説明

高機能化炭素繊維の製造装置および方法

【課題】2000℃を超える高温に炭素繊維を加熱しながら、機能化処理物質をドーピングして、連続的に炭素繊維を高機能化することができ、かつ装置の損傷が少なく、エネルギー損失も少ない高機能化炭素繊維の製造装置および方法を提供する。
【解決手段】内部にマイクロ波が共鳴可能な共鳴空間9を有し、マイクロ波2の吸収が少ない材料からなる中空共鳴容器10と、中空共鳴容器内に所定の周波数のマイクロ波を供給して共鳴空間9にマイクロ波1の共鳴状態を形成するマイクロ波供給装置12と、中空共鳴容器の外部から共鳴空間9を通ってその外部まで連続して延びる連続中空管20と、連続中空管の一端から他端まで、炭素繊維1を連続的に供給する炭素繊維供給装置22と、連続中空管の一端から他端まで、高機能化処理物質を含む高機能化処理ガスを流通させるガス流通装置24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維を高温に加熱しながら、高機能化処理物質をドーピングして、連続的に炭素繊維を高機能化する高機能化炭素繊維の製造装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオンバッテリの負極材料は3D高結晶性グラファイトが主流であり、そこではグラファイトの六角網平面間にLiイオンが蓄えられて充電される。しかし、実際の電池負極では、理論値よりも低いLiイオンしか蓄えられない。これは、グラファイト中に介在する各種の欠陥の影響が主要な要因である。
この改善策として、ホウ素(B)を炭素六角網平面内にドーピングして、2500〜3000℃の温度で黒鉛化処理を行うことにより、性能が飛躍的に向上することが知られている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
上述した例のように、結晶構造を有する炭素材料を高温に加熱しながら、B,P,N等の高機能化処理物質をドーピングして、炭素材料の結晶構造を歪ませることにより、キャパシタンス等の電極性能を高めることができる。
【0004】
結晶構造を有する炭素繊維は、石炭ピッチ、石油ピッチから量産することができる。この炭素繊維を上述した黒鉛化処理により高機能化するために、従来は、2000℃以上の温度に加熱できる黒鉛炉に紡糸した炭素繊維を充填し、そこにホウ素、リン、窒素等の処理するガスを流し、炭素繊維を機能化するバッチ式の方法が用いられていた。
【0005】
またその他の手段として、例えば特許文献1が既に開示されている。
【0006】
特許文献1は、原材料の内部・外部を均一に加熱して高品位の活性炭や機能性材料を製造することを目的としている。
このため、この発明のハイブリッド反応炉は、マイクロ波吸収性物質を含有する原材料を装填するための外部加熱式反応炉であって、該反応炉内にマイクロ波を導入し、原材料の内部及び外部を同時に均一に加熱して、均一反応させる手段を具備するものである。
また、この外部加熱式反応炉は、図4に示すように、内部の活性炭原料や賦活剤が装填される内部反応炉55とその反応部を加熱する外部加熱炉57の二重炉となっており、内部反応炉55にはマイクロ波が導波管52を通して導入され、炉内の雰囲気制御のために不活性ガスなどを送給する導入口59および内部反応炉にガス排気口53を有し、導波管52には冷却及び発生ガスの進入を防ぐために不活性ガスの導入口58が設置されており、外部加熱炉57には燃料ガスの導入口と排気口50を有するものである。
【0007】
【非特許文献1】遠藤守信、他、「ナノカーボンとエネルギーデバイスの将来」、化学工業、2005年2月号
【0008】
【特許文献1】特開2006−89344号公報、「ハイブリッド反応炉とそれを利用した高機能材料の製造方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
黒鉛炉を用いた従来の炭素繊維の機能化手段は、炭素繊維を高機能化するために処理温度を高める(例えば2000℃以上)と、炉の耐久性が急激に低下するため、処理性能と耐久性がトレードオフの関係にある問題点があった。
また、特許文献1では、内部加熱法のマイクロ波加熱と通常の外部加熱法を併用するため、均一に加熱できるが、炉体の耐久性保持のため加熱温度が1000℃以下に制限され、十分な高機能化ができない問題点があった。
