高電流薄型インダクタの製造方法
【課題】高電流薄型インダクタ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】高電流薄型インダクタであって、複数の巻きを有し、内側コイル端26と外側コイル端28を有する導電性のコイル24と、絶縁処理された粉末磁性鉄材と乾燥樹脂とから成る乾燥粉末混合物を前記導電性コイルの周りに圧縮することによって形成されたインダクタ本体14と、前記内側コイル端と外側コイル端を介してそれぞれ前記導電性コイルに接続され、前記インダクタ本体の外部に突出している第1導電性リード16及び第2導電性リード18とから成り、該インダクタ本体は、前記乾燥粉末混合物に2.54cm2(1in)当りほぼ15〜20tnの圧縮力を加えることによって形成されたものである。
【解決手段】高電流薄型インダクタであって、複数の巻きを有し、内側コイル端26と外側コイル端28を有する導電性のコイル24と、絶縁処理された粉末磁性鉄材と乾燥樹脂とから成る乾燥粉末混合物を前記導電性コイルの周りに圧縮することによって形成されたインダクタ本体14と、前記内側コイル端と外側コイル端を介してそれぞれ前記導電性コイルに接続され、前記インダクタ本体の外部に突出している第1導電性リード16及び第2導電性リード18とから成り、該インダクタ本体は、前記乾燥粉末混合物に2.54cm2(1in)当りほぼ15〜20tnの圧縮力を加えることによって形成されたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電流薄型インダクタ及びその製造方法に関する。このタイプのインダクタは、Inductor, High current, Low Profile の略語である「IHLP」と称される。
【背景技術】
【0002】
従来の大抵の誘導部品は、C形、E形、トロイド形又はその他の形状の磁気コアとから成っており、磁気コアに導電性ワイヤコイルを巻装することによってインダクタが形成される。この種の従来技術のインダクタは、コア、巻線及びそれらの部品を結合状態に保持するための何らかの構造部材を含め、多数の個別部品を必要とする。又、これらの誘導コイルは、多くの場合、それらを囲包するシェルを有している。従って、インダクタには、その作動に影響を及ぼし、かつ、スペーサを最大限化を阻止する多くの空隙が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の主要な目的は、改良された高電流薄型インダクタ及びその製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、空隙が存在せず、かつ、コイルを完全に囲包する磁性材料を有する高電流薄型インダクタを提供することである。
本発明の他の目的は、自己遮蔽能力を有する閉磁気系を備えた高電流薄型インダクタを提供することである。
【0004】
本発明の他の目的は、インダクタのサイズを最少限にすることができるように、一定のインダクタンス性能を発揮するのに必要とされるスペースの利用を最大限にする高電流薄型インダクタを提供することである。
本発明の更に他の目的は、小型で、製造費が安く、かつ、飽和することなく受容することができる電流が従来のインダクタンスコイルより大きい高電流薄型インダクタを提供することである。
本発明の更に他の目的は、より大きい従来のインダクタによって得られるのと同じインダクタンスを得るのに要するコイルのワイヤ巻数が少なくてすみ、従って、インダクタの直列抵抗を低くすることができる高電流薄型インダクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を解決するために、本発明は、各々内側コイル端と外側コイル端を有するワイヤコイルを含む高電流薄型インダクタにおいて、磁性材料によってワイヤコイルを完全に囲包することによりインダクタ本体を構成し、第1リードを該コイルの内側コイル端に接続して該磁性材料を貫通してインダクタ本体の外部に延長させ、第2リードを該コイルの外側コイル端に接続して該磁性材料を貫通してインダクタ本体の外部に延長させる。
【0006】
本発明は又、高電流薄型インダクタを製造するための方法を提供する。本発明の方法によれば、内側コイル端と外側コイル端を有するワイヤコイルを形成し、第1リードをコイルの内側コイル端に取付けて、該コイルをつる巻き状に巻回する。次いで、第2リードをコイルの外側コイル端に取付ける。次に、互いに異なる電気的特性を有する第1粉末鉄材と第2粉末鉄材を混合することによって磁性粉末材料を調製し、その磁性粉末材料をコイルの全周の周りに加圧成形してインダクタ本体を形成する。第1リードの自由端及び第2リードの自由端は、インダクタ本体の外部に延長させ、露出させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、回路板に実装された本発明のインダクタの透視図である。
【図2】図2は、インダクタのコイルと、成形工程の前にコイルに取付けられたリードフレームの透視図である。
【図3】図3は、成形工程が完了した後、リードフレームがリードから切断される前の本発明のインダクタの透視図である。
【図4】図4は、本発明のインダクタをに製造するための本発明の方法の工程を示す流れ図である。
【図5】図5は、プレス内に装填されたリードフレームとコイルの断面図である。
【図6】図6は、図5の上からみた平面図である。
【図7】図7は、図5と同様の図であるが、粉末がリードフレームとコイルの周りに被覆され、圧力が加えられる前の状態を示す。
【図8】図8は、図5と同様の図であるが、リードフレーム、コイル及び粉末に圧力が加えられた状態を示す。
【図9】図9は、図5と同様の図であるが、リードフレーム及び成形されたインダクタンスが金型から吐出されるところを示す。
【図10】図10は、断面丸型のワイヤのコイルを用いた本発明の変型実施形態の透視図である。
