説明

高溶融性ポリマーと同時押出するための高い溶融剛性を有するポリアミド成形材料の使用

【課題】ETFEを変性させる場合には、ETFEの使用技術的な性質、例えば燃料に対する遮断作用を劣化させることなく、良好な品質、殊に良好な層分布および壁厚分布を有する多層複合体を得る。
【解決手段】少なくとも255℃のクリスタリット融点Tおよび/または少なくとも180℃のガラス転移温度Tを有する高溶融性ポリマーをベースとする成形材料との同時押出のために、次の成分:a)ポリアミド100質量部ならびにb)少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物0.005〜10質量部を含有する成形材料を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、高溶融性ポリマーを基礎とする成形材料との同時押出のための高い溶融剛性を有するポリアミド成形材料の使用である。また、本発明の対象は、高い溶融剛性を有するポリアミド成形材料と高溶融性ポリマーを基礎とする成形材料とからなる多層複合体を同時押出する方法ならびにそれによって製造された多層複合体である。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲内の高溶融性ポリマーは、高い温度でのみ加工可能である高溶融性ポリマーである。部分結晶性ポリマーが重要である場合には、ISO 11357によるDSCを用いて測定されたクリスタリット融点Tは、少なくとも270℃である。無定形ポリマーの場合には、同様にISO 11357によるDSCを用いて測定されたガラス転移温度Tは、少なくとも190℃である。2つのポリマー型は、300℃の温度で初めて押し出されることができるかまたはさらに経済的に十分な速度で押し出されることができる。
【0003】
例えば、PA 12のようなポリアミドとこの種のHTポリマーとを同時押出する場合には、高い押出温度およびそれによって不可避的に著しく減少された、ポリアミドの溶融剛性のために、種々の困難が発生しうる。融液粘度の高すぎる差は、層境界の不安定性、劣悪な層分布および壁厚分布ならびに総じて不十分な押出品品質をまねく。
【0004】
前記の理由から、過去において、例えばETFE(例えば270℃でのクリスタリット融点T;加工温度300〜340℃)の融点を減少させ、低融点のポリマー、例えばPA12との同時押出可能性を達成させるような開発が為された。この開発の結果は、例えば約255℃のクリスタリット融点および280〜290℃の推奨される加工温度を有する軟質ETFE(例えば、Daikin社、日本のNeoflon RP7000)または約195℃のクリスタリット融点を有しかつ約240〜285℃で加工されるポリマー型EFEP(例えば、Daikin社、日本のNeoflon RP5000)である。PA12を基礎とする押出成形材料の溶融剛性は、前記加工窓中で軟質のETFEまたはEFEPとの同時押出可能性を十分な品質で実現させるのに十分である。しかし、ETFEを変性させる場合には、ETFEの使用技術的な性質、例えば燃料に対する遮断作用を劣化させる可能性がある。
【0005】
固有の試験は、別の高融点ポリマー、例えばPPSとの同時押出を上記問題のために実現させることが困難であることを示した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎となる課題は、上記欠点を回避させることであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、少なくとも270℃のクリスタリット融点Tおよび/または少なくとも190℃のガラス転移温度Tを有する高溶融性ポリマーを基礎とする成形材料との同時押出のための、次の成分:
a)ポリアミド100質量部ならびに
b)少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物0.005〜10質量部を含有する成形材料の使用によって解決された。
【0008】
この種のポリアミド成形材料は、WO 00/66650の記載から公知である。このWO 00/66650には、ポリアミドの縮合への少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物の使用が記載されており、この場合この性質は、確実に安定するように調節されることができ、縮合された材料の多重加工を行なう方法が開示されており、この場合には、ゲル形成または不均一性を生じることはない。前記原理に基づく、ポリアミドの場合の分子量調節のための添加剤は、Brueggemann KG社からBrueggolen M1251の商品名で販売されている。第1の使用は、押出成形材料に再使用される、PA6またはPA66からのレサイクレート(Recyclat)のための粘度調節の範囲内にある。添加剤のBrueggolen M1251は、酸末端基を有するPA6中の低粘稠なポリカーボネートのマスターバッチ、例えばレキサン(Lexan 141)である。縮合すべき材料中に含有されているアミノ末端基とポリカーボネートとの反応は、分子量構造の原因となる。
