説明

高電圧ユニット装置

【課題】作業者が誤ってグロメットを引き抜くことを防止でき、ボックス部内の端子部へのアクセスが可能となる状況の発生を防止して、作業の正確性を確保する。
【解決手段】高電圧ユニットの上面部にボックス部を配置し、ボックス部の上面部に形成した開口部を閉鎖する蓋部27を設け、蓋部を外した場合に、バッテリ装置から供給される電力を遮断するスイッチをボックス部の内部に配置し、ボックス部の側面部にケーブル挿入用孔部を形成し、ケーブル挿入用孔部を通して補機用ケーブル25をボックス部内の補機用端子部と接続し、補機用ケーブルの外周にケーブル挿入用孔部との間の隙間を塞ぐグロメットを配置した高電圧ユニット装置19において、高電圧ユニットの上面部にグロメットを覆う保護カバー39を取り付け、ボックス部の蓋部27に保護カバー39の少なくとも一部を上方から覆う延出部42を形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は高電圧ユニット装置に係り、特に、ハイブリッド車や電気自動車などの車両に搭載される高電圧ユニットに対する作業者の誤った作業を防止し、作業の正確性を確保することができる高電圧ユニット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車などの車両においては、図9に示すように、車輪を駆動する駆動用モータに電力を供給する高電圧ユニット装置101を搭載している。モータ用ケーブルによって駆動用モータに接続される高電圧ユニット装置101は、高電圧ユニット102の上面部にボックス部103を配置している。ボックス部103は、バッテリ用端子部104と補機用端子部105とを内部に備えている。バッテリ用端子部104は、バッテリ用ケーブル106によって高電圧のバッテリ装置と接続される。補機用端子部105は、補機用ケーブル107によって補機類と接続される。
前記ボックス部103の上面部には、開口部108を形成している。ボックス部103は、この開口部108を閉鎖する蓋部109を上面部に配置している。ボックス部103の内部には、蓋部109を外した場合に、バッテリ装置から供給される電力を遮断するスイッチ110を配置している。ボックス部103の側面部には、ケーブル挿入用孔部111を形成している。高電圧ユニット102は、ケーブル挿入用孔部111を通して補機用ケーブル107をボックス部103内の補機用端子部105と接続している。この補機用ケーブル107の外周には、ケーブル挿入用孔部111との間の隙間を塞ぐグロメット112を配置している。
また、前記高電圧ユニット102の側面部には、接続部113を配置している。接続部113は、駆動用モータヘ電力を供給する、あるいは、駆動用モータ側から電力が供給されるモータ用ケーブル114を接続する。接続部113の上面部には、開口部115を形成している。接続部113は、この開口部115を閉鎖する接続部側蓋部116を上面部に配置している。接続部113の内部には、接続部側蓋部116を外した場合に、駆動用モータ側から供給される電力を遮断するスイッチ117を配置している。
【0003】
従来の高電圧ユニット装置としては、高電圧ユニットの上面部を開閉可能な蓋部を設け、この蓋部に施錠装置を備えて、この施錠装置の施錠を解除することによってハイブリッド装置から高電圧ユニットヘの電圧供給を遮断するものがあった(特開2009−29276)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−29276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記図9に示す高電圧ユニット装置101は、高電圧ユニット102のボックス部103に高電圧が流れるバッテリ用ケーブル106および補機用ケーブル107を接続し、接続部113に高電圧が流れるモータ用ケーブル114を接続している。高電圧ユニット装置101は、ボックス部103と接続部113とを離れて配置しているので、ボックス部103と接続部113の各上面部にそれぞれ開閉可能な蓋部109と接続部側蓋部116を設ける必要があった。
しかし、図9に示す高電圧ユニット装置101の構造では、高電圧ユニット102に2箇所の蓋部109・116が必要になるため、安全性を考慮して、夫々の蓋部109・116にバッテリ装置から高電圧ユニットヘの電圧の供給を遮断するスイッチ110・117をそれぞれ設ける必要があった。
これによって、高電圧ユニット装置101は、2つのスイッチ110・117を設けなければならないことから、スイッチの設置数が増加するとともに、スイッチを設けることによる電気回路が複雑になっていた。
【0006】
