説明

鶏糞乾燥装置

【課題】養鶏ケージの鶏糞を乾燥させるための装置を、連続的な駆動により振動や騒音の発生を少なくすること。
【解決手段】本発明にかかる鶏糞乾燥装置は、鶏を収容する区画が列設されたケージ列が背中合わせに配設され、各ケージ列の下方には糞受けベルトが配設されてなるケージの鶏糞乾燥装置であって、前記背中合わせのケージ列の間に、前記糞受けベルト上面に向かって送風するよう回転駆動される回転翼を複数配設してなることを特徴としている。前記回転翼の回転面は、ほぼ垂直であり、且つ、前記ケージ列の方向にほぼ平行である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養鶏用の多段ケージ等のようなケージに配設されている糞受けベルト上の鶏糞を送気によって乾燥させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、糞受けベルト上の鶏糞を乾燥させるためと、換気のために、ケージ近傍に送気する手段を備えることが多い。
ケージ列の上部に配設された送風ダクトを備えたものの他に、例えば、ウチワをあおぐように、背中合わせのケージ列の間に配設した送風翼を往復動させて送気するように構成された鶏糞乾燥装置が開示されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開平8−121960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した特許文献1に記載の鶏糞乾燥装置では、送風翼を往復駆動する構成であるため、送風翼は回動方向の反転を繰り返すことになり、不連続な運動をすることになる。従って、ケージに振動を与えたり、騒音を発生したりして、鶏に悪影響を与えるという心配があるとともに、複雑な機構を要してメンテナンスも大変であるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、連続的な駆動により振動や騒音の発生の少ない鶏糞乾燥装置の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる鶏糞乾燥装置においては、
鶏を収容する区画が列設されたケージ列が背中合わせに配設され、各ケージ列の下方には糞受けベルトが配設されてなるケージの鶏糞乾燥装置であって、
前記背中合わせのケージ列の間に、前記糞受けベルト上面に向かって送風するよう回転駆動される回転翼を複数配設してなることを特徴としている。
また、前記回転翼の回転面は、ほぼ垂直であり、且つ、前記ケージ列の方向にほぼ平行であることを特徴としている。
また、前記回転翼の回転面は、前記ケージ列の方向にほぼ直角であることを特徴としている。
また、回転翼は、前記ケージ列の間において、ケージ列の方向に沿って配設された1対のフレームの間に回転自在に支持されていると共に回転翼と同軸に固定されたプーリを備え、各回転翼のプーリをベルトで回転させるように構成するとよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の鶏糞乾燥装置では、背中合わせのケージ列の間に、糞受けベルト上面に向かって送風するよう回転駆動される回転翼を複数配設したので、簡単な機構で、鶏糞を効果的に乾燥させることができる。また、往復運動等でないので、騒音や振動の発生が少ない。
また、メンテナンスも容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明にかかる鶏糞乾燥装置を、その実施の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、請求項1、2、4に対応する鶏糞乾燥装置の実施形態を示した斜視図である。
図1において、
1はケージであり、鶏を収容する区画が列設された2つのケージ列1a、1bが背中合わせに配設されている。
2は、各ケージ列の下方に配設された糞受けベルトであり、図示しない駆動装置によって低速でケージ列に平行な方向に鶏糞を搬送して排出するように駆動される無端ベルトから構成されている。
【0009】
3は鶏糞乾燥装置であり、複数の回転翼31がフレーム等に回転自在に支持されている。
前記回転翼31の回転面は、ほぼ垂直であり、且つ、前記ケージ列の方向にほぼ平行である。
34はカバーであり、前記回転翼31の上部を覆うように断面形状が円弧状に形成されている。なお、このカバー34は無くても良い。
【0010】
各回転翼31は駆動手段(図示せず。)によって回転駆動される。駆動手段は、例えばプーリ(図示せず。)が各回転翼と同軸に固定されており、これらのプーリにはベルト(図示せず。)が掛けられ、このベルトはモータ(図示せず。)によって駆動されるように構成されている。
【0011】
