説明

高純度のノルマルブタノール生産用分離壁型蒸留塔、及びノルマルブタノール蒸留方法

本発明は、高純度ノルマルブタノール生産用分離壁型蒸留塔、及びノルマルブタノール蒸留方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、分離壁型蒸留塔にクルドノルマルブタノール原料を提供し、ノルマルブタノールを分別蒸留する方法及びその装置に関する。本発明の分離壁型蒸留塔は、1本の蒸留塔で2本の蒸留塔の効果を有するので、高純度のノルマルブタノールを生産するにあたって、従来の工程装置に比べてエネルギー節減効果はもちろん、装置の設備費をも低減することができるという効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度のノルマルブタノール生産用分離壁型蒸留塔、及びノルマルブタノール蒸留方法に関する。
【0002】
本出願は、2009年1月20日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2009−0004605号、及び2010年1月14日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2010−0003392号の出願日の利益を主張し、その内容全部は、本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
原油(Crude Oil)などのような各種原料物質は、通常、様々な化学物質の混合物である場合が多いため、その自体で産業に用いられることは珍しく、各々の化合物に分離した後に使用されることが普通である。混合物を分離する化学工程のうち代表的なものが蒸留工程である。
【0004】
通常、蒸留工程は、高沸点成分と低沸点成分を両分するので、分離しようとする混合物の成分個数(n)より1つ少ない個数(n−1)の蒸留塔を使用する。すなわち、従来の蒸留産業現場で、3成分混合物の分離のための工程は、大部分、連続2本の蒸留塔構造を使用している。
【0005】
3成分混合物の分離のための従来の蒸留工程は、図1に示されている。
【0006】
従来の工程は、第1塔11で最も低沸点成分Dを分離し、第2塔21で中間沸点成分Sと高沸点成分Bを分離する2塔方式である。
【0007】
従来の2本カラム蒸留方式で、一番目のカラム内の組成プロファイルは、図2の通りである。図2に示されたように、一番目のカラムの下部領域で中間沸点S物質の再混合現象が発生することが一般的である。
【0008】
前述した従来の工程は、製品生産物の組成は容易に制御することができるが、一番目のカラム内で中間沸点成分の再混合過程が生ずるようになり、これは、蒸留塔での熱力学的効率を低下させる主要な要因となり、エネルギーを不要に追加に消費する結果をもたらす。
【0009】
このような問題点を改善するために、新しい蒸留構造に対する多くの研究が進行されて来た。熱統合構造によって分離効率を向上させようとする代表的な例として、図4のようなPetlyuk蒸留塔構造を挙げることができる。Petlyuk蒸留塔は、予備分離機12と主分離機22を熱的に統合された構造で配列することによって、低沸点成分と高沸点成分を1次的に予備分離機で分離した後、予備分離機の塔頂部分と塔底部分が主分離機の供給段に各々流入され、主分離機で低沸点、中間沸点、高沸点成分を各々分離するようになる。このような構造は、Petlyuk蒸留塔内の蒸留曲線が平衡蒸留曲線と類似していて、エネルギー効率を高くする。しかし、工程の設計及び運転が容易ではなく、特に塔内の圧力均衡を合わせにくいという問題点が存在する。
【0010】
このようなPetlyuk蒸留塔が有する制限点を改善するために、分離壁型蒸留塔(DWC:Dividing Wall Column)が提案された。分離壁型蒸留塔は、熱力学的観点から、Petlyuk蒸留塔と類似しているが、構造的な観点から、塔内に分離壁を設置することによって、Petlyuk蒸留塔の予備分離機を主分離機の内部に統合させた形態である。このような構造は、Petlyuk蒸留塔の予備分離機と主分離機との間の圧力均衡の困難とそれによる運転上の困難を自然に解消することによって、運転が容易であり、また、2本の蒸留塔が1つに統合され、投資費用をも大幅に節減されることができるという大きい長所を有する。
【0011】
ノルマルブタノール整流のための従来の技術として、下記特許文献1及び特許文献2を例示することができる。
【0012】
特許文献1は、オキソアルコール製造工程で付加的に生成されるスロップ(slop)ブタノールを原料とし、2本の蒸留塔を運転し、ノルマルブタノールを生産する工程において、前記スロップブタノールにアルカリ性添加剤を添加する段階と、蒸留塔1で水分及び低沸点物質を除去する段階と、蒸留塔2で高沸点物質を除去する段階とを備えてなる構成を有することを特徴とし、2個の蒸留塔を運転し、従来の3個の蒸留塔を運転して得ることができるノルマルブタノールの含量を満足させることができるので、工程を短縮させることができると共に、蒸留塔を運転するのに所要されるエネルギー及び費用を顕著に節減することができるノルマルブタノール精製方法を提示している。
【0013】