さらに、これらの従来技術は、バッチ処理のため、連続処理ができず、安定した品質の高機能化炭素繊維を連続的に製造することができなかった。
【0010】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、2000℃を超える高温に炭素繊維を加熱しながら、高機能化処理物質をドーピングして、連続的に炭素繊維を高機能化することができ、かつ装置の損傷が少なく、エネルギー損失も少ない高機能化炭素繊維の製造装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、内部にマイクロ波が共鳴可能な共鳴空間を有し、マイクロ波の吸収が少ない材料からなる中空共鳴容器と、
該中空共鳴容器内に所定の周波数のマイクロ波を供給して前記共鳴空間にマイクロ波の共鳴状態を形成するマイクロ波供給装置と、
前記中空共鳴容器の外部から、前記共鳴空間を通って、その外部まで連続して延びる連続中空管と、
該連続中空管の一端から他端まで、炭素繊維を連続的に供給する炭素繊維供給装置と、
前記連続中空管の一端から他端まで、高機能化処理物質を含む高機能化処理ガスを流通させるガス流通装置とを備えた、ことを特徴とする高機能化炭素繊維の製造装置が提供される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記中空共鳴容器は、前記共鳴空間の形状を変化させマイクロ波の共鳴状態を形成するための可動壁を有し、
さらに、前記可動壁を前記共鳴空間の形状を変化させるために移動する壁駆動装置を備える。
【0013】
また、前記マイクロ波供給装置は、所定の周波数のマイクロ波を発生するマイクロ波発生装置と、
発生したマイクロ波を前記中空共鳴容器内に供給する導波管と、
該導波管に取付けられ、中空共鳴容器から反射されるマイクロ波強度を計測する反射電力計とを備える。
【0014】
また、前記反射電力計の出力信号を受信し前記壁駆動装置を制御する共鳴制御装置を備え、
該共鳴制御装置により前記出力信号が最小となる位置に前記可動壁を移動させる。
【0015】
また、本発明によれば、内部にマイクロ波が共鳴可能な共鳴空間を有し、マイクロ波の吸収が少ない材料からなる中空共鳴容器内に、その外部から、前記共鳴空間を通って、その外部まで連続して延びる連続中空管を備え、
該中空共鳴容器内に所定の周波数のマイクロ波を供給して前記共鳴空間にマイクロ波の共鳴状態を形成し、
前記連続中空管の一端から他端まで、炭素繊維と高機能化処理物質を含む高機能化ガスを連続的に供給して、炭素繊維をマイクロ波で高温に加熱しながら、高機能化処理物質をドーピングして、炭素繊維を高機能化する、ことを特徴とする高機能化炭素繊維の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
炭素材料は、マイクロ波の良好な吸収物質であり、マイクロ波の照射により容易に高温に加熱される特性がある。
【0017】
上述した本発明の装置および方法によれば、内部にマイクロ波が共鳴可能な共鳴空間を有し、マイクロ波の吸収が少ない材料からなる中空共鳴容器内に所定の周波数のマイクロ波を供給してマイクロ波の共鳴状態を形成するので、この共鳴状態において中空共鳴容器内にマイクロ波の電界強度の高い領域を少ないエネルギー損失で形成することができる。
【0018】
また中空共鳴容器の外部から、共鳴空間を通って、その外部まで連続して延びる連続中空管を備え、その一端から他端まで、炭素繊維と高機能化処理物質を含む高機能化処理ガスを連続的に供給することで、マイクロ波の良好な吸収物質である炭素繊維に選択的にマイクロ波を照射し、2000℃を超える高温に炭素繊維を効率よく加熱することができ、この高温において高機能化処理物質をドーピングして、連続的に炭素繊維を高機能化することができる。
また、マイクロ波を吸収して高温に加熱されるのは、炭素繊維自体であり、その他の構成部材は、マイクロ波の吸収が少なく加熱されない。
【0019】
従って中空共鳴容器やその他の構成機材を炭素繊維より低温の比較的穏和な条件に維持出来るため、炉体への負荷をあまりかけずに、炭素繊維を高機能化できる。
