説明

麺用品質改良剤

【課 題】 スープ中の麺の食感の変化、および保存による麺の食感の変化を低減し得る麺用品質改良剤を提供することを目的とする。
【解決手段】下記のA成分とB成分とを含有することを特徴とする麺用品質改良剤。A成分:(i)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル(ii)グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及び(iii)レシチンの群から選ばれた1種以上の乳化剤を含有する活性グルテン;B成分:グアーガム及び/又はキサンタンガム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は麺用品質改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
麺類の商品価値を高めるにはその食感の改良が特に重要である。麺類の食感を損なう原因としては、スープやつゆの中で麺が経時的に軟らかくなる現象(湯伸び)や、茹で上げた麺を保存する間に麺の粘弾力が低下する現象(茹で伸び)などが知られている。このため、麺類の商品価値を高めるためにこれら現象を防止するための方法がいくつか提示されている。
【0003】
それらは、例えば、エーテル化澱粉及び/又はエステル化澱粉を含む澱粉質原料とコンニャク糊とを含む原料に加水して生地を調製する際に、前記澱粉質原料100質量部に対して、前記コンニャク糊中の水分を含めた加水量が40〜70質量部となるように加水することを特徴とする麺類の製造方法(特許文献1参照)、キサンタンガム、ローカストビーンガムおよびタラガムからなる増粘多糖類を必須成分として含有することを特徴とする麺類の品質改良剤(特許文献2参照)などである。
【0004】
しかしながら、これらの方法は、実用上必ずしも満足できるものではない。
【0005】
【特許文献1】特開2003−168号公報
【特許文献2】特開平7−107934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、麺の湯伸びや茹で伸びを防止できる麺用品質改良剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題に対して鋭意・検討を行った結果、特定の乳化剤を含有する活性グルテンと特定の増粘安定剤とを含有する製剤により、上記記課題が解決されることを見いだし、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、下記のA成分とB成分とを含有することを特徴とする麺用品質改良剤、
A成分:(i)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル(ii)グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及び(iii)レシチンの群から選ばれた1種以上の乳化剤を含有する活性グルテン;
B成分:グアーガム及び/又はキサンタンガム、
からなっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の麺用品質改良剤を添加して作製した生中華麺は、熱湯で約2分間茹でた後に約85℃のスープに10分浸した後でも、食した際に感じられる適度な硬さが維持されている。
本発明の麺用品質改良剤を添加して作製した調理中華麺は、約5℃で48時間冷蔵保存した後でも、食した際に感じられる弾力が維持されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の麺用品質改良剤でA成分として用いられる活性グルテンは、(i)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル(食品添加物)、(ii)グリセリンコハク酸脂肪酸エステル(食品添加物)及び(iii)レシチンの群から選ばれた1種以上の乳化剤を含有するものである。
【0010】
上記グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルは、通常グリセリンモノ脂肪酸エステル(別称:モノグリセライド)とジアセチル酒石酸若しくはジアセチル酒石酸の酸無水物との反応、またはグリセリンとジアセチル酒石酸と脂肪酸との反応により得ることができる。
