説明

高所作業車

【課題】専ら庇部の起伏動作を行うアクチュエータを設けることなく、庇部の起伏動作を可能とする。
【解決手段】台車に対して昇降するコンテナ100と、コンテナ100上に起伏回動自在に設置された庇部200と、コンテナ100の開口部101に対して上下にスライド自在に設けられ、開口部101から機体搭載口に向かって掛け渡されるプラットホーム300と、コンテナ100が台車への格納位置にあるとき、プラットホーム300を、当該コンテナ100の開口部101に対するスライド下限位置より上方において支持する、台車に設置されたプラットホーム支持部400と、コンテナ100が台車への格納位置から上昇してプラットホーム300がスライド下限位置に達するまでの間に、コンテナ100に対して相対的にスライド下降するプラットホーム300の相対的下降力を庇部200の起立回動力として伝達する起立回動力伝達機構と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車に対してコンテナを昇降自在に保持する昇降機を備える高所作業車に関する。詳しくは、昇降機によって高所に保持したコンテナの開口部から掛架先に向かって掛け渡すプラットホームへの降雨、降雪などを防止するための庇部を備える高所作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
高所作業車のコンテナと航空機等の高所搭載口との間で荷物等の搬送物の受け渡しをする際には、コンテナが昇降機にて搭載口の高さまで上昇して保持され、コンテナの開口部から航空機の搭載口へプラットホームが延出されて掛け渡される。そして、作業者等が掛渡されたプラットホーム上を往来することで、コンテナと航空機との間で荷物等の受け渡し作業が行われる。
【0003】
現在普及している多くの高所作業車は、プラットホームへの降雨、降雪等を防止するための庇部を備えている。この庇部は、専用の油圧シリンダによって伸縮可能に構成されており、プラットホームが掛渡されると同時に、コンテナの上部から航空機の搭載口に亘って延出され、プラットホームの上方全体を覆うようになっている。
【0004】
また、上記庇部は、他の専用油圧シリンダによって、つまり、庇部を伸縮する油圧シリンダとは別異の油圧シリンダによって、起伏可能に構成されている。(例えば、特許文献1参照。)。庇部を起伏させるための構成は、庇部を延出する際に、庇部の先端部を若干上方へ起立させることで、航空機の搭載口の分厚い外開き扉との干渉を回避させるとともに、庇部を縮退して格納する際に、庇部をコンテナ上に倒伏させて高所作業車の車高をなるべく低く抑えることを目的としている。
【特許文献1】特開2006−137576号公報(第11頁、第0063段落、参照。)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、庇部を起伏させるためには、その駆動力として庇部を伸縮させる油圧シリンダとは別に起伏専用の油圧シリンダ等のアクチュエータを設置する必要がある。そのために、必然的に、配管工事の工数増加、メンテナンス等の点検数増加、生産コストの上昇などを生じていた。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、専ら庇部の起伏動作を行うアクチュエータを設けることなく、庇部の起伏動作を可能とする高所作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の高所作業車は、台車に対して昇降するコンテナと、前記コンテナ上に起伏回動自在に設置された庇部と、前記コンテナの開口部に対して上下にスライド自在に設けられ、前記開口部から掛架先に向かって掛け渡されるプラットホームと、前記コンテナが台車への格納位置にあるとき、前記プラットホームを、当該コンテナの開口部に対するスライド下限位置より上方において支持する、前記台車に設置されたプラットホーム支持部と、前記コンテナが台車への格納位置から上昇して前記プラットホームが前記スライド下限位置に達するまでの間に、前記コンテナに対して相対的にスライド下降する前記プラットホームの相対的下降力を前記庇部の起立回動力として伝達する起立回動力伝達機構と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の高所作業車は、上記構成において、前記起立回動力伝達機構は、前記コンテナとともに昇降するコンテナ側機構部と、前記プラットホームとともに昇降する下方押部と、からなり、前記コンテナ側機構部は、前記コンテナが台車への格納位置から上昇して前記プラットホームが前記スライド下限位置に達するまでの間に、一端部が前記下方押部と当接して下方に揺動される一方、他端部が上方に揺動されるように、中間部が支持された揺動部材と、前記揺動部材の他端部と前記庇部の中間部とを連結する推力伝達部材と、を備えることを特徴としている。
