説明

髪質改善剤

【解決手段】 本発明の髪質改善剤は、システアミンと、アミノ変性シリコーンと、融点が30〜60℃の油剤とを含有し、かつ、システアミン濃度が0.5〜3重量%でpHが7.5〜11であることを特徴としている。
【効果】 本発明の髪質改善剤によれば、還元剤としてシステアミンを含む髪質改善剤において、くせ毛を直毛にする、広がりやすい髪質を落ち着かせたり、くせ毛のくせを抑えてセットし易くしたり、髪質を柔らかくしてセットし易くするなどの髪質改善処理を、処理中の臭気の発生や処理後の毛髪への臭気の残存を抑制して確実に行うことができ、かつ、毛髪に対するダメージを軽減し、処理後の毛髪に別途トリートメントをしなくとも艶やかで潤いのある落ち着いたまとまり感を付与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は髪質改善剤に関する。より詳しくは、システアミンと、アミノ変性シリコーンと、融点が30〜60℃の油剤とを含有した髪質改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チオグリコール酸やシステイン、これらの塩などを還元剤として用いたパーマネント処理剤、縮毛矯正用処理剤、カーリング剤などの、髪質改善剤が知られていた。しかしながら、これらの還元剤による髪質改善処理では、処理による毛髪のダメージが大きく、処理後には必ずトリートメントをしなければならなかった。
【0003】
これに対して、処理後の毛髪のダメージを補うために、毛髪に対するトリートメント効果を期待して、アミノ変性シリコーンなどを添加したパーマネント処理剤や縮毛矯正剤が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。しかしながら、パーマネント処理や縮毛矯正処理による毛髪のダメージに比して、そのトリートメント効果は充分とは言えず、毛髪に対して艶やかで潤いのある落ち着いたまとまり感を付与することはできなかった。
【0004】
また、還元剤としてシステアミンを用い、さらにアミノ変性シリコーンを配合した縮毛矯正用処理剤も提案されている(特許文献4参照)。また、還元剤としてシステアミンを用い、さらにパラフィンやステアリル酸ステアリルなどの油剤を配合した毛髪変形剤も提案されている(特許文献5参照)。
【0005】
しかしながら、還元剤としてシステアミンを用いると、毛髪に対するダメージは少ないものの、処理中の臭気の問題があり、さらに該臭気が処理後の毛髪に残存するという問題があった。
【0006】
したがって、髪質改善処理を、処理中の臭気の発生や処理後の毛髪への臭気の残存を抑制して確実に行うことができ、かつ、毛髪に対するダメージを低減し、処理後に別途トリートメントをしなくても、毛髪に対して艶やかで潤いのある落ち着いたまとまり感を付与することのできる髪質改善剤の開発が望まれていた。
【特許文献1】特開2003−226623号公報
【特許文献2】特開平5−78226号公報
【特許文献3】特開2003−238368号公報
【特許文献4】特開2004−26770号公報
【特許文献5】特開2003−40741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を解決し、還元剤としてシステアミンを含む髪質改善剤において、くせ毛を直毛にする、広がりやすい髪質を落ち着かせたり、くせ毛のくせを抑えてセットし易くしたり、髪質を柔らかくしてセットし易くするなどの髪質改善処理を、処理中の臭気の発生や処理後の毛髪への臭気の残存を抑制して確実に行うことができ、かつ、毛髪に対するダメージを低減し、処理後の毛髪に別途トリートメントをしなくとも艶やかで潤いのある落ち着いたまとまり感を付与することのできる髪質改善剤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意研究した結果、システアミンとアミノ変性シリコーンと融点が30〜60℃の油剤とを含有してなる組成物のシステアミン濃度とpHとを調節することで、上記問題点を解決することができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、たとえば以下の事項に関する。
本発明に係る髪質改善剤は、システアミンと、アミノ変性シリコーンと、融点が30〜60℃の油剤とを含有し、かつ、システアミン濃度が0.5〜3重量%でpHが7.5〜11であることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明では、前記システアミン濃度は1.3〜2.5重量%でpHが8.5〜9.2であることが好ましい。
また、本発明では、前記アミノ変性シリコーンは、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体および/またはアミノエチルアミノプロピルメチルシ
ロキサン・ジメチルシロキサン共重合体であることが好ましい。
【0011】
さらに、前記アミノ変性シリコーンは1〜6重量%の量で含まれていることが好ましい。
さらに本発明では、前記融点が30〜60℃の油剤は0.5〜6重量%の量で含まれていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、還元剤としてシステアミンを含む髪質改善剤において、くせ毛を直毛にする、広がりやすい髪質を落ち着かせたり、くせ毛のくせを抑えてセットし易くしたり、髪質を柔らかくしてセットし易くするなどの髪質改善処理を、処理中の臭気の発生や処理後の毛髪への臭気の残存を抑制して確実に行うことができ、かつ、毛髪に対するダメージを軽減し、処理後の毛髪に別途トリートメントをしなくとも艶やかで潤いのある落ち着いたまとまり感を付与することができる。
【0013】