以上の構成によれば、前記各回転翼31が回転駆動されると、発生した空気流はカバー34に邪魔されない下方に向かって送気される。下方に向かった空気流は糞受けベルト2の上面に当たって左右に拡散し、左右のケージ列1a、1bの下に落下している鶏糞に当たって乾燥を促す。
このようにして、糞受けベルト2上の鶏糞は低速で搬送される間に、送風を受けて乾燥が促進される。この鶏糞乾燥装置による乾燥効果は実際の鶏糞において確認されている。
また、前記回転翼31の側面からは吸気されるため、ケージ列の各区画の換気が促進され、鶏の環境を好ましいものとする。
また、前記回転翼31の回転速度を低速にすることで、騒音や振動の発生を抑制しつつ、十分な送気を得ることができる。特に、不連続な往復運動でないため、振動や騒音の発生が少ない。
なお、前記回転翼は、背中合わせの一対の2区画毎に設けても良いが、二対の4区画毎に設けてもよい。
【0012】
図2は、請求項1、3に対応する鶏糞乾燥装置の実施形態を示した斜視図である。
図2において、
3Bは鶏糞乾燥装置であり、複数の回転翼31Bがそれぞれフレーム等に回転自在に支持されている。前記各回転翼31Bは例えばケージ列の隣り合う2区画毎に配設されている。
図2の構成が図1の構成と大きく異なる点は、前記回転翼31Bの回転面が、前記ケージ列の方向にほぼ垂直である点である。
34Bはカバーであり、前記回転翼31Bの上部を覆うように断面形状が円弧状に形成されている。
【0013】
各回転翼31Bはシャフト等の駆動手段で回転駆動されるように構成されている。
【0014】
以上の構成によれば、前記各回転翼31Bが回転駆動されると、発生した空気流はカバー34Bに邪魔されない下方に向かって送気される。下方に向かった空気流は糞受けベルト2の上面に当たって左右に拡散し、左右のケージ列1a、1bの下に落下している鶏糞に当たって乾燥を促す。
【0015】
このようにして、糞受けベルト2上の鶏糞は低速で搬送される間に、送風を受けて乾燥が促進される。この鶏糞乾燥装置による乾燥効果は実際の鶏糞において確認されている。
また、前記回転翼31Bの側面からは吸気されるため、ケージ列の各区画の換気が促進され、鶏の環境を好ましいものとする。
また、前記回転翼31Bの回転速度を低速にすることで、騒音や振動の発生を抑制しつつ、十分な送気を得ることができる。特に、不連続な往復運動でないため、振動や騒音の発生が少ない。
【0016】
図3は、請求項1に対応し、回転翼の回転面がほぼ水平である鶏糞乾燥装置の実施形態を示した斜視図である。
図3において、
3Cは鶏糞乾燥装置であり、プロペラ状の複数の回転翼31Cがそれぞれフレーム等に回転自在に支持されている。
図3の構成が図1、2の構成と大きく異なる点は、前記回転翼31Bの回転面がほぼ水平である点である。
34Cは短い円筒状のカバーであり、前記回転翼31Cの周囲を覆うように配設されている。
【0017】
各回転翼31Cはプーリやシャフト等の駆動手段で回転駆動されるように構成されている。
なお、前記回転翼は、ケージの区画から落下する鶏糞が付着しないように羽根の径を短くするとともに、各区画の間に配設することが必要となる。
【0018】
以上の構成によれば、前記各回転翼31Cが回転駆動されると、発生した空気流は下方に向かって送気される。下方に向かった空気流は糞受けベルト2の上面に当たって前後左右に拡散し、左右のケージ列1a、1bの下に落下している鶏糞に当たって乾燥を促す。
【0019】
このようにして、糞受けベルト2上の鶏糞は低速で搬送される間に、送風を受けて乾燥が促進される。
また、前記回転翼31Cの上面からは吸気されるため、ケージ列の各区画の換気が促進され、鶏の環境を好ましいものとする。
また、前記回転翼31Cの回転速度を低速にすることで、騒音や振動の発生を抑制しつつ、十分な送気を得ることができる。特に、不連続な往復運動でないため、振動や騒音の発生が少ない。
【実施例1】
【0020】
図4は、実施例1の鶏糞乾燥装置を備えたケージ列の一部の側面図であり、図5はその断面図である。
図6はその要部の斜視図であり、図7は回転翼とプーリとベルトと中間プーリの位置関係を説明する側面図である。
図6等に示したように、ケージ列に沿って垂直に向かい合った2つの平行フレーム32の間に複数の回転翼31が回転軸によって回転自在に支持され、前記回転翼と同軸に設けられたプーリ35は回転翼31に固定されている。各プーリ35にはベルト36が掛け渡されている。
また、隣り合う回転翼31、31の間には、前記ベルト36に適当な張力を付与して前記プーリ35に対する駆動力を得るための中間プーリ37が配設されている。即ち、前記中間プーリ37によって、往復のベルト36の間隔を縮めることにより、回転翼のプーリ35とベルト36との接触領域が広くなり、十分な摩擦が得られるように構成されている。
【0021】
なお、前記ベルトは無端環状に形成され、図示しないモータの軸に固定された駆動プーリに掛けられている。
