齧歯類動物輸送箱
【課題】輸送箱に収容した齧歯類動物が箱内部側から食いつきを行なっても、輸送のための一日や二日などの短期間の収容では食い破りによる孔が開かないようにし、また、輸送箱から齧歯類動物を取り出すときに取り扱い者が指先に怪我を負ったりすることが無いようにし、また、収容している齧歯類動物が箱内部で爪や四肢を引っ掛け難くし、齧歯類動物を安全に収容してその齧歯類動物を箱から簡単に取り出すことのできる輸送箱を得る。
【解決手段】箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12との間に食い破り防止シート13が位置した食い破り防止積層部14を、箱本体2の少なくとも一部分に設けた。
【解決手段】箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12との間に食い破り防止シート13が位置した食い破り防止積層部14を、箱本体2の少なくとも一部分に設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマウスやラットなどの実験に用いられる齧歯類動物を収容して輸送する際に用いる箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、実験用の齧歯類動物を飼育するゲージと称される飼育箱においては、板紙や段ボールの箱内層となる面側に合成樹脂製フィルムを接着剤を介して貼り付けた包材である一枚のブランクを組み起こして箱天部を解放し、箱底部から箱天部にかけてテーパー状に拡開したトレー形態の飼育箱が提案されており、実験使用後にその飼育箱が焼却処分できるようにしたものであった(特許文献1参照)。
また、飼育箱として、板紙や段ボールの箱内層となる面側に合成樹脂製フィルムを積層した包材である一枚のブランクに窓用の孔を打ち抜き、その窓用の孔に合成樹脂製の網を貼り付けていて、飼育前の齧歯類動物を収容して持ち運ぶする際に箱天部を閉じる天板となる部分に、その網入り窓を設けるようにした技術が示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】実公昭62−027095号公報
【特許文献2】実公昭63−040134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで動物生産業者が実験用の齧歯類動物を実験飼育施設などに納入するときに用いる輸送箱においても、上述した飼育箱の場合と同じように包材の構成部材として段ボールを利用したものが採用されていた。そして、納入する場合でも一、二日程度その輸送箱にマウスやラットなどの齧歯類動物を収容させ続けることになり、食い破りを防止するために箱の内部に金網を配した構造となっていた。
図16はその輸送箱の板部となっている部分を断面で示していて、段ボールaの箱内面側に金網bを配置していた。これは段ボールaで箱本体を形成するとともに、内カゴを金網bで形成して箱の内部に落とし込むことで、段ボールaの箱内面側に金網bが重なるものであり、また、段ボールaからなる箱本体の一部分に開口を設け、その開口を箱内方から塞ぐように小さな寸法の金網を配置していて、開口の周辺で段ボールaと金網bとが重なるようにしていた。そして、箱本体の段ボールaと箱内方側の金網bとを、箱外から打ち込んだ金属線のステープルで打ち止めたり、箱内方から塗布したホットメルト接着剤にて接着していた。
【0004】
齧歯類動物の納入を受けた側では上記輸送箱を開いて齧歯類動物を飼育箱などに移し替えることになるが、この輸送箱を取り扱いときにつぎのような問題がある。まず、移し替えをしている作業者が、金網を段ボールに止めている金属ステープルの先端に指先などを引っ掛けて怪我をする可能性があった。
また、所定形状に打ち抜いた金網で内カゴを組んでいるため、また、窓部を箱内方から小さな寸法として金網で覆うものとしたものでは、金網を、窓部の開口に対して一回り程度大きい寸法で単に打ち抜き形成したものであるため、金網の辺に金属線の尖った切断部が突出しており、この部分にも指先を引っ掛けて怪我をする可能性があった。
さらに、齧歯類動物は輸送箱から取り出されるときに箱内側の金網に四肢の爪を引っ掛けて抵抗することが多く、片手で齧歯類動物の体を包み持ってもう一方の手で爪を金網から外してから取り出すようにしているため、この輸送箱から取り出す作業に手間を要している。
【0005】
加えて、輸送箱に収容している状態でもつぎの問題があった。この輸送箱を用いた搬送中は内部で齧歯類動物が動き回っていて、その動き回っている間に内部の金網に爪先や四肢を深く引っ掛けて自分では外せない状態になってしまうこともあり、このような場合にはより注意深く取り外してやる必要があった。
そこで本発明は上記事情に鑑み、輸送箱に収容した齧歯類動物が箱内部側から食いつきを行なっても、輸送のための一日や二日などの短期間の収容では食い破りによる孔が開かないようにするとともに、その輸送箱から齧歯類動物を取り出すときに取り扱い者が指先に怪我を負ったりすることが無いように、さらには、収容している齧歯類動物が箱内部で爪や四肢を引っ掛け難くすることを課題とし、齧歯類動物を安全に収容してその齧歯類動物を箱から簡単に取り出すことのできる輸送箱を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、請求項1の発明は、箱外層に段ボールである紙質材シートが位置し、箱内層に段ボール又は板紙である紙質材シートが位置している積層構成の包材から箱本体が形成されている齧歯類動物輸送箱であって、箱本体に収容する齧歯類動物による食い破りが困難な強度を有する食い破り防止シートが、前記箱外層の紙質材シートと前記箱内層の紙質材シートとの間に位置していて、この箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの間に食い破り防止シートが位置した食い破り防止積層部が、前記箱本体の少なくとも一部分に設けられていることを特徴とする齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0007】
(請求項2の発明)
また、請求項2の発明は、上記食い破り防止積層部には一層の食い破り防止シートが位置しているとともに、食い破り防止積層部における箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの対向面それぞれに接着剤が塗布されていて、 食い破り防止積層部での前記接着剤を介して箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとが前記一層の食い破り防止シートに貼り合わされている請求項1に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0008】
(請求項3の発明)
また、請求項3の発明は、上記食い破り防止積層部には二層の食い破り防止シートが重ね合わされて位置して、前記二層の食い破り防止シートの内の少なくとも一方の食い破り防止シートは多孔部を備えているとともに、食い破り防止積層部における箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの対向面それぞれに接着剤が塗布されていて、食い破り防止積層部での箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとが、前記接着剤を介してそれぞれ接する側の食い破り防止シートに貼り合わされ、かつ、多孔部を備える食い破り防止シートに接する紙質材シートが、前記多孔部を通して他方の紙質材シート側の食い破り防止シートに前記接着剤を介して貼り合わされている請求項1に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0009】
(請求項4の発明)
また、請求項4の発明は、上記食い破り防止積層部には、上記箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとを同寸法に開口し、該開口が重なり合った窓部を設けて、開口から表出した食い破り防止シートで前記窓部が閉じられていて、前記窓部の周りにおける前記食い破り防止積層部が押し潰され、少なくとも箱内層の紙質材シートの開口周縁に亘って、該開口周縁と窓部内の食い破り防止シートとの段差を微小にしてこの開口周縁に対する収容齧歯類動物の噛み付きと爪掛けとが不能な潰れ部が設けられている請求項1から3の何れか一項に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0010】
(請求項5の発明)
また、請求項5の発明は、上記開口で表出する食い破り防止シートの箱内層側または箱外層側に、透明な合成樹脂製シートとパルプシートと不織布との何れかからなる窓部用シートが重ね合わされ、前記窓部用シートと前記食い破り防止シートとで窓部が閉じられている請求項4に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0011】
(請求項6の発明)
また、請求項6の発明は、上記箱外層の紙質材シートと上記箱内層の紙質材シートとの間の一部分に上記食い破り防止シートを位置させて、箱本体の一部分に上記食い破り防止積層部が設けられ、前記食い破り防止積層部には、上記箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとを同寸法に開口し、該開口が重なり合った窓部を設けて、開口から表出した食い破り防止シートで前記窓部が閉じられていて、前記窓部の周りにおける前記食い破り防止積層部が押し潰され、少なくとも箱内層の紙質材シートの開口周縁に亘って、該開口周縁と窓部内の食い破り防止シートとの段差を微小にしてこの開口周縁に対する収容齧歯類動物の噛み付きと爪掛けとが不能な潰れ部が設けられている請求項1に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0012】
(請求項7の発明)
また、請求項7の発明は、上記開口で表出する食い破り防止シートの箱内層側または箱外層側に、透明な合成樹脂製シートとパルプシートと不織布との何れかからなる窓部用シートが重ね合わされ、前記窓部用シートと前記食い破り防止シートとで窓部が閉じられている請求項6に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0013】
(請求項8の発明)
また、請求項8の発明は、上記食い破り防止積層部の周辺の箱外層の紙材質シートには、上記食い破り防止シートを囲む位置に対応して切り取りミシン目などからなる切取部が設けられ、この切取部を切断して紙質材シートを除去することにより前記食い破り防止シートの取り外しが可能な構成を有する請求項6または7に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0014】
(請求項9の発明)
また、請求項9の発明は、上記切取部の外側の近傍位置で、上記箱外層の紙質材シートと箱内層の紙材質シートとが接着剤を介して接着されている請求項8に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0015】
(請求項10の発明)
また、請求項10の発明は、上記食い破り防止シートは、金網と合成樹脂製網と合成樹脂製シートとの何れかである請求項1から9の何れか一項に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0016】
(請求項11の発明)
また、請求項11の発明は、上記箱本体は、箱底部からフラップの開閉により開閉可能な箱天部に向けてテーパー状に拡開されていて、上位の箱本体が、フラップを開いた箱天部から箱内部に入る積み重ねが可能に設けられている請求項1から10の何れか一項に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0017】
