説明

黒鉛テープの供給および裏紙の巻取り装置

【課題】大きなテープ供給リールと広幅のテープの使用が可能な黒鉛複合テープの供給および裏紙の巻取り装置を提供する。
【解決手段】比較的広いテープの1以上のストランドを高速度の黒鉛テープ積層マシンへ供給する装置は、マシンに回転可能に取付けられたテープ供給リール14L,14Tおよび裏紙巻取りリール16L,16Tと、そこでの側方運動のためにマシンに取付けられたダンサーローラー22L,22Tと、前記テープ供給および裏紙巻取りリール14L,14T,16L,16Tの回転と、支持フレーム18に関するダンサーローラー22L,22Tの側方運動とを能動的に制御し、それによって積層マシンのオン・ザ・フライのテープ付加動作およびオン・ザ・フライのテープ切断動作の両期間中に、テープのそれぞれの張力を実質的に一定に維持する機構とを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、複合構造の製造に使用されるツールに関し、特に大きなテープ供給リールと実質的に広幅のテープの使用を可能にし、それによって高速度の複合テープ積層マシンと共に使用して積層プロセスで高い積層速度と低い材料価格を実現するための黒鉛複合テープの供給および裏紙の巻取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば航空機の複合機体で使用されるような大きい複雑な複合部品の需要は急速に高まっている。これらの部品は典型的に複合テープ、例えば非硬化樹脂(「プレプレグ」)で含浸された一方向の黒鉛ファイバテープの平行な条帯を成形ツール上に相互に緊密に載置し、その後樹脂を硬化することにより製造される。高まる需要は典型的に次の2つの方法の一つ、即ち1)多数の現在の技術の積層マシンの購入、または2)より高速度で部品を積層できるマシンの開発によって供給業者により満たされる。第2の方法、即ち高速度積層マシンの開発は長い目でみれば実際にはツーリング、設備、装置の価格を減少できる。
【0003】
既存のテープ供給による方法は、往復爪が取付けられている釣り糸リールに線が巻きつけられる方法と同じ方法で、全て長いスプールに「平行糸巻き」される比較的狭いテープに依存している。材料を平行糸巻きするため、テープ幅は1.27cm(0.5インチ)に限定される。リールの直径は実質的にそこに存在する有用なテープ量を収納するために実質的に増加されなければならず、したがって容認できないほどに高い慣性を有するので、狭いテープは映画のフィルムの方法で対応する幅のリールへ「一巻き」されることができない。
【0004】
スプールに隣接し、その上でテープがスプールから引き出される「ダンサー」、即ち二次ローラーはテープに加えられる衝撃を吸収するために通常使用され、スプールで作用するブレーキはスプールを減速するときにスプールの慣性を吸収するために使用される。既存の方法は供給スプールに与えられるブレーキ力の能動的な制御とダンサー運動の受動的な制御を使用する。既存の方法はダンサーの位置を能動的に制御しないので、これらでは可変の慣性を有する大きい供給リールを制御することは非常に難しい。
【0005】
したがって既存の解決策は1.27cm(0.5インチ)の最大幅に限定される積層テープで平行糸巻きされるスプールを使用する方法に限定されている。テープの帯を載置するとき積層マシンが処理できるテープ条帯の総数は限定され、狭いテープの使用は比較的総帯幅を小さくし、それによって比較的大きい領域を有する部品を積層するためにレイアップツール上でマシンの積層ヘッドが多数回通過することを必要とする。それ故、高い積層速度はテープの広い条帯の多数の条帯が確実に使用されることができるならば実現されることができる。
【0006】
したがって、複合テープ積層マシンが大きな幅を有する多数のテープを確実に載置することを可能にし、それによって実質的に増加された積層速度を実現する装置が産業で必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、黒鉛複合テープの供給と裏紙巻取り装置は、実質的に大きいテープ供給リールと実質的に広いテープがマシンで確実に使用されることを可能にし、積層プロセスにおいて高い積層速度と低い材料価格を実現する複合テープ積層マシンと共に使用されるために与えられている。
【0008】
1つの例示的な実施形態では、装置は回転可能に取付けられている供給リールと、供給リールに隣接して配置され回転可能に取付けられている巻取りリールと、供給及び巻取りリールに関して側方運動するように取付けられているダンサーローラーと、ワークピースの表面上でのローリング運動に適合されている回転可能な圧縮ローラーと、ダンサーローラーと積層ヘッドとの間に配置されて回転可能に取付けられた剥離ローラーと、積層ヘッドとを具備している。相互に接着されている第1及び第2のストランドは供給リールに巻き付けられている。第1のストランドはダンサーローラーと剥離ローラーの周囲で圧縮ローラーの下方に、供給リールから延在する外端部を有する。第2のストランドはダンサーローラーと剥離ローラーの周囲で供給リールから延在し、巻取りリールのコアに結合されている外端部を有する。供給及び巻取りリールの回転とダンサーローラーの側方運動を能動的に制御する装置が設けられ、それによってワークピースの表面にわたる圧縮ローラーの運動とその後の第1のストランドの切断期間中に少なくとも第1のストランドの張力は実質的に一定に維持される。
【0009】
別の例示的な実施形態では、方法は相互に巻き付けられるように接着されている第1及び第2のストランドを具備したテープを有する回転可能に取付けられた供給リールを提供し、供給リールに隣接して回転可能に取付けられた巻取りリールを取付け、供給および巻取りリールに関して側方運動するためのダンサーローラーを取付け、ワークピースの表面でローリング運動するための回転可能な圧縮ローラーを取付け、ダンサーローラーと圧縮ローラーとの間に回転可能な剥離ローラーを取付け、ダンサーローラーと剥離ローラーの周囲、および圧縮ローラーの下方に、供給リールから第1のストランドの外端部を延在し、ダンサーローラーと剥離ローラーの周囲で供給リールからの第2のストランドの外端部を延在させてそれを巻取りリールのコアに結合し、ワークピースの表面上で圧縮ローラーをローリングして第1のストランドの粘着側がワークピース表面に接着され、圧縮ローラーの運動期間中に第2のストランドを切断し、供給及び巻取りリールの回転とダンサーローラーの側方運動を能動的に制御し、それによって少なくとも第1のストランドの張力はワークピースの表面上の圧縮ローラーの動作とその後の第1のストランドの切断期間中に一定に維持されるステップを含んでいる。
