説明

高温/低温流体遮断弁

第1の流体流れポートと、第2の流体流れポートと、内部に弁を有する流体排出ポートとを備えた弁本体を有する流体遮断弁。弁本体は、流体流路、排出流路及び弁部を画定し、弁部は、第1の流体流れポート、第2の流体流れポート及び流体排出ポートと連通する弁本体の中に配設される。少なくとも1つの流れ分岐デバイスが設けられ、弁部の中に配設される。流れ分岐デバイスは、第1の形態と第2の形態をとりえ、それによって、流れ分岐デバイスが第1の形態であるとき、第1の流体流れポートは第2の流体流れポートと連通する。流れ分岐デバイスが第2の形態であるとき、第1の流体流れポートは流体排出ポートと連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2003年9月23日出願の米国仮特許出願第60/505,193号に対する優先権を主張する、2006年12月18日出願の米国特許出願第10/573,094号の一部係属出願であり、それらの内容全体を参照によって本明細書に援用する。
【0002】
本発明は一般に遮断弁に関し、より詳細にはインライン設備のための遮断弁に関する。
【背景技術】
【0003】
遮断弁はよく知られており、従来から配管システム及び加熱用途において、メンテナンス、交換又は修理の目的で、インライン設備又は設備の一部へ向かう、及びそこからの水若しくは他の流体の流れを制御するために用いられている。しかしながら、現在のデザインは大きくかさばり、十分な流体流れを得ることができない。このことは、多くの理由のために望ましくない。インライン設備は通常、限られた空間の中に配設され、したがって、現在のデザインの大きくかさばるサイズでは、それらを限られた空間の中に設置することは厄介で困難を伴う。場合によっては空間が限られることにより、それらを設置、除去及び/又は修理することができなくなる。さらに、いくつかのインライン設備、例えばタンクのない温水器は、流体流量及び温度計算によってテストされる。不利なことに、現在のデザインでは流体を流す能力が不完全であるため、インライン設備の正確な試験又はメンテナンスが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国仮特許出願第60/505,193号
【特許文献2】米国特許出願第10/573,094号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の流体流れポートと、第2の流体流れポートと、内部に弁を有する流体排出ポートとを備えた弁本体を有する流体遮断弁が提供される。弁本体はまた、流体流路、排出流路及び弁部を画定し、弁部は弁本体の中に、第1の流体流れポート、第2の流体流れポート及び流体排出ポートとの流体連通を促進するように配設される。流れ分岐デバイスも設けられ、弁部の中に配設される。流れ分岐デバイスは、第1の形態と第2の形態をとることが可能であり、それによって、流れ分岐デバイスが第1の形態であるとき、第1の流体流れポートは第2の流体流れポートと連通する。したがって、流れ分岐デバイスが第2の形態であるとき、第1の流体流れポートは流体排出ポートと連通する。
【0006】
有利には、本発明による流体遮断によって、設置されたインライン設備のテストが可能になり、またそうした任意のインライン設備の清浄化及びフラッシングを容易にすることができる。
【0007】
前述の及び他の本発明の特徴及び利点は、添付図面と共に取り上げる例示的な実施例に関する以下の詳細な説明からさらに十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による温水遮断弁の第1の実施例の第1の形態の斜視図である。
【図2】図1の温水遮断弁の第2の形態の斜視図である。
【図3】本発明による冷水遮断弁の第2の実施例の第1の形態の斜視図である。
【図4】図3の冷水遮断弁の第2の形態の斜視図である。
【図5A】本発明による冷水遮断弁の第3の実施例の斜視図である。
【図5B】本発明による冷水遮断弁の第3の実施例の側面図である。
【図6A】本発明による温水遮断弁の第3の実施例の斜視図である。
【図6B】本発明による温水遮断弁の第3の実施例の側面図である。
【図7A】本発明の例示的な実施例による、第1の形態におけるボール弁のボール部の概略的な正面図である。
【図7B】本発明の例示的な実施例による、第1の形態におけるボール弁のボール部の概略的な底面図である。
【図7C】本発明の例示的な実施例による、第2の形態におけるボール弁のボール部の概略的な正面図である。
【図7D】本発明の例示的な実施例による、第2の形態におけるボール弁のボール部の概略的な底面図である。
