説明

黒化処理装置

【課題】メッシュ部に黒化処理を行う黒化槽内のシールドメッシュ原反と黒化ノズルとの距離が十分に設けられていないことに起因するメッシュ部の黒化度の異なるシミ、ムラの発生を防止する黒化処理装置を提供する。
【解決手段】黒化槽内で搬送されるシールドメッシュ原反と、黒化ノズルとの間に、吐出口から噴出する黒化液を均一にする穴明板を設けたこと。黒化槽の側壁がシールドメッシュ原反と平行で、シールドメッシュ原反と側壁との間に、穴明板及び吐出口を側壁に向けた黒化ノズルを設けたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅箔エッチング部品の黒化処理装置に関するものであり、特に、メッシュ状銅箔の黒化処理においてメッシュ状銅箔に黒化のシミ、ムラを発生させることのない黒化処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気体放電による発光を利用したPDP(プラズマディスプレイパネル)は、気体放電に伴う電磁波を遮蔽するために、パネルの前面(観察者側)に電磁波シールドを施している。
PDPに施す電磁波シールドとしては、例えば、片面銅張プラスチックシートの銅箔をメッシュ状に形成した電磁波シールドメッシュが実用されている。この電磁波シールドメッシュは、ディスプレイの輝度の損失が比較的少なく、優れたシールド特性を有するものが得られている。
【0003】
図1は、電磁波シールドメッシュの一例の構成を示す断面図である。図1に示すように、電磁波シールドメッシュ(6)は、プラスチックシート(1)として、例えば、PET(ポリテレフタル酸エチレン)シートの片面上に接着剤(2)を介して銅箔(3)が貼り合わされており、また、他面上に粘着剤(4)を介して保護フィルム(5)が貼り合わされている。
電磁波を吸収する材料として導電性の高い銅箔が用いられている。銅箔(3)はエッチングによりメッシュ状に形成されている。
【0004】
この電磁波シールドメッシュ(6)を使用する際には、プラスチックシート(1)から粘着剤(4)及び保護フィルム(5)を剥離、除去し、接着剤(2)を介して銅箔(3)が貼り合わされているプラスチックシート(1)をパネルの前面(観察者側)に取り付ける。
この取り付けの際には、反射防止フィルム、保護ガラス、Ne発光吸収フィルタなども同時に取り付けられるのが一般的である。
【0005】
以降、本願においては、接着剤(2)を介して銅箔(3)が貼り合わされているプラスチックシート(1)をもってシールドメッシュ(10)と称する(シールドメッシュ(10)=(1)+(2)+(3))。
【0006】
尚、プラスチックシート(PETシート)(1)の厚みは100〜125μm、接着剤(2)の厚みは15μm、銅箔(3)の厚みは10μm、粘着剤(4)の厚みは5μm、保護フィルム(5)の厚みは25μm程度である。
【0007】
図2は、図1に示すシールドメッシュ(10)の上方からの平面図であり、一部分を拡大して示したものである。また、図3は、図2におけるX−X’線での断面図である。
図2、及び図3に示すように、エッチングによってメッシュ状に形成された銅箔(3)は、メッシュ部(3A)と開口部(3B)で構成され、開口部(3B)では接着剤(2)が露出している。また、メッシュ部(3A)には反射防止のために、その表面には黒化処理が施されている。
【0008】
この開口部(3B)を伴ったメッシュ部(3A)によって電磁波はシールドされる。尚、メッシュ部(3A)の幅(W1)は10μm程度、開口部(3B)の幅(W2)は200μm程度のものである。
【0009】
このシールドメッシュ(10)を製造する際には、長尺帯状のシールドメッシュ原反を用い、シールドメッシュ原反の銅箔に、例えば、カゼインを用いてのレジストパターンの形成、塩化第二鉄を用いての銅箔のエッチング、水酸化ナトリウムを用いてのレジストパターンの剥離、酸化剤を用いての黒化等の処理を施してメッシュ部(3A)と開口部(3B)で構成される、メッシュ状に形成された銅箔(3)を得る。長尺帯状のシールドメッシュ原反は、最終的に所定の大きさの枚葉状のシールドメッシュ(10)に切断する。
【0010】
