説明

高活性のチタニアに担持された金属酸化物の窒素酸化物除去触媒

本発明は、高活性酸化チタン窒素酸化物除去触媒を対象とする。好ましい実施形態において、チタニアに担持された例えば酸化タングステンなどの金属酸化物上に酸化バナジウムを被着させることによって、改良された触媒を生成することができる。この触媒は、例えば自動車および工業プラントなどの発生源からの排気ガスの処理において使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼プロセスからの排ガスおよび廃ガスを浄化するための触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーを生成するために化石燃料を燃焼させる場合、空気の存在下での高温焼却プロセスを通常使用する。残念ながら、このタイプのプロセスは、よく知られた汚染物質である窒素酸化物(NOX)および例えば一酸化炭素および未燃焼炭化水素などの健康もしくは環境に有害なその他の成分の両方を生成する。したがって、これらが空気中に放出される前にこれらの物質を取り除くことが重要である。
【0003】
これらの物質の除去を可能にする方法には、多くの研究が存在している。知られている2つの方法は、燃焼変性および吸着の技術である。残念ながら、これらの各々は、それ自身の不利な点を有する。前者は、窒素酸化物の限られた最大の除去のみを可能にし、後者は限られた容量しか有していない。
【0004】
有害な排ガスの問題に取り組む第3の方法は、触媒による除去であり、この触媒による除去は、比較すると、好ましくない排気成分の大部分を除去するのに非常に効果的であり、長期間の間、出口ガスの非常に大きな容量を処理することができる。接触還元方法によって排気ガスにおける窒素酸化物の減少をもたらすために、アンモニアなどの還元剤を導入すること、および/または廃ガス排出物の中に存在する未燃焼炭化水素を使用することが必要である。2つの望ましくない排気成分、窒素酸化物および炭化水素の一緒の排除を容易にし、ガス流中に別の成分の導入を避けるので、多くの用途において後者がより望ましい。
【0005】
排気ガスの触媒による除去は、多くの産業で一般的であるが、残念ながら、この方法は十分に最適化されていない。例えば、貴金属含有触媒が、還元剤としてアンモニアまたは炭化水素のいずれかを使用することによって、NOx放出の減少において有効であることがよく知られている。しかしながら、貴金属含有触媒は、しばしば二酸化イオウの三酸化イオウへの酸化にも顕著な活性を有しており、イオウ含有化合物は、貴金属含有触媒の性能に逆に作用して、不可逆性の毒として作用することがよく理解されている。また、貴金属のための触媒担体として使用されるある種の金属酸化物、例えば酸化アルミニウムなどは、イオウ酸化物の攻撃によって逆に影響を受けることが、当該技術において知られている。したがって、触媒を開発するための多くの方策が、イオウベース化合物の望ましくない作用によって妨害される。
【0006】
当業者が知っているように、イオウベース化合物のネガティブ効果に対処するために、ある種の研究がなされてきた。例えば二酸化チタン、特に硫酸塩プロセスで生成され、残留する硫酸塩を含む二酸化チタンが、硫酸塩被毒に耐えることが現在よく知られているので、研究されてきた。さらに、五酸化バナジウム、三酸化タングステンおよび三酸化モリブデンの性能が、二酸化チタンの上にこれらを担持することによって改良され得ることが報告されている。その上、さらに、表面に独立して存在させること、または酸化物の間の明瞭な相境界を示すことより、むしろ酸化モリブデンまたは酸化タングステンの酸化バナジウムとの固溶体を形成することによって、増加する利益が達成可能になることが示されている。
【0007】
しかしながら、チタニアに担持された酸化バナジウム触媒の使用の可能性が知られているにもかかわらず、知られている技術のいずれもが、二酸化イオウの望ましくない酸化を避けているものの、NOx処理を必ずしも満足に最適化していない。本発明は、これらの問題に対処するための改良された触媒の開発に関するものである。
[発明の概要]
本発明は、焼却プロセスから排気ガスおよび廃ガスの浄化に関するものである。本発明の使用により、例えば発電プラントまたは焼却炉などの固定発生源および例えば車またはトラックなどの移動発生源の排気流から窒素酸化物を除去することができる。本発明は、これらの有害な材料を窒素および水などの無害の生成物に変換するために使用することができる。したがって、本発明の使用によって、他の成分の中に酸素、水、二酸化炭素および窒素酸化物を含む排気ガスを経済的に処理することができる。さらに、本発明の触媒は、二酸化イオウを三酸化イオウに酸化させないで、前述の物質の処理を可能にする。
【0008】
一実施形態において、本発明は、酸化チタン、酸化バナジウムおよび担持金属酸化物を含み、担持される金属酸化物が、タングステン、モリブデン、クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、鉄、ルテニウム、マンガンおよびそれの混合物の酸化物からなる群から選択され、前記酸化チタンの上に担持されて、チタニアに担持された金属酸化物を形成している触媒に関するものである。前記触媒は、チタニアに担持された金属酸化物の上に酸化バナジウムを被着させることによって、形成される。したがって、酸化バナジウムは、チタニアに担持された金属酸化物の上に担持されて、チタニアおよび/または担持金属酸化物と接触していてもよい。好ましくは、チタニアおよび担持された金属酸化物によって形成された表面の等電点は、前記被着前で、pH3.75以下である。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、(a)アナターゼ形二酸化チタン(ここで、前記アナターゼ形二酸化チタン上に担持金属酸化物が担持され、前記担持金属酸化物は、タングステン、モリブデン、クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、鉄、ルテニウム、マンガンおよびこれらの混合物の酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む)および(b)酸化バナジウム(ここで、前記バナジウムは、1.35重量%以下、または1.8重量%以上の負荷量を有する)を含む触媒を対象にするものである。