説明

(メタ)アクリル酸の製造方法

本発明は、環式エステルを触媒の存在下に(メタ)アクリル酸へと反応させることを特徴とする、(メタ)アクリル酸の製造方法に関する。製造された(メタ)アクリル酸は特に(メタ)アクリレートへと変換することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリル酸を製造する方法に関する。
【0002】
(メタ)アクリル酸の製造は長らく従来技術となっているが、この場合、(メタ)アクリル酸を得るために種々の方法が適用されている。
【0003】
たとえばメタクリル酸を製造するための原料としてα−ヒドロキシイソ酪酸を使用することができる。このような方法は、たとえばUS3,487,101に記載されており、ここでは種々のメタクリル酸誘導体、特に2−ヒドロキシイソ酪酸から出発して液相中でメタクリル酸およびメタクリル酸エステルが製造されており、その特徴は、HIBSからメタクリル酸への反応が、溶解した塩基性触媒の存在下に180〜320℃の高温で高沸点エステル(たとえばフタル酸ジメチルエステル)および内部無水物(たとえば無水フタル酸)の存在下で実施されることである。該特許によると、HIBSの反応率が90%を上回る場合に、98%前後のMAS選択率が達成されている。液状の触媒溶液の長時間安定性について、特に使用される無水物の消耗については言及されていない。
【0004】
DE−OS1191367は、α−ヒドロキシイソ酪酸(HIBS)から出発する液相中でのメタクリル酸(MAS)の製造に関し、これはHIBSからメタクリル酸への反応を重合防止剤(たとえば銅粉末)の存在下で、および金属ハロゲン化物とアルカリ金属ハロゲン化物とからなる触媒混合物の存在下で、180〜220℃の高温で実施することを特徴とする。該特許によれば、HIBS反応率が90%を上回る場合に、99%を上回るMAS選択率が達成される。最も良好な結果は、臭化亜鉛および臭化リチウムからなる触媒混合物を用いて達成されている。ハロゲン化物を含有する触媒を高温で使用することは、使用される原料の過酷な要求を意味しており、かつ蒸留液中に存在する、連行されたハロゲン化副生成物に関するこれらの問題は、その後の装置部材においても発生する。
【0005】
EP0487853は、アセトンシアンヒドリン(ACH)から出発するメタクリル酸の製造を記載しているが、これは、第一工程で中程度の温度で不均一系加水分解触媒の存在下にACHを水と反応させ、かつ第二工程でα−ヒドロキシイソ酪酸アミドをメチルホルムアミドまたはメタノール/一酸化炭素と反応させて、ホルムアミドおよびヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HIBSM)が生じ、かつ第三工程でHIBSMを不均一系イオン交換体の存在下に水を用いてヒドロキシイソ酪酸へとけん化し、かつ第四工程で液相を高温で可溶性のアルカリ塩の存在下に反応させることによってHIBSを脱水することを特徴とする。HIBSからのメタクリル酸の製造は、99%前後の高い反応率と、程度の差はあるものの定量的な選択率であることが記載されている。必要とされる反応工程が多いこと、および個々の中間体を中間単離する必要性、特に高めた圧力での個々のプロセス工程の実施もまた、方法を複雑にし、ひいては最終的には非経済的である。さらに、ホルムアミドが必然的に製造され、この化合物はしばしば不所望の副生成物であるとみなされうるので、コストをかけて廃棄処理しなくてはならない。
【0006】
DE−OS1768253は、α−ヒドロキシイソ酪酸(HIBS)を脱水することによってメタクリル酸を製造する方法を記載しており、これは、HIBSを液相中、少なくとも160℃の温度で、α−ヒドロキシイソ酪酸の金属塩からなる脱水素触媒の存在下に反応させることを特徴としている。この場合、HIBS溶融液中で、適切な金属塩の反応によって現場で製造される、HIBSのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩が特に適切である。該特許によれば、HIBSから出発して95%までのMAS収率が記載されており、その際、連続的なプロセスの供給流は、HIBSと、約1.5質量%のHIBSアルカリ塩とからなっている。
【0007】
RU89631は、2−ヒドロキシイソ酪酸から出発して、液相中で水の分離によってメタクリル酸を製造する方法に関し、これは反応を触媒の非存在下にHIBSの水溶液(水中HIBS62質量%まで)を、加圧下に200℃〜240℃の高温で実施することを特徴とする。
【0008】
