説明

高TG用途のためのハロゲンを含まないベンゾキサジンをベースとする硬化型組成物

本発明は、ベンゾキサジンモノマー、少なくとも1つのエポキシ樹脂、触媒、強化剤、および溶剤を含むハロゲンを含まない硬化型組成物を提供する。このハロゲンを含まない硬化型組成物は、高ガラス転移温度を有する複合物を硬化時に生成するので、自動車および航空宇宙用途での使用に特に好適である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に取り込まれている、2008年2月21日出願の米国特許出願番号60/030,366への優先権を主張する。
【連邦政府助成の研究または開発に関する記述】
【0002】
本発明は、米国エネルギー省により供与されている契約番号DE−FG36−07G017012の下の米国政府の助成により行われた。したがって、米国政府は、本発明にしかるべき権利を有する。
【技術分野】
【0003】
本発明は、硬化されて、不燃性であり、増強された熱的性質を呈する、ポリマー網目を形成し得る、ベンゾキサジンをベースとするハロゲンを含まない組成物に関する。ベンゾキサジンをベースとするハロゲンを含まない硬化型組成物は、自動車、航空宇宙、電子、及び工業用の用途を含む、種々の用途で使用され得る。
【背景技術】
【0004】
ベンゾキサジン化合物は、プレプレグ、積層物、PWB、成形コンパウンド、シーラント、焼結粉末、注形物品、構造用複合物パーツ、および電気・電子部品を含浸操作および注入工程により製造するために使用されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ベンゾキサジン化合物含有組成物を作製するためには、難燃性の臭素、リン、もしくは塩素を含有する化合物および/または充填剤が添加される(例えば、EP0458739、EP356379、米国特許第5,200,452号、第5,152,939号、EP1366053、またはJP2001220455)。しかしながら、このような添加物の使用は、例えば、これらが溶剤に可溶性でなく、したがって加工の点で問題を引き起こす;高い温度で劣悪な酸化安定性を示す;ときには劣悪な物理的性質を有する硬化樹脂を提供する;および火災の場合、特にハロゲン化化合物が存在する場合、燃焼の有毒ガスを生成するなど、いくつかの欠点を有する。したがって、これらの欠点を示さず、高温環境において使用可能なベンゾキサジンをベースとする組成物を製造することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、
(a)式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、各Rは、相互に独立に、アリル、非置換もしくは置換フェニル、非置換もしくは置換C−Cアルキルまたは非置換もしくは置換C−Cシクロアルキルである)
のベンゾキサジンモノマー;
(b)少なくとも1つのエポキシ樹脂;
(c)触媒;
(d)強化剤;および
(e)溶剤
を含有する、ハロゲンを含まない硬化型組成物を提供する。
【0009】
このハロゲンを含まない硬化型組成物は、高いガラス転移温度を硬化時に呈する組成物を必要とする用途を含む、種々の用途で使用され得る。このように、このハロゲンを含まない硬化型組成物は、高ガラス転移温度がしばしば必要とされる、自動車または航空宇宙用途における被覆物または成形物としての使用に特に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般に、本発明は、(a)ベンゾキサジンモノマー;(b)エポキシ樹脂;(c)触媒;(d)強化剤;および(e)溶剤を含む、ハロゲンを含まない硬化型組成物を提供する。本発明の硬化型組成物は、硬化時、例えば、高いガラス転移温度(T)、分解温度(T)、高い引っ張り強さ、低い熱膨張係数、良好な可撓性、および難燃性を含む、機械的性質と化学的性質の優れたバランスを有する硬化製品を提供する。
【0011】
ベンゾキサジンモノマー
本発明のハロゲンを含まない硬化型組成物は、ハロゲンを含まない硬化型組成物100重量部当り、約10〜90重量部の、好ましくは約30〜50重量部の、更に好ましくは約35〜45重量部のベンゾキサジンモノマーを含む。本明細書中で使用されるとき、用語「ベンゾキサジンモノマー」は、少なくとも1個の置換または非置換ベンゾキサジン基を有するモノマーを指す。このベンゾキサジンモノマーは、単官能性、二官能性、または三官能性のベンゾキサジン化合物であり得る。更には、用語「ベンゾキサジンモノマー」を使用する場合には、1つ以上のベンゾキサジンモノマーが一緒に使用され得るということは、理解されるべきである。
【0012】
このベンゾキサジンモノマーは、一般式
【0013】
【化2】