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、酸化バナジウムを、チタニアに担持された金属酸化物と一体化することを含み、前記チタニアおよび担持された金属酸化物によって形成された表面が、前記一体化の前に、pH3.75以下の等電点を有するチタニアに担持されたバナジウム触媒の製造方法に関するものである。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、(a)スラリーを形成すること(ここで、前記スラリーは、酸化チタンを含み、前記スラリーは、pH2以下を有する)、(b)前記スラリーに金属酸化物または金属酸化物前駆体を加えること、(c)チタニアに担持された金属酸化物を得ること、(d)前記チタニアに担持された金属酸化物を酸化バナジウムと一体化させることを含む触媒の形成方法に関するものである。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、(a)酸化チタンと金属酸化物または金属酸化物前駆体とを含むスラリーを形成すること、(b)前記スラリーのpHをpH2以下に下げること、(c)チタニアに担持された金属酸化物を得ること、および(d)前記チタニアに担持された金属酸化物を酸化バナジウムと一体化させることを含む触媒の形成方法に関するものである。
【0013】
本発明によって製造される触媒物質は、好ましくは、1つまたは複数、そうでなくても、いくつかの重要な特性の全てを示す。第1に、それは、好ましくは広い温度領域にわたって、および容量基準に基づき1,000/時間を超える高いガス/固体の速度比での窒素酸化物を窒素と水に変換するための高い活性を示す。第2に、それは、好ましくは例えば二酸化イオウまたはアンモニアなどのさらなる酸化性の他の成分なしに、酸素の存在下で、この変換に選択的に作用する。第3に、それは、好ましくは、イオウ、イオウ酸化物または炭素ススによる被毒または失活に対して抵抗性がある。第4に、それは、好ましくは、水の存在下で良好に性能を発揮する。最後に、それは、好ましくは、長期間、これらの機能の全てを遂行する。
【0014】
本発明のより良い理解のために、その他のさらなる実施形態と共に、実施例、
付属の特許請求の範囲に定められたその範囲に併せて以下の説明を参照する。
図面の簡単な説明
図1は、本発明のある種の触媒およびある種の比較例からのゼータ電位測定を示す図である。
[詳細な説明]
本発明は、例えばチタニアに担持された酸化バナジウム触媒などの改良された触媒に関するものである。この触媒は、NOx除去のための改良された活性を有し、有害なNOx物質の除去が望まれている用途において使用することができる。
[定義]
別の方法で文脈によって明示または示唆されない場合、次の用語および語句は、次に与えられる意味を有する:
「等電点」または「IEP」という語句は、液体の中に懸濁した粒子が、電気中性を示し、中性を達成するに必要なpH値で記載される点をいう。例えば等電点2は、水中に懸濁している粒子が、それがpH2の環境にある場合、正味ゼロの荷電を有することを意味する。
【0015】
「負荷量」という用語は、特定された物質とそれが関係する系との間の重量関係をいう。例えば、本発明に関する文脈において、触媒上の酸化バナジウムの負荷量を言及する場合、それは、酸化チタン、酸化バナジウムおよび担持された金属酸化物を含む触媒の全重量に対する酸化バナジウムの比率である。
【0016】
「担持された金属酸化物」という語句は、他の物質と会合しているか、その上に載っているか、またはそれによって担持されている金属酸化物をいう。したがって、チタニアに担持された金属酸化物は、酸化チタン(例えば、アナターゼ形二酸化チタン)と別の酸化物を含み、この別の酸化物が酸化チタンの上に担持されている物質をいう。これらの物質は、化学結合で互いに一体化していてもよく、いかなる1つの理論によっても縛られるのを望んでいないが、金属が、酸化物の架橋(例えば、Ti−O−W)を通して結合されていると推測される。「担持された金属酸化物」という語句は、担持された例えば酸化タングステンなどの単一の金属酸化物および担持された混合金属酸化物を含むと理解されるべきである。同様に、酸化タングステンは、タングステンを含む単一の酸化物および混合金属酸化物の両方をいう。
【0017】
「ゼータ電位」という語句は、流体溶液から吸着されるイオンのために固液界面で生じる電位差をいう。ゼータ電位は、凝集を生成し、または防ぐために好適なイオンの添加によってコントロールすることができる。イオンは、限定はされないが、pHを操作することを含む多くの手段によって加えることができる。ゼータ電位がゼロであるpH値は、等電点である。
[好ましい実施形態]
第1の実施形態によれば、本発明は、酸化チタン、酸化バナジウムおよび担持された金属酸化物を含む触媒に関する。好ましくは、酸化チタンはアナターゼ形二酸化チタンである。好ましくは、担持された金属酸化物は、タングステン、モリブデン、クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、鉄、ルテニウム、マンガンおよびそれの混合物の酸化物からなる群から選択される。さらに好ましくは、担持された金属酸化物はタングステン、モリブデンまたはそれらの混合物を含む。最も好ましくは、担持された金属酸化物は、タングステンを含む。担持された金属酸化物は、酸化チタンの上に担持されて、チタニアに担持された金属酸化物を形成する。その他の物質は、これらのその他の物質が、望ましくないレベルに等電点を上げず、触媒生成物の性能を望ましくなく妨げないならば、前述の物質と共に使用することができる。例えば、10重量%〜20重量%の負荷量において、酸化ジルコニウムを酸化チタン格子に組み入れることは有利であり得る。