さらに、ベース原料としてプロペンを使用することが集中的に研究され、この場合、ヒドロカルボニル化(イソ酪酸を形成)および脱水素酸化の段階を経て中程度の収率でメタクリル酸が得られている。
【0009】
工業的なプロセスでは、エチレンおよびC1−成分、たとえば一酸化炭素から出発して得られるプロパナールまたはプロピオン酸をベース原料として使用することが公知である。この方法では、アルドール化反応において現場で生じるβ−ヒドロキシカルボニル化合物が、相応するα,β−不飽和化合物への脱水下にホルムアルデヒドと反応する。メタクリル酸およびそのエステルを製造するための慣用の方法の概要は、たとえばWeisermel、Arpe、"Industrielle organische Chemie"、VCH、Weinheim 1994、第4版、第305頁以下、またはKirk Othmer、"Encyclopedia of Chemical Technology"、第3版、第15巻、第357頁のような文献に記載されている。
【0010】
(メタ)アクリル酸はしばしば、多数のポリマーを製造するためのコモノマーとして使用される。この場合、比較的少量の(メタ)アクリル酸が必要とされる。このような少ない量は、経済的な理由から、炭化水素の酸化により、またはACHから(メタ)アクリル酸を製造するために必要とされる大きな製造装置の構成を正当化するものではない。
【0011】
従って、(メタ)アクリル酸を輸送する必要性が存在する。特に(メタ)アクリル酸の輸送は、(メタ)アクリル酸が極めて容易に重合するために、極めて高価である。たとえば(メタ)アクリル酸は、固体の形で貯蔵する際に、または高温で、ただちにポリマーを形成する。従って(メタ)アクリル酸は、その重合を防止するためには比較的狭い温度ウインドウで輸送しなくてはならない。この場合、しばしば重合防止剤が使用されるが、しかしこれはしばしばその使用前に分離しなくてはならない。
【0012】
さらに、(メタ)アクリル酸はすでに記載したようにα−ヒドロキシカルボン酸から得ることができる。相応してたとえばα−ヒドロキシイソ酪酸は、ここから使用場所でメタクリル酸を製造するためには輸送される場合がある。しかしこの場合の欠点は、高い輸送コストであり、これはメタクリル酸と比較してより高いα−ヒドロキシイソ酪酸の分子量に起因している。さらに(メタ)アクリル酸も、α−ヒドロキシカルボン酸も、耐酸性の輸送容器を必要とする。従ってこれらの化合物の輸送には、コストがかかり、ひいては高価である。
【0013】
ところで従来技術を鑑みて、本発明の課題は、特に容易であり、安価であり、かつ高い収率で実施することができる(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することである。この場合、少量の製造であっても特に経済的であるべきである。特別な問題は特に、その出発材料を容易かつ安全に輸送することができる方法を創作することであった。
【0014】
さらに、ごく少量の副生成物が生じるにすぎない(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することも本発明の課題である。この場合、生成物はできる限り、高い収率で、および総じて低いエネルギー消費量で得られるべきである。
【0015】
上記の、および明示的には挙げられていないが、しかし本明細書の冒頭で議論した関連から容易に導き出すことができるか、または結論づけることができるその他の課題は、請求項1の全ての特徴を有する方法によって解決される。本発明による方法の有利な変法は従属請求項において保護される。
【0016】
環式エステルを触媒の存在下に(メタ)アクリル酸へと反応させることにより、特に容易で安価であり、かつ高い収率で実施することができる(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することができる。
【0017】
同時に本発明による方法によって、一連の別の利点を達成することができる。これには特に、使用される出発材料を容易に、安全かつ安価に輸送することができることが含まれる。このことによって(メタ)アクリル酸を安価にコポリマーの製造に提供することができ、その際、ACHから、または炭化水素の酸化により(メタ)アクリル酸を得る、コストのかかる製造装置を構成し、かつ投資する必要がない。さらに、生じる副生成物はごく少量であり、その際、生成物が高い収率で、および総じて、低いエネルギー消費量で得られる。
【0018】
