説明

魚節又は(及び)削り節を主原料とするふりかけの製法及びこの製法により製造されたふりかけ

【技術課題】 ふりかけとしてのかつおでんぶを数グラム単位で自動計量と自動小包装を可能にする。
【解決手段】 魚節又は(及び)削り節を微粉化したものにおからを乾燥し、微粉化したものを混合する。次に、この混合体に、調味液を添加し、加熱乾燥を行って水分率を25%以下に調整したのち、数グラム単位で自動計量を行い、N2ガス置換を行って、密封包装する。上記において、前記魚節又は(及び)削り節の微粉体及びおからの微粉は、5〜30メッシュに加工し、この魚節又は(及び)削り節の微粉体とおからの微粉体の混合比は、魚節又は(及び)削り節の微粉体100に対しておからの微粉体は10〜50重量%となし、前記製品の水分率は25%以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かつお、さば、まぐろ、いわし、あじ等の魚を用いた魚節又は(及び)これら魚節の削り節を主原料となし、これに豆腐の製造段階で出てくるおからと調味液を混合して乾燥を行うことにより、微粉体に加工されたふりかけの製法及びこの製法により製造されたふりかけに関するものである。
【背景技術】
【0002】
魚節あるいは削り節の効用及びおからの効用はいうまでもなく周知であって、これらを原料とした各種商品が開発されている。
この中で、魚節や削り節を用いた所謂かつおでんぶというふりかけが販売されている。このかつおでんぶとは、かつお節又は削り節をフレーク状に加工したものに砂糖、醤油、ごま、みりん等を添加したもので、その性状は佃煮に近いものであり、水分率が高いためにしっとりとした粘り気もある。
【0003】
このため、その販売に際しては、数グラム単位で自動計量により小(個)包装することができないことから、通常は人手により50g以上の単位で袋詰め、あるいはびん詰めが行われている。
しかし、このようなかつおでんぶは、一回に用いる量は数グラム単位であるため、花かつお等と同様に数グラム単位で小包装がしてあれば、1回分として用いやすく、その要望は需要者間に強いものがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は斯る点から、かつおでんぶについて、数グラム単位で自動計量を行い、小包装が可能な方法を鋭意研究してきたが、これを完成するに至ったので、ここに提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
具体的には、請求項1に記載の発明においては、魚節又は(及び)削り節を主原料とするふりかけの製法及びこの製法により製造されたふりかけにおいて、魚節又は(及び)削り節を微粉化したものにおからを乾燥し、微粉化したものを混合する、次に、この混合体に、調味液を添加し、加熱乾燥を行って水分調整を行い、製品とすることにより、数グラム単位で自動計量及びN2ガス置換包装を可能としたことを特徴とするものである。
【0006】
更に、請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の魚節又は(及び)削り節を主原料とするふりかけの製法において、前記魚節又は(及び)削り節の微粉体及びおからの微粉は、5〜30メッシュに加工し、この魚節又は(及び)削り節の微粉体とおからの微粉体の混合比は、魚節又は(及び)削り節の微粉体100に対しておからの微粉体は10〜50重量%から成り、前記製品の水分率は25%以下であることを特徴とするものである。
【0007】
更に、請求項3に記載の発明においては、請求項1又は2に記載の魚節又は(及び)削り節を主原料とするふりかけの製法において、前記ふりかけは、おにぎりの具、お茶漬けの素、即席みそ汁の素等に用いられることを特徴とするものである。
【0008】
更に、請求項4に記載の発明においては、ふりかけにおいて、魚節又は(及び)削り節を微粉化した微粉体に、おからを乾燥し、微粉化した微粉体を混合し、これに調味液を添加し、加熱乾燥して得られたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
上記したふりかけは、かつおの風味とおからの栄養成分があり、そしてふりかけの性状は、さらさらとした微粉体であることから、公知の自動計量機を用いて1g以上の自動計量が可能である。また、公知の小包装機を用いて1g以上の単位で小包装することができる。この結果、使い易い商品形態での販売が可能であると共に、需要者には1回ごとに小包装を開けて使うことができるため、大変便利であり、例えば弁当等のふりかけとして使用する場合には、従来のようにあらかじめごはんの上にかけておくのではなく、小袋で別添しておき、弁当を食べる時にふりかけて食べることができるため、風味を損なうことがない。
また、本ふりかけは、ソフトでかつおの風味と栄養成分に加えて、おからには食物繊維、オリゴ糖、イソフラボン、レシチン、大豆タンパク質、サポニン等の栄養、薬用成分が含まれているため、これらの栄養及び薬用成分をふりかけから摂取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
魚節は、かつお、さば、まぐろ、いわし、あじ等であって、現在魚節として加工されているもの全体を原料に用いることができる。また、削り節は、これらの魚節を原料としたものを用いることができる。そして、魚節及び削り節の製法は、従来からの製法で良く、本発明のために特別に加工する必要はない。
これら魚節と削り節は、機械的な方法で破砕、粉砕し、微粉化するが、最終メッシュは、ともに5〜30メッシュ程度に抑えるのが望ましい。
このメッシュ数は、大きすぎると食感に悪い影響が出る。一方、小さすぎると、小包装のための自動計量及び自動包装のスピード化に悪い影響が出て、生産性の悪化を招いたり、風味の溶出に即効性が出にくくなったりする。
【0011】