【0018】
この実施形態の触媒は、チタニアに担持された金属酸化物の上に酸化バナジウムを被着させることによって形成される。好ましくは、チタニアに担持された金属酸化物は、酸化バナジウムを被着させる前で、pH3.75以下の等電点を有する。さらに好ましくは、等電点はpH2.75以下である。最も好ましくは、等電点はpH2以下である。等電点のパラメーターは、酸化バナジウムがチタニアに担持された金属酸化物の上に被着される環境下に、チタニアに担持された金属酸化物が置かれる直前に、その物質の等電点が試験されたときのチタニアに担持された金属酸化物の測定値をいう。したがって、それは、水中でスラリー化される以前、例えば酸化バナジウムが添加される溶液中に置かれる以前の乾燥物質としてのチタニアに担持された金属酸化物の測定値をいう。
【0019】
好ましくは、担持された金属酸化物の負荷量は、チタニアに担持された金属酸化物および酸化バナジウムを含む生成した触媒の20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。好ましくは、酸化バナジウムの負荷量は、1.35重量%以下、または1.8重量%以上のいずれかである。さらに好ましくは、酸化バナジウムの負荷量は、1.0重量%以下、または2.7重量%以上のいずれかである。実用的な制限の問題として、酸化バナジウムの負荷量の上限は、約10重量%である。
【0020】
さらに、等電点が上で記載されるように操作されるならば、バナジウムの添加がなくても改良された触媒を生成することができることに注意すべきである。したがって、前に提示された等電点を有するチタニアに担持された金属酸化物材料は、バナジウムなしでも改良された触媒作用を発揮する。しかしながら、好ましくは、酸化バナジウムが含まれる。
【0021】
第2の実施形態によれば、本発明は、アナターゼ形二酸化チタン、担持された金属酸化物および酸化バナジウムを含む触媒に関する。この実施形態によれば、担持された金属酸化物は、タングステン、モリブデン、クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、鉄、ルテニウムおよびマンガンまたはこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む。好ましくは、物質はタングステンである。さらに、この実施形態によれば、酸化バナジウムは、1.35重量%以下または1.8重量%以上の負荷量を有する。第1の実施形態のように、酸化バナジウムの上限は、約10重量%である。
【0022】
さらに好ましくは、酸化バナジウムは、1.0重量%以下、または2.7重量%以上の負荷量を有する。さらに、好ましくは、担持された金属酸化物は、20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下、最も好ましくは10重量%以下の負荷量を有する。
【0023】
第3の実施形態によれば、本発明は、チタニアに担持されたバナジウム触媒を製造する方法に関する。この方法は、酸化バナジウム(または被着のために好適な形に変形されている酸化バナジウム前駆体)をチタニアに担持された金属酸化物と一体化させることを含む。一体化時に固体形態のチタニアに担持された金属酸化物は、それが、酸化バナジウムと一体化される環境下に置かれる前に、好ましくは、pH3.75以下、さらに好ましくは、pH2.75以下、最も好ましくは2以下の等電点を有する。
【0024】
本発明の他の実施形態と同様に、この実施形態のチタニアに担持された金属酸化物は、例えばアナターゼ形二酸化チタンなどの酸化チタンを金属酸化物または金属酸化物前駆体と一体化させることによって形成することができる。金属酸化物前駆体は、酸化チタンの上に担持されるのに好適な金属酸化物になることができる物質である。金属酸化物前駆体の例は、限定はされないが、パラタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸、パラモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデンオキシジクロリイド、クロム酸カリウム、クロム酸ナトリウム、酢酸クロム(III)のような金属酢酸塩、硝酸クロム(III)のような金属硝酸塩、硫酸マンガン(II)のような金属硫酸塩、酒石酸マンガン(II)のような金属酒石酸塩を含む。
【0025】
所望の等電点を有するチタニアに担持された金属酸化物を生成するためには、2つの基本的な方法の1つを使用することができる。1つの方法によれば、酸化チタンを例えば水でスラリー化し、次いで酸と一体化し、必要な等電点を確実にするpHを有するスラリーを形成することができる。次いで、金属酸化物または金属酸化物前駆体を、前記酸性スラリーに加えることができる。場合によって、金属酸化物または金属酸化物前駆体は、それを酸性スラリーに加える前に、水または他の好適な物質と一体化させることができる。第2の方法によれば、pHを下げる前に、チタニアおよび金属酸化物または金属酸化物が、スラリー中に一体化させることができる。文脈によって別の方法で特定または指示されない限り、「スラリー」および「溶液」という用語は、互換的に使用され、溶液、懸濁液およびスラリーあるいは液体またはコロイド媒体などの物質のいかなる他の組合せをも含む。
【0026】
方法にかかわらず、好ましくは、酸化チタンおよび金属酸化物または金属酸化物前駆体が一体化される条件は、温度が、金属酸化物または金属酸化物前駆体を溶解し、それが酸化チタンと混合され得る形態であるのに効果的であるそのような条件である。一例として、パラタングステン酸アンモニウムの溶解について、好ましくは、温度は30℃以上、さらに好ましくは、40℃以上、最も好ましくは、50℃以上である。溶解が起こる温度を測定する方法は、当業者によく知られており、部分的に金属酸化物前駆体の組成および酸の組成および濃度に依存するだろう。場合により、スラリーまたは溶液に硫酸イオンを加えることができる。硫酸イオンを加えることによって、前に記載されたもののような所望のレベルへの等電点の操作を容易にすることができる。「硫酸イオンの添加」という語句は、硫酸イオンの直接的な添加ならびにスラリーまたは溶液に入れた後の所望のイオンを形成する塩または酸の添加をいう。