また、図9に示す高電圧ユニット装置101は、高電圧ユニット102のボックス部103に複数の補機用ケーブル107を接続するために、ケーブル挿入用孔部111が設けられている。そして、夫々の補機用ケーブル107には、このケーブル挿入用孔部111との隙間を塞ぐために、ゴム材からなるグロメット112を用いていた。
しかし、このような構造では、高電圧ユニット102の上面部にグロメット112が露出していたため、作業者が高電圧ユニット102からグロメット112を誤って引き抜く虞があった。そして、グロメット112が誤って引き抜かれると、補機用ケーブル107の外周とケーブル挿入用孔部111の間に隙間が生じることになり、ボックス部103の内部に設けられる補機用端子部105へのアクセスが可能となる状況が生じた。
【0007】
この発明は、バッテリ装置から高電圧ユニットに電力が供給されている状態で、作業者が誤ってグロメットを引き抜くことを防止でき、ボックス部内の端子部へのアクセスが可能となる状況の発生を防止して、作業の正確性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、車両に搭載される高電圧ユニットの上面部に、バッテリ用ケーブルによって高電圧のバッテリ装置と接続されるバッテリ用端子部と補機用ケーブルによって補機類と接続される補機用端子部とを内部に備えるボックス部を配置し、前記ボックス部の上面部に開口部を形成するとともに、この開口部を閉鎖する蓋部を前記ボックス部の上面部に配置し、前記蓋部を外した場合に、前記バッテリ装置から供給される電力を遮断するスイッチを前記ボックス部の内部に配置し、前記ボックス部の側面部にケーブル挿入用孔部を形成し、前記ケーブル挿入用孔部を通して前記補機用ケーブルを前記ボックス部内の補機用端子部と接続するとともに、この補機用ケーブルの外周に前記ケーブル挿入用孔部との間の隙間を塞ぐグロメットを配置した高電圧ユニット装置において、前記高電圧ユニットの上面部に、前記グロメットを単品で取り外せないように前記グロメットを覆う保護カバーを取り付け、前記蓋部に、前記保護カバーの少なくとも一部を上方から覆う延出部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の高電圧ユニット装置は、高電圧ユニットの上面部にグロメットを覆う保護カバーを取り付けたことによって、グロメットに触ることができなくなり、作業者が誤って単品でグロメットを引き抜くのを防止できる。
さらに、この発明の高電圧ユニット装置は、バッテリ装置から高電圧ユニットに電力が供給されているときは、保護カバーの一部が蓋部の延出部で覆われるので、高電圧ユニットから保護カバーを取り外すことができない状態になっている。
これによって、この発明の高電圧ユニット装置は、高電圧ユニットに電力が流れている状態で、作業者が誤ってグロメットを引き抜くことを防止でき、ケーブル挿入用孔部の隙間からボックス部内の端子部へのアクセスを防止することができる。
また、この発明の高電圧ユニット装置は、高電圧ユニットから保護カバーを取り外したいときは、ボックス部から蓋部を取り外す必要がある。これによって、バッテリ装置から高電圧ユニットに供給される電力がスイッチによって完全に遮断されるとともに、保護カバーの上方から蓋部の延出部が取り外されて、高電圧ユニットの上面部から締付部を介して保護カバーを取り外すことができる。
これによって、この発明の高電圧ユニット装置は、バッテリ装置から高電圧ユニットに電力が供給されている状態で、作業者が誤ってグロメットを引き抜くことを防止でき、誤作業を回避して作業の正確性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は高電圧ユニット装置を搭載した車両の平面図である。(実施例)
【図2】図2は高電圧ユニット装置を搭載した車両の前部側面図である。(実施例)
【図3】図3は高電圧ユニット装置の斜視図である。(実施例)
【図4】図4は蓋部を外した高電圧ユニット装置の斜視図である。(実施例)
【図5】図5は蓋部、保護カバーを外した高電圧ユニット装置の斜視図である。(実施例)
【図6】図6は蓋部、保護カバー、バッテリ用ケーブル支持ブラケットを外した高電圧ユニット装置の斜視図である。(実施例)
【図7】図7は蓋部、保護カバー、補機用ケーブル支持ブラケット、バッテリ用ケーブル支持ブラケットを外した高電圧ユニット装置の斜視図である。(実施例)
【図8】図8は蓋部、保護カバー、補機用ケーブル支持ブラケット、バッテリ用ケーブル支持ブラケット、接続部側蓋部を外した高電圧ユニット装置の斜視図である。(実施例)
【図9】図9は高電圧ユニット装置の斜視図である。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0012】
