説明

鰻の骨入り焼菓子、鰻の骨入り焼菓子の製造方法及び鰻の骨の擂り身の製造方法

【課題】鰻の骨をペースト状に粉砕して製造することができる鰻の骨入り焼菓子を提供する。
【解決手段】鰻の骨入り焼菓子は、小麦粉、バター、砂糖、ベーキングパウダー、鰻の骨を粉砕して得た粉砕物から成る生地を焼き上げたものである。鰻の骨は水洗、脱水、釜で加熱後ペースト状に粉砕し、温湯を加え撹拌脱水し、固液分離した黒みを帯びた固形分としたすり身を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鰻の骨入り焼菓子、鰻の骨入り焼菓子の製造方法及び鰻の骨の擂り身の製造方法に係り、特に、鰻の骨を水洗いして脱水し、その後、釜で加熱し、加熱後、前記鰻の骨をペースト状に粉砕して製造することができる鰻の骨入り焼菓子、鰻の骨入り焼菓子の製造方法及び鰻の骨の擂り身の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鰻の骨入りを加工した食品としては、例えば、本件出願人が先に開示した「鰻の生骨を水洗いし、脱水すると共に、短く切断し、切断後油で揚げ、油で揚げた後、圧力釜に入れて鰻の生骨を軟らかくし、軟らかくなった鰻の生骨に味付けを兼ねた衣で鰻の生骨を隠蔽させて再度油で揚げたもの」がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公昭58−50716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この食品は、それなりに好評を博しているが、骨を短く切断し、骨の外形を隠蔽しているものの、主体が骨そのものであり食品としては、今一歩であった。
【0004】
本発明は、上記の問題点を除去するようにした鰻の骨入り焼菓子、鰻の骨入り焼菓子の製造方法及び鰻の骨の擂り身の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の鰻の骨入り焼菓子は、少なくとも、小麦粉、バター、砂糖、ベーキングパウダー、鰻の骨を粉砕して得た粉砕物から成る生地を焼き上げたものである。
【0006】
また、請求項2記載の鰻の骨入り焼菓子の製造方法は、鰻の骨を水洗いして脱水し、その後、釜で加熱し、加熱後、前記鰻の骨をペースト状に粉砕し、粉砕した前記鰻の骨に、少なくとも、小麦粉、バター、砂糖、ベーキングパウダーを混ぜて生地を作り、該生地を焼き上げて、鰻の骨入り焼菓子を形成するものである。
【0007】
また、請求項3記載の鰻の骨入り焼菓子の製造方法は、鰻の骨を水洗いして脱水し、その後、釜で加熱し、加熱後、前記鰻の骨をペースト状に粉砕し、前記ペースト状に粉砕した前記鰻の骨に温湯を加え攪拌して脱水し、固液分離して採取した黒味を帯びた固形分に、少なくとも、小麦粉、バター、砂糖、ベーキングパウダーを混ぜて生地を作り、該生地を焼き上げて、鰻の骨入り焼菓子を形成するものである。
【0008】
また、請求項4記載の鰻の骨の擂り身の製造方法は、鰻の骨を水洗いして脱水し、その後、釜で加熱し、加熱後、前記鰻の骨をペースト状に粉砕し、前記ペースト状に粉砕した前記鰻の骨に温湯を加え攪拌して脱水し、固液分離して採取した黒味を帯びた固形分に形成するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の鰻の骨入り焼菓子によれば、少なくとも、小麦粉、バター、砂糖、ベーキングパウダー、鰻の骨を粉砕して得た粉砕物から成る生地を焼き上げた鰻の骨入り焼菓子であるため、焼菓子を食する時に、生地に鰻の骨を粉砕して得た粉砕物が含まれている分、カルシウム等の栄養をも一緒に取り入れることができる。
