説明

高酸官能性ポリエステルから調製されたポリウレタン分散体

【課題】 向上した水準のカルボキシレート官能価を有し、適切な架橋剤により架橋すると、膜硬さ、柔軟性、良好な耐水性及び耐摩耗性、並びに優れた耐溶剤性を有する被覆を与えるポリウレタン分散体を含む被覆組成物を提供する。
【解決手段】 第1成分(i)としての、カルボン酸官能基を有するポリオールを含むポリオールとポリイソシアネートを反応させて調製した、酸官能基を有するイソシアネート官能性プレポリマーを含有する水性ポリウレタン分散体、及び遊離イソシアネート基を含まないポリウレタン用架橋剤を含む第2成分(ii)を含んでなり、該ポリオールは、100〜10000の分子量(Mn)、25〜500mgKOH/gの酸価、及び25〜500gKOH/gのヒドロキシル価を有する、2成分被覆組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆用ポリウレタン分散体、そのような分散体を含む被覆組成物、及びそのような被覆組成物により被覆された基材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン分散体は、広範囲の硬質及び軟質基材、例えば紙、木材、金属、ビニル被覆繊維製品、事務機器ハウジング、及び他のプラスチック部品用の、室温硬化又は焼付け被覆の処方において、使用される。そのような被覆は、膜硬さ、柔軟性、良好な耐水性及び耐摩耗性、並びに優れた耐溶剤性を発揮することが望ましい。
【0003】
水性ポリウレタン分散体は、様々な理由から、商業的に重要である。第1に、環境の観点から、大気に放出されてオゾン破壊、酸性雨、場合により地球生態圏の不均衡を引き起こす揮発性有機化合物(VOC)を、含むとしてもごく微量しか含まない。第2に、経済性の観点から、有機溶媒系は高価になりがちであり、水性ポリウレタン分散体は余分な溶媒コストがかからない。
【0004】
従来の1成分(1K)ポリウレタン分散体は、通常、2成分(2K)溶媒系及び2K水系ポリウレタンシステムの性能特性を具備していない。更に多くの場合、従来のポリウレタン分散体の性能は、ポリアジリジン架橋剤の添加により改良することができる。しかしながら、そのような1Kシステムは、2Kシステムの性能に及ばない。
【0005】
米国特許第5177141号(Thoma ら)は、水性ポリウレタン分散体、水溶性ポリマー増粘剤、水混和性有機溶媒、ポリウレタン用架橋剤、及び被覆組成物の基材への接着性を助長し、水に分散されたポリウレタンの架橋剤である親水性ポリイソシアネートを含む被覆組成物を開示している。水に分散されたポリイソシアネートは、カルボキシレート基、スルホネート基、オキシエチレン単位を有するペンダントポリエーテル鎖及び/又はオキシエチレン単位を有する末端ポリエーテル鎖により、親水性にされる。
【0006】
米国特許第5868902号(Howland ら)は、サイズ紙の片面又は両面に無着色ポリウレタン分散体を供給することを含む、セキュリティ紙の製造方法を開示している。ポリウレタン分散体は、1成分予備架橋ポリウレタン、1成分ブロックトポリウレタン、又は多官能性試薬(例えば、メラミン/ホルムアルデヒド予備縮合物又はポリアジリジン)を用いて架橋できる2成分製品であってよい。
【0007】
米国特許第6447895号(Kamir ら)は、ベース層に接着剤で付着された放射線吸収層及び該放射線上に被覆された熱フィルムを包含し、該放射線吸収層は分散された赤外(IR)吸収物質を含む樹脂系フィルムを含む、熱ステンシルシートを開示している。樹脂系フィルムは、ポリウレタン分散体から誘導することができる。
【0008】
EP 0 778 156は、ベース支持体、及び該支持体の少なくとも一方の面上の表面被覆を含み、表面被覆は、(i)架橋性ポリマー及びその架橋剤並びに(ii)顔料の水性分散体を含む水系被覆組成物から形成される、多目的画像形成用シートを開示している。
【0009】
米国特許第6179817号(Zhong)は、移植用医療機器のための複合被覆であって、酸官能基含有有機ポリマー、架橋剤及びそれに分散された治療剤を含む被覆を開示している。また、被覆は、有機酸官能基含有生物活性剤の水溶液又は水性分散体の第2層も含む。水性分散体は、ポリウレタン分散体も含み得る。
【0010】
米国特許第5869127号(Zhong ら)は、基材に連続生物活性表面被覆を供給することにより基材の生物適合性を高める方法を開示している。この方法は、基材に、有機酸官能基を含むポリマーの水性分散体又はエマルション、及びポリマーの有機酸基と反応性である多官能性架橋剤の過剰量を含む第1被覆を適用することを包含する。
【0011】
米国特許第5702754号(Zhong)は、潤滑性親水性耐摩耗性被覆を有するカテーテル又はガイドワイヤを開示している。被覆は、有機酸官能基を有するポリマー及び有機酸基と反応できる官能基を有する多官能性架橋剤の水性分散体又はエマルションを含む。水性分散体は、ポリウレタン分散体を含むことができる。
【0012】
英国特許2242682号は、水性ポリウレタンエラストマー分散体に配合されたカーボンブラック又は他の導電性充填剤を含む導電性水系被覆組成物を開示している。
【0013】
米国特許第5439969号及び同第5500253号(Sanduja ら)は、架橋性ポリマー、セルロース分子にグラフト重合できるモノ及び/又はポリエチレン性不飽和モノマー、水溶性ペルオキシ基無含有ラジカル重合触媒、セルロース分子中に遊離ラジカルサイトを生成することができるカチオン源、及び所望により架橋性ポリマーの為の架橋剤を含む、架橋性水系被覆組成物を開示している。水系組成物は、ポリウレタン分散体を含むことができる。
【0014】
米国特許第3759873号及び同第3882189号(Hudak)は、(1)少なくとも1種のポリカルボン酸と少なくとも1種の多価アルコールとから調製されたポリエステル及び(2)有機イソシアネートの反応生成物、又は(1)少なくとも1種のα,β−エチレン性不飽和ポリカルボン酸と少なくとも1種多価アルコールとから調製されたポリエステル及び(2)有機イソシアネートの反応生成物を含む、ウレタン結合含有ポリエステル樹脂を開示している。
【0015】
米国特許第5352733号(Hart)は、溶媒を含まない水系2成分ポリウレタン−ポリウレア分散体であって、65%までの固形分を含む分散体を開示している。第1成分は、ポリエステル−ポリオール相と水性アミン相の混合物である。ポリエステル−ポリオールは、変性ポリエステル−ポリオール、低粘度ポリエーテル又はポリエステル−ポリオール、低分子量連鎖延長ポリオール、中和用アミン及び洗浄剤の組み合わせである。これは、10〜50のカルボン酸価、180〜300のヒドロキシル価、165〜365の当量を有する完全ヒドロキシル官能性である。第2成分は、100%固形分の脂肪族イソシアネートである。NCO対ポリエステル−ポリオール/アミン成分中の官能基の比は、1:1.3〜1:1.7である。
【特許文献1】米国特許第5177141号
【特許文献2】米国特許第5868902号
【特許文献3】米国特許第6447895号
【特許文献4】EP 0 778 156
【特許文献5】米国特許第6179817号
【特許文献6】米国特許第5869127号
【特許文献7】米国特許第5702754号
【特許文献8】英国特許2242682号
【特許文献9】米国特許第5439969号