【図8】温水リリーフ・ポート及びその内部に組み込まれた温水リリーフ弁を有する温水遮断弁の断面図である。
【図9】水の供給源と配管システムの間に配設されたタンクのない温水器の概略図である。
【図10】本発明の例示的な実施例による、2つ以上の流れ分岐デバイスを有する温水遮断弁の側面図である。
【図11】本発明の例示的な実施例に従って設備を浄化するためのシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、温水遮断弁100が示され、それは第1の温水ポート102、第2の温水ポート104、温水リリーフ・ポート106及び温水排出ポート108を含んでいる。温水遮断弁100は、温水流路101及び温水排出路103を画定する。温水流路101は、第1の温水ポート102と第2の温水ポート104の間の流体連通をもたらす。温水排出路103は、第1の温水ポート102と温水排出ポート108の間の流体連通をもたらす。温水遮断弁100は、第1の温水ポート102、第2の温水ポート104、温水リリーフ・ポート106及び温水排出ポート108の間に配置された弁部110の中に配設される、ボール弁などの流れ分岐デバイス(図示せず)を含む。さらに流れ分岐デバイスは、例えばレバー状、翼状、楕円形又は蝶形のハンドルなどの流れ調節手段112を介して、第1の形態と第2の形態をとることができる。
【0010】
図1では、流れ分岐デバイスは、温水の流れが第1の温水ポート102と第2の温水ポート104の間にある第1の形態として示されている。図2では、流れ分岐デバイスは、温水の流れが第1の温水ポート102と温水排出ポート108の間にある第2の形態として示されている。温水リリーフ・ポート106が温水リリーフ弁を受け入れるためのねじ部(雌)を含むことに留意すべきである。しかしながら、ねじ(雌)部を有する温水リリーフ・ポート106を示しているが、温水リリーフ・ポート106は、ねじ部(雄)、摩擦嵌めコネクタ、クリンプ・コネクタ、クランプ・コネクタ、急速着脱式コネクタなど、所望の最終目的に適した任意の形の温水リリーフ弁と接続するように構成することができることを認識すべきである。本発明の別の実施例は、圧力リリーフ・ポート106と連通する圧力リリーフ弁を含む。ある特定の実施例では、圧力リリーフ弁を、弁本体又はその圧力リリーフ・ポート106に組み込むことができる。他の実施例は、弁本体の外にあり、圧力リリーフ・ポート106に動作可能に接続された圧力リリーフ弁を含むことができる。
【0011】
本発明の例示的な実施例は、ボール弁などの流れ分岐デバイスを含み、それによって、流れ調節手段112の両方の形態において、温水リリーフ・ポート106を開放された状態にすることが可能になる。例えば第1の形態では、温水の流れは第1の温水ポート102と第2の温水ポート104の間にあり、温水リリーフ・ポート106にも通じている。第2の形態では、温水の流れは第1の温水ポート102と温水排出ポート108の間にあり、温水リリーフ・ポート106にも通じている。これにより、流れ分岐デバイスの形態にかかわらず、第1の温水ポート102と温水リリーフ・ポート106の間の流体連通が可能になる。温水リリーフ弁は、温水リリーフ弁が常に第1の温水ポート102と流体連通するように、温水リリーフ・ポートと連通した形で設けることができる。この実施例は、本発明の温水弁を取り付けるタンクのない温水器などのシステム又は設備における過圧状態を防止することができる、重要な安全機能を提供する。
【0012】
図3を参照すると、冷水遮断弁200が示され、それは第1の冷水ポート202、第2の冷水ポート204及び冷水排出ポート206を含んでいる。冷水遮断弁200は、冷水流路201及び冷水排出路203を画定し、冷水流路201は、第1の冷水ポート202を第2の冷水ポート204と連通させるように配設され、冷水排出路203は、第2の冷水ポート204を冷水排出ポート206と連通させるように配設される。冷水遮断弁200は、弁部208の中に配設されるボール弁などの流れ分岐デバイスも含む。弁部208は、第1の冷水ポート202、第2の冷水ポート204及び冷水排出ポート206の間に配設される。さらに流れ分岐デバイスは、流れ調節手段210を介して第1の形態と第2の形態をとりうる。図3では、流れ分岐デバイスは、冷水の流れが第1の冷水ポート202と第2の冷水ポート204の間にある第1の形態として示されている。図4では、流れ分岐デバイスは、冷水の流れが第2の冷水ポート204と冷水排出ポート206の間にある第2の形態として示されている。
【0013】