(メタ)アクリル酸を製造するために、本発明による方法では、環式エステルを反応させる。このために使用することができる環式エステルは自体公知である。環式エステルの概念は、本発明の範囲では、たとえばα−ヒドロキシカルボン酸および/またはα−ヒドロキシカルボン酸エステルの二量化によって得られるような環状のジエステルを表している。
【0019】
一般に、これは式(I)
【化1】

[式中、基R1、R2、R3およびR4は、それぞれ相互に無関係に、水素を表すか、または1〜30個の炭素原子を有する基を表し、該基は、特に1〜20個、有利には1〜10個、とりわけ1〜5語、および殊に有利には1〜2個の炭素原子を有する]のエステルに相応することが考えられる。
【0020】
「1〜30個の炭素原子を有する基」という表現は、1〜30個の炭素原子を有する有機化合物の基を表す。これは芳香族およびヘテロ芳香族の基以外に、脂肪族およびヘテロ脂肪族の基、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基およびアルケニル基も含む。この場合、前記の基は分枝鎖状であっても、非分枝鎖状であってもよい。
【0021】
本発明によれば、芳香族基は、有利には6〜20個、特に6〜12個の炭素原子を有する単環または多環の芳香族化合物を表す。
【0022】
ヘテロ芳香族基は、その中で少なくとも1つのCH基が、Nにより置換されているか、かつ/または少なくとも2つの隣接するCH基が、S、NHまたはOにより置換されているアリール基を表す。
【0023】
有利なアルキル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、ノニル基、1−デシル基、2−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基およびエイコシル基が含まれる。
【0024】
有利なシクロアルキル基には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびシクロオクチル基が含まれ、該基は場合により分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のアルキル基により置換されている。
【0025】
有利なアルケニル基には、ビニル基、アリル基、2−メチル−2−プロペン基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−デセニル基および2−エイコセニル基が含まれる。
【0026】
基Rは、置換基を有していてもよい。有利な置換基には、特にハロゲン、特にフッ素、塩素、臭素およびアルコキシ基が含まれる。
【0027】
有利な環式エステルには、1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(グリコリド)、3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(ラクチド)または3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(テトラメチルグリコリド)が含まれる。
【0028】
本発明によれば、この方法によって(メタ)アクリル酸が得られる。アクリル酸(プロペン酸)およびメタクリル酸(2−メチルプロペン酸)以外にここには、特に、置換基を有する誘導体が含まれる。適切な置換基には特にハロゲン、たとえば塩素、フッ素および臭素、ならびに1〜10個、特に有利には1〜4個の炭素原子を有していてもよいアルキル基が含まれる。ここには特に、β−メチルアクリル酸(ブテン酸)、α,β−ジメチルアクリル酸、β−エチルアクリル酸、ならびにβ,β−ジメチルアクリル酸が含まれる。有利であるのはアクリル酸(プロペン酸)およびメタクリル酸(2−メチルプロペン酸)であり、その際、メタクリル酸が特に有利である。
【0029】
環式エステルの反応はたとえば気相中で、または液相中で行うことができる。有利には液相中で反応を行う。この場合、得られた(メタ)アクリル酸を有利には気相を介して反応混合物から分離することができる。たとえば環式エステルを蒸留装置中で加熱し、かつ生じる(メタ)アクリル酸を塔頂を介して分離し、かつ凝縮することができる。反応は溶剤を用いて行うこともできるし、溶剤を用いないで行うこともできる。
【0030】