【特許文献10】米国特許第5500253号
【特許文献11】米国特許第3759873号
【特許文献12】米国特許第3882189号
【特許文献13】米国特許第5352733号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記の組成物及びそれらから形成される被覆は、1つ又は2つの特性については優れた性能特性を有するが、多くの性質全体としては良好な性能を与えない。
【0017】
向上した水準のカルボキシレート官能価を有し、適切な架橋剤により架橋すると、膜硬さ、柔軟性、良好な耐水性及び耐摩耗性、並びに優れた耐溶剤性を有する被覆を与えるポリウレタン分散体を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、カルボン酸官能基を有するポリオールを含むポリオールとポリイソシアネートを反応させて調製した、酸官能基を有するイソシアネート官能性プレポリマーを含有する水性ポリウレタン分散体であって、該ポリオールは、100〜10000の分子量(Mn)、25〜500mgKOH/gの酸価、及び25〜500gKOH/gのヒドロキシル価を有するポリウレタン分散体を提供する。
また、本発明は、第1成分(i)としての上記ポリウレタン分散体、及び遊離イソシアネート基を含まないポリウレタン用架橋剤を含む第2成分(ii)を含んでなる被覆組成物に関する。
更に、本発明は、(a)上記成分(i)及び(ii)を混合して、混合物を調製し、(b)該混合物を基材の表面に適用することを含んでなる、基材の被覆方法に関する
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施例中又は他の表示がある場合を除き、本明細書及び請求項において使用する成分、反応条件などの量に関する数値又は表記は全て、「約」を付して読むものとする。
【0020】
本明細書及び請求項で使用する場合、「アルキル」は、式:C2s+1(式中、sは炭素数であり、記載された範囲の数である)で示される脂肪族炭化水素鎖の1価基を意味する。「アルキロール」は、1個又はそれ以上の水素原子がヒドロキシル基により置換されているアルキル基を意味する。
【0021】
本明細書及び請求項で使用する場合、「アルキレン」は、C(非環式の場合)又はC(環式の場合)からC25まで、典型的にはC〜C12の炭素鎖長を有し、置換又は未置換であってよい、非環式又は環式2価炭化水素基を意味する。非限定的な例として、アルキレン基は、1〜12個の炭素原子を有する低級アルキレン基である。非限定的な例示として、「プロピレン」はn−プロピレン及びイソプロピレン基の両方を含み、同様に、「ブチレン」はn−ブチレン、イソブチレン及びt−ブチレン基を含むことを意図している。
【0022】
本明細書及び請求項で使用する場合、「(メタ)アクリル」又は「(メタ)アクリレート」は、アクリル酸及びメタクリル酸の対応する誘導体を、制限なく、包含することを意味する。
【0023】
本明細書及び請求項で使用する場合、「硬化」(又は「硬化する」)は、接着剤、シーラント又は被覆組成物成分の架橋、及び、水並びに存在するなら他の溶媒及び希釈剤を、形成されるフィルムの物理的及び化学的性質、例えば結合強度及び剥離強度の発現を伴いながら蒸発させる結果としてのフィルム形成の両方を包含することを意図している。
【0024】
本明細書及び請求項で使用する場合、「ポリオール」は、2個又はそれ以上のヒドロキシル基を有する物質を包含することを意図している。ポリオールの非限定的な例には、ジオール、トリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びこれらの組み合わせが包含される。
【0025】
本明細書及び請求項で使用する場合、「ポリアミン」は、2個又はそれ以上のアミン基(第1級及び/又は第2級)官能基を含む物質を包含することを意図している。ポリアミンの非限定的な例には、ジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、イソホロンジアミン及び1,6−ジアミノヘキサン)、トリアミン(例えば、ジエチレントリアミン)、高級アミン(例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン)、更に、ポリエーテルアミン(例えば、JEFFAMINETM D シリーズ及びJEFFAMINETM T シリーズ(共にHuntsmann Corporation(テキサス州ヒューストン)から販売)が包含される。
【0026】
本発明は、カルボン酸官能基を有する第2ポリオールおよびポリイソシアネートを反応させることによって調製した酸官能基を有するイソシアネート官能性プレポリマーを含む水性ポリウレタン分散体を提供する。
【0027】
本発明によるポリウレタン分散体を調製するために、あらゆる適当なポリオールを使用することができる。適当なポリオールには、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリカーボネート、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリチオエーテル、及びこれらの混合物が包含されるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明のある態様において、ポリオールは、少なくとも5個の炭素原子を有する2,2−ビス(ヒドロキシメチル)アルカンカルボン酸を含む。本発明の特定の態様において、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)アルカンカルボン酸は、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、ジメチロールプロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸及び/又はジメチロールブタン酸である。
【0029】
適当なポリエステルポリオールの非限定的な例には、多価アルコール、ある場合には3価アルコールが加えられていてよい2価アルコールと、多塩基性カルボン酸、ある場合には2塩基性カルボン酸との反応生成物が包含される。これらポリカルボン酸に代えて、対応するカルボン酸無水物又は低級アルコールとのポリカルボン酸エステル、又はこれらの混合物を、ポリエステルの調製のために使用することができる。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族及び/又は複素環ポリカルボン酸であってよく、また、例えばハロゲン原子で置換されていてよく、及び/又は不飽和であってもよい。適当なポリカルボン酸の非限定的な例には、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、ダイマー又はトリマー脂肪酸、例えばオレイン酸(モノマー脂肪酸と混合されていてよい)、ジメチルテレフタレート及びビスグリコールテレフタレートが包含される。適当な多価アルコールの非限定的な例には、エチレングリコール、プロピレングリコール−(1,2)及び−(1,3)、ブチレングリコール−(1,4)及び−(1,3)、ヘキサンジオール−(1,6)、オクタンジオール−(1,8)、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール(1,4−ビス−ヒドロキシメチル−シクロヘキサン)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール及びポリブチレングリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパンが包含される。