【0011】
グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸等の群から選ばれる1種あるいは2種以上の混合物が挙げられ、好ましくはオレイン酸を約50質量%以上含有する脂肪酸又は脂肪酸混合物である。
【0012】
グリセリンコハク酸脂肪酸エステルは、通常グリセリンモノ脂肪酸エステルと無水コハク酸(またはコハク酸)との反応、若しくはグリセリンとコハク酸と脂肪酸との反応など自体公知の方法により得ることができる。
【0013】
上記グリセリンコハク酸脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸等の群から選ばれる1種あるいは2種以上の混合物が挙げられ、好ましくはステアリン酸を約50質量%以上含有する脂肪酸又は脂肪酸混合物である。
【0014】
上記レシチンとしては、油糧種子または動物原料から得られたもので、リン脂質を主成分とするものであれば特に制限はなく、例えば大豆レシチンおよび卵黄レシチンなど油分を含む液状レシチン、該液状レシチンから油分を除き乾燥した粉末レシチン、液状レシチンを分別精製した分別レシチン、並びにレシチンを酵素で処理した酵素分解レシチンおよび酵素処理レシチンなどが挙げられ、好ましくは液状レシチンである。上記リン脂質としては、例えばフォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジン酸、リゾレシチンおよびリゾフォスファチジン酸などが挙げられる。
【0015】
本発明においてA成分として用いられる活性グルテンは、例えば、下記の方法1〜3の方法により製造することができる。
【0016】
[方法1]
1)小麦粉に水を加えて練り、得られたドウ(dough)を水洗し、ウエットグルテン(生グルテン)を得る。
2)1)のウエットグルテン(固形分33.3%)100質量部に対して、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及び/又はレシチンを1〜5質量部加えて混練し、真空凍結乾燥法やフラッシュドライ法等の公知の方法により乾燥する。
3)得られた乾燥物を粉砕処理し、本発明でA成分として用いられる活性グルテンを得る。
【0017】
[方法2]
市販の粉末状活性グルテン100質量部に、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及び/又はレシチン5〜15質量部と水10〜175質量部とを加えて攪拌型混合造粒機を用いて混合する。得られた混合物を、乾燥機を用いて乾燥した後に粉砕処理し、本発明でA成分として用いられる活性グルテンを得る。
【0018】
[方法3]
市販の粉末状活性グルテン100質量部に、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及び/又はレシチン5〜15質量部を加え、攪拌型混合造粒機を用いて混合する。その後、得られた混合物を粉砕処理し、本発明でA成分として用いられる活性グルテンを得る。
【0019】
上記方法2および3で用いられる攪拌型混合造粒機としては、攪拌・混合羽根と造粒羽根を併せ持った混合造粒機であれば特に制限はなく、例えば、ハイスピードミキサー(深江パウテック社製)、ハイフレックスグラル(深江パウテック社製)、グラニュレーター(奈良機械製作所社製)、バーチカル・グラニュレーター(パウレック社製)等が挙げられる。攪拌型混合造粒機の使用の条件としては、攪拌時の槽内の内容物の品温約40〜65℃、混合時間約5〜30分間を例示できる。
【0020】
上記方法1〜3の粉砕処理に使用する装置としては特に限定されず、例えばカッターミル、ハンマーミル又はボールミル等の粗粉砕機、ファインインパクトミル(ホソカワミクロン社製)、スーパースクリーンミル(奈良機械製作所社製)等の微粉砕機、アトマイザー(パウレック社製)、カウンタージェットミル(ホソカワミクロン社製)等の超微粉砕機等を用いることができる。粉砕処理後、得られた粉砕物を必要に応じて篩い分けし目的とする粒子形のものを得ても良い。粉砕処理された活性グルテンの平均粒子径は、好ましくは約30〜200μm、より好ましくは約50〜150μmである。
【0021】