【0009】
これら構成によれば、起立回動力伝達機構によって、コンテナに対して相対的にスライド下降するプラットホームの相対的下降力が庇部の起立回動の駆動力として作用するので、庇部起伏用のアクチュエータを設けることなく、庇部を起立させることができる。
【0010】
また、本発明の高所作業車は、上記何れかの構成において、前記プラットホームが前記スライド下限位置に達したとき、前記下方押部と前記揺動部材の一端部との当接が保持されるように、それら下方押部と揺動部材の一端部との相互配置が定められていることを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、コンテナが所定位置より高所に保持されている間、プラットホームの相対的下降力によって、庇部の起立状態を維持することができる。
【0012】
また、本発明の高所作業車は、上記何れかの構成において、前記コンテナの上部から前方へ延出した延出フレームと、前記庇部に固設された第1係合部と、揺動して前記第1係合部と係合可能なように、前記延出フレームに支持された第2係合部と、前記第2係合部の揺動を、前記第1係合部との係合を解除する方向へ付勢する弾性体と、上下揺動自在に前記延出フレームに支持された上方押圧力受部を有し、前記上方押圧力受部の上下揺動と連動して前記第2係合部を揺動させる連動機構と、前記プラットホームとともに昇降し、前記コンテナの開口部に対する昇降に伴って、前記上方押圧力受部と当接離反する上方押部と、を備えており、前記コンテナが前記台車への格納位置へ下降する際に、前記上方押圧力受部は、前記上方押部と当接して上方揺動され、該上方揺動に連動して前記第2係合部が揺動して前記第1係合部と係合し、前記コンテナが前記台車への格納位置から上昇する際に、前記上方押圧力受部から前記上方押部が離反して、前記弾性体の付勢により、前記上方押圧力受部が下方揺動するとともに、前記第2係合部が揺動して前記第1係合部との係合を解除する、ことを特徴としている。
【0013】
かかる構成によれば、コンテナを台車に対して格納したとき、第1係合部と第2係合部が自動的に係合し、他方、コンテナを台車に対して上昇させたとき、第1係合部と第2係合部は、自動的に係合を解除する。これらの動作を、専用のアクチュエータを設けることなく実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の高所作業車によれば、庇部起伏用のアクチュエータを設けることなく、庇部を起立回動させることができる。また、コンテナの昇降動作に伴って、新たにアクチュエータを設けることなく自動的に庇部の固定及びその解除を行うことができる。これらの結果、配管工事の工数低減、メンテナンス点検数の低減、製造コストの削減などが図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、高所作業車1の左側面図であり、図2は、図1の要所部分の拡大図である。何れの図も高所作業車1のコンテナ100が台車2への格納位置にある状態を示している。この状態で、高所作業車1は道路上を走行することができる。
【0016】
高所作業車1の台車2には、図示しない昇降機を介してコンテナ100が積載されている。コンテナ100は、昇降機によって台車2に対して昇降自在に設置されている。コンテナ100上には、庇部200が設置されており、コンテナ100の前方には、コンテナ100内部の荷物等を出し入れするための開口部101が設けられている。さらに、開口部101に対して、プラットホーム300が上下にスライド自在に設けられている。
【0017】
さらに、台車2には、プラットホーム300を下から支持するプラットホーム支持部400が設置されている。プラットホーム支持部400は、コンテナ100が台車2への格納位置にあるときより、所定高さへ上昇するまで、当該コンテナ100に対してスライドして昇降しないプラットホーム300を下から支持する。
【0018】
そのほか、高所作業車1は、庇部200を起立回動させるための起立回動力伝達機構などを備える。以下、更に詳細に説明する。
【0019】
コンテナ100は、例えば箱体からなり、内部に貨物等の収容空間を有する。コンテナ100の前方には、貨物等の出し入れをするための略矩形の開口部101が設けられている。なお、コンテナ100は、貨物等の収容空間、開口部101等を有し、さらにその上部に庇部200を設置し、その前部にプラットホーム300を上下にスライド自在に設置することが可能なものであれば、コンテナ100、開口部101の形状等は上記に限定されない。
【0020】
庇部200は、コンテナ100上に起伏回動自在に設置されている。具体的には、前方となる先端側が起伏回動自在となるように、後方の基端部がコンテナ100上に軸着されている。また、庇部200は、庇部シリンダ201の伸縮動作によって伸縮可能に構成されている。庇部200は、庇部シリンダ201がフルストロークしたときに最延伸状態となり、この時、同じく最延伸状態とされたプラットホーム300の上方を完全に覆うように形状寸法が定められている。