【0030】
本発明のある態様において、ポリエステルポリオールは、少なくとも5個の炭素原子を有する2,2−ビス(ヒドロキシメチル)アルカンカルボン酸からの繰返し単位を1つまたはそれ以上含むポリエステルポリオールを包含する。本発明の特定の態様において、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)アルカンカルボン酸は、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、ジメチロールプロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸及び/又はジメチロールブタン酸である。
【0031】
本明細書及び請求項で使用する場合、「ポリヒドロキシポリアクリレート」、「(メタ)アクリル」及び「(メタ)アクリレート」は、アクリル及びメタクリル酸誘導体の両方、例えば、対応するアルキル及びアルキロールエステル(しばしばアクリレート又はメタクリレートと称される)を包含することを意図している。
【0032】
適当な(メタ)アクリルポリオールには、適当なヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステルを、既知の重合技術により重合して調製される生成物が包含される。適当なヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステルには、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが含まれるが、これらに限定されない。加えて、他のヒドロキシ官能性重合性モノマーを、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステルと共重合することもできる。そのような他のヒドロキシ官能性重合性モノマーの非限定的な例には、アリルアルコール及びグリセロールアリルエーテルが包含される。
【0033】
重合性アルキル及びアルキロールエステル並びにビニルモノマーを共重合して、本発明における(メタ)アクリルポリオールとして使用し得る種々のヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリル樹脂を得ることができる。使用できる適当な(メタ)アクリル酸アルキルエステルには、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸ドデシル、更に上記のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートが包含されるが、これらに限定されない。加えて、ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリル樹脂の製造時に、他のビニルコモノマーを使用することもできる。このようなビニルコモノマーには、スチレン、α−メチルスチレン、シンナミルエステル、マレイン酸ジエチル、酢酸ビニル、プロピオン酸アリルなどが包含されるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明において使用することができる適当なポリエーテルポリオールの非限定的な例には、EP−A283148、米国特許第3278457号、同第3427256号、同第3829505号、同第4472560号、同第3278458号、同第3427334号、同第3941849号、同第4721818号、同第3278459号、同第3427335号及び同第4355188号に記載されているような化合物が包含される。
【0035】
適当なポリヒドロキシポリカーボネートには、ジオール(例えば、プロパンジオール−(1,3)、ブタンジオール−(1,4)及び/又はヘキサンジオール−(1,6)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコール)とホスゲン、ジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート)と、又は環式カーボネート(例えば、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネート)との反応により得られる生成物のような既知の物質が包含される。また、上記ポリエステル又はポリラクトンとホスゲン、ジアリールカーボネート又は環式カーボネートとから得られるポリエステルカーボネートも適している。
【0036】
更に、本発明において使用できる適当なヒドロキシポリエーテル、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリアミド及びポリヒドロキシポリチオエーテルの例は、米国特許第4701480号(Markusch ら)に開示されている。
【0037】
ポリウレタン分散体を調製するために使用するポリオールは、少なくとも100、ある場合には少なくとも200、他の場合には少なくとも300、ある状況では少なくとも400、他の状況では少なくとも500の分子量(Mn)を有する。また、ポリオールの分子量(Mn)は、10000まで、ある場合には8000まで、他の場合には7000まで、ある状況では6000まで、他の状況では5000までであり得る。ポリオールの分子量は、上記の任意の値の間にある値又は範囲であってよい。
【0038】
他の記載をしない限り、本明細書において記載される分子量は、数平均分子量である。分子量は、適当な標準ポリマー、代表的にはポリスチレンを用いるゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により、又はポリマーの官能基の滴定により、測定することができる。
【0039】
ポリウレタン分散体を調製するために使用するポリオールの少なくとも一部は、少なくとも25、ある場合には少なくとも50、他の場合には少なくとも60、ある状況では少なくとも75、他の状況では少なくとも100又は101mgKOH/g の酸価を有する。酸価が低すぎると、分散体中のポリウレタン粒子が、十分に長い時間安定に分散された状態に維持されないことがある。また、ポリオールの酸価は、500まで、ある場合には400まで、他の場合には300まで、ある状況では250まで、他の状況では200mgKOH/g までであってよい。酸価が高すぎると、得られるポリウレタンが親水性になりすぎ、所望の性質を発揮しないことがある。ポリオールの酸価は、上記の任意の値の間にある値又は範囲であってよい。
【0040】
ポリウレタン分散体を調製するために使用するポリオールは、少なくとも25、ある場合には少なくとも50、他の場合には少なくとも75、ある状況では少なくとも100mgKOH/g のヒドロキシル価を有する。また、ポリオールは、500まで、ある場合には400まで、他の場合には300まで、ある状況では200mgKOH/g までのヒドロキシル価を有することができる。ポリオールのヒドロキシル価は、上記の任意の値の間にある値又は範囲であってよい。
【0041】