また、照射するマイクロ波の波長、出力と防止した炭素繊維の化学成分を調整することにより結晶組織、メソフェースの大きさ、比表面積等を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
図1は、本発明による高機能化炭素繊維製造装置の全体構成図である。
この図に示すように本発明の高機能化炭素繊維製造装置は、中空共鳴容器10、マイクロ波供給装置12、壁駆動装置16および共鳴制御装置18を備える。
【0022】
中空共鳴容器10は、内部でマイクロ波2が共鳴可能な共鳴空間9を有する。この共鳴空間9は、中空円筒形又は中空直方体であるのが好ましいが、本発明はこれに限定されず、内部でマイクロ波が共鳴可能であれば、任意の形状であってもよい。
中空共鳴容器10は、マイクロ波の吸収が少ない材料からなる。また、この材料はワーク1が2000℃以上、好ましくは2500℃以上に加熱されても、損傷を受けない耐熱強度が高い材料からなる。このような材料として、例えばグラファイトを用いることができる。
【0023】
この例において、中空共鳴容器10は、共鳴空間9の形状を変化させマイクロ波2の共鳴状態を形成するための可動壁(後述する底板10bおよび上蓋10c)を有する。
【0024】
この例において、中空共鳴容器10は、中空胴部10a、底板10bおよび上蓋10cからなる。
中空胴部10aはこの例では円筒管であるが、矩形管であってもよい。
底板10bは、中空胴部10aの下部にシール材を介して嵌合し、共鳴空間9の底部を形成する。
また、上蓋10cは、中空胴部10aの上部にシール材を介して嵌合し、共鳴空間9の蓋部を形成する。底板10bおよび上蓋10cは互いに平行であり、かつそれぞれ中空胴部10aの軸線に沿って上下動可能に形成されている。シール材は、内部の気密を保持できる限りで、任意の材料からなる。
なお、この例において、可動壁は、底板10bと上蓋10cであるが、本発明はこれに限定されず、可動壁をいずれか一方としてもよい。
【0025】
マイクロ波供給装置12は、中空共鳴容器10内に所定の周波数(例えば2.45GHz)のマイクロ波2を供給する。
この例において、マイクロ波供給装置12は、所定の周波数のマイクロ波2を発生するマイクロ波発生装置12aと、発生したマイクロ波2を中空共鳴容器12内に供給する導波管12bと、反射電力計13とを備える。
導波管12bは、マイクロ波2を低損失で中空共鳴容器12内まで伝播させる形状であり、かつ中空共鳴容器10内の共鳴空間9にマイクロ波2の共鳴状態を形成できる位置に連結されている。この位置は、予めシミュレーション等で決定するが、底板10bを移動して調整してもよい。
反射電力計13は、導波管12bに取付けられ、中空共鳴容器10から反射されるマイクロ波強度を計測する。共鳴空間9にマイクロ波2の共鳴状態が形成されると、反射されるマイクロ波強度が最も弱くなる。
【0026】
壁駆動装置16は、可動壁(この例では底板10bおよび上蓋10c)を共鳴空間9の形状を変化させるために移動する。
この例において、壁駆動装置16は、底板10bを駆動する底板駆動装置16aと、上蓋10cを駆動する上蓋駆動装置16bとからなる。壁駆動装置16(底板駆動装置16aと上蓋駆動装置16b)は、例えばスクリュージャッキ、直動シリンダ、ボールネジである。
なお、底板駆動装置16aと上蓋駆動装置16bの両方は不可欠ではなく、いずれか一方のみでもよい。
【0027】
共鳴制御装置18は、反射電力計13の出力信号を受信し、壁駆動装置16(この例では上蓋駆動装置16b)を制御する。
この共鳴制御装置18により、反射電力計13の出力信号が最小となる位置に可動壁(この例では上蓋10c)を移動させる。
【0028】
図2は、図1のA−A矢視図である。この図に示すように、本発明の高機能化炭素繊維製造装置は、さらに連続中空管20、炭素繊維供給装置22およびガス流通装置24を備える。
【0029】
連続中空管20は、中空共鳴容器10の外部から、中空共鳴容器内の共鳴空間9を通って、中空共鳴容器の外部まで連続して延びる。この連続中空管20は1300℃以上の高温に耐える耐熱性石英管であるのがよい。
また、連続中空管20の入口部と出口部は、共鳴状態におけるマイクロ波強度の低い領域に設けるのがよい。
また、この連続中空管20は、共鳴空間9のマイクロ波強度の高い領域(後述する)を通りかつ内部を炭素繊維がスムースに通過できるように形成された螺旋管であるのがよい。