【0027】
好ましくは、チタニア上に金属酸化物のできるだけ十分な分布を考慮に入れるために酸化チタン、金属酸化物前駆体および酸が加えられて生成したスラリーを混合する。混合の方法は、当業者によく知られていて、限定はされないが、次の装置:加熱された撹拌プレート、ロータリーエバポレーターまたは加熱マントルで温められ、ヘイドルフ(Heidolph)直接駆動ミキサーで撹拌される丸底フラスコを使用することを含む。
【0028】
混合後に、スラリーは、濾過し、乾燥させ、焼成することができる。濾過、乾燥および焼成の方法は、当業者によく知られている。この物質の乾燥については、湿気を除去するのに有効ないかなる温度も使用することができる。好ましくは、95%超、さらに好ましくは、98%超、最も好ましくは全ての水分が除去される。例えば、温度は100℃以上であってよい。酸化チタン上の酸化タングステンまたはその均等物を焼成する間、好ましくは、温度は150℃超、さらに好ましくは、350℃〜600℃、さらにもっと好ましくは、450℃〜550℃、最も好ましくは、480℃〜520℃である。それぞれの範囲内で操作するとき、好ましくは、指示された温度の上の半分、すなわち、500℃超において時間を最大にする。当業者に知られているように、焼成に関して、好ましい温度範囲の上限は、焼成装置の実際の経済的限界によってしばしば決められる。したがって、十分効率的な焼成装置が使用される場合、前に指示された上側の制限を超える500℃を超える温度で焼成することを選択することができる。乾燥および焼成に必要な時間は、各段階のための温度に部分的に依存する。前に記載された方法は、チタニアに担持された金属酸化物の形成をもたらす。
【0029】
チタニアに担持された金属酸化物は、次いで酸化バナジウムと一体化され得る。酸化バナジウムは、チタニアに担持された金属酸化物と一体化される場合、好ましくは溶液の形である。さらに、好ましくは、チタニアに担持された金属酸化物触媒との一体化の前に、五酸化バナジウムを水に溶解させるために例えばモノエタノールアミンなどの高アルカリ性配位子が使用される。他の可能性のある配位子は、クエン酸および酒石酸と共にジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンを含む。代わりに、シュウ酸を含む酸などの他の物質が、溶解を容易にするために使用することができる。
【0030】
生成した溶液は、チタニアに担持された金属酸化物と混合し、混合後に溶媒を蒸発させる。蒸発のための技法は、当業者によく知られており、限定はされないが、真空を使用する条件を含む。残存する粉末は、次いで乾燥し、焼成することができる。この物質の乾燥については、水分を除去するために有効ないかなる温度も使用することができる。好ましくは95%を超える水分、さらに好ましくは98%を超える水分、最も好ましくは全ての水分が除去される。例えば、多くの用途において、温度は、真空下で60℃以上であり得る。焼成中、好ましくは、温度は500℃〜700℃、さらに好ましくは、550℃〜650℃、最も好ましくは、580℃〜620℃である。それぞれの範囲内で操作するとき、好ましくは、指示された温度の上の半分、すなわち、600℃以上において時間を最大にする。当業者に知られているように、焼成に関して、好ましい温度範囲の上限は、焼成装置の実際の経済的限界によってしばしば決められる。したがって、十分効率的な焼成装置が使用される場合、前に指示された上側の制限を超える600℃を超える温度で焼成することを選択することができる。この方法の間、酸化バナジウムは、チタニアに担持された金属酸化物上に被着することになり、チタニアに担持された金属酸化物と一体化することになる。いかなる1つの理論によっても縛られることを望んでいないが、バナジウムは、酸化物架橋によってチタニアおよび/または例えば酸化タングステンなどの支持金属酸化物と結合するとみなされる。
【0031】
この方法において使用する酸化チタン、金属酸化物前駆体および酸化バナジウムの量は、最終生成物に所望される量によって決定されるだろう。好ましくは、これらの成分の量は、第1および第2の実施形態について前に記載された負荷量を有する生成物を生成するのに十分な量である。
【0032】
使用され得る酸の例は、限定はされないが、硫酸および硝酸を含む。好ましくは、酸はpHを5以下、さらに好ましくは3以下、最も好ましくは2以下に下げる。酸の好ましい量は、それが加えられるスラリーの濃度および量の両方に依存し、当業者は、この正確な量を決定することができるだろう。
【0033】
第3の実施形態の方法は、第1および第2の実施形態の触媒の製造のために使用することができる。これらの触媒は、NOxおよび他の有害な物質を除去することを希望するさまざまの用途において使用することができる。さらに、これらの触媒は、例えばアンモニアなどの還元剤に関連しておよび/または還元剤として作用する炭化水素の存在をあてにして使用することができる。
【0034】
特に好ましい一実施形態では、本発明は、チタニアに担持された金属酸化物を形成すること、およびチタニアに担持された金属酸化物を酸化バナジウムと一体化させることを含む方法によって形成された触媒に関する。この実施形態によれば、パラタングステン酸アンモニウムが、少なくとも50℃の温度において水に溶解される。この溶液がチタニア、好ましくはアナターゼ形二酸化チタンと一体化され、スラリーを形成する。
【0035】
スラリーは、pH2.0未満、さらに好ましくは約pH0(約pH0は、pH0.2未満であるpHをいうが、実用的および/または経済的な制約のためにそれを0に下げることはできない)に達するに十分な条件の下で形成される。pHの低減は、例えば酸および/または硫酸イオンを添加することによって達成することができる。このスラリーから、例えば、濾過によって酸化タングステンおよびチタニアが回収される。これらの物質は、次いで洗浄、100℃を超える温度での乾燥および500℃を超える温度での少なくとも6時間の焼成に付して、チタニアに担持された金属酸化物を形成する。好ましくは、このチタニアに担持された金属酸化物は、pH2以下の等電点を有する。
