説明

鼻用医薬製剤およびその使用方法

本明細書では、特定の粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質を含む鼻用医薬製剤を開示する。このようなプロフィールは、経鼻で投与された際に高い生物学的利用能、高い効能、または長期にわたる薬剤物質の治療効果をもたらす。本発明の製剤は、特定の粒子径分布プロフィールを有する1種または複数のコルチコステロイドを含むことができる。好ましい実施形態では、コルチコステロイドは、鼻炎の1つまたは複数の症状を治療するためのベクロメタゾンまたは薬剤として許容されるその誘導体である。薬剤物質はベクロメタゾンジプロピオネートであることが好ましい。本明細書での製剤は経鼻による吸入に適した水性懸濁液として提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質を含む鼻用医薬製剤を対象とする。このようなプロフィールは、経鼻で投与された際に高い生物学的利用能、高い効能、または長期にわたる薬剤物質の治療効果を提供する。別の実施形態では、本発明の製剤は、特定の粒子径分布プロフィールを有するベクロメタゾン(局所抗炎剤)または薬剤として許容されるその誘導体を含む。製剤は、それを必要とする対象に経鼻投与するのに適した水性懸濁液として提供することができる。
【背景技術】
【0002】
薬剤物質の粒子径が、薬物の生物学的利用能および効能に影響を及ぼすことは知られている。微粉砕された薬物を作製する方法は研究されてきており、薬剤組成物中の薬物粒子のサイズおよびサイズ範囲を制御する努力がなされてきた。しかし、従来技術では、経鼻で投与された際に高い生物学的利用能、高い効能、または長期にわたる薬物の治療効果をもたらす特定の粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質は開示されていない。
【0003】
吸入されたコルチコステロイドが、呼吸器疾患または炎症を特徴とする疾患の治療に使用される最も有効な抗炎症投薬の1つであることは知られている。その1つであるコルチコステロイド、ベクロメタゾンジプロピオネート(BDP)は、季節性もしくは通年性鼻炎の治療または予防に特に有用であり、また、季節性もしくは通年性のアレルギー性および非アレルギー性(血管運動神経の)鼻炎に関連した1つまたは複数の症状の緩和にも有用であることが指摘されている。鼻炎は、例えば、空中の刺激物がヒスタミンの放出を引き起こした際に、目、鼻およびのどで発生する反応である。ヒスタミンは、鼻道、鼻洞およびまぶたの脆弱な内膜における炎症および体液の生成をもたらす。ベクロメタゾンなどのコルチコステロイドの使用によって、くしゃみ、鼻閉、鼻汁、および鼻、喉、目および耳のかゆみなどの鼻炎関連症状からの部分的もしくは完全な解放をもたらすことができる。ベクロメタゾンの使用によって、鼻ポリオペクトミー(polyopectomy)を受けた個体での鼻ポリープの再発を遅らせることもできる。再発するこれらのポリープにおいて、ベクロメタゾンは、ポリープのサイズの成長増大を抑制することができる。
【0004】
大部分のコルチコステロイドおよび他の薬剤物質と同様に、BDPは水にごくわずかに溶解する。このような薬剤物質を経鼻で投与する場合、一般にこれらを水溶液中に懸濁させる。しかし、これらの物質を、通常の鼻用スプレーを用いて経鼻で投与した場合、最適量より少ない薬剤物質が、鼻粘膜(標的組織)によって吸収され、残りは嚥下されるか鼻腔から放出される。ある場合には、それほど小さくない粒子は、標的区域にもたらされる前に胃腸管から排出される。最適量の薬剤物質を投与できないことによって、薬剤物質の生物学的利用能および効能は低下する結果となる。
[発明の概要]
本発明は、経鼻で投与された際に高い生物学的利用能、高い効能、または長期にわたる薬剤物質の治療効果を提供する特定の粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質を含む鼻用医薬製剤を対象とする。具体的には、一つの他の実施形態では、本発明の製剤は、約10%の薬剤物質粒子が約0.75ミクロン未満の粒子径を有し、約25%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、約50%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、約75%の薬剤物質粒子が3.5ミクロン未満の粒子径を有し、約90%の薬剤物質粒子が5.0ミクロン未満の粒子径を有し、90%超もしくは約100%の薬剤物質粒子が10ミクロン未満の粒子径を有する粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質(例えば活性成分)を含む。一つの他の実施形態では、薬剤物質はコルチコイドステロイド、好ましくはベクロメタゾンまたは薬剤として許容されるその誘導体である。
[発明の詳細な説明]
本明細書で提供する製剤は、病状、障害または疾患の1つまたは複数の症状を治療し、予防し、かつ/または回復させるために使用される。本明細書では、治療ということは、病状、障害または疾患の症状の1つまたは複数を、回復させる、あるいは有益な形で変える任意の方法を意味する。治療はまた、本明細書の製剤の、薬剤または薬物としての任意の使用も包含する。本明細書では、個々の製剤の投与による個々の障害の症状の回復は、持続的にせよ一時的にせよ、製剤の投与に帰するか関連付けることができる任意の軽減、持続または過渡応答のことを指す。本明細書では、「治療に有効な量」とは、病状、障害または疾患の1つまたは複数の症状を治療し、予防し、かつ/または回復させるのに十分な量の薬剤物質を意味する。それは、工業的基準および/または規制当局の基準に基づく、安全かつ容認できる量の薬剤物質を含むこともできる。
【0005】
一つの他の実施形態では、本明細書で提供する製剤は、個体の呼吸器疾患の1つまたは複数の症状を、治療し、予防し、かつ/または回復させるために使用される。別の実施形態では、本発明は、鼻炎または関連障害の1つまたは複数の症状の治療、予防および/または回復のための製剤であって、特定の粒子径分布プロフィールを有する1種または複数のコルチコステロイドを含む製剤を提供する。別の実施形態では、薬剤物質はベクロメタゾンまたは薬剤として許容されるその誘導体である。薬剤物質はベクロメタゾンジプロピオネートであることが好ましい。驚くべきことに、本発明の粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質は、それを必要とする対象に経鼻で投与した場合、同じ薬剤物質を含む従来の製剤と比較して、薬剤物質の高い生物学的利用能、ならびに高くかつ長期にわたる効能が提供されることを見出した。本明細書で使用するための薬剤物質には、本発明の粒子径分布プロフィールを有し、かつ、そうした物質を、それを必要とする対象に経鼻で投与した場合に、病状、障害または疾患の1つまたは複数の症状を治療し、予防し、かつ/または回復させることができる任意の薬剤化合物が含まれる。
【0006】
投与の様式
本発明の製剤は、任意の通常の形、好ましくは鼻用アプリケータに、好ましくは一定した用量の薬剤物質(例えば活性成分)を供給するような形で投与するために、包装されていてよい。しかし、本発明の製剤は、一定でない用量の薬剤物質を供給するような形での鼻への施用によって投与することができる。様々なタイプの鼻用製剤のためのスプレー投与容器が過去に知られており、ほぼすべてが、等しく本発明の製剤に適している。もちろん、容器に用いられている材料が製剤に適合していることを考慮した上である。薬剤物質および他の適切な構成成分を含む媒体を、小さな瓶または同様の容器に収容することができ、そこから各鼻孔に向けてミストとして分散させることができる。周囲の空気を噴射剤として用い、弾力性のあるプラスチックでできた瓶を作製して、それによって瓶の側面を圧迫するだけで、ノズルを通してスプレーを鼻腔中へ推進することができる。空気は、ユーザが、容器中に空気をポンプで送り、戻りのストロークで液体スプレーを放出させる小さいポンプボタンを操作するポンプスプレー器用の噴射剤であってもよい。あるいは、瓶を、ユーザおよび溶液構成成分に対して不活性であるガスで加圧化することができる。ガスは、加圧下で容器中に溶解させていても、解離による生成物または反応生成物としてのガスを生成する固体材料の解離または反応によって発生させてもよい。使用できるガスには窒素、アルゴンおよび炭酸ガスが含まれる。また、製剤をスプレーまたはエアロゾルで投与する場合、製剤を、これらに限定されないが、数ある噴射剤の中で、ジクロロジフルオロメタンまたはクロロトリフルオロエチレンを含む液体噴射剤で加圧化した容器中に収容することもできる。
【0007】
別の実施形態では、スプレーとして投与するために、本発明の製剤を、適切な微細微粉化装置、例えばポンプ−アトマイザー等の中に配置することができる。微粉化装置は、水性スプレーを鼻孔に供給するための適切な手段を備えてもよい。微粉化装置は、実質的に一定した量の組成物/作動(すなわちスプレー単位当たり)を確実に供給する手段を備えることが好ましい。一実施形態では、その装置によって一定した量が投与される。スプレー組成物は液体噴射剤中に懸濁していても溶解していてもよい。安定剤および/または懸濁剤、および/または共溶媒が存在していてもよい。本明細書の他の実施形態では、本発明の製剤は、それを必要とする対象に定量投与式(metered−dose)スプレーポンプボトルによって経鼻で投与するのに適している。この点で、本発明の製剤は、定量投与式スプレーポンプボトルまたは計量微粉化ポンプ中に事前包装されていてよい。
【0008】
