説明

高欄

【課題】施工コスト及び撤去コストの削減を図ることができる高欄を提供すること。
【解決手段】高欄1は、プレート貫通孔4が貫通形成された平板状のベースプレート2を備えているので、プレート貫通孔4にボルトGを挿通することで、ベースプレート2を床版Eに締結することができる。そのため、プレート貫通孔4に挿通されたボルトGを介して高欄1を床版Eに締結することができるので、現場での溶接作業を不要とし施工コストを削減することができる。また、撤去する場合には、ボルトGに締め付けられたナットNを緩めて、高欄1を撤去すれば良いので、撤去の手間を省いて撤去コストを削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の中央分離帯として使用される高欄に関し、特に、施工コスト及び撤去コストの削減を図ることができる高欄に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路の中央分離帯として使用される高欄は、車輌の走行領域を区分すると共に車輌の対向車線への飛び出しを防止するために道路上に設置されるものである。例えば、特開2000−80618号公報には、床版19にレール14が取り付けられ、そのレール14に噛み合うレール4を備えた高欄部1に関する技術が記載されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1記載の技術では、床版19へのレール14の施工と高欄部(高欄)1へのレール4の施工とが必要であり、さらに、その施工においては、レール14とレール4とを噛み合わせるための高い取り付け精度が要求されていた。そのため、高欄部1の施工に手間が掛かり施工コストが嵩んでいた。
【0004】
そこで、従来から、高欄や床版にレールを取り付けることなく高欄を床版に設置する技術がある。ここで、図6を参照して、従来の高欄100の床版1への設置について説明する。まず、従来の高欄100は、道路の基体部を成す床版1に溶接部V1の位置で衝突壁2が溶接固定され、次に、タイヤ支承部3が溶接部V2の位置で床版1に溶接固定され、さらに、溶接V3の位置でタイヤ支承部3が衝突壁2に溶接固定される。このように、高欄100を構成する複数の部品が床版1に溶接されていた。
【特許文献1】特開2000−80618号公報(段落[0027])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の高欄は、床版に直に溶接されて設置されるので、現場での溶接作業が必須となり、溶接作業に手間が掛かっていた。また、高欄を床版に溶接するので、高欄を撤去する場合には床板から溶断する必要があり、溶断作業に手間が掛かっていた。その結果、施工コスト及び撤去コストが嵩むという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、施工コスト及び撤去コストの削減を図ることができる高欄を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために請求項1記載の高欄は、道路の床版上に設置され車輌が走行する領域を区分する中央分離帯として使用される高欄であって、前記床版に取着されると共に平板状のベースプレートと、そのベースプレートから立設される衝突壁部と、前記ベースプレートに貫通形成されると共にボルトが挿通される貫通孔とを備え、前記貫通孔に挿通されたボルトを介して前記ベースプレートが前記床版に締結される。
【0008】
請求項2記載の高欄は、請求項1記載の高欄において、外縁が前記ベースプレートと前記衝突壁部とに連接される平板状の補強部材を備えている。
【0009】