【0010】
また、請求項2記載の鰻の骨入り焼菓子の製造方法によれば、食する時に、生地に鰻の骨を粉砕して得た粉砕物が含まれている分、カルシウム等の栄養をも取り入れることができる鰻の骨入り焼菓子を製造することができる。
【0011】
また、請求項3記載の鰻の骨入り焼菓子の製造方法によれば、上述した請求項2記載の発明の効果に加え、鰻の骨をペースト状に粉砕し、前記ペースト状に粉砕した鰻の骨に温湯を加え攪拌して脱水するため、ペースト状に粉砕した鰻の油が湯に溶け、「鰻の骨を水洗いして脱水し、その後、釜で加熱し、加熱後、前記鰻の生骨をペースト状に粉砕し、粉砕した前記鰻の骨に、少なくとも、小麦粉、バター、砂糖、ベーキングパウダーを混ぜて生地を作り、該生地を焼き上げて形成した鰻の骨入り焼菓子」(温湯を加えない場合)に比べ、油分が少ない分、鰻の臭いを除去することができ、しかも、火の通りを良くして良好に焼き上げることができる。
【0012】
また、請求項4記載の鰻の骨の擂り身の製造方法によれば、鰻の骨をペースト状に粉砕し、前記ペースト状に粉砕した鰻の骨に温湯を加え攪拌して脱水するため、ペースト状に粉砕した鰻の油が湯に溶け、「鰻の骨をペースト状に粉砕し、前記ペースト状に粉砕した鰻の骨に」(温湯を加えない場合)に比べ、油分が少ない分、鰻の臭いを除去することができ、しかも、後の加工において、火の通りを良くして加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の鰻の骨入り焼菓子、鰻の骨入り焼菓子の製造方法及び鰻の骨の擂り身の製造方法の一実施例について説明する。
本発明に使用される鰻の骨は、例えば、蒲焼き等に使用されて肉を除去されて得られる鰻の骨であり、これを先ず、水洗いし、水洗い後、頭、内臓を除去し、再度、水洗いする。
【0014】
水洗い後脱水(脱水は、例えば、水を切る程度でも良い。)し、その後、釜で加熱する。加熱は約85℃〜約90℃の湯中に、一定時間ボイルしても良いが、望ましくは、約2〜約3気圧の圧力、約120℃〜約140℃の圧力釜で、約40分〜約60分程度、加熱する。
【0015】
加熱後、鰻の骨は、かなり軟らかくなっているため、軟らかくなった鰻の骨を、例えば、粉砕機(例えば、ミキサー等)で、ペースト状に粉砕する。ペースト状に粉砕した前記鰻の骨(例えば、100g)に、少なくとも、小麦粉(例えば、100g)、バター(例えば、50g〜60g)、砂糖(例えば、80g〜100g)、ベーキングパウダー(例えば、2g〜6g)を混ぜて生地を作り、該生地を焼き上げて鰻の骨入り焼菓子を形成しても良いが、望ましくは、粉砕後、ペースト状に粉砕した鰻の骨に温湯(例えば、約85℃〜約90℃の湯)を加え攪拌して脱水し、固液分離して「黒味を帯びた固形分」を得るようにする。
ここで、「黒味を帯びた固形分」を得る(黒味を帯びた段階とした)ようにしたのは、ある程度の油を除去しながら、しかも、鰻の骨に付着した身をある程度保持させ、旨み成分を残すためである。
【0016】
このようにして得られた黒味を帯びた固形分(例えば、100g)に、少なくとも、小麦粉(例えば、100g)、バター(例えば、50g〜60g)、砂糖(例えば、80g〜100g)、ベーキングパウダー(例えば、2g〜6g)を混ぜて生地を作り、該生地を180℃のオーブンで、約8分〜約10分、焼き上げて、鰻の骨入り焼菓子を形成する 。
【0017】
この鰻の骨入り焼菓子によれば、少なくとも、小麦粉、バター、砂糖、ベーキングパウダー、鰻の骨を粉砕して得た粉砕物から成る生地を焼き上げた鰻の骨入り焼菓子であるため、焼菓子を食する時に、生地に鰻の骨を粉砕して得た粉砕物が含まれている分、カルシウム等の栄養をも一緒に取り入れることができる。