これらの溶剤は特に、過熱ひいては副生成物の形成を回避すべく、出発化合物の加熱を容易にするために役立ちうる。この場合、溶剤は混合物を出発生成物の融点を超える温度に加熱した後で、混合物から分離することができ、ついで、環式エステルを(メタ)アクリル酸へと反応させる。さらに溶剤は、原料混合物を反応器に供給する温度を、特に蒸留装置を低温に維持するために使用することができる。これは特に連続的な方法では有利な場合がある。さらに、このことによって反応の開始時の温度を低く維持することができるので、生じる不所望の副生成物の割合は特にわずかである。低い沸点を有する溶剤は、蒸留装置中での反応の際に塔頂を介して分離することができる。高い沸点を有する溶剤は、蒸留装置中での反応の際にたいていは塔底に残留する。これらの溶剤を塔底から排出し、改めて出発化合物の液化温度を下げるために使用することができる。
【0031】
適切な溶剤にはたとえばアルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、カルボン酸、炭化水素およびこれらの溶剤の混合物相互の混合物ならびにその他の溶剤との混合物が挙げられる。
【0032】
炭化水素溶剤には、脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素が含まれる。これらの炭化水素には、特にペンタン、ヘキサン、特にn−ヘキサンおよび3−メチルペンタン、ヘプタン、特にn−ヘプタンおよび3−メチルヘキサン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンが含まれる。
【0033】
適切な溶剤にはさらに、カルボン酸およびカルボン酸エステルが含まれる。これらには特に酢酸、酢酸エチル、α−ヒドロキシカルボン酸、特に2−ヒドロキシイソ酪酸および2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルが含まれる。
【0034】
溶剤として使用することができるケトンにはたとえばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチル−1−メチルプロピルケトン、メチル−2−メチルプロピルケトン、エチルプロピルケトン、およびそれぞれ2個以上の炭素原子を有する、有利に4〜12個、およびとりわけ有利には4〜9個の炭素原子を有するその他のケトンが含まれる。
【0035】
溶剤として使用することができるアルデヒドには、たとえばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレロアルデヒド、ベンズアルデヒド、およびそのつど2個以上の炭素原子を有する、有利には4〜12個、および特に有利には4〜9個の炭素原子を有するその他のアルデヒドが含まれる。
【0036】
溶剤として使用することができるエーテルには、特にジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、およびそのつど2以上の炭素原子を有する、有利には4〜12個、および特に有利には4〜9個の炭素原子を有するその他のエーテルが含まれる。
【0037】
特に有利にはアルコールを溶剤として使用することができる。有利なアルコールには、特にそのつど少なくとも1個の炭素原子を有するアルコール、有利には2〜12個、および特に有利には4〜9個の炭素原子を有するアルコールが含まれる。アルコールは、線状、分枝鎖状または環式の構造を有していてもよい。さらにアルコールは芳香族基または置換基、たとえばハロゲン原子を有していてもよい。有利なアルコールには特にメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、1−メチル−プロパノール、2−メチル−プロパノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、1−メチル−ブタノール、2−メチル−ブタノール、3−メチル−ブタノール、2,2−ジメチル−プロパノール、n−ヘキサノール、1−メチル−ペンタノール、2−メチル−ペンタノール、3−メチル−ペンタノール、4−メチル−ペンタノール、1,1−ジメチル−ブタノール、2,2−ジメチル−ブタノール、3,3−ジメチル−ブタノール、1,2−ジメチル−ブタノール、n−ヘプタノール、1−メチル−ヘキサノール、2−メチル−ヘキサノール、3−メチル−ヘキサノール、4−メチル−ヘキサノール、1,2−ジメチル−ペンタノール、1,3−ジメチル−ペンタノール、1,1−ジメチル−ペンタノール、1,1,2,2−テトラメチル−プロパノール、ベンジルアルコール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノナノール、1−メチル−オクタノール、2−メチル−オクタノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、1−メチル−デカノール、2−メチル−デカノール、n−ドデカノール、2,4−ジエチル−オクタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、4−t−ブチル−シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロドデカノール、2−(ジメチルアミノ)−エタノール、3−(ジメチルアミノ)−プロパノール、4−(ジメチルアミノ)−ブタノール、5−(ジメチルアミノ)−ペンタノール、6−(ジメチルアミノ)−ヘキサノール、8−(ジメチルアミノ)−オクタノール、10−(ジメチルアミノ)−デカノール、12−(ジメチルアミノ)−ドデカノール、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、3−(ジエチルアミノ)−プロパノール、4−(ジエチルアミノ)−ブタノール、5−(ジエチルアミノ)−ペンタノール、6−(ジエチルアミノ)−ヘキサノール、8−(ジエチルアミノ)−オクタノール、10−(ジエチルアミノ)−デカノール、12−(ジエチルアミノ)−ドデカノール、2−(ジ−(イソ−プロピル)−アミノ)−エタノール、3−(ジ−(イソ−プロピル)−アミノ)−プロパノール、4−(ジ−(イソ−プロピル)−アミノ)−ブタノール、5−(ジ−(イソ−プロピル)−アミノ)−ペンタノール、6−ジ−(イソ−プロピル)−アミノ)−ヘキサノール、8−(ジ−(イソ−プロピル)−アミノ)−オクタノール、10−(ジ−(イソ−プロピル)−アミノ)−デカノール、12−(ジ−(イソ−プロピル)−アミノ)−ドデカノール、2−(ジブチルアミノ)−エタノール、3−(ジブチルアミノ)−プロパノール、4−(ジブチルアミノ)−ブタノール、5−(ジブチルアミノ)−ペンタノール、6−(ジブチルアミノ)−ヘキサノール、8−(ジブチルアミノ)−オクタノール、10−(ジブチルアミノ)−デカノール、12−(ジブチルアミノ)−ドデカノール、2−(ジヘキシルアミノ)−エタノール、3−(ジヘキシルアミノ)−プロパノール、4−(ジヘキシルアミノ)−ブタノール、5−(ジヘキシルアミノ)−ペンタノール、6−(ジヘキシルアミノ)−ヘキサノール、8−(ジヘキシルアミノ)−オクタノール、10−(ジヘキシルアミノ)−デカノール、12−(ジヘキシルアミノ)−ドデカノール、2−(メチル−エチル−アミノ)−エチル、2−(メチル−プロピル−アミノ)−エタノール、2−(メチル−イソ−プロピル−アミノ)−エタノール、2−(メチル−ブチル−アミノ)−エタノール、2−(メチル−ヘキシル−アミノ)−エタノール、2−(メチル−オクチル−アミノ)−エタノール、2−(エチル−プロピル−アミノ)−エタノール、2−(エチル−イソ−プロピル−アミノ)−エタノール、2−(エチル−ブチル−アミノ)−エタノール、2−(エチル−ヘキシル−アミノ)−エタノール、2−(エチル−オクチル−アミノ)−エタノール、3−(メチル−エチル−アミノ)−プロパノール、3−(メチル−プロピル−アミノ)−プロパノール、3−(メチル−イソ−プロピル−アミノ)−プロパノール、3−(メチル−ブチル−アミノ)−プロパノール、3−(メチル−ヘキシル−アミノ)−プロパノール、3−(メチル−オクチル−アミノ)−プロパノール、3−(エチル−プロピル−アミノ)−プロパノール、3−(エチル−イソ−プロピル−アミノ)−プロパノール、3−(エチル−ブチル−アミノ)−プロパノール、3−(エチル−ヘキシル−アミノ)−プロパノール、3−(エチル−オクチル−アミノ)−プロパノール、4−(メチル−エチル−アミノ)−ブタノール、4−(メチル−プロピル−アミノ)−ブタノール、4−(メチル−イソ−プロピル−アミノ)−ブタノール、4−(メチル−ブチル−アミノ)−ブタノール、4−(メチル−ヘキシル−アミノ)−ブタノール、4−(メチル−オクチル−アミノ)−ブタノール、4−(エチル−プロピル−アミノ)−ブタノール、4−(エチル−イソ−プロピル−アミノ)−ブタノール、4−(エチル−ブチル−アミノ)−ブタノール、4−(エチル−ヘキシル−アミノ)−ブタノール、4−(エチル−オクチル−アミノ)−ブタノール、2−(N−ピペリジニル)−エタノール、3−(N−ピペリジニル)−プロパノール、4−(N−ピペリジニル)−ブタノール、5−(N−ピペリジニル)−ペンタノール、6−(N−ピペリジニル)−ヘキサノール、8−(N−ピペリジニル)−オクタノール、10−(N−ピペリジニル)−デカノール、12−(N−ピペリジニル)−ドデカノール、2−(N−ピロリジニル)−エタノール、3−(N−ピロリジニル)−プロパノール、4−(N−ピロリジニル)−ブタノール、5−(N−ピロリジニル)−ペンチル、6−(N−ピロリジニル)−ヘキサノール、8−(N−ピロリジニル)−オクタノール