業時においてバケット3を小高さだけ昇降させる際に行われる。
【0057】
図1〜図4に示す高所作業車では、地上から荷物(例えばトランス)Yをバケット3の近傍まで吊り上げるのにウインチ4を使用するが、図2に示すようにウインチ取付台40が下動位置にある状態でフック53で吊った荷物Yをもう少し持ち上げたいとき(荷物下面Yaをバケット上面3aより高くまで持ち上げるとき)には、図2の状態からウインチ昇降装置7(昇降シリンダ22)を伸長させることで、荷物Yを図4に示す高さまで持ち上げることができる。
【0058】
又、フック53で吊持した荷物Yにバケット3を近づける際には、バケット旋回装置5でバケット3を水平旋回させることで行う。尚、荷物Yを吊持したジブ51を手動で旋回させようとすると、操作が重いとともに荷物Yが振れるので危険であり、実際にはバケット3を荷物Yに近づけることで行っている。
【0059】
そして、上記の「背景技術」の項で記載したように、バケット3を左旋回方向又は右旋回方向に大きく旋回させると、バケット3の上面3aの外形の一部(操作部がある突出部分)がウインチ取付台40側の上記突出部47に対して上下に重合する位置まで移動することがある。
【0060】
ところで、図4に示すようにウインチ取付台40が支柱20に対して上動位置にある状態では、バケット3を図4における符号3″で示すようにウインチ取付台40側の突出部47の直下まで旋回させても衝突等の不都合は生じないが、図2に示すようにウインチ取付台40が支柱20に対して下動位置にある状態(高さHの範囲でバケット3と突出部47とが上下に重合している状態)で、オペレータがそれに気付かずにバケット旋回装置5を操作してバケット3を左又は右に大きく旋回させると、バケット3の上部寄り外形部分がウインチ取付台40側の突出部47に衝突するという問題が発生する。
【0061】
そこで、本願第1実施例の干渉防止装置は、図5に示すように、バケット3の旋回動作時にバケット外形がウインチ取付台40側の突出部47に対して上下に重合する位置まで移動できないようにしたもので、具体的には次の構成を有している。
【0062】
即ち、この第1実施例では、図2〜図5(及び図6のブロック図)に示すように、支柱20に対するバケット3の指向角度を検出するバケット指向角度検出器13と、同じく支柱20に対するウインチ取付台40(突出部47)の指向角度を検出するウインチ取付台指向角度検出器14とを有している。そして、このバケット指向角度検出器13とウインチ取付台指向角度検出器14は、例えばそれぞれポテンショメータが使用可能であって、バケット3やウインチ取付台40(突出部47)が支柱(基準位置)20に対してどの方向に向いているのかをそれぞれ検出して、その各検出角度信号をそれぞれコントローラ10に入力し得るものである。尚、バケット指向角度検出器13は、支柱20とバケット取付台30との間に設けており、ウインチ取付台指向角度検出器14は、支柱上部の丸パイプ(旋回軸となる)26とウインチ取付台40との間に設けている。
【0063】
他方、図6に示すように、コントローラ10にはバケット危険側作動規制手段16が組み込まれているが、このバケット危険側作動規制手段16は次の構成を有している。
【0064】
即ち、このバケット危険側作動規制手段16には、バケット3の外形とウインチ取付台40の突出部47とが上下に重合する位置関係にあるときの相対角度範囲を規制相対角度として記憶する規制相対角度記憶手段101と、上記バケット指向角度検出器13で検出されたバケット指向角度とウインチ取付台指向角度検出器14で検出されたウインチ取付台指向角度とに基いて該バケット3とウインチ取付台40(突出部47)との現状の相対角度を演算する実際相対角度演算手段102と、規制相対角度記憶手段101に記憶させた規制相対角度(これを記憶規制相対角度という)と実際相対角度演算手段102で演算した現状の相対角度(これを実際相対角度という)とを比較する比較手段103と、該比較手段103で上記実際相対角度が上記記憶規制相対角度に達したときにバケット旋回装置5に対して危険側作動を禁止する信号を発する出力手段104とを有している。
【0065】