【図11】図11は、組立て前のデバイスのリードフレーム及びコイルの分解透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付図を参照すると、本発明の一実施形態によるデバイス即ち高電流薄型インダクタ(IHLP)10が示されている。図1には、IHLP10が回路板12上に実装された状態が示されている。IHLP10は、インダクタ本体14と、該本体から延長した第1リード(端子端)16と第2リード(端子端)18を有する。リード16,18は、インダクタ本体14の底面の下に折り曲げられており、それぞれ第1パッド20及び第2パッド22にはんだ付けされている。
【0009】
図2を参照して説明すると、インダクタ10は、断面長方形の扁平ワイヤからワイヤコイル即ちインダクタ素子24を形成することによって製造される。コイル24を形成するための好ましいワイヤの1例は、米国フロリダ州パームコースト、コマースブルバード1、P.O.Box352 440のH.P.レイドカンパニーインコーポレイテッドによって製造されているエナメル被覆の扁平ワイヤである。このワイヤは、純度99.95%のOFHC銅102で作られている。このワイヤに、絶縁材としてポリイミドエナメル、クラス220が被覆され、その絶縁材の上にエポキシコート バウンド”E”という接着剤(結合剤)が被覆されている。このワイヤをつる巻きコイルに形成し、その外表面にアセトンを滴下することによってエポキシ接着剤を活性化させる。エポキシの活性化は、コイルを加熱することによって行うこともできる。エポキシが活性化されると、コイルは、弛んだり、巻きが解けたりすることなく、そのつる巻き形状を維持する。
コイル24は、複数の巻き30を有し、内側コイル端(単に「内端」とも称する)26と外側コイル端(単に「外端」とも称する)28を有する。
【0010】
半ば焼入した燐青銅510合金で形成されたリードフレーム32の第1リード16の一端34をコイル24のワイヤの一端即ち内端26に溶接し、リードフレーム32の第2リード18の一端38をコイル24のワイヤの他の一端即ち外端28に溶接する。第1リード16及び第2リード18の自由端36,40は、図2では、リードフレーム32に取付けられたものとして示されている。コイル24の内端26及び外端28に対するリード16,18の端部34,38の溶接は、抵抗溶接によって行うのが好ましいが、他の型式の溶接又ははんだ付けを用いることもできる。
【0011】
図5及び6を参照して説明すると、コイル24を成形するための加圧成形機68は、T形リードフレームホルダー70に連通した長方形のダイ72(図6)を有する定盤71を備えている。定盤71は、スライド支柱74に上下方向に摺動自在に、ばね76を介して弾性的に取付けられている。加圧成形機68のベース78には、図5に示されるように、長方形のダイ72内へ上向きに突入する静止パンチ80が固定されている。図2に示されたリードフレーム32とコイル24の組立体は、図5及び6に示されるように、T形リードフレームホルダー70内に挿入される。この状態では、コイル24は、静止パンチ80の上端より上方に離隔している。
【0012】
図7を参照して説明すると、粉末磁性成形材料(単に「粉末磁性材料」又は「粉末材料」とも称する)82をコイル24を完全に囲包するような態様にダイ72内に注型する。リード16,18は、粉末材料82から外方に突出しており、粉末材料の外部でリードフレーム32に連結される。
【0013】
粉末磁性成形材料82は、第1粉末鉄と、第2粉末鉄と、充填材と、樹脂と、滑剤とから成る。第1粉末鉄と第2粉末鉄とは、その成形材料によって得られるデバイス(インダクタ)の効率を最大限にするように、高インダクタンスで、しかも、鉄損の少ないデバイスを形成することを可能にする、互いに異なる電気的特性を有するものとする。この混合物(第1粉末鉄と第2粉末鉄)に用いるための好ましい粉末鉄の例は、米国ニュージャージ州リバートンのヘガニー・カンパニー製で、アンコースチール1000Cという商標名で販売されている粉末鉄と、米国ニュージャージ州パーシパニのBASFコーポレーシヨン製で、カルボニルテル鉄グレードSQという商標名で販売されている粉末鉄である。前者の粉末鉄1000Cには、75%のH3 PO4で0.48%の質量分率となるように絶縁処理を施す。後者の粉末鉄SQには、75%のH3 PO4で0.875%の質量分率となるように絶縁処理を施す。
【0014】
このような粉末磁性材料には、又、充填材を加える。この目的のために好ましい充填材は、米国カリフォルニア州インゲルウッドのサイプラス・インダストリアル・ミネラルズ・カンパニー製で、スノーフレークPEという商標名で販売されている炭酸カルシウムの粉末である。
【0015】
この混合物には又、ポリエステル樹脂が添加される。この目的のために好ましい樹脂は、米国ペンシルバニア州リーディングのモートン・インターナショナル社製で、コーベル・フラット・ブラックNo.7001という商標名で販売されている樹脂である。
【0016】
更に、この混合物に滑剤が添加される。この目的のために好ましい滑剤は、米国テキサス州ヒューストンのウイトコ・コーポレーシヨン製で、ラブラジンクWという製品名で販売されているステアリン酸亜鉛である。
【0017】
上記各成分のいろいろな組合わせを混合することができるが、好ましい混合物は、下記の通りである。
第1粉末鉄 1,000gm
第2粉末鉄 1,000gm
充填材 36gm
樹脂 74gm
滑剤 0.3重量%
滑剤を除く上記材料を混合し、次いで、それにアセトンを添加して湿し、マッド(泥)状コンシステンシーの混合物とする。次いで、それを乾燥させて、篩にかけて−50メッシュの粒度のものを選別する。それに上記滑剤を加えて粉末成形材料82を完成する。次いで、この材料82を図7に示されるようにダイ72に導入する。
【0018】
インダクタを製造する本発明の方法の次の工程は、図8に示されるように可動ラム87を可動パンチ84上に押下げてパンチ84をダイ72内へ圧入させることである。可動パンチ84によって及ぼされる力は、2.54cm2(1in)当りほぼ15〜20tnである。これによって粉末材料82を圧縮し、コイル24の周りに圧着成形して図1及び9に示されるインダクタ本体14を形成する。
【0019】
図9を参照して説明すると、吐出用ラムを定盤71上に加工させて定盤71をばね76の偏倚力に抗して押し下げる。それによって、静止ラム80が定盤71に対して相対的に突出し、成形された組立体(インダクタ本体14とリードフレーム32)を吐出する。製造のこの段階においては、成形組立体は、図3に示されるような形態である。次いで、この成形組立体を163°C(325°F)d1時間45分加熱(焼付け)処理し、ポリエステル樹脂を硬化させる。