本発明の麺用品質改良剤においてB成分として用いられるグアーガム及び/又はキサンタンガムに特に制限はなく、一般に市販されているものを入手して使用することができる。
【0022】
本発明の麺用品質改良剤は、前述のような諸原料を用いてなるものであり、その製造方法に特に制限はなく、自体公知の方法にて製造することができるが、以下に好ましい製造方法を例示する。
【0023】
即ち、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル又はレシチンを含有する活性グルテンと、グアーガム及び/又はキサンタンガムとを攪拌型混合造粒機を用いて混合することにより、本発明の麺用品質改良剤を製造することができる。
【0024】
上記攪拌型混合造粒機としては、攪拌・混合羽根と造粒羽根を併せ持った混合造粒機であれば特に制限はなく、例えば、ハイスピードミキサー(深江パウテック社製)、ハイフレックスグラル(深江パウテック社製)、グラニュレーター(奈良機械製作所社製)、バーチカル・グラニュレーター(パウレック社製)等が挙げられる。攪拌型混合造粒機の使用の条件としては、攪拌時の槽内の内容物の品温約35〜65℃、混合時間約5〜30分間を例示できる。
【0025】
本発明の麺用品質改良剤100質量%中の各成分の含有量に特に制限はないが、例えば、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及び/又はレシチンが約1〜30質量%、好ましくは約2〜20質量%、グルテンが約5〜90質量%、好ましくは約20〜70質量%、グアーガム及び/又はキサンタンガムが約5〜90質量%、好ましくは約20〜70質量%となるように調製するのが好ましい。
【0026】
本発明の麺用品質改良剤を適用できる麺は、特に制限はなく、例えば、生麺および調理麺などが挙げられ、該調理麺としては、茹麺および蒸麺並びにこれらの冷凍麺およびLL麺などが挙げられる。これらのうち、湯伸び、茹で伸びの点で課題の多い、茹麺および蒸麺などへの応用が効果的である。
【0027】
本発明の麺用品質改良剤の使用方法に特に制限はないが、通常めん生地を混捏する際に添加して用いられる。本発明の麺用品質改良剤の使用量は、小麦粉などの穀粉100質量部に対して通常約0.1〜10質量部であり、好ましくは約0.5〜5質量部である。
【実施例】
【0028】
以下に本発明を実施例に基づいて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
[活性グルテンの製造]
[製造例1]
1)強力2等粉(粗タンパク量14%)220gに水145gを加え、ファリノグラフ(型式:8101型;BRABENDER社製)を用いて63rpmで30分間攪拌混合し、小麦粉ドウを調整した。
2)1)の小麦粉ドウを多量の水で洗い澱粉を洗い流し、生グルテンを得た。得られた生グルテン100gに、表1に記載の乳化剤Aを加えて、ファリノグラフ(型式:8101型;BRABENDER社製)を用いて63rpmで30分間混練した。
3)2)で混練した生グルテンを−20℃の冷凍庫で5時間保存した後、真空凍結乾燥機(型式:FZ−6;LABCONCO社製)を用いて、20℃、80×10-3〜100×10-3mBARの条件で凍結乾燥した。
4)得られた乾燥物をミル(製品名:ULTRA CENTRIFUGAL MILL;三田村理研工業社製)で粉砕処理し、乳化剤A含有活性グルテン40g(試作品1)を作製した。
【0030】
[製造例2]
粉末状活性グルテン(商品名:エマソフトM−1000;理研ビタミン社製)1000g、水100gおよび表1に記載の乳化剤Aをハイフレックスグラル(型式:HF−GS−2J、内容量2L;深江パウテック社製)に仕込み、内温60℃、主軸回転数500rpm、副軸回転数1000rpmの条件で10分間混合した。得られた混合物を、乾燥機(製品名:OVEN PV−211;タバイエスペック社製)に入れ、60℃で5時間乾燥した。得られた乾燥物を粉砕して乳化剤A含有活性グルテン1kg(試作品2)を作製した。
【0031】
[製造例3]
製造例2の水100gを使用しなかったこと以外は、製造例2と同様に実施し、乳化剤A含有活性グルテン1kg(試作品3)を作製した。
【0032】
[製造例4]
製造例2で使用した乳化剤Aに替えて、表1に記載した量の乳化剤Bを使用したこと以外は、製造例2と同様に実施し、乳化剤B含有活性グルテン1kg(試作品4)を作製した。