図5A及び図5Bを参照すると、本発明による他の例示的な冷水遮断弁500が示され、それは第1の冷水ポート502、第2の冷水ポート504、及び排出弁501を有する冷水排出ポート506を含んでいる。こうした他の例示的な実施例では、排出弁501は、排出弁ハンドル507が取り付けられたボール弁である。排出弁ハンドル507は、よりコンパクトな弁の設計で排出弁501を作動させることができるワン・リーフ・ハンドルである。本発明の範囲内において、排出弁501はハンドルを備えていなくてもよいこと、及び止めねじ、任意のハンドル構成などによって作動させることが可能であることが企図される。また本発明の範囲内において、排出弁501は、従来のステム及び弁座の設計など、ボール弁以外のものも可能であることが企図される。
【0014】
冷水遮断弁500は、冷水流路503及び冷水排出路505を画定し、冷水流路503は、第1の冷水ポート502を第2の冷水ポート504と連通させるように配設され、冷水排出路505は、第1の冷水ポート502を冷水排出ポート506と連通させるように配設される。冷水遮断弁500は、弁部508の中に配設されるボール弁509などの流れ分岐デバイスも含む。ボール弁509は、蝶形のハンドル511を用いて作動させる。本発明の範囲内において、ボール弁509は、シングル・レバーのハンドル、止めねじ、円形ハンドルなどによって作動させることが可能であることが企図される。弁部508は、第1の冷水ポート502、第2の冷水ポート504及び冷水排出ポート506の間に配設される。さらに流れ分岐デバイスは、ボール弁509を介して、第1の形態(すなわち、冷水流路503を開放する形態)と第2の形態(すなわち、冷水排出路505を開放する形態)をとりうる。
【0015】
次に図5Bを参照すると、流れ分岐デバイスの切断側面図が示されている。第1の形態では、冷水の流れは第1の冷水ポート502と第2の冷水ポート504の間にある。ボール弁509は、冷水の流れが第1の冷水ポート502と冷水排出ポート506の間にある第2の形態を有している。有利には、排出ポート506に排出弁501を取り付けることが可能であり、それによって弁500のオペレータは、排水デバイス又はポンプ・デバイスを冷水排出ポート506に取り付ける間に、第2の構成の範囲内の流れを調べることができるようになる。第1の冷水ポート502は、配管システム内で冷水遮断弁500を確実に密閉することを可能にするねじ部(雌)を備えた、ユニオン接続部533を有する。ユニオン接続部533は、ユニオン・ワッシャ513を用いて冷水遮断弁を配管システムに密閉可能に取り付けるユニオン・ナット534を有する。ユニオン接続部533はさらに、ポリマー材料で形成された絶縁体505を含む。絶縁体505は、弁500に接続するニップル又は管が、鉄であるか又は弁500と異なる金属であるときに生じる可能性がある電食作用を防止する。
【0016】
第2の冷水ポート504は、配管システムとの螺合を可能にするねじ部(雌)を有する。本発明の範囲内において、冷水ポート502、504はいずれも、ユニオン接続部又はねじ接続部を有することが可能であることが企図される。さらに本発明の範囲内において、冷水ポート502、504はいずれも、ねじ部(雄)、摩擦嵌めコネクタ、スウェット接続、クリンプ・コネクタ、クランプ・コネクタ、急速着脱式コネクタ、フランジなど、当技術分野で知られている他の取り付け手段を有することが可能であることが企図される。
【0017】
本発明によれば、ボール弁509は、少なくとも2つの流体流れの形態を可能にする。ボール弁509を形成するボール520は、第1のポリマーの弁座522、第2のポリマーの弁座523、第3のポリマーの弁座527及び第4のポリマーの弁座528を用いて弁本体の内部に据え付けられる。例示的な一実施例では、弁座522、523、527、528はテフロン(登録商標)で形成される。本発明の範囲内において、十分な密閉特性を有する任意のポリマー材料を用いることができることが企図される。ボール弁509は、ボール弁キャップ530によって弁ハウジング内に位置決めされる。
【0018】
ボール520には、弁ステム524が取り付けられる。弁ステム524は、ポリマーの弁ステム座526及び弁ステム・ナット529を用いて弁本体の中に密閉可能に据え付けられる。弁ステム524には、ハンドル・ナット531を用いて固定される蝶形ハンドル511が取り付けられる。ボール520の内部では、幾何学的な流路によって、ポート502、504及び冷水排出ポート508に向かって及びそれらから、流れを様々に分岐させることができる。
【0019】