また、請求項12の発明は、段ボールである箱外層用の紙質材シートと、段ボール又は板紙である箱内層用の紙質材シートとを対向させ、この箱外層用の紙質材シートと箱内層用の紙質材シートとの対向面それぞれの少なくとも一部分に接着剤が設けられていて、前記箱外層用の紙質材シートと箱内層用の紙質材シートとの間に、齧歯類動物による食い破りが困難な強度を有する食い破り防止シートを位置させ、前記箱外層用の紙質材シートと前記食い破り防止シートと前記箱内層用の紙質材シートとを重ね合わせ状態でプレス圧着して包材を形成し、前記包材から箱形成用のブランクを打ち抜いて、製函貼り合わせ部分に接着剤を塗布し、雌型と雄型との間に前記ブランクを配して雌型と雄型との型締めによりブランクを組み起こして、前記食い破り防止シートが箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの間に位置してなる食い破り防止積層部を備えて、箱底部から箱天部に向けてテーパー状に拡開している箱形状に製函することを特徴とする齧歯類動物輸送箱の製造方法であり、この齧歯類動物輸送箱の製造方法を提供して上記課題を解消するものである。
【発明の効果】
【0018】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、箱内層の紙質材シートと箱外層の紙質材シートとの間に食い破り防止シートが位置しているので、従来の金網を金属ステープルで止め付ける必要がなく、収容している齧歯類動物を取り出すときに取扱者が指先をステープルの針先などに引っ掛けることがない。
また、箱内層に段ボールや板紙の紙質材シートが位置して食い破り防止シートが覆われる状態になるため、収容している齧歯類動物が爪や四肢を食い破り防止シートに引っ掛けることがなく、輸送時時に齧歯類動物が爪や四肢を深く引っ掛けたりすることを防ぎ、取扱者が齧歯類動物を輸送箱から取り出す際にも簡単に取り出すことができるようになる。
なお、齧歯類動物は歯が引っ掛る部分に対して、食い破りを行なう習性がある。よって、箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとが直接接合している部分が存在しても、その接合部分の内面は平坦であって歯を立てることができず、食い破ろうとする対象にはならない。そのため、本齧歯類動物輸送箱は、輸送する一日、二日程度の短期間の収容において、逃げ出すことのできる大きな孔を食い破りにより開けることができないものである。よって、食い破りを行なう可能性がある箱側面などの部分的な箇所を選択して食い破り防止積層部を配するようにしてもよい。
【0019】
(請求項2の発明の効果)
請求項2の発明によれば、箱外層の紙質材シートと食い破り防止シートと箱内層の紙質材シートとの貼り合わせが接着剤を用いて行なわれるため、三者の積層状態が強固なものとなる。
【0020】
(請求項3の発明の効果)
請求項3の発明によれば、箱外層の紙質材シートと食い破り防止シートと箱内層の紙質材シートとの貼り合わせが接着剤を用いて行なわれるため、三者の積層状態が強固なものとなる。そして、食い破り防止シートは二層としているため、仮に箱内層側から食い破りを始めるようなことがあっても孔の形成をより確実に防止することできる。そのため、食い破りを行なう可能性がある箱側面などの部分的な箇所において、食い破り防止シートを二層とした食い破り防止積層部を配するようにしてもよい。
【0021】
(請求項4の発明の効果)
請求項4の発明によれば、窓部を備えているので、この窓部に表れる食い破り防止シートとして、通気性のあるものや箱内部を覗くことのできるものを選択することで、その窓部を、輸送時に箱内外の環境を同じにするための部分や箱内部観察をするため部分とすることができ、齧歯類動物輸送箱がより有用なものとなる。そして、その窓部の周辺に潰れ部が設けられているため、歯立てや爪立てができず、窓部周りで食い破りによる孔形成や爪を立てた孔形成を防止できる。
【0022】
(請求項5の発明の効果)
請求項5の発明により、窓部用シートを透明な合成樹脂製シートとすれば、窓部を箱内部を観察する部分として利用でき、パルプシートや不織布とすれば、通気用の部分として利用でききる。また、各態様の何れにおいても、箱内部からの齧歯類動物の毛が窓部を通して外部に飛散するのを防止する効果がある。
【0023】
(請求項6の発明の効果)
齧歯類動物輸送箱において窓部を有している場合、収容している齧歯類動物がその窓部に興味を強く引き、窓部周りに噛み付きや爪立てをする可能性がある。そこで、請求項6の発明によれば、箱本体の一部分として窓部周りを食い破り防止積層部を配しているので、食い破り防止シートを小形のものとすることができ、箱の材料コストを低減できる。
【0024】
(請求項7の発明の効果)
請求項7の発明により、窓部用シートを透明な合成樹脂製シートとすれば、窓部を箱内部を観察する部分として利用でき、パルプシートや不織布とすれば、通気用の部分として利用でききる。また、各態様の何れにおいても、箱内部からの齧歯類動物の毛が窓部を通して外部に飛散するのを防止する効果がある。
【0025】
(請求項8の発明の効果)
請求項8の発明によれば、決死鶴居動物輸送箱を廃棄処分する時に、紙質材シートと窓部にある食い破り防止シートとの分別が容易に行なえるようになり、それぞれの材質に適切な処分方法を取ることができる。
【0026】
(請求項9の発明の効果)
請求項9の発明によれば、箱外層の切取部に沿って箱外層の紙質材シートを切取り除去するときに、切取部より外側の箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの間が開くのを防止できる。
【0027】
(請求項10の発明の効果)
請求項10の発明によれば、食い破り防止シートは、金網や合成樹脂製網や合成樹脂製シートとしているので、いずれも薄物とすることができるものであり、箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの重ね合わせをしても、包材の厚さが大きくなることを避けることが容易である。また、重ね合わせた状態での折り曲げ加工なども支障なく行なえる。
【0028】
(請求項11の発明の効果)
請求項11の発明によれば、未使用や使用後の多数の箱本体を積み重ねしても嵩張ることがなく、空である多数の齧歯類動物輸送箱の保管に広いすベースを確保する必要がなくなる。
【0029】
(請求項12の発明の効果)
請求項12の発明によれば、箱本体が箱底部から箱天部にかけてテーパー状の拡開した齧歯類動物輸送箱が得られ、空である未使用の箱を積み重ねしても嵩張ることがなく、多数の齧歯類動物輸送箱の保管に広いすベースを確保する必要がなくなるなどの実用性に優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
つぎに本発明を図1から図13に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
(箱の形態)
図中1は齧歯類動物輸送箱で、該齧歯類動物輸送箱1は箱本体2を箱底部3から箱天部4にかけてテーパー状に拡開した形状としたものであり、図2で箱本体2を展開したブランクで示すように、底面板5の四辺それぞれに折り部を介して側面板6を連接し、この四方の側面板6を外方に傾斜した状態に折り起こしされていて、一方の対向位置にある側面板6、図示の例では箱本体2の長手方向に沿った側面板6の端部に連接されている糊代板7が、他方の対向位置にある側面板6の箱外方側となる面に折り重ねられて貼り付けられている。即ち、それぞれ外方傾斜して隣り合う側面板6の内、一方の側面板6の端部にある糊代板7が他方の側面板6の箱外面側に折り重なって接着剤を用いて貼り合わされている。
さらにテーパー状に拡開した形状の箱本体2の箱天部4は、長手方向に沿う側面板6それぞれに折り部を介して連接して開閉できるフラップ8で閉じられている。そして、このフラップ8を開いたり閉じたりすることで箱本体の箱天部4が開閉可能とされ、フラップ8を上方に開いて箱内部に齧歯類動物を入れたり取り出したりし、齧歯類動物を収容した後にはこのフラップ8を閉じることで箱天部4が閉鎖される。
箱本体の長手方向に直交する方向の側面板6には、閉じた上記フラップ8を下方から受けるための受けフラップ9が連接されて箱内方に向けて折り曲げられている。
さらに、本齧歯類動物輸送箱1には、箱本体2の一部分には窓部10を配していて、四方の側面板6それぞれに窓部10が位置している。
【0031】
齧歯類動物輸送箱1の箱本体2は、箱外層に段ボールからなる紙質材シート11が位置するとともに、箱内層に同じく段ボールからなる紙質材シート12が位置していて、この箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とが対向した積層構成を有する包材からなるものであり、箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12との間に、箱本体に収容する齧歯類動物による食い破りが困難な強度を有する金網などからなる食い破り防止シート13を位置させて積層した食い破り防止積層部14を備えている。
上記齧歯類動物輸送箱1は、糊代板7とフラップ8と受けフラップ9とを含む箱本体2の各板部のすべての部分に上記食い破り防止シート13が位置している。そして、上記窓部10の位置では箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とを開口し、その開口から前記食い破り防止シート13が表出しており、よって、図1に示す例の齧歯類動物輸送箱1では窓部以外の部分を食い破り防止積層部14としているものである。
【0032】
(包材の製造)
製函して箱本体2とするブランクを得るための包材を製造するに際しては、まず、上述したように段ボールである箱外層用の紙質材シート11と同じく段ボールであって箱内層用の紙質材シート12とを重ね合わせて、窓部10を得るための開口15を打ち抜き形成する。なお、箱内層用、箱外層用それぞれの紙質材シートとする段ボールは枚葉の形態である。
つぎに、箱外層用の紙質材シート11の箱内層側となる面の全面に接着剤を塗布するとともに、箱内層用の紙質材シート12の箱外層側となる面の全面に接着剤を塗布する。そして、箱外層用の紙質材シート11と箱内層用の紙質材シート12とを接着剤16の塗布部分が互いに面するように対向させるとともに、その間に金網からなる食い破り防止シート13を位置させ(図4)、これらを重ね合わせた状態でプレス圧着する。これによって窓部10を除く部分を繰り破り防止積層部14とした平坦な包材が形成される。
【0033】
窓部10の周りで形成されている食い破り防止積層部14については上記プレス圧着でのプレス圧が高められていて箱内層側から押し潰された形状に設けている。このように窓部10の周りの食い破り防止積層部14に高いプレス圧を加えて押し潰して、図5に示すように、箱内層側となる紙質材シート12の開口15の開口周縁に亘って、この開口周縁と開口15から表出する食い破り防止シート13(窓部内の食い破り防止シート)との段差を微小にした潰れ部17が形成されている。なお、窓部10の周りの食い破り防止積層部14に対してその厚さ方向から高いプレス圧を加えて潰れ部17を形成しており、箱外層側となる紙質材シート11の開口15の開口周縁に亘ってもこの潰れ部17が形成される。
上記潰れ部17は、製函された齧歯類動物輸送箱1に収容した齧歯類動物が、箱内層の紙質材シート12の開口周縁に対して歯を立てることができないように、また爪を掛けができないようにしているものであり、齧歯類動物の噛み付きと爪掛けとを不能にした潰れ部17が窓部10の周りに位置し、その窓部10の周りで孔を形成させないようにしている。