酸価及びヒドロキシル価は、この技術分野で従来から既知の方法により測定することができる。
【0042】
本発明の水性ポリウレタン分散体を調製するために、任意の適当なポリイソシアネートを使用することができる。適当なポリイソシアネートには、2〜5個のイソシアネート基を含む脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネートが包含されるが、これらに限定されない。
【0043】
本発明の好ましい態様では、ポリイソシアネートは、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、トリイソシアナトノナン、ω,ω'−ジイソシアナト−1,3−ジメチルシクロヘキサン、1−シアナト−1−メチル−3−イソシアナトメチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−1−メチル−4−イソシアナトメチルシクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,3−ビス(2−イソシアナトプロパ−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス−(2−イソシアナトプロパ−2−イル)ベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、2,4'−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4'−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
本発明の別の態様では、ポリイソシアネートは、ビウレット基、ウレタン基、ウレトジオン基、アロファネート基、イソシアヌレート基及び/又はイミノオキサジアジンジオン基を含む1種又はそれ以上のポリイソシアネート付加物を含み得る。
【0045】
ビウレット基含有ポリイソシアネートの非限定的な例には、米国特許第3124605号、同第3358010号、同第3644490号、同第3862973号、同第3906126号、同第3903127号、同第4051165号、同第4147714号又は同第4220749号(これら特許の適切な箇所を引用して本明細書に組み込む)に開示された方法により、共反応体(例えば、水、第3級アルコール、第1級及び第2級モノアミン、並びに第1級及び/又は第2級ジアミン)を用いて調製されるポリイソシアネートが包含される。このようなポリイソシアネートは、18〜22質量%のNCO含有量、及び3〜3.5のNCO官能価を有することができる。
【0046】
ウレタン基含有ポリイソシアネートの非限定的な例には、米国特許第3183112号(この特許の適切な箇所を引用して本明細書に組み込む)に記載された方法により、400未満の分子量を有する低分子量グリコール又はポリオール、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、1,2−ジヒドロキシプロパン及びこれらの混合物に、過剰量のポリイソシアネート、場合によりジイソシアネートを反応させることにより調製されるポリイソシアネートが包含される。ウレタン基含有ポリイソシアネートは、12〜20質量%のNCO含有量、及び2.5〜3の(平均)NCO官能価を有することができる。
【0047】
ウレトジオン含有ポリイソシアネートの非限定的な例には、適当な触媒(例えば、トリアルキルホスフィン触媒)の存在下にジイソシアネートのイソシアネート基の一部をオリゴマー化することにより調製されるポリイソシアネートが包含され、これは、他の脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネート、特に記載されるイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートとの混合物として使用することができる。
【0048】
アロファネート基含有ポリイソシアネートの非限定的な例には、米国特許第3769318号、同第4160080号及び同第4177342号(これら特許の適切な箇所を引用して本明細書に組み込む)に開示された方法により調製されるポリイソシアネートが包含される。アロファネート基含有ポリイソシアネートは、12〜21質量%のNCO含有量、及び2〜4.5の(平均)NCO官能価を有することができる。
【0049】
イソシアヌレート基及びアロファネート基含有ポリイソシアネートの非限定的な例には、米国特許第5124427号、同第5208334号及び同第5235018号(これら特許の適切な箇所を引用して本明細書に組み込む)に開示された方法により調製されるポリイソシアネートが包含される。このようなポリイソシアネートは、イソシアヌレート基及びアロファネート基を、約10:1〜1:10、ある場合には約5:1〜1:7のモノイソシアヌレート基対モノアロファネート基比で含むことができる。
【0050】
所望によりイソシアヌレート基を含有するイミノオキサジアジンジオン含有ポリイソシアネートの非限定的な例には、米国特許第5914383号(この特許の適切な箇所を引用して本明細書に組み込む)に開示されたような特別なフッ素含有触媒の存在下に調製することができるポリイソシアネートが包含される。このようなポリイソシアネートは、一般に、3〜3.5の平均NCO官能価、及び5〜30質量%、ある場合には10〜25%、別の場合には15〜25質量%のNCO含有量を有することができる。
【0051】
ポリウレタン分散体は、適当な固形分を有することができる。即ち、分散体は、分散体の質量に基づき、少なくとも5%、ある場合には少なくとも10%、他の場合には少なくとも15%、ある状況では少なくとも20%、他の状況では少なくとも25%の固形分を有することができる。固形分が低すぎると、被覆性能が低下することがある。また、分散体は、分散体の質量に基づき、70%まで、ある場合には60%まで、他の場合には50%まで、ある状況では40%までの固形分を有することができる。固形分が高すぎると、分散体の粘度も高くなりすぎることがある。実際の固形分水準は、分散されたポリウレタンの組成、及び分散された粒子の粒径により決定され得る。分散体の固形分は、上記の任意の値の間にある値又は範囲であってよい。
【0052】
使用するポリオール及びポリイソシアネートの性質に基づき、本発明のポリウレタン分散体中のポリウレタンは、測定可能な酸価を有する。ポリウレタンの酸価は、少なくとも27、ある場合には少なくとも30、他の場合には少なくとも50、ある状況では少なくとも65mgKOH/g である。酸価が低すぎると、分散された粒子が、十分に長い時間安定に分散された状態に維持されないことがある。また、ポリウレタンの酸価は、240まで、ある場合には220まで、他の場合には200まで、ある状況では150まで、他の状況では100mgKOH/g であり得る。酸価が高すぎると、ポリウレタンが親水性になりすぎることがある。ポリウレタンの酸価は、上記の任意の値の間にある値又は範囲であってよい。
【0053】