特許文献2は、低沸点物質A、中間沸点物質B及び高沸点物質Cを含む混合物を第1蒸留カラムに導入する段階と;前記第1蒸留カラムの下部で中間沸点物質Bの再混合が発生しないように前記混合物を第1蒸留カラムで分離し、第1蒸留カラム上部生成物及び下部生成物を提供する段階と;前記第1蒸留カラム下部生成物を第2蒸留カラムで分離し、第2蒸留カラム上部生成物及び下部生成物を提供する段階と;を備え、前記第2蒸留カラム上部の生成物のうち低沸点物質A及び中間沸点物質Bの濃度比率を制御する方法を提示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】KR10−2003−0088211 A2
【特許文献2】KR10−2008−0099034 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前述したような分離壁型蒸留塔の長所にもかかわらず、実際産業現場ではほとんど普及されていないことが実情である。その重要な理由の1つとして、Petlyuk蒸留塔とは異なって、分離壁型蒸留塔は、設計が定められれば、内部循環フロー量を調節することができないという構造的特性に起因して、運転条件変動に対する柔軟性が低下するという点を挙げることができる。すなわち、蒸留塔の初期設計段階で正確な模写と構造決定が必要であるという問題点がある。
【0016】
現在、分離壁型蒸留塔の構造及び制御について様々な研究がなされているが、分離壁型蒸留塔で供給段の位置、分離壁区間設定、中間沸点物質の生産段の位置、全体段数、蒸留温度及び蒸留圧力などの蒸留塔の設計構造及び運転条件に対する内容は、非常に制限されている状況である。
【0017】
特に、分別蒸留しようとする対象化合物の性質によって蒸留塔の段数、供給段の位置などの設計構造及び蒸留温度、圧力などの運転条件が特別に変更されなければならないので、分離壁型蒸留塔の使用を難しくしている。
【0018】
したがって、本発明は、前述したような問題点を解決し、使用エネルギーを節減することができると共に、設備費をも低減することができるように、ノルマルブタノール精製に適するように設計された分離壁型蒸留塔及びその運転方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、前述したような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、凝縮器、再沸器、及び分離壁を含む主塔を備える分離壁型蒸留塔において、前記主塔は、塔頂区域、上部供給区域、上部流出区域、下部供給区域、下部流出区域及び塔底区域に区分され、少なくとも1個以上の流入フローと少なくとも3個以上の流出フローを有し、前記流入フローは、クルドノルマルブタノールである原料Fが前記主塔の上部供給区域及び前記下部供給区域が当接する供給中間段NR1に流入され、前記流出フローのうち少なくとも1つ以上は、実質的にノルマルブタノールフローであることを特徴とする分離壁型蒸留塔を提供する。
【0020】
また、凝縮器、再沸器、及び分離壁を含む主塔を備える分離壁型蒸留塔において、前記主塔は、塔頂区域、上部供給区域、上部流出区域、下部供給区域、下部流出区域及び塔底区域に区分され、クルドノルマルブタノールである原料Fが前記主塔の上部供給区域及び前記下部供給区域が当接する供給中間段NR1に流入され、低沸点成分Dは、前記塔頂区域で流出され、高沸点成分Bは前記塔底区域で流出され、中間沸点成分Sは、前記上部流出区域及び前記下部流出区域が当接する流出中間段NR2に流出され、前記中間沸点成分は、実質的にノルマルブタノールであることを特徴とする分離壁型蒸留塔を提供する。
【0021】
また、本発明において、前記原料Fは、ノルマルブタノール含量が90重量%以上であることを特徴とする分離壁型蒸留塔を提供する。
【0022】
また、本発明において、前記塔頂区域、前記上部供給区域、前記上部流出区域、前記下部供給区域、前記下部流出区域及び前記塔底区域に各々設けられる段数は、蒸留曲線によって算出される理論段数の80〜145%範囲以内であることを特徴とする分離壁型蒸留塔を提供する。
【0023】
また、本発明において、前記分離壁の長さは、前記上部供給区域及び前記下部供給区域、または前記上部流出区域と前記下部流出区域が含む段数によってその長さが決定されることを特徴とする分離壁型蒸留塔を提供する。
【0024】
また、本発明において、前記分離壁の長さは、蒸留曲線によって算出される前記塔頂区域、前記上部供給区域、前記下部流出区域及び前記塔底区域全体理論段数の30〜85%範囲以内であることを特徴とする分離壁型蒸留塔を提供する。
【0025】
また、本発明において、前記塔頂区域の温度は、常圧で90〜100℃範囲以内であることを特徴とする分離壁型蒸留塔を提供する。
【0026】
また、本発明において、前記塔底区域の温度は、常圧で140〜160℃範囲以内であることを特徴とする分離壁型蒸留塔を提供する。
【0027】
また、本発明において、前記上部流出区域及び前記下部流出区域が当接する位置に設けられ、中間沸点成分Sが流出される流出中間段NR2の温度は、常圧で118〜127℃範囲以内であることを特徴とする分離壁型蒸留塔を提供する。
【0028】
また、本発明において、前記塔頂区域の温度は、下記数式1による下限温度T1a〜上限温度T2a範囲以内であることを特徴とする分離壁型蒸留塔を提供する。
【0029】
[数式1]
下限:T1a=86.8036×P0.3570
上限:T2a=96.8276×P0.3201
(ここで、T1a及びT2aは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【0030】
