説明

高揮発性物質コークスからピッチを抽出しそしてそれをその場でコーティングすることによるコーティングされた黒鉛陽極粉末の製造

本発明は再充電可能なリチウムイオン電池を包含する電池中での使用のための炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法に関し、この方法は他の生成物における前駆体としてのそしてより好ましくは他の粉末または粒子生成物用のコーティング物質としての使用のための副生物である等方性ピッチを包含する。この方法は高揮発性物質生コークス粉末からの揮発性物質の溶媒抽出段階を包含する。所望する量の揮発性物質が抽出された時に、溶媒強度を変更して揮発性物質の一部を粉末粒子上に沈殿させてそれをコーティングする。コーティングされそして溶媒抽出された粒子は次に溶媒から分離されそして酸化的に安定化され、次に炭化されそして好ましくは黒鉛化される。溶媒中に残存する揮発性物質は価値がありそして他の方法および他の生成物中での使用のために回収される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に関するクロス−リファレンス】
【0001】
なし。
【連邦支援研究または開発に関する言及】
【0002】
なし
【技術分野】
【0003】
本発明はリチウム−イオン電池(batteries)の負極中での使用のための物質およびそのような物質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
再充電可能なリチウム−イオン電池技術は、その軽い重量、高い電圧、高い電気化学当量および良好な導電率の理由により、携帯電力システム中でのより広い応用のための魅力的な技術である。ハイブリッドもしくはプラグインまたは他の技術のいずれであろうとも、自動車推進システムにおける電池動力の広範な有望性があるため、リチウム−イオン電池を改良して予測される市場の要望に合わせそして広範な実施から生ずるであろう持続的な収益および価値の多くを獲得するために多大な努力がなされてきた。商業用のリチウム−イオン電池に応用されるであろう一つの開発はリチウム−イオン電池の陽極すなわち負極上での使用のための炭素コーティングされた黒鉛粉末である。黒鉛はリチウムイオンの効率的な挿入および離脱を与えながら、炭素コーティングが電気導電性および電池内での電解質からのその下にある黒鉛の保護を促進する。高い第一サイクル効率および長いサイクル寿命は陽極内のそのような物質でより容易にされうる。
【0005】
しかしながら、大体いずれを用いても、改良された性能またはより軽い重量のような改良された特徴は常に望まれておりそしてより低価格で高性能を与えることに対する願望が常に存在する。炭素コーティングされた黒鉛粒子の最新の製造方法では、出発物質は石油コークスから得られる。コークスをコーティング前にか焼することができまたはそれがコーティングされた後にか焼することもできる。コーティングは選択的沈殿方法により適用され、そこでは炭素残渣生成物質、好ましくは高分子量石油ピッチ、を溶媒の中に溶解させる。コークス粒子がピッチ溶液に加えられそしてさらなる溶媒または他の液体の添加により溶媒強度が変更されてピッチ中でより高分子量の種を生成させて粒子上に沈殿させる。コーティングされたコークス粒子は次にコーティング工程から除去されそして高められた温度において酸素の存在下で安定化され、そして不活性環境中で安定化温度より高い温度において黒鉛化される。この方法は2008年1月29日に発行された我々の同一所有権者の特許文献1に一般的に記述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,323,120号明細書
【発明の概要】
【0007】
実際に小さい粒子寸法の黒鉛物質を製造しそして粒子寸法分布を調整して予め決められた平均または中数値を有する予め決められた粒子寸法範囲を電池製造業者に製造業者の仕様に応じて送達しうることは非常に望ましい。迅速且つ安価な方法で低価格の前駆体を用いてそのような物質を製造しうることはなおさら理想的であろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、そのさらなる利点と一緒になって、添付図面と共に以下の記述を参照することにより最も良く理解されうる。
【図1】図1は本発明の基本的段階を示す工程のフローチャートである。
