説明

高表面積シリカの分散液

水と混合カリウムケイ素酸化物粉末を含む分散液であって、− 混合酸化物粉末が、一次粒子のアグリゲートの形であり、100〜400m/gのBET表面積を有し、分散液中で100nm未満の平均アグリゲート直径を有し、KOとして算出し且つ混合酸化物粉末を基準として、0.05質量%〜1.5質量%のカリウムの割合を有し、そして− この分散液は、分散液中で25質量%〜40質量%の混合酸化物粉末の割合を有し、水と混合酸化物粉末の総量が少なくとも98質量%であり且つpHが9〜11.5である分散液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高表面積シリカを含む高充填分散液並びにその製造及び使用に関する。
【0002】
高充填シリカ分散液が公知である。これらは、例えば、ポリシングプロセス(化学機械研磨)、紙被覆の製造のための製紙工業、又はガラス成形品を製造するためのガラス工業において使用される。
【0003】
フュームドシリカ粉末は有利には火炎加水分解により製造される。この作業では、蒸気の形のシリコン化合物、一般的には四塩化ケイ素を、水素及び酸素を用いて燃焼させた。この操作の過程で、第1工程では、水素と酸素の反応により水が生成し、第2工程では、ケイ素化合物を加水分解してフュームドシリカを形成させる。
【0004】
この操作では、一次粒子が最初に形成され、反応の更なる過程で、結合してアグリゲートを形成し得る。このアグリゲートは融合した一次粒子である。このアグリゲートは、更に集まってアグロメレートを形成し得る。フュームドシリカの分散の際に、まず、わずかな分散エネルギーの作用で全てのアグロメレートが分離される。高い分散エネルギーでは、比較的大きなアグリゲートのより小さなアグリゲートへの変換もある。
【0005】
米国特許第5,246,624号及びEP−A−773270号は、フュームドシリカ粉末の分散液の製造方法を開示している。
【0006】
米国特許第5,246,624号に開示された発明に基づく原理は、フュームドシリカ粉末の完全な破壊をできる限り達成することであり、これは酸性pH範囲において、このpH範囲内で高粘度を有するシステムへの高剪断エネルギーの作用の下で達成される。この方法は全てのフュームドシリカに対して利用できることも開示されているが、それにもかかわらず、75m/g未満のBET表面積を有するケイ素粉末だけが安定な分散液を製造することが明らかになった。高いBET表面積を有するシリカ粉末の安定な分散液は、米国特許第5,264,624号に従って得ることができない。更に、製造後すぐに、分散液は顕著な構造粘度を示し、換言すれば、低い剪断速度において高粘度を示す。
【0007】
これはまたEP−A−773270号に見出される。比較的高いBET表面積のシリカの、高充填の安定な分散液を得るための課題は、そこでは高圧力の粉砕によって解決される。この手順では、予備分散液の2つの高く加圧された流れは衝突を受ける。その結果、粒子は自己粉砕を受ける(高エネルギーミル)。この方法によって、90〜500m/gのBET表面積及び40質量%までのシリカ含有率を有するケイ素の分散液を得ることが可能である。
【0008】
EP−A−1216958号はアルカリ金属でドープされ且つ100nm未満の平均粒径を有するフュームドシリカ粉末を含む水性分散液を開示している。第一級粒子が非常に低い水準で互いに結合したので、この粉末は容易に分散できる。特に、2つの高く加圧された粒子流れの衝突によって、粒子が相互の粉砕を受ける方法が開示されている。この方法はシリカの高充填された分散液を製造するために用いることができる。EP−A−1216958号では、例えば、約100〜130m/gのBET表面積を有するカリウムがドープされたシリカの30質量%分散液が開示されている。
【0009】
2つの予備分散液流れの衝突よりも費用効果の高い分散技術による、安定な、高表面積の凝集したシリカの高充填分散液の製造は達成されなかった。
【0010】
従って、本発明の目的は、低構造粘度を有する高表面積のシリカの安定な低粘度の分散液の更に費用効果の高い製造方法を提供することであった。
【0011】
本発明の更なる目的は、低構造粘度を有し、高表面積のシリカの安定な低粘度の分散液を提供することであった。
【0012】
本発明は、水と混合カリウムケイ素酸化物粉末を含む分散液であって、
− 混合酸化物粉末が、
− 一次粒子のアグリゲートの形であり、100〜400m/gのBET表面積を有し、分散液中で100nm未満の平均アグリゲート直径を有し、且つ