【0036】
チタニアに担持された金属酸化物は、次いでモノエタノールアミンおよび水の中に溶かされた酸化バナジウムまたは酸化バナジウム前駆体を含む溶液と一体化される。成分(チタニアに担持された金属酸化物および酸化バナジウム)が、濾過され、洗浄され、ロータリーエバポレーター中で最初に少なくとも60℃の温度で乾燥され、次いで少なくとも100℃で少なくとも6時間、好ましくは8時間乾燥され、少なくとも600℃の温度で、少なくとも6時間焼成される。
【0037】
使用されるパラタングステン酸アンモニウムおよび酸化バナジウムの量は、好ましくは、タングステン約8〜10重量%およびバナジウム約0.7〜0.9重量%の負荷量を有する生成物を生成するに十分な量である。
【0038】
別の実施形態によれば、本発明の触媒または本発明によって製造される触媒に排ガスを曝すことによってNOxを除去することができる。本発明の触媒は、例えばコーディエライトなどのモノリス担体上に被覆することができる。また、触媒は、自己担持のモノリスの中に形成することもできる。いずれの場合も、生成した物質は、好ましくは40〜200m2/gの表面積および0.1〜1.0ml/gの細孔容積を有すべきである。これらの触媒は、例えば自動車または工業プラント廃棄流に組み入れることができる。
【実施例】
【0039】
本発明は、次の実施例によって例証される。これらは、単に例証となるものであり、本発明の範囲を制限するものと理解してはならない。
【0040】
実施例に付随して、ある結果をまとめた表がある。この表において、「k★タウ」は、活性度定数×接触時間を表す。当業者に知られているように、これは、アンモニア選択的触媒還元が、NOに関して1次的であり、アンモニアに関してはゼロ次的であるという仮定に関係している。したがって、活性度は、k★タウ=−In(1−変換)(ここで、変換は、1の分数として表される)として変換率から計算される。測定値として変換率を使用する1つの問題は、できるだけ多くのNOが存在する場合のみ変換できるので、最大値は1であるということである。1に近付くにつれ、少しの変化を作り出すために、はるかにより多くの活性度を要する。k★タウの計算は、これを補正するのを助ける。活性度の最も正確な測定は、タウが定数である限り、k★タウであり、これは、次の実施例に関してあてはまる。さらに、次の実施例において、アンモニア選択率は100%であった。
【0041】
比較例1−等電点の操作なし
25mlフラスコ中において、モノエタノールアミン0.185g、脱イオン水20mlおよびV250.092gを、酸化バナジウムが溶解するまで60℃において混合する。次いで、商業的に利用可能なアナターゼ形TiO2上に担持された10重量%のWO3(商品名DT52、メリーランド州バルチモアのミレニウムインオーガニックケミカル社製)10gを溶液中に撹拌する。溶媒を真空下に蒸発させ、粉末を110℃で1晩中乾燥する。次いで、試料を600℃で6時間焼成する。最終のV25の負荷量は、0.9重量%である。活性度の試験結果を、k★タウのもとで表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
比較例2−酸化タングステンをチタニアに担持後にpHを低下
脱イオン水175ml中でDT52の75gをスラリー化し、濃硫酸を加えることによってpHを0に下げる。粉末を濾過し、110℃において一晩中乾燥し、500℃で6時間焼成する。この試料に、比較例1に記載された方法と同じ方法で、酸化バナジウムを加える。活性度試験の結果を表1に示す。
【0044】
実施例1−等電点を操作するためにAPTの添加前にpHを低下
脱イオン水175ml中で酸化タングステンを含まないアナターゼ形TiO2(商品名DT51、ミレニウムインオーガニックケミカル社製)75gをスラリー化する。スラリーのpHが0に至るまで濃硫酸を加える。脱イオン水150ml中に9.38gを50℃で溶解させることによって、別個のパラタングステン酸アンモニウム(APT)の溶液を調製する。このAPT溶液を、TiO2スラリーに加え、1時間混合する。次いで、粉末を濾過し、110℃において一晩中乾燥し、500℃で6時間焼成する。加えられたタングクテンの量は、WO3の10重量%負荷量を達成するのに十分であった。この試料に、比較例1に記載された方法と同じ方法で、酸化バナジウムを加える。活性度試験の結果を表1に示す。
【0045】
実施例2−APTの添加前で、チタニア上へのAPTの被着前にpHを低下
方法の順序が重要であることを示すために、その方法におけるpHを低下し、APTを加えるポイントを実施例1と反対にする。次の方法を使用する:脱イオン水175ml中で75gのDT51をスラリー化する。脱イオン水150ml中に9.38gを50℃で溶解させることによって、別個のパラタングステン酸アンモニウム(APT)の溶液を調製する。このAPT溶液を、TiO2スラリーに加え、次いでスラリーのpHが0になるまで、濃硫酸を加える。次いで、粉末を濾過し、110℃において一晩中乾燥し、500℃で6時間焼成する。加えられたタングクテンの量は、WO3の10重量%負荷量を達成するのに十分であった。この試料に、比較例1に記載された方法と同じ方法で、酸化バナジウムを加える。活性度試験の結果を表1に示す。表1の結果が、k★タウのパラメーターによって測定したものとして示すように、本発明によって製造された生成物は、比較例の生成物に比較して改良を示す。しかしながら、これらの生成物は、実施例1で製造されたものほど高度に機能しない。
【0046】
実施例3−pHを2に低下
濃硫酸の添加によりpHを2に下げることを除いて、実施例1に記載されたものと同じ方法でTiO2上のWO310重量%の試料を調製した。この試料に比較例1に記載されたものと同じ方法で酸化バナジウムを加える。活性度試験の結果を表1に示す。