、10−(N−ピロリジニル)−デカノール、12−(N−ピロリジニル)−ドデカノール、2−(N−モルホリノ)−エタノール、3−(N−モルホリノ)−プロパノール、4−(N−モルホリノ)−ブタノール、5−(N−モルホリノ)−ペンタノール、6−(N−モルホリノ)−ヘキサノール、8−(N−モルホリノ)−オクタノール、10−(N−モルホリノ)−デカノール、12−(N−モルホリノ)−ドデカノール、2−(N′−メチル−N−ピペラジニル)−エタノール、3−(N′−メチル−N−ピペラジニル)−プロパノール、4−(N′−メチル−N−ピペラジニル)−ブタノール、5−(N′−メチル−N−ピペラジニル)−ペンタノール、6−(N′−メチル−N−ピペラジニル)−ヘキサノール、8−(N′−メチル−N−ピペラジニル)−オクタノール、10−(N′−メチル−N−ピペラジニル)−デカノール、12−(N′−メチル−N−ピペラジニル)−ドデカノール、2−(N′−チル−N−ピペラジニル)−エタノール、3−(N′−エチル−N−ピペラジニル)−プロパノール、4−(N′−エチル−N−ピペラジニル)−ブタノール、5−(N′−エチル−N−ピペラジニル)−ペンタノール、6−(N′−エチル−N−ピペラジニル)−ヘキサノール、8−(N′−エチル−N−ピペラジニル)−オクタノール、10−(N′エチル−N−ピペラジニル)−デカノール、12−(N′−エチル−N−ピペラジニル)−ドデカノール、2−(N′−イソ−プロピル−N−ピペラジニル)−エタノール、3−(N′−イソ−プロピル−N−ピペラジニル)−プロパノール、4−(N′−イソ−プロピル−N−ピペラジニル)−ブタノール、5−(N′−イソ−プロピル−N−ピペラジニル)−ペンタノール、6−(N′−イソ−プロピル−N−ピペラジニル)−ヘキサノール、8−(N′−イソ−プロピル−N−ピペラジニル)−オクタノール、10−(N′−イソ−プロピル−N−ピペラジニル)−デカノール、12−(N′−イソ−プロピル−N−ピペラジニル)−ドデカノール、3−オキサ−ブタノール、3−オキサ−ペンタノール、2,2−ジメチル−4−オキサ−ペンタノール、3,6−ジオキサ−ヘプタノール、3,6−ジオキサ−オクタノール、3,6,9−トリオキサ−デカノール、3,6,9−トリオキサ−ウンデカノール、4−オキサ−ペンタノール、4−オキサ−ヘキサノール、4−オキサ−ヘプタノール、4,8−ジオキサ−ノナノール、4,8−ジオキサ−デカノール、4,8−ジオキサ−ウンデカノール、5−オキサ−ヘキサノールまたは5,10−ジオキサウンデカノールが含まれる。
【0038】
さらに、エトキシ化および/またはプロポキシ化されたアルコールならびに混合されたエトキシ化/プロポキシ化アルコール、特に
5−(O−CH2−CH2x−OHまたは
5−(O−CH(CH3)−CH2x−OH、もしくは
5−(O−CH2−CH(CH3))x−OH
[式中、
5は、C1〜C20−アルキルを表し、かつ
xは、10〜20の整数を表す]またはエトキシ化および/またはプロポキシ化されたアミノアルコール、たとえば
62N(−CH2−CH2−O)y−Hまたは
62N(−CH(CH3)−CH2−O)y−H、もしくは
62N(−CH2CH(CH3)−O)y−H
[式中、yは、1〜4の整数を表す]
を溶剤として使用することができる。上記式中でR6は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表し、その際、窒素は置換基R6と一緒に5員〜7員の環を形成してもよい。環は場合により1もしくは複数の短鎖のアルキル基、たとえばメチル、エチルまたはプロピルにより置換されていてもよい。
【0039】
溶剤はたとえば蒸留によって分離することができる。有利にはこれらの溶剤、特にアルコールは、蒸留装置の塔頂を介して、生じた(メタ)アクリル酸と一緒に反応混合物から取り出すことができる。こうして得られた混合物を引き続き、相応する(メタ)アクリレートへと変換することができる。相応して、本発明は、(メタ)アクリレートとも呼ばれる(メタ)アクリル酸のエステルを製造する方法も提供する。(メタ)アクリル酸の、アルコールを用いたエステル化は、すでに長い間公知であり、たとえばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版(CD−ROM版)に記載されている。
【0040】