図1〜図8は、この発明の実施例を示すものである。図1・図2において、1は車両、2は前側車輪、3は後側車輪である。車両1は、前側車輪2上に隔壁4を設置し、隔壁4の前側にフロントルーム5を設け、隔壁4の後側に車室6を設け、車室6の前側に座席7を配置している。車両1は、後側車輪3を駆動する駆動用モータ8を設けている。駆動用モータ8には、変速機9を接続している。変速機9は、車軸10を介して後側車輪3に接続している。
車両1は、駆動用モータ8に供給する電力を貯蔵する高電圧のバッテリ装置11を車室6の下方に搭載している。バッテリ装置11は、前後に長く上下に扁平なほぼ直方体状のハウジング12内に複数のバッテリを内蔵している。バッテリ装置11のハウジング12の上面には、後部右側にバッテリ冷却用の冷却ファン装置13を設けている。冷却ファン装置13からは、ハウジング12の前部略中央に向かい冷却ダクト14を延出している。冷却ダクト14の先端には、ダクトケース15を設けている。
車両1は、冷却ダクト14のダクトケース15下側に補機類のPTCヒータ16を設置し、隔壁4の車室6側の下部に補機類の空調用コンプレッサ17を設置している。また、車両1は、フロントルーム5に空調用ラジエータ18を設置している。
【0013】
前記車両1は、駆動用モータ8、バッテリ装置11、補機類のPTCヒータ16および空調用コンプレッサ17に高電圧を供給する高電圧ユニット装置19を搭載している。高電圧ユニット装置19は、ハウジング12の上面の前部左側に高電圧ユニット20を設置している。高電圧ユニット20は、図3に示すように、立方体形状に形成され、上面部の右側にボックス部21を配置している。
ボックス部21は、図4に示すように、長四角短筒形状に形成され、内部にそれぞれ複数のバッテリ用端子部22と補機用端子部23とを備えている。バッテリ用端子部22は、バッテリ用ケーブル24によって前記バッテリ装置11と接続される。補機用端子部23は、補機用ケーブル25によって補機類の前記PTCヒータ16および空調用コンプレッサ17と接続される。
前記ボックス部21の上面部には、開口部26を形成している。ボックス部21は、この開口部26を閉鎖する蓋部27を上面部に配置している。蓋部27は、長四角板形状に形成され、外周部位を複数の締結具である締結ボルト28によりボックス部21の上面部に締結される。ボックス部21の内部には、蓋部27を外した場合に、バッテリ装置11から供給される電力を遮断するスイッチ29を配置している。
ボックス部21の左側の側面部には、図5に示すように、複数のケーブル挿入用孔部30を形成している。高電圧ユニット20は、ボックス部21の左側から補機用ケーブル25をケーブル挿入用孔部30に通して、補機用ケーブル25をボックス部21内の補機用端子部23と接続している。補機用ケーブル25の外周には、ケーブル挿入用孔部30との間の隙間を塞ぐグロメット31を配置している。
また、前記高電圧ユニット20は、図6・図7・図8に示すように、左側の側面部に接続部32を配置している。接続部32は、平面視で上下方向に延びる断面コ字形状に形成され、内部にモータ用端子部33を備えている。モータ用端子部33には、駆動用モータ8ヘ電力を供給する、あるいは、駆動用モータ8側から電力が供給されるモータ用ケーブル34を接続する。接続部32の上面部には、開口部35を形成している。接続部32は、この開口部35を閉鎖する接続部側蓋部36を上面部に配置している。接続部側蓋部36は、長四角板形状に形成され、外周部位に設けた複数の締結部37を締結具である締結ボルト38により接続部32の上面部に締結される。
【0014】
この高電圧ユニット装置19は、図3〜図5に示すように、高電圧ユニット20の上面部に、グロメット31を単品で取り外せないように、グロメット31を覆う保護カバー39を取り付けている。保護カバー39は、四角蓋形状に形成され、前縁および後縁にそれぞれ設けた複数の締結部40を締結具である締結ボルト41により高電圧ユニット20の左側の上面部および接続部32の上面部に締結される。高電圧ユニット装置19は、ボックス部21の蓋部27に、前記保護カバー39の少なくとも一部を上方から覆う延出部42を形成している。延出部42は、ボックス部21の前側左端の角部前方に位置し、保護カバー39の前側右端に設けた締結部40を覆うように、蓋部27の前側左端の角部から左斜め前方に突出させて形成している。
このように、高電圧ユニット装置19は、高電圧ユニット20の上面部にグロメット31を覆う保護カバー39を取り付けたことによって、グロメット31に触ることができなくなり、作業者が誤って単品でグロメット31を引き抜くのを防止できる。さらに、この高電圧ユニット装置19は、バッテリ装置11から高電圧ユニット20に電力が供給されているときは、保護カバー39の一部が蓋部27の延出部42で覆われるので、高電圧ユニット20から保護カバー39を取り外すことができない状態になっている。