【図2】図2は本発明の方法の別の態様を示す工程のフローチャートである。
【図3】図3は溶媒抽出された揮発性物質を有していた高揮発性物質コークス粒子の走査電子顕微鏡写真像である。
【図4】図4は本発明の方法により製造される粒子の走査電子顕微鏡写真像でありそして特にコークス粒子からその場で抽出されそして次にその上に選択的にコーティングされている揮発性物質でコーティングされた高揮発性物質コークス粒子を示す。
【発明の詳細な記述】
【0009】
本発明の記述、議論および理解は、それが電池に関する種々のパラメーターおよび品質に関する限り、いくつかの定義を示すことにより助けられるであろう。ここで使用される際には、用語は簡単さのために当該技術におけるそれらの一般的な意味を有することが意図されるため、具体的な定義は混乱を避けそして明白な理解を助けるために与えられている。
【0010】
「素電池(cell)」は電気エネルギーを貯蔵しそして放出するために使用される基本的な電気化学ユニットである。
【0011】
「電池(battery)」は適当な連続/並行配置で電気的に相互連結されて要求される操作電圧および電流水準を与える2個もしくはそれ以上の電気化学素電池である。一般的な使用では、用語「電池」は単一素電池装置にも適用される。
【0012】
「陽極」は素電池の負極である。
【0013】
「陰極」は素電池の正極である。
【0014】
「比容量」は単位重量当たりの充電された素電池内で利用可能な電気エネルギーでありそしてmAh/gまたはmAh/ccの単位で示される。
【0015】
「クーロン効率(%)」は電極物質から放電された電荷の量対電極を放電前の状態に充電するために使用される電荷の量の比である。
【0016】
「電極電位」は当該電極および他の電極(基準電極)の間の電圧である。
【0017】
「電力」は単位時間あたりに放出されるエネルギーを意味する。
【0018】
「安定化」は炭素−残渣−生成物質(CRFM)の粒子を不溶性にさせてその後の熱処理の温度が安定化したCRFMの瞬間融点を越えない限りその後の熱処理中にCRFM粒子の表面が軟化または溶融せずそして隣接するCRFM粒子に融合しないようにする工程である。
【0019】
「炭化」は炭素含有化合物を「実質的に炭素」であるとして特徴づけられる物質に転化するための熱工程である。「実質的に炭素」は、ここで使用される際には、少なくとも95重量%の炭素である。
【0020】
「黒鉛化」は炭素含有化合物を少なくとも99%の炭素であるとして特徴づけられる物質に転化するためのグラフェン(graphene)シートの形成および互いの頂部上で
のシートの整列または積層を包含する熱工程である。
【0021】
「炭素−残渣−生成物質(CRFM)」は、不活性雰囲気中で600℃の炭化温度または約1600℃までのさらに高い温度で熱分解される時に、「実質的に炭素」である残渣を生成するいずれかの物質である。ピッチは炭素−残渣−生成物質である。
【0022】
前記のことを理解すると、本発明は電池の陽極中でのそして特に再充電可能なリチウム−イオン電池の陽極中での使用のための炭素コーティングされた黒鉛粉末の製造方法に関する。この方法は内部に高揮発性物質を有する生コークスをコーティングするためのその場での方法を特に包含する。約10%〜30%の間の揮発性物質含有量は高いと考えられる。揮発性物質はピッチに類似点がありそして炭素−残渣−生成物質である。生コークス中の揮発性物質の少なくとも一部は抽出されそして粒子をコーティングするために使用される。本発明のある部分は他の粒子上のコーティングとして残るもの以外の揮発性物質を生コークスから回収してそれを電池の中でそして他の技術において使用される他の物質を製造するために使用しうることである。
【0023】
図1に見られるように、この方法は基本的には10−30%の揮発性物質含有量を有する粉砕された生コークスを芳香族溶媒、例えばベンゼン、トルエンまたはキシレンと、0.5:1−5:1の溶媒対コークス比で50℃より高いそしてより好ましくは200℃より高い温度においてそして周囲圧力またはそれ以上において、混合することで始まる。揮発性物質の少なくとも一部が溶媒により生コークスから抽出された後に、反溶媒を懸濁液に加えて揮発性物質を沈殿させる。コークス粒子は揮発性物質を沈殿させるための核生成部位として機能しそしてその結果として揮発性物質が表面上に分布されて粒子をコーティングする。