別の実施形態では、本発明の製剤は、液滴の形態で鼻の中に投与するか、または鼻粘膜への局所施用をもたらす任意の方法で投与することができる。経鼻投与のための剤形には、鼻用の液滴の形態での液体担体中の活性化合物の液剤、懸濁剤または乳剤が含まれる。適切な液体担体には、水、プロピレングリコールおよび他の薬剤として許容されるアルコールが含まれる。液滴の形態の投与のためには、製剤は例えば、好ましくは実質的に一定した量の組成物/液滴を供給する、例えばピペットなどを含む通常の点滴器/密封装置を備えた容器中に適切に入れることができる。剤形は必要に応じて殺菌しておくことができる。剤形はまた、必要に応じて保存剤、安定剤、乳化剤もしくは懸濁剤、湿潤剤、浸透圧を変えるための塩またはバッファーなどの補助剤も含むことができる。
【0009】
別の実施形態では、本発明の製剤は粉末の形態で投与することができる。例えば粉末状の鼻用組成物を、単位剤形用の粉剤として直接使用することができる。所望により、粉末を硬質ゼラチンカプセルなどのカプセル中に充填することができる。カプセルまたは単回投与デバイスの内容物を、例えば吸入器を用いて投与することができる。実質的に一定した量の組成物/作動の投与を確実にする手段を備えていることが好ましい。
【0010】
薬剤物質
本発明は、症状、障害または疾患の1つまたは複数の症状の治療、予防または回復のための製剤を対象とする。別の実施形態では、本発明は、鼻炎または任意の他の呼吸器疾患の1つまたは複数の症状を治療、予防または回復するための製剤を対象とする。例えば、本明細書で開示する製剤は、季節性のアレルギー性鼻炎(例えば花粉症)あるいは通年性アレルギー性および非アレルギー性(血管運動神経の)鼻炎の治療に有用である。
【0011】
本発明の製剤での使用に適した薬剤物質には、薬剤として許容される任意の化合物群、あるいは、これらに限定されないが、その任意の塩、エステル、エノール、エステル、エノールエステル、酸、塩基、溶媒和物または水和物を含むその誘導体のいずれかが含まれる。そうした誘導体は、当分野の技術者によって、そうした誘導化のための既知の方法を用いて調製される。さらに、本明細書で提供する製剤および方法での使用のための薬剤物質には、(R)もしくは(S)立体配置のどちらかの不斉中心を含む化合物またはその混合物(例えばラセミ化合物)が含まれる。したがって、本明細書で提供する組成物で使用する薬剤物質には、鏡像異性的に高純度の化合物、またはその立体異性もしくはジアステレオマー混合物が含まれる。本明細書で提供する薬剤物質の不斉中心は、インビボでエピマー化を受けることができることを理解されたい。したがって、当分野の技術者は、インビボでエピマー化を受ける化合物について、その(R)形態での薬剤物質の投与は、その(S)形態での化合物の投与と等価であることを認識されよう。
【0012】
本発明の製剤での使用に適した薬剤物質には、これらに限定されないが、ベクロメタゾンおよび薬剤として許容されるその誘導体のいずれかなどのコルチコステロイが含まれる。本明細書では、ベクロメタゾンの薬剤として許容される誘導体には、任意のその塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、酸、塩基、溶媒和物または水和物が含まれる。このような誘導体は、当分野の技術者によって、そうした誘導化のための既知の方法を用いて調製される。製剤は、ベクロメタゾンジプロピオネートまたはその一水和物を含むことが好ましい。ベクロメタゾンジプロピオネートは、化学名:9−クロロ−11b,17,21−トリヒドロキシ−16b−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ドイン−7,21−ジプロピオネートを有し、以下のものである。
【0013】
【化1】

【0014】
この化合物は、521.25の分子量を有する白色粉末であり、水に非常にわずかに溶解し(医師用卓上参考書、RTM)、クロロホルムによく溶解し、アセトンおよびアルコールに制限なく溶解する。
【0015】
粒子径分布プロフィール
本発明の製剤は、約10%以下の薬剤物質粒子が0.75ミクロン未満の粒子径を有し、約25%以下の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、約50%以下の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、約75%以下の薬剤物質粒子が3.5ミクロン未満の粒子径を有し、約90%以下の薬剤物質粒子が5.0ミクロン未満の粒子径を有し、90%超もしくは約100%の薬剤物質粒子が10ミクロン未満の粒子径を有する粒子径分布プロフィールを有するココルチコステロイド(例えばベクロメタゾンジプロピオネート)を含むことができる。驚くべきことに、上記の範囲に入る粒子径分布プロフィールを有するココルチコステロイド(例えばベクロメタゾンジプロピオネート)を含有する製剤は、それを必要とする対象に経鼻ルートで投与した場合、従来の製剤より優れている高い生物学的利用能、ならびに高くかつ長期にわたる薬物効能を提供することを発見した。
【0016】
本明細書では、粒子径は、数ある技術の中で、沈降場フロー分別、光子相関分光法または円板遠心分離などの当分野の技術者に周知の通常の粒子径測定技術によって測定される平均粒子径を指す。
【0017】
別の実施形態では、本発明の製剤は、約10%の薬剤物質粒子が0.35ミクロン未満の粒子径を有し、約25%の薬剤物質粒子が0.70ミクロン未満の粒子径を有し、約50%の薬剤物質粒子が1.25ミクロン未満の粒子径を有し、約75%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、約90%の薬剤物質粒子が3.0ミクロン未満の粒子径を有し、90%超もしくは約100%の薬剤物質粒子が6.5ミクロン未満の粒子径を有する粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質を含む。薬剤物質はベクロメタゾンジプロピオネートであることが好ましい。
【0018】
本発明の製剤は、約10%の薬剤物質粒子が0.75、0.70、0.60、0.55、0.50、0.40、0.35、0.30、0.25、0.20、0.15、0.10または0.05ミクロン未満の粒子径を有し、約25%の薬剤物質粒子が1.5、1.45、1.40、1.35、1.30、1.25、1.20、1.15、1.10、1.05、1.0、0.95、0.90、0.85、0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、0.55、0.50、0.45、0.40、0.35、0.30、0.25、0.20、0.15または0.10ミクロン未満の粒子径を有し、約50%の薬剤物質粒子が2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、0.9、0.8、0.7または0.6ミクロン未満の粒子径を有し、約75%の薬剤物質粒子が3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5または1.4ミクロン未満の粒子径を有し、約90%の薬剤物質粒子が5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2または2.1ミクロン未満の粒子径を有し、90%超もしくは約100%の薬剤物質粒子が10、9.5、9.0、8.5、8.0、7.5、7.0、6.5、6.0、5.5、5.0、4.5または40ミクロン未満の粒子径を有する粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質を含むこともできる。
【0019】
一つの好ましい実施形態では、本発明の製剤は、約10%の薬剤物質粒子が0.40ミクロン未満の粒子径を有し、約25%の薬剤物質粒子が0.70ミクロン未満の粒子径を有し、約50%の薬剤物質粒子が1.3ミクロン未満の粒子径を有し、約75%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、約90%の薬剤物質粒子が3.0ミクロン未満の粒子径を有し、90%超もしくは約100%の薬剤物質粒子が6.0ミクロン未満の粒子径を有する粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質を含む。
【0020】
別の実施形態では、本発明の製剤は、約10%の薬剤物質粒子が0.60ミクロン未満の粒子径を有し、25%の薬剤物質粒子が0.90ミクロン未満の粒子径を有し、約50%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、約75%の薬剤物質粒子が2.5ミクロン未満の粒子径を有し、約90%の薬剤物質粒子が3.5ミクロン未満の粒子径を有し、90%超もしくは約100%の薬剤物質粒子が6.0ミクロン未満の粒子径を有する粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質を含む。
【0021】
別の実施形態では、90%超もしくは約100%の粒子は、15ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満、より好ましくは8ミクロン未満、最も好ましくは7ミクロン未満の粒子径を有する。他の好ましい実施形態では、粒子の90%超もしくは約100%は4〜7ミクロンまたは5〜6ミクロンの粒子径を有する。他の実施形態では、90%超もしくは約100%の粒子は、10ミクロン未満、好ましくは7ミクロン未満、6ミクロン未満、5ミクロン未満または4ミクロン未満の粒子径を有する。
【0022】
一つの他の実施形態では、そうした水性懸濁液製剤は、鼻道を介した対象への直接投与に適しており、薬剤物質、特にベクロメタゾンを経鼻で投与するための従来技術に優る改善を示す。具体的には、薬剤物質の特定の粒子径分布プロフィールによって、本発明の製剤は、薬剤物質の高い生物学的利用能、ならびに薬剤物質の高い効能および/または長期にわたる治療効果をもたらす。
【0023】