長尺帯状のシールドメッシュ原反の幅は、パネルの画面サイズに相応し、例えば、画面42インチ用には650mm、50インチ用には720mm程度である。尚、上記レジストパターンの形成から始まる各工程内では、シールドメッシュ原反は長尺帯状で装置内を搬送されながら処理が施される。また、各工程間の運搬は巻き取られたロール状で運搬される。
【0011】
図4は、レジストパターンの剥離後に行われる黒化工程において用いられる黒化処理装置の一例を示す断面図である。図4に示すように、黒化処理装置(20)は、シールドメッシュ原反の巻出し部(M1)、第一水洗部(21)、黒化液(28)を有する黒化槽(22)、第二水洗部(23)、第三水洗部(24)、第四水洗部(25)、エアー乾燥部(26)、加熱乾燥部(27)、巻取り部(M2)、及び搬送ロール(R0〜R13)で構成され、各部には各々水洗ノズル(31〜34)、黒化ノズル(37)、エアーナイフ(35)、加熱ヒーター(36)が設けられている。
【0012】
搬送ロールの中で、特に、黒化槽(22)における第一搬送ロール(R1)、第二搬送ロール(R2)、第三搬送ロール(R3)は、SUS製のロール芯にEPDM(エチレンとプロピレン及び架橋用ジエンモノマーとの三元共重合体)、又は超高分子ポリエチレン製のロール芯にEPDMが被覆された搬送ロールを用いている。
【0013】
レジストパターンが剥離された状態のシールドメッシュ原反(30)は、図4中、左方から右方へと帯状で搬送されながら、黒化液にて黒化処理が施される。
黒化槽(22)に供給される黒化液の組成は、例えば、酸化剤30重量%、苛性ソーダ6重量%程度の水溶液であり、温度は50℃程度である。各水洗部で用いる水洗水は、例えば、第一水洗部(21)〜第三水洗部(24)では上水が用いられ、第四水洗部(25)では純水が用いられる。
水洗水の吐出圧力は、0.1MPa程度であり、温度は20℃程度である。
【0014】
図5は、図4に示す黒化処理装置(20)の黒化槽(22)の説明図である。
図5に示すように、黒化槽(22)には黒化液(28)が貯えられており、第一水洗部(21)において洗浄されたシールドメッシュ原反(30)は、黒化槽(22)の第一搬送ロール(R1)を経て黒化液(28)に浸漬され、第二搬送ロール(R2)を経て第三搬送ロール(R3)へ搬送される間の黒化液(28)中にて黒化される。
また、黒化槽(22)中には黒化ノズル(37)が設けられている。黒化ノズルは黒化液を供給するパイプであり、黒化液を吐出する吐出口が長手方向に複数個設けられている。
【0015】
黒化槽(22)中の黒化液(28)は循環方式となっており、黒化反応による生成物などを除去する、及び黒化液を所定の温度、濃度に維持するために、黒化槽(22)に付随して濾過装置(29)が設けられている。黒化液(28)は、循環パイプ(38)を経て濾過装置(29)に送られ、濾過、及び所定の温度、濃度とした後に再び黒化槽(22)に供給される。濾過後の黒化液(28)は、循環パイプ(38)を経て黒化槽(22)にて第一黒化ノズル(37A)、及び第二黒化ノズル(37B)の吐出口から噴出されるようになっている。
【0016】
しかし、このような黒化処理装置を用いて黒化処理を行うと、メッシュ部(3A)への黒化は均一にならず、メッシュ部(3A)に部分的に黒化度の異なるシミ、ムラが発生することがある。
図6は、図5に示す黒化槽(22)の第一搬送ロール(R1)の近傍を拡大した説明図である。また、図7は、黒化液(28)中の黒化ノズル(37)の吐出口の位置と、黒化されたメッシュ部(3A)のシミ、ムラの位置関係の説明図である。図6に示すように、第一水洗部(21)において洗浄されたシールドメッシュ原反(30)は、周辺雰囲気中の異物降下による異物付着を防止するため及び水切りのため、メッシュ部(3A)が形成された面側を下方にして搬送され第一搬送ロール(R1)を経て黒化液(28)に浸漬される。
【0017】
図7に示すように、黒化ノズル(37)には、その長手方向に一直線に複数の吐出口(40)が形成されている。また、図5に示すように、黒化ノズル(37)は黒化液(28)中で、その吐出口をシールドメッシュ原反のメッシュ部(3A)が形成された面側に向けて、長手方向を水平にし、シールドメッシュ原反(30)と平行に設けられている。
ここで、黒化槽(22)は装置全体を小型化するために、シールドメッシュ原反(30)と黒化ノズル(37)との距離を十分にとることが困難な状況にある。
