説明

高精度呼吸測定方法による無呼吸症(SAS)判定装置

【課題】
無呼吸を判定するのには通常脳波測定であるポリソノグラフ(PSG法)と鼻出口に流速測定装置を取り付けて呼吸測定をする方法がとられるが、この方法は被験者の負担が大きく、簡便に在宅で使用できない。また、指等に装着した、血液中の酸素濃度を測定し、血中酸素量の変化で無呼吸を測定する方法等がある。これらは被験者の負担が大きい。装置が外れてしまうと計測が行えないという問題がある。
【解決手段】
非接触で、生体振動から生体信号を検出する生体信号検出手段で、呼吸、心拍の生体信号および体動を測定し、前期生体信号はピークが一定値になるようにAGC制御をおこなう。さらに、呼吸を安定して測定するため体動を早期に検出して、体動がある場合はAGC制御をロックし、体動終了後解除する。これにより、安定した呼吸測定を可能にする。この安定した呼吸波形と無呼吸症の特徴の条件から無呼吸症判定を行う装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者を非接触無拘束で生体信号を検出し、その信号から心拍信号、呼吸信号、体動信号を抽出し、被験者の睡眠状態と無呼吸、低呼吸の判定を行う手法と、その装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、無呼吸症により昼間眠くなる、昼間活力がないなどの症状が数多く報告されている。この中で特に居眠り運転などは社会的な問題を生じ、深刻な事態を引き起こす場合があり、無呼吸症の治療の必要性は高まっている。
【0003】
我が国の10歳以上の人口のうち、不眠症もしくは不眠傾向のある者は約2220万人と推定されており、このうち病院で治療が必要な不眠症患者は222万人に上る。さらに無呼吸症患者は約15万人いると推定されている。
【0004】
無呼吸症とは、7時間の睡眠中に10秒以上の無呼吸状態が30回以上起こる、もしくは睡眠1時間あたりに無呼吸状態や低呼吸状態が5回以上起こるものとして定義されている。
【0005】
呼吸がなくなる原因には2種類あり、中枢神経の異常と気道が舌で閉塞される2種類である。無呼吸症の原因の大部分は、深い睡眠状態に移行するときに、気道が舌で閉塞されてしまうためである。これにより深い睡眠に入れず十分な睡眠が取れなくなってしまい、日中も眠さを感じる症状が起こる。
【0006】
睡眠判定をするのには、通常脳波測定であるポリソノグラフ(PSG法)と鼻出口に流速測定装置を取り付けて呼吸測定をする方法が一般的にとられるが、この方法は被験者の負担が大きく、通常の睡眠状態とは異なってしまう可能性があることが指摘されている。PSG法以外では、血液中の酸素濃度を測定し、血中酸素量の変化で無呼吸を測定する方法や、胸やおなかの動きなどを記録する装置も考案されているが、いずれも被験者を拘束するため、被験者の負担が大きい。また以上の方法はすべて、被験者が大きく動いたり、装置が外れてしまったりすると計測が行えないという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
睡眠の状態や無呼吸状態の計測を、被験者に負担をかけず長期間にわたって正確に行うことは、無呼吸症の解明や治療をするにあたって非常に重要であり、居眠り運転などの社会問題を解決するのに有効であると考えられている。しかし、被験者に負担をかけず長期間確実に、睡眠の計測および睡眠状態や無呼吸状態を判定する装置はないのが現状である。
【0008】
本発明は上記の問題点を鑑み、被験者の睡眠を妨げることなく、睡眠状態の推移と無呼吸の判定を長時間にわたって測定、判定及び記録が可能であり、かつ被験者の睡眠測定を平易に行うことができ、被験者が日常的に使用できる運用費用の無呼吸状態計測装置を提供することを目的とする。特に本発明では、被験者の睡眠時の無呼吸および低呼吸状態を定量的に判定できる装置を提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の解決手段の無呼吸状態計測装置は、心拍信号およびその強度を検出する非接触無拘束の生体信号検出手段と、心拍強度の時間的変化のばらつき(分散値)と、呼吸状態の強度、変化量及び積分値を用いて無呼吸状態を判定する、無呼吸状態判定手段を備えることを特徴とする。