【0014】
により表され得る。
式中、b=0〜3の整数であり;Rは置換もしくは非置換C−C20アルキル基、置換もしくは非置換C−C20アルケニル基、置換もしくは非置換C−C20アリール基、置換もしくは非置換C−C20ヘテロアリール基、置換もしくは非置換C−C20炭素環基、置換もしくは非置換C−C20ヘテロ環基、またはC−Cシクロアルキル基から選択され;Rは水素、アルキルまたはアルケニルから選択され;およびZは、直接結合(b=2の場合)、置換もしくは非置換C−C20アルキレン基、置換もしくは非置換C−C20アリーレン基、置換もしくは非置換C−C20ヘテロアリーレン基またはC=Oから選択される。
【0015】
一つの態様では、このベンゾキサジンモノマーは、一般式(I)
【0016】
【化3】

【0017】
の化合物である。
式中、各Rは、相互に独立に、アリル、非置換もしくは置換フェニル、非置換もしくは置換C−Cアルキルまたは非置換もしくは置換C−Cシクロアルキルである。R基上の好適な置換基としては、アミノ、C−Cアルキル、およびアリルが挙げられる。1〜4個の置換基がR基上に存在し得る。好ましくは、R基は同一であり、更に好ましくはフェニルである。
【0018】
このベンゾキサジンモノマーは、Huntsman Advanced Materials Americas Inc.,Georgia Pacific Resins
Inc.およびShikoku Chemicals Corporationを含む
いくつかの発売元から現在市販されている。このベンゾキサジンモノマーは、フェノール化合物、例えば、ビスフェノールAまたはフェノールフタレインと、アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒドおよび一級アミンとを、水を除去する条件下で反応させることによっても、入手し得る。フェノール化合物:アルデヒド反応試剤のモル比は、約1:3〜1:10、好ましくは約1:4〜1:7、更に好ましくは約1:4.5〜1:5であり得る。フェノール化合物:一級アミン反応試剤のモル比は、約1:1〜1:3、好ましくは約1:1.4〜1:2.5、更に好ましくは約1:2.1〜1:2.2であり得る。一級アミンの例としては、芳香族モノ−またはジ−アミン、脂肪族アミン、脂環式アミン、およびヘテロ環のモノアミン、例えば、アニリン、o−、m−およびp−フェニレンジアミン、ベンジジン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、シクロヘキシルアミン、ブチルアミン、メチルアミン、ヘキシルアミン、アリルアミン、フルフリルアミンエチレンジアミン、およびプロピレンジアミンが挙げられる。このアミンは、それぞれの炭素部分中でC−Cアルキルまたはアリルにより置換され得る。好ましい一級アミンは、一般式RNHのアミンである。
式中、Rは、アリル、非置換もしくは置換フェニル、非置換もしくは置換C−Cアルキルまたは非置換もしくは置換C−Cシクロアルキルである。R基上の好適な置換基としては、アミノ、C−Cアルキル、およびアリルが挙げられる。通常、1〜4個の置換基がR基上に存在し得る。好ましくは、Rはフェニルである。
【0019】
エポキシ樹脂
本発明のハロゲンを含まない硬化型組成物は、ハロゲンを含まない硬化型組成物100重量部当り、約2〜60重量部の、好ましくは約20〜40重量部の少なくとも1つのエポキシ樹脂も含む。このようなエポキシ樹脂の例としては、ポリグリシジルエポキシ化合物、非グリシジルエポキシ化合物、エポキシクレゾールノボラック、およびエポキシフェノールノボラック化合物が挙げられる。
【0020】
一つの態様では、エポキシ樹脂は非グリシジルエポキシ化合物である。非グリシジルエポキシ化合物は線状、分岐状、または環状の構造であり得る。例えば、エポキシド基が脂環式またはヘテロ環の環系の一部を形成する、1つ以上のエポキシ樹脂が挙げられ得る。他のものとしては、少なくとも1つのケイ素原子を含有する基に直接または間接に結合する少なくとも1つのエポキシシクロヘキシル基を持つエポキシ含有化合物が挙げられる。例は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,639,413号で開示されている。更に他のものとしては、1つ以上のシクロヘキセンオキシド基を含有するエポキシ樹脂と、1つ以上のシクロペンテンオキシド基を含有するエポキシドが挙げられる。
【0021】
特に好適な非グリシジルエポキシ化合物としては、エポキシド基が脂環式もしくはヘテロ環の環系の一部を形成する二官能性非グリシジルエポキシド化合物、例えば、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、1,2−ビス(2,3−エポキシシクロペンチルオキシ)エタン、3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、ジ(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エタンジオールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンジエポキドまたは2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−1,3−ジオキサン、および2,2'−ビス−(3,4−エポキシ−シクロヘキシル)−プロパンが挙げられる。
【0022】
触媒
ハロゲンを含まない硬化型組成物は、ハロゲンを含まない硬化型組成物の硬化を促進するために、ハロゲンを含まない硬化型組成物100重量部当り、約0.1〜20重量部の、好ましくは約0.5〜15重量部の触媒も含有する。
【0023】
一つの態様では、この触媒は、好ましくは2個以上の官能基を有するフェノール系化合物である。このようなフェノール系化合物の例としては、a)フェノールまたはアルキル化フェノールとホルムアルデヒドとの反応から得られる、ノボラック樹脂またはレゾール樹脂などの樹脂;およびb)トリス(ヒドロキシフェニル)メタン;トリス(ヒドロキシフェニル)エタン;1,3,5−トリヒドロキシベンゼン;およびテトラフェノールエタンなどのポリヒドロキシ芳香族材料が挙げられる。
【0024】
強化剤
本発明のハロゲンを含まない硬化型組成物は、ハロゲンを含まない硬化型組成物100重量部当り、約0.1〜40重量部の、好ましくは約0.5〜20重量部の強化剤を更に含む。
【0025】
一つの態様では、強化剤は一般式
【0026】
【化4】