本発明のある態様において、ポリウレタンの酸基は、適当な中和剤を用いて中和することができる。適当な中和剤には、アミン及び/又はアルカリ金属水酸化物が包含されるが、これらに限定されない。本発明の特定の態様では、アミン中和剤は、N−メチルモルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−エンドエチレンピペラジン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノシクロヘキサン、N,N'−ジメチルピペラジン、N,N−ジメチルベンジルアミン及びこれらの混合物からなる群から選択される第3級アミンであり得る。
【0054】
本発明のある態様では、ポリオール及びポリイソシアネートを反応させてプレポリマーを生成した後、少なくとも1種のヒドロキシ又はアミン官能性連鎖延長剤をプレポリマーと反応させる。
本発明の特定の態様では、ヒドロキシ官能性連鎖延長剤はポリオールである。
本発明の別の特定の態様では、アミン官能性連鎖延長剤はポリアミンである。
【0055】
本発明のある態様において、ポリウレタン分散体は、上記のようにポリウレタンを含む分散粒子を含んでいる。ポリウレタン分散体中の粒子の(重量)平均粒径は、少なくとも0.001μm、ある場合には少なくとも0.01μm、他の場合には少なくとも0.1μmであり得る。粒径が小さすぎると、分散体の粘度が高くなりすぎることがある。また、平均粒径は、50μmまで、ある場合には40μmまで、他の場合には30μmまで、ある状況では20μmまで、他の状況では10μm、別の状況では3μmまでであり得る。分散体の粒径が大きすぎると、粒子が分散体から沈降することがあり、及び/又は得られる被覆が不均一になることがある。粒径は、上記の任意の値の間にある値又は範囲であってよい。粒径は、光散乱法により測定される。測定装置の非限定的な例は、HORIBATM LA-910又はLB-500 粒径分析機(HORIBA Laboratory Products, カリフォルニア州Irvine)である。
【0056】
本発明はまた、上記のポリウレタン分散体、及び遊離イソシアネート基を含まないポリウレタン用架橋剤を含む被覆組成物を提供する。本発明のある態様では、被覆組成物は、2つの成分を含み、ポリウレタン分散体が第1成分(i)として存在し、遊離イソシアネート基を含まないポリウレタン用架橋剤が第2成分(ii)として存在する。
【0057】
本発明では、遊離イソシアネート基を含まないポリウレタン用架橋剤はいずれも使用することができる。適当な架橋剤には、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素/メラミン樹脂、ポリエポキシド、ポリアジリジン、ポリカルボジイミド及びこれらの混合物が包含されるが、これらに限定されない。
【0058】
本発明の特別な態様では、架橋剤はポリアジリジンを含む。適当なポリアジリジンには、米国特許出願公開第2004/0087763号、同第2004/0087762号及び同第2003/0208033号(これら特許出願公開の適切な箇所を引用して本明細書に組み込む)に開示されているような化合物であるが、それらに限定されない。
【0059】
本発明のある態様では、成分(i)及び成分(ii)の一方又は両方が更に、溶媒、均展剤、湿潤剤、流れ調整剤、皮張り防止剤、消泡制、充填剤、粘度調節剤、可塑剤、顔料、触媒、染料、紫外線吸収剤、光安定剤並びに熱(分解)安定剤及び酸化(分解)防止剤からなる群から選択される1種又はそれ以上の添加剤を含み得る。
【0060】
本発明で使用できる溶媒の非限定的な例には、N−メチルピロリドン、C〜C−直鎖、分岐鎖又は環式アルコール、例えばn−ブタノール、ジメチル(ジエチル)グリコール、ジメチル(ジエチル)ジグリコール、テトラヒドロフラン、ジメチルジプロピレングリコール、ジエチルジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルプロピレングリコール、ジエチルプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸n−ヘキシル、酢酸n−ヘプチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸メトキシプロピル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ホワイトスピリット、N−メチル−2−ピロリドン、及びこれらの混合物が包含される。
【0061】
溶媒は、一般に、環境適合性の理由から、使用するとしても可能な限り少量で使用される。溶媒の量は、典型的には40質量%を超えない。本発明のある態様では、溶媒の量は、少なくとも0.1質量%、ある場合には少なくとも0.5質量%、他の場合には少なくとも1質量%、ある状況では少なくとも2質量%であり得る。溶媒の量が少なすぎると、被覆組成物の粘度が高くなりすぎることがある。また、溶媒の量は、ポリウレタン樹脂と溶媒との合計質量に基づき、40質量%まで、ある場合には35質量%まで、他の場合には30質量%まで、ある状況では25質量%まで、他の状況では20質量%まで、別の状況では15質量%まで、さらに別の状況では10質量%までであり得る。被覆組成物の粘度及びVOC要求がしばしば、使用できる溶媒の量の上限を決定することになる。溶媒の量は、上記の任意の値の間にある値又は範囲であってよい。
【0062】
本発明において使用できる可塑剤の非限定的な例には、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジオクチルアジペート、イソデシルマロネート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリトリトールエステル、ブチルオレエート、メチルアセチルリシノレエート、トリクレシルホスフェート及びトリオクチルホスフェート、ポリプロピレングリコールアジペート及びポリブチレンアジペートなどが包含される。このような可塑剤は、単独で又は2種以上の組み合わせで使用され得る。
【0063】
本発明において硬化に使用されることがある触媒の非限定的な例には、チタン酸エステル(例えば、テトラブチルチタネート及びテトラプロピルチタネート)、有機錫化合物(例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫及びナフテン酸錫)、オクチル酸鉛、アミン系化合物及びその塩並びにカルボキシレート(例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン及び1,3−ジアザビシクロ[5.4.6]ウンデセン−7(DBU))、過剰量のポリアミンと多塩基性酸との反応により製造される低分子量ポリアミド樹脂、過剰量のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物、並びに既知のシラノール縮合触媒(例えば、アミノ基を含むシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン))が包含される。これら化合物は、単独で又は2種以上の組み合わせで使用され得る。本発明のある態様において、触媒には、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、オクタン酸亜鉛、オクタン酸錫(II)、モノブチル錫ジヒドロキシクロリド、及び/又はジブチル錫ジラウレートが包含される。
【0064】
本発明において使用できる均展剤の非限定的な例には、セルロース(例えば、ニトロセルロース及びセルロースアセテートブチレート)が包含される。
【0065】