なお、この例で連続中空管20の螺旋を直径の異なる3重螺旋管で示しているが、本発明はこの構成に限定されず、直径とピッチを任意に設定することができる。
【0030】
炭素繊維供給装置22は、処理前の炭素繊維1を巻き戻す巻戻し装置23aと、処理後の炭素繊維1を巻き取る巻取り装置23bとからなる。またこの例で、巻戻し装置23aと巻取り装置23bは、不活性ガスが充填された気密容器21内に収容され、炭素繊維1の変質を防ぐようになっている。
炭素繊維1は、石炭ピッチ、石油ピッチから製造した単結晶構造を有する炭素繊維である。炭素繊維1の直径は、連続中空管を通せる可撓性を有する限りで任意であり、例えば0.1μmから100μmである。
【0031】
ガス流通装置24は、連続中空管の一端から他端まで、高機能化処理物質を含む高機能化処理ガス3を流通させる。高機能化処理物質は、例えば、B,P,N等である。
この例において、ガス流通装置24は、供給管24aを介して高機能化処理ガス3を供給するガス供給装置25aと、排気管24bを介して高機能化処理ガス3を排気するガス排気装置25bとを備える。
供給管24aと排気管24bは、上述した連続中空管20の側面に取付けられるのが好ましいが、その他の箇所、例えば気密容器21に取付けてもよい。
【0032】
上述した装置を用い、本発明の高機能化炭素繊維の製造方法は、以下のステップからなる。
(1)まず、内部にマイクロ波2が共鳴可能な共鳴空間9を有し、マイクロ波の吸収が少ない材料からなる中空共鳴容器10内に、その外部から、共鳴空間9を通って、その外部まで連続して延びる連続中空管20を備える。
この際、連続中空管20の中間部分を共鳴状態におけるマイクロ波強度の高い領域内に保持する。このマイクロ波強度の高い領域は、予め実験又はシミュレーションにより決定することができる。
(2)次に、中空共鳴容器10内に所定の周波数のマイクロ波2を供給して共鳴空間9にマイクロ波2の共鳴状態を形成する。共鳴状態の形成とその確認は、上述した壁駆動装置16と反射電力計13を用いることでできる。
(3)次に、連続中空管20の一端から他端まで、炭素繊維1と高機能化処理物質を含む高機能化処理ガス3を連続的に供給する。
この方法により、炭素繊維1をマイクロ波2で高温(例えば2000℃以上)に加熱しながら、高機能化処理物質をドーピングして、炭素繊維1を高機能化することができる。
【実施例】
【0033】
図3は、本発明における中空共鳴容器内の電界強度分布図である。この例は、マイクロ波の周波数が2.45GHzであり、共鳴モードはTM011モードである。また、その条件は直径208mm,高さ69mmである。このときの導波管部との結合部の中心高さは25mmとなる。
【0034】
図3において、斜線部分Aで電界強度が大きくなっている。従って、上述したように、連続中空管20の中間部分は、中空共鳴容器10の外周部中間高さに位置するのがよい。
【0035】
マイクロ波の周波数と共鳴器形状の関係は、数1の式(1)で決定される直径と高さの組み合わせで上記分布(TM011モード)が成立する。
なお、導波管12bと共鳴器10の結合部の底面からの高さは,共鳴器10の直径と高さにより任意に変化するため解析により決定するのがよい。
【0036】
【数1】

【0037】
上述した本発明の装置および方法によれば、内部にマイクロ波が共鳴可能な共鳴空間を有し、マイクロ波の吸収が少ない材料からなる中空共鳴容器内に所定の周波数のマイクロ波を供給してマイクロ波の共鳴状態を形成するので、この共鳴状態において中空共鳴容器内にマイクロ波の電界強度の高い領域を少ないエネルギー損失で形成することができる。
【0038】
また中空共鳴容器10の外部から、共鳴空間9を通って、その外部まで連続して延びる連続中空管20を備え、その一端から他端まで、炭素繊維1と高機能化処理物質を含む高機能化処理ガス3を連続的に供給することで、マイクロ波の良好な吸収物質である炭素繊維に選択的にマイクロ波を照射し、2000℃を超える高温に炭素繊維を効率よく加熱することができ、この高温において高機能化処理物質をドーピングして、連続的に炭素繊維1を高機能化することができる。
また、マイクロ波を吸収して高温に加熱されるのは、炭素繊維自体であり、その他の構成部材は、マイクロ波の吸収が少なく加熱されない。
【0039】