また、本発明において、前記塔底区域の温度は、下記数式2による下限温度T1b〜上限温度T2b範囲以内であることを特徴とする分離壁型蒸留塔を提供する。
【0031】
[数式2]
下限:T1b=139.100×P0.1438
上限:T2b=156.9071×P0.1977
(ここで、T1b及びT2bは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【0032】
また、本発明において、上部流出区域及び下部流出区域が当接する位置に設けられ、中間沸点成分Sが流出される流出中間段NR2の温度は、下記数式3による下限温度T1c〜上限温度T2c範囲以内であることを特徴とする分離壁型蒸留塔を提供する。
【0033】
[数式3]
下限:T1c=115.7594×P0.2297
上限:T2c=125.0420×P0.2727
(ここで、T1c及びT2cは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【0034】
また、分離壁型蒸留塔にクルドノルマルブタノール原料を提供し、ノルマルブタノールを分別蒸留する方法において、前記分離壁型蒸留塔は、凝縮器、再沸器、及び分離壁を含む主塔を備え、前記主塔は、塔頂区域、上部供給区域、上部流出区域、下部供給区域、下部流出区域及び塔底区域に区分され、低沸点成分Dは、塔頂区域で流出され、高沸点成分Bは、塔底区域で流出され、中間沸点成分Sは、上部流出区域及び下部流出区域が当接する流出中間段NR2に流出され、前記中間沸点成分は、実質的にノルマルブタノールであることを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法を提供する。
【0035】
また、本発明の方法において、前記原料Fは、ノルマルブタノール含量が90重量%以上であることを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法を提供する。
【0036】
また、本発明の方法において、前記主塔の前記塔頂区域、前記上部供給区域、前記上部流出区域、前記下部供給区域、前記下部流出区域及び前記塔底区域に設けられる各々の段数は、蒸留曲線によって算出される理論段数の80〜145%範囲以内であることを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法を提供する。
【0037】
また、本発明の方法において、前記分離壁の長さは、前記上部供給区域及び前記下部供給区域、または前記上部流出区域と前記下部流出区域が含む段数によってその長さが決定されることを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法を提供する。
【0038】
また、本発明の方法において、前記分離壁の長さは、蒸留曲線によって算出される前記塔頂区域、前記上部供給区域、前記下部流出区域及び前記塔底区域全体理論段数の30〜85%範囲以内であることを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法を提供する。
【0039】
また、本発明の方法において、前記塔頂区域の温度は、常圧で90〜100℃範囲以内であることを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法を提供する。
【0040】
また、本発明の方法において、前記塔底区域の温度は、常圧で140〜160℃範囲以内であることを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法を提供する。
【0041】
また、本発明の方法において、前記上部流出区域及び前記下部流出区域が当接する位置に設けられ、中間沸点成分Sが流出される流出中間段NR2の温度は、常圧で118〜127℃範囲以内であることを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法を提供する。
【0042】
また、本発明の方法において、前記塔頂区域の温度は、下記数式1による下限温度T1a〜上限温度T2a範囲以内であることを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法を提供する。
【0043】
[数式1]
下限:T1a=86.8036×P0.3570
上限:T2a=96.8276×P0.3201
(ここで、T1a及びT2aは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【0044】
また、本発明の方法において、前記塔底区域の温度は、下記数式2による下限温度T1b〜上限温度T2b範囲以内であることを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法を提供する。
【0045】
[数式2]
下限:T1b=139.100×P0.1438
上限:T2b=156.9071×P0.1977
(ここで、T1b及びT2bは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【0046】
また、本発明の方法において、上部流出区域及び下部流出区域が当接する位置に設けられ、中間沸点成分Sが流出される流出中間段NR2の温度は、下記数式3による下限温度T1c〜上限温度T2c範囲以内であることを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法を提供する。