本発明の製剤は水性懸濁液として提供することができる。本明細書では、懸濁液には、これらに限定されないが、液相中における微細で非沈降性の固体粒子の混合物が含まれる。一実施形態では、本発明の製剤は、ドライベースで計算して約0.005%〜約10重量/重量%の薬剤物質を含む水性懸濁液である。別の実施形態では、薬剤物質はベクロメタゾンである。
【0024】
別の実施形態では、本発明の製剤は、ドライベースで計算して約0.005〜約5重量/重量%、または0.01〜約2.5重量/重量%の薬剤物質を含む水性懸濁液である。好ましい実施形態では、製剤は、本発明の特定の粒子径分布プロフィールを有する、ドライベースで計算して約0.025〜約1.0重量/重量%の薬剤物質を含む水性懸濁液である。ここで薬剤物質は好ましくはベクロメタゾンである。製剤は、ドライベースで計算して約0.04〜約0.05重量/重量%の薬剤物質を含む水性懸濁液であることがより好ましい。好ましい実施形態では、薬剤物質はベクロメタゾンジプロピオネートである。
【0025】
好ましい実施形態では、本発明の製剤はドライベースで計算して約0.042重量%のベクロメタゾンジプロピオネートを含む水性懸濁液であり、そのベクロメタゾンジプロピオネートは、約10%の粒子が0.35ミクロン未満の粒子径を有し、約25%の粒子が0.65ミクロン未満の粒子径を有し、約50%の粒子が1.20ミクロン未満の粒子径を有し、約75%の粒子が1.9ミクロン未満の粒子径を有し、約90%の粒子が2.85ミクロン未満の粒子径を有し、90%超もしくは約100%の粒子が6.0ミクロン未満の粒子径を有する粒子径分布範囲を有する。
【0026】
一つの他の実施形態では、本発明の鼻用製剤は、保存剤、懸濁剤、湿潤剤、等張化剤(tonic agent)および/または希釈剤を含むことができる。一実施形態では、本明細書で提供する製剤は、約0.01%〜約90%、または約0.01%〜約50%、または約0.01%〜約25%、または約0.01%〜約10%、または約0.01%〜約5%の1種または複数の薬理学的に適した、経鼻で投与した際に生理学的に許容される懸濁流体を含むことができる。本明細書での使用のために薬理学的に適した流体には、水酸基または他の極性基を含む化合物(これらに限定されないが)を含むがこれらに限定されない極性溶媒が含まれる。溶媒には、これらに限定されないが、水、またはエタノール、イソプロパノールなどのアルコール、およびプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロールおよびポリオキシエチレンアルコールを含むグリコールが含まれる。極性溶媒には、これらに限定されないが、水、1種または複数の薬剤として許容される塩を有する食塩水溶液、アルコール、グリコールもしくはその混合物を含むプロトン性溶媒も含まれる。一つの他の実施形態では、本発明の製剤で使用するための水は、吸入される薬物での使用のために適用される規制要件に適合するか、またはそれを上まわらなければならない。
【0027】
本明細書のある実施形態では、本発明の製剤は約2.0〜約9.0のpHを有する。本発明の製剤は任意選択でpHバッファーを含むことができる。例えば、バッファーは、経鼻で投与する際に生理学的に許容される薬理学的に適した任意の既知のバッファーを含むことができる。製剤のpHを例えば約3.0〜約7.0に維持するようにバッファーを加えることができる。
【0028】
本発明の製剤の一部として、無菌性または妥当な抗菌保持性を備えていてよい。本発明のいくつかの製剤は経鼻で投与しようとするものであるので、病原性生物体が存在しないことが好ましい。殺菌した懸濁液の利点は、懸濁製剤を経鼻で投与した場合、個体中に汚染物を取り込む可能性が低下し、それによって、日和見性の感染の機会を低下させることである。無菌性を達成するのに考えられる方法には、当技術分野で知られている適切な任意の殺菌ステップが含まれる。一実施形態では、薬剤物質(例えばベクロメタゾン)を殺菌条件下で作製し、微粒子化を殺菌環境で実施し、混合および包装を殺菌条件下で実施する。別の実施形態では、本発明の製剤を、殺菌ろ過し、例えば鼻用スプレーデバイスで使用される殺菌した単位用量製剤を提供する単位用量バイアルを含むバイアル中に充填することができる。各単位用量バイアルは、殺菌されていてよく、他のバイアルまたは次の用量は汚染されることなく適切に投与される。一つの他の実施形態では、本発明の製剤の1つまたは複数の構成成分を、蒸気、ガンマ線で殺菌してよく、あるいは、殺菌したステロイド粉末と他の殺菌した構成成分を用いるか、または、適切である場合これらを混合して調製することができる。また、製剤を、殺菌条件下で調製し取り扱うこともでき、包装の前か後で殺菌することもできる。
【0029】
殺菌に加えて、または殺菌の代わりに、微生物汚染の可能性をできるだけ少なくするために、本発明の製剤は、薬剤として許容される保存剤を含むことができる。さらに、本発明の製剤に、薬剤として許容される保存剤を使用して、製剤の安定性を高めることができる。しかし、処理を受ける組織が刺激物に敏感であることもあるので、どの保存剤も、吸入安全を考慮して選択すべきであることに留意しなければならない。本明細書での使用に適した保存剤には、これらに限定されないが、フェニルエチルアルコール、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、または安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩などを含む病原性粒子による汚染から溶液を保護するものが含まれる。本発明の製剤に使用のための保存剤は塩化ベンザルコニウムまたはフェニルエチルアルコールであることが好ましい。ある実施形態では、本明細書の製剤は約0.01重量/重量%〜約1.0重量/重量%の塩化ベンザルコニウム、または約0.01容積/重量%〜約1容積/重量%のフェニルエチルアルコールを含む。保存剤は、組成物の合重量または全体積に対して、約0.01%〜約1%、好ましくは約0.002%〜約0.02%の量で存在することもできる。
【0030】
本明細書で提供する製剤は、約0.01〜約90重量/重量%、または約0.01〜約50重量/重量%、または約0.01〜約25重量/重量%、または約0.01〜約10重量/重量%、または約0.01〜約1重量/重量%の1種または複数の乳化剤、湿潤剤または懸濁剤も含むことができる。これらに限定されないが、本明細書で使用するためのそうした薬剤には、これらに限定されないが、ポリエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート65(ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレートを含むポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステルもしくはポリソルベート;レシチン;アルギン酸;アルギン酸ナトリウム;アルギン酸カリウム;アルギン酸アンモニウム;アルギン酸カルシウム;プロパン−1,2−ジオールアルギネート;アガール;カラギーナン;イナゴマメガム;グアールガム;トラガカント;アカシア;キサンタンガム;カラヤガム;ペクチン;アミド化ペクチン;アンモニウムホスファチド;微晶質セルロース;メチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;エチルメチルセルロース;脂肪酸のカルボキシメチルセルロースナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩;脂肪酸のモノおよびジグリセリド;脂肪酸のモノおよびジグリセリドの酢酸エステル;脂肪酸のモノおよびジグリセリドの乳酸エステル;脂肪酸のモノおよびジグリセリドのクエン酸エステル;脂肪酸のモノおよびジグリセリドの酒石酸エステル;脂肪酸のモノおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル酒石酸エステル;脂肪酸のモノおよびジグリセリドの混合した酢酸エステルと酒石酸エステル;脂肪酸のスクロースエステル;スクログリセリド;脂肪酸のポリグリセロールエステル;ひまし油の重縮合脂肪酸のポリグリセロールエステル;脂肪酸のプロパン−1,2−ジオールエステル;ナトリウムステロイル−2−ラクチレート;カルシウムステロイル−2−ラクチレート;酒石酸ステロイル;モノステアリン酸ソルビタン;トリステアリン酸ソルビタン;モノラウリン酸ソルビタン;モノオレイン酸ソルビタン;モノソルビタンモノパルミテート;キラヤ抽出物;大豆油の二量体化脂肪酸のポリグリセロールエステル;酸化的に重合させた大豆油;およびペクチン抽出物が含まれる。本明細書のある実施形態では、本発明の製剤はポリソルベート80、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはデキストロースを含む。
【0031】
本発明の製剤は、約0.01%〜約90%、または約0.01%〜約50%、または約0.01%〜約25%、または約0.01%〜約10%、または約0.01%〜約1%の1種または複数の薬理学的に適した賦形剤および添加剤をさらに含むことができる。賦形剤および添加剤は一般に薬理学的な活性を有していないか、または少なくとも望ましくない薬理学的な活性を有していない。これらの濃度は選択する薬剤によって異なっていてよい。ただし、これらの薬剤の存在がすることまたはそれが存在しないこと、あるいはその濃度は、本発明の本質的な特徴ではない。賦形剤および添加剤には、これらに限定されないが、界面活性剤、湿潤剤、安定剤、錯化剤、酸化防止剤または当技術分野で周知の他の添加剤を含むことができる。錯化剤には、これらに限定されないが、そのジナトリウム塩などのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、ニトリロ三酢酸およびその塩が含まれる。他の実施形態において、特に本明細書で提供する懸濁製剤では、錯化剤はエデト酸ナトリウムである。一実施形態では、組成物は、約0.05mg/mL〜約0.5mg/mL、または約0.1mg/mL〜約0.2mg/mLの濃度のエデト酸ナトリウムを含む。また、例えば本発明の製剤は、粘膜の乾燥を阻止し、炎症を防止するために、約0.001%〜約5重量%の保湿剤を含むことができる。例えばソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールまたはその混合物を含む、薬剤として許容される様々な保湿剤のどれも用いることができる。