【0021】
プラットホーム300は、水平に配される略矩形の床部301、床部301の後端両側部から上方に立ち上がったコンテナ接続部302、床部301とコンテナ接続部302とを接続する斜材303などでフレーム構成されている。床部301は、プラットホームシリンダ306の伸縮動作によって、伸縮可能に構成されている。具体的には、床部301は、主床部301aと、この主床部301a内に前後にスライド自在に設けられた副床部301bと、主床部301a及び副床部301bに両端部がそれぞれ接続されたプラットホームシリンダ306とを備えている。したがって、プラットホームシリンダ306の伸縮動作により、副床部301bが主床部301aから出退し、プラットホーム300は伸縮される。
【0022】
プラットホーム300のコンテナ接続部302は、コンテナ100の開口部101に対して上下にスライド自在に設置されている。例えば、図2〜図4に示すように、コンテナ100の開口部101の左右両側部には、長手方向を上下に向けて配された各2本の凸条部102が対向配置されている。そして、コンテナ接続部302の両外側面上下部の4箇所に凸条部102の形状に対応する断面凹状のローラ304が軸着されており、4個のローラ304が各2本の凸条部102の間にそれぞれ走行自在に嵌入されている。
【0023】
また、図4に示すように、各2本の凸条部102間の下端位置には、ローラ304の移動下限を規制するストッパ104が設置されている。プラットホーム300の下側に設けられている2個のローラ304がストッパ104に当接したときが、プラットホーム300のコンテナ100の開口部101に対するスライド下限位置となる。なお、安全のために凸条部102及びローラ304は、防護カバー103で覆われている。
【0024】
プラットホーム支持部400は、図1及び図3に示すように、台車2に固設されており、コンテナ100が台車2への格納位置にあるとき、プラットホーム300を、コンテナ100の開口部101に対するスライド下限位置より上方において支持するように設置されている。
【0025】
起立回動力伝達機構は、コンテナ100が台車2への格納位置から上昇してプラットホーム300がスライド下限位置に達するまでの間に、コンテナ100に対して相対的にスライド下降するプラットホーム300の相対的下降力を庇部200の起立回動力として伝達する伝達機構である。したがって、上記伝達を実現する機構であれば、特定の機構に限定されない。以下では、上記伝達を実現する機構の一例について詳述する。
【0026】
本実施の形態に係る起立回動力伝達機構は、コンテナ100とともに昇降するコンテナ側機構部と、プラットホーム300とともに昇降する下方押部305とで構成されている。
【0027】
コンテナ側機構部は、両端部が相反して上下揺動するように中間部がコンテナ100の前端部にブラケット503を介して軸支された揺動部材501と、この揺動部材501の他端部501cと庇部200の中間部とを連結して推力を伝達する推力伝達部材502とで主に構成されている。
【0028】
揺動部材501及び推力伝達部材502の設置位置、寸法形状等は、庇部200が水平に倒伏状態のとき、揺動部材501の一端部501bがその支点501aより上位置に、推力伝達部材502に連結されている他端部501cがその支点501aより下位置に配されるように定められている。
【0029】
揺動部材501と下方押部305との相互配置は、コンテナ100が台車2への格納位置にあるとき、揺動部材501は下方押部305の下方へ離反しており、コンテナ100が台車2への格納位置から上昇してプラットホーム300がスライド下限位置に達するまでの間に、揺動部材501の一端部501bが下方押部305と当接して下方揺動されるように定められている。
【0030】
なお、揺動部材501の一端部501bには下方押部305との当接摺動を円滑にするためのローラが設けられている。また、下方押部305は、軸芯を左右方向へ向けて斜材303を介してプラットホーム300に設置された円柱体ないし円筒体からなる軸材に回転自在に外嵌され、揺動部材501との当接位置調整等が行われた後に当該軸材に溶接等により固定されている。
【0031】
プラットホーム300は、下方押部305が揺動部材501の一端部501bを下方揺動させてスライド下限位置に達するのに必要な重量を有する。
【0032】
次に、庇部200の固定機構について説明する。図2に示すように、水平状態に倒伏した庇部200は、高所作業車1の走行時に、走行振動等によって揺動しないよう、固定機構によってコンテナ100の上部から前方へ延出した延出フレーム602に固定される。そのために、以下に詳述する手段が講じられている。
【0033】