【0047】
[数式3]
下限:T1c=115.7594×P0.2297
上限:T2c=125.0420×P0.2727
(ここで、T1c及びT2cは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【発明の効果】
【0048】
本発明の分離壁型蒸留塔は、1本の蒸留塔で2本の蒸留塔の効果を有するので、高純度のノルマルブタノールを生産するにあたって、従来の工程装置に比べてエネルギー節減効果はもちろん、装置の設備費をも低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】3成分混合物の分離のための従来の蒸留工程の概略図である。
【図2】従来の蒸留工程で一番目カラム内の組成プロファイルである。
【図3】従来の1本カラム蒸留方式で側流流出運転をするカラム内の組成プロファイルである。
【図4】Petlyuk蒸留塔構造を示す概略図である。
【図5】本発明の分離壁型蒸留塔の構造を示す概略図である。
【図6】比較例を示す概略図である。
【図7】本発明の実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明の実施例は、発明の詳細な説明のためのものであって、これによって権利範囲を制限しようとするものではない。
【0051】
(実施例)
本発明で提案したシステムの性能を検証するためにDWCを設計製作し、運転を実施した。実際運転を通じて要求する製品の組成が得られることを確認した。比較例は、従来の分離壁無しの2本の蒸留塔を使用し、実施例は、分離壁がある1本の蒸留塔を使用した。
【0052】
図6及び図7では、本発明の実施例及び比較例を各々図示した。図6及び図7の番号1〜8は、実施例及び比較例各々の図面に示された個別フロー(stream)を示す識別番号である。
【0053】
実施例及び比較例は、表1のような理論段数を有し、実験結果は、下記表2及び表3に示された通りである。実施例の塔頂区域の温度は、約95℃であり、凝縮器を用いた冷却後、約50℃を示した(すなわち、下記実施例2、3、及び4のフローは、約50℃を示す)。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
前記実施例から分かるように、再混合現象除去及び分離効率増加によって99.9wt%の高純度のノルマルブタノールを効率的に得ることができた。製品純度増加によるノルマルブタノールの追加的な整流リサイクル(recycle)段階を低減することができ、生産性を向上させることができる。投資額の観点からも、従来の蒸留塔(2本のカラム、4本の熱交換機)に比べてDWC(1本のカラム、2本の熱交換機)が非常に低いことを確認することができた。エネルギー節減率は、従来に比べて約30.4%と大きく節減された。
【0058】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の分離壁型蒸留塔の構造を図5に示したところ、これを参照して下記の説明を理解することができる。
【0059】
本発明の蒸留塔は、凝縮器、再沸器、及び分離壁を含む主塔を備える分離壁型蒸留塔において、前記主塔は、塔頂区域、上部供給区域、上部流出区域、下部供給区域、下部流出区域及び塔底区域に区分され、少なくとも1個以上の流入フローと少なくとも3個以上の流出フローを有し、前記流入フローは、クルドノルマルブタノールである原料Fが前記主塔の上部供給区域及び前記下部供給区域が当接する供給中間段NR1に流入され、前記流出フローのうち少なくとも1つ以上は、実質的にノルマルブタノールフローであることを特徴とする。
【0060】
また、本発明の他の蒸留塔は、凝縮器、再沸器、及び分離壁を含む主塔を備える分離壁型蒸留塔において、前記主塔は、塔頂区域、上部供給区域、上部流出区域、下部供給区域、下部流出区域及び塔底区域に区分され、クルドノルマルブタノールである原料Fが前記主塔の上部供給区域及び前記下部供給区域が当接する供給中間段NR1に流入され、低沸点成分Dは、前記塔頂区域で流出され、高沸点成分Bは、前記塔底区域で流出され、中間沸点成分Sは、前記上部流出区域及び前記下部流出区域が当接する流出中間段NR2に流出され、前記中間沸点成分は、実質的にノルマルブタノールであることを特徴とする。
【0061】
本発明の蒸留塔は、凝縮器31及び再沸器41を含む。
【0062】
前記凝縮器は、ガス状態の混合物の気化熱を奪って凝縮させる装置であって、従来の化学工学装置に使用される凝縮器を非制限的に使用することができる。
【0063】
前記再沸器は、液体状態の混合物に気化熱を提供して気化させる装置であって、従来の化学工学装置に使用される再沸器を非制限的に使用することができる。
【0064】
前記主塔1は、大きく、6部分の区域に区切られることができる。
【0065】
前記塔頂区域100は、分離壁がない主塔の上部の領域を言う。
【0066】
前記上部供給区域200は、分離壁によって一面が区切られる領域であり、流入物(原料)フローより上部に位置するサブ領域である。
【0067】
前記上部流出区域300は、分離壁によって一面が区切られる領域であり、流出物フローより上部に位置するサブ領域である。
【0068】
前記下部供給区域400は、分離壁によって一面が区切られる領域であり、流入物フローより下部に位置するサブ領域である。