− KOとして算出して且つ混合酸化物粉末を基準として、0.05質量%〜1.5質量%のカリウムの割合を有し、
そして
− 上記分散液は、
− 分散液中で25質量%〜40質量%の混合酸化物粉末の割合を有し、
− 水と混合酸化物粉末の総量が少なくとも98質量%であり且つ
− pHが9〜11.5である
ことを特徴とする、分散液を提供する。
【0013】
混合カリウムケイ素酸化物粉末は、有利には熱分解操作によって得られるものであってよい。当該粉末は、特に有利には、特許出願番号DE102005027720.9(出願日:2005年6月16日)及びEP05024753.5(出願日:2005年11月12日)を有する特許出願に開示されたものであってよい。これらの粉末は、DE−A−10065028号から公知であるものとは異なり、高度な構造を有する粉末であり、例えば、ジブチルフタレートの定量において終点が存在する結果として、この構造がいくらか明らかになる。この構造は同等のBET表面積のフュームドシリカの構造により近い。
【0014】
出願番号102005027720.9の独国特許出願に開示された粉末は、0.2質量%〜1.5質量%のKOを含有する細孔のない一次粒子のアグリゲートの形の混合カリウムケイ素酸化物粉末であり、この粉末はコア及び一次粒子の表面上に分散される。また、この粉末は100〜350m/gのBET表面積及び特定の表面積の平方メートル当たりのDBP番号として表された特定のDBP番号を有し、この番号はカリウム成分を含有しない同じBET表面積のフュームドシリカ粉末の番号以上である。
【0015】
出願番号EP05024753.5を有する欧州特許出願に開示された粉末は、カリウム成分が一次粒子の表面上にもっぱら配置された混合カリウムケイ素酸化物粉末である。
【0016】
上述の粉末の比表面積の平方メートル当たりのDBP番号は有利には1.14を上回る。
【0017】
本発明の分散液中に存在する粉末の、KOとして算出された、カリウム成分の割合は、0.05質量%〜2質量%である。0.05質量%の値を下回る、安定な高充填の分散液は、高エネルギーミルを使用するだけで製造できる。2.0質量%の値を超える場合、更なる追加の効果は観察できない。カリウム成分の割合は有利には0.1質量%〜0.4質量%である。純粋なシリカ分散液とは異なり、このような少量でさえも安定な分散液を得るのに十分であることは、本発明にとって重要である。
【0018】
混合カリウムケイ素酸化物粉末のBET表面積は100〜400m/gで変わり得る。特に後の文脈において有利であると判明したBET表面積は、コーティング成分として使用して、150〜350m/g、特に175〜225m/g、そして特に有利には270〜330m/gである。
【0019】
本発明は更に、本発明による分散液の製造方法において、
− 貯蔵容器からの水を、ローター/ステーター式の装置を介して、供給手段を介して、連続的に又は非連続的に循環させ、ローター/ステーター式の装置を運転させながら、30〜50質量%の混合酸化物粉末含有率を有する予備分散液が得られるような量で混合酸化物粉末を導入し、全ての混合酸化物粉末を添加した後に、
− 供給手段を閉じて、剪断を、剪断速度10000〜30000s−1においてpH2〜4且つ温度10〜50℃で実施し、
− 希釈を、望ましい固体含有率が望ましい固体含有率を基準として、0.1〜10質量%超過するのに十分な水を用いて実施し、その後、同じ剪断条件下で、望ましい固体含有率を達成するために必要とされる量が達成され且つpH9〜11.5が得られるような量及び濃度で、水性塩基を添加し、
− 所望であれば、更なる希釈を、望ましい含有率及び望ましいpHに設定するために水を用いて実施することができる
製造方法を提供する。
【0020】
本発明の方法は、塩基性水溶液の添加前に、固体含有率が水の希釈によってほぼ到達された事実によって特徴づけられる。塩基性水溶液の添加前の固体含有率は、望ましい固体含有率を0.1%〜10%、有利には0.2%〜5%、そして更に有利には0.4%〜2.5%超過する。
【0021】
パーセンテージは望ましい固体含有率を基準とする。例えば、望ましい固体含有率が30質量%の場合、希釈は十分な水を用いて実施されるべきであり、その固体含有率は30%+0.1%=30.03質量%〜30%+10%=33質量%、有利には30%+0.2%=30.06質量%〜30%+5%=31.5質量%、更に有利には30%+0.4%=30.12質量%〜30%+2.5%=30.75質量%である。
【0022】