これによって、この高電圧ユニット装置19は、高電圧ユニット20に電力が供給されている状態で、作業者が誤ってグロメット31を引き抜くことを防止でき、ケーブル挿入用孔部30の隙間からボックス部21内の補機用端子部23へアクセスすることを防止できる。
また、高電圧ユニット装置19は、高電圧ユニット20から保護カバー39を取り外したいときは、図3に示すように、蓋部27の延出部42が保護カバー39の少なくとも一部を上方から覆っているので、図4に示すように、ボックス部21から蓋部27を取り外す必要がある。蓋部27の取り外しでスイッチ29が動作することによって、高電圧ユニット装置19は、バッテリ装置11から高電圧ユニット20に供給される電力がスイッチ29にて完全に遮断される。そして、保護カバー39の上方から蓋部27の延出部42取り外されて、図5に示すように、高電圧ユニット20の上面部から締結部40を介して保護カバー39を取り外すことができる。
これによって、この高電圧ユニット装置19は、バッテリ装置11から高電圧ユニット20に電力が供給されている状態で、作業者が誤ってグロメット31を引き抜くことを防止でき、誤作業を回避して作業の正確性を確保することができる。
【0015】
前記車両1は、図1に示すように、高電圧ユニット20から供給される電力によって車両1の後側車輪3を駆動する駆動用モータ8を備えている。高電圧ユニット装置19は、高電圧ユニット20の側面部に、駆動用モータ8ヘ電力を供給する、あるいは、駆動用モータ8側から電力が供給されるモータ用ケーブル34を接続する接続部32を配置している。接続部32の上面部には、図7・図8に示すように、開口部35を形成するとともに、この開口部35を閉鎖する接続部側蓋部36を配置している。高電圧ユニット装置19は、図3・図4に示すように、グロメット31の保護カバー39を接続部側蓋部36まで延長して、保護カバー39を高電圧ユニット20の左側の上面部および接続部側蓋部36に締結することで、保護カバー39によって接続部側蓋部36の一部を上方から押さえている。
このように、高電圧ユニット装置19は、保護カバー39によって接続部側蓋部36の一部が上方から押さえられているため、図5〜図8に示すように、高電圧ユニット20から保護カバー39を取り外さない限り、作業者は、接続部側蓋部36を接続部32の開口部35から取り外すことができないようになっている。
これによって、この高電圧ユニット装置19は、ボックス部21の蓋部27をボックス部21から取り外す前に、接続部32の接続部側蓋部36を接続部32から取り外すことができない。このため、この高電圧ユニット装置19は、接続部32に接続部側蓋部36の開閉専用のスイッチを新たに設ける必要がなくなり、スイッチの数の増加を抑制できるとともに、スイッチ構造や電気回線の複雑化を抑えることができる。
また、この高電圧ユニット装置19は、作業者が、スイッチを設けない接続部側蓋部56を直接取り外すことができないため、作業手順の正確性を確保することができる。
【0016】
高電圧ユニット装置19は、図3に示すように、締結ボルト41によって高電圧ユニット20に締結される複数の締結部40を保護カバー39に備え、複数の締結部40のうち少なくとも1つの締結部40を蓋部24の延出部42で覆っている。
このように、高電圧ユニット装置19は、保護カバー39を高電圧ユニット20に締結するための少なくとも1つの締結部40を蓋部27の延出部42で覆ったことによって、蓋部27または延出部42がボックス部21に取り付けられた状態では、作業者が、締結ボルト41を用いて保護カバー39に設けられる全ての締結部40にアクセスすることができないようになっている。
これによって、この高電圧ユニット装置19は、作業者が、蓋部27をボックス部21から取り外す前に、保護カバー39を高電圧ユニット20から取り外すことができないため、作業の正確性を確実に確保できる。
【0017】
高電圧ユニット装置19は、図6・図7・図8に示すように、高電圧ユニット20に、補機用ケーブル25を高電圧ユニット20に支持する支持用ブラケット43を設けている。支持用ブラケット43は、接続部32に取り付けるための複数の締結部44を備えている。支持用ブラケット43の締結部44は、接続部用蓋部36に設けられる複数の締結部37のうちの一部、図7・図8においては前部右側、中間左側および後部左右側の締結部37と一致するように設けられている。
支持用ブラケット43は、接続部用蓋部36を接続部32に取り付けるために設けられる複数の締結部37のうちの一部、図7・図8においては前部左側および中間右側の締結部37を覆うように接続部用蓋部32の上面部に配置される。接続部用蓋部32の上面部に配置した支持用ブラケット43は、締結部44を接続部用蓋部36の前部右側、中間左側および後部左右側の締結部37と一致させて設置し、接続部側蓋部36を接続部32に締結する締結ボルト38により共締めすることで、接続部32に締結される。