【0034】
(ブランクの形成)
つぎに、プレス圧着により作製された上記包材から、齧歯類動物輸送箱形成のためのブランクを打ち抜いて、図2に示すブランクを得る。なお、上記窓部10が上記各側面板の定められた位置となるように前記ブランクの打ち抜き形成が行なわれる。また、製函貼り合わせ部分(糊代板とこの糊代板に対向する部分)には、つぎに説明する製函の前に接着剤を塗布する。
【0035】
(製函)
つぎに、雄型と雌型とからなる金型の型締めにより製函をする型締め製函装置に上記ブランクを装填する。前記装置では、開いた雄型と雌型との間にブランクが配置されていて、図6に示すように、雄型Aと雌型Bとの型締めによるブランクの雌型側への押し込みで、上記底面板5の周りの側面板6の折り起こしと、隣り合う側面板6同士での一方の側面板6の糊代板7を他方の側面板6に重ね合わせて貼り付ける糊代板の接着とを行なうものであり、これによって、齧歯類動物輸送箱1の箱本体が箱底部から箱天部にかけてテーパー状に拡開した形状に製函される。なお、この時点ではフラップ8、受けフラップ9は箱内方に折り倒されず、箱天部は開放されている。
【0036】
(積み重ね)
上述したようにブランクに対する組み起こしと側面板相互の貼り合わせによって得られる未使用の齧歯類動物輸送箱1は、上述したように箱本体2が箱底部から箱天部に向けてテーパー状に拡開した形状に設けられ、そして箱天部4が閉じられていないため、未使用である多数の齧歯類動物輸送箱を保管する場合などにおいて、それぞれテーパー形状に開いた側の向きを揃えて複数の箱本体を上下に配し、図7に示すように上位の箱本体2が、箱天部4を開いた下位の箱温帯2に入るように重ね積みすることができる。
本齧歯類動物輸送箱に対して、従来の輸送箱や飼育箱では、図8に示されているように箱本体2′が箱底部側に向けて拡径する形状であったり(図8(a))、直方体であり(図8(b))、順に嵌め込む形態で積み重ねることができず、保管に際して広い空間を占めるものとなっていた。
【0037】
(齧歯類動物輸送箱の第一の例)
フラップ8と受けフラップ9とを箱内方には折り倒さずに製函された齧歯類動物輸送箱1は、前記受けフラップ9を箱内方に折り倒してからフラップ8を折り倒すことで箱天部4が閉じた箱が得られる。この齧歯類動物輸送箱1は、四方の側面板6の窓部10が金網の食い破り防止シート13で覆われ、その他の部分を食い破り防止積層部14とした箱となり、この箱内部に齧歯類動物を収容すれば、窓部10から収容された齧歯類動物の様子を簡単に観察することが可能となる。
この齧歯類動物輸送箱1において、窓部10以外の部分、即ち、食い破り防止積層部14では箱内層の紙質材シート(段ボール)によって、金網からなる食い破り防止シート13を覆っているので、輸送時に齧歯類度物が動き回って爪や四肢を深く引っ掛けて自分では外せなくなるということが生じない。勿論、窓部10を閉じる形で位置している食い破り防止シート13には爪や四肢を引っ掛けることがあるが、外方側も開口として開放されているため、自分で外せなくなるという事態になることはない。
食い破り防止シート13は金網であり、齧歯類動物の輸送に要する一日や二日程度の短期間の収容では、直接食い破りを行なったとしても破れることはない。
【0038】
齧歯類動物は歯や爪が立たない平面部分に初めからかじりつく習性はなく、窓部周りで歯や爪を立てる可能性はあるが、上述したようにこの部分に潰れ部17を設けて、噛み付きと爪立てを不能にしているので、本齧歯類動物輸送箱1は収容の齧歯類動物による食い破りが確実に防止できる。
また、本齧歯類動物輸送箱1から齧歯類動物を取り出すときにも爪や四肢を引っ掛けて抵抗する部分は窓部10の食い破り防止シート13の金網の部分しかなく、仮にその窓部10の食い破り防止シート13に爪や四肢を掛けていても外すことが容易であり、齧歯類動物の取り出すのが簡単になる。さらに、箱内方には金網の切断縁が表出しないため、作業者が指先などを引っ掛けて怪我をするということもない。
【0039】
(齧歯類動物輸送箱の第一の例の変形)
上記実施の例の齧歯類動物輸送箱1では窓部を設けたが、この窓部を設けないようにすることも可能である。
また、上記箱内層の紙質材シート12は段ボールである必要はなく、例えば段ボール原紙であるライナーなどの板紙としてもよく、この場合、窓部10の箱内層の紙質材シート12の開口周縁に潰れ部を設ける必要はない。なお、以下に示す各例において、箱内層の紙質材シート12を段ボールとしているが、これらの例においても前記板紙を用いるようにしてもよい。
【0040】
(齧歯類動物輸送箱の第二の例)
上記齧歯類動物輸送箱1の第一の例において、食い破り防止シート13を一層として金網を用いたものを示したが、一層の食い破り防止シート13としては合成樹脂製網を用いてもよく、箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とが上記接着剤を介してこの合成樹脂製網からなる食い破り防止シート13に接着し、また、金網を用いた場合やこの合成樹脂製網を用いた場合も、網目を通した接着剤相互の接着も行なえるものとなる。
また、合成樹脂製網からなる食い破り防止シート13が窓部10を閉じるように位置すれば、上記第一の例と同じようにその窓部10から箱内を観察できる観察窓として窓部を利用できる。さらに、金網の網目も合成樹脂製網の網目も多孔であり通気部の役割を果たすことができ、窓部10を通気窓として構成することが容易になる。
なお、齧歯類動物の箱内収容が一日や二日程度であるため、上記合成樹脂製網として、前記収容期間で齧歯類動物が直接噛み付きしても切断しない強度を有するものが簡単に入手できる。
【0041】
(齧歯類動物輸送箱の第三の例)
さらに、上記食い破り防止シート13を一層の合成樹脂製シートとしてもよい。そして、この合成樹脂製シートを透明なシートにし、食い破り防止シート13が窓部10に位置すれば、上記第一の例と同じようにその窓部10から箱内を観察できる観察窓として窓部を利用できる。
なお、上記合成樹脂製シート自体は、齧歯類動物の箱内収容が一日や二日程度であるため、この収容期間で齧歯類動物が直接噛み付きや爪立てしても切断しない強度を有するものとする。素材としては表面強度に優れるポリエステル製シートやポリカーボネート製シートが良好である。
【0042】
(齧歯類動物輸送箱の第四の例)
上記実施の例において箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12との間に食い破り防止シート13を配して積層した食い破り防止積層部14では、食い破り防止シート13を一層としたが、この食い破り防止シート13を二層としてもよい。
図9はその例を示していて、箱外層の紙質材シート11側にその紙質材シート11の接着剤16を介して接着する合成樹脂製シートからなる食い破り防止シート13が位置し、箱内層の紙質材シート12側にその紙質材シート12の接着剤16を介して接着する金網からなる食い破り防止シート13が位置している。
そして、多孔である金網の食い破り防止シート13に接着している箱内層の紙質材シート12は、その紙質材シート12の接着剤16が、金網の食い破り防止シート13の孔(網目)を通ることで、もう一方の食い破り防止シート(合成樹脂製シート)13にも接着されている。
【0043】
このように食い破り防止積層部14において、食い破り防止シート13を二層としても、箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とを、それぞれに塗布されている接着剤16を介してそれぞれ接する側の食い破り防止シート13に貼り合わせ、さらに、多孔部を備える食い破り防止シート(本例の場合、金網とした食い破り防止シート13)に接する紙質材シート(本例の場合、箱内層の紙質材シート12)が、多孔部(金網の網目)を通して他方の紙質材シート(本例の場合、箱外層の紙質材シート11)側の食い破り防止シート(本例の場合、合成樹脂製シートとした食い破り防止シート13)に前記接着剤16を介して貼り合わせればよく、膨らみなどを生じさせることなく均一な厚さの食い破り防止積層部14となる。
【0044】
図10に示すように、窓部10の周りの食い破り防止積層部14においても上記実施の例と同じように高いプレス圧を加えて潰れ部17を設けている。窓部10では箱外方側に合成樹脂製シートの食い破り防止シート13が位置し、この窓部10を金網の食い破りシートとともに閉じることになる。この合成樹脂製シートを透明シートとすれば、窓部10を通して箱内部を観察することができる。さらに、合成樹脂製シートの食い破り防止シート13により箱内部に収容の齧歯類動物の毛が窓部10を通して外部に飛散するのを防止している。
なお、この例では食い破り防止積層部14での食い破り防止シート13が二層となっている例を示し、そして箱外方側の食い破り防止シート13を合成樹脂製シートとしたものであるが、上述した食い破り防止積層部14の食い破り防止シート13を金網または合成樹脂製紙からなる一層の食い破り防止シート13を有する構成の変形として、箱外方側に食い破り防止機能を有しない透明な合成樹脂製シートやパルプシート、不織布などの窓部用シートを配してもよく、この場合、窓部10に金網の食い破り防止シート13とともに、透明な合成樹脂製シート、パルプシート、不織布のいずれかかなる窓部用シートを箱外方に位置するようにしてもよい。勿論、この窓部用シートは窓部のみに対応するように配置したり、食い破り防止シート13と同様に全域に配置してもよい。
【0045】
(齧歯類動物輸送箱の第五の例)
上記各実施の例では、食い破り防止シート13が箱本体2の全域に亘って配されていて、窓部10以外の部分が食い破り防止積層部14としているものであるが、本発明は以上の例に限定されるものではなく、食い破り防止積層部14を箱本体の一部分のみに設けるようにしてもよい。
上述したようにこの齧歯類動物輸送箱1に収容する齧歯類動物は歯や爪が掛からない平面に対しては噛み付きをしない習性を有するものであることから、箱本体2において噛み付きをする箇所として窓部10の周りが可能性が高くなる。
そこで、限定した食い破り防止積層部14にて窓部10側での食い破りを防ぐようにした例を以下に示す。
図11は齧歯類動物輸送箱1の第五の例を示している。この例では、各側面板6において、箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12との間の一部分に、金網からなる一層の食い破り防止シート13を位置させて、各側面板6の一部分に食い破り防止積層部14が設けられている。そして、この食い破り防止積層部14で囲まれるようにして箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とを同寸法に開口し、該開口15が重なり合った窓部10を設けている。開口15から表出した金網の食い破り防止シート13がこの窓部10を閉じており、各側面部6の窓部10それぞれに位置する前記食い破り防止シート13を通して箱内部を観察することができるようにしている。
さらに食い破り防止積層部14の周辺において箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とが接着剤16を介して貼り合わされている。食い破り防止積層部14での箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とは互いに対向面側には接着剤が塗布されておらず、前述のように食い破り防止積層部14の周りで接着されている箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とで、食い破り防止シート13が挟持されている。
【0046】