請求項3記載の高欄は、請求項1又は2に記載の高欄において、平板状のベースウェブを備え、前記衝突壁部は、前記ベースプレートから立設され平板状の第1壁部と、その第1壁部に対して所定の間隔を隔てて立設される平板状の第2壁部とを備え、その第2壁部と前記第1壁部とが前記ベースウェブにて接続されており、前記貫通孔は、前記第1壁部の外側であって前記第1壁部と前記ベースプレートとの連接部位に沿う位置に少なくとも3個が配設されると共に前記第2壁部の外側であって前記第2壁部と前記ベースプレートとの連接部位に沿う位置に少なくとも3個が配設されており、前記ベースウェブが前記第1壁部へ連接される位置は、前記貫通孔が配設される方向において少なくとも3個が配設される前記貫通孔の内の端に配設される貫通孔よりその貫通孔に隣接する貫通孔に近い位置とされており、前記ベースウェブが前記第2壁部へ連接される位置は、前記貫通孔が配設される方向において少なくとも3個が配設される前記貫通孔の内の端に配設される貫通孔よりその貫通孔に隣接する貫通孔に近い位置とされている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の高欄によれば、平板状のベースプレートが床版に取着され、そのベースプレートから衝突壁部が立設されているので、車輌が衝突壁部に当接することで走行する領域からはみ出すことを防止することができる。
【0011】
ここで、請求項1記載の高欄によれば、貫通孔に挿通されたボルトを介してベースプレートが床版に締結されるので、現場での溶接作業を不要とし施工コストを削減することができる。
【0012】
また、例えば、溶接にて設置された高欄を撤去するためには溶断する必要があり、溶断作業に手間が掛かる。これに対し請求項1記載の高欄によれば、高欄がボルトにて床版に設置されるので、ボルトを緩めることで高欄を撤去することができる。よって、溶接にて床版に設置された高欄を撤去する場合に比べて、高欄の撤去作業の手間を省くことができる。その結果、施工コスト及び撤去コストの削減を図ることができるという効果がある。
【0013】
請求項2記載の高欄によれば、請求項1記載の高欄の奏する効果に加え、外縁がベースプレートと衝突壁部とに連接される平板状の補強部材を備えているので、高欄の剛性を向上させることができるという効果がある。
【0014】
請求項3記載の高欄によれば、請求項1又は2に記載の高欄の奏する効果に加え、第1壁部と第2壁部とがベースウェブにて接続されているので、第1壁部と第2壁部との剛性を向上させることができる。例えば、第1壁部に力が加わった場合には、その力がベースウェブを介して第2壁部に伝達される。よって、第1壁部と第2壁部とで力を受け止めることができる。そのため、第1壁部と第2壁部との変形を抑制して、第1壁部と第2壁部とで受け止めた力をベースプレートに均一に伝えることができる。
【0015】
その結果、ベースプレートの貫通孔に均一に力を伝えることができるので、貫通孔に挿入されるボルトの内の一部のボルトに力が集中することを防いで、ボルトの破損またはボルトにて締結される床版の破損を防止することができるという効果がある。
【0016】
また、ベースウェブが第1壁部へ連接される位置は、貫通孔が配設される方向において少なくとも3個が配設される貫通孔の内の端に配設される貫通孔よりその貫通孔に隣接する貫通孔に近い位置とされており、ベースウェブが第2壁部へ連接される位置は、貫通孔が配設される方向において少なくとも3個が配設される貫通孔の内の端に配設される貫通孔よりその貫通孔に隣接する貫通孔に近い位置とされている。
【0017】
よって、貫通孔に挿入されるボルトの内の一部のボルトに力が集中することを防いで、ボルトの破損またはボルトにて締結される床版の破損を防止することができるという効果がある。
【0018】
即ち、例えば、ベースウェブを省略した構成では、第1壁部または第2壁部に力が加わった場合に、端に配設される貫通孔に伝えられる力が他の貫通孔に伝えられる力より大きくなる。そのため、高欄を床版にボルトにて締結している場合には、端に配設される貫通孔に挿通されたボルトに作用する力が他の貫通孔に挿通されたボルトに作用する力より大きくなる。その結果、貫通孔に挿入されるボルトの内の端に配設される貫通孔に挿入されるボルトに力が集中してボルトの破損またはボルトにて締結される床版の破損を引き起こすという不具合が発生する。
【0019】
ここで、請求項3記載の高欄では、ベースウェブが第1壁部および第2壁部へ連接されているので、例えば、ベースウェブを省略した構成に比べて、端に配設される貫通孔への力の伝達割合を低下させることができる。そのため、第1壁部または第2壁部に加わった力を少なくとも3個が配設される貫通孔に均一に伝えることができる。
【0020】