したがって、本発明の髪質改善剤は、単独で髪質改善剤として使用することが可能であると共に、還元剤を含む第1剤と酸化剤を含む第2剤とから構成される2剤方式の髪質改善剤の第1剤としても好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る髪質改善剤は、システアミンと、アミノ変性シリコーンと、融点が30〜60℃の油剤とを含有し、かつ、システアミン濃度が0.5〜3重量%でpHが7.5〜11であることを特徴としており、さらにシステアミン濃度が1.3〜2.5重量%でpHが8.5〜9.2であることが好ましい。
【0015】
本発明において、上記範囲内の量でシステアミンを髪質改善剤中に配合するためには、システアミン(HS−CH2−CH2−NH2)、あるいは毛髪化粧料として許容されるそ
の塩、たとえば、システアミンの塩酸塩、クエン酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩などを用いることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
また、本発明に用いることのできるアミノ変性シリコーンとしては、たとえば、アミノ当量が約1800〜6400、25℃においてB型粘度計で測定された粘度が700〜1200mPa・sであるアミノ変性シリコーンが挙げられる。
【0017】
このようなアミノ変性シリコーンとしては、上述した特許文献3(特開2003−23
8368号公報)に記載されたアミノ変性シリコーンが挙げられ、具体的には、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が好ましく挙げられる。これらは、公知のものを適宜使用することができ、市販品としては東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製SM8704C、SF8452C、SF8457Cなどが挙げられる。なお、これらは1種単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
前記アミノ変性シリコーンは通常1〜6重量%、好ましくは2〜4重量%の量で本発明の髪質改善剤に含まれていることが望ましい。アミノ変性シリコーンが上記範囲内の量で含まれていると、髪質改善処理後の毛髪に対してスムーズな指どおりを与えることができる。その一方、上記下限値未満の量では、そのような効果が感じられず、また上記上限値を超えると、髪質改善剤を塗布後に洗髪した際に毛髪のきしみを感じたり、洗髪中あるいは洗髪後の毛髪にベタツキを感じたりする場合がある。
【0019】
また、本発明に用いることのできる融点が30〜60℃の油剤としては、一般に毛髪化粧料の基剤として広く用いられ、その融点が30〜60℃であるものであればとくに限定されないが、たとえば、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、セレシンなどの炭化水素類;ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、キャンデリラロウ、ホホバ油、鯨脂などのロウ類;ヒマシ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、シア脂、ココア脂、木ロウ、馬油、牛脂、乳脂、これらを水添して得られる硬化油などの油脂類;ラウリン酸、ミリスチン酸、ラノリン脂肪酸などの高級脂肪酸;ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシルなどのエステル類などが挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0020】
前記油剤は、通常0.5〜6重量%、好ましくは1〜6重量%の量で含まれていることが望ましい。前記油剤が上記範囲内の量で含まれていると、毛髪に対して艶やかで潤いのある落ち着いたまとまりを与えることができる。一方、上記上限値を超えると、髪質改善剤を塗布後に洗髪した際に、あるいは洗髪後の毛髪にベタツキを感じたりする場合がある。
【0021】
本発明の髪質改善剤では、このようにシステアミンとアミノ変性シリコーンと融点が30〜60℃の油剤とを含有してなる毛髪処理剤のシステアミン濃度とpHとを調節することで、髪質改善処理中あるいは処理後の臭気の発生・残存の問題を解消し、かつ、毛髪へのダメージを軽減して、処理後に別途トリートメントをしなくても、毛髪に対して艶やかで潤いのある落ち着いたまとまり感を付与するものであるが、該髪質改善剤のpH調整は、公知のアルカリ成分によって行うことができる。
【0022】
該アルカリ成分としては、一般に毛髪化粧料として許容されるものであればよく、たとえば、アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミノアルコール;アルギニンなどの塩基性アミノ酸;炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムなどの塩;水酸化ナトリウム;水酸化カリウムなどが挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
また、本発明の髪質改善剤には、上述した各成分の溶解あるいは分散や、組成物全体の粘度調整や濃度調整などが容易となる点から通常、水が含まれていることが好ましい。本発明に用いることのできる水としては、とくに限定されないが、イオン交換水、蒸留水などの精製水が好ましく挙げられる。
【0024】
水は、本発明の髪質改善剤中に、通常30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%
の量で含まれていることが望ましい。
なお、本発明の髪質改善剤には、本発明の効果を損ねない範囲内の量で、上述した成分以外のその他の成分をさらに配合することができる。
【0025】
配合しうるその他の成分としては、たとえば、
塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム(5E.O.)、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイル
メチルアンモニウム(2E.O.)、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリ
メチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩;脂肪酸アミドアミン塩;アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩;ベンザルコニウム塩;ベンゼトニウム塩;ピリジウム塩;イミダゾリニウム塩などのカチオン性界面活性剤:
ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;ポリオキシエチレン(以下、POEと略す)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのPOEアルキル/アルキルアリルエーテル硫酸塩;スルホコハク酸塩;N−アシルスルホン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;N−アシルアミノ酸塩;POEアルキルエーテルリン酸およびその塩などのアニオン性界面活性剤:
POEアルキルエーテル類;POEポリオキシプロピレンアルキルエーテル類;多価アルコール脂肪酸エステル類;グリセリン脂肪酸エステル類;ポリグリセリン脂肪酸エステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;POEグリセリン脂肪酸エステル類;POEソルビタン脂肪酸エステル類;POEソルビット脂肪酸エステル類;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類;アルキルアルカノールアミド類;POE硬化ヒマシ油;ピログルタミン酸イソステアリン酸POE硬化ヒマシ油;POEエチレンラノリン;POEコレステロール;POEフィトステロール;POEコレスタノール;POEフィトスタノールなどのノニオン性界面活性剤:
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのベタイン型;2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウムなどのイミダゾリン型;アミノ酸型などの両性界面活性剤:
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール:
蛋白質、ポリペプチド、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸誘導体、擬似セラミドなどの毛髪保護剤:
ポリシロキサン、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン(以下、ジメチルシリコーンともいう)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリオキシエチレン/メチル
ポリシロキサン共重合体などのアミノ変性されていないシリコーン類:
カチオン化セルロース、カチオン化グァガム、カチオン化ポリマー、カチオン化樹脂、天然水溶性高分子類などのコンディショニング剤:
カルボキシエチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、エチレン/アクリル酸共重合体などの増粘剤:
グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの湿潤剤:
アスコルビン酸、エリソルビン酸、エデト酸塩、エチドロン酸塩、フェナセチン、サリチル酸などの安定化剤:
メチルパラベン、安息香酸ナトリウムなどの防腐剤:養毛剤、紫外線吸収剤、色素、パール剤、香料などが挙げられる。
【0026】
本発明の髪質改善剤は、上述した各成分を、公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解等することによって製造することができる。なお、本発明の髪質改善剤の剤型はとくに限定されず、クリーム、ジェル、フォーム、スプレー、ミストなどのいずれの形状でもよい。
【0027】
このようにして得られた髪質改善剤中のシステアミン濃度が上記範囲内にあり、かつ髪質改善剤のpHが上記範囲内にあると、くせ毛を直毛にする、広がりやすい髪質を落ち着かせたり、くせ毛のくせを抑えてセットし易くしたり、髪質を柔らかくしてセットし易くするなどの髪質改善処理を、処理中の臭気の発生や処理後の毛髪への臭気の残存を抑制して確実に行うことができ、かつ、毛髪に対するダメージを軽減し、処理後の毛髪に別途トリートメントをしなくとも艶やかで潤いのある落ち着いたまとまり感を付与することができる。
【0028】
すなわち、本発明の髪質改善剤では、還元剤であるシステアミンの濃度を低くし、髪質改善剤組成物全体のpH値を調節することによって、システアミン濃度が低くともシステアミン濃度の高い髪質改善剤と同等の髪質改善効果(たとえば、くせ毛を直毛にする、広がりやすい髪質を落ち着かせたり、くせ毛のくせを抑えてセットし易くしたり、髪質を柔らかくしてセットし易くするなど)を達成することができる。これにより、髪質改善剤中のシステアミン濃度を低く抑えることができるため、システアミンに由来する臭気の発生および残存を効果的に低減することができる。
【0029】
さらに、アミノ変性シリコーンと融点が30〜60℃の油剤をも配合しているため、還元剤による毛髪のダメージを補って余りあるトリートメント効果を処理後の毛髪に付与することができる。したがって、処理後の毛髪に別途トリートメントをしなくとも艶やかで潤いのある落ち着いたまとまり感を与えることができる。
【0030】
したがって、本発明の髪質改善剤は、単独で髪質改善剤として使用することが可能であると共に、還元剤を含む第1剤と酸化剤を含む第2剤とから構成される2剤方式の髪質改善剤の第1剤としても好適に使用することができる。なお、この場合、酸化剤を含む第2剤としては、公知のものを使用することができ、とくに限定されないが、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウムなどの酸化剤;界面活性剤;安定化剤;油剤;湿潤剤などを含んでなるものなどが挙げられる。