窓部10の周りの上記食い破り防止積層部14には、上記実施の例と同じように高いブレス圧が加えられている。このプレス圧が加えられていることによって、窓部10の周りの食い破り防止積層部14が押し潰され、箱内層の紙質材シート12の開口周縁に亘って、この開口周縁と窓部内の食い破り防止シート13との段差を微小にした上記潰れ部17が設けられている。この潰れ部17は上述した実施の例と同じように、開口周縁に対する収容齧歯類動物の噛み付きと爪掛けとを不能にするものであり、窓部10の周りでの食い破りを確実に防止する。
【0047】
この第五の例では食い破り防止シート13を金網としているが、これを合成樹脂製網としてもよく、また、食い破りを困難とする強度を備えた透明な合成樹脂製シートとしてもよい。
【0048】
(食い破り防止シートの分別)
そして、この第五の例においては、使用済みの齧歯類動物輸送箱1を廃棄するときに、上記食い破り防止積層部14での食い破り防止シート13を取り外し易くした工夫が施されている。
図11と図12に示すように、各側面板6での食い破り防止積層部14の周辺にして箱外層の紙質材シート11には、食い破り防止積層部14での食い破り防止シート13を囲む位置に対応して、箱外層の紙質材シート13を貫通する切り取りミシン目を入れてなる切取部18が設けられている。
上述したように食い破り防止積層部14での箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とは互いに接着されていないことから、前記切取部18の位置から箱外層の紙質材シート13を切断して除去すれば、図13に示すように食い破り防止シート13の全体が現れて、取り外すことができるようになり、食い破り防止シート13を紙質材シート11、12と分別することができる。
切取部18の外側の近傍位置で、箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とが接着されているので、仮にこの切取部18に囲まれている箱外層の紙質材シート11を取り除く際、切取部18に囲まれた箱外層の紙質材シート11を引き穿くような引っ張っりを行なっても、切取部18の外側の箱外層の紙質材シート11が連れて引っ張られることがなく、切取部18の位置で確実に切断されるようになる。
【0049】
(齧歯類動物輸送箱の第五の例の変形)
上記第五の例では、窓部10および窓部10の周りに亘る領域において箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12との間に一層として金網からなる食い破り防止シート13を配置したが、この一層の食い破り防止シート13が金網に限定されるものではなく、食い破りを困難にする強度を有した合成樹脂製網や透明の合成樹脂製シートを採用することが可能である。また、図14に示すように食い破り防止シート13を二層にして配置することも可能である。
また、図15に示すように上記金網の食い破り防止シート13を箱内方側に配置し、この食い破り防止シート13の箱外方側となるようにパルプシート、透明な合成樹脂製シート(この合成樹脂製シートには、食い破りを困難にする強度を有する必要はない)、不織布などの窓部用シート19を配置することが可能であり、金網の食い破り防止シート13と窓部用シート19とが、窓部周囲の箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とで挟持されるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る齧歯類動物輸送箱の第一の例の外観を示す説明図である。
【図2】第一の例の箱本体を展開したブランクで示す説明図である。
【図3】第一の例の包材の食い破り防止積層部を断面で示す説明図である。
【図4】包材の貼り合わせを示す説明図である。
【図5】窓部周辺の潰れ部を断面で示す説明図である。
【図6】製函する金型にブランクを配した状態を示す説明図である。
【図7】複数の箱本体を積み重ねた状態を示す説明図である。
【図8】従来の箱を複数積み重ねた状態を示す説明図である。
【図9】第四の例における食い破り防止シートを二層にした状態を示す説明図である。
【図10】第四の例における窓部を断面で示す説明図である。
【図11】第五の例における窓部を断面で示す説明図である。
【図12】第五の例を斜視の状態で示す説明図である。
【図13】第五の例において窓部での箱外層の紙質材シートを除去した状態を示す説明図である。
【図14】第五の例の変形を示す説明図である。
【図15】第五の例において窓部用シートを配した状態を示す説明図である。
【図16】従来における金網をステープルで止めた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1…齧歯類動物輸送箱
2…箱本体
3…箱底部
4…箱天部
5…底面板
6…側面板
7…糊代板
8…フラップ
10…窓部
11…紙質材シート
12…紙質材シート
13…食い破り防止シート
14…食い破り防止積層部
15…開口
16…接着剤
17…潰れ部
18…切取部
19…窓部用シート
【技術分野】
【0001】
本発明はマウスやラットなどの実験に用いられる齧歯類動物を収容して輸送する際に用いる箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、実験用の齧歯類動物を飼育するゲージと称される飼育箱においては、板紙や段ボールの箱内層となる面側に合成樹脂製フィルムを接着剤を介して貼り付けた包材である一枚のブランクを組み起こして箱天部を解放し、箱底部から箱天部にかけてテーパー状に拡開したトレー形態の飼育箱が提案されており、実験使用後にその飼育箱が焼却処分できるようにしたものであった(特許文献1参照)。
また、飼育箱として、板紙や段ボールの箱内層となる面側に合成樹脂製フィルムを積層した包材である一枚のブランクに窓用の孔を打ち抜き、その窓用の孔に合成樹脂製の網を貼り付けていて、飼育前の齧歯類動物を収容して持ち運ぶする際に箱天部を閉じる天板となる部分に、その網入り窓を設けるようにした技術が示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】実公昭62−027095号公報
【特許文献2】実公昭63−040134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで動物生産業者が実験用の齧歯類動物を実験飼育施設などに納入するときに用いる輸送箱においても、上述した飼育箱の場合と同じように包材の構成部材として段ボールを利用したものが採用されていた。そして、納入する場合でも一、二日程度その輸送箱にマウスやラットなどの齧歯類動物を収容させ続けることになり、食い破りを防止するために箱の内部に金網を配した構造となっていた。
図16はその輸送箱の板部となっている部分を断面で示していて、段ボールaの箱内面側に金網bを配置していた。これは段ボールaで箱本体を形成するとともに、内カゴを金網bで形成して箱の内部に落とし込むことで、段ボールaの箱内面側に金網bが重なるものであり、また、段ボールaからなる箱本体の一部分に開口を設け、その開口を箱内方から塞ぐように小さな寸法の金網を配置していて、開口の周辺で段ボールaと金網bとが重なるようにしていた。そして、箱本体の段ボールaと箱内方側の金網bとを、箱外から打ち込んだ金属線のステープルで打ち止めたり、箱内方から塗布したホットメルト接着剤にて接着していた。
【0004】
齧歯類動物の納入を受けた側では上記輸送箱を開いて齧歯類動物を飼育箱などに移し替えることになるが、この輸送箱を取り扱いときにつぎのような問題がある。まず、移し替えをしている作業者が、金網を段ボールに止めている金属ステープルの先端に指先などを引っ掛けて怪我をする可能性があった。
また、所定形状に打ち抜いた金網で内カゴを組んでいるため、また、窓部を箱内方から小さな寸法として金網で覆うものとしたものでは、金網を、窓部の開口に対して一回り程度大きい寸法で単に打ち抜き形成したものであるため、金網の辺に金属線の尖った切断部が突出しており、この部分にも指先を引っ掛けて怪我をする可能性があった。
さらに、齧歯類動物は輸送箱から取り出されるときに箱内側の金網に四肢の爪を引っ掛けて抵抗することが多く、片手で齧歯類動物の体を包み持ってもう一方の手で爪を金網から外してから取り出すようにしているため、この輸送箱から取り出す作業に手間を要している。
【0005】
加えて、輸送箱に収容している状態でもつぎの問題があった。この輸送箱を用いた搬送中は内部で齧歯類動物が動き回っていて、その動き回っている間に内部の金網に爪先や四肢を深く引っ掛けて自分では外せない状態になってしまうこともあり、このような場合にはより注意深く取り外してやる必要があった。
そこで本発明は上記事情に鑑み、輸送箱に収容した齧歯類動物が箱内部側から食いつきを行なっても、輸送のための一日や二日などの短期間の収容では食い破りによる孔が開かないようにするとともに、その輸送箱から齧歯類動物を取り出すときに取り扱い者が指先に怪我を負ったりすることが無いように、さらには、収容している齧歯類動物が箱内部で爪や四肢を引っ掛け難くすることを課題とし、齧歯類動物を安全に収容してその齧歯類動物を箱から簡単に取り出すことのできる輸送箱を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、請求項1の発明は、箱外層に段ボールである紙質材シートが位置し、箱内層に段ボール又は板紙である紙質材シートが位置している積層構成の包材から箱本体が形成されている齧歯類動物輸送箱であって、箱本体に収容する齧歯類動物による食い破りが困難な強度を有する食い破り防止シートが、前記箱外層の紙質材シートと前記箱内層の紙質材シートとの間に位置していて、この箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの間に食い破り防止シートが位置した食い破り防止積層部が、前記箱本体の少なくとも一部分に設けられていることを特徴とする齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0007】
(請求項2の発明)
また、請求項2の発明は、上記食い破り防止積層部には一層の食い破り防止シートが位置しているとともに、食い破り防止積層部における箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの対向面それぞれに接着剤が塗布されていて、 食い破り防止積層部での前記接着剤を介して箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとが前記一層の食い破り防止シートに貼り合わされている請求項1に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0008】
(請求項3の発明)
また、請求項3の発明は、上記食い破り防止積層部には二層の食い破り防止シートが重ね合わされて位置して、前記二層の食い破り防止シートの内の少なくとも一方の食い破り防止シートは多孔部を備えているとともに、食い破り防止積層部における箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの対向面それぞれに接着剤が塗布されていて、食い破り防止積層部での箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとが、前記接着剤を介してそれぞれ接する側の食い破り防止シートに貼り合わされ、かつ、多孔部を備える食い破り防止シートに接する紙質材シートが、前記多孔部を通して他方の紙質材シート側の食い破り防止シートに前記接着剤を介して貼り合わされている請求項1に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0009】
(請求項4の発明)