ところで、上記規制相対角度記憶手段101に記憶される規制相対角度としては、図5に鎖線図示するように、バケット(3′又は3″)の外形(3b′又は3b″)がウインチ取付台40側の突出部47の左右側面に対して左右各側から近接したときの、突出部指向方向Aとバケット指向方向(B′又はB″)間の相対角度が設定される。即ち、この実施例では、図5に鎖線図示するように突出部指向方向Aに対してバケット指向方向(B′又はB″)が左右からそれぞれ角度約90°まで近づいたときに、バケット外形(3b′又は3b″)がそれぞれ突出部47の側面に左右各側から近接するようになっている関係で、上記規制相対角度記憶手段101に記憶される規制相対角度としては角度90°が設定されている。
【0066】
又、上記出力手段104から発せられるバケット旋回装置5の危険側作動禁止信号は、バケット旋回モータの回転方向を、バケット3がウインチ取付台40の突出部47に近接する側に作動するのを禁止するように制御するものであって、該バケット旋回モータが安全側に回転するのは許容している。
【0067】
そして、図2〜図5に示す第1実施例の干渉防止装置は、次のように機能する。
【0068】
まず、運転中は、バケット指向角度検出器13がバケット3の指向角度を検出している一方、ウインチ取付台指向角度検出器14がウインチ取付台40(突出部47)の指向角度を検出していて、それらの指向角度検出器13,14で検出したそれぞれの指向角度に基いて、コントローラ10の実際相対角度演算手段102がバケット指向方向Bと突出部指向方向A間の現状の相対角度を常時演算している。他方、比較手段103では、実際相対角度演算手段102で刻々演算される現状の相対角度(実際相対角度)と規制相対角度記憶手段101で記憶している規制相対角度(記憶規制相対角度)とを常時比較している。そして、上記実際相対角度が上記記憶規制相対角度に達していない(実際相対角度が記憶規制相対角度より大きい)ときには、比較手段103がOFF状態であってバケット旋回装置5によりバケット3を左右いずれの方向にも旋回させることができる一方、上記実際相対角度が上記記憶規制相対角度に達した(実際相対角度が記憶規制相対角度と同じになった)と比較手段103が判断した時点で該比較手段103から出力手段104にON信号が発せられて、バケット旋回装置5に対してバケット外形(図5の3b′又は3b″)が突出部47に近接する側に作動するのを禁止するように制御される。即ち、バケット3は、図5において符号Bの指向位置からB′又はB″の指向位置までは自由に旋回できるが、B′又はB″の指向位置から突出部47が指向する符号Aの方向には旋回できないようになっている。
【0069】
このように、第1実施例の干渉防止装置では、オペレータがバケット旋回装置5に対して、バケット3を突出部47に対して上下重合する側に操作し続けても、バケット外形が突出部47の上下重合位置まで旋回する直前で、該バケット3の旋回が自動的に停止するようになっている。従って、図2に示すように、バケット3の上面3aと突出部47の下面とが上下に重合(高さH)する部分がある状態で、オペレータが誤ってバケット旋回装置5を操作し続けても、バケット外形が突出部47の側面に干渉する直前でバケット3の旋回動作が停止するので、バケットと突出部との干渉は未然に防止できる(安全性が確保される)。
【0070】
尚、この第1実施例の干渉防止装置では、ウインチ取付台40が支柱20に対して手動で旋回できるようになっていて、該ウインチ取付台40を旋回させたときにその突出部47がバケット外形に対して上下に重合する位置まで移動することがあるが、ウインチ取付台40に対する旋回力は手動(人力)であるので比較的小さい。従って、例えば図2に示すようにウインチ取付台40側の突出部47の高さがバケット上面3aの高さより低い状態で、ウインチ取付台40を旋回させてその突出部47がバケット外形3b(図2)の側面に干渉しても、そのときの衝撃は小さいものであって、そのときの影響は非常に小さいものである。
【0071】
[図7〜図8の第2実施例]