【0010】
1.供給リールと、
供給リールに隣接して配置されている巻取りリールと、
供給及び巻き取りリールに関して側方運動のために取付けられているダンサーローラーと、
ワークピースの表面上でのローリング運動に適合されている圧縮ローラーと、
ダンサーローラーと積層ヘッドとの間に配置されている剥離ローラーと、
相互に接着され供給リールに巻き付けられている第1及び第2のストランドを含み、第1のストランドはダンサーローラーと剥離ローラーの周囲、および圧縮ローラーの下方に、供給リールから延在する外端部を有し、第2のストランドはダンサーローラーと剥離ローラーの周囲で、供給リールから延在し、巻取りリールのコアに結合されている外端部を有するテープと、
供給及び巻取りリールの回転とダンサーローラーの側方運動を能動的に制御し、それによってワークピースの表面における圧縮ローラーの運動とその後の第1のストランドの切断の期間中に少なくとも第1のストランドの張力を実質的に一定に維持する機構とを具備している装置。
【0011】
2.テープは供給リールに一回巻かれている請求項1記載の装置。
【0012】
3.第2のストランドはその反対側の面が剥離剤で被覆され、1側面の剥離剤の剥離特性は他方の側面の剥離剤の剥離特性よりも強力である請求項2記載の装置。
【0013】
4.第1のストランドは非硬化樹脂で含浸されている黒鉛ファイバのマトリックスを具備している請求項1記載の装置。
【0014】
5.装置はワークピース方向を向いているその粘着面で第1のストランドを積層ヘッドに供給する請求項1記載の装置。
【0015】
6.第1のストランド張力制御機構は、
ダンサーローラーの側方位置を感知し、前記位置に対応する信号を発生するためのセンサと、
前記ダンサーローラーに結合され、前記センサにより発生された信号に応答して前記ダンサーローラーを側方に動かすように動作可能であるアクチュエイタと、
供給リールに作用し、前記センサにより発生された信号に応答して供給リールの回転を制動するように動作可能であるブレーキと、
巻取りリールに作用し、第2のストランドの張力を実質的に一定に維持するように動作可能である引張装置とを具備している請求項1記載の装置。
【0016】
7.前記センサはアクチュエイタ中に位置されている近接センサを具備している請求項6記載の装置。
【0017】
8.前記アクチュエイタは空気圧式アクチュエイタを具備している請求項6記載の装置。
【0018】
9.前記装置はその運動期間中に圧縮ローラーをワークピースの表面を横切るように誘導するように支持フレーム上に配置されており、さらに、
ワークピースの表面を横切るその動作期間中に圧縮ローラーに後続し、第1のストランドの幅だけ先行装置から横方向にオフセットされるように第1の装置に対して隣接して配置されている第2の装置を具備している請求項1記載の装置。
【0019】
10.請求項1記載の装置が取付けられている航空機製造用のテープ積層マシン。
【0020】
11.請求項9記載の装置が取付けられているテープ積層マシン。
【0021】
12.第2のストランドのワークピースに対する積層期間中、第1及び第2のストランドを有するテープを積層マシンへ供給する方法において、
請求項1記載の装置を前記積層マシンの支持フレーム上に取付け、
供給リールから積層マシンの積層ヘッドへテープを供給し、
テープから剥離された後に第2のストランドを巻取りリールにより巻取り、
第1のストランドの粘着面が表面に接着されるように、圧縮ローラーをワークピースの表面上でローリングし、
圧縮ローラーの動作期間中に第2のストランドを切断し、
供給及び巻取りリールの回転と支持フレームに関するダンサーローラーの側方運動を制御するステップを含んでおり、それによって少なくとも第1のストランドの張力はワークピースの表面上の圧縮ローラーの動作及びその後の第1のストランドの切断期間中に実質的に一定に維持される方法。
【0022】
13.さらに、巻き付けられた相互に接着された第1及び第2のストランドを具備するテープを有している回転可能に取付けられた供給リールを提供し、
回転可能な巻取りリールを前記供給リールに隣接して取付け、
供給リール及び巻取りリールに関する側方運動のための回転可能なダンサーローラーを取付け、
ワークピースの表面上におけるローリング運動のための回転可能な圧縮ローラーを取付け、
ダンサーローラーと圧縮ローラーとの間に回転可能な剥離ローラーを取付け、
第1のストランドの外端部を前記ダンサーローラーと剥離ローラーの周囲および前記圧縮ローラーの下方へ供給リールから延在し、
第2のストランドの外端部を前記剥離ローラーおよび前記ダンサーローラーの周囲で供給リールから延在し、それを巻取りリールのコアに結合し、
第1のストランドの粘着面が表面に接着されるように、圧縮ローラーをワークピースの表面上でローリングし、
前記圧縮ローラーの運動期間中に第2のストランドを切断し、
前記供給及び巻取りリールの回転と、前記ダンサーローラーの側方運動を能動的に制御し、それによってワークピースの表面における圧縮ローラーの運動およびその後の第1のストランドの切断期間に、少なくとも第1及び第2のストランドの張力を実質的に一定に維持するステップを含んでいる方法。
【0023】
14.前記圧縮ローラーのローリングは、
前記圧縮ローラーによって前記第1のストランドの外端部をワークピース上の第1の位置に貼り付け、
供給リールからテープを剥離するため前記ワークピースの表面上で前記圧縮ローラーをローリングし、
前記ワークピース上における前記圧縮ローラーの運動期間中に、前記圧縮ローラーにより前記ワークピースの表面へテープの粘着面を加圧するステップを含んでいる請求項13記載の方法。
【0024】
15.前記第1のストランドの切断は前記ワークピース上の第2の位置における前記第1のストランドの切断を含んでいる請求項14記載の方法。
【0025】
16.前記テープは前記供給リールへ一回巻かれる請求項13記載の方法。
【0026】
17.前記ワークピースの表面への前記第1のストランドの接着面の加圧は、前記ワークピースの表面方向を向いた粘着面でテープを前記圧縮ローラーに供給する請求項14記載の方法。