【0020】
本発明のインダクタ製造する方法の次の工程は、リードフレーム32を切断線44,42に沿ってリード16,18から切断することである。次いで、リード16,18を下方内側に折曲げてインダクタ本体14の底面に押当てる。
【0021】
インダクタを製造する本発明の方法の各工程は、図4にブロック図で示されている。まず、ブロック45に示されるように、コイル24のワイヤの一端26又は28を対応するリード16,18の端部34又は36に溶接する。次に、ブロック46に示されるように、コイル24をつる巻きの形に巻回する。次いで、ブロック50に示されるように、コイル24のワイヤの他端26又は28を対応するリード16,18の端部34又は36に溶接する。
コイルワイヤは、上述した結合剤のエポキシコートを被覆されている。コイルの結合工程49においては、アセトン48を塗布するか、又は熱を加えることによって結合剤を活性化し、コイル24の各巻き30を結合する。
【0022】
次に、工程52において、第1粉末鉄54と、第2粉末鉄56と、充填材58と、樹脂60と、滑剤62を混合して粉末磁性材料を調製する。
加圧成形工程64において、図5〜9を参照して先に説明したようにインダクタ本体を加圧成形する。次いで、成形組立体を加熱して樹脂を硬化する。
硬化が完了した後、最後に切断工程66において、リードフレーム32を切断し、リード16,18を折曲げてインダクタ本体14の底面に押し当てる。
【0023】
従来の誘導部品に比べて、本発明のIHLPインダクタは、幾つかの独特の属性を有する。即ち、本発明のインダクタは、導電性巻線(ワイヤコイル)、リードフレーム、磁性コア材(粉末磁性材料)と、防護囲包材(樹脂、滑剤)とが、表面実装に適する端子リードを有する単一の薄型一体部品として成形される。この構造は、磁気性能のための利用可能なスペースを最大限に利用することを可能にし、しかも、磁気的に自己遮蔽性である(即ち、一体構造のインダクタそれ自体が磁気遮蔽性を有する)。
【0024】
この一体構造は、従来のE形コアやその他の形状のコアのように2つのコア半分体を必要とせず、又、2つのコア半分体を組立てる手間も必要としない。
本発明の独特の導体巻線は、高電流での作動を可能にし、しかも、インダクタのフートプリント(インダクタの磁気の及ぶ範囲)内での磁気パラメータを最適化する。
【0025】
本発明の製造方法は、高価な、許容公差の厳密なコア材料と、特別な巻線技術に依存する必要なしに、低コストで、高性能パッケージを提供する。
本発明の磁性コア材は、表面実装のためのリード間の導電経路なしで作動するように製造されるので、インダクタを使用可能にする(3メガΩを越える)高い抵抗率を有する。又、この磁性コア材は、最高1MHzまでの有効作動を可能にする。本発明のインダクタパッケージは、1マイクロヘンリー当り2ミリΩのインダクタンス率に対して低いDC抵抗率を示す。5以下のインダクタンス率が好ましいと考えられる。
【0026】
図10及び11を参照すると、本発明の変形実施形態による高電流薄型インダクタ(IHLP)88が示されている。このインダクタ88は、断面丸型のワイヤのコイル即ちインダクタ素子90から形成される。コイル90は、複数の巻きを有し、第1コイル端98と第2コイル端94を有する。リードフレーム96は、第1リード(端子端)98と第2リード(端子端)100を有する。第1リード98の端部は、符号102で示され、第2リード100の端部は、符号104で示されている。
【0027】
デバイス即ちインダクタ88を製造する方法は、図1〜9に示されたデバイス10の場合とは異なる。デバイス88の場合は、まず、コイル90を巻回し、その巻回中に加熱結合させる。次いで、コイル端92,94をそれぞれ対応するリード端102,104に溶接する。
次に、先に説明したのと同じ態様で加圧成形機に上述した混合粉末材料を導入し、加圧成形工程を実施する。最後に、リードフレーム96からリード98,100を切断し、それらを折曲げてデバイス88の底面に押当てる。
【0028】
リード98,100の位置は、いろいろに変更することができる。又、この成形体内に1個以上のコイルを設けることもできる。例えば、成形体10又は成形体88内に2個又はそれ以上のコイル24又は90を設けることができる。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は、ここに例示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、いろいろな実施形態が可能であり、いろいろな変更及び改変を加えることができることを理解されたい。例えば、必要に応じて、各部品の形状及び相対的寸法を変更することができ、又、各部品を均等の部品と置換することもできる。
【符号の説明】
【0030】
10:高電流薄型インダクタ
14:インダクタ本体
16:第1リード
18:第2リード
24:ワイヤコイル
26:第1コイル端又は内側コイル端
28:第2コイル端又は外側コイル端
36:第1リードの自由端
40:第2リードの自由端
88:高電流薄型インダクタ
90:ワイヤコイル
92:第1コイル端
94:第2コイル端
98:第1リード
100:第2リード
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電流薄型インダクタ及びその製造方法に関する。このタイプのインダクタは、Inductor, High current, Low Profile の略語である「IHLP」と称される。
【背景技術】
【0002】
従来の大抵の誘導部品は、C形、E形、トロイド形又はその他の形状の磁気コアとから成っており、磁気コアに導電性ワイヤコイルを巻装することによってインダクタが形成される。この種の従来技術のインダクタは、コア、巻線及びそれらの部品を結合状態に保持するための何らかの構造部材を含め、多数の個別部品を必要とする。又、これらの誘導コイルは、多くの場合、それらを囲包するシェルを有している。従って、インダクタには、その作動に影響を及ぼし、かつ、スペーサを最大限化を阻止する多くの空隙が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の主要な目的は、改良された高電流薄型インダクタ及びその製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、空隙が存在せず、かつ、コイルを完全に囲包する磁性材料を有する高電流薄型インダクタを提供することである。