【0018】
従って、黒化液(28)中で、黒化ノズル(37)の吐出口(40)から噴出する黒化液の勢いは十分に弱まることなくメッシュ部に到達する部位が生じる。
メッシュ部に接触する黒化液が不均一な部位、特に、吐出口(40)から噴出した黒化液が接触するメッシュ部は黒化が促進され、そのためメッシュ部(3A)の黒化度は、図7に示すように、例えば、シールドメッシュ原反(30)の搬送方向(図7中、矢印)と直角な幅方向において規則的に黒化度の異なるスジムラ(41)状を呈したものとなりがちである。
このメッシュ部(3A)に発生するスジムラ(41)のピッチ(P2)は、黒化ノズル(37)の吐出口(40)のピッチ(P1)と略同一のピッチである。尚、黒化ノズル(37)の直径は30mm程度、吐出口(40)の直径は5mm程度、吐出口(40)のピッチ(P1)は80mm程度のものである。
【特許文献1】特開平8−64572号公報
【特許文献2】特開平9−181036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、長尺帯状のシールドメッシュ原反の銅箔に、レジストパターンの形成、銅箔のエッチング、レジストパターンの剥離を行ってメッシュ部を形成し、引き続き、形成したメッシュ部に黒化処理を行う黒化処理装置において、黒化槽内のシールドメッシュ原反と黒化ノズルとの距離が十分に設けられていないことに起因するメッシュ部の黒化度の異なるシミ、ムラの発生を防止することのできる黒化処理装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、黒化槽内に黒化液を有し、プラスチックシート上に接着剤を介して銅箔が貼り合わされ、該銅箔はフォトエッチングによってメッシュ部と開口部とに形成された長尺帯状のシールドメッシュ原反を前記黒化液中を搬送することで該メッシュ部に黒化処理を行う黒化処理装置において、前記黒化槽は、黒化液中を搬送されるシールドメッシュ原反の幅方向と平行に設置され、前記メッシュ部に向けて黒化液を吐出する吐出口を穿設した
黒化ノズルと、シールドメッシュ原反と前記黒化ノズルの間にシールドメッシュ原反と平行に設けられた穴明板とを有し、前記吐出口から噴出した黒化液を均一にメッシュ部に接触させるようにしたことを特徴とする黒化処理装置である。
【0021】
また、本発明は、黒化槽内に黒化液を有し、プラスチックシート上に接着剤を介して銅箔が貼り合わされ、該銅箔はフォトエッチングによってメッシュ部と開口部とに形成された長尺帯状のシールドメッシュ原反を前記黒化液中を搬送することで該メッシュ部に黒化処理を行う黒化処理装置において、前記黒化槽は、黒化液中を帯状に搬送されるシールドメッシュ原反の幅方向と平行に設置され、黒化液を吐出する吐出口を穿設した黒化ノズルを有するとともに、前記黒化ノズルと対向する黒化槽の側壁は搬送されるシールドメッシュ原反の面と平行とし、かつ、シールドメッシュ原反と前記黒化ノズルの間にシールドメッシュ原反と平行に穴明板を設け、前記吐出口は前記シールドメッシュ原反と平行となった側壁側に設け、側壁に向けて黒化液を噴出させることで、前記吐出口から噴出した黒化液を均一にメッシュ部に接触させるようにしたことを特徴とする黒化処理装置である。
【0022】
また、本発明は、上記発明による黒化処理装置において、前記穴明板の穴の直径は、0.5mm〜1.0mmで、ピッチは1.0mm〜3.0mmであることを特徴とする黒化処理装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、メッシュ部に黒化処理を行う黒化処理装置において、黒化槽内の黒化液中で搬送ロール間を搬送されるシールドメッシュ原反と、吐出口をシールドメッシュ原反のメッシュ部が形成された面側に向けて、長手方向を水平にし、シールドメッシュ原反と平行に設けた黒化ノズルとの間に、吐出口から噴出する黒化液を均一にする穴明板をシールドメッシュ原反と平行に設けた黒化処理装置であるので、黒化槽内のシールドメッシュ原反と黒化ノズルとの距離が十分に設けられていないことに起因するメッシュ部の黒化度の異なるシミ、ムラの発生を防止することのできる黒化処理装置となる。
【0024】