また、請求項4の発明は、上記食い破り防止積層部には、上記箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとを同寸法に開口し、該開口が重なり合った窓部を設けて、開口から表出した食い破り防止シートで前記窓部が閉じられていて、前記窓部の周りにおける前記食い破り防止積層部が押し潰され、少なくとも箱内層の紙質材シートの開口周縁に亘って、該開口周縁と窓部内の食い破り防止シートとの段差を微小にしてこの開口周縁に対する収容齧歯類動物の噛み付きと爪掛けとが不能な潰れ部が設けられている請求項1から3の何れか一項に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0010】
(請求項5の発明)
また、請求項5の発明は、上記開口で表出する食い破り防止シートの箱内層側または箱外層側に、透明な合成樹脂製シートとパルプシートと不織布との何れかからなる窓部用シートが重ね合わされ、前記窓部用シートと前記食い破り防止シートとで窓部が閉じられている請求項4に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0011】
(請求項6の発明)
また、請求項6の発明は、上記箱外層の紙質材シートと上記箱内層の紙質材シートとの間の一部分に上記食い破り防止シートを位置させて、箱本体の一部分に上記食い破り防止積層部が設けられ、前記食い破り防止積層部には、上記箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとを同寸法に開口し、該開口が重なり合った窓部を設けて、開口から表出した食い破り防止シートで前記窓部が閉じられていて、前記窓部の周りにおける前記食い破り防止積層部が押し潰され、少なくとも箱内層の紙質材シートの開口周縁に亘って、該開口周縁と窓部内の食い破り防止シートとの段差を微小にしてこの開口周縁に対する収容齧歯類動物の噛み付きと爪掛けとが不能な潰れ部が設けられている請求項1に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0012】
(請求項7の発明)
また、請求項7の発明は、上記開口で表出する食い破り防止シートの箱内層側または箱外層側に、透明な合成樹脂製シートとパルプシートと不織布との何れかからなる窓部用シートが重ね合わされ、前記窓部用シートと前記食い破り防止シートとで窓部が閉じられている請求項6に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0013】
(請求項8の発明)
また、請求項8の発明は、上記食い破り防止積層部の周辺の箱外層の紙材質シートには、上記食い破り防止シートを囲む位置に対応して切り取りミシン目などからなる切取部が設けられ、この切取部を切断して紙質材シートを除去することにより前記食い破り防止シートの取り外しが可能な構成を有する請求項6または7に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0014】
(請求項9の発明)
また、請求項9の発明は、上記切取部の外側の近傍位置で、上記箱外層の紙質材シートと箱内層の紙材質シートとが接着剤を介して接着されている請求項8に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0015】
(請求項10の発明)
また、請求項10の発明は、上記食い破り防止シートは、金網と合成樹脂製網と合成樹脂製シートとの何れかである請求項1から9の何れか一項に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0016】
(請求項11の発明)
また、請求項11の発明は、上記箱本体は、箱底部からフラップの開閉により開閉可能な箱天部に向けてテーパー状に拡開されていて、上位の箱本体が、フラップを開いた箱天部から箱内部に入る積み重ねが可能に設けられている請求項1から10の何れか一項に記載の齧歯類動物輸送箱であり、この齧歯類動物輸送箱を提供して上記課題を解消するものである。
【0017】
また、請求項12の発明は、段ボールである箱外層用の紙質材シートと、段ボール又は板紙である箱内層用の紙質材シートとを対向させ、この箱外層用の紙質材シートと箱内層用の紙質材シートとの対向面それぞれの少なくとも一部分に接着剤が設けられていて、前記箱外層用の紙質材シートと箱内層用の紙質材シートとの間に、齧歯類動物による食い破りが困難な強度を有する食い破り防止シートを位置させ、前記箱外層用の紙質材シートと前記食い破り防止シートと前記箱内層用の紙質材シートとを重ね合わせ状態でプレス圧着して包材を形成し、前記包材から箱形成用のブランクを打ち抜いて、製函貼り合わせ部分に接着剤を塗布し、雌型と雄型との間に前記ブランクを配して雌型と雄型との型締めによりブランクを組み起こして、前記食い破り防止シートが箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの間に位置してなる食い破り防止積層部を備えて、箱底部から箱天部に向けてテーパー状に拡開している箱形状に製函することを特徴とする齧歯類動物輸送箱の製造方法であり、この齧歯類動物輸送箱の製造方法を提供して上記課題を解消するものである。
【発明の効果】
【0018】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、箱内層の紙質材シートと箱外層の紙質材シートとの間に食い破り防止シートが位置しているので、従来の金網を金属ステープルで止め付ける必要がなく、収容している齧歯類動物を取り出すときに取扱者が指先をステープルの針先などに引っ掛けることがない。
また、箱内層に段ボールや板紙の紙質材シートが位置して食い破り防止シートが覆われる状態になるため、収容している齧歯類動物が爪や四肢を食い破り防止シートに引っ掛けることがなく、輸送時時に齧歯類動物が爪や四肢を深く引っ掛けたりすることを防ぎ、取扱者が齧歯類動物を輸送箱から取り出す際にも簡単に取り出すことができるようになる。
なお、齧歯類動物は歯が引っ掛る部分に対して、食い破りを行なう習性がある。よって、箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとが直接接合している部分が存在しても、その接合部分の内面は平坦であって歯を立てることができず、食い破ろうとする対象にはならない。そのため、本齧歯類動物輸送箱は、輸送する一日、二日程度の短期間の収容において、逃げ出すことのできる大きな孔を食い破りにより開けることができないものである。よって、食い破りを行なう可能性がある箱側面などの部分的な箇所を選択して食い破り防止積層部を配するようにしてもよい。
【0019】
(請求項2の発明の効果)
請求項2の発明によれば、箱外層の紙質材シートと食い破り防止シートと箱内層の紙質材シートとの貼り合わせが接着剤を用いて行なわれるため、三者の積層状態が強固なものとなる。
【0020】
(請求項3の発明の効果)
請求項3の発明によれば、箱外層の紙質材シートと食い破り防止シートと箱内層の紙質材シートとの貼り合わせが接着剤を用いて行なわれるため、三者の積層状態が強固なものとなる。そして、食い破り防止シートは二層としているため、仮に箱内層側から食い破りを始めるようなことがあっても孔の形成をより確実に防止することできる。そのため、食い破りを行なう可能性がある箱側面などの部分的な箇所において、食い破り防止シートを二層とした食い破り防止積層部を配するようにしてもよい。
【0021】
(請求項4の発明の効果)
請求項4の発明によれば、窓部を備えているので、この窓部に表れる食い破り防止シートとして、通気性のあるものや箱内部を覗くことのできるものを選択することで、その窓部を、輸送時に箱内外の環境を同じにするための部分や箱内部観察をするため部分とすることができ、齧歯類動物輸送箱がより有用なものとなる。そして、その窓部の周辺に潰れ部が設けられているため、歯立てや爪立てができず、窓部周りで食い破りによる孔形成や爪を立てた孔形成を防止できる。
【0022】
(請求項5の発明の効果)
請求項5の発明により、窓部用シートを透明な合成樹脂製シートとすれば、窓部を箱内部を観察する部分として利用でき、パルプシートや不織布とすれば、通気用の部分として利用でききる。また、各態様の何れにおいても、箱内部からの齧歯類動物の毛が窓部を通して外部に飛散するのを防止する効果がある。
【0023】
(請求項6の発明の効果)
齧歯類動物輸送箱において窓部を有している場合、収容している齧歯類動物がその窓部に興味を強く引き、窓部周りに噛み付きや爪立てをする可能性がある。そこで、請求項6の発明によれば、箱本体の一部分として窓部周りを食い破り防止積層部を配しているので、食い破り防止シートを小形のものとすることができ、箱の材料コストを低減できる。
【0024】
(請求項7の発明の効果)
請求項7の発明により、窓部用シートを透明な合成樹脂製シートとすれば、窓部を箱内部を観察する部分として利用でき、パルプシートや不織布とすれば、通気用の部分として利用でききる。また、各態様の何れにおいても、箱内部からの齧歯類動物の毛が窓部を通して外部に飛散するのを防止する効果がある。
【0025】
(請求項8の発明の効果)
請求項8の発明によれば、決死鶴居動物輸送箱を廃棄処分する時に、紙質材シートと窓部にある食い破り防止シートとの分別が容易に行なえるようになり、それぞれの材質に適切な処分方法を取ることができる。
【0026】
(請求項9の発明の効果)
請求項9の発明によれば、箱外層の切取部に沿って箱外層の紙質材シートを切取り除去するときに、切取部より外側の箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの間が開くのを防止できる。
【0027】
(請求項10の発明の効果)
請求項10の発明によれば、食い破り防止シートは、金網や合成樹脂製網や合成樹脂製シートとしているので、いずれも薄物とすることができるものであり、箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの重ね合わせをしても、包材の厚さが大きくなることを避けることが容易である。また、重ね合わせた状態での折り曲げ加工なども支障なく行なえる。
【0028】
(請求項11の発明の効果)
請求項11の発明によれば、未使用や使用後の多数の箱本体を積み重ねしても嵩張ることがなく、空である多数の齧歯類動物輸送箱の保管に広いすベースを確保する必要がなくなる。
【0029】
(請求項12の発明の効果)
請求項12の発明によれば、箱本体が箱底部から箱天部にかけてテーパー状の拡開した齧歯類動物輸送箱が得られ、空である未使用の箱を積み重ねしても嵩張ることがなく、多数の齧歯類動物輸送箱の保管に広いすベースを確保する必要がなくなるなどの実用性に優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
つぎに本発明を図1から図13に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
(箱の形態)
図中1は齧歯類動物輸送箱で、該齧歯類動物輸送箱1は箱本体2を箱底部3から箱天部4にかけてテーパー状に拡開した形状としたものであり、図2で箱本体2を展開したブランクで示すように、底面板5の四辺それぞれに折り部を介して側面板6を連接し、この四方の側面板6を外方に傾斜した状態に折り起こしされていて、一方の対向位置にある側面板6、図示の例では箱本体2の長手方向に沿った側面板6の端部に連接されている糊代板7が、他方の対向位置にある側面板6の箱外方側となる面に折り重ねられて貼り付けられている。即ち、それぞれ外方傾斜して隣り合う側面板6の内、一方の側面板6の端部にある糊代板7が他方の側面板6の箱外面側に折り重なって接着剤を用いて貼り合わされている。