本発明の他の目的は、自己遮蔽能力を有する閉磁気系を備えた高電流薄型インダクタを提供することである。
【0004】
本発明の他の目的は、インダクタのサイズを最少限にすることができるように、一定のインダクタンス性能を発揮するのに必要とされるスペースの利用を最大限にする高電流薄型インダクタを提供することである。
本発明の更に他の目的は、小型で、製造費が安く、かつ、飽和することなく受容することができる電流が従来のインダクタンスコイルより大きい高電流薄型インダクタを提供することである。
本発明の更に他の目的は、より大きい従来のインダクタによって得られるのと同じインダクタンスを得るのに要するコイルのワイヤ巻数が少なくてすみ、従って、インダクタの直列抵抗を低くすることができる高電流薄型インダクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を解決するために、本発明は、各々内側コイル端と外側コイル端を有するワイヤコイルを含む高電流薄型インダクタにおいて、磁性材料によってワイヤコイルを完全に囲包することによりインダクタ本体を構成し、第1リードを該コイルの内側コイル端に接続して該磁性材料を貫通してインダクタ本体の外部に延長させ、第2リードを該コイルの外側コイル端に接続して該磁性材料を貫通してインダクタ本体の外部に延長させる。
【0006】
本発明は又、高電流薄型インダクタを製造するための方法を提供する。本発明の方法によれば、内側コイル端と外側コイル端を有するワイヤコイルを形成し、第1リードをコイルの内側コイル端に取付けて、該コイルをつる巻き状に巻回する。次いで、第2リードをコイルの外側コイル端に取付ける。次に、互いに異なる電気的特性を有する第1粉末鉄材と第2粉末鉄材を混合することによって磁性粉末材料を調製し、その磁性粉末材料をコイルの全周の周りに加圧成形してインダクタ本体を形成する。第1リードの自由端及び第2リードの自由端は、インダクタ本体の外部に延長させ、露出させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、回路板に実装された本発明のインダクタの透視図である。
【図2】図2は、インダクタのコイルと、成形工程の前にコイルに取付けられたリードフレームの透視図である。
【図3】図3は、成形工程が完了した後、リードフレームがリードから切断される前の本発明のインダクタの透視図である。
【図4】図4は、本発明のインダクタをに製造するための本発明の方法の工程を示す流れ図である。
【図5】図5は、プレス内に装填されたリードフレームとコイルの断面図である。
【図6】図6は、図5の上からみた平面図である。
【図7】図7は、図5と同様の図であるが、粉末がリードフレームとコイルの周りに被覆され、圧力が加えられる前の状態を示す。
【図8】図8は、図5と同様の図であるが、リードフレーム、コイル及び粉末に圧力が加えられた状態を示す。
【図9】図9は、図5と同様の図であるが、リードフレーム及び成形されたインダクタンスが金型から吐出されるところを示す。
【図10】図10は、断面丸型のワイヤのコイルを用いた本発明の変型実施形態の透視図である。
【図11】図11は、組立て前のデバイスのリードフレーム及びコイルの分解透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付図を参照すると、本発明の一実施形態によるデバイス即ち高電流薄型インダクタ(IHLP)10が示されている。図1には、IHLP10が回路板12上に実装された状態が示されている。IHLP10は、インダクタ本体14と、該本体から延長した第1リード(端子端)16と第2リード(端子端)18を有する。リード16,18は、インダクタ本体14の底面の下に折り曲げられており、それぞれ第1パッド20及び第2パッド22にはんだ付けされている。
【0009】
図2を参照して説明すると、インダクタ10は、断面長方形の扁平ワイヤからワイヤコイル即ちインダクタ素子24を形成することによって製造される。コイル24を形成するための好ましいワイヤの1例は、米国フロリダ州パームコースト、コマースブルバード1、P.O.Box352 440のH.P.レイドカンパニーインコーポレイテッドによって製造されているエナメル被覆の扁平ワイヤである。このワイヤは、純度99.95%のOFHC銅102で作られている。このワイヤに、絶縁材としてポリイミドエナメル、クラス220が被覆され、その絶縁材の上にエポキシコート バウンド”E”という接着剤(結合剤)が被覆されている。このワイヤをつる巻きコイルに形成し、その外表面にアセトンを滴下することによってエポキシ接着剤を活性化させる。エポキシの活性化は、コイルを加熱することによって行うこともできる。エポキシが活性化されると、コイルは、弛んだり、巻きが解けたりすることなく、そのつる巻き形状を維持する。
コイル24は、複数の巻き30を有し、内側コイル端(単に「内端」とも称する)26と外側コイル端(単に「外端」とも称する)28を有する。
【0010】
半ば焼入した燐青銅510合金で形成されたリードフレーム32の第1リード16の一端34をコイル24のワイヤの一端即ち内端26に溶接し、リードフレーム32の第2リード18の一端38をコイル24のワイヤの他の一端即ち外端28に溶接する。第1リード16及び第2リード18の自由端36,40は、図2では、リードフレーム32に取付けられたものとして示されている。コイル24の内端26及び外端28に対するリード16,18の端部34,38の溶接は、抵抗溶接によって行うのが好ましいが、他の型式の溶接又ははんだ付けを用いることもできる。
【0011】