本発明において使用できる湿潤剤の非限定的な例には、グリコール、シラン、アニオン性界面活性剤、及びこの技術分野で既知の他の湿潤剤が包含される。本発明において使用できる湿潤剤/分散剤の非限定的な例には、商品名DISPERBYKTMとしてBYK Chemie(コネチカット州Wallingford)から販売されている製品が包含される。
【0066】
本発明において使用できる流れ調整剤の非限定的な例には、ポリアクリル酸エステル、非イオン性フッ素化アルキルエステル界面活性剤、非イオン性アルキルアリールポリエーテルアルコール、シリコーンなど、並びに商品名RESIFLOWTMとしてEstron Chemical, Inc.(ニュージャージー州Parsippany)から市販されている製品、商品名BenzoinTMとしてDSM, Inc. から販売されている製品、商品名MODAFLOWTMとしてMONSANTOから販売されている製品、商品名SURFYNOLTMとしてAir Products(ペンシルベニア州Bethlehem)から販売されている製品などが包含される
【0067】
本発明において使用できる消泡制の非限定的な例には、FOAMSTARTM(特に、I 305及びA 10)としてCognis Corp. USA(ペンシルベニア州Ambler)から販売されている製品、商品名FOAMEXTMとしてRohm and Haas Company(ペンシルベニア州Philadelphia)から販売されている製品、商品名BYKTMとしてBYK Chemie(コネチカット州Wallingford)から販売されている製品、及び商品名FoamBrakeTMとしてBASF Corp.(ニュージャージー州Mount Olive)から販売されている製品が包含さえる。
【0068】
本発明において使用できる充填剤の非限定的な例には、ヒュームド(熱分解)シリカ、沈降シリカ、無水珪酸、珪酸水和物、タルク、石灰石粉、カオリン、珪藻土、焼成粘土、粘土、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化亜鉛、活性鉛白、及び繊維充填剤(例えば、ガラス繊維又はフィラメント)が包含される。充填剤は、適当な粒径を有し、本発明のある態様では、充填剤の粒径は、5nm〜10μm、ある場合には10nm〜5μm、他の場合には25nm〜1μmであり得る。
【0069】
本発明において使用できる粘度調節剤の非限定的な例には、アルカリ可溶性、酸可溶性及び疎水変性アルカリ可溶性又は酸可溶性エマルションポリマー、ACRYSOLTMとしてRohm and Haas Company から販売されている製品、セルロース、変性セルロース、天然ガム(例えば、キサンタンガム)などが包含される。更に、粘度調節剤には、低粘度で高顔料負荷を与えるポリマー及び分散助剤、例えばBYK Chemie GmbH(ドイツWesel)のBYKTM 410 などが包含される。
【0070】
本発明において使用できる顔料の非限定的な例には、カーボンブラック、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄、水酸化アルミニウム、雲母、メタ珪酸カルシウム、シリカ及び炭酸マグネシウムが包含される。
【0071】
本発明において使用できる染料の非限定的な例には、媒染染料(即ち、植物、昆虫及び藻類から調製される染料)、直接染料、例えばベンジジン又はベンジジン誘導体に基づく染料が包含される。
【0072】
本発明において使用できる紫外線吸収剤の非限定的な例には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤及びニッケル系光安定剤が包含される。本発明の特別な態様において、ヒンダードアミン系光安定剤、例えば商品名TINUVINTMとしてCiba Specialty Chemicals(スイスBasel)から販売されている製品が使用される。
【0073】
本発明において使用できる熱安定剤の非限定的な例には、HCl掃去剤(例えば、エポキシ化大豆油)、β−チオジプロピオン酸のエステル(例えば、ラウリル、ステアリル、ミリスチル又はトリデシルエステル)、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、亜鉛ジブチル−ジチオカーバメート、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリトリトールテトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオネート、及びリン酸鉛が包含される。
【0074】
本発明において使用できる酸化防止剤(酸化分解安定剤)の非限定的な例には、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノン、及び商品名IRGANOXTMとしてCiba Specialty Chemicals(スイスBasel)から販売されている製品が包含される。
【0075】
また、本発明は、
(a)上記の成分(i)及び(ii)を混合して、混合物を調製し、
(b)該混合物を基材の表面に適用する
ことを含んでなる、基材の被覆方法も提供する。
【0076】
本発明のある態様において、基材は、紙、木材、金属、ビニル被覆繊維製品、事務機器ハウジング、及び他のプラスチック部品であり得る。
【0077】
混合物は、通常の方法、例えば、この分野で既知の噴霧、流し込み、流し塗り、刷毛塗り、吹き付け又はロール塗により適用することができる。基材に適用(塗布)すると、組成物は合体して、実質的に連続した膜を基材上に形成し、次いで硬化される。フィルムは、加熱又は風乾により膜から液体を除去することにより、基材表面上に形成される。
【0078】
適用された被覆は、室温で硬化することができ、又は100〜200℃、ある場合には120〜160℃の温度に加熱して適用した表面フィルムを硬化する。硬化時間は、組成物及び温度に依存して、1〜120分、ある場合には10〜60分、他の場合には15〜45分であり得る。
【0079】
以下、本発明およびそれらの好ましい態様をまとめて示す。
1.第1成分(i)としての、カルボン酸官能基を有するポリオールを含むポリオールとポリイソシアネートを反応させて調製した、酸官能基を有するイソシアネート官能性プレポリマーを含有する水性ポリウレタン分散体、及び遊離イソシアネート基を含まないポリウレタン用架橋剤を含む第2成分(ii)を含んでなり、該ポリオールは、100〜10000の分子量(Mn)、25〜500mgKOH/gの酸価、及び25〜500gKOH/gのヒドロキシル価を有する、2成分被覆組成物。
2.成分(i)のポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリカーボネート、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリチオエーテル及びこれらの混合物からなる群から選択される上記第1項に記載の被覆組成物。
3.成分(i)のポリオールは、少なくとも5個の炭素原子を有する2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−アルカンカルボン酸である上記第1項に記載の被覆組成物。
4.2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−アルカンカルボン酸は、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−プロピオン酸、ジメチロールプロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−ブタン酸及び/又はジメチロールブタン酸である上記第3項に記載の被覆組成物。
5.成分(i)のポリオールは、少なくとも5個の炭素原子を有する2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−アルカンカルボン酸からの繰返し単位を1個又はそれ以上含むポリエステルポリオールを含む上記第1項に記載の被覆組成物。
6.2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−アルカンカルボン酸は、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−プロピオン酸、ジメチロールプロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−ブタン酸及び/又はジメチロールブタン酸である上記第5項に記載の被覆組成物。
7.成分(i)のポリイソシアネートは、2〜5個のイソシアネート基を有する、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネートである上記第1項に記載の被覆組成物。
8.成分(i)のポリイソシアネートは、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、トリイソシアナトノナン、ω,ω'−ジイソシアナト−1,3−ジメチルシクロヘキサン、1−シアナト−1−メチル−3−イソシアナトメチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−1−メチル−4−イソシアナトメチルシクロヘキサン、ビス (イソシアナトメチル)ノルボルナン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,3−ビス(2−イソシアナトプロパ−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス−(2−イソシアナトプロパ−2−イル)ベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、2,4'−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4'−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン及びこれらの混合物からなる群から選択される1種又はそれ以上のポリイソシアネートである上記第1項に記載の被覆組成物。
9.成分(i)のポリイソシアネートは、ビウレット基、ウレタン基、ウレトジオン基、アロファネート基、イソシアヌレート基及び/又はイミノオキサジアジンジオン基を含む1種又はそれ以上のポリイソシアネート付加物を含む上記第1項に記載の被覆組成物。
10.分散体は、分散体に基づいて20〜60質量%の固形分を有する上記第1項に記載の被覆組成物。
11.分散体は、27〜240mgKOH/gの酸価を有する上記第1項に記載の被覆組成物。
12.分散体は更に、アミン及び/又はアルカリ金属水酸化物から選択される中和剤を含む上記第1項に記載の被覆組成物。
13.アミンは、N−メチルモルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−エンドエチレンピペラジン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノシクロヘキサン、N,N'−ジメチルピペラジン、N,N−ジメチルベンジルアミン及びこれらの混合物からなる群から選択される第3級アミンである上記第12項に記載の被覆組成物。
14.ポリオール及びポリイソシアネートを反応させてプレポリマーを形成した後、少なくとも1種のヒドロキシル又はアミン官能性連鎖延長剤をプレポリマーと反応させる上記第1項に記載の被覆組成物。
15.ヒドロキシル官能性連鎖延長剤はポリオールである上記第14項に記載の被覆組成物。
16.アミン官能性連鎖延長剤はポリアミンである上記第14項に記載の被覆組成物。
17.成分(ii)の架橋剤は、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素/メラミン樹脂、ポリエポキシド、ポリアジリジン、ポリカルボジイミド及びこれらの混合物からなる群から選択される成分を含む上記第1項に記載の被覆組成物。
18.成分(ii)の架橋剤はポリアジリジンを含む上記第1項に記載の被覆組成物。
19.成分(i)及び成分(ii)の一方又は両方が更に、均展剤、湿潤剤、流れ調整剤、皮張り防止剤、消泡制、充填剤、粘度調節剤、可塑剤、顔料、触媒、染料、紫外線吸収剤、光安定剤並びに熱安定剤及び酸化防止剤からなる群から選択される1種又はそれ以上の添加剤を含む上記第1項に記載の被覆組成物。
20.(a)上記第1項に記載の組成物の成分(i)及び(ii)を混合して、混合物を調製し、
(b)該混合物を基材の表面に適用する
ことを含んでなる、基材の被覆方法。
21.混合物は、噴霧、流し込み、流し塗り、刷毛塗り、吹き付け又はロール塗により適用する上記第20項に記載の方法。
22.上記第20項に記載の方法により被覆した基材。
【0080】
[実施例]
以下の実施例により本発明をより詳しく説明するが、これは単に説明のためであって、当業者には種々の改良及び変更が可能であることは明らかである。特に記載しない限り、全ての「部」及び「%」は質量基準である。
【0081】
下記の略称で示す出発物質を使用した:
・Polyol 2:TERATHANETM 2000(デラウエア州Wilmington在、E.I. DuPont De Nemoursから販売のポリエーテル)
・Polyol 3:DESMOPHENTM 225B(ペンシルベニア州Pittsburgh在、Bayer Polymers LLC から販売のポリエステル)
・Polyol 4:DESMOPHENTM 170HM(ペンシルベニア州Pittsburgh在、Bayer Polymers LLC から販売のポリエスエル)
・Polyol 5:DESMOPHENTM D-2020E(ペンシルベニア州Pittsburgh在、Bayer Polymers LLC から販売のポリカーボネートジオール)
・BDO:1,4−ブタンジオール
・NPG:ネオペンチルグリコール
・DesW:DESMODURTM W(ペンシルベニア州Pittsburgh在、Bayer Polymers LLC から販売のジイソシアネート)
・DesI:DESMODURTM I(ペンシルベニア州Pittsburgh在、Bayer Polymers LLC から販売のジイソシアネート)
・DesH:DESMODURTM H(ペンシルベニア州Pittsburgh在、Bayer Polymers LLC から販売のジイソシアネート)
・LB25:Polyether LB 25(ペンシルベニア州Pittsburgh在、Bayer Polymers LLC から販売)
・T-12:ジブチル錫ジラウレート
・TEA:トリエチルアミン
・NMP:N−メチルピロリドン