【0027】
18.前記供給及び巻取りリールの回転と前記ダンサーローラーの側方運動の制御は、
前記ダンサーローラーの側方位置を感知し、前記位置に対応する信号を発生し、
前記信号に応答して側方に前記ダンサーローラーを動かし、
前記信号に応答して前記供給リールの回転を制動し、
テープからの剥離後、前記第2のストランドの張力を実質的に一定に維持するように前記巻取りリールを回転させるステップを含んでいる請求項13記載の方法。
【0028】
19.高速度黒鉛テープ積層マシンへ黒鉛テープを供給する装置において、
前記積層マシンの支持フレーム上に回転可能に取付けられたテープ供給リールと、
テープ供給リールに隣接して支持フレームに回転可能に取付けられた裏紙巻取りリールと、
前記支持フレーム上に側方運動のために取付けられたダンサーローラーと、
前記ダンサーローラーと積層ヘッドとの間に回転可能に取付けられた剥離ローラーと、
前記供給リールに平行糸巻きされた黒鉛テープのストランドと、
前記テープ供給および裏紙巻取りリールの回転と、前記支持フレームに関する前記ダンサーローラーの側方運動とを能動的に制御し、それによって前記積層マシンのテープ付加動作およびテープ切断動作の両期間中に、前記テープの張力を実質的に一定に維持させる機構とを具備しており、
前記テープはその粘着面に接着する裏紙と、前記ダンサーローラーと前記剥離ローラー周囲で前記供給リールから前記積層マシンの積層ヘッドまで延在する外端部を有し、
前記裏紙は前記ダンサーローラーと前記剥離ローラーの周囲で供給リールから延在して、巻取りリールのコアに接続される外端部を有し、
前記剥離ローラーは、前記剥離ローラー上の前記テープと裏紙の運動によって前記テープと前記裏紙が異なる方向に動き、それによって前記テープと裏紙間の接着面に張力を与え、前記巻取りリールへ巻き付けるため前記裏紙を前記テープから剥離するように構成されている装置。
【0029】
20.前記装置は前記積層ヘッドの運動期間中に前記積層ヘッドをワークピースの表面を横切るように誘導するように支持フレーム上に配置されており、さらに、
その運動期間中に圧縮ローラーをワークピースの表面を横切って後続させ、第1のストランドの幅だけ先行装置から横方向にオフセットされるように第1の装置に対して隣接して配置されている第2の装置を具備している請求項1記載の装置。
【0030】
22.さらにそれぞれ相互に横方向にそれぞれオフセットされている先行および後続装置を具備し、それによって前記積層マシンは前記圧縮ローラーの表面上の一度の通過で、複数の平行で横方向に接触する黒鉛テープをワークピースの表面に同時に積層することが可能にされている請求項20記載の装置。
【0031】
23.黒鉛テープを積層マシンに供給し、前記テープのワークピースへの積層期間中に前記テープの粘着面に接着される裏紙を巻取る方法において、
回転可能なテープ供給リールを積層マシンの支持フレーム上に取付け、
回転可能な裏紙巻取りリールを前記テープ供給リールに隣接して前記支持フレーム上に取付け、
それに関する側方運動のためダンサーローラーを支持フレーム上に取付け、
裏紙が接着されているテープのストランドを前記供給リールに一回巻き、
前記テープの外端部を前記積層マシンの前記ダンサーローラーの周囲および前記圧縮ローラーの下方に供給リールから延在させ、
前記ダンサーローラーと前記圧縮ローラーとの間に回転可能な剥離ローラーを取付け、それによって前記剥離ローラー上の前記テープ及び裏紙の運動によって前記テープ及び裏紙は異なる方向に動き、それによって前記テープ及び裏紙間の粘着面上に張力を与え、前記巻取りリールに巻付けるために前記裏紙を前記テープから剥離し、
前記テープが前記積層ヘッドに達する前に前記剥離ローラーにより前記テープから前記裏紙を剥離し、
前記裏紙を巻取りリールへ巻付け、
前記圧縮ローラーによって前記テープの外端部の粘着面をワークピースの表面上の第1の位置に貼り付け、
前記供給リールからテープを引っ張るために前記ワークピースの表面上で前記圧縮ローラーをローリングし、
前記ワークピース上で前記圧縮ローラーの運動期間中に、前記圧縮ローラーにより前記ワークピースの表面へテープの粘着面を加圧し、
前記圧縮ローラーの動作期間中にワークピースの表面上の第2の位置で前記テープを切断し、
前記テープ供給及び裏紙巻取りリールの回転と、前記支持フレームに関する前記ダンサーローラーの側方運動を能動的に制御し、それによって前記積層マシンのテープ付加動作とテープ切断動作の両期間中に前記テープの張力が実質的に一定に維持されるステップを含んでいる方法。
【0032】
24.前記積層マシンはさらに、それぞれが前記テープの幅だけ相互に横方向にオフセットされ、前記圧縮ローラーに先行し後続するようにそれぞれ配置されている第1及び第2の複数のテープ供給及び裏紙巻取りリール、ダンサーローラー、剥離ローラー、圧縮ローラーを具備し、さらに、
前記圧縮ローラーの表面上の一度の通過で、複数の平行で横方向に接触する黒鉛テープをワークピースの表面に積層するステップを含んでいる請求項23記載の方法。
【0033】
本発明の装置の前述及び多数の他の特徴と利点は以下のその例示的な実施形態の詳細な説明を考慮して、特に添付図面を伴ってこのように考察すると、さらに良好に理解されることができる。類似の参照符合はそのぞれぞれの図面の類似の素子を指すために使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】黒鉛テープの積層マシンに取付けられその積層ヘッドに隣接して示されている本発明による黒鉛テープ供給および裏紙巻取り装置の例示的な実施形態の部分正面図。
【図2】装置の先行および後続テープ供給および裏紙巻取りリールのそれぞれの中心を通して延在する切断線に沿って見たときの図1の例示的な装置の上面の断面図。
【図3】図1の例示的な装置の例示的なテープ供給および裏紙巻取り部の機能ブロック図。
【図4】本発明による積層プロセス中に黒鉛テープをテープ積層マシンに供給する方法の例示的な実施形態における連続的なステップを示すプロセスのフロー図。
【図5】定常状態のテープ積層動作期間において示された例示的な装置の先行供給リールおよび関連される巻取りリールの拡大部分正面図。
【図6】「切断」動作の直後および「付加」動作の前において示された図5の供給および巻取りリールの別の拡大された部分的正面図。