さらに、ベースウェブが第1壁部および第2壁部へ連接される位置は、貫通孔が配設される方向において少なくとも3個が配設される貫通孔の内の端に配設される貫通孔よりその貫通孔に隣接する貫通孔に近い位置とされているので、端に配設される貫通孔への力の伝達割合をさらに低下させることができる。そのため、第1壁部または第2壁部に加わった力を少なくとも3個が配設される貫通孔にさらに均一に伝えることができる。
【0021】
よって、少なくとも3個が配設される貫通孔に挿入されるボルトに伝えられる力を均一とすることができる。そのため、貫通孔に挿入されるボルトの内の端に配設される貫通孔に挿入されるボルトに力が集中することを防いで、ボルトの破損またはボルトにて締結される床版の破損を防止することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における高欄1が設置される高架道路100の断面図である。図1に示すXは、図1紙面垂直方向である高欄1の長手方向を示しており、矢印Yは、高欄1の長手方向に直交する方向である幅方向を示しており、矢印Zは、高欄1の高さ方向を示している。
【0023】
まず、図1を参照して、高欄1が設置される高架道路100の構成について説明する。図1に示すように、高架道路100は、車輌Aを走行させるためのものであり、コンクリートにて構成された橋脚Bの上に配設される支承Cと、その支承Cの上に配設される橋梁Dとを備えている。
【0024】
その橋梁Dの上部には、鋼製の床版Eが取り付けられており、さらに、その床版Eの上部であって高架道路100の幅方向(図1矢印Y方向)の中央には、高欄1が配設されており、その高欄1の両側に舗装が施されることで道路Fが形成されている。即ち、高欄1により車輌Aが走行する道路Fが区分されている。
【0025】
次に、図2から図5を参照して、高欄1の詳細な構成について説明する。図2は、カバープレート11が取り外された状態の高欄1の側面図であり、図3は、床版Eから取り外した状態の高欄1の底面図であり、図4は、図2のIV−IV線におけるカバープレート11が取り付けられた状態の高欄1の断面図である。
【0026】
なお、図2から図5に示す矢印Xは高欄1の長手方向を示しており、矢印Yは、高欄10の長手方向に直交する方向である幅方向を示しており、矢印Zは、高欄1の高さ方向を示している。また、図2に示すYは矢印Yと、図3に示すZは矢印Zと、図4に示すX及び図5に示すXは矢印Xと同じ方向を示している。また、図4に示すボルトGとナットNとは、理解を容易とするために外観を示している。
【0027】
図2から図4に示すように、高欄1は、道路F(図1参照)を区分すると共に車輌A(図1参照)が対向車線に飛び出すことを防止するためのものであり、ベースプレート2と、衝突壁部3と、プレート貫通孔4と、ベースウェブ5と、リブ群6と、フィラープレート7と、サイドプレート8と、カバープレート11とを備えている。
【0028】
ベースプレート2は、図3及び図4に示すように、床版Eに締結されるものであり底面視(図3紙面垂直方向視)長方形の平板形状に構成されると共に上面2aから衝突壁部3が立設されている。
【0029】
衝突壁部3は、図2及び図4に示すように、車輌A(図1参照)が道路F(図1参照)を外れた場合に車輌Aが当接されその車輌Aが反対側の道路F(図1参照)まで越えていかないように規制するものである。また、衝突壁部3は、高欄1の長手方向(図4紙面垂直方向)に垂直な面で切った断面が略コの字形状に構成されると共に一対の衝突壁側面3aと、衝突壁天面3bとを備えている。
【0030】
一対の衝突壁側面3aは、図2から図4に示すように、側面面視(図2紙面垂直方向視)長方形の平板形状に構成されると共にベースプレート2の上面2aに溶接にて取り付けられている。
【0031】
図3及び図4に示すように、一対の衝突壁側面3aとベースプレート2の上面2aとの溶接接合部位である一対の衝突壁溶接部3cは、高欄1の長手方向(図3矢印X方向)に向かって延設されており、高欄1の長手方向(図3矢印X方向)の両側端部の内の一方の端部から他方の端部まで連続して形成されている。また、一対の衝突壁溶接部3cの内の一方と他方とは平行に配設されている。
【0032】
また、一対の衝突壁側面3aは、図4に示すように、互いに上方(図4矢印Z方向上方)に向かうほど近接している。即ち、一対の衝突壁側面3aの内の一方は、高欄1の幅方向(図4矢印Y方向)で他方に向かって傾斜しており、他方は、高欄1の幅方向(図4矢印Y方向)で一方に向かって傾斜している。