【0010】
上記の解決方法によれば、無拘束の生体信号検出手段から心拍信号を検出し、その信号を演算処理することにより睡眠状態を判定する睡眠状態判定装置であるので、被験者に負担をかけることなく睡眠状態を長期間にわたって計測することが可能である。また、被験者に装置を直接取り付けるということがないため、非計測時と同様の睡眠状態を計測することが可能となる。
【0011】
本発明の第2の解決手段は、第1の解決手段の高精度呼吸測定装置であって、生体の信号を振動として計測し、心拍信号、呼吸信号および体動信号を測定するものである。
【0012】
本発明第3の解決手段は、第1の解決手段の無呼吸状態の判定法であって、生体信号の心拍信号強度のばらつきが浅い睡眠と判定されるレベルであり、かつ体動信号が見られない時に、呼吸信号波形の面積の絶対値積分値が一定以下でありかつ、変化量を表す短時間の呼吸信号偏差が一定値以下である時に、無呼吸状態を判定するものである。
【0013】
本発明の第4の解決手段は、第3の解決手段の浅い睡眠判定装置と判定法であって、浅い睡眠判定装置は、微差圧センサと生体信号検出部とからなり、生体信号検出部の内部に収容されている空気の圧力変化を微圧線差でもって検出する事により、生体信号を検出し、信号の整形と増幅により心拍信号を検出する事を特徴としており、非拘束な構成の生体信号検出部であるため、被験者の身体および精神に負担をかけることなく睡眠を測定することが可能である。
【0014】
浅い睡眠判定の判定法は、前記睡眠判定装置より得られた心拍信号を、AGC制御した際の係数の逆数の信号を心拍強度信号とし、この心拍強度信号の60秒間のばらつきを求めたのち300秒間の平均をとり、ばらつきが一定帯域にあるときに浅い睡眠であると判定するものである。
【0015】
本発明の第5の解決手段は、第1の解決手段の無呼吸・低呼吸判定装置と前記判定方法であって、判定装置は前記第4の装置と同様のものを用いて生体信号を検出し、信号の成型と増幅により心拍信号と呼吸信号を検出したのち、心拍信号の急激な変化を用いて体動を判定して呼吸信号のAGC制御のロックと解除を行い、安定した呼吸信号を検出することを特徴としており、非拘束な構成の生体信号検出部であるため、被験者の身体および精神に負担をかけることなく睡眠を測定することが可能である。
無呼吸・低呼吸判定法は、前記無呼吸・低呼吸判定装置より得られた呼吸信号の波形の変動と積分値が一定秒間で一定値以下である時に無呼吸および低呼吸の判定を行うものである。
【0016】
本発明の第6の解決手段は、第1の解決手段の体動検出装置と前記判定方法であって、判定装置は前記第4の装置と同様のものを用い、生体信号を検出し、信号の整形と増幅により心拍信号を検出することを特徴としており、非拘束な構成の生体信号検出部であるため、被験者の身体および精神に負担をかけることなく睡眠を測定することが可能である。
【0017】
体動判定法は、前記体動検出装置より得られた心拍信号のうち、AGC制御時間より短い時間において急激な信号強度変化により心拍信号強度が飽和状態になる回数が、一秒間あたり5回を超える場合について体動信号であると判定するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の睡眠状態判定装置は、国際睡眠判定基準の脳波測定によるポリソノグラフ(PSG法)との整合性をすでに確認しており、高精度であることが保証されているものである。
【0019】
前記装置を用い、さらに呼吸を安定して測定するために、体動を早期に検出し、体動がある場合は生体信号のピーク値を一定値に保つためのAGC制御をロックし、体動終了後解除する機能を加え、無呼吸・低呼吸判定装置を発明した。これにより、安定した呼吸測定が可能となる。
【0020】