【0024】
典型的には、溶媒処理/抽出は閉鎖容器またはオートクレーブの中で行われる。高められた温度における溶媒懸濁液は、溶媒および温度によるが、閉鎖容器内で200psiまでの圧力を自生的に発生させうる。コークスが製造される精製所における生コークスの処理条件が可溶性ピッチおよび油の入手可能な分子量範囲を決める。揮発性物質を抽出するために使用される溶媒の量およびタイプを選択して抽出される油の分子量範囲を調節する。粒子上の揮発性物質の沈殿を生ずるために使用される反溶媒の量およびタイプがコーティングの厚さおよび軟化点を決める。
【0025】
この方法の次の段階は溶媒−処理されそしてコーティングされたばかりの生コークスを溶媒から除去することである。これは好ましくは濾過により行われるが、粒子固体を液体から分離するためのいずれかの他の適当な方法でも満足がいくであろう。他の有望な技術は遠心分離、傾斜および蒸発分離をおそらく包含する。溶媒−処理された生コークスは好ましくは低溶媒強度溶媒、例えば溶媒と反溶媒の混合物、で洗浄されて残存しているかもしれない望ましくない可溶性油を除去する。溶媒−処理された生コークス粒子を次に空気中でまたは他の適度な条件において乾燥して溶媒をコーティングから除去する。より高い炭素数の炭化水素類が典型的には最初に揮発性成分から沈殿しそしてそれらは溶媒なしでは大気条件において実質的に不溶性である。
【0026】
好ましくはコーティングは酸素の存在下での高められた温度における安定化によりさらに処理される。安定化処理の温度が典型的にはほぼ室温で始まり約350℃まで毎分約1℃ずつ高まり、それが約2時間保たれるため、温度が高まる間にピッチコーティングが酸化しそして不溶性になり始める。温度の傾斜があまりに速すぎるかまたは温度における増加に伴い酸化が適切に進行しない場合には、ピッチコーティングは粘着性になり始めそして粒子が一緒に融合するようである。粒子の融合はいくつかの理由のために望ましくなく、1)それは粒子の未調節の分布および所望するものより大きい粒子の部分を有する生成
物をもたらし、2)所望するものより大きい粒子は電池中の粒子の処理を困難にし、そして3)個別の粒子を分離するための融合した粒子の粉砕は表面積が大きく且つ電池中で使用される電解質の分解に触媒作用を与えうるぎざぎざのある表面を作成するようである。さらに重要なことに、電解質分解は電池の性能を劣化させる。電解質分解は非常に望ましくないため、滑らかな表面、丸くされた形状、および低い表面積を有する黒鉛陽極物質が望ましい。それ故、酸化的安定化を適切に進行させるような温度の調節された傾斜が好ましい。
【0027】
粒子が約325℃〜350℃の温度において安定化されたら、粒子を不活性環境中で600℃〜1600℃の温度において炭化する。この工程中に、コーティングおよびその下にあるコークス粒子内の非−炭素成分を炭素が粒子の重量の少なくとも約95%を構成する点まで減少させる。
【0028】
最後に、粒子を不活性環境中で少なくとも2200℃までそして好ましくは少なくとも2500℃までそしてより好ましくは少なくとも2800℃まで加熱することにより黒鉛化する。典型的には、黒鉛化温度は3200℃より高くない。黒鉛化は炭素結晶のぎっしり配置されたシートまたは面を作成し、それらがリチウムイオンを間に収容する。粒子コーティング中の黒鉛はシートまたは面の端部を閉じるシートを形成し、そして電解質が下にある粒子の長いシートまたは面との有害な副反応に関与することを実質的に防止する。これは酸化的安定化中の炭素の固定により引き起こされて黒鉛化中にコーティングが固定されそして下にある粒子の面またはシートパターンに沿って続いたりまたは伝搬するのをできなくすると信じられている。さらに、導電率を高めるための他の添加剤を必要とせずに、黒鉛コーティングは電子に関する電気導電性を与えてリチウムイオンから陽極箔にそして循環路を通って電池外に移動する。
【0029】
本発明の随意面として、生コークスを電池用の陽極中での使用のための他の適当な物質、例えば天然黒鉛、珪素、錫、またはリチウムチタナイト、と共に供給できる。生コークス中の揮発性物質を使用して溶媒懸濁液中のコークス粒子および全ての付随基質の両者をコーティングするであろう。例えば珪素または錫の如き付随基質が使用される場合には、それが融合しそして珪素、錫、またはリチウムチタナイト粒子を分解するであろうために黒鉛化は省かれる。