混合酸化物を含有する溶液がまだpH2〜4ではない場合、このようなpHは酸の添加によって調整できる。一般に、使用される混合カリウムケイ素酸化物粉末は既に2〜4の範囲のpHを有する。これらの場合、酸を添加する必要がない。酸それ自体の性質は重要ではない。典型的には、塩化水素酸、硫酸又は硝酸を使用する。
【0023】
それとは異なり、重要となり得る要因は、酸性範囲での分散操作の間の分散温度である。55℃を上回る温度で、自発的ゲル化が起こり得ることが観察された。従って、分散操作の間に分散液を冷却することが有利である。
【0024】
酸性範囲の分散操作の終了後に、pH9〜11.5を得るために、最初に水、次いで塩基を添加する。この場合、必要とされる塩基の量を、有利には少しずつ添加するのではなく;代わりに、全塩基量を一度に且つ速やかに添加する。
【0025】
塩基の性質は重要ではない。特に好適であると判明した塩基として、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリム、アンモニア、アンモニア水溶液、アミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチル−イソプロパノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム、モルホリン、及びアミノアルコール、例えば、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールが挙げられる。
【0026】
塩基の濃度は重要ではない。しかしながら、2〜20モル/l、更に有利には5〜18モル/l、そして非常に有利には8〜15モル/lの濃度を有する塩基を使用することが有利であると判明した。
【0027】
本発明は更に、透明なシーラント及び充填化合物、特にアクリレートを含有する透明組成物を製造するための本発明による分散液の使用を提供する。
【0028】
透明組成物を製造する時の強化剤としてのシリカ粉末の使用が公知である。しかしながら、非常に多量の粉末を使用するために、多量の空気も同様に、水性の粘着性アクリレート分散液中に組み込むことが必要である。従って次に透明な配合物を得るために、気泡を除去する時間のかかる空気除去工程が必要である。従って、本発明による分散液をシリカ粉末の代わりに導入すれば、分散液の製造過程中に非常に低粘度での操作工程があるため、分散液を製造する間に既に空気除去が行われている。
【0029】
樹脂(A)はまた数平均分子量2000〜50000を有する不飽和アクリル樹脂を含んでよい。それらの特定の例は、親の構成単位としての(メタ)アクリル酸などのエチレン不飽和酸とメチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート、スチレン及び(メタ)アクリロニトリルから選択される少なくとも1種のモノマーとの共重合によって製造されたカルボキシ含有アクリル樹脂と、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルとの付加反応によって製造された樹脂;基本成分としてのヒドロキシル含有モノマーと上述のモノマーとの共重合によって製造されたヒドロキシル含有アクリル樹脂への、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は(メタ)アリルアルコールとジイソシアネート化合物との反応の生成物の付加反応によって製造された樹脂である。
【0030】
本発明は更に、コーティング、特にアクリレートのコーティング材料の製造における本発明の分散液の使用を提供する。
【0031】
これらの材料は、それらのアクリレート成分として少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマー及び/又はオリゴマーを含む。好適なモノマーは、ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンホルミルアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及び/又はこれらの化合物の誘導体であってよい。コーティングは、硬化後の高耐引掻性及び高透明性のために注目すべきものである。これらは例えば、光学レンズに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1はアグリゲートの画像を示す。