【0027】
の化合物である。
式中、
mは1または2であり、nは2〜6であり、Rは、末端イソシアネート、アミノまたはヒドロキシル基を除いた後のエラストマープレポリマーのn価基であり、エラストマープレポリマーはエポキシ樹脂に可溶性または分散性であり、XおよびYは相互に独立に−O−または−NR−であり、少なくとも1つのXまたはYは−NR−であり、Rはフェノール系ヒドロキシル基、場合によってはアミノ基を除いた後のポリフェノールまたはアミノフェノールのm+1価基であり、ならびにRは水素、C−Cアルキルまたはフェノールである。
【0028】
式(II)の強化剤の詳細な説明は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,278,257号、4欄20行乃至16欄20行に述べられている。強化剤の例は、Flexibilizer DY965(Huntsman Advanced Materials Americas Inc.から入手可能、米国特許第5,278,257号の実施例16にしたがって作製)である。
【0029】
溶剤
成分(a)〜(d)に加えて、本発明のハロゲンを含まない硬化型組成物は、ハロゲンを含まない硬化型組成物100重量部当り、約1〜50重量部の、好ましくは約5〜40重量部の、更に好ましくは約20〜30重量部の溶剤も含有する。
【0030】
一つの態様では、溶剤は、メチルエチルケトン、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ペンタノール、ブタノール、ジオキソラン、イソプロパノール、メトキシプロパノール、メトキシプロパノールアセテート、ジメチルホルムアミド、グリコール、グリコールアセテート、トルエン、キシレン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0031】
随意の添加物
上記に示した成分(a)〜(e)に加えて、ハロゲンを含まない硬化型組成物は、強度、離型性、耐加水分解性、電気伝導性、および他の特性を増強するために必要ならば、添加物も含み得る。この添加物は、ハロゲンを含まない硬化型組成物100重量部当り、約50重量部未満の、好ましくは約30重量部未満の、最も好ましくは約20重量部未満の量でハロゲンを含まない硬化型組成物に添加され得る。
【0032】
このような随意の添加物としては、金属繊維(例えば、鉄、銅、真鍮、青銅、アルミニウム)セラミック繊維、ガラス繊維、炭素繊維、石膏繊維、ロックウール、ウオラストナイト、セピオライト、アタプルジャイト、合成鉱物質繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、フェノール系繊維、セルロース繊維、およびアクリル繊維などの補強繊維;充填剤;微少球または中空球;可塑剤;カーボンブラックまたはグラファイト;染料;および金属粉末が挙げられる。
【0033】
本発明のハロゲンを含まない硬化型組成物は、既知の方法で、例えば、個別の成分を予備混合し、次にこれらのプレミックスを混合することにより、または混合容器、攪拌棒、ボールミル、試料ミキサー、スタチックミキサーまたはリボンブレンダーなどの慣用の器具を用いて、成分の全部を一緒に混合することにより作製可能である。配合されたならば、本発明のハロゲンを含まない硬化型組成物は、スチール、スズ、アルミニウム、プラスチック、ガラスまたは紙容器などの種々の容器中に包装可能である。
【0034】
一つの態様にしたがえば、本発明のハロゲンを含まない硬化型組成物は、ハロゲンを含まない硬化型組成物100重量部当り、約10〜90重量部のベンゾキサジンモノマー、約2〜60重量部のエポキシ樹脂、約0.1〜20重量部の触媒、約0.1〜40重量部の強化剤、および約1〜50重量部の溶剤を一緒に混合することにより作製される。別の態様では、本発明のハロゲンを含まない硬化型組成物は、ハロゲンを含まない硬化型組成物100重量部当り、約30〜50重量部のベンゾキサジンモノマー、約20〜40重量部のエポキシ樹脂、約0.5〜15重量部の触媒、約0.5〜20重量部の強化剤、および約5〜40重量部の溶剤を一緒に混合することにより作製される。次に、このハロゲンを含まない硬化型組成物は、混合されたならば、複合物品を形成するために、基材に塗布され、150℃よりも高い温度で硬化され得る。
【0035】
別の態様では、ハロゲンを含まない硬化型組成物は、120℃よりも高い、好ましくは160℃よりも高い、最も好ましくは200℃よりも高い、特に好ましくは230℃よりも高いガラス転移温度を有する、硬化複合物品を混合および硬化時に提供する。
【0036】
従って、別の態様では、本発明は、ハロゲンを含まない硬化型組成物100重量部当り、
(a)式(I)
【0037】
【化5】