【0033】
よって、車輌A(図1参照)が衝突壁部3に衝突することで衝突壁部3に力が加わった場合には、車輌Aからの力を上方(図4矢印Z方向上方)に分散させることで、高欄1に掛かる力を減少させると共に車輌Aが反対の道路Fに飛び出すことを防止することができる。衝突壁天面3bは、平板状に形成されており、一対の衝突壁側面3aの上端(図4矢印Z方向上端)を接続している。よって、衝突壁部3の強度が向上される。
【0034】
プレート貫通孔4は、図3に示すように、床版E(図1参照)と高欄1とを締結するためのボルトG(図2参照)が挿通される貫通孔である。また、プレート貫通孔4は、ベースプレート2の長手方向(図3矢印Y方向)に伸びる一対の外縁2bの内の一方と他方との間であって、且つ一対の外縁2bの内の一方と他方との間に配設される一対の衝突壁溶接部3cの両外側(図3矢印Y方向外側)にそれぞれ同数(本実施の形態ではそれぞれ5個)配設されている。また、プレート貫通孔4は、衝突壁溶接部3cに沿って高欄1の長手方向(図3矢印X方向)に直線的に並んで配設されている。
【0035】
このように、ベースプレート2には、プレート貫通孔4が形成されているので、プレート貫通孔4にボルトGを挿通してナットNで締め付けることで、ベースプレート2を床版Eに締結することができる。よって、現場での溶接作業を不要とし施工コストを削減することができる。
【0036】
また、例えば、溶接にて設置された高欄1を撤去するためには、高欄1を溶断する必要があり、溶断作業に手間が掛かる。これに対し本実施の形態によれば、高欄1がボルトGにて床版Eに設置されるので、ボルトGを締め付けるナットNを緩めることで高欄1を撤去することができる。よって、溶接にて床版Eに設置された高欄1を撤去する場合に比べて、高欄1の撤去作業の手間を省くことができる。その結果、施工コスト及び撤去コストの削減を図ることができる。
【0037】
ベースウェブ5は、図2から図4に示すように、一対の衝突壁側面3aを接続するものであり、正面視(図4紙面垂直方向視)先細り形状に形成の平板状に構成されている。また、ベースウェブ5は、図2に示すように、高欄1に複数(本実施の形態では2個)備えられており、それら複数のベースウェブ5は、ベースプレート2から垂直に立設されている。
【0038】
また、ベースウェブ5は、図4に示すように、ベースプレート2の上面2aと衝突壁側面3aと衝突壁天面3bとに溶接されている。よって、衝突壁部3の剛性を向上させることができる。なお、ベースウェブ5と衝突壁天面3bとの溶接およびベースウェブ5とベースプレート2の上面2aとの溶接を省略しても良い。その場合、溶接箇所が省略されるので、高欄1の製造コストを削減することができる。
【0039】
例えば、一対の衝突壁側面3aの内の一方に車輌Aが衝突することで衝突壁部3に作用する力が加わった場合には、その力がベースウェブ5を介して他方の衝突壁側面3aに伝達される。よって、一対の衝突壁側面3aで均等に力を受け止めることができる。そのため、衝突壁部3の変形を抑制して、車輌Aが衝突することで衝突壁部3に作用する力をベースプレート2に対して均一に伝えることができる。
【0040】
その結果、ベースプレート2のプレート貫通孔4に対して均一に力を伝えることができるので、プレート貫通孔4に挿入されるボルトGの内の一部のボルトGに力が集中することを防いで、ボルトGの破損またはボルトGにて締結される床版Eの破損を防止することができる。
【0041】
また、ベースウェブ5は、図2及び図3に示すように、ベースプレート2の長手方向(図2および図3矢印X方向)の両端側から同一の距離離れた位置にそれぞれ1個ずつの計2個が配設されている。
【0042】
図3及び図4に示すように、ベースウェブ5とベースプレート2の上面2aとの溶接接合部位であるベースウェブ溶接部5aは、高欄1の幅方向(図3及び図4矢印Y方向)に向かって延設されており、一対の衝突壁側面3aの内の一方から他方まで連続して形成されている。また、図2及び図3に示すように、一対のベースウェブ溶接部5aの内の一方のベースウェブ溶接部5aは、他方のベースウェブ溶接部5aに対して平行に配設されている。
【0043】