図5及び6を参照して説明すると、コイル24を成形するための加圧成形機68は、T形リードフレームホルダー70に連通した長方形のダイ72(図6)を有する定盤71を備えている。定盤71は、スライド支柱74に上下方向に摺動自在に、ばね76を介して弾性的に取付けられている。加圧成形機68のベース78には、図5に示されるように、長方形のダイ72内へ上向きに突入する静止パンチ80が固定されている。図2に示されたリードフレーム32とコイル24の組立体は、図5及び6に示されるように、T形リードフレームホルダー70内に挿入される。この状態では、コイル24は、静止パンチ80の上端より上方に離隔している。
【0012】
図7を参照して説明すると、粉末磁性成形材料(単に「粉末磁性材料」又は「粉末材料」とも称する)82をコイル24を完全に囲包するような態様にダイ72内に注型する。リード16,18は、粉末材料82から外方に突出しており、粉末材料の外部でリードフレーム32に連結される。
【0013】
粉末磁性成形材料82は、第1粉末鉄と、第2粉末鉄と、充填材と、樹脂と、滑剤とから成る。第1粉末鉄と第2粉末鉄とは、その成形材料によって得られるデバイス(インダクタ)の効率を最大限にするように、高インダクタンスで、しかも、鉄損の少ないデバイスを形成することを可能にする、互いに異なる電気的特性を有するものとする。この混合物(第1粉末鉄と第2粉末鉄)に用いるための好ましい粉末鉄の例は、米国ニュージャージ州リバートンのヘガニー・カンパニー製で、アンコースチール1000Cという商標名で販売されている粉末鉄と、米国ニュージャージ州パーシパニのBASFコーポレーシヨン製で、カルボニルテル鉄グレードSQという商標名で販売されている粉末鉄である。前者の粉末鉄1000Cには、75%のH3 PO4で0.48%の質量分率となるように絶縁処理を施す。後者の粉末鉄SQには、75%のH3 PO4で0.875%の質量分率となるように絶縁処理を施す。
【0014】
このような粉末磁性材料には、又、充填材を加える。この目的のために好ましい充填材は、米国カリフォルニア州インゲルウッドのサイプラス・インダストリアル・ミネラルズ・カンパニー製で、スノーフレークPEという商標名で販売されている炭酸カルシウムの粉末である。
【0015】
この混合物には又、ポリエステル樹脂が添加される。この目的のために好ましい樹脂は、米国ペンシルバニア州リーディングのモートン・インターナショナル社製で、コーベル・フラット・ブラックNo.7001という商標名で販売されている樹脂である。
【0016】
更に、この混合物に滑剤が添加される。この目的のために好ましい滑剤は、米国テキサス州ヒューストンのウイトコ・コーポレーシヨン製で、ラブラジンクWという製品名で販売されているステアリン酸亜鉛である。
【0017】
上記各成分のいろいろな組合わせを混合することができるが、好ましい混合物は、下記の通りである。
第1粉末鉄 1,000gm
第2粉末鉄 1,000gm
充填材 36gm
樹脂 74gm
滑剤 0.3重量%
滑剤を除く上記材料を混合し、次いで、それにアセトンを添加して湿し、マッド(泥)状コンシステンシーの混合物とする。次いで、それを乾燥させて、篩にかけて−50メッシュの粒度のものを選別する。それに上記滑剤を加えて粉末成形材料82を完成する。次いで、この材料82を図7に示されるようにダイ72に導入する。
【0018】
インダクタを製造する本発明の方法の次の工程は、図8に示されるように可動ラム87を可動パンチ84上に押下げてパンチ84をダイ72内へ圧入させることである。可動パンチ84によって及ぼされる力は、2.54cm2(1in)当りほぼ15〜20tnである。これによって粉末材料82を圧縮し、コイル24の周りに圧着成形して図1及び9に示されるインダクタ本体14を形成する。
【0019】
図9を参照して説明すると、吐出用ラムを定盤71上に加工させて定盤71をばね76の偏倚力に抗して押し下げる。それによって、静止ラム80が定盤71に対して相対的に突出し、成形された組立体(インダクタ本体14とリードフレーム32)を吐出する。製造のこの段階においては、成形組立体は、図3に示されるような形態である。次いで、この成形組立体を163°C(325°F)d1時間45分加熱(焼付け)処理し、ポリエステル樹脂を硬化させる。
【0020】
本発明のインダクタ製造する方法の次の工程は、リードフレーム32を切断線44,42に沿ってリード16,18から切断することである。次いで、リード16,18を下方内側に折曲げてインダクタ本体14の底面に押当てる。
【0021】
インダクタを製造する本発明の方法の各工程は、図4にブロック図で示されている。まず、ブロック45に示されるように、コイル24のワイヤの一端26又は28を対応するリード16,18の端部34又は36に溶接する。次に、ブロック46に示されるように、コイル24をつる巻きの形に巻回する。次いで、ブロック50に示されるように、コイル24のワイヤの他端26又は28を対応するリード16,18の端部34又は36に溶接する。
コイルワイヤは、上述した結合剤のエポキシコートを被覆されている。コイルの結合工程49においては、アセトン48を塗布するか、又は熱を加えることによって結合剤を活性化し、コイル24の各巻き30を結合する。
【0022】
次に、工程52において、第1粉末鉄54と、第2粉末鉄56と、充填材58と、樹脂60と、滑剤62を混合して粉末磁性材料を調製する。
加圧成形工程64において、図5〜9を参照して先に説明したようにインダクタ本体を加圧成形する。次いで、成形組立体を加熱して樹脂を硬化する。
硬化が完了した後、最後に切断工程66において、リードフレーム32を切断し、リード16,18を折曲げてインダクタ本体14の底面に押し当てる。
【0023】
従来の誘導部品に比べて、本発明のIHLPインダクタは、幾つかの独特の属性を有する。即ち、本発明のインダクタは、導電性巻線(ワイヤコイル)、リードフレーム、磁性コア材(粉末磁性材料)と、防護囲包材(樹脂、滑剤)とが、表面実装に適する端子リードを有する単一の薄型一体部品として成形される。この構造は、磁気性能のための利用可能なスペースを最大限に利用することを可能にし、しかも、磁気的に自己遮蔽性である(即ち、一体構造のインダクタそれ自体が磁気遮蔽性を有する)。
【0024】
この一体構造は、従来のE形コアやその他の形状のコアのように2つのコア半分体を必要とせず、又、2つのコア半分体を組立てる手間も必要としない。