【図7】付加動作期間中に示された先行供給及び巻取りリールの別の拡大された部分的正面図。
【図8】切断動作後の装置のダンサーの動作を示している図5の先行供給及び巻き取りリールの拡大された部分的正面図。
【図9】航空機の製造及びサービス方法のフロー図。
【図10】航空機のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明による黒鉛テープ供給及び裏紙巻取り装置の例示的な実施形態が図1の部分正面図に示されている。図2は図1で取られた切断線に沿って見たときの例示的な装置10の断面図である。図3は図1及び2の装置の例示的なテープ供給および裏紙巻取り部の機能ブロック図である。
【0036】
図1−3を参照して分かるように、例示的な装置10は1対の黒鉛テープ供給リール14Lと14Tおよび裏紙巻取りリール16Lと16Tの関連される対を具備しており、これらはテープ積層プロセス期間中にそれぞれ各リール14L、14T、16L、16Tと関連されている矢印DRの方向で独立して回転するように積層マシンの支持フレーム18上に取付けられている。
【0037】
積層プロセス期間中、そのテープ積層ヘッド12を含めた積層マシン(図示せず)は図1では矢印DTの方向、即ち積層ヘッド12の下に位置されるワークピース(図示せず)に関して図面の左側へ動くことができる。この運動期間中、それぞれ接着する裏紙30Lと30Tを有する黒鉛テープ20Lと20Tのストランドまたは「トウ」はそれぞれ供給リール14Lと14Tから引出され、それぞれのダンサーローラー22Lと22T上を通過し、その後それぞれ「剥離」ローラー24Lと26T上を通過する。それぞれのストランド20Lと20Tが剥離ローラー24Lと24T上を通過するとき、それぞれの裏紙30Lと30Tはそれぞれのストランド20Lと20Tから剥離され、それぞれ巻取りリール16Lと16Tに巻き付けられる。ストランド20LSと20TS、即ちそれらのそれぞれの裏紙30Lと30Tから剥離された黒鉛テープはその後、それぞれのガイドローラー26Lと26T上を通過し、その後積層ヘッド12のそれぞれの圧縮ローラー28Lと28T下を通過する。積層ヘッド12の圧縮ローラー28Lと28Tはマシンの積層ヘッド12が矢印DTの方向で通過するときテープのストランドのそれぞれ1つの粘着面Sをそれぞれワークピースの表面に加圧する。
【0038】
ワークピース上における積層ヘッド12の通過が終了するとき、テープ20LSと20TSのそれぞれのストランドは「オン・ザ・フライで」即ち積層マシンが運動中である間に、切断されることができる。切断動作後、積層マシンはワークピースに関して持ち上げられ、選択された角度、幾つか例を挙げると例えば40゜、90゜、135゜、180゜で水平に回転され、ワークピースまで下げられる。次の通過は別の方向、例えば第1の通過に対して反対方向、即ち図1の右側へワークピース上でマシンにより行われることができる。
【0039】
前述の構成では、供給及び裏紙巻取りリール14Lと16Lおよび図面中の積層ヘッド12の左に位置されている他の関連されるコンポーネントはテープを載置するとき常に積層ヘッド12に「先行」し、ここでは装置10の「先行」コンポーネントと呼び、積層ヘッド12の右側のコンポーネントは常にヘッドに「後続し」、それ故装置の「後続」コンポーネントと呼ばれる。
【0040】
さらに、図2の上面断面図に示されているように、示されている実施形態では装置10の後続コンポーネント14T、16T、20T、22T、24T、26T、28Tはテープ20Lと20Tの対応する1つの幅に等しいピッチで装置の先行コンポーネントに関係する積層マシンの運動方向DTに対して横方向にオフセットされることができる。これによって黒鉛テープ20LSと20TSのストランドは平行で横に並んで接触する関係で同時にワークピースへ載置される。したがって積層マシンはテープ20LSと20TSの多数のストランドを1度の通過またはスワスで同時にワークピースへ載置される。さらに図2に示されているように、積層マシンは類似の間隔またはピッチで横方向に延在する先行および後続テープ供給及び裏紙巻取りコンポーネントの両者の付加的なセット14L、16L、22L、24L、26L、28Lと14T、16T、22T、24T、26T、28Tを具備することができる。例えば示されている特定の例示的な実施形態では、装置10は5つの付加的なセット14L、16L、22L、24L、26L、28Lと14T、16T、22T、24T、26T、28Tを具備することができ、それによって積層マシンはテープ20LSと20TSの12の平行な接触する条帯またはスワスをワークピースにわたるマシンの一度の通過でワークピースに同時に載置することができる。
【0041】
積層マシンで使用される黒鉛テープ20は時には「プレプレグ」と呼ばれるタイプの非硬化樹脂内に埋設され、または含浸されている一方向黒鉛ファイバのマトリックスで構成することができる。樹脂は硬化されないので、これは粘着性があり、または感触がねばねばしている。その粘着性を維持するため、処理を容易にする目的で、テープはその一方の面に裏紙30のライナーが粘着されて製造されている。裏紙30はその対向面に強度の異なる剥離剤が設けられており、即ち剥離能力は裏紙の一方の面よりも他方の面で強力である。黒鉛テープ20について粘着強度の差が与えられ、それによってテープは供給リールに一巻されることができる。テープはその後リールから容易に剥離し、即ちテープの次の内部層に接着しないが、裏紙は依然としてここではテープの「粘着」面と呼ぶ黒鉛テープの一方の面に接着されながら剥離されることができる。裏紙はテープの粘着面の接着特性を最大にするためにテープがワークピースに与えられる直前まで接着された状態である。
【0042】
したがって、テープ20をワークピースに適用する前に裏紙30を取除き保管することが必要である。除去後に裏紙を保管するため、装置10の各供給リール14Lと14Tにはそれに隣接して配置された関連される裏紙巻取りリール16Lと16Tがそれぞれ設けられている。図1と図4のプロセスフロー図に示されているように、S1で、供給リール14Lと14Tにはそれぞれ黒鉛テープ20Lと20Tがロードされ、それらに粘着されているそれぞれの保護裏紙30Lと30Tを有し、ロードされた供給リール14Lと14Tはそれぞれの裏紙巻取りリール16Lと16Tと共に積層マシン上に取付けられている。