図6A及び図6Bを参照すると、温水遮断弁600が示され、それは第1の温水ポート602、第2の温水ポート604、温水リリーフ・ポート606及び温水排出ポート608を含んでいる。温水排出ポート608には排出ポート弁601が取り付けられている。温水遮断弁600は、温水流路603及び温水排出路605を画定する。温水流路603は、第1の温水ポート602と第2の温水ポート604の間の流体連通をもたらす。温水流路603は、温水リリーフ・ポート606にも通じている。温水排出路605は、第1の温水ポート602と排出ポート弁601を有する温水排出ポート608との間の流体連通をもたらす。温水排出路605は、温水リリーフ・ポート606にも通じている。温水遮断弁600は、流れ分岐デバイスとして、弁部610の中で第1の温水ポート602、第2の温水ポート604、温水リリーフ・ポート606、及び排出ポート弁601を有する温水排出ポート608の間に配設されたボール弁609を含む。さらにボール弁609は、ハンドル612を介して第1の形態と第2の形態をとりうる。第1の形態では、温水の流れは、第1の温水ポート602、第2の温水ポート604及び温水リリーフ・ポート606の間にある。第2の形態では、温水の流れは、第1の温水ポート602、温水排出ポート608及び温水リリーフ・ポート606の間にある。
【0020】
発明の例示的な実施例によれば、温水リリーフ・ポート606は、温水リリーフ弁を受け入れるためのねじ部(雌)を含む。ねじ(雌)部を有する温水リリーフ・ポート606を示しているが、温水リリーフ・ポート606は、ねじ部(雄)、摩擦嵌めコネクタ、クリンプ・コネクタ、クランプ・コネクタ、急速着脱式コネクタなど、所望の最終目的に適した任意の形の温水リリーフ弁と接続するように構成することができることを認識すべきである。本発明の別の実施例は、温水リリーフ・ポートに接続されるのではなく、温水リリーフ・ポートに組み込まれた温水リリーフ弁を含むことができる。
【0021】
次に図6Bを参照すると、流れ分岐デバイスの切断側面図が示されている。第1の形態では、温水の流れは、第1の温水ポート602と第2の温水ポート604の間にある。流れ分岐デバイス、すなわちボール弁609は、温水の流れが第1の温水ポート602と温水排出ポート608の間にある第2の形態を有している。有利には、排出ポート608に排出弁(図示せず)が取り付けられ、それによって温水遮断弁600の使用者は、排水デバイス又はポンプ・デバイスを温水排出ポート608に取り付ける間に、第2の構成の範囲内の流れを調べることができるようになる。
【0022】
第1の温水ポート602は、配管システム内で温水遮断弁600を確実に密閉することを可能にするねじ部(雌)を備えた、ユニオン接続部633を有する。ユニオン接続部633は、ユニオン・ワッシャ613を用いて温水遮断弁600を配管システムに密閉可能に取り付けるユニオン・ナット634を有する。ユニオン接続部633は、ポリマー材料で形成された絶縁体605を有する。絶縁体605は、弁600に接続するニップル又は管が、鉄であるか又は弁600と異なる金属であるときに生じる可能性がある電食作用を防止する。
【0023】
第2の温水ポート604は、配管システムとの螺合を可能にするねじ部(雌)を有する。本発明の範囲内において、温水ポート602、604はいずれも、ユニオン接続部又はねじ接続部を有することが可能であることが企図される。さらに本発明の範囲内において、温水ポート602、604はいずれも、ねじ部(雄)、摩擦嵌めコネクタ、クリンプ・コネクタ、クランプ・コネクタ、急速着脱式コネクタなど、当技術分野で知られている他の取り付け手段を有することが可能であることが企図される。
【0024】
本発明によれば、ボール弁609は、少なくとも2つの流体流れの形態を可能にする。ボール弁609を形成するボール620は、第1のポリマーの弁座622、第2のポリマーの弁座623、第3のポリマーの弁座627及び第4のポリマーの弁座628を用いて弁本体の内部に据え付けられる。例示的な一実施例では、弁座622、623、627、628はテフロン(登録商標)で形成される。本発明の範囲内において、十分な密閉特性を有する任意のポリマー材料を用いることができることが企図される。ボール弁609は、ボール弁キャップ630によって弁ハウジング内に位置決めされる。ボール620には、弁ステム624が取り付けられる。弁ステム624は、ポリマーの弁ステム座626及び弁ステム・ナット628を用いて弁本体の中に密閉可能に据え付けられる。ボール620の内部では、幾何学的な流路によって、ポート602、604及び温水排出ポート608向かって及びそれらから、流れを様々に分岐させることができる。