本発明の独特の導体巻線は、高電流での作動を可能にし、しかも、インダクタのフートプリント(インダクタの磁気の及ぶ範囲)内での磁気パラメータを最適化する。
【0025】
本発明の製造方法は、高価な、許容公差の厳密なコア材料と、特別な巻線技術に依存する必要なしに、低コストで、高性能パッケージを提供する。
本発明の磁性コア材は、表面実装のためのリード間の導電経路なしで作動するように製造されるので、インダクタを使用可能にする(3メガΩを越える)高い抵抗率を有する。又、この磁性コア材は、最高1MHzまでの有効作動を可能にする。本発明のインダクタパッケージは、1マイクロヘンリー当り2ミリΩのインダクタンス率に対して低いDC抵抗率を示す。5以下のインダクタンス率が好ましいと考えられる。
【0026】
図10及び11を参照すると、本発明の変形実施形態による高電流薄型インダクタ(IHLP)88が示されている。このインダクタ88は、断面丸型のワイヤのコイル即ちインダクタ素子90から形成される。コイル90は、複数の巻きを有し、第1コイル端98と第2コイル端94を有する。リードフレーム96は、第1リード(端子端)98と第2リード(端子端)100を有する。第1リード98の端部は、符号102で示され、第2リード100の端部は、符号104で示されている。
【0027】
デバイス即ちインダクタ88を製造する方法は、図1〜9に示されたデバイス10の場合とは異なる。デバイス88の場合は、まず、コイル90を巻回し、その巻回中に加熱結合させる。次いで、コイル端92,94をそれぞれ対応するリード端102,104に溶接する。
次に、先に説明したのと同じ態様で加圧成形機に上述した混合粉末材料を導入し、加圧成形工程を実施する。最後に、リードフレーム96からリード98,100を切断し、それらを折曲げてデバイス88の底面に押当てる。
【0028】
リード98,100の位置は、いろいろに変更することができる。又、この成形体内に1個以上のコイルを設けることもできる。例えば、成形体10又は成形体88内に2個又はそれ以上のコイル24又は90を設けることができる。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は、ここに例示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、いろいろな実施形態が可能であり、いろいろな変更及び改変を加えることができることを理解されたい。例えば、必要に応じて、各部品の形状及び相対的寸法を変更することができ、又、各部品を均等の部品と置換することもできる。
【符号の説明】
【0030】
10:高電流薄型インダクタ
14:インダクタ本体
16:第1リード
18:第2リード
24:ワイヤコイル
26:第1コイル端又は内側コイル端
28:第2コイル端又は外側コイル端
36:第1リードの自由端
40:第2リードの自由端
88:高電流薄型インダクタ
90:ワイヤコイル
92:第1コイル端
94:第2コイル端
98:第1リード
100:第2リード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電流薄型インダクタであって、
複数の巻き(30)を有し、内側コイル端(26,92)と外側コイル端(28,94)を有する導電性のコイル(24,90)と、
絶縁処理された粉末磁性鉄材と乾燥樹脂とから成る乾燥粉末混合物を前記導電性コイルの周りに圧縮することによって形成されたインダクタ本体(14,88)と、
前記内側コイル端と外側コイル端を介してそれぞれ前記導電性コイルに接続され、前記インダクタ本体の外部に突出している第1導電性リード(16,98)及び第2導電性リード(18,100)とから成り、
該インダクタ本体は、前記乾燥粉末混合物に2.54cm2(1in)当りほぼ15〜20tnの圧縮力を加えることによって形成されたものであり、
該乾燥粉末混合物は、前記導電性コイル及び第1及び第2導電性リードに接触しており、もって、前記インダクタ本体の絶縁処理された粉末磁性鉄材には実質的に空隙がなく、該圧縮形成されたインダクタ本体が硬化されたとき該絶縁処理された粉末磁性鉄材が前記導電性コイルを遮蔽する構成とされていることを特徴とする高電流薄型インダクタ。
【請求項2】
前記乾燥粉末混合物中の前記絶縁処理された粉末磁性鉄材は、互いに異なる電気的特性を有する第1粉末鉄材と第2粉末鉄材の混合物から成る請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項3】
前記混合物は、均一な混合物である請求項2に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項4】
前記導電性コイルは、断面長方形の扁平ワイヤから形成されたものである請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項5】
前記乾燥粉末混合物は、−50メッシュの粒度にまで篩にかけて選別されたものである請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項6】
前記乾燥粉末混合物を前記導電性コイルの周りに圧縮する圧縮力は、パンチをダイ内へ圧入させることによって創出されたものである請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項7】
前記インダクタ本体は、前記導電性コイル全体の周りに圧縮されたものである請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項8】
前記インダクタ本体は、前記導電性コイル及び第1及び第2導電性リードを短絡させることなく圧縮されたものである請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項9】
前記インダクタ本体は、実質的にフェライト材を含有していない請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項10】
前記導電性コイルは、中空コアを有している請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項11】