従って中空共鳴容器やその他の構成機材を炭素繊維より低温の比較的穏和な条件に維持出来るため、炉体への負荷をあまりかけずに、炭素繊維を高機能化できる。
また、照射するマイクロ波の波長、出力と防止した炭素繊維の化学成分を調整することにより結晶組織、メソフェースの大きさ、比表面積等を制御することができる。
【0040】
さらに本発明の装置および方法は、連続式であるので、従来のバッチ式に比べて生産性を大幅に高めることができる。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による高機能化炭素繊維製造装置の全体構成図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】本発明における中空共鳴容器内の電界強度分布図である。
【図4】特許文献1の装置の模式図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ワーク(黒鉛材料)、2 マイクロ波、3 高機能化処理ガス、9共鳴空間、
10 中空共鳴容器、10a 中空胴部、10b 底板、10c 上蓋、
12 マイクロ波供給装置、
12a マイクロ波発生装置、12b 導波管、13 反射電力計、
16 壁駆動装置、16a 底板駆動装置、16b 上蓋駆動装置、
18 共鳴制御装置、20 連続中空管、21 気密容器、
22 炭素繊維供給装置、23a巻戻し装置、23b巻取り装置、
24 ガス流通装置、24a供給管、24b排気管、
25a ガス供給装置、25b ガス排気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にマイクロ波が共鳴可能な共鳴空間を有し、マイクロ波の吸収が少ない材料からなる中空共鳴容器と、
該中空共鳴容器内に所定の周波数のマイクロ波を供給して前記共鳴空間にマイクロ波の共鳴状態を形成するマイクロ波供給装置と、
前記中空共鳴容器の外部から、前記共鳴空間を通って、その外部まで連続して延びる連続中空管と、
該連続中空管の一端から他端まで、炭素繊維を連続的に供給する炭素繊維供給装置と、
前記連続中空管の一端から他端まで、高機能化処理物質を含む高機能化処理ガスを流通させるガス流通装置とを備えた、ことを特徴とする高機能化炭素繊維の製造装置。
【請求項2】
前記中空共鳴容器は、前記共鳴空間の形状を変化させマイクロ波の共鳴状態を形成するための可動壁を有し、
さらに、前記可動壁を前記共鳴空間の形状を変化させるために移動する壁駆動装置を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の高機能化炭素繊維の製造装置。
【請求項3】
前記マイクロ波供給装置は、所定の周波数のマイクロ波を発生するマイクロ波発生装置と、
発生したマイクロ波を前記中空共鳴容器内に供給する導波管と、
該導波管に取付けられ、中空共鳴容器から反射されるマイクロ波強度を計測する反射電力計とを備える、ことを特徴とする請求項2に記載の高機能化炭素繊維の製造装置。
【請求項4】
前記反射電力計の出力信号を受信し前記壁駆動装置を制御する共鳴制御装置を備え、
該共鳴制御装置により前記出力信号が最小となる位置に前記可動壁を移動させる、ことを特徴とする請求項3に記載の高機能化炭素繊維の製造装置。
【請求項5】
内部にマイクロ波が共鳴可能な共鳴空間を有し、マイクロ波の吸収が少ない材料からなる中空共鳴容器内に、その外部から、前記共鳴空間を通って、その外部まで連続して延びる連続中空管を備え、
該中空共鳴容器内に所定の周波数のマイクロ波を供給して前記共鳴空間にマイクロ波の共鳴状態を形成し、
前記連続中空管の一端から他端まで、炭素繊維と高機能化処理物質を含む高機能化ガスを連続的に供給して、炭素繊維をマイクロ波で高温に加熱しながら、高機能化処理物質をドーピングして、炭素繊維を高機能化する、ことを特徴とする高機能化炭素繊維の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−1468(P2009−1468A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166535(P2007−166535)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】