【0047】
実施例4−活性度対ゼータ電位
本発明の処理による改良は、五酸化バナジウムが被着される際の液体媒体中における粉末粒子を取り巻く荷電に起因している。これらの結果から、五酸化バナジウムの低い負荷量において高い活性をもたらすために、この荷電は、できるだけマイナスでなければならないように思える。水性媒体中での表面荷電へのこの処理の効果を示すために、マルベムゼータサイザー(Malvem Zetasizer)3000HSAを使用してゼータ電位測定を行った。この装置は、系のpHを変えながら電場をかけたときの水中の粉末の移動性における変化を測定する。粉末を水中で0.01MKNO3と共に非常に薄い濃度でスラリー化し、かすかに曇った分散体を形成する。次いで、この試料を装置内に置き、この装置は、自動的に0.25MのKOHを使用してそのスラリーをより高いpHに、または1.0MのHCLを使用してより低いpHに滴定する。滴定中のさまざまなポイントで、前記装置は、光散乱法を使用して粉末の移動度を測定する。
【0048】
スラリーpHの関数としてゼータ電位測定値を図1に示す。線が、その関数に近似するようにポイントを通して描かれ、線が0に交差するポイントが、粉末の等電点と呼ばれる。測定の結果は、表1に列挙する。これらは、ゼータ電位が減少するに従って活性度が増加することを示す。ゼータ電位における減少は、等電点における減少によって表すことができる。最小の活性度物質は、その群の最も高い等電点を示す。最も大きな活性は、最低のゼータ電位測定値を有する。まさに、線が、装置の物理的な限界であるpH2未満で0と交差するので、最も活性な触媒の等電点を正確に測定することはできない。
【0049】
実施例5−硝酸の使用
この調製が、pHを下げるために硫酸に限定されないことを示すために、硫酸ではなく硝酸を使用することによってpHを0に下げることを除いて、実施例1に記載された方法と同じ方法で、TiO2上のWO310重量%の試料を調製した。比較例1に記載された方法と同じ方法で、この試料に酸化バナジウムを加える。活性度試験の結果を表1に示す。
【0050】
実施例6−モリブデンの使用
この調製がタングステンに制限されないことを示すために、パラタングステン酸アンモニウムの代わりにパラモリブデン酸アンモニウムに置換して実施例1に記載されたようにTiO2上のモリブデン10重量%の試料を調製した。比較例1に記載された方法と同じ方法で、この試料に酸化バナジウムを加える。活性度試験の結果を表1に示す。
実施例7−等電点の比較
触媒の活性度が、バナジウムの被着前に測定した等電点と強い逆相関を示すこと明らかにするために、pH値2.41から3.92まで等電点を変えるような方法で4つの触媒を調製した。比較例1に記載された方法と同じ方法で、これらの試料に酸化バナジウムを加える。活性度試験の結果は、次の表2において、等電点におけるそれぞれの連続的な減少が、活性度の連続的な増加を伴うことを示している。
【0051】
【表2】

【0052】
実施例8−バナジウム負荷量
相対的な活性度の改良は、バナジウム負荷量の関数である。これを、表3(実施例1に記載されたようにDT51の上にタングステンを被着させ、これらの試料に、比較例1に記載された方法と同じ方法で、酸化バナジウムが加えられる)に示す。この表は、五酸化バナジウムの1.35重量%以下および1.8重量%以上の負荷量で、改良された調製方法の効果が、明らかであることを示している。
【0053】
【表3】

【0054】
実施例9−焼成の効果
等電点は、上昇した焼成温度によって促進できる測定した活性度における対応する増加と共に低くすることができることを示すために、比較例1における粉末を、V25を加える前に500℃で6時間焼成する。比較例1に記載されたようにバナジウムを加え、その結果は、次の表4中にある。
【0055】
【表4】

【0056】
実施例10−バナジウムなしの触媒
バナジウムなしでも性能における改良は明らかである。これを、バナジウムを添加する前に試験された比較例1における試料(比較例10aという)のDeNOx活性度の測定によって示すことができる。次いで、この結果を、バナジウムを加える前の実施例1の粉末である実施例10bと比較する。この結果を、次の表5に示す。
【0057】
【表5】

【0058】
実施例11−電気音響測定による等電点測定を使用する増加した硫酸塩負荷量の効果
これらの用途に使用されるアナターゼ形チタニアは、一般にその製造方法に関係して残存する硫酸塩濃度を有する。残存する硫酸塩は、表面の等電点に影響を与え、その結果、触媒の最終活性度に影響を与え得る。これは、硫酸塩濃度が表面の性質および荷電を変えるポイントまで、スラリー中のアナターゼの濃度が増加した時に明らかになる。これを、前に述べたマルベムゼータサイザー測定において行われるように、光散乱技法で測定することは困難である。ゼータサイザー測定における光透過の必要性のために、0%レベルに近い非常に希薄なスラリー濃度を測定しなければならない。この理由のために、触媒調製中に使用されるそれらにより近いスラリー濃度レベルでパワー等電点を測定するために第2の方法を使用した。これらの目的のための別の方法は、高い振動数の電場における粒子の動きによって発生する音波の測定を含む。振動およびその結果の音波の性質は、粒子の表面電荷に関係する。われわれは、コロイドダイナミックスによって作られたアコウストサイザー(AcoustoSizer)IIを使用して10%固体のスラリーでこれらの測定を行った。
【0059】
【表6】

【0060】
実施例11aおよび11bは、表6に示されるように硫酸塩レベルを0.4重量%から3.3重量%まで変化させた類似の製造方法によって調製した。0%スラリー濃度での等電点は、マルベムゼータサイザーを使用して測定した。その測定値によれば、実施例11aの等電点は実施例11bの等電点より低い。しかしながら、アコウストロサイザーIIによる10%スラリーでなされた測定は、等電点が、スラリー濃度が上昇するに従って減少し、等電点での減少は、そのより高い硫酸塩濃度のために、実施例11bについて最大であることを示している。