【0025】
図7A〜図7Dを参照して、本発明の例示的な実施例によるボール弁609を形成するボール620についてさらに詳しく説明する。図7Aは、ハンドル710を回すことによって、ボールをボール弁609(図6B)内の回転軸712のまわりで回転させることができるように、回転軸712が垂直方向に向けられ、ハンドル710がボール620の頂部にしっかりと取り付けられた、第1の形態におけるボール620の概略的な正面図である。ボールが温水弁内に設置されたとき、図7A及び図7Cに示す概略的な正面図は、ハンドルが頂部にある状態の温水排出ポートについての図に合致する。第1の形態では、貫通穴714がボール620の中央を通り、第1の温水ポート702から第2の温水ポート704への開放された流路を形成する。第1の有底穴716が回転軸712と同軸に整列し、ハンドルを取り付けた点と反対側のボールの表面から貫通穴714に通じ、温水圧力リリーフ・ポート706への流路を形成する。図7Bは、回転軸712が紙面と直交する、第1の形態におけるボール620の概略的な底面図である。第2の有底穴718は、回転軸712及び貫通穴714の中心軸よって形成される面と直交する。図7Bに示す第1の形態では、温水排出ポート708が閉じられ、第2の有底穴718は、温水排出ポート708の反対側のボールの表面からボールの中心まで延び、貫通穴714と第1の有底穴716の両方と交差する。
【0026】
図7Cは、ハンドル710を回すことによって、ボールをボール弁609(図6B)内の回転軸712のまわりで回転させることができるように、回転軸712が垂直方向に向けられ、ハンドル710がボール620の頂部にしっかりと取り付けられた、第2の形態におけるボール620の概略的な正面図である。第2の形態では、貫通穴714は温水排出ポート708と整列し、第2の有底穴718は第1の温水ポート702と整列して、温水排出ポート708と第1の温水ポート702の間の開放された流路を形成する。第2の形態では、第2の温水ポート704への流路は形成されない。第1の有底穴706は回転軸712と同軸に整列しているため、常に温水リリーフ・ポート706と整列した状態のままである。こうして、第1の形態と第2の形態の両方で、温水リリーフ・ポート706と第1の温水ポート702の間に開放された流路が形成されるようになる。第2の形態では、温水リリーフ・ポートは温水排出ポート708にも通じている。図7Dは、回転軸712が紙面と直交する、第2の形態におけるボール620の概略的な底面図である。図7Dに示すボールは、図7Bに示すボールに対して反時計回りに90度回転しているが、第1の温水ポート702、第2の温水ポート704、温水排出ポート708及び温水圧力リリーフ・ポート706の位置は変わらない。
【0027】
温水リリーフ弁802が温水遮断弁800の温水リリーフ・ポート806に組み込まれた、本発明の例示的な実施例の断面図を図8に示す。この実施例では、温水リリーフ弁802は、第2の温水ポートと平行に方向付けられる。温水リリーフ弁802が第2の温水ポート808と平行に方向付けられるように、温水リリーフ・ポート804がコーナー部806を含む例示的な実施例を示すが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、温水リリーフ・ポート804がコーナー部806を備えていなくてもよいか、又は示したものとは異なる角度をなすコーナー部を備えることも可能であることを認識すべきである。
【0028】
図9を参照すると、典型的なインライン設備の構成が示され、それは、水の供給源302(井戸又は給水主管など)と配管システム304(建物に供給を行う配管システムなど)の間に接続されたタンクのない温水器300を含み、タンクのない温水器300は、第1のタンクのない水ポート306及び第2のタンクのない水ポート308を含む。
【0029】
図9及び図1〜図4を参照すると、冷水遮断弁200は、第1の冷水ポート202を介して水の供給源302に接続され、また第1のタンクのない水ポート306に接続された第2の冷水ポート204を介してタンクのない温水器300に接続される。冷水遮断弁200の流れ分岐デバイスが第1の形態であるとき、冷水は水の供給源302から第1の冷水ポート202に入り、冷水流路201(図3)を通って第2の冷水ポート204から出て第1のタンクのない水ポート306へ流入することができる。冷水遮断弁200の流れ分岐デバイスが第2の形態であるとき、冷水遮断弁200の流路は冷水排出ポート206と第2の冷水ポート204の間にあり、冷水排出路203(図3)を介したタンクのない温水器300の排水を促進する。冷水遮断弁200の第2の位置又は形態では、冷水が第1の冷水ポート202を介してタンクのない温水器300へ流入することが妨げられる。冷水排出ポート206を密閉する、したがって、冷水が冷水遮断弁200を通って流れるのを完全に妨げるために、冷水排出流れ止め212(図3)又は排出弁を設けることができる。