前記装置で計測した生体信号を用いて、浅い睡眠であり、体動がなく、呼吸の波形の一定時間の変動および積分値が一定値以下である場合を無呼吸状態および低呼吸状態と判定する。無呼吸は一晩の睡眠中に10秒以上の無呼吸状態が30回以上起こる、もしくは一時間の睡眠中に10秒以上の無呼吸状態もしくはそれに準ずる低呼吸状態が5回以上起こるものとして定義されており、前記装置で計測した生体信号を用いて無呼吸・低呼吸の判定を行い図示することで容易に無呼吸の判定を行うことが可能である。
【0021】
前記装置は構成がシンプルであるため、使用環境を選ばないという特徴がある。また、被験者を拘束しないため、被験者の身体および心理的負担が少なく、計測を行うことによって睡眠状態が変化するという問題が起こらない。
【実施例】
【0022】
図をもって本発明の睡眠状態判定装置について詳細に説明する。なお、本発明は本実施例によって限定されるものではない。
【0023】
図1は本発明の睡眠段階判定装置、無呼吸・低呼吸判定装置、体動検出装置の実施例における生体信号検出手段の構成と、その検収信号から睡眠状態を判定する工程を説明する説明図であり、図2は図1に示す生体信号検出手段を矢印方向からみた側面図である。図3は図1に示す生体信号検出手段とは別の生体信号検出手段を示す説明図である。
【0024】
図1は、本発明の睡眠段階判定装置、無呼吸・低呼吸判定装置及び体動検出装置の生体信号検出手段の構成とその検出手段から睡眠段階を判定する工程を示すブロック図を示しており、図2には図1中の矢印方向から見た一部断面図が示されている。図1に示す生体信号検出手段1は、被験者を拘束することなく被験者の微細な生体信号を検出する検出手段であり、信号増幅整形手段2により、信号をあとの処理工程で処理できるように生体検出手段1で検出された信号を増幅し、不要な信号をバンドパスフィルタなどにより除去する。この装置の詳細と性能は「特許公開2003−126052」および「特許公開2000−271103」で立証されている。
【0025】
睡眠段階判定は図1の6における手段によって得られる、心拍信号強度の60秒間のばらつきに対し300秒間の移動平均をとったものが3~6%の範囲にあるときに浅い睡眠であると判定する。この判定は国際睡眠判定基準の脳波等測定によるポリソノグラフ(PSG法)における脳波のδ波の状態との整合性をとった値であり信頼性は保証されている。
【0026】
図3は本発明の体動検出法のブロック図である。体動検出には心拍信号を用い、検出された心拍信号のうち定常状態の心拍信号とは異なる波形を検出することによって判定する。心拍信号は約一秒間以内で一回分であるが、体動が含まれると、信号が非常に短時間で心拍信号とは異なる変動を示す。体動は心拍よりも大きな動きでありかつAGC制御間隔に比べ非常に短い時間で起こるため、心拍信号は飽和して表示される(実施例:図4)。心拍信号が一秒間に5回以上飽和状態に達する時に、これを体動だと判定する。
【0027】
図5は本発明の無呼吸・低呼吸判定法を示したフローチャートである。呼吸信号は心拍に比べ変化が遅いため、AGC制御が20秒に一度行われる。このため、体動が起こり呼吸信号にも影響が及んだ場合、AGC制御によって増幅率が減少してしまう時間が心拍信号に比べ長い。このことから、無呼吸状態でなくても呼吸波形の振幅が極めて小さい状態が続いてしまうことになり、判定が困難であった。
【0028】
呼吸波形の判定の困難さを解決するため、図3の13で条件を満たすと、直ちに呼吸信号のAGC制御をロックし、図3の14で体動信号と判定する。体動信号の検出はAGC制御ロック中も常に行われており、最後の体動信号検出から120秒後にAGC制御が解除されるようにAGC制御の調整を行う。これにより呼吸信号を安定して検出することが可能となる。
【0029】