ところで、上記した図2〜図6に示す第1実施例の干渉防止装置では、ウインチ取付台40とバケット3との相対位置関係に係わりなく、ウインチ取付台40又はバケット3をそれぞれ独自に昇降させ得るようになっている。そして、例えば図4においてバケット3が符号3″で示すようにウインチ取付台40の突出部47と上下に重合する位置関係にある状態で、ウインチ昇降装置7によりウインチ取付台40を下動操作したり、あるいはバケット昇降装置6によりバケット3を上動操作をしたりすると、ウインチ取付台40側の突出部47の下面とバケット3の上面とが干渉する虞れがある。
【0072】
そこで、このような上下方向からの干渉を防止するために、図7〜図8に示す第2実施例の干渉防止装置では次の構成を有している。
【0073】
図7及び図8に示す第2実施例の干渉防止装置でも、上記第1実施例の干渉防止装置の基本構成を備えている。即ち、この第2実施例の干渉防止装置には、図7及び図8に示すようにバケット指向角度検出器13とウインチ取付台指向角度検出器14を備えている一方、コントローラ10(図8)にバケット旋回装置5の危険側作動を禁止する手段(規制相対角度記憶手段101と、実際相対角度演算手段102と、比較手段103と、出力手段106)を有していて、バケット3の外形がウインチ取付台40の突出部47に対して上下重合する位置に旋回できないようになっている。
【0074】
そして、図7及び図8に示す第2実施例の干渉防止装置では、それに加えて、ウインチ取付台40の突出部47の下面高さとバケット3の上面3aの高さとが上下に所定小間隔をもって近接したことを検出する近接状態検出器15を有している。
【0075】
この近接状態検出器15には、この実施例ではリミットスイッチが採用されている。この近接状態検出器(リミットスイッチ)15は、図7に示すようにバケット3側に取付けられていて、ウインチ取付台40の上面3aとバケット3の突出部47の下面とが寸法T(図7)で示すように所定小間隔まで近接したときに、ウインチ取付台40の下端面が当接してON作動するようになっている。
【0076】
そして、この第2実施例の干渉防止装置では、コントローラ10(図8)に、近接状態検出器15からの近接状態検出信号(ON信号)を受けて、ウインチ取付台40及びバケット3のそれぞれの昇降装置(ウインチ昇降装置7及びバケット昇降装置6)とバケット旋回装置5に対して、ウインチ取付台40とバケット3とが上下方向及び水平方向の両方向からそれぞれ近接する側に作動するのを禁止する危険側作動規制手段17を設けている。
【0077】
この危険側作動規制手段17は、具体例には、図8に示すように、近接状態検出器(リミットスイッチ)15のON・OFF状態を確認する確認手段105を有し、該確認手段105がリミットスイッチON状態を確認している(その確認信号が比較手段103に入力される)ときに、各昇降装置(ウインチ昇降装置7とバケット昇降装置6)及びバケット旋回装置5に対して出力手段106からそれぞれ危険側作動を禁止する信号が出力されるように構成されている。尚、この出力手段106から出力される危険側作動禁止信号は、バケット旋回装置5に対してはバケット外形がウインチ取付台40側の突出部47に近接する側の作動を禁止するものであり、ウインチ昇降装置7(昇降シリンダ22)に対しては縮小側動作を禁止するものであり、バケット昇降装置6(昇降シリンダ61)に対しては伸長側動作を禁止するものである。
【0078】
そして、この第2実施例の干渉防止装置では、バケット3の外形とウインチ取付台40の突出部47とが上下に重合する旋回位置にあるときにおいて、ウインチ昇降装置7を下動操作したりバケット昇降装置6を上動操作したりしたときに、ウインチ取付台40の突出部47下面とバケット3の上面とが上下に近接する高さに達した時点で、危険側作動規制手段17により、ウインチ取付台40の下動を禁止(ウインチ昇降装置7の昇降シリンダ22の縮小側動作を禁止)するとともにバケット3の上動を禁止(バケット昇降装置6の昇降シリンダ61の伸長側動作を禁止)するようになっている。
【0079】
又、危険側作動規制手段17(図8)は、第1実施例に記載した内容に対し、近接状態検出器(リミットスイッチ)15がON状態の場合にのみ、バケット外形が突出部47の側面に干渉する方向の旋回動作を規制するように構成されている。
【0080】
従って、この第2実施例の干渉防止装置では、バケット3とウインチ取付台40側の突出部47とが、バケット旋回による水平方向とウインチ取付台下動又はバケット上動による上下方向の両方からそれぞれ干渉するのを未然に防止できるものである。