【0043】
S2で、テープ20Lと20Tのそれぞれの外端部はそれぞれのダンサーローラー22Lと22Tの周りとそれぞれの剥離ローラー24Lと24Tの周りに通される。それぞれの裏紙30Lと30Tはその後剥離ローラー24Lと24Tでそれらのそれぞれのテープ20Lと20Tから剥離される。S3で、裏紙のそれぞれの外端部はその後、裏紙巻取りリールのコアに結合される。テープ20LSと20TS、即ちそれらのそれぞれの裏紙が剥離されている黒鉛テープの外端部はそれぞれのガイドローラー26Lと26Tに通され、その後積層ヘッド12のそれらのそれぞれの圧縮ローラー28Lと28Tの下に通される。
【0044】
剥離ローラー24Lと24T上のそれぞれのテープ20Lと20Tおよびそれらの粘着裏紙30Lと30Tの運動によりそれぞれのテープと裏紙が異なる方向で動くことができるように剥離ローラー24Lと24Tは構成されている。換言すると、テープおよびそれらのそれぞれの裏紙はそれぞれの剥離ローラー24Lと24Tで相互から離れるように引っ張られる。テープとそれらのそれぞれの裏紙間の相対的な運動の変化は張力を生じ、その張力はテープとそれらのそれぞれの裏紙間の粘着面に作用することができ、それによって後にそれぞれの裏紙巻取りリール16Lと16Tへ巻かれるように裏紙をそれらのそれぞれのテープから剥離する。
【0045】
したがって積層動作期間中、テープ20Lと20Tはそれらのそれぞれのリール14Lと14Tから引出され、それぞれのダンサーローラー22Lと22T上を通過し、その後それぞれの剥離ローラー24Lと24T上を通過する。この点で、図1に示されているように、それぞれの裏紙30Lと30Tはそれぞれのテープストランドから剥離され、装置の裏紙巻取りリール16Lと16Tへ巻かれる。黒鉛テープストランド20LSと20TSはその後、それぞれ対応するガイドローラー26L、26Tとその後の圧縮ローラー28L、28Tへ移動する。裏紙30Lと30Tにより先に保護された(図面ではSで示されている)テープの粘着面はそれぞれの圧縮ローラー28Lと28Tによりワークピースへ適用されるためにほぼ露出されて配置されている。
【0046】
図4のプロセスフロー図に示されているように、積層プロセスは2つのステップS4とS5を含んでいる。これらのステップは黒鉛テープ、したがって関連されるそれぞれのテープ供給リール14L、14T及び裏紙巻取りリール16L、16Tの比較的急激な加速と減速を含むことができる。これらのステップはテープ「付加」ステップS4とテープ「切断」ステップS5と呼ばれることができる。
【0047】
付加ステップS4では、積層マシンの積層ヘッド12、特に圧縮ローラー28Lと28Tはワークピースよりも上方に短い距離だけ移動される。付加の前に、テープ20LSと20TSの端部は圧縮ローラー28Lと28Tから短い距離に配置されることができる。テープの供給はテープの端部がワークピース上の第1の位置、例えば通過が開始されることができるその端部と垂直に整列されるとき、ヘッドを下げる直前に開始することができる。圧縮ローラー28Lと28Tはその後ワークピース上へ下げられ、それによって圧縮ローラーはテープ20LSと20TSのそれぞれの端部の接着面をワークピースへ貼り付ける。付加は「オン・ザ・フライで」行われ、即ち積層マシンとヘッド12がワークピースに関して動かされている間に行われる。テープ供給装置10を含むマシンは高速度で図1の矢印の方向DTでワークピース上に移動されることができ、それによって圧縮ローラーはテープ20LSと20TSの多数のストランドの粘着面「S」をワークピースに加圧し、テープストランドをそこに接着させる。付加ステップ期間に、テープ20Lと20Tはワークピースを横切るマシンの運動により非常に迅速にそれぞれの供給リール14Lと14Tから強制的に剥離されることができ、即ち供給リール14Lと14Tと共に強制的に加速されることができ、したがってテープの張力は積層ヘッド12のローラーがテープ上で滑り、損傷を起こし、または付加の正確性に悪影響することを防止するように正確に制御される必要がある。付加はオン・ザ・フライで行われる(即ち積層マシンは付加位置においてワークピース上で停止しない)ので、付加のタイミングとテープの張力は非常に一貫して制御される必要がある。
【0048】
圧縮ローラー28Lと28Tがワークピースの第2の位置、例えば反対側の第2のエッジを通過するときに通過が終了することができる。通過の終了時に、テープ付加ステップは終了し、切断プロセスS5が開始することができる。切断プロセス期間中、それぞれのナイフ(図示せず)は迅速にテープ20LSと20TSをオン・ザ・フライで、即ちテープが依然として動かされ、ワークピースの第2の位置と一致している間に切断されることができる。切断プロセス期間中、テープ20LSと20TS、したがってそれぞれの供給リール14Lと14Tは非常に急速に減速されることができる。前述したように、テープ20LSと20TSのそれぞれの張力はそれ故不所望な結果を防止するために慎重に管理される必要がある。
【0049】
当業者は正確で確実な高速度の積層プロセスを得るために付加と切断の両プロセス期間中に黒鉛テープ20LSと20TSの張力を正確な制御を維持することが必要であることを認識するであろう。ここで説明する例示的な装置10はこのような正確な制御を行うように適合されることができる。また、装置は供給リール14Lと14Tに巻き付けられる先例のない3.8cm(1.5インチ)幅の黒鉛テープ20を使用することができるが、これらの幅に限定されず、他のテープ幅でも同様に有効に使用されることができる。
【0050】
本発明の装置10はしたがって高速度の積層に必要とされる大量の材料を供給するのに特に適することができる。外形部を積層するとき、複数の狭い状態からなる材料のスワスは前述したように一度の通過で載置されることができる。このプロセスはここでは「ファイバの配置」と呼ばれる。通常の積層装置が経験するファイバ配置の難点の1つは多数の個々のテープの供給を制御することである。特に付加期間中の鋭利な外形におけるテープのブリッジング(bridging)を防止するように積層期間中にテープの適切な張力を維持する場合に、テープは切断および/または他の不所望な状態でオーバーランする。装置10はそれぞれの供給リール14Lと14Tから一貫して配向された黒鉛テープ20Lと20Tを供給することができる。装置はそれぞれの別々の巻取りリール16Lと16Tでそれぞれの裏紙30Lと30Tを除去し集めることができる。装置は能動的にダンサーローラー221Lと22T、供給リールブレーキシステム32Lと32Tを、以下説明する方法でテープの張力及びリールの慣性を正確に管理するように構成されている裏紙巻取りリール張力装置34Lと34Tを制御することができる。装置はしたがって高速度のオン・ザ・フライのテープコースの付加及び切断を使用する積層マシンへ比較的広い黒鉛テープ20の多数のスワスを供給する確実な手段を提供できる。