【0032】
本明細書で提供する製剤は、本発明の製剤のいずれかの成分の溶解性を増大させるために、約0.01%〜約90%、または約0.01%〜約50%、または約0.01%〜約25%、または約0.01%〜約10%、または約0.01%〜約10%の1種または複数の溶媒または共溶媒も含むことができる。本明細書で使用するための溶媒または共溶媒には、これらに限定されないが、イソプロピルアルコールを含むアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロールおよびポリオキシエチレンアルコールなどのグリコールなどのヒドロキシル化溶媒または他の薬剤として許容される極性溶媒が含まれる。他の実施形態では、本発明の製剤は、当技術分野で周知の1種または複数の通常の希釈剤を含むことができる。好ましい希釈剤は水である。
【0033】
等張化剤には、これらに限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウムおよび混合物を含むことができる。他の浸透圧調整剤には、これらに限定されないが、マンニトール、グリセロールおよびデキストロースまたはその混合物も含むことができる。別の実施形態では、本発明の製剤は、約0.01〜約10重量/重量%、または約1〜約8重量/重量%、または1〜約6重量/重量%、好ましくは約5.0重量/重量%を含むことができる。好ましい等張化剤は無水のデキストロースである。
【0034】
一つの他の実施形態では、本発明の製剤は安定である。本明細書では、本明細書で提供する製剤の安定性は、薬剤物質、例えばベクロメタゾンの初期量の80%、85%、90%または95%超が製剤中に存在する、所与の温度での時間の長さを指す。例えば、本明細書で提供する製剤は、約15℃〜約30℃で保存して、少なくとも1、2、12、18、24または36ヶ月間安定して保持できる。また、製剤は、25℃で1、2、12、18、24または36ヶ月間を超えて貯蔵した後でも、それを必要とする対象に投与するのに適している。また、別の実施形態では、アレニウスの速度論(Arrhenius Kinetics)を用いて、製剤を、約15℃〜約30℃で1、2、12、18、24または36ヶ月間を超えて保存した後、薬剤物質(例えばベクロメタゾン)の初期量の80%超、または85%超、または90%超、または95%超が残留する。
【0035】
本発明の製剤は、構成成分の溶解を実現するために、環境温度または適切な高温で、本明細書で述べる構成成分を完全に混合することによって、通常の任意の方法で製造することができる。
【0036】
本発明の粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質の調製は、当技術分野で周知の従来の任意の手段、またはそうした手段の若干の修正によって行うことができる。例えば、薬物粒子の懸濁液は、「ジェットミリング」(高圧での液中粒子ミリング)技術にかけると、粒子サイズを迅速に小さくすることができる。粒子径をミクロン程度に小さくするための他の既知の方法には、機械的ミリング、超音波エネルギーの適用および他の技術が含まれる。一つの他の実施形態では、本発明は、治療に有効な量の本明細書で開示の製剤を、それを必要とする対象に投与するステップを含む鼻炎の治療のための方法を提供する。一実施形態では、本発明の方法は、それを必要とする対象に治療に有効な量の薬剤物質を投与することを含む。その薬剤物質は、ベクロメタゾンであり、本明細書で開示の粒子径分布プロフィールを有する。薬剤物質はベクロメタゾンジプロピオネートであることが好ましい。ある実施形態では、対象は哺乳動物である。他の実施形態では対象はヒトである。
【0037】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象に、治療に有効な量の本発明の製剤を投与するステップを含む鼻炎を治療するための方法を提供する。その製剤は本明細書に記載の粒子径分布プロフィールを有する約0.005%〜約5重量%のベクロメタゾンを含む水性懸濁液を含む。ある実施形態では、製剤は殺菌されており、保存剤を含み、かつ/またはこれは安定である。
【0038】
他の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象に、本明細書で開示の製剤を経鼻で投与するステップを含む鼻炎を治療するための方法を提供する。製剤は、鼻用スプレー、好ましくは定量投与式スプレーポンプボトルによって対象に投与することが好ましい。定量投与式スプレーポンプボトルは、ポンプの各作動によって対象に薬剤物質の単一投与量を供給するように、手動で操作することができる。他の実施形態では、本発明の製剤は、鼻用スプレーポンプまたは微粉化スプレーポンプによって投与することができる。
【0039】
別の実施形態では、鼻用スプレーは、水性媒体中に、ドライベースで計算して0.02〜約2.0重量/重量%、好ましくは約0.10〜約0.05重量/重量%、より好ましくは約0.042重量/重量%のベクロメタゾンジプロピオネートに相当するベクロメタゾンジプロピオネート一水和物の微晶質懸濁液を含む、定量投与式手動ポンプスプレー装置(例えば計量微粉化ポンプ)を含む。別の実施形態では、前記懸濁液は、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート80、および0.25容積/重量%のフェニルエチルアルコールを含む。酸、好ましくは塩酸を加えてpHを調整することができる。pHは4.5〜7.0でよい。最初の呼び水(3〜4回の作動)の後、手動式ポンプの各作動によって、鼻用アダプターから、ドライベースで計算して約10μg〜約500μg、または約10μg〜約100μg、または約30μg〜約60μg、好ましくは約40μg〜約50μg、より好ましくは42μgのベクロメタゾンジプロピオネートに相当するベクロメタゾンジプロピオネート一水和物を含む、約10mg〜約1,000mg、好ましくは約100mg〜約500mg、最も好ましくは約100mgの懸濁液を供給することができる。鼻用スプレーの本発明の製剤を含む各瓶は、約20〜600回分の定用量、好ましくは100〜約300回分の定用量、より好ましくは少なくとも200回分の定用量を提供することができる。
【0040】
別の実施形態では、本発明の製剤の投与は、各鼻腔に、1日に1、2、3、4または5度の本発明の製剤の1、2、3、4、5、6、7または8回の吸入を含むことができる。各吸入は、約1μg(mcg)〜約400μg、または約1μg〜約100μg、好ましくは約30μg〜約100μg、より好ましくは30μg〜約80μg、または約30μg〜約50μg、最も好ましくは約42μgを含むことができる。1日あたりの薬剤物質の合計用量は、約10μg〜約4000μg、約10μg〜約1、000μg、約10μg〜約500μg、または約100μg〜約900μg、好ましくは約100μg〜約500μg、より好ましくは約150μg〜約400μgを含むことができる。
【0041】
別の実施形態では、本発明の製剤の投与は、各鼻孔に1日当たり1回、ただ1回だけの吸入を含むことができる。一つの他の実施形態では、本発明の製剤のスタート投与には、1日に1度、各鼻孔中にただ1回だけの吸入を含めることができる。別の実施形態では、そうしたスタート投与は成人の場合に適切である。各吸入は、ドライベースで計算して約5μg〜約100μg、好ましくは約30μg〜70μg、より好ましくは42μgのベクロメタゾンを含むことができる。
【0042】
各鼻孔にただ1回だけの吸入を投与することは、1日当たり各鼻孔により多くの吸入を必要とする従来技術の通常のレジメンより有益であり、かつ有利である。例えば、他の既知の鼻用スプレー製品、例えばベクロメタゾン製品は、各鼻孔に1日に2度、1もしくは2回の吸入(42〜84μg)を必要とする(合計用量、168〜336μg/day)。これに対して、本発明の製剤は、1日に各鼻孔にただ1回だけの吸入でよい。投与量、すなわち1日当たりの吸入を抑えることによって、個体は多分、レジメンまたは決まった投与予定に従って、状態の緩和を十分達成し、それによって、他の通常の治療と比較して患者の生活の質を向上させることになろう。さらに、より少ない吸入を投与することによって、治療の間に他の投薬、例えば他の経口もしくは吸入によるステロイドを摂取するためのより多くの機会が個体にもたらされ、それによって過剰投与または投薬間の交差反応の可能性が低下する。さらに、より少ない吸入を提供することによって、鼻用製剤での薬剤物質への依存性の可能性が低減することになる。さらに、より少ない吸入を投与することによって、各鼻孔への特定の薬剤物質の1日当たり2回以上の吸入に付随する毒性と有害な現象を低減することができる。また、特定の薬剤物質の2回以上の吸入に敏感な個体は、1日当たりただ1回だけの用量を施されることによって利益を受けることになる。
【0043】
本発明の製剤は、製剤の使用のための説明書を含む、任意選択で他の成分を含むキットまたはシステムとして包装することができる。製造物品は、包装材料と、病状、障害または疾患(例えば鼻炎)の1つまたは複数の症状の治療、予防または回復に有用な本明細書で提供する製剤と、製剤が、望ましくなくかつ/または手に負えない鼻炎に関連する疾患または障害の1つまたは複数の症状の治療、予防または回復のために使用されることを示すラベルとを含む。
【実施例】
【0044】