また、本発明は、メッシュ部に黒化処理を行う黒化処理装置において、黒化槽の、シールドメッシュ原反の搬送方向の側壁が、黒化槽内で搬送ロール間を搬送されるシールドメッシュ原反と平行で、黒化槽内の黒化液中で搬送ロール間を搬送されるシールドメッシュ原反と上記搬送方向の側壁との間に、シールドメッシュ原反から該側壁に向かって、黒化ノズルの吐出口から噴出する黒化液を均一にする穴明板をシールドメッシュ原反と平行に、及び、吐出口を側壁に向けた黒化ノズルを長手方向を水平にし、側壁と平行に、順次に設けた黒化処理装置であるので、黒化槽内のシールドメッシュ原反と黒化ノズルとの距離が十分に設けられていないことに起因するメッシュ部の黒化度の異なるシミ、ムラの発生を防止することのできる黒化処理装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図8は、本発明による黒化処理装置における黒化槽の一実施例の示す断面図である。また、図9は、図8の第二搬送ロール(R2)の近傍を拡大して示す説明図である。図8、及び図9に示すように、本発明における黒化槽(52)は、黒化液中で、シールドメッシュ原反と黒化ノズルとの間に穴明板(50)を設けたことを特徴としている。
【0026】
黒化槽(52)の第一搬送ロール(R1)と第二搬送ロール(R2)間を搬送されるシールドメッシュ原反(30)は、前記図6に示すように、メッシュ部(3A)が形成された面側を下方にしている。このシールドメッシュ原反(30)に対し、第一黒化ノズル(37A)は、その吐出口をメッシュ部(3A)が形成された面側に向けて設けられている。また、第一黒化ノズル(37A)は、その長手方向を水平にして、シールドメッシュ原
反(30)と平行に保たれている。
【0027】
第一穴明板(50A)は、シールドメッシュ原反(30)と第一黒化ノズル(37A)との間に設けられており、第一穴明板(50A)はシールドメッシュ原反(30)と平行である。シールドメッシュ原反(30)と第一黒化ノズル(37A)との距離(D1)は100mm程度である。
【0028】
また、図10は、穴明板(50)に形成された穴の配列例を説明する平面図である。図9、及び図10に示すように、穴明板(50)には多数の貫通口(51)が形成されている。貫通口(51)の直径は5mm程度であり、ピッチ(P3)は20mm程度である。また、穴明板(50)のサイズは、幅(W)はシールドメッシュ原反(30)の幅よりやや大きく、長さ(L)は400mm程度である。尚、図10において、貫通口(51)の個数は省略してある。
【0029】
循環パイプ(38)を経て第一黒化ノズル(37A)の吐出口から噴出される黒化液は、吐出口が一定のピッチ(P1)をもって一直線に形成されているために、第一黒化ノズル(37A)の長手方向、すなわち、対応するシールドメッシュ原反(30)の幅方向において吐出口の有る部位では噴出が強であり、吐出口のない部位では噴出が弱いという規則的な噴出の強弱がある。
本発明における第一穴明板(50A)をシールドメッシュ原反(30)と第一黒化ノズル(37A)との間に設けることによって、噴出の強弱が緩和され、緩和された黒化液が貫通口(51)からシールドメッシュ原反(30)に向かって再噴出されることになる。
従って、シールドメッシュ原反(30)の幅方向においてメッシュ部に接触する黒化液が均一化され規則的に黒化度の異なる前記スジムラ(41)の発生を回避することができる。
【0030】
また、図8に示す黒化槽の一実施例は、第二搬送ロール(R2)と第三搬送ロール(R3)間を搬送されるシールドメッシュ原反(30)に対しても、同様に、シールドメッシュ原反(30)と第二黒化ノズル(37B)との間に第二穴明板(50B)を設けてある。これにより、すなわち、第一穴明板(50A)と相まってシールドメッシュ原反(30)の幅方向において規則的に黒化度の異なるスジムラ(41)の発生の回避は確かなものとなる。
【0031】
図11は、請求項2に係わる発明における黒化槽の一例の示す断面図である。
また、図12は、図11の第二搬送ロール(R2)の近傍を拡大して示す説明図である。図11、及び図12に示すように、本発明における黒化槽(62)は、黒化液中で、シールドメッシュ原反と側壁との間に、穴明板、及び黒化ノズルをこの順に設けたものである。黒化ノズルの吐出口は側壁に向けて形成されており、黒化液は側壁に向かって噴出することを特徴としている。