【0061】
比較例1に記載されているように酸化バナジウムを加え、その後の活性度の測定は、活性度が、より高いスラリー濃度(触媒調製において使用される濃度の中で、より典型的である)で測定した等電点が減少するのに伴い増加することを示している。
【0062】
実施例12−アナターゼ形チタニアへの酸化ジルコニウムの添加の効果
アナターゼ形二酸化チタンマトリックスへの酸化ジルコニウムの組み込みは、熱焼結による表面積の損失に対して構造を安定化することが示された。したがって、ある量の添加された酸化ジルコニウムを含むアナターゼ物質を使用する触媒を調製することは有利である。この理由で、共沈法によって、酸化チタン格子中に組み込まれた10%および20%の酸化ジルコニウムを有する2つの試料を調製した。X線回折は、アナターゼ形の結晶構造が保たれていることを示す。実施例1に記載された方法と同じ方法で、TiO2上のWO310重量%試料を調製した。この試料に、比較例1に記載された方法と同じ方法で酸化バナジウムを加える。活性度試験および表面積測定の結果を表7に示す。これらは、活性度が比較例1の結果に比較して改良され、ならびに格子中へのジルコニウム濃度の増加によって、より高い表面積が得られることを示している。比較すると、比較例1に記載された試料の平均表面積は、44m2/gである。表面積測定は、窒素吸着によって行った。
【0063】
【表7】

【0064】
本発明は、その特定の実施形態に関して記載されたが、それはさらなる変更の可能性があり、本出願が、本発明の基本原則に一般的に付随する本発明のいかなる変形、使用または採用(本発明が属する技術の範囲内で知られている、または慣用的な手段の範囲内に入るような、および、ここまでに明らかにした本質的特徴に適用することができるような、ならびに、付属の特許請求の範囲の範囲内に入るような本開示からの逸脱を含む)も、カバーすることを意図していると解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、本発明のある種の触媒およびある種の比較例からのゼータ電位測定を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタン、酸化バナジウムおよび担持された金属酸化物を含む触媒であって、前記担持された金属酸化物が、タングステン、モリブデン、クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、鉄、ルテニウム、マンガンおよびこれらの混合物の酸化物からなる群から選択され、前記担持された金属酸化物は、前記酸化チタンの上に担持され、それによってチタニアに担持された金属酸化物を形成しており、前記触媒は、前記チタニアに担持された金属酸化物の上に前記酸化バナジウムを被着させることによって形成され、前記チタニアに担持された金属酸化物は、前記被着前にpH3.75以下の等電点を有する触媒。
【請求項2】
等電点がpH2.75以下である、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記酸化チタンがアナターゼ形二酸化チタンを含む、請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
担持された金属酸化物が酸化タングステンを含む、請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
(a)アナターゼ形二酸化チタン(ここで、前記アナターゼ形二酸化チタン上に、担持された金属酸化物が担持され、前記担持された金属酸化物は、タングステン、モリブデン、クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、鉄、ルテニウム、マンガンおよびこれらの混合物の酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む)および
(b)酸化バナジウム(ここで、前記酸化バナジウムは、1.35重量%以下または1.8重量%以上の負荷量を有する)
を含む触媒。
【請求項6】
酸化バナジウムが1.0重量%以下の負荷量を有する、請求項5に記載の触媒。
【請求項7】
前記担持された金属酸化物が酸化タングステンを含む、請求項5に記載の触媒。
【請求項8】
前記担持された金属酸化物が20重量%以下の負荷量を有する、請求項5に記載の触媒。
【請求項9】
チタニアに担持されたバナジウム触媒の製造方法であって、酸化バナジウムをチタニア担持された金属酸化物と一体化させることを含み、前記チタニアに担持された金属酸化物は前記一体化の前にpH3.75以下の等電点を有する方法。
【請求項10】
a)(i)チタニアと(ii)金属酸化物または金属酸化物前駆体とを一体化して、溶液またはスラリーを形成すること、および
b)前記溶液または前記スラリーに硫酸イオンを加えて、等電点を前記pH3.75以下に下げること
によって、前記チタニアに担持された金属酸化物を形成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
酸化チタンおよび金属酸化物または金属酸化物前駆体を焼成することによって前記チタニアに担持された金属触媒を形成することをさらに含み、前記焼成が150℃以上で起こる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記等電点がpH2.75以下である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
金属酸化物前駆体を酸化チタンと一体化させることによって前記チタニアに担持された金属触媒を形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記金属酸化物前駆体が、タングステン、モリブデン、クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、鉄、ルテニウム、マンガンおよびこれらの混合物からなる群から選択される物質を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(a)スラリーを形成すること(ここで、前記スラリーは酸化チタンを含み、前記スラリーはpH2以下を有する)、