【符号の説明】
【0081】
1は車両、3はバケット、4はウインチ、5はバケット旋回装置、6はバケット昇降装置、7はウインチ昇降装置、10はコントローラ、12は伸縮ブーム、12aは伸縮ブームの先端部、13はバケット指向角度検出器、14はウインチ取付台指向角度検出器、15は近接状態検出器、16はバケット危険側作動規制手段、17は危険側作動規制手段、20は支柱、22は昇降シリンダ、23はジブ揺動シリンダ、30はバケット取付台、40はウインチ取付台、46はカバー体、47は突出部、51はジブ、61は昇降シリンダである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮ブームの先端部に鉛直姿勢を維持する支柱を設け、該支柱に対してウインチ取付台とバケット旋回装置で旋回操作されるバケットとをそれぞれ水平旋回自在に装着し、前記バケットと前記ウインチ取付台との少なくとも一方を昇降装置で昇降させ得るようにし、前記ウインチ取付台の下部の一部に、前記バケットと前記ウインチ取付台とが特定の相対角度範囲内に位置するときに平面視においてバケット上面の外形と上下に重合するような突出部を有し、且つ前記バケットと前記ウインチ取付台との少なくとも一方を昇降させたときに該ウインチ取付台の突出部が前記バケット上面より下方に位置するように設定された高所作業車において、
前記バケットが前記支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するバケット指向角度検出器と、前記ウインチ取付台が前記支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するウインチ取付台指向角度検出器とをそれぞれ設けているとともに、
コントローラに、前記バケット指向角度検出器で検出されたバケット指向角度及び前記ウインチ取付台指向角度検出器で検出されたウインチ取付台指向角度とに基いて、前記バケット旋回装置に対して平面視において前記バケットの外形が前記ウインチ取付台の突出部に対して上下に重合する位置に旋回するのを禁止するバケット危険側作動規制手段を設けている、
ことを特徴とする高所作業車におけるバケットとウインチ取付台との干渉防止装置。
【請求項2】
伸縮ブームの先端部に鉛直姿勢を維持する支柱を設け、該支柱に対してウインチ取付台とバケット旋回装置で旋回操作されるバケットとをそれぞれ水平旋回自在に装着し、前記バケットと前記ウインチ取付台との少なくとも一方を昇降装置で昇降させ得るようにし、前記ウインチ取付台の下部の一部に、前記バケットと前記ウインチ取付台とが特定の相対角度範囲内に位置するときに平面視においてバケット上面の外形と上下に重合するような突出部を有し、且つ前記バケットと前記ウインチ取付台の少なくとも一方を昇降させたときに前記ウインチ取付台の突出部が前記バケット上面より下方に位置するように設定された高所作業車において、
前記バケットが前記支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するバケット指向角度検出器と、前記ウインチ取付台が前記支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するウインチ取付台指向角度検出器と、前記ウインチ取付台の突出部の下面高さと前記バケットの上面高さとが上下に近接したことを確認する近接状態検出器とをそれぞれ設けているとともに、
コントローラに、前記近接状態検出器が上記近接状態を検出しているときに、前記バケット指向角度検出器で検出されたバケット指向角度及び前記ウインチ取付台指向角度検出器で検出されたウインチ取付台指向角度とに基いて前記バケット旋回装置に対して平面視において前記バケットの外形が前記ウインチ取付台の突出部に対して上下に重合する位置に旋回するのを禁止する制御と、平面視において前記バケットの外形が前記ウインチ取付台に対して上下に重合する位置にあるときに前記近接状態検出器からの近接状態検出信号を受けて前記バケット又は/及び前記ウインチ取付台の昇降装置に対して前記バケットと前記ウインチ取付台とが上下に近接する側への作動を禁止する制御とを行う危険側作動規制手段を設けている、