庇部200の中間部には、第1係合部601が固設されている。第1係合部601は、後記する第2係合部と係合する形状、例えば図示するような下向き鉤形状を有している。なお、第2係合部603との係合が可能であれば、第1係合部601を庇部200の先端部に固設してもよい。
【0034】
延出フレーム602は、コンテナ100の開口部101の左右上隅部からそれぞれ延出して合計2本設置されている。この延出フレーム602は、例えば、プラットホーム300の両側部に配される側面ガード(不図示)を吊り下げるためにも使用される。
【0035】
各延出フレーム602の外側面の第1係合部601と対応する箇所には、揺動して第1係合部601と係合可能な第2係合部603が設けられている。第2係合部603は、第1係合部601と係合する形状、例えば図示するような上向き鉤形状を有している。
【0036】
第2係合部603より後方側には、略L字状のリンク部材604が、一方の腕部604aを略上方へ、もう一方の腕部604bを略後方へ向けた状態で各延出フレーム602の外側面に軸支されている。
【0037】
リンク部材604の一方の腕部604aは、第2係合部603と連動して揺動するように、第2係合部603と連結部材605によって連結されている。連結部材605には、弾性体606が接続されており、この弾性体606は、連結部材605を介して、第2係合部603の揺動を、第1係合部601との係合を解除する側へ付勢している。この弾性体606は、例えば、一端が連結部材605に接続され、他端が延出フレーム602に撓み量調整手段606aを介して接続されたコイルばね606で構成される。弾性体605は、第2係合部603の揺動を、第1係合部601との係合を解除する側へ付勢するものであればよく、上記構成に限定されない。例えば、弾性体をねじりコイルばねとし、これを第2係合部603の軸周囲に設置することにより、第2係合部603のの揺動を、第1係合部601との係合を解除する側へ付勢することも可能である。なお、第2係合部603が係合解除側へ揺動した際に、その揺動を係止して第2係合部603の揺動範囲を規制する揺動止端部608が、延出フレーム602に設けられている。
【0038】
プラットホーム300の斜材303には、プラットホーム300とともに昇降する上方押部607が設置されている。この上方押部607は、コンテナ100の開口部101に対する昇降に伴ってリンク部材604の後方向き腕部604bと当接離反するように配置されている。プラットホーム300がプラットホーム支持部400に支持されて停止しているときに、コンテナ100が下降して台車2への格納位置に達する直前に、リンク部材604の後方向き腕部604bに下から当接して、当該腕部604bを上方揺動する。さらに、上方押部607は、コンテナ100が下降して台車2への格納位置に達したとき、当該腕部604bを上方揺動した状態で保持するような位置に設置されている。
【0039】
なお、以上に説明した庇部200の固定機構においては、上下揺動自在に延出フレーム602に支持されたリンク部材604の腕部604bは、上方押部607の上方押圧力を受ける上方押圧力受部となっている。また、リンク部材604の腕部604bを除く部分及び連結部材605は、前記上方押圧力受部の上下揺動と連動して第2係合部603を揺動させる連動機構となっている。しかし、前記連動機構は、上方押圧力受部の上下揺動と連動して第2係合部603を揺動させるものであればよく、図示する部材構成に代えて、他のリンク機構により構成することも可能である。
【0040】
以下、コンテナの昇降動作及びそれに伴う各部の動作ついて図2、図5〜図7に基づいて説明する。
【0041】
図2は、コンテナ100が台車2に対して格納位置にある状態を示している。このとき、プラットホーム支持部400は、プラットホーム300をコンテナ100の開口部101に対するスライド下限位置より上方において支持している。また、下方押部305と揺動部材501の一端部501bとは離れている。また、庇部200は水平倒伏状態にあり、従って、推力伝達部材502は最下降状態にあり、揺動部材501の一端部501bは支点50aより上方に配され、他端部501cは支点501aより下方に配されている。
【0042】
一方、リンク部材604の腕部604bは、上方押部607により上方押圧されて、上方揺動された状態が維持されている。この上方押圧力は、第2係合部603を第1係合部601と係合する側へ揺動するように作用し、第1係合部601と第2係合部603とが係合して庇部200が延出フレーム602に固定されている。
【0043】
図5に示すように、コンテナ100を昇降機(不図示)にて上昇させると、プラットホーム300は、コンテナ100に対してスライド自在に設置されているので、上昇をせずにプラットホーム支持部400上での停止状態を維持し、プラットホーム300は、コンテナ100に対して相対的にスライド下降する。