【0051】
装置10はダンサー22Lと22Tの動作を管理し、積層速度またはリールの慣性とは独立することができる供給リール14Lと14Tの適切な抑制を行うために簡単なオン/オフ能動制御を使用することができる。前述したように、既存の方法により使用されるテープ供給スプールは材料の価格を増加する可能性もある。既存の方法では、黒鉛テープまたは「スリット材料」は最初に裏紙から除去され、薄いプラスティックの「置換用」裏膜がその後、スプールコアに巻き付けられる前にテープに再度与えられる。前述したように、本発明の装置10は元の裏紙30が依然として取付けられているテープ20Lと20Tを使用し、それによって置換用裏膜の必要性をなくすことができる。従来技術の手段の別の欠点は、広い積層スワス幅で必要とされる多数の平行糸巻きされたスプールがここで例えば図1および2に示されている装置10のように並んで積層されることができる大きい直径の狭い幅の供給リール14Lと14Tよりも非常に広い幅を必要とすることである。
【0052】
図1に示されているように、装置10は比較的広いテープ20Lと20T、即ち従来技術のテープ供給装置が限定されている1.27cm(0.5インチ)幅のテープよりも3倍以上の幅を有するテープが巻きつけられる一巻きの供給リール14L、14Tを受けるように設計されることができる。本発明の供給装置10の1実施形態では、それぞれのダンサー22Lと22Tは供給フレーム18上のそれぞれの線形ガイド40Lと40Tに設けられることができる。それぞれの空気圧式アクチュエイタ36Lと36Tはそれぞれの押し棒38Lと38Tを通してそれぞれの力をダンサー22Lと22Tへ与えることができる。簡単なオン/オフ制御はそれぞれのダンサー22Lと22Tに与えられる力を低い値から高い値へ変更することができる。この簡単で能動的な制御機構はそれぞれの供給リール14Lと14Tがオン・ザ・フライの切断中にテープ20Lと20Tに緩みを生まずに停止し、ダンサー22Lと22Tがオン・ザ・フライの付加で最適な位置にあることを確実にする。適切に位置されたダンサーはテープの損傷またはコースの開始の不正確性を生じる可能性がある過度に高い張力をテープで発生せずに付加が実現され、切断がテープのオーバーランなしに実現されることができることを確実にする。
【0053】
したがって、定常状態の積層期間中、空気圧式ダンサー付勢シリンダ36Lと36T、裏紙巻取り引張装置34Lと34T、それぞれのリールブレーキ32Lと32Tにより供給リール14Lと14Tに与えられるブレーキ力はそれぞれの圧縮ローラー28Lと28Tのテープ20LSと20TSの張力を低く一貫して維持するために組み合わせられることができる。圧縮ローラー28Lと28Tの過剰な張力はまたワークピース形成ツール(図示せず)の外形のステップ変化でブリッジングを生じる可能性がある。
【0054】
装置10は全て接着面が下である積層を支持することもできる。前述したように、裏紙30に粘着されている黒鉛テープ20の面「S」は任意の長さの時間、空気及び光に露出されている面よりも大きい貼付力を示している。装置10の検査は全てのテープが一方方向を向いているならば、換言すると粘着面「S」が下向きであるならば、積層性能が改良されることができることを証明した。前述したように図1および2に示されている例示的な構造は積層マシンがスワスの全ての黒鉛テープを粘着面を下にして配置することを可能にすることができる。したがって先行供給リール14Lは内方向を向いている(「紙が内側」)裏紙30Lによって一巻にされることができ、後続リール14Tは外方向を向いている(「紙が外側」)裏紙30Tによって一巻にされることができる。単に裏紙巻取りリール16Lと16Tの位置をミラーリングする代わりに、これらはそれぞれのテープ20Lと20Tが積層マシン方向に供給するときそれぞれ内方と外方を向いている裏紙30Lと30Tを巻き取るようにそれぞれ図1に示されているように位置されることができる。
【0055】
重要なことは、本発明の装置10は比較的広いテープで一巻にされることができる大きな高い慣性の供給リール14Lと14Tを使用するために必要とされる能動制御を行うことができることである。前述したように、既存の手段は1.27cm(0.5インチ)幅のテープの平行糸巻きスプールの使用に限定される。装置10はしたがって低い材料価格と実質的に高い積層速度を有することができる積層システムの基本要素を提供することができる。
【0056】
図5は定常状態テープ積層動作期間中に先行供給リール14Lと、その関連される巻取りスプール16Lのみを示している装置10の一部の拡大された部分的正面図である。図5に示されているように、テープ20Lは最初に積層マシンの積層ヘッド12へ進む前にダンサーローラー22Lの周囲に再誘導される。テープ20Lの張力は図面の右方向に向いた力をダンサー台車42Lに発生することができる。空気圧シリンダ36Lの張力は左方向に向いたテープの張力を部分的のみ平衡することができる台車42Lに力を発生することができる。定常状態の積層期間中、高いブレーキ力を供給リール14Tのリムに選択的に適用するためブレーキレバー46Lに結合されている空気圧付勢シリンダ44Lは消勢されることができ、これによって一体的なブレーキレバーの圧縮ばねは供給リール上に低くて実質的に一定のブレーキ力を発生する。ブレーキ力は移動するテープ20Lに制御された張力を発生できる。テープの張力はそれによって図5に示されているように、十分拡張された位置にダンサーローラー22を保持することができる。前述したように、テープ20Lが積層マシンの剥離ローラー24L上を通過するとき、裏紙30Lはテープ20Lから剥される。裏紙30Lはローラー24Lのアップストリームのテープ20Lに存在した張力の幾らかを吸収でき、テープ20LSの残りの制御された張力は圧縮ローラー28L(図5では見られない)まで延在する。