【0031】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、髪質改善処理を受けたテストパネラーは累積で100人以上となった。
【0032】
[実施例1〜13]
表1に示した成分および割合で、各成分を撹拌、混合し、髪質改善剤を得た。
得られた髪質改善剤を、テストパネラーの毛髪(湿度により毛髪が広がりやすいいわゆるくせ毛の未処理人毛)に塗布し、(1)くせのおさまり感、(2)5回施術後の毛髪の引っかかりの無さ、(3)仕上がりのコーティング感、(4)仕上がりの艶感、(5)ベタツキの無さ、(6)仕上がりの落ち着き感(しっとり感)、(7)シャンプー5回後の髪質改善効果の持続感、(8)施術中の臭気の無さ、(9)施術後の毛髪に対する臭気の残存の無さ
の各項目について以下の方法および評価基準により評価した。
【0033】
<評価の方法および基準>
≪評価項目(1)(3)〜(7)(8)(9)について≫
テストパネラーの毛髪を常法によりシャンプーを用いて水で洗髪した後、湿潤状態の毛
髪に対して毛髪の長さに応じた量の髪質改善剤(ショートヘアの場合;30〜40g、ミディアムヘアの場合;40〜50g、ロングヘアの場合;60g以上を目安とした)を刷毛を用いて塗布し、櫛で毛髪の流れをまっすぐに整えた後、3〜15分間、室温で放置した。
【0034】
その後、常法により水で洗髪し、ドライヤーで乾燥した後、10人の専門テスター(美容師)により、以下の評価基準1に基づき、評価項目(1)(3)〜(6)(8)(9)について採点評価した。さらに各項目についての評価の平均点を以下の評価基準2に基づき判定し、最終的な評価とした。
【0035】
また、その後、シャンプーによる洗髪とドライヤーによる乾燥を1セットとして、上記操作後に5セット行った後、評価項目(7)について同様の評価基準により評価した。
結果を表1に示す。
【0036】
≪評価基準1≫
5点; 非常に良い
4点; 良い
3点; 普通
2点; 悪い
1点; 非常に悪い
≪評価基準2≫
平均点 判定結果
4.5以上 ; ◎
3.5以上4.5未満 ; 〇
2.5以上3.5未満 ; △
2.5未満 ; ×
≪評価項目(2)について≫
上記評価項目(1)(3)〜(6)(8)(9)の方法と同様にして、髪質改善処理を計5回行い、その後の毛髪の状態を同様の評価基準により評価した。
【0037】
結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
[比較例1〜17]
表2または表3に示した成分および割合に変更したほかは、上記実施例1〜13と同様にして髪質改善剤を得て、同様に評価した。
【0040】
結果を表2または表3に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
表1から、実施例1〜13の髪質改善剤によれば、還元剤としてシステアミンを含んでいても、くせを抑えるといった髪質改善処理を、処理中の臭気の発生や処理後の毛髪への臭気の残存を抑制して確実に行うことができ、処理後の毛髪に艶やかで潤いのある落ち着
いたまとまり感を付与できることが分かる。とくに、毛髪に対して、落ち着き(しっとり感)を充分に与えられることが分かる。
【0044】
これに対して、表2および表3から、比較例1〜5および比較例10〜17の髪質改善剤では、還元剤としてシステアミンを含んでいても、くせを抑えるといった髪質改善処理を、処理中の臭気の発生や処理後の毛髪への臭気の残存を抑制して行うことができるものの、処理後の毛髪に艶やかで潤いのある落ち着いたまとまり感を与えることはできないことが分かる。また、比較例8〜9の髪質改善剤では、還元剤としてチオグリコール酸を使用しているため、臭気の発生や残存の問題は見られないものの、髪質改善処理による毛髪へのダメージが大きいことが分かる。また、比較例6の髪質改善剤では、髪質改善効果がみられず、処理中の臭気の発生の抑制が不充分であり、比較例7の髪質改善剤では、処理中の臭気の発生や処理後の毛髪への臭気の残存を抑制して髪質改善処理を行うことができない上に、処理後の毛髪に艶やかで潤いのある落ち着いたまとまり感を与えることもできないことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システアミンと、アミノ変性シリコーンと、融点が30〜60℃の油剤とを含有し、かつ、システアミン濃度が0.5〜3重量%でpHが7.5〜11であることを特徴とする髪質改善剤。
【請求項2】
前記システアミン濃度が1.3〜2.5重量%でpHが8.5〜9.2であることを特徴とする請求項1に記載の髪質改善剤。
【請求項3】
前記アミノ変性シリコーンが、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体および/またはアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチル
シロキサン共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の髪質改善剤。
【請求項4】
前記アミノ変性シリコーンが1〜6重量%の量で含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の髪質改善剤。
【請求項5】
前記融点が30〜60℃の油剤が0.5〜6重量%の量で含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の髪質改善剤。

【公開番号】特開2006−232791(P2006−232791A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−54118(P2005−54118)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(595082283)株式会社アリミノ (38)
【Fターム(参考)】