・EDA:エチレンジアミン
・DETA:ジエチレントリアミン
【0082】
[実施例1]
本実施例は、本発明のポリウレタン分散体の調製に使用するための酸官能性ポリエステル(AFP 1)の合成を説明する。
熱電対制御加熱マントル、冷却器及び攪拌翼を備え、窒素パージした2リットルフラスコに、ヘキサンジオール2270g、NPG1333g及びアジピン酸5266gを加えた。攪拌しながら、温度が140℃に達した時点で、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)1131gを加え、成分を150℃で16時間混合した。温度を180℃に上昇し、酸価が57〜59mgKOH/g の間になるまで、減圧にした。生成物は、純度100%で、BROOKFIEDTM Viscometer, LVF (スピンドル番号3)(マサチューセッツ州Stoughton在、Brookfield Engineering Laboratories, Inc.製)を用いて60℃、60rpmで測定して4370cpsの粘度、55.5mgKOH/g のヒドロキシル価、及び58mgKOH/g の酸価を有していた。
【0083】
[実施例2]
本実施例は、本発明のポリウレタン分散体の調製に使用するための酸官能性ポリエステル(AFP 2)の合成を説明する。
27mgKOH/g の酸価が得られるようにDMPAの量を調節した以外は、実施例1と同様の方法でAFP 2 を調製した。生成物は、純度100%で、(上記ように測定して)4400cpsの粘度(60℃)、及び58mgKOH/g のヒドロキシル価を有していた。
【0084】
[実施例3〜9]
これら実施例は、本発明のポリウレタン分散体の調製に使用するためのプレポリマーの合成を説明する。
下記表1に示す成分を用い、熱電対制御加熱マントル、冷却器及び攪拌翼を備え、窒素パージした1リットルフラスコで、NMP(NMP1)、NPG(記載のとおり)、AFP 1,LB 25 及びT-12を混合し、全ての固体成分が溶解するまで、65〜70℃で加熱した。次に、イソシアネートを添加し、混合物を発熱反応させ、90〜95℃で、1.75時間、あるいはNCOレベルが一定になるか又は理論値以下になるまで、加熱した。その後、反応混合物を70℃に冷却し、カルボキシル基を中和するために、NMP(NMP2)中のTEAを添加し、15分間混合した。ペリレン染料を使用した場合、これはプレポリマーに15分間混合した。別途記載がない限り、全ての量はグラムである。
【0085】
【表1】

【0086】
[実施例10〜16]
プレポリマーを、分散フラスコ中で水とLB 25 の混合物に分散させ、5分間攪拌した。次いで、混合しながらEDA 及び水を添加した。更に、連鎖延長剤を、攪拌しながら液滴状に加えた。場合により、TEA を加え、混合物を室温で1時間混合し、50μmフィルタで濾過した。使用量を下記表に示すが、別途記載がない限り、全ての量はグラムである。
【0087】
【表2】

【0088】
ポリウレタン分散体は、下記表に示す性質を有していた。
【表3】


1:mgKOH/g(理論値)
2:質量%。Mettler Toledo HR 73 Moisture Analyzer を使用し、140℃で20分間測定。
3:cps。BROOKFIEDTM Viscometer, RVT (ジオール)(スピンドル番号3)を使用し、100rpm、25℃で測定。
4:μm。HORIBATM LA-910 粒径分析機を使用して測定。
【0089】
下記表に示すポリウレタン分散体(PUD)から、以下のようにしてフィルムを作成した。
機械式攪拌機を用いて、PUD50gをポリアジリジン(XAMA 7、Bayer Polymers LLC (ペンシルベニア州Pittsburgh))と混合した。ポリアジリジンの量は、ポリウレタンの酸当量の0.7倍のポリアジリジン当量であった。
【0090】
メチルエチルケトンにより清浄化したガラス板上に、10mlアプリケーターバーを用いて、ポリウレタン分散体を塗布した。ガラス板を20分間風乾し、60℃(140°F)で10分間焼き付け、更に23℃で12時間硬化し、150℃で10分間焼き付けた。ガラス板からフィルムを剥がし、温度25℃(77°F)、相対湿度55%で24時間、状態調節した。
【0091】
その後、フィルムを評価した。結果を下記表に示す。
溶媒膨潤性は、フィルムを1インチ平方に切断し、ペトリ皿に満たした溶媒に24時間浸漬し、グラフ用紙(20枡目=1平方インチ)を用いて寸法の増加を測定して評価した。直線膨潤ファクタ(LF)は、下記の式により算出し、容積膨潤率に換算した。
【数1】

【0092】
【表4】


5:ASTM 412 に従い、INSTRONTM Model 4444(Instron Corp. (マサチューセッツ州Canton)製)を使用し、20インチ/分のクロスヘッド速度で測定。
6:上記のようにASTM 412 に従い測定。
7:上記のようにASTM 412 に従い測定。
8:MICRO-TRI-GLOSSTM Gloss Meter (Model 4520)(BYK-Gardner GmbH (ドイツGeretaried)製)を用い、ASTM D523 に従い測定。
9:上記のように測定。
10:ポリアジリジン(PFAZTM 322 及びXAMATM 7(Bayer Polymers LLC (ペンシルベニア州Pittsburgh)製)を用いて架橋。
11:溶解。
【0093】
上記の結果は、PUD注のポリマーを架橋すると、得られるフィルムの物理的性質、例えばフィルムの強さが改良されることを示す。物理化学的性質も改良される。例えば、伸びは小さくなり、100%モジュラスは実質的に増加し、引張り強さは増加する。加えて、耐薬品・溶媒性は改良される。
【0094】
以上、本発明を説明の目的で詳細に記載したが、そのような詳細な記述は説明の為であり、特許請求の範囲により限定される場合の除き、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、当業者によって種々の改良・改変を加えられる得ることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1成分(i)としての、カルボン酸官能基を有するポリオールを含むポリオールとポリイソシアネートを反応させて調製した、酸官能基を有するイソシアネート官能性プレポリマーを含有する水性ポリウレタン分散体、及び遊離イソシアネート基を含まないポリウレタン用架橋剤を含む第2成分(ii)を含んでなり、該ポリオールは、100〜10000の分子量(Mn)、25〜500mgKOH/gの酸価、及び25〜500gKOH/gのヒドロキシル価を有する、2成分被覆組成物。
【請求項2】
(a)請求項1に記載の組成物の成分(i)及び(ii)を混合して、混合物を調製し、
(b)該混合物を基材の表面に適用する
ことを含んでなる、基材の被覆方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法により被覆した基材。

【公開番号】特開2006−9019(P2006−9019A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183562(P2005−183562)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】