環式エステルの反応は、触媒の存在下で行う。このために適切な触媒は自体公知であり、たとえばDE−OS1033656、DE−OS1062696、FR1215701、DE630020、DE665369、FR1080212、DE1191367B1およびDE−OS1768253に記載されている。たとえばこれらの触媒は、シリカ担体またはグラファイト担体上に施与されている酸性の有機ホスフェートを含んでいてもよい。特に有利には使用すべき触媒は少なくとも1の金属塩を含有している。これには特に刊行物のDE1191367B1およびDE−OS1768253に記載されている塩が挙げられる。たとえば亜鉛、鉄、スズ、鉛の塩を使用することができる。さらに特に有利な金属塩には特にアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩が含まれる。たとえば1〜10個の炭素原子を有するカルボン酸の塩、カルボン酸塩、水酸化物、酸化物、ハロゲンの塩または亜硫酸塩を使用することができる。その塩を触媒として使用することができる特に有利なカルボン酸には、特に(メタ)アクリル酸、α−ヒドロキシカルボン酸、特にヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、2−ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)および/または2−ヒドロキシイソ酪酸、ならびに酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸および/またはノナン酸が含まれる。前記の触媒は単独で、または混合物として使用することができる。たとえば亜鉛、鉄、スズおよび鉛のハロゲン化物と、アルカリ金属ハロゲン化物および/またはアルカリ土類金属ハロゲン化物の混合物を使用することができる。特に有利にはDE−OS1768253に記載されている触媒を使用する。
【0041】
特に有利には、触媒は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、α−ヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩、α−ヒドロキシカルボン酸のカリウム塩および/またはリン酸二水素ナトリウムから選択される少なくとも1の塩を含む。
【0042】
触媒の濃度は一般に重要ではなく、この場合、低い濃度は若干長い反応時間につながりうる。高い濃度はむしろ非経済的である。特別な実施態様によれば、触媒濃度は反応混合物の全質量に対して、有利には1〜70質量%の範囲、特に有利には2〜10質量%の範囲であってよい。
【0043】
回分式で(メタ)アクリル酸を製造する場合、触媒量は1〜10質量%、特に有利には2〜5質量%の範囲であることが有利でありうる。連続的な方法では、供給される原料流が、触媒の割合を含有していてもよい。有利には触媒の量は、0.1〜20質量%の範囲、特に有利には0.1〜5質量%の範囲である。触媒の、原料による負荷は広い範囲であってよい。有利には触媒1モルあたり、1時間に0.01〜10モル、特に有利には0.05〜1.0モルおよびとりわけ有利には0.1〜0.5モルの環式エステルを使用する。
【0044】
反応は有利には120℃以上の温度で、特に有利には200〜240℃の範囲の温度で行う。反応は、反応温度に応じて、減圧または過圧で実施することができる。有利には本発明による反応は、0.01〜10バールの圧力範囲で、特に有利には0.05〜2.5バールの圧力範囲で実施する。
【0045】
反応は回分式でも連続式でも実施することができ、連続的な方法は有利である。
【0046】
反応の反応時間は特に、使用される環式エステル、触媒の活性、ならびに反応温度に依存し、その際、このパラメータは広い範囲であってよい。有利には反応の反応時間は30秒〜15時間の範囲、特に有利には15分〜10時間であり、かつとりわけ有利には30分〜5時間である。
【0047】
連続的な方法では、滞留時間は有利には30秒〜15時間、特に有利には15分〜10時間およびとりわけ有利には30分〜5時間である。
【0048】
本発明の特別な実施態様によれば、反応は重合防止剤の存在下で実施することができる。有利に使用することができる重合防止剤には、特にフェノチアジン、第三級ブチルカテコール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ヒドロキノン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル(TEMPOL)またはこれらの混合物が含まれ、これらの防止剤の有効性は、酸素の使用によって部分的に改善することができる。重合防止剤は、環式エステルの質量に対して、0.001〜2.0質量%の範囲の濃度で、特に有利には0.01〜0.2質量%の範囲で使用することができる。この場合、少量の重合防止剤を、凝縮した(メタ)アクリル酸に添加することができる。