魚節の原料及び削り節の原料は、単品でもあるいは複数品を混ぜ合わせて使用しても良く、同様に魚節から微粉化したものと、削り節から微粉化したものを混ぜ合わせて使用しても良い。この混合比率は、原料の入手のしやすさ、価格もさることながら、かつおと例えばあじでは風味も栄養分も違うので、これら品質を考慮した上で混合する場合にはその種類、その比率を決定する。
【0012】
おからは、極めて栄養成分の多い食品であるが、その排出量に比較して、食べ物等に加工して消費される量は少ない。そして、おからは、豆腐の製造過程から出てくる副産物のため、入手価格が比較的安い。本発明では、栄養成分だけに着目しているのではなく、かつおでんぶの自動計量と小包装化を可能にする技術としておからを用いる点に最大の特徴がある。
おからは、それ自体水分率も高く、ボソボソとした食感から、必ずしも食品としての嗜好性は低いが、このおからを一旦乾燥させて、微粉化を行うと、食感としてのボソボソ感は全く無くなるばかりでなく、かつおでんぶに混合すると、その微量の計量化を可能にする効果がある。
この効果は、魚節や削り節の場合、その水分率は微粉化しても15%〜20%あり、脂成分もあるため、見かけ上はサラサラ感があるが、自動計量や自動包装段階では、この水分率と脂成分の作用で計量秤や搬送物、ホッパー等に付着しやすく、すぐに計量誤差を生むことになる。また、魚節や削り節の微粉体の場合、調味液の浸透率は低いことから、その表面の調味液の濃度は高く、これも付着しやすい要因となっている。このような要因により計量誤差が発生すると、数グラム単位で行う自動計量、包装の場合は致命的な問題を引き起こすことになる。
【0013】
そこで、おからの微粉体を魚節や削り節の微粉体に混合すると、魚節や削り節の微粉体の周囲に、脂分や調味液成分の作用により、おからの微粉体が付着してからみつき、魚節や削り節の上記水分や脂成分及び調味液成分による付着率を緩和することができる。この結果、数グラム単位での自動計量や小包装を可能にする。
本発明において、調味液は、任意に調整して良く、基本的には、かつおでんぶの風味を出すために、醤油、みりん、グラニュー糖、塩等を混合するが、おからが入っている分、量や種類については検討される。
【実施例1】
【0014】
以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。
・第1工程(魚節の製造)
魚節を製造する工程であり、この魚節の作り方は従来方法の何れでも良い。
・第2工程(魚節微粉化)
魚節を市販の粉砕機にかけて、5〜30メッシュに微粉化する。
・第3工程(おから微粉化)
おからを市販の加熱乾燥機に入れて微粉化可能な状態になるまで加熱乾燥を行い、 次に市販の粉砕機で5〜30メッシュに微粉化する。
・第4工程(混合)
前記魚節の微粉化したものにおからを微粉化したものを混合する。
この混合割合は、魚節の微粉体100に対しておから10〜50重量%の範囲が好 ましく、10%以下になると計量時に性能が出ず、50%を超えると魚節の風味が低 下することから、製品としては、このように10〜50重量%の範囲が望ましい。
・第5工程(調味液混合)
調味液の成分と量は次のとおりである。
魚節とおからを混合した微粉体100gに対して、醤油100g、みりん10g、 グラニュー糖30g、水飴10g
・第6工程(加熱乾燥)
煮炊き攪拌機(株式会社カジワラ製 KHS−5E)を用いて、上記調味液を混合 した原料を水分率25%以下となるまで乾燥する。水分率が25%以上になると、次 の計量及び小包装において悪い影響が出るので、この25%が限度である。
・第7工程(自動計量)
上記乾燥した原料を自動計量機(石田コーキ株式会社製コンピュータスケール)に て2gずつ計量を行う。
・第8工程(小包装)
計量された2gの原料を自動小包装機(ゼネラルパッカー株式会社製GP3型)に かけて、N2置換を行い、密封して製品とする。
【実施例2】
【0015】
削り節の場合
・第1工程(魚節の製造)
魚節を製造し、削り節に製造する。この作り方は、実施例1同様、従来方法の何れ でもよい。
・第2工程
上記削り節を上記した実施例1の第2工程で行ったのと同一の方法により5〜30 メッシュに微粉化する。
・第3工程〜第8工程は、実施例1の第3工程以下の工程と同一の工程により製品とす る。
【産業上の利用可能性】
【0016】
1.おにぎりの具
2.即席みそ汁の素
3.各種弁当の別添ふりかけ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚節又は(及び)削り節を微粉化したものにおからを乾燥し、微粉化したものを混合する、次に、この混合体に、調味液を添加し、加熱乾燥を行って水分調整を行い、製品とすることにより、数グラム単位で自動計量及びN2ガス置換自動包装を可能とした魚節又は(及び)削り節を主原料とするふりかけの製法。
【請求項2】
前記魚節又は(及び)削り節の微粉体及びおからの微粉は、5〜30メッシュに加工し、この魚節又は(及び)削り節の微粉体とおからの微粉体の混合比は、魚節又は(及び)削り節の微粉体100に対しておからの微粉体は10〜50重量%から成り、前記製品の水分率は25%以下であることを特徴とする請求項1に記載の魚節又は(及び)削り節を主原料とするふりかけの製法。
【請求項3】
前記ふりかけは、おにぎりの具、お茶漬けの素、即席みそ汁の素等に用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚節又は(及び)削り節を主原料とするふりかけの製法。
【請求項4】
魚節又は(及び)削り節を微粉化した微粉体に、おからを乾燥し、微粉化した微粉体を混合し、これに調味液を添加し、加熱乾燥して得られたふりかけ。

【公開番号】特開2007−49960(P2007−49960A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−238731(P2005−238731)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(390027948)鰹節のカネイ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】