【0069】
前記下部流出区域500は、分離壁によって一面が区切られる領域であり、流出物フローより下部に位置するサブ領域である。
【0070】
前記塔底区域600は、分離壁がない主塔の下部領域を言う。
【0071】
前記主塔は、少なくとも1個の流入フロー及び少なくとも3個の流出フローを有する。
【0072】
クルドノルマルブタノール(crude n−BUOH)である原料Fが前記主塔の上部供給区域及び前記下部供給区域が当接する供給中間段NR1に流入され、低沸点成分Dは、前記塔頂区域で流出され、高沸点成分Bは、前記塔底区域で流出され、中間沸点成分Sは、前記上部流出区域及び前記下部流出区域が当接する流出中間段NR2に流出される。この時、流出中間段NR2に流出される中間沸点成分Sは、実質的にノルマルブタノールである。
【0073】
ここで、クルドノルマルブタノール原料であるというのは、主成分がノルマルブタノールである混合物であって、当該蒸留工程の目的物(蒸留対象物)を言い、前記「主成分」は、混合物各々の個別成分のうち最も多く含まれた成分を言う。高純度のノルマルブタノールを得るためには、前記クルドノルマルブタノール原料のノルマルブタノール含量が高いほど好ましく、99重量%以上の高純度ノルマルブタノールを得るためには、少なくとも90重量%以上であることが好ましい。
【0074】
また、「実質的にノルマルブタノールであること」の意味は、その混合物自体を実質的に(substantially)ノルマルブタノールとして見なすことができるという意味であって、具体的には、ノルマルブタノールを主成分とし、供給原料に比べてノルマルブタノール含量がさらに高く、ノルマルブタノール成分が、全体混合物において、少なくとも90重量%を超過するものを言う。
【0075】
分離壁型蒸留工程が従来の連続2本蒸留工程よりエネルギーが少なく所要される理由は、構造的差異として解釈することができる。分離壁型蒸留塔では、分離壁によって分けられた空間が予備分離機の役目をするので、高沸点物質と低沸点物質の分離によって液体組成が平衡蒸留曲線とほぼ一致するようになり、再混合(remixing)効果が抑制されるようになり、分離のための熱力学的効率が良くなる。
【0076】
前記上部供給区域及び下部供給区域は、従来工程の予備分離機と類似の役目をする(すなわち、上部供給区域及び下部供給区域を総称して予備分離領域と言える)。予備分離領域に流入される3成分は、低沸点物質と高沸点物質とに分離される。前記予備分離領域で分離された低沸点成分と高沸点成分の一部は、塔頂区域に流入され、一部は、さらに上部流出区域及び下部流出区域に流入され、再蒸留される。
【0077】
前記上部流出区域及び下部流出区域は、従来工程の主分離機の役目をする(すなわち、上部流出区域及び下部流出区域を総称して主分離領域と言える)。前記主分離領域の分離壁上部部分では、主に低沸点物質と中間沸点物質とに分離され、下部部分では、主に中間沸点物質と高沸点物質が分離される。
【0078】
低沸点成分は、主塔の塔頂区域と凝縮器を通過した後、一部は、低沸点製品Dとして生産され、その残りは、液相流量LDとしてさらに主塔の塔頂区域に還流され、高沸点成分は、主塔の塔底区域と再沸器を通過した後、一部は、高沸点製品Bとして生産され、その残りは、気相流量VBとしてさらに主塔の塔底区域に還流される。
【0079】
分離壁がある熱複合蒸留塔システムの設計は、従来の熱複合型蒸留塔の設計を基礎にし、最小段の塔設計に基礎を置いている。蒸留塔の効率は、塔内の蒸留段の液体組成分布が平衡蒸留曲線と類似している時に最大となるので、まず、転換類操作で蒸留塔が運転されると仮定して、最小段の蒸留システムを設計した。すなわち、原料供給段での液体組成と原料の組成が同一であると仮定し、上部供給区域及び下部供給区域を設計し、上部流出区域及び下部流出区域は、中間沸点製品の濃度を始まりに、階段式平衡組成設計法によって塔中間から上部に塔内の液体組成を計算し、さらに主分離機の役目をする下部流出区域を中間沸点製品の濃度を始まりに、塔中間から塔底に平衡組成計算法によって階段式で塔内の液体組成を順次計算した。このように得られた液体組成の分布から原料供給段と製品の組成を有する段の数をカウントすれば、予備分離機の役目をする上部供給区域及び下部供給区域、及び主分離機役目をする上部流出区域及び下部流出区域の段数を各々把握することができる。ここで得られた塔の段数は、理論段数であって、理想的な段数なので、実際塔において段数は、通常の設計基準によって理論段数の80〜145%とすることが好ましい。前記算出された理論段数の80%未満の場合、予備分離領域で低沸点と高沸点成分の分離がよく行われないことができ、145%超過の場合、最小還流比の領域なので、エネルギー節減効果がこれ以上増加せず、投資額が増加するので好ましくない。
【0080】
また、前記主塔の内部に設置される分離壁の長さは、各々上部供給区域及び下部供給区域または上部流出区域及び下部流出区域の蒸留曲線によって算出された段数によってその長さが決定される。
【0081】
このような分離壁型蒸留塔において最適の分離壁区間を設計する時、予備分離領域と主分離領域との液体組成に対する平衡蒸留曲線方法などにより分離壁区間を定め、理論段数及び還流量などを求める方法は多様であるが、本発明では、Fenske−Underwood式を利用して理論段数を求めた(Fenske−Underwood式は、当該技術分野における通常の知識を有する者に広く知られた式である)。