【0044】
このとき、リンク部材604の腕部604bもコンテナ100とともに上昇するため、プラットホーム300とともに停止状態を維持している上方押部607と腕部604bとは互いに上下に離反して、腕部604bに対する上方押圧力が開放される。すると、第2係合部603が、第1係合部601との係合を解除する側へ弾性体606によって揺動され揺動止端部608に係止され、上記係合が解除される。つまり、庇部200の延出フレーム602への固定が解除される。
【0045】
図6に示すように、さらに、コンテナ100が上昇を続け、プラットホーム300がコンテナ100の開口部101に対する下限位置に達する際ないしはその直前に、プラットホーム300に設置された下方押部305が揺動部材501の一端部501bに当接してそれを下方揺動させる。すると、支点501aを中心に他端部501cが上方揺動し、該他端部501cに接続された推力伝達部材502を介して庇部200の中間部に対して上方推力が作用し、庇部200は、推力伝達部材502のストロークに対応する角度分だけ、基端部の支点を中心とした起立回動を行う。
【0046】
その後間もなく、プラットホーム300がコンテナ100の開口部101に対するスライド下限位置に達すると、下方押部305は、揺動部材501の一端部501bを下方押圧しつつ所定量下方揺動した状態を維持する。すなわち、そうなるように、下方押部305、揺動部材501、スライド下限位置等の寸法、配置等が定められている。
【0047】
その後、プラットホーム300はコンテナ100とともに上昇しつつ、庇部200の起立回動角度θは、維持される。
【0048】
図7に示すように、さらにコンテナ100が上昇を続け、コンテナ100の開口部101が機体700の搭載口701の高さまで上昇すると、昇降機の上昇動作が停止され、コンテナ100等の高さがそのまま保持される。
【0049】
そして、プラットホームシリンダ306及び庇部シリンダ201の延伸動作により、プラットホーム300及び庇部200が機体700まで延伸され、プラットホーム300が、掛架先である搭載口701へ向かって掛渡される。
【0050】
一方、起立回動された状態で延伸される庇部200の先端部は、搭載口700の外開き扉701aを回避してその扉701aの上方近傍に配される。延伸動作を完了した庇部200は、プラットホーム300の上方全体を覆い、プラットホーム300は、降雨、降雪等から保護される。
【0051】
機体700の搭載口701とコンテナ100との間での貨物等の受け渡し作業が完了した後、プラットホームシリンダ306及び庇部シリンダ201の縮退動作により、延伸されたプラットホーム300及び庇部200は、当初の最短状態へ戻される。
【0052】
そして、昇降機によりコンテナ100を降下させると、各部は前述とは逆の動作を行って、図2に示した初期状態へと戻る。
【0053】
すなわち、コンテナ100及びプラットホーム300が下降を開始すると、先ず、プラットホーム300が支持部400に支持される(図6参照、但し矢印はコンテナ上昇時の説明を示す。)。
【0054】
その後、プラットホーム300は、コンテナ100の開口部101に対してスライド上昇し、コンテナ100とともに下降を続ける揺動部材501は下方押部305から下方へ離反する。すると、庇部200の起立回動力として作用していた推力伝達部材502の上方推力が消失して、庇部200は自重により水平状態になるまで倒伏回動し、揺動部材501は、一端部501bが支点501aより上方へ、他端部501cが支点501aより下方へ配される(図5参照、但し矢印はコンテナ上昇時の説明を示す。)。
【0055】
更にコンテナ100が下降を続けると、図2に示すように、既に下降を停止している上方押部607がリンク部材604の後方向きの腕部604bに当接して上方押圧力を与えて上方揺動させる。すると、それに連動して同リンク部材604の腕部604aが連結部材605を介して第2係合部603を第1係合部601と係合する側へ揺動する。ここで、第2係合部603を揺動する力は、弾性体606の付勢力より十分に大きい。
【0056】
第1係合部601と第2係合部603とが係合すると、庇部200が延出フレーム602に固定される。そして、コンテナ100が台車2への格納位置まで完全に降下すると、高所作業車1は、道路上を走行できる状態となる(図1参照)。
【0057】
本発明の実施の形態においては、起立回動力伝達機構、庇部200の固定機構は、左右両側部にそれぞれ1セットずつ設けられているが、配置、個数はこれらに限定されない。例えば、プラットホーム300が耐えるべき最大荷重が小さいときには、左右片側に1セットずつ設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、台車に対してコンテナを昇降自在に保持する昇降機を備える高所作業車であって、昇降機によって高所に保持したコンテナの開口部から掛架先に向かって掛け渡すプラットホームと、当該プラットホームへの降雨、降雪等を防止する庇部とを備える高所作業車に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係る高所作業車の左側面図である。