前記インダクタ本体は、前記中空コアを実質的に空隙が存在しないように充填している請求項10に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項12】
高電流薄型インダクタであって、
第1導電性リード(16,98)と第2導電性リード(18,100)に接続された導電性のコイル(24,90)と、
絶縁処理された粉末磁性鉄材と乾燥樹脂とから成る乾燥粉末混合物を2.54cm2(1in)当りほぼ15〜20tnの力を用いて前記導電性コイルの周りに圧縮することによって形成されたインダクタ本体(14,88)とから成り、
該乾燥粉末混合物は、前記導電性コイル及び第1及び第2導電性リードに接触しており、もって、前記インダクタ本体の絶縁処理された粉末磁性鉄材には実質的に空隙がなく、前記第1導電性リード及び第2導電性リードは前記圧縮されたインダクタ本体の外部に突出しており、該絶縁処理された粉末磁性鉄材が前記導電性コイルを遮蔽する構成とされていることを特徴とする高電流薄型インダクタ。
【請求項13】
前記乾燥粉末混合物中の前記絶縁処理された粉末磁性鉄材は、互いに異なる電気的特性を有する第1粉末鉄材と第2粉末鉄材の混合物から成る請求項12に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項14】
前記混合物は、均一な混合物である請求項13に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項15】
前記乾燥粉末混合物は、−50メッシュの粒度にまで篩にかけて選別されたものである請求項12に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項16】
前記乾燥粉末混合物を前記導電性コイルの周りに圧縮する圧縮力は、パンチをダイ内へ圧入させることによって創出されたものである請求項12に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項17】
前記インダクタ本体は、前記導電性コイル全体の周りに圧縮されたものである請求項12に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項18】
高電流薄型インダクタを製造するための方法であって、
複数の巻きを有し、内側コイル端と外側コイル端を有するコイルから成るインダクタ素子を形成し、
絶縁処理された粉末磁性鉄と乾燥樹脂とから成る乾燥粉末混合物を調製し、
該乾燥粉末混合物を篩にかけて選別して−50メッシュの粒度の混合物とし、
該乾燥粉末混合物を2.54cm2(1in)当りほぼ15〜20tnの力を用いて前記コイルの周りに乾燥状態のままで圧縮することによって、実質的に空隙がなく、該絶縁処理された粉末磁性鉄が該コイルを遮蔽して成るインダクタ本体を形成し、
該圧縮されたインダクタ本体を硬化させることから成る方法。
【請求項19】
前記乾燥粉末混合物を実質的に均一になるように混合する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記乾燥粉末混合物中の前記絶縁処理された粉末磁性鉄材は、互いに異なる電気的特性を有する第1粉末鉄材と、第2粉末鉄材を含むものであるする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記乾燥粉末混合物を前記コイルの周りに圧縮する圧縮力は、パンチをダイ内へ圧入させることによって創出されるものである請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記インダクタ本体は、前記導電性コイル全体の周りに圧縮される請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記インダクタ本体は、前記導電性コイル及び第1及び第2導電性リードを短絡させることなく圧縮される請求項18に記載の方法。
【請求項1】
高電流薄型インダクタであって、
複数の巻き(30)を有し、内側コイル端(26,92)と外側コイル端(28,94)を有する導電性のコイル(24,90)と、
絶縁処理された粉末磁性鉄材と乾燥樹脂とから成る乾燥粉末混合物を前記導電性コイルの周りに圧縮することによって形成されたインダクタ本体(14,88)と、
前記内側コイル端と外側コイル端を介してそれぞれ前記導電性コイルに接続され、前記インダクタ本体の外部に突出している第1導電性リード(16,98)及び第2導電性リード(18,100)とから成り、
該インダクタ本体は、前記乾燥粉末混合物に2.54cm2(1in)当りほぼ15〜20tnの圧縮力を加えることによって形成されたものであり、
該乾燥粉末混合物は、前記導電性コイル及び第1及び第2導電性リードに接触しており、もって、前記インダクタ本体の絶縁処理された粉末磁性鉄材には実質的に空隙がなく、該圧縮形成されたインダクタ本体が硬化されたとき該絶縁処理された粉末磁性鉄材が前記導電性コイルを遮蔽する構成とされていることを特徴とする高電流薄型インダクタ。
【請求項2】
前記乾燥粉末混合物中の前記絶縁処理された粉末磁性鉄材は、互いに異なる電気的特性を有する第1粉末鉄材と第2粉末鉄材の混合物から成る請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項3】
前記混合物は、均一な混合物である請求項2に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項4】
前記導電性コイルは、断面長方形の扁平ワイヤから形成されたものである請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項5】
前記乾燥粉末混合物は、−50メッシュの粒度にまで篩にかけて選別されたものである請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項6】
前記乾燥粉末混合物を前記導電性コイルの周りに圧縮する圧縮力は、パンチをダイ内へ圧入させることによって創出されたものである請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項7】