【0030】
第二の態様では、反溶媒を加えるよりむしろ、追加量の溶媒を懸濁液に加えて溶媒対コークス比を高めて比を少なくとも2:1そして約20:1までの間にする。図2は溶媒比における増加を強調する第二の態様を説明する。常識では溶媒懸濁液へのさらなる溶媒の添加は揮発性物質のコークス粒子からのさらなる抽出を引き起こすことが示唆されるが、より高い濃度は実際には溶媒の溶媒強度を低下させて揮発性物質を沈殿させそしてそれにより本来の方法によるコーティングと同様な方法で粒子をコーティングする。
【0031】
両方の態様において、何が内部に溶解されていようとも液体溶媒物質は固体から分離されてピッチ物質を回収しそして他の方法において他の粒子をコーティングするために使用することができる。電池中での使用のための粉末をコーティングするためのピッチ物質原料は限定されておりそして多様な供給業者はない。それだけでも、低価格ピッチの供給はピッチをそれらの物質のコーティング用に使用しうることに関する問題点である。有用な陽極電池粉末を同時に製造する方法における生コークスからのピッチ抽出はピッチ用の代替原料を与えそして価値ある生成物が他の生成物用の前駆体を収集する工程において製造されるという点で大成功状況である。
【0032】
ピッチは溶媒流体または溶媒/反溶媒配合流体から既知の手段、例えば蒸留、ワイプドフィルム蒸発、または他の技術、により分離することができる。さらに、回収可能な揮発
性物質を処理または熱処理して等方性ピッチを変更させてメソゲン含有量を増加させることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を開示するための実施例が提示される。第一の実施例は最終生成物であるコークス粒子がコーティングされない対照例である。第二の実施例の最終生成物はピッチ−コーティングされたコークス粒子である。
【実施例1】
【0034】
16.6μmの平均直径を有するロデオ・リファイナリー(Rodeo Refinery)からの20g量の微粉状にされた陽極等級の高揮発性物質生コークスを20ミリリットルのトルエン(1:1溶媒対ピッチ比)とステンレス鋼パルオートクレーブの中で一緒にした。コークス−トルエンスラリーに窒素を15分間にわたり流し、閉鎖システムとして自生圧力下で280℃に撹拌しながら加熱しそして280℃において圧力下で15分間にわたりそのまま撹拌した。
【0035】
反応器を140℃に冷却した後に、120mlのトルエン「反溶媒」を容器に加えそして混合物をさらに15分間にわたり125℃において撹拌した。容器を24℃まで放冷しそして容器内の圧力を緩和した。コークス−トルエンスラリーを0.45−μmフリットフィルターを通して濾過した。コークスフィルターケーキを次に〜100mlのキシレンで洗浄しそして真空下で60℃において自然乾燥した。18.5g量の乾燥コークスが回収された。乾燥コークスの走査電子顕微鏡写真(SEM)は図3に示される。粒子の表面上のピッチコーティングのないことは顕微鏡写真で明らかである。粒子は明確なはっきりした端部を有しており、それはコーティングされていない粉砕された粒子の典型である。コーティングされていない粒子を次に1000℃において1時間にわたり炭化しそして3000℃において45分間にわたり黒鉛化した。濾液を回転蒸発させてトルエンを除去しそしてトルエン−可溶性ピッチ油を回収した。2g量のトルエン−可溶性ピッチが得られた。ピッチ油中のトルエン量を補正した後に、トルエン−可溶性ピッチの収率は〜9.95%であった。ピッチの沸点範囲は模擬蒸留によると389°Fより高く、成分の18%が1328°Fより高い沸点であることが見出された。
【実施例2】
【0036】