この呼吸波形を、8秒間の変動値および18秒間の積分値を演算することにより無呼吸および低呼吸状態の判定条件を算出する。呼吸波形の変動値は8秒間の呼吸波形値の分散(標準偏差等)を演算することにより得る。変動値の算出方法のフローチャートは図7の27に示す。この偏差の値が一定値以下であれば、波形の変動が小さいということができる。波形の変動が小さいということはすなわち、無呼吸および低呼吸状態であることに等しい。一方、正常な呼吸および覚醒に近い状態での呼吸波形の振幅の変動は非常に大きいため、無呼吸および低呼吸状態とそれ以外の状態の区別が可能である。無呼吸および低呼吸はそれぞれ閾値を設けて、無呼吸および低呼吸の範囲に値がある場合に、各状態と判定する。閾値は正常>低呼吸>無呼吸となるように設定する。ただし、呼吸波形の変動値のみでは、無呼吸および低呼吸状態が起こる付近での体動やいびきにより呼吸波形にも影響が出てくるため、無呼吸および低呼吸状態の正しい判定はできない。
【0030】
無呼吸および低呼吸状態の正しい判定を行うために、呼吸波形を18秒間絶対積分演算することにより無呼吸および低呼吸状態の判定条件を算出する。積分値の算出方法のフローチャートは図7の28に示す。呼吸波形値のサンプリングは20msecであるので、18秒間分の値の絶対値の総和をとることで積分値とする。無呼吸状態での積分値は変動が少ないため、一定値以下となる。低呼吸状態での積分値は、無呼吸状態の積分値以上であり、かつ一定値以下である。無呼吸および低呼吸はそれぞれ閾値を設けて、無呼吸および低呼吸の範囲に値がある場合に、各状態と判定する。閾値は正常>低呼吸>無呼吸となるように設定する。積分値は体動やいびきなどによる影響を受けにくいが、測定値にオフセットがかかっている場合は値が大きくなる場合があり、積分値だけで正しい判定ができない場合がある。このことを考慮して、変動値と積分値の両方ANDを条件とすることでより正確な判定をすることができるようにする。
【0031】
演算により得られた、体動信号、睡眠状態、呼吸波形の変動及び積分値のすべての条件を用いて判定を行う。まず、体動信号を検出し、体動のない区間のみで判定を行う(図7の29)。次に図7の30で示すように、睡眠状態を判定する心拍強度偏差が浅い睡眠であることを示す3%〜6%である場合においてのみ判定を行う。最後に、図7の31、32で示すように呼吸波形の変動値および積分値の値によって、無呼吸状態、低呼吸状態、正常状態の三つを判別する。
【0032】
図5は本発明の装置の実施例における各生体信号と無呼吸・低呼吸判定結果および判定に用いる条件である呼吸変動、心拍偏差、呼吸区間積分を、無呼吸状態を判定した場合の例を示した時系列データである。図6は前記のデータの、無呼吸状態でない場合の例を示した時系列データである。
【0033】
図5は本発明の装置の実施例における各生体信号と無呼吸・低呼吸判定結果および判定に用いる条件である呼吸変動、心拍偏差、呼吸区間積分を、無呼吸状態と判定した場合の例を示した時系列グラフである。図5の18にあらわされるように呼吸変動が一定値以下であり、図5の19にあらわされるように、心拍偏差が浅い睡眠状態と判定される値を満たしており、呼吸区間積分が一定値以下の場合に判定(図5の20)が無呼吸状態であると判定をしている(図5の17)。また、体動が検出されている場合(図5の16)は判定がされていない。無呼吸状態は40秒ほど断続的に続いており、無呼吸状態が一定時間続くと、体動が起きている。しかし睡眠の状態は浅い睡眠状態を継続しており、この結果は不眠症によって深い睡眠に移行できず浅い睡眠が続き、よく眠れていないという感覚を抱くという現象によく一致している。また、無呼吸状態が終わるときには、比較的小さく短時間の体動が起きることが観察できるが、これも大きく息をついたり、寝苦しさで体を動かしたりなどの現象と一致し、この結果の正しさを示している。
【0034】
図6は本発明実施例における各生体信号と無呼吸・低呼吸判定結果および判定に用いる条件である呼吸変動、心拍偏差、呼吸区間積分を、無呼吸状態でないと判定した場合の例を示した時系列グラフである。心拍偏差(図6の25)が一定値以下となっており深い睡眠状態であると判定される状態であるが、体動信号(図6の22)が検出されておらず、また、心拍・呼吸信号共に安定しており、深い睡眠状態と一致する。この状態に置いて、無呼吸・低呼吸状態であるとの判定は出ていない(図6の23)ことより、本発明により、無呼吸状態、低呼吸状態、正常状態の判定ができていることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0035】