図2及び図4に示すように、ベースウェブ5と衝突壁側面3aとの溶接接合部位である一対のベースウェブ溶接部5bは、高欄1の高さ方向(図2矢印Z方向)に向かって延設されておりベースプレート2の上面2aから衝突壁天面3bの下面(図2矢印Z方向下面)まで連続して形成されている。また、一対のベースウェブ溶接部5bの内の一方のベースウェブ溶接部5bは、他方のベースウェブ溶接部5bと同一平面上に配設されている。
【0044】
図2及び図4に示すように、ベースウェブ5と衝突壁天面3bとの溶接接合部位である一対のベースウェブ溶接部5cは、高欄1の幅方向(図4矢印Y方向)に向かって延設されており、一対の衝突壁側面3aの内の一方から他方まで連続して形成されている。また、一対のベースウェブ溶接部5cの内の一方のベースウェブ溶接部5cは、他方のベースウェブ溶接部5cに対して平行(対応する図面を省略)に配設されている。
【0045】
例えば、一対の衝突壁側面3aの内の一方に車輌Aが衝突することで力が加わった場合には、その力がベースウェブ5を介して他方に伝達される。よって、車輌Aが一対の衝突壁側面3aの内の一方に衝突することで作用する力を一対の衝突壁側面3aで均等に受け止めることができると共に衝突壁側面3a全体にその力を分散させることができる。そのため、衝突壁部3の変形を抑制して、その力をベースプレート2に対してさらに均一に伝えることができる。
【0046】
その結果、ベースプレート2のプレート貫通孔4に対して力を均一に伝えることができるので、プレート貫通孔4に挿入されるボルトGの内の一部のボルトGに力が集中することを防いで、ボルトGの破損またはボルトGにて締結される床版Eの破損を防止することができる。
【0047】
また、図3に示すように、ベースウェブ5は、両端(図3矢印X方向両側)に配設されているプレート貫通孔4より、その両端の内の一方の端(図3矢印X方向端)に配設されているプレート貫通孔4に隣接するプレート貫通孔4に近い位置に配設されている。
【0048】
よって、プレート貫通孔4に挿入されるボルトGの内の一部のボルトGに力が集中することを防いで、ボルトGの破損またはボルトGにて締結される床版の破損を防止することができる。
【0049】
即ち、例えば、ベースウェブ5を省略した構成では、衝突壁側面3aに力が加わった場合に、両端(図3矢印X方向両側)に配設されるプレート貫通孔4に伝えられる力が他のプレート貫通孔4に伝えられる力より大きくなる。
【0050】
そのため、高欄1を床版EにボルトGにて締結している場合には、両端(図3矢印X方向両側)に配設されるプレート貫通孔4に挿通されたボルトGに作用する力が他のプレート貫通孔4に挿通されたボルトGに作用する力より大きくなる。
【0051】
その結果、プレート貫通孔4に挿入されるボルトGの内の端(図3矢印X方向端)に配設されるプレート貫通孔4に挿入されるボルトGに力が集中してボルトGの破損またはボルトGにて締結される床版Eの破損を引き起こすという不具合が発生する。
【0052】
ここで、本実施の形態では、図4に示すように、ベースウェブ5が配設される位置は、プレート貫通孔4が配設される方向において端(図3矢印X方向端)に配設されるプレート貫通孔4よりそのプレート貫通孔4に隣接するプレート貫通孔4に近い位置とされているので、端に配設されるプレート貫通孔4への力が伝達される割合をさらに低下させることができる。そのため、衝突壁側面3aに加わった力をプレート貫通孔4に対してさらに均一に伝えることができる。
【0053】
よって、プレート貫通孔4に挿入されるボルトGに伝えられる力を均一とすることができる。その結果、プレート貫通孔4に挿入されるボルトGの内の端に配設されるプレート貫通孔4に挿入されるボルトGに力が集中することを防いで、ボルトGの破損またはボルトGにて締結される床版Eの破損を防止することができる。
【0054】
リブ群6は、図2から図4に示すように、衝突壁部3の剛性を向上させるためのものであり、複数(本実施形態では20個)のリブ6aを備えている。
【0055】