【0038】
(式中、各Rは、相互に独立に、アリル、非置換もしくは置換フェニル、非置換もしくは置換C−Cアルキルまたは非置換または置換C−Cシクロアルキルである)
の10〜90重量部のベンゾキサジンモノマー;
(b)2〜60重量部の少なくとも1つのエポキシ樹脂;
(c)0.1〜20部の触媒;
(d)0.1〜40重量部の強化剤;および
(e)1〜50重量部の溶剤
を含み、ハロゲンを含まない硬化型組成物が硬化時160℃よりも高い、好ましくは200℃よりも高い、更に好ましくは230℃よりも高いガラス転移温度を有する、ハロゲンを含まない硬化型組成物を提供する。
【0039】
本発明のハロゲンを含まない硬化型組成物は、例えば、注型、積層、含浸、塗布、付着もしくは接着、塗装、結合、絶縁などの多数の用途、または埋め込み、プレス、射出成形、押し出し、砂型粘結、フォームおよび融蝕性材料で使用され得る。
【0040】
このように、本発明の別の態様では、ハロゲンを含まない硬化型組成物は、同一の、または異なる基材でできた部材を接着または粘着して、物品を形成する接着剤として使用され得る。最初に、ハロゲンを含まない硬化型組成物を結合対象の同一の、または異なる基材の2つ以上の少なくとも1つと接触させる。ハロゲンを含まない硬化型組成物を押し出し、噴霧、グラビア印刷、または塗装によりなどの種々の方法で基材に塗布し得る。一つの態様では、ハロゲンを含まない硬化型組成物を第1と第2の基材の間に挟む。次に、ハロゲンを含まない硬化型組成物と基材を150℃よりも高い温度で加熱する。熱を加えることにより、接着結合を形成して、基材を一緒に接着し、物品を形成する。ハロゲンを含まない硬化型組成物が塗布され得る基材としては、プラスチック、金属、セラミック、ガラス、グラファイト、およびセルロース系材料が挙げられる。
【0041】
本発明のハロゲンを含まない硬化型組成物は、例えば、在来の自動車、ハイブリッドカー、小型ボートにおける電力供給;小規模な地域の発電;家庭用発電;キャンプ地などの隔離された施設用の簡単な電力供給;および衛星、宇宙開発、およびコンピューター用の電力供給の燃料電池として使用する、複合物品の形成において高い熱安定性が要求される用途における使用に特に好適である。
【0042】
このように、別の態様では、ハロゲンを含まない硬化型組成物はグラファイトに塗布され、成形されて、燃料電池を製造し得る。グラファイト、ハロゲンを含まない硬化型組成物、および随意の離型剤、例えば、カルナバワックス、脂肪酸エステル、ステアリン酸ま
たはモンタン酸の金属塩をミキサー中でブレンドし、混練し、射出成形、トランスファー成形または圧縮成形のいずれかを行って、燃料電池を製造する。
【実施例】
【0043】
A)ベンゾキサジンをベースとするハロゲンを含まない硬化型組成物の作製
表1中の成分をガラス容器に添加し、均質になるまで充分に混合する。
【0044】
【表1】