【0009】
本発明の範囲内で適したポリアミドは、ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミンまたはジカルボン酸をベースに形成されている。更に、前記ポリアミドは、例えばトリカルボン酸、トリアミンまたはポリエチレンイミンから導出された、分枝化作用を有する構成成分を含有することができる。適当な型は、それぞれホモポリマーまたはコポリマーとして、例えばPA6、PA66、PA610、PA66/6ならびに殊にPA612、PA1010、PA1012、PA1212、PA613、PA614、PA1014、PA11、PA12または透明ポリアミドである。透明ポリアミドには、例えば次のものがこれに該当する:
テレフタル酸と2.2.4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび2.4.4−トリメチルヘキサメチレンジアミンからなる異性体混合物とからなるポリアミド、
イソフタル酸と1.6−ヘキサメチレンジアミンとからなるポリアミド、
テレフタル酸/イソフタル酸からの混合物と1.6−ヘキサメチレンジアミンとからなるコポリアミド、
イソフタル酸と3.3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとラウリンラクタムまたはカプロラクタムとからなるコポリアミド、
1.12−ドデカン二酸と3.3′−ジメチル−4.4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンと場合によってはラウリンラクタムまたはカプロラクタムとからなる(コ)ポリアミド、
イソフタル酸と4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとラウリンラクタムまたはカプロラクタムとからなるコポリアミド、
1.12−ドデカン二酸と4.4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとからなるポリアミド、
テレフタル酸/イソフタル酸混合物と3.3′−ジメチル−4.4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとラウリンラクタムとからなるコポリアミド。
【0010】
更に、ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン、ジカルボン酸およびポリエーテルジアミンおよび/またはポリエーテルジオールをベースとするポリエーテルアミドは適当である。
【0011】
好ましくは、出発化合物は、5000超、殊に8000超の分子量Mを有する。この場合には、末端基が少なくとも部分的にアミノ基として存在するポリアミドが使用される。例えば、末端基の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%は、アミノ末端基として存在する。ジアミンまたはポリアミンを調節剤として使用しながらの高いアミノ末端基含量を有するポリアミドの製造は、公知技術水準である。本発明の場合には、ポリアミドの製造には、有利に4〜44個のC原子を有する脂肪族、脂環式または芳香脂肪族のジアミンが調節剤として使用される。適当なジアミンは、例えばヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2.2.4−トリメチルヘキサメチレンジアミンまたは2.4.4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1.4−ジアミノシクロヘキサン、1.4−ジメチルアミノシクロヘキサンまたは1.3−ジメチルアミノシクロヘキサン、4.4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4.4′−ジアミノ−3.3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4.4′−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、イソホロンジアミン、メタキシリリデンジアミンまたはパラキシリリデンジアミンである。
【0012】