【0032】
本発明における黒化槽(62)の、シールドメッシュ原反(30)の搬送逆方向の側壁(第一側壁)(70A)は、第一搬送ロール(R1)と第二搬送ロール(R2)間を搬送されるシールドメッシュ原反(30)と平行に設けられている。また、シールドメッシュ原反(30)の搬送順方向の側壁(第二側壁)(70B)は、第二搬送ロール(R2)と第三搬送ロール(R3)間を搬送されるシールドメッシュ原反(30)と平行に設けられている。
これは、搬送方向の側壁に向かって黒化ノズルから噴出する黒化液を偏りなく穴明板向けて逆流させるためである。
【0033】
第一搬送ロール(R1)と第二搬送ロール(R2)間を搬送されるシールドメッシュ原
反(30)と、搬送逆方向の側壁(第一側壁)(70A)との間には、シールドメッシュ原反から該第一側壁(70A)に向かって、第一穴明板(50A)、及び本発明における第一黒化ノズル(67A)が順次に設けられている。
第一穴明板(50A)は、シールドメッシュ原反(30)と平行に設けられている。また、第一黒化ノズル(67A)は、その吐出口を第一側壁(70A)に向けて、その長手方向を水平にして、第一穴明板(50A)及び第一側壁(70A)と平行にして設けられている。
【0034】
すなわち、シールドメッシュ原反(30)と、第一穴明板(50A)と、第一黒化ノズル(67A)と、第一側壁(70A)は平行に設けられている。
シールドメッシュ原反(30)と第一穴明板(50A)との距離(D1)は100mm程度である。第一穴明板(50A)と第一側壁(70A)との距離(D2)は100mm程度である。また、第一黒化ノズル(67A)と第一側壁(70A)との距離(D3)は80mm程度である。
また、黒化槽(62)に用いられている第一穴明板(50A)は、前記一実施例における第一穴明板(50A)と同一のものである。
【0035】
循環パイプ(38)を経て第一黒化ノズル(67A)の吐出口から第一側壁(70A)に向けて噴出される黒化液は、第一側壁(70A)にて逆流し第一穴明板(50A)に達する。第一穴明板(50A)において、第一黒化ノズル(67A)の長手方向での規則的な噴出の強弱は緩和され、緩和された黒化液が貫通口(51)からシールドメッシュ原反(30)に向かって再噴出し、シールドメッシュ原反(30)のメッシュ部(3A)の黒化を促進する。
【0036】
黒化液は、第一黒化ノズル(67A)と第一側壁(70A)との距離(D3)に、第一穴明板(50A)と第一側壁(70A)との距離(D2)を加算した距離から第一穴明板(50A)に噴出したことになるので、第一黒化ノズル(67A)の長手方向での規則的な噴出の強弱は更に緩和されたものとなる。従って、シールドメッシュ原反(30)の幅方向において規則的に黒化度の異なるスジムラ(41)の発生は、より抑制されたものとなる。
【0037】
また、図11に示す黒化槽の一例は、第二搬送ロール(R2)と第三搬送ロール(R3)間を搬送されるシールドメッシュ原反(30)に対しても、同様に、シールドメッシュ原反(30)と搬送順方向の側壁(第二側壁)(70B)との間に、第二穴明板(50B)、及び本発明における第二黒化ノズル(67B)を設けてある。これにより、すなわち、第一穴明板(50A)と相まってシールドメッシュ原反(30)の幅方向において規則的に黒化度の異なるスジムラ(41)の発生の回避はより一段と抑制されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】電磁波シールドメッシュの一例の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示すシールドメッシュの上方からの平面図であり、一部分を拡大して示したものである
【図3】図2におけるX−X’線での断面図である。
【図4】黒化処理装置の一例を示す断面図である。
【図5】図4に示す黒化処理装置を構成する黒化槽の説明図である。
【図6】図5に示す黒化槽の第一搬送ロールの近傍を拡大した説明図である。
【図7】黒化液中の黒化ノズル)の吐出口の位置と、黒化されたメッシュ部のシミ、ムラの位置関係の説明図である。
【図8】本発明による黒化処理装置における黒化槽の一実施例の示す断面図である。
【図9】図8の第二搬送ロールの近傍を拡大して示す説明図である。