【図2】図2は剪断速度s−1に応じたmPasでの実施例D1からの分散液の粘度及び実施例D3からの分散液の粘度を示す。
【図3】図3は実施例2からの分散液及び実施例3からの分散液において、レーザー回析によって測定された粒径を示す。
【0033】
実施例:
出発材料の製造
実施例P1:混合カリウムケイ素酸化物粉末P1(2005年6月16日の出願番号102005027720.9を有する独国特許出願に従う):SiCl85kg/hを気化させて、DE−A−19650500に記載された種類の、バーナーの中央管中に移送する。この管の中に更に水素40m/h(stp)と空気124m/h(stp)を供給する。このガス混合物はこの内側バーナーノズルから流れ出し、水冷した火炎管のバーナー室中で燃焼する。ケーキングの場合を避けるために、追加の2次水素4m/h(stp)を、中央ノズルを取り囲むジャケットノズル中に供給する。
【0034】
エアロゾルは、5パーセント濃度の塩化カリウム水溶液から容器の底部に取り付けられた2液ノズルによって得られる。エアロゾル1100g/hが生じる。エアロゾルはキャリアガス(空気)18m/h(stp)の蒸気によって、外側の熱したラインを通って運ばれる。これは、まず2液ノズルが取り付けられた板の底面上で2液ノズルに水平方向に当たるように向けられ、上記ラインを通って運ばれる過程で120℃に加熱される。次いで、エアロゾル/キャリアガス混合物は内側ノズルを出て、四塩化ケイ素、水素及び酸素のガス混合物と共に均一に混合される。この火炎加水分解後、この反応ガス及び生じる粉末は、加圧により、冷却システムを介して吸引下で吸い込まれ、この手順の過程において粒子/ガス流れを約100〜160℃に冷却する。この固体は、濾過装置又はサイクロン中で出て行くガス流れから分離される。更なる工程において、まだ付着している塩酸の残分を、400〜700℃の温度で、空気含有水蒸気を用いた処理によりシリカ粉末から除去した。生じる粉末は、白色の、微細粉末として得られる。
【0035】
Oとして算出された、粉末P1のカリウム含有率は0.12質量%であり、BET表面積216m/g、DBP番号/BET1.5g/m、d/d0.69である。4パーセントの水分散液のpHは4.1である。
【0036】
実施例P2:混合カリウムケイ素酸化物粉末P2(2005年11月12日の出願番号05024753.5を有する欧州特許出願に従う):四塩化ケイ素4.44kg/hを気化させる。この蒸気を、キャリアガスとして空気3.3m/h(stp)を用いて混合室中へと移送した。これとは別に、コア水素2.3m/h(stp)と一次空気6.9m/h(stp)を混合室中に導入する。中央の管内では、この反応混合物をバーナーに供給し、そして点火する。この火炎は、水冷式炎管内で燃焼する。更なる二次空気20m/h(stp)を、反応室中へと導入した。320℃の温度で、3.0質量%の塩化カリウム水溶液191g/hを、シリカ粒子、塩酸、空気及び窒素のこの流れの中へノズルを介して導入した。12msの平均残留時間後、混合物の温度は500℃に上昇した。24sの平均残留時間後、金属酸化物粒子が下流のフィルタ中に堆積した。
【0037】
Oとして算出された、粉末P2のカリウム含有率は0.14質量%であり、BET表面積299m/gである。
【0038】
本発明の分散液の製造
実施例D1:45.0kgのDI(完全に脱イオン化された)水を100lのステンレス鋼バッチ容器内に入れる。その後、Ystral社Conti-TDS 3(ステータースロット:4mmリング及び1mmリング、ローター/ステーター距離:約1mm)の吸込みホースを用いて、剪断条件下で30kgのP1を導入する。添加の終了後、導入口を閉じて、その後、剪断を3000rpmで20分間行う。分散操作の過程で生じた熱は、外側の熱交換器によって取り除かれる。20kgのDI水を用いて、分散液を希釈し、剪断しながら、2.6kgの水酸化カリウム水溶液(30%濃度)を用いてpHを3.4から10.0に調節した。その後、30質量%のSiO含有率を得るために2.4kgのDI水を添加し、均質化のために剪断を約5分間繰り返す。
【0039】
平均アグリゲート直径は81nm(Horiba LA 910を用いて測定)又は47nm(Zetasizer 2000 HS, Malvernを用いて測定)である。
【0040】
6ヶ月後でさえも、分散液はゲル化又は沈殿の徴候を示さない。
【0041】
実施例D2:実施例D1と同様に、粉末P2を使用したが、粉末P2の最終濃度は25質量%である。
【0042】