もう1つの好ましい実施態様において、ポリアミドを製造する場合には、ポリアミドは、調節剤として、および分枝化剤として使用される。このための例は、ジエチレントリアミン、1.5−ジアミノ−3−(β−アミノエチル)ペンタン、トリス(2−アミノエチル)アミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−N′,N′−ビス[2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]−エチル]−1,2−エタンジアミン、デンドリマーならびにポリエチレンイミン、殊にアジリジンを重合することによって得ることができ(Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie, 第E20巻,第1482〜1487頁, Georg Thieme Verlag SutTgart, 1987)かつ一般に次のアミノ基分布:
第1アミノ基25〜46%、
第2アミノ基30〜45%および
第3アミノ基16〜40%を有する分枝鎖状ポリエチレンイミンである。
【0013】
本発明による方法において、少なくとも2個のカーボネート単位を有する少なくとも1つの化合物は、使用されるポリアミドとの比で計算した0.005〜10質量%の量比で使用される。特に、前記比は、0.01〜5.0質量%の範囲内、特に有利に0.05〜3質量%の範囲内にある。本明細書中で、”カーボネート”の概念は、炭酸と殊にフェノールまたはアルコールとのエステルを意味する。
【0014】
少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物は、低分子量のオリゴマーまたはポリマーであることができる。この化合物は、完全にカーボネート単位からなることができるかまたはなお他の単位を有することができる。この単位は、特にオリゴエステル単位、オリゴエーテル単位、オリゴエーテルエステルアミド単位またはオリゴエーテルアミド単位、またはポリアミドエステル単位、ポリアミドエーテル単位、ポリアミドエーテルエステルアミド単位またはポリアミドエーテルアミド単位である。このような化合物は、公知のオリゴマー化法または重合法によって製造されてもよいし、ポリマー類似の反応によって製造されてもよい。
【0015】
1つの好ましい実施態様において、少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物は、例えばビスフェノールAをベースとするポリカーボネートであるかまたはこの種のポリカーボネートブロックを含有するブロックコポリマーである。
【0016】
少なくとも2個のカーボネート単位を有する適当な化合物ならびに適当なマスターバッチは、本明細書中で参考のために記載されているWO 00/66650に詳細に記載されている。
【0017】
マスターバッチの形での添加剤として使用される、少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物の供給は、添加剤の正確な計量供給を可能にする。それというのも、大量に使用されるからである。その上、マスターバッチが使用されることによって、改善された押出物品質が達成されることが明らかになる。マスターバッチは、マトリックス材料として有利に本発明による方法でも縮合されるポリアミドまたはそれと相容性のポリアミドを含むが、しかし、非相容性のポリアミドは、反応条件下で縮合すべきポリアミドへの部分的な結合を蒙り、このことは、互換性を生じさせる。マトリックス材料としてマスターバッチ中で使用されるポリアミドは、有利に5000超、殊に8000超の分子量Mを有する。この場合には、末端基が主にカルボン酸基として存在するようなポリアミドが有利である。例えば、末端基の少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%は、酸基として存在する。
【0018】
マスターバッチ中での少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物の濃度は、特に0.15〜50質量%、特に有利に0.2〜25質量%、殊に有利に0.3〜15質量%である。このようなマスターバッチは、当業者に公知の通常の方法で製造される。
【0019】
本発明は、製造にとって不可避的に燐少なくとも5ppmを酸性化合物の形で含有するポリアミドの場合に使用可能である。この場合には、ポリアミド成形材料に配合前または配合時にポリアミドに対して0.001〜10質量%の弱酸の塩が添加される。適当な塩は、参考のために本明細書中に記載されているドイツ連邦共和国特許出願公開第10337707号明細書中に開示されている。
【0020】
しかし、本発明は、製造にとって不可避的に燐5ppm未満を酸性化合物の形で含有するかまたは燐を全く含有しないポリアミドの場合にまさに良好に使用可能である。この場合には、弱酸の相応する酸を実際に添加することができるが、しかし、弱酸の相応する塩は、添加する必要はない。