以下の実施例は例示的な目的でのみ示すものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0045】
本発明の製剤(Dey BD)の安全性および効能を評価するために、季節性のアレルギー性鼻炎を有する青年および成人の患者において、二重盲検無作為プラセボ対照試験を実施した。本試験の目的は、(1)季節性のアレルギー性鼻炎(SAR)を有する成人および青年患者において、2週間の治療の間でのプラセボと比較したDey BDの安全性および効能を測定し、(2)成人および青年患者における、2週間の治療の間でのBeconase AQ(登録商標)鼻用スプレーを用いたDey BDの比較可能性を立証することである。現在、Beconase AQ(登録商標)はGlaxoSmithKleinから市販されている。
【0046】
DeyとBeconase AQ(登録商標)はどちらも、水性媒体中で、ドライベースで計算して0.042重量/重量%のベクロメタゾンジプロピオネートに相当するベクロメタゾンジプロピオネート一水和物の微晶質懸濁液を含んでいた。しかし、Dey BD鼻用スプレーで使用するベクロメタゾンは、Beconase AQ(登録商標)に使用されているものとは異なる供給源から誘導および/または購入した。ほかの点では、鼻用スプレーはどちらも、同一の賦形剤と添加剤を同一量含むものであった。また、Dey BD鼻用スプレーおよびBeconase AQ(登録商標)は、同じ定量投与式手動ポンプスプレーを用いて投与した。BD鼻用スプレーとBeconase AQ(登録商標)の両方について、手動式ポンプの各作動によって約42μgのベクロメタゾンジプロピオネートが供給された。
【0047】
試験は米国における2001年秋のアレルギーシーズン(スギ花粉(local fall pollen))の間に実施した。試験期間は3週間であり、2つのフェーズからなるものであった。1週間のベースラインスクリーニング期間の後、2週間の無作為二重盲検治療フェーズが続く。−7日目、1日目、7日目および14日目に外来患者ベースで患者を調べた。初期ベースライン評価は、治療のための無作為化に1週間先行(−7日目±2日間)して行った。患者にまず患者番号を割り当て、次いで、試験参加基準とベースライン評価の完了を基にして適格性をスクリーニングした。適格であれば、次いで患者に、救出投薬としての標準経口抗ヒスタミンと患者総合鼻症状スコア(TNSS)日誌を与えた。患者は日誌に、それぞれ0〜3の尺度で、0は症状なし、3は重度の症状ありとして評価付けした毎日のTNSS(鼻汁、鼻の鼻閉、くしゃみおよび鼻のかゆみについての徴候および症状の総計)と摂取した経口抗ヒスタミンの量を記録した。1週間後、ベースライン評価の最後に、患者を試験サイトに戻し、適格性を再評価した。日誌を完成していないか、または取り込み/除外基準にもはや適合していない患者は中断させた。
【0048】
試験に含めるためには、患者はSARの診断を受けていなければならず、以下の取り込み基準に適合していなければならない。
・スギ花粉に起因する中等度から重度のSARの少なくとも2年間の履歴、
・12才およびそれより年長の個体、
・直近12ヶ月以内にスギ花粉に対するIgE−媒介過敏症が確認されている(陽性の結果を必要とする)、
・ベースライン期間における少なくとも3日間で、最大で12のうち最少で8のTNSS、そのうちの1日は1日目の3日間の中の1日でなければならない、
・免疫療法を受けている場合、試験登録に先行する30日間の安定した維持レジメン、
・全体的に良好な健康状態であること、および疾患にかかっていないか、または試験結果の解釈を妨害する可能性がある併用治療を受けていないこと、
・文書によるインフォームドコンセント/小児同意、および
・試験手順遵守の意志。
【0049】
次いで、すべての基準に適合した患者を5つの治療グループに無作為に分けた。(1)Dey BD鼻用スプレー(0.042%)低用量 各鼻孔に瓶1(Dey BD)の1スプレー、続いて日に2回(朝および夕方)各鼻孔に瓶2(プラセボ)の1スプレー;(2)Dey BD鼻用スプレー(0.042%)高用量 各鼻孔に瓶1(Dey BD)の1スプレー、続いて日に2回(朝および夕方)各鼻孔に瓶2(Dey BD)の1スプレー;(3)Beconase AQ(登録商標)低用量 各鼻孔に瓶1(Beconase AQ(登録商標))の1スプレー、続いて日に2回(朝および夕方)各鼻孔に瓶2(プラセボ)の1スプレー;(4)Beconase AQ(登録商標)高用量 各鼻孔に瓶1(Beconase AQ(登録商標))の1スプレー、続いて日に2回(朝および夕方)各鼻孔に瓶2(Beconase AQ(登録商標))の1スプレー;および(5)プラセボ 各鼻孔に瓶1(プラセボ)の1スプレー、続いて日に2回(朝および夕方)各鼻孔に瓶2(プラセボ)の1スプレー。
【0050】
二重盲検治療フェーズ(1日目〜14日目)は1日に2回の自己投与治療(投与当たり各瓶から各鼻孔中へ1スプレー)からなる。7日目および14日目(または早期終了時)に、患者は試験サイトに戻り、評価を受ける。効能評価は、回顧的および即時的TNSS日次日誌情報、患者および医師全体的評価、ならびに救出投薬の使用を含む。
【0051】
この試験のための一次エンドポイントは、2週間の治療期間にわたる患者の12時間(AMとPMを一緒にした)回顧的TNSSにおけるベースラインからの変化とした。一次エンドポイント分析はDey BD高用量対プラセボの比較であった。TNSSは、日に2回、患者のTNSS日誌カードに記録された鼻汁、鼻の鼻閉、くしゃみおよび鼻のかゆみについての12時間評価スコアの合計からなる。ベースラインは、1日目に先行する7暦日±2からの、ランイン期間12時間(AMとPMを一緒にして)回顧的TNSSの平均と定義した。
【0052】
この試験についての二次エンドポイントは以下の通りであった。
・全期間(overall)(2日目〜14日目)での、患者のAMとPMを一緒にした12時間回顧的TNSSのベースラインからの変化;
・7日目および14日目での、患者のAMとPMを一緒にした12時間回顧的TNSSのベースラインからの変化;
・患者のAM12時間回顧的TNSSのベースラインからの変化;
・患者のPM12時間回顧的TNSSのベースラインからの変化;
・患者のAMとPMを一緒にした12時間回顧的TNSSの濃度曲線下面積(AUC)のベースラインから1週間および2週間ポストベースラインまでの変化;
・患者のAM12時間回顧的TNSSのAUCのベースラインから1週間および2週間ポストベースラインまでの変化;
・患者のPM12時間回顧的TNSSのAUCのベースラインから1週間および2週間ポストベースラインまでの変化;
・患者のAMとPMを一緒にした即時的TNSSのベースラインからの変化;
・患者のAM即時的TNSSのベースラインからの変化;
・患者のPM即時的TNSSのベースラインからの変化;
・SAR徴候および症状の変化の患者の全体的評価;
・SAR徴候および症状の変化の医師の全体的評価;および
・救出投薬の使用。
二次効能エンドポイントをすべての治療グループにわたって比較した。
【0053】
効能に関しては、第1週目および第2週目での一次および二次変数について、12時間(AMプラスPM、一緒にした場合と個別)TNSSでのベースラインからの回顧的変化と即時的変化の両方を、差異の混合効果分析(ANOVA)モデルを用いてグループ全体で比較した。台形法を用いて、12時間(AMプラスPM、一緒にした場合と個別)回顧的TNSSの濃度曲線下面積(AUC)を、ベースライン期間と第1週目および第2週目(2日目〜14日目にわたって)ポストベースラインについて計算した。同様のANOVAモデルを用いて、ベースラインからの変化をグループ全体で比較した。SAR症状におけるベースラインの変化についての患者と医師の全体的評価を、一元ANOVAモデルを用いてグループ間で比較した。救出投薬使用の頻度、ならびに救出投薬を必要とする患者の割合を、フィッシャーの正確確率検定法(Fisher’s exact test)
を用いて、グループ全体で比較した。救出投薬のタブレットの平均個数を、ANOVAモデルを用いて比較した。すべての統計的分析を、インテントトゥトリート(ITT)とパープロトコル母集団の両方について実施した。ITT母集団での欠測値をLOCF法(最直前データ補完解析法:last observation carried forward method)を用いて帰属させた。すべての推測統計を0.05の有意水準で両側対立仮説に対して実施した。
【0054】
合計674名の患者を5治療グループ(136名のDey BD高用量、136名のDey BD低用量、135名のBeconase AQ(登録商標)高用量、129名のBeconase AQ(登録商標)低用量または138名のプラセボグループ)に無作為に分けた。661名(98.07%)の患者は試験を完了し、13名(1.93%)の患者は試験を中断した。中断の最も共通的な理由は、AEおよび同意撤回(それぞれ4名/13名患者、30.77%)であった。患者母集団の85%超は白人であり、60%超は女性であり、グループ全体で33.62〜36.79才の平均年齢であり、8.6〜9.4mmの平均抗原チャレンジ結果を有していた。患者の大部分は陰性のベクロメタゾン使用履歴を有していた(平均範囲=82.61〜87.60%)。
【0055】