【0057】
図6は切断動作S5の直後の付加動作の準備がされている状態を示している図5の装置10の先行供給リール14L及び裏紙巻取りリール16L部の拡大された部分的正面図である。テープ20Lが切断されるとき、空気圧ダンサー付勢シリンダ36Lは高い収縮力に切り換えられることができ、これは図6に示されているように、アクチュエイタの付勢ロッド38Lをダンサー台車42Lとダンサー22Lを供給フレーム18に関して左へ収縮させる。このダンサー22Lの運動は、前述したようにリールのブレーキ32Lにより作用する一定の牽引力のために供給リール14Lが減速するとき、テープ20Lの緩みを巻き取ることができる。シリンダ36Lがダンサー22Lをその総移動量の約80%を収縮すると、空気圧アクチュエイタ36Lに位置され、アクチュエイタ36Lに関するダンサー22Lの位置を感知するように構成されているセンサ37により発生される信号は前述したように高い力の空気圧ブレーキシリンダ44Lを付勢するために使用され、これによって迅速に供給リール14Lの回転は抑制される。
【0058】
図7は付加動作期間中を示している図5の装置10の先行供給リール14L及び裏紙巻取りリール16L部の拡大された部分的正面図である。付加の開始時に、ダンサー22L上に空気圧付勢シリンダ36Lにより与えられる力は低い設定に減少されることができる。テープ20Lの張力はその後、図7の大きい矢印DTにより示されているようにダンサー22Lを右へ移動することができる。付加期間中にテープ20Lに与える張力を最小にすることは開始点の正確性と一貫性を改良できる。
【0059】
図8の(A)と(B)は供給リール24Lが回転を抑制されることができる切断動作S5後の図5の装置10の先行供給リール14Lと裏紙巻取りリール16L部の拡大された部分的正面図である。ワークピース上に材料を積層する間、および再配置が動く期間に、積層マシンのヘッド12は図8の(A)に示されているように下に、または図8の(B)に示されているように上に揺れる。切断S5後、リールブレーキ32Lは供給リール14Lの回転を阻止する。図面に示されているヘッド12の揺れ動作は供給リール14Lとヘッド12との間でテープの長さを変化することができるので、ダンサー22Lは積層ヘッド12の揺れ動作期間に一定のテープ張力を一定に維持するのに適切に動くことができる。したがって、それぞれ図8の(A)と(B)に示されているように、積層期間中のヘッド12の回転はテープ20Lの繰出し速度に影響することができる。ヘッド12の回転は供給リール14Lが静止しているときダンサー22Lを動かすことができる。したがってダンサー22Lは切断期間には十分に収縮されず、それによって切断の直後にテープの任意の緩みを巻き取ることができる。
【0060】
ここで説明する例示的な実施形態によれば、装置10は高速度テープ積層マシンの重要な特徴を提供できる。1.27cm(0.5インチ)幅の平行糸巻きされたテープを使用する現在のスプールベースのマシンはより広いテープにより一巻きされた大きい供給リールが取付けられているマシン程高い積層速度を実現できない。したがって、装置10はテープ積層技術をツーリング、設備、材料、装置の価格を減少する高いレベルまで進めることを助ける。
【0061】
特に図面を参照すると、本発明の実施形態を図9に示されている航空機製造及びサービス方法900と図10に示されている航空機902の文脈で説明することができる。製造前の期間に、例示的な方法900は航空機902の仕様及び設計904と、材料の調達906を含むことができる。製造期間中、航空機902のコンポーネントおよびサブアセンブリの製造908とシステムの統合910が行われる。その後、航空機902は914でサービスに使用されるように912で検定と配送をされることができる。カスタマによるサービスでは、航空機902は(変形、再構成、改装等も含むことができる)日常保守と運用916を予定されている。
【0062】
方法900の各プロセスはシステムインテグレータ、第3のパーティおよび/またはオペレータ(例えばカスタマ)により行われるか実行されることができる。この説明の目的で、システムインテグレータは限定ではないが任意の数の航空機製造業者および主要システム下請け業者を含んでもよく、第3のパーティは限定ではないが任意の数の販売者、下請け業者及び供給業者を含むことができ、オペレータは航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織等を含むことができる。
【0063】
図10に示されているように、例示的な方法900により製造された航空機902は複数のシステム920とインテリア922と共に機体918を含むことができる。高レベルのシステム920の例は1以上の推進系924、電気系926、水力系928、環境システム930を含んでいる。任意の数の他のシステムが含まれることができる。航空宇宙の例を示したが、本発明の原理は自動車産業のような他の産業に適用されることができる。
【0064】
ここで実施された装置及び方法は製造及び運用方法900の任意の1以上の段の期間に使用されることができる。例えば製造プロセス908に対応するコンポーネントまたは部品組立品は航空機902がサービス中に製造されるコンポーネントまたは部品組立品に類似の方法で製造されることができる。また、1以上の装置の実施形態、方法の実施形態、またはその組合せは製造段908と910の期間に例えば実質的に航空機920の組立てを促進するかその価格を減少することによって使用されることができる。同様に、1以上の装置の実施形態、方法の実施形態またはその組合せは例えば限定ではないが保守及び運用916を行うために航空機902が運用されている間に使用されることができる。
【0065】
当業者は多くの変形、置換、変形が本発明の技術的範囲を逸脱することなく本発明のテープ供給及び裏紙巻取り装置の応用及び実行方法で行われることができることを認識するであろう。このことに関して、本発明の技術的範囲は、単にその幾つかの例であるここで示し説明した特別な実施形態の技術的範囲に限定されず、以下の特許請求の範囲と機能的等価物の技術的範囲に十分相当しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給リールと、