【0021】
本発明によれば、ポリアミド成形材料の製造の際に使用される、通常の添加剤が使用されてよい。このための詳細な例は、着色剤、難燃剤および防炎剤、安定剤、充填剤、潤滑能改善剤、離型剤、耐衝撃剤、可塑剤、結晶化促進剤、静電防止剤、滑剤、加工助剤ならびにポリアミドと通常配合される他のポリマーである。
【0022】
前記の添加剤の例は、次の通りである:
着色剤:二酸化チタン、鉛白、亜鉛白、リプトン(Liptone)、アンチモン白、カーボンブラック、酸化鉄黒、マンガン黒、コバルト黒、アンチモン黒、鉛クロム酸塩、鉛丹、亜鉛黄、亜鉛緑、カドミウム赤、コバルト青、ベルリン青、ウルトラマリン、マンガンバイオレット、カドミウム黄、シュヴァインフルト緑(Schweinfurter Gruen)、モリブデンオレンジおよびモリブデン赤、クロムオレンジおよびクロム赤、酸化鉄赤、酸化クロム緑、ストロンチウム黄、モリブデン青、白亜、黄色土、アンバー、緑土、テラディシエナ(Terra di Siena)焼土、黒鉛または可溶性の有機着色剤。
【0023】
難燃剤および防炎剤:三酸化アンチモン、ヘキサブロムシクロドデカン、テトラクロロビスフェノールまたはテトラブロモビスフェノール、ハロゲン化燐酸塩、硼酸塩、クロロパラフィンならびに赤燐、さらにスズ酸塩、メラミンシアヌレートおよびその縮合生成物、例えばメラム、メレム、メロン、メラミン化合物、例えばメラミンピロリン酸塩およびメラミンポリリン酸塩、アンモニウムポリリン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムならびにハロゲンを含有しない燐有機化合物、例えばレソルシノールジフェニルホスフェートまたはホスホン酸エステル。
【0024】
安定剤:金属塩、殊に銅塩およびモリブデン塩ならびに銅錯体、亜燐酸塩、立体障害フェノール、第2アミン、UV吸収剤およびHALS安定剤。
【0025】
潤滑能改善剤および滑剤:MoS、パラフィン、脂肪アルコールならびに脂肪酸アミド。
【0026】
離型剤および加工助剤:ワックス(モンタネート)、モンタンワックス、モンタンエステルワックス、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、SiO、珪酸カルシウムならびにペルフルオロポリエーテル。
【0027】
可塑剤:BBSA、POBO。
【0028】
耐衝撃剤:ポリブタジエン、EPM、EPDM、HDPE、アクリレートゴム。
【0029】
静電防止剤:カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛フィブリル、多価アルコール、脂肪酸エステル、アミン、酸アミド、第四級アンモニウム塩。
【0030】
他のポリマー:ABS、ポリプロピレン。
前記添加剤は、当業者に公知の通常の量で使用されることができる。
【0031】
高溶融性ポリマーは、特にそれぞれ少なくとも255℃、260℃、265℃、270℃、275℃、290℃、295℃または300℃のクリスタリット融点および/またはそれぞれ少なくとも180℃、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃、220℃、225℃、230℃、235℃、240℃または245℃のガラス転移温度を有する。前記の高溶融性ポリマーは、このポリマーをベースとする成形材料中に少なくとも50質量%、少なくとも55質量%、少なくとも60質量%、少なくとも65質量%、少なくとも70質量%、少なくとも75質量%または少なくとも80質量%含有されている。
【0032】
適当な高溶融性ポリマーは、例えば次の通りである:
フルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペン−コポリマー(FEP)またはエチレン−テトラフルオロエチレン−コポリマー(ETFE);
ポリアミドおよびコポリアミド、例えばPA46、PA66、PA9T、PA12T、PA66/6T、PA6/6TまたはPA6T/MPMDT(MPMDは、2−メチレンペンタメチレンジアミンを表わす);
ポリエーテルケトン、例えばPEEK、PEKKまたはPEK;
液晶ポリマー(LCP)、例えば液晶ポリエステル;
ポリエチレンスルフィド(PPS);
ポリスルホン:
ポリエーテルスルホン;
ポリエーテルイミドならびに
シンジオタクチックポリスチレン。
必要な場合には、ポリアミド成形材料と高溶融性ポリマーをベースとする成形材料との層付着は、適当な付着助剤を使用することによって達成されうる。
【0033】