【0030】
温水遮断弁100は、第1の温水ポート102に接続された第2のタンクのない水ポート308を介して、タンクのない温水器300に接続される。さらに温水遮断弁100は、第2の温水ポート104を介して配管システム304に接続される。温水遮断弁100の流れ分岐デバイスが第1の形態であるとき、温水は、第2のタンクのない水ポート308から第1の温水ポート102に入り、温水流路101(図1)を通って第2の温水ポート104から出て配管システム304へ流入することができる。温水遮断弁100の流れ分岐デバイスが第2の形態であるとき、温水は第2のタンクのない水ポート308から第1の温水ポート102に入り、温水排出路103(図1)通って温水排出ポート108から流出し、システムの温水側の排水(及びタンクのない温水器を空にすること)を促進することができる。第2の形態では、水が配管システム304へ流入することが妨げられる。温水排出ポート108を密閉する、したがって、水が温水遮断弁100を通って流れるのを妨げるために、温水排出流れ止め114(図1)又は排出弁を設けることができる。
【0031】
この前述のデザインによって、有利には、タンクのない温水器300及び/又は配管システム304を排水又はフラッシングすることが可能になる。例えば、冷水遮断弁200の流れ分岐デバイスが第2の形態であるとき、水又は化学溶媒などのフラッシング流体を含むフラッシング・デバイスを冷水排出ポート206に接続し、フラッシング流体を冷水排出ポート206に注入することができる。フラッシング流体は、冷水排出路203を通り、第2の冷水ポート204を出て第1のタンクのない水ポート306に入り、タンクのない温水器300を通って流れる。次いでフラッシング流体は、第2のタンクのない水ポート308を出て第1の温水ポート102に流入する。温水遮断弁100の流れ分岐デバイスが第2の形態であるとき、フラッシング流体の流路は、第1の温水ポート102と温水排出ポート108の間にあり、有利には、タンクのない温水器300をフラッシングすることができる。前述のフラッシングは逆の形で、温水排出ポート108を入口流れポートとして、冷水排出ポート206を出口流れポートとして用いて実施することもできることを認識すべきである。
【0032】
この弁の1つの目的は、冷水の供給管と配管システムへの温水の配管を遮断することであり、その結果、温水器の交換が可能になることが企図される。こうしたオンデマンド式のタンクのない温水器は通常、締結デバイスを用いて壁に取り付けられる。ユニットを交換するために、弁を閉じ、各ユニオン(例えば第1の温水ポート102及び第2の冷水ポート204)を切り離し、温水器を壁から取り外すことができる。水の供給源302及び配管システム304が切り離されると、弁を有する排出ポートを用いて、システムのテスト及び化学薬品による温水器のフラッシングが行われる。排出ポート弁によって、オペレータはタンクのない温水器300を通る流体の流れを制御することが可能になり、それによってテスト及びフラッシング操作を、オペレータにとってより好都合で安全なものにすることができる。温水遮断弁にねじ込まれた圧力リリーフ弁は、穴がステムの反対側にあるため、ボールがどの位置にあっても温水器に対して常に開放された状態になる。
【0033】
この発明性のあるデザインは、有利には空間及び時間を節約し、十分な流体流れを与える。温水暖房器は流体流れ及び温度計算によってテストされるため、排出の十分な流体流れは重要である。さらに、これらのユニットは狭い空間に設置されるため、空間も重要である。このデザインは、現行のデザインの長さの半分より短く、有利には、これらの新しい遮断弁を狭い空間で使用することが可能になる。
【0034】
冷水遮断弁及び温水遮断弁は、一箇所にまとめることができる。さらに、所望の最終目的に適した任意のサイズの弁及び構成を用いることができることを認識すべきである。
【0035】
第1の温水ポート102及び第1の冷水ポート204は、当技術分野で知られているような、温水遮断弁100及び冷水遮断弁200をタンクのない温水器300に接続するためのユニオン接続部であることを認識すべきである。
【0036】