【0082】
前記分離壁の長さは、蒸留曲線によって算出される前記塔頂区域、前記上部供給区域、前記下部流出区域及び前記塔底区域全体の理論段数の30〜85%範囲以内であることが好ましい。30%未満の場合、予備分離領域で低沸点成分の一部が下部に垂れて、主分離機の製品に含まれるおそれがあり、85%超過の場合、カラム内部で低沸点/中間沸点成分の液相/気相及び中間沸点/高沸点成分の液相/気相の円滑な平衡フローを維持しにくいため、カラム製作上、問題があり得る。
【0083】
前記主塔の塔頂区域の温度は、常圧で90〜100℃範囲以内であることが好ましい。90℃未満の場合には、低沸点物質が予備分離領域下部に垂れることができ、製品純度に影響を及ぼし、100℃を超過する場合、高沸点物質(HEAVIES)が予備分離領域の上部に上がって、製品純度に影響を及ぼすおそれがある。
【0084】
前記主塔の塔底区域の温度は、常圧で140〜160℃範囲以内であることが好ましい。140℃未満の場合には、製品である中間沸点物質(n−BuOH)が下部に落ちて、製品生産量が減少し、160℃を超過する場合、高沸点物質(HEAVIES)が製品である中間沸点物質(n−BuOH)と一緒に側流流出されるおそれがある。
【0085】
前記上部流出区域及び前記下部流出区域が当接する位置に設けられ、中間沸点成分Sが流出される流出中間段NR2の温度は、常圧で118〜127℃範囲以内であることが好ましい。118℃未満の場合には、低沸点物質除去が容易でなく、127℃を超過する場合、高沸点物質除去が容易でないため、製品純度に大きい影響を及ぼすことができる。
【0086】
前記塔頂区域、塔底区域及び主塔の流出中間段NR2の温度範囲は、常圧を基準にしたものである。本発明の常圧の意味は、通常的に使用される常圧の範囲と若干異なる。通常的な常圧は、約1気圧(1atm≒1.033kgf/cm)程度を言うが、本発明の常圧は、約1.09kgf/cm程度を言う。これは、蒸留塔工程では、通常の大気圧より若干昇圧されて運転されることが一般的であり、高圧工程が多い化学工場で1.09kgf/cm程度は、常圧として見なす当該技術分野用語使用慣行を反映したものである。
【0087】
常圧ではない場合には、圧力によって前記上限温度と下限温度が調節される必要がある。すなわち、蒸留塔を減圧または加圧運転する場合、前記温度範囲は変わることができる。一般的に圧力が上昇するほど、上限温度及び下限温度が上昇する傾向がある。
【0088】
例えば、圧力が約0.8kg/cmの場合、塔頂区域は、約80〜90℃、塔底区域は、約135〜150℃、流出中間段NR2は、約110〜118℃であることが好ましく、圧力が約1.3kg/cmの場合、塔頂区域は、約95〜105℃、塔底区域は、約145〜165℃、流出中間段NR2は、約123〜135℃であることが好ましい。
【0089】
圧力による温度の上限と下限は、下記表4を参照することができる。
【0090】
【表4】

【0091】
特に、常圧ではない場合に、前記塔頂区域の温度は、下記数式1を使用して算出された上限及び下限の温度範囲を使用することができる。下記数式1〜3は、前記表4の資料に基づいて最小自乗法によって算出された公式である。
【0092】
[数式1]
下限:T1a=86.8036×P0.3570
上限:T2a=96.8276×P0.3201
(ここで、T1a及びT2aは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【0093】
また、前記塔底区域が常圧ではない場合に、前記塔底区域の温度は、下記数式2を使用して算出された上限及び下限の温度範囲を使用することができる。
【0094】
[数式2]
下限:T1b=139.100×P0.1438
上限:T2b=156.9071×P0.1977
(ここで、T1b及びT2bは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【0095】
また、前記流出中間段NR2が常圧ではない場合に、前記流出中間段NR2の温度は、下記数式3を使用して算出された上限及び下限の温度範囲を使用することができる。
【0096】
[数式3]
下限:T1c=115.7594×P0.2297
上限:T2c=125.0420×P0.2727
(ここで、T1c及びT2cは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【0097】
上記のように、本発明による分割壁がある熱複合蒸留塔システムは、3成分混合物に対する蒸留システムの塔効率改善を目的とし、このシステムは、主塔内に分離壁を設置し、高効率の平衡蒸留の蒸留システムと類似な液組成分布を有する予備分離機及び主分離機の機能をする空間が形成されるようにして、2本の蒸留塔で構成されているものと同様の効果を有する。
【0098】
特に、分離壁型蒸留塔にクルドノルマルブタノールである原料を提供し、ノルマルブタノールを分別蒸留する方法において、前記分離壁型蒸留塔は、凝縮器、再沸器、及び分離壁を含む主塔を備え、前記主塔は、塔頂区域、上部供給区域、上部流出区域、下部供給区域、下部流出区域及び塔底区域に区分され、低沸点成分Dは、塔頂区域で流出され、高沸点成分Bは、塔底区域で流出され、中間沸点成分Sは、上部流出区域及び下部流出区域が当接する流出中間段NR2に流出され、前記中間沸点成分は、ノルマルブタノールを含むことを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法に関する。