すべての積極的治療グループ(Dey BDおよびBeconase AQ(登録商標))は2週間の治療期間でTNSSの減少を示した。どの効能エンドポイントを試験したかにかかわらず(すなわち、12時間の回顧的TNSS、即時的TNSS、AUCの変化)、日数効果(p=0.0000)がTNSSの改善を示したので、治療効果は著しく有意であった。一次および二次効能エンドポイント分析の両方について、Dey BDおよびBeconase AQ(登録商標)高用量グループの両方は統計的にプラセボより優位であり、同様にDey BD低用量およびBeconase AQ(登録商標)低用量治療グループもプラセボより優位であった。日単位での治療相互作用(全期間2日目〜14日目)および週単位での治療相互作用効果は統計的に有意ではなく、治療グループは、TNSSの改善の程度を除いて、試験の期間類似の挙動をしたことを示している。どの効能エンドポイント分析についても、Dey BDとBeconase AQ(登録商標)高用量グループとの間に統計的に差異はなかった。しかし、Dey BD低用量グループは、SARの症状を緩和するのに、Beconase AQ(登録商標)低用量グループより統計的に常に優れていることが判明した。パープロトコル母集団についての分析結果は、すべての効能変数に関して、ITT母集団の分析結果とパラレルである。
【0056】
図1は、ITT母集団における、14日の試験期間にわたるAMおよびPMの回顧的TNSSの経時的なベースラインからの変化を示している。図2は、ITT母集団における、14日の試験期間にわたるAMの回顧的TNSSの経時的なベースラインからの変化を示している。図3は、ITT母集団における、14日の試験期間にわたるPMの回顧的TNSSの経時的なベースラインからの変化を示している。図4は、PP母集団における、14日の試験期間にわたるAMおよびPMの回顧的TNSSの経時的なベースラインからの変化を示している。
【0057】
図1−4では、鼻用製剤の効能は、鼻の症状(例えば鼻汁、くしゃみ、鼻のそう痒および鼻閉)の複合スコアのベースライン(治療前)からの変化(鼻の症状の合計スコア(TNSS)と称する)として表される。TNSSスコアのベースラインからの変化は絶対単位(ベースラインからの割合ではなく)で表される。差異の分析モデル(ANOVA)を用いて、ベースライン(正の値)とベースラインからの変化(症状が改善されていれば負の値)についての最小二乗平均(LS平均値)を得た。LS平均値の負の値が大きくなればなるほど、TNSSの変化(改善)は大きくなった。
【0058】
表1はDey BDにおけるベクロメタゾン粒子の粒子径分布を示す。粒子径はミクロンで表す。表2はDey BDの定量的組成を示す。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
本明細書の図および付属資料は例示的な目的でのみ示すものである。これらは本発明の範囲を限定しようとするものではない。さらに、本明細書で述べた本発明の好ましい実施形態に対する様々な変更および修正が当分野の技術者に明らかであることを理解されたい。本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、かつその付随する利点を減ずることなく、このような変更および修正を行うことができる。したがって、そうした変更および修正は添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。また、本発明は、本明細書で述べた要素またはステップを適切に含むことができ、あるいは本明細書で述べた要素またはステップからなるか、またはそれらから本質的になることができる。本明細書で述べた本発明は、本明細書で具体的に開示されていない任意の要素またはステップを適切に含むことができ、あるいはそれらが存在しなくても本明細書で述べた本発明を適切に実施することができる。さらに、本明細書で述べた1つまたは複数のステップは他のステップと同時に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】ITT母集団における、14日の試験期間にわたるAMおよびPMの回顧的TNSSの経時的なベースラインからの変化を示す。
【図2】ITT母集団における、14日の試験期間にわたるAMの回顧的TNSSの経時的なベースラインからの変化を示す。
【図3】ITT母集団における、14日の試験期間にわたるPMの回顧的TNSSの経時的なベースラインからの変化を示す。
【図4】PP母集団における、14日の試験期間にわたるAMおよびPMの回顧的TNSSの経時的なベースラインからの変化を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療に有効な量の薬剤物質を含む鼻用医薬製剤であって、前記薬剤物質が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.75ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が3.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が5.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有し、前記薬剤物質が経鼻による個体への投与に適している製剤。
【請求項2】
前記薬剤物質が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.50ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が1.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
iv)約75%の薬剤物質粒子が2.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が4.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記製剤が約0.005重量%〜約5重量%の薬剤物質を含む水性懸濁液を含み、前記薬剤物質が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.40ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が0.70ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が1.30ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が3.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記薬剤物質が、
(i)約10%の粒子が0.35ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の粒子が0.65ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の粒子が1.20ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の粒子が1.9ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の粒子が2.85ミクロン未満の粒子径を有し、90%を超える粒子が6.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
前記薬剤物質がベクロメタゾンである請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
前記鼻用医薬製剤が殺菌されている請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
前記鼻用医薬製剤がさらに保存剤を含む請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
前記鼻用医薬製剤が安定である請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
前記製剤が定量投与式スプレーポンプボトルに入っている請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
前記鼻用医薬製剤が約0.01重量%〜約1重量%の薬剤物質を含む請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
前記鼻用医薬製剤が約0.04重量%〜約0.045重量%の薬剤物質を含む請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
鼻炎の1つまたは複数の症状の治療のためのシステムであって、前記システムが、
(a)事前包装された製剤であって、前記製剤が約0.005重量%〜約5重量%のベクロメタゾンを含む水性懸濁液を含み、前記ベクロメタゾンが、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.75ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が3.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が5.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する製剤
を含むシステム。
【請求項13】
前記製剤が安定である請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記製剤が定量投与式スプレーポンプボトルを備えた容器に入っている請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記定量投与式スプレーポンプボトルの各スプレーが、少なくとも約1μgのベクロメタゾンを供給する請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記定量投与式スプレーポンプボトルの各スプレーが、約1μg〜約100μgのベクロメタゾンを送達する請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