本明細書では、本発明の実施例を、ボール弁などの単一の流れのための分岐デバイスを例示的に弁部の中に配設した温水遮断弁及び冷水遮断弁について説明してきたが、本発明の範囲内において、2つ以上の流れのための分岐デバイスを単一の弁部の中に配設することが可能であることを理解すべきである。本発明の別の実施例による、2つ以上の流れのための分岐デバイスを有する温水遮断弁を図10に記載する。
【0037】
図10を参照すると、温水遮断弁1000が示され、それは第1の温水ポート1002、第2の温水ポート1004、温水リリーフ・ポート1006及び温水排出ポート1008を含んでいる。温水遮断弁1000は、温水流路1001及び温水排出路1003を画定する。温水流路1001は、第1の温水ポート1002と第2の温水ポート1004の間の流体連通をもたらす。温水排出路1003は、第1の温水ポート1002と温水排出ポート1008の間の流体連通をもたらす。
【0038】
温水遮断弁1000は、例示的に弁部1010の中に配設された2つの流れ分岐デバイス1007、1009を含む。第1の流れ分岐デバイス1009は、温水排出ポート1008の近くに配設され、第1の流れ調節手段1011の動きに応答して温水排出ポートを開閉するようにされる。第2の流れ分岐デバイス1007は、第2の温水ポート1004の近くに配設され、第2の流れ調節手段1013の動きに応答して第2の温水ポート1004を開閉するようにされる。流れ分岐デバイスは、第1の流れ調節手段1011及び第2の流れ調節手段1013を介して、第1の形態と第2の形態をとりうる。第1の流れ調節手段1011及び第2の流れ調節手段1013は、例えばレバー状、翼状、楕円形又は蝶形のハンドルとすることができる。
【0039】
図10に示す温水遮断弁1000の第1の形態では、第1の流れ分岐デバイス1011は温水排出ポート1008を閉じるように位置決めされ、第2の流れ分岐デバイス1013は第2の温水ポート1004を開くように位置決めされる。遮断弁1000の第2の形態では、第1の流れ分岐デバイス1011は温水排出ポート1008を開くように位置決めされ、第2の流れ分岐デバイス1013は第2の温水ポート1004を閉じるように位置決めされる。これによって、流れ分岐デバイスの形態にかかわらず、第1の温水ポート1002と温水リリーフ・ポート1006の間の流体連通が可能になる。温水リリーフ弁は、温水リリーフ弁が常に第1の温水ポート1002と流体連通するように、温水リリーフ・ポートと連通した形で設けることができる。この実施例では、本発明の温水弁を設置するタンクのない温水器などのシステム又は設備における過圧状態を防止することができる、前述の実施例の重要な安全機能が維持される。
【0040】
温水遮断弁及び冷水遮断弁の例示的な実施例は、鍛造された真鍮の構造物を含むが、温水遮断弁及び冷水遮断弁は、全体的に、部分的に又は組み合わせた形で、鋳造された真鍮、銅、鉄、プラスチック及び/又はポリカーボネートなどの複合材料など、所望の最終目的に適した任意の材料を用いて構成することができる。さらに、温水遮断弁、冷水遮断弁、配管システム及びタンクのない温水器の間の接続部を、ねじ切りされたねじ型の接続部として示し説明しているが、これらの接続部は、摩擦嵌めコネクタ、クリンプ・コネクタ、クランプ・コネクタ、急速着脱式コネクタなど、所望の最終目的に適した任意の接続部とすることができることを認識すべきである。
【0041】
温水遮断弁及び冷水遮断弁の例示的な実施例は、それらを用いてタンクのない温水器を配管システムに接続することについて示しているが、本発明の遮断弁を用いて、当技術分野で知られている他の配管設備又は配管システムを配管システム全体の中に取り付け、分離することが可能であることを当業者は認識すべきである。
【0042】
図11に示すように、本発明の例示的な実施例は、設備を浄化するためのシステムを含む。システム1100は、流体入口ポート1104及び流体流出ポート1106を有する設備1102を含む。供給管路1112及び弁装置1117Aは、流体入口ポート1104を水の供給源1110に接続する。流出管路1116及び弁装置1117Bは、流体出口ポート1106を配管システム1114に接続する。弁装置1117A、1117Bはそれぞれ、ユニオン部1118A、B、排出部1120A、B、及び弁部1122A、Bを含む。圧力リリーフ・ポート1124は、例示的に流体出口ポート1106と弁装置1117Bの間のT字接続部として設けられている。圧力リリーフ・ポート1124には、圧力リリーフ弁(図示せず)を取り付けることが可能である。
【0043】