さらにテーパー状に拡開した形状の箱本体2の箱天部4は、長手方向に沿う側面板6それぞれに折り部を介して連接して開閉できるフラップ8で閉じられている。そして、このフラップ8を開いたり閉じたりすることで箱本体の箱天部4が開閉可能とされ、フラップ8を上方に開いて箱内部に齧歯類動物を入れたり取り出したりし、齧歯類動物を収容した後にはこのフラップ8を閉じることで箱天部4が閉鎖される。
箱本体の長手方向に直交する方向の側面板6には、閉じた上記フラップ8を下方から受けるための受けフラップ9が連接されて箱内方に向けて折り曲げられている。
さらに、本齧歯類動物輸送箱1には、箱本体2の一部分には窓部10を配していて、四方の側面板6それぞれに窓部10が位置している。
【0031】
齧歯類動物輸送箱1の箱本体2は、箱外層に段ボールからなる紙質材シート11が位置するとともに、箱内層に同じく段ボールからなる紙質材シート12が位置していて、この箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とが対向した積層構成を有する包材からなるものであり、箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12との間に、箱本体に収容する齧歯類動物による食い破りが困難な強度を有する金網などからなる食い破り防止シート13を位置させて積層した食い破り防止積層部14を備えている。
上記齧歯類動物輸送箱1は、糊代板7とフラップ8と受けフラップ9とを含む箱本体2の各板部のすべての部分に上記食い破り防止シート13が位置している。そして、上記窓部10の位置では箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とを開口し、その開口から前記食い破り防止シート13が表出しており、よって、図1に示す例の齧歯類動物輸送箱1では窓部以外の部分を食い破り防止積層部14としているものである。
【0032】
(包材の製造)
製函して箱本体2とするブランクを得るための包材を製造するに際しては、まず、上述したように段ボールである箱外層用の紙質材シート11と同じく段ボールであって箱内層用の紙質材シート12とを重ね合わせて、窓部10を得るための開口15を打ち抜き形成する。なお、箱内層用、箱外層用それぞれの紙質材シートとする段ボールは枚葉の形態である。
つぎに、箱外層用の紙質材シート11の箱内層側となる面の全面に接着剤を塗布するとともに、箱内層用の紙質材シート12の箱外層側となる面の全面に接着剤を塗布する。そして、箱外層用の紙質材シート11と箱内層用の紙質材シート12とを接着剤16の塗布部分が互いに面するように対向させるとともに、その間に金網からなる食い破り防止シート13を位置させ(図4)、これらを重ね合わせた状態でプレス圧着する。これによって窓部10を除く部分を繰り破り防止積層部14とした平坦な包材が形成される。
【0033】
窓部10の周りで形成されている食い破り防止積層部14については上記プレス圧着でのプレス圧が高められていて箱内層側から押し潰された形状に設けている。このように窓部10の周りの食い破り防止積層部14に高いプレス圧を加えて押し潰して、図5に示すように、箱内層側となる紙質材シート12の開口15の開口周縁に亘って、この開口周縁と開口15から表出する食い破り防止シート13(窓部内の食い破り防止シート)との段差を微小にした潰れ部17が形成されている。なお、窓部10の周りの食い破り防止積層部14に対してその厚さ方向から高いプレス圧を加えて潰れ部17を形成しており、箱外層側となる紙質材シート11の開口15の開口周縁に亘ってもこの潰れ部17が形成される。
上記潰れ部17は、製函された齧歯類動物輸送箱1に収容した齧歯類動物が、箱内層の紙質材シート12の開口周縁に対して歯を立てることができないように、また爪を掛けができないようにしているものであり、齧歯類動物の噛み付きと爪掛けとを不能にした潰れ部17が窓部10の周りに位置し、その窓部10の周りで孔を形成させないようにしている。
【0034】
(ブランクの形成)
つぎに、プレス圧着により作製された上記包材から、齧歯類動物輸送箱形成のためのブランクを打ち抜いて、図2に示すブランクを得る。なお、上記窓部10が上記各側面板の定められた位置となるように前記ブランクの打ち抜き形成が行なわれる。また、製函貼り合わせ部分(糊代板とこの糊代板に対向する部分)には、つぎに説明する製函の前に接着剤を塗布する。
【0035】
(製函)
つぎに、雄型と雌型とからなる金型の型締めにより製函をする型締め製函装置に上記ブランクを装填する。前記装置では、開いた雄型と雌型との間にブランクが配置されていて、図6に示すように、雄型Aと雌型Bとの型締めによるブランクの雌型側への押し込みで、上記底面板5の周りの側面板6の折り起こしと、隣り合う側面板6同士での一方の側面板6の糊代板7を他方の側面板6に重ね合わせて貼り付ける糊代板の接着とを行なうものであり、これによって、齧歯類動物輸送箱1の箱本体が箱底部から箱天部にかけてテーパー状に拡開した形状に製函される。なお、この時点ではフラップ8、受けフラップ9は箱内方に折り倒されず、箱天部は開放されている。
【0036】
(積み重ね)
上述したようにブランクに対する組み起こしと側面板相互の貼り合わせによって得られる未使用の齧歯類動物輸送箱1は、上述したように箱本体2が箱底部から箱天部に向けてテーパー状に拡開した形状に設けられ、そして箱天部4が閉じられていないため、未使用である多数の齧歯類動物輸送箱を保管する場合などにおいて、それぞれテーパー形状に開いた側の向きを揃えて複数の箱本体を上下に配し、図7に示すように上位の箱本体2が、箱天部4を開いた下位の箱温帯2に入るように重ね積みすることができる。
本齧歯類動物輸送箱に対して、従来の輸送箱や飼育箱では、図8に示されているように箱本体2′が箱底部側に向けて拡径する形状であったり(図8(a))、直方体であり(図8(b))、順に嵌め込む形態で積み重ねることができず、保管に際して広い空間を占めるものとなっていた。
【0037】
(齧歯類動物輸送箱の第一の例)
フラップ8と受けフラップ9とを箱内方には折り倒さずに製函された齧歯類動物輸送箱1は、前記受けフラップ9を箱内方に折り倒してからフラップ8を折り倒すことで箱天部4が閉じた箱が得られる。この齧歯類動物輸送箱1は、四方の側面板6の窓部10が金網の食い破り防止シート13で覆われ、その他の部分を食い破り防止積層部14とした箱となり、この箱内部に齧歯類動物を収容すれば、窓部10から収容された齧歯類動物の様子を簡単に観察することが可能となる。
この齧歯類動物輸送箱1において、窓部10以外の部分、即ち、食い破り防止積層部14では箱内層の紙質材シート(段ボール)によって、金網からなる食い破り防止シート13を覆っているので、輸送時に齧歯類度物が動き回って爪や四肢を深く引っ掛けて自分では外せなくなるということが生じない。勿論、窓部10を閉じる形で位置している食い破り防止シート13には爪や四肢を引っ掛けることがあるが、外方側も開口として開放されているため、自分で外せなくなるという事態になることはない。
食い破り防止シート13は金網であり、齧歯類動物の輸送に要する一日や二日程度の短期間の収容では、直接食い破りを行なったとしても破れることはない。
【0038】
齧歯類動物は歯や爪が立たない平面部分に初めからかじりつく習性はなく、窓部周りで歯や爪を立てる可能性はあるが、上述したようにこの部分に潰れ部17を設けて、噛み付きと爪立てを不能にしているので、本齧歯類動物輸送箱1は収容の齧歯類動物による食い破りが確実に防止できる。
また、本齧歯類動物輸送箱1から齧歯類動物を取り出すときにも爪や四肢を引っ掛けて抵抗する部分は窓部10の食い破り防止シート13の金網の部分しかなく、仮にその窓部10の食い破り防止シート13に爪や四肢を掛けていても外すことが容易であり、齧歯類動物の取り出すのが簡単になる。さらに、箱内方には金網の切断縁が表出しないため、作業者が指先などを引っ掛けて怪我をするということもない。
【0039】
(齧歯類動物輸送箱の第一の例の変形)
上記実施の例の齧歯類動物輸送箱1では窓部を設けたが、この窓部を設けないようにすることも可能である。
また、上記箱内層の紙質材シート12は段ボールである必要はなく、例えば段ボール原紙であるライナーなどの板紙としてもよく、この場合、窓部10の箱内層の紙質材シート12の開口周縁に潰れ部を設ける必要はない。なお、以下に示す各例において、箱内層の紙質材シート12を段ボールとしているが、これらの例においても前記板紙を用いるようにしてもよい。
【0040】
(齧歯類動物輸送箱の第二の例)
上記齧歯類動物輸送箱1の第一の例において、食い破り防止シート13を一層として金網を用いたものを示したが、一層の食い破り防止シート13としては合成樹脂製網を用いてもよく、箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とが上記接着剤を介してこの合成樹脂製網からなる食い破り防止シート13に接着し、また、金網を用いた場合やこの合成樹脂製網を用いた場合も、網目を通した接着剤相互の接着も行なえるものとなる。
また、合成樹脂製網からなる食い破り防止シート13が窓部10を閉じるように位置すれば、上記第一の例と同じようにその窓部10から箱内を観察できる観察窓として窓部を利用できる。さらに、金網の網目も合成樹脂製網の網目も多孔であり通気部の役割を果たすことができ、窓部10を通気窓として構成することが容易になる。
なお、齧歯類動物の箱内収容が一日や二日程度であるため、上記合成樹脂製網として、前記収容期間で齧歯類動物が直接噛み付きしても切断しない強度を有するものが簡単に入手できる。
【0041】
(齧歯類動物輸送箱の第三の例)
さらに、上記食い破り防止シート13を一層の合成樹脂製シートとしてもよい。そして、この合成樹脂製シートを透明なシートにし、食い破り防止シート13が窓部10に位置すれば、上記第一の例と同じようにその窓部10から箱内を観察できる観察窓として窓部を利用できる。
なお、上記合成樹脂製シート自体は、齧歯類動物の箱内収容が一日や二日程度であるため、この収容期間で齧歯類動物が直接噛み付きや爪立てしても切断しない強度を有するものとする。素材としては表面強度に優れるポリエステル製シートやポリカーボネート製シートが良好である。
【0042】
(齧歯類動物輸送箱の第四の例)
上記実施の例において箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12との間に食い破り防止シート13を配して積層した食い破り防止積層部14では、食い破り防止シート13を一層としたが、この食い破り防止シート13を二層としてもよい。
図9はその例を示していて、箱外層の紙質材シート11側にその紙質材シート11の接着剤16を介して接着する合成樹脂製シートからなる食い破り防止シート13が位置し、箱内層の紙質材シート12側にその紙質材シート12の接着剤16を介して接着する金網からなる食い破り防止シート13が位置している。
そして、多孔である金網の食い破り防止シート13に接着している箱内層の紙質材シート12は、その紙質材シート12の接着剤16が、金網の食い破り防止シート13の孔(網目)を通ることで、もう一方の食い破り防止シート(合成樹脂製シート)13にも接着されている。
【0043】
このように食い破り防止積層部14において、食い破り防止シート13を二層としても、箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とを、それぞれに塗布されている接着剤16を介してそれぞれ接する側の食い破り防止シート13に貼り合わせ、さらに、多孔部を備える食い破り防止シート(本例の場合、金網とした食い破り防止シート13)に接する紙質材シート(本例の場合、箱内層の紙質材シート12)が、多孔部(金網の網目)を通して他方の紙質材シート(本例の場合、箱外層の紙質材シート11)側の食い破り防止シート(本例の場合、合成樹脂製シートとした食い破り防止シート13)に前記接着剤16を介して貼り合わせればよく、膨らみなどを生じさせることなく均一な厚さの食い破り防止積層部14となる。