【0033】
[製造例5]
製造例2で使用した乳化剤Aに替えて、表1に記載した量の乳化剤Cを使用したこと以外は、製造例2と同様に実施し、乳化剤C含有活性グルテン1kg(試作品5)を作製した。
【0034】
[製造例6]
製造例2で使用した乳化剤Aに替えて、表1に記載した量の乳化剤A及びBを使用したこと以外は、製造例2と同様に実施し、乳化剤A及びB含有活性グルテン1kg(試作品6)を作製した。
【0035】
[製造例7]
製造例2で使用した乳化剤Aに替えて、表1に記載した量の乳化剤B及びCを使用したこと以外は、製造例2と同様に実施し、乳化剤B及びC含有活性グルテン1kg(試作品7)を作製した。
【0036】
[製造例8]
製造例2で使用した乳化剤Aに替えて、表1に記載した量の乳化剤A、B及びCを使用したこと以外は、製造例2と同様に実施し、乳化剤A、B及びC含有活性グルテン1kg(試作品8)を作製した。
【0037】
[製造例9]
製造例2で使用した乳化剤Aに替えて、表1に記載した量の乳化剤Dを使用したこと以外は、製造例2と同様に実施し、乳化剤D含有活性グルテン1kg(試作品9)を作製した。
【0038】
[製造例10]
製造例2で使用した乳化剤Aに替えて、表1に記載した量の乳化剤Eを使用したこと以外は、製造例2と同様に実施し、乳化剤E含有活性グルテン1kg(試作品10)を作製した。
【0039】
[製造例11]
製造例2で使用した乳化剤Aに替えて、表1に記載した量の乳化剤Fを使用したこと以外は、製造例2と同様に実施し、乳化剤F含有活性グルテン1kg(試作品11)を作製した。
【0040】
[製造例12]
製造例2で使用した乳化剤Aに替えて、表1に記載した量の乳化剤Gを使用したこと以外は、製造例2と同様に実施し、乳化剤G含有活性グルテン1kg(試作品12)を作製した。
【0041】
【表1】

【0042】
[麺用品質改良剤の製造]
(1) 麺用品質改良剤の製造のための原材料
1)乳化剤A含有活性グルテン(試作品1)
2)乳化剤A活性グルテン(試作品2)
3)乳化剤A含有活性グルテン(試作品3)
4)乳化剤B含有活性グルテン(試作品4)
5)乳化剤C含有活性処理グルテン(試作品5)
6)乳化剤A及びB含有活性処理グルテン(試作品6)
7)乳化剤B及びC含有活性処理グルテン(試作品7)
8)乳化剤A、B及びC含有活性処理グルテン(試作品8)
9)乳化剤D含有活性グルテン(試作品9)
10)乳化剤E含有活性グルテン(試作品10)
11)乳化剤F含有活性グルテン(試作品11)
12)乳化剤G含有活性グルテン(試作品12)
13)粉末状活性グルテン(商品名:エマソフトM−1000;理研ビタミン社製)
14)グアーガム(商品名:メイプログアCSA200/50;三晶社製)
15)キサンタンガム(商品名:ケルトロール;大日本住友製薬社製)
16)アルギン酸(商品名:キミカアルギン酸;キミカ社製)
【0043】
(2)原材料の配合組成
上記原材料を用いて作製した麺用品質改良剤(実施品1〜10および比較品1〜6)の配合組成を表2に示した。この内、実施品1〜10は本発明に係る実施例であり、比較品1〜6はそれらに対する比較例である。
【0044】
【表2】

【0045】
(3)麺用品質改良剤の製造
表2に示した配合に基づいて原材料を混合し、麺用品質改良剤(実施品1〜10および比較品1〜6)各50gを作製した。混合は、ハイフレックスグラル(型式:HF−GS−2J、内容量2L;深江パウテック社製)を用いて攪拌温度40℃、主軸回転数500rpm、副軸回転数1500rpm、攪拌時間10分の条件で実施した。
【0046】
[試験例1]
麺用品質改良剤(実施品1〜10および比較品1〜6)を生中華麺(生麺)の作製に使用した場合ついて下記の評価試験を実施した。
【0047】
(1)生中華麺の作製
準強力粉(商品名:特ナンバーワン;日清製粉社製)1000gおよび麺用品質改良剤(実施品1〜10および比較品1〜6)各10gを2L容プラスチック製袋に入れて良く混合し、配合粉とした。該配合粉を万能小型麺機(商品名:MODEL−MG−77;スズキ麺工社製)を用いて、回転数120rpmで攪拌しながら、予め水360gに食塩10gとかんすい10gとを溶解して調製した食塩水(液温約25℃)を加え、同回転数で10分間ミキシングした。ミキシングにより得られた生地を圧延ロールに通して厚さ約4.5mmの麺帯とし、更に該麺帯を圧延ロールに通して厚さ約1.5mmのシート状に成形した。得られたシート状の生地を、切り出し機(20番切刃使用)を用いて太さ約1.5mmの麺線とし、この麺線を長さ30cmに切断し、生中華麺1〜16を得た。