弁装置1117Aのユニオン部1118Aは、供給管路1112を介して、排出部1120Aを流体入口ポート1104に接続する。排出部1120Aは、ユニオン部1118Aを介して、弁部1122Aを供給管路1112に接続する。弁部1117Aは、排出部1120Aを水の供給源1110に接続する。排出部1120Aは、流体入口ポート1104を介して設備1102から流体を排出するための閉鎖可能な流体の流路を形成し、弁部1122Aは、流路を水の供給源1110に対して開閉するための手段を形成する。
【0044】
弁装置1117Bのユニオン部1118Bは、流出管路1116を介して、排出部1120Bを流体流出ポート1106に接続する。排出部1120Bは、ユニオン部1118Bを介して、弁部1122Bを流出管路1116に接続する。弁部1117Bは、排出部1120Bを配管システム1114に接続する。排出部1120Bは、流体流出ポート1106を介して設備1102から流体を排出するための閉鎖可能な流体の流路を形成し、弁部1122Bは、流路を配管システム1114に対して開閉するための手段を形成する。
【0045】
排出部1120A、Bを開きながら弁部1122A、Bを閉じ、設備1102を水の供給源1110及び配管システム1114から遮断して、流体入口ポート1104からの排出路及び流体流出ポート1106からの排出路を形成することにより、設備1102を流体で浄化することができる。圧力リリーフ・ポート1124は、例えば弁部1122A、B及び排出部1120A、Bがすべて閉じている場合に、圧力を受ける流体をシステムから逃がすことを可能にすることによって安全性をもたらす。
【0046】
本発明の様々な実施例を、第1の流路が第2の流路と一直線に並び、排出路がリリーフ路に対して90°又は180°の向きを有するものとして説明及び/又は図示しているが、当業者は、本発明の範囲内において、本明細書に記載された様々なポート及び流路を互いに対して実質的に任意の面又は方向に向けることが可能であることを認識すべきである。
【0047】
本発明をその例示的な実施例について示し説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その形及び細部に様々な変更、省略及び追加を行うことが可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体流路、第2の流体流路、流体排出路及び温水リリーフ路を有する弁本体と、
第1の形態と第2の形態をとりうる少なくとも1つの流れ分岐デバイスであって、当該流れ分岐デバイスが前記第1の形態であるとき、前記第1の流体流路が前記第2の流体流路及び前記温水リリーフ路と連通し、前記流れ分岐デバイスが前記第2の形態であるとき、前記第1の流体流路が前記流体排出路及び前記温水リリーフ路と連通する少なくとも1つの流れ分岐デバイスと
を備える流体遮断弁。
【請求項2】
前記流れ分岐デバイスが少なくとも1つのボール部分を備える、請求項1に記載の流体遮断弁。
【請求項3】
前記流れ分岐デバイスが前記第1の形態であるとき、前記少なくとも1つのボール部分が、前記第1の流体流路、前記第2の流体流路及び前記温水リリーフ路の間に開放された流路を形成するようにされ、且つ前記流体排出路を閉じるようにされ、
前記流れ分岐デバイスが前記第2の形態であるとき、前記少なくとも1つのボール部分が、前記第1の流体流路、前記流体排出路及び前記温水リリーフ路の間に開放された流路を形成するようにされ、且つ前記第2の流体流路を閉じるようにされる、請求項2に記載の流体遮断弁。
【請求項4】
前記弁本体が一体構造として構成される、請求項1に記載の流体遮断弁。
【請求項5】
前記少なくとも1つのボール部分が、前記流体排出路の中に第1のボール部分を、前記第2の流路の中に第2のボール部分を備える、請求項3に記載の流体遮断弁。
【請求項6】
前記温水リリーフ路と連通する圧力リリーフ弁をさらに備える、請求項1に記載の流体遮断弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−502235(P2011−502235A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532147(P2010−532147)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/080745
【国際公開番号】WO2009/058632
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510119496)ウェブストーン、カンパニー、インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】