【0044】
図10に示すように、窓部10の周りの食い破り防止積層部14においても上記実施の例と同じように高いプレス圧を加えて潰れ部17を設けている。窓部10では箱外方側に合成樹脂製シートの食い破り防止シート13が位置し、この窓部10を金網の食い破りシートとともに閉じることになる。この合成樹脂製シートを透明シートとすれば、窓部10を通して箱内部を観察することができる。さらに、合成樹脂製シートの食い破り防止シート13により箱内部に収容の齧歯類動物の毛が窓部10を通して外部に飛散するのを防止している。
なお、この例では食い破り防止積層部14での食い破り防止シート13が二層となっている例を示し、そして箱外方側の食い破り防止シート13を合成樹脂製シートとしたものであるが、上述した食い破り防止積層部14の食い破り防止シート13を金網または合成樹脂製紙からなる一層の食い破り防止シート13を有する構成の変形として、箱外方側に食い破り防止機能を有しない透明な合成樹脂製シートやパルプシート、不織布などの窓部用シートを配してもよく、この場合、窓部10に金網の食い破り防止シート13とともに、透明な合成樹脂製シート、パルプシート、不織布のいずれかかなる窓部用シートを箱外方に位置するようにしてもよい。勿論、この窓部用シートは窓部のみに対応するように配置したり、食い破り防止シート13と同様に全域に配置してもよい。
【0045】
(齧歯類動物輸送箱の第五の例)
上記各実施の例では、食い破り防止シート13が箱本体2の全域に亘って配されていて、窓部10以外の部分が食い破り防止積層部14としているものであるが、本発明は以上の例に限定されるものではなく、食い破り防止積層部14を箱本体の一部分のみに設けるようにしてもよい。
上述したようにこの齧歯類動物輸送箱1に収容する齧歯類動物は歯や爪が掛からない平面に対しては噛み付きをしない習性を有するものであることから、箱本体2において噛み付きをする箇所として窓部10の周りが可能性が高くなる。
そこで、限定した食い破り防止積層部14にて窓部10側での食い破りを防ぐようにした例を以下に示す。
図11は齧歯類動物輸送箱1の第五の例を示している。この例では、各側面板6において、箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12との間の一部分に、金網からなる一層の食い破り防止シート13を位置させて、各側面板6の一部分に食い破り防止積層部14が設けられている。そして、この食い破り防止積層部14で囲まれるようにして箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とを同寸法に開口し、該開口15が重なり合った窓部10を設けている。開口15から表出した金網の食い破り防止シート13がこの窓部10を閉じており、各側面部6の窓部10それぞれに位置する前記食い破り防止シート13を通して箱内部を観察することができるようにしている。
さらに食い破り防止積層部14の周辺において箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とが接着剤16を介して貼り合わされている。食い破り防止積層部14での箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とは互いに対向面側には接着剤が塗布されておらず、前述のように食い破り防止積層部14の周りで接着されている箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とで、食い破り防止シート13が挟持されている。
【0046】
窓部10の周りの上記食い破り防止積層部14には、上記実施の例と同じように高いブレス圧が加えられている。このプレス圧が加えられていることによって、窓部10の周りの食い破り防止積層部14が押し潰され、箱内層の紙質材シート12の開口周縁に亘って、この開口周縁と窓部内の食い破り防止シート13との段差を微小にした上記潰れ部17が設けられている。この潰れ部17は上述した実施の例と同じように、開口周縁に対する収容齧歯類動物の噛み付きと爪掛けとを不能にするものであり、窓部10の周りでの食い破りを確実に防止する。
【0047】
この第五の例では食い破り防止シート13を金網としているが、これを合成樹脂製網としてもよく、また、食い破りを困難とする強度を備えた透明な合成樹脂製シートとしてもよい。
【0048】
(食い破り防止シートの分別)
そして、この第五の例においては、使用済みの齧歯類動物輸送箱1を廃棄するときに、上記食い破り防止積層部14での食い破り防止シート13を取り外し易くした工夫が施されている。
図11と図12に示すように、各側面板6での食い破り防止積層部14の周辺にして箱外層の紙質材シート11には、食い破り防止積層部14での食い破り防止シート13を囲む位置に対応して、箱外層の紙質材シート13を貫通する切り取りミシン目を入れてなる切取部18が設けられている。
上述したように食い破り防止積層部14での箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とは互いに接着されていないことから、前記切取部18の位置から箱外層の紙質材シート13を切断して除去すれば、図13に示すように食い破り防止シート13の全体が現れて、取り外すことができるようになり、食い破り防止シート13を紙質材シート11、12と分別することができる。
切取部18の外側の近傍位置で、箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とが接着されているので、仮にこの切取部18に囲まれている箱外層の紙質材シート11を取り除く際、切取部18に囲まれた箱外層の紙質材シート11を引き穿くような引っ張っりを行なっても、切取部18の外側の箱外層の紙質材シート11が連れて引っ張られることがなく、切取部18の位置で確実に切断されるようになる。
【0049】
(齧歯類動物輸送箱の第五の例の変形)
上記第五の例では、窓部10および窓部10の周りに亘る領域において箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12との間に一層として金網からなる食い破り防止シート13を配置したが、この一層の食い破り防止シート13が金網に限定されるものではなく、食い破りを困難にする強度を有した合成樹脂製網や透明の合成樹脂製シートを採用することが可能である。また、図14に示すように食い破り防止シート13を二層にして配置することも可能である。
また、図15に示すように上記金網の食い破り防止シート13を箱内方側に配置し、この食い破り防止シート13の箱外方側となるようにパルプシート、透明な合成樹脂製シート(この合成樹脂製シートには、食い破りを困難にする強度を有する必要はない)、不織布などの窓部用シート19を配置することが可能であり、金網の食い破り防止シート13と窓部用シート19とが、窓部周囲の箱外層の紙質材シート11と箱内層の紙質材シート12とで挟持されるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る齧歯類動物輸送箱の第一の例の外観を示す説明図である。
【図2】第一の例の箱本体を展開したブランクで示す説明図である。
【図3】第一の例の包材の食い破り防止積層部を断面で示す説明図である。
【図4】包材の貼り合わせを示す説明図である。
【図5】窓部周辺の潰れ部を断面で示す説明図である。
【図6】製函する金型にブランクを配した状態を示す説明図である。
【図7】複数の箱本体を積み重ねた状態を示す説明図である。
【図8】従来の箱を複数積み重ねた状態を示す説明図である。
【図9】第四の例における食い破り防止シートを二層にした状態を示す説明図である。
【図10】第四の例における窓部を断面で示す説明図である。
【図11】第五の例における窓部を断面で示す説明図である。
【図12】第五の例を斜視の状態で示す説明図である。
【図13】第五の例において窓部での箱外層の紙質材シートを除去した状態を示す説明図である。
【図14】第五の例の変形を示す説明図である。
【図15】第五の例において窓部用シートを配した状態を示す説明図である。
【図16】従来における金網をステープルで止めた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1…齧歯類動物輸送箱
2…箱本体
3…箱底部
4…箱天部
5…底面板
6…側面板
7…糊代板
8…フラップ
10…窓部
11…紙質材シート
12…紙質材シート
13…食い破り防止シート
14…食い破り防止積層部
15…開口
16…接着剤
17…潰れ部
18…切取部
19…窓部用シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱外層に段ボールである紙質材シートが位置し、箱内層に段ボール又は板紙である紙質材シートが位置している積層構成の包材から箱本体が形成されている齧歯類動物輸送箱であって、
箱本体に収容する齧歯類動物による食い破りが困難な強度を有する食い破り防止シートが、前記箱外層の紙質材シートと前記箱内層の紙質材シートとの間に位置していて、この箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの間に食い破り防止シートが位置した食い破り防止積層部が、前記箱本体の少なくとも一部分に設けられていることを特徴とする齧歯類動物輸送箱。
【請求項2】
上記食い破り防止積層部には一層の食い破り防止シートが位置しているとともに、食い破り防止積層部における箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの対向面それぞれに接着剤が塗布されていて、
食い破り防止積層部での前記接着剤を介して箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとが前記一層の食い破り防止シートに貼り合わされている請求項1に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項3】
上記食い破り防止積層部には二層の食い破り防止シートが重ね合わされて位置して、前記二層の食い破り防止シートの内の少なくとも一方の食い破り防止シートは多孔部を備えているとともに、食い破り防止積層部における箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの対向面それぞれに接着剤が塗布されていて、
食い破り防止積層部での箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとが、前記接着剤を介してそれぞれ接する側の食い破り防止シートに貼り合わされ、
かつ、多孔部を備える食い破り防止シートに接する紙質材シートが、前記多孔部を通して他方の紙質材シート側の食い破り防止シートに前記接着剤を介して貼り合わされている請求項1に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項4】
上記食い破り防止積層部には、上記箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとを同寸法に開口し、該開口が重なり合った窓部を設けて、開口から表出した食い破り防止シートで前記窓部が閉じられていて、
前記窓部の周りにおける前記食い破り防止積層部が押し潰され、少なくとも箱内層の紙質材シートの開口周縁に亘って、該開口周縁と窓部内の食い破り防止シートとの段差を微小にしてこの開口周縁に対する収容齧歯類動物の噛み付きと爪掛けとが不能な潰れ部が設けられている請求項1から3の何れか一項に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項5】