供給リールに隣接して配置されている巻取りリールと、
供給及び巻き取りリールに関して側方運動のために取付けられているダンサーローラーと、
ワークピースの表面上でのローリング運動に適合されている圧縮ローラーと、
ダンサーローラーと積層ヘッドとの間に配置されている剥離ローラーと、
相互に接着され供給リールに巻き付けられている第1及び第2のストランドを含み、第1のストランドはダンサーローラーと剥離ローラーの周囲、および圧縮ローラーの下方に、供給リールから延在する外端部を有し、第2のストランドはダンサーローラーと剥離ローラーの周囲で、供給リールから延在し、巻取りリールのコアに結合されている外端部を有するテープと、
供給及び巻取りリールの回転とダンサーローラーの側方運動を能動的に制御し、それによってワークピースの表面における圧縮ローラーの運動とその後の第1のストランドの切断の期間中に少なくとも第1のストランドの張力を実質的に一定に維持する機構とを具備している装置。
【請求項2】
テープは供給リールに一回巻かれている請求項1記載の装置。
【請求項3】
第2のストランドはその反対側の面が剥離剤で被覆され、1側面の剥離剤の剥離特性は他方の側面の剥離剤の剥離特性よりも強力である請求項2記載の装置。
【請求項4】
第1のストランドは非硬化樹脂で含浸されている黒鉛ファイバのマトリックスを具備している請求項1記載の装置。
【請求項5】
装置はワークピース方向を向いているその粘着面で第1のストランドを積層ヘッドに供給する請求項1記載の装置。
【請求項6】
第1のストランド張力制御機構は、
ダンサーローラーの側方位置を感知し、前記位置に対応する信号を発生するためのセンサと、
前記ダンサーローラーに結合され、前記センサにより発生された信号に応答して前記ダンサーローラーを側方に動かすように動作可能であるアクチュエイタと、
供給リールに作用し、前記センサにより発生された信号に応答して供給リールの回転を制動するように動作可能であるブレーキと、
巻取りリールに作用し、第2のストランドの張力を実質的に一定に維持するように動作可能である引張装置とを具備している請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記センサはアクチュエイタ中に位置されている近接センサを具備している請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記アクチュエイタは空気圧式アクチュエイタを具備している請求項6記載の装置。
【請求項9】
前記装置はその運動期間中に圧縮ローラーをワークピースの表面を横切るように誘導するように支持フレーム上に配置されており、さらに、
ワークピースの表面を横切るその動作期間中に圧縮ローラーに後続し、第1のストランドの幅だけ先行装置から横方向にオフセットされるように第1の装置に対して隣接して配置されている第2の装置を具備している請求項1記載の装置。
【請求項10】
さらに、巻き付けられた相互に接着された第1及び第2のストランドを具備するテープを有している回転可能に取付けられた供給リールを提供し、
回転可能な巻取りリールを前記供給リールに隣接して取付け、
供給リール及び巻取りリールに関する側方運動のための回転可能なダンサーローラーを取付け、
ワークピースの表面上におけるローリング運動のための回転可能な圧縮ローラーを取付け、
ダンサーローラーと圧縮ローラーとの間に回転可能な剥離ローラーを取付け、
第1のストランドの外端部を前記ダンサーローラーと剥離ローラーの周囲および前記圧縮ローラーの下方へ供給リールから延在し、
第2のストランドの外端部を前記剥離ローラーおよび前記ダンサーローラーの周囲で供給リールから延在し、それを巻取りリールのコアに結合し、
第1のストランドの粘着面が表面に接着されるように、圧縮ローラーをワークピースの表面上でローリングし、
前記圧縮ローラーの運動期間中に第2のストランドを切断し、
前記供給及び巻取りリールの回転と、前記ダンサーローラーの側方運動を能動的に制御し、それによってワークピースの表面における圧縮ローラーの運動およびその後の第1のストランドの切断期間に、少なくとも第1及び第2のストランドの張力を実質的に一定に維持するステップを含んでいる方法。
【請求項11】
前記圧縮ローラーのローリングは、
前記圧縮ローラーによって前記第1のストランドの外端部をワークピース上の第1の位置に貼り付け、
供給リールからテープを剥離するため前記ワークピースの表面上で前記圧縮ローラーをローリングし、
前記ワークピース上における前記圧縮ローラーの運動期間中に、前記圧縮ローラーにより前記ワークピースの表面へテープの粘着面を加圧するステップを含んでいる請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第1のストランドの切断は前記ワークピース上の第2の位置における前記第1のストランドの切断を含んでいる請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記テープは前記供給リールへ一回巻かれる請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記ワークピースの表面への前記第1のストランドの接着面の加圧は、前記ワークピースの表面方向を向いた粘着面でテープを前記圧縮ローラーに供給する請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記供給及び巻取りリールの回転と前記ダンサーローラーの側方運動の制御は、
前記ダンサーローラーの側方位置を感知し、前記位置に対応する信号を発生し、
前記信号に応答して側方に前記ダンサーローラーを動かし、
前記信号に応答して前記供給リールの回転を制動し、
テープからの剥離後、前記第2のストランドの張力を実質的に一定に維持するように前記巻取りリールを回転させるステップを含んでいる請求項10記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−161352(P2009−161352A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−332213(P2008−332213)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】