ポリアミドと少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物とからなる成形材料は、予め製造されてよく、この形で同時押出に使用されてよい。しかし、1つの好ましい実施態様において、この成形材料は、その場で加工中に製造される。
【0034】
従って、本発明の対象は、
a)ポリアミド成形材料を準備し、
b)このポリアミド成形材料とポリアミド100質量部に対して少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物0.005〜10質量部とのプレミックスを製造し、
c)このプレミックスを場合によっては貯蔵しおよび/または運搬し、
d)引続き、高溶融性ポリマーをベースとする成形材料との混合物を同時押出することによる多層複合体の製造法でもある。
【0035】
意外なことに、前記添加形式で同時に中程度の加工圧力および僅かなモーター荷重の際、加工中に重要な溶融剛性の上昇が生じることが確認された。それによって、高い融液粘度にも拘わらず加工の際に高い通過量を達成することができ、それから製造法の形成剤性の改善が生じる。
【0036】
少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物は、特許保護が請求された方法それ自体でかまたはマスターバッチとして配合後に初めて添加されるが、しかし、遅くとも加工中に添加される。有利に加工の場合には、縮合すべきポリアミドまたは縮合すべきポリアミド成形材料は顆粒として、少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物の顆粒または相応するマスターバッチと混合される。しかし、配合された完成ポリアミド成形材料と少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物またはマスターバッチとの顆粒混合物が製造されてもよく、引続き輸送されてもよいし、貯蔵されてもよく、その後に加工されてもよい。勿論、相応して粉末混合物を用いて実施されてもよい。混合物を加工の際に初めて溶融することは、重要なことである。加工の際の溶融液の徹底的な混合は、望ましい。しかし、マスターバッチは、同様に溶融液流として、提供された押出機により加工すべきポリアミド成形材料の溶融液中に供給されることができ、さらに徹底的に混入されることができる。
【0037】
また、本発明の対象は、特許保護が請求されたポリアミド成形材料を使用しながらかまたは特許保護が請求された方法により製造された多層複合体である。この多層複合体は、例えば異形成形材、平面状異形成形材、中空異形成形材、供給導管、例えばガソリンスタンド供給導管、通風導管、空気吸込管、タンク注入管、燃料用導管、タンク換気管、クランクハウジング換気管、冷媒用導管、圧縮空気ブレーキ用導管、液圧導管(クラッチおよびブレーキ)、ケーブル導管、ケーブル外被、平面状シート、吹込シート、フラット(Flatten)、貯蔵用容器、瓶または燃料用タンクである。この種の成形部材および外被は、例えば連続的同時押出または同時押出吹込成形、例えば吸上吹込成形、3D吹込成形、ホース挿入法(Schlaucheinlegeverfahren)およびホースマニピュレーション法(Schlauchmanipulationsverfahren)を含めて同時押出によって製造可能である。前記方法は、公知技術水準である。更に、多層複合体を所謂Conex法により製造することも可能である。この場合には、同時押出が重要であり、その際、個々の層は、巻取り法の場合と比較可能であるように互いに塗布されている(WO 97/28949)。
【0038】
本発明による多層管は、好ましい実施態様において、例えばドイツ連邦共和国実用新案登録第202004004 753号明細書U1の記載と同様に2個の蓋が装備されていてよい。引続き、前記管は、ガラス繊維含有テープまたはロービング、またはアラミド繊維含有テープまたはロービングが巻き付けられる。それによって、ガスおよび液体のための簡単で透過性が減少された貯蔵容器が生じる。
【0039】
本発明による管の場合に適した層配置は、外側から内向きに、例えば下記したように続いており、この場合PAは、特許保護が請求されたポリアミド成形材料を表わし、HTは、高溶融性ポリマーをベースとする成形材料を表わし、HVは、付着助剤を表わす:
PA/HT、
HT/PA、
PA/HV/HT、
HT/HV/PA、
PA/HT/PA、
HT/PA/HT、
PA/HV/HT/HV/PA、
PA/HT/HT(導電性)、
PA/HT/PA/PA(導電性)。
【0040】
内部層の導電性は、公知技術水準によれば、例えば有効量の導電性カーボンブラック、黒鉛フィブリルまたは別の導電性添加剤をそれぞれの成形材料中に配合することによって達成されることができる。