無呼吸症候群は社会的に大きな問題を引き起こす病気でありながら、その検査方法は被験者に直接センサを取りつけて行う方法しか行われていない。しかし、接触式の検査は被験者の身体および精神に多大な負荷がかかっていた。また、被験者が拘束をされることで通常の睡眠状態を計測できないという問題点や、計測機器が被験者の睡眠中に外れてしまうと計測ができないという問題点もあった。さらに、精密な検査を行う場合複数のセンサを取り付ける必要があり、検査を簡単に日常的に行うことが不可能であった。
【0036】
本発明ではこれらの問題点を解決するために、無侵襲、無拘束、非接触の計測装置及び判定方法を考案した。この計測法により、被験者への負担が減るばかりでなく、日常的な計測が可能となり、無呼吸症候群の治療や研究が容易になると考えられる。また、計測の際には、布団の下に装置を敷くだけでよいため、非常に簡単に誰でも検査が行え、検査の効率化、コスト削減が可能となる。
【先行特許調査比較と見解:特許調査】
【0037】
【特許文献1】特開2007-283030号公報 睡眠時呼吸状態判定装置
【0038】
本発明との違いは、無呼吸状態の判定において、
【特許文献1】が呼吸信号の分散の演算により条件を求めているのに対し、本発明の手法では、睡眠の状態及び呼吸の変動と積分値の三つの条件を用いて判定を行っている点にある。三つの条件を用いることで、正確に無呼吸状態の判定が可能となった。また、本発明のおける各種の演算は繁雑な計算を必要とせず、簡単に判定を行うことが可能である。
【0039】
【特許文献2】特開2008-054759号公報 無呼吸検出装置
【0040】
本発明との違いは、呼吸信号の検出において、
【特許文献2】がひずみゲージ式センサを用いているのに対し、本発明は中空チューブ内部を伝播する生体信号をマイクロフォンで検出するという点にある。また、
【特許文献2】では無呼吸の判定を、呼吸による信号の有無のみにより判定しているが、本発明では呼吸の変動及び積分値、さらに睡眠の状態の三つの条件を用いて判定を行っているため、信頼性が高く、低呼吸状態の検出も行うことができるという点で異なっている。
【0041】
【特許文献3】特開2006-320734号公報 睡眠検査装置および睡眠時無呼吸検査装置
【0042】
本発明との違いは、計測手法に関して、
【特許文献3】が加速度センサを被験者に取り付けるのに対し、本発明は、被験者を拘束せずに計測を行い、またその計測方法は布団等の下に引いた中空チューブ内部を伝播する生体信号振動をマイクロフォンで検出するという点にある。また、
【特許文献3】において無呼吸状態の検出は、呼吸波形の分散を求めることによってのみ行われているが、本発明では、呼吸波形の変動及び分散値と睡眠の状態の三つの条件を用いて判定を行っているため、信頼性が高いという点で異なっている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の睡眠状態判定装置、体動検出装置および無呼吸・低呼吸判定装置の構成図である。
【図2】生体検出手段の側方から見た断面図である。
【図3】体動検出手段の詳細を示すブロック図である。
【図4】体動検出によりAGC制御をロックした場合における呼吸波形の改善をAGC制御をロックしなかった場合と比較した時系列グラフである。
【図5】無呼吸状態の場合の呼吸波形、心拍波形、判定結果、呼吸変動、心拍強度分散および呼吸積分値を時系列データで描画したグラフである。
【図6】正常な状態の場合の呼吸波形、心拍波形、判定結果、呼吸変動、心拍強度分散および呼吸積分値を時系列データで描画したグラフである。
【図7】無呼吸判定法のステップを説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0044】
1.