【0099】
本発明の方法において、前記主塔の前記塔頂区域、前記上部供給区域、前記上部流出区域、前記下部供給区域、前記下部流出区域及び前記塔底区域に設けられる各々の段数は、蒸留曲線によって算出される理論段数の80〜150%範囲以内であることを特徴とする。
【0100】
本発明の方法において、前記分離壁の長さは、前記上部供給区域及び前記下部供給区域、または前記上部流出区域と前記下部流出区域が含む段数によってその長さが決定されることを特徴とする。
【0101】
本発明の方法において、前記分離壁の長さは、蒸留曲線によって算出される前記塔頂区域、前記上部供給区域、前記下部流出区域及び前記塔底区域全体理論段数の30〜85%範囲以内であることを特徴とする。
【0102】
本発明の方法において、前記塔頂区域の温度は、常圧で90〜100℃範囲以内であることを特徴とする。
【0103】
本発明の方法において、前記塔底区域の温度は、常圧で140〜160℃範囲以内であることを特徴とする。
【0104】
本発明の方法において、前記上部流出区域及び前記下部流出区域が当接する位置に設けられる中間沸点成分Sが流出される流出中間段NR2の温度は、常圧で118〜127℃範囲以内であることを特徴とする。
【0105】
本発明の方法において、前記塔頂区域の温度は、前述したように、前記塔頂区域が常圧ではない場合に、前記数式1による下限温度T1a〜上限温度T2a範囲以内であることを特徴とする。
【0106】
本発明の方法において、前記塔底区域の温度は、前述したように、前記塔底区域が常圧ではない場合に、前記数式2による下限温度T1b〜上限温度T2b範囲以内であることを特徴とする。
【0107】
本発明の方法において、上部流出区域及び下部流出区域が当接する位置に設けられ、中間沸点成分Sが流出される流出中間段NR2の温度は、前述したように、前記流出中間段NR2が常圧ではない場合に、前記数式3による下限温度T1c〜上限温度T2c範囲以内であることを特徴とする。
【符号の説明】
【0108】
1 主塔
11 第1塔
21 第2塔
12 予備分離機
22 主分離機
31 凝縮器
41 再沸器
51 分離壁
100 塔頂区域
200 上部供給区域
300 上部流出区域
400 下部供給区域
500 下部流出区域
600 塔底区域
NR1 供給中間段
NR2 流出中間段
F 原料(フィード)
B 高沸点物質
D 低沸点物質
S 中間沸点物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮器、再沸器、及び分離壁を含む主塔を備える分離壁型蒸留塔において、
前記主塔は、塔頂区域、上部供給区域、上部流出区域、下部供給区域、下部流出区域及び塔底区域に区分され、少なくとも1個の流入フローと少なくとも3個の流出フローを有し、
前記流入フローは、クルドノルマルブタノールである原料Fが前記主塔の上部供給区域及び前記下部供給区域が当接する供給中間段NR1に流入され、
前記流出フローのうち少なくとも1つのフローは、実質的にノルマルブタノールであることを特徴とする分離壁型蒸留塔。
【請求項2】
低沸点成分Dは、前記塔頂区域で流出され、高沸点成分Bは、前記塔底区域で流出され、中間沸点成分Sは、前記上部流出区域及び前記下部流出区域が当接する流出中間段NR2に流出され、
前記流出中間段NR2のフローは、実質的にノルマルブタノールであることを特徴とする請求項1に記載の分離壁型蒸留塔。
【請求項3】
前記原料Fは、ノルマルブタノール含量が90重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の分離壁型蒸留塔。
【請求項4】
前記主塔の前記塔頂区域、前記上部供給区域、前記上部流出区域、前記下部供給区域、前記下部流出区域及び前記塔底区域に設けられる各々の段数は、蒸留曲線によって算出される理論段数の80〜145%範囲以内であることを特徴とする請求項1に記載の分離壁型蒸留塔。
【請求項5】
前記分離壁の長さは、前記上部供給区域及び前記下部供給区域、または前記上部流出区域と前記下部流出区域が含む段数によって決定されることを特徴とする請求項1に記載の分離壁型蒸留塔。
【請求項6】
前記分離壁の長さは、蒸留曲線によって算出される前記塔頂区域、前記上部供給区域、前記下部流出区域及び前記塔底区域全体理論段数の30〜85%範囲以内であることを特徴とする請求項1に記載の分離壁型蒸留塔。
【請求項7】
前記塔頂区域の温度は、常圧で90〜100℃範囲以内であることを特徴とする請求項1に記載の分離壁型蒸留塔。
【請求項8】
前記塔底区域の温度は、常圧で140〜160℃範囲以内であることを特徴とする請求項1に記載の分離壁型蒸留塔。
【請求項9】
前記上部流出区域及び前記下部流出区域が当接する位置に設けられ、中間沸点成分Sが流出される流出中間段NR2の温度は、常圧で118〜127℃範囲以内であることを特徴とする請求項1に記載の分離壁型蒸留塔。
【請求項10】
前記塔頂区域の温度は、下記数式1による下限温度T1a〜上限温度T2a範囲以内であることを特徴とする請求項1に記載の分離壁型蒸留塔。
[数式1]
下限:T1a=86.8036×P0.3570
上限:T2a=96.8276×P0.3201