【0045】
次に、実施例1〜6を注型し、200℃〜255℃で1〜5時間硬化させ、次に200℃〜240℃で1〜4時間後硬化させた。この硬化製品をASTM E1545−05、ASTM E1641−07、ASTM E831−05、およびAMTM−0046にしたがって分析的に試験し、次の性質を得た。
【0046】
【表2】

【0047】
本発明の種々の態様を上記に詳述したが、本発明は広範で多様な具体的な文脈で具現化可能な多数の応用可能な発明の概念を提供するものである、ということが認識されるべき
である。本明細書で述べられる具体的な態様は、本発明を作成し、使用する具体的な方法を単に例示するものに過ぎず、本発明の範囲を定めるものでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I)
【化1】

(式中、各Rは、相互に独立に、アリル、非置換もしくは置換フェニル、非置換もしくは置換C−Cアルキルまたは非置換もしくは置換C−Cシクロアルキルである)
のベンゾキサジンモノマー;
(b)少なくとも1つのエポキシ樹脂;
(c)フェノール系化合物を含む触媒;
(d)式(II)
【化2】

(式中、
mは1または2であり、nは2〜6であり、Rは、末端イソシアネート、アミノまたはヒドロキシル基を除いた後のエラストマープレポリマーのn価基であり、エラストマープレポリマーはエポキシ樹脂に可溶性または分散性であり、XおよびYは相互に独立に−O−または−NR−であり、少なくとも1つのXまたはYは−NR−であり、Rはフェノール系ヒドロキシル基、場合によってはアミノ基を除いた後のポリフェノールまたはアミノフェノールのm+1価基であり、ならびにRは水素、C−Cアルキルまたはフェノールである)
の強化剤;および
(e)溶剤
を含む、ハロゲンを含まない硬化型組成物。
【請求項2】
Rがフェニルである、請求項1に記載のハロゲンを含まない硬化型組成物。
【請求項3】
フェノール系化合物が2個以上の官能基を有する、請求項1に記載のハロゲンを含まない硬化型組成物。
【請求項4】
エポキシ樹脂が非グリシジル化合物である、請求項1に記載のハロゲンを含まない硬化
型組成物。
【請求項5】
溶剤がメチルエチルケトン、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ペンタノール、ブタノール、ジオキソラン、イソプロパノール、メトキシプロパノール、メトキシプロパノールアセテート、ジメチルホルムアミド、グリコール、グリコールアセテート、トルエン、キシレン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のハロゲンを含まない硬化型組成物。
【請求項6】
ハロゲンを含まない硬化型組成物100重量部当り、
(a)式(I)
【化3】

(式中、各Rは、相互に独立に、アリル、非置換もしくは置換フェニル、非置換もしくは置換C−Cアルキルまたは非置換または置換C−Cシクロアルキルである)
の10〜90重量部のベンゾキサジンモノマー;
(b)2〜60重量部の少なくとも1つのエポキシ樹脂;
(c)フェノール系化合物を含む0.1〜20部の触媒;
(d)0.1〜40重量部の強化剤;および
(e)1〜50重量部の溶剤、
を含み、ハロゲンを含まない硬化型組成物が硬化時160℃よりも高いガラス転移温度を有する、ハロゲンを含まない硬化型組成物。
【請求項7】
ガラス転移温度が200℃よりも高い、請求項6に記載のハロゲンを含まない硬化型組成物。
【請求項8】
ガラス転移温度が230℃よりも高い、請求項6に記載のハロゲンを含まない硬化型組成物。
【請求項9】
(a)式(I)
【化4】

(式中、各Rは、相互に独立に、アリル、非置換もしくは置換フェニル、非置換もしくは置換C−Cアルキルまたは非置換または置換C−Cシクロアルキルである)
のベンゾキサジンモノマー;
(b)少なくとも1つのエポキシ樹脂;
(c)フェノール系化合物を含む触媒;
(d)強化剤;および
(e)溶剤
を一緒に混合することからなる、ハロゲンを含まない硬化型組成物を製造するための方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法にしたがって製造される、ハロゲンを含まない硬化型組成物。
【請求項11】
請求項1に記載のハロゲンを含まない硬化型組成物を少なくとも1つの基材に塗布し、基材およびハロゲンを含まない硬化型組成物を150℃よりも高い硬化温度で加熱して、複合物品を製造することを含んでなる、複合物品を製造するための方法。
【請求項12】
基材がグラファイトである、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2011−528042(P2011−528042A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547788(P2010−547788)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/034653
【国際公開番号】WO2009/137144
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(509282365)ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ・アメリカズ・エルエルシー (7)
【Fターム(参考)】