前記インダクタ本体は、前記導電性コイル全体の周りに圧縮されたものである請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項8】
前記インダクタ本体は、前記導電性コイル及び第1及び第2導電性リードを短絡させることなく圧縮されたものである請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項9】
前記インダクタ本体は、実質的にフェライト材を含有していない請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項10】
前記導電性コイルは、中空コアを有している請求項1に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項11】
前記インダクタ本体は、前記中空コアを実質的に空隙が存在しないように充填している請求項10に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項12】
高電流薄型インダクタであって、
第1導電性リード(16,98)と第2導電性リード(18,100)に接続された導電性のコイル(24,90)と、
絶縁処理された粉末磁性鉄材と乾燥樹脂とから成る乾燥粉末混合物を2.54cm2(1in)当りほぼ15〜20tnの力を用いて前記導電性コイルの周りに圧縮することによって形成されたインダクタ本体(14,88)とから成り、
該乾燥粉末混合物は、前記導電性コイル及び第1及び第2導電性リードに接触しており、もって、前記インダクタ本体の絶縁処理された粉末磁性鉄材には実質的に空隙がなく、前記第1導電性リード及び第2導電性リードは前記圧縮されたインダクタ本体の外部に突出しており、該絶縁処理された粉末磁性鉄材が前記導電性コイルを遮蔽する構成とされていることを特徴とする高電流薄型インダクタ。
【請求項13】
前記乾燥粉末混合物中の前記絶縁処理された粉末磁性鉄材は、互いに異なる電気的特性を有する第1粉末鉄材と第2粉末鉄材の混合物から成る請求項12に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項14】
前記混合物は、均一な混合物である請求項13に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項15】
前記乾燥粉末混合物は、−50メッシュの粒度にまで篩にかけて選別されたものである請求項12に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項16】
前記乾燥粉末混合物を前記導電性コイルの周りに圧縮する圧縮力は、パンチをダイ内へ圧入させることによって創出されたものである請求項12に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項17】
前記インダクタ本体は、前記導電性コイル全体の周りに圧縮されたものである請求項12に記載の高電流薄型インダクタ。
【請求項18】
高電流薄型インダクタを製造するための方法であって、
複数の巻きを有し、内側コイル端と外側コイル端を有するコイルから成るインダクタ素子を形成し、
絶縁処理された粉末磁性鉄と乾燥樹脂とから成る乾燥粉末混合物を調製し、
該乾燥粉末混合物を篩にかけて選別して−50メッシュの粒度の混合物とし、
該乾燥粉末混合物を2.54cm2(1in)当りほぼ15〜20tnの力を用いて前記コイルの周りに乾燥状態のままで圧縮することによって、実質的に空隙がなく、該絶縁処理された粉末磁性鉄が該コイルを遮蔽して成るインダクタ本体を形成し、
該圧縮されたインダクタ本体を硬化させることから成る方法。
【請求項19】
前記乾燥粉末混合物を実質的に均一になるように混合する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記乾燥粉末混合物中の前記絶縁処理された粉末磁性鉄材は、互いに異なる電気的特性を有する第1粉末鉄材と、第2粉末鉄材を含むものであるする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記乾燥粉末混合物を前記コイルの周りに圧縮する圧縮力は、パンチをダイ内へ圧入させることによって創出されるものである請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記インダクタ本体は、前記導電性コイル全体の周りに圧縮される請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記インダクタ本体は、前記導電性コイル及び第1及び第2導電性リードを短絡させることなく圧縮される請求項18に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−124513(P2012−124513A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−21276(P2012−21276)
【出願日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【分割の表示】特願2011−3329(P2011−3329)の分割
【原出願日】平成8年7月17日(1996.7.17)
【出願人】(593031539)ヴィシェイ デイル エレクトロニクス,インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Vishay Dale Electronics,Inc.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【分割の表示】特願2011−3329(P2011−3329)の分割
【原出願日】平成8年7月17日(1996.7.17)
【出願人】(593031539)ヴィシェイ デイル エレクトロニクス,インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Vishay Dale Electronics,Inc.
【Fターム(参考)】
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