リブ6aは、図4に示すように、正面視(図4紙面垂直方向視)先細り形状に形成されると共に平板状に構成されている。また、リブ6aは、図3に示すように、一対の衝突壁溶接部3cの内の一方の衝突壁溶接部3cに沿って配設される複数(本実施形態では5個)のプレート貫通孔4の内のそれぞれのプレート貫通孔4の間に2個ずつ配設されている。また、同様に、他方の衝突壁溶接部3cに沿って配設される複数(本実施形態では5個)のプレート貫通孔4の内のそれぞれのプレート貫通孔4の間に2個ずつ配設されている。
【0056】
また、図4に示すように、リブ6aは、その外縁がベースプレート2と衝突壁側面3aとに溶接されており、リブ6aとベースプレート2との溶接部位であるリブ溶接部6cは、図3に示すように、高欄1の幅方向(図3矢印Y方向)で衝突壁側面3aからプレート貫通孔4側に向かいつつプレート貫通孔4を越えて延設されている。
【0057】
そのため、車輌Aが衝突壁部3に衝突することで衝突壁部3に力が加わった場合に、衝突壁部3の変形を抑制しその力をベースプレート2に対して均一に伝えて、ベースプレート2のプレート貫通孔4に挿入されるボルトGに伝えられる力を均一とすることができる。その結果、プレート貫通孔4に挿入されるボルトGの内の一部のボルトGに力が集中することを防いで、ボルトGの破損またはボルトGにて締結される床版Eの破損を防止することができる。
【0058】
また、リブ6aと衝突壁側面3aとの溶接部位であるリブ溶接部6bは、リブ溶接部6cと連成されている。そのため、車輌Aが衝突壁部3に衝突することで衝突壁部3に力が加わった場合に、衝突壁部3の変形を抑制しその力をベースプレート2に対して均一に伝えて、ベースプレート2のプレート貫通孔4に挿入されるボルトGに伝えられる力を均一とすることができる。その結果、プレート貫通孔4に挿入されるボルトGの内の一部のボルトGに力が集中することを防いで、ボルトGの破損またはボルトGにて締結される床版Eの破損を防止することができる。
【0059】
また、複数(本実施の形態では20個)のリブ6aの内の2個は、図3に示すように、2個のベースウェブ5の内の一方のベースウェブ5を含む仮想平面上であって、そのベースウェブ5の両側(図3矢印Y方向両側)に1個ずつ配設されている。また、同様に、複数(本実施の形態では16個)のリブ6aの内の別の2個は、他方のベースウェブ5を含む仮想平面上であって、そのベースウェブ5の両側(図3矢印Y方向両側)に1個ずつ配設されている。
【0060】
そのため、リブ6aとベースウェブ5とが一直線上に配設されているので、リブ6aとベースウェブ5との配設位置をその直線上からずらした場合に比べて、衝突壁部3の剛性を向上させることができる。
【0061】
よって、車輌Aが衝突壁部3に衝突することで衝突壁部3に力が加わった場合に、衝突壁部3の変形を抑制してその力をベースプレート2に対して均一に伝えることができる。そのため、ベースプレート2のプレート貫通孔4に挿入されるボルトGに伝えられる力を均一とすることができる。その結果、プレート貫通孔4に挿入されるボルトGの内の一部のボルトGに力が集中することを防いで、ボルトGの破損またはボルトGにて締結される床版Eの破損を防止することができる。
【0062】
また、図3に示すように、プレート貫通孔4を挟まずに隣接する2個のリブ6aの間隔寸法L2よりプレート貫通孔4を挟んで隣接する2個のリブ6aの間隔寸法L1の方が小さく設定されている。よって、衝突壁部3の剛性が向上される。
【0063】
そのため、車輌Aが衝突壁部3に衝突することで衝突壁部3に力が加わった場合に、衝突壁部3の変形を抑制しその力をベースプレート2に対して均一に伝えて、ベースプレート2のプレート貫通孔4に挿入されるボルトGに伝えられる力を均一とすることができる。その結果、プレート貫通孔4に挿入されるボルトGの内の一部のボルトGに力が集中することを防いで、ボルトGの破損またはボルトGにて締結される床版Eの破損を防止することができる。
【0064】
カバープレート11は、図4に示すように、リブ群6を覆う化粧板としての役割を果たすものであり、高欄1が床版EにナットNで締結された後にリブ群6に接合される。
【0065】
サイドプレート8は、図2及び図4に示すように、衝突壁側面3aを補強するものであり、正面視(図4矢印Z方向視)長方形形状に形成されると共に平板状に構成されている。また、サイドプレート8は、サイドプレート大9と、そのサイドプレート大9とベースウェブ5を挟んで配設されるサイドプレート小10とを備えている。
【0066】