(ここで、T1a及びT2aは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【請求項11】
前記塔底区域の温度は、下記数式2による下限温度T1b〜上限温度T2b範囲以内であることを特徴とする請求項1に記載の分離壁型蒸留塔。
[数式2]
下限:T1b=139.100×P0.1438
上限:T2b=156.9071×P0.1977
(ここで、T1b及びT2bは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【請求項12】
上部流出区域及び下部流出区域が当接する位置に設けられ、中間沸点成分Sが流出される流出中間段NR2の温度は、下記数式3による下限温度T1c〜上限温度T2c範囲以内であることを特徴とする請求項1に記載の分離壁型蒸留塔。
[数式3]
下限:T1c=115.7594×P0.2297
上限:T2c=125.0420×P0.2727
ここで、T1c及びT2cは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【請求項13】
分離壁型蒸留塔にクルドノルマルブタノール原料を提供し、ノルマルブタノールを分別蒸留する方法において、
前記分離壁型蒸留塔は、凝縮器、再沸器、及び分離壁を含む主塔を備え、前記主塔は、塔頂区域、上部供給区域、上部流出区域、下部供給区域、下部流出区域及び塔底区域に区分され、
低沸点成分Dは、塔頂区域で流出され、高沸点成分Bは、塔底区域で流出され、中間沸点成分Sは、上部流出区域及び下部流出区域が当接する流出中間段NR2に流出され、
前記中間沸点成分は、実質的にノルマルブタノールであることを特徴とするノルマルブタノール分別蒸留方法。
【請求項14】
前記原料Fは、ノルマルブタノール含量が90重量%以上であることを特徴とする請求項13に記載のノルマルブタノール分別蒸留方法。
【請求項15】
前記主塔の前記塔頂区域、前記上部供給区域、前記上部流出区域、前記下部供給区域、前記下部流出区域及び前記塔底区域に設けられる各々の段数は、蒸留曲線によって算出される理論段数の80〜145%範囲以内であることを特徴とする請求項13に記載のノルマルブタノール分別蒸留方法。
【請求項16】
前記分離壁の長さは、前記上部供給区域及び前記下部供給区域、または前記上部流出区域と前記下部流出区域が含む段数によって決定されることを特徴とする請求項13に記載のノルマルブタノール分別蒸留方法。
【請求項17】
前記分離壁の長さは、蒸留曲線によって算出される前記塔頂区域、前記上部供給区域、前記下部流出区域及び前記塔底区域全体理論段数の30〜85%範囲以内であることを特徴とする請求項13に記載のノルマルブタノール分別蒸留方法。
【請求項18】
前記塔頂区域の温度は、常圧で90〜100℃範囲以内であることを特徴とする請求項13に記載のノルマルブタノール分別蒸留方法。
【請求項19】
前記塔底区域の温度は、常圧で140〜160℃範囲以内であることを特徴とする請求項13に記載のノルマルブタノール分別蒸留方法。
【請求項20】
前記上部流出区域及び前記下部流出区域が当接する位置に設けられ、中間沸点成分Sが流出される流出中間段NR2の温度は常圧で118〜127℃範囲以内であることを特徴とする請求項13に記載のノルマルブタノール分別蒸留方法。
【請求項21】
前記塔頂区域の温度は、下記数式1による下限温度T1a〜上限温度T2a範囲以内であることを特徴とする請求項13に記載のノルマルブタノール分別蒸留方法。
[数式1]
下限:T1a=86.8036×P0.3570
上限:T2a=96.8276×P0.3201
(ここで、T1a及びT2aは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【請求項22】
前記塔底区域の温度は、下記数式2による下限温度T1b〜上限温度T2b範囲以内であることを特徴とする請求項13に記載のノルマルブタノール分別蒸留方法。
[数式2]
下限:T1b=139.100×P0.1438
上限:T2b=156.9071×P0.1977
(ここで、T1b及びT2bは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)
【請求項23】
上部流出区域及び下部流出区域が当接する位置に設けられ、中間沸点成分Sが流出される流出中間段NR2の温度は、下記数式3による下限温度T1c〜上限温度T2c範囲以内であることを特徴とする請求項13に記載のノルマルブタノール分別蒸留方法。
[数式3]
下限:T1c=115.7594×P0.2297
上限:T2c=125.0420×P0.2727
(ここで、T1c及びT2cは、温度であって、単位は℃であり;Pは、圧力であって、単位はkgf/cmである;0.1≦P≦10、P≠1.09)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−515771(P2012−515771A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547768(P2011−547768)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【国際出願番号】PCT/KR2010/000313
【国際公開番号】WO2010/085072
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】