この高電圧ユニット装置19は、支持用ブラケット43を接続部用蓋部36の上面部に配置して、接続部用蓋部36を接続部32に取り付けるために設けられる複数の締結部37の一部を支持用ブラケット43で覆ったことによって、接続部用蓋部36に設けられた締結部37の全てに直接アクセスできないようになっているとともに、作業者から接続部用蓋部36の締結部37の全てを直接視認できないようになっている。
これによって、この高電圧ユニット装置19は、作業者が、高電圧ユニット20からボックス部21の蓋部27を取り外す前に、接続部32から接続部用蓋部36を取り外そうとする行為を抑制できる。
なお、この高電圧ユニット装置19は、バッテリ用ケーブル24を支持用ブラケット43に保持する保持用ブラケット45を設けている。保持用ブラケット45は、支持用ブラケット43に締結ボルト46で取り付けている。
【産業上の利用可能性】
【0018】
この発明は、バッテリ装置から高電圧ユニットに電力が供給されている状態で、ボックス部内の端子部へのアクセスが可能となる状況の発生を防止し、作業の正確性を確保することができる構造であり、駆動用モータを搭載した運送用機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 車両
8 駆動用モータ
11 バッテリ装置
16 PTCヒータ
17 空調用コンプレッサ
19 高電圧ユニット装置
20 高電圧ユニット
21 ボックス部
22 バッテリ用端子部
23 補機用端子部
24 バッテリ用ケーブル
25 補機用ケーブル
26 開口部
27 蓋部
29 スイッチ
30 ケーブル挿入用孔部
31 グロメット
32 接続部
33 モータ用端子部
34 モータ用ケーブル
35 開口部
36 接続部側蓋部
37 締結部
38 締結ボルト
39 保護カバー
40 締結部
41 締結ボルト
42 延出部
43 支持用ブラケット
45 保持用ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される高電圧ユニットの上面部に、バッテリ用ケーブルによって高電圧のバッテリ装置と接続されるバッテリ用端子部と補機用ケーブルによって補機類と接続される補機用端子部とを内部に備えるボックス部を配置し、
前記ボックス部の上面部に開口部を形成するとともに、この開口部を閉鎖する蓋部を前記ボックス部の上面部に配置し、
前記蓋部を外した場合に、前記バッテリ装置から供給される電力を遮断するスイッチを前記ボックス部の内部に配置し、
前記ボックス部の側面部にケーブル挿入用孔部を形成し、
前記ケーブル挿入用孔部を通して前記補機用ケーブルを前記ボックス部内の補機用端子部と接続するとともに、この補機用ケーブルの外周に前記ケーブル挿入用孔部との間の隙間を塞ぐグロメットを配置した高電圧ユニット装置において、
前記高電圧ユニットの上面部に、前記グロメットを単品で取り外せないように前記グロメットを覆う保護カバーを取り付け、
前記蓋部に、前記保護カバーの少なくとも一部を上方から覆う延出部を形成したことを特徴とする高電圧ユニット装置。
【請求項2】
前記車両は、前記高電圧ユニットから供給される電力によって前記車両の車輪を駆動する駆動用モータを備え、
前記高電圧ユニットの側面部に、前記駆動用モータヘ電力を供給する、あるいは、前記駆動用モータ側から電力が供給されるモータ用ケーブルを接続する接続部を配置し、
前記接続部の上面部に開口部を形成するとともに、この開口部を閉鎖する接続部側蓋部を前記接続部の上面部に配置し、
前記保護カバーを前記接続部側蓋部まで延長して、前記接続部側蓋部の一部を上方から押さえることを特徴とする請求項1に記載の高電圧ユニット装置。
【請求項3】
前記保護カバーは、締結具によって前記高電圧ユニットに締結される複数の締結部を備え、
前記複数の締結部のうち少なくとも1つの締結部を前記蓋部の延出部で覆ったこと特徴とする請求項1または請求項2に記載の高電圧ユニット装置。
【請求項4】
前記高電圧ユニットは、前記補機用ケーブルを前記高電圧ユニットに支持する支持用ブラケットを設け、
前記支持用ブラケットを前記接続部用蓋部の上面部に配置して、前記接続部用蓋部を前記接続部に取り付けるために設けられる複数の締結部の一部を前記支持用ブラケットで覆ったこと特徴とする請求項2または請求項3に記載の高電圧ユニット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−148673(P2012−148673A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8767(P2011−8767)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】