個体における鼻炎の1つまたは複数の症状を治療するための方法であって、前記方法が、個体の鼻粘膜に、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.75ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が3.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が5.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質を含む製剤を施用するステップを含む方法。
【請求項18】
前記薬剤物質が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.50ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が1.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が2.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が4.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記製剤が約0.005重量%〜約5重量%の薬剤物質を含む水性懸濁液を含み、前記薬剤物質が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.40ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が0.70ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が1.30ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が3.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記薬剤物質が、
(i)約10%の粒子が0.35ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の粒子が0.65ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の粒子が1.20ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の粒子が1.9ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の粒子が2.85ミクロン未満の粒子径を有し、
(vi)90%を超える粒子が6.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記薬剤物質がベクロメタゾンである請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記鼻用医薬製剤が殺菌されている請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記鼻用医薬製剤がさらに保存剤を含む請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記鼻用医薬製剤が安定である請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記製剤が定量投与式スプレーポンプボトルに入っている請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記鼻用医薬製剤が約0.01重量%〜約1重量%の薬剤物質を含む
請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記鼻用医薬製剤が約0.04重量%〜約0.045重量%の薬剤物質を含む請求項17に記載の方法。
【請求項28】
治療に有効な量の薬剤物質を含む水性鼻用スプレー製剤であって、前記薬剤物質が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.75ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が3.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が5.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有し、
(vi)前記薬剤物質が経鼻による個体への投与に適している製剤。
【請求項29】
前記薬剤物質が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.50ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が1.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が2.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が4.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項28に記載の製剤。
【請求項30】
前記製剤が約0.005重量%〜約5重量%の薬剤物質を含む水性懸濁液を含み、前記薬剤物質が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.40ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が0.70ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が1.30ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が3.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項28に記載の製剤。
【請求項31】
前記薬剤物質が、
(i)約10%の粒子が0.35ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の粒子が0.65ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の粒子が1.20ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の粒子が1.9ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の粒子が2.85ミクロン未満の粒子径を有し、
(vi)90%を超える粒子が6.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項28に記載の製剤。
【請求項32】
前記薬剤物質がベクロメタゾンである請求項28に記載の製剤。
【請求項33】
前記鼻用医薬製剤が殺菌されている請求項28に記載の製剤。
【請求項34】
前記鼻用医薬製剤がさらに保存剤を含む請求項28に記載の製剤。
【請求項35】
前記鼻用医薬製剤が安定である請求項28に記載の製剤。
【請求項36】
前記製剤が定量投与式スプレーポンプボトルに入っている請求項28に記載の製剤。
【請求項37】
前記鼻用医薬製剤が約0.01重量%〜約1重量%の薬剤物質を含み、前記薬剤物質がベクロメタゾンである請求項28に記載の製剤。
【請求項38】
前記鼻用医薬製剤が約0.04重量%〜約0.045重量%の薬剤物質を含み、前記薬剤物質がベクロメタゾンである請求項28に記載の製剤。
【請求項39】
薬剤物質を必要とする個体に鼻腔内投与する際に、前記薬剤物質の効能を向上させる方法であって、前記方法が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.75ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が3.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が5.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質を含む製剤を、個体の鼻粘膜に施用するステップを含み、
(vi)前記薬剤物質が経鼻による個体への投与に適している方法。
【請求項40】
前記薬剤物質が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.50ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が1.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が2.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が4.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項39に記載の製剤。
【請求項41】
前記製剤が約0.005重量%〜約5重量%の薬剤物質を含む水性懸濁液を含み、前記薬剤物質が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.40ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が0.70ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が1.30ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が3.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項39に記載の製剤。
【請求項42】
前記薬剤物質が、