【0018】
なお、上述のバターに代えて無塩バターでも良く、また、上述の砂糖は、上白糖でも良い。また、小麦粉、バター、砂糖、ベーキングパウダー、鰻の骨を粉砕して得た粉砕物から成る生地に、ミカンパウダー、ごま等を適宜の量添加しても良い。
【0019】
なお、特に、上述した鰻の骨入り焼菓子の製造方法において、鰻の骨をペースト状に粉砕し、前記ペースト状に粉砕した鰻の骨に温湯を加え攪拌して脱水するため、ペースト状に粉砕した鰻の油が湯に溶け、「鰻の骨を水洗いして脱水し、その後、釜で加熱し、加熱後、前記鰻の生骨をペースト状に粉砕し 、粉砕した前記鰻の骨に、少なくとも、小麦粉、バター、砂糖、ベーキングパウダーを混ぜて生地を作り、該生地を焼き上げて形成した鰻の骨入り焼菓子」(温湯を加えない場合)に比べ、油分が少ない分、鰻の臭いを除去することができ、しかも、火の通りが良く良好に焼き上げることができる。
【0020】
なお、特に、上述した実施例においては、鰻の骨入り焼菓子の製造方法としたが、本発明にあっては、これに限らず、鰻の骨を水洗いして脱水し、その後、釜で加熱し、加熱後、前記鰻の骨をペースト状に粉砕し、前記ペースト状に粉砕した前記鰻の骨に温湯を加え攪拌して脱水し、固液分離して採取した黒味を帯びた固形分に形成する鰻の骨の擂り身の製造方法としても良い。
この鰻の骨の擂り身の製造方法によれば、鰻の骨をペースト状に粉砕し、前記ペースト状に粉砕した鰻の骨に温湯を加え攪拌して脱水するため、ペースト状に粉砕した鰻の油が湯に溶け、「鰻の骨をペースト状に粉砕し、前記ペースト状に粉砕した鰻の骨に」(温湯を加えない場合)に比べ、油分が少ない分、鰻の臭いを除去することができ、しかも、後の加工において、火の通りを良くすることができる。
なお、上述した鰻の骨の擂り身の製造方法により得られた鰻の骨の擂り身は、後の加工において、例えば、油で揚げても良いし、また、練り製品の原料としても良いし、また 、ペットフードの原料としても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、小麦粉、バター、砂糖、ベーキングパウダー、鰻の骨を粉砕して得た粉砕物から成る生地を焼き上げたことを特徴とする鰻の骨入り焼菓子。
【請求項2】
鰻の骨を水洗いして脱水し、その後、釜で加熱し、加熱後、前記鰻の骨をペースト状に粉砕し、粉砕した前記鰻の骨に、少なくとも、小麦粉、バター、砂糖、ベーキングパウダーを混ぜて生地を作り、該生地を焼き上げて、鰻の骨入り焼菓子を形成することを特徴とする鰻の骨入り焼菓子の製造方法。
【請求項3】
鰻の骨を水洗いして脱水し、その後、釜で加熱し、加熱後、前記鰻の骨をペースト状に粉砕し、前記ペースト状に粉砕した前記鰻の骨に温湯を加え攪拌して脱水し、固液分離して採取した黒味を帯びた固形分に、少なくとも、小麦粉、バター、砂糖、ベーキングパウダーを混ぜて生地を作り、該生地を焼き上げて、鰻の骨入り焼菓子を形成することを特徴とする鰻の骨入り焼菓子の製造方法。
【請求項4】
鰻の骨を水洗いして脱水し、その後、釜で加熱し、加熱後、前記鰻の骨をペースト状に粉砕し、前記ペースト状に粉砕した前記鰻の骨に温湯を加え攪拌して脱水し、固液分離して採取した黒味を帯びた固形分に形成することを特徴とする鰻の骨の擂り身の製造方法。

【公開番号】特開2007−195501(P2007−195501A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19920(P2006−19920)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(594025829)株式会社京丸 (1)
【Fターム(参考)】