サイドプレート大9は、正面視(図4矢印Z方向視)長方形形状の平板であり一対のベースウェブ5の一方のベースウェブ5と他方のベースウェブ5との間に4個が配設されている。また、それら4個のサイドプレート大9の内の2個が、高欄1の高さ方向(図2矢印Z方向)に所定の間隔を隔てた状態で一対の衝突壁側面3aの内の一方の衝突壁側面3aの内側面に溶接され、他方の衝突壁側面3aの内側面に高欄1の高さ方向(図2矢印Z方向)に所定の間隔を隔てた状態でさらに2個が溶接されている。
【0067】
また、サイドプレート大9の配設向きは、図2に示すように、サイドプレート大9の長手方向が高欄1の長手方向(図2矢印X方向)に対して平行とされており、サイドプレート大9の両端部(図2矢印X方向両端部)は、ベースウェブ5から所定の間隔を隔てた状態で配設されている。
【0068】
よって、サイドプレート大9を衝突壁側面3aに溶接することで、衝突壁部3の剛性を向上させることができる。そのため、車輌Aが衝突壁部3に衝突することで衝突壁部3に力が加わった場合に、衝突壁部3の変形を抑制しその力をベースプレート2に対して均一に伝えて、ベースプレート2のプレート貫通孔4に挿入されるボルトGに伝えられる力を均一とすることができる。その結果、プレート貫通孔4に挿入されるボルトGの内の一部のボルトGに力が集中することを防いで、ボルトGの破損またはボルトGにて締結される床版Eの破損を防止することができる。
【0069】
また、サイドプレート大9の両端部(図2矢印X方向両端部)とベースウェブ5との間隔を空けることで、車輌Aが衝突して衝突壁部3に力が加わった場合にベースウェブ5と衝突壁側面3aとの間に高い応力が発生することを防いでいる。よって、衝突壁部3の破損を防止することができる。
【0070】
サイドプレート小10は、正面視(図4矢印Z方向視)長方形形状の平板であり一対のベースウェブ5の一方のベースウェブ5と他方のベースウェブ5との両外側(図2矢印X方向両外側)にそれぞれ4個の計8個が配設されており、サイドプレート大9と同様の効果を奏する。
【0071】
次いで、図5を参照して、フィラープレート7について説明する。図5は、図4のVで示した部分を拡大した高欄1の部分拡大断面図である。フィラープレート7は、図5に示すように、床版Eとベースプレート2とに狭持されるものであり、底面視長方形の平板形状に構成されると共にベースプレート2と同一の幅寸法および同一の長さ寸法に構成されている。よって、ベースプレート2の外形とフィラープレート7の外形とを一致させて重ね合わせることができる。
【0072】
その重ね合わせられた状態において、フィラープレート7には、ベースプレート2に配設されるプレート貫通孔4に対応した位置にプレート貫通孔4と同一の中心を備えるフィラープレート貫通孔7aが貫通形成されている。そのフィラープレート貫通孔7aの内径R1は、ボルトGが床版Eに溶接されることでできた溶接肉盛りMの外形R2より大きな寸法値に構成されている。よって、溶接肉盛りMを避けることができるので、フィラープレート7が溶接肉盛りMに乗り上げることを防止することができる。
【0073】
また、フィラープレート7の厚さ寸法H2は、溶接肉盛りMの厚さ寸法H1より大きな寸法値に設定されている(H2>H1)。よって、溶接肉盛りMをフィラープレート7の上側の面である上面7bより低い位置とすることができる。そのため、溶接肉盛りMがフィラープレート貫通孔7aの中に完全に収容される。
【0074】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0075】
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法・角度など)は一例を示すものであり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0076】
本実施の形態では、衝突壁部3が一対の衝突壁側面3aと衝突壁天面3bによって構成され衝突壁天面3bが一対の衝突壁側面3aを接続する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、衝突壁天面3bを省略して、一対の衝突壁側面3aの一方と他方とを直に接続しても良い。
【0077】