【図2】図1の要所を拡大した拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る高所作業車のプラットホームの平面図である。
【図4】コンテナの開口部に対するプラットホームのスライド下限位置を決めるストッパの配置を示した部分正面図である。
【図5】庇部の固定が解除された状態を示す高所作業車の左側面図である。
【図6】庇部が起立回動した状態を示す高所作業車の左側面図である。
【図7】庇部及びプラットホームが機体側へ延伸された状態を示すコンテナ、庇部、プラットホーム等の左側面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 高所作業車
2 台車
100 コンテナ
101 コンテナの開口部
104 ストッパ
200 庇部
300 プラットホーム
305 下方押部
400 プラットホーム支持部
501 揺動部材
502 推力伝達部材
601 第1係合部
602 延出フレーム
603 第2係合部
606 弾性体
604b 上方押圧力受部
604a、605 連動機構
607 上方押部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車に対して昇降するコンテナと、
前記コンテナ上に起伏回動自在に設置された庇部と、
前記コンテナの開口部に対して上下にスライド自在に設けられ、前記開口部から掛架先に向かって掛け渡されるプラットホームと、
前記コンテナが台車への格納位置にあるとき、前記プラットホームを、当該コンテナの開口部に対するスライド下限位置より上方において支持する、前記台車に設置されたプラットホーム支持部と、
前記コンテナが台車への格納位置から上昇して前記プラットホームが前記スライド下限位置に達するまでの間に、前記コンテナに対して相対的にスライド下降する前記プラットホームの相対的下降力を前記庇部の起立回動力として伝達する起立回動力伝達機構と、を備えることを特徴とする高所作業車。
【請求項2】
前記起立回動力伝達機構は、前記コンテナとともに昇降するコンテナ側機構部と、前記プラットホームとともに昇降する下方押部と、からなり、
前記コンテナ側機構部は、前記コンテナが台車への格納位置から上昇して前記プラットホームが前記スライド下限位置に達するまでの間に、一端部が前記下方押部と当接して下方に揺動される一方、他端部が上方に揺動されるように、中間部が支持された揺動部材と、
前記揺動部材の他端部と前記庇部の中間部とを連結する推力伝達部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車。
【請求項3】
前記プラットホームが前記スライド下限位置に達したとき、前記下方押部と前記揺動部材の一端部との当接が保持されるように、それら下方押部と揺動部材の一端部との相互配置が定められていることを特徴とする請求項2に記載の高所作業車。
【請求項4】
前記コンテナの上部から前方へ延出した延出フレームと、
前記庇部に固設された第1係合部と、
揺動して前記第1係合部と係合可能なように、前記延出フレームに支持された第2係合部と、
前記第2係合部の揺動を、前記第1係合部との係合を解除する方向へ付勢する弾性体と、
上下揺動自在に前記延出フレームに支持された上方押圧力受部を有し、前記上方押圧力受部の上下揺動と連動して前記第2係合部を揺動させる連動機構と、
前記プラットホームとともに昇降し、前記コンテナの開口部に対する昇降に伴って、前記上方押圧力受部と当接離反する上方押部と、を備えており、
前記コンテナが前記台車への格納位置へ下降する際に、前記上方押圧力受部は、前記上方押部と当接して上方揺動され、該上方揺動に連動して前記第2係合部が揺動して前記第1係合部と係合し、
前記コンテナが前記台車への格納位置から上昇する際に、前記上方押圧力受部から前記上方押部が離反して、前記弾性体の付勢により、前記上方押圧力受部が下方揺動するとともに、前記第2係合部が揺動して前記第1係合部との係合を解除する、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の高所作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−222349(P2008−222349A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60757(P2007−60757)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】