平均アグリゲート直径は75nm(Horiba LA 910を用いて測定)又は39nm(Zetasizer 2000 HS, Malvernを用いて測定)である。
【0043】
6ヶ月後でさえも、分散液はゲル化又は沈殿の徴候を示さない。
【0044】
従来技術による分散液の製造
実施例D3:45.0kgのDI(完全に脱イオン化された)水を100lのステンレス鋼バッチ容器内に入れる。その後、Ystral社Conti-TDS 3(ステータースロット:4mmリング及び1mmリング、ローター/ステーター距離:約1mm)の吸込みホースを用いて、30kgのAEROSIL(登録商標)200、200m/gのBET表面積を有するフュームドSiOを、剪断条件下で50分間にわたって導入する。AEROSIL(登録商標)200の添加の終了後、導入口を閉じて、その後、剪断を3000rpmで60分間行う。分散操作の過程で生じた熱は、外側の熱交換器によって取り除かれる。20kgのDI水を用いて、分散液を希釈し、剪断しながら、2.2kgの水酸化カリウム水溶液(30%濃度)を用いてpHを3.2から10.0に調節した。その後、30質量%のSiO含有率を得るために2.8kgのDI水を添加し、均質化のために剪断を約5分間繰り返す。
【0045】
平均アグリゲート直径は、約25μm(Horiba LA 910を使用して測定)で約1.5%の粗いゲル化粒子の割合において119nmである。
【0046】
図2は、剪断速度s−1に応じたmPasでの実施例D1からの分散液の粘度(||によって特徴付けられる)及び実施例D3からの分散液の粘度(□によって特徴付けられる)を示す。明らかに、全剪断範囲にわたって粘度が低く、また本発明の分散液の構造粘度も低い。
【0047】
図3は、実施例2からの分散液(実線)及び実施例3からの分散液(破線)において、レーザー回析によって測定された、粒径を示す。本発明の分散液は粗い割合が存在しないのに対して、D3はこのような割合を示す(*印がついている)。
【0048】
低い粘度、高い固体割合及び低い空気含有率のために、本発明の分散液は、透明なシーラント及び充填化合物を製造することに理想的に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と混合カリウムケイ素酸化物粉末を含む分散液であって、
− 混合酸化物粉末が、
− 一次粒子のアグリゲートの形であり、100〜400m/gのBET表面積を有し、分散液中で100nm未満の平均アグリゲート直径を有し、且つ
− KOとして算出し且つ混合酸化物粉末を基準として、0.05質量%〜1.5質量%のカリウムの割合を有し、
そして
− 上記分散液は、
− 分散液中で25質量%〜40質量%の混合酸化物粉末の割合を有し、
− 水と混合酸化物粉末の総量が少なくとも98質量%であり且つ
− pHが9〜11.5である
ことを特徴とする、分散液。
【請求項2】
請求項1記載の分散液の製造方法において、
− 貯蔵容器からの水を、ローター/ステーター式の装置を介して、且つ供給手段を介して、連続的に又は非連続的に循環させ、ローター/ステーター式の装置を運転させながら、30〜50質量%の混合酸化物粉末含有率を有する予備分散液が得られるような量で混合酸化物粉末を導入し、全ての混合酸化物粉末を添加した後に、
− 供給手段を閉じて、剪断を、剪断速度10000〜30000s−1においてpH2〜4且つ温度10〜50℃で実施し、
− 希釈を、望ましい固体含有率が望ましい固体含有率を基準として、0.1〜10%超過するのに十分な水を用いて実施し、その後、同じ剪断条件下で、望ましい固体含有率を達成するために必要とされる量が達成され且つpH9〜11.5が得られるような量及び濃度で、水性塩基を添加する、
ことを特徴とする、分散液の製造方法。
【請求項3】
シーラント及び充填化合物の製造における請求項1記載の分散液の使用。
【請求項4】
コーティングの製造における請求項1記載の分散液の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−513176(P2010−513176A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540671(P2009−540671)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058935
【国際公開番号】WO2008/071462
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】