この場合、衝突壁天面3bが省略される分、高欄1を構成する部品数を削減できる。よって、その分、製造の手間を省くことができるので、高欄1の製造コストを削減することができる。また、部品数が削減されるので、その分、接続箇所が削減される。
【0078】
また、本実施の形態では、長手方向(図4紙面垂直方向)に垂直な面で切った断面が略コの字形状に構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、長手方向(図4紙面垂直方向)に垂直な面で切った断面を略Uの字形状またはVの字形状に構成しても良い。
【0079】
この場合、例えば、衝突壁部3を一枚の平板から折り曲げて製造する場合には、断面をコの字形状とするとコの字を形成するために平板の2箇所を折り曲げる必要があるが、断面を略Uの字形状またはVの字形状とした場合には、Uの字形状またはVの字形状を形成するために平板の1箇所を折り曲げれば良い。よって、衝突壁部3の製造の手間を省いて、高欄1の製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態における高欄が設置される高架道路の断面図である。
【図2】カバープレートが取り外された状態の高欄の側面図である。
【図3】床版から取り外した状態の高欄の底面図である。
【図4】図2のIV−IV線におけるカバープレートが取り付けられた状態の高欄の断面図である。
【図5】図4のVで示した部分を拡大した高欄の部分拡大断面図である。
【図6】従来の高欄の断面斜視面図である。
【符号の説明】
【0081】
100 高架道路
1 高欄
2 ベースプレート
3 衝突壁部
3a 衝突壁側面(第1壁部または第2壁部)
3b 衝突壁天面(衝突壁部の一部)
3c 衝突壁溶接部(ベースプレートとの連接部位)
4 プレート貫通孔(貫通孔)
5 ベースウェブ
5a ベースウェブ溶接部(ベースウェブの一部)
5b ベースウェブ溶接部(ベースウェブの一部)
5c ベースウェブ溶接部(ベースウェブの一部)
6 リブ群(補強部材)
6a リブ(補強部材の一部)
6b リブ溶接部(補強部材の一部)
6c リブ溶接部(補強部材の一部)
11 カバープレート
A 車輌
E 床版
F 道路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の床版上に設置され車輌が走行する領域を区分する中央分離帯として使用される高欄において、
前記床版に取着されると共に平板状のベースプレートと、
そのベースプレートから立設される衝突壁部と、
前記ベースプレートに貫通形成されると共にボルトが挿通される貫通孔とを備え、
前記貫通孔に挿通されたボルトを介して前記ベースプレートが前記床版に締結されることを特徴とする高欄。
【請求項2】
外縁が前記ベースプレートと前記衝突壁部とに連接される平板状の補強部材を備えていることを特徴とする請求項1記載の高欄。
【請求項3】
平板状のベースウェブを備え、
前記衝突壁部は、
前記ベースプレートから立設され平板状の第1壁部と、
その第1壁部に対して所定の間隔を隔てて立設される平板状の第2壁部とを備え、
その第2壁部と前記第1壁部とが前記ベースウェブにて接続されており、
前記貫通孔は、前記第1壁部の外側であって前記第1壁部と前記ベースプレートとの連接部位に沿う位置に少なくとも3個が配設されると共に前記第2壁部の外側であって前記第2壁部と前記ベースプレートとの連接部位に沿う位置に少なくとも3個が配設されており、
前記ベースウェブが前記第1壁部へ連接される位置は、前記貫通孔が配設される方向において少なくとも3個が配設される前記貫通孔の内の端に配設される貫通孔よりその貫通孔に隣接する貫通孔に近い位置とされており、
前記ベースウェブが前記第2壁部へ連接される位置は、前記貫通孔が配設される方向において少なくとも3個が配設される前記貫通孔の内の端に配設される貫通孔よりその貫通孔に隣接する貫通孔に近い位置とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の高欄。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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