上記開口で表出する食い破り防止シートの箱内層側または箱外層側に、透明な合成樹脂製シートとパルプシートと不織布との何れかからなる窓部用シートが重ね合わされ、前記窓部用シートと前記食い破り防止シートとで窓部が閉じられている請求項4に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項6】
上記箱外層の紙質材シートと上記箱内層の紙質材シートとの間の一部分に上記食い破り防止シートを位置させて、箱本体の一部分に上記食い破り防止積層部が設けられ、
前記食い破り防止積層部には、上記箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとを同寸法に開口し、該開口が重なり合った窓部を設けて、開口から表出した食い破り防止シートで前記窓部が閉じられていて、
前記窓部の周りにおける前記食い破り防止積層部が押し潰され、少なくとも箱内層の紙質材シートの開口周縁に亘って、該開口周縁と窓部内の食い破り防止シートとの段差を微小にしてこの開口周縁に対する収容齧歯類動物の噛み付きと爪掛けとが不能な潰れ部が設けられている請求項1に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項7】
上記開口で表出する食い破り防止シートの箱内層側または箱外層側に、透明な合成樹脂製シートとパルプシートと不織布との何れかからなる窓部用シートが重ね合わされ、前記窓部用シートと前記食い破り防止シートとで窓部が閉じられている請求項6に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項8】
上記食い破り防止積層部の周辺の箱外層の紙材質シートには、上記食い破り防止シートを囲む位置に対応して切り取りミシン目などからなる切取部が設けられ、この切取部を切断して紙質材シートを除去することにより前記食い破り防止シートの取り外しが可能な構成を有する請求項6または7に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項9】
上記切取部の外側の近傍位置で、上記箱外層の紙質材シートと箱内層の紙材質シートとが接着剤を介して接着されている請求項8に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項10】
上記食い破り防止シートは、金網と合成樹脂製網と合成樹脂製シートとの何れかである請求項1から9の何れか一項に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項11】
上記箱本体は、箱底部からフラップの開閉により開閉可能な箱天部に向けてテーパー状に拡開されていて、上位の箱本体が、フラップを開いた箱天部から箱内部に入る積み重ねが可能に設けられている請求項1から10の何れか一項に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項12】
段ボールである箱外層用の紙質材シートと、段ボール又は板紙である箱内層用の紙質材シートとを対向させ、この箱外層用の紙質材シートと箱内層用の紙質材シートとの対向面それぞれの少なくとも一部分に接着剤が設けられていて、前記箱外層用の紙質材シートと箱内層用の紙質材シートとの間に、齧歯類動物による食い破りが困難な強度を有する食い破り防止シートを位置させ、
前記箱外層用の紙質材シートと前記食い破り防止シートと前記箱内層用の紙質材シートとを重ね合わせ状態でプレス圧着して包材を形成し、
前記包材から箱形成用のブランクを打ち抜いて、製函貼り合わせ部分に接着剤を塗布し、
雌型と雄型との間に前記ブランクを配して雌型と雄型との型締めによりブランクを組み起こして、
前記食い破り防止シートが箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの間に位置してなる食い破り防止積層部を備えて、箱底部から箱天部に向けてテーパー状に拡開している箱形状に製函することを特徴とする齧歯類動物輸送箱の製造方法。
【請求項1】
箱外層に段ボールである紙質材シートが位置し、箱内層に段ボール又は板紙である紙質材シートが位置している積層構成の包材から箱本体が形成されている齧歯類動物輸送箱であって、
箱本体に収容する齧歯類動物による食い破りが困難な強度を有する食い破り防止シートが、前記箱外層の紙質材シートと前記箱内層の紙質材シートとの間に位置していて、この箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの間に食い破り防止シートが位置した食い破り防止積層部が、前記箱本体の少なくとも一部分に設けられていることを特徴とする齧歯類動物輸送箱。
【請求項2】
上記食い破り防止積層部には一層の食い破り防止シートが位置しているとともに、食い破り防止積層部における箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの対向面それぞれに接着剤が塗布されていて、
食い破り防止積層部での前記接着剤を介して箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとが前記一層の食い破り防止シートに貼り合わされている請求項1に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項3】
上記食い破り防止積層部には二層の食い破り防止シートが重ね合わされて位置して、前記二層の食い破り防止シートの内の少なくとも一方の食い破り防止シートは多孔部を備えているとともに、食い破り防止積層部における箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの対向面それぞれに接着剤が塗布されていて、
食い破り防止積層部での箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとが、前記接着剤を介してそれぞれ接する側の食い破り防止シートに貼り合わされ、
かつ、多孔部を備える食い破り防止シートに接する紙質材シートが、前記多孔部を通して他方の紙質材シート側の食い破り防止シートに前記接着剤を介して貼り合わされている請求項1に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項4】
上記食い破り防止積層部には、上記箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとを同寸法に開口し、該開口が重なり合った窓部を設けて、開口から表出した食い破り防止シートで前記窓部が閉じられていて、
前記窓部の周りにおける前記食い破り防止積層部が押し潰され、少なくとも箱内層の紙質材シートの開口周縁に亘って、該開口周縁と窓部内の食い破り防止シートとの段差を微小にしてこの開口周縁に対する収容齧歯類動物の噛み付きと爪掛けとが不能な潰れ部が設けられている請求項1から3の何れか一項に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項5】
上記開口で表出する食い破り防止シートの箱内層側または箱外層側に、透明な合成樹脂製シートとパルプシートと不織布との何れかからなる窓部用シートが重ね合わされ、前記窓部用シートと前記食い破り防止シートとで窓部が閉じられている請求項4に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項6】
上記箱外層の紙質材シートと上記箱内層の紙質材シートとの間の一部分に上記食い破り防止シートを位置させて、箱本体の一部分に上記食い破り防止積層部が設けられ、
前記食い破り防止積層部には、上記箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとを同寸法に開口し、該開口が重なり合った窓部を設けて、開口から表出した食い破り防止シートで前記窓部が閉じられていて、
前記窓部の周りにおける前記食い破り防止積層部が押し潰され、少なくとも箱内層の紙質材シートの開口周縁に亘って、該開口周縁と窓部内の食い破り防止シートとの段差を微小にしてこの開口周縁に対する収容齧歯類動物の噛み付きと爪掛けとが不能な潰れ部が設けられている請求項1に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項7】
上記開口で表出する食い破り防止シートの箱内層側または箱外層側に、透明な合成樹脂製シートとパルプシートと不織布との何れかからなる窓部用シートが重ね合わされ、前記窓部用シートと前記食い破り防止シートとで窓部が閉じられている請求項6に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項8】
上記食い破り防止積層部の周辺の箱外層の紙材質シートには、上記食い破り防止シートを囲む位置に対応して切り取りミシン目などからなる切取部が設けられ、この切取部を切断して紙質材シートを除去することにより前記食い破り防止シートの取り外しが可能な構成を有する請求項6または7に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項9】
上記切取部の外側の近傍位置で、上記箱外層の紙質材シートと箱内層の紙材質シートとが接着剤を介して接着されている請求項8に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項10】
上記食い破り防止シートは、金網と合成樹脂製網と合成樹脂製シートとの何れかである請求項1から9の何れか一項に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項11】
上記箱本体は、箱底部からフラップの開閉により開閉可能な箱天部に向けてテーパー状に拡開されていて、上位の箱本体が、フラップを開いた箱天部から箱内部に入る積み重ねが可能に設けられている請求項1から10の何れか一項に記載の齧歯類動物輸送箱。
【請求項12】
段ボールである箱外層用の紙質材シートと、段ボール又は板紙である箱内層用の紙質材シートとを対向させ、この箱外層用の紙質材シートと箱内層用の紙質材シートとの対向面それぞれの少なくとも一部分に接着剤が設けられていて、前記箱外層用の紙質材シートと箱内層用の紙質材シートとの間に、齧歯類動物による食い破りが困難な強度を有する食い破り防止シートを位置させ、
前記箱外層用の紙質材シートと前記食い破り防止シートと前記箱内層用の紙質材シートとを重ね合わせ状態でプレス圧着して包材を形成し、
前記包材から箱形成用のブランクを打ち抜いて、製函貼り合わせ部分に接着剤を塗布し、
雌型と雄型との間に前記ブランクを配して雌型と雄型との型締めによりブランクを組み起こして、
前記食い破り防止シートが箱外層の紙質材シートと箱内層の紙質材シートとの間に位置してなる食い破り防止積層部を備えて、箱底部から箱天部に向けてテーパー状に拡開している箱形状に製函することを特徴とする齧歯類動物輸送箱の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図16】
【公開番号】特開2009−126540(P2009−126540A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301844(P2007−301844)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(392017381)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(392017381)
【Fターム(参考)】
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