生体信号検出手段
2.
信号増幅整形手段
3.
信号整形フィルタ
4.
心拍信号検出手段
5.
呼吸信号検出手段
6.
心拍強度信号検出手段
7.
呼吸信号変動演算
8.
呼吸信号積分演算
9.
体動信号検出
10.
睡眠段階判定手段
11.
無呼吸・低呼吸状態判定手段
12.
データ記憶出力手段
13.
体動検出条件
14.
体動検出判定
15.
呼吸波形
16.
体動信号
17.
無呼吸・低呼吸状態判定
18.
呼吸波形変動値
19.
睡眠深度判定値
20.
呼吸波形積分値
21.
呼吸波形
22.
心拍信号
23.
無呼吸・低呼吸状態判定
24.
睡眠深度判定値
25.
呼吸波形積分値
26.
呼吸波形変動演算部
27.
呼吸波形積分値演算部
28.
体動検出判定
29.
睡眠深度判定
30.
呼吸波形変動値による睡眠状態判定
31.
呼吸波形積分値による睡眠状態判定
32.
呼吸波形
33.
心拍波形
34.
体動信号
35.
呼吸波形
36.
体動波形
37.
体動信号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無拘束、非接触による生体振動を検出する生体振動検出手段と、前期生体振動検出手段の出力信号から生体信号を検出する生体信号検出手段と、呼吸、心拍生体信号および体動を測定し、前期生体信号はピークが一定値になるようにAGC制御をおこなう。さらに、呼吸を安定して測定するため体動を早期に検出して、体動がある場合はAGC制御をロックし、体動終了後解除する。これにより、安定した呼吸測定を可能にする。この安定した呼吸波形と無呼吸症の特徴の条件から無呼吸症判定を行う装置。
【請求項2】
請求項1の生体信号から体動を検出、呼吸のAGC制御をロック(停止)し、体動終了後ロックを解除する高精度呼吸測定方法及び装置。
【請求項3】
請求項1の無呼吸症の条件は、浅い睡眠状態で起こり、体動時および覚醒時、深い睡眠時には無呼吸は起こらない。また正常呼吸と無呼吸時には、一定時間の呼吸波形の分散(標準偏差等)を求めることにより算出する変動値と、呼吸波形面積の絶対積分値とのANDをとり判定する。その呼吸波形の偏差は、正常>無呼吸で一定の閾値を設けで判定し、その積分値大きさは、正常>無呼吸で一定の閾値で判定する方法及び装置。
【請求項4】
請求項3の浅い睡眠判定方法は心拍強度の分散値が一定範囲以内であることを特徴とする方法及び装置である。この分散値の求め方は心拍生体信号のピークが一定値になるようにAGC制御のゲイン値の逆数を心拍強度とし、この分散値から求める。
【請求項5】
請求項1の無呼吸の判定は、低呼吸と無呼吸があり、その判定は正常呼吸、低呼吸、無呼吸との判定が必要である。この方法は一定時間の呼吸波形の分散(標準偏差等)を求めることにより算出する変動値と、呼吸波形面積の絶対積分値により判定する。その積分値大きさは、正常>低呼吸>無呼吸 で一定のそれぞれの閾値を設けて判定する方法とその装置
【請求項6】
請求項1の体動検出方法は、前記体動検出手段により得られた生体信号のうち、AGC制御時間より短い時間において急激な信号強度変化により生体信号強度が飽和状態になる回数が、単位時間あたり一定回数を超える場合について体動信号であると判定する方法及びその装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−156029(P2011−156029A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18357(P2010−18357)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(508131381)株式会社スリープシステム研究所 (9)
【Fターム(参考)】