【図10】穴明板に形成された穴の配列例を説明する平面図である。
【図11】請求項2に係わる発明における黒化槽の一例の示す断面図である。
【図12】図11の第二搬送ロールの近傍を拡大して示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1・・・プラスチックシート
2・・・接着剤
2’・・・離脱した接着剤
3・・・銅箔
3A・・・メッシュ部
3B・・・開口部
4・・・粘着剤
5・・・保護フィルム
6・・・電磁波シールドメッシュ
10・・・シールドメッシュ
20・・・黒化処理装置
21・・・第一水洗部
22・・・黒化槽
23・・・第二水洗部
24・・・第三水洗部
25・・・第四水洗部
26・・・エアー乾燥部
27・・・加熱乾燥部
28・・・黒化液
29・・・濾過装置
30・・・シールドメッシュ原反
31〜34・・・水洗ノズル
35・・・エアーナイフ
36・・・加熱ヒーター
37・・・黒化ノズル
37A・・・第一黒化ノズル
37B・・・第二黒化ノズル
38・・・循環パイプ
40・・・吐出口
41・・・スジムラ
50・・・穴明板
50A・・・第一穴明板
50B・・・第二穴明板
51・・・穴明板の貫通口
52、62・・・本発明における黒化槽
67A・・・本発明における第一黒化ノズル
67B・・・本発明における第二黒化ノズル
70A・・・搬送逆方向の側壁(第一側壁)
70B・・・搬送順方向の側壁(第二側壁)
D1・・・シールドメッシュ原反と第一黒化ノズルとの距離
D2・・・第一穴明板と第一側壁との距離
D3・・・第一黒化ノズルと第一側壁との距離
L・・・穴明板の長さ
M1・・・巻出し部
M2・・・巻取り部
P1・・・吐出口のピッチ
P2・・・スジムラのピッチ
P3・・・貫通口のピッチ
R0〜R13・・・搬送ロール
R1・・・第一搬送ロール
R2・・・第二搬送ロール
R3・・・第三搬送ロール
W・・・穴明板の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒化槽内に黒化液を有し、プラスチックシート上に接着剤を介して銅箔が貼り合わされ、該銅箔はフォトエッチングによってメッシュ部と開口部とに形成された長尺帯状のシールドメッシュ原反を前記黒化液中を搬送することで該メッシュ部に黒化処理を行う黒化処理装置において、前記黒化槽は、黒化液中を搬送されるシールドメッシュ原反の幅方向と平行に設置され、前記メッシュ部に向けて黒化液を吐出する吐出口を穿設した黒化ノズルと、シールドメッシュ原反と前記黒化ノズルの間にシールドメッシュ原反と平行に設けられた穴明板とを有し、前記吐出口から噴出した黒化液を均一にメッシュ部に接触させるようにしたことを特徴とする黒化処理装置。
【請求項2】
黒化槽内に黒化液を有し、プラスチックシート上に接着剤を介して銅箔が貼り合わされ、該銅箔はフォトエッチングによってメッシュ部と開口部とに形成された長尺帯状のシールドメッシュ原反を前記黒化液中を搬送することで該メッシュ部に黒化処理を行う黒化処理装置において、前記黒化槽は、黒化液中を帯状に搬送されるシールドメッシュ原反の幅方向と平行に設置され、黒化液を吐出する吐出口を穿設した黒化ノズルを有するとともに、前記黒化ノズルと対向する黒化槽の側壁は搬送されるシールドメッシュ原反の面と平行とし、かつ、シールドメッシュ原反と前記黒化ノズルの間にシールドメッシュ原反と平行に穴明板を設け、前記吐出口は前記シールドメッシュ原反と平行となった側壁側に設け、側壁に向けて黒化液を噴出させることで、前記吐出口から噴出した黒化液を均一にメッシュ部に接触させるようにしたことを特徴とする黒化処理装置。
【請求項3】
前記穴明板の穴の直径は、0.5mm〜1.0mmで、ピッチは1.0mm〜3.0mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の黒化処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−104510(P2006−104510A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290912(P2004−290912)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】