【0041】
次に、本発明を例示的に詳説する。試験において、次の材料を使用した:
NH基50ミリ当量/kgおよびCOOH基9ミリ当量/kg、ηrel約2.15を有するアミン調整されたPA12、
NH基8ミリ当量/kgおよびCOOH基50ミリ当量/kg、ηrel約2.15を有する酸調整されたPA12、
Brueggolen(登録商標)M1251、低粘稠なポリカーボネートと酸末端基を有するPA6との混合物、
Ceasit(登録商標)PC (ステアリン酸カルシウム)。
型Werner & Pfleiderer ZSK 30の二軸押出機上で第1表中に記載された組成物を製造した。
【0042】
【表1】

【実施例】
【0043】
比較例1ならびに実施例1〜3:
延性レオメーターを用いて第2表中に記載の組成物を溶融剛性に対して240℃または300℃で試験した。
【0044】
延性レオメーターは、溶融液の延性を一定の取出し速度の下または取出しストランドの一定かまたは指数的な加速の下で測定するために使用される(M.H. Wagner, A. Bernat, V. Schulze, Kautschuk Gummi Kunststoffe 第50巻, No. 9/97; M.H. Wagner , V. Schulze, A. Gottfert, Polymer Engineering and Science, Mid-April 1996, Vol. 36, Nop.7)。
【0045】
本明細書中で使用される装置は、最大30rpmおよび後接された取出し装置を備えたGottfert社の一軸実験室用押出機である。押出機中で第2表中に記載の使用物質を顆粒または顆粒混合物から出発して加工した。形成されるストランドを取出し装置を用いて種々の速度で引きちぎられるまで引き伸ばし、その際、このために必要とされる回転モーメントを測定し、これから取出し力を計算した。結果は、第2表中に示されている。
【0046】
本発明によれば、240℃の典型的な加工温度での常用のPA12成形材料の場合と同様に、300℃で例えば、同一の溶融剛性またはむしろよりいっそう高い溶融剛性を得ることができることが確認される。従って、本発明により製造されたポリアミド成形材料は、300℃の温度範囲でさらに有利に高溶融性ポリマーとの同時押出に使用されてよい。
【0047】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも255℃のクリスタリット融点Tおよび/または少なくとも180℃のガラス転移温度Tを有する高溶融性ポリマーをベースとする成形材料との同時押出のための、次の成分:
a)ポリアミド100質量部ならびに
b)少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物0.005〜10質量部を含有する成形材料の使用。
【請求項2】
高溶融性ポリマーが少なくとも270℃のクリスタリット融点Tおよび/または少なくとも190℃のガラス転移温度を有する、請求項1記載の使用。
【請求項3】
ポリアミドが調節剤としてのジアミンまたはポリアミンを使用しながら製造された、請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
多層複合体の製造法において、
a)ポリアミド成形材料を準備し、
b)ポリアミド成形材料とポリアミド100質量部に対して、少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物0.005〜10質量部とのプレミックスを製造し、
c)このプレミックスを場合によっては貯蔵しおよび/または輸送し、
d)引続きこのプレミックスを、少なくとも255℃のクリスタリット融点Tおよび/または少なくとも180℃のガラス転移温度Tを有する高溶融性ポリマーをベースとする成形材料と同時押出することを特徴とする、多層複合体の製造法。
【請求項5】
高溶融性ポリマーが少なくとも270℃のクリスタリット融点Tおよび/または少なくとも190℃のガラス転移温度を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物をマスターバッチとして使用する、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
請求項4から6までのいずれか1項の記載により製造された多層複合体。

【公開番号】特開2007−16234(P2007−16234A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184862(P2006−184862)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】