6.13μmの平均直径を有するロデオ・リファイナリーからの30g量の微粉状にされた陽極等級の高揮発性物質生コークスを90ミリリットルのトルエン(3:1溶媒対ピッチ比)とステンレス鋼パルオートクレーブの中で一緒にした。コークス−トルエンスラリーに窒素を15分間にわたり流し、閉鎖システムとして自生圧力下で280℃に撹拌しながら加熱しそして260℃において圧力下で15分間にわたりそのまま撹拌した。反応器を100℃に冷却した後に、100mlの50/50ヘプタン/トルエンを容器に加えそして混合物をさらに15分間にわたり160℃において撹拌した。ヘプタンはこの方法においてはトルエンに対する反溶媒である。容器を30℃まで放冷し、容器内の圧力を緩和し、そしてコークス−トルエンスラリーを0.45−μmフリットフィルターを通して濾過した。コークスフィルターケーキを次に〜100mlの50/50ヘプタントルエン混合溶媒で洗浄しそして真空下で60℃において自然乾燥した。26.7g量の乾燥コークスが回収された。乾燥コークスの走査電子顕微鏡写真(SEM)は以下の図2に示される。粒子の表面上のピッチコーティングは顕微鏡写真で明らかである。図3における粒子とは異なり、図4中における粒子は板状粒子のコーティングによりさらに丸くされた不明瞭な端部を有する。コーティングされた粒子を次に1000℃において1時間にわたり炭化しそして3000℃において45分間にわたり黒鉛化した。溶媒は回収可能な等方性ピッチを有することが見出された。黒鉛化された粒子を銅シート基質上にコーティングしそして黒鉛−コーティングされた銅はリチウム箔が陰極物質として使用されているリチウム
−イオンコイン素電池(2025)中の陽極として使用された。コイン素電池を第一サイクル放電容量および第一−サイクルクーロン効率に関して試験した。第一−サイクル放電容量は304mA−h/gでありそして第一サイクルクーロン効率は90%であることが見出された。
【0037】
最後に、本発明に関する保護の範囲は以上で示された記述により限定されるものではないが、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。発明の範囲は特許請求の範囲の主題の全ての同等物を包含することが意図される。各々のおよび全ての特許請求の範囲は本発明の態様として明細書の内容となる。それ故、特許請求の範囲は記述の一部でありそしてさらなる記述であり且つ本発明の好ましい態様に加えられる。いずれかの文献、特に本出願の優先権主張日以後の発行日を有するかもしれないいずれかの文献、の論議はそれが本発明の先行技術であることの承認ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池中での使用のための炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法であって、この方法が
a)少なくとも約10重量%の揮発性物質の高揮発性物質を有する生コークスを準備し、b)高揮発性物質生コークスを液体溶媒と選択された溶媒対炭素比で混合して溶媒懸濁液を製造しそしてまた揮発性物質を生コークスから抽出し、
c)溶媒懸濁液の溶媒強度を変更しそして生コークスから抽出された揮発性物質をコークス粒子上に沈殿させそしてその上にコーティングを形成し、
d)残存している溶解した揮発性物質を有する溶媒をコーティングされた生コークス粒子から分離し、
e)コーティングされた生コークス粒子を酸素含有環境中で少なくとも200℃の温度に加熱しながら酸化的安定化により安定化させ、
f)安定化したコーティングされた生コークス粒子を不活性環境中で少なくとも600℃の温度まで炭化し、そして
g)コーティングされた炭化したコークス粒子を少なくとも2200℃の温度まで黒鉛化する
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
溶解した揮発性物質を段階d)からの分離された溶媒液体から回収することをさらに包含する請求項1に記載の炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法。
【請求項3】
溶媒強度を変更する段階が溶媒懸濁液に対する反溶媒の添加を含んでなる請求項1に記載の炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法。
【請求項4】
溶媒強度を変更する段階が溶媒懸濁液に対する追加溶媒の添加を含んでなる請求項1に記載の炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法。
【請求項5】
溶媒がトルエン、ベンゼン、およびキシレンを包含する群から選択される請求項1に記載の炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法。
【請求項6】