(b)前記スラリーに金属酸化物または金属酸化物前駆体を加えること、
(c)チタニアに担持された金属酸化物を取得すること、および
(d)前記チタニアに担持された金属酸化物を酸化バナジウムと一体化させること
を含む触媒の形成方法。
【請求項16】
前記形成が硫酸と前記チタニアを一体化させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記取得が、濾過、乾燥および焼成を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
チタニアに担持された金属酸化物の等電点がpH3.75以下である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
チタニアに担持された金属酸化物の等電点がpH2.75以下である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
金属酸化物または金属酸化物前駆体が、タングステン、モリブデン、クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、鉄、ルテニウム、マンガンおよびこれらの混合物からなる群から選択される物質を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
b)が金属酸化物前駆体を加えることを含み、金属酸化物前駆体が、パラタングステン酸アンモニウムである、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
(a)酸化チタンと金属酸化物または金属酸化物前駆体とを含むスラリーを形成すること、
(b)前記スラリーのpHをpH2以下に低減すること、
(c)チタニアに担持された金属酸化物を取得すること、および
(d)前記チタニアに担持された金属酸化物を酸化バナジウムと一体化させること
を含む触媒の形成方法。
【請求項23】
pHの低減が硫酸の添加によって達成される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記取得が、濾過、乾燥および焼成を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
a)が、金属酸化物前駆体を添加することを含み、金属酸化物前駆体が、タングステン、モリブデン、クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、鉄、ルテニウム、マンガンおよびこれらの混合物からなる群から選択される物質を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
金属酸化物前駆体がパラタングステン酸アンモニウムを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1に記載の触媒に窒素酸化物を曝すことを含む、有害物質の処理方法。
【請求項28】
請求項5に記載の触媒に窒素酸化物を曝すことを含む、有害物質の処理方法。
【請求項29】
チタニアおよび担持された金属酸化物を含む触媒の製造方法において、前記触媒の等電点を3.75以下に操作する改良。
【請求項30】
a)チタニアに担持された金属酸化物を形成すること
(ここで、前記形成が、
i)パラタングステン酸アンモニウムを、少なくとも50℃の温度において水中に溶解させること、
ii)前記水中のパラタングステン酸アンモニウムをチタニアと一体化させてスラリーを形成し、前記スラリーがpH2以下を有すること、
iii)前記スラリーからチタニアおよび酸化タングステンを回収すること、
iv)前記チタニアおよび酸化タングステンを100℃以上の温度で乾燥すること、および
v)前記チタニアおよび酸化タングステンを500℃以上の温度で少なくとも6時間焼成して、チタニアに担持された金属酸化物を形成し、前記チタニアに担持された金属酸化物は2以下の等電点を有することを含む);および
b)酸化バナジウムを前記チタンに担持された金属酸化物と会合すること
(ここで、前記会合が、
i)水およびモノエタノールアミンの中に酸化バナジウムまたは酸化バナジウム前駆体を溶解させ、溶液を形成すること、
ii)前記溶液を前記チタニアに担持された金属酸化物と一体化すること、
iii)酸化バナジウムおよび前記チタニアに担持された金属酸化物を回収すること、
iv)前記酸化バナジウムおよび前記チタニアに担持された金属酸化物を、最初にロータリーエバポレーター中で60℃を超える温度で乾燥し、次いで少なくとも100℃の第2の温度で乾燥すること、および
v)前記酸化バナジウムおよび前記チタニアに担持された金属酸化物を少なくとも600℃の温度で少なくとも6時間焼成して、触媒を形成することを含む)
を含む触媒の形成方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2008−516757(P2008−516757A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536984(P2007−536984)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/037202
【国際公開番号】WO2006/044768
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(506036493)ミレニアム インオーガニック ケミカルズ、 インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM INORGANIC CHEMICALS, INC.
【Fターム(参考)】