前記回転翼31は、図示したように、例えば4枚の平板が90°ごとに配設されており、各平板は前記回転軸と平行に配設されている。各平板は前記平行フレームと垂直な状態で回転駆動されるように構成されている。
従って、回転翼が回転することによって、回転軸から平板の延長方向への空気流が発生する。前記空気流のうち、下方へ向かう空気流は糞受けベルトに当たって左右に別れて、鶏糞を乾燥させる。なお、前記空気流のうち、下方以外へ向かう空気流はカバーによって規制されて、下方へ向かう。
各前記回転翼31はプーリ35とベルト36間の摩擦によって駆動されるため、騒音の発生が少ない。
【実施例2】
【0022】
図8は、請求項3に対応した鶏糞乾燥装置に設けるカバーの実施例を示した断面図である。
図8に示したように、回転翼31Bの上部を覆うカバー34Bの下端は、図中の左右で異なる高さとしている。
即ち、前記回転翼31Bの回転方向が図示したように反時計回り方向の場合には、図中の右側へ向かう空気流が強くなる傾向があるため、右側のカバーの下端と糞受けベルトとの間隔HRを、左側のカバーの下端と糞受けベルトとの間隔HLより狭くして、左右に均等な空気流が送られるように設定した。
また、回転翼31Bの中心を、カバーの中心より右側へずらし、左側にカバーとの間の確保して空気流の吹き出しを効率よくできるようにした。
なお、前記回転翼31Bの羽根の長さは例えば90mm、幅は180mmとし、各回転翼間の中心間距離は1000mmとした。また、右側のカバーの下端と糞受けベルトとの間隔HRは60mm、左側の間隔HLは90mmとした。
なお、図8の場合には、各回転翼31Bは一本のシャフト28によって駆動できるため、簡単な構成でよく、騒音の発生も少ない。
【実施例3】
【0023】
図9は、2分割構成とした回転翼の斜視図である。
この回転翼31Dは、図示したように、回転翼の各平板を2枚に分割し、その間にプーリ35Dを配設したものである。このような構成によって、ベルトによる駆動力が回転翼の全体に均等にかかり、回転軸への負荷の偏りの発生を防止して、回転軸の偏心摩耗等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1、2にかかる鶏糞乾燥装置の実施の形態の構成を示した構成図である。
【図2】本発明の実施例1、3にかかる鶏糞乾燥装置の実施の形態の構成を示した構成図である。
【図3】本発明の実施例1にかかる鶏糞乾燥装置の実施の形態の構成を示した構成図である。
【図4】実施例1の鶏糞乾燥装置を備えたケージ列の一部の側面図である。
【図5】図4の断面図である。
【図6】図4の要部の斜視図である。
【図7】図4における回転翼とプーリとベルトと中間プーリの位置関係を説明する側面図である。
【図8】請求項3に対応した鶏糞乾燥装置に設けるカバーの実施例を示した断面図である。
【図9】回転翼の平板を2分割構成とした場合の斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ケージ
1a、1b ケージ列
2 糞受けベルト
3 鶏糞乾燥装置
31 回転翼
32 フレーム
33 回転軸
34 カバー
35 プーリ
36 ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏を収容する区画が列設されたケージ列が背中合わせに配設され、各ケージ列の下方には糞受けベルトが配設されてなるケージの鶏糞乾燥装置であって、
前記背中合わせのケージ列の間に、前記糞受けベルト上面に向かって送風するよう回転駆動される回転翼を複数配設してなることを特徴とする鶏糞乾燥装置。
【請求項2】
前記回転翼の回転面は、ほぼ垂直であり、且つ、前記ケージ列の方向にほぼ平行であることを特徴とする請求項1に記載の鶏糞乾燥装置。
【請求項3】
前記回転翼の回転面は、前記ケージ列の方向にほぼ直角であることを特徴とする請求項1に記載の鶏糞乾燥装置。
【請求項4】
回転翼は、前記ケージ列の間において、ケージ列の方向に沿って配設された1対のフレームの間に回転自在に支持されていると共に回転翼と同軸に固定されたプーリを備え、各回転翼のプーリをベルトで回転させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の鶏糞乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−115773(P2006−115773A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308081(P2004−308081)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(594208477)ヨシダエルシス株式会社 (6)
【Fターム(参考)】