ことを特徴とする高所作業車におけるバケットとウインチ取付台との干渉防止装置。
【請求項1】
伸縮ブームの先端部に鉛直姿勢を維持する支柱を設け、該支柱に対してウインチ取付台とバケット旋回装置で旋回操作されるバケットとをそれぞれ水平旋回自在に装着し、前記バケットと前記ウインチ取付台との少なくとも一方を昇降装置で昇降させ得るようにし、前記ウインチ取付台の下部の一部に、前記バケットと前記ウインチ取付台とが特定の相対角度範囲内に位置するときに平面視においてバケット上面の外形と上下に重合するような突出部を有し、且つ前記バケットと前記ウインチ取付台との少なくとも一方を昇降させたときに該ウインチ取付台の突出部が前記バケット上面より下方に位置するように設定された高所作業車において、
前記バケットが前記支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するバケット指向角度検出器と、前記ウインチ取付台が前記支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するウインチ取付台指向角度検出器とをそれぞれ設けているとともに、
コントローラに、前記バケット指向角度検出器で検出されたバケット指向角度及び前記ウインチ取付台指向角度検出器で検出されたウインチ取付台指向角度とに基いて、前記バケット旋回装置に対して平面視において前記バケットの外形が前記ウインチ取付台の突出部に対して上下に重合する位置に旋回するのを禁止するバケット危険側作動規制手段を設けている、
ことを特徴とする高所作業車におけるバケットとウインチ取付台との干渉防止装置。
【請求項2】
伸縮ブームの先端部に鉛直姿勢を維持する支柱を設け、該支柱に対してウインチ取付台とバケット旋回装置で旋回操作されるバケットとをそれぞれ水平旋回自在に装着し、前記バケットと前記ウインチ取付台との少なくとも一方を昇降装置で昇降させ得るようにし、前記ウインチ取付台の下部の一部に、前記バケットと前記ウインチ取付台とが特定の相対角度範囲内に位置するときに平面視においてバケット上面の外形と上下に重合するような突出部を有し、且つ前記バケットと前記ウインチ取付台の少なくとも一方を昇降させたときに前記ウインチ取付台の突出部が前記バケット上面より下方に位置するように設定された高所作業車において、
前記バケットが前記支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するバケット指向角度検出器と、前記ウインチ取付台が前記支柱に対して水平旋回方向のどの方向に指向しているかを検出するウインチ取付台指向角度検出器と、前記ウインチ取付台の突出部の下面高さと前記バケットの上面高さとが上下に近接したことを確認する近接状態検出器とをそれぞれ設けているとともに、
コントローラに、前記近接状態検出器が上記近接状態を検出しているときに、前記バケット指向角度検出器で検出されたバケット指向角度及び前記ウインチ取付台指向角度検出器で検出されたウインチ取付台指向角度とに基いて前記バケット旋回装置に対して平面視において前記バケットの外形が前記ウインチ取付台の突出部に対して上下に重合する位置に旋回するのを禁止する制御と、平面視において前記バケットの外形が前記ウインチ取付台に対して上下に重合する位置にあるときに前記近接状態検出器からの近接状態検出信号を受けて前記バケット又は/及び前記ウインチ取付台の昇降装置に対して前記バケットと前記ウインチ取付台とが上下に近接する側への作動を禁止する制御とを行う危険側作動規制手段を設けている、
ことを特徴とする高所作業車におけるバケットとウインチ取付台との干渉防止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−188244(P2012−188244A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53712(P2011−53712)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
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