【0049】
以下では本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0050】
例1
蒸留装置中で、アセトン180.25g中に溶解したテトラメチルグリコリド(TMG)334.75gを、α−ヒドロキシイソ酪酸のカリウム塩の存在下に、約225℃の温度になるまで加熱した。触媒の負荷は、触媒1モルあたり毎時、TMG0.57モルであった。反応は標準圧力で250分間実施した。メタクリル酸の収率は70%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸の製造方法において、環式エステルを触媒の存在下に(メタ)アクリル酸へと反応させることを特徴とする、(メタ)アクリル酸の製造方法。
【請求項2】
環式エステルを液相中で触媒と接触させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
得られた(メタ)アクリル酸を、気相を経由して反応混合物から分離することを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
触媒が、少なくとも1の金属塩を含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
金属塩として、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を使用することを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
1〜10個の炭素原子を有するカルボン酸の塩、炭酸塩、水酸化物、酸化物、ハロゲンの塩または亜硫酸塩を使用することを特徴とする、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
触媒が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムから選択される少なくとも1の塩、α−ヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩、α−ヒドロキシカルボン酸のカリウム塩および/またはリン酸二水素ナトリウムを含むことを特徴とする、請求項4から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
120℃以上の温度で反応を行うことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
200〜240℃の範囲の温度で反応を行うことを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
0.05バール〜2.5バールの範囲の圧力で実施することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
重合防止剤の存在下に実施することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
触媒の濃度が、反応混合物の全質量に対して、1〜70質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
反応混合物が、溶剤を含有していることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
アルコールを溶剤として使用することを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
(メタ)アクリレートを製造する方法において、請求項1から14までのいずれか1項記載の(メタ)アクリル酸を製造するための少なくとも1つの工程を有することを特徴とする、(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項16】
メチルメタクリレートを製造することを特徴とする、請求項15記載の方法。

【公表番号】特表2010−510274(P2010−510274A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537569(P2009−537569)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059029
【国際公開番号】WO2008/061819
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】