(i)約10%の粒子が0.35ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の粒子が0.65ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の粒子が1.20ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の粒子が1.9ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の粒子が2.85ミクロン未満の粒子径を有し、
(vi)90%を超える粒子が6.0ミクロンの粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項39に記載の製剤。
【請求項43】
前記薬剤物質がベクロメタゾンである請求項39に記載の製剤。
【請求項44】
前記鼻用医薬製剤が殺菌されている請求項39に記載の製剤。
【請求項45】
前記鼻用医薬製剤がさらに保存剤を含む請求項39に記載の製剤。
【請求項46】
前記鼻用医薬製剤が安定である請求項39に記載の製剤。
【請求項47】
前記製剤が定量投与式スプレーポンプボトルに入っている請求項39に記載の製剤。
【請求項48】
前記鼻用医薬製剤が約0.01重量%〜約1重量%の薬剤物質を含み、前記薬剤物質がベクロメタゾンである請求項39に記載の製剤。
【請求項49】
前記鼻用医薬製剤が約0.04重量%〜約0.045重量%の薬剤物質を含み、前記薬剤物質がベクロメタゾンである請求項39に記載の製剤。
【請求項50】
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.40ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が0.70ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が1.30ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が3.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有するベクロメタゾンを含む水性鼻用スプレー製剤。
【請求項51】
前記鼻用スプレー製剤が、定量投与式手動式ポンプスプレー装置中に配置されている請求項50に記載の水性鼻用スプレー製剤。
【請求項52】
前記製剤が、ドライベースで計算して、水性媒体中に約0.042重量/重量%のベクロメタゾンジプロピオネートを含む請求項50に記載の水性鼻用スプレー製剤。
【請求項53】
前記製剤が、以下の化合物、
(a)微晶質セルロース、
(b)カルボキシメチルセルロースナトリウム、
(c)デキストロース、
(d)塩化ベンザルコニウム、
(e)ポリソルベート80および
(f)フェニルエチルアルコール
のうちの1つまたは複数をさらに含む請求項50に記載の水性鼻用スプレー製剤。
【請求項54】
前記鼻用医薬製剤が殺菌されている請求項50に記載の製剤。
【請求項55】
前記鼻用医薬製剤が安定である請求項50に記載の製剤。
【請求項56】
前記製剤が定量投与式スプレーポンプボトル中にある請求項50に記載の製剤。
【請求項57】
前記鼻用医薬製剤が約0.01重量%〜約1重量%のベクロメタゾンを含む請求項50に記載の製剤。
【請求項58】
前記鼻用医薬製剤が約0.04重量%〜約0.045重量%のベクロメタゾンを含む請求項50に記載の製剤。
【請求項59】
呼吸器障害の1つまたは複数の症状に罹患している個体を治療するための方法であって、前記方法が
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.75ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が3.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が5.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(vi)前記薬剤物質が以下の粒子径分布プロフィールを有する請求項59に記載の方法、
(vii)約10%の薬剤物質粒子が0.50ミクロン未満の粒子径を有し、
(viii)約25%の薬剤物質粒子が1.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(ix)約50%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(x)約75%の薬剤物質粒子が2.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(xi)約90%の薬剤物質粒子が4.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する薬剤物質を含む製剤を、個体の鼻粘膜に施用するステップを含む方法。
【請求項60】
前記製剤が約0.005重量%〜約5重量%の薬剤物質を含む水性懸濁液を含み、前記薬剤物質が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.40ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が0.70ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が1.30ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が3.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記薬剤物質が、
(i)約10%の粒子が0.35ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の粒子が0.65ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の粒子が1.20ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の粒子が1.9ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の粒子が2.85ミクロン未満の粒子径を有し、
(vi)90%を超える粒子が6.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項59に記載の方法。
【請求項62】
鼻炎の1つまたは複数の症状に罹患している個体を治療するための方法であって、前記方法が、
(i)個体に、各鼻孔にただ1回のスプレーを、ベクロメタゾンを含む製剤を投与することによって、前記鼻炎の1つまたは複数の症状を回復させるステップを含み、前記スプレーが約5μg〜100μgのベクロメタゾンを含む
方法。
【請求項63】
前記製剤が、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.75ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が3.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が5.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有するベクロメタゾンを含み、前記薬剤物質が経鼻による個体への投与に適している請求項63に記載の方法。
【請求項64】
前記ベクロメタゾンが、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.50ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が1.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が1.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が2.5ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が4.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記ベクロメタゾンが、
(i)約10%の薬剤物質粒子が0.40ミクロン未満の粒子径を有し、
(ii)約25%の薬剤物質粒子が0.70ミクロン未満の粒子径を有し、
(iii)約50%の薬剤物質粒子が1.30ミクロン未満の粒子径を有し、
(iv)約75%の薬剤物質粒子が2.0ミクロン未満の粒子径を有し、
(v)約90%の薬剤物質粒子が3.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記ベクロメタゾンが、
(vi)約10%の粒子が0.35ミクロン未満の粒子径を有し、
(vii)約25%の粒子が0.65ミクロン未満の粒子径を有し、
(viii)約50%の粒子が1.20ミクロン未満の粒子径を有し、
(ix)約75%の粒子が1.9ミクロン未満の粒子径を有し、
(x)約90%の粒子が2.85ミクロン未満の粒子径を有し、90%を超える粒子が6.0ミクロン未満の粒子径を有する
粒子径分布プロフィールを有する請求項63に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−523629(P2006−523629A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504901(P2006−504901)
【出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003314
【国際公開番号】WO2004/091574
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】