溶媒強度を変更する段階が溶媒懸濁液に対する反溶媒の添加を含んでなりそして反溶媒がペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびノナンを包含する群から選択される請求項5に記載の炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法。
【請求項7】
溶媒強度を変更する段階が溶媒懸濁液に対する追加溶媒の添加を含んでなる請求項5に記載の炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法。
【請求項8】
所望する温度が予め決められた期間にわたり得られるまで温度を徐々に上昇させて安定化工程中にコーティングが不溶性のままであるような酸化的安定化の段階が実施される請求項1に記載の炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法。
【請求項9】
黒鉛化温度が2500℃〜3200℃の間である請求項1に記載の炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法。
【請求項10】
炭化温度が600℃〜1600℃の間である請求項1に記載の炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法。
【請求項11】
電池中での使用のための炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法であって、この方法が
a)少なくとも約10重量%の揮発性物質の高揮発性物質を有する生コークスを準備し、b)高揮発性物質生コークスを液体溶媒と選択された溶媒対炭素比で混合して溶媒懸濁液を製造しそしてまた揮発性物質を生コークスから抽出し、
c)天然黒鉛、珪素、錫、およびリチウムチタナイトを包含する群から選択される粒子を溶媒懸濁液中に含ませ、
d)溶媒懸濁液の溶媒強度を変更しそして生コークス粒子から抽出された揮発性物質をコークス粒子上に沈殿させそしてその上にコーティングを形成し、
e)残存している溶解した揮発性物質を有する溶媒をコーティングされた生コークス粒子から分離し、
f)コーティングされた生コークス粒子を酸素含有環境中で少なくとも200℃の温度に加熱しながら酸化的安定化により安定化させ、そして、
g)安定化したコーティングされた生コークス粒子を不活性環境中で少なくとも600℃の温度まで炭化する
ことを含んでなる方法。
【請求項12】
電池中での使用のための炭素コーティングされた黒鉛陽極粉末の製造方法であって、この方法が
a)少なくとも約10重量%の揮発性物質の高揮発性物質を有する生コークスを準備し、b)高揮発性物質生コークスを液体溶媒と選択された溶媒対炭素比で混合して溶媒懸濁液を製造しそしてまた揮発性物質を生コークスから抽出し、
c)溶媒懸濁液の溶媒強度を変更しそして生コークス粒子から抽出された揮発性物質をコークス粒子上に沈殿させそしてその上にコーティングを形成し、
d)残存している溶解した揮発性物質を有する溶媒をコーティングされた生コークス粒子から分離し、
e)分離されたコーティングされた生コークス粒子を溶液で洗浄して粒子から軽質油を除去し、
f)コーティングされた生コークス粒子を酸素含有環境中で少なくとも200℃の温度に加熱しながら酸化的安定化により安定化させ、
g)安定化したコーティングされた生コークス粒子を不活性環境中で少なくとも600℃の温度まで炭化し、
h)コーティングされた炭化したコークス粒子を少なくとも2200℃の温度まで黒鉛化し、そして
i)溶解した揮発性物質を段階d)からの分離された溶媒液体から回収する
ことを含んでなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−515696(P2012−515696A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546423(P2011−546423)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/021370
【国際公開番号】WO2010/083508
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(502259425)コノコフイリツプス・カンパニー (11)
【氏名又は名称原語表記】ConocoPhillips Company
【Fターム(参考)】