また、対照として、麺用品質改良剤を添加しない生中華麺(生中華麺17)を同様に作製した。
【0048】
(2)生中華麺の湯伸びの評価
(1)で作製した生中華麺(1〜17)100gを各々熱湯1L中で2分間茹で、その後ざるに空けて水切りした。茹でた生中華麺を300gのスープ(約85℃)に入れて約10分後に表3に示す評価基準に従い、食した際の食感により湯伸びの程度を評価した。評価は15名のパネラーで行い、結果は15名の評点の平均値として求め、以下の基準に従って記号化した。結果を表4に示した。
○:評点の平均値が2.5以上
△:評点の平均値が1.5以上、2.5未満
×:評点の平均値が1.5未満
【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
表4の結果から明らかなように、実施例の麺用品質改良剤を使用して作製した生中華麺は、比較例および対照の麺用品質改良剤を使用して作製したものに比べて湯伸びが生じ難く、食感に優れていた。
【0052】
[試験例2]
麺用品質改良剤(実施品1〜10および比較品1〜6)を調理中華麺(茹で麺)の作製に使用した場合ついて下記の評価試験を実施した。
【0053】
(1)調理中華麺の作製
1)準強力粉(商品名:特ナンバーワン;日清製粉社製)700g、加工澱粉(商品名:あさがお;松谷化学工業社製)300gおよび麺用品質改良剤(実施品1〜10および比較品1〜6)各20gを2L容プラスチック製袋に入れて良く混合し、配合粉とした。
2)1)の配合粉を横型真空テストミキサー(製品名:1.0kg真空HI−LO混捏;大竹麺機社製)を用いて、回転数120rpmで攪拌しながら、予め水400gに食塩10gとかんすい12gとを溶解して調製した溶液(液温約25℃)を加えて2分ミキシングし、さらに90rpm、真空圧−73cmHgの条件で8分ミキシングして生地を得た。
3)2)の生地を圧延ロールに通して厚さ約4.5mmの麺帯とし、更に該麺帯を圧延ロールに通して厚さ約1.5mmのシート状に成形した。得られたシート状の生地を、切り出し機(20番切刃使用)を用いて太さ約1.5mmの麺線に加工し、さらにこの麺線を長さ30cmに切断し、生麺100gを得た。
4)3)の生麺を熱湯1L中で2分30秒間茹で、流水に30秒間さらした後氷水に30秒間浸漬して水切りして茹で麺を得た。この茹で麺をポリエチレン製の容器に入れ、約5℃で約48時間冷蔵保存し、調理中華麺1〜16を得た。
また、対照として、麺用品質改良剤を添加しない調理中華麺を1)〜4)と同様に作製し、調理中華麺17とした。
【0054】
(2)調理中華麺の茹で伸びの評価
(1)で作製した冷蔵保存後の調理中華麺1〜17を器に入れ、約10℃の冷し中華スープ(商品名:冷し中華スープ;理研ビタミン社製)をかけてほぐし、表5に示す評価基準に従い、食した際の食感により茹で伸びの程度を評価した。試験は15名のパネラーで行い、結果は15名の評点の平均値として求め、以下の基準に従って記号化した。結果を表6に示した。
○:評点の平均値が2.5以上
△:評点の平均値が1.5以上、2.5未満
×:評点の平均値が1.5未満
【0055】
【表5】

【0056】
【表6】

【0057】
表6の結果から明らかなように、実施例の麺用品質改良剤を使用して作製した調理中華麺は、比較例および対照の麺用品質改良剤を使用して作製したものに比べて茹で伸びが生じにくく、食感に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のA成分とB成分とを含有することを特徴とする麺用品質改良剤。
A成分:(i)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル(ii)グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及び(iii)レシチンの群から選ばれた1種以上の乳化剤を含有する活性グルテン